以下、実施形態に係る放電検出システムY1、開閉器システムX1及び分電盤1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
図1に示すように、本実施形態の放電検出システムY1は、第1放電検出部d1と、第2放電検出部d2と、を備える。第1放電検出部d1は、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象を検出する。つまり、主幹回路M1及び分岐回路B1の少なくとも一方で放電現象が発生した場合に、第1放電検出部d1はこれを検出できる。主幹回路M1は、主幹開閉器3を含む。分岐回路B1は、主幹回路M1から分岐している。分岐回路B1は、分岐開閉器2を含む。第2放電検出部d2は、分岐回路B1で発生する放電現象を検出する。第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出感度及び放電現象の検出精度のうち少なくとも一方が高い。
本実施形態によれば、比較的高品質(検出感度又は検出精度が高い)の第1放電検出部d1により、主幹回路M1及び分岐回路B1の両方における放電現象を検出するので、主幹回路M1及び分岐回路B1における放電現象の検出の信頼性を高められる。一方で、比較的低品質(検出感度又は検出精度が低い)の第2放電検出部d2により、分岐回路B1における放電現象を検出するので、分岐回路B1における放電現象の検出に第1放電検出部d1と同品質の機器を用いる場合と比較して、第2放電検出部d2の調達が容易となる。例えば、第2放電検出部d2として比較的安価な機器を採用できる。このように、上記の放電検出システムY1によれば、放電現象の検出の信頼性が高まり、かつ、主幹回路M1及び分岐回路B1用の第1放電検出部d1と、分岐回路B1用の第2放電検出部d2と、の両方を備える放電検出システムY1の調達が容易となる。
また、放電検出システムY1は、第1放電検出部d1と第2放電検出部d2との両方を備えているので、放電現象の発生箇所の特定が容易となる。
(2)構成
以下、本実施形態に係る放電検出システムY1、開閉器システムX1及び分電盤1の詳細な構成について説明する。
(2-1)分電盤
図1、図2に示すように、分電盤1は、開閉器システムX1と、キャビネット10と、を備える。キャビネット10は、開閉器システムX1を収容する。
開閉器システムX1は、放電検出システムY1と、主幹開閉器3と、分岐開閉器2と、を備える。本実施形態の開閉器システムX1は、分岐開閉器2を複数備える。本実施形態の第1放電検出部d1は、主幹開閉器3の一構成である。本実施形態の第2放電検出部d2は、分岐開閉器2の一構成である。
キャビネット10は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、キャビネット10が設置される建物(戸建て住宅、集合住宅の住戸又はテナントビル等)内の部屋の壁に限らず、例えば、建物内の部屋の天井又は床であってもよい。
以下の説明では、キャビネット10が建物の壁に取り付けられる場合を想定し、壁から見てキャビネット10側を前と規定し、キャビネット10から見て壁側を後と規定する。また、キャビネット10の前に立ちキャビネット10の側を向いた観察者から見た上下左右をそれぞれ、上下左右と規定する。ただし、これらの規定は、分電盤1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
キャビネット10は、前面が開口した箱状のボディ12と、ボディ12の前面を覆うカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ12に取り付けられる。閉位置はボディ12の前面を覆う位置であり、開位置はボディ12の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。
キャビネット10の内部には、複数の分岐開閉器2、主幹開閉器3及び後述の計測装置4が収容されている。複数の分岐開閉器2、主幹開閉器3及び計測装置4は、ボディ12に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。図2の例では、キャビネット10の内部において、計測装置4、主幹開閉器3、複数の分岐開閉器2は、左右方向において左からこの順に配置されている。
(2-2)主幹開閉器
図1、図2に示すように、主幹開閉器3は、主幹接点部SW3と、主幹側筐体CA3と、を備える。主幹接点部SW3は、主幹回路M1を電気的に開閉する。主幹側筐体CA3は、第1放電検出部d1及び主幹接点部SW3を収容する。
主幹回路M1は、主幹接点部SW3を含んでいる。さらに、主幹回路M1は、後述の3つの引込線200と、3つの配線部材125と、3つの導電バー61、62、63と、を含んでいる。
図2に示すように、主幹開閉器3は、キャビネット10の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。キャビネット10内での主幹開閉器3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。
主幹開閉器3は、3つの一次側端子301と、3つの二次側端子302(図3参照)と、を備えている。主幹接点部SW3(図3参照)は、3つの一次側端子301と3つの二次側端子302との間の電路に電気的に接続されている。主幹開閉器3は、主幹接点部SW3を開閉するための操作レバー33を備えている。操作レバー33は、主幹側筐体CA3の前面に配置されている。また、主幹開閉器3は、例えば主幹接点部SW3(主幹回路M1)に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、主幹接点部SW3を開く。
本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定している。図2に示すように、主幹開閉器3の3つの一次側端子301には、系統電源(商用電源)の単相三線式の3つの引込線200が電気的に接続される。本実施形態の分電盤1は、ボディ12に配置された3つの接続端子124を備え、3つの接続端子124に3つの引込線200が電気的に接続されている。3つの接続端子124と主幹開閉器3の3つの一次側端子301との間は3つの配線部材125を介して電気的に接続されている。
キャビネット10に3つの接続端子124及び3つの配線部材125が備えられていることは必須ではなく、3つの引込線200が主幹開閉器3の3つの一次側端子301に直接接続されていてもよい。
図1に示すように、主幹開閉器3の二次側(3つの二次側端子302)には、第1電圧極(L1相)の導電バー61、第2電圧極(L2相)の導電バー62、及び中性極(N相)の導電バー63が接続されている。各導電バー61、62、63は、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、キャビネット10の内部において、上下方向の中央であって主幹開閉器3よりも右側の位置に配置されている。
次に、図3を参照して、主幹開閉器3の構成についてより詳細に説明する。主幹開閉器3は、主幹接点部SW3と、第1駆動部322と、第1放電検出部d1と、第1通信部324と、を備えている。また、主幹開閉器3は、3つの一次側端子301と、3つの二次側端子302と、を更に備えている。
主幹接点部SW3は、3つの一次側端子301と3つの二次側端子302との間に挿入された3つの接点SW31、SW32、SW33を有している。3つの接点SW31、SW32、SW33は、機械式の接点である。
第1駆動部322は、励磁コイルを含む。第1駆動部322は、主幹接点部SW3と共にリレーを構成する。つまり、第1駆動部322の励磁コイルに励磁電流が流れることにより、主幹接点部SW3が駆動され、3つの接点SW31、SW32、SW33が開閉する(オン/オフが切り替わる)。第1駆動部322は、第1判定部38からの制御信号に応じて、3つの接点SW31、SW32、SW33を開閉する。
第1通信部324は、後述の複数の分岐開閉器2の各々の第2通信部224と通信可能である。また、第1通信部324は、計測装置4と通信可能である。第1通信部324は、例えば、コネクタを含み、コネクタを介して有線通信を行う。
第1放電検出部d1は、2つの第1電流センサ37と、第1判定部38と、を含む。各第1電流センサ37は、例えば、カレントトランスである。各第1電流センサ37は、主幹回路M1に流れる電流を計測する。より詳細には、2つの第1電流センサ37は、主幹開閉器3の3つの一次側端子301のうち2つの一次側端子301に流れる電流を計測する。
第1判定部38は、2つの第1電流センサ37の計測値に基づいて、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象の有無を判定する。また、第1判定部38は、第1判定部38で判定した放電現象の有無の判定結果と、第1通信部324から取得した信号と、に応じて、第1駆動部322を制御するための制御信号を出力する。
第1判定部38は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、第1判定部38の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
(2-3)分岐開閉器
図1、図2に示すように、分岐開閉器2は、分岐接点部SW2と、分岐側筐体CA2と、を備える。分岐接点部SW2は、分岐回路B1を電気的に開閉する。分岐側筐体CA2は、第2放電検出部d2及び分岐接点部SW2を収容する。
分岐回路B1は、分岐接点部SW2を含んでいる。さらに、分岐回路B1は、後述の2つの分岐端子161、162及び2つの分岐配線82を含んでいる。さらに、分岐回路B1は、2つの分岐配線82に電気的に接続された負荷等を含んでいる。
図2に示すように、分岐開閉器2は、操作部23を備える。操作部23は、分岐接点部SW2を開閉するための手動操作を受け付ける。操作部23は、分岐側筐体CA2の前面に設けられている。
複数の分岐開閉器2は、中性極(N相)の導電バー63の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、導電バー63の上側には、12個の分岐開閉器2が左右方向に並ぶように配置されている。また、導電バー63の下側には、12個の分岐開閉器2が左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐開閉器2は、2つの一次側端子201(図4、図6参照)と、2つの二次側端子202(図4参照)と、を備えている。分岐接点部SW2(図4参照)は、2つの一次側端子201と2つの二次側端子202との間の電路に電気的に接続されている。
2つの一次側端子201は、3つの導電バー61、62、63のうち2つの導電バーに電気的に接続される。一次側端子201と導電バー61とは、分岐端子161を介して電気的に接続される。一次側端子201と導電バー62とは、分岐端子162を介して電気的に接続される。一次側端子201と導電バー63とは、直接接続される。
分岐開閉器2には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐開閉器2が備える2つの一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61及び第2電圧極の導電バー62のうちの一方と、中性極の導電バー63とにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐開閉器2が備える2つの一次側端子201は、第1電圧極の導電バー61と、第2電圧極の導電バー62とにそれぞれ電気的に接続される。図1、図6では、いずれの分岐開閉器2も100V用である。
分岐側筐体CA2は、複数(ここでは3つ)の差込口26を備えている(図5、図6参照)。3つの差込口26には、導電バー61、62から延びている複数の分岐端子161、162と、導電バー63と、が差し込まれる。3つの差込口26のうち2つにはそれぞれ、一次側端子201が配置されている。
2つの二次側端子202には、2つの分岐配線82が接続される。2つの二次側端子202は、2つの分岐配線82を介して、負荷、発電設備又は蓄電設備に接続される。負荷は、例えば、照明器具、空調機器、テレビ受像器若しくは給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。
次に、図4を参照して、分岐開閉器2の構成についてより詳細に説明する。分岐開閉器2は、分岐接点部SW2と、第2駆動部222と、第2放電検出部d2と、第2通信部224と、熱動素子29と、引外しユニット220と、を備えている。また、分岐開閉器2は、2つの一次側端子201と、2つの二次側端子202と、を更に備えている。
分岐接点部SW2は、2つの一次側端子201と2つの二次側端子202との間に挿入された2つの接点SW21、SW22を有している。2つの接点SW21、SW22は、機械式の接点である。
第2駆動部222は、励磁コイルを含む。第2駆動部222は、分岐接点部SW2と共にリレーを構成する。つまり、第2駆動部222の励磁コイルに励磁電流が流れることにより、分岐接点部SW2が駆動され、2つの接点SW21、SW22が開閉する(オン/オフが切り替わる)。第2駆動部222は、第2判定部28からの制御信号に応じて、2つの接点SW21、SW22を開閉する。
第2通信部224は、主幹開閉器3の第1通信部324と通信可能である。また、第2通信部224は、計測装置4と通信可能である。第2通信部224の構成については後述する。
第2放電検出部d2は、第2電流センサ27と、第2判定部28と、を含む。第2電流センサ27は、例えば、ロゴスキコイルである。第2電流センサ27は、分岐回路B1に流れる電流を計測する。より詳細には、第2電流センサ27は、分岐端子161又は162に流れる電流を計測する。
第2判定部28は、第2電流センサ27の計測値に基づいて、分岐回路B1で発生する放電現象の有無を判定する。また、第2判定部28は、第2判定部28の判定結果に応じて、第2駆動部222を制御するための制御信号を出力する。
第2判定部28は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、第2判定部28の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
熱動素子29は、例えば、バイメタル又はトリメタルである。熱動素子29は、2つの接点SW21、SW22のうち一方の接点SW21に電気的に直列に接続されている。熱動素子29は、接点SW21に流れる電流の大きさに応じて発熱し、熱により変形する。
引外しユニット220は、熱動式引外し装置24及び電磁式引外し装置25を有している。
熱動素子29が熱により変形することで、熱動式引外し装置24が駆動される。すると、熱動式引外し装置24は、2つの接点SW21、SW22を開く。そのため、熱動式引外し装置24は、例えば、分岐回路B1に過電流等の異常電流が一定時間以上、流れ続けた場合に、2つの接点SW21、SW22を開き、分岐回路B1を遮断する。
電磁式引外し装置25は、例えば、電磁石装置を含む。電磁石装置は、2つの一次側端子201と2つの二次側端子202との間に挿入された駆動コイルを有し、2つの接点SW21、SW22を流れる電流の大きさに応じて作動する。電磁石装置が作動することにより、2つの接点SW21、SW22が開く。そのため、電磁式引外し装置25は、例えば、分岐回路B1に短絡電流等の異常電流が流れた場合に、2つの接点SW21、SW22を開き、分岐回路B1を遮断する。
(2-4)計測装置
放電検出システムY1は、計測装置4(図2参照)を更に備えている。計測装置4は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、計測装置4の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
計測装置4は、キャビネット10の内部において、主幹開閉器3の左側に配置されている。計測装置4は、第1放電検出部d1の2つの第1電流センサ37及び複数の第2放電検出部d2の第2電流センサ27が計測した電流値を取得する。計測装置4は、取得した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測装置4は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する。つまり、計測装置4は、主幹回路M1及び複数の分岐回路B1の各々における電力を演算する。
計測装置4は、表示部41(図2参照)を有している。表示部41は、一例として、2桁の7セグメントLED(Light Emitting Diode)にて実現されている。表示部41は、計測装置4の設定情報(分岐回路B1の回路番号、及び電圧等)、並びに、復帰情報等の種々の情報を表示可能である。復帰情報は、主幹接点部SW3又は分岐接点部SW2を開放した状態から閉じた状態に自動的に復帰させた旨を示す情報である。復帰情報は、第1通信部324及び第2通信部224を介して、計測装置4に入力される。
(2-5)基板
図5に示すように、放電検出システムY1は、基板50と、複数の処理部52と、複数の基板側通信部54と、複数の分岐端子161と、複数の分岐端子162と、を更に備える。
複数の分岐端子161、162はそれぞれ、分岐回路B1のうち主幹回路M1とつながっている部分である。複数の分岐端子161は、主幹回路M1の導電バー61から延びて複数の分岐開閉器2に接続される。複数の分岐端子162は、主幹回路M1の導電バー62から延びて複数の分岐開閉器2に接続される。
基板50は、左右方向に長い板状である。基板50は、キャビネット10に取り付けられる。基板50は、複数の孔501及び複数の502を有している。複数の孔501、502には、複数の分岐端子161、162が挿入される。
基板50は、主幹開閉器3と分岐開閉器2との間の電気的な接続経路の少なくとも一部を含む。基板50は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂製基板の表面(又は内層)に導体パターン55(図6参照)が形成されたプリント配線板である。導体パターン55が、主幹開閉器3と分岐開閉器2との間の電気的な接続経路の少なくとも一部として機能する。導体パターン55には、コネクタが電気的に接続されている。導体パターン55は、コネクタを介して主幹開閉器3に電気的に接続される。導体パターン55を通じて、第2放電検出部d2の検出結果を表す第2検出信号(第2電流センサ27の検出信号)が主幹開閉器3に送信される。
つまり、基板50は、導体パターン55を有し、導体パターン55は、第2検出信号を主幹開閉器3へ伝達する。なお、導体パターン55は、第1放電検出部d1の検出結果を表す第1検出信号(第1電流センサ37の検出信号)及び上記第2検出信号のうち少なくとも一方を伝達してもよい。
複数の分岐開閉器2の各々の第2電流センサ27は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。各第2電流センサ27は、基板50に取り付けられている。各第2電流センサ27は、基板50の上述の孔501の周りに形成されている。複数の第2電流センサ27は、複数の分岐回路B1と一対一で対応している。各第2電流センサ27は、対応する分岐回路B1の電流を計測する。
処理部52は、基板50に実装されている。処理部52は、複数の第2電流センサ27の出力に対して信号処理を実行する。さらに、処理部52は、計測装置4と通信可能に構成されている。そのため、計測装置4は、複数の第2電流センサ27が計測した複数の分岐回路B1の各々に流れる電流値を、処理部52を介して受け取ることが可能である。
基板側通信部54は、基板50に実装されている。基板側通信部54は、分岐開閉器2の第2通信部224(図6参照)と通信可能に構成されている。つまり、基板50は、分岐開閉器2との間で通信可能である。本開示において「通信可能」とは、有線通信(例えば、電力線搬送通信)又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。
本実施形態では、第2通信部224と基板側通信部54との間の通信方式は、無線通信である。本開示でいう「無線通信」には、電波を通信媒体として用いる通信(例えば、Bluetooth(登録商標)に準拠した通信)、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。第2通信部224及び基板側通信部54を通じて、第2放電検出部d2の検出結果を表す第2検出信号(第2電流センサ27の検出信号)が主幹開閉器3に送信される。すなわち、放電検出システムY1は、無線通信部(第2通信部224)を備え、無線通信部は、第2検出信号を無線通信により伝達する。なお、無線通信部は、第1検出信号(第1電流センサ37の検出信号)及び上記第2検出信号のうち少なくとも一方を無線通信により伝達してもよい。
本実施形態では、第2通信部224と基板側通信部54との間の通信方式が、光通信である場合を例示する。つまり、第2通信部224と基板側通信部54との間の通信方式は、赤外光又は可視光等の光を通信媒体として用いる光通信である。図6に示すように、分岐開閉器2がキャビネット10に取り付けられた状態において、第2通信部224は、基板側通信部54と対向する位置に配置されている。さらに、分岐側筐体CA2のうち、第2通信部224に対向する部位は、光透過性を有している。第2通信部224は、例えば、フォトダイオード等の受光素子、及びLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含んでいる。基板側通信部54も同様に、例えば、フォトダイオード等の受光素子、及びLED等の発光素子を含んでいる。第2通信部224と基板側通信部54との間で、発光素子から投光された光を受光素子で受光することで、信号が受け渡される。
分岐開閉器2と主幹開閉器3とは、第2通信部224、基板側通信部54、導体パターン55及び第1通信部324を介して相互に通信可能である。
キャビネット10は、金属製の支持板14、及び樹脂製のベース台15を有している。ベース台15は、支持板14の厚み方向の一面である前面に取り付けられている。分岐開閉器2は、ベース台15に保持される。ベース台15は、分岐開閉器2の分岐側筐体CA2が引っ掛けられる引掛部151を有している。
(3)放電検出
第1放電検出部d1の第1判定部38は、第1電流センサ37で計測された電流に基づいて、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象を検出する。また、第2放電検出部d2の第2判定部28は、第2電流センサ27で計測された電流に基づいて、分岐回路B1で発生する放電現象を検出する。例えば、第1判定部38及び第2判定部28は、計測された電流(交流電流)のうち、所定の周波数帯の成分の振幅が閾値以上である場合に、放電現象を検出し、閾値未満である場合に、放電現象を検出しない。
また、本実施形態の放電検出システムY1は、第2放電検出部d2を2つ以上備えている。具体的には、放電検出システムY1は、分岐開閉器2の個数と同数の第2放電検出部d2を備えている。分岐回路B1は複数設けられている。2つ以上の第2放電検出部d2は、複数の分岐回路B1のうち2つ以上の分岐回路B1と一対一で対応している。2つ以上の第2放電検出部d2の各々は、対応する分岐回路B1で発生する放電現象を検出する。
本実施形態の第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2は、放電現象としてのアーク放電を検出する。アーク放電は、回路に含まれる配線における絶縁劣化又は半断線等の配線異常によって発生し得る。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味する。具体的には、配線がより線であれば、「半断線」は、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。
アーク放電で発生するアークは、一例として、配線が2つの電線で構成される場合に、2つの電線間が短絡することで発生するアーク(いわゆるパラレルアーク)である。
また、アークは、一例として、配線が2つの電線で構成される場合に、2つの電線のうちの一方が半断線することで発生するアーク(いわゆるシリーズアーク)である。
また、アーク放電は、電線及び電気器具などの異常状態、すなわち、連結不良、短絡、過負荷、線路過熱、又は、線路抵抗変化等によって発生し得る。
第2放電検出部d2の第2判定部28は、第2判定部28における放電現象の検出結果に応じて、第2駆動部222を制御し、分岐接点部SW2を開閉させる。これにより、分岐回路B1を遮断又は開放させる。
第1放電検出部d1の第1判定部38は、第1判定部38及び第2判定部28における放電現象の検出結果に応じて、第1駆動部322を制御し、主幹接点部SW3を開閉させる。具体的には、分岐開閉器2の第2判定部28(第2放電検出部d2)における放電現象の検出結果は、第2通信部224及び導体パターン55を介して、主幹開閉器3の第1通信部324に入力され、第1判定部38に入力される。第1判定部38(主幹開閉器3)は、第1放電検出部d1の検出結果を表す第1検出信号及び第2放電検出部d2の検出結果を表す第2検出信号の両方に基づいて、主幹接点部SW3を開閉させる。これにより、主幹回路M1を遮断又は開放させる。
(4)動作例
第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2は、放電現象を検出する。第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2は、計測された電流(交流電流)のうち、アークに対応する所定の周波数帯の成分の振幅が閾値以上である場合に、放電現象を検出する。
主幹開閉器3は、第1放電検出部d1が放電現象を検出すると、主幹回路M1を遮断し、分岐開閉器2は、第2放電検出部d2が放電現象を検出すると、分岐回路B1を遮断する。これが、開閉器システムX1の基本動作である。ここで、複数の第2放電検出部d2は、複数の分岐開閉器2と一対一で対応している。第2放電検出部d2が放電現象を検出すると、対応する分岐開閉器2が、分岐回路B1を遮断する。
第1放電検出部d1は、放電現象を検出すると、これに応じた制御信号を第1駆動部322に送信する。これに応じて、第1駆動部322は、主幹接点部SW3を駆動し、主幹回路M1を遮断する。
第2放電検出部d2は、放電現象を検出すると、これに応じた制御信号を第2駆動部222に送信する。これに応じて、第2駆動部222は、分岐接点部SW2を駆動し、分岐回路B1を遮断する。
また、主幹開閉器3と分岐開閉器2とは、信号をやり取りしている。少なくとも、分岐開閉器2から主幹開閉器3へ、第2放電検出部d2の検出結果を示す第2検出信号が送信される。主幹開閉器3は、第1放電検出部d1の検出結果に加えて、第2検出信号に基づいて、主幹回路M1を遮断する。
第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出感度が高い。具体的には、第1放電検出部d1は、第1電流センサ37(2つの第1電流センサ37のうち少なくとも一方)で計測された電流のうち、所定の周波数帯の振幅が第1閾値以上である場合に、放電現象を検出する。一方で、第2放電検出部d2は、第2電流センサ27で計測された電流のうち、上記所定の周波数帯の振幅が第2閾値以上である場合に、放電現象を検出する。第1閾値は、第2閾値よりも小さい。この構成により、第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出感度が高い。主幹回路M1及び分岐回路B1にそれぞれ同時に同じ電流が流れたと仮定して、第2放電検出部d2が放電現象を検出したときは、第1放電検出部d1も放電現象を検出することになる。一方で、この仮定のもとで、第1放電検出部d1が放電現象を検出したときに、第2放電検出部d2が放電現象を検出するとは限らない。
アークに対応し第2閾値以上の大きさの電流成分が第1電流センサ37及び第2電流センサ27の両方で計測される場合、第2放電検出部d2は、第1放電検出部d1が放電現象を検出するタイミング(時点t1)よりも遅れて又は上記タイミングと略同時に、放電現象を検出することになる(図7参照)。図7では、第2放電検出部d2は、時点t1よりも遅いタイミング(時点t2)に放電現象を検出する。
アークに対応し第1閾値以上、かつ、第2閾値未満の大きさの電流成分が第1電流センサ37及び第2電流センサ27の両方で計測される場合、第1放電検出部d1のみが放電現象を検出することになる(図8参照)。
図7に示すように、第1放電検出部d1が放電現象を検出してから(時点t1)、所定の待機時間De1が経過すると(時点t4)、主幹開閉器3は、主幹回路M1を遮断する。一方で、第2放電検出部d2が放電現象を検出すると、直ちに、分岐開閉器2が分岐回路B1を遮断する。そのため、第2放電検出部d2が放電現象を検出してから(時点t2)分岐開閉器2が分岐回路B1を遮断するまでの時間は、第1放電検出部d1が放電現象を検出してから主幹開閉器3が主幹回路M1を遮断するまでの時間(待機時間De1)よりも短い。
図7では、主幹回路M1と分岐回路B1との両方において放電現象が発生している。そのため、分岐回路B1を遮断しても、第1放電検出部d1が放電現象を検出し続け、主幹回路M1も遮断することになる。
次に、図9を参照して説明する。図9では、時点t1に、第1放電検出部d1が放電現象を検出する。その後、時点t2に、第2放電検出部d2が放電現象を検出し、分岐回路B1を遮断する。ここで、主幹回路M1において放電現象が発生しておらず、時点t2時点で分岐回路B1においてのみ放電現象が発生している場合、分岐回路B1を遮断したことにより、第1放電検出部d1は、放電現象を検出しなくなる。つまり、時点t2の後の時点t3において、第1電流センサ37で計測された電流のうち、アークに対応する所定の周波数帯の成分の振幅が閾値未満となる。
ここで、時点t3は、第1放電検出部d1が放電現象を検出してから、待機時間De1が経過する時点t4よりも前の時点である。第1放電検出部d1が放電現象を検出しなくなると、時点t4になっても、主幹開閉器3は、主幹回路M1を遮断させない。
要するに、主幹開閉器3は、第1放電検出部d1が放電現象を検出してから、所定の待機時間De1が経過するまでの間に、第1放電検出部d1が放電現象を検出しなくなると、主幹回路M1を遮断する動作を中止する(中断制御)。ここで、主幹開閉器3の第1判定部38には、第1放電検出部d1の検出結果を表す第1検出信号及び第2放電検出部d2の検出結果を表す第2検出信号が入力される。第1判定部38は、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、主幹回路M1を遮断するか否か、及び、主幹開閉器3を遮断するタイミングを決定し、これに応じて、主幹開閉器3が主幹回路M1を遮断する。第1検出信号及び第2検出信号は、具体的には、第1電流センサ37及び第2電流センサ27の出力信号である。第1検出信号及び第2検出信号が第1判定部38に入力され、第1判定部38の制御により、主幹回路M1が遮断される。
なお、主幹開閉器3が主幹回路M1を遮断する動作を中止した後、再び第1放電検出部d1が放電現象を検出すると、待機時間De1の経過後に、主幹開閉器3が主幹回路M1を遮断する。
ここで、上述の中断制御に加えて、分岐開閉器2が分岐回路B1を遮断した場合に、以下で説明する更新制御が実行されてもよい。図10に示すように、更新制御では、分岐開閉器2が分岐回路B1を遮断してから所定の判定時間De2が経過した時点t6へと、待機時間De1の終了時点が更新される。つまり、第1放電検出部d1が放電現象を検出した時点t1から時点t6までの間は、主幹開閉器3は、主幹回路M1を遮断しない。時点t6まで放電現象を検出し続けると、主幹開閉器3は、主幹回路M1を遮断する。時点t1から時点t6までの間に放電現象を検出しなくなると、時点t6になっても、主幹開閉器3は、主幹回路M1を遮断させない。
以上の動作例で説明したように、主幹回路M1で放電現象が発生しておらず、かつ、少なくとも1つの分岐回路B1で放電現象が発生している場合には、当初は、第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2の両方で放電現象が検出される。上記少なくとも1つの分岐回路B1が遮断されることで、第1放電検出部d1が放電現象を検出しなくなるので、主幹回路M1は遮断されない。そのため、遮断されていない分岐回路B1への電力供給を継続できる。
(変形例1)
以下、変形例1に係る放電検出システムY1について、図4を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態と同様に、本変形例1の分岐開閉器2は、一次側端子201と二次側端子202との間に電気的に接続された熱動素子29を備えている。本変形例1では、熱動素子29が、分岐回路B1に流れる電流を計測する電流センサの少なくとも一部として用いられる。本変形例1の第2判定部28は、熱動素子29の両端間に印加された電圧を取得し、この電圧に基づいて、熱動素子29に流れる電流(すなわち、分岐回路B1に流れる電流)を計測することができる。そして、第2判定部28は、計測した電流に基づいて、分岐回路B1で発生する放電現象を検出することができる。
本変形例1では、放電検出システムY1は、ロゴスキコイルである第2電流センサ27を備えていなくてもよい。つまり、分岐開閉器2は、ロゴスキコイルを備えていなくてもよい。そのため、分岐開閉器2の構成を簡略化できる。
なお、熱動素子29は、分岐開閉器2に備えられることに限定されない。熱動素子29は、分岐回路B1に設けられていればよい。
また、熱動素子29は、主幹回路M1に設けられていてもよい。主幹開閉器3の第1判定部38は、主幹回路M1に設けられた熱動素子29の両端間に印加された電圧を取得し、この電圧に基づいて、熱動素子29に流れる電流(すなわち、主幹回路M1に流れる電流)を計測することができる。そして、第1判定部38は、計測した電流に基づいて、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象を検出することができる。この場合、主幹開閉器3は、熱動素子29とは別の電流センサを備えていなくてもよい。
要するに、本変形例1において、第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2のうち少なくとも一方の第1電流センサ37又は第2電流センサ27は、熱動素子29を含む。熱動素子29には、計測対象の電流が流れる。第1放電検出部d1の第1電流センサ37の計測対象の電流は、主幹回路M1に流れる電流である。第2放電検出部d2の第2電流センサ27の計測対象の電流は、分岐回路B1に流れる電流である。
(変形例2)
以下、変形例2に係る放電検出システムY1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態において、第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出感度が高い。実施形態では、放電現象の検出に係る第1閾値及び第2閾値について、第1閾値を第2閾値よりも小さくすることで、検出感度の差異を生じさせている。
これに対して、放電現象の検出に係る、第1閾値及び第2閾値以外のパラメータを適宜設定することで、検出感度の差異を生じさせてもよい。放電現象の検出に係るパラメータの一例は、時間、回数、及び、頻度である。
時間、回数又は頻度が、放電現象の検出に係るパラメータである場合、第1放電検出部d1は、第1電流センサ37で計測された電流のうち、所定の周波数帯の振幅が第1閾値以上である時間、回数又は頻度が第3閾値以上となった場合に、放電現象を検出する。一方で、第2放電検出部d2は、第2電流センサ27で計測された電流のうち、上記所定の周波数帯の振幅が第2閾値以上である時間、回数又は頻度が第4閾値以上となった場合に、放電現象を検出する。第3閾値は、第4閾値よりも小さい。この構成により、第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出感度が高い。
また、第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の検出精度が高くてもよい。放電現象の検出精度に係るパラメータを適宜設定することで、検出精度の差異を生じさせられる。放電現象の検出精度に係るパラメータの一例は、第1電流センサ37及び第2電流センサ27で計測される電流値のサンプリング周波数、及び、LSB(Least Significant Bit)である。第2電流センサ27で計測される分岐回路B1の電流よりも、第1電流センサ37で計測される主幹回路M1の電流の方が、サンプリング周波数が高い又はLSBが小さい場合、第1放電検出部d1は、第2放電検出部d2よりも、放電現象の精度感度が高い。
本変形例2において、放電現象を検出するために第1放電検出部d1で用いられる第1閾値と、第2放電検出部d2で用いられる第2閾値とが、等しくてもよいし、第1閾値が第2閾値よりも小さくてもよい。
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
第1放電検出部d1は、主幹回路M1に流れる電流に代えて、主幹回路M1の電圧に基づいて放電現象を検出してもよい。第2放電検出部d2は、分岐回路B1に流れる電流に代えて、分岐回路B1の電圧に基づいて放電現象を検出してもよい。例えば、主幹回路M1又は分岐回路B1の、2つの異極の電路間(導電バー61、62間、導電バー62、63間、導電バー63、61間又は分岐配線82、82間等)に、抵抗とコンデンサとの直列回路であるCR回路を電気的に接続し、抵抗に印加された電圧を計測すればよい。放電現象が発生しておらず、上記電路に電源周波数(例えば、50Hz又は60Hz)の交流電流が流れている場合に、CR回路にはほとんど電流が流れないように、CR回路の遮断周波数が設定される。
また、第1放電検出部d1及び第2放電検出部d2は、放電現象に起因する熱、光、又は磁気の変化を検出することで、放電現象を検出してもよい。
主幹側筐体CA3は、第1放電検出部d1のうち、第1検出素子を収容してもよい。第1検出素子は、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象の検出に関する情報を検出する。実施形態の第1検出素子は、第1電流センサ37である。第1電流センサ37は、主幹回路M1及び分岐回路B1で発生する放電現象の検出に関する情報として、電流を検出する。
分岐側筐体CA2は、第2放電検出部d2のうち、第2検出素子を収容してもよい。第2検出素子は、分岐回路B1で発生する放電現象の検出に関する情報を検出する。実施形態の第2検出素子は、第2電流センサ27である。第2電流センサ27は、分岐回路B1で発生する放電現象の検出に関する情報として、電流を検出する。
第1判定部38は、主幹側筐体CA3の外部に設けられていてもよい。第2判定部28は、分岐側筐体CA2の外部に設けられていてもよい。また、第1判定部38の機能の少なくとも一部と、複数の分岐開閉器2に対応する複数の第2判定部28の機能の少なくとも一部とが、1つの装置に集約されていてもよい。例えば、第1判定部38及び複数の第2判定部28の機能の少なくとも一部が、計測装置4等の装置に集約されていてもよい。
第1電流センサ37は、主幹側筐体CA3の外部に設けられていてもよい。第2電流センサ27は、分岐側筐体CA2の外部に設けられていてもよい。
主幹開閉器3は、熱動式引外し装置24及び熱動素子29を備えていてもよい。主幹開閉器3は、電磁式引外し装置25を備えていてもよい。
複数の分岐回路B1のうち全ての分岐回路B1で発生する放電現象を検出することは必須ではない。つまり、放電検出システムY1は、少なくとも1つの第2放電検出部d2を備え、少なくとも1つの第2放電検出部d2は、少なくとも1つの分岐回路B1で発生する放電現象を検出すればよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る放電検出システム(Y1)は、第1放電検出部(d1)と、第2放電検出部(d2)と、を備える。第1放電検出部(d1)は、主幹回路(M1)及び分岐回路(B1)で発生する放電現象を検出する。主幹回路(M1)は、主幹開閉器(3)を含む。分岐回路(B1)は、主幹回路(M1)から分岐している。分岐回路(B1)は、分岐開閉器(2)を含む。第2放電検出部(d2)は、分岐回路(B1)で発生する放電現象を検出する。第1放電検出部(d1)は、第2放電検出部(d2)よりも、放電現象の検出感度及び放電現象の検出精度のうち少なくとも一方が高い。
上記の構成によれば、放電現象の検出の信頼性が高まり、かつ、主幹回路(M1)及び分岐回路(B1)用の第1放電検出部(d1)と、分岐回路(B1)用の第2放電検出部(d2)と、の両方を備える放電検出システム(Y1)の調達が容易となる。
また、第2の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1の態様において、主幹開閉器(3)は、主幹接点部(SW3)と、主幹側筐体(CA3)と、を備える。主幹接点部(SW3)は、主幹回路(M1)を電気的に開閉する。主幹側筐体(CA3)は、第1放電検出部(d1)及び主幹接点部(SW3)を収容する。
上記の構成によれば、第1放電検出部(d1)及び主幹接点部(SW3)を一体に構成できる。
また、第3の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1又は2の態様において、分岐開閉器(2)は、分岐接点部(SW2)と、分岐側筐体(CA2)と、を備える。分岐接点部(SW2)は、分岐回路(B1)を電気的に開閉する。分岐側筐体(CA2)は、第2放電検出部(d2)及び分岐接点部(SW2)を収容する。
上記の構成によれば、第2放電検出部(d2)及び分岐接点部(SW2)を一体に構成できる。
また、第4の態様に係る放電検出システム(Y1)は、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、第2放電検出部(d2)を2つ以上備える。分岐回路(B1)は複数設けられる。2つ以上の第2放電検出部(d2)は、複数の分岐回路(B1)のうち2つ以上の分岐回路(B1)と一対一で対応する。2つ以上の第2放電検出部(d2)の各々は、対応する分岐回路(B1)で発生する放電現象を検出する。
上記の構成によれば、分岐回路(B1)ごとに放電現象を検出できる。
また、第5の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、主幹開閉器(3)は、第1放電検出部(d1)が放電現象を検出すると、主幹回路(M1)を遮断する。分岐開閉器(2)は、第2放電検出部(d2)が放電現象を検出すると、分岐回路(B1)を遮断する。第2放電検出部(d2)が放電現象を検出してから分岐開閉器(2)が分岐回路(B1)を遮断するまでの時間は、第1放電検出部(d1)が放電現象を検出してから主幹開閉器(3)が主幹回路(M1)を遮断するまでの時間よりも短い。
上記の構成によれば、主幹回路(M1)で放電現象が発生しておらず、かつ、分岐回路(B1)で放電現象が発生している場合には、主幹回路(M1)を遮断しない状態を継続できる。
また、第6の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第5の態様において、主幹開閉器(3)は、第1放電検出部(d1)が放電現象を検出してから、所定の待機時間(De1)が経過するまでの間に、第1放電検出部(d1)が放電現象を検出しなくなると、主幹回路(M1)を遮断する動作を中止する。
上記の構成によれば、主幹回路(M1)で放電現象が発生しておらず、かつ、分岐回路(B1)で放電現象が発生している場合には、主幹回路(M1)を遮断しない状態を継続できる。
また、第7の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第6の態様において、分岐開閉器(2)が分岐回路(B1)を遮断すると、分岐開閉器(2)が分岐回路(B1)を遮断してから所定の判定時間(De2)が経過した時点へと、待機時間(De1)の終了時点が更新される。
上記の構成によれば、待機時間(De1)をより好ましい時間にできる。
また、第8の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、主幹開閉器(3)は、第1放電検出部(d1)の検出結果を表す第1検出信号及び第2放電検出部(d2)の検出結果を表す第2検出信号の両方に基づいて、主幹回路(M1)を遮断する。
上記の構成によれば、主幹開閉器(3)の動作をより細かく制御できる。
また、第9の態様に係る放電検出システム(Y1)は、第8の態様において、基板(50)を更に備える。基板(50)は、第1検出信号及び第2検出信号のうち少なくとも一方を伝達する導体パターン(55)を有する。
上記の構成によれば、簡素な構成により、信号を伝達できる。
また、第10の態様に係る放電検出システム(Y1)は、第8又は9の態様において、無線通信部(第2通信部224)を更に備える。無線通信部は、第1検出信号及び第2検出信号のうち少なくとも一方を無線通信により伝達する。
上記の構成によれば、無線通信部に代えて有線通信のための構成を設ける場合と比較して、配線の手間を軽減できる。
また、第11の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、第1放電検出部(d1)は、主幹回路(M1)に流れる電流を計測する電流センサ(第1電流センサ37)を含む。第1放電検出部(d1)は、電流センサ(第1電流センサ37)で計測された電流に基づいて放電現象を検出する。
上記の構成によれば、電流を計測しつつ、放電現象をも検出できる。
また、第12の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、第2放電検出部(d2)は、分岐回路(B1)に流れる電流を計測する電流センサ(第2電流センサ27)を含む。第2放電検出部(d2)は、電流センサ(第2電流センサ27)で計測された電流に基づいて放電現象を検出する。
上記の構成によれば、電流を計測しつつ、放電現象をも検出できる。
また、第13の態様に係る放電検出システム(Y1)では、第11又は12の態様において、第1放電検出部(d1)及び第2放電検出部(d2)のうち少なくとも一方の電流センサ(第1電流センサ37及び第2電流センサ27)は、熱動素子(29)を含む。熱動素子(29)には、計測対象の電流が流れる。
上記の構成によれば、熱動素子(29)を、電流計測以外の用途にも兼用可能である。
第1の態様以外の構成については、放電検出システム(Y1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第14の態様に係る開閉器システム(X1)は、第1~13の態様のいずれか1つに係る放電検出システム(Y1)と、主幹開閉器(3)と、分岐開閉器(2)と、を備える。
上記の構成によれば、放電現象の検出の信頼性が高まり、かつ、開閉器システム(X1)の調達が容易となる。
また、第15の態様に係る分電盤(1)は、第14の態様に係る開閉器システム(X1)と、キャビネット(10)と、を備える。キャビネット(10)は、開閉器システム(X1)を収容する。
上記の構成によれば、放電現象の検出の信頼性が高まり、かつ、分電盤(1)の調達が容易となる。