以下、本発明の裏面電極型光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
(太陽電池)
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光電変換モジュールの第1実施形態を適用した太陽電池について詳述する。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換モジュールである。
図1は、本発明の光電変換モジュールの第1実施形態を適用した太陽電池を図示した平面図である。また、図2は、図1に示す太陽電池の分解斜視図である。なお、本明細書では、太陽電池のうち、太陽電池に入射する光の光源(例えば太陽、照明等)側を「表(おもて)」とし、その反対側を「裏」とする。また、太陽電池の受光面に直交する方向に延在する方向軸をZ軸とする。さらに、裏側から表側への向きを「+Z方向」とし、その反対向きを「-Z方向」とする。
図1に示す太陽電池80(光電変換モジュール)は、セル80A(裏面電極型光電変換素子)と、Z軸方向においてセル80Aと重なるように設けられ、セル80Aと電気的に接続された配線基板82と、を備えている。
セル80Aは、n型(第1導電型)のSi基板800を有している。Si基板800は、その厚さ方向(Z軸方向)で見たとき、すなわち互いに表裏の関係にある2つの主面を平面視したとき、その平面視形状が長方形をなす板状をなしており、かつ、2つの主面はそれぞれZ軸と直交している。また、光源に臨む主面とは反対の面(一方の面)が電極面85であり、光源に臨む主面(他方の面)が受光面84である。なお、受光面84に後述するテクスチャー構造が設けられている場合、そのテクスチャー構造を除いた面がZ軸と直交している。
また、Z軸に直交する2つの軸を「X軸」および「Y軸」とする。このうち、Si基板800の長辺は、X軸と平行に延在しており、Si基板800の短辺は、Y軸と平行に延在している。そして、図1の上向きを「+Y方向」とし、下向きを「-Y方向」とする。また、図1の右向きを「+X方向」とし、左向きを「-X方向」とする。
セル80Aが有するn型のSi基板800は、半導体基板の一例であり、化合物半導体基板(例えばGaAs基板)等で代替されてもよい。
このような半導体基板は、非晶質性を有していてもよいが、結晶性を有していることが好ましい。この結晶性とは、単結晶性または多結晶性のことをいう。このような結晶性を有する半導体基板を含むことにより、非晶質性を有する半導体基板を含む場合に比べて、より光電変換効率の高い太陽電池80が得られる。かかる太陽電池80は、仮に同じ電力を発電する場合、より面積を小さくすることを可能にする。このため、結晶性を有する半導体基板を含むことにより、光電変換効率と小型化とをより高度に両立させた太陽電池80が得られる。
特に、半導体基板は、単結晶性を有するものが好ましい。これにより、太陽電池80の光電変換効率が特に高められる。したがって、光電変換効率と意匠性との両立を最大限に図ることができる。また、特に、太陽電池80の省スペース化が図られることにより、太陽電池80を搭載する電子機器の意匠性をより高めることができる。さらに、室内光のような低照度光においても光電変換効率が低下しにくいという利点もある。
なお、単結晶性を有するとは、半導体基板全体が単結晶である場合の他、一部が多結晶または非晶質である場合も含む。後者の場合、単結晶の体積が相対的に大きい(例えば全体の90体積%以上である)ことが好ましい。
図3は、図2に示すセル80Aの電極面85を示す平面図である。また、図4は、図1に示す太陽電池80の分解断面図である。なお、図4に示すセル80Aの断面図は、図3のA-A線断面図である。また、図3では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してフィンガー電極804やバスバー電極805を透視するように図示している。
太陽電池80は、裏面電極型とされる。具体的には、セル80Aは、図4に示すように、電極面85上に設けられた電極パッド86、87(接続部)を有している。このうち、電極パッド86は正極であり、一方、電極パッド87は負極である。したがって、電極パッド86および電極パッド87から電力を取り出すことができる。
このような裏面電極型では、極性にかかわらず、全ての電極パッド86、87を電極面85上に配置することができる。このため、受光面84を最大限に大きくすることができ、受光面積の最大化に伴う発電量の向上を図ることができる。加えて、受光面84側に電極パッドを設けることによる意匠性の低下を防止することができる。このため、太陽電池80の意匠性を高めることができる。
なお、セル80Aには、電極パッド86および電極パッド87がそれぞれ複数設けられていてもよい。
((配線基板))
図4に示す太陽電池80は、前述したように、セル80Aと配線基板82とを備えている。
このうち、配線基板82は、絶縁基板821と、その上に設けられた導電膜822と、を備えている。
配線基板82は、図1、2に示すように、セル80Aと重なるように設けられている。このような配線基板82は、絶縁基板821と、その上に設けられた導電膜822と、導電膜822と重なる部分に設けられた開口部824を有する絶縁膜823と、を備えている。
なお、「配線基板82がセル80Aと重なる」とは、配線基板82の平面視において、セル80Aの少なくとも一部が配線基板82と重なって見える状態をいう。
絶縁基板821としては、例えばポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板のような各種樹脂基板が挙げられる。
導電膜822の構成材料としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銀または銀合金等が挙げられる。
絶縁膜823の構成材料としては、例えばポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂のような各種樹脂材料が挙げられる。
また、絶縁基板821と絶縁膜823とは、接着層825を介して接着されている。
接着層825の構成材料としては、例えばエポキシ系接着材、シリコーン系接着材、オレフィン系接着材、アクリル系接着材等が挙げられる。
配線基板82の厚さは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。配線基板82の厚さを前記範囲内に設定することにより、配線基板82に適度な可撓性が付与される。
((セル))
セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800と、Si基板800に形成されたp+不純物領域801およびn+不純物領域802と、p+不純物領域801およびn+不純物領域802に接続されているフィンガー電極804と、フィンガー電極804に接続されているバスバー電極805と、フィンガー電極804を介してp+不純物領域801に接続されている電極パッド86(正極の接続部)と、フィンガー電極804を介してn+不純物領域802に接続されている電極パッド87(負極の接続部)と、を備えている。なお、図4では、図示の便宜上、電極パッド86のみを図示し、電極パッド87の図示を省略している。
-Si基板-
Si基板800としては、例えばSi(100)基板等が用いられる。なお、Si基板800の結晶面は、特に限定されず、Si(100)面以外の結晶面であってもよい。
Si基板800(半導体基板)の主要構成元素以外の不純物元素濃度は、できるだけ低いことが好ましいが、それぞれ1×1011[atoms/cm2]以下であるのがより好ましく、1×1010[atoms/cm2]以下であるのがさらに好ましい。不純物元素濃度が前記範囲内であることにより、Si基板800の不純物が光電変換に及ぼす影響を十分に小さく抑えることができる。これにより、小面積であっても十分な電力を発生させ得る太陽電池80を実現することができる。さらに、室内光のような低照度光においても光電変換効率が低下しにくくなるという利点もある。
なお、Si基板800の不純物元素濃度は、例えばICP-MS(Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry)法により測定することができる。
また、p+不純物領域801に接続されているフィンガー電極804の一部が後述するパッシベーション膜807から露出し、前述した電極パッド86を構成している(図3参照)。一方、n+不純物領域802に接続されているフィンガー電極804の一部が後述するパッシベーション膜807から露出し、前述した電極パッド87を構成している(図3参照)。
また、電極パッド86は、図4に示すように、導電接続部83を介して、配線基板82と接続されている。同様に、電極パッド87も、図示しない導電接続部を介して、配線基板82と接続されている。
導電接続部83としては、例えば導電ペースト、導電シート、金属材料、はんだ、ろう材等が挙げられる。
Si基板800の受光面84には、必要に応じてテクスチャー構造が形成されている。このテクスチャー構造は、例えば任意の形状をなす凹凸形状のことをいう。具体的には、例えば受光面84に形成された多数のピラミッド状突起で構成される。このようなテクスチャー構造を設けることにより、受光面84における外部光の反射を抑制し、Si基板800に入射する光量の増大を図ることができる。また、受光面84から入射した外部光をSi基板800の内部に閉じ込めることができ、光電変換効率を高めることができる。
なお、Si基板800が例えばSi(100)面を主面とする基板である場合、Si(111)面を傾斜面とするピラミッド状突起がテクスチャー構造として好適に用いられる。
また、Si基板800の厚さは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。これにより、太陽電池80の光電変換効率と機械的特性との両立を図ることができる。
なお、Si基板800の平面視形状は、上記に限定されず、いかなる形状、例えば正方形や菱形のような四角形、六角形、八角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、扇形等であってもよい。
一方、p+不純物領域801は、ホウ素イオンやアルミニウムイオンのようなp型不純物を相対的に高濃度に含む領域である。また、n+不純物領域802は、リンイオンやヒ素イオンのようなn型不純物を相対的に高濃度に含む領域である。これらのp+不純物領域801におけるp型不純物の濃度およびn+不純物領域802におけるn型不純物の濃度は、それぞれ特に限定されないが、1×1018[atoms/cm2]以上であるのが好ましく、1×1019[atoms/cm2]以上であるのがより好ましい。
-パッシベーション膜-
また、太陽電池80は、図4に示すように、受光面84上に設けられたパッシベーション膜817を備えている。このようなパッシベーション膜817を設けることにより、受光によって生成された少数キャリアーが受光面84において消滅するのを抑制することができる。
パッシベーション膜817の構成材料としては、例えば無機材料、有機材料等が挙げられる。このうち、無機材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素のようなケイ素化合物、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタンのような金属酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化ランタンのようなフッ化物等が挙げられる。また、有機材料としては、例えば、各種樹脂材料が挙げられる。そして、パッシベーション膜817の構成材料には、これらのうちの1種または2種以上を含む複合材料が用いられる。
また、パッシベーション膜817は、光透過性を有する。このため、パッシベーション膜817は、その屈折率が適宜調整されることにより、反射防止膜としても機能する。このような反射防止膜としての機能が付加されることにより、受光面84からSi基板800に入射する光量を増やし、光電変換効率を高めることができる。
一方、セル80Aは、図4に示すように、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を備えている。このようなパッシベーション膜807を設けることにより、各部の絶縁を図るとともに、受光によって生成された少数キャリアーが電極面85において消滅するのを抑制することができる。
パッシベーション膜807の構成材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。
-電極および電極パッド(接続部)-
セル80Aは、図3および図4に示すように、Si基板800の厚さ方向においてn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と重なるように設けられたn型フィンガー電極804nと、n+不純物領域802とn型フィンガー電極804nとの間を電気的に接続するn+コンタクト811nと、を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、n+コンタクト811nおよびn型フィンガー電極804nにそれぞれドットを付している。
また、セル80Aは、図3および図4に示すように、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域801(第2導電型不純物領域)と重なるように設けられたp型フィンガー電極804pと、p+不純物領域801とp型フィンガー電極804pとの間を電気的に接続するp+コンタクト811pと、を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p+コンタクト811pおよびp型フィンガー電極804pにそれぞれ斜線を付している。
そして、p+コンタクト811pは、図3に示すように、1つのp型フィンガー電極804pに対して複数設けられている。また、それに応じて、図4に示すp+不純物領域801も、1つのp型フィンガー電極804pに対して複数設けられている。これにより、受光によって発生した正孔(キャリアー)を効率よく取り出すことができる。
同様に、n+コンタクト811nは、図3に示すように、1つのn型フィンガー電極804nに対して複数設けられている。また、それに応じて、図4に示すn+不純物領域802も、1つのn型フィンガー電極804nに対して複数設けられている。これにより、受光によって発生した電子(キャリアー)を効率よく取り出すことができる。
p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nの構成材料は、例えば、後述するフィンガー電極804の構成材料と同様のものから適宜選択される。
図3に示すSi基板800では、電極面85が長方形をなしている。なお、本明細書および各図では、Si基板800の長軸に平行な方向軸をX軸とし、Si基板800の短軸に平行な方向軸をY軸とする。また、X軸が延在している方向をX軸方向(第1方向)とし、Y軸が延在している方向をY軸方向(第1方向に直交する第2方向)という。
そして、図3に示すセル80Aは、複数のp型フィンガー電極804pを備えている。これらのp型フィンガー電極804pは、それぞれY軸方向に沿って延在するとともに、X軸方向に並んでいる。
また、図3に示すセル80Aは、1つのp型バスバー電極805pを備えている。このp型バスバー電極805pは、-Y側の外縁部においてX軸方向に沿って延在している。そして、複数のp型フィンガー電極804pは、1つのp型バスバー電極805pを介して互いに電気的に接続されている。
一方、図3に示すセル80Aは、複数のn型フィンガー電極804nを備えている。これらのn型フィンガー電極804nは、それぞれY軸方向に沿って延在するとともに、X軸方向に並んでいる。
また、図3に示すセル80Aは、1つのn型バスバー電極805nを備えている。このn型バスバー電極805nは、+Y側の外縁部においてX軸方向に沿って延在している。そして、複数のn型フィンガー電極804nは、1つのn型バスバー電極805nを介して互いに電気的に接続されている。
以上のような複数のp型フィンガー電極804pおよび1つのp型バスバー電極805pにより、いわゆる櫛歯形状のp型電極を構成している。また、複数のn型フィンガー電極804nおよび1つのn型バスバー電極805nにより、櫛歯形状のn型電極を構成している。そして、p型電極とn型電極とが互いに噛み合うように配置されている。
なお、前述したフィンガー電極804は、p型フィンガー電極804pおよびn型フィンガー電極804nの双方を指している。
また、前述したバスバー電極805は、p型バスバー電極805pおよびn型バスバー電極805nの双方を指している。
また、図3および図4に示すように、p型フィンガー電極804p、n型フィンガー電極804n、p型バスバー電極805pおよびn型バスバー電極805nは、それぞれパッシベーション膜807に覆われている。これにより、外部環境からこれらの電極が保護されている。
・電極パッド(接続部)
一方、パッシベーション膜807の一部にはビアホールが設けられ、p型フィンガー電極804pおよびn型フィンガー電極804nの一部が露出している。このうち、p型フィンガー電極804pの露出面が前述した電極パッド86(正極の接続部)となり、n型フィンガー電極804nの露出面が前述した電極パッド87(負極の接続部)となる。なお、電極パッド86、87は、必要に応じて、前記露出面に設けられたスタッドバンプ等を含んでいてもよい。
また、図3では、X軸方向において、p型フィンガー電極804pとn型フィンガー電極804nとが交互に並んでいる。
さらに、電極パッド86、87を挟む両側については、電極パッド86、87を挟んでp型フィンガー電極804pとn型フィンガー電極804nとが向かい合っている。
電極パッド86、87の1つの面積は、Si基板800の大きさに応じて適宜設定されるが、0.05mm2以上5mm2以下であることが好ましく、0.1mm2以上3mm2以下であることがより好ましい。これにより、接続抵抗の低減および接続強度の向上を十分に図りつつ、電極パッド86、87を設けることに伴う少数キャリアーの収集ロスも十分に抑えることができる。
なお、電極パッド86、87の配置は、図示のものに限定されず、Si基板800の中央部であっても、外縁部であってもよい。
また、電極パッド86、87の形状も、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。一例として、図3に示す電極パッド86、87の形状は、それぞれ正方形であるが、真円、楕円、長円のような円形であってもよく、長方形、三角形、六角形、八角形のような多角形であってもよく、それ以外の形状であってもよい。
さらに、電極パッド86と電極パッド87との間で、互いに形状が同じであるのが好ましいが、互いに異なっていてもよい。
また、本実施形態では、電極パッド86、87が設けられている部分には、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nが、それぞれ平面視で重ならないように配置されている(図3参照)。
すなわち、セル80Aは、n型(第1導電型)のSi基板800(半導体基板)と、Si基板800の電極面85に設けられ、バスバー電極805(第1電極)と電気的に接続されたp+不純物領域801(第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と、を有し、Si基板800の厚さ方向で見たとき、電極パッド86(接続部)は、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)およびp+不純物領域801(第2導電型不純物領域)とずれるように配置されている。そして、それにより自ずと、電極パッド86は、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nとずれるように配置されている。
同様に、Si基板800の厚さ方向で見たとき、電極パッド87(接続部)は、p+不純物領域801およびn+不純物領域802とずれるように配置されている。そして、それにより自ずと、電極パッド87は、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nとずれるように配置されている。
これにより、例えば電極パッド86、87に導電接続部83が接合された後、その接合部が破損したとしても、p+不純物領域801およびn+不純物領域802に損傷が及んでしまうのを抑制することができる。したがって、より信頼性の高いセル80Aが得られる。なお、本明細書において「ずれる」とは、平面視で互いに重なっている部分がない状態をいう。
また、上記のような配置であることにより、電極パッド86、87は、その平坦性等の形状においてp+不純物領域801やn+不純物領域802の影響を受けることがなくなる。このため、平坦性が高く、接触不良を発生させにくい電極パッド86、87が得られる。
また、本実施形態では、図3に示すように、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nが、電極パッド86、87(接続部)を囲むように配置されている。そして、前述したように、p+コンタクト811pは、p+不純物領域801(第2導電型不純物領域)に対応して設けられ、n+コンタクト811nは、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)に対応して設けられている。したがって、p+不純物領域801およびn+不純物領域802は、電極パッド86、87(接続部)を囲むように配置されている。このような位置にp+不純物領域801およびn+不純物領域802の少なくとも一方が配置されていることにより、上記のようにして電極パッド86、87にp+不純物領域801およびn+不純物領域802が設けられていない場合であっても、Si基板800で発生した少数キャリアーを効率よく収集することができる。すなわち、Si基板800のうち、電極パッド86、87と重なる部分では、p+不純物領域801が設けられていないため、受光によって発生した少数キャリアーを効率よく収集することができない。そこで、電極パッド86、87を囲むようにp+不純物領域801を設けることで、少数キャリアーの移動方向によらず、少数キャリアーの消滅を最小限に抑えつつ収集することが可能になる。このため、電極パッド86、87を設けたことによる光電変換効率の低下を最小限に留めることができる。
なお、電極パッド86、87の配置は、必ずしも限定されるものではなく、例えば、電極パッド86、87は、p+不純物領域801、n+不純物領域802、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nのいずれかと平面視で重なっていてもよい。
・フィンガー電極
セル80Aには、複数のフィンガー電極804が設けられている。このため、これらのフィンガー電極804は、X軸方向に沿って並んでいる。換言すれば、フィンガー電極804の配列軸がSi基板800の長軸と平行になっている。このように配列させることで、各フィンガー電極804の形状や面積を均一化することができ、セル80Aの構造の均一化を図ることができる。その結果、セル80Aにおける反り等の変形が発生しにくくなる。加えて、フィンガー電極804を、Si基板800に対してできるだけ隙間なく敷き詰めることができる。これにより、フィンガー電極804は、Si基板800の電極面85側において、受光面84から入射した光を反射するための反射膜としても機能する。すなわち、フィンガー電極804が隙間なく敷き詰められることにより、受光面84から入射しSi基板800を透過してしまった光を、フィンガー電極804においてより高い確率で反射させることができる。これにより、光電変換に寄与する光量を増やすことができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
さらに、少なくとも互いに隣り合うフィンガー電極804同士は、特に限定されないが、互いに同一形状であり、かつ、互いに同一面積であることが好ましい。これにより、セル80Aの構造のさらなる均一化が図られることとなる。
なお、同一形状、同一面積および平行とは、それぞれ、製造時に発生する誤差を許容する概念である。
また、複数のフィンガー電極804が並ぶ場合、p型フィンガー電極804pとn型フィンガー電極804nとが交互に並んでいるのが好ましいが、このような配列パターンに限定されるものではなく、一部または全部が異なる配列パターンであってもよい。
フィンガー電極804の幅は、5μm以上100μm以下であるのが好ましく、10μm以上50μm以下であるのがより好ましい。これにより、各フィンガー電極804に対応して設けられるコンタクト同士のピッチや不純物領域同士のピッチが最適化されるため、受光により発生した少数キャリアーの取り出し効率が向上する。その結果、光電変換効率が特に高いセル80Aが得られる。
一方、フィンガー電極804同士の間隔は、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、3μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、フィンガー電極804同士の絶縁を図りつつ、フィンガー電極804が占める面積を十分に大きくすることができる。
・バスバー電極
一方、セル80Aは、図3に示すように、複数のp型フィンガー電極804pを互いに接続するように設けられたp型バスバー電極805pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、複数のn型フィンガー電極804nを互いに接続するように設けられたn型バスバー電極805nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型バスバー電極805pに斜線を付し、n型バスバー電極805nにドットを付している。
また、p型バスバー電極805pは、p型フィンガー電極804pと同様、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域801およびp+コンタクト811pと重なるように設けられている。同様に、n型バスバー電極805nは、n型フィンガー電極804nと同様、Si基板800の厚さ方向においてn+不純物領域802およびn+コンタクト811nと重なるように設けられている。
ここで、バスバー電極805の延在方向は、図3に示すように、フィンガー電極804の延在方向と交差している。すなわち、前述したように、フィンガー電極804がY軸方向に沿って延在しているのに対し、バスバー電極805はX軸方向に沿って延在している。したがって、フィンガー電極804とバスバー電極805とがほぼ直交している。
なお、フィンガー電極804とバスバー電極805との交差角度は、90°であるが、製造時に発生する誤差が含まれていてもよい。
フィンガー電極804やバスバー電極805の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、銅のような金属の単体または合金等が挙げられる。
・サブフィンガー電極
また、セル80Aは、図3に示すように、p型フィンガー電極804pから分岐している複数のp型サブフィンガー電極806pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、n型フィンガー電極804nから分岐している複数のn型サブフィンガー電極806nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型サブフィンガー電極806pに斜線を付し、n型サブフィンガー電極806nにドットを付している。
また、p型サブフィンガー電極806pは、p型フィンガー電極804pと同様、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域801およびp+コンタクト811pと重なるように設けられている。同様に、n型サブフィンガー電極806nは、n型フィンガー電極804nと同様、Si基板800の厚さ方向においてn+不純物領域802およびn+コンタクト811nと重なるように設けられている。
なお、以下の説明では、p型サブフィンガー電極806pおよびn型サブフィンガー電極806nの双方を指して、サブフィンガー電極806という。
サブフィンガー電極806の延在方向は、図3に示すように、フィンガー電極804の延在方向と交差している。そして、前述したように、サブフィンガー電極806は、フィンガー電極804から分岐している。なお、「分岐している」とは、フィンガー電極804とサブフィンガー電極806とが、互いに同一の面上に設けられており(配置面のZ軸方向における位置が互いに同じに設けられており)、かつ、Y軸方向に延在しているフィンガー電極804の末端または途中から、X軸方向に沿ってサブフィンガー電極806が延出している構造を指す。
以上のような複数のp型サブフィンガー電極806pおよびその分岐元であるp型フィンガー電極804pにより、いわゆる櫛歯形状のp型電極が構成されている。また、複数のn型サブフィンガー電極806nおよびその分岐元であるn型フィンガー電極804nにより、櫛歯形状のn型電極が構成されている。そして、p型電極とn型電極とが互いに噛み合うように配置されている。
このようなサブフィンガー電極806を設けることにより、電極パッド86、87の位置によらず、p+不純物領域801およびn+不純物領域802を隙間なく配置することができる。これにより、例えば、電極パッド86、87がSi基板800の外縁部よりも内側(中央部)に配置されている場合であっても、その電極パッド86、87を取り囲むようにp+不純物領域801およびn+不純物領域802を配置することが可能になる。すなわち、サブフィンガー電極806を用いることによって、そのような位置に配置されたp+不純物領域801およびn+不純物領域802に対しても、それぞれ電気的接続を図ることができる。その結果、受光によって発生した少数キャリアーの消滅を極力減らすことができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
ここで、図5は、図3に示すセル80Aにおいて、仮にサブフィンガー電極806を省略するように変更した場合の電極を示す図、すなわち従来の裏面電極型光電変換素子を示す図である。
図5に示すセル80A’では、フィンガー電極804から分岐するサブフィンガー電極806が設けられていない。このため、従来の裏面電極型光電変換素子では、例えば図5において電極到達不可領域809p、809nとして示すように、一方の極性のフィンガー電極804やバスバー電極805のみで取り囲まれた領域が生じてしまう。より具体的には、図5に示す電極到達不可領域809pは、n型フィンガー電極804n、n型バスバー電極805nおよび電極パッド87で取り囲まれている。このため、電極到達不可領域809pには、p型フィンガー電極804pを引き回すことができず、この電極到達不可領域809pで発生した少数キャリアーを効率よく収集することができない。その結果、光電変換効率の向上を図ることができないという問題がある。また、図5に示す電極到達不可領域809nは、p型フィンガー電極804p、p型バスバー電極805pおよび電極パッド86で取り囲まれている。このため、電極到達不可領域809nには、n型フィンガー電極804nを到達させることができず、この領域の多数キャリアーを効率よく収集することができない。以上のような理由から、従来の裏面電極型光電変換素子では、電極パッド(接続部)の位置によって、電極を引き回すことができない領域が発生し、光電変換効率を高めることができないという問題があった。
これに対し、図3に示すセル80Aでは、サブフィンガー電極806を設けることにより、図5に示す電極到達不可領域809p、809nにも電極を引き回すことができる。このため、図5に示す電極到達不可領域809pで発生した少数キャリアーを効率よく収集することができ、光電変換効率を高めることができる。
また、従来の裏面電極型光電変換素子では、上記の課題を解消するため、電極パッド(接続部)をSi基板の外縁部に配置することがあった。このような配置であれば、電極到達不可領域809p、809nが生まれないため、光電変換効率の低下を防止することができる。その一方、電極パッドの配置がSi基板の外縁部である場合、Si基板を固定するポイントも外縁部に偏ることになる。このため、従来は、導電接続部を電極パッドに接続することにより、セルを固定しようとしても、セルの固定が不安定になるという問題がある。
そこで、電極パッドの配置をSi基板の中央部に変更することが考えられるが、その場合、前述した電極到達不可領域809p、809nが生まれるという問題が避けられない。
一方、サブフィンガー電極806を設けることにより、電極パッド86、87をSi基板800の中央部に配置した場合であっても、従来のような、同じ極性の電極で取り囲まれる領域、すなわち電極到達不可領域809p、809nが発生しない。このため、本実施形態では、電極パッド86、87の位置によらず、光電変換効率を高めることが可能になる。その結果、電極パッド86、87に導電接続部83を接続することによってセル80Aを安定的に固定するという効果と、セル80Aの光電変換効率を高めるという効果の双方を奏することができる。
なお、図3に示す複数のサブフィンガー電極806は、Y軸方向に沿って並んでいる。このため、従来の電極到達不可領域809p、809nに対してもサブフィンガー電極806を隙間なく引き回すことができる。その結果、少数キャリアーの収集効率が高まるとともに、受光面84から入射した光を反射する反射膜としての機能も向上する。
また、サブフィンガー電極806は、全てのフィンガー電極804から分岐している必要はなく、セル80Aは、サブフィンガー電極806が分岐していないフィンガー電極804を有していてもよい。また、複数のサブフィンガー電極806の長さや幅、間隔は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
以上のように、裏面電極型光電変換素子であるセル80Aは、n型(第1導電型)のSi基板800(半導体基板)と、p型(第1導電型と異なる第2導電型)を有するp+不純物領域801(第2導電型不純物領域)およびn型を有するn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と、Si基板800の一方の面である電極面85の上方に設けられ、X軸方向(第1方向)に延在するバスバー電極805(第1電極)と、Si基板800の電極面85の上方に設けられ、X軸方向に直交するY軸方向(第2方向)に延在し、バスバー電極805と電気的に接続されているフィンガー電極804(第2電極)と、Si基板800の電極面85の上方に設けられ、X軸方向に延在し、フィンガー電極804から分岐しているサブフィンガー電極806(第3電極)と、を有する。
このようなセル80Aによれば、電極パッド86、87の位置によらず、光電変換効率を高めることができる。このため、例えば電極パッド86、87をSi基板800の中央部に配置してセル80Aを安定的に固定しつつ、光電変換効率の高い太陽電池80を実現することができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、フィンガー電極804(第2電極)がバスバー電極805(第1電極)から分岐している。これにより、本実施形態では、バスバー電極805、フィンガー電極804およびサブフィンガー電極806が、いずれも同一の面上に配置されることになる。このため、セル80Aの構造が簡単になり、製造効率を高めやすくなる。
また、太陽電池80(光電変換モジュール)は、このようなセル80A(裏面電極型光電変換素子)と、このセル80Aと重なるように設けられている配線基板82と、セル80Aの電極パッド86、87と配線基板82の導電膜822とを電気的に接続する導電接続部83と、を有する。したがって、太陽電池80は、セル80Aが配線基板82に対して安定的に固定され、信頼性が高く、かつ、光電変換効率が高いものとなる。
また、太陽電池80では、配線基板82によってセル80Aの電極面85の少なくとも一部が覆われることになるため、電極面85が保護される。このため、電極面85に異物が付着したり、外力が加わったりすることが抑制される。その結果、電極面85の信頼性を確保することができる。
換言すれば、受光面84を平面視したとき、導電接続部83は、セル80Aの陰に隠れている(セル80Aと重なっている)ことが好ましい。これにより、上述した信頼性の確保という効果に加え、導電接続部83が視認されないことによる太陽電池80の美的外観の向上を図ることができる。
なお、導電接続部83は、セル80Aと配線基板82とを電気的のみならず、機械的にも接続している。このため、導電接続部83の機械的特性を最適化することにより、前述したセル80Aにおける応力の集中を緩和することができる。
具体的には、導電接続部83のヤング率は、0.5GPa以上15GPa以下であるのが好ましく、1GPa以上10GPa以下であるのがより好ましく、1.5GPa以上6.5GPa以下であるのがさらに好ましい。導電接続部83のヤング率を前記範囲内に設定することにより、導電接続部83に求められる接着強度を確保しつつ、導電接続部83において歪み等を吸収することができる。このため、高い機械的特性に基づく機械的接続の信頼性と、セル80Aに発生する応力の集中を緩和する特性と、を両立させることができる。
なお、導電接続部83のヤング率が前記下限値を下回ると、導電接続部83の機械的特性が低くなるため、セル80Aの仕様等によっては、求められる接着強度を満たすことができないおそれがある。一方、導電接続部83のヤング率が前記上限値を上回ると、導電接続部83の変形能が低下するため、セル80Aの仕様等によっては、導電接続部83においてセル80Aの歪みを十分に吸収することができず、セル80Aに反り等の不具合を発生させるおそれがある。
また、導電接続部83のヤング率は、例えば25℃において動的粘弾性測定装置(DMA)により測定される。
また、上述したヤング率の観点からすれば、導電接続部83としては、特に樹脂材料を含む導電性接着剤が好ましく用いられる。
導電性接着剤に含まれる樹脂材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いられる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の裏面電極型光電変換素子の第2実施形態を適用したセルについて詳述する。
図6は、本発明の裏面電極型光電変換素子の第2実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。また、図7は、図6のB-B線断面図である。なお、図6では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807およびバスバー電極805を介してフィンガー電極804やサブフィンガー電極806を透視するように図示している。また、図6では、バスバー電極805の輪郭のみを一点鎖線で図示している。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図6および図7において、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
前述した第1実施形態に係るセル80Aでは、バスバー電極805とフィンガー電極804とが同一の面上に配置されているのに対し、第2実施形態に係るセル80Bでは、バスバー電極805とフィンガー電極804とを異なる面上、すなわちZ軸方向の位置が互いに異なる面上に配置している。そして、それ以外の構成は、第1実施形態に係るセル80Aと同様である。
このように本実施形態に係るセル80Bでは、Si基板800の厚さ方向においてフィンガー電極804と重なるように、バスバー電極805が設けられている。具体的には、Si基板800の電極面85のうち、-Y側には、X軸方向に延在するp型バスバー電極805pが設けられている。また、Si基板800の電極面85のうち、+Y側には、X軸方向に延在するn型バスバー電極805nが設けられている。
これらのバスバー電極805は、複数のフィンガー電極804および複数のサブフィンガー電極806を跨ぐように設けられている。そして、バスバー電極805とフィンガー電極804およびサブフィンガー電極806との間は、パッシベーション膜807を介して絶縁されている。
このような構造によれば、電極面85のうち、第1実施形態においてバスバー電極805を配置するために確保されていた領域を、フィンガー電極804やサブフィンガー電極806を配置するために流用することができる。このため、p+不純物領域801をより高密度に配置することができ、光電変換効率をより高めることができる。
また、本実施形態においても、Si基板800を厚さ方向から見たとき、バスバー電極805の延在方向およびフィンガー電極804の延在方向は、互いに直交している。また、サブフィンガー電極806は、フィンガー電極804から分岐している。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態は、前述したように、Si基板800の電極面85(一方の面)に設けられ、バスバー電極805(第1電極)と電気的に接続されている電極パッド86、87(接続部)をさらに有している。すなわち、バスバー電極805は、図7に示すように、パッシベーション膜807で覆われている。そして、パッシベーション膜807の一部に設けられた開口部により、バスバー電極805の一部が-Z方向に露出している。これらの露出部が電極パッド86、87を構成している。
そして、これらの電極パッド86、87は、それぞれSi基板800の外縁部よりも内側、すなわち中央部に配置されている。これにより、電極パッド86、87に導電接続部83を接続してセル80Bを固定するとき、セル80Bをより安定的に固定することが可能になる。
なお、「Si基板800の外縁部」とは、Si基板800の外縁からSi基板800の短軸の長さの10%の幅の範囲のことをいう。そして、「Si基板800の短軸の長さ」とは、Si基板800においてとり得る最大長さのことをいう。
また、本実施形態では、前述したように、バスバー電極805(第1電極)とフィンガー電極804(第2電極)との間に設けられているパッシベーション膜807(絶縁層)をさらに有している。そして、本実施形態に係るセル80Bは、パッシベーション膜807を厚さ方向に貫通し、p型バスバー電極805pとp型フィンガー電極804pとを電気的に接続するp型貫通配線814pと、n型バスバー電極805nとn型フィンガー電極804nとを電気的に接続するn型貫通配線814nと、をさらに有している。
このような構造によれば、フィンガー電極804の配置によらず、バスバー電極805の幅を十分に広く確保することができる。このため、バスバー電極805の導電性をより高めることができ、電気抵抗に伴う光電変換ロスを抑制することができる。加えて、バスバー電極805が、受光面84から入射した光を反射する反射膜として機能するため、光電変換効率をより高めることができる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の裏面電極型光電変換素子の第3実施形態を適用したセルについて詳述する。
図8は、本発明の裏面電極型光電変換素子の第3実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。なお、図8では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してバスバー電極805、フィンガー電極804およびサブフィンガー電極806を透視するように図示している。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8において、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
前述した第1実施形態に係るセル80Aでは、Si基板800の電極面85の-Y側外縁部にp型バスバー電極805pが設けられ、+Y側外縁部にn型バスバー電極805nが設けられているのに対し、第3実施形態に係るセル80Cでは、Si基板800の外縁に沿ってp型バスバー電極805pが設けられている。
すなわち、本実施形態に係るセル80Cは、Si基板800(半導体基板)がn型(第1導電型)であり、Si基板800の電極面85は、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)およびp+不純物領域801(第2導電型不純物領域)を有している。
また、バスバー電極805(第1電極)は、前述したように、第2導電型不純物領域であるp+不純物領域801(図4参照)と電気的に接続されているp型バスバー電極805p(第2の第1電極)、および、第1導電型不純物領域であるn+不純物領域802(図4参照)と電気的に接続されているn型バスバー電極805n(第1の第1電極)と、を備えている。そして、本実施形態に係るp型バスバー電極805pは、X軸方向に延在している部分のみでなく、Y軸方向に延在している部分も含んでいる。その結果、本実施形態に係るp型バスバー電極805pは、Si基板800(半導体基板)の外縁に沿って例えば環状に設けられている。
このようなセル80Cによれば、例えば環状をなすp型バスバー電極805pと重なるようにp+不純物領域801を配置したとき、そのp+不純物領域801から取り出した少数キャリアーを効率よく収集することができる。すなわち、従来の裏面電極型光電変換素子では、半導体基板の外縁近傍で発生した少数キャリアーを効率よく収集することができなかったのに対し、本実施形態では、Si基板800の外縁近傍で発生した少数キャリアーを効率よく収集することができる。特に、Si基板800の面積が小さい場合、相対的に外縁近傍で発生する少数キャリアーの割合が多くなるため、光電変換効率に寄与する割合も大きくなる。このため、光電変換効率が特に高いセル80Cが得られる。
また、本実施形態では、図8に示すように、p型バスバー電極805pが閉じた環状をなしている。このため、電流経路の最短化を図り、電気抵抗に伴う光電変換ロスを最小化することができる。なお、p型バスバー電極805pは、必ずしも閉じた環状をなしている必要はなく、一部が欠損していてもよい。
一方、本実施形態に係るn型バスバー電極805nは、Si基板800のY軸方向における中心を通過するように、X軸方向に沿って延在している。このn型バスバー電極805nは、電極パッド87を通過するとともに、電極パッド86を迂回するように引き回されている。
そして、p型フィンガー電極804pの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド86を構成している。一方、n型フィンガー電極804nの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド87を構成している。
図9は、図8の部分拡大図である。なお、図9では、図8に図示した構成に加え、p+不純物領域801(第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を図示している。また、図9において、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態では、前述したように、環状をなすp型バスバー電極805pと重なるように、第1導電型とは異なる第2導電型のp+不純物領域801が配置されている。すなわち、図9に示すセル80Cは、Si基板800(半導体基板)がn型(第1導電型)であり、Si基板800の電極面85は、p+不純物領域801を有している。
そして、このp型バスバー電極805pと重なるように配置されたp+不純物領域801は、図9に示すように、Si基板800(半導体基板)の外縁に沿って設けられている。
このように設けられたp+不純物領域801は、前述したように、Si基板800の外縁近傍で発生した少数キャリアーを効率よく収集することを可能にする。このため、面積が小さいSi基板800を用いた場合であっても、光電変換効率が高いセル80Cを実現することができる。
また、本実施形態では、図8に示すように、p+不純物領域801が閉じた環状になっている。このため、Si基板800の外縁近傍で発生した少数キャリアーを最大限に収集することが可能になる。なお、p+不純物領域801は、必ずしも閉じた環状をなしている必要はなく、一部が欠損していてもよい。
また、Si基板800の外縁とp+不純物領域801との離間距離L1は、特に限定されないが、0.01mm以上1.00mm以下であるのが好ましく、0.05mm以上0.20mm以下であるのがより好ましい。離間距離L1が前記範囲内であることにより、外縁近傍で発生した少数キャリアーを最大限に収集するという効果を十分に享受しつつ、同時に製造容易性を確保することができる。すなわち、離間距離L1が前記上限値を上回ると、Si基板800の外縁近傍で発生した少数キャリアーがp+不純物領域801まで移動する前に消滅してしまい、光電変換に寄与することができないおそれがある。一方、離間距離L1が前記下限値を下回ると、例えば切断プロセスを経てセル80Aを切り出すとき、切断加工の精度を特に高める必要があり、製造難易度が高くなるおそれがある。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、第3実施形態も、サブフィンガー電極806を備えている。このため、電極パッド86、87の位置によらず、光電変換効率を高めることができる。その結果、例えば電極パッド86、87をSi基板800の中央部に配置してセル80Aを安定的に固定しつつ、光電変換効率の高い太陽電池80を実現することができる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明の裏面電極型光電変換素子の第4実施形態を適用したセルについて詳述する。
図10は、本発明の裏面電極型光電変換素子の第4実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。なお、図10では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してバスバー電極805、フィンガー電極804およびサブフィンガー電極806を透視するように図示している。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図10において、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第4実施形態は、サブフィンガー電極806の形状が異なる以外、第3実施形態と同様である。すなわち、前述した第3実施形態に係るセル80Cは、p型サブフィンガー電極806pとn型サブフィンガー電極806nの双方を有しているのに対し、第4実施形態に係るセル80Dは、n型サブフィンガー電極806nのみを有している。
また、本実施形態に係るp型バスバー電極805pは、環状をなす部分に加え、この部分と電極パッド86とをつなぐ部分も含んでいる。
一方、本実施形態に係るn型バスバー電極805nは、電極パッド87を通過するように引き回されている。また、本実施形態に係るn型サブフィンガー電極806nは、電極パッド86の+Y側および-Y側にそれぞれ設けられている。そして、p型バスバー電極805pの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド86を構成している。一方、n型バスバー電極805nの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド87を構成している。
以上のような第4実施形態においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
≪第5実施形態≫
次に、本発明の裏面電極型光電変換素子の第5実施形態を適用したセルについて詳述する。
図11は、本発明の裏面電極型光電変換素子の第5実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。なお、図11では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807およびバスバー電極805を介してフィンガー電極804およびサブフィンガー電極806を透視するように図示している。また、図11では、バスバー電極805の輪郭のみを一点鎖線で図示している。
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図11において、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第5実施形態は、Si基板800の形状が異なる以外、第2実施形態と同様である。すなわち、図11に示すセル80Eは、図6に示すセル80Aの2つの長辺を円弧に変更してなるものである。
また、セル80Eが備えるバスバー電極805は、セル80Eの外形形状、すなわち円弧に沿って湾曲している。
さらに、セル80Eが備えるフィンガー電極804は、円弧の半径に沿って放射状に延在している。
また、セル80Eが備えるサブフィンガー電極806は、フィンガー電極804から分岐するとともに、円弧に沿って延在している。
以上のような第5実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、外形に曲線を含むセル80Eは、太陽電池を搭載する電子機器のデザイン性の向上に寄与する。
<光電変換モジュールの製造方法>
次に、太陽電池80(光電変換モジュール)を製造する方法の一例について、図4を参照しつつ説明する。
[1]まず、セル80Aを準備する。このセル80Aは、例えば、Siウエハーに不純物領域等を形成した後、電極やコンタクト、絶縁膜等を成膜することにより形成し、その後、個片化することにより製造される。電極やコンタクト、絶縁膜等の形成には、例えば各種蒸着技術、および、それにより形成された膜をパターニングするフォトリソグラフィー技術が用いられる。
[2]次に、セル80Aおよび開口部824の少なくとも一方に、導電性の導電接続部83を配置する。具体的には、セル80Aの電極パッド86に導電接続部83を配置するようにしてもよく、配線基板82の開口部824に導電接続部83を配置するようにしてもよい。なお、電極パッド86や導電膜822には、あらかじめ金属バンプ等を形成しておいてもよい。
[3]次に、導電接続部83を介して、セル80Aと配線基板82とを重ね合わせる。これにより、導電接続部83は、荷重を受けて変形し、開口部824の内側の空間に広がる。その結果、導電接続部83は、セル80Aの電極パッド86と配線基板82の導電膜822の双方に接触し、双方の間を電気的および機械的に接続することができる。
以上のようにして太陽電池80が得られる。
<電子時計>
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計について説明する。
図12、13は、それぞれ、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計を示す斜視図である。このうち、図12は、電子時計の表側から見たときの外観を表す斜視図であり、図13は、電子時計の裏側から見たときの外観を表す斜視図である。また、図14は、図12、13に示す電子時計の平面図であり、図15は、図12、13に示す電子時計の縦断面図である。
電子時計200は、ケース31と太陽電池80(光電変換モジュール)と表示部50と光センサー部40を含む機器本体30と、ケース31に取り付けられた2つのバンド10と、を有している。
なお、本明細書では、電子時計200および太陽電池80のうち、太陽電池80に入射する光の光源側を「表(おもて)」とし、その反対側を「裏」とする。また、太陽電池80の受光面84に直交する方向に延在する方向軸をZ軸とする。また、電子時計200の裏側から表側への向きを「+Z方向」とし、その反対向きを「-Z方向」とする。
一方、Z軸に直交する2つの軸を「X軸」および「Y軸」とする。このうち、2つのバンド10同士を結ぶ方向軸をY軸とし、Y軸に直交する方向軸をX軸とする。また、表示部50の上向きを「+Y方向」とし、下向きを「-Y方向」とする。また、図14における右向きを「+X方向」とし、左向きを「-X方向」とする。
以下、電子時計200の構成について順次説明する。
(機器本体)
機器本体30は、表側および裏側に開口したケース31と、表側の開口部を塞ぐように設けられた風防板55と、ケース31の表面および風防板55の側面を覆うように設けられたベゼル57と、裏側の開口部を塞ぐように設けられた透明カバー44と、を備える筐体を有している。この筐体内には、後述する種々の構成要素が収容される。
筐体のうち、ケース31は円環状をなしており、表側には風防板55を嵌め込み可能な開口部35を備え、裏側には透明カバー44を嵌め込み可能な開口部(測定窓部45)を備えている。
また、ケース31の裏側の一部は、突出するように成形された凸状部32になっている。この凸状部32の頂部が開口しており、この開口部に透明カバー44が嵌め込まれているとともに、透明カバー44の一部が開口部から突出している。
ケース31の構成材料としては、例えばステンレス鋼、チタン合金のような金属材料の他、樹脂材料、セラミックス材料等が挙げられる。また、ケース31は、複数の部位の組み立て体であってもよく、その場合、部位同士で構成材料が異なっていてもよい。
また、ケース31の外側面には、複数の操作部58(操作ボタン)が設けられている。
また、ケース31の表側に設けられた開口部35の外縁には、+Z方向に突出する突起部34が形成されている。そして、この突起部34を覆うように、円環状をなすベゼル57が設けられている。
さらに、ベゼル57の内側には風防板55が設けられている。そして、風防板55の側面とベゼル57との間が、パッキンや接着剤のような接合部材56を介して接着されている。
風防板55および透明カバー44の構成材料としては、例えばガラス材料、セラミックス材料、樹脂材料等が挙げられる。また、風防板55は透光性を有し、風防板55を介して表示部50の表示内容および太陽電池80の受光面84を視認することができるようになっている。さらに、透明カバー44も透光性を有し、光センサー部40を生体情報測定部として機能させることができる。
また、筐体の内部空間36は、後述する種々の構成要素を収容可能な閉空間になっている。
機器本体30は、それぞれ内部空間36に収容される要素として、回路基板20と、方位センサー22(地磁気センサー)と、加速度センサー23と、GPSアンテナ28と、光センサー部40と、表示部50を構成する電気光学パネル60および照明部61と、二次電池70と、太陽電池80と、を備えている。また、機器本体30は、これらの要素の他にも、標高や水深等を算出するための圧力センサー、温度を測定する温度センサー、角速度センサーのような各種センサー、バイブレーター等を備えていてもよい。
回路基板20は、前述した要素同士を電気的に接続する配線を含む基板である。また、回路基板20には、前述した要素の動作を制御する制御回路や駆動回路等を含むCPU21(Central Processing Unit)および他の回路素子24が搭載されている。
また、太陽電池80、電気光学パネル60、回路基板20および光センサー部40は、風防板55側からこの順で配置されている。これにより、太陽電池80は、風防板55に近接して配置されることになり、多くの外部光が太陽電池80に効率よく入射する。その結果、太陽電池80における光電変換効率を最大限に高めることができる。
以下、機器本体30に収容される要素についてさらに詳述する。
回路基板20は、その端部が回路ケース75を介してケース31に取り付けられている。
また、回路基板20には、接続配線部63および接続配線部81が電気的に接続されている。このうち、接続配線部63を介して回路基板20と電気光学パネル60とが電気的に接続されている。また、接続配線部81を介して回路基板20と太陽電池80とが電気的に接続されている。これらの接続配線部63、81は、例えばフレキシブル回路基板で構成され、内部空間36の隙間に効率よく引き回される。
方位センサー22および加速度センサー23は、電子時計200を装着したユーザーの体の動きに係る情報を検出することができる。方位センサー22および加速度センサー23は、ユーザーの体動に応じて変化する信号を出力し、CPU21に送信する。
CPU21は、GPSアンテナ28を含むGPS受信部(図示せず)を制御する回路、光センサー部40を駆動しユーザーの脈波等を測定する回路、表示部50を駆動する回路、太陽電池80の発電を制御する回路等を含む。
GPSアンテナ28は、複数の位置情報衛星から電波を受信する。また、機器本体30は、図示しない信号処理部を備えている。信号処理部は、GPSアンテナ28が受信した複数の測位信号に基づいて測位計算を行い、時刻および位置情報を取得する。信号処理部は、これらの情報をCPU21に送信する。
光センサー部40は、ユーザーの脈波等を検出する生体情報測定部である。図15に示す光センサー部40は、受光部41と、受光部41の外側に設けられた複数の発光部42と、受光部41および発光部42が搭載されたセンサー基板43と、を含む光電センサーである。また、受光部41および発光部42は、前述した透明カバー44を介して、ケース31の測定窓部45に臨んでいる。また、機器本体30が備える接続配線部46を介して回路基板20と光センサー部40とが電気的に接続されている。
このような光センサー部40は、発光部42から射出した光を被検体(例えばユーザーの皮膚)に対して照射し、その反射光を受光部41で受光することにより、脈波を検出する。光センサー部40は、検出した脈波の情報をCPU21に送信する。
なお、光電センサーに代えて、心電計、超音波センサーのような他のセンサーを用いるようにしてもよい。
また、機器本体30は、図示しない通信部を備えている。この通信部は、機器本体30が取得した各種の情報や記憶している情報、CPU21による演算結果等を外部に送信する。
表示部50は、風防板55を介して、電気光学パネル60の表示内容をユーザーに視認させる。これにより、例えば前述した要素から取得した情報を、文字や画像として表示部50に表示し、ユーザーに認識させることができる。
電気光学パネル60としては、例えば、液晶表示素子、有機EL(Organic Electro Luminescence)表示素子、電気泳動表示素子、LED(Light Emitting Diode)表示素子等が挙げられる。
図15では、一例として、電気光学パネル60が反射型の表示素子(例えば反射型液晶表示素子、電気泳動表示素子等)である場合を図示している。このため、表示部50は、電気光学パネル60が備える導光板(図示せず)の光入射面に設けられた照明部61を備えている。照明部61としては、例えばLED素子が挙げられる。このような照明部61および導光板は、反射型表示素子のフロントライトとして機能する。
なお、電気光学パネル60が透過型の表示素子(例えば透過型液晶表示素子等)である場合には、フロントライトに代えてバックライトを設けるようにすればよい。
また、電気光学パネル60が自発光型の表示素子(例えば有機EL表示素子、LED表示素子等)である場合や、自発光型ではないものの外光を利用する表示素子である場合には、フロントライトやバックライトを省略することができる。
二次電池70は、図示しない配線を介して回路基板20に接続されている。これにより、二次電池70から出力される電力を、前述した要素の駆動に用いることができる。また、太陽電池80で発電した電力によって、二次電池70を充電することができる。
以上のような電子時計200(電子機器)は、例えば前述したセル80E(裏面電極型光電変換素子)を含む太陽電池80を備えている。すなわち、太陽電池80は、セル80Eを適用したセル80a、80b、80c、80dを備えている。このため、セル80a、80b、80c、80dが安定的に固定され、かつ光電変換効率が高い、信頼性の高い電子時計200が得られる。
なお、セル80Eに代えて、セル80A、80B、80C、80Dのうちのいずれかを備えていてもよい。また、電子時計200に代えて、アナログ時計に太陽電池80を搭載するようにしてもよい。
以上、電子時計200について説明したが、本発明の電子機器の実施形態は電子時計に限定されず、例えば携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、カメラ等であってもよい。
<電子時計の変形例>
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計の変形例について説明する。
図16は、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計の変形例を示す平面図である。また、図17は、図16に示す電子時計の縦断面図である。
電子時計91は、図16または図17に示すように、外装ケース930と、カバーガラス933と、裏蓋934と、を備えている。外装ケース930は、円筒状のケース本体931に、ベゼル932が嵌合されて構成されている。このベゼル932の内周側に、リング状のダイヤルリング935を介して、円盤状の文字板911が時刻表示部分として配置されている。
また、外装ケース930の側面には、文字板911の中心より、2時方向の位置にAボタン92と、4時方向の位置にBボタン93と、3時方向の位置にリューズ94とが設けられている。
電子時計91は、図16または図17に示すように、金属製のケース本体931の2つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル932を介してカバーガラス933で塞がれており、裏面側の開口は、裏蓋934で塞がれている。
外装ケース930の内側には、ベゼル932の内周に取り付けられているダイヤルリング935と、光透過性の文字板911と、指針921~924と、カレンダー車920と、各指針921~924およびカレンダー車920を駆動する駆動機構9140と、が設けられている。
ダイヤルリング935は、カバーガラス933と並行している平板部分と、文字板911側へ傾斜した傾斜部分と、を備えている。ダイヤルリング935の平板部分および傾斜部分と、ベゼル932の内周面とによりドーナツ形状の収納空間が形成されており、この収納空間内には、リング状のアンテナ体9110が収納されている。
文字板911は、外装ケース930の内側で時刻を表示する円形の板材であり、例えばプラスチック等の光透過性の材料で形成されている。また、文字板911とカバーガラス933との間には、指針921~924等が設けられている。
文字板911と、駆動機構9140が取り付けられている地板9125と、の間には、光発電を行う太陽電池9135が備えられている。すなわち、太陽電池9135は、文字板911の裏側に設けられている。そして、太陽電池9135は、文字板911を透過してくる光を受けて光発電する。
太陽電池9135は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する複数の光発電素子を直列接続した円形の平板であって、前述した太陽電池80と同様、本発明の光電変換モジュールの実施形態である。このため、太陽電池9135は、セル(裏面電極型光電変換素子)が安定的に固定され、かつ光電変換効率が高く、信頼性の高いものとなる。
また、文字板911、太陽電池9135および地板9125には、指針921~923の指針軸929と、指針924の図示しない指針軸と、が貫通する穴が形成されている。また、文字板911および太陽電池9135には、それぞれカレンダー小窓919の開口部が形成されている。
駆動機構9140は、地板9125に取り付けられ、回路基板9120で裏面側から覆われている。駆動機構9140は、ステップモーターと歯車等の輪列とを有し、ステップモーターが輪列を介して指針軸929等を回転させることにより各指針921~924およびカレンダー車920等を駆動する。
回路基板9120は、GPS受信回路945と、制御装置950と、を備えている。また、この回路基板9120およびアンテナ体9110は、アンテナ接続ピン9115を用いて互いに接続されている。GPS受信回路945および制御装置950が設けられた回路基板9120の裏蓋934側には、これらの回路部品を覆うための回路押さえ9122が設けられている。また、リチウムイオン電池等の二次電池9130が、地板9125と裏蓋934との間に設けられている。二次電池9130は、太陽電池9135が発電した電力で充電される。
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の裏面電極型光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器は、前記実施形態の要素の一部が、同等の機能を有する任意の要素に代替されたものであってもよく、また、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、前記実施形態では、n型のSi基板を用いているが、p型のSi基板を用いるようにしてもよい。すなわち、前記実施形態では、第1導電型としてn型、第2導電型としてp型を採用した例を説明しているが、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。後者の場合、前記実施形態におけるn型とp型の関係を互いに入れ替えるようにすればよい。