以下に、本発明の実施の形態にかかる手乾燥装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の断面図であり、図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図2に示すように、手乾燥装置100では、手乾燥装置100の外郭をなす本体筐体1の上部に開口部1cが設けられている。そして、本体筐体1の上部であり開口部1cの下方には、開口部1cから挿入された使用者の手を覆う処理空間が設けられている。手挿入部2は、開口部1cに続く空間であって手を配置可能な処理空間を形成する。すなわち、手挿入部2は、側面視において断面U字状をなしており、手挿入部2における上部から下部に向かうにしたがって、正面側から背面側に向けて若干傾斜しており、手の乾燥処理が行われる手乾燥空間を形成する。ここで、手乾燥装置100における正面側は、本体筐体1の正面1dが設けられた側であって図1における手前側であり、図2における左側である。手乾燥装置100における背面側は、本体筐体1の背面1eが設けられた側であって図1における奥側であり、図2における右側である。
手挿入部2は、正面側、すなわち使用時に使用者が立つ側に近い側の張り出し部である前方突出部1aと、背面側、すなわち使用時に使用者が立つ側から遠い側の張り出し部である後方突出部1bとの間の空間である。前方突出部1aと後方突出部1bとは、手挿入部2の最下部に設けられた水受け部3に繋がっている。このように、手挿入部2は、側面視において、上部が開口した有底の断面U字状をなしている。そして、図1に示すように、手挿入部2の幅方向における両側面は、開放されている。開口部1cは、本体筐体1の上部に設けられた上部開口部と、本体筐体1の側部において上部開口部に繋がって設けられた側部開口部とにより構成されているといえる。これにより、手挿入部2は、上方向または左右方向から使用者の手を自由に挿抜可能である。
水受け部3の一部には、水受け部3の水を排水する不図示の排水口が設けられている。排水口には、本体筐体1内において上下方向に延びる不図示の排水路の上端部が取り付けられている。排水路の下端部には、本体筐体1の底部に配置されたドレンタンク4が接続されている。ドレンタンク4は、排水路を通って排水された水を溜めるものであり、本体筐体1の底部に着脱自在に取り付けられている。排水口は、水が流下するように勾配が付けられており、水受け部3に付着した水は排水路を流れて、ドレンタンク4へ貯められる。
本体筐体1の内部において、手挿入部2の下方には、図2に示すように、高速空気流を生成する送風部5が設置されている。送風部5は、モーター6と、モーター6によって回転するターボファン7を備えた高圧空気流発生装置により構成されている。送風部5は、吸気側を背面、排気側を前面とした状態で配設されている。
送風部5の吸気側は、本体筐体1の内部において背面側に画成されて上下方向に連なる内部空気通路である吸気ダクト8内の上方に連絡している。吸気ダクト8の内壁には、送風部5で発生する騒音を低減させるために吸音材19が貼り付けられている。吸気ダクト8の下端は、吸気口9として、本体筐体1の底部において下方に開口している。また、吸気口9の入口部にはエアフィルター10が着脱可能に設けられている。これにより、エアフィルター10を通して吸気ダクト8に外気を取り入れることができる。
送風部5の排気側は、本体筐体1の内部に設けられた排気チャンバー16内に連絡している。排気チャンバー16の上部には、排気チャンバー16内の空気を排出する排気口17が設けられている。排気口17は、本体筐体1の内部において上下方向に連なり前面側と背面側に分岐されて画成された正面側排気ダクト11aおよび背面側排気ダクト11bの下方の排気ダクト11に連絡している。送風部5で高圧化された高圧空気は、送風部5と接続して設けられた正面側排気ダクト11aおよび背面側排気ダクト11bに排出される。正面側排気ダクト11aおよび背面側排気ダクト11bには、正面側と背面側とに分岐する手前の位置にヒータを組み込み、通過する高圧空気を昇温させる構成としてもよい。
正面側排気ダクト11aおよび背面側排気ダクト11bの上部には、吹き出し口である正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bが設けられている。すなわち、手挿入部2の正面側の内壁を構成する正面側壁面である、前方突出部1aの内壁18aにおける開口部1cに近い領域には、空気を噴出する手乾燥用のノズルである正面側ノズル12aが設けられている。また、正面側壁面に対向し手挿入部2の背面側の内壁を構成する背面側壁面である、後方突出部1bの内壁18bにおける開口部1cに近い領域には、空気を噴出する手乾燥用のノズルである背面側ノズル12bが設けられている。正面側ノズル12aは、正面側排気ダクト11aに連通している。背面側ノズル12bは、背面側排気ダクト11bに連通している。
前方突出部1aの内壁18aおよび後方突出部1bの内壁18bには、シリコン系の撥水性コーティングもしくはフッ素系の撥水性コーティング、酸化チタンに代表される親水性を有する材料のコーティングといったコーティングが施されている。または、前方突出部1aの内壁18aおよび後方突出部1bの内壁18bは、抗菌剤が含浸された樹脂でできている。これにより、手挿入部2の内面は、汚れが付着することが軽減されており、また細菌が繁殖することが低減されている。
正面側ノズル12aと背面側ノズル12bとは、手挿入部2を挟んで互いに対向している。正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bは、斜め下向きにやや波状に開口した小孔である。複数の小孔は、水平方向に、すなわち正面視において左右方向に、すなわち手乾燥装置100の幅方向に一列に配設されている。
正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bは、送風部5により生成された高圧空気を高速気流に変換し、高速気流を吹き出し口から手挿入部2に向かって作動気流として噴射する。作動気流は、正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bから手挿入部2の対面方向に水平方向よりやや下向きに傾斜した角度で噴射され、使用者が手挿入部2に挿入した手首、手のひら、または手の甲に付着した水を手挿入部2の下方に吹き飛ばす。すなわち、正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bは、高速の空気を高さ方向における手挿入部2の奥側に向かって斜めに噴出し、手挿入部2に挿入された手の甲側と掌側とに同時に高速気流の風を当て、手に付着した水滴を吹き飛ばして排除することができる。すなわち、本体筐体1には、手を配置可能な手乾燥空間に向かって空気流を噴射するノズルが設けられている。
また、前方突出部1aの内壁18aにおいて正面側ノズル12aよりも更に上部開口部側の位置には手の有無を検知する発光側センサである上側手検知センサ13aが設けられている。前方突出部1aの内壁18aにおいて正面側ノズル12aよりも手挿入部2の奥側には手の有無を検知する発光側センサである奥側手検知センサ13bが設けられている。後方突出部1bの内壁18bにおいて、背面側ノズル12bよりも手挿入部2の奥側の位置であって、手挿入部2の高さ方向において上側手検知センサ13aと奥側手検知センサ13bとの間の位置には、受光側センサである手検知センサ13cが設けられている。
そして、上側手検知センサ13aと手検知センサ13cとが対となって、手検知部13の一部である第1透過式センサを構成している。また、奥側手検知センサ13bと手検知センサ13cとが対となって、手検知部13の一部である第2透過式センサを構成している。第1透過式センサは、使用者が開口部1cから手挿入部2の中へ濡れた手を奥側に向かって進入させていくと、上側手検知センサ13aで発光された赤外線が手挿入部2内に挿入された手で遮られることで、手挿入部2内の上側に手が挿入されていることを検知する。使用者が開口部1cから手挿入部2の中へ濡れた手をさらに奥側に向かって進入させていくと、第2透過式センサは、奥側手検知センサ13bで発光された赤外線が手挿入部2内に挿入された手で遮られることで、手挿入部2内の奥側に手が挿入されていることを検知する。
第1透過式センサおよび第2透過式センサは、手乾燥装置100の動作を制御する後述する制御部14と通信可能に接続されており、手挿入部2に手が挿入されていることを検知すると、手挿入部2への手の挿入の検知を示す手検知信号を制御部14に送信する。手検知部13は、手挿入部2への手の挿入を検知している間、手検知信号を制御部14に送信する。
本体筐体1の下方には、第1透過式センサおよび第2透過式センサの手の検知に対応して送風部5の運転を制御する制御部14が組み込まれている。図3は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の制御に関わる主要部分の機能構成を示す図である。制御部14は、手検知部13、送風部5、後述する記憶部15および後述する表示部20と情報の送受信が可能とされている。
制御部14は、手検知部13から出力された手検知信号に基づいて送風部5を駆動および停止させて送風部5の運転を制御し、正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bから手挿入部2内への高速空気の噴出を制御する。
また、制御部14は、送風部5である高圧空気流発生装置を運転させるたびに、送風部5が運転を開始してから停止するまでの運転時間のデータ、運転日時のデータおよび運転回数のデータを、後述する記憶部15に記憶させる。送風部5の運転時間のデータ、運転日時のデータおよび運転回数のデータは、送風部5の実際の運転実績データである。なお、制御部14は、送風部5の実際の運転実績データを制御部14内の記憶部に記憶してもよい。また、制御部14は、記憶部15に記憶された送風部5の実際の使用実績データに基づいて、使用者の平均使用時間を算出する機能を有する。
制御部14は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図4は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部14が図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される場合には、制御部14は、例えば、図4に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部14の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
記憶部15は、制御部14の制御により、送風部5の実際の使用実績データである、送風部5の運転時間、運転回数、運転日時を記憶する。
本体筐体1の正面1dには、表示部20が設けられている。表示部20は、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を表示する。すなわち、表示部20は、現在運転中の手乾燥装置100の運転時間の残り時間の目安を表示する。表示部20は、あとどのくらいの時間で先の使用者の手乾燥装置100の使用が終了するのかという、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を、手乾燥装置100の使用を待っている人に報知して認知させるためのものである。すなわち、表示部20は、送風部5が運転するたびに、送風部5が運転を開始してから予め決められた設定運転時間が経過するまでの経過時間の情報を報知する報知部として機能する。手乾燥装置100が先の使用者により使用中であり、次に使用したい他の人が現在の使用者の後方の位置などで待っているときに、待っている人は、表示部20の表示を見ることにより、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を、把握することができる。
設定運転時間は、予め決められて制御部14に設定された手乾燥装置100の使用時間の予測時間である。設定運転時間は、予め複数人が手乾燥装置100で手乾燥を行うことによって測定された複数の手乾燥装置100の使用時間に基づいて決められた、一般的な手乾燥装置100の使用時間が初期値に設定される。このようにして設定運転時間を決めることにより、表示部20で表示される手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安の精度が高くなる。
表示部20は、正面1dの左端側の領域に配置されている。上述したように、表示部20は、手乾燥装置100の使用を待っている人に現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を知らせる。したがって、表示部20は、現在の使用者によって隠れてしまうことがないように、正面1dに配置される。そして、表示部20は、正面1dの幅方向における中央側の領域ではなく、正面1dの幅方向におけるどちらかの端部に近い位置、および正面1dの幅方向におけるどちらかの端部のうちの少なくとも一方に配置される。すなわち、表示部20は、正面1dの幅方向における端部側の領域に配置される。
表示部20は、たとえば図1に示すように正面1dを左右方向において、左側領域A1、中央領域A2および右側領域A3の3つの領域に3等分した場合、中央領域A2を除いた残りの左右の領域である左側領域A1および右側領域A3の少なくとも一方に配置される。すなわち、表示部20は、左側領域A1および右側領域A3の少なくとも一方に配置される。手乾燥装置100では、左側領域A1に表示部20が配置された場合を示している。
表示部20は、3つ以上の複数の発光部が直線状に配列されて構成されている。具体的には、表示部20は、発光部である5つのLED(Light Emitting Diode)ランプが、手乾燥装置100の高さ方向において一直線のライン状に配列されて構成されている。LEDランプは、透明材料または透明なフィルムを透過して本体筐体1の外部から見えるようになっている。本実施の形態1においては、表示部20は、図1に示すように第1LEDランプ21、第2LEDランプ22、第3LEDランプ23、第4LEDランプ24および第5LEDランプ25が直線状に配列されて構成されている。表示部20のLEDランプは、手乾燥装置100が運転を開始すると点灯し、予め決められた設定運転時間の間に、複数個あるLEDランプが直線状の一方側から直線状の他方側へ順次、点灯して、手乾燥装置100の運転が終了することを次の使用者に報知する。これにより、次の使用者は、現在使用している使用者の手乾燥装置100の使用が終わるまでの残り時間の目安を把握できるので、待ち時間の煩わしさが軽減する。
複数のLEDランプが順次点灯していく時間である点灯時間は、予め決められた設定運転時間が制御部14に初期値として記憶されている。本実施の形態1では、設定運転時間は10秒に設定されている。
多くの公共トイレにおいて、1ヶ所あたりの手乾燥装置の設置数は、手洗いシンクの設置数より少ない。公共トイレの使用者が手洗い後に手乾燥装置100で手を乾かそうとするとき、手乾燥装置100が使用されているときには、次に手乾燥装置100を使用する使用者は、現在の使用者の手乾燥装置100の使用が終わるまで待機しなければならない。また、次に手乾燥装置100を使用する使用者は、現在の使用者の手乾燥装置100の使用がいつ終わるのかを把握することが難しい。そして、次に手乾燥装置100を使用する使用者は、待機時間が分からないため、手乾燥装置100の使用を諦めてしまう場合もある。
手乾燥装置100では、次に使用したい他の人が手乾燥装置100の後方等で待っているときに、表示部20の表示を見ることにより、現在の使用者の手乾燥装置100の使用が終わるまでの時間の目安を把握することができる。このため、待っている人は、待ち時間の煩わしさが軽減し、さらに待機時間が分からないために手乾燥装置100の使用を諦めてしまうといったことが少なくなる。
次に、手乾燥装置100における手を乾燥させる動作について説明する。使用者が手乾燥装置100の正面側に立ち、腕を下方に伸ばした状態で手乾燥装置100の左右の側部開口部から手挿入部2の中へ濡れた両手を入れ、手挿入部2の中で両手を近づけるように中央に寄せると、両腕が上部開口部から挿入された状態になる。また、使用者は、上部開口部の上方から手挿入部2の中へ濡れた両手を入れてもよい。
このとき、使用者の手が手首付近まで手挿入部2に挿入されて、第1透過式センサおよび第2透過式センサが手を検知すると、送風部5が作動する。送風部5が作動すると、エアフィルター10を通って埃が除去された空気が吸気口9から吸気ダクト8に流れ、送風部5の吸込側に吸い込まれる。送風部5に吸い込まれた空気は、送風部5で高圧化されて高圧空気にされる。
送風部5で高圧化された高圧空気は、送風部5の排気側から排気チャンバー16内に排気され、排気口17から正面側排気ダクト11aおよび背面側排気ダクト11bに流れる。正面側排気ダクト11aに流れた高圧空気は、正面側ノズル12aで高圧空気から高速空気に変換され、手挿入部2内に噴出される。背面側排気ダクト11bに流れた高圧空気は、背面側ノズル12bで高圧空気から高速空気に変換され、手挿入部2内に噴出される。
上記のように、前方突出部1aの内壁18aにおける上部開口部に近い領域に複数の正面側ノズル12aが左右方向に直線状に設けられ、後方突出部1bの内壁18bにおける上部開口部に近い領域に複数の背面側ノズル12bが左右方向に直線状に設けられている。これにより、手挿入部2における上部開口部に近い領域にエアーカーテン状に正面側ノズル12aおよび背面側ノズル12bから高速空気が噴出される。そして、噴出された高速空気が、手挿入部2内に挿入されている手のひら、および手の甲の両面に当たり、手の表面に付着していた水を水滴として吹き飛ばす。
そして、挿入されている手が上部開口部から手挿入部2の外に引き抜かれることで、エアーカーテン状の高速空気が挿入されている手に当たる位置が、手首付近から指先に向かって移動する。これにより、手全体に付着していた水滴が除去され、手を乾燥させることができる。手挿入部2から手が抜かれると、手挿入部2に手が無いことが、第1透過式センサおよび第2透過式センサにおいて検知され、送風部5が停止する。手挿入部2に挿入された濡れた手から吹き飛ばされて手から剥離された水滴は、手挿入部2内に飛ばされ、前方突出部1aの内壁18aおよび後方突出部1bの内壁18bに当たって流下し、手挿入部2の底部の水受け部3に設けられた排水口から排水路を通ってドレンタンク4に回収される。
次に、上記のように手乾燥装置100の運転時における表示部20の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の運転時における表示部20の動作の手順を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の運転時における表示部20の動作を示す模式図である。図6に示すように、送風部5の停止中は、表示部20の全てのLEDランプは、消灯している。本実施の形態1では、設定運転時間は10秒に設定されているものとする。
制御部14は、ステップS10において送風部5の運転を開始させると同時に、ステップS20において第1LEDランプ21および第5LEDランプ25を点灯させる。
次に、ステップS30において制御部14は、送風部5の運転開始時から予め決められた第1設定運転時間が経過したか否かを判定する。第1設定運転時間は、制御部14が第2LEDランプ22を点灯させるか否かを判定するための閾値時間であり、予め決められた設定運転時間よりも短い時間である。第1設定運転時間が経過していない場合には、ステップS30においてNoとなり、ステップS30に戻る。第1設定運転時間が経過した場合には、ステップS30においてYesとなり、ステップS40に進む。
ステップS40において制御部14は、第2LEDランプ22を点灯させる。
次に、ステップS50において制御部14は、予め決められた第2設定運転時間が経過したか否かを判定する。第2設定運転時間は、制御部14が第3LEDランプ23を点灯させるか否かを判定するための閾値時間であり、予め決められた設定運転時間よりも短く、第1設定運転時間よりも長い時間である。第2設定運転時間が経過していない場合には、ステップS50においてNoとなり、ステップS50に戻る。第2設定運転時間が経過した場合には、ステップS50においてYesとなり、ステップS60に進む。
ステップS60において制御部14は、第3LEDランプ23を点灯させる。
次に、ステップS70において制御部14は、予め決められた設定運転時間が経過したか否かを判定する。設定運転時間が経過していない場合には、ステップS70においてNoとなり、ステップS70に戻る。設定運転時間が経過した場合には、ステップS70においてYesとなり、ステップS80に進む。
ステップS80において制御部14は、第4LEDランプ24を点灯させる。
次に、ステップS90において制御部14は、送風部5の運転を停止させると同時に、ステップS100において表示部20の全てのLEDランプを消灯させる。これにより、手乾燥装置100の運転が終了したことを次に手乾燥装置100を使用するために待っている人へ報知することができる。
そして、表示部20のLEDランプが上記のように点灯および消灯することにより、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を、手乾燥装置100の使用を待っている人に報知することができる。表示部20が上記のように点灯する場合には、設定運転時間は、手挿入部2に挿入されて第1LEDランプ21および第5LEDランプ25が点灯してから、表示部20の全てのLEDランプが点灯するまでの時間といえる。
なお、手乾燥装置100の運転時において表示部20は、送風部5の運転開始後に、全ての発光部を点灯させ、直線状における両端を除く発光部を時間の経過とともに一方から他方へ順次、消灯させ、設定運転時間の経過後に全ての前記発光部を消灯させることで、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を、手乾燥装置100の使用を待っている人に報知することもできる。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の運転時における表示部20の他の動作を示す模式図である。図7に示すように、送風部5の停止中は、表示部20の全てのLEDランプは、消灯している。制御部14は、送風部5の運転を開始させると同時に、表示部20の全てのLEDランプを点灯させる。次に、制御部14は、送風部5の運転開始時から予め決められた第1設定運転時間が経過した場合に、第4LEDランプ24を消灯させる。次に、制御部14は、送風部5の運転開始時から予め決められた第2設定運転時間が経過した場合に、第3LEDランプ23を消灯させる。次に、制御部14は、送風部5の運転開始時から予め決められた設定運転時間が経過した場合に、第2LEDランプ22を消灯させる。そして、制御部14は、送風部5を停止させると同時に、表示部20の全てのLEDランプを消灯させる。
また、制御部14は、予め決められた設定運転時間を変更することができる。制御部14は、送風部5を運転させるたびに、送風部5が運転を開始してから停止するまでの運転時間のデータを記憶部15に記憶させる。図8は、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100の制御部14が予め決められた設定運転時間を変更する手順を示すフローチャートである。
ステップS210において制御部14は、送風部5の運転を制御する。すなわち、制御部14は、送風部5を運転させて手乾燥装置100の運転を制御し、送風部5の運転開始時から予め決められた設定運転時間が経過すると、送風部5を停止させる。
ステップS220において制御部14は、送風部5を運転させるたびに、送風部5の実運転時間データである、送風部5が運転を開始してから停止するまでの運転時間のデータを記憶部15に記憶させる。
ステップS230において制御部14は、予め決められた規定の期間が経過したか否かを判定する。規定の期間が経過していない場合は、ステップS230においてNoとなり、ステップS210に戻る。規定の期間が経過した場合は、ステップS230においてYesとなり、ステップS240に進む。
ステップS240において制御部14は、送風部5の1回当たりの平均使用時間を算出する。すなわち、制御部14は、予め決められた規定の期間に記憶部15に記憶された複数の運転時間のデータの平均値を算出し、設定運転時間を平均値に変更する。
ステップS250において制御部14は、予め決められた設定運転時間を、算出した平均使用時間である運転時間のデータの平均値に変更する。この後、制御部14は、変更した値を設定運転時間として使用する。そして、表示部20は、変更された設定運転時間が経過するまでの経過時間の情報、すなわち手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を報知する。
したがって、制御部14は、設定運転時間の初期値を、記憶部15で蓄積した運転実績データから算出した使用者の平均使用時間に変更する。手乾燥装置100が設置される場所によって、手乾燥装置100の使用者および手乾燥装置100の使用シーンが異なるため、手乾燥装置100を使用する時間も異なる。そして、設定運転時間の初期値は、手乾燥装置100の使用時間の目安であり、必ずしも実際の手乾燥装置100の使用時間と一致するわけではない。そこで、上記のようにして設定運転時間を運転時間のデータの平均値に変更することによって、設定運転時間が初期値から実際の平均使用時間の平均値へ変更される。これにより、実際の使用形態に合わせた手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を表示部20に表示することができ、表示部20に表示される手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安の精度を向上させることができる。
表示部20は、正面1dと本体筐体1の側面との角部または本体筐体1の側面に配置されてもよい。また、表示部20は、手乾燥装置100を使用する残り時間の目安を表示するため、インジケータのように表示の開始と表示の終了とが分かりやすい表示が好ましい。文字等で表示の開始と表示の終了とを補足的に示してもよい。ここで、手乾燥装置100では、文字等を読むことが難しい距離でも手乾燥装置100の次の使用者が表示部20の表示内容を理解できるように、表示部20の両端のLEDランプは、手乾燥装置100の運転開始後に両方が点灯するようにしている。これにより、手乾燥装置100の運転が開始したことを次に手乾燥装置100を使用するために待っている次の使用者へ確実に報知することができる。
上述したように、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100は、表示部20により送風部5が運転を開始してから予め決められた設定運転時間が経過するまでの経過時間の情報を報知するため、次に手乾燥装置100を使用するために待機している人に、現在使用中の手乾燥装置100の使用時間の残り時間の目安を知らせることが可能である。これにより、手乾燥装置100は、手乾燥装置100を次に使用するために待機している次の使用者の待ち時間の煩わしさを改善することができる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置200の斜視図である。本実施の形態2にかかる手乾燥装置200は、上述した実施の形態1にかかる手乾燥装置100の表示部20に対応する不図示の表示部が本体筐体1の底面に配置されていることが手乾燥装置100と異なる。すなわち、手乾燥装置200の表示部は、光軸が下方に向かった状態で配置されている。また、手乾燥装置200の表示部20は、本体筐体1の底面において、第1LEDランプ、第2LEDランプ、第3LEDランプ、第4LEDランプおよび第5LEDランプが、手乾燥装置200の幅方向において直線状に配列されて構成されている。
手乾燥装置200は、床面300から離間した状態で配置されている。そして、手乾燥装置200の表示部を構成する5つのLEDランプは、手乾燥装置200の下方の床面300に向けて光を照射するように本体筐体1の底面に配置されている。これにより、表示部を構成するLEDランプから床面300に照射された光を、次に手乾燥装置200を使用するために待っている人が確認できる。
手乾燥装置200では、LEDランプから床面300に照射された光によって、現在使用中の手乾燥装置200の使用時間の残り時間の目安を表示する。このため、LEDランプから床面300に照射された光による表示は、インジケータのように手乾燥装置200の開始と手乾燥装置200の終了とが分かりやすい表示が好ましい。そこで、手乾燥装置200では、直線状に配列された5つのLEDランプのうち両端のLEDランプは、手乾燥装置200の運転開始後に点灯するようになっている。両端のLEDランプが手乾燥装置200の運転開始後に点灯することにより、手乾燥装置200の運転の開始を明確に報知することができる。
また、直線状に配列された5つのLEDランプのうち両端を除くLEDランプは、時間の経過とともに、一方から他方へ順次直線状のどちらか一方側の端から手乾燥装置200の使用時間に対応して、順次、点灯するようになっている。LEDランプの点灯および消灯は、上述した実施の形態1の場合と同様に、制御部14の制御により行われる。
図10は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置200の運転時における表示部20の動作に対応して床面300に照射された光の表示例を示す模式図である。床面300には、図10に示すLEDランプの点灯に対応して光が照射される。図10に示すように、送風部5の停止中は、表示部の全てのLEDランプは、消灯しており、LEDランプからの床面300への光の照射はない。予め決められた設定運転時間は、6秒とする。図10においては、左から、第1LEDランプから床面300に照射された第1LED光L1、第2LEDランプから床面300に照射された第2LED光L2、第3LEDランプから床面300に照射された第3LED光L3、第4LEDランプから床面300に照射された第4LED光L4、第5LEDランプから床面300に照射された第5LED光L5を示している。
制御部14は、送風部5の運転を開始させると同時に、第1LEDランプおよび第5LEDランプを点灯させる。これにより、床面300に第1LED光L1および第5LED光L5が照射される。
次に、制御部14は、手乾燥装置200の運転中において、送風部5の運転開始時から予め決められた第1設定運転時間が経過した場合に、第2LEDランプを点灯させる。これにより、床面300にさらに第2LED光L2が照射される。第1設定運転時間は、2秒である。したがって、第1設定運転時間が経過した時点では、送風部5の運転時間の残り時間の目安、すなわち現在運転中の手乾燥装置200の運転時間の残り時間の目安は、4秒である。
次に、制御部14は、手乾燥装置200の運転中において、送風部5の運転開始時から予め決められた第2設定運転時間が経過した場合に、第3LEDランプを点灯させる。これにより、床面300にさらに第3LED光L3が照射される。第2設定運転時間は、4秒である。したがって、第2設定運転時間が経過した時点では、送風部5の運転時間の残り時間の目安、すなわち現在運転中の手乾燥装置200の運転時間の残り時間の目安は2秒である。
次に、制御部14は、手乾燥装置200の運転中において、送風部5の運転開始時から予め決められた設定運転時間である6秒が経過した場合に、第4LEDランプを点灯させる。これにより、全てのLEDランプが点灯し、床面300にさらに第4LED光L4が照射される。設定運転時間が経過した時点では、送風部5の運転時間の残り時間の目安、すなわち現在運転中の手乾燥装置200の運転時間の残り時間の目安は0秒である。この時点で、制御部14は、送風部5を停止させて、手乾燥装置200の運転を終了させる。
この後、手乾燥装置200の運転が終了したことを次に手乾燥装置200を使用するために待っている人へ強く報知するために、制御部14は、表示部20の全てのLEDランプを、消灯と点灯を繰り返す点滅状態に制御する。全てのLEDランプの点灯と消灯との繰り返しの時間間隔は、0.5秒から1秒程度が妥当である。本実施の形態2では、全てのLEDランプが点滅を2回繰り返した後で、消灯した状態を維持する。
本実施の形態2では、表示部20が本体筐体1の下方に配置されて、LED光が床面300に照射される構造としているが、手乾燥装置200の側面の近くに壁が存在する場合には、表示部20を壁に近い側の本体筐体1の側面に配置しても上記と同様の効果が得られる。
なお、上記の実施の形態1,2で説明したLEDランプの消灯と点灯とのパターンが逆にされてもよく、また、LEDランプの消灯または点灯のいずれか一方をLEDランプの点滅に置き換えてもよい。また、上記においてはLEDランプの消灯と点灯とで手乾燥装置200の運転時間の残り時間の目安時間を区別したが、全てのLEDランプを点灯させて、LEDランプの点灯色が変わる形態とされてもよい。
また、上記においては、LEDランプにより表示部20を構成する場合について示したが、報知部としてディスプレイ31を設けて、ディスプレイ31に表示される文字によって、現在運転中の手乾燥装置200の運転時間の残り時間の目安時間を表示してもよい。図11は、報知部としてディスプレイ31が正面1dに設けられた他の手乾燥装置の制御に関わる主要部分の機能構成を示す図である。他の手乾燥装置は、報知部としてディスプレイ31が正面1dに設けられたことが、手乾燥装置100,200と異なる。この場合、制御部14は、送風部5の運転開始後に設定運転時間をカウントダウンする情報をディスプレイ31に表示させる制御を行う。
また、手乾燥装置100,200において、報知部として音声発生装置を設けて、音声により現在運転中の手乾燥装置100,200の運転時間の残り時間の目安時間を報知してもよい。
上述したように、本実施の形態2にかかる手乾燥装置200は、実施の形態1にかかる手乾燥装置100と同様の効果が得られる。
なお、上述した実施の形態1、2においては、手の乾燥処理が行われる手乾燥空間が本体筐体1の手挿入部2によって形成され、水受け部3を有する手乾燥装置100,200について示したが、手乾燥装置の構成は上記の構成に限定されない。たとえば手乾燥装置は、立方体形状を有する本体筐体の下面に、本体筐体の下方に向かって空気流を噴射するノズルが設けられており、本体筐体の下方のオープンな空間が手乾燥空間として使用される形態とされてもよい。この場合、手乾燥装置は、水受け部3を有していない。このような形態の手乾燥装置においても、実施の形態1、2において示した報知部および制御部14を適用することにより、上述した効果を得ることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。