JP7170162B1 - エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP7170162B1
JP7170162B1 JP2022548393A JP2022548393A JP7170162B1 JP 7170162 B1 JP7170162 B1 JP 7170162B1 JP 2022548393 A JP2022548393 A JP 2022548393A JP 2022548393 A JP2022548393 A JP 2022548393A JP 7170162 B1 JP7170162 B1 JP 7170162B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
formula
epoxy
phenol
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022548393A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022196525A1 (ja
JPWO2022196525A5 (ja
Inventor
允諭 関
政隆 中西
伴理 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Publication of JPWO2022196525A1 publication Critical patent/JPWO2022196525A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7170162B1 publication Critical patent/JP7170162B1/ja
Publication of JPWO2022196525A5 publication Critical patent/JPWO2022196525A5/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G59/00Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule; Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups
    • C08G59/02Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule
    • C08G59/04Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule of polyhydroxy compounds with epihalohydrins or precursors thereof
    • C08G59/06Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule of polyhydroxy compounds with epihalohydrins or precursors thereof of polyhydric phenols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G59/00Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule; Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups
    • C08G59/18Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing
    • C08G59/20Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing characterised by the epoxy compounds used
    • C08G59/22Di-epoxy compounds
    • C08G59/223Di-epoxy compounds together with monoepoxy compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G59/00Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule; Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups
    • C08G59/18Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing
    • C08G59/20Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing characterised by the epoxy compounds used
    • C08G59/32Epoxy compounds containing three or more epoxy groups
    • C08G59/36Epoxy compounds containing three or more epoxy groups together with mono-epoxy compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L63/00Compositions of epoxy resins; Compositions of derivatives of epoxy resins

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、高耐熱性と高弾性率を示すエポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供する。下記式(1)で表されるエポキシ樹脂と下記式(2)で表されるエポキシ化合物とを含有するエポキシ樹脂混合物。【化1】TIFF0007170162000014.tif54165(式(1)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)【化2】TIFF0007170162000015.tif49168

Description

本発明は電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)、積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)及びFRP(繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等、中でも特に積層板等の用途に有用であり、金属箔張り積層板、ビルドアップ基板用絶縁材料、フレキシブル基板材料などに有用である硬化性樹脂組成物を与えるエポキシ樹脂混合物及びエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は作業性、及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐吸水性等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
近年、半導体関連材料の分野において、高機能化や高性能化のために、従来の半導体よりもさらに高い電圧や電流を扱うことが出来るパワー半導体が開発され、使用されている。パワー半導体は、電圧や周波数の変更や直流と交流のスイッチングなどの電力変換に主に使用され、それによってモーターを精度よく回したり、発電した電気を無駄なく送電網に送ったり、家電製品や電気器具に電源を安定供給することが出来る。
パワー半導体は非常に大きな電力を扱うことから、使用時に熱を発して高温になるためこれが故障の原因になる。パワー半導体の長期間での高温動作を保証するために、-55℃~150℃を1000サイクル以上繰り返す冷熱サイクル試験と呼ばれる信頼性試験が行われている。そのため、パワー半導体用樹脂材料には150℃以上の耐熱性が求められている(特許文献1~4)。
半導体関連分野ではパワー半導体の高機能化、高性能化に加えて、チップを実装するために必要なパッケージ基板の開発が行われており薄型化が進んでいる。パッケージ基板の薄型化に伴い剛性が必要になり、剛性が不足する基板材料では反りに耐えることが出来ず破損につながる。そのため、基板材料に広く使用される樹脂材料には高い弾性率が求められている。
パッケージ基板以外にも樹脂材料に高い弾性率が求められているものは多く存在し、その一つとしてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が挙げられる。CFRPは炭素繊維内に樹脂材料が埋め尽くされることで、荷重をかけた際に応力が樹脂を通して、繊維に伝播されるため、炭素繊維の多くの部分が有効に同時に負荷を担うことが出来る。このときに用いられる樹脂材料の弾性率が高いことで、荷重をかけた際に発生する応力による炭素繊維の屈曲を抑制することが出来、CFRPの強度発現に繋がる。樹脂材料の弾性率が低い場合、応力により炭素繊維が容易に屈曲してしまい、CFRPの強度がうまく発現することが出来ず、破損に繋がってしまう。そのため、CFRPに用いられる樹脂材料には弾性率が少しでも高いものが望まれている。
特許文献5では、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール骨格のエポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂を組み合わせた樹脂組成物が開示されており、優れた耐熱性や弾性率を示しているが、耐熱性が150℃に達しておらず、弾性率も十分な値とはいえない。
特開2021-019123号公報 特開2021-031323号公報 特開2020-035721号公報 特開2021-027150号公報 国際公開第2020/250957号
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、高耐熱性と高弾性率を示すエポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂に対して、特定の構造を有するエポキシ化合物を特定の割合含有することにより、その硬化物が高耐熱性と高弾性率となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]~[5]に示すものである。
[1]
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂と下記式(2)で表されるエポキシ化合物とを含有するエポキシ樹脂混合物。
Figure 0007170162000001
(式(1)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
Figure 0007170162000002
[2]
ガスクロマトグラフィー分析において、前記式(1)のnが1であるエポキシ樹脂の含有量を100面積%としたとき、前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量が1.0~10.0面積%である前項[1]に記載のエポキシ樹脂混合物。
[3]
前項[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂混合物と硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[4]
前項[3]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
[5]
下記式(3)で表されるフェノール樹脂、および下記式(4)で表されるフェノール化合物にエピクロロヒドリンを反応させて得られる前項[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂混合物の製造方法。
Figure 0007170162000003
(式(3)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
Figure 0007170162000004
本発明によれば、その硬化物が高耐熱性と高弾性率を有するエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、それを用いた硬化物を提供することができる。そのため、パワー半導体や回路基板、FRPなどに有用である。
実施例2のGPCチャートを示す。 実施例3のGPCチャートを示す。 合成例1のGPCチャートを示す。 実施例2、3、合成例1のGCチャートを示す。
本発明のエポキシ樹脂混合物は下記式(1)で表されるエポキシ樹脂と下記式(2)で表されるエポキシ化合物を含有する。
Figure 0007170162000005
(式(1)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
Figure 0007170162000006
前記式(1)中、nの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、検出器:RI)の測定により求めることが出来る。nは通常1~20の実数であるが、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。nが20よりも大きくなると分子量が増大して高粘度になるため加工性が劣る。
また、nの平均値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、検出器:RI)の測定により求められた数平均分子量、あるいは分離したピークの各々の面積比から算出することが出来る。nの平均値は1~10であることが好ましく、1.1~10であることがより好ましく、1.1~5であることが特に好ましい。
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂と前記式(2)で表されるエポキシ化合物を含有するエポキシ樹脂混合物のエポキシ当量の好ましい範囲は250g/eq.以上400g/eq.未満であり、更に好ましくは280g/eq.以上350g/eq.未満であり、特に好ましくは290g/eq.以上320g/eq.未満である。エポキシ樹脂混合物のエポキシ当量が250g/eq.未満の場合、架橋密度が増加し耐熱性は向上するが、固くもろくなり機械強度の低下を招くことから好ましくない。またエポキシ樹脂混合物のエポキシ当量が600g/eq.以上の場合、架橋密度が減少し硬化物の脆さが改善されるが、耐熱性の低下を招くため好ましくない。エポキシ当量が適正な場合、機械強度の低下を引き起こすことなく硬化物の耐熱性を向上させることができる。
本発明において、エポキシ当量はJIS K-7236に記載された方法で測定している。
本発明のエポキシ樹脂混合物の軟化点の好ましい範囲は60~80℃であり、更に好ましくは65~70℃である。軟化点が上記の範囲であると樹脂同士が室温においてブロッキングしないため、ハンドリング性に優れる。
前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量は、GC(ガスクロマトグラフィー)分析によって測定することができ、検出されたピークの面積%から確認できる。本発明のGC分析は後述する実施例記載の方法にて行っている。
GC分析において、前記式(1)のnが1であるエポキシ樹脂の含有量を100面積%としたとき、前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量は1.0~10.0面積%含有していることが好ましく、1.0~8.0面積%がより好ましく、1.0~6.0面積%がさらに好ましく、2.0~6.0面積%が特に好ましく、2.0~4.0面積%が最も好ましい。エポキシ樹脂混合物の硬化物の三次元ネットワーク中には自由体積が生じている。前記式(2)で表されるエポキシ化合物は官能基が一つしかないため、その含有量が1.0面積%以上であると、自由体積を少なくすることが出来るため三次元ネットワークが動きづらくなり耐熱性や弾性率が向上する。前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量が10.0面積%よりも多いと、自由体積は少なくなるが、自由体積内に入りきれなかった前記式(2)で表されるエポキシ化合物が過剰に存在するため、低分子成分が多くなり耐熱性や弾性率が低くなってしまう。そのため、前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂混合物は、耐熱性、弾性率に優れる。耐熱性は150℃以上が好ましく、さらに好ましくは155℃以上であり、特に好ましくは160℃以上である。耐熱性が低いと、パワーデバイスなどの従来よりも高温で、長時間動作する場所に使用した場合、分子運動が激しくなってしまい破損につながる可能性がある。また、パッケージ基板のような薄型の基板では、剛性、つまり硬化物の弾性率が求められ、剛性が低いと基板が反りやすくなり、破損する恐れがある。そのため、薄型の基板には高弾性率が求められている。エポキシ樹脂材料の弾性率は、30℃での曲げ試験において2.8GPa以上が好ましく、2.9GPa以上がさらに好ましい。
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂と前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、下記式(3)で表されるフェノール樹脂および下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により得ることができる。
Figure 0007170162000007
(式(3)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
Figure 0007170162000008
式(3)中のnの値、および好ましい範囲は前記式(1)と同様である。
前記式(3)で表されるフェノール樹脂の合成法としては、フェノールと4,4’-ビスクロロメチルビフェニルとの反応が挙げられ、この場合の4,4’-ビスクロロメチルビフェニルの使用量は、フェノール10モルに対し、通常1~9モル、好ましくは2~8モルの範囲である。
上記反応において用いうる塩基性物質の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、燐酸一水素ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属メトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド等が挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。これら塩基性物質の使用量は、4,4’-ビスクロロメチルビフェニル1モルに対し、通常0.02~2.0モル、好ましくは0.05~2.0モルの範囲である。
上記反応において用いうる溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチレングリコール、酢酸等が挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。これらの使用量は、フェノール100重量部に対して、通常5~200重量部、好ましくは10~100重量部の範囲である。
上記反応では、上記溶剤と併せてトルエンを使用することにより前記式(4)で表されるフェノール化合物を得ることが出来る。トルエンの使用量は、フェノール100重量部に対して、通常5~200重量部、好ましくは10~100重量部の範囲である。トルエンを200重量部よりも多く使用した場合、前記式(4)で表されるフェノール化合物が多く生成してしまい、結果として前記式(2)で表されるエポキシ化合物が多く生成することになるため、耐熱性が大きく低下する。一方、トルエンを5重量部よりも少なく使用した場合、前記式(4)で表されるフェノール化合物の生成量が少なくなり、結果として前記式(2)で表されるエポキシ化合物の生成量が少なくなるため、低弾性率となる。そのため、上記の範囲内でトルエンを用いるのが好ましい。
上記反応は、通常フェノールと前記の塩基性物質を仕込み、これに徐々に4,4’-ビスクロロメチルビフェニルを添加するのが好ましい。その際の温度は、通常50~150℃、好ましくは60~120℃の範囲で、通常0.5~10時間、好ましくは1~4時間である。50℃未満の温度で反応させた場合、トルエンが反応しにくい、すなわち前記式(2)で表されるエポキシ化合物の生成が困難となる。また150℃を超えるとトルエンが揮発してしまい、反応に寄与しなくなってしまう。4,4’-ビスクロロメチルビフェニル添加終了後、通常50~150℃、好ましくは60~120℃の範囲で、通常0.5~10時間、好ましくは1~5時間更に反応させる。尚、この時反応溶液のpHが酸性でないと反応の進行が妨げられ、高分子化しない場合がある。この場合、p-トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸等の酸性物質を反応系に添加する。反応終了後、加熱減圧下において過剰のフェノールを留去する。その後、通常非水溶性の溶剤に溶解して水洗を繰り返して塩を除去し、溶剤を留去することにより前記式(3)で表されるフェノール樹脂および前記式(4)で表されるフェノール化合物が得られる。
つづいて、本発明のエポキシ樹脂混合物を得る反応について説明する。前記式(1)で表されるエポキシ樹脂および前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、それぞれ前記式(3)で表されるフェノール樹脂と前記式(4)で表されるフェノール化合物をエピクロロヒドリンと反応させて得られる。
エピクロロヒドリンは市場から容易に入手できる。エピクロロヒドリンの使用量は原料フェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常3.0~10モル、好ましくは3.5~8.0モル、より好ましくは4.0~7.0モルである。
上記反応において、エポキシ化工程を促進する触媒としてアルカリ金属水酸化物を使用することができる。使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよいが、本発明においては特に、溶解性、ハンドリングの面からフレーク状に成型された固形物の使用が好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.90~1.50モルである。
また、反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。4級アンモニウム塩の使用量としては原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し通常0.0009~0.15モルが好ましい。
反応温度は通常30~90℃であり、好ましくは35~80℃である。特に本発明においては、より高純度なエポキシ化のために50℃以上が好ましい。反応時間は通常0.5~10時間であり、好ましくは1~8時間、特に好ましくは1~4時間である。反応時間が短いと反応が進みきらず、反応時間が長くなると副生成物ができることから好ましくない。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピクロロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4~7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した原料フェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01~0.3モル、反応温度は通常50~120℃、反応時間は通常0.5~2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂混合物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化剤を含有する。用い得る硬化剤としては、例えばフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、及びアミン系硬化剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては特に、樹脂硬化物の耐熱性や熱安定性をバランス良く両立できるためフェノール系硬化剤が好ましい。フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂;多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン及び1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等);フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド及びフルフラール等)、ケトン類(p-ヒドロキシアセトフェノン及びo-ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジエン類(ジシクロペンタジエン及びトリシクロペンタジエン等)との縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類と、置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類及び/又は前記フェノール樹脂の変性物;テトラブロモビスフェノールA及び臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、3,3’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-t-ブチル-5,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-10)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2-エチルヘキサン酸エステル等を使用することができる。また、アニリンノボラック、オルソエチルアニリンノボラック、アニリンとキシリレンクロライドとの反応により得られるアニリン樹脂、アニリンと置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるアニリン樹脂等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7~1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して0.7当量に満たない場合、或いは1.2当量を越える場合、いずれも硬化が不完全になり、良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては必要に応じて、硬化促進剤を配合しても良い。硬化促進剤を使用することによりゲル化時間を調整することも出来る。使用できる硬化促進剤の例としては2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01~5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、他のエポキシ樹脂を配合しても良く、具体例としては、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、4-ビニル-1-シクロヘキセンジエポキシドや3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシラートなどを代表とする脂環式エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)やトリグリシジル-p-アミノフェノールなどを代表とするグリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知のマレイミド系化合物を配合することができる。用いうるマレイミド化合物の具体例としては、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。マレイミド系化合物を配合する際は、必要により硬化促進剤を配合するが、前記硬化促進剤や、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル重合開始剤など使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を添加しワニス状の組成物(以下、単にワニスという。)とすることができる。用いられる溶剤としては、例えばγ-ブチロラクトン類、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。溶剤は、得られたワニス中の溶剤を除く固形分濃度が通常10~80重量%、好ましくは20~70重量%となる範囲で使用する。
つづいて、本発明の硬化物、樹脂シート、プリプレグ、FRPを説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物を支持基材の片面または両面に塗布し、樹脂シートとして用いてもよい。塗布方法としては、例えば、注型法、ポンプや押し出し機等により樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚さを調整する方法、ロールによりカレンダー加工して厚さを調整する方法、スプレー等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。なお、層を形成する工程においては、エポキシ樹脂組成物の熱分解を回避可能な温度範囲で加熱しながら行ってもよい。また、必要に応じて圧延処理、研削処理等を施してもよい。支持基材としては、例えば紙、布、不織布等からなる多孔質基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムあるいはシート、ネット、発泡体、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。支持基材に厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜に決定される。
本発明のエポキシ樹脂組成物および/または樹脂シートを加熱溶融して低粘度化して繊維基材に含浸させることにより本発明のプリプレグを得ることができる。
また、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に含浸させて加熱乾燥させることにより本発明のプリプレグを得ることもできる。上記のプリプレグを所望の形に裁断、積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながらエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることにより本発明のFRPを得ることができる。また、プリプレグの積層時に銅箔や有機フィルムを積層することもできる。
さらに、本発明のFRPの成形方法は、上記の方法のほかに、公知の方法にて成形して得ることもできる。例えば、炭素繊維基材(通常、炭素繊維織物を使用)を裁断、積層、賦形してプリフォーム(樹脂を含浸する前の予備成形体)を作製、プリフォームを成形型内に配置して型を閉じ、樹脂を注入してプリフォームに含浸、硬化させた後、型を開いて成形品を取り出すレジントランスファー成形技術(RTM法)を用いることもできる。
また、RTM法の一種である、例えば、VaRTM法、SCRIMP(Seeman’s Composite Resin Infusion Molding Process)法、特表2005-527410記載の樹脂供給タンクを大気圧よりも低い圧力まで排気し、循環圧縮を用い、かつ正味の成形圧力を制御することにとよって、樹脂注入プロセス、特にVaRTM法をより適切に制御するCAPRI(Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)法なども用いることができる。
さらに、繊維基材を樹脂シート(フィルム)で挟み込むフィルムスタッキング法や、含浸向上のため強化繊維基材にパウダー状の樹脂を付着させる方法、繊維基材に樹脂を混ぜる過程において流動層あるいは流体スラリー法を用いる成形方法(Powder Impregnated Yarn)、繊維基材に樹脂繊維を混繊させる方法も用いることができる。
炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられ、なかでも引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良いため、解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
各種分析方法について以下の条件で行った。
・エポキシ当量
JIS K-7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K-7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・溶融粘度
ICI溶融粘度(150℃)コーンプレート法で測定し、単位はPa・sである。
・GPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)分析
メーカー:Waters
装置:alliance Waters e2695
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF-601(2本)、KF-602 KF-602.5、KF-603
流速:1.23ml/min.
カラム温度:25℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
・GC(ガスクロマトグラフィー)分析
メーカー:アジレント・テクノロジー株式会社
装置:HP6890
カラム:DB-5HT 30m-0.25mm-0.10μm
キャリアーガス:He 1.2mL/min.
オーブン:150℃‐10℃/min.-350℃(40min.)
注入口:split(30:1)、330℃
検出器:FID
検出器温度:350℃
[実施例1]
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、フェノール195重量部、フレーク状の水酸化ナトリウム50重量部、メタノール20重量部、トルエン40重量部を仕込み、撹拌、溶解後、加熱して温度を100℃に保ちながら4,4’-ビスクロロメチルビフェニル151重量部を4時間かけて連続的に添加した。添加終了後、p-トルエンスルホン酸を11重量部添加し、同温度で更に3時間反応を行った。反応終了後、水洗により副生する塩化ナトリウムを除去し、油層から加熱減圧下において過剰のフェノールを留去し、残留物に400重量部のメチルイソブチルケトンを添加して溶解した。この樹脂溶液を洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した後、油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより、フェノール樹脂(P1)180重量部を得た。
[実施例2]
実施例1で得られたフェノール樹脂(P1)107重量部に対してエピクロロヒドリン230重量部、ジメチルスルホキシド60重量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解
後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状の水酸化ナトリウム21重量部を2時間かけて連続的に添加した。水酸化ナトリウム添加完了後、45℃で2時間、70℃で1時間更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副成塩とジメチルスルホキシドを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物に300重量部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。このメチルイソブチルケトン溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりエポキシ樹脂混合物(EP1)130重量部を得た。エポキシ樹脂混合物(EP1)のGPCチャートは図1に示す。エポキシ樹脂混合物(EP1)のエポキシ当量は312g/eq.、軟化点が66.9℃、ICI溶融粘度0.25Pa・s(150℃)であった。GC分析において、前記式(1)のnが1であるエポキシ樹脂(図4Aの24.8分、26.5分、28.4分のピーク)の含有量を100面積%としたとき、前記式(2)で表されるエポキシ化合物(図4Aの21.1分、22.1分のピーク)の含有量は6.0面積%であった。
[実施例3]
実施例1において、トルエンを20重量部とした以外は実施例1と同様に合成したフェノール樹脂(P3)107重量部に対してエピクロロヒドリン230重量部、ジメチルスルホキシド60重量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状の水酸化ナトリウム21重量部を2時間かけて連続的に添加した。水酸化ナトリウム添加完了後、45℃で2時間、70℃で1時間更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副成塩とジメチルスルホキシドを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物に300重量部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。このメチルイソブチルケトン溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりエポキシ樹脂混合物(EP2)133重量部を得た。エポキシ樹脂混合物(EP2)のGPCチャートは図2に示す。エポキシ樹脂混合物(EP2)のエポキシ当量は296g/eq.、軟化点が69.8℃、ICI溶融粘度0.33Pa・s(150℃)であった。GC分析において、前記式(1)のnが1であるエポキシ樹脂(図4Bの24.9分、26.5分、28.3分のピーク)の含有量を100面積%としたとき、前記式(2)で表されるエポキシ化合物(図4Aの21.1分、22.1分のピーク)の含有量は3.5面積%であった。
[合成例1]
実施例1において、トルエンを0重量部とした以外は同様にして合成したフェノール樹脂(P2)107重量部に対してエピクロロヒドリン230重量部、ジメチルスルホキシド60重量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状の水酸化ナトリウム21重量部を2時間かけて連続的に添加した。水酸化ナトリウム添加完了後、45℃で2時間、70℃で1時間更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副成塩とジメチルスルホキシドを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物に300重量部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。このメチルイソブチルケトン溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりエポキシ樹脂(EP3)135重量部を得た。エポキシ樹脂(EP3)のGPCチャートは図3に示す。エポキシ樹脂(EP3)のエポキシ当量は288g/eq.、軟化点が68℃、ICI溶融粘度0.30Pa・s(150℃)であった。GC分析において、前記式(2)で表されるエポキシ化合物は検出限界以下であった(図4Cの21.1分、22.1分周辺のピーク)。
[実施例4、5、比較例1]
エポキシ樹脂混合物(EP1、EP2)、エポキシ樹脂(EP3)をそれぞれ主剤とし、硬化剤としてフェノールノボラック(略称;PN、水酸基当量103g/eq.)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(略称;TPP)を用いて表1の配合組成に示す重量比で配合、二本ロールで混錬、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃2時間、更に180℃6時間の硬化条件で硬化させた。
物性値の測定は以下の条件で測定した。
・DMA分析
メーカー:TAインスツルメント
装置:DMAQ800
測定モード:引張
昇温速度:2℃/min.
測定温度範囲:25℃~350℃
測定周波数:10Hz
tanδの値が最大となった温度をTgとした。
・3点曲げ試験
メーカー:株式会社エー・アンド・デイ
装置:RTG-1310
試験速度:3mm/min
支点間距離:64mm
・吸水率
直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃で24時間加熱後、重量を測定し、その試験片を100℃の水中で24時間煮沸した後に再度重量を測定した。それらの重量から重量増加率(%)を算出した。
Figure 0007170162000009
表1の結果より、実施例4、5、比較例1ともに耐熱性は150℃を超えることが確認された。また実施例4、5は高弾性率であり、低吸水率性にも優れることが確認された。
本発明は電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等、中でも特に積層板等の用途に有用であり、金属箔張り積層板、ビルドアップ基板用絶縁材料、フレキシブル基板材料などに有用である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂と下記式(2)で表されるエポキシ化合物とを含有するエポキシ樹脂混合物であって、
    ガスクロマトグラフィー分析において、前記式(1)のnが1であるエポキシ樹脂の含有量を100面積%としたとき、前記式(2)で表されるエポキシ化合物の含有量が1.0~10.0面積%であるエポキシ樹脂混合物。
    Figure 0007170162000010
    (式(1)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
    Figure 0007170162000011
  2. 請求項に記載のエポキシ樹脂混合物と硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  4. 下記式(3)で表されるフェノール樹脂と下記式(4)で表されるフェノール化合物にエピクロロヒドリンを反応させる、請求項1に記載のエポキシ樹脂混合物の製造方法。
    Figure 0007170162000012
    (式(3)中、nは繰り返し数であり1~20の実数を表す。)
    Figure 0007170162000013
JP2022548393A 2021-03-18 2022-03-10 エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 Active JP7170162B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021044697 2021-03-18
JP2021044697 2021-03-18
PCT/JP2022/010637 WO2022196525A1 (ja) 2021-03-18 2022-03-10 エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2022196525A1 JPWO2022196525A1 (ja) 2022-09-22
JP7170162B1 true JP7170162B1 (ja) 2022-11-11
JPWO2022196525A5 JPWO2022196525A5 (ja) 2023-02-13

Family

ID=83320622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022548393A Active JP7170162B1 (ja) 2021-03-18 2022-03-10 エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP7170162B1 (ja)
KR (1) KR20230156686A (ja)
CN (1) CN116507659A (ja)
TW (1) TW202248264A (ja)
WO (1) WO2022196525A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003301031A (ja) * 2002-04-10 2003-10-21 Nippon Kayaku Co Ltd フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びその製法、樹脂組成物
JP2007308570A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP2018100320A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 Dic株式会社 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020035721A (ja) 2018-08-31 2020-03-05 京セラ株式会社 ペースト組成物、半導体装置及び電気・電子部品
EP3985045A4 (en) 2019-06-14 2023-06-14 DIC Corporation EPOXY RESIN COMPOSITION, CURED PRODUCT, FIBER REINFORCED COMPOSITE, PREPREG AND TOW-PREPREG
JP7379899B2 (ja) 2019-07-22 2023-11-15 Tdk株式会社 セラミック電子部品
JP7190985B2 (ja) 2019-08-05 2022-12-16 三菱電機株式会社 半導体装置
JP7196799B2 (ja) 2019-08-21 2022-12-27 三菱マテリアル株式会社 銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003301031A (ja) * 2002-04-10 2003-10-21 Nippon Kayaku Co Ltd フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びその製法、樹脂組成物
JP2007308570A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP2018100320A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 Dic株式会社 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Also Published As

Publication number Publication date
CN116507659A (zh) 2023-07-28
JPWO2022196525A1 (ja) 2022-09-22
TW202248264A (zh) 2022-12-16
WO2022196525A1 (ja) 2022-09-22
KR20230156686A (ko) 2023-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI648317B (zh) Phenolic resin, phenol resin mixture, epoxy resin, epoxy resin composition and hardened materials thereof
JP6963565B2 (ja) アルケニル基含有樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物
JP6513372B2 (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびそれらの硬化物
JP6718562B1 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料
JP7307668B2 (ja) エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂組成物
JP7170162B1 (ja) エポキシ樹脂混合物およびその製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP5088949B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP6924292B2 (ja) エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP5170724B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP7474373B2 (ja) エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、及びこれらの硬化物並びに炭素繊維強化複合材料
JP7437253B2 (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP6715249B2 (ja) エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP2024032034A (ja) エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、及びこれらの硬化物並びに炭素繊維強化複合材料
TW202330685A (zh) 環氧樹脂及其製造方法、硬化性樹脂組成物、硬化物及碳纖維強化複合材料
TW202330694A (zh) 環氧樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物、及碳纖維強化複合材料
JP7128598B1 (ja) エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP4748625B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP7029575B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ化合物、エポキシ樹脂組成物、樹脂シート、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料、及びフェノール樹脂
JP2013060607A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよびそれらの硬化物
JP6636665B2 (ja) 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料
JP5686770B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP2002284847A (ja) エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220809

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220809

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221012

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221028

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7170162

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150