JP2019129274A - 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器 - Google Patents

光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2019129274A
JP2019129274A JP2018011308A JP2018011308A JP2019129274A JP 2019129274 A JP2019129274 A JP 2019129274A JP 2018011308 A JP2018011308 A JP 2018011308A JP 2018011308 A JP2018011308 A JP 2018011308A JP 2019129274 A JP2019129274 A JP 2019129274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
layer
intermediate layer
conversion element
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018011308A
Other languages
English (en)
Inventor
泰志 山崎
Yasushi Yamazaki
泰志 山崎
矢野 邦彦
Kunihiko Yano
邦彦 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2018011308A priority Critical patent/JP2019129274A/ja
Publication of JP2019129274A publication Critical patent/JP2019129274A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/547Monocrystalline silicon PV cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Electric Clocks (AREA)
  • Electromechanical Clocks (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】光電変換効率が高く色調が良好な光電変換素子、および、かかる光電変換素子を備える信頼性および意匠性の高い光電変換モジュールおよび電子機器を提供すること。【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側に設けられ、前記半導体基板側から第1層、中間層および第2層の順に積層されてなる反射防止多層体と、を有し、前記第1層は、SiNxOy(ただし、0≦x≦4/3、0≦y≦2、および、0≦3x+2y≦4である。)で表されるケイ素化合物を含み、前記中間層は、複数層で構成されており、前記第2層の屈折率は、前記中間層を構成する前記複数層のうち、前記第2層側に設けられた層の屈折率より低いことを特徴とする光電変換素子。【選択図】図8

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器に関するものである。
GPS(Global Positioning System)等の測位システムに用いられる位置情報衛星か
らの電波を受信し、測位信号に含まれる時刻を取得したり、現在位置を検出したりする装
着型電子機器(腕時計)が提案されている。
例えば、特許文献1には、腕時計ケースと、文字板と、文字板の下側に配置され位置情
報衛星からの電波を受信するアンテナを含む時計モジュールと、文字板と時計モジュール
との間に設けられたソーラーパネルと、を有する腕時計が開示されている。このような腕
時計によれば、文字板が光透過性を有しているため、文字板を透過した外部光をソーラー
パネルに照射することにより、時計モジュールの動作に必要な電力を発電することができ
る。
また、ソーラーパネルとして用いられる光起電力素子の構造として、背面接合構造が知
られている。特許文献2には、ベース部およびエミッター部が形成された半導体基板と、
エミッター部と接触する第1電極と、ベース部と接触する第2電極と、を備える背面接合
構造を有する光起電力素子が開示されている。背面接合構造によれば、前面に電極を設け
る必要がないことから、その電極に起因する受光面積の縮小を避けることができ、構造に
起因する電力損失を低減することができる。
また、特許文献2には、半導体基板の前面に、複数の層を積層してなる反射防止膜を設
けることが開示されている。これにより、太陽光が入射する際に反射に伴う損失が発生す
ることが防止され、光起電力素子の効率が向上する。
特開2016−176957号公報 特開2013−084930号公報
ところが、反射防止膜は、特定の波長の光について最適化されるように設計される。通
常は、緑色や赤色といった比較的長波長の光の反射率を低下させる一方、青色のような比
較的短波長の光の反射率についてはやや高くなるように設計されることが多い。したがっ
て、従来のソーラーパネルには、暗青色の色調を呈するものが多い。
一方、ソーラーパネルが呈する色調は、それを搭載する電子機器の美的外観を大きく左
右することになる。このため、ソーラーパネルが呈する色調によっては、電子機器の美的
外観(意匠性)にとって好ましくない影響を及ぼすおそれがある。
本発明の目的は、光電変換効率が高く色調が良好な光電変換素子、および、かかる光電
変換素子を備える信頼性および意匠性の高い光電変換モジュールおよび電子機器を提供す
ることにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光電変換素子は、半導体基板と、
前記半導体基板の一方の面側に設けられ、前記半導体基板側から第1層、中間層および
第2層がこの順で積層されてなる反射防止多層体と、
を有し、
前記第1層は、SiN(ただし、0≦x≦4/3、0≦y≦2、および、0≦3
x+2y≦4である。)で表されるケイ素化合物を含み、
前記中間層は、複数層で構成されており、
前記第2層の屈折率は、前記中間層を構成する前記複数層のうち、前記第2層側に設け
られた層の屈折率より低いことを特徴とする。
これにより、反射率を十分に低下させるとともに反射光の色調を無彩色に近づけること
ができるので、光電変換効率が高く色調が良好な光電変換素子が得られる。
本発明の光電変換素子では、前記第2層は、最表層であり、
前記第2層は、酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムを含むことが好ましい。
これにより、空気層から反射防止膜に入射する光の透過率を十分に高めつつ、反射防止
多層体の光学特性を長期にわたって安定的に維持することができる。
本発明の光電変換素子では、前記中間層は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、
酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ランタンおよび酸化ア
ルミニウムのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
これにより、化学的安定性が高く、かつ、光透過性が高い反射防止多層体が得られる。
その結果、反射防止多層体の透過率を十分に高めつつ、反射防止多層体の光学特性を長期
にわたって安定的に維持することができる。
本発明の光電変換素子では、前記第1層は、前記半導体基板に接しており、
前記ケイ素化合物は、窒化ケイ素であることが好ましい。
これにより、第1層は、反射防止多層体の一部であるとともにパッシベーション膜とし
ての機能も有する。このため、光照射によって半導体基板中に生成された少数キャリアー
の表面再結合を抑制することができ、受光面の反射率を低減するという効果と、光電変換
効率の低下を抑制するという効果と、を両立させることができる。
本発明の光電変換素子では、前記半導体基板の前記反射防止多層体に臨む面は、Si(
100)面であることが好ましい。
これにより、他のSi結晶面に比べて界面準位密度が低いSi(100)面において表
面での少数キャリアーの再結合を抑制することができるので、室内光のような低照度下に
おいて光電変換効率の低下を抑制することができる。
本発明の光電変換素子では、前記半導体基板の前記反射防止多層体に臨む面は、Si(
111)面であることが好ましい。
これにより、半導体基板の反射防止多層体に臨む面に対し、ウェットエッチング法によ
って比較的均一な形状のテクスチャーを形成することができる。その結果、テクスチャー
による光閉じ込め効果によって光電変換効率の向上を図るとともに、受光面の反射率を低
減させることができる。
本発明の光電変換素子では、表面に対する入射角が0°以上87°以下の範囲でCIE
標準光源D65の光を入射したとき、正反射光のL*a*b*表色系におけるa*値およ
びb*値が、−20≦a*≦20および−20≦b*≦20を満たすことが好ましい。
これにより、反射光の色調を無彩色に十分に近づけることができる。このため、光電変
換素子の色調が黒色に近くなり、光電変換素子の美的外観の向上に寄与する。
本発明の光電変換モジュールは、本発明の光電変換素子と、
前記光電変換素子と電気的に接続されている配線基板と、
を有することを特徴とする。
これにより、信頼性および意匠性が高い光電変換モジュールが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性および意匠性の高い電子機器が得られる。
本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計を示す斜視図である。 本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計を示す斜視図である。 図1、2に示す電子時計の平面図である。 図1、2に示す電子時計の縦断面図である。 図4に示す電子時計のうち、光電変換モジュールのみを図示した平面図である。 図5に示す光電変換モジュールの分解斜視図である。 図5に示す光電変換モジュールのA−A線断面図である。 図7に示す光電変換素子の部分拡大図である。 図8に示す反射防止膜の一例についての分光特性を示す図である。 図8に示す反射防止膜の一例についての反射光の色度を示すL*a*b*表色系色度図である。 従来のセル(光電変換素子)を模したモデルを示す断面図である。 図11に示すモデルが有する反射防止膜についての分光特性を示す図である。 図11に示すモデルが有する反射防止膜についての反射光の色度を示すL*a*b*表色系色度図である。 第2実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。 第3実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。 図15に示す反射防止膜の一例についての分光特性を示す図である。 図15に示す反射防止膜の一例についての反射光の色度を示すL*a*b*表色系色度図である。 第4実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。 図18に示す反射防止膜の一例についての分光特性を示す図である。 図18に示す反射防止膜の一例についての反射光の色度を示すL*a*b*表色系色度図である。 第5実施形態に係る反射防止膜の一例についての分光特性を示す図である。 第5実施形態に係る反射防止膜の一例についての反射光の色度を示すL*a*b*表色系色度図である。
以下、本発明の光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器について、添付図面
に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<電子機器>
まず、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計について説明する。かかる電子
時計は、受光面に光が照射されると、内蔵する太陽電池(光電変換モジュール)によって
発電(光電変換)し、発電により得られた電力を駆動電力として利用するように構成され
ている。
図1、2は、それぞれ、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計を示す斜視図
である。このうち、図1は、電子時計の表側(太陽電池の受光面側)から見たときの外観
を表す斜視図であり、図2は、電子時計の裏側から見たときの外観を表す斜視図である。
また、図3は、図1、2に示す電子時計の平面図であり、図4は、図1、2に示す電子時
計の縦断面図である。
電子時計200は、ケース31と太陽電池80(光電変換モジュール)と表示部50と
光センサー部40を含む機器本体30と、ケース31に取り付けられた2つのバンド10
と、を有している。
なお、以下の説明では、太陽電池80の受光面に直交する方向に延在する方向軸をZ軸
とする。また、電子時計の裏側から表側への向きを「+Z方向」とし、その反対向きを「
−Z方向」とする。
一方、Z軸に直交する2つの軸を「X軸」および「Y軸」とする。このうち、2つのバ
ンド10同士を結ぶ方向軸をY軸とし、Y軸に直交する方向軸をX軸とする。また、表示
部50の上向きを「+Y方向」とし、下向きを「−Y方向」とする。また、太陽電池80
の受光面を平面視したとき、右向きを「+X方向」とし、左向きを「−X方向」とする。
以下、電子時計200の構成について順次説明する。
(機器本体)
機器本体30は、表側および裏側に開口したケース31と、表側の開口部を塞ぐように
設けられた風防板55と、ケース31の表面と風防板55の側面とを覆うように設けられ
たベゼル57と、裏側の開口部を塞ぐように設けられた透明カバー44と、を備える筐体
を有している。この筐体内には、後述する種々の構成要素が収容される。
筐体のうち、ケース31は円環状をなしており、表側には風防板55を嵌め込み可能な
開口部35を備え、裏側には透明カバー44を嵌め込み可能な開口部(測定窓部45)を
備えている。
また、ケース31の裏側の一部は、突出するように成形された凸状部32になっている
。この凸状部32の頂部が開口しており、この開口部に透明カバー44が嵌め込まれてい
るとともに、透明カバー44の一部が開口部から突出している。
ケース31の構成材料としては、例えばステンレス鋼、チタン合金のような金属材料の
他、樹脂材料、セラミック材料等が挙げられる。また、ケース31は、複数の部位の組み
立て体であってもよく、その場合、部位同士で構成材料が異なっていてもよい。
また、ケース31の外側面には、複数の操作部58(操作ボタン)が設けられている。
また、ケース31の表側に設けられた開口部35の外縁には、+Z方向に突出する突起
部34が形成されている。そして、この突起部34を覆うように、円環状をなすベゼル5
7が設けられている。
さらに、ベゼル57の内側には風防板55が設けられている。そして、風防板55の側
面とベゼル57との間が、パッキンや接着剤のような接合部材56を介して接着されてい
る。
風防板55および透明カバー44の構成材料としては、例えばガラス材料、セラミック
材料、樹脂材料等が挙げられる。また、風防板55は透光性を有し、風防板55を介して
表示部50の表示内容を視認することができるようになっている。さらに、透明カバー4
4も透光性を有し、光センサー部40を生体情報測定部として機能させることができる。
また、筐体の内部空間36は、後述する種々の構成要素を収容可能な閉空間になってい
る。
機器本体30は、それぞれ内部空間36に収容される要素として、回路基板20と、方
位センサー22(地磁気センサー)と、加速度センサー23と、GPSアンテナ28と、
光センサー部40と、表示部50を構成する電気光学パネル60および照明部61と、二
次電池70と、太陽電池80と、を備えている。また、機器本体30は、これらの要素の
他にも、標高や水深等を算出するための圧力センサー、温度を測定する温度センサー、角
速度センサーのような各種センサー、バイブレーター等を備えていてもよい。
回路基板20は、前述した要素同士を電気的に接続する配線を含む基板である。また、
回路基板20には、前述した要素の動作を制御する制御回路や駆動回路等を含むCPU2
1(Central Processing Unit)および他の回路素子24が搭載されている。
また、太陽電池80、電気光学パネル60、回路基板20および光センサー部40は、
風防板55側からこの順で配置されている。これにより、太陽電池80は、風防板55に
近接して配置されることになり、多くの外部光が太陽電池80に効率よく入射する。その
結果、太陽電池80における発電効率を最大限に高めることができる。
以下、機器本体30に収容される要素についてさらに詳述する。
回路基板20は、その端部が回路ケース75を介してケース31に取り付けられている
また、回路基板20には、接続配線部63および接続配線部81が電気的に接続されて
いる。このうち、接続配線部63を介して回路基板20と電気光学パネル60とが電気的
に接続されている。また、接続配線部81を介して回路基板20と太陽電池80とが電気
的に接続されている。これらの接続配線部63、81は、例えばフレキシブル回路基板で
構成され、内部空間36の隙間に効率よく引き回される。
方位センサー22および加速度センサー23は、電子時計200を装着したユーザーの
体の動きに係る情報を検出することができる。方位センサー22および加速度センサー2
3は、ユーザーの体動に応じて変化する信号を出力し、CPU21に送信する。
CPU21は、GPSアンテナ28を含むGPS受信部(図示せず)を制御する回路、
光センサー部40を駆動しユーザーの脈波等を測定する回路、表示部50を駆動する回路
、太陽電池80の発電を制御する回路等を含む。
GPSアンテナ28は、複数の位置情報衛星から電波を受信する。また、機器本体30
は、図示しない信号処理部を備えている。信号処理部は、GPSアンテナ28が受信した
複数の測位信号に基づいて測位計算を行い、時刻および位置情報を取得する。信号処理部
は、これらの情報をCPU21に送信する。
光センサー部40は、ユーザーの脈波等を検出する生体情報測定部である。図4に示す
光センサー部40は、受光部41と、受光部41の外側に設けられた複数の発光部42と
、受光部41および発光部42が搭載されたセンサー基板43と、を含む光電センサーで
ある。また、受光部41および発光部42は、前述した透明カバー44を介して、ケース
31の測定窓部45に臨んでいる。また、機器本体30が備える接続配線部46を介して
回路基板20と光センサー部40とが電気的に接続されている。
このような光センサー部40は、発光部42から射出した光を被検体(例えばユーザー
の皮膚)に対して照射し、その反射光を受光部41で受光することにより、脈波を検出す
る。光センサー部40は、検出した脈波の情報をCPU21に送信する。
なお、光電センサーに代えて、心電計、超音波センサーのような他のセンサーを用いる
ようにしてもよい。
また、機器本体30は、図示しない通信部を備えている。この通信部は、機器本体30
が取得した各種の情報や記憶している情報、CPU21による演算結果等を外部に送信す
る。
表示部50は、風防板55を介して、電気光学パネル60の表示内容をユーザーに視認
させる。これにより、例えば前述した要素から取得した情報を、文字や画像として表示部
50に表示し、ユーザーに認識させることができる。
電気光学パネル60としては、例えば、液晶表示素子、有機EL(Organic Electro Lu
minescence)表示素子、電気泳動表示素子、LED(Light Emitting Diode)表示素子等
が挙げられる。
図4では、一例として、電気光学パネル60が反射型の表示素子(例えば反射型液晶表
示素子、電気泳動表示素子等)である場合を図示している。このため、表示部50は、電
気光学パネル60が備える導光板(図示せず)の光入射面に設けられた照明部61を備え
ている。照明部61としては、例えばLED素子が挙げられる。このような照明部61お
よび導光板は、反射型表示素子のフロントライトとして機能する。
なお、電気光学パネル60が透過型の表示素子(例えば透過型液晶表示素子等)である
場合には、フロントライトに代えてバックライトを設けるようにすればよい。
また、電気光学パネル60が自発光型の表示素子(例えば有機EL表示素子、LED表
示素子等)である場合や、自発光型ではないものの外光を利用する表示素子である場合に
は、フロントライトやバックライトを省略することができる。
二次電池70は、図示しない配線を介して回路基板20に接続されている。これにより
、二次電池70から出力される電力を、前述した要素の駆動に用いることができる。また
、太陽電池80で発電した電力によって、二次電池70を充電することができる。
以上、電子時計200について説明したが、本発明の電子機器の実施形態は電子時計に
限定されず、例えば携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末
、カメラ等であってもよい。
≪第1実施形態≫
まず、第1実施形態に係る光電変換モジュールとして太陽電池80について説明する。
併せて、第1実施形態に係る光電変換素子としてセル80a、80b、80c、80dに
ついて説明する。
(太陽電池)
太陽電池80は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換モジュールである
図5は、図4に示す電子時計200のうち、太陽電池80のみ(第1実施形態に係る光
電変換モジュール)を図示した平面図である。また、図6は、図5に示す太陽電池80の
分解斜視図である。
図5、6に示す太陽電池80(光電変換モジュール)は、風防板55と電気光学パネル
60との間に設けられ、結晶性を有する半導体基板を含む4つのセル80a、80b、8
0c、80d(光電変換素子)と、4つのセル80a、80b、80c、80dと電気的
に接続された配線基板82と、を備えている。
セル80a、80b、80c、80dは、それぞれ板状をなしており、その主面はZ軸
方向に向いている。また、セル80a、80b、80c、80dの各主面のうち、風防板
55に臨む主面は、外部光を受光する受光面84となる。一方、電気光学パネル60に臨
む主面は、発電した電力を取り出す電極パッドが設けられた電極面85となる。
図5、6に示す太陽電池80の平面視形状は、円環になっている。換言すれば、4つの
セル80a、80b、80c、80dがわずかな隙間を介して並ぶことにより、全体の平
面視形状は、内縁形状(内形形状)および外縁形状(外形形状)がそれぞれ円形である円
環になっている。
一方、前述したケース31の開口部35は、円形をなしていることから、その内縁は曲
線を含んでいる。
また、4つのセル80a、80b、80c、80dにおいて、それぞれの内縁および外
縁は、互いに同じ中心を持つ円(同心円)の一部であることが好ましい。換言すれば、4
つのセル80a、80b、80c、80dの集合体が円環をなすとき、その円環の内円と
外円とが同心円であることが好ましい。これにより、とりわけ意匠性が高い電子時計20
0を実現することができる。
なお、図3に示すように、太陽電池80の内縁側には、表示部50(電気光学パネル6
0)が設けられるが、この表示部50の表示形状は、太陽電池80の内縁に沿っている。
換言すれば、電子時計200は、太陽電池80の内縁に沿う画素領域を含む電気光学パネ
ル60を有する。このように配置することで、例えば太陽電池80の内側に配される表示
部50の表示形状を円形にすることができるので、意匠性が高い電子時計200を実現す
ることができる。
また、太陽電池80の少なくとも一部は、電気光学パネル60の画素領域より外側と重
なるように配置されている。これにより、例えば、太陽電池80の受光面84を正視する
ように電子時計200を見たとき、太陽電池80よりも遠い位置に表示部50(電気光学
パネル60)が配置されれば、太陽電池80は、電気光学パネル60の画素領域の外側を
覆う、いわゆる見切り板として機能することができる。
なお、本実施形態では、4つのセル80a、80b、80c、80dの集合体によって
太陽電池80が構成されているが、セルの数は、1つであってもよく、2つ以上の任意の
数であってもよい。
また、本実施形態では、太陽電池80の平面視形状が円環になっているが、多重の円環
であってもよい。
また、4つのセル80a、80b、80c、80dのうち、1つ以上が省略されてもよ
く、セル同士の形状が互いに異なっていてもよい。
ここで、太陽電池80についてさらに詳述する。
図7は、図5に示す太陽電池80のA−A線断面図である。また、図8は、図7に示す
セル80bの部分拡大図である。なお、図7、8では、半導体基板としてSi基板800
を用いた例を図示している。また、以下の説明では、説明の便宜上、図7、8の上方を「
上」、下方を「下」として説明する。さらに、セル80a、80b、80c、80dやそ
れに含まれるSi基板800のうち、電極面85側の面のことを「裏面」ともいう。
図7に示す太陽電池80は、Si基板800(半導体基板)を含むセル80b、80d
と、配線基板82と、を有している。
このうち、セル80b、80dは、それぞれ、Si基板800(半導体基板)と、フィ
ンガー電極804と、バスバー電極805と、パッシベーション膜806と、層間絶縁膜
807と、反射防止膜809と、を有している。以下、各部について詳述する。なお、以
下の説明では、セル80b、80dを例に説明するが、セル80a、80cについても同
様である。
図7に示すセル80b、80dは、それぞれ、Si基板800と、Si基板800の裏
面に形成されたp+拡散領域801およびn+拡散領域802と、p+拡散領域801お
よびn+拡散領域802に接続されているフィンガー電極804、フィンガー電極804
に接続されているバスバー電極805と、パッシベーション膜806と、層間絶縁膜80
7と、反射防止膜809と、を備えている。なお、図7では、図示の便宜上、p+拡散領
域801に接続されているバスバー電極805および電極パッド86(正極)のみを図示
し、n+拡散領域802に接続されているバスバー電極および電極パッド(負極)の図示
を省略している。また、図7では、n+拡散領域802に接続されているフィンガー電極
804について破線で示しており、このフィンガー電極804がバスバー電極805と電
気的に接続されていないことを表している。
Si基板800としては、例えばSi(100)基板等が用いられる。したがって、S
i基板800の主面、すなわちSi基板800の反射防止膜809(反射防止多層体81
0)に臨む面およびそれとは反対の面は、Si(100)面である。このようなSi(1
00)面は、他のSi結晶面に比べて界面準位密度が低いため、表面での少数キャリアー
の再結合を抑制する。このため、Si(100)面が反射防止膜809に臨む面になって
いる場合、室内光のような低照度下においても光電変換効率の低下を抑制することができ
る。
また、Si(100)面は、平坦面であるのが好ましい。これにより、受光面84の見
た目の均一性が高くなるため、セル80b、80dの美的外観を高めることができる。
なお、Si基板800の結晶面は、特に限定されず、Si(100)面以外の結晶面で
あってもよい。
Si基板800(半導体基板)の主要構成元素以外の不純物元素濃度は、できるだけ低
いことが好ましいが、それぞれ1×1011[atoms/cm]以下であるのがより
好ましく、1×1010[atoms/cm]以下であるのがさらに好ましい。不純物
元素濃度が前記範囲内であることにより、Si基板800の不純物が光電変換に及ぼす影
響を十分に小さく抑えることができる。これにより、小面積であっても十分な電力を発生
させ得る太陽電池80を実現することができる。さらに、室内光のような低照度光におい
ても発電効率が低下しにくくなるという利点もある。
なお、Si基板800の不純物元素濃度は、例えばICP−MS(Inductively Couple
d Plasma - Mass Spectrometry)法により測定することができる。
また、Si基板800は、前述したように結晶性を有している。この結晶性とは、単結
晶性または多結晶性のことをいう。このような結晶性を有するSi基板800を含むこと
により、非晶質性を有する半導体基板を含む場合に比べて、より発電効率の高い太陽電池
80が得られる。かかる太陽電池80は、仮に同じ電力を発電する場合、より面積を小さ
くすることを可能にする。このため、結晶性を有する半導体基板を含むことにより、発電
効率と意匠性とをより高度に両立させた電子時計200が得られる。
特に、Si基板800は、単結晶性を有するものが好ましい。これにより、太陽電池8
0の発電効率が特に高められる。したがって、発電効率と意匠性との両立を最大限に図る
ことができる。また、特に、太陽電池80の省スペース化が図られることにより、電子時
計200の意匠性をより高めることができる。さらに、室内光のような低照度光において
も発電効率が低下しにくいという利点もある。
なお、単結晶性を有するとは、半導体基板全体が単結晶である場合の他、一部が多結晶
または非晶質である場合も含む。後者の場合、単結晶の体積が相対的に大きい(例えば全
体の90体積%以上である)ことが好ましい。
また、Si基板800は、化合物半導体基板(例えばGaAs基板)等で代替すること
が可能である。
また、太陽電池80が4つのセル80a、80b、80c、80d(複数の半導体基板
)を含み、各Si基板800が単結晶性を有している場合、4つのセル80a、80b、
80c、80dの主面の結晶方位(結晶軸)が互いに同じであるのが好ましい。これによ
り、4つのセル80a、80b、80c、80dの外観が揃いやすくなるため、外観の均
一化が図られることとなり、太陽電池80全体の意匠性もより高めることができる。また
、4つのセル80a、80b、80c、80dの受光面84にエッチング処理を施す場合
、エッチングレートが結晶方位に依存しやすいことを踏まえると、処理結果の差が自ずと
小さくなる。かかる観点からも、4つのセル80a、80b、80c、80dの受光面に
おける光の反射率や反射方向等の特性が揃いやすくなり、太陽電池80全体の意匠性がさ
らに高くなる。
また、各セル80a、80b、80c、80d同士の隙間の長さd(図3参照)は、特
に限定されないが、0.05mm以上3mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1
mm以下であるのがより好ましい。隙間の長さdを前記範囲内に設定することにより、受
光面84側から太陽電池80を見たとき、図7に示す端面808がより見えにくくなる。
これにより、端面808が見えてしまうことによる太陽電池80の美的外観の悪化を抑制
することができる。また、隙間の長さdが短すぎることによる、太陽電池80の組み立て
にくさやセル同士が接触しやすくなるという問題を回避するという観点からも有用である
また、各セル80a、80b、80c、80dの厚さは、特に限定されないが、50μ
m以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがよ
り好ましい。これにより、太陽電池80の光電変換効率と機械的特性との両立を図ること
ができる。また、電子時計200の薄型化にも貢献することができる。
また、p+拡散領域801に接続されているバスバー電極805の一部が露出し、前述
した電極パッド86を構成している。一方、n+拡散領域802に接続されているバスバ
ー電極(図示せず)の一部が露出し、前述した電極パッド87を構成している。
また、電極パッド86は、図7に示すように、導電接続部83を介して、配線基板82
と接続されている。同様に、電極パッド87も、図示しない導電接続部を介して、配線基
板82と接続されている。
導電接続部83としては、例えば導電ペースト、導電シート、金属材料、はんだ、ろう
材等が挙げられる。
また、太陽電池80は、受光面84に設けられた反射防止膜809を備えている。この
反射防止膜809については、後に詳述する。
また、フィンガー電極804とSi基板800との間、および、バスバー電極805と
フィンガー電極804との間は、それぞれ層間絶縁膜807を介して絶縁されている。
パッシベーション膜806および層間絶縁膜807の構成材料としては、例えば、酸化
ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。
フィンガー電極804やバスバー電極805の構成材料としては、例えば、アルミニウ
ム、チタン、銅のような金属の単体または合金等が挙げられる。
また、太陽電池80は、好ましくは裏面電極型とされる。具体的には、図6に示すよう
に、4つのセル80a、80b、80c、80dの電極面85に、それぞれ電極パッド8
6、87が設けられている。このうち、電極パッド86は正極であり、一方、電極パッド
87は負極である。したがって、電極パッド86および電極パッド87から配線を介して
電力を取り出すことができる。
裏面電極型では、全ての電極パッドを電極面85(裏面)側に配置することができる。
このため、受光面84を最大限に大きくすることができ、受光面積の最大化に伴う発電効
率の向上を図ることができる。加えて、受光面84側に電極パッドを設けることによる意
匠性の低下を防止することができる。このため、電子時計200の意匠性をさらに高める
ことができる。
なお、太陽電池80の構造は、裏面電極型に限定されず、受光面84側にも電極を設け
た構造であってもよい。
また、太陽電池80は、図5に示すように、電極パッド86および電極パッド87をそ
れぞれ複数含んでいるのが好ましい。これにより、セル80a、80b、80c、80d
と配線基板82との間を、電気的かつ機械的により確実に接続することができる。
また、複数の電極パッド86は、太陽電池80の外縁に沿って配置されている。一方、
複数の電極パッド87は、太陽電池80の内縁に沿って配置されている。このような配置
をとることにより、太陽電池80の延在方向(周方向)に沿って接続点を確保することが
できる。このため、太陽電池80をより確実に固定することができ、かつ、太陽電池80
と配線基板82との間の接続抵抗を十分に低減させることができる。
なお、電極パッド86、87の配置は、図示のものに限定されず、例えば電極パッド8
6の列の位置と電極パッド87の列の位置とが入れ替わっていてもよい。
また、1つのセル当たりの電極パッド86、87の数も、特に限定されず、それぞれ1
つであっても、任意の複数であってもよい。また、電極パッド86、87の形状も、特に
限定されず、いかなる形状であってもよい。
以上のようなフィンガー電極804、バスバー電極805、パッシベーション膜806
、層間絶縁膜807および反射防止膜809は、例えば、後述するように、図7に示すS
i基板800の裏面に対して順次成膜されることによって形成される。
配線基板82は、絶縁基板821と、その上に設けられた導電膜822と、を備えてい
る。
絶縁基板821としては、例えばポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板の
ような各種樹脂基板が挙げられる。導電膜822の構成材料としては、例えば銅または銅
合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銀または銀合金等が挙げられる。
また、図示しないものの、配線基板82は、導電膜822のうち、導電接続部83が設
けられる部分を除いてカバーフィルム等で覆われていてもよい。カバーフィルムとしては
、例えばポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムのような各種樹脂フ
ィルムが挙げられる。
(反射防止膜)
ここで、セル80bが備える反射防止膜809について説明する。なお、以下の説明は
、セル80a、80c、80dが備える反射防止膜809についても同様である。
図8は、図7に示すセル80bの部分拡大図である。
図8に示すセル80bは、Si基板800と、Si基板800の上面側(一方の面側)
に設けられた反射防止多層体810を含む反射防止膜809と、を有している。
このうち、反射防止多層体810は、Si基板800側から第1層811、中間層81
3および第2層812がこの順で積層されてなる多層体である。
そして、第1層811は、SiN(ただし、0≦x≦4/3、0≦y≦2、およ
び、0≦3x+2y≦4である。)で表されるケイ素化合物を含んでいる。
一方、第2層812の屈折率は、中間層813の第2層812側の層(第2中間層81
3b)の屈折率より低くなっている。
以上のような反射防止多層体810を有する反射防止膜809によれば、受光面84に
おける反射率を十分に低下させることができる。このため、反射に伴う光電変換効率の低
下を抑制することができ、セル80bの光電変換効率を高めることができる。
また、主に可視光の波長範囲において反射率を大きな偏りなく低下させ、反射光の波長
分布を最適化することができる。このため、反射光の色調が無彩色に近くなり、セル80
bが呈する色調が電子時計200の美的外観を低下させることが防止される。また、むし
ろ、無彩色に近い色調は、高級感や重厚感、金属的質感等を想起させ、美的外観の向上に
寄与する。その結果、意匠性が高い太陽電池80および電子時計200を実現することが
できる。
また、図8に示す中間層813は、複数層が積層されてなる多層構造を有している。具
体的には、図8に示す中間層813は、第1中間層813aおよび第2中間層813bが
第1層811側からこの順で積層されてなるものである。このような中間層813は、複
数層で構成されていることにより、干渉による反射率の低下をより広い波長範囲において
実現させることができる。このため、波長ごとの反射率の偏りを減少させることができ、
反射防止膜809の反射光の色調をより無彩色に近づけることができる。
なお、図8およびその他の図に示す反射防止膜809では、層構成を簡略化して図示し
ているため、層同士の膜厚比は正確に反映されていない。
図9は、図8に示す反射防止膜809の一例についての分光特性を示す図である。
図9に示す分光特性は、図8に示す反射防止膜809の一例についての、反射率の波長
依存性のシミュレーション結果である。この例では、各層の構成材料、屈折率および膜厚
を下記表1のように設定している。
Figure 2019129274
図9に示すように、図8に示す反射防止膜809によれば、特に波長450nm以上7
00nm以下の可視光領域において、反射率を10%以下に抑えることができている。こ
れにより、反射光の光量が低く抑えられるとともに、波長ごとの反射率の偏りも小さくす
ることができる。このため、反射防止膜809による反射光は、可視光領域の全体におい
て光量が抑えられることになるため、明度が低く、かつ、彩度の低いものとなる。
すなわち、Si基板800に到達する光量を増やすとともに、反射光の色調を黒色に近
づけることができる。このため、セル80bの光電変換効率および美的外観の向上を図る
ことができ、信頼性および意匠性の高い太陽電池80および電子時計200を実現するこ
とができる。
なお、図9に示す分光特性は、入射角が0°で反射防止膜809に光を入射したときの
正反射光の分光特性である。
また、波長450nm以上700nm以下における反射率は、好ましくは10%以下と
される。
−第1層−
例えば、第1層811の構成材料は、SiN(ただし、0≦x≦4/3、0≦y
≦2、および、0≦3x+2y≦4である。)で表されるケイ素化合物を含む。このよう
なケイ素化合物は、例えばx=4/3およびy=0のとき窒化ケイ素(Si)であ
り、例えばx=0およびy=2のとき酸化ケイ素(SiO)であり、それ以外のときは
酸窒化ケイ素である。このようなケイ素化合物は、例えば第1層811がSi基板800
に設定している場合、絶縁性が良好でかつシリコン材料に対する密着性が良好な第1層8
11を実現することができる。
なお、表1に示す例では、第1層811に含まれるケイ素化合物が窒化ケイ素である。
第1層811がこのようなケイ素化合物を含むことにより、第1層811は、反射防止多
層体810の一部であるとともに、パッシベーション膜としての機能も有する。このよう
なパッシベーション膜の機能が付与されることにより、例えば図8に示すように第1層8
11がSi基板800に接する場合、光照射によってSi基板800中に生成された少数
キャリアーの表面再結合を抑制することができる。このため、受光面84の反射率を低減
するという効果と、少数キャリアーの表面再結合に伴う光電変換効率の低下を抑制すると
いう効果と、を両立させることができる。
なお、第1層811に含まれる上記材料では、不可避的に含まれる不純物の混入は許容
される。
また、第1層811の屈折率は、表1に示す値に限定されず、第1層811の膜厚や構
成材料、目的とする分光特性等に応じて適宜設定されるものの、例えば1.6以上2.5
以下であるのが好ましい。
また、第1層811の膜厚も、表1に示す値に限定されず、第1層811の屈折率や構
成材料、目的とする分光特性等に応じて適宜設定されるものの、例えば20nm以上20
0nm以下であるのが好ましく、40nm以上100nm以下であるのがより好ましい。
−第2層−
一方、第2層812の屈折率は、前述したように、中間層813の第2層812側の層
の屈折率より低くなるように設定される。このため、第2層812の屈折率は、比較的低
屈折率とされるため、例えば図8に示す反射防止膜809のように第2層812を最表層
とした場合、空気層から反射防止膜809に入射するときの反射率を低減することができ
る。このため、透過率が良好な反射防止膜809を得ることができる。
なお、中間層813の第2層812側の層の屈折率とは、本実施形態の場合、第2中間
層813bの屈折率のことを指す。
また、図8に示すように第2層812が最表層である場合、第2層812の構成材料と
しては、表1に示すものに限定されず、例えば酸化ケイ素(SiO)のような各種酸化
物、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム
(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化ランタ
ン(LaF)のような各種フッ化物等が挙げられる。
このうち、酸化ケイ素(SiO)またはフッ化マグネシウム(MgF)が好ましく
用いられる。これらの材料は、比較的屈折率が低く、かつ化学的安定性が高い。このため
、空気層から反射防止膜809に入射する光の透過率を十分に高めつつ、反射防止膜80
9の光学特性を長期にわたって安定的に維持することができる。
なお、第2層812に含まれる上記材料は、不可避的に含まれる不純物の混入は許容さ
れる。
また、第2層812の屈折率は、表1に示す値に限定されず、中間層813の屈折率は
もとより、第2層812の膜厚や構成材料、目的とする分光特性等に応じて適宜設定され
るものの、例えば1.6未満であるのが好ましく、1.5以下であるのがより好ましい。
また、第2層812の膜厚は、表1に示す値に限定されず、第2層812の屈折率や構
成材料、目的とする分光特性等に応じて適宜設定されるものの、例えば30nm以上20
0nm以下であるのが好ましく、60nm以上150nm以下であるのがより好ましい。
−中間層−
中間層813の構成材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化ニオブ(N
)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジル
コニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化チタン(TiO)、酸化ラ
ンタン(La)、酸化プラセオジム(Pr)、酸化セリウム(CeO)、
酸化ネオジム(Nd)、酸化プロメチウム(Pm)、酸化サマリウム(Sm
)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テ
ルビウム(Tb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホルミウム(Ho
)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ルテチ
ウム(Lu)、酸化イットリウム(Y)等の各種酸化物、窒化ケイ素(Si
)のような各種窒化物、酸窒化ケイ素(SiN(ただし、0<x<4/3、
0<y<2、および、0<3x+2y<4である。))のような酸窒化物等、およびこれ
らの混合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
このうち、中間層813の構成材料は、窒化ケイ素(Si)、酸化ケイ素(Si
)、酸窒化ケイ素(SiN(ただし、0<x<4/3、0<y<2、および、
0<3x+2y<4である。))、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO
、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(La
)および酸化アルミニウム(Al)のうちの少なくとも1種を含むことが好ま
しい。このような材料は、化学的安定性が高く、かつ、光透過性が高いことから、反射防
止膜809(反射防止多層体810)の透過率を十分に高めつつ、反射防止膜809の光
学特性を長期にわたって安定的に維持することができる。
なお、これらの材料は、屈折率によって高屈折率材料、中屈折率材料および低屈折率材
料に分けられる。したがって、中間層813の構成材料は、中間層813を構成する各層
の屈折率の設計値によって適宜選択される。
また、前述したように、図8に示す中間層813は、第1中間層813aおよび第2中
間層813bが第1層811側からこの順で積層されてなるものである。
このとき、第1中間層813aの屈折率は、例えばそれに隣接する第1層811の屈折
率より低くなるように設定される。一方、第2中間層813bの屈折率は、例えばそれに
隣接する第2層812の屈折率より高くなるように設定される。したがって、第1中間層
813aおよび第2中間層813bの構成材料は、このような屈折率の高低関係に応じて
適宜選択され、一般的には互いに異なるように選択される。
なお、第1中間層813aの屈折率および第2中間層813bの屈折率は、それぞれ表
1に示す値に限定されず、第1中間層813aおよび第2中間層813bの膜厚や構成材
料、目的とする分光特性等に応じて適宜設定されるものの、例えば1.3以上2.8以下
であるのが好ましく、1.4以上2.5以下であるのがより好ましい。
また、第1中間層813aの膜厚および第2中間層813bの膜厚は、それぞれ表1に
示す値に限定されず、第1中間層813aおよび第2中間層813bの屈折率や構成材料
、目的とする分光特性等に応じて適宜設定されるものの、例えば3nm以上250nm以
下であるのが好ましく、5nm以上200nm以下であるのがより好ましい。
なお、中間層813が多層構造を有する場合、その層数は、図8に示す2層に限定され
ず、後述するような3層以上であってもよい。
ただし、層数が多くなりすぎると、反射防止膜809の透過率が低下するおそれがある
ため、かかる観点を考慮すれば、中間層813の層数は、2層以上50層以下であるのが
好ましく、2層以上20層以下であるのがより好ましい。
また、第1層811、中間層813および第2層812は、それぞれSi基板800に
対して各種成膜法により形成される。成膜法としては、例えば、スパッタリング法、CV
D法、真空蒸着法のような乾式法、塗布法、ゾルゲル法のような湿式法等が挙げられ、こ
れらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
−反射光の色調−
また、図8に示す反射防止膜809によれば、図9に示すように、可視光領域における
反射率を十分に下げることができ、反射光の色調を黒色に近づけることができる。この反
射光の色調は、明度や彩度によって定量化することができる。
図10は、図8に示す反射防止膜809の一例についての反射光の色度を示すL*a*
b*表色系色度図である。このL*a*b*表色系色度図では、横軸がa*軸であり、縦
軸がb*軸である。
図10に示すL*a*b*表色系色度図は、入射角ごとの反射光の色度をプロットした
図である。このL*a*b*表色系色度図は、反射防止膜809の表面に対する入射角0
°以上87°以下で、CIE標準光源D65の光を反射防止膜809に入射し、その正反
射光を例えば色度計によって分析することにより得られる。なお、正反射光を受光する受
光器の視野角は例えば2°とする。また、L*a*b*表色系は、1976年に国際照明
委員会(CIE)で規格化された表色系のことであり、CIE標準光源D65は、CIE
で規格化された標準光源のことである。
図10に示すように、表1に示す層構成を有する反射防止膜809では、反射防止膜8
09の表面に対して0°以上87°以下の入射角で入射した光の正反射光の、L*a*b
*表色系におけるa*値およびb*値が、−20≦a*≦20および−20≦b*≦20
を満たしている。このような特性を満たす反射防止膜809は、反射光の色調を無彩色に
十分に近づけ得るものとなる。このため、例えば可視光領域における反射率を十分に低下
させることにより、セル80bの色調を黒色に近づけることができ、セル80bの美的外
観の向上に寄与する。その結果、意匠性が高い太陽電池80および電子時計200を実現
することができる。
なお、正反射光のL*a*b*表色系におけるa*値およびb*値は、−10≦a*≦
10および−10≦b*≦10を満たしているのがより好ましい。
ここで、図11は、従来のセル(光電変換素子)を模したモデルを示す断面図である。
また、図12は、図11に示すモデルが有する反射防止膜についての分光特性を示す図で
ある。このモデルは、図11に示すように、Si基板800’に1層からなる反射防止膜
809’を設けてなるセル80’である。
図12に示す分光特性は、このような従来のセル80’が有する反射防止膜809’の
波長依存性のシミュレーション結果である。この例では、反射防止膜809’の構成材料
、屈折率および膜厚を下記表2のように設定している。
Figure 2019129274
図12に示すように、従来例のセル80’が有する反射防止膜809’では、波長45
0nm以上700nm以下の可視光領域において、反射率が10%を超えている。このた
め、このモデルでは、Si基板800’に到達する光量が減少して光電変換効率が低下す
るとともに、反射防止膜809’による反射光は、可視光領域における明度が高くなる。
また、可視光領域において反射率の偏りがあるため、有彩色を呈する反射光が観測される
ことになる。したがって、従来例のセル80’は、光電変換効率が低く、かつ、美的外観
が低いものとなる。
また、図13は、図11に示すモデルが有する反射防止膜809’についての反射光の
色度を示すL*a*b*表色系色度図である。このL*a*b*表色系色度図では、横軸
がa*軸であり、縦軸がb*軸である。
図13に示すL*a*b*表色系色度図は、入射角ごとの反射光の色度をプロットした
図である。このL*a*b*表色系色度図は、0°以上87°以下の入射角で、CIE標
準光源D65の光を反射防止膜809’に入射し、その正反射光を例えば色度計によって
分析することにより得られる。なお、正反射光を受光する受光器の視野角は2°とする。
図13に示すように、表2に示す層構成を有する反射防止膜809’では、正反射光の
L*a*b*表色系におけるa*値およびb*値が、−20≦a*≦20の範囲外であり
、かつ、−20≦b*≦20の範囲外である。したがって、このモデルでは、反射光の色
調が有彩色になり、セル80’の美的外観を損なわれてしまうことになる。
以上、第1実施形態に係る反射防止多層体810について説明したが、第1実施形態お
よび後述する各実施形態に係る反射防止膜809は、この反射防止多層体810以外の層
が付加されることを制限するものではない。したがって、反射防止多層体810とSi基
板800との間、あるいは、反射防止多層体810の表面(空気層との間)に、任意の層
が付加されていてもよい。
また、太陽電池80は、このようなセル80bと配線基板82とを有する。前述したよ
うに、セル80bは、光電変換効率が高く、かつ、反射光の色調が無彩色に近いものとな
るため、太陽電池80の信頼性および美的外観(意匠性)の向上に寄与する。
また、電子時計200は、このような太陽電池80を備える。このため、信頼性および
意匠性が高い電子時計200を実現することができる。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係る光電変換素子について説明する。
図14は、第2実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中
心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図14において前述した
第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第2実施形態に係る光電変換素子は、Si基板800の受光面84側の形状が異なる以
外、第1実施形態に係る光電変換素子と同様である。
図14に示すSi基板800は、受光面84側の面に形成されたテクスチャー814を
有している。このテクスチャー814は、例えば任意の形状をなす凹凸形状のことをいう
。具体的には、図14に示すような多数のピラミッド状突起がテクスチャー814として
用いられる。このようなテクスチャー814を設けることにより、多重反射が誘起される
等して、Si基板800と反射防止膜809との界面における光の反射を抑制することが
できる。また、入射角の変化に伴う光路長の増大やSi基板800の内部における光の閉
じ込め作用により、光吸収率の向上を図ることができる。このため、Si基板800単体
においても、光電変換効率の向上を図ることができる。
また、Si基板800と反射防止膜809との界面反射率(受光面84の反射率)を低
下させることができる。このため、反射光の明度を低下させることができ、セル80bの
色調をより黒色に近づけることができる。
なお、Si基板800が例えばSi(100)面を主面とする基板である場合、Si(
111)面を傾斜面とするピラミッド状突起がテクスチャー814として好適に用いられ
る。すなわち、Si基板800の反射防止多層体810に臨む面は、Si(111)面で
あることが好ましい。このようなテクスチャー814は、例えばウェットエッチング法に
より形成可能である。このため、比較的均一な形状のテクスチャー814が効率よく形成
され得る点で有用である。
そして、反射防止膜809は、このテクスチャー814の表面を覆うように設けられて
いる。これにより、前述した反射防止膜809による反射率の低減という効果に加え、テ
クスチャー814による反射率の低減という効果を加えることができる。その結果、セル
80a、80b、80c、80dの美的外観のさらなる向上を図ることができ、意匠性の
高い太陽電池80および電子時計200が得られる。
なお、以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る光電変換素子について説明する。
図15は、第3実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中
心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図15において前述した
第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第3実施形態に係る光電変換素子は、反射防止膜809の構成が異なる以外、第1実施
形態に係る光電変換素子と同様である。
図15に示すセル80bは、Si基板800と、Si基板800の上面側に設けられた
反射防止多層体810を含む反射防止膜809と、を有している。
このうち、反射防止多層体810は、Si基板800側から第1層811、中間層81
3および第2層812の順に積層されてなる多層体である。
そして、図15に示す中間層813は、第1中間層813a、第2中間層813b、第
3中間層813cおよび第4中間層813dが、第1層811側からこの順で積層されて
なるものである。このような中間層813は、複数層で構成されていることにより、干渉
による反射率の低下をより広い波長範囲において実現させることができる。このため、波
長ごとの反射率の偏りを減少させることができ、反射防止膜809の反射光の色調をより
無彩色に近づけることができる。
図16は、図15に示す反射防止膜809の一例についての分光特性を示す図である。
図16に示す分光特性は、図15に示す反射防止膜809の一例についての、反射率の
波長依存性のシミュレーション結果である。この例では、各層の構成材料、屈折率および
膜厚を下記表3のように設定している。
Figure 2019129274
図16に示すように、図15に示す反射防止多層体810を含む反射防止膜809によ
れば、特に波長450nm以上700nm以下の可視光領域において、反射率を10%以
下に抑えることができている。これにより、反射光の光量が低く抑えられるとともに、波
長ごとの反射率の偏りも小さくすることができる。このため、反射防止膜809による反
射光は、可視光領域の全体において光量が抑えられることになるため、明度が低く、かつ
、彩度の低いものとなる。
すなわち、Si基板800に到達する光量を増やすとともに、反射光の色調を黒色に近
づけることができる。このため、セル80bの光電変換効率および美的外観の向上を図る
ことができ、信頼性および意匠性の高い太陽電池80および電子時計200を実現するこ
とができる。
また、第3中間層813cの構成材料、屈折率および膜厚等は、例えば、前述した第1
中間層813aに準じて設定される。なお、第1中間層813aと第3中間層813cと
の間で、構成材料、屈折率および膜厚が互いに異なっていてもよい。
さらに、第4中間層813dの構成材料、屈折率および膜厚等は、例えば、前述した第
2中間層813bに準じて設定される。なお、第2中間層813bと第4中間層813d
との間で、構成材料、屈折率および膜厚が互いに異なっていてもよい。
以上のことから、第2中間層813bおよび第4中間層813dの屈折率は、第1中間
層813aおよび第3中間層813cの屈折率より高くなるように設定される。
−反射光の色調−
また、図15に示す反射防止多層体810を含む反射防止膜809によれば、図16に
示すように、可視光領域における反射率を十分に下げることができ、反射光の色調を黒色
に近づけることができる。この反射光の色調は、明度や彩度によって定量化することがで
きる。
図17は、図15に示す反射防止膜809の一例についての反射光の色度を示すL*a
*b*表色系色度図である。
図17に示すL*a*b*表色系色度図は、入射角ごとの反射光の色度をプロットした
図である。このL*a*b*表色系色度図は、0°以上87°以下の入射角で、CIE標
準光源D65の光を反射防止膜809に入射し、その正反射光を例えば色度計等によって
分析することにより得られる。なお、正反射光を受光する受光器の視野角は例えば2°と
する。
図17に示すように、表3に示す層構成を有する反射防止膜809では、正反射光のL
*a*b*表色系におけるa*値およびb*値が、−20≦a*≦20および−20≦b
*≦20を満たしている。このような特性を満たす反射防止膜809は、反射光の色調を
無彩色に十分に近づけ得るものとなる。このため、例えば可視光領域における反射率が十
分に低ければ、セル80bの色調が黒色に近くなり、セル80bの美的外観の向上に寄与
する。その結果、意匠性が高い太陽電池80および電子時計200を実現することができ
る。
なお、正反射光のL*a*b*表色系におけるa*値およびb*値は、−10≦a*≦
10および−10≦b*≦10を満たしているのがより好ましい。
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係る光電変換素子について説明する。
図18は、第4実施形態に係る光電変換素子を示す断面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中
心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図18において前述した
第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第4実施形態に係る光電変換素子は、反射防止膜809の構成が異なる以外、第1実施
形態に係る光電変換素子と同様である。
図18に示すセル80bは、Si基板800と、Si基板800の上面側に設けられた
反射防止多層体810を含む反射防止膜809と、を有している。
このうち、反射防止多層体810は、Si基板800側から第1層811、中間層81
3および第2層812の順に積層されてなる多層体である。
そして、図18に示す中間層813は、第1中間層813a、第2中間層813b、第
3中間層813c、第4中間層813d、第5中間層813e、第6中間層813f、第
7中間層813g、第8中間層813h、第9中間層813i、第10中間層813jお
よび第11中間層813kが、第1層811側からこの順で積層されてなるものである。
このような中間層813は、複数層で構成されていることにより、干渉による反射率の低
下をより広い波長範囲において実現させることができる。このため、波長ごとの反射率の
偏りを減少させることができ、反射防止膜809の反射光の色調をより無彩色に近づける
ことができる。
図19は、図18に示す反射防止膜809の一例についての分光特性を示す図である。
図19に示す分光特性は、図18に示す反射防止膜809の一例についての、反射率の
波長依存性のシミュレーション結果である。この例では、各層の構成材料、屈折率および
膜厚を下記表4のように設定している。
Figure 2019129274
図19に示すように、図18に示す反射防止多層体810を含む反射防止膜809によ
れば、特に波長450nm以上700nm以下の可視光領域において、反射率を10%以
下に抑えることができている。これにより、反射光の光量が低く抑えられるとともに、波
長ごとの反射率の偏りも小さくすることができる。このため、反射防止膜809による反
射光は、可視光領域の全体において光量が抑えられることになるため、明度が低く、かつ
、彩度の低いものとなる。
すなわち、Si基板800に到達する光量を増やすとともに、反射光の色調を黒色に近
づけることができる。このため、セル80bの光電変換効率および美的外観の向上を図る
ことができ、信頼性および意匠性の高い太陽電池80および電子時計200を実現するこ
とができる。
なお、第3中間層813c、第5中間層813e、第7中間層813g、第9中間層8
13iおよび第11中間層813kの構成材料および膜厚等は、例えば、前述した第1中
間層813aに準じて設定される。
このうち、これらの層の構成材料には、特に酸化ニオブ(Nb)が好ましく用い
られる。酸化ニオブは、屈折率が比較的高く、かつ耐環境性に優れている。このため、セ
ル80bの耐久性の向上を図ることができる。
また、第1中間層813a、第3中間層813c、第5中間層813e、第7中間層8
13g、第9中間層813iおよび第11中間層813kの屈折率は、第1層811の屈
折率および第2層812の屈折率のいずれよりも高くなるように設定されている。
なお、第1中間層813a、第3中間層813c、第5中間層813e、第7中間層8
13g、第9中間層813iおよび第11中間層813kの間で、構成材料および屈折率
は、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。また、膜厚は、互いに異なるよ
うに設定されるのが好ましい。
一方、第4中間層813d、第6中間層813f、第8中間層813h、第10中間層
813jの構成材料および膜厚等は、例えば、前述した第2中間層813bに準じて設定
される。
また、第2中間層813b、第4中間層813d、第6中間層813f、第8中間層8
13hおよび第10中間層813jの屈折率は、第1中間層813a、第3中間層813
c、第5中間層813e、第7中間層813g、第9中間層813iおよび第11中間層
813kの屈折率のいずれよりも低くなるように設定されている。
なお、第2中間層813b、第4中間層813d、第6中間層813f、第8中間層8
13hおよび第10中間層813jの間で、構成材料および屈折率は、互いに同じであっ
ても、互いに異なっていてもよい。また、膜厚は、互いに異なるように設定されるのが好
ましい。
また、図19には、シミュレーション結果(計算値)を破線で示すとともに、分光特性
の測定結果(実測値)を実線で示している。計算値と実測値とを比較すると、よく一致し
ていることが認められる。このため、各実施形態で用いたシミュレーションは、実際の分
光特性を精度よく再現していることが認められる。
なお、このような分光特性の実測値は、例えば分光光度計により得られる。
−反射光の色調−
また、図18に示す反射防止多層体810を含む反射防止膜809によれば、図19に
示すように、可視光領域における反射率を十分に下げることができ、反射光の色調を黒色
に近づけることができる。この反射光の色調は、明度や彩度によって定量化することがで
きる。
図20は、図18に示す反射防止膜809の一例についての反射光の色度を示すL*a
*b*表色系色度図である。
図20に示すL*a*b*表色系色度図は、入射角ごとの反射光の色度をプロットした
図である。このL*a*b*表色系色度図は、0°以上87°以下の入射角で、CIE標
準光源D65の光を反射防止膜809に入射し、その正反射光を例えば色度計によって分
析することにより得られる。なお、正反射光を受光する受光器の視野角は例えば2°とす
る。
図20に示すように、表4に示す層構成を有する反射防止膜809では、正反射光のL
*a*b*表色系におけるa*値およびb*値が、−10≦a*≦10および−10≦b
*≦10を満たしている。このような特性を満たす反射防止膜809は、反射光の色調を
無彩色に十分に近づけ得るものとなる。このため、例えば可視光領域における反射率が十
分に低ければ、セル80bの色調が黒色に近くなり、セル80bの美的外観の向上に寄与
する。その結果、意匠性が高い太陽電池80および電子時計200を実現することができ
る。
なお、このような反射光の色調についても、計算値と実測値とがよく一致していること
が確認されている。
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態に係る光電変換素子について説明する。
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では第4実施形態との相違点を中
心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、第5実施形態において前
述した第4実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第5実施形態に係る光電変換素子は、反射防止膜809の構成が異なる以外、第4実施
形態に係る光電変換素子と同様である。
図21は、第5実施形態に係る反射防止膜809の一例についての分光特性を示す図で
ある。
図21に示す分光特性は、第5実施形態に係る反射防止膜809の一例についての、反
射率の波長依存性のシミュレーション結果である。この例では、各層の構成材料、屈折率
および膜厚を下記表5のように設定している。
Figure 2019129274
図21に示すように、表5に示す層構成を有する反射防止膜809によれば、特に波長
450nm以上700nm以下の可視光領域において、反射率を10%以下に抑えること
ができている。これにより、反射光の光量が低く抑えられるとともに、波長ごとの反射率
の偏りも小さくすることができる。このため、反射防止膜809による反射光は、可視光
領域の全体において光量が抑えられることになるため、明度が低く、かつ、彩度の低いも
のとなる。
すなわち、Si基板800に到達する光量を増やすとともに、反射光の色調を黒色に近
づけることができる。このため、セル80bの光電変換効率および美的外観の向上を図る
ことができ、信頼性および意匠性の高い太陽電池80および電子時計200を実現するこ
とができる。
−反射光の色調−
また、表5に示す層構成を有する反射防止膜809によれば、図21に示すように、可
視光領域における反射率を十分に下げることができ、反射光の色調を黒色に近づけること
ができる。この反射光の色調は、明度や彩度によって定量化することができる。
図22は、第5実施形態に係る反射防止膜809の一例についての反射光の色度を示す
L*a*b*表色系色度図である。
図22に示すL*a*b*表色系色度図は、入射角ごとの反射光の色度をプロットした
図である。このL*a*b*表色系色度図は、0°以上87°以下の入射角で、CIE標
準光源D65の光を反射防止膜809に入射し、その正反射光を例えば色度計によって分
析することにより得られる。なお、正反射光を受光する受光器の視野角は例えば2°とす
る。
図22に示すように、表5に示す層構成を有する反射防止膜809では、正反射光のL
*a*b*表色系におけるa*値およびb*値が、−10≦a*≦10および−10≦b
*≦10を満たしている。このような特性を満たす反射防止膜809は、反射光の色調を
無彩色に十分に近づけ得るものとなる。このため、例えば可視光領域における反射率が十
分に低ければ、セル80bの色調が黒色に近くなり、セル80bの美的外観の向上に寄与
する。その結果、意匠性が高い太陽電池80および電子時計200を実現することができ
る。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
例えば、本発明の光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器は、前記実施形態
の要素の一部が、同等の機能を有する任意の要素に代替されたものであってもよく、また
、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
10…バンド、20…回路基板、21…CPU、22…方位センサー、23…加速度セン
サー、24…回路素子、28…GPSアンテナ、30…機器本体、31…ケース、32…
凸状部、34…突起部、35…開口部、36…内部空間、40…光センサー部、41…受
光部、42…発光部、43…センサー基板、44…透明カバー、45…測定窓部、46…
接続配線部、50…表示部、55…風防板、56…接合部材、57…ベゼル、58…操作
部、60…電気光学パネル、61…照明部、63…接続配線部、70…二次電池、75…
回路ケース、80…太陽電池、80’…セル、80a…セル、80b…セル、80c…セ
ル、80d…セル、81…接続配線部、82…配線基板、83…導電接続部、84…受光
面、85…電極面、86…電極パッド、87…電極パッド、200…電子時計、800…
Si基板、800’…Si基板、801…p+拡散領域、802…n+拡散領域、804
…フィンガー電極、805…バスバー電極、806…パッシベーション膜、807…層間
絶縁膜、808…端面、809…反射防止膜、809’…反射防止膜、810…反射防止
多層体、811…第1層、812…第2層、813…中間層、813a…第1中間層、8
13b…第2中間層、813c…第3中間層、813d…第4中間層、813e…第5中
間層、813f…第6中間層、813g…第7中間層、813h…第8中間層、813i
…第9中間層、813j…第10中間層、813k…第11中間層、814…テクスチャ
ー、821…絶縁基板、822…導電膜

Claims (9)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の面側に設けられ、前記半導体基板側から第1層、中間層および
    第2層がこの順で積層されてなる反射防止多層体と、
    を有し、
    前記第1層は、SiN(ただし、0≦x≦4/3、0≦y≦2、および、0≦3
    x+2y≦4である。)で表されるケイ素化合物を含み、
    前記中間層は、複数層で構成されており、
    前記第2層の屈折率は、前記中間層を構成する前記複数層のうち、前記第2層側に設け
    られた層の屈折率より低いことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記第2層は、最表層であり、
    前記第2層は、酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムを含む請求項1に記載の光電変換
    素子。
  3. 前記中間層は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ニオブ、酸化チタン、酸
    化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ランタンおよび酸化アルミニウムのうちの少なくと
    も1種を含む請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第1層は、前記半導体基板に接しており、
    前記ケイ素化合物は、窒化ケイ素である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光電
    変換素子。
  5. 前記半導体基板の前記反射防止多層体に臨む面は、Si(100)面である請求項1な
    いし4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記半導体基板の前記反射防止多層体に臨む面は、Si(111)面である請求項1な
    いし4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 表面に対する入射角が0°以上87°以下の範囲でCIE標準光源D65の光を入射し
    たとき、正反射光のL*a*b*表色系におけるa*値およびb*値が、−20≦a*≦
    20および−20≦b*≦20を満たす請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光電変
    換素子。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光電変換素子と、
    前記光電変換素子と電気的に接続されている配線基板と、
    を有することを特徴とする光電変換モジュール。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子
    機器。
JP2018011308A 2018-01-26 2018-01-26 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器 Pending JP2019129274A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018011308A JP2019129274A (ja) 2018-01-26 2018-01-26 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018011308A JP2019129274A (ja) 2018-01-26 2018-01-26 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019129274A true JP2019129274A (ja) 2019-08-01

Family

ID=67472391

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018011308A Pending JP2019129274A (ja) 2018-01-26 2018-01-26 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019129274A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7044938B1 (ja) 2020-12-29 2022-03-30 ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド 太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
JP7170817B1 (ja) 2021-09-10 2022-11-14 上海晶科緑能企業管理有限公司 太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
KR20230161696A (ko) * 2022-05-19 2023-11-28 고려대학교 산학협력단 가시광선 및 근적외선의 파장대역에서 입사각도 및 편광상태에 관계없이 반사를 방지하는 무반사막, 무반사막 실리콘 광 검출기 및 이의 제조 방법

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7044938B1 (ja) 2020-12-29 2022-03-30 ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド 太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
JP2022104794A (ja) * 2020-12-29 2022-07-11 ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド 太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
US11437529B2 (en) 2020-12-29 2022-09-06 Zhejiang Jinko Solar Co., Ltd. Photovoltaic cell, method for manufacturing same, and photovoltaic module
US11600731B2 (en) 2020-12-29 2023-03-07 Zhejiang Jinko Solar Co., Ltd. Photovoltaic cell, method for manufacturing same, and photovoltaic module
JP7170817B1 (ja) 2021-09-10 2022-11-14 上海晶科緑能企業管理有限公司 太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
JP2023041057A (ja) * 2021-09-10 2023-03-23 上海晶科緑能企業管理有限公司 太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
JP2023040981A (ja) * 2021-09-10 2023-03-23 上海晶科緑能企業管理有限公司 太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
US11784266B2 (en) 2021-09-10 2023-10-10 Shanghai Jinko Green Energy Enterprise Management Co., Ltd. Solar cell, method for preparing same and solar cell module
JP7431303B2 (ja) 2021-09-10 2024-02-14 上海晶科緑能企業管理有限公司 太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
KR20230161696A (ko) * 2022-05-19 2023-11-28 고려대학교 산학협력단 가시광선 및 근적외선의 파장대역에서 입사각도 및 편광상태에 관계없이 반사를 방지하는 무반사막, 무반사막 실리콘 광 검출기 및 이의 제조 방법
KR102664498B1 (ko) * 2022-05-19 2024-05-08 고려대학교 산학협력단 가시광선 및 근적외선의 파장대역에서 입사각도 및 편광상태에 관계없이 반사를 방지하는 무반사막, 무반사막 실리콘 광 검출기 및 이의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019129274A (ja) 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器
EP2363766B1 (en) Timepiece cover glass and timepiece
US8334863B2 (en) Display system with a solar cell and device having the same
WO2018123319A1 (ja) 全固体電池、電子機器、電子カード、ウェアラブル機器および電動車両
US20130206210A1 (en) Solar battery module, photovoltaic apparatus, and manufacturing method of solar battery module
CN112106204B (zh) 显示基板及其制作方法和显示装置
JP6848980B2 (ja) リチウムイオン伝導体、全固体電池、電子機器、電子カード、ウェアラブル機器および電動車両
CN110797420B (zh) 光电转换元件、光电转换模块以及电子设备
JP2014107504A (ja) 光起電力装置
TW201217858A (en) Liquid crystal display integrated with solar cell module
JP2019080050A (ja) 有色ソーラーパネル及び有色ソーラーパネルを含んでいる構造体
CN109979975A (zh) 一种oled显示面板及其制作方法
WO2018092434A1 (ja) 全固体電池、電子機器、電子カード、ウェアラブル機器および電動車両
CN210120141U (zh) 太阳能电池及包括其的显示器
US20190163137A1 (en) Electronic apparatus and photoelectric conversion device manufacturing method
CN111599271A (zh) 显示模组及电子设备
CN111584759A (zh) 显示面板及显示装置
US20140360575A1 (en) Colored solar cell device
JP7040140B2 (ja) 光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器
JPS62213283A (ja) 太陽電池
CN115718333B (zh) 减反射膜、盖板结构及减反射膜的制造方法
CN217587593U (zh) 一体化激光雷达
CN110998866B (zh) 太阳能电池模块
JP2008233037A (ja) ソーラーセル付き電子時計
CN115734687A (zh) 显示模组、电子设备

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20180910

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181121

RD07 Notification of extinguishment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427

Effective date: 20200807