JP2018099668A - アニオン性物質の吸着剤、アニオン性物質の吸着剤の製造方法、アニオン性物質の吸着剤の製造装置、及びアニオン性物質の回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のアニオン性物質の吸着剤は、発泡ガラスを含有し、X線光電子分光(XPS)分析による吸着剤表面のCa2p濃度が4.0原子%以上又はNa1s濃度が8.0原子%以下であり、Si2pピークの半値幅が2.4eV以上である。
(1) 質量計を用いて、吸着剤(例えば、粒径4mm以上10mm以下の吸着剤)5〜10gを量り取る。
(2) 量り取った吸着剤を水に10分程度浸漬させる。
(3) 浸漬開始から10分後、ザル等に揚げ、ティッシュ等で表面の水気を拭き取る。
(4) 吸着剤を最大目盛の半分まで水が入ったメスシリンダーへ投入し、水中に沈める。
(5) すべての吸着剤が沈んだ時の水の体積を測定し、投入前からの増分を算出する。
(6) 以下の式で比重を算出する。
[比重(g/mL)]=[吸着剤質量(g)]/[水の体積の増分(mL)]
[高濃度リン酸イオン溶液におけるリン酸イオンの吸着可能量]
(1) 吸着剤2.50g、1.20g、又は0.5gと、リン酸イオン(PO4 3−)濃度3000mg/Lのリン酸イオン溶液50mLとを容器に収容する。
(2) 収容後、容器に塩酸又は水酸化ナトリウム溶液を添加して所望のpHに調整する。
(3) pHの調整後、25℃に設定した恒温槽内で容器を2時間撹拌する。
(4) 撹拌後、3000rpmで10分間の遠心分離を行い、上澄み液中のリン酸イオン濃度をモリブデンブルー法による吸光光度計により測定する。
(5) 測定値に基づいて、リン酸イオン吸着可能量(mg/g)を求める。
第1の実施形態に係るアニオン性物質の吸着剤の製造方法は、発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ130℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する(以下、「高温アルカリ処理」と呼称する場合がある。)工程を有する。かかる方法により、上述の特性を有する発泡ガラスを含む吸着剤を製造できる。
高温アルカリ処理で使用されるアルカリ溶液は、水に溶解して水酸基を生じさせる溶質が水に溶解した溶液である。アルカリ溶液における溶質の種類は、特に限定されないが、例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、Ca(OH)2からなる群から選択される1種以上のアルカリ溶液を用いることができる。これらの中でも強アルカリであるNaOH又はKOH等のアルカリ金属水酸化物が特に好ましい。
第2の実施形態に係るアニオン性物質の吸着剤の製造方法は、発泡ガラス材料をアルカリ溶液中で100気圧以上の条件で1.5時間以内高加圧する処理(以下、「高加圧処理」と呼称する場合がある。)工程を有する。かかる方法により、上述の特性を有する発泡ガラスを含む吸着剤を製造できる。本明細書において、「高加圧」とは、100気圧以上の加圧処理することをいう。
高加圧処理工程における気圧は、100気圧以上の条件であれば特に限定されず、所望の吸着剤の吸着能に応じて適宜設定してもよい。例えば、上述の特性の発泡ガラスを得る観点から、200気圧以上であることが好ましく、400気圧以上であることがより好ましく、600気圧以上であることがさらに好ましく、800気圧以上であることがより一層好ましく、1000気圧以上であることが特に好ましい。他方、高加圧工程における圧力の上限は、例えば、20000気圧以下(15000気圧以下、10000気圧以下、5000気圧以下、2000気圧以下、1500気圧以下等)であってよい。また、本発明における高加圧工程において、少なくとも一部で100気圧以上の条件になればよく、100気圧未満の条件下で加圧する工程も含んでいてもよい。
本発明は、発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ130℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する手段を備える、アニオン性物質の吸着剤の製造装置を包含する。
本発明は、上述のアニオン性物質の吸着剤にアニオン性物質を吸着させる工程を有する、アニオン性物質の回収方法を包含する。
吸着剤の吸着能(リン酸イオンの吸着量)を、XPS分析による吸着剤表面のCa2p濃度とNa1s濃度とに基づき評価した。
吸着剤のリン酸イオンの吸着量を、水銀圧入法による比表面積と細孔容積とに基づき評価した。また、吸着剤のリン酸イオンの吸着量を、上述の「発明を実施するための形態」において記載した方法で測定した比重に基づき評価した。
試験例1で用いた発泡ガラス材料Aに対して、NaOH濃度5.0mol/L、処理圧力5気圧、処理温度150℃、処理時間30分で高温アルカリ処理し、比重0.50g/mLとなる発泡ガラスを製造した。この発泡ガラスを吸着剤とし、上述の、[高濃度リン酸イオン溶液におけるリン酸イオンの吸着可能量の測定方法]で測定したところ、リン酸イオン吸着可能量は77.8mg/gであった。この吸着剤を用いて、以下に説明する、[低濃度リン酸イオン溶液におけるリン酸イオンの吸着可能量の測定方法]でリン酸イオン吸着可能量を測定した。その結果を図8に示す。
(1) 吸着剤2.50gを充填したカラムと、リン酸イオン(PO4 3−)濃度30mg/Lのリン酸イオン溶液500mLが入った水槽とを用意する。
(2) ポンプを用いて水槽内のリン酸イオン溶液を流速1.0mL/minでカラムの下部から上部の方向で流す。カラムを通過した溶液は、再び水槽に回収されて水槽−カラム間の循環を繰り返す。また、循環中はリン酸イオン溶液のpHを塩酸もしくは水酸化ナトリウム溶液を添加して所望のpHに調整する。
(3) 運転開始から一定時間経過後に水槽内のリン酸イオン溶液を採取し、モリブデンブルー法による吸光光度計により測定する。
(4) 測定値に基づいて、リン酸イオン吸着量(mg/g)を求める。
(5) 水槽内のリン酸イオン溶液のPO4 3−濃度を30mg/Lに調整する。
(6) (2)〜(5)の操作を吸着剤のリン酸イオン吸着量が飽和となるまで繰り返す。
(7) 飽和に至るまでのリン酸イオン吸着量の総和をリン酸イオン吸着可能量(mg/g)とする。
試験例4では、吸着剤のフッ化物イオンの吸着能について試験を行った。
試験例5では、発泡ガラス材料をアルカリ処理するに際して、アルカリ溶液のNaOH濃度と温度とがリン酸イオンの吸着量に与える影響を試験した。
試験例6では、発泡ガラス材料をアルカリ処理するに際して、処理時間とリン酸イオンの吸着量との関係を試験した。
試験例7では、発泡ガラス材料を高加圧処理するに際して、アルカリ溶液の温度と処理圧力とがリン酸イオンの吸着量に与える影響を試験した。
リン酸イオンを吸着した吸着剤を、硝酸によりリン酸脱着処理を行って、リン酸イオン回収率を試験した。
第1の実施形態に係るアニオン性物質の吸着剤の製造方法は、発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ150℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する(以下、「高温アルカリ処理」と呼称する場合がある。)工程を有する。かかる方法により、上述の特性を有する発泡ガラスを含む吸着剤を製造できる。
第2の実施形態に係るアニオン性物質の吸着剤の製造方法は、発泡ガラス材料をアルカリ溶液中で100気圧以上の条件で1.5時間以内高加圧する処理(以下、「高加圧処理」と呼称する場合がある。)工程を有する。本明細書において、「高加圧」とは、100気圧以上の加圧処理することをいう。
本発明は、発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ150℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する手段を備える、アニオン性物質の吸着剤の製造装置を包含する。
Claims (11)
- 発泡ガラスを含有し、
XPS分析による吸着剤表面のCa2p濃度が4.0原子%以上又はNa1s濃度が8.0原子%以下であり、Si2pピークの半値幅が2.4eV以上であるアニオン性物質の吸着剤。 - 水銀圧入法による比表面積が15m2/g以上または細孔容積が1.7cm3/g以上である請求項1に記載の吸着剤。
- 比重が0.60g/mL以下である請求項1又は2に記載の吸着剤。
- リン酸イオン濃度が3000mg/L以上のリン酸イオン溶液におけるリン酸イオン吸着可能量は、10mg/g以上である請求項1から3いずれかに記載の吸着剤。
- 発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ130℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する工程を有する、アニオン性物質の吸着剤の製造方法。
- 前記所要時間は1.5時間以内である請求項5に記載の方法。
- 発泡ガラス材料をアルカリ溶液中で100気圧以上の条件で1.5時間以内高加圧する工程を有する、アニオン性物質の吸着剤の製造方法。
- 前記発泡ガラス材料は、炭酸カルシウムを含む発泡剤で発泡されたものである請求項5から7いずれかに記載の方法。
- 発泡ガラス材料を、アルカリ金属水酸化物を4モル/L以上の量で含みかつ130℃以上であるアルカリ溶液中にて所要時間に亘り処理する手段を備える、アニオン性物質の吸着剤の製造装置。
- 発泡ガラス材料をアルカリ溶液中で100気圧以上の条件で1.5時間以内高加圧可能な手段を備える、アニオン性物質の吸着剤の製造装置。
- 請求項1から4いずれかに記載の吸着剤、又は請求項5から8のいずれかに記載の方法で製造された吸着剤にアニオン性物質を吸着させる工程を有する、アニオン性物質の回収方法。
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