本明細書は、以下の項目に記載の撮像装置を開示している。
[項目1]
n型の導電型の第1不純物領域を有する半導体基板と、
前記第1不純物領域に電気的に接続され、光を電荷に変換する光電変換部と、
第1端子および第2端子を有し、前記第1端子が前記第1不純物領域に電気的に接続された容量素子と、
前記第2端子に電気的に接続された電圧供給回路と
を備え、
前記電圧供給回路は、互いに異なる第1の電圧および第2の電圧を前記第2端子に供給し、
前記第1不純物領域は、前記光電変換部で生じた電荷のうち正電荷を蓄積する、撮像装置。
[項目2]
前記第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタをさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記第1トランジスタがオンである第1期間に前記第1電圧を前記第2端子に供給し、前記第1期間の後かつ前記第1トランジスタがオフである第2期間に前記第2電圧を前記第2端子に供給する、項目1に記載の撮像装置。
[項目3]
前記第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタをさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記正電荷を前記第1不純物領域に蓄積する第1期間に前記第1電圧を前記第2端子に供給し、前記第1期間の後かつ前記第1トランジスタがオンである第2期間に前記第2電圧を前記第2端子に供給する、項目1に記載の撮像装置。
[項目4]
前記半導体基板は、第2不純物領域を有し、
前記第1トランジスタは、前記第2不純物領域をソースおよびドレインの他方として含み、
前記第1端子は、前記第2不純物領域に接続されている、項目2または3に記載の撮像装置。
[項目5]
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも高い、項目2から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
[項目6]
p型の導電型の第1不純物領域を有する半導体基板と、
前記第1不純物領域に電気的に接続され、光を電荷に変換する光電変換部と、
第1端子および第2端子を有し、前記第1端子が前記第1不純物領域に電気的に接続された容量素子と、
前記第2端子に電気的に接続された電圧供給回路と
を備え、
前記電圧供給回路は、互いに異なる第1の電圧および第2の電圧を前記第2端子に供給し、
前記第1不純物領域は、前記光電変換部で生じた電荷のうち負電荷を蓄積する、撮像装置。
[項目7]
前記第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタをさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記第1トランジスタがオンである第1期間に前記第1電圧を前記第2端子に供給し、前記第1期間の後かつ前記第1トランジスタがオフである第2期間に前記第2電圧を前記第2端子に供給する、項目6に記載の撮像装置。
[項目8]
前記第1不純物領域をソースおよびドレインの一方として含む第1トランジスタをさらに備え、
前記電圧供給回路は、前記負電荷を前記第1不純物領域に蓄積する第1期間に前記第1電圧を前記第2端子に供給し、前記第1期間の後かつ前記第1トランジスタがオンである第2期間に前記第2電圧を前記第2端子に供給する、項目6に記載の撮像装置。
[項目9]
前記半導体基板は、第2不純物領域を有し、
前記第1トランジスタは、前記第2不純物領域をソースおよびドレインの他方として含み、
前記第1端子は、前記第2不純物領域に接続されている、項目7または8に記載の撮像装置。
[項目10]
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低い、項目7から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
[項目11]
前記容量素子および前記第1不純物領域は、前記光電変換部で生じた電荷のうち一方の極性の電荷を蓄積する電荷蓄積ノードの少なくとも一部であり、
前記容量素子の容量値は、前記電荷蓄積ノードのうち前記容量素子以外の部分の容量値よりも小さい、項目1から10のいずれか一項に記載の撮像装置。
[項目12]
前記光電変換部は、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極の間に位置する光電変換層と
を有し、
前記第1電極は、前記第1不純物領域に電気的に接続されている、項目1から11のいずれか一項に記載の撮像装置。
[項目13]
前記光電変換部は、埋め込みフォトダイオードである、項目1から4および6から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
また、本明細書は、以下の項目に記載の撮像装置を開示している。
[項目1]
第1不純物領域および第2不純物領域を有する半導体基板と、
第1不純物領域に電気的に接続された光電変換部と、
第1不純物領域をソース領域およびドレイン領域の一方として含み、第2不純物領域をソース領域およびドレイン領域の他方として含む第1トランジスタと、
第2不純物領域に電気的に接続された電圧供給回路と
を備え、
電圧供給回路は、第1トランジスタがオンである第1期間に第1電圧を第2不純物領域に印加し、第1期間の後かつ第1トランジスタがオフである第2期間に第1電圧とは異なる第2電圧を第2不純物領域に印加する、撮像装置。
項目1の構成によれば、第1トランジスタのオフに伴って第1不純物領域とその周囲との間のpn接合に順方向バイアスがかかることによって暗電流が生じてしまうことを防止し得る。
[項目2]
第2不純物領域と電圧供給回路との間に接続された容量素子をさらに備える、項目1に記載の撮像装置。
項目2の構成によれば、第1電圧および第2電圧として、より電圧差の小さな電圧を適用し得る。
[項目3]
ソース領域およびドレイン領域の一方が第2不純物領域に電気的に接続された第2トランジスタをさらに備える、項目2に記載の撮像装置。
[項目4]
ソース領域およびドレイン領域の一方が第2不純物領域に電気的に接続された第2トランジスタをさらに備え、
電圧供給回路は、第2トランジスタのソース領域およびドレイン領域の他方に接続されている、項目1に記載の撮像装置。
項目4の構成によれば、第2トランジスタのオフに伴って第2不純物領域とその周囲との間のpn接合に順方向バイアスがかかることによって暗電流が生じてしまうことを防止し得る。
[項目5]
第2期間は、第2トランジスタがオンである期間のうち、第1期間を除く期間である、項目3または4に記載の撮像装置。
項目5の構成によれば、第1トランジスタを介したカップリングによる、第1不純物領域の電位の変動に起因した暗電流の発生を抑制し得る。
[項目6]
第2期間は、第2トランジスタがオンからオフに切り替えられた時点から開始する、項目3または4に記載の撮像装置。
項目6の構成によれば、第2トランジスタを介したカップリングによる、第2不純物領域の電位の変動に起因した暗電流の発生を抑制し得る。
[項目7]
第1不純物領域を有する半導体基板と、
第1不純物領域に電気的に接続された光電変換部と、
第1不純物領域をソース領域およびドレイン領域の一方として含み、第1不純物領域へのリセット電圧の供給および遮断を切り替える第1トランジスタと、
第1不純物領域に電気的に接続された電圧供給回路と
を備え、
電圧供給回路は、第1トランジスタがオンである第1期間に第1電圧を第1不純物領域に印加し、第1期間に続く、第1トランジスタがオフとされた第2期間に第1電圧とは異なる第2電圧を第1不純物領域に印加する、撮像装置。
項目7の構成によれば、第1トランジスタのオフに伴って第1不純物領域とその周囲との間のpn接合に順方向バイアスがかかることによって暗電流が生じてしまうことを防止し得る。
[項目8]
第1不純物領域と電圧供給回路との間に接続された容量素子をさらに備える、項目7に記載の撮像装置。
項目8の構成によれば、第1電圧および第2電圧として、より電圧差の小さな電圧を適用し得る。
[項目9]
ソース領域およびドレイン領域の一方が第1トランジスタのソース領域およびドレイン領域の他方に電気的に接続された第2トランジスタをさらに備え、
電圧供給回路は、第1トランジスタを介して第1不純物領域に接続されている、項目7または8に記載の撮像装置。
[項目10]
第2トランジスタを含み、光電変換部で発生した電気信号を負帰還させるフィードバック回路をさらに備える、項目3、4、5、6または9に記載の撮像装置。
項目10の構成によれば、負帰還を利用してkTCノイズを縮小することが可能である。
[項目11]
第1トランジスタは、n型であり、
第2電圧は、第1電圧よりも高い、項目1から10のいずれかに記載の撮像装置。
項目11の構成によれば、第1不純物領域の電位および/または第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードの電位が半導体基板の基板電位を下回ってしまうことを回避し得る。
[項目12]
第1トランジスタは、p型であり、
第2電圧は、第1電圧よりも低い、項目1から10のいずれかに記載の撮像装置。
項目12の構成によれば、第1不純物領域の電位および/または第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードの電位が半導体基板の基板電位を上回ってしまうことを回避し得る。
[項目13]
第1不純物領域を有する半導体基板と、
第1不純物領域に電気的に接続された光電変換部と、
第1不純物領域をソース領域およびドレイン領域の一方として含み、第1不純物領域へのリセット電圧の供給および遮断を切り替えるリセットトランジスタと、
リセットトランジスタのゲートに接続された駆動回路と
を備え、
駆動回路は、リセットトランジスタがオンとなる第1電圧、リセットトランジスタがオフとなる第2電圧、および、第1電圧と第2電圧の間の第3電圧をゲートに順次に印加することにより、第1不純物領域の電位のリセットを実行する、撮像装置。
項目13の構成によれば、回路が過度に複雑となることを避けながら、暗電流による画質の劣化を防止し得る。
[項目14]
リセットトランジスタは、n型であり、
第3電圧は、第1電圧よりも低く第2電圧よりも高い、項目13に記載の撮像装置。
項目14の構成によれば、第1不純物領域の電位および/または第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードの電位が半導体基板の基板電位を下回ってしまうことを回避し得る。
[項目15]
第3電圧は、駆動回路からゲートに第3電圧が印加されている状態において、第1不純物領域の電位が半導体基板の基板電位よりも高くなる電圧である、項目13または14に記載の撮像装置。
項目15の構成によれば、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する信号への暗電流の影響を抑制し得る。
[項目16]
リセットトランジスタは、p型であり、
第3電圧は、第1電圧よりも高く第2電圧よりも低い、項目13に記載の撮像装置。
項目16の構成によれば、第1不純物領域の電位および/または第1トランジスタと第2トランジスタとの間のノードの電位が半導体基板の基板電位を上回ってしまうことを回避し得る。
[項目17]
第3電圧は、駆動回路からゲートに第3電圧が印加されている状態において、第1不純物領域の電位が半導体基板の基板電位よりも低くなる電圧である、項目13または16に記載の撮像装置。
項目17の構成によれば、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する信号への暗電流の影響を抑制し得る。
[項目18]
光電変換部と、光電変換部に電気的に接続された電荷蓄積ノードと、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷を検出する検出回路と、信号電荷を排出するリセットトランジスタとを備える撮像装置の駆動方法であって、
リセットトランジスタのゲートに、リセットトランジスタがオンとなる第1電圧、リセットトランジスタがオフとなる第2電圧、および、第1電圧と第2電圧の間の第3電圧を順次に印加することにより、電荷蓄積ノードの電位のリセットを実行する、撮像装置の駆動方法。
項目18の構成によれば、回路が過度に複雑となることを避けながら、暗電流による画質の劣化を防止し得る。
[項目19]
電荷蓄積ノードは、半導体基板に形成されたn型の第1不純物領域を含み、
第3電圧は、第1電圧よりも低く第2電圧よりも高い、項目18に記載の撮像装置。
[項目20]
電荷蓄積ノードの電位が半導体基板の基板電位よりも低くなる電圧を第2電圧として印加する、項目19に記載の撮像装置の駆動方法。
[項目21]
電荷蓄積ノードは、半導体基板に形成されたp型の第1不純物領域を含み、
第3電圧は、第1電圧よりも高く第2電圧よりも低い、項目18に記載の撮像装置。
[項目22]
電荷蓄積ノードの電位が半導体基板の基板電位よりも高くなる電圧を第2電圧として印加する、項目21に記載の撮像装置の駆動方法。
[項目23]
光電変換部は、
半導体基板に支持された第1電極と、
第2電極と、
第1電極および第2電極の間に位置する光電変換層と
をさらに含み、
第1電極は、第1不純物領域に電気的に接続されている、項目1から17のいずれか、または、項目19から22のいずれかに記載の撮像装置。
[項目24]
光電変換部は、埋め込みフォトダイオードである、項目1から23のいずれかに記載の撮像装置。
[項目25]
複数の画素を備える撮像装置であって、
複数の画素のそれぞれの画素は、
光電変換により電荷を生成する光電変換部と、
電荷を蓄積する電荷蓄積ノードと、
電荷蓄積ノードに電気的に接続され、電荷蓄積ノードの電位を基準電位にリセットするリセットトランジスタと、
電荷蓄積ノードに電気的に接続され、電荷蓄積ノードに蓄積された電荷に応じた信号電圧を出力する増幅トランジスタと、
一端が電荷蓄積ノードに電気的に接続され、他端が電圧源に接続される容量素子と、
を備え、
電荷を電荷蓄積ノードに蓄積する露光期間において、容量素子の他端には第1電圧が印加され、露光期間以外の非露光期間中のリセット期間において、他端には第1電圧とは異なる第2電圧が印加され、
リセット期間は、非露光期間の一部であり、リセットトランジスタが電荷蓄積ノードの電位を基準電位にリセットする期間である、撮像装置。
項目25に記載の撮像装置によると、リーク電流を低減することが可能となる撮像装置が提供される。
[項目26]
非露光期間の全体において、容量素子の他端に第2電圧が印加される、項目25に記載の撮像装置。
項目26に記載の撮像装置によると、例えば信号電荷として正孔を用いる場合、露光期間では、電荷蓄積ノードの電位を低電位に設定し、かつ、非露光期間では、電荷蓄積ノードの電位を高電位に設定することにより、回路特性を劣化させることなく、暗電流を低減することができる。
[項目27]
容量素子は、増幅トランジスタのゲートに電気的に接続される、項目25または26に記載の撮像装置。
項目27に記載の撮像装置によると、容量素子の他端に印加される制御信号の電圧変化を容量素子を介してFDノードに与えることができる。
[項目28]
増幅トランジスタに電気的に接続され、信号電圧を選択的に出力する選択トランジスタをさらに備え、
選択トランジスタの制御信号が、容量素子の他端に接続される、項目26または27に記載の撮像装置。
項目28に記載の撮像装置によると、画素内の任意の制御信号を、容量素子に与える制御信号としても用いることができるので、使用する制御信号線の数を減らすことができる。
[項目29]
容量素子の一端と電荷蓄積ノードとの間、または、電圧源と他端との間に電気的に接続され、容量素子および電荷蓄積ノードの接続・非接続を切替えるスイッチトランジスタをさらに備える、項目26または27に記載の撮像装置。
項目29に記載の撮像装置によると、例えば、電荷蓄積ノードの電位を制御するFD電位制御モード、および、信号電荷を効率的に変換する高ゲインモードを使い分けることが可能となる。
[項目30]
電荷は、正孔であり、
第2電圧は第1電圧よりも高い、項目25から29のいずれかに記載の撮像装置。
項目30に記載の撮像装置によると、リーク電流を低減することが可能な、信号電荷として正孔を用いる撮像装置を提供できる。
[項目31]
リセットトランジスタおよび増幅トランジスタはN型トランジスタである、項目30に記載の撮像装置。
項目31に記載の撮像装置によると、信号電荷として正孔を用いる場合、リーク電流を適切に低減することが可能となる。
[項目32]
電荷は、電子であり、
第2電圧は第1電圧よりも低い、項目25から29のいずれかに記載の撮像装置。
項目32に記載の撮像装置によると、リーク電流を低減することが可能な、信号電荷として電子を用いる撮像装置を提供できる。
[項目33]
リセットトランジスタおよび増幅トランジスタはP型トランジスタである、項目32に記載の撮像装置。
項目33に記載の撮像装置によると、信号電荷として電子を用いる場合、リーク電流を適切に低減することが可能となる。
[項目34]
第1電圧はグランド電圧である、項目30に記載の撮像装置。
項目34に記載の撮像装置によると、容量素子に印加される制御信号の電源ノイズが電荷蓄積ノードに混入することを抑制することが可能となる。
[項目35]
第2電圧はグランド電圧である、項目30に記載の撮像装置。
項目35に記載の撮像装置によると、容量素子に印加される制御信号の電源ノイズが電荷蓄積ノードに混入することを抑制することが可能となる。
[項目36]
増幅トランジスタは、デプレッション型のトランジスタである、項目25から35のいずれかに記載の撮像装置。
項目36に記載の撮像装置によると、低レベルの電荷蓄積ノードの電位に対しても増幅トランジスタから高い出力が得られるため、ソースフォロア回路の電流源の動作に必要な電圧レンジを確保することが可能となる。
[項目37]
光電変換部は、
第1電極と、
第1電極に対向する第2電極と、
第1電極と第2電極との間に位置し、光電変換によって電荷を発生させる光電変換膜と、
を有する、項目25から36のいずれかに記載の撮像装置。
項目37に記載の撮像装置によると、リーク電流を低減することが可能となる、光電変換膜を有する光電変換部を備える撮像装置が提供される。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態による撮像装置の例示的な構成を模式的に示す。図1に示す撮像装置100は、複数の画素10を含む画素アレイ110と、周辺回路120とを有する。
画素アレイ110は、例えばm行n列のマトリクス状に配置された複数の画素10を含む。ここで、m、nは、自然数である。画素10は、半導体基板60に例えば2次元に配列されることにより、撮像領域を形成する。画素アレイ110中の画素10の数および配置は、図示する例に限定されない。例えば、撮像装置100に含まれる画素10の数は、1つであってもよい。画素アレイ110中の画素10の配列が一次元である場合、撮像装置100をラインセンサとして利用することができる。
各画素10は、光の入射を受けて電荷を生成する光電変換部を含む。各画素10の光電変換部は、半導体基板60に形成された埋め込みフォトダイオード、または、半導体基板60のうち撮像領域に対応する領域の上方に配置された光電変換層の一部を含む構造であり得る。なお、本明細書において、「上方」、「下方」などの用語は、あくまでも部材間の相互の配置を指定するために用いており、撮像装置100の使用時における姿勢を限定する意図ではない。
図1に例示する構成において、周辺回路120は、垂直走査回路122と、信号保持回路123と、水平走査回路124と、出力段アンプ126と、画素アレイ110中の各画素10に所定の電圧を供給する電圧供給回路128とを含む。ここでは、周辺回路120は、上述の画素アレイ110が形成された半導体基板60上に設けられている。しかしながら、周辺回路120の配置はこの例に限定されず、周辺回路120の一部または全部が、半導体基板60とは異なる他の基板上に配置されてもかまわない。
垂直走査回路122は、行走査回路とも呼ばれ、例えば、複数の画素10の各行に対応して設けられたアドレス信号線およびリセット信号線との接続を有する。垂直走査回路122は、アドレス信号線およびリセット信号線に所定の信号を供給することにより、画素10における信号電荷の蓄積および読み出し、ならびに、蓄積された信号電荷のリセットを行単位で実行することができる。周辺回路120は、2以上の垂直走査回路122を有していてもよい。なお、図1では、図面が複雑になることを避けるために、アドレス信号線、リセット信号線などの各種の信号線の図示は省略されている。図1中の矢印は、アドレス信号線、リセット信号線などの各種の信号線に供給される信号の流れを模式的に示している。
信号保持回路123は、複数の画素10の各列に対応して設けられる不図示の垂直信号線に接続されており、垂直信号線に出力される信号を一時的に保持する機能を有する。信号は、アナログ値の形で保持されてもよいし、アナログ-デジタル変換の施されたデジタル値の形で保持されてもよい。信号保持回路123は、例えば、信号電荷の蓄積後に画素10から読み出された信号と、信号電荷のリセット後にその画素10から読み出された信号との間の差分を水平走査回路124に出力する。信号間の演算は、アナログ、デジタルのいずれの形で実行されてもよい。水平走査回路124は、列走査回路とも呼ばれ、典型的には、その一部にアナログ-デジタル変換回路を含む。水平走査回路124は、信号保持回路123によって複数の画素10の行単位で得られた、差分の信号を出力段アンプ126に読み出す機能を有する。
電圧供給回路128は、各画素10に電気的に接続されており、撮像装置100の動作時に各画素10に2以上の所定の電圧を切り替えて供給するように構成される。電圧供給回路128は、例えば、第1電圧VAおよび第2電圧VBを切り替えて各画素10に供給する。ここで、第2電圧VBは、第1電圧VAとは異なる電圧である。
電圧供給回路128は、撮像装置100の動作時に各画素10に所定の電圧を印加可能に構成されていればよく、特定の電源回路に限定されない。電圧供給回路128は、所定の電圧を生成する回路であってもよいし、他の電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよい。電圧供給回路128は、垂直走査回路122の一部であってもよい。電圧供給回路128から各画素10に印加される電圧は、互いに異なる2つの電圧に限定されない。電圧供給回路128は、互いに異なる3つ以上の電圧を切り替えて各画素10に供給可能に構成されてもよい。
(画素10のデバイス構造)
図2は、画素10の例示的なデバイス構造の断面を模式的に示す。図2は、画素10における各部の形状、寸法および配置をあくまで模式的に示し、図2中に示される各部の形状、寸法および配置は、必ずしも現実のデバイスにおける形状、寸法および配置を反映しない。本開示の他の図面についても同様である。
図2に示す画素10Aは、上述の画素10の一例である。画素10Aは、概略的には、半導体基板60の一部と、半導体基板60を覆う層間絶縁層40に支持された光電変換部50Aとを含む。図2に示す例では、光電変換部50Aは、半導体基板60のうち撮像領域に対応する領域の上方に位置する光電変換層54を含んでいる。すなわち、ここでは、撮像装置100として積層型の撮像装置を例示する。
図2に模式的に示すように、半導体基板60は、支持基板60Sと、支持基板60S上に形成された1以上の半導体層とを含む。ここでは、支持基板60Sとして、p型シリコン基板を例示する。半導体基板60には、不純物領域60a~60eおよび素子分離領域65が設けられている。不純物領域60a~60eのそれぞれは、典型的には、n型の拡散領域である。
図2に示すように、半導体基板60に支持された光電変換部50Aは、層間絶縁層40上の画素電極52と、画素電極52よりも半導体基板60から遠くに位置する対向電極56と、画素電極52および対向電極56の間に位置する光電変換層54とを有する。画素電極52は、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される電極である。画素電極52は、空間的に分離されることにより、隣接する他の画素10A中の画素電極52から電気的に分離される。対向電極56は、ITOなどの透明な導電性材料から形成される。本明細書における「透明」は、検出しようとする波長範囲の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。画素電極52が、隣接する他の画素10A中の画素電極52との間で分離されることに対し、対向電極56は、複数の画素10Aにわたって形成され得る。対向電極56は、典型的には、連続した単一の電極の形で半導体基板60の上方に配置される。
光電変換層54は、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成される。光電変換層54は、例えば、真空蒸着によって形成され、500nm程度の厚さを有し得る。光電変換層54が、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを有していてもよい。光電変換層54は、対向電極56を介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。対向電極56と同様に、光電変換層54も、複数の画素10Aにわたって連続した単一の層の形で半導体基板60の上方に配置され得る。
図2において図示が省略されているが、対向電極56には、不図示の電源に接続された電圧線が接続されており、対向電極56は、撮像装置100の動作時、所定のバイアス電圧の供給を受ける。所定のバイアス電圧の印加によって対向電極56の電位を制御することにより、光電変換によって生成された正および負の電荷のうちの一方を信号電荷として画素電極52によって収集することができる。
対向電極56に印加されるバイアス電圧は、上述の電圧供給回路128から供給されてもよい。信号電荷として正の電荷を利用する場合には、画素電極52よりも高電位となるようなバイアス電圧を対向電極56に印加すればよい。以下では、特に断りの無い限り、信号電荷として正の電荷を利用する例を説明する。信号電荷としての正の電荷の典型的は、正孔である。信号電荷として負の電荷、例えば電子を利用することももちろん可能である。信号電荷として負の電荷を利用する場合には、画素電極52よりも低電位となるようなバイアス電圧を対向電極56に印加すればよい。
画素10Aは、層間絶縁層40中に配置された接続部42を含む。図2に模式的に示すように、接続部42の一端は、光電変換部50の画素電極52に接続されている。接続部42は、複数の配線層および複数のプラグを含み、光電変換部50Aを、半導体基板60に形成された回路に電気的に接続する。複数の配線層および複数のプラグは、典型的には、銅もしくはタングステンなどの金属、または、金属窒化物もしくは金属酸化物などの金属化合物から形成される。この例では、半導体基板60に、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76が形成されている。
以下、特に断りの無い限り、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76として、nチャンネルMOSに代表されるnチャンネルの電界効果トランジスタを例示する。後述するように、n型のトランジスタに代えてp型のトランジスタを適用することも可能である。この場合、支持基板60Sとしてn型シリコン基板を用いればよく、不純物領域60a~60eの導電型としてp型が選ばれる。
リセットトランジスタ76は、例えば、半導体基板60に形成された不純物領域60aをドレイン領域およびソース領域の一方として含み、不純物領域60bをドレイン領域およびソース領域の他方として含む。図2に模式的に示すように、接続部42は、不純物領域60aとの接続を有し、したがって、不純物領域60aは、接続部42を介して光電変換部50Aの画素電極52に電気的に接続されている。
図2においては図示が省略されているが、不純物領域60bには、リセットの基準電圧であるリセット電圧を供給するリセット電圧線が接続される。リセットトランジスタ76は、オンおよびオフが切り替えられることにより、リセット電圧線から供給されるリセット電圧の不純物領域60aへの供給および遮断を切り替える。なお、不純物領域60aおよび不純物領域60bのいずれがリセットトランジスタ76のドレイン領域として機能するかは、不純物領域60aおよび不純物領域60bの電位によって決まる。以下では、便宜上、不純物領域60aおよび不純物領域60bがそれぞれドレイン領域およびソース領域であるとして説明する。ただし、撮像装置100の使用状況によっては、ドレイン領域およびソース領域が入れ替わることもあり得る。撮像装置100が、リセットトランジスタ76に直列に接続される他のトランジスタを有する場合、リセットトランジスタ76に直列に接続される他のトランジスタについても同様である。
信号検出トランジスタ72は、半導体基板60上のゲート絶縁層72gと、ゲート絶縁層72g上のゲート電極72eと、ドレイン領域としての不純物領域60cと、ソース領域としての不純物領域60dとを含む。不純物領域60cには、不図示の電源線が接続されており、撮像装置100の動作時、不純物領域60cには、電源線から例えば3.3Vの電源電圧が印加される。
図2に示すように、接続部42は、信号検出トランジスタ72のゲート電極72eにも接続されている。つまり、信号検出トランジスタ72のゲート電極72eは、接続部42を介して光電変換部50Aの画素電極52に電気的に接続されている。
図2に例示する構成において、アドレストランジスタ74は、ドレイン領域としての不純物領域60dおよびソース領域としての不純物領域60eを含む。ここでは、アドレストランジスタ74は、信号検出トランジスタ72との間で不純物領域60dを共有することにより、信号検出トランジスタ72に電気的に接続されている。不純物領域60eには、不図示の垂直信号線が接続される。なお、画素10A中の回路は、素子分離領域65により、隣接する他の画素10A中の回路から電気的に分離される。図2に示すように、素子分離領域65は、信号検出トランジスタ72とリセットトランジスタ76との間にも設けられる。
上述したように、接続部42は、画素電極52との接続を有する。また、不純物領域60a、および、信号検出トランジスタ72のゲート電極72eは、接続部42を介して画素電極52に電気的に接続されている。画素電極52、接続部42、不純物領域60aおよびゲート電極72eは、画素電極52によって収集された信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積ノードとして機能する。
図2に例示する構成において、画素10Aは、接続部42に電気的に接続された制御線81をさらに有する。制御線81は、上述の電圧供給回路128に接続された信号線である。すなわち、ここでは、不純物領域60aは、上述の電圧供給回路128との間の電気的な接続を有する。なお、後述するように、不純物領域60aと電圧供給回路128との間には、容量素子などが介在し得る。電荷蓄積ノードの一部を構成する接続部42に電圧供給回路128を電気的に接続し、電圧供給回路128の出力を第1電圧VAおよび第2電圧VB間で切り替える。これによって、例えば、リセット後の電荷蓄積ノードの電位を一時的に変化させることが可能になる。
ここで、半導体基板60の構成の詳細を説明する。上述したように、半導体基板60は、支持基板60S上に1以上の半導体層を有する。この例では、支持基板60S上の半導体層は、第1p型半導体層61p、n型半導体層61nおよび第2p型半導体層62pを含む。図2に模式的に示すように、上述の不純物領域60a~60eおよび素子分離領域65は、pウェルとしての第2p型半導体層62p中に形成されている。
n型半導体層61nは、第1p型半導体層61pと第2p型半導体層62pとの間に位置し、撮像装置100の動作時、撮像領域の外側に設けられた不図示のウェルコンタクトを介してその電位が制御される。n型半導体層61nは、信号電荷を蓄積する電荷蓄積ノードへの支持基板60Sまたは周辺回路120からの少数キャリアの流入を抑制する。
図2に例示する構成において、半導体基板60は、第1p型半導体層61pおよびn型半導体層61nを貫通するようにして第2p型半導体層62pと支持基板60Sとの間に設けられたp型領域63を有する。p型領域63は、比較的高い不純物濃度を有し、第2p型半導体層62pと支持基板60Sとを互いに電気的に接続する。撮像領域の外側には、不図示の基板コンタクトが設けられ、撮像装置100の動作時、基板コンタクトを介して、支持基板60Sおよび第2p型半導体層62pの電位が制御される。換言すれば、撮像装置100の動作時、半導体基板60の基板電位は、基板コンタクトを介して制御される。上述の電圧供給回路128が、基板コンタクトを介して半導体基板60の基板電位を供給するように構成されていてもよい。ここで説明する例のように、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76としてn型のトランジスタを適用する場合、基板電位は、典型的には、接地である。
(暗電流の抑制)
上述したように、不純物領域60aは、光電変換部50Aによって生成された信号電荷を一時的に蓄積する電荷蓄積ノードの一部を構成する。これは、不純物領域60aと第2p型半導体層62pとの間のpn接合によって形成される接合容量が、信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能するからである。
ただし、不純物領域60aと第2p型半導体層62pとの間のpn接合は、空乏層を生じさせる。半導体基板60中には、格子欠陥が存在し、特に、半導体基板60の表面には、不純物、ダングリングボンドなどに起因する多様な格子欠陥が存在する。空乏層内に格子欠陥が存在すると、例えば、本来の信号電荷とは異なる電荷の不純物領域60aへの混入が生じやすくなる。換言すれば、空乏層内に位置する格子欠陥は、暗電流を生じさせる原因となり得る。暗電流は、SN比の低下をもたらし、得られる画像の画質を劣化させてしまう。半導体基板60中の空乏層をなるべく縮小して、格子欠陥のうち、空乏層内に位置する格子欠陥を低減できると、暗電流に起因する画質の劣化が抑制されるので有益である。
本発明者らの検討によると、不純物領域60aと第2p型半導体層62pとの間のpn接合によって形成される空乏層の縮小には、不純物領域60aから信号電荷を排出した後の不純物領域60aの電位をなるべく基板電位に近づけることが有効である。すなわち、リセット後の不純物領域60aの電位をなるべく基板電位に近づけることが有効である。例えば信号電荷が正孔であり、かつ、基板電位が接地の場合、0Vに近い、なるべく低い電圧をリセット電圧として適用すると有益である。
ただし、リセット後の不純物領域60aの電位と基板電位との間の電位差が小さすぎると、不純物領域60aに接続されたトランジスタなどの回路要素を介した電気的なカップリングによって不純物領域60aの電位が変動した場合に、不純物領域60aの電位が基板電位を下回ってしまうおそれがある。
例えば、信号電荷を蓄積する浮遊ノード中のn型不純物領域に電界効果トランジスタが接続されていると、ソース-ドレイン間の寄生容量を介した電気的なカップリングの影響によって、そのトランジスタのオンおよびオフの切り替えに起因して不純物領域の電位が低下し得る。このとき、その不純物領域の電位が基板電位を下回ってしまうと、不純物領域とその周囲のpウェルとの間のpn接合に順方向バイアスがかかることになり、支持基板としてのp型シリコン基板から不純物領域に正孔が流入してしまう。すなわち、暗電流が生じ、得られる画像の画質が劣化するおそれがある。
本発明者らは、上記に鑑み検討を重ね、例えば、第1電圧VAおよび第2電圧VBの切り替えによってリセット後の電荷蓄積ノードの電位を変化させることにより、信号電荷を蓄積する不純物領域に接続されたトランジスタのオンおよびオフの切り替えに伴ってその不純物領域に本来の信号電荷とは異なる電荷が混入してしまうことを回避し得ることを見出した。
図3は、図2に示す画素10Aの回路構成の典型例を模式的に示す。なお、図面が過度に複雑になることを避けるために、図2では、光電変換部50Aの対向電極56に所定のバイアス電圧を供給する電圧線の図示が省略されている。以降の図面についても同様に、対向電極56に所定のバイアス電圧を供給する電圧線の図示を省略する。
図3に示すように、信号検出トランジスタ72のゲートは、光電変換部50Aに接続される。光電変換部50Aと信号検出トランジスタ72との間のノードFDaが電荷蓄積ノードに相当するといえる。信号検出トランジスタ72のゲートには、ノードFDaに蓄積された信号電荷に対応する電圧が印加される。図示するように、信号検出トランジスタ72のドレインには、電源電圧Vddを供給する、ソースフォロア電源としての電源線82が接続され、信号検出トランジスタ72のソースには、アドレストランジスタ74を介して垂直信号線89が接続される。すなわち、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74は、ソースフォロアを形成する。アドレストランジスタ74のゲートには、垂直走査回路122に接続されたアドレス信号線84が接続されている。垂直走査回路122は、アドレス信号線84に印加するアドレス信号Φselの制御により、画素10Aからの信号を垂直信号線89に読み出すことができる。
ノードFDaに注目する。ノードFDaには、リセットトランジスタ76も接続される。リセットトランジスタ76のソースおよびドレインのうちノードFDaに接続されていない側は、リセット電圧線85に接続されている。撮像装置100の動作時、リセット電圧線85には、例えば、所定のリセット電圧Vrが印加される。リセットトランジスタ76のゲートには、垂直走査回路122に接続されたリセット信号線86が接続されている。垂直走査回路122は、リセット信号線86に印加するリセット信号Φrstの制御により、リセットトランジスタ76をオンとして電荷蓄積ノードにリセット電圧Vrを印加することができる。図2を参照して説明したように、リセットトランジスタ76は、電荷蓄積ノードの一部を構成する不純物領域60aをドレイン領域またはソース領域として含む。リセットトランジスタ76のオンにより、電荷蓄積ノードから信号電荷が排出され、電荷蓄積ノードの電位がリセットされる。
ここでは、ノードFDaに電圧供給回路128がさらに電気的に接続されている。この例では、ノードFDaと、電圧供給回路128に接続された制御線81との間に容量素子C1が介在している。換言すれば、容量素子C1が有する2つの端子のうちの一方には、ノードFDaが接続されている。すなわち、この例では、容量素子C1の一方の端子は、不純物領域60aに電気的に接続されている。容量素子C1の2つの端子のうちの他方には、電圧供給回路128が接続される。
容量素子C1の具体的な構成に特に限定はない。容量素子C1は、例えば、層間絶縁層40中に配置されたMIS(metal-insulator-semiconductor)構造であってもよいし、デプレッション型のMOS(DMOS)容量であってもよい。あるいは、MIM(metal-insulator-metal)構造であってもよい。MIM構造を採用すると、より大きな容量値を得やすい。
図3に例示する構成において、電圧供給回路128は、電界効果トランジスタなどから構成されるスイッチング素子128aおよび128bを有する。つまり、ここでは、電圧供給回路128は、スイッチング素子128aおよび128bのオンおよびオフを切り替えることにより、制御線81に印加される電圧Vcを第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替え可能である。
(撮像装置100の動作の第1の例)
次に、図4Aを参照して、撮像装置100の動作の一例を説明する。図4Aは、図3に示す回路構成を有する画素10Aの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図4A中、一番上のチャートは、水平同期信号HDのパルスを示す。あるパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでの期間が、1つの水平走査期間である1Hに対応する。この1H期間に、画素アレイ110に含まれる複数の画素10Aのうち、ある1つの行に属する画素10Aのリセットおよび画素10Aからの信号の読み出しが実行される。図4A中の両矢印SELは、注目した画素のアドレストランジスタ74がオンとされた選択期間を示し、矢印ACCは、アドレストランジスタ74がオフとされた非選択期間を示す。
図4A中、一番下のチャートは、ノードFDaの電位すなわち不純物領域60aの電位VFDの時間的変化を示し、下から2番目のチャートは、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcの時間的変化を示す。ここでは、時刻T1の時点において、制御線81には第1電圧VAが印加されている。
露光による信号電荷の蓄積後、時刻T1にアドレス信号Φselをハイレベルとする。アドレス信号Φselをハイレベルとすることにより、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号が信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74を介して垂直信号線89に読み出される。読み出された第1の信号は、図1に示す信号保持回路123に一時的に保持される。
次に、時刻T2にリセット信号Φrstをハイレベルとし、リセットトランジスタ76をオンとする。リセットトランジスタ76のオンにより、電荷蓄積ノードから信号電荷が排出され、電荷蓄積ノードの電位がリセットされる。このとき、ノードFDaにリセット電圧Vrが印加されることによって不純物領域60aの電位VFDがVrに低下する。リセット電圧Vrとしては、基板電位Vsubよりも高い電圧を用いる。したがって、ここでは、Vr>Vsubである。基板電位Vsubが0Vである場合、リセット電圧Vrとして0V付近かつ正の電圧を用いる。
次に、時刻T3にリセット信号Φrstをローレベルとし、リセットトランジスタ76をオフとする。図2を参照して説明したように、リセットトランジスタ76は、不純物領域60aをドレイン領域またはソース領域として含む。そのため、リセットトランジスタ76をオフすると、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、不純物領域60aの電位VFDがVrからさらに低下し得る。既に説明したように、このとき、電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうと、不純物領域60aに余計な正孔が流入してしまう。
ただし、ここでは、時刻T3にリセット信号Φrstをローレベルとするだけでなく、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcを第2電圧VBに切り替えている。ここでは、第2電圧VBとして、第1電圧VAよりも高い電圧を用いる。
電圧Vcを第1電圧VAから第1電圧VAよりも高い第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C1を介してノードFDaの電位を上昇させることができる。この例では、リセットトランジスタ76のオフ直後の不純物領域60aの電位VFDは、Vr>V1a>Vsubの関係を満たすV1aとなっている。例えばリセット電圧Vrが0.5Vのとき、V1aは、0.2V程度であり得る。つまり、第2電圧VBを適切に選択し、電圧供給回路128からの出力を第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替えることにより、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうことが防止されている。この例では、基板電位を基準として不純物領域60aの電位VFDに、0.2Vの電位差を確保できている。つまり、電位VFDが基板電位Vsubを下回ることに起因する、余計な正孔の不純物領域60aへの流入が防止される。換言すれば、暗電流が抑制されている。第2電圧VBの具体的な値としては、リセットトランジスタ76のソース-ドレイン間の寄生容量の大きさなどを考慮して、リセットトランジスタ76のオフ時に電位VFDがV1a>Vsubの関係を満たすこととなるような電圧を選択すればよい。
リセットトランジスタ76のオフ後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T4までの期間に、信号電荷の排出後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を、アドレストランジスタ74を介して垂直信号線89に読み出す。信号保持回路123は、第1の信号および第2の信号の差分Δを、画像を表現する信号として水平走査回路124に出力する。第2の信号の取得後、アドレストランジスタ74をオフとし、次のフレームの信号電荷の蓄積を開始する。
以上に説明した例では、電圧供給回路128が、リセットトランジスタ76がオンとされる、時刻T2~T3の第1の期間には第1電圧VAを不純物領域60aに印加し、第1の期間に続く、時刻T3~T4の第2の期間には、不純物領域60aに印加する電圧を第2電圧VBに切り替えるように構成されている。図4Aを参照しながら説明したように、電圧供給回路128から不純物領域60aに印加する電圧をリセットトランジスタ76のオフのタイミングで、第1電圧VAよりも高い第2電圧VBに切り替えることにより、リセットトランジスタ76のオフに伴って不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを防止可能である。したがって、不純物領域60aに余計な正孔が流入することによって生じる暗電流を抑制できる。
また、図3に示す例では、制御線81に印加される電圧Vcを第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替え、容量素子C1を介してノードFDaの電位を変化させている。このように、不純物領域60aと電圧供給回路128との間に容量素子C1を介在させることにより、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に影響を与えることなく、電荷蓄積ノードの電位を制御することが可能になる。
ここで、図3を参照すればわかるように、容量素子C1は、ノードFDaとの電気的接続を有するため、不純物領域60aと同様に、信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積ノードの少なくとも一部を構成する。換言すれば、ノードFDaへの容量素子C1の接続は、電荷蓄積ノード全体の容量値を増大させる。以下の2つの理由から、容量素子C1の容量値がなるべく小さくされることが有利である。
第1の理由は、電荷蓄積ノード全体の容量値が増大すると、変換ゲインが低下する結果を招くからである。変換ゲインが低下すると、後段回路でのノイズの影響が大きくなり、SN比低下のおそれがある。したがって、SN比の低下を回避する観点からは、容量素子C1の容量値がなるべく小さくされることが有益である。
第2の理由は、容量素子C1が比較的に大きな容量値を有すると、ノードFDaへの容量素子C1を介した制御線81上のノイズの混入の影響が増大し得るからである。制御線81に印加される電圧に含まれるノイズは、容量素子C1を介した電気的なカップリングにより、ノードFDaに混入し得る。特に、同一の行に属する画素の電荷蓄積ノードに対して共通して、制御線81に供給された電圧が容量素子C1を介して印加されるような構成、換言すれば、第1電圧VAと第2電圧VBとの間の切り替えが行単位で実行されるような構成では、制御線81上のノイズが横線ノイズとして画像上に現れ得る。横線ノイズは、画素単位のランダムノイズと比較して画像の観察者に認識されやすい傾向があるため、横線ノイズを抑制できると有益である。
容量素子C1の容量値をC1、電荷蓄積ノードのうち容量素子C1以外の部分の容量値をCFDとすると、ノードFDaに伝搬する電圧変動の大きさは、制御線81の電圧変動と(C1/(C1+CFD))との積で表される。したがって、横線ノイズ抑制の観点からも、容量素子C1の容量値C1はなるべく小さい方が有利である。
また、容量素子C1の容量値C1は、電荷蓄積ノードのうち容量素子C1以外の部分の容量値をCFDよりも小さいと有益である。容量素子C1の容量値C1を電荷蓄積ノードのうち容量素子C1以外の部分の容量値CFDよりも小さくすることにより、ノードFDaに容量素子C1を接続したことに起因するSN比の低下の程度を、F値を一段大きな値にしたときのSN比の低下の程度よりも小さくし得る。例えば、容量素子C1の容量値C1を容量値CFDの1/2以下程度とすれば、ノードFDaに容量素子C1を接続したことに起因するSN比の低下の程度を、F値に換算して(1/2)段程度以下の変化に留め得る。
なお、正孔に代えて電子を信号電荷として用いる場合にも、図4Aを参照して説明した動作と同様の動作を適用し得る。ただし、信号電荷として正孔を用いる場合と比較して、信号電荷として電子を用いる場合、電荷蓄積ノードへの信号電荷量の蓄積に伴って不純物領域60aの電位VFDが低下する点が異なる。そのため、信号電荷として電子を用いる場合には、基板電位を基準として不純物領域60aの電位VFDとの間に十分な電位差を確保する観点から、リセット電圧Vrとしてより大きな正の電圧、例えば3.3V程度の電圧が用いられ得る。
リセット電圧Vrとしてより大きな正の電圧を用いるので、リセットトランジスタ76のオフに伴う、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングによる不純物領域60aの電位VFDの低下の影響は小さいといえる。しかしながら、信号電荷として電子を用いる場合、飽和電子数を向上させるにはリセット電圧Vrとしてより高い電圧を用いる必要があり、要求されるダイナミックレンジに十分な飽和電子数の確保の観点からは、信号電荷として正孔を用いる方が有利である。
リセットトランジスタ76としてp型のトランジスタを適用することも可能である。この場合、半導体基板60中の各領域の導電型をn型とp型との間で入れ替えればよい。ただし、リセットトランジスタ76としてp型のトランジスタを適用する場合には、以下に説明するように、第2電圧VBとして、第1電圧VAよりも低い電圧を用いる。
図4Bは、画素10Aのリセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用したときの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。リセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用する場合には、基板電位Vsubとして、リセットトランジスタ76にn型のトランジスタを適用した場合よりも高い電圧が用いられる。基板電位Vsubは、例えば3.3V程度であり得る。
リセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用した場合、信号電荷として正孔を用いる方が、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングによる不純物領域60aの電位VFDの変化の影響は、小さい。これは、リセットトランジスタ76にn型のトランジスタを適用し、かつ、信号電荷として電子を用いた場合と同様の理由による。ただし、十分な飽和電子数を確保するには、基板電位を基準として不純物領域60aの電位VFDとの間に十分な電位差を確保する必要が生じる。これに対し、信号電荷が電子であれば、リセット電圧Vrとして、基板電位である3.3V付近の電圧を用いればよく、リセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用した場合には、信号電荷として電子を用いる方が、回路の複雑化を回避しながら、要求されるダイナミックレンジに十分な飽和電子数を確保しやすい。
したがって、ここでは、信号電荷として電子を用いる場合の動作の例を説明する。図4Bは、リセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用し、信号電荷として電子を用いる場合の動作の例を示している。リセットトランジスタ76がp型のトランジスタであり、信号電荷として電子を用いる場合、典型的には、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74もp型のトランジスタとして半導体基板60に形成される。
図4Bに示す例では、時刻T1までの期間に注目すると、露光による信号電荷の蓄積により、不純物領域60aの電位VFDが徐々に低下している。信号電荷の蓄積後、時刻T1にアドレス信号Φselをローレベルとしてアドレストランジスタ74をオンとし、第1の信号を垂直信号線89に読み出す。
次に、時刻T2にリセット信号Φrstをローレベルとし、リセットトランジスタ76をオンとする。図4Bに示すように、リセットトランジスタ76のオンにより、不純物領域60aの電位VFDは、Vrに上昇する。このときのリセット電圧Vrとしては、基板電位Vsub付近かつ基板電位Vsubよりも低い、例えば2.8Vの電圧が用いられる。
次に、時刻T3にリセット信号Φrstをハイレベルとし、リセットトランジスタ76をオフとする。リセットトランジスタ76をオフすると、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、不純物領域60aの電位VFDがVrからさらに上昇し得る。このとき、電位VFDが基板電位Vsubを上回ってしまうと、不純物領域60aとその周囲との間のpn接合に順方向バイアスがかかり、支持基板としてのn型シリコン基板から不純物領域60aに余計な電子が流入してしまう。換言すれば、暗電流が生じてしまう。
ここでは、時刻T3にリセット信号Φrstをハイレベルとするだけでなく、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcを第1電圧VAよりも低い第2電圧VBに切り替えている。電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C1を介して光電変換部50Aと信号検出トランジスタ72との間のノードFDaの電位を低下させることができ、図4Bに示すように、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを上回ってしまうことを回避し得る。この例では、リセットトランジスタ76のオフ直後の不純物領域60aの電位VFDは、Vsub>V1b>Vrの関係を満たすV1bとなっている。V1bは、3.1V程度であり得る。
リセットトランジスタ76のオフ後、信号電荷の排出後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を垂直信号線89に読み出し、第1の信号および第2の信号の差分Δの絶対値を画像信号として得る。第2の信号の取得後、アドレストランジスタ74をオフとし、次のフレームの信号電荷の蓄積を開始する。
(撮像装置100の動作の第2の例)
本開示の実施形態による撮像装置の動作の例は、図4Aおよび図4Bを参照して説明した例に限られない。例えば、以下に説明するように、信号電荷を電荷蓄積ノードに蓄積する露光期間と、1フレーム期間のうち露光期間以外の非露光期間中のリセットのための期間との間で、制御線81に供給する電圧を互いに異なる電圧としてもよい。
図4Cは、画素10A、10Apおよび10Aqの動作の他の例を説明するためのタイミングチャートである。図4Aおよび図4Bに示す例と同様に、図4Cに示す動作例において、信号電荷を電荷蓄積ノードに蓄積するための露光期間および露光期間以外の非露光期間が交互に繰り返されている。非露光期間は、電荷蓄積ノードの電位を所定の電位にリセットするためのリセット期間をその一部に含む。
ここでは、図3に示す画素10Aを例示する。まず、時刻T1において、アドレス信号Φselをハイレベルにする。また、このとき、制御線81に印加する電圧を第1電圧VAから相対的に高い第2電圧VBに切り替える。
制御線81に印加する電圧を第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C1を介した容量結合によってノードFDaの電位が一時的に上昇する。このとき、ノードFDaの電位の変動量ΔVFDは、下記の式(1)で表される。
ΔVFD=(VB-VA)(C1/(C1+CFD)) (1)
このときのノードFDaの電位が、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルを表現する第1の信号として信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74を介して垂直信号線89に読み出される。
時刻T2において、リセット信号Φrstをハイレベルにする。これにより、リセットトランジスタ76を介して電荷蓄積ノードから信号電荷が排出され、電荷蓄積ノードの電位がリセット電圧Vrにリセットされる。
時刻T3において、リセット信号Φrstをローレベルとし、リセットトランジスタ76をオフする。時刻T3から、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T4までの間に、信号電荷の排出後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を、アドレストランジスタ74を介して垂直信号線89に読み出す。
この例では、時刻T1から時刻T2までの間に読み出された第1の信号と、時刻T3から時刻T4までの間に読み出された第2の信号との差分Δが、画像を表現する真の画素信号となる。
時刻T4において、制御線81に印加する電圧を再び第1電圧VAに戻す。容量素子C1を介した容量結合により、ノードFDaの電位は、VrからV1cに低下する。このときのノードFDaの電位の変動量である(Vr-V1c)は、上述したΔVFDに等しい。
ここで、変動量ΔVFDは、容量値C1およびCFDが既知であれば、上述の式(1)に基づいて第1電圧VAおよび第2電圧VBを決定することにより、制御することができる。所望のΔVFDを以下の手順で実現することが可能である。まず、製品設計時において、ターゲットとする電荷蓄積ノードの全体の容量値から、容量素子C1と、電荷蓄積ノードのうち容量素子C1以外の部分との間の容量比を決定する。そして、実動作時に制御線81に印加する電圧の振幅、すなわち、第1電圧VAおよび第2電圧VBの具体的な電圧値を上述の式(1)に基づき決定する。
第1電圧VAおよび第2電圧VBのいずれかが接地(0V)であると有益である。接地側は一般に低インピーダンスであるので、制御線81に接続された電圧供給回路128からの電源ノイズの電荷蓄積ノードへの混入を抑制し得るからである。例えば第2電圧VBを接地とした場合、第1電圧VAは、負レベルの電圧となる。
この例では、電圧供給回路128は、制御線81に対して、不純物領域60aをその一部に含む電荷蓄積ノードに信号電荷を蓄積する露光期間に第1電圧VAを供給している。他方、行選択時には、第1電圧VAとは異なる第2電圧VBを供給している。ここでは、特に、非露光期間のうちリセットトランジスタ76がオンとされるリセット期間中に制御線81に供給される電圧は、第2電圧VBである。このように、露光期間後であって少なくともリセット期間と、その他の期間との間で異ならせるような制御も採用し得る。このような制御によれば、例えば、電荷蓄積ノードの電位をリセット電圧Vrと比較して一時的に低下させることができる。容量素子C1を介して電荷蓄積ノードの電位を低下させることにより、不純物領域60aと、その周囲に位置し、例えば接地とされる第2p型半導体層62pとの間の電位差を縮小できる。これにより、不純物領域60aと第2p型半導体層62pとの間のpn接合によって形成される空乏層が縮小され、暗電流の低減が実現される。すなわち、露光期間における電荷蓄積ノードの電位を低電位とすることにより、暗電流低減の効果が期待できる。
図4Cに例示する動作においては、行選択時、電荷蓄積ノードの電位は第2電圧VBと第1電圧VAとの電位差分だけ上昇する。そのため、この電位差を調整することにより、信号検出トランジスタ72および後段回路のトランジスタのソース-ドレイン電圧を、これらのトランジスタが動作可能な電圧範囲内に設定することができる。したがって、信号検出トランジスタ72および後段回路により、画素信号または基準信号の読み出しを正常に行うことが可能となる。
(第1の実施形態の変形例)
本開示の撮像装置100は、積層型の撮像装置に限られない。図5は、画素10の他の回路構成の例を模式的に示す。図3を参照して説明した画素10Aと比較して、図5に示す画素10Apは、光電変換部50Aに代えて、光電変換部50Bを有する。光電変換部50Bは、例えば半導体基板60に形成された埋め込みフォトダイオードである。
図5に示すように、この例では、信号検出トランジスタ72のゲートに光電変換部50Bが接続される。図5に例示する構成では、光電変換部50Bと信号検出トランジスタ72との間のノードFDbが電荷蓄積ノードに相当するといえる。換言すれば、光電変換部50Bとしての埋め込みフォトダイオード中のpn接合、不純物領域60aおよびゲート電極72eなどが、光電変換部50Bによって生成された電荷を一時的に保持する電荷蓄積ノードとして機能する。不純物領域60aが、埋め込みフォトダイオード中のpn接合の一部であってもよい。
画素10Apを有する撮像装置100についても、図4Aおよび図4Bを参照して説明した動作と同様の動作を適用することが可能である。例えば、リセット信号Φrstをローレベルとするタイミングで、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcを第1電圧VAから第1電圧VAよりも高い第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C1を介してノードFDbの電位を上昇させることができる。第2電圧VBを適切に選択することにより、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ることを回避して、暗電流を抑制し得る。なお、光電変換部として埋め込みフォトダイオードを適用する場合、リセットトランジスタ76などをp型のトランジスタとし、信号電荷として電子を蓄積する構成によれば、より大きなダイナミックレンジが得られるのでより有利である。
図6は、画素10のさらに他の回路構成の例を模式的に示す。図5を参照して説明した画素10Apの回路構成と比較して、図6に示す画素10Aqは、信号検出トランジスタ72のゲートと光電変換部50Bとの間に接続された転送トランジスタ79をさらに有する。転送トランジスタ79は、光電変換部50Bによって得られた信号電荷を、信号検出トランジスタ72のゲートと転送トランジスタ79との間のノードFDcに所定のタイミングで転送する。転送トランジスタ79は、例えばnチャンネルMOSである。転送トランジスタ79は、不純物領域60aを、ソース領域およびドレイン領域の一方としてリセットトランジスタ76との間で共有していてもよい。
図6に示す回路構成によれば、図5に示す画素10Apと同様に、電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、浮遊ノードであるノードFDcの電位を、容量素子C1を介して例えば上昇させ、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ることを回避し得る。電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBへの切り替えは、例えば、ノードFDcに転送された信号電荷をリセットトランジスタ76のオンによって排出した後の、リセットトランジスタ76のオフのタイミングで実行される。
図7Aおよび図7Bは、画素10のさらに他の回路構成の例を模式的に示す。
図3を参照して説明した画素10Aと比較して、図7Aに示す画素10Arは、信号検出トランジスタ72に代えて、デプレッション型の信号検出トランジスタ72dを有する。信号検出トランジスタ72dとしてデプレッション型のトランジスタを用いることにより、ノードFDaの電位が低レベルにある場合であっても、信号検出トランジスタ72dから高い出力が得られる。そのため、垂直信号線89に接続された負荷回路などから構成される電流源の動作に必要な電圧レンジの確保がより容易になる。
図7Bに示す画素10Asは、図7Aに示す画素10Arの光電変換部50Aを光電変換部50Bに置き換えた構成を有する。上述したように、光電変換部50Bは、例えば半導体基板60に形成された埋め込みフォトダイオードである。フォトダイオードを用いる構成においても、信号検出トランジスタ72dとしてデプレッション型のトランジスタを用いることができる。
図8は、図7Aに示す画素10Arまたは図7Bに示す画素10Asの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4Cを参照して説明した例と比較して、この例では、非露光期間における電圧Vcの波形が、図4Cに示す動作シーケンスにおける波形と異なる。図8に示すように、ここでは、非露光期間において、電圧供給回路128から制御線81に印加する電圧Vcを相対的に高い第2電圧VBとする期間が短い。図8に例示する動作において、電圧Vcは、時刻T2におけるリセット信号Φrstの立ち上がりのタイミングで第1電圧VAから相対的に高い第2電圧VBに切り替えられ、時刻T3においてリセット信号Φrstがローレベルに切り替えられた後に第1電圧VAに戻されている。リセットトランジスタ76をオフにした後に、電圧供給回路128から制御線81に印加する電圧Vcを第1電圧VAに切り替えることにより、電圧Vcの変化の全てを電荷蓄積ノードの電位の変動に寄与させることが可能となる。
図8に示す例において、時刻T4における電圧Vcの切り替えにより、電荷蓄積ノードの電位は、リセット電圧Vrから式(1)で表されるΔVFDだけ低下する。その結果、電荷蓄積ノードの電位をVrよりも低い電位V1dに低下させることができる。被写体の像を表現する真の画素信号は、時刻T1における電荷蓄積ノードの電位に対応する第1の信号と、時刻T4における電荷蓄積ノードの電位に対応する第2の信号との差分で与えられる。
第1の信号は、時刻T1から時刻T2までの間に垂直信号線89に読み出され、第2の信号は、時刻T4から時刻T5までの間に垂直信号線89に読み出される。すなわち、この例では、第1電圧VAが制御線81に印加されているときに、画素信号および基準信号の読み出しを実行している。この例でも同様に、0Vの電圧を第1電圧VAとして用いることにより、電圧供給回路128から出力される電圧中のノイズのノードFDaまたはノードFDbへの混入を抑制することができる。
図9Aおよび図9Bは、画素10のさらに他の回路構成の例を模式的に示す。図9Aに示す画素10Atは、図3に示す回路構成における信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76としてp型のトランジスタを適用した例である。図9Bに示す画素10Auは、図5に示す回路構成における信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76としてp型のトランジスタを適用した例である。
図9Aおよび図9Bに例示する構成において、典型的には、信号電荷として電子が用いられる。上述したように、リセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用した場合、信号電荷として電子を用いる方が、回路の複雑化を回避しながら、要求されるダイナミックレンジに十分な飽和電子数を確保しやすい。
図10は、図9Aに示す画素10Atまたは図9Bに示す画素10Auの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図10に示す例では、まず、時刻T1において、アドレス信号Φselをハイレベルからローレベルとし、制御線81に印加する電圧Vcを第1電圧VAから相対的に低い第2電圧VBに切り替える。アドレス信号Φselをローレベルにすることにより、選択された行の画素から、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74を介して第1の信号が垂直信号線89に読み出される。ここでは、非露光期間においてアドレス信号Φselがローレベルに維持される。
電圧VFDのグラフからわかるように、制御線81に印加する電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C1を介した容量結合によって、電荷蓄積ノードの電位が低下する。このときの電位の変動量ΔVFDは、容量素子C1と、電荷蓄積ノードのうち容量素子C1以外の部分との間の容量比により、上述の式(1)で表される。時刻T1から時刻T2までの間に、このときの電圧VFDに対応する信号が第1の信号として垂直信号線89に読み出される。
この例では、時刻T2において、リセット信号Φrstをローレベルにすることにより、リセットが実行される。すなわち、リセット信号Φrstがローレベルとされることによりリセットトランジスタ76がオンとされ、ノードFDaまたはFDbに蓄積された信号電荷がリセットトランジスタ76を介して排出され、電荷蓄積ノードの電位が電圧Vrにリセットされる。
次に、時刻T3において、リセット信号Φrstをハイレベルとしてリセットトランジスタ76をオフする。ここでは、時刻T3から時刻T4までの間に、リセット電圧Vrに対応する第2の信号を垂直信号線89に読み出す。図10中に模式的に示すように、時刻T1から時刻T2までの間に読み出された第1の信号と、時刻T3から時刻T4までの間に読み出された第2の信号との差分が、真の画素信号として出力される。
その後、時刻T4において、制御線81に印加する電圧Vcを第2電圧VBから第1電圧VAに戻す。これにより、容量素子C1を介した容量結合によって電荷蓄積ノードの電位がVrからV1eに上昇する。このときの変動量である|Vr-V1e|は、制御線81に印加する電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに低下させたときのΔVFDに等しい。
この例のように信号電荷として電子を用いる場合には、上述したように、支持基板60Sとしてn型シリコン基板を用い、不純物領域60a~60eの導電型をp型とすると有益である。すなわち、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76をp型のトランジスタとすることが望ましい。
支持基板60Sとしてp型シリコン基板を用い、リセットトランジスタ76をnチャンネルMOSとした場合であれば、基板電位Vsubとしては例えば0Vが用いられる。ここで、リセットトランジスタ76をpチャンネルMOSとし、基板電位Vsubとして0Vを採用したとする。このとき、図10に模式的に示すように、信号電荷である電子の電荷蓄積ノードへの蓄積に伴い、電圧VFDが低下するので、不純物領域60aとその周囲との間のpn接合に印加される電圧が順バイアスとなることを避けるために、信号電荷の蓄積に先立ち、電荷蓄積ノードの電位を基板電位Vsubよりも高い電位にリセットする必要がある。
既に説明したように、信号電荷が電子である場合、リセット電圧Vrとしては、例えば3.3Vの電圧を用い得る。この場合、信号電荷の蓄積に伴い、電荷蓄積ノードの電位が露光開始時の例えば3.3Vから低下し、基板電位Vsubとの間の電位差が縮小する。したがって、空乏層幅が縮小され、暗電流低減の効果が期待できる。
なお、暗電流低減の観点からは、信号電荷として正孔を用いる場合には、各トランジスタをnチャンネルMOSとする方が有利である。これは、以下の理由による。
例えばリセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用した場合、基板電位Vsubとしては、例えば3.3V程度の電圧が用いられる。支持基板60Sとしてn型シリコン基板を用い、不純物領域60a~60eの導電型がp型である場合、印加電圧が順バイアスとなることを避けるために、不純物領域60aの電位VFDを基板電位Vsubよりも上昇させることはできない。また、電荷蓄積ノードに正孔が蓄積されるに伴って不純物領域60aの電位VFDが上昇する。したがって、信号電荷の蓄積に先立ち、電荷蓄積ノードの電位は、基板電位Vsubよりも低い例えば0Vの電位にリセットされる。この場合、露光開始時の電荷蓄積ノードの電位と基板電位Vsubとの間の差が、リセットトランジスタ76としてnチャンネルMOSを用いる場合と比較して拡大してしまうからである。
図11Aおよび図11Bは、画素10のさらに他の回路構成の例を模式的に示す。
図3に示す画素10Aと比較して、図11Aに示す画素10Avは、容量素子Cと制御線81との間に接続されたトランジスタ71をさらに有する。図11Aに示す画素10Avと、図11Bに示す画素10Awとの間の相違点は、画素10Awでは、トランジスタ71がノードFDaと容量素子C1との間に接続されている点である。
図11Aに示す画素10Av中のトランジスタ71は、容量素子C1と電圧供給回路128との間の接続および遮断を切り替えるスイッチング素子としての機能を有する。図11Bに示す画素10Aw中のトランジスタ71は、ノードFDaと容量素子C1との間の接続および遮断を切り替えるスイッチング素子としての機能を有する。図11Aに例示する回路構成によれば、トランジスタ71のゲートに印加する制御信号Φsの電位の制御によってトランジスタ71をオフすることにより、電荷蓄積ノード全体の容量値を縮小することができる。図11Bに例示する回路構成によれば、ノードFDaから容量素子C1を電気的に切り離すことができる。
これまでの各例によって説明したように、ノードFDaまたはノードFDbに容量素子C1を接続し、制御線81に供給する電圧を切り替えることにより、容量素子C1を介して電荷蓄積ノードの電位を制御することが可能になる。ただし、容量素子C1を接続した結果、電荷蓄積ノード全体の容量値が増大するので、信号電荷を電圧に変換する際のコンバージョンゲインが低下し得る。
図11Aおよび図11Bに例示するように、容量素子C1と電圧供給回路128との間、または、ノードFDaもしくはノードFDbと容量素子C1との間にトランジスタ71を介在させてもよい。これにより、トランジスタ71のオンおよびオフの切り替えによって、電荷蓄積ノード全体の容量値を変化させ得る。換言すれば、トランジスタ71のオンおよびオフの切り替えにより、容量素子C1を介して電荷蓄積ノードの電位を制御するFD電位制御モード、および、信号電荷を効率的に電圧信号に変換する高ゲインモードを使い分けることが可能となる。FD電位制御モードは、トランジスタ71をオンとして電圧供給回路128を、容量素子C1を介して電荷蓄積ノードに電気的に結合するモードであり、高ゲインモードは、トランジスタ71をオフとして電荷蓄積ノード全体の容量値を低下させたモードである。
モードの切り替えは、暗電流への影響が大きくなるような露光時間または動作温度を判定基準として自動的に実行されてもよいし、ユーザの指示に基づいて実行されてもよい。例えば、1秒を超える長秒露光または80度を超える高温環境下での撮影にFD電位制御モードを選択し得る。FD電位制御モードにおける動作シーケンスは、図4A、図4B、図4C、図8または図10を参照して説明した動作シーケンスと同様であり得るので、動作に関する説明を省略する。
図11Cは、画素10のさらに他の回路構成の例を模式的に示す。図11Cに例示する構成において、撮像装置100は、垂直信号線89に接続された負荷トランジスタ73を有する。負荷トランジスタ73は、例えばnチャンネルMOSであり、電流源94として機能する。
また、図11Cに示す例において、撮像装置100は、フィードバック回路90xを有する。フィードバック回路90xは、反転入力端子が垂直信号線89に接続された反転増幅器92を含む。反転増幅器92は、垂直信号線89に対応して画素10Axの列ごとに設けられ、ここでは、リセット電圧線85がその出力端子に接続されている。図示する例において、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74、反転増幅器92およびリセットトランジスタ76は、光電変換部50Aで発生した電気信号を負帰還させるフィードバックループを形成する。
撮像装置100の動作時、反転増幅器92の非反転入力端子には、例えば1Vまたは1V近傍の電圧Vrefが供給される。電圧Vrefとしては、電源電圧Vddおよび接地の範囲内の任意の大きさの電圧を用い得る。フィードバックループの形成時、垂直信号線89の電圧は、反転増幅器92の非反転入力端子に入力された電圧Vrefに収束する。換言すれば、フィードバックループの形成により、ノードFDaの電位を、垂直信号線89の電圧がVrefとなるような電位にリセットすることができる。
第1の信号および第2の信号は、信号検出トランジスタ72および電流源94によって形成されるソースフォロアによって垂直信号線89に読み出される。信号読み出し時におけるノードFDaの電位が低電位であると、信号検出トランジスタ72を介して垂直信号線89に現れる電圧も低くなり、飽和領域での動作に必要なソース-ドレイン電圧を確保できず、負荷トランジスタ73が線形領域で動作する可能性がある。その結果、ソースフォロアが正常に動作せず信号の線形性が低下するおそれがある。
電流源94によって得られる電流値を小さく設定すれば負荷トランジスタ73を飽和領域で動作させることが可能であるが、この場合、信号の読み出しに要する速度が低下するなどの課題が生じ得る。また、垂直信号線89の電圧低下により、反転増幅器92への入力信号が動作レンジから外れ、フィードバック回路90xが正常に動作しなくなるおそれがある。つまり、ノードFDaの電位を垂直信号線89の電圧がVrefとなるような電位にリセットできなくなる可能性がある。
画素10Axを有する撮像装置には、例えば、図4C、図8または図10を参照して説明した動作シーケンスを適用し得る。すなわち、制御線81に供給する電圧を第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替えることにより、非露光期間の少なくとも一部の期間において電荷蓄積ノードの電位を、容量素子C1を介して一時的に上昇または低下させる。例えば信号電荷として正孔を用いる場合であれば、電圧供給回路128から制御線81に印加する電圧の切り替えにより、露光期間以外の非露光期間において電荷蓄積ノードの電位を選択的に上昇させる。
非露光期間において電荷蓄積ノードの電位を選択的に高電位に設定することにより、負荷トランジスタ73が線形領域で動作することを抑制して、第1の信号および第2の信号を画素から正常に読み出すことが可能である。なお、信号の読み出し動作およびフィードバック動作は、非露光期間に実行されるので、露光期間では、電荷蓄積ノードの電位が、負荷トランジスタ73が線形領域で動作するような低電位であっても問題はない。露光期間における電荷蓄積ノードの電位を低電位に設定することにより、回路特性を劣化させることなく、暗電流を抑制することができるという効果も得られる。
(第2の実施形態)
図12は、本開示の第2の実施形態による撮像装置が有する画素10Bの回路構成の一例を模式的に示す。図3に示す画素10Aと同様に、図12に示す画素10Bは、上述の画素10の一例である。図12に示す画素10Bと、図3を参照して説明した画素10Aとの間の主な相違点は、画素10Bが、リセットトランジスタ76のソースおよびドレインのうちノードFDaに接続されていない側に接続されたトランジスタ78をさらに有している点である。また、電圧供給回路128が、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78の間のノードRDに電気的に接続されている点である。この例では、電圧供給回路128は、リセットトランジスタ76を介して不純物領域60aに電気的に接続される。
図12に例示されるように、撮像装置100の各画素10は、リセットトランジスタ76に接続されたトランジスタ78をさらに含む回路構成を有し得る。トランジスタ78は、例えばnチャンネルMOSであり、リセットトランジスタ76のソース領域またはドレイン領域としての不純物領域60bをドレイン領域またはソース領域として含み得る。図12に例示する構成において、トランジスタ78のソースおよびドレインのうち、リセットトランジスタ76に接続されていない側にはリセット電圧線85が接続されており、撮像装置100の動作時、例えば、所定のリセット電圧Vrがトランジスタ78に印加される。トランジスタ78のゲートには、トランジスタ78のオンおよびオフを制御するための信号Φfbをトランジスタ78に供給するための信号線88が接続されている。信号線88は、例えば垂直走査回路122との接続を有し、垂直走査回路122は、信号線88の電位を制御するように構成され得る。
この例では、電圧供給回路128は、容量素子C2を介して、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78の間のノードRDに接続されている。すなわち、この例では、電圧供給回路128は、リセットトランジスタ76の不純物領域60a側ではなく、不純物領域60b側に容量素子C2を介して接続されている。なお、制御線81と不純物領域60bとの間に接続された容量素子C2は、上述の容量素子C1と同様の構成を有し得る。もちろん、容量素子C2および上述の容量素子C1の構成が同一であることは、必須ではない。
図13は、図12に示す回路構成が適用された、より具体的な例を示す。図13に示す画素10Bfは、図12に示す画素10Bの一例であり、フィードバック回路90を有する。図13に例示する構成において、フィードバック回路90は、図11Cを参照して説明した例と同様に、反転入力端子が垂直信号線89に接続された反転増幅器92を含む。
図13に例示する構成において、画素10Bfは、リセットトランジスタ76に並列に接続された容量素子C3を有する。アドレストランジスタ74と、少なくともトランジスタ78とがオン状態のとき、フィードバック回路90は、光電変換部50Aで発生した電気信号を負帰還させるフィードバックループを形成する。このフィードバックループは、その一部にトランジスタ78を含む。
よく知られているように、トランジスタのオンまたはオフに伴い、kTCノイズと呼ばれる熱ノイズが発生する。ノードFDaの電位のリセット後、リセットトランジスタ76を単純にオフとするだけでは、リセットトランジスタ76をオフとすることによって発生するkTCノイズが、信号電荷の蓄積前の電荷蓄積ノードに残留してしまう。しかしながら、リセットトランジスタのオフに伴って発生するkTCノイズは、国際公開第2012/147302号において説明されているように、負帰還を利用することによって低減可能である。参考のために、国際公開第2012/147302号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
図12および図13に示すような回路構成において、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78の間のノードRDに注目すると、このノードRDは、浮遊ノードである。上述したように、トランジスタ78は、不純物領域60bを例えばドレイン領域として含み得る。そのため、トランジスタ78をオフすると、トランジスタ78が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングによって不純物領域60bの電位が基板電位を下回ってしまうおそれがある。不純物領域60bの電位が基板電位を下回ると、pウェルからの余計な正孔の流入によって意図しない電位の変動が不純物領域60bに生じ、SN比が低下し得る。しかしながら、ここでは、不純物領域60bに電圧供給回路128が電気的に接続されている。以下に説明するように、電圧供給回路128から制御線81に印加する電圧Vcを第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替えることにより、不純物領域60bの電位が基板電位を下回ってしまうことを防止可能である。
図14Aは、図13に示す回路構成を有する画素10Bfの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図14A中、下から2番目のチャートは、ノードRDの電位すなわち不純物領域60bの電位VRDの時間的変化を示す。なお、電圧Vcの時間的変化を示すチャートからわかるように、ここでは、図4Aおよび図4Bを参照して説明した第1の例と同様に、時刻T1の時点において制御線81には第1電圧VAが印加されている。
露光による信号電荷の蓄積後、まず、時刻T1においてアドレス信号Φselをハイレベルとする。このとき、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号を読み出す。
次に、時刻T2にリセット信号Φrstおよび信号Φfbをハイレベルとする。すなわち、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78をオンとする。リセットトランジスタ76およびトランジスタ78のオンにより、フィードバックループが形成される。フィードバックループの形成により、ノードFDaの電位がリセットされる。ここでは、ノードFDaの電位が、垂直信号線89の電圧がVrefとなるような電圧V2aに低下する。このとき、反転増幅器92の非反転増幅端子に印加する電圧Vrefとして、V2a>Vsubの関係が満たされるような電圧を用いる。なお、図14Aに示す例では、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78のオンに伴ってノードRDの電位VRDがV3に上昇している。図14Aに示すように、電圧V3は、V3>Vsubの関係を満たす。
次に、時刻T3にリセット信号Φrstをローレベルとし、リセットトランジスタ76をオフする。ここでは、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、リセットトランジスタ76のオフに伴って不純物領域60aの電位VFDがV2aからV4aに低下している。上述したように、電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうと、不純物領域60aに余計な正孔が流入してしまう。ただし、反転増幅器92の非反転増幅端子に印加する電圧Vrefを適切に選択することにより、電位VFDが基板電位Vsubを下回ることを防止し得る。この例では、電圧Vrefを適切に選択することによってV4a>Vsubの関係が満たされている。なお、空乏層をなるべく縮小する観点から、V4a>Vsubの関係が満たされる限りにおいてV4aがVsubになるべく近い電圧であると有益である。
上述したように、リセットトランジスタ76をオフとすることにより、kTCノイズが発生する。ただし、図13に例示する回路構成では、ノードFDaとノードRDとの間に容量素子C3が介在しており、トランジスタ78がオフでない間は、容量素子C3をその経路に含むフィードバックループが形成された状態が継続する。そのため、トランジスタ78が出力する信号は、容量素子C3とノードFDa自体が有する寄生容量とによって形成される減衰回路で減衰される。
リセットトランジスタ76のオフ後、信号Φfbをローレベルとし、トランジスタ78をオフとする。ここでは、時刻T4にリセットトランジスタ76をオフとするだけでなく、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcを第2電圧VBに切り替えている。
図14Aに模式的に示すように、トランジスタ78をオフすると、トランジスタ78が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングによって不純物領域60bの電位VRDが低下する。この例では、トランジスタ78のオフに伴って、電位VRDがV3からV5aに低下している。このとき、もし、V5a<Vsubであると、不純物領域60bに、ノイズの原因となる余計な正孔が流入してしまう。
図14A中の電圧Vcのチャートからわかるように、ここでは、電圧供給回路128が、トランジスタ78をオンからオフに切り替えたタイミングで、電圧Vcを第1電圧VAから第1電圧VAよりも高い第2電圧VBに切り替えるように構成されている。電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C2を介してノードRDの電位VRDを上昇させることができ、電位VRDが基板電位を下回ってしまうことを防止し得る。第2電圧VBの具体的な値としては、トランジスタ78のソース-ドレイン間の寄生容量の大きさなどを考慮して、トランジスタ78のオフ時に電位VRDがV5a>Vsubの関係を満たすこととなるような電圧を選択すればよい。
なお、トランジスタ78のオフにおいては、トランジスタ78の閾値電圧を跨ぐように、信号線88の電位をハイレベルからローレベルに向けて徐々に低下させてもよい。信号線88の電位をハイレベルからローレベルに向けて徐々に低下させると、トランジスタ78の抵抗が徐々に増加する。トランジスタ78の抵抗が増加すると、トランジスタ78の動作帯域が狭くなり、帰還する信号の周波数領域が狭くなる。
信号線88の電圧がローレベルに達すると、トランジスタ78がオフとなり、フィードバックループの形成が解消される。このとき、トランジスタ78の動作帯域が信号検出トランジスタ72の動作帯域よりも十分に低い帯域であると、トランジスタ78で発生する熱ノイズが、フィードバック回路90によって1/(1+AB)1/2倍に抑制される。ここで、式中のAは、フィードバック回路90の利得であり、Bは、容量素子C3とノードFDaの寄生容量とによって形成される減衰回路の減衰率である。減衰率Bは、容量素子C3およびノードFDaの寄生容量の容量値をそれぞれCcおよびCfとすれば、B=Cc/(Cc+Cf)と表される。したがって、容量素子C2の容量値と比較して容量素子C3の容量値Ccがなるべく小さい方が、熱ノイズの影響の低減に有利である。このように、トランジスタ78の動作帯域が信号検出トランジスタ72の動作帯域よりも低い状態でトランジスタ78をオフとすることにより、ノードFDaに残存するkTCノイズを低減することが可能である。なお、本明細書において「トランジスタ78がオフである」とは、トランジスタ78がn型のトランジスタであるとき、信号線88の電圧が、トランジスタ78の閾値電圧よりも低いローレベルとされていることを指し、トランジスタ78がp型のトランジスタであるとき、信号線88の電圧が、トランジスタ78の閾値電圧よりも高いハイレベルとされていることを指す。
トランジスタ78のオフ後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T5までの期間に、電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。図4Aおよび図4Bを参照して説明した第1の例と同様に、第1の信号および第2の信号の差分Δが、画像信号として水平走査回路124に出力される。
以上に説明したように、この例では、電圧供給回路128は、リセットトランジスタ76がオンである第1の期間に、不純物領域60bに第1電圧VAを印加している。さらに、電圧供給回路128は、リセットトランジスタ76がオフとされた後であってトランジスタ78がオフに切り替えられた第2の期間に、第2電圧VBを不純物領域60bに印加している。
第2の実施形態によれば、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78をオンとしたときの不純物領域60aの電位V2aと、トランジスタ78をさらにオフとしたときの不純物領域60aの電位V4aとを、基板電位Vsubを下回ることを抑制しながら、基板電位Vsubに近いなるべく低い電位とすることが可能である。また、不純物領域60bに関しても、トランジスタ78をオンとしたときの電位V3と、その後にトランジスタ78をオフとしたときの電位V5aとを、基板電位Vsubを下回ることを抑制しながら、基板電位Vsubに近いなるべく低い電位とすることが可能である。したがって、トランジスタ78を介した、電気的なカップリングによる電位VRDの変動に起因する暗電流の発生を抑制して、暗電流に起因する画質の劣化が抑制された画像信号を得ることができる。
リセットトランジスタ76およびトランジスタ78に、n型に代えてp型のトランジスタを適用することも可能である。図14Bは、画素10Bfのリセットトランジスタ76およびトランジスタ78にp型のトランジスタを適用したときの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図4Bを参照して説明した例と同様に、ここでは、信号電荷として電子を用いた例を説明する。この場合、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74も典型的にはp型のトランジスタである。
露光による信号電荷の蓄積後、まず、時刻T1においてアドレス信号Φselをローレベルとし、第1の信号を読み出す。次に、時刻T2にリセットトランジスタ76およびトランジスタ78をオンとし、フィードバックループを形成する。フィードバックループの形成により、ノードFDaの電位が、垂直信号線89の電圧がVrefとなるような電圧V2bにリセットされる。このとき、電圧Vrefとして、V2b<Vsubの関係が満たされるような電圧を用いる。また、この例では、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78のオンに伴ってノードRDの電位VRDがV3に上昇している。電圧V3は、V3<Vsubの関係を満たす。
次に、時刻T3にリセットトランジスタ76をオフする。ここでは、リセットトランジスタ76のオフに伴って不純物領域60aの電位VFDがV2bからV4bに上昇している。電位VFDが基板電位Vsubを上回ってしまうと暗電流が生じてしまうので、電位VFDが基板電位Vsubを超えないように、反転増幅器92の非反転増幅端子に印加する電圧Vrefを適切に選択する。空乏層をなるべく縮小する観点からは、V4b<Vsubの関係が満たされる限りにおいてV4bがVsubになるべく近い電圧であると有益である。
リセットトランジスタ76のオフ後、時刻T4に、トランジスタ78をオフとする。このとき、トランジスタ78の閾値電圧を跨ぐように信号線88の電位をローレベルからハイレベルに向けて徐々に上昇させることにより、トランジスタ78をオフとしてもよい。トランジスタ78をオフすると、トランジスタ78が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングによって不純物領域60bの電位VRDが上昇し得る。この例では、トランジスタ78のオフに伴って、電位VRDがV3からV5bに上昇している。
このとき、もし、V5b>Vsubであると、不純物領域60bに、ノイズの原因となる余計な電荷が混入してしまう。図14Bに示すように、トランジスタ78をオフとするだけでなく、電圧供給回路128から制御線81に印加される電圧Vcを、第1電圧VAよりも低い第2電圧VBに切り替えることにより、容量素子C2を介してノードRDの電位VRDを低下させることができ、電位VRDが基板電位を上回ってしまうことを防止し得る。
トランジスタ78のオフ後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T5までの期間に、電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。第1の信号および第2の信号の差分Δが、画像信号として水平走査回路124に出力される。
このように、トランジスタ78のオフのタイミングで電圧Vcを第1電圧VAから第1電圧VAよりも低い第2電圧VBに切り替えることにより、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78にp型のトランジスタを適用した場合であっても、トランジスタ78を介した、電気的なカップリングによる電位VRDの変動に起因する暗電流の発生を抑制することが可能である。
(第2の実施形態の変形例)
図15は、本開示の第2の実施形態による撮像装置の変形例を示す。図15に示す画素10Bpは、図12に示す画素10Bの光電変換部50Aを光電変換部50Bに置き換えた回路構成を有する。
画素10Bpを有する撮像装置100の動作は、例えば、図14Aまたは図14Bを参照して説明した動作と同様であり得る。すなわち、リセットトランジスタ76がオンである第1の期間に、不純物領域60bに第1電圧VAを印加し、リセットトランジスタ76がオフとされた後であってトランジスタ78がオフに切り替えられた第2の期間に、不純物領域60bに第2電圧VBを印加するような動作を適用し得る。
図15に示す回路構成によれば、図12に示す画素10Bと同様に、電圧Vcを第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、浮遊ノードであるノードRDの電位を、容量素子C2を介して例えば上昇させることができる。したがって、トランジスタ78のオフに起因して不純物領域60bの電位VRDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避して、暗電流を抑制し得る。なお、図6に示す画素10Aqと同様に、信号検出トランジスタ72のゲートと光電変換部50Bとの間に転送トランジスタ79がさらに接続されてもよい。
図16は、本開示の第2の実施形態による撮像装置の他の変形例を示す。図16に示す画素10Brも、上述の画素10の一例である。図16に示す画素10Brと、図12を参照して説明した画素10Bとの間の主な相違点は、画素10Brでは、トランジスタ78およびリセットトランジスタ76の間のノードRDではなく、トランジスタ78のソースおよびドレインのうちリセットトランジスタ76に接続されていない側に電圧供給回路128が電気的に接続されている点である。すなわち、図16に示す例では、電圧供給回路128に接続された制御線81が、トランジスタ78のソースおよびドレインのうちリセットトランジスタ76に接続されていない側に接続されている。
(撮像装置100の動作の第3の例)
図17Aは、図16に示す回路構成を有する画素10Brの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図14Aを参照して説明した動作例と比較して、図17Aに示す動作例は、制御線81に印加する電圧を第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替えるタイミングが異なっている。
露光による信号電荷の蓄積後、まず、時刻T1においてアドレス信号Φselをハイレベルとし、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号を読み出す。
次に、時刻T2にリセット信号Φrstおよび信号Φfbをハイレベルとし、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78をオンとする。電圧Vcのチャートからわかるように、ここでは、電圧供給回路128は、時刻T2の時点で制御線81に第1電圧VAを印加している。したがって、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78のオンにより、不純物領域60aの電位VFDおよび不純物領域60bの電位VRDは、VAに変化する。第1電圧VAとして、基板コンタクトに印加されて基板電位Vsubを与える電圧よりも大きな電圧を適用することにより、不純物領域60aの電位VFDおよび不純物領域60bの電位VRDが半導体基板60の基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避できる。
次に、時刻T3にリセットトランジスタ76をオフとする。リセットトランジスタ76をオフすると、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、不純物領域60aの電位VFDがVAから低下し得る。このとき、リセットトランジスタ76のオフに起因して不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうと、不純物領域60aに余計な正孔が流入してしまう。
しかしながら、図17Aに示す例では、電圧供給回路128が、制御線81に印加する電圧をリセットトランジスタ76のオフのタイミングで第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えている。このとき、トランジスタ78は、オン状態であり、図17Aに示すように、不純物領域60bの電位VRDは、VBに変化する。
上述したように、電界効果トランジスタは、ソース-ドレイン間に寄生容量を有し、オフとされた状態では容量として機能する。したがって、制御線81に印加する電圧を第1電圧VAから第2電圧VBに上昇させることにより、オフ状態のリセットトランジスタ76を介して、不純物領域60aの電位VFDを上昇させることが可能である。第1電圧VAおよび第2電圧VBの具体的な値を適切に選択することにより、リセットトランジスタ76のオフに伴う電位VFDの低下分を縮小または相殺でき、結果として、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避し得る。この例では、不純物領域60aの電位VFDが、V6a>Vsubの関係を満たすV6aに変化している。
次に、時刻T4にトランジスタ78をオフとする。この例では、トランジスタ78のオフのタイミングで、制御線81に印加する電圧を第2電圧VBから第1電圧VAに戻している。このとき、トランジスタ78を介した電気的なカップリングにより、トランジスタ78のオフに起因して不純物領域60bの電位VRDが低下し得る。この例では、不純物領域60bの電位VRDがVBからV7aに低下している。
ただし、ここでは、トランジスタ78のオフ直前の不純物領域60bの電位VRDがVBである。基板電位Vsubに近い第1電圧VAよりも高い第2電圧VBが印加された状態でトランジスタ78がオフとされているので、電位VRDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避し得る。図17Aに示すように、ここでは、V7a>Vsubの関係が成立している。第2電圧VBとしては、V7a>Vsubの関係が満たされるような電圧を用いればよい。V7a>Vsubの関係が満たされる限りにおいてなるべく低い電圧を第2電圧VBとして用いると、空乏層の縮小に有利である。制御線81に印加する電圧をトランジスタ78のオフのタイミングで切り替えず、時刻T4以降も制御線81に第2電圧VBを印加し続けてもかまわない。なお、リセットトランジスタ76のソース-ドレイン間に寄生容量は、比較的小さく、そのため、不純物領域60bの電位VRDがVBからV7aに低下しても不純物領域60aの電位VFDにはほとんど影響が生じない。
トランジスタ78のオフ後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T5までの期間に、電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。第1の信号および第2の信号の差分Δが、画像信号として水平走査回路124に出力される。
図17Aに示す第3の例において、電圧供給回路128が、リセットトランジスタ76がオンである第1の期間に不純物領域60bに第1電圧VAを印加する点は、図14Aを参照して説明した例と共通である。ただし、この例では、電圧供給回路128は、トランジスタ78がオンとされた期間のうち、第1の期間を除く期間に、第2電圧VBを不純物領域60bに印加している。このような制御によっても、不純物領域60bの電位VRDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避し得る。また、オフ状態のリセットトランジスタ76を介した電気的なカップリングによる、不純物領域60aの電位VFDの変動に起因した暗電流の発生を抑制することが可能である。
なお、図16に例示する回路構成に、図14Aを参照して説明した例と同様の制御を適用することも可能である。再び図14Aを参照する。図14Aに示す例では、時刻T4においてトランジスタ78がオフとされる。この点は、ここで説明した第3の例と共通である。トランジスタ78がオフとされると、上述したように、トランジスタ78を介した電気的なカップリングによって不純物領域60bの電位VRDが低下し得る。ただし、図14Aに示すように、制御線81に印加する電圧をトランジスタ78のオフのタイミングで第2電圧VBに切り替えることにより、トランジスタ78を介した電気的なカップリングに起因する電位の低下分を低減可能である。これは、時刻T4以降、トランジスタ78はオフ状態であり、ソース-ドレイン間が非導通状態となるものの、ソース-ドレイン間に寄生容量を有するので、トランジスタ78が容量として機能するからである。すなわち、トランジスタ78の寄生容量による電気的なカップリングを利用して、不純物領域60bの電位VRDを制御し得る。トランジスタ78を介した電位VRDの制御により、トランジスタ78のオフに伴って電位VRDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避して、不純物領域60bへの余計な正孔の流入を防止し得る。
このように、オフ後のトランジスタ78は、図12に示す容量素子C2と同様の機能を発揮し得る。ただし、ソース-ドレイン間の寄生容量の容量値は一般に比較的小さい。そのため、図12に例示する回路構成のように、より大きな容量値を有する容量素子C2を介して電圧供給回路128をノードRDに接続した方が、第1電圧VAおよび第2電圧VBとしてより小さな電圧差の電圧を適用しながらも、不純物領域60bの電位VRDをより大きく変動させ得る。換言すれば、図16に示す回路構成よりも、図12に示す回路構成の方が、トランジスタ78のオフに伴う電位VRDの低下をより効果的に低減できるので、より基板電位Vsubに近い電圧を第1電圧VAとして用いることが可能になる。
図17Bは、画素10Brのリセットトランジスタ76、トランジスタ78、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74にp型のトランジスタを適用し、信号電荷として電子を用いたときの例示的な動作を示す。以下に説明するように、図17Bに示す動作例において、制御線81に印加する電圧を第1電圧VAおよび第2電圧VBの間で切り替えるタイミングは、図17Aを参照して説明した動作例と共通である。ただし、ここでは、第2電圧VBとして、第1電圧VAよりも低い電圧を用いる。
図17Bに示す例では、露光による信号電荷の蓄積後、まず、時刻T1においてアドレストランジスタ74をオンとし、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号を読み出す。次に、時刻T2にリセット信号Φrstおよび信号Φfbをローレベルとし、リセットトランジスタ76およびトランジスタ78をオンとする。ここでは、電圧供給回路128は、時刻T2の時点で制御線81に第1電圧VAを印加しているので、不純物領域60aの電位VFDおよび不純物領域60bの電位VRDは、VAに変化する。第1電圧VAとしては、電位VFDおよび電位VRDが基板電位Vsubを上回ってしまわないように、基板電位Vsubを与える電圧よりも低い電圧を用いる。
次に、時刻T3にリセットトランジスタ76をオフとする。リセットトランジスタ76をオフすると、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、不純物領域60aの電位VFDがVAから上昇し得る。このとき、図17Bに示すように、制御線81に印加する電圧をリセットトランジスタ76のオフのタイミングで第1電圧VAから第1電圧VAよりも低い第2電圧VBに切り替えることにより、不純物領域60bの電位VRDがVBに変化する。また、制御線81に印加する電圧を第1電圧VAから第2電圧VBに切り替えることにより、オフ状態のリセットトランジスタ76を介して、不純物領域60aの電位VFDを低下させることができる。これにより、リセットトランジスタ76のオフに伴って不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを上回ってしまうことを回避し得る。この例では、不純物領域60aの電位VFDが、V6b<Vsubの関係を満たすV6bに変化している。
次に、時刻T4にトランジスタ78をオフとするとともに、トランジスタ78のオフのタイミングで、制御線81に印加する電圧を第2電圧VBから第1電圧VAに戻す。このとき、トランジスタ78を介した電気的なカップリングにより、不純物領域60bの電位VRDが上昇し得る。ただし、ここでは、基板電位Vsubに近い第1電圧VAよりも低い第2電圧VBが制御線81に印加された状態でトランジスタ78がオフとされており、トランジスタ78のオフ直後の不純物領域60bの電位VRDをV7bとすれば、V7b<Vsubの関係が成立している。すなわち、電位VRDが基板電位Vsubを上回ってしまうことが回避されている。
トランジスタ78のオフ後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T5までの期間に、電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。第1の信号および第2の信号の差分Δが、画像信号として水平走査回路124に出力される。
このような制御によれば、不純物領域60bの電位VRDが基板電位Vsubを上回ってしまうことを回避し得る。また、オフ状態のリセットトランジスタ76を介した電気的なカップリングによる、不純物領域60aの電位VFDの変動に起因した暗電流の発生を抑制することが可能である。なお、図16に示す画素10Brのリセットトランジスタ76、トランジスタ78、信号検出トランジスタ72およびアドレストランジスタ74にp型のトランジスタを適用し、信号電荷として電子を用いる場合には、図14Bを参照して説明した例と同様の制御も適用し得る。
図18は、本開示の第2の実施形態による撮像装置のさらに他の変形例を示す。図18に示す画素10Bqは、図16に示す画素10Brの光電変換部50Aを光電変換部50Bに置き換えた回路構成を有する。画素10Bqを有する撮像装置100の動作は、図17Aまたは図17Bを参照して説明した動作と同様であり得る。すなわち、トランジスタ78がオンとされた期間のうち、リセットトランジスタ76がオンである第1の期間を除く期間に、第2電圧VBを不純物領域60bに印加するような動作を適用し得る。このような制御によれば、例えば、不純物領域60bの電位VRDが基板電位Vsubを下回ってしまうことを回避し得る。
なお、図18に例示する回路構成に、図14Aおよび図14Bを参照して説明した動作と同様の動作が適用されてもよい。図6に示す画素10Aqと同様に、信号検出トランジスタ72のゲートと光電変換部50Bとの間に転送トランジスタ79がさらに接続されてもよい。
(第3の実施形態)
図19Aおよび図19Bは、本開示の第3の実施形態による撮像装置が有する画素の回路構成の一例を模式的に示す。図19Aに示す撮像装置140は、画素10Dを有する。図3を参照して説明した回路構成と同様に、画素10Dは、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76の3つのトランジスタを画素10D内に有する。図19Bに示す画素10Dpは、図19Aに示す画素10Dの光電変換部50Aを光電変換部50Bに置き換えた回路構成を有する。
図19Aに示す画素10Dと、図3を参照して説明した画素10Aとの間の主な相違点は、画素10Dでは、ノードFDaに電圧供給回路128は接続されておらず、ノードFDaとアドレス信号線84とが容量素子C1を介して電気的に結合されている点である。画素10Dは、層間絶縁層40内に制御線81が配置されないこと以外は、図2を参照して説明したデバイス構造と同様のデバイス構造を有し得る。図19Bに示す画素10Dpにおいても図19Aに示す画素10Dと同様に、容量素子C1の端子のうち、ノードFDbに接続されていない側の端子は、アドレス信号線84に接続されている。
容量素子C1の端子のうち、アドレス信号線84に接続された端子には、アドレス信号Φselが入力される。したがって、これらの例示的な回路は、アドレス信号Φselの制御により、ノードFDaまたはノードFDbの電位を制御することが可能な構成を有する。ただし、容量素子C1の端子の一方にアドレス信号線84が接続されることは必須ではない。例えば信号電荷として正孔を利用する場合であれば、容量素子C1のうち、ノードFDaまたはノードFDbに接続された側とは反対側の端子には、リセット期間にハイレベルであり、行選択時でない期間にローレベルであるような制御信号が入力されていればよい。例えば、容量素子C1のうち、ノードFDaまたはノードFDbに接続された側とは反対側の端子に、リセット信号Φrstまたは他の制御信号が入力されるような構成もあり得る。
図20は、図19Aに示す回路構成を有する画素10Dの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。図4Cを参照して説明した動作シーケンスと比較して、図20に例示する動作シーケンスでは、アドレス信号Φselが、図4Cに示す電圧Vcの役割も果たす図20中、ΦHは、ハイレベルの信号ΦHを表し、ΦLは、ローレベルの信号ΦLを表す。ここでは、ローレベルの信号ΦLが第1電圧VAに対応し、ハイレベルの信号ΦHが第2電圧VBに対応する。
画素10Dにおいて、ノードFDaは、容量素子C1を介してアドレス信号線84と容量結合している。そのため、時刻T1においてアドレス信号Φselをハイレベルにすることにより、ノードFDaの電位を上昇させることができる。このときの電位の変動量ΔVFDは、下記の式(2)で表される。
ΔVFD=(ΦH-ΦL)(C1/(C1+CFD)) (2)
時刻T4においてアドレス信号ΦselをローレベルのΦLにすることにより、ノードFDaの電位は、上記の式(2)で表されるΔVFDだけ低下する。このように、アドレス信号Φselを用いて電荷蓄積ノードの電位を制御することも可能であり、図20に示すように、例えば、アドレス信号ΦselをローレベルのΦLに戻したときのノードFDaの電位をリセット電圧Vrよりも低い電位V1fに設定することができる。なお、行選択時かつリセット実行後の不純物領域60aの電位VFDは、リセット電圧Vrに持ち上げられた状態であるので、信号検出トランジスタ72の後段回路において動作可能な電圧範囲で正常に第2の信号の読み出しを実行することが可能である。
第3の実施形態によれば、例えばアドレス信号Φselを用いて容量結合を通して電荷蓄積ノードの電位が制御されるので、信号線の数を減らすことができる。これにより画素の小型化を図ることができる。なお、容量素子C1としては、上述のMIS構造、MIM構造などを有する素子に限定されない。例えば配線間の寄生容量などによって容量素子C1が実現されてもよい。例えば、信号検出トランジスタ72のゲートと信号線などの配線との間の寄生容量によって容量素子C1を実現してもよい。
(第4の実施形態)
図21は、本開示の第4の実施形態による撮像装置が有する画素の回路構成の一例を模式的に示す。図21に示す撮像装置150は、画素10Cを有する。図3を参照して説明した回路構成と同様に、画素10Cは、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76の3つのトランジスタを画素10C内に有する。これら信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76の3つのトランジスタは、光電変換部50Aに電気的に接続されたノードFDaに蓄積される信号電荷を検出する検出回路95を構成する。ただし、図3に示す画素10Aと比較して、図21に示す画素10CのノードFDaには、電圧供給回路128は接続されていない。画素10Cは、層間絶縁層40内に制御線81が配置されないこと以外は、図2を参照して説明したデバイス構造と同様のデバイス構造を有し得る。
(撮像装置150の動作の例)
図22Aは、図21に示す回路構成を有する画素10Cの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
露光による信号電荷の蓄積後、時刻T1にアドレストランジスタ74をオンとし、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号を読み出す点は、上述の典型例と同様である。その後、第1の例と同様に、時刻T2にリセット信号Φrstをハイレベルとし、リセットトランジスタ76をオンとして電荷蓄積ノードからリセットトランジスタ76を介して信号電荷を排出する。このとき、不純物領域60aの電位VFDは、Vrに変化する。なお、ここでは、Vr>Vsubである。
次に、時刻T3にリセット信号Φrstをローレベルとし、リセットトランジスタ76をオフとする。リセットトランジスタ76をオフすると、リセットトランジスタ76が有する寄生容量に起因した電気的なカップリングにより、不純物領域60aの電位VFDがVrから低下する。ここで、例えばVrが基板電位Vsubに近い電圧であると、リセットトランジスタ76のオフ後の電位VFDが基板電位Vsubを下回ることがある。この例では、リセットトランジスタ76のオフによって、不純物領域60aの電位VFDが、Vrから、V8a<VsubとなるV8aに低下している。
しかしながら、図22Aに示す例では、時刻T4に、リセットトランジスタ76のゲートに印加されるリセット信号Φrstを、ハイレベルの信号ΦHよりも低くかつローレベルの信号ΦLよりも高い、中間的な電圧レベルの信号ΦMに切り替えている。ただし、中間的な電圧レベルとしては、リセットトランジスタ76がオフ状態を維持するような電圧レベルを用いる。
リセットトランジスタ76のオフ状態を維持させたまま、リセット信号Φrstをローレベルから中間的な電圧レベルの信号ΦMに上昇させることにより、リセットトランジスタ76のゲート-ドレイン間の寄生容量による電気的なカップリングを利用して、不純物領域60aの電位VFDを基板電位Vsubよりも高い電位に引き上げることができる。この例では、リセット信号Φrstをローレベルの信号ΦLから中間的な電圧レベルの信号ΦMに上昇させることにより、不純物領域60aの電位VFDが、V9a>Vsubを満たすV9aに上昇している。
リセット信号Φrstをローレベルの信号ΦLから中間的な電圧レベルの信号ΦMに上昇させた後、水平同期信号HDの次のパルスが立ち上がる時刻T5までの期間に、信号電荷の排出後、すなわち、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。すなわち、この例では、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubよりも高くされた状態で第2の信号の読み出しが実行されている。
このように、第1の信号の読み出しから第2の信号の読み出しまでの間において、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを一時的に下回ってもかまわない。ただし、リセット信号Φrstをローレベルの信号ΦLから中間的な電圧レベルの信号ΦMに上昇させたときに電位VFDが基板電位Vsubを上回るように、リセット信号線86に印加する中間的な電圧レベルを決定する。不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを下回る期間がごく短時間であり、リセット後の不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubよりも高ければ、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号への暗電流の影響を抑制し得る。
図22Bは、図21に示す画素10Cのリセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用し、信号電荷として電子を用いたときの例示的な動作を説明するためのタイミングチャートである。n型トランジスタに代えて信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74およびリセットトランジスタ76にp型のトランジスタを適用し、信号電荷として電子を用いる場合には、例えば以下の動作を適用し得る。
露光による信号電荷の蓄積後、まず、時刻T1にアドレストランジスタ74をオンとし、電荷蓄積ノードに蓄積された信号電荷に応じた電圧レベルの第1の信号を読み出す。次に、時刻T2にリセット信号Φrstをローレベルとしてリセットトランジスタ76をオンとし、電荷蓄積ノードから信号電荷を排出する。このとき、不純物領域60aの電位VFDは、Vrであり、この例では、Vr<Vsubである。
次に、時刻T3にリセット信号Φrstをハイレベルの信号ΦHとし、リセットトランジスタ76をオフとする。この例では、リセットトランジスタ76のオフによって、不純物領域60aの電位VFDが、Vrから、V8b>VsubとなるV8bに上昇している。その後、時刻T4に、リセットトランジスタ76のゲートに印加されるリセット信号Φrstを、ローレベルの信号ΦLとハイレベルの信号ΦHとの間の中間的な電圧レベルの信号ΦMに切り替える。この例では、中間的な電圧レベルの信号ΦMは、ローレベルの信号ΦLよりも高く、ハイレベルの信号ΦHよりも低い。ここでも、中間的な電圧レベルとしては、リセットトランジスタ76がオフ状態を維持するような電圧レベルを用いる。
リセットトランジスタ76のオフ状態を維持させたまま、リセット信号Φrstをハイレベルから中間的な電圧レベルの信号ΦMに低下させることにより、リセットトランジスタ76を介した電気的なカップリングを利用して、不純物領域60aの電位VFDを基板電位Vsubよりも低い電位に引き下げることができる。この例では、リセット信号Φrstをハイレベルの信号ΦHから中間的な電圧レベルの信号ΦMに低下させることにより、不純物領域60aの電位VFDが、V9b<Vsubを満たすV9bに低下している。その後、時刻T5までの期間に、信号電荷の排出後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号を読み出す。
この例では、第2の信号の読み出しの時点で、不純物領域60aの電位VFDは、基板電位Vsubよりも低くされている。第2の信号の読み出しの時点で、不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubよりも低ければ、第1の信号の読み出しから第2の信号の読み出しまでの間において不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを一時的に上回ってもかまわない。不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubを上回る期間がごく短時間であり、リセット後の不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubよりも低ければ、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号への暗電流の影響を抑制し得る。
第4の実施形態では、垂直走査回路122が、リセットトランジスタ76がオンとなる第1レベルの信号、リセットトランジスタ76がオフとなる第2レベルの信号、および、中間レベルの信号をリセットトランジスタ76のゲートに順次に印加することにより、不純物領域60aの電位のリセットを実行している。ここで、中間レベルの信号ΦMに対応する電圧は、第1レベルの信号に対応する電圧および第2レベルの信号に対応する電圧の間であってリセットトランジスタ76がオフ状態を維持できるような電圧である。図21に例示する回路構成において、リセットトランジスタ76のゲートへの中間レベルの信号ΦMの印加時に不純物領域60aの電位VFDが基板電位Vsubよりも高ければ、図22Aを参照して説明したように、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号への暗電流の影響を抑制して、画質の劣化を回避し得る。このとき、リセットトランジスタ76のゲートへの第2レベルの信号の印加時に不純物領域60aの電位VFDが一時的に基板電位Vsubを下回ってもよい。
第4の実施形態によれば、回路が過度に複雑となることを避けながら、暗電流による画質の劣化を防止し得る。また、リセット後の電荷蓄積ノードの電圧レベルに対応する第2の信号の読み出し時の不純物領域60aの電位VFDを、例えば、基板電位Vsubに近い、なるべく低い電位とできるので、暗電流の発生を効果的に抑制することが可能である。
(第4の実施形態の変形例)
図23は、本開示の第4の実施形態による撮像装置の変形例を示す。図23に示す画素10Cpは、図21に示す画素10Cの光電変換部50Aを光電変換部50Bに置き換えた回路構成を有する。
画素10Cpを有する撮像装置100の動作は、図22Aおよび図22Bを参照して説明した動作と同様であり得る。図23に示す回路構成によれば、図21に示す画素10Cと同様に、回路が過度に複雑となることを避けながら、暗電流による画質の劣化を防止し得る。図6に示す画素10Aqと同様に、信号検出トランジスタ72のゲートと光電変換部50Bとの間に転送トランジスタ79がさらに接続されてもよい。
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、例えば、浮遊ノードに含まれる不純物領域の電位を、容量を介して制御することが可能であり、不純物領域とその周辺との間に形成される空乏層を縮小して空乏層内に位置する格子欠陥の数を低減できる。あるいは、浮遊ノードに含まれる不純物領域とその周辺との間のpn接合に順方向電流が発生することによるノイズの混入を抑制可能である。したがって、暗電流に起因するSN比の低下が抑制された撮像装置が提供される。
本開示の実施形態による撮像装置は、上述した例に限定されず、種々の改変が可能である。電圧供給回路128などを含む周辺回路120の動作は、半導体基板60、または、半導体基板60とは異なる他の基板に実装された制御回路からの指示に基づいて実行されてもよい。撮像装置に含まれる各回路は、LSIなどの集積回路によって実現されてもよいし、それらの一部または全部が、単一の回路として1つのチップに集積されていてもよい。撮像装置に含まれる各回路は、FPGA(field-programmable gate array)として実現されてもよいし、リコンフィギュラブル・プロセッサなどであってもよい。撮像装置に含まれる各回路は、特定の処理に向けられた回路として実現されてもよいし、汎用の処理回路と、上述の実施形態に例示したような処理が記述されたプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。このプログラムは、半導体基板60または他の基板に形成されたメモリなどに格納され得る。
(第5の実施形態)
図24は、本開示の第5の実施形態によるカメラシステムの機能ブロックを模式的に示す。図24に示すカメラシステム200は、光学系201と、撮像装置100と、信号処理回路203と、システムコントローラ204と、表示装置205とを有する。カメラシステム200は、例えばスマートフォン、デジタルカメラおよびビデオカメラなどであり得る。
光学系201は、例えば、光学ズームおよびオートフォーカス用のレンズを含むレンズ群および絞りを有する。撮像装置100としては、第1~第4の実施形態で説明した撮像装置のいずれも適用し得る。
信号処理回路203は、例えばDSP(Digital Signal Processor)である。信号処理回路203は、撮像装置100から出力データを受け取り、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。撮像装置100および信号処理回路203が、単一の半導体装置として実現されてもよい。半導体装置は、例えばいわゆるSoC(System on a Chip)であり得る。このような構成によれば、撮像装置100をその一部として含む電子機器をより小型化することができる。
システムコントローラ204は、カメラシステム200の全体を制御する。システムコントローラ204は、典型的には半導体集積回路であり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
表示装置205は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。表示装置205は、タッチパネルのような入力インタフェースを備えていてもよい。これにより、ユーザは、タッチペンを用いて、信号処理回路203の処理内容の選択および制御ならびに撮像条件の設定を、入力インタフェースを介して実行できる。
上述の信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74、リセットトランジスタ76、トランジスタ71、トランジスタ78、負荷トランジスタ73および転送トランジスタ79の各々は、pチャンネルMOSであってもよい。上述したように、これらのトランジスタがpチャンネルMOSである場合には、第2電圧として、第1電圧よりも低い電圧を適用し得る。なお、信号検出トランジスタ72、アドレストランジスタ74、リセットトランジスタ76、トランジスタ71、トランジスタ78、負荷トランジスタ73および転送トランジスタ79の全てがnチャンネルMOSまたはpチャンネルMOSのいずれかに統一されている必要はない。これらのトランジスタとして、電界効果トランジスタのほか、バイポーラトランジスタも用い得る。