JP7174483B2 - シリカの精製方法、およびシリカ粒子 - Google Patents
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Description
本発明のシリカの精製方法は、以下のとおりである。まず、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸の中和によって生成したシリカを鉱酸を含有させたまま浸漬槽に収容し、シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を洗浄液となる水溶液に浸漬する。浸漬槽は、洗浄液またはイオン交換水を通水させたときにシリカ層全体がまんべんなく通水される構造であればどのような形状であってもよい。洗浄液の詳細は後述する。
洗浄液は、鉱酸を含むpHが1.0以下の水溶液である。鉱酸は、どのようなものであってもよく、シリカの生成に使用した鉱酸と同一であっても異なっていてもよい。例えば、硫酸、硝酸、塩酸などを使用できる。使用する鉱酸の種類によって、濃度は適切な範囲にする。例えば、硫酸の場合、20wt%以上45wt%以下とすることができる。
本発明において、精製対象となるシリカは、ケイ酸アルカリ水溶液を酸性溶液に滴下・注入・混合などして生成されたシリカ粒子である。
(洗浄水の流速の計算)
筒状容器(浸漬槽)の片側から片側へと通水する場合、容器内部のシリカ層に対する相対速度(流速)は下記方法によって求められる。ただし、本発明の洗浄方法は筒状容器での洗浄には限定されず、適用する系ごとにシリカ層と洗浄水の相対速度を計算する。
K=V/S … (1)
によって計算される。
任意形状の容器の片側から片側へと通水する場合を考える。容器(浸漬槽)のシリカ層の存在する範囲の体積をA(cm3)、体積流量をV(cm3/min)、時間をt(min)とする。容器のシリカ層の存在する範囲の体積とは、シリカと空隙を合わせた体積である。ここで、「置換回数N」とは、
N=V×t/A … (2)
とする。すなわち、置換回数とは、通水量が容器のシリカ層の存在する範囲の体積の何倍であったかを示す値である。なお、本発明は洗浄水を低速で連続的に通水し、洗浄水中の物質の拡散があるため、例えば、置換回数が1回であったとしても当初の浸漬した洗浄水が全量置換されているとは限らない。
シリカの粒径はふるい分級により測定する。シリカがふるい目A(μm)のふるいを全通した場合、すなわち、ふるい上に残ったシリカが視認できない場合、シリカの粒径はAμm以下であるとする。
3号ケイ酸ソーダに対し、0.45μmのフィルターによるろ過を行った(ろ過後Ti濃度18000ppb)。濃度35wt%に調整した20℃の希硫酸(Ti濃度250ppb)4.0L(比重1.26g/cm3)に対し、硫酸中の過酸化水素濃度が0.1wt%となるよう、35wt%過酸化水素水12.8mL(比重1.13g/cm3)を加えた。この硫酸を攪拌しながら、このケイ酸ソーダ540gを、6.0g/sの速度で滴下することによりシリカを析出させた。
この状態のシリカ230gを、硫酸を含有させたまま内径40mmの塩化ビニル管に充填し、両端にガラスウールを充填して保持した。円筒内で充填したシリカの長さは20.8cmであり、シリカの占める体積は261cm3であった。この容器に対し、同様に過酸化水素を加えた希硫酸を、1mL/minの速度で8時間通水させた。この時の液の通水速度は0.08cm/minであった。また、通水量は480mLであり、置換回数で1.8回に相当する量であった。
シリカを1mm以下の粒子に解砕し、5gを取る。これを白金製の皿に入れ、硝酸30wt%、フッ化水素酸20wt%となるよう調製した混酸を、汚染のない薬さじで内容物を混合しながらゆっくりとくわえる。皿の中のシリカが視認できなくなったら、200℃のホットプレート上で白金皿を加熱し、内容液を蒸発させる。液体が無くなったら、白金皿を冷ましてから、純水20mL、35%塩酸2mLを加えて120℃で1時間加熱して残渣を溶解させる。これを100mLメスフラスコに移してメスアップする。メスアップした溶液中の元素濃度を、ICP-AESで測定した。
シリカ中濃度(ppb)=溶液中濃度(ppb)×メスアップ時の溶液量(mL)/シリカ粉末量(g) … (3)
洗浄液の電気伝導度は、HORIBA社製ポータブル電気伝導率計ES-71を使用して測定した。
(スケールを大きくした例)
試料1とおなじ方法で作製したシリカ2500gを、通水できる構造の、内径100mmの円筒容器に入れて、両端から多孔質のセラミック板で押さえてシリカ層を固定した。シリカ層の高さは36.0cmであった。ここに、同様の希硫酸を、通水量3mL/minで、24時間にわたって通水した(通水速度0.04cm/min、置換回数1.5回)のち、同様の方法で洗浄した。このシリカのTi濃度は100ppbであった。
(通水速度を遅くした例)
試料1と同じ条件で、通水量を0.2mL/min、通水時間を36時間とした。(通水速度0.016cm/min、置換回数1.6回)
(通水速度を遅くした例2)
試料1と同じ条件で、通水量を0.2mL/min、通水時間を72時間とした。(通水速度0.016cm/min、置換回数3.3回)
(通水速度を速くした例)
試料1と同じ条件で、通水量を2mL/min、通水時間を4時間とした。(通水速度0.16cm/min、置換回数1.8回)
(置換回数を大きくした例)
試料1と同じ条件で、通水量を1mL/min、通水時間を10時間とした。(通水速度0.08cm/min、置換回数2.3回)
(置換回数を大きくした例2)
試料1と同じ条件で、通水量を1mL/min、通水時間を20時間とした。(通水速度0.08cm/min、置換回数4.6回)
(置換回数が少ない例)
試料1と同じ条件で、通水量を1mL/min、通水時間を2時間とした。(通水速度0.08cm/min、置換回数0.5回)
(置換回数が少ない例2)
試料1と同じ条件で、通水量を1mL/min、通水時間を4時間とした。(通水速度0.08cm/min、置換回数0.9回)
(置換回数が少ない例3)
試料1と同じ条件で、通水量を1mL/min、通水時間を6時間とした。(通水速度0.08cm/min、置換回数1.4回)
(通水速度が速い例)
試料1と同じ条件で、通水量を4mL/min、通水時間を8時間とした。(通水速度0.32cm/min、置換回数7.3回)
(通水速度が速い例2)
試料1と同じ条件で、通水量を4mL/min、通水時間を2時間とした。(通水速度0.32cm/min、置換回数1.8回)
(同じ硫酸量/シリカ量比で、通水ではなく静置処理を行った例)
試料1の方法と同様の方法で作製したシリカ230gをガラス製のビーカーに入れ、希硫酸480mLを加えて、通水せずに8時間静置したのち、同様の方法で洗浄した。このシリカのTi濃度は870ppbであった。
(過酸化水素を加えない例)
試料1と同じ条件で、硫酸として、過酸化水素水を添加しないものを使用した。(通水速度0.08cm/min、置換回数1.8回)
(試料A)
試料1と同様の条件で、硫酸に対し、過酸化水素ではなく、EDTA-2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)を0.2wt%添加した洗浄液を用いた(水ガラス中のCu濃度:3800ppb、硫酸中のCu濃度:<10ppb)。精製したシリカのCu濃度を測定したところ、40ppbであった。
また、EDTA-2Naを添加せずに、同様の精製を行ったシリカ(比較例A、比較例2と同じもの)のCu濃度は230ppmであった。また、比較例1のように、EDTA-2Naを添加した洗浄液を、通水せずに浸漬のみ行ったところ、得られたシリカ(比較例B)のCu濃度は90ppmであった。
3 管状容器
5 ガラスウール
7 容器
9 ボールバルブ
11 ローラーポンプ
Claims (5)
- ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液との中和によって生成したシリカを精製する方法であって、
浸漬槽に生成した前記シリカを収容し、前記シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を、pHが1.0以下であり、鉱酸を含み、錯形成剤を添加した水溶液に浸漬する工程と、
前記水溶液を、前記シリカ層に対する相対速度が0.01cm/min以上0.2cm/min以下の範囲で、通水量が前記シリカ層の存在する範囲の前記浸漬槽の体積の1.0倍以上となる所定の量、通水させる工程と、を含むことを特徴とするシリカの精製方法。 - 前記水溶液を通水させる工程において、前記通水量を1.5倍以上の所定の量、通水させることを特徴とする請求項1記載のシリカの精製方法。
- 前記水溶液を通水させる工程は、4時間以上継続して実施されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカの精製方法。
- 前記錯形成剤は、過酸化水素であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカの精製方法。
- 前記錯形成剤は、EDTA-2Naであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカの精製方法。
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