JP5942141B2 - フッ素除去剤、フッ素含有液の処理方法 - Google Patents
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Description
好ましくは、前記ガラスは、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ブラウン管ファンネルガラス、ブラウン管パネルガラス、スラグ、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラスのうちの少なくとも一種からなる。
本発明の一実施形態のフッ素除去剤は、シリカを30質量%以上含むガラスからなる。
ガラスの種類は、シリカを含むものであれば特に限定されず、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ブラウン管ファンネルガラス、ブラウン管パネルガラス、スラグ(例:廃棄物の溶融スラグ、精錬のスラグ)、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。ここで列挙したガラスのうちの多くについては、極めて高いフッ素除去能を有していることが実験的に確認されており、実験的に確認していないものに関しても、シリカを含むガラスは、フッ素とシリカを含む難溶性化合物の生成によってフッ素除去能を有すると考えられる。ガラス中のシリカ(SiO2)含有量は、30質量%以上であればよく、具体的には例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、難溶性化合物の例は、Na2SiF6やK2SiF6であるところ、ガラス自体にNa又はKが含まれていればこれらの元素を別途添加する必要がないので、ガラスはアルカリ成分(Na2O又はK2O)を1〜30質量%含有することが好ましい。この含有量は、具体的には例えば1、5、10、15、20、25、30質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本実施形態のフッ素除去剤を構成するガラスの形態は、特に限定されないが、フッ素除去能を効果的に発揮させるには、処理すべきフッ素含有液とフッ素除去剤との接触面積が大きいものが好ましく、その観点から、ガラスは、ガラス粉又は発泡ガラスであることが好ましい。
以下、発泡ガラスの製造方法について詳細に説明する。まず、上記ガラス粉と発泡剤とを混合する。発泡剤の種類は、特に限定されず、SiC、SiN、CaCO3や、CaCO3を含む材料(貝殻など)などを用いることができる。このような発泡剤は、ガラスが軟化する温度でガスを発生させるので、その結果、ガラス内部に多数の細孔が形成されて、発泡ガラスが製造される。また、発泡剤の含有量は、特に限定されないが、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜2.0質量%が特に好ましい。このような範囲内であれば、発泡が十分に起こり、かつ、発泡過剰による発泡ガラスの強度低下が生じることを避けることができるからである。
ガラス粉、発泡ガラス、又は発泡ガラス粉は、そのままフッ素除去剤として用いてもよいが、水熱処理又はアルカリ水熱処理を行なったものをフッ素除去剤として用いてもよい。特に、アルカリ水熱処理を行ったガラス(アルカリ水熱処理ガラス)は、未処理のガラスよりもフッ素を効果的に吸着するpHの上限が高くなる。つまり、未処理のガラスでは、pHが6程度でフッ素除去能が大きく低下するのに対し、アルカリ水熱処理ガラスでは、pHが6でも高いフッ素除去能が維持される。このため、アルカリ水熱処理ガラスを用いれば、フッ素含有液からフッ素を除去する際にpHの調整に用いる硝酸等の量を低減することができる。
本発明の一実施形態のフッ素含有液の処理方法は、フッ素含有液と、上記記載のフッ素除去剤とを接触させる接触処理を行うことによって前記フッ素含有液中のフッ素濃度を低減するフッ素除去工程を備える。
まず、ガラス(ソーダ石灰ガラス、無色一升瓶)を粉砕し、0.5mmの篩を通して、ガラス粉を得た(試料1)。
次に、試料1のガラス粉に発泡剤としてSiC0.5質量%を添加し、約900℃、7分で溶融・発泡させた。発泡したガラスを粉砕し、0.5mmの篩を通し、発泡ガラス粉を得た(試料2)。
また、30gの試料1に5mol L−1のNaOH溶液50mL加え、120℃、16時間水熱処理した。これを洗浄液のpHが9以下になるまで、1mol L−1酢酸で洗浄した後、純水で洗浄し、80℃で約20時間乾燥させた。このとき粒子が結着し、塊状になったものは、薬さじまたは乳鉢により粉砕して、アルカリ水熱処理ガラス粉を得た(試料3)。
また、30gの試料2に5mol L−1のNaOH溶液50mL加え、120℃、16時間水熱処理した。これを洗浄液のpHが9以下になるまで、1mol L−1酢酸で洗浄した後、純水で洗浄し、80℃で約20時間乾燥させた。このとき粒子が結着し、塊状になったものは、薬さじまたは乳鉢により粉砕して、アルカリ水熱処理発泡ガラス粉を得た(試料4)。
上記試料1〜4を、試料重量に対して固液比が100(例えば、試料0.2gに対して溶液20mL)のNaF溶液(10,000mgF−L−1)に投入し、室温(20℃)で72時間振とうさせた。孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液中のフッ素濃度をアルフッソン法により分析して、フッ素の除去量を調べた。その結果を表2に示す。また、ガラス粉と発泡ガラス粉について得られた結果を、非特許文献1に記載されているデータと比較したものを表3に示す。表2及び表3において、平衡pHは、表2及び表3に示す時間経過後のpHを示す。pHの調整は硝酸を用いて行った。
次に、種々のガラスを用いて、試料1と同様の方法で試料を作成し、「2.フッ素除去実験」と同様の条件で、フッ素除去量を調べた。その結果を表4に示す。
ガラス(ソーダ石灰ガラス、無色一升瓶)を粉砕し、0.125mmの篩を通して、試料Aを得た。次に、篩の残ったガラス粉を0.5mmの篩を通して、試料Bを得た。同様の操作によって、試料C〜Fを得た。得られた試料A〜Fについて、「2.フッ素除去実験」と同様の条件で、フッ素除去量を調べた。その結果を表5に示す。
「1.フッ素除去剤の製造」で製造したガラス粉と発泡ガラス粉について、振とう時間0.5〜96時間の間で変化させた以外は「2.フッ素除去実験」と同様の条件で、フッ素除去量の変化を調べた。その結果を図2に示す。
図2を参照すると、10時間程度までフッ素除去量が急激に増大し、それから時間が長くなるに従ってフッ素除去量が緩やかに増大し、48時間程度でフッ素除去量が最大値に到達することが分かった。
「1.フッ素除去剤の製造」で製造した4つの試料について、pHを変化させた以外は「2.フッ素除去実験」と同様の条件で、フッ素除去量の変化を調べた。その結果を図3に示す。
図3を参照すると、何れの試料でもpHが1〜5の範囲内ではフッ素除去能を示した。アルカリ水熱処理を行っていないガラス粉では、pH=6では、フッ素除去量がかなり減少しているが、アルカリ水熱処理を行ったガラス粉では、pH=6でもフッ素除去量はほとんど減少しなかった。この結果は、アルカリ水熱処理によってフッ素除去能が発揮されるpHの範囲が高pH側に延びることを示している。その理由は明らかではないが、アルカリ水熱処理によってフッ素吸着サイトが新たに形成されたのではないかと推測している。
フッ素濃度が低いフッ素含有液からフッ素を除去する実験を以下の手順により行った。まず、「1.フッ素除去剤の製造」で作製した試料0.2gを、硝酸でpHを調整したNaF溶液(1,000mgF−L−1)20mL中に投入し、室温(21℃)で72時間振とうさせた。孔径0.45μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液中のフッ素濃度をアルフッソン法により分析して、フッ素の除去量を調べた。その結果を図4に示す。
「1.フッ素除去剤の製造」で製造したガラス粉の試料0.2gをNaF溶液(10,000mgF−L−1)20mL中に投入し、室温(20℃)で72時間振とうさせた。その後、孔径0.45μmメンブランフィルターでろ過し、アルフッソン法によりろ液中のフッ素を分析して、フッ素の除去量を調べた。次に、ろ紙上の沈殿物に、20mLの抽出液(NaOH 0、1、2、3、4、5mol L−1、HNO3 0.1、1mol L−1)を添加して、24時間振とうさせた。次に、ろ過し、ろ液中のフッ素濃度を定量した。最初のフッ素除去量と、抽出されたフッ素濃度との比から、回収率を算出した。その結果を表6に示す。
Claims (11)
- シリカを50質量%以上含むガラスからなるフッ素除去剤の製造方法であって、
前記ガラスがアルカリ水熱処理される工程を備え、
前記ガラスのアルカリ水熱処理は、強アルカリであるNaOH及びKOHから選ばれる1種以上を含むアルカリ水溶液を用いて行われる、
フッ素除去剤の製造方法。 - 前記アルカリ水溶液の濃度は、1〜10molL −1 である、請求項1に記載のフッ素除去剤の製造方法。
- 前記ガラスは、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ブラウン管ファンネルガラス、ブラウン管パネルガラス、スラグ、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラスのうちの少なくとも一種からなる、請求項1又は2に記載のフッ素除去剤の製造方法。
- 前記ガラスは、ガラス粉である、請求項1〜3の何れか1つに記載のフッ素除去剤の製造方法。
- 前記ガラス粉は、粒径が12mm以下である、請求項4に記載のフッ素除去剤の製造方法。
- 前記ガラス粉は、粒径が2mm以下である、請求項5に記載のフッ素除去剤の製造方法。
- 前記ガラスは、発泡ガラスである、請求項1〜6の何れか1つに記載のフッ素除去剤の製造方法。
- フッ素含有液と、請求項1〜7に記載の製造方法により得られるフッ素除去剤とを接触させる接触処理を行うことによって前記フッ素含有液中のフッ素濃度を低減するフッ素除去工程を備える、フッ素含有液の処理方法。
- 前記接触処理は、前記フッ素含有液のpHを0.1〜9に設定した状態で行われる、請求項8に記載の方法。
- 前記pHは、1〜5である請求項9に記載の方法。
- 前記フッ素除去工程の後に回収した前記フッ素除去剤から、抽出媒でフッ素を抽出する工程をさらに備える、請求項8〜10の何れか1つに記載の方法。
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