JP2020013869A - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換モジュールおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換効率が高い光電変換素子およびその製造方法、ならびに、前記光電変換素子を備える信頼性の高い光電変換モジュールおよび電子機器を提供すること。【解決手段】一方の面と他方の面とを有する第1導電型の半導体基板と、前記一方の面に設けられ前記第1導電型の不純物を含む第1導電型不純物領域と、前記半導体基板の前記一方の面に前記第1導電型不純物領域と離間して設けられ前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1の第2導電型不純物領域と、前記一方の面の前記半導体基板の外縁に設けられ前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い第2の第2導電型不純物領域と、前記第1導電型不純物領域と電気的に接続されている第1接続部と、前記第1の第2導電型不純物領域および前記第2の第2導電型不純物領域と電気的に接続されている第2接続部と、を有することを特徴とする光電変換素子。【選択図】図3
Description
本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換モジュールおよび電子機器に関するものである。
GPS(Global Positioning System)等の測位システムに用いられる位置情報衛星からの電波を受信し、測位信号に含まれる時刻を取得したり、現在位置を検出したりする装着型電子機器(腕時計)が提案されている。
例えば、特許文献1には、腕時計ケースと、文字板と、文字板の下側に配置され位置情報衛星からの電波を受信するアンテナを含む時計モジュールと、文字板と時計モジュールとの間に設けられたソーラーパネルと、を有する腕時計が開示されている。このような腕時計によれば、文字板が光透過性を有しているため、文字板を透過した外部光をソーラーパネルに照射することにより、時計モジュールの動作に必要な電力を発電することができる。
一方、位置情報衛星から送出される電波には極超短波が使用されているが、この極超短波を受信するためには高周波回路を作動させる必要がある。このため、腕時計の消費電力が大きくなるという問題がある。
そこで、ソーラーパネルの面積を拡大することにより、消費電力の増大に対応することが検討されている。しかしながら、腕時計のようなデザイン性が重視される製品の場合、一般的には、腕時計の表面積に対するソーラーパネルの占有面積は小さいほど好ましい。したがって、単位面積当たりの発電量が大きいソーラーパネルとしてバックコンタクト型(裏面電極型)の太陽電池セルの適用が検討されている。
特許文献2には、第1導電型のシリコン基板と、シリコン基板の裏面に設けられた第1導電型用電極および第2導電型用電極と、を有する裏面電極型太陽電池が開示されている。このような裏面電極型太陽電池では、受光面に電極を設ける必要がないため、電極の陰に伴う光電変換効率の低下(シャドウロス)を抑制することができる。
一方、シリコン基板の端面に近い部分では、少数キャリアーを十分に収集することができない。このため、少数キャリアーが減衰または消滅し、光電変換効率の低下を招いている。特に、腕時計のような小型の機器に搭載される太陽電池では、シリコン基板のサイズも小さくなり、端面で減衰または消滅する少数キャリアーの割合が大きくなる。このため、端面で減衰または消滅する少数キャリアーが、光電変換効率が低下する原因として顕在化するという課題があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
本発明の適用例に係る光電変換素子は、一方の面と、前記一方の面と表裏関係にある他方の面と、を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記第1導電型の不純物を含む第1導電型不純物領域と、
前記半導体基板の前記一方の面に前記第1導電型不純物領域と離間して設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1の第2導電型不純物領域と、
前記一方の面の前記半導体基板の外縁に設けられ、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い第2の第2導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域と電気的に接続されている第1接続部と、
前記第1の第2導電型不純物領域および前記第2の第2導電型不純物領域と電気的に接続されている第2接続部と、
を有することを特徴とする。
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記第1導電型の不純物を含む第1導電型不純物領域と、
前記半導体基板の前記一方の面に前記第1導電型不純物領域と離間して設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1の第2導電型不純物領域と、
前記一方の面の前記半導体基板の外縁に設けられ、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い第2の第2導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域と電気的に接続されている第1接続部と、
前記第1の第2導電型不純物領域および前記第2の第2導電型不純物領域と電気的に接続されている第2接続部と、
を有することを特徴とする。
以下、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換モジュールおよび電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
(太陽電池)
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光電変換モジュールの第1実施形態を適用した太陽電池について詳述する。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換モジュールである。
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光電変換モジュールの第1実施形態を適用した太陽電池について詳述する。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換モジュールである。
図1は、本発明の光電変換モジュールの第1実施形態を適用した太陽電池を図示した平面図である。また、図2は、図1に示す太陽電池の分解斜視図である。なお、本明細書では、太陽電池のうち、太陽電池に入射する光の光源(例えば太陽、照明等)側を「表(おもて)」とし、その反対側を「裏」とする。また、太陽電池の受光面に直交する方向に延在する方向軸をZ軸とする。さらに、裏側から表側への向きを「+Z方向」とし、その反対向きを「−Z方向」とする。また、以下の説明では、Z軸方向で見ることを単に「平面視」という。
図1に示す太陽電池80(光電変換モジュール)は、セル80A(光電変換素子)と、Z軸方向においてセル80Aと重なるように設けられ、セル80Aと電気的に接続された配線基板82と、を備えている。
セル80Aは、n型のSi基板800を有している。Si基板800は、平面視で長方形をなす板状をなしており、互いに表裏の関係にある2つの主面はそれぞれZ軸と直交している。また、光源に臨む主面とは反対の面(一方の面)が電極面85であり、光源に臨む主面(他方の面)が受光面84である。なお、受光面84に後述するテクスチャー構造が設けられている場合、そのテクスチャー構造を除いた面がZ軸と直交している。
また、Z軸に直交する2つの軸を「X軸」および「Y軸」とする。このうち、Si基板800の長辺は、X軸と平行に延在しており、Si基板800の短辺は、Y軸と平行に延在している。そして、図1の上向きを「+Y方向」とし、下向きを「−Y方向」とする。また、図1の右向きを「+X方向」とし、左向きを「−X方向」とする。
セル80Aが有するn型のSi基板800は、半導体基板の一例であり、化合物半導体基板(例えばGaAs基板)等で代替されてもよい。
このような半導体基板は、非晶質性を有していてもよいが、結晶性を有していることが好ましい。この結晶性とは、単結晶性または多結晶性のことをいう。このような結晶性を有する半導体基板を含むことにより、非晶質性を有する半導体基板を含む場合に比べて、より光電変換効率の高い太陽電池80が得られる。かかる太陽電池80は、仮に同じ電力を発電する場合、より面積を小さくすることを可能にする。このため、結晶性を有する半導体基板を含むことにより、光電変換効率と小型化とをより高度に両立させた太陽電池80が得られる。
特に、半導体基板は、単結晶性を有するものが好ましい。これにより、太陽電池80の光電変換効率が特に高められる。したがって、光電変換効率と意匠性との両立を最大限に図ることができる。また、特に、太陽電池80の省スペース化が図られることにより、太陽電池80を搭載する電子機器の意匠性をより高めることができる。さらに、室内光のような低照度光においても光電変換効率が低下しにくいという利点もある。
なお、単結晶性を有するとは、半導体基板全体が単結晶である場合の他、一部が多結晶または非晶質である場合も含む。後者の場合、単結晶の体積が相対的に大きい(例えば全体の90体積%以上である)ことが好ましい。
図3は、図2に示すセル80Aの電極面85を示す平面図である。また、図4は、図1に示す太陽電池80の分解断面図である。なお、図4に示すセル80Aの断面図は、図3のA−A線断面図である。また、図3では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してフィンガー電極804やバスバー電極805を透視するように図示している。
太陽電池80は、裏面電極型とされる。具体的には、セル80Aは、図4に示すように、電極面85上に設けられた電極パッド86、87を有している。このうち、電極パッド86は正極であり、一方、電極パッド87は負極である。したがって、電極パッド86および電極パッド87から電力を取り出すことができる。
このような裏面電極型では、極性にかかわらず、全ての電極パッド86、87を電極面85上に配置することができる。このため、受光面84を最大限に大きくすることができ、受光面積の最大化に伴う発電量の向上を図ることができる。加えて、受光面84側に電極パッドを設けることによる意匠性の低下を防止することができる。このため、太陽電池80の意匠性を高めることができる。
なお、セル80Aには、電極パッド86および電極パッド87がそれぞれ複数設けられていてもよい。
((配線基板))
図4に示す太陽電池80は、前述したように、セル80Aと配線基板82とを備えている。
図4に示す太陽電池80は、前述したように、セル80Aと配線基板82とを備えている。
このうち、配線基板82は、絶縁基板821と、その上に設けられた導電膜822と、を備えている。
配線基板82は、図1、2に示すように、セル80Aと重なるように設けられている。このような配線基板82は、絶縁基板821と、その上に設けられた導電膜822と、導電膜822と重なる部分に設けられた開口部824を有する絶縁膜823と、を備えている。
なお、「配線基板82がセル80Aと重なる」とは、配線基板82の平面視において、セル80Aの少なくとも一部が配線基板82と重なって見える状態をいう。
絶縁基板821としては、例えばポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板のような各種樹脂基板が挙げられる。
導電膜822の構成材料としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銀または銀合金等が挙げられる。
絶縁膜823の構成材料としては、例えばポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂のような各種樹脂材料が挙げられる。
また、絶縁基板821と絶縁膜823とは、接着層825を介して接着されている。
接着層825の構成材料としては、例えばエポキシ系接着材、シリコーン系接着材、オレフィン系接着材、アクリル系接着材等が挙げられる。
接着層825の構成材料としては、例えばエポキシ系接着材、シリコーン系接着材、オレフィン系接着材、アクリル系接着材等が挙げられる。
配線基板82の厚さは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。配線基板82の厚さを前記範囲内に設定することにより、配線基板82に適度な可撓性が付与される。
((セル))
セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800(半導体基板)と、Si基板800に形成されたp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802に接続されているフィンガー電極804と、フィンガー電極804に接続されているバスバー電極805と、フィンガー電極804やバスバー電極805を介してp+不純物領域8011に接続されている電極パッド86(第2接続部)と、フィンガー電極804やバスバー電極805を介してn+不純物領域802に接続されている電極パッド87(第1接続部)と、を有している。また、セル80Aは、Si基板800に形成されたp−不純物領域8012(第2の第2導電型不純物領域)と、p−不純物領域8012に隣接するp+不純物領域8013(第3の第2導電型不純物領域)と、を有している。なお、図4では、図示の便宜上、電極パッド86のみを図示し、電極パッド87の図示を省略している。
セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800(半導体基板)と、Si基板800に形成されたp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802に接続されているフィンガー電極804と、フィンガー電極804に接続されているバスバー電極805と、フィンガー電極804やバスバー電極805を介してp+不純物領域8011に接続されている電極パッド86(第2接続部)と、フィンガー電極804やバスバー電極805を介してn+不純物領域802に接続されている電極パッド87(第1接続部)と、を有している。また、セル80Aは、Si基板800に形成されたp−不純物領域8012(第2の第2導電型不純物領域)と、p−不純物領域8012に隣接するp+不純物領域8013(第3の第2導電型不純物領域)と、を有している。なお、図4では、図示の便宜上、電極パッド86のみを図示し、電極パッド87の図示を省略している。
−Si基板−
Si基板800としては、例えばn型(第1導電型)のSi(100)基板等が用いられる。なお、Si基板800の結晶面は、特に限定されず、Si(100)面以外の結晶面であってもよい。
Si基板800としては、例えばn型(第1導電型)のSi(100)基板等が用いられる。なお、Si基板800の結晶面は、特に限定されず、Si(100)面以外の結晶面であってもよい。
Si基板800の主要構成元素以外の不純物元素濃度は、できるだけ低いことが好ましいが、それぞれ1×1011[atoms/cm2]以下であるのがより好ましく、1×1010[atoms/cm2]以下であるのがさらに好ましい。不純物元素濃度が前記範囲内であることにより、Si基板800の不純物が光電変換に及ぼす影響を十分に小さく抑えることができる。これにより、小面積であっても十分な電力を発生させ得る太陽電池80を実現することができる。さらに、室内光のような低照度光においても光電変換効率が低下しにくくなるという利点もある。
なお、Si基板800の不純物元素濃度は、例えばICP−MS(Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry)法により測定することができる。
また、p+不純物領域8011に接続されているフィンガー電極804の一部が後述するパッシベーション膜807から露出し、前述した電極パッド86を構成している(図3参照)。一方、n+不純物領域802に接続されているフィンガー電極804の一部が後述するパッシベーション膜807から露出し、前述した電極パッド87を構成している(図3参照)。
また、電極パッド86は、図4に示すように、導電接続部83を介して、配線基板82と接続されている。同様に、電極パッド87も、図示しない導電接続部を介して、配線基板82と接続されている。
導電接続部83としては、例えば導電ペースト、導電シート、金属材料、はんだ、ろう材等が挙げられる。
Si基板800の受光面84には、必要に応じてテクスチャー構造が形成されている。このテクスチャー構造は、例えば任意の形状をなす凹凸形状のことをいう。具体的には、例えば受光面84に形成された多数のピラミッド状突起で構成される。このようなテクスチャー構造を設けることにより、受光面84における外部光の反射を抑制し、Si基板800に入射する光量の増大を図ることができる。また、受光面84から入射した外部光をSi基板800の内部に閉じ込めることができ、光電変換効率を高めることができる。
なお、Si基板800が例えばSi(100)面を主面とする基板である場合、Si(111)面を傾斜面とするピラミッド状突起がテクスチャー構造として好適に用いられる。
また、Si基板800の厚さは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上300μm以下であるのがより好ましい。これにより、太陽電池80の光電変換効率と機械的特性との両立を図ることができる。
なお、Si基板800の平面視形状は、上記に限定されず、いかなる形状であってもよい。具体的には、正方形や菱形のような四角形、六角形、八角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、扇形、円環の一部分のような外形に直線と曲線とを含む形状等であってもよい。
−パッシベーション膜−
また、太陽電池80は、図4に示すように、受光面84上に設けられたパッシベーション膜817を備えている。このようなパッシベーション膜817を設けることにより、受光によって生成された少数キャリアーが受光面84において消滅するのを抑制することができる。
また、太陽電池80は、図4に示すように、受光面84上に設けられたパッシベーション膜817を備えている。このようなパッシベーション膜817を設けることにより、受光によって生成された少数キャリアーが受光面84において消滅するのを抑制することができる。
パッシベーション膜817の構成材料としては、例えば無機材料、有機材料等が挙げられる。このうち、無機材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素のようなケイ素化合物、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタンのような金属酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化ランタンのようなフッ化物等が挙げられる。また、有機材料としては、例えば、各種樹脂材料が挙げられる。そして、パッシベーション膜817の構成材料には、これらのうちの1種または2種以上を含む複合材料が用いられる。
また、パッシベーション膜817は、光透過性を有する。このため、パッシベーション膜817は、その屈折率が適宜調整されることにより、反射防止膜としても機能する。このような反射防止膜としての機能が付加されることにより、受光面84からSi基板800に入射する光量を増やし、光電変換効率を高めることができる。
一方、セル80Aは、図4に示すように、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を備えている。このようなパッシベーション膜807を設けることにより、各部の絶縁を図るとともに、受光によって生成された少数キャリアーが電極面85において消滅するのを抑制することができる。
パッシベーション膜807の構成材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。
−電極および電極パッド(接続部)−
セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)と重なるように設けられたp型フィンガー電極804pと、p+不純物領域8011とp型フィンガー電極804pとの間を電気的に接続するp+コンタクト811pと、を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p+コンタクト811pおよびp型フィンガー電極804pにそれぞれ斜線を付している。
セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)と重なるように設けられたp型フィンガー電極804pと、p+不純物領域8011とp型フィンガー電極804pとの間を電気的に接続するp+コンタクト811pと、を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p+コンタクト811pおよびp型フィンガー電極804pにそれぞれ斜線を付している。
また、セル80Aは、図3または図4に示すように、Si基板800の厚さ方向(Z軸方向)においてn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と重なるように設けられたn型フィンガー電極804nと、n+不純物領域802とn型フィンガー電極804nとの間を電気的に接続するn+コンタクト811nと、を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、n+コンタクト811nおよびn型フィンガー電極804nにそれぞれドットを付している。
そして、p+コンタクト811pは、図3に示すように、1つのp型フィンガー電極804pに対して複数設けられている。また、それに応じて、図4に示すp+不純物領域8011も、1つのp型フィンガー電極804pに対して複数設けられている。これにより、受光によって発生した正孔(キャリアー)を効率よく取り出すことができる。
同様に、n+コンタクト811nは、図3に示すように、1つのn型フィンガー電極804nに対して複数設けられている。また、それに応じて、図4に示すn+不純物領域802も、1つのn型フィンガー電極804nに対して複数設けられている。これにより、受光によって発生した電子(キャリアー)を効率よく取り出すことができる。
p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nの構成材料は、例えば、後述するフィンガー電極804の構成材料と同様のものから適宜選択される。
図3に示すSi基板800では、電極面85が長方形をなしている。なお、本明細書および各図では、Si基板800の長軸に平行な方向軸をX軸とし、Si基板800の短軸に平行な方向軸をY軸とする。また、X軸が延在している方向をX軸方向とし、Y軸が延在している方向をY軸方向という。
そして、図3に示すセル80Aは、複数のp型フィンガー電極804pを備えている。これらのp型フィンガー電極804pは、それぞれY軸方向に沿って延在するとともに、X軸方向に並んでいる。
また、図3に示すセル80Aは、1つのp型バスバー電極805pを備えている。このp型バスバー電極805pは、Si基板800の外縁に沿って環状に延在している。そして、複数のp型フィンガー電極804pは、1つのp型バスバー電極805pを介して互いに電気的に接続されている。
一方、図3に示すセル80Aは、複数のn型フィンガー電極804nを備えている。これらのn型フィンガー電極804nは、それぞれY軸方向に沿って延在するとともに、X軸方向に並んでいる。
また、図3に示すセル80Aは、1つのn型バスバー電極805nを備えている。このn型バスバー電極805nは、Si基板800のY軸方向の中間において、X軸方向に沿って延在している。そして、複数のn型フィンガー電極804nは、1つのn型バスバー電極805nを介して互いに電気的に接続されている。
以上のような複数のp型フィンガー電極804pおよび1つのp型バスバー電極805pにより、いわゆる櫛歯形状のp型電極が構成されている。また、複数のn型フィンガー電極804nおよび1つのn型バスバー電極805nにより、櫛歯形状のn型電極を構成している。そして、p型電極とn型電極とが互いに噛み合うように配置されている。
なお、前述したフィンガー電極804は、p型フィンガー電極804pおよびn型フィンガー電極804nの双方を指している。
また、前述したバスバー電極805は、p型バスバー電極805pおよびn型バスバー電極805nの双方を指している。
また、図3および図4に示すように、p型フィンガー電極804p、n型フィンガー電極804n、p型バスバー電極805pおよびn型バスバー電極805nは、それぞれパッシベーション膜807に覆われている。これにより、外部環境からこれらの電極が保護されている。
・電極パッド(接続部)
一方、パッシベーション膜807の一部にはビアホール8071が設けられ、p型フィンガー電極804pおよびn型フィンガー電極804nの一部が露出している。このうち、p型フィンガー電極804pの露出面が前述した電極パッド86(第2接続部)となり、n型フィンガー電極804nの露出面が前述した電極パッド87(第1接続部)となる。なお、電極パッド86、87は、必要に応じて、前記露出面に設けられたスタッドバンプ等を含んでいてもよい。
一方、パッシベーション膜807の一部にはビアホール8071が設けられ、p型フィンガー電極804pおよびn型フィンガー電極804nの一部が露出している。このうち、p型フィンガー電極804pの露出面が前述した電極パッド86(第2接続部)となり、n型フィンガー電極804nの露出面が前述した電極パッド87(第1接続部)となる。なお、電極パッド86、87は、必要に応じて、前記露出面に設けられたスタッドバンプ等を含んでいてもよい。
また、図3では、X軸方向において、p型フィンガー電極804pとn型フィンガー電極804nとが交互に並んでいる。
電極パッド86、87の1つの面積は、Si基板800の大きさに応じて適宜設定されるが、0.05mm2以上5mm2以下であることが好ましく、0.1mm2以上3mm2以下であることがより好ましい。これにより、接続抵抗の低減および接続強度の向上を十分に図りつつ、電極パッド86、87を設けることに伴う少数キャリアーの収集ロスも十分に抑えることができる。
なお、電極パッド86、87の配置は、図示のようなSi基板800の中央部に限定されず、Si基板800の外縁部であってもよい。
また、電極パッド86、87の形状も、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。一例として、図3に示す電極パッド86、87の形状は、それぞれ正方形であるが、真円、楕円、長円のような円形であってもよく、長方形、三角形、六角形、八角形のような多角形であってもよく、それ以外の形状であってもよい。
さらに、電極パッド86と電極パッド87との間で、互いに形状が同じであるのが好ましいが、互いに異なっていてもよい。
また、本実施形態では、電極パッド86、87と、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nとが、互いに平面視で重ならないように配置されている(図3参照)。
すなわち、Si基板800の厚さ方向(Z軸方向)で見たとき、電極パッド86は、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802とずれるように配置されている。そして、それにより自ずと、電極パッド86は、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nとずれるように配置されている。
同様に、Si基板800の厚さ方向で見たとき、電極パッド87は、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802とずれるように配置されている。そして、それにより自ずと、電極パッド87は、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nとずれるように配置されている。
これにより、例えば電極パッド86、87に導電接続部83が接合された後、その接合部が破損したとしても、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802に損傷が及んでしまうのを抑制することができる。したがって、より信頼性の高いセル80Aが得られる。なお、本明細書において「ずれる」とは、平面視で互いに重なっている部分がない状態をいう。
また、上記のような配置であることにより、電極パッド86、87は、その平坦性等の形状においてp+不純物領域8011やn+不純物領域802の影響を受けることがなくなる。このため、平坦性が高く、接触不良を発生させにくい電極パッド86、87が得られる。
また、本実施形態では、図3に示すように、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nが、電極パッド86、87を囲むように配置されている。そして、前述したように、p+コンタクト811pは、p+不純物領域8011と重なるように設けられ、n+コンタクト811nは、n+不純物領域802と重なるように設けられている。したがって、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802は、平面視で電極パッド86、87を囲むように配置されている。このような位置にp+不純物領域8011およびn+不純物領域802の少なくとも一方が配置されていることにより、上記のようにして電極パッド86、87と重なる部分にp+不純物領域8011およびn+不純物領域802が設けられていない場合であっても、Si基板800で発生した少数キャリアーを効率よく収集することができる。すなわち、Si基板800のうち、電極パッド86、87と重なる部分では、p+不純物領域8011が設けられていないため、受光によって発生した少数キャリアーを効率よく収集することができない。そこで、電極パッド86、87を囲むようにp+不純物領域8011を設けることで、少数キャリアーの移動方向によらず、少数キャリアーの消滅を最小限に抑えつつ収集することが可能になる。このため、電極パッド86、87を設けたことによる光電変換効率の低下を最小限に留めることができる。
なお、電極パッド86、87の配置は、必ずしも限定されるものではなく、例えば、電極パッド86、87は、p+不純物領域8011、n+不純物領域802、p+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nのいずれかと平面視で重なっていてもよい。
・フィンガー電極
セル80Aには、複数のフィンガー電極804が設けられている。このため、これらのフィンガー電極804は、X軸方向に沿って並んでいる。換言すれば、フィンガー電極804の配列軸がSi基板800の長軸と平行になっている。このように配列させることで、各フィンガー電極804の形状や面積を均一化することができ、セル80Aの構造の均一化を図ることができる。その結果、セル80Aにおける反り等の変形が発生しにくくなる。加えて、フィンガー電極804を、Si基板800に対してできるだけ隙間なく敷き詰めることができる。これにより、フィンガー電極804は、Si基板800の電極面85側において、受光面84から入射した光を反射するための反射膜としても機能する。すなわち、フィンガー電極804が隙間なく敷き詰められることにより、受光面84から入射しSi基板800を透過してしまった光を、フィンガー電極804においてより高い確率で反射させることができる。これにより、光電変換に寄与する光量を増やすことができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
セル80Aには、複数のフィンガー電極804が設けられている。このため、これらのフィンガー電極804は、X軸方向に沿って並んでいる。換言すれば、フィンガー電極804の配列軸がSi基板800の長軸と平行になっている。このように配列させることで、各フィンガー電極804の形状や面積を均一化することができ、セル80Aの構造の均一化を図ることができる。その結果、セル80Aにおける反り等の変形が発生しにくくなる。加えて、フィンガー電極804を、Si基板800に対してできるだけ隙間なく敷き詰めることができる。これにより、フィンガー電極804は、Si基板800の電極面85側において、受光面84から入射した光を反射するための反射膜としても機能する。すなわち、フィンガー電極804が隙間なく敷き詰められることにより、受光面84から入射しSi基板800を透過してしまった光を、フィンガー電極804においてより高い確率で反射させることができる。これにより、光電変換に寄与する光量を増やすことができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
さらに、少なくとも互いに隣り合うフィンガー電極804同士は、特に限定されないが、互いに同一形状であり、かつ、互いに同一面積であることが好ましい。これにより、セル80Aの構造のさらなる均一化が図られることとなる。
なお、同一形状、同一面積および平行とは、それぞれ、製造時に発生する誤差を許容する概念である。
また、複数のフィンガー電極804が並ぶ場合、p型フィンガー電極804pとn型フィンガー電極804nとが交互に並んでいるのが好ましいが、このような配列パターンに限定されるものではなく、一部または全部が異なる配列パターンであってもよい。
フィンガー電極804の幅は、5μm以上100μm以下であるのが好ましく、10μm以上50μm以下であるのがより好ましい。これにより、各フィンガー電極804に対応して設けられるコンタクト同士のピッチや不純物領域同士のピッチが最適化されるため、受光により発生した少数キャリアーの取り出し効率が向上する。その結果、光電変換効率が特に高いセル80Aが得られる。
一方、フィンガー電極804同士の間隔は、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、3μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、フィンガー電極804同士の絶縁を図りつつ、フィンガー電極804が占める面積を十分に大きくすることができる。
・バスバー電極
一方、セル80Aは、図3に示すように、複数のp型フィンガー電極804pを互いに接続するように設けられたp型バスバー電極805pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、複数のn型フィンガー電極804nを互いに接続するように設けられたn型バスバー電極805nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型バスバー電極805pに斜線を付し、n型バスバー電極805nにドットを付している。
一方、セル80Aは、図3に示すように、複数のp型フィンガー電極804pを互いに接続するように設けられたp型バスバー電極805pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、複数のn型フィンガー電極804nを互いに接続するように設けられたn型バスバー電極805nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型バスバー電極805pに斜線を付し、n型バスバー電極805nにドットを付している。
また、p型バスバー電極805pは、p型フィンガー電極804pと同様、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域8011およびp+コンタクト811pと重なるように設けられている。同様に、n型バスバー電極805nは、n型フィンガー電極804nと同様、Si基板800の厚さ方向においてn+不純物領域802およびn+コンタクト811nと重なるように設けられている。
フィンガー電極804やバスバー電極805の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、銅のような金属の単体または合金等が挙げられる。
・サブフィンガー電極
また、セル80Aは、図3に示すように、p型フィンガー電極804pから分岐している複数のp型サブフィンガー電極806pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、n型フィンガー電極804nから分岐している複数のn型サブフィンガー電極806nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型サブフィンガー電極806pに斜線を付し、n型サブフィンガー電極806nにドットを付している。
また、セル80Aは、図3に示すように、p型フィンガー電極804pから分岐している複数のp型サブフィンガー電極806pを備えている。同様に、セル80Aは、図3に示すように、n型フィンガー電極804nから分岐している複数のn型サブフィンガー電極806nを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、p型サブフィンガー電極806pに斜線を付し、n型サブフィンガー電極806nにドットを付している。
また、p型サブフィンガー電極806pは、p型フィンガー電極804pと同様、Si基板800の厚さ方向においてp+不純物領域8011およびp+コンタクト811pと重なるように設けられている。同様に、n型サブフィンガー電極806nは、n型フィンガー電極804nと同様、Si基板800の厚さ方向においてn+不純物領域802およびn+コンタクト811nと重なるように設けられている。
なお、以下の説明では、p型サブフィンガー電極806pおよびn型サブフィンガー電極806nの双方を指して、サブフィンガー電極806という。
サブフィンガー電極806の延在方向は、図3に示すように、フィンガー電極804の延在方向と交差している。そして、前述したように、サブフィンガー電極806は、フィンガー電極804から分岐している。
以上のような複数のp型サブフィンガー電極806pおよびその分岐元であるp型フィンガー電極804pにより、いわゆる櫛歯形状のp型電極が構成されている。また、複数のn型サブフィンガー電極806nおよびその分岐元であるn型フィンガー電極804nにより、櫛歯形状のn型電極が構成されている。そして、p型電極とn型電極とが互いに噛み合うように配置されている。
このようなサブフィンガー電極806を設けることにより、電極パッド86、87の位置によらず、p+不純物領域8011およびn+不純物領域802を隙間なく配置することができる。これにより、例えば、電極パッド86、87がSi基板800の外縁部よりも内側(中央部)に配置されている場合であっても、その電極パッド86、87を取り囲むようにp+不純物領域8011およびn+不純物領域802を配置することが可能になる。すなわち、サブフィンガー電極806を用いることによって、そのような位置に配置されたp+不純物領域8011およびn+不純物領域802に対しても、それぞれ電気的接続を図ることができる。その結果、受光によって発生した少数キャリアーの消滅を極力減らすことができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、電極パッド86、87をSi基板800の中央部に配置することが可能になる。このため、電極パッド86、87に導電接続部83を接続することによってセル80Aを安定的に固定することができる。
なお、サブフィンガー電極806は、全てのフィンガー電極804から分岐している必要はなく、セル80Aは、サブフィンガー電極806が分岐していないフィンガー電極804を有していてもよい。また、複数のサブフィンガー電極806の長さや幅、間隔は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
・不純物領域
また、セル80Aは、前述したように、Si基板800に形成されたp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を有している。これらのp+不純物領域8011およびn+不純物領域802は、図3に示すp+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nと同じ位置であって、それぞれSi基板800の外縁部よりも内側において点状に分布している。
また、セル80Aは、前述したように、Si基板800に形成されたp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)およびn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を有している。これらのp+不純物領域8011およびn+不純物領域802は、図3に示すp+コンタクト811pおよびn+コンタクト811nと同じ位置であって、それぞれSi基板800の外縁部よりも内側において点状に分布している。
このうち、p+不純物領域8011は、ホウ素イオンやアルミニウムイオンのようなp型不純物を相対的に高濃度に含む領域であって、Si基板800の電極面85に設けられている。このようなp+不純物領域8011は、Si基板800との界面においてpn接合を形成する。かかるpn接合では、接合界面に存在する空乏層やSi基板800において発生した少数キャリアーを収集する。これにより、電流を取り出すことができる。
また、n+不純物領域802は、リンイオンやヒ素イオンのようなn型不純物を相対的に高濃度に含む領域であって、Si基板800の電極面85に設けられている。このようなn+不純物領域802を設けることにより、Si基板800とn+コンタクト811nとの接触抵抗の低減を図ることができる。このため、接触抵抗による開放電圧の低下を抑制することができる。
なお、p+不純物領域8011におけるp型不純物の濃度およびn+不純物領域802におけるn型不純物の濃度は、それぞれSi基板800の不純物濃度よりも高ければよく、特に限定されないが、1×1018[atoms/cm3]以上であるのが好ましく、1×1019[atoms/cm3]以上であるのがより好ましい。
一方、セル80Aは、Si基板800の受光面84に交差する端面808(半導体基板の外縁)に沿って設けられたp−不純物領域8012(第2の第2導電型不純物領域)を有している。このp−不純物領域8012は、p+不純物領域8011に比べてp型不純物(第2導電型の不純物)の濃度が低い領域である。このようなp−不純物領域8012をSi基板800の端面808に沿って設けることにより、端面808の生じたダングリングボンドのような結晶欠陥において少数キャリアーが消滅するのを抑制することができる。すなわち、p−不純物領域8012が設けられていない場合、端面808の近傍で発生した少数キャリアーは、移動して端面808に到達すると、消滅し、光電変換に寄与することができない。
これに対し、端面808に沿って、換言すればSi基板800の外縁部にp−不純物領域8012が設けられていると、端面808に沿ってpn接合を延在させることができる。このため、端面808近傍で発生した少数キャリアーである正孔を消滅させることなく、p−不純物領域8012に引き入れ、光電変換に寄与させることができる。その結果、本実施形態によれば、より光電変換効率が高いセル80Aを実現することができる。
また、不純物領域は、一般に、Si基板800に対してp型不純物を拡散または注入することによって形成されるが、p型不純物の濃度が高すぎる場合には結晶欠陥が発生し易くなる。かかる結晶欠陥は、少数キャリアーが消滅する原因になり得る。これに対し、p−不純物領域8012では、p型不純物の濃度が低くなるように設定されている。このため、p−不純物領域8012では、結晶欠陥が発生しにくくなり、少数キャリアーの移動度を高めることができる。その結果、少数キャリアーが消滅する確率を低下させ、光電変換効率を高めることが可能になる。
p−不純物領域8012におけるp型不純物の濃度は、p+不純物領域8011におけるp型不純物の濃度よりも低ければよいが、その差は、1×101[atoms/cm3]以上であるのが好ましく、1×102[atoms/cm3]以上1×105[atoms/cm3]以下であるのがより好ましい。これにより、p−不純物領域8012がもたらす前述した効果と、p+不純物領域8011による効果と、を高度に両立させることができる。
なお、p−不純物領域8012は、Si基板800の端面808のうち、ある一部分に沿って設けられていてもよいが、好ましくは端面808の全域にわたって沿うように設けられているのが好ましい。具体的には、図5、6においてその一部を示しているが、本実施形態に係るp−不純物領域8012は、Si基板800の端面808、すなわち電極面85におけるSi基板800の外縁に沿って設けられている。そして、本実施形態では、図3には図示しないものの、p型バスバー電極805pと重なる位置において端面808の全域にわたって設けられている。これにより、本実施形態に係るp−不純物領域8012は、Si基板800の電極面85を平面視したとき、Si基板800の外縁部よりも内側に分布しているp+不純物領域8011およびn+不純物領域802の双方を囲む環状をなしている。このため、端面808近傍で発生した少数キャリアーを、より確実にp−不純物領域8012に引き入れることができる。その結果、従来では光電変換に寄与させることができなかった少数キャリアーについても、光電変換に寄与させることができ、光電変換効率を特に高めることができる。
このようなp−不純物領域8012には、前述したp+コンタクト811pが直接接続されていてもよいが、本実施形態では、前述したp+不純物領域8011と同様のp+不純物領域8013(第3の第2導電型不純物領域)を介して、p−不純物領域8012とp+コンタクト811pとが接続されている。すなわち、セル80Aは、第2の第2導電型不純物領域であるp−不純物領域8012に隣接し、p−不純物領域8012に比べてp型不純物(第2導電型の不純物)の濃度が高いp+不純物領域8013(第3の第2導電型不純物領域)を有する。そして、このp+不純物領域8013は、p−不純物領域8012と電極パッド86(第2接続部)との間に介在している。換言すれば、p+不純物領域8013は、p−不純物領域8012と電極パッド86と電気的に接続されているp+コンタクト811pとの間にある。
このようにしてp+不純物領域8013を介在させることにより、p−不純物領域8012とp+コンタクト811pとの接触抵抗の低減を図ることができる。このため、接触抵抗による開放電圧の低下を抑制することができる。また、p+不純物領域8013は、多数キャリアーである電子がp+コンタクト811pに到達してしまうのを抑制する裏面障壁としても機能する。
p−不純物領域8012の厚さは、Si基板800の品質等に応じても若干異なるため、特に限定されないが、1.0μm以上であるのが好ましく、5.0μm以上であるのがより好ましく、10μm以上であるのがさらに好ましい。p−不純物領域8012の厚さを前記範囲内に設定することにより、端面808で消滅する少数キャリアーの割合を十分に抑えることができる。
なお、p−不純物領域8012の厚さとは、Si基板800の厚さ方向におけるp−不純物領域8012の最大長さのことをいう。
また、p−不純物領域8012の幅は、Si基板800の大きさ等に応じて若干異なるため、特に限定されないが、20μm以上1000μm以下であるのが好ましく、50μm以上500μm以下であるのがより好ましい。
一方、p+不純物領域8013は、p−不純物領域8012に隣接していればよいが、好ましくは電極面85の平面視においてp−不純物領域8012に内包されているのが好ましい。これにより、p+不純物領域8013とp−不純物領域8012との接触抵抗を特に低減させることができる。
また、かかる観点から、p+不純物領域8013の厚さは、p−不純物領域8012の厚さより薄いのが好ましい。これにより、p+不純物領域8013とp−不純物領域8012との接触面積を広くすることができ、接触抵抗をさらに低減させることができる。
一例として、p+不純物領域8013の厚さは、0.1μm以上であるのが好ましく、0.3μm以上5.0μm以下であるのがより好ましい。
なお、p+不純物領域8013の厚さとは、Si基板800の厚さ方向におけるp+不純物領域8013の最大長さのことをいう。
また、p+不純物領域8013におけるp型不純物の濃度は、例えば、前述したp+不純物領域8011におけるp型不純物の濃度と同様の範囲内に設定される。
以上のように、光電変換素子であるセル80Aは、受光面84(一方の面と表裏関係にある他方の面)と電極面85(一方の面)とを有するn型(第1導電型)のSi基板800(半導体基板)と、Si基板800の電極面85に設けられ、n型不純物(第1導電型の不純物)を含むn+不純物領域802(第1導電型不純物領域)と、Si基板800の電極面85にn+不純物領域802と離間して設けられ、p型不純物(第1導電型と異なる第2導電型の不純物)を含むp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)と、電極面85に交差するSi基板800の端面808、すなわち電極面85におけるSi基板800の外縁に沿って設けられ、p+不純物領域8011に比べてp型不純物の濃度が低いp−不純物領域8012(第2の第2導電型不純物領域)と、p+不純物領域8011およびp−不純物領域8012の双方と電気的に接続されている電極パッド86(第2接続部)と、n+不純物領域802と電気的に接続されている電極パッド87(第1接続部)と、を有する。
このようなセル80Aでは、端面808近傍で発生した少数キャリアーを、光電変換に寄与させることができる。このため、端面808における少数キャリアーの消滅を抑えることができ、セル80Aの光電変換効率を高めることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、p型バスバー電極805pが閉じた環状をなしている。すなわち、p型バスバー電極805pは、Si基板800の外縁に沿って環状に延在している。したがって、p型バスバー電極805pは、p+不純物領域8011およびp−不純物領域8012と重なるように配置されている。これにより、p+不純物領域8011から取り出した少数キャリアーを特に効率よく収集することができる。
一方、本実施形態に係るn型バスバー電極805nは、Si基板800のY軸方向における中心を通過するように、X軸方向に沿って延在している。このn型バスバー電極805nは、電極パッド87を通過するとともに、電極パッド86を迂回するように引き回されている。
そして、p型フィンガー電極804pの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド86を構成している。一方、n型フィンガー電極804nの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド87を構成している。
図5は、図3の部分拡大図であって、p+不純物領域8011、p+不純物領域8013およびn+不純物領域802の輪郭を破線で、p−不純物領域8012の輪郭を一点鎖線で、それぞれ追記してなる図である。また、図6は、図5に示すp+不純物領域8011、p+不純物領域8013、n+不純物領域802およびp−不純物領域8012を選択的に示す図である。
p−不純物領域8012は、前述したように、一部が欠損していてもよいが、好ましくは図5および図6に示すように、端面808に沿って連続的に延在している。また、p+不純物領域8011も、一部が欠損していてもよいが、好ましくは図5および図6に示すように、端面808に沿って連続的に延在している。これにより、端面808近傍で発生した少数キャリアーを、より確実に光電変換に寄与させることができる。
また、p−不純物領域8012が端面808から露出していることは必ずしも求められないが、好ましくは端面808の少なくとも一部においてp−不純物領域8012が露出している。これにより、端面808で消滅する少数キャリアーを最小限に抑え、特に光電変換効率を高めることができる。なお、一部の図では、図示の便宜上、露出していないように図示している。
また、本実施形態に係る太陽電池80(光電変換モジュール)は、図4に示すように、セル80A(光電変換素子)と、このセル80Aと重なるように設けられている配線基板82と、セル80Aの電極パッド86、87と配線基板82の導電膜822とを電気的に接続する導電接続部83と、を有する。したがって、太陽電池80は、従来であれば消滅していた少数キャリアーを光電変換に寄与させることができるため、光電変換効率が高いものとなる。
また、太陽電池80では、配線基板82によってセル80Aの電極面85の少なくとも一部が覆われることになるため、電極面85が保護される。このため、電極面85に異物が付着したり、外力が加わったりすることが抑制される。その結果、電極面85の信頼性を確保することができる。
換言すれば、受光面84を平面視したとき、導電接続部83は、セル80Aの陰に隠れている(セル80Aと重なっている)ことが好ましい。これにより、上述した信頼性の確保という効果に加え、導電接続部83が視認されないことによる太陽電池80の美的外観の向上を図ることができる。
なお、導電接続部83は、セル80Aと配線基板82とを電気的のみならず、機械的にも接続している。このため、導電接続部83の機械的特性を最適化することにより、前述したセル80Aにおける応力の集中を緩和することができる。
具体的には、導電接続部83のヤング率は、0.5GPa以上15GPa以下であるのが好ましく、1GPa以上10GPa以下であるのがより好ましく、1.5GPa以上6.5GPa以下であるのがさらに好ましい。導電接続部83のヤング率を前記範囲内に設定することにより、導電接続部83に求められる接着強度を確保しつつ、導電接続部83において歪み等を吸収することができる。このため、高い機械的特性に基づく機械的接続の信頼性と、セル80Aに発生する応力の集中を緩和する特性と、を両立させることができる。
なお、導電接続部83のヤング率が前記下限値を下回ると、導電接続部83の機械的特性が低くなるため、セル80Aの仕様等によっては、求められる接着強度を満たすことができないおそれがある。一方、導電接続部83のヤング率が前記上限値を上回ると、導電接続部83の変形能が低下するため、セル80Aの仕様等によっては、導電接続部83においてセル80Aの歪みを十分に吸収することができず、セル80Aに反り等の不具合を発生させるおそれがある。
また、導電接続部83のヤング率は、例えば25℃において動的粘弾性測定装置(DMA)により測定される。
また、上述したヤング率の観点からすれば、導電接続部83としては、特に樹脂材料を含む導電性接着剤が好ましく用いられる。
導電性接着剤に含まれる樹脂材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いられる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光電変換素子の第2実施形態を適用したセルについて詳述する。
図7は、本発明の光電変換素子の第2実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。なお、図7では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してバスバー電極805、フィンガー電極804およびサブフィンガー電極806を透視するように図示している。
次に、本発明の光電変換素子の第2実施形態を適用したセルについて詳述する。
図7は、本発明の光電変換素子の第2実施形態を適用したセルの電極面を示す平面図である。なお、図7では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807を介してバスバー電極805、フィンガー電極804およびサブフィンガー電極806を透視するように図示している。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図7において、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第2実施形態は、サブフィンガー電極806の形状が異なる以外、第1実施形態と同様である。すなわち、前述した第1実施形態に係るセル80Aは、p型サブフィンガー電極806pとn型サブフィンガー電極806nの双方を有しているのに対し、第2実施形態に係るセル80Bは、n型サブフィンガー電極806nのみを有している。
また、本実施形態に係るp型バスバー電極805pは、環状をなす部分に加え、この部分と電極パッド86とをつなぐ部分も含んでいる。
一方、本実施形態に係るn型バスバー電極805nは、電極パッド87を通過するように引き回されている。また、本実施形態に係るn型サブフィンガー電極806nは、電極パッド86の+Y側および−Y側にそれぞれ設けられている。そして、p型バスバー電極805pの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド86を構成している。一方、n型バスバー電極805nの一部がパッシベーション膜807から露出し、電極パッド87を構成している。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光電変換素子の第3実施形態を適用したセルについて詳述する。
図8は、本発明の光電変換素子の第3実施形態を適用したセルの電極面を示す部分拡大図である。また、図9は、図8のB−B線断面図である。なお、図8では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807や電極等を介して不純物領域のみを透視するように図示している。
次に、本発明の光電変換素子の第3実施形態を適用したセルについて詳述する。
図8は、本発明の光電変換素子の第3実施形態を適用したセルの電極面を示す部分拡大図である。また、図9は、図8のB−B線断面図である。なお、図8では、電極面85上に設けられたパッシベーション膜807や電極等を介して不純物領域のみを透視するように図示している。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図8および図9において、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
第3実施形態は、p−不純物領域8012の形成領域が異なる以外、第1実施形態と同様である。すなわち、前述した第1実施形態に係るセル80Aでは、p+不純物領域8013に隣接するようにp−不純物領域8012が設けられているのに対し、第3実施形態に係るセル80Cは、図8および図9に示すように、前述したp−不純物領域8012に加え、さらにp+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)に隣接するように設けられたp−不純物領域8014(第4の第2導電型不純物領域)を有している。このp−不純物領域8014は、p+不純物領域8011に比べてp型不純物(第2導電型の不純物)の濃度が低い領域である。
このようにしてSi基板800の外縁部よりも内側に分布しているp+不純物領域8011に対してもp−不純物領域8014を隣接させることにより、pn接合の面積を拡大することができる。その結果、pn接合に付随して形成される空乏層の面積を拡大することができ、少数キャリアーを引き入れる確率を高めることができる。その結果、光電変換効率のさらなる向上を図ることができる。
また、p+不純物領域8011は、p−不純物領域8014に隣接していればよいが、好ましくは電極面85の平面視においてp−不純物領域8014に内包されているのが好ましい。これにより、p+不純物領域8011とp−不純物領域8014との接触抵抗を特に低減させることができる。
なお、p−不純物領域8014におけるp型不純物の濃度は、例えば、前述したp−不純物領域8012におけるp型不純物の濃度と同様の範囲内に設定される。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
続いて、第3実施形態の変形例について説明する。
図10は、図9に示すセルの第1変形例を示す断面図である。
図10は、図9に示すセルの第1変形例を示す断面図である。
図9に示すセル80Cでは、p−不純物領域8014がSi基板800の電極面85に露出しているのに対し、図10に示すセル80Dでは、p−不純物領域8014がSi基板800の内部に埋設されている。これにより、p−不純物領域8014とSi基板800のn型Siとの界面の面積を、より広く確保することができる。すなわち、図10に示すp−不純物領域8014の下面や左右面のみでなく、上面においてもn型Siとの界面が形成される。その結果、空乏層の面積を拡大し、光電変換効率のさらなる拡大を図ることができる。
なお、この場合、図10に示すように、p+不純物領域8011の厚さ方向の一部においてp−不純物領域8014と隣接していればよい。
図11は、図9に示すセルの第2変形例を示す断面図である。
図9に示すセル80Cでは、電極面85を平面視したとき、p+不純物領域8011がp−不純物領域8014の中央部に配置されているのに対し、図11に示すセル80Eでは、p+不純物領域8011がp−不純物領域8014の隅に配置されている。
以上のような変形例においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
図9に示すセル80Cでは、電極面85を平面視したとき、p+不純物領域8011がp−不純物領域8014の中央部に配置されているのに対し、図11に示すセル80Eでは、p+不純物領域8011がp−不純物領域8014の隅に配置されている。
以上のような変形例においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
(光電変換素子の製造方法)
≪第1製造方法≫
次に、図4に示すセル80Aを製造する第1の方法(実施形態に係る光電変換素子の製造方法)について説明する。
≪第1製造方法≫
次に、図4に示すセル80Aを製造する第1の方法(実施形態に係る光電変換素子の製造方法)について説明する。
図12〜図18は、それぞれ図4に示すセルを製造する第1の方法を説明するための図である。
[1]まず、n型(第1導電型)のSiウエハー800Wを用意する(図12参照)。このSiウエハー800Wは、最終的に複数のセルを切り出すための母材として用いられる。
[2]次に、Siウエハー800Wの電極面85W(一方の面)に、低濃度領域8012aを形成する(図13参照)。低濃度領域8012aは、例えばSiウエハー800Wに不純物イオンを注入した後、活性化アニール処理を施すことにより形成される。このような低濃度領域8012aは、前述したp−不純物領域8012(第2の第2導電型不純物領域)と同様、p+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)に比べてp型不純物の濃度が低い領域である。
イオン注入における不純物イオンの加速エネルギーとしては、例えば、50keV以上5000keV以下とされる。
また、活性化アニール処理の条件としては、例えば温度が500℃以上1200℃以下であり、時間が10分以上180分以下とされる。
[3]次に、図14では図示を省略しているものの、Siウエハー800Wの電極面85Wにp型不純物(第2導電型の不純物)を注入する。これにより、図4に示すp+不純物領域8011を形成する。
[4]続いて、Siウエハー800Wの電極面85Wにn型不純物(第1導電型の不純物)を注入する。これにより、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を形成する(図14参照)。なお、前述したp+不純物領域8011を形成する工程と、n+不純物領域802を形成する工程とは、その順序が入れ替わってもよい。また、本工程を、前述した低濃度領域8012aを形成する工程よりも前に行うようにしてもよい。
[5]次に、フィンガー電極804、バスバー電極805のような電極、パッシベーション膜807等を形成する(図15参照)。これにより、図示しない電極パッド(第1接続部および第2接続部)を形成する。
なお、電極は、導電性材料を各種蒸着法等によって成膜した後、得られた被膜をパターニングすることによって形成される。パッシベーション膜807は、絶縁性材料を各種蒸着法等によって成膜した後、得られた被膜をパターニングすることによって形成される。
[6]次に、Siウエハー800Wを表裏反転させ、図16の受光面84W(他方の面)を必要に応じて研削する。
続いて、図16に示すように、受光面84Wにテクスチャー構造を形成する。テクスチャー構造の形成には、例えばウェットエッチング法、ドライエッチング法、ブラスト法等が用いられる。
その後、各種蒸着法等により、パッシベーション膜817を形成する。
その後、必要に応じて、加熱処理を施す。これにより、Siウエハー800Wの特性を最適化することができる。
その後、必要に応じて、加熱処理を施す。これにより、Siウエハー800Wの特性を最適化することができる。
[7]次に、低濃度領域8012aを通過するように、Siウエハー800Wに向けてレーザーLを照射し、レーザー加工を施す。これにより、Siウエハー800Wやそれに形成された電極等を切断する(図17参照)。このようにして、図17に示すSiウエハー800Wから複数のセル80Aを切り出す(図18参照)。
切り出された各セル80Aの切断面には、低濃度領域8012aが2つに分割されることに伴って低濃度領域8012aが露出する。このため、分割後の低濃度領域8012aのそれぞれがp−不純物領域8012となる。
レーザーLとしては、例えば、YAGレーザー、YVO4レーザー、Ybレーザー、半導体レーザーのような各種固体レーザー、CO2レーザー、He−Neレーザー、エキシマーレーザーのような各種気体レーザー等が挙げられる。
また、レーザーLの波長は、150nm以上750nm以下であるのが好ましく、400nm以上600nm以下であるのがより好ましい。レーザーLの波長を前記範囲内に設定することにより、レーザーLの浸透深さや吸収率を最適化することができる。このため、少ないエネルギー(照射時間)でも照射領域を気化させることができる。これにより、高精度にかつ短時間でレーザー加工を施すことができる。
なお、切断方法は、レーザー加工法に限定されず、例えばダイシング法等の機械的加工法で代替されてもよい。さらに、レーザー加工に割断加工を組み合わせるようにしてもよい。
以上のように、セル80Aの第1製造方法は、n型(第1導電型)のSiウエハー800W(半導体ウエハー)を用意する工程と、Siウエハー800Wにp型不純物(第2導電型の不純物)を注入し、p+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)に比べてp型不純物の濃度が低い低濃度領域8012aを形成する工程と、Siウエハー800Wにp型不純物を注入し、p+不純物領域8011を形成する工程と、Siウエハー800Wにn型不純物(第1導電型の不純物)を注入し、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を形成する工程と、電極パッド(第1接続部および第2接続部)を形成する工程と、低濃度領域8012aを通過するようにSiウエハー800Wを切断し、セル80A(光電変換素子)を切り出す工程と、を有する。
このような第1製造方法によれば、Siウエハー800Wを切断することによって複数のSi基板800が形成され、低濃度領域8012aを切断することによって複数のp−不純物領域8012が形成されるため、光電変換効率が高いセル80Aを効率よく製造することができる。
また、イオン注入法を用いて低濃度領域8012aや不純物領域等の各領域を形成するため、注入条件を適宜調整することによって、形成深さを制御することが可能になる。このため、例えば図10に示すように、p−不純物領域8014をSi基板800の内部に埋設することができる。具体的には、イオン注入におけるイオンの加速エネルギーを高めることによって、浅い領域のSi材料を透過させ、より深い位置に不純物イオンを注入することができる。
≪第2製造方法≫
次に、図4に示すセル80Aを製造する第2の方法(実施形態に係る光電変換素子の製造方法)について説明する。
次に、図4に示すセル80Aを製造する第2の方法(実施形態に係る光電変換素子の製造方法)について説明する。
図19〜図25は、それぞれ図4に示すセルを製造する第2の方法を説明するための図である。
以下、第2製造方法について説明するが、以下の説明では、第1製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
[1]まず、Siウエハー800Wを用意する(図19参照)。
[2]次に、Siウエハー800Wの電極面85Wに溝891を形成する(図20参照)。
[2]次に、Siウエハー800Wの電極面85Wに溝891を形成する(図20参照)。
溝891の深さは、例えばSiウエハー800Wの厚さの1%以上80%以下であるのが好ましく、5%以上50%以下であるのがより好ましい。これにより、Siウエハー800Wの機械的強度を確保しつつ、後述する低濃度領域8012aに十分な厚さを与えるために必要な深さの溝891を形成することができる。
続いて、溝891に、p型不純物(第2導電型の不純物)を含む材料892を供給し、充填する(図20参照)。材料892としては、例えばp型不純物を含むガラス成分を分散した分散液が用いられる。一例として、酸化ホウ素、酸化リン等の粉末を分散させた分散液が挙げられる。
[3]次に、Siウエハー800Wにアニール処理を施す。これにより、材料892に含まれるp型不純物を溝891の外部に拡散させる(図21参照)。その結果、低濃度領域8012aを形成する(図22参照)。
アニール処理の条件としては、例えば温度が150℃以上1200℃以下であり、時間が10分以上180分以下とされる。
[4]次に、Siウエハー800Wの電極面85Wにp型不純物を注入する。これにより、図23には図示しないものの、図4に示すp+不純物領域8011を形成する。
[5]続いて、Siウエハー800Wの電極面85Wにn型不純物を注入する。これにより、n+不純物領域802を形成する(図23参照)。
[6]次に、フィンガー電極804、バスバー電極805のような電極、パッシベーション膜807等を形成する(図24参照)。これにより、図示しない電極パッド(第1接続部および第2接続部)を形成する。
[7]次に、図24に示すSiウエハー800Wの受光面84Wを必要に応じて研削する。
続いて、受光面84Wにテクスチャー構造を形成する。その後、各種蒸着法等により、パッシベーション膜817を形成する。
[8]次に、Siウエハー800Wに向けてレーザーLを照射してレーザー加工を施す。これにより、Siウエハー800Wやそれに形成された電極等を切断する(図24参照)。このようにして、図24に示すSiウエハー800Wから複数のセル80Aを切り出す(図25参照)。
切り出された各セル80Aは、切断面に低濃度領域8012aが露出する。このため、低濃度領域8012aが2つに分割され、それぞれがp−不純物領域8012となる。
以上のように、セル80Aの第2製造方法は、n型(第1導電型)のSiウエハー800W(半導体ウエハー)を用意する工程と、Siウエハー800Wに溝891を形成した後、溝891にp型不純物(第2導電型の不純物)を含む材料892を供給する工程と、Siウエハー800Wにアニール処理を施し、p+不純物領域8011(第1の第2導電型不純物領域)に比べてp型不純物の濃度が低い低濃度領域8012aを形成する工程と、Siウエハー800Wにp型不純物を注入し、p+不純物領域8011を形成する工程と、Siウエハー800Wにn型不純物(第1導電型の不純物)を注入し、n+不純物領域802(第1導電型不純物領域)を形成する工程と、電極パッド(第1接続部および第2接続部)を形成する工程と、低濃度領域8012aを通過するようにSiウエハー800Wを切断し、セル80A(光電変換素子)を切り出す工程と、を有する。
このような第2製造方法によれば、Siウエハー800Wを切断することによって複数のSi基板800が形成され、低濃度領域8012aを切断することによって複数のp−不純物領域8012が形成されるため、光電変換効率が高いセル80Aを効率よく製造することができる。
また、溝891に材料892に供給した後、材料892に含まれる不純物イオンを拡散させる方法を用いるため、不純物イオンの注入深さを容易に深くすることができる。このため、低濃度領域8012aの厚さを十分に厚くすることができ、より厚さが厚いp−不純物領域8012を容易に形成することができる。
<電子時計>
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計について説明する。
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計について説明する。
図26、27は、それぞれ、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計を示す斜視図である。このうち、図26は、電子時計の表側から見たときの外観を表す斜視図であり、図27は、電子時計の裏側から見たときの外観を表す斜視図である。また、図28は、図26、27に示す電子時計の平面図であり、図29は、図26、27に示す電子時計の縦断面図である。
電子時計200は、ケース31と太陽電池80(光電変換モジュール)と表示部50と光センサー部40を含む機器本体30と、ケース31に取り付けられた2つのバンド10と、を有している。
なお、本明細書では、電子時計200および太陽電池80のうち、太陽電池80に入射する光の光源側を「表(おもて)」とし、その反対側を「裏」とする。また、太陽電池80の受光面84に直交する方向に延在する方向軸をZ軸とする。また、電子時計200の裏側から表側への向きを「+Z方向」とし、その反対向きを「−Z方向」とする。
一方、Z軸に直交する2つの軸を「X軸」および「Y軸」とする。このうち、2つのバンド10同士を結ぶ方向軸をY軸とし、Y軸に直交する方向軸をX軸とする。また、表示部50の上向きを「+Y方向」とし、下向きを「−Y方向」とする。また、図28における右向きを「+X方向」とし、左向きを「−X方向」とする。
以下、電子時計200の構成について順次説明する。
(機器本体)
機器本体30は、表側および裏側に開口したケース31と、表側の開口部を塞ぐように設けられた風防板55と、ケース31の表面および風防板55の側面を覆うように設けられたベゼル57と、裏側の開口部を塞ぐように設けられた透明カバー44と、を備える筐体を有している。この筐体内には、後述する種々の構成要素が収容される。
(機器本体)
機器本体30は、表側および裏側に開口したケース31と、表側の開口部を塞ぐように設けられた風防板55と、ケース31の表面および風防板55の側面を覆うように設けられたベゼル57と、裏側の開口部を塞ぐように設けられた透明カバー44と、を備える筐体を有している。この筐体内には、後述する種々の構成要素が収容される。
筐体のうち、ケース31は円環状をなしており、表側には風防板55を嵌め込み可能な開口部35を備え、裏側には透明カバー44を嵌め込み可能な開口部として測定窓部45を備えている。
また、ケース31の裏側の一部は、突出するように成形された凸状部32になっている。この凸状部32の頂部が開口して測定窓部45となっており、そこに透明カバー44が嵌め込まれているとともに、透明カバー44の一部が測定窓部45から突出している。
ケース31の構成材料としては、例えばステンレス鋼、チタン合金のような金属材料の他、樹脂材料、セラミックス材料等が挙げられる。また、ケース31は、複数の部位の組み立て体であってもよく、その場合、部位同士で構成材料が異なっていてもよい。
また、ケース31の外側面には、複数の操作部58(操作ボタン)が設けられている。
また、ケース31の表側に設けられた開口部35の外縁には、+Z方向に突出する突起部34が形成されている。そして、この突起部34を覆うように、円環状をなすベゼル57が設けられている。
また、ケース31の表側に設けられた開口部35の外縁には、+Z方向に突出する突起部34が形成されている。そして、この突起部34を覆うように、円環状をなすベゼル57が設けられている。
さらに、ベゼル57の内側には風防板55が設けられている。そして、風防板55の側面とベゼル57との間が、パッキンや接着剤のような接合部材56を介して接着されている。
風防板55および透明カバー44の構成材料としては、例えばガラス材料、セラミックス材料、樹脂材料等が挙げられる。また、風防板55は透光性を有し、風防板55を介して表示部50の表示内容および太陽電池80の受光面84を視認することができるようになっている。さらに、透明カバー44も透光性を有し、光センサー部40を生体情報測定部として機能させることができる。
また、筐体の内部空間36は、後述する種々の構成要素を収容可能な閉空間になっている。
機器本体30は、それぞれ内部空間36に収容される要素として、回路基板20と、方位センサー22(地磁気センサー)と、加速度センサー23と、GPSアンテナ28と、光センサー部40と、表示部50を構成する電気光学パネル60および照明部61と、二次電池70と、太陽電池80と、を備えている。また、機器本体30は、これらの要素の他にも、標高や水深等を算出するための圧力センサー、温度を測定する温度センサー、角速度センサーのような各種センサー、バイブレーター等を備えていてもよい。
回路基板20は、前述した要素同士を電気的に接続する配線を含む基板である。また、回路基板20には、前述した要素の動作を制御する制御回路や駆動回路等を含むCPU21(Central Processing Unit)および他の回路素子24が搭載されている。
また、太陽電池80、電気光学パネル60、回路基板20および光センサー部40は、風防板55側からこの順で配置されている。これにより、太陽電池80は、風防板55に近接して配置されることになり、多くの外部光が太陽電池80に効率よく入射する。その結果、太陽電池80における光電変換効率を最大限に高めることができる。
以下、機器本体30に収容される要素についてさらに詳述する。
回路基板20は、その端部が回路ケース75を介してケース31に取り付けられている。
回路基板20は、その端部が回路ケース75を介してケース31に取り付けられている。
また、回路基板20には、接続配線部63および接続配線部81が電気的に接続されている。このうち、接続配線部63を介して回路基板20と電気光学パネル60とが電気的に接続されている。また、接続配線部81を介して回路基板20と太陽電池80とが電気的に接続されている。これらの接続配線部63、81は、例えばフレキシブル回路基板で構成され、内部空間36の隙間に効率よく引き回される。
方位センサー22および加速度センサー23は、電子時計200を装着したユーザーの体の動きに係る情報を検出することができる。方位センサー22および加速度センサー23は、ユーザーの体動に応じて変化する信号を出力し、CPU21に送信する。
CPU21は、GPSアンテナ28を含むGPS受信部(図示せず)を制御する回路、光センサー部40を駆動しユーザーの脈波等を測定する回路、表示部50を駆動する回路、太陽電池80の発電を制御する回路等を含む。
GPSアンテナ28は、複数の位置情報衛星から電波を受信する。また、機器本体30は、図示しない信号処理部を備えている。信号処理部は、GPSアンテナ28が受信した複数の測位信号に基づいて測位計算を行い、時刻および位置情報を取得する。信号処理部は、これらの情報をCPU21に送信する。
光センサー部40は、ユーザーの脈波等を検出する生体情報測定部である。図29に示す光センサー部40は、受光部41と、受光部41の外側に設けられた複数の発光部42と、受光部41および発光部42が搭載されたセンサー基板43と、を含む光電センサーである。また、受光部41および発光部42は、前述した透明カバー44を介して、ケース31の測定窓部45に臨んでいる。また、機器本体30が備える接続配線部46を介して回路基板20と光センサー部40とが電気的に接続されている。
このような光センサー部40は、発光部42から射出した光を被検体(例えばユーザーの皮膚)に対して照射し、その反射光を受光部41で受光することにより、脈波を検出する。光センサー部40は、検出した脈波の情報をCPU21に送信する。
なお、光電センサーに代えて、心電計、超音波センサーのような他のセンサーを用いるようにしてもよい。
また、機器本体30は、図示しない通信部を備えている。この通信部は、機器本体30が取得した各種の情報や記憶している情報、CPU21による演算結果等を外部に送信する。
表示部50は、風防板55を介して、電気光学パネル60の表示内容をユーザーに視認させる。これにより、例えば前述した要素から取得した情報を、文字や画像として表示部50に表示し、ユーザーに認識させることができる。
電気光学パネル60としては、例えば、液晶表示素子、有機EL(Organic Electro Luminescence)表示素子、電気泳動表示素子、LED(Light Emitting Diode)表示素子等が挙げられる。
図29では、一例として、電気光学パネル60が反射型の表示素子(例えば反射型液晶表示素子、電気泳動表示素子等)である場合を図示している。このため、表示部50は、電気光学パネル60が備える導光板(図示せず)の光入射面に設けられた照明部61を備えている。照明部61としては、例えばLED素子が挙げられる。このような照明部61および導光板は、反射型表示素子のフロントライトとして機能する。
なお、電気光学パネル60が透過型の表示素子(例えば透過型液晶表示素子等)である場合には、フロントライトに代えてバックライトを設けるようにすればよい。
また、電気光学パネル60が自発光型の表示素子(例えば有機EL表示素子、LED表示素子等)である場合や、自発光型ではないものの外光を利用する表示素子である場合には、フロントライトやバックライトを省略することができる。
二次電池70は、図示しない配線を介して回路基板20に接続されている。これにより、二次電池70から出力される電力を、前述した要素の駆動に用いることができる。また、太陽電池80で発電した電力によって、二次電池70を充電することができる。
以上のような電子時計200(電子機器)は、例えば前述したセル80A、セル80B、セル80C、セル80Dおよびセル80Eのうちのいずれか1つを含む太陽電池80を備えている。すなわち、太陽電池80は、これらのセルのうちのいずれかを適用したセル80a、80b、80c、80dを備えている。これにより、光電変換効率が高く信頼性の高い電子時計200が得られる。
以上、電子時計200について説明したが、本発明の電子機器の実施形態は電子時計に限定されず、例えば携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、カメラ等であってもよい。
<電子時計の変形例>
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計の変形例について説明する。
次に、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計の変形例について説明する。
図30は、本発明の電子機器の実施形態を適用した電子時計の変形例を示す平面図である。また、図31は、図30に示す電子時計の縦断面図である。
電子時計91は、図30または図31に示すように、外装ケース930と、カバーガラス933と、裏蓋934と、を備えている。外装ケース930は、円筒状のケース本体931に、ベゼル932が嵌合されて構成されている。このベゼル932の内周側に、リング状のダイヤルリング935を介して、円盤状の文字板911が時刻表示部分として配置されている。
また、外装ケース930の側面には、文字板911の中心より、2時方向の位置にAボタン92と、4時方向の位置にBボタン93と、3時方向の位置にリューズ94とが設けられている。
電子時計91は、図30または図31に示すように、金属製のケース本体931の2つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル932を介してカバーガラス933で塞がれており、裏面側の開口は、裏蓋934で塞がれている。
外装ケース930の内側には、ベゼル932の内周に取り付けられているダイヤルリング935と、光透過性の文字板911と、指針921〜924と、カレンダー車920と、各指針921〜924およびカレンダー車920を駆動する駆動機構9140と、が設けられている。
ダイヤルリング935は、カバーガラス933と並行している平板部分と、文字板911側へ傾斜した傾斜部分と、を備えている。ダイヤルリング935の平板部分および傾斜部分と、ベゼル932の内周面とによりドーナツ形状の収納空間が形成されており、この収納空間内には、リング状のアンテナ体9110が収納されている。
文字板911は、外装ケース930の内側で時刻を表示する円形の板材であり、例えばプラスチック等の光透過性の材料で形成されている。また、文字板911とカバーガラス933との間には、指針921〜924等が設けられている。
文字板911と、駆動機構9140が取り付けられている地板9125と、の間には、光発電を行う太陽電池9135が備えられている。すなわち、太陽電池9135は、文字板911の裏側に設けられている。そして、太陽電池9135は、文字板911を透過してくる光を受けて光発電する。
太陽電池9135は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する複数の光発電素子を直列接続した円形の平板であって、前述した太陽電池80と同様、本発明の光電変換モジュールの実施形態である。このため、太陽電池9135は、セル(光電変換素子)の光電変換効率が高く、信頼性の高いものとなる。
また、文字板911、太陽電池9135および地板9125には、指針921〜923の指針軸929と、指針924の図示しない指針軸と、が貫通する穴が形成されている。また、文字板911および太陽電池9135には、それぞれカレンダー小窓919の開口部が形成されている。
駆動機構9140は、地板9125に取り付けられ、回路基板9120で裏面側から覆われている。駆動機構9140は、ステップモーターと歯車等の輪列とを有し、ステップモーターが輪列を介して指針軸929等を回転させることにより各指針921〜924およびカレンダー車920等を駆動する。
回路基板9120は、GPS受信回路945と、制御装置950と、を備えている。また、この回路基板9120およびアンテナ体9110は、アンテナ接続ピン9115を用いて互いに接続されている。GPS受信回路945および制御装置950が設けられた回路基板9120の裏蓋934側には、これらの回路部品を覆うための回路押さえ9122が設けられている。また、リチウムイオン電池等の二次電池9130が、地板9125と裏蓋934との間に設けられている。二次電池9130は、太陽電池9135が発電した電力で充電される。
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の光電変換素子、光電変換モジュールおよび電子機器は、前記実施形態の要素の一部が、同等の機能を有する任意の要素に代替されたものであってもよく、また、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、前記実施形態では、n型のSi基板を用いているが、p型のSi基板を用いるようにしてもよい。すなわち、前記実施形態では、第1導電型としてn型、第2導電型としてp型を採用した例を説明しているが、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。後者の場合、前記実施形態におけるn型とp型の関係を互いに入れ替えるようにすればよい。
また、本発明の光電変換素子の製造方法は、前記実施形態に任意の工程が付加されたものであってもよい。
10…バンド、20…回路基板、21…CPU、22…方位センサー、23…加速度センサー、24…回路素子、28…GPSアンテナ、30…機器本体、31…ケース、32…凸状部、34…突起部、35…開口部、36…内部空間、40…光センサー部、41…受光部、42…発光部、43…センサー基板、44…透明カバー、45…測定窓部、46…接続配線部、50…表示部、55…風防板、56…接合部材、57…ベゼル、58…操作部、60…電気光学パネル、61…照明部、63…接続配線部、70…二次電池、75…回路ケース、80…太陽電池、80A…セル、80B…セル、80C…セル、80D…セル、80E…セル、80a…セル、80b…セル、80c…セル、80d…セル、81…接続配線部、82…配線基板、83…導電接続部、84…受光面、85…電極面、86…電極パッド、87…電極パッド、91…電子時計、92…Aボタン、93…Bボタン、94…リューズ、200…電子時計、800…Si基板、800W…Siウエハー、802…n+不純物領域、804…フィンガー電極、804n…n型フィンガー電極、804p…p型フィンガー電極、805…バスバー電極、805n…n型バスバー電極、805p…p型バスバー電極、806…サブフィンガー電極、806n…n型サブフィンガー電極、806p…p型サブフィンガー電極、807…パッシベーション膜、808…端面、811n…n+コンタクト、811p…p+コンタクト、817…パッシベーション膜、821…絶縁基板、822…導電膜、823…絶縁膜、824…開口部、825…接着層、891…溝、892…材料、911…文字板、919…カレンダー小窓、920…カレンダー車、921…指針、922…指針、923…指針、924…指針、929…指針軸、930…外装ケース、931…ケース本体、932…ベゼル、933…カバーガラス、934…裏蓋、935…ダイヤルリング、945…GPS受信回路、950…制御装置、8011…p+不純物領域、8012…p−不純物領域、8012a…低濃度領域、8013…p+不純物領域、8014…p−不純物領域、8071…ビアホール、9110…アンテナ体、9115…アンテナ接続ピン、9120…回路基板、9122…回路押さえ、9125…地板、9130…二次電池、9135…太陽電池、9140…駆動機構、L……レーザー
Claims (10)
- 一方の面と、前記一方の面と表裏関係にある他方の面と、を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記第1導電型の不純物を含む第1導電型不純物領域と、
前記半導体基板の前記一方の面に前記第1導電型不純物領域と離間して設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1の第2導電型不純物領域と、
前記一方の面の前記半導体基板の外縁に設けられ、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い第2の第2導電型不純物領域と、
前記第1導電型不純物領域と電気的に接続されている第1接続部と、
前記第1の第2導電型不純物領域および前記第2の第2導電型不純物領域と電気的に接続されている第2接続部と、
を有することを特徴とする光電変換素子。 - 前記一方の面を平面視したとき、前記第2の第2導電型不純物領域は、前記第1の第2導電型不純物領域および前記第1導電型不純物領域の双方を囲む請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記第2の第2導電型不純物領域の厚さは、1.0μm以上である請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記第2の第2導電型不純物領域に隣接し、前記第2の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が高い第3の第2導電型不純物領域を有し、
前記第3の第2導電型不純物領域は、前記第2の第2導電型不純物領域と前記第2接続部との間にある請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光電変換素子。 - 前記第1の第2導電型不純物領域に隣接し、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い第4の第2導電型不純物領域を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記第4の第2導電型不純物領域は、前記半導体基板の内部に埋設されている請求項5に記載の光電変換素子。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光電変換素子を製造する方法であって、
前記第1導電型の半導体ウエハーを用意する工程と、
前記半導体ウエハーに前記第2導電型の不純物を注入し、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い低濃度領域を形成する工程と、
前記半導体ウエハーに前記第2導電型の不純物を注入し、前記第1の第2導電型不純物領域を形成する工程と、
前記半導体ウエハーに前記第1導電型の不純物を注入し、前記第1導電型不純物領域を形成する工程と、
前記第1接続部および前記第2接続部を形成する工程と、
前記低濃度領域を通過するように前記半導体ウエハーを切断することにより、前記光電変換素子を切り出す工程と、
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光電変換素子を製造する方法であって、
前記第1導電型の半導体ウエハーを用意する工程と、
前記半導体ウエハーに溝を形成した後、前記溝に前記第2導電型の不純物を含む材料を供給する工程と、
前記半導体ウエハーにアニール処理を施し、前記第1の第2導電型不純物領域に比べて前記第2導電型の不純物の濃度が低い低濃度領域を形成する工程と、
前記半導体ウエハーに前記第2導電型の不純物を注入し、前記第1の第2導電型不純物領域を形成する工程と、
前記半導体ウエハーに前記第1導電型の不純物を注入し、前記第1導電型不純物領域を形成する工程と、
前記第1接続部および前記第2接続部を形成する工程と、
前記低濃度領域を通過するように前記半導体ウエハーを切断することにより、前記光電変換素子を切り出す工程と、
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光電変換素子と、
前記光電変換素子と電気的に接続されている配線基板と、
を有することを特徴とする光電変換モジュール。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子機器。
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JP2018134764A JP2020013869A (ja) | 2018-07-18 | 2018-07-18 | 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換モジュールおよび電子機器 |
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CN115000199A (zh) * | 2022-08-01 | 2022-09-02 | 一道新能源科技(衢州)有限公司 | 一种p型perc单面电池结构 |
CN115172485A (zh) * | 2022-07-06 | 2022-10-11 | 浙江晶科能源有限公司 | 太阳能电池和光伏组件 |
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2018
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CN115000199B (zh) * | 2022-08-01 | 2022-10-25 | 一道新能源科技(衢州)有限公司 | 一种p型perc单面电池结构 |
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