(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る配電システム1は、図1及び図2に示すように、切替盤2を備えるシステムである。切替盤2は、少なくとも一部の回路4(特定回路40)への電力の供給元を切り替える機能を有している。本実施形態では、切替盤2は、複数の部屋71,72,73を含む建物7のうちの一部屋の回路4(特定回路40)への電力の供給元を切り替える。以下、複数の部屋71,72,73を特に区別しない場合、複数の部屋71,72,73の各々を「部屋70」という。
本開示でいう「建物」は、建築物及び建造物を意味し、戸建住宅及び集合住宅等の住宅に限らず、例えば、店舗、オフィス、学校、福祉施設、病院及び工場等の非住宅の建物も含む。また、建物7は、複数の部屋70を含んでいる。本開示でいう「部屋」は、建物7の内で定まった人のようにあてる室を意味し、例えば、建物7が住宅であれば、リビング、ダイニング、洗面室及び寝室等の各々が部屋70を構成する。ここで、部屋70は、廊下、玄関、物置及びクローゼットのように、普段、人が生活しないスペースも含む。部屋70は、壁及びドア700(図1参照)等により他の部屋70(又は廊下等)から空間的に分離された空間であってもよいし、吹き抜け等により他の部屋70(又は廊下等)と空間的につながった空間であってもよい。本実施形態では、一例として、配電システム1が適用される建物7が、3つの部屋71,72,73を有する戸建住宅である場合について説明する。
本実施形態に係る切替盤2は、分電盤3と共に、分電盤システム10を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る分電盤システム10は、配電システム1に用いられる切替盤2と、分電盤3と、を備えている。本実施形態に係る分電盤3は、分電盤用キャビネット30と、複数の分岐ブレーカ41と、を有している。分電盤用キャビネット30は、複数の分岐ブレーカ41を収容する。分電盤3は、常用電源5に電気的に接続されており、常用電源5から供給される電力を、複数の分岐ブレーカ41に一対一に対応する複数の回路4(分岐回路)に分配する。
ここにおいて、本実施形態に係る配電システム1は、地震検出部231と、切替盤2と、を備えている。地震検出部231は、地震の発生の有無を検出する。切替盤2は、第1入力端子21及び第2入力端子22を含む複数の入力端子21,22の間で、少なくとも一部の回路4への電力の供給元を切り替える。第1入力端子21は、常用電源5に電気的に接続される。第2入力端子22は、バックアップ電源6に電気的に接続される。切替盤2は、地震検出部231での地震の発生の検出時に、少なくとも一部の回路4への電力の供給元を、第1入力端子21から第2入力端子22に切り替える。
本実施形態では、複数の入力端子21,22は、第1入力端子21及び第2入力端子22を含んでいる。また、本実施形態では、切替盤2は、3つの部屋71,72,73のうちの一部屋である部屋71の回路4への電力の供給元を、これら第1入力端子21及び第2入力端子22を含む複数の入力端子21,22間で切り替える。本開示でいう入力端子21,22等の「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部等であってもよい。
上述したように、本実施形態に係る配電システム1によれば、地震検出部231での地震の発生の検出時に、少なくとも一部の回路4への電力の供給元を、第1入力端子21から第2入力端子22に切り替える。第1入力端子21は、常用電源5に電気的に接続され、第2入力端子22は、バックアップ電源6に電気的に接続されるので、上記切替えにより、少なくとも一部の回路4への電力の供給元が、常用電源5からバックアップ電源6に切り替えられる。そのため、地震の発生時において、少なくとも一部の回路4への電力の供給元を、常用電源5からバックアップ電源6に切り替えることで、少なくとも一部の回路4で使用される電力を確保することができる。これにより、地震の発生時においても、少なくとも一部の回路4の電力は確保できるので、少なくとも一部の回路4を避難所(避難部屋)等において使用することが可能となる。したがって、本実施形態に係る配電システム1によれば、主幹ブレーカ又は特定の分岐ブレーカを遮断するだけの構成に比べて、非常時等における電力の供給をより柔軟に行うことができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る配電システム1及び分電盤システム10の詳細について図1~図6を参照して説明する。上述したように、本実施形態では一例として、配電システム1が適用される建物7が、3つの部屋71,72,73を有する戸建住宅である場合について説明する。一例として、部屋71、部屋72、部屋73はそれぞれ寝室、書斎、子供部屋であると仮定する。
さらに、本実施形態では、切替盤2は、これら複数の部屋71,72,73のうちの一部屋の回路4を対象として、電力の供給元の切替えを行う。ここでは、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4は、部屋71(寝室)の回路4である場合について説明する。以下、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4に対応する一部屋(本実施形態では部屋71)を、「特定部屋」ともいう。そして、特定部屋の回路4を「特定回路40」ともいう。本開示でいう「特定部屋の回路」とは、特定部屋(部屋71)にて使用される、又は特定部屋(部屋71)内に設置されている回路4であって、例えば、特定部屋(部屋71)に設置された負荷43,44,45を含む回路である。
すなわち、切替盤2は、複数の部屋70(部屋71,72,73)を含む建物7(本実施形態では戸建住宅)に設置される。切替盤2での電力の供給元の切替対象となる少なくとも一部の回路4は、これら複数の部屋70(部屋71,72,73)のうちの一部屋(部屋71)の回路4(特定回路40)である。
(2.1)全体構成
まずは、本実施形態に係る分電盤システム10の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態では、上述した通り、分電盤システム10は、配電システム1に用いられる切替盤2と、分電盤3と、を備えている。本実施形態に係る配電システム1は、切替盤2と、バックアップ電源6と、を備えている。すなわち、本実施形態では、バックアップ電源6は配電システム1の構成要素に含まれることとするが、バックアップ電源6が配電システム1の構成要素に含まれることは配電システム1に必須の構成ではない。
分電盤3は、分電盤用キャビネット30と、複数の分岐ブレーカ41と、を有している。また、分電盤3は、図2に示すように、分電盤用キャビネット30及び複数の分岐ブレーカ41に加えて、主幹ブレーカ31、計測ユニット32、電流計測装置33、幹線34及び主幹電流センサ35を更に有している。
複数の分岐ブレーカ41、主幹ブレーカ31、計測ユニット32、電流計測装置33、幹線34及び主幹電流センサ35は、分電盤3の構成要素の一部であって、分電盤3の内器として分電盤用キャビネット30に収容されている。
分電盤用キャビネット30は、分岐ブレーカ41、主幹ブレーカ31、計測ユニット32、電流計測装置33、幹線34及び主幹電流センサ35等を収容する。分電盤用キャビネット30は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、分電盤用キャビネット30が設置される建物7(本実施形態では戸建住宅)内の部屋70の壁に限らず、例えば、建物7内の部屋70の天井又は床であってもよい。
分電盤用キャビネット30は、例えば建物7の壁に取り付けられている。分電盤用キャビネット30は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
分電盤用キャビネット30の内部には、複数の分岐ブレーカ41、主幹ブレーカ31、計測ユニット32、電流計測装置33、幹線34及び主幹電流センサ35が収容されている。複数の分岐ブレーカ41、主幹ブレーカ31、計測ユニット32、電流計測装置33、幹線34及び主幹電流センサ35は、分電盤用キャビネット30に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。
主幹ブレーカ31は、一次側端子と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ31は、接点をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、主幹ブレーカ31は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
本実施形態の分電盤3では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ31の一次側端子には、常用電源5につながる単相三線式の引込線51が電気的に接続される。本開示でいう「常用電源」は、日常的に普通に使用する電源であって、例えば、系統電源(商用電源)の他、太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電装置又は燃料電池装置等の分散電源を含む。本実施形態では一例として、常用電源5は系統電源(商用電源)である。
また、主幹ブレーカ31の二次側端子には、幹線34が電気的に接続される。本実施形態では、配電方式として単相三線式を想定しているため、幹線34は、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーを含んでいる。各導電バーは、導電部材により長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット30の内部において、主幹ブレーカ31の二次側端子に接続されている。
複数の分岐ブレーカ41は、幹線34の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、幹線34の上側には、12個の分岐ブレーカ41が左右方向に並ぶように配置されている。また、幹線34の下側には、12個の分岐ブレーカ41が左右方向に並ぶように配置されている。
ここで、各分岐ブレーカ41は、図2に示すように、複数の回路4のうちの1つの回路4における幹線34との接続端に挿入される。言い換えれば、回路4は、分岐ブレーカ41を含んでおり、分岐ブレーカ41にて幹線34に電気的に接続されている。本実施形態では、分電盤3は、複数の回路4と同数(ここでは24個)の分岐ブレーカ41を備えるので、複数の回路4はいずれも分岐ブレーカ41を含んでいる。
本開示でいう「回路4」は、幹線34と電気的に接続され、分電盤3にて幹線34から複数に分岐された分岐回路の各々である。本実施形態では、回路4は、分岐ブレーカ41に加えて、配線42及び負荷43,44,45を含んでいる。配線42は、分岐ブレーカ41の二次側端子に電気的に接続される。負荷43,44,45は、例えば、照明器具、空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。例えば、図1の例では、負荷43は照明器具等の機器であって、負荷44はコンセント(配線器具)、負荷45は壁スイッチ(配線器具)である。これらの負荷43,44,45は、いずれも配線42を介して分岐ブレーカ41に電気的に接続される。
複数の分岐ブレーカ41の各々は、一次側端子と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。各分岐ブレーカ41は、接点をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、各分岐ブレーカ41は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する遮断部を備えている。
計測ユニット32は、複数の回路4の電流と電力との少なくとも一方を計測する計測機能、及び分電盤用キャビネット30の外部に配置された機器と通信する通信機能を有している。
より詳しくは、計測ユニット32は、主幹ブレーカ31に流れる電流を計測する主幹電流センサ35、及び電流計測装置33と電気的に接続されている。ここに、主幹電流センサ35は、例えば、カレントトランス(CT)からなる。そして、計測ユニット32は、電流計測装置33及び主幹電流センサ35が計測した電流の値に基づいて電力値を演算する機能(計測機能)を有している。電流計測装置33は、複数の回路4の各々に流れる電流を計測するので、計測ユニット32では、電流計測装置33が計測した電流値に基づいて、各回路4の電流と電力との少なくとも一方を計測する。
また、計測ユニット32は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行うように構成されたコントローラとの間で通信する機能(通信機能)を有している。コントローラは、分電盤用キャビネット30の外部に配置された機器である。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
計測ユニット32とコントローラとの間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。計測ユニット32とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、計測ユニット32とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
本実施形態の分電盤3では、計測ユニット32は、電流計測装置33が計測した複数の回路4の各々に流れる電流値を、電流計測装置33から受け取る。さらに、計測ユニット32は、主幹電流センサ35が計測した電流値を主幹電流センサ35から受け取る。計測ユニット32は、電流計測装置33、及び主幹電流センサ35が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。計測ユニット32は、収集した瞬時電力のデータを所定時間にわたって積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、計測ユニット32と通信するコントローラは、複数の回路4の各々での瞬時電力や電力量に基づいてHEMS対応機器を制御又は監視することができる。
また、計測ユニット32は、太陽光発電装置、蓄電装置、及び電気自動車に電気的に接続される電力変換装置のうちの少なくとも1つとの間で通信する機能(通信機能)を有している。電力変換装置は、分電盤3から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。
また、計測ユニット32は、ガスメータと水道メータとの少なくとも一方との通信機能を有している。計測ユニット32と太陽光発電装置、蓄電装置、及び電力変換装置との間の通信方式は、例えば、RS-485等の通信規格に準拠した有線通信である。計測ユニット32とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。計測ユニット32は、例えば、貯湯型の給湯装置等と通信可能であってもよい。
電流計測装置33は、複数の回路4に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置33は、図2に示すように、複数の電流センサ331を有している。複数の電流センサ331は、例えば一枚の基板に形成されている。
電流計測装置33の基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、幹線34(導電バー)から延びて分岐ブレーカ41に接続される端子がそれぞれ挿入される。電流計測装置33の基板は、複数の電流センサ331と計測ユニット32との間の電気的な接続経路の少なくとも一部に用いられる。
電流センサ331は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、内側を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流センサ331は、電流計測装置33の基板の孔の周りに形成されている。ここでは、複数の電流センサは、複数の回路4の電流をそれぞれ検出する。これにより、本実施形態では、電流計測装置33は、複数の回路4の各々に流れる電流を計測する。
電流計測装置33は、複数の電流センサ331の出力に関して信号処理を実行する。さらに、電流計測装置33は、計測ユニット32と通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。すなわち、電流計測装置33と計測ユニット32とは、互いに信号を授受することができる。そのため、計測ユニット32は、電流計測装置33が計測した複数の回路4の各々に流れる電流値を、電流計測装置33から受け取ることが可能になる。
切替盤2は、図2に示すように、切替盤用キャビネット20と、複数の入力端子21,22と、を有している。また、切替盤2は、切替盤用キャビネット20及び複数の入力端子21,22に加えて、感震ユニット23及び切替器24を更に有している。複数の入力端子21,22は、第1入力端子21及び第2入力端子22を含んでいる。ここで、第1入力端子21、第2入力端子22のそれぞれを、単に入力端子21、入力端子22ということもある。
複数の入力端子21,22、感震ユニット23及び切替器24は、切替盤2の構成要素の一部であって、切替盤2の内器として切替盤用キャビネット20に収容されている。本実施形態では、複数の入力端子21,22は切替盤2の構成要素に含まれることとするが、複数の入力端子21,22が切替盤2の構成要素に含まれることは切替盤2に必須の構成ではない。
切替盤用キャビネット20は、複数の入力端子21,22、感震ユニット23及び切替器24等を収容する。切替盤用キャビネット20は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。造営材は、切替盤用キャビネット20が設置される建物7(本実施形態では戸建住宅)内の部屋70の壁に限らず、例えば、建物7内の部屋70の天井又は床であってもよい。
切替盤用キャビネット20は、建物7における複数の部屋71,72,73のうち、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4に対応する一部屋の内部、又はこの一部屋に隣接する空間に配置される。すなわち、本実施形態では、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4に対応する一部屋、つまり「特定部屋」は部屋71(寝室)であるので、切替盤2は、特定部屋(部屋71)の内部、又は特定部屋(部屋71)に隣接する空間に配置される。本開示でいう特定部屋(部屋71)に「隣接する空間」は、例えば、部屋71に通じる廊下、階段又は玄関等の空間を意味する。ここで、切替盤用キャビネット20は、例えば平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられている。
本実施形態では、一例として、切替盤用キャビネット20は、特定部屋である部屋71内の壁であって、ドア700の上方となる位置に設置されている。ドア700は、図1の例では開き戸であるが、開き戸に限らず引き戸であってもよい。このように、切替盤用キャビネット20は、部屋71の内部に配置される場合には、出入口(ドア700)の近傍に設置されることが好ましい。すなわち、部屋71の出入口の近傍には、一般的に本棚、机等の家具が設置されることが少ないため、このような配置により、切替盤2が家具の影に隠れることを回避しやすい。
ここで、切替盤2は、複数の部屋70のうちの一部屋(部屋71)の回路4(特定回路40)への電力の供給元を、複数の入力端子21,22の間で切り替える機能を有している。特に、本実施形態では、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子21(第1入力端子)は、常用電源5に電気的に接続されている。また、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子22(第2入力端子)は、バックアップ電源6に電気的に接続されている。そのため、切替盤2は、一部屋(部屋71)の回路4(特定回路40)への電力の供給元を、常用電源5とバックアップ電源6との間で切り替えることが可能となる。例えば、地震の発生時のような非常時において、一部屋(部屋71)の回路4(特定回路40)への電力の供給元を、常用電源5からバックアップ電源6に切り替えることで、一部屋で使用される電力を確保することができる。
切替盤2を含む配電システム1の構成について詳しくは、「(2.2)配電システムの構成」の欄で説明する。
(2.2)配電システムの構成
次に、本実施形態に係る配電システム1のより詳細な構成について、図2~図4を参照して説明する。
配電システム1に含まれる切替盤2は、上述したように、切替盤用キャビネット20、複数の入力端子21,22、感震ユニット23及び切替器24を有している。また、本実施形態では、切替盤2は、切替盤用キャビネット20、複数の入力端子21,22、感震ユニット23及び切替器24に加えて、出力端子25、保安灯26及び収容スペースSp1(図3A参照)を更に有している。
切替盤用キャビネット20の内部には、複数の入力端子21,22、感震ユニット23及び切替器24に加えて、出力端子25及び保安灯26が収容されている。複数の入力端子21,22、感震ユニット23、切替器24、出力端子25及び保安灯26は、切替盤用キャビネット20に直接的に又は取付用の金具等を介して取り付けられている。
切替盤用キャビネット20は、図3A及び図3Bに示すように、前面が開口した箱状のボディ201(図3A参照)と、ボディ201の前面を覆うカバー202と、を備えている。カバー202は、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ201に取り付けられる。閉位置はボディ201の前面を覆う位置であり、開位置はボディ201の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。ここで、カバー202が開位置にある状態では、カバー202はボディ201から取り外されてもよい。図3Aはカバー202が開位置にある状態を示し、図3Bはカバー202が閉位置にある状態を示している。
本実施形態では、切替盤2は、複数の入力端子21,22として、2つの入力端子21,22(第1入力端子及び第2入力端子)のみを有している。さらに、本実施形態では、上述したように、複数の入力端子21,22のうちの1つの入力端子21(第1入力端子)には、常用電源5が電気的に接続され、別の1つの入力端子22(第2入力端子)には、バックアップ電源6が電気的に接続されている。
バックアップ電源6は、少なくとも常用電源5の停電時においても回路4に対して電力を供給可能な電源装置である。具体的には、バックアップ電源6は、常用電源5と同様の交流電力、つまり、周波数が60Hz(又は50Hz)で電圧(実効値)が100V(又は200V)の交流電力を出力する。本実施形態では、バックアップ電源6は、二次電池を有しており、二次電池の放電を行うことにより電力を出力する。
ここにおいて、複数の入力端子21,22のうちの1つの入力端子21(第1入力端子)は、ねじ式端子にて構成されており、別の1つの入力端子22(第2入力端子)は、コンセント型のインレットにて構成されている。すなわち、複数の入力端子21,22のうち常用電源5に接続される入力端子21は、電線等の導電部材と、ねじにて電気的かつ機械的に結合される、ねじ式端子にて実現されている。一方、複数の入力端子21,22のうちバックアップ電源6に接続される入力端子22は、差込プラグが差し込まれることにより差込プラグと電気的かつ機械的に結合される、差込式のインレットにて実現されている。つまり、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子22は、差込プラグを接続可能なインレットである。本開示でいう「差込プラグを接続可能なインレット」は、配線器具としてのコンセント(アウトレット)と同様に、差込プラグの栓刃(又はピン)を差込可能な差込口と、差込口内に配置された刃受ばねと、を有する構造である。このような構造により、インレット(入力端子22)は、差込プラグを引抜可能な状態で差し込むことにより差込プラグとの電気的かつ機械的な結合を実現する。
ここで、切替盤2は、図2に示すように、送り配線36によって、分電盤3と電気的に接続されている。つまり、送り配線36は、分電盤3と切替盤2とを電気的に接続している。送り配線36における切替盤2側の端部は、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子21(第1入力端子)に接続されている。一方、送り配線36における分電盤3側の端部は、分電盤3における複数の分岐ブレーカ41のうちの少なくとも1つの分岐ブレーカ41に接続されている。これにより、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子21(第1入力端子)は、切替盤2とは別の分電盤3における複数の分岐ブレーカ41のうちの少なくとも1つの分岐ブレーカ41に電気的に接続される。本実施形態では、切替盤2に設けられた入力端子21が、送り配線36によって、分電盤3に設けられた1つの分岐ブレーカ41に電気的に接続されている。
すなわち、本実施形態に係る切替盤2は、分電盤3にて分岐された複数の回路4のうちの1つの回路4に挿入されている。そして、切替盤2の入力端子21は、分電盤3の1つの分岐ブレーカ41及び主幹ブレーカ31を介して常用電源5に電気的に接続されることになる。したがって、常用電源5から入力端子21への電力の供給は、分電盤3を介して行われるのであって、分電盤3の主幹ブレーカ31又は分岐ブレーカ41が遮断されることにより、常用電源5から入力端子21への電力の供給は停止する。
一方、バックアップ電源6は、バックアップ電源6のケーブル61(図1参照)にて、複数の入力端子21,22のうちの少なくとも1つの入力端子22(第2入力端子)に直接的に接続される。つまり、バックアップ電源6はケーブル61を有している。ケーブル61の先端部は差込プラグであって、この差込プラグをコンセント型のインレットである入力端子22に差し込むことにより、バックアップ電源6が入力端子22に電気的に接続される。
これにより、入力端子22に接続するバックアップ電源6については、ユーザが、任意に選択することができる。例えば、バックアップ電源6の容量及び大きさ等についても、ユーザが任意に選択することができる。また、先行配線によって、建物7に切替盤2さえ設置されていれば、バックアップ電源6を後から必要に応じて接続する、という使い方も可能である。さらには、バックアップ電源6の交換も容易であるので、バックアップ電源6に劣化等が生じた際には、ユーザが、容易にバックアップ電源6を交換できる。
ここにおいて、図3Aに示すように、複数の入力端子21,22のうち少なくとも1つの入力端子21,22であるインレット(入力端子22)は、切替盤用キャビネット20に収容されている。しかも、本実施形態では、図3Bに示すように、カバー202が閉位置にある状態でも、カバー202の孔から入力端子22が露出する。これにより、本実施形態に係る切替盤2では、カバー202が閉位置にあっても、バックアップ電源6を入力端子22に電気的に接続することが可能である。
感震ユニット23は、図2に示すように、地震検出部231を有している。感震ユニット23は、切替器24と通信可能に構成されている。感震ユニット23は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、切替器24との間で信号を授受する。本実施形態では、感震ユニット23と切替器24との間の通信方式は、有線通信であって、例えば、RS-485、又は有線LAN等の通信規格に準拠した有線通信を適宜採用可能である。
地震検出部231は、地震の発生の有無を検出する。地震検出部231は、例えば、加速度センサ及び角速度センサ等のセンサ232(図3A参照)を含み、地震等により、切替盤2が設置されている建物7に生じた揺れ(振動)を検知する。つまり、地震検出部231は、振動に応じた電気信号を出力するセンサ232を有し、センサ232の出力する電気信号から、センサ232に作用する揺れ(振動)の大きさ(大きさ)を検出する。そして、地震検出部231で、ある閾値以上の震度の揺れを検知した場合には、感震ユニット23は、地震の発生を表す地震発生信号を切替器24に送信する。
切替器24は、図4に示すように、リレー241と、駆動回路242と、操作部243と、表示部244と、を有している。切替器24は、これらリレー241、駆動回路242、操作部243及び表示部244を収容する、筐体を更に有している。また、切替器24は、複数の入力端子21,22、感震ユニット23、出力端子25及び保安灯26を、電気的に接続するための端子を有している。
リレー241は、切替接点(C接点)を有するメカニカルリレーである。リレー241は、出力端子25の接続先を、複数の入力端子21,22の間で択一的に選択する。本実施形態では、入力端子21が出力端子25に電気的に接続される状態と、入力端子22が出力端子25に電気的に接続される状態とを、リレー241が切り替える。つまり、「平常モード」においては、リレー241は、常用電源5に接続された入力端子21を、出力端子25に電気的に接続する。「非常モード」においては、リレー241は、バックアップ電源6に接続された入力端子22を、出力端子25に電気的に接続する。
駆動回路242は、リレー241を駆動するための回路である。駆動回路242は、感震ユニット23からの信号(地震発生信号)を受けて、リレー241を駆動するように構成されている。具体的には、駆動回路242は、感震ユニット23から地震発生信号を受けると、出力端子25の接続先を入力端子21(第1入力端子)から入力端子22(第2入力端子)に切り替えるように、リレー241を制御する。さらに、駆動回路242は、操作部243からの信号(復帰信号)を受けて、リレー241を駆動するように構成されている。具体的には、駆動回路242は、操作部243から復帰信号を受けると、出力端子25の接続先を入力端子22(第2入力端子)から入力端子21(第1入力端子)に切り替えるように、リレー241を制御する。
操作部243は、リレー241を手動で操作するための部材である。操作部243は、図3Aに示すように、切替器24の筐体の前面に設けられている。操作部243は、入力端子22が出力端子25に電気的に接続されている状態において、ユーザによる操作を受け付けると、駆動回路242に対して復帰信号を出力する。そのため、ユーザが操作部243を操作することで、出力端子25の接続先を入力端子22(第2入力端子)から入力端子21(第1入力端子)に切り替えることが可能である。
表示部244は、入力端子21が出力端子25に電気的に接続される状態(平常モード)と、入力端子22が出力端子25に電気的に接続される状態(非常モード)と、のいずれにあるかを表示する。すなわち、表示部244は、リレー241の状態を表示する。具体的には、表示部244は、色、文字、数字、記号又は点灯状態(点灯、消灯若しくは点滅等)にて、平常モード/非常モードを区別して表示する。表示部244は、一例として、電気泳動方式の電子ペーパ等の自己保持型の表示素子であることが好ましい。
しかも、本実施形態では、図3Bに示すように、カバー202が閉位置にある状態でも、カバー202の孔から表示部244が露出する。これにより、本実施形態に係る切替盤2では、カバー202が閉位置にあっても、表示部244が視認可能であって、結果的に、ユーザが、平常モードか非常モードかを容易に区別可能となる。
出力端子25は、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4に電気的に接続されている。すなわち、「特定部屋」である部屋71(寝室)の回路4、つまり特定回路40が、出力端子25に電気的に接続される。本実施形態では、出力端子25は、入力端子21(第1入力端子)と同様に、ねじ式端子にて構成されている。つまり、出力端子25は、電線等の導電部材と、ねじにて電気的かつ機械的に結合される、ねじ式端子にて実現されている。
ここで、出力端子25には、特定回路40に含まれる配線42(図2参照)が直接的に接続される。つまり、特定回路40の配線42は、特定回路40に含まれる負荷43,44,45と切替盤2の出力端子25とを電気的に接続している。
保安灯26は、周囲を照らす照明として機能する。保安灯26は、特に、部屋71の床面を照らすことが好ましい。これにより、夜間等においてユーザが足元を確認しやすくなる。本実施形態では、切替盤2が特定部屋である部屋71のドア700の近傍に配置されているので、保安灯26は、部屋71の出入口を示す誘導灯としても機能する。本実施形態では、図3Bに示すように、カバー202が閉位置にある状態でも、カバー202の孔から保安灯26が露出する。これにより、本実施形態に係る切替盤2では、カバー202が閉位置にあっても、保安灯26からの光が部屋71内に届きやすくなる。
保安灯26は、常時点灯してもよいし、切替器24が非常モードにあるときだけ点灯してもよい。保安灯26は、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro Luminescence)素子等を光源として有している。保安灯26は、切替器24からの給電により充電可能な二次電池、又はその他の電池を有していてもよい。この場合、保安灯26は、切替盤用キャビネット20から取り外し可能であってもよい。これにより、保安灯26は、携帯電灯として利用可能である。
収容スペースSp1は、切替盤用キャビネット20に設けられた、防災用品K1,K2を収容するためのスペースである。言い換えれば、切替盤2は、防災用品K1,K2を収容する収容スペースSp1を有している。本開示でいう「防災用品」は、主として災害時に使用する緊急用キット(Emergency kit)を意味し、一例として、懐中電灯、携帯ラジオ、電池、飲料水及び非常食等を含む。図3Aでは、懐中電灯からなる防災用品K1、携帯ラジオからなる防災用品K2を想像線(2点鎖線)で示している。これらの防災用品K1,K2は、例えば、フック又はマグネット等により、取外し可能な状態で切替盤用キャビネット20に保持されている。そのため、地震等の災害の発生時においては、切替盤2に収容されている防災用品K1,K2を使用可能となる。
上述した構成により、切替盤2は、一部屋(特定部屋)の回路4(特定回路40)への電力の供給元を、切替条件に応じて、複数の入力端子21,22の間で自動的に切り替える。本実施形態では、切替条件は、地震検出部231にて地震の発生が検出されること、である。要するに、本実施形態では、地震検出部231にて地震の発生を検出したときに、感震ユニット23が切替器24に送信する地震発生信号を受けて、切替器24は、出力端子25の接続先を入力端子21から入力端子22に切り替える。これにより、特定部屋(部屋71)の回路4(特定回路40)への電力の供給元は、入力端子21に接続されている常用電源5から、入力端子22に接続されているバックアップ電源6に切り替わる。つまり、切替盤2は、地震検出部231にて地震の発生が検出されることを切替条件として、切替条件を満足すると、特定回路40への電力の供給元を、入力端子21から入力端子22に自動的に切り替える。
また、本実施形態では、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる一部屋の回路4は照明器具を含んでいる。つまり、「特定部屋」である部屋71(寝室)の回路4、つまり特定回路40は、照明器具からなる負荷43を含んでいる。照明器具からなる負荷43は、一般的に、コンセント(アウトレット)を介さずに、分電盤3に接続されることが多い。図1の例でも、照明器具からなる負荷43は、コンセントからなる負荷44を介さず、壁スイッチからなる負荷45を介して切替盤2又は分電盤3に接続されている。そのため、この種の負荷43(照明器具)には、分電盤3以外から電力を供給することが困難であり、例えば、コンセント(アウトレット)出力を持つ発電機からの電力を供給することも困難である。本実施形態では、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる特定回路40が、照明器具(負荷43)を含むので、この種の負荷43(照明器具)に対しても、切替盤2を介して、バックアップ電源6から電力を供給することが可能になる。
本実施形態に係る配電システム1によれば、複数の部屋70のうちの一部屋の回路4への電力の供給元を、複数の入力端子21,22の間で切替可能である。すなわち、切替盤2は、一部屋の回路4への電力の供給元を、常用電源5とバックアップ電源6との間で切り替えることが可能となる。そのため、例えば、地震、台風又は土砂災害等の非常時において、一部屋の回路4への電力の供給元を、常用電源5からバックアップ電源6に切り替えることで、一部屋で使用される電力を確保することができる。これにより、地震、台風又は土砂災害等の非常時においても、一部屋分の電力は確保できるので、この一部屋を避難所(避難部屋)として利用することが可能となる。したがって、本実施形態に係る配電システム1によれば、主幹ブレーカ31又は特定の分岐ブレーカ41を遮断するだけの構成に比べて、非常時等における電力の供給をより柔軟に行うことができる。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における切替盤2及び分電盤3は、例えば、計測ユニット32等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における切替盤2及び分電盤3としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、配電システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは配電システム1に必須の構成ではなく、配電システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、実施形態1において切替盤2に設けられている感震ユニット23は、切替盤2に外付けされていてもよい。つまり、地震検出部231は、切替盤2に内蔵される構成に限らず、切替盤2と別に設けられていてもよい。さらに、配電システム1の少なくとも一部の機能は、分電盤3に設けられていてもよく、例えば、感震ユニット23は、分電盤3に設けられていてもよい。
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている配電システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、感震ユニット23と切替器24とに分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
図5は、実施形態1の第1変形例に係る切替盤2Aの概略図である。図5の例では、切替盤2Aは、バックアップ電源6の充電用の充電端子27を有している。つまり、切替盤用キャビネット20の内部には、複数の入力端子21,22等に加えて、充電端子27が収容されている。第1変形例においては、バックアップ電源6は二次電池を有しており、この二次電池の充電が充電端子27から供給される電力により行われる。充電端子27からは、交流電力が出力されてもよいし、直流電力が出力されてもよい。充電端子27は、例えば、入力端子22(第2入力端子)と同様に、差込プラグが差し込まれることにより差込プラグと電気的かつ機械的に結合される、差込式のアウトレットにて実現されている。ここにおいて、充電端子27は、入力端子22と兼用であってもよい。すなわち、1つのコンセントが、入力端子22(インレット)、充電端子27(アウトレット)として兼用されてもよい。
充電端子27は、入力端子21(第1入力端子)に常用電源5からの電力が供給されているときに、常用電源5からの電力をバックアップ電源6に出力することで、バックアップ電源6(の二次電池)を充電する。バックアップ電源6は、二次電池の残容量が閾値未満であれば二次電池を充電し、二次電池が満充電になれば充電を停止する。これにより、バックアップ電源6は、満充電の状態が維持される。
また、第1変形例では、バックアップ電源6は、充電端子27と共に、切替盤用キャビネット20の内部に収容されている。すなわち、切替盤用キャビネット20の内部には、バックアップ電源6を収容するためのスペースが確保されている。これにより、バックアップ電源6が切替盤2Aの入力端子22及び充電端子27に接続された状態を維持しやすくなる。
図6は、実施形態1の第2変形例に係る切替盤2Bの概略図である。図6の例では、切替盤2Bには、複数の部屋71,72,73にそれぞれ設置されたコンセント(配線器具)からなる特定負荷44Aが配線42を介して電気的に接続されている。つまり、本変形例においては、複数の部屋71,72,73にそれぞれ設置された特定負荷44Aが、切替盤2Bでの電力の供給元の切替対象となる。
これら複数(ここでは3つ)の特定負荷44Aは、切替盤2Bの出力端子25(図4参照)に電気的に接続されている。すなわち、第2変形例においては、切替盤2Bでの電力の供給元の切替対象となる少なくとも一部の回路4は、一部屋の回路4ではなく、複数の部屋71,72,73に跨って配置される回路4である。
これにより、地震の発生時には、複数の部屋71,72,73にそれぞれ設置された特定負荷44Aへの電力の供給元は、入力端子21に接続されている常用電源5から、入力端子22に接続されているバックアップ電源6に切り替わる。したがって、地震の発生時には、複数の部屋71,72,73にそれぞれ設置された特定負荷44Aを非常用電源の供給元として利用することが可能である。
また、感震ユニット23と切替器24との通信は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)であってもよい。または、感震ユニット23と切替器24との通信は、非接触通信であってもよい。本開示でいう「非接触通信」には、電波を通信媒体として用いる無線通信、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。例えば、感震ユニット23と切替器24との通信は、920MHz帯の特定小電力無線局、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、無線通信であってもよい。
また、切替盤2にて電力の供給元として使用される入力端子21,22は、第1入力端子21及び第2入力端子22の2つに限らず、3つ以上の入力端子であってもよい。この場合、切替盤2は、3つ以上の入力端子の間で、特定回路40への電力の供給元を切り替える。
また、バックアップ電源6は、二次電池に代えて又は加えて、例えば、内燃機関の出力、風力若しくは人力等を用いた発電機、燃料電池装置又は太陽光発電装置等を含んでいてもよい。この種のバックアップ電源6であれば、二次電池の充電は必須でなく、停電等の非常事態が長期化する場合にも、バックアップ電源6に蓄積されている電気エネルギが枯渇しにくい。
また、地震検出部231は、地震の発生の有無を検出する機能を有していればよく、加速度センサ及び角速度センサ等のセンサ232を含まなくてもよい。例えば、地震検出部231は、地震検出部231とは別に設けられた加速度センサ及び角速度センサ等のセンサからの電気信号を受けて、地震の発生の有無を検出してもよい。また、地震検出部231は、緊急地震速報又はスマートフォン等の端末からのプッシュ通知からなる「地震通知」を受信することをもって、地震の発生の有無を検出してもよい。つまり、地震検出部231は、地震通知を受信したことをもって、地震が発生したと判断し、この場合に、感震ユニット23は、地震発生信号を切替器24に送信してもよい。また、地震検出部231は、内蔵のセンサ232で検知される揺れ(振動)が、ある閾値以上の震度に達し、かつ地震通知を受信したことをもって、地震が発生したと判断してもよい。
また、分電盤3は少なくとも分岐ブレーカ41を分電盤用キャビネット30に収容していればよく、主幹ブレーカ31、計測ユニット32及び電流計測装置33の少なくとも1つは適宜省略可能である。
また、切替器24がメカニカルリレー(リレー241)のように機械式の接点を含むことは、切替盤2に必須の構成ではなく、切替器24は、出力端子25の接続先を、複数の入力端子21,22の間で択一的に選択すればよい。例えば、切替器24は、メカニカルリレーに代えて、トランジスタ等の半導体スイッチを有し、半導体スイッチにて、出力端子25の接続先を、複数の入力端子21,22間で切り替えてもよい。
また、表示部244は、自己保持型の表示素子に限らず、例えば、LED又は有機EL素子等であってもよい。
また、電流センサ331はロゴスキコイルに限らず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサであってもよい。
また、分電盤3は、分電盤用キャビネット30と複数の分岐ブレーカ41とを有していればよく、分電盤3が、計測ユニット32、電流計測装置33及び主幹電流センサ35を有することは、配電システム1及び分電盤システム10に必須の構成ではない。すなわち、分電盤3において、計測ユニット32、電流計測装置33及び主幹電流センサ35は適宜省略されていてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る配電システム1は、図7に示すように、個別分電盤8を更に備える点で実施形態1に係る配電システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
個別分電盤8は、切替盤2による電力の供給元の切替えの対象となる回路4に対応する一部屋(本実施形態では部屋71)用に設けられた小規模分電盤である。個別分電盤8は、個別キャビネット80と、複数の開閉器81と、を有している。個別キャビネット80は、複数の開閉器81を収容する。個別分電盤8は、切替盤2の出力端子25(図4参照)に電気的に接続されており、切替盤2から供給される電力を、複数の開閉器81に一対一に対応する複数の負荷43に分配する。つまり、各開閉器81には、配線42を介して負荷43が接続されている。個別分電盤8に接続される複数の負荷43は、全て、特定部屋(部屋71)の回路4(すなわち特定回路40A)に含まれている。
ここで、各開閉器81は、回路判定機能と、電力調整機能と、を有している。回路判定機能は、開閉器81につながっている特定回路40A(配線42及び負荷43を含む)の状態を判定する機能である。電力調整機能は、回路判定機能の判定結果に基づいて、開閉器81につながっている特定回路40Aへ供給する電力を調整する機能である。本開示でいう「特定回路40Aの状態」は、特定回路40Aに含まれる配線42及び負荷43の構成(接続関係)等の静的な状態と、配線42及び負荷43の異常、及び負荷43の動作状態(オン/オフ)等の動的な状態と、を含む。静的な状態の一例として、開閉器81に接続されている負荷43の種類及び台数等がある。動的な状態の一例として、配線42における絶縁劣化又は半断線等の異常の有無等がある。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味し、具体的には、配線42がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。
特に、本実施形態では、開閉器81は、回路判定機能にて、地震の発生時に即時遮断することが好ましい状態にある配線42及び負荷43を抽出する。より具体的には、開閉器81は、特定回路40Aの状態として、少なくとも地震の発生時に火災につながり得るか否かを判定する。例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等の加熱機器にあっては、地震の発生時に、加熱機器の転倒、又は加熱機器によって加熱されている物体の転倒が生じることで、火災につながる可能性がある。そのため、例えば、このような加熱機器が負荷43として接続された開閉器81は、「火災につながり得る」状態にあると判定する。一方、このような加熱機器が負荷43として接続されていない開閉器81は、「火災につながり得る」状態にないと判定する。
さらに、例えば、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線42に通電し続けていると、地震の発生時に、配線42で短絡が生じることで、火災につながる可能性がある。そのため、例えば、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線42が接続された開閉器81は、「火災につながり得る」状態にあると判定する。一方、絶縁劣化又は半断線等の異常が生じた配線42が接続されていない開閉器81は、「火災につながり得る」状態にないと判定する。
ここで、開閉器81は、特定回路40Aに供給される電力の大きさに基づいて特定回路40Aの状態を判定する。つまり、複数の開閉器81は、各々に接続された配線42及び負荷43に供給される電力の大きさに基づいて、個々の配線42及び負荷43の状態を判定することが可能である。例えば、開閉器81は、電力の大きさの変化から、負荷43の種類及び台数等を判定することが可能である。また、アーク短絡保護遮断器(AFCI:Arc Fault Circuit Interrupter)と同様の技術により、配線42中の特定のアークを検出することができる。すなわち、アーク短絡保護遮断器では、電子回路を使用して、配線42上のアーク故障に特有の電流特性及び電圧特性を認識し、配線42上のアーク故障を検出できる。これと同様の原理により、開閉器81は、配線42の異常の有無を判定することが可能である。
そして、開閉器81は、切替盤2にて特定回路40Aへの電力の供給元が切り替わった際に、電力調整機能により、上述した特定回路40Aの状態の判定結果に基づいて、特定回路40A(配線42及び負荷43を含む)へ供給する電力の調整を行う。本開示でいう「電力の調整」は、特定回路40Aに供給される電力を調整することを意味し、特定回路40Aに供給される電力を大きく又は小さくすることを含む。そのため、特定回路40Aに供給される電力をゼロ(0)にすること、つまり特定回路40Aと切替盤2との間を電気的に遮断することも、「電力の調整」に含まれる。
本実施形態では、切替盤2において、入力端子21に接続されている常用電源5から、入力端子22に接続されているバックアップ電源6に切り替わった際に、開閉器81が、電力調整機能により電力の調整を行う。切替盤2にて特定回路40Aへの電力の供給元が切り替わったことは、例えば、感震ユニット23からの地震発生信号を開閉器81が受けることにより、開閉器81に伝達される。具体的には、複数の開閉器81は、感震ユニット23からの地震発生信号を受信すると、各々に接続されている配線42及び負荷43の状態を判定し、地震の発生時に即時遮断することが好ましい状態にあれば、即時遮断する。一例として、上述したように加熱機器が負荷43等、地震の発生時に火災につながり得る状態にある負荷43が接続されている開閉器81は、感震ユニット23からの地震発生信号を受信すると、配線42及び負荷43を切替盤2から遮断する。
したがって、地震の発生時において、例えば、電気ストーブ及びIHクッキングヒータ等、地震の発生時に即時遮断することが好ましい負荷43については、切替盤2からの通電を即時遮断することが可能である。
また、回路判定機能は、開閉器81とは別に設けられていてもよい。一例として、回路判定機能は、個別キャビネット80内に収容される、複数の開閉器81とは別の装置に実装されていてもよい。さらに、配線42の異常の有無を判定する機能が開閉器81に設けられ、負荷43に熱源が含まれているか否かを判定する機能がコンセント等の配線器具に設けられてもよい。あるいは、配線42の異常の有無を判定する機能を有する開閉器81と、負荷43に熱源が含まれているか否かを判定する機能を有する開閉器81と、が個別の開閉器81として提供されてもよい。さらに、配電システム1の少なくとも一部の機能、例えば、回路判定機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る配電システム1は、図8に示すように、切替盤2Cでの電力の供給元の切替対象となる回路4が、第1入力端子21に電気的に接続される複数の回路4のうちの一部の回路4のみである点で、実施形態2に係る配電システム1と相違する。以下、実施形態2と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、切替盤2Cによる電力の供給元の切替えの対象となる回路4に対応する一部屋(本実施形態では部屋71)用に設けられた小規模分電盤として、2つの個別分電盤8A,8Bが設けられている。各個別分電盤8A,8Bの構成は、実施形態2で説明した個別分電盤8と同様である。つまり、個別分電盤8Aは、個別キャビネット80Aと、複数の開閉器81と、を有し、個別分電盤8Bは、個別キャビネット80Bと、複数の開閉器81と、を有している。
ここで、個別分電盤8Aは、実施形態2の個別分電盤8と同様に、切替盤2Cの出力端子25(図4参照)に電気的に接続されており、切替盤2Cから供給される電力を、複数の開閉器81に一対一に対応する複数の負荷43に分配する。これに対して、個別分電盤8Bは、切替盤2Cの入力端子21(第1入力端子)に直接的に接続されており、入力端子21に供給される常用電源5(図4参照)からの電力を、複数の開閉器81に一対一に対応する複数の負荷43に分配する。すなわち、個別分電盤8Aは、切替器24を介して入力端子21(又は入力端子22)に接続されるのに対し、個別分電盤8Bは、切替器24を介さずに入力端子21に直接的に接続される。
上記構成によれば、切替盤2Cでの電力の供給元の切替対象となる回路4は、入力端子21に電気的に接続される複数の回路4のうちの一部の回路4のみである。すなわち、入力端子21には、個別分電盤8Aを介して特定回路40Aが電気的に接続され、かつ個別分電盤8Bを介して特定回路40Bが電気的に接続されている。これら2つの特定回路40A,40Bのうち、切替盤2Cでの電力の供給元の切替対象となる回路4は、切替器24を介して入力端子21に接続されている特定回路40Aのみである。言い換えれば、特定回路40Bは、常に入力端子21に接続されているのであって、切替盤2Cでの電力の供給元の切替対象とはならない。
このように、本実施形態に係る配電システム1においては、切替盤2Cに接続される複数の回路4(特定回路40A,40B)の全てではなく、一部の回路4についてのみ、切替盤2Cでの電力の供給元の切替えが行われる。そのため、例えば、照明器具のように地震の発生時において必要な負荷43のみ、個別分電盤8Aに接続しておくことで、個別分電盤8Bに接続された負荷43によるバックアップ電源6の電力の消費を抑えることができる。これにより、停電等の非常事態が長期化する場合にも、バックアップ電源6に蓄積されている電気エネルギが枯渇しにくい。
また、実施形態3のように、切替盤2Cでの電力の供給元の切替対象となる回路4が、第1入力端子21に電気的に接続される複数の回路4のうちの一部の回路4のみである構成は、個別分電盤8A,8Bが無くても採用可能である。すなわち、個別分電盤8A,8Bが無くても、複数の回路4のうちの一部の回路4のみが、切替器24を介して入力端子21(又は入力端子22)に接続され、残りの回路4は、切替器24を介さずに入力端子21に直接的に接続されていてもよい。
実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る配電システム(1)は、地震検出部(231)と、切替盤(2,2A,2B,2C)と、を備える。地震検出部(231)は、地震の発生の有無を検出する。切替盤(2,2A,2B,2C)は、第1入力端子(21)及び第2入力端子(22)を含む複数の入力端子(21,22)の間で、少なくとも一部の回路(4)への電力の供給元を切り替える。第1入力端子(21)は、常用電源(5)に電気的に接続される。第2入力端子(22)は、バックアップ電源(6)に電気的に接続される。切替盤(2,2A,2B,2C)は、地震検出部(231)での地震の発生の検出時に、少なくとも一部の回路(4)への電力の供給元を、第1入力端子(21)から第2入力端子(22)に切り替える。
この態様によれば、地震の発生時において、少なくとも一部の回路(4)への電力の供給元を、常用電源(5)からバックアップ電源(6)に切り替えることで、少なくとも一部の回路(4)で使用される電力を確保することができる。したがって、配電システム(1)によれば、主幹ブレーカ(31)又は特定の分岐ブレーカ(41)を遮断するだけの構成に比べて、非常時等における電力の供給をより柔軟に行うことができる。
第2の態様に係る配電システム(1)では、第1の態様において、地震検出部(231)は、振動に応じた電気信号を出力するセンサ(232)を有する。
この態様によれば、地震検出部(231)は、緊急地震速報等の外部からの信号を受信できない環境であっても、地震の発生の検出が可能である。
第3の態様に係る配電システム(1)では、第1又は2の態様において、切替盤(2,2A,2B,2C)は、複数の部屋(70)を含む建物(7)に設置される。少なくとも一部の回路(4)は、複数の部屋(70)のうちの一部屋(70)の回路(4)である。
この態様によれば、地震の発生時において、一部屋(70)の回路(4)への電力の供給元を、常用電源(5)からバックアップ電源(6)に切り替えることで、一部屋(70)で使用される電力を確保することができる。
第4の態様に係る配電システム(1)では、第3の態様において、切替盤(2,2A,2B,2C)は、一部屋(70)の内部又は一部屋(70)に隣接する空間に配置される。
この態様によれば、切替盤(2,2A,2B,2C)と一部屋(70)の回路(4)との間の配線長を比較的短く抑えることができる。
第5の態様に係る配電システム(1)では、第1~4のいずれかの態様において、少なくとも一部の回路(4)は、第1入力端子(21)に電気的に接続される複数の回路(4)のうちの一部の回路(4)のみである。
この態様によれば、例えば、地震の発生時において必要な一部の回路(4)のみ、バックアップ電源(6)からの電力の供給を行うことで、バックアップ電源(6)の電力の消費を抑えることができる。
第6の態様に係る配電システム(1)では、第1~5のいずれかの態様において、切替盤(2,2A,2B,2C)は、切替盤用キャビネット(20)と、複数の入力端子(21,22)と、を有する。複数の入力端子(21,22)のうちの少なくとも1つの入力端子(21,22)は、切替盤用キャビネット(20)に収容されている。
この態様によれば、少なくとも1つの入力端子(21,22)が切替盤用キャビネット(20)に収容されるので、少なくとも1つの入力端子(21,22)を設置するためのスペースを、切替盤用キャビネット(20)の設置スペースと別に確保する必要が無い。
第7の態様に係る配電システム(1)では、第1~6のいずれかの態様において、少なくとも一部の回路(4)は照明器具を含む。
この態様によれば、分電盤(3)以外から電力を供給することが困難な照明器具に対しても、例えば、バックアップ電源(6)から電力を供給することが可能になる。
第8の態様に係る配電システム(1)では、第1~7のいずれかの態様において、複数の入力端子(21,22)のうちの少なくとも1つの入力端子(21)は、少なくとも1つの分岐ブレーカ(41)に電気的に接続される。少なくとも1つの分岐ブレーカ(41)は、切替盤(2,2A,2B,2C)とは別の分電盤(3)における複数の分岐ブレーカ(41)のうちの少なくとも1つの分岐ブレーカ(41)である。
この態様によれば、切替盤(2,2A,2B,2C)以降で過電流等の異常が生じた場合に、分電盤(3)の分岐ブレーカ(41)にて、切替盤(2,2A,2B,2C)への通電を遮断することが可能となる。
第9の態様に係る配電システム(1)では、第1~8のいずれかの態様において、切替盤(2,2A,2B,2C)は、バックアップ電源(6)の充電用の充電端子(27)を有する。
この態様によれば、切替盤(2,2A,2B,2C)の充電端子(27)にてバックアップ電源(6)を充電できるので、切替盤(2,2A,2B,2C)と別途、バックアップ電源(6)を充電するための手段を用意する必要が無い。
第10の態様に係る配電システム(1)では、第1~9のいずれかの態様において、切替盤(2,2A,2B,2C)は、防災用品(K1,K2)を収容する収容スペース(Sp1)を有する。
この態様によれば、例えば、地震、台風又は土砂災害等の非常時において、収容スペース(Sp1)に収容されている防災用品(K1,K2)を利用することができる。
第11の態様に係る分電盤システム(10)は、第1~10のいずれかの態様に係る配電システム(1)に用いられる切替盤(2,2A,2B,2C)と、分電盤(3)と、を備える。
この態様によれば、地震の発生時において、少なくとも一部の回路(4)への電力の供給元を、常用電源(5)からバックアップ電源(6)に切り替えることで、少なくとも一部の回路(4)で使用される電力を確保することができる。したがって、分電盤システム(10)によれば、主幹ブレーカ(31)又は特定の分岐ブレーカ(41)を遮断するだけの構成に比べて、非常時等における電力の供給をより柔軟に行うことができる。
第2~10の態様に係る構成については、配電システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。