(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の光送信装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の光送信装置は、光出力部1と、光変調部2と、受信情報取得部3と、周波数調整部4を備えている。光出力部1は、自装置に割り当てられた周波数の光を出力する。光変調部2は、光出力部1が出力する光を互いに直交する偏波に分離し、それぞれの同相成分および直交成分に変調を施し、変調を施した各成分波を偏波合成した光信号を出力する。受信情報取得部3は、光信号の送信先の光受信装置における光信号の受信状態の情報を取得する。周波数調整部4は、受信状態の情報を基に光出力部1が出力する光の周波数を制御し、光受信装置が光信号をコヒーレント検波する際に用いる局発光の周波数と、光出力部1が出力する光の周波数との差である周波数オフセットを調整する。
本実施形態の光送信装置は、受信情報取得部3において光受信装置における受信状態の情報を取得し、周波数調整部4において光受信装置の局発光の周波数と、光出力部1が出力する光の周波数との差である周波数オフセットを調整している。本実施形態の光送信装置では、局発光の周波数と、光出力部1が出力する光の周波数にオフセットを付加することで、光受信装置の信号の検出素子において出力振幅が0になる成分が生じない。そのため、光受信装置において利得を大きくしようとして信号にノイズが発生する状態を防ぐことができるので受信品質を維持することができる。その結果、本実施形態の光送信装置を用いることで、受信側において安定したコヒーレント検波を行い受信信号の品質を維持することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の光通信システムは、光送信装置10と、光受信装置20を備えている。光送信装置10と、光受信装置20は、通信路201と、通信路202を介して互いに接続されている。本実施形態の光通信システムは、光送信装置10と光受信装置20の間で、通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。
光送信装置10の構成について説明する。図3は、本実施形態の光送信装置10の構成を示したものである。光送信装置10は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部14と、周波数調整部15を備えている。
クライアント信号入力部11は、通信路201を介して伝送するクライアント信号の入力ポートである。クライアント信号入力部11に入力されたクライアント信号は、信号処理部12に送られる。
信号処理部12は、入力されたクライアント信号に冗長化等の処理を施し、通信路201で伝送する際のフレームにマッピングする。
信号変調部13は、光源部14から入力される光に、信号処理部12から入力される信号を基に変調を施し、通信路201に送信する光信号を生成する。本実施形態の信号変調部13は、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式によって変調を行う。変調方式は、BPSK以外のQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8QAM(Quadrature Amplitude Modulation)など他の多値変調方式であってもよい。また、本実施形態の信号変調部13の機能は、第1の実施形態の光変調部2に相当する。
光源部14は、所定の周波数の連続光を信号変調部13に出力する。所定の周波数は、光通信ネットワークの波長設計に基づいて割り当てられている。光源部14は、所定の周波数を設定値として、設定値に対してオフセットを付加した周波数の光を出力する。周波数のオフセット量は、周波数調整部15によって制御される。また、本実施形態の光源部14の機能は、第1の実施形態の光出力部1に相当する。
周波数調整部15は、光源部14の周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部15は、光受信装置20から送られてくるエラー情報に基づいて、周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部15は、エラー情報として送られてくるBER(Bit Error Rate)が小さくなるように周波数のオフセット量を制御する。また、本実施形態の周波数調整部15の機能は、第1の実施形態の受信情報取得部3および周波数調整部4に相当する。
光受信装置20の構成について説明する。図4は、本実施形態の光受信装置20の構成を示したものである。光受信装置20は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24を備えている。また、光受信装置20は、ADC(Analog to Digital Converter)25と、DSP(Digital Signal Processor)26と、局発光出力部27と、エラー検出部28を備えている。
クライアント信号出力部21は、復調されたクライアント信号を出力する出力ポートである。
PBS(Polarizing Beam Splitter)22は、入力された光信号を偏波分離して出力する。PBS22は、光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。PBS22-1は、通信路201から入力された光信号を偏波分離し、X偏波を90度ハイブリッド23-1に出力し、Y偏波を90度ハイブリッド23-2に送る。また、PBS22-2は、局発光出力部27から入力される光を偏波分離し、X偏波を90度ハイブリッド23-1に出力し、Y偏波を90度ハイブリッド23-2に送る。
90度ハイブリッド23は、入力された光信号と局発光を位相が90度異なる2つの経路で合波する。90度ハイブリッド23-1は、PBS22-1から入力される光信号のX偏波成分と、PBS22-2から入力される局発光のX偏波成分を位相が互いに90度異なる2つの経路で合波する。
90度ハイブリッド23-1は、光信号と局発光を位相が90度異なる経路で合波することで生成したI相(In - phase)成分とQ相(Quadrature)成分の信号を光検出部24-1に送る。90度ハイブリッド23-2は、PBS22-1から入力される光信号のY偏波成分と、PBS22-2から入力される局発光のY偏波成分を位相が互いに90度異なる2つの経路で合波する。90度ハイブリッド23-2は、光信号と局発光を位相が90度異なる経路で合波することで生成したI相成分とQ相成分の信号を光検出部24-2に送る。
光検出部24は、入力された光信号を電気信号に変換して出力する。光検出部24は、フォトダイオードを用いて構成されている。光検出部24-1は、90度ハイブリッド23-1から入力されるX偏波のI相成分とQ相成分の光信号をそれぞれ電気信号に変換しADC25-1に送る。また、光検出部24-2は、90度ハイブリッド23-2から入力されるY偏波のI相成分とQ相成分の光信号をそれぞれ電気信号に変換しADC25-2に送る。
ADC25は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADC25-1は、光検出部24-1から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、DSP26に送る。また、ADC25-2は、光検出部24-2から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、DSP26に送る。
DSP26は、入力された信号の歪み補正、復号および誤り訂正等の受信処理を行ってクライアント信号を復調する。DSP26は、半導体装置によって構成されている。DSP26の受信処理機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されていてもよい。また、DSP26の受信処理機能は、CPU(Central Processing Unit)のような汎用プロセッサがコンピュータプログラムを実行することで行われてもよい。DSP26は、復調したクライアント信号をクライアント信号出力部21に送る。
局発光出力部27は、通信路201を介して伝送されてくる光信号と合波しコヒーレント検波を行う光信号を生成する際に用いる局発光を生成する。局発光出力部27は、半導体レーザを備え、通信路201を介して伝送されてくる光信号の周波数を基に設定されている周波数の光を出力する。
エラー検出部28は、DSP26における誤り訂正処理を監視し、エラーの数を計測する。本実施形態のエラー検出部28は、計測したエラーの数を基にBERを算出し、算出したBERの情報をエラー情報として通信路202を介して光送信装置10に送る。また、エラー検出部28は、DSP26の一部としてDSP26と一体化されていてもよい。
通信路201は、光ファイバを用いた光通信ネットワークとして構成されている。通信路201は、光送信装置10から光受信装置20の方向に光信号を伝送する。通信路202は、光受信装置20から光送信装置に制御信号等を送信する通信ネットワークである。通信路202は、例えば、通信管理システムによる各装置の制御用の回線として備えられている。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。始めに、クライアント信号入力部11に、通信路201で伝送を行うクライアント信号が入力される。クライアント信号としては、例えば、SONET(Synchronous Optical Network)、Ethernet(登録商標)、FC(Fiber Channel)またはOTN(Optical Transport Network)などの信号が用いられる。クライアント信号入力部11に入力されたクライアント信号は、信号処理部12に送られる。
クライアント信号が入力されると、信号処理部12は、クライアント信号を通信路201で伝送する際のフレームにマッピングする。マッピングを行うと、信号処理部12は、マッピングした信号を信号変調部13に送る。
マッピングされたフレームのデータに基づく信号が入力されると、信号変調部13は、光源部14から出力される光に信号処理部12から入力されるフレームのデータに基づいて変調を施す。信号変調部13は、BPSK方式を用いて電気信号から光信号への変換を行う。信号変調部13は、変調を施して生成した光信号を通信路201に送信する。
通信路201に送信された光信号は、通信路201を伝送され、光受信装置20に送られる。光受信装置20において受信された光信号は、PBS22-1に入力される。光信号が入力されると、PBS22-1は、入力された光信号を偏波分離し、X偏波の光信号を90度ハイブリッド23-1に送り、Y偏波の光信号を90度ハイブリッド23-2に送る。
PBS22-1から光信号が入力されると、90度ハイブリッド23-1および90度ハイブリッド23-2は、PBS22-1から入力される光信号とPBS22-2から入力される局発光を合波し、I相成分とQ相成分に対応する信号を生成する。90度ハイブリッド23-1および90度ハイブリッド23-2は、生成した光信号を光検出部24-1および光検出部24-2に送る。
光信号が入力されると、光検出部24-1および光検出部24-2は、入力された光信号を電気信号に変換し、ADC25-1およびADC25-2に送る。光信号から変換された電気信号が入力されると、ADC25-1およびADC25-2は、入力された信号をデジタル信号に変換しDSP26に送る。
DSP26に信号が入力されると、DSP26は、入力された信号に受信処理を施してクライアント信号を復調し、復調したクライアント信号をクライアント信号出力部21に送る。クライアント信号出力部21は、入力されたクライアント信号を通信ネットワークや通信装置に出力する。
DSP26において受信処理が行われている際に、エラー検出部28は、DSP26におけるエラー訂正処理を監視し、受信した信号のエラーの数を計測する。本実施形態のエラー検出部28は、エラーの数をBERとして算出する。BERを算出すると、エラー検出部28は、算出したBERの情報をエラー情報として光送信装置10に通信路202を介して送る。
通信路202を介して光送信装置10が受信したエラー情報は、周波数調整部15に送られる。周波数調整部15は、エラー情報を受け取ると、BERの値が小さくなるように光源部14の周波数オフセットを調整する。周波数調整部15は、BERの変化に基づいて、周波数のオフセット量を変化させ、BERが最小となるように周波数のオフセット量を制御する。光源部14は、オフセット量が補正された周波数の光を信号変調部13に出力する。
光送信装置10において光源部14が出力する光の周波数を調整する際の動作についてより詳細に説明する。図5は、光源部14が出力する光の周波数を調整する際の動作フローを示したものである。
始めに、周波数調整部15は、周波数オフセットの探索範囲、すなわち、エラー数が最小となるときの光源部14が出力する周波数を調べる際に周波数のオフセット量を変化させる範囲を設定する(ステップS11)。周波数のオフセットの探索範囲は、あらかじめ、周波数調整部15に記憶されていてもよく、作業者等によって探索範囲の設定値が入力されてもよい。
周波数オフセットの探索範囲を設定すると、周波数調整部15は、周波数オフセットofs、すなわち、光源部14から出力する光の周波数の設定値からのずれ量をofs=0として設定する(ステップS12)。ofs=0のとき、光源部14は、設定値、すなわち、自装置に割り当てられている周波数の光を出力する。
周波数調整部15は、光受信装置20から受け取るエラー情報からエラー数の情報を抽出し、エラーの最小値ofs_err_bestにofs=0のときのエラー数を代入する(ステップS13)。また、最小値ofs_err_bestに代入されたデータに対応する周波数オフセットの情報を示すofs_bestに、設定されている周波数オフセットofsの値を代入する(ステップS14)。ofs_err_bestに、ofs=0のときのエラー数を代入した場合には、ofs_best=0となる。
周波数オフセットが0のときのエラー数を保存すると、周波数調整部15は、周波数オフセットofsの設定値を、ofs=min、すなわち、周波数オフセットの探索範囲の最小値minに設定する(ステップS15)。
周波数調整部15は、周波数オフセットofsの値を設定すると、設定した周波数オフセットofsの値と周波数オフセットの探索範囲の最大値ofs_maxと比較する。周波数オフセットofsが最大値ofs_max以下であるとき(ステップS16でNo)、周波数調整部15は、光源の周波数を、周波数オフセットofsに基づいて補正する。周波数調整部15は、光源部14が出力する周波数を、光源の周波数=周波数設定値+ofsとして算出して設定する(ステップS17)。
周波数オフセットofsを基に光源部14の周波数が設定されると、光源部14から設定値からのオフセットがかけられた周波数の光が出力される。オフセットがかけられた周波数の光が通信路201に出力されると、送信先の光受信装置20からエラー数の情報が送られてくる。
エラー数の情報を受け取ると、周波数調整部15は、ofs_errにエラー数を代入し(ステップS18)、それまでの最小値として保存されているofs_err_bestと受け取ったエラー数ofs_errを比較する。新たに受け取ったエラー数のほうが小さいとき(ステップS19Yes)、周波数調整部15は、ofs_err_bestを新たに受け取ったエラー数ofs_errの値で更新する(ステップS20)。ofs_err_bestを更新すると、周波数調整部15は、周波数オフセットofsの値を最小値ofs_err_bestに対応する周波数オフセットの情報を示すofs_bestに代入する(ステップS21)。
最小値ofs_err_bestに対応する周波数オフセットの情報を更新すると、周波数調整部15は、周波数オフセットofsをofs=ofs+Δfとして変化させ(ステップS22)、ステップS16からの動作を行う。周波数オフセットを変化させる量であるΔfは、あらかじめ設定されている。Δfは、周波数オフセットの探索範囲をあらかじめ設定された数で割ることによって設定されてもよい。
新たに受け取ったエラー数がそれまでの最小値以上であったとき(ステップS19でNo)、周波数調整部15は、周波数オフセットofsをofs=ofs+Δfとして変化させ(ステップS22)、ステップS16からの動作を行う。
また、ステップS16において、周波数オフセットofsが探索範囲の最大値ofs_maxよりも大きいとき(ステップS16でYes)、周波数調整部15は、光源部14の周波数の設定を最小値ofs_err_bestに対応する周波数に設定する。周波数調整部15は、光源の周波数=周波数設定値+ofs_bestとして算出し、算出した周波数となるように光源部14が出力する信号の周波数を制御する(ステップS23)。
図6は、周波数のオフセット量とエラー数の関係の例を示したグラフである。図6の例ではΔfごとに周波数のオフセット量を変化させることによってエラー数を計測している。図6の例では、エラー数が最小となる-3Δfが光源部14が出力する光の周波数のオフセット量として設定される。
本実施形態の光通信システムでは、光受信装置20から光送信装置10に通信路202を介してエラー情報を送信しているが、双方向の光通信を行う場合には、光受信装置20から光送信装置10に主信号として送られるフレームにエラー情報を付加してもよい。図7は、OTNフレームの構成を示したものである。図7のようなOTNフレームによるデータ通信が行われる場合には、例えば、オーバーヘッドのReserved bitにエラー情報を付加することで、光受信装置20から光送信装置10にエラー情報を送ることができる。また、そのような構成とすることで、通信路202を用いた通信が不要になるので構成が簡略化する。
図8Aは、BPSK変調方式を用いた場合のコンスタレーションを示す図である。また、図8Bは、QPSK変調方式を用いた場合のコンスタレーションを示す図である。図8Aおよび図8Bのコンスタレーションでは、搬送波と同じ位相成分をI軸、搬送波と直交する位相成分をQ軸とした平面に信号のシンボルを記載している。BPSK変調方式の場合シンボルがI軸上にマッピングされるため、光信号と局発光における周波数オフセットが小さい場合、図8Aの状態となり、光信号のQ相成分は0となる。この状態において光検出部24において出力振幅が一定になるよう自動的に利得を制御した場合、Q相成分の信号が入力されるQ-chへの入力信号が無いため、Q-chの信号を増幅する際に出力振幅は大きくならない。そのため、Q-chの信号の出力振幅を大きくするために利得が大きく設定され、ノイズ成分がQ-chに付加され信号品質の劣化が生じる。
一方で、光信号の光源と局発光の光源の間で周波数オフセットが生じていた場合には、図9に示すようにコンスタレーションが回転する。図8Aに示したBPSK方式では、I軸成分のみを有しているが、周波数オフセットを意図的に発生させることで、I軸成分だけでなくQ軸成分も値を持たせることができる。Q軸成分を持たせることで、適正な利得が設定されるため信号のノイズが大きくなりすぎることを抑制し、信号品質劣化を防ぐことができる。
本実施形態の光通信システムは、光受信装置20のエラー検出部28において検出したエラー情報を基に、光送信装置10の周波数調整部15が光源部14から出力される光の周波数の調整を行っている。エラー数が減少するように、周波数の調整を調整することで、光送信装置10から送信される光信号の周波数と、光受信装置20において受信信号の検波に用いる局発光の周波数に適正なオフセットが付加され得る。その結果、本実施形態の光通信システムは、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の光通信システムについて説明する。図10は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、光送信装置30と、光受信装置40を備えている。光送信装置30と、光受信装置40は、通信路201を介して互いに接続されている。
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。第2の実施形態の光通信ネットワークでは、光送信装置の光源の周波数のオフセット量を調整していたが、本実施形態の光通信ネットワークは、光受信装置の局発光の周波数のオフセット量を調整することを特徴とする。
光送信装置30の構成について説明する。図11は、本実施形態の光送信装置30の構成を示したものである。光送信装置30は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部31を備えている。本実施形態のクライアント信号入力部11、信号処理部12および信号変調部13の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
光源部31は、出力する光の周波数のオフセット機能以外は、第2の実施形態の光源部14と同様の機能を有する。すなわち、光源部31は、半導体レーザを備え、所定の周波数の連続光を信号変調部13に出力する。所定の周波数は、光通信ネットワークの波長設計に基づいて割り当てられている。
光受信装置40の構成について説明する。図12は、本実施形態の光受信装置40の構成を示したものである。光受信装置40は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24と、ADC25と、DSP26と、局発光出力部41と、エラー検出部42と、周波数調整部43を備えている。
本実施形態のクライアント信号出力部21、PBS22、90度ハイブリッド23、光検出部24、ADC25およびDSP26の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。すなわち、PBS22として、通信路201を介して入力される光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。また、X偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-1、光検出部24-1およびADC25-1と、Y偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-2、光検出部24-2およびADC25-2がそれぞれ備えられている。
局発光出力部41は、通信路201を介して伝送されてくる光信号と合波しコヒーレント検波を行う数の光信号を生成する際に用いる所定の周波数の局発光を生成する。局発光出力部41は、半導体レーザを用いて構成されている。所定の周波数は、通信路201を介して伝送されてくる光信号の周波数を基に設定されている。また、局発光出力部41は、所定の周波数にオフセットを付加した周波数の光を出力する。周波数のオフセット量は、周波数調整部43によって制御される。
エラー検出部42は、第2の実施形態のエラー検出部28と同様の機能を有する。本実施形態のエラー検出部42は、DSP26における信号の受信処理を監視し、誤り訂正の数を基にエラー数を計測する。エラー検出部42は、エラーの計測結果を基に算出したエラー情報を自装置内の周波数調整部43に送る。本実施形態のエラー検出部42は、BERをエラー情報として周波数調整部43に送る。また、エラー検出部42は、DSP26の一部としてDSP26と一体化されていてもよい。
周波数調整部43は、局発光出力部41の周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部43は、エラー検出部42から送られてくるエラー情報に基づいて、周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部43は、エラー情報として送られてくるBERが小さくなるように周波数のオフセット量を制御する。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムは、光信号と局発光の周波数オフセットを調整する以外の動作では、第2の実施形態の光通信システムと同様に動作する。本実施形態の光通信システムは、光受信装置40におけるエラー数の検出結果を基に、光信号と局発光の周波数オフセットを調整している。すなわち、本実施形態の光通信システムは、光受信装置40の周波数調整部43が局発光出力部41から出力される局発光の周波数の設定値からのオフセット量を変化させ、エラー数が最小となるときのオフセット量を基に局発光の周波数の制御を行う。
本実施形態の光通信システムは第2の実施形態の光通信システムと同様の効果を有する。また、エラー数を基に光受信装置40側が局発光の周波数を調整するので、エラー数を光送信装置30に送る必要は無いためシステムの構成をより簡略化することができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図13は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、光送信装置50と、光受信装置60を備えている。光送信装置50と光受信装置60は、通信路201および通信路202を介して接続されている。
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。第2の実施形態の光通信システムは、エラー数が最小になるように光信号の調整を行うことで、光信号と局発光の周波数のオフセットを調整している。本実施形態の光通信システムは、そのような構成に代えて、光信号の周波数を監視し、光信号と局発光の周波数オフセットが設定値になるように光源部から出力される光の周波数を調整することを特徴とする。
光送信装置50の構成について説明する。図14は、本実施形態の光送信装置50の構成を示したものである。光送信装置50は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部14と、周波数モニタ部51と、周波数調整部52を備えている。
本実施形態のクライアント信号入力部11、信号処理部12、信号変調部13および光源部14の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
周波数モニタ部51は、信号処理部12の出力信号の周波数を計測する機能を有する。周波数モニタ部51には、たとえば、信号変調部13の出力信号が光カプラで分岐されて入力される。周波数モニタ部51は、信号変調部13の出力信号の周波数の情報を周波数調整部52に送る。
周波数調整部52は、周波数モニタ部51から送られてくる出力信号の周波数と、光受信装置60から通信路202を介して送られてくる局発光の周波数に基づいて、光源部14が出力する光の周波数のオフセット値を制御する。周波数調整部52は、周波数モニタ部51から送られてくる出力信号の周波数と、光受信装置60から送られてくる局発光の周波数の差、すなわち、周波数オフセットを監視する。周波数調整部52は、周波数オフセットが0にならないように設定されている周波数オフセットの設定値を基に光源部14が出力する光の周波数のオフセット量を制御する。
光受信装置60の構成について説明する。図15は、本実施形態の光受信装置60の構成について示したものである。光受信装置60は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24と、ADC25と、DSP26と、局発光出力部27と、周波数モニタ部61を備えている。
本実施形態のクライアント信号出力部21、PBS22、90度ハイブリッド23、光検出部24、ADC25、DSP26および局発光出力部27の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。すなわち、PBS22として、通信路201を介して入力される光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。また、X偏波を処理する90度ハイブリッド23-1、光検出部24-1およびADC25-1と、Y偏波を処理する90度ハイブリッド23-2、光検出部24-2およびADC25-2がそれぞれ備えられている。
周波数モニタ部61は、局発光出力部27の出力光の周波数を計測する機能を有する。周波数モニタ部61は、局発光出力部27の出力光が、例えば、光カプラで分岐されて入力される。周波数モニタ部61は、局発光出力部27の出力光の周波数の情報を通信路202を介して光送信装置50の周波数調整部52に送る。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムは、光信号と局発光の周波数オフセットを調整する以外の動作では、第2の実施形態の光通信システムと同様に動作する。
本実施形態の光送信装置50において光源部14が出力する周波数を調整する動作について説明する。図16は、光源部14が出力する光の周波数を調整する際の動作フローを示したものである。
始めに、周波数調整部52は、周波数オフセットのターゲットofs_targetを設定する(ステップS31)。周波数オフセットのターゲットofs_targetとは、光源部14が出力する光の周波数と局発光出力部41が出力する光の周波数の差の目標のことをいう。周波数オフセットのターゲットofs_targetは、あらかじめ、周波数調整部52に記憶されている。また、周波数オフセットのターゲットofs_targetは、作業者等によって設定値が入力されてもよい。
周波数オフセットのターゲットofs_targetを設定すると、周波数調整部52は、光信号の周波数オフセットsig_ofs、すなわち、実際に出力される光信号の周波数と光信号の周波数の設定値との差を算出する(ステップS32)。周波数調整部52は、周波数モニタ部51から送られてくる光信号の周波数のモニタ結果を基に光信号の周波数オフセットsig_ofsを算出する。周波数調整部52は、光信号の周波数オフセットを、周波数オフセットsig_ofs=光信号の周波数モニタ値-光信号の周波数設定値として算出する。
光信号の周波数オフセットを算出すると、周波数調整部52は、局発光の周波数オフセットlo_ofs、すなわち、光受信装置60において実際に出力されている局発光の周波数と局発光の周波数の設定値との差を算出する(ステップS33)。周波数調整部52は、周波数モニタ部61から通信路202を介して送られてくる局発光の周波数のモニタ結果を基に局発光の周波数オフセットlo_ofsを算出する。周波数調整部52は、局発光の周波数オフセットを、周波数オフセットlo_ofs=局発光の周波数のモニタ結果-局発光の周波数設定値として算出する。
光信号と局発光のそれぞれの周波数オフセットを算出すると、周波数調整部52は、光信号と局発光の周波数オフセットtotal_ofsを算出する(ステップS34)。周波数調整部52は、光信号と局発光の周波数オフセットを、周波数のオフセットtotal_ofs=光信号の周波数オフセットsig_ofs-局発光の周波数オフセットlo_ofsによって算出する。
光信号と局発光の周波数の差、すなわち、周波数オフセットを算出すると、周波数調整部52は、周波数オフセットのターゲットofs_targetの正負を確認し、光源部14が出力する光の周波数の補正量diffを算出する際の係数SIGNを決定する。
周波数オフセットのターゲットofs_targetの値が0以上のとき(ステップS35でYes)、周波数調整部52は、係数SIGNを+1として設定する(ステップS36)。周波数オフセットのターゲットofs_targetの値が0より小さいとき(ステップS35でNo)、周波数調整部52は、係数SIGNを-1として設定する(ステップS39)。
光源部14が出力する光の周波数の補正量diffを算出する際の係数SIGNを決定すると、周波数調整部52は、周波数オフセットの補正量diffを算出する(ステップS37)。周波数調整部52は、補正量diffをdiff=SIGN×ofs_target-SIGN×total_ofsとして算出する。
周波数の補正量diffを算出すると、周波数調整部52は、光源部14が出力する光の周波数を周波数設定値+SIGN×diffとして算出する(ステップS38)。光源部14が出力する光の周波数を算出すると、周波数調整部52は、算出した周波数の光が出力されるように光源部14を制御する。
本実施形態の光通信システムは、光信号および局発光の周波数を監視し、光信号と局発光との周波数の差である周波数オフセットが設定値となるように周波数調整部52が光源部14から出力される光の周波数を制御している。そのように、光信号と局発光の周波数を0以外の設定値に保ち、光信号と局発光の間で周波数オフセットを有するようにすることでQ-chの信号に生じる雑音を抑制することができる。その結果、本実施形態の光通信システムは、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図17は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、光送信装置70と、光受信装置80を備えている。光送信装置70と光受信装置80は、通信路201および通信路203を介して接続されている。通信路203は、光送信装置70から光受信装置80に制御信号等を送る通信ネットワークである。
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。本実施形態の光通信システムは、光信号と局発光の周波数の計測結果を基に、光信号と局発光の周波数オフセットが設定値になるように光受信装置80の局発光の周波数の制御を行うことを特徴とする。
光送信装置70の構成について説明する。図18は、本実施形態の光送信装置70の構成を示したものである。光送信装置70は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部71と、周波数モニタ部72を備えている。本実施形態のクライアント信号入力部11、信号処理部12および信号変調部13の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
光源部71は、出力する光の周波数のオフセット機能以外は、第2の実施形態の光源部14と同様の機能を有する。すなわち、光源部71は、半導体レーザを備え、所定の周波数の連続光を信号変調部13に出力する。所定の周波数は、光通信ネットワークの波長設計に基づいて割り当てられている。
周波数モニタ部72は、信号処理部12の出力信号の周波数を計測する機能を有する。周波数モニタ部72には、たとえば、信号処理部12の出力信号が光カプラで分岐されて入力される。周波数モニタ部72は、信号処理部12の出力信号の周波数の情報を光受信装置80の周波数調整部82に通信路203を介して送る。
光受信装置80の構成について説明する。図19は、本実施形態の光受信装置80の構成について示したものである。光受信装置80は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24と、ADC25と、DSP26と、局発光出力部27と、周波数モニタ部81と、周波数調整部82を備えている。
本実施形態のクライアント信号出力部21、PBS22、90度ハイブリッド23、光検出部24、ADC25およびDSP26の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。すなわち、PBS22として、通信路201を介して入力される光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。また、X偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-1、光検出部24-1およびADC25-1と、Y偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-2、光検出部24-2およびADC25-2がそれぞれ備えられている。
周波数モニタ部81は、局発光出力部27の出力光の周波数を計測する機能を有する。周波数モニタ部81は、局発光出力部27の出力光が、例えば、光カプラで分岐されて入力される。周波数モニタ部81は、局発光出力部27の出力光の周波数の情報を自装置の周波数調整部82に送る。
周波数調整部82は、光送信装置70の周波数モニタ部72から通信路203を介して送られてくる出力信号の周波数と、自装置の周波数モニタ部81から送られてくる局発光の周波数に基づいて、局発光出力部27が出力する光の周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部82は、光送信装置70から送られてくる光信号の周波数と、局発光の周波数を監視し、オフセットの合計が0にならないように設定された周波数オフセットの設定値を基に局発光出力部27が出力する局発光の周波数のオフセット量を制御する。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムは、光受信装置側で局発光の周波数を制御することで周波数オフセットを調整する以外は、第4の実施形態と同様に動作する。本実施形態の光通信システムでは、光受信装置80の周波数調整部82が光送信装置70から送られてくる光信号の周波数と、自装置で計測された局発光の周波数を基に周波数の差を算出する。周波数調整部82は、光信号と局発光の周波数の差と周波数オフセットの設定値を基に、局発光の周波数を調整する。周波数調整部82は、算出した光信号と局発光の周波数の差と周波数オフセットの設定値が一致するように、局発光出力部27から出力される局発光の周波数を調整する。
本実施形態の光通信システムは、第4の実施形態の光通信システムと同様の効果を有する。すなわち、本実施形態の光通信システムは、光信号および局発光の周波数を監視し、光信号と局発光との周波数の差である周波数オフセットが設定値となるように周波数調整部82が局発光出力部27から出力される光の周波数を制御している。そのように、光信号と局発光の周波数を0以外の設定値に保ち、光信号と局発光の間で周波数オフセットを有するようにすることでQ-chの信号に生じる雑音を抑制することができる。その結果、本実施形態の光通信システムは、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図20は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、光送信装置90と、光受信装置100を備えている。光送信装置90と光受信装置100は、通信路201および通信路202を介して接続されている。
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。第4および第5の実施形態の光通信システムでは、光信号と局発光の周波数を計測することで、周波数差を算出しているが、本実施形態の光通信システムは、光受信装置の信号処理を監視することで光信号と局発光の周波数差の情報を取得することを特徴とする。
光送信装置90の構成について説明する。図21は、本実施形態の光送信装置90の構成を示したものである。光送信装置90は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部14と、周波数調整部91を備えている。
本実施形態のクライアント信号入力部11、信号処理部12、信号変調部13および光源部14の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
周波数調整部91は、光受信装置100の周波数オフセット検出部101から通信路202を介して送られてくる出力信号の周波数と、光受信装置100の局発光の周波数のオフセット量に基づいて、光源部14が出力する光の周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部91は、光受信装置100から送られてくる光信号と局発光の周波数のオフセット量を基に、オフセットの合計が0にならないように光源部14の周波数のオフセット量を制御する。
光受信装置100の構成について説明する。図22は、本実施形態の光受信装置100の構成を示したものである。光受信装置100は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24と、ADC25と、DSP26と、局発光出力部27と、周波数オフセット検出部101を備えている。
本実施形態のクライアント信号出力部21、PBS22、90度ハイブリッド23、光検出部24、ADC25、DSP26および局発光出力部27の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。すなわち、PBS22として、通信路201を介して入力される光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。また、X偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-1、光検出部24-1およびADC25-1と、Y偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-2、光検出部24-2およびADC25-2がそれぞれ備えられている。
周波数オフセット検出部101は、DSP26における受信処理を監視し、光送信装置90が送信する光信号の周波数と、局発光出力部27が出力する局発光の周波数の差を周波数オフセットとして検出する。周波数オフセット検出部101は、検出した光信号と局発光の周波数の差を示す周波数オフセットの情報を、通信路202を介して光送信装置90の周波数調整部91に送る。また、周波数オフセット検出部101は、DSP26の一部としてDSP26と一体化されていてもよい。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。本実施形態の光通信システムは、光信号と局発光の周波数オフセットを調整する以外の動作では、第2の実施形態の光通信システムと同様に動作する。本実施形態の光送信装置90において光源部14が出力する周波数を調整する動作について説明する。図23は、光源部14が出力する光の周波数を調整する際の動作フローを示したものである。
始めに、周波数調整部91は、周波数オフセットのターゲットofs_targetを設定する(ステップS41)。周波数オフセットのターゲットofs_targetとは、光源部14が出力する光の周波数と局発光出力部27が出力する光の周波数の差の目標のことをいう。周波数オフセットのターゲットofs_targetは、あらかじめ、周波数調整部91に記憶されていてもよく、作業者等によって設定値が入力されてもよい。
周波数オフセットのターゲットofs_targetを設定すると、周波数調整部91は、光信号と局発光の周波数オフセットtotal_ofsのデータを取得する(ステップS42)。光信号と局発光の周波数オフセットtotal_ofsのデータは、通信路202を介して光受信装置100の周波数オフセット検出部101から受信する。
光信号と局発光の周波数オフセットのデータを受信すると、周波数調整部91は、周波数オフセットのターゲットofs_targetの正負を確認し、周波数オフセットの補正量diffを算出する際の係数SIGNを決定する。
周波数オフセットのターゲットofs_targetの値が0以上のとき(ステップS43でYes)、周波数調整部91は、係数SIGNを+1として設定する(ステップS44)。周波数オフセットのターゲットofs_targetの値が0より小さいとき(ステップS43でNo)、周波数調整部91は、係数SIGNを-1として設定する(ステップS47)。
補正量diffを算出する際の係数SIGNを決定すると、周波数調整部91は、周波数オフセットの補正量diffを算出する(ステップS45)。周波数調整部91は、補正量diffをdiff=SIGN×ofs_target-SIGN×total_ofsとして算出する。
周波数の補正量diffを算出すると、周波数調整部91は、光源部14が出力する光の周波数を周波数設定値+SIGN×diffとして算出する(ステップS46)。光源部14が出力する光の周波数を算出すると、周波数調整部91は、算出した周波数の光が出力されるように光源部14を制御する。
本実施形態の光通信システムは、光信号および局発光の周波数を周波数オフセット検出部101から取得し、光信号と局発光との周波数の差を示す周波数オフセットが設定値となるように光源部14から出力される光の周波数を制御している。そのように、光信号と局発光の周波数を0以外の設定値に保ち、光信号と局発光の間で周波数オフセットを有するようにすることでQ-chの信号に生じる雑音を抑制することができる。その結果、本実施形態の光通信システムは、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図24は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の光通信システムは、光送信装置110と、光受信装置120を備えている。光送信装置110と、光受信装置120は、通信路201を介して接続されている。
本実施形態の光通信システムは、第2の実施形態と同様に通信路201を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。第6の実施形態の光通信システムは、DSP26における受信信号の処理を周波数オフセット検出部101が監視し、光信号と局発光の周波数の差の情報を取得し、光送信装置において光信号の周波数の調整を行っている。本実施形態の光通信システムは、DSP26における受信信号の処理を周波数オフセット検出部101が監視し、局発光の周波数を調整することで光信号と局発光の周波数オフセットを調整することを特徴とする。
光送信装置110の構成について説明する。図25は、本実施形態の光送信装置110の構成を示したものである。光送信装置110は、クライアント信号入力部11と、信号処理部12と、信号変調部13と、光源部111を備えている。本実施形態のクライアント信号入力部11、信号処理部12および信号変調部13の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
光源部111は、出力する光の周波数のオフセット機能以外は、第2の実施形態の光源部14と同様の機能を有する。すなわち、光源部111は、半導体レーザを備え、所定の周波数の連続光を信号変調部13に出力する。所定の周波数は、光通信ネットワークの波長設計に基づいて割り当てられている。
光受信装置120の構成について説明する。図26は、本実施形態の光受信装置120の構成を示したものである。光受信装置120は、クライアント信号出力部21と、PBS22と、90度ハイブリッド23と、光検出部24と、ADC25と、DSP26と、局発光出力部121と、周波数オフセット検出部122と、周波数調整部123を備えている。
本実施形態のクライアント信号出力部21、PBS22、90度ハイブリッド23、光検出部24、ADC25およびDSP26の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。すなわち、PBS22として、通信路201を介して入力される光信号を偏波分離するPBS22-1と、局発光を偏波分離するPBS22-2が備えられている。また、X偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-1、光検出部24-1およびADC25-1と、Y偏波の信号を処理する90度ハイブリッド23-2、光検出部24-2およびADC25-2がそれぞれ備えられている。
局発光出力部121は、通信路201を介して伝送されてくる光信号と干渉させコヒーレント検波を行う光信号を生成する際に用いる所定の周波数の局発光を生成する。局発光出力部121は、半導体レーザを備え、通信路201を介して伝送されてくる光信号の周波数を基に設定されている周波数の光を出力する。また、局発光出力部121は、所定の周波数を中心周波数として周波数のオフセットを付加した光を出力する。周波数のオフセットは、周波数調整部123によって制御される。
周波数オフセット検出部122は、DSP26における受信処理を監視し、光送信装置110が送信する光信号の周波数と、局発光出力部121が出力する局発光の周波数のオフセット量として検出する。周波数オフセット検出部122は、周波数のオフセット量の情報を自装置の周波数調整部123に送る。また、周波数オフセット検出部122は、DSP26の一部としてDSP26と一体化されていてもよい。
周波数調整部123は、局発光出力部121が出力する局発光の周波数のオフセット量を制御する。周波数調整部123は、周波数オフセット検出部122から送られてくる光信号と局発光の周波数オフセットの情報に基づいて、局発光出力部121が出力する局発光の周波数のオフセット量を制御する。
本実施形態の通信システムでは、光受信装置側で局発光の周波数を制御することで周波数オフセットを調整する以外は第6の実施形態と同様に動作する。本実施形態の光通信システムでは、光受信装置120の周波数調整部123は、周波数オフセット検出部122が検出した光信号と局発光の周波数を差の情報を取得する。周波数調整部123は、光信号の周波数と局発光の周波数の差を示す周波数オフセットの設定値を基に、局発光の周波数を調整する。周波数調整部123は、算出した光信号と局発光の周波数の差と周波数オフセットの設定値が一致するように、局発光出力部121から出力される局発光の周波数を調整する。
本実施形態の光通信システムは、第6の実施形態の光通信システムと同様の効果を有する。すなわち、本実施形態の光通信システムは、光信号および局発光の周波数を周波数オフセット検出部122から取得し、光信号と局発光との周波数の差を示す周波数オフセットが設定値となるように局発光出力部121から出力される光の周波数を制御している。そのように、光信号と局発光の周波数を0以外の設定値に保ち、光信号と局発光の間で周波数オフセットを有するようにすることでQ-chの信号に生じる雑音を抑制することができる。その結果、本実施形態の光通信システムは、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図27は、本実施形態の光通信システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の通信システムは、光送信装置130と、光受信装置140を備えている。光送信装置130と、光受信装置140は、通信路204を介して接続されている。本実施形態の光通信システムは、光送信装置130と光受信装置140の間で、通信路204を介したデジタルコヒーレント方式の光通信を行うネットワークシステムである。
光送信装置側または光受信装置側において光信号または局発光の周波数の調整を行っているが、本実施形態の光通信システムは、光受信装置において、光信号の偏波状態および局発光の位相を調整することで受信品質を向上することを特徴としている。
光送信装置130の構成について説明する。図28は、本実施形態の光送信装置130の構成を示す図である。光送信装置130は、光源部131と、信号処理部132と、信号変調部133と、クライアント信号入力部134を備えている。
光源部131は、所定の周波数の連続光を信号変調部133に出力する。所定の周波数は、光通信ネットワークの波長設計に基づいて割り当てられている。
信号処理部132は、入力されたクライアント信号に冗長化等の処理を施し、通信路201で伝送する際のフレームにマッピングする。
信号変調部133は、光源部131から入力される光に、信号処理部132から入力される信号を基に変調を施し、通信路204に送信する光信号を生成する。本実施形態の信号変調部133は、例えば、BPSK変調方式によって変調を行う。変調方式は、BPSK以外のQPSKや8QAMなど他の多値変調方式であってもよい。
クライアント信号入力部134は、通信路204を介して伝送するクライアント信号の入力ポートである。クライアント信号入力部134に入力されたクライアント信号は、信号処理部132に送られる。
光受信装置140の構成について説明する。図29は、本実施形態の光受信装置140の構成を示したものである。光受信装置140は、制御部141と、PBS142と、90度ハイブリッド143と、光検出部144を備えている。また、光受信装置140は、ADC145と、DSP146と、局発光出力部147と、位相可変部148と、偏波制御部149と、クライアント信号出力部150を備えている。
制御部141は、偏波制御部149における光信号の偏波回転の調整および位相可変部148における局発光の位相の調整動作を制御する機能を有する。制御部141は、光検出部144における光信号のパワーおよび光信号から変換した電気信号を増幅するTIA(Transimpedance Amplifier)のゲイン、ADC145における信号のパワー並びにDSP146におけるBER(Bit Error Ratio)を監視する。制御部141は、BERが所定の基準より小さくなるように、局発光の位相および光信号の偏波回転に変動を加える。
PBS142は、入力された光信号を偏波分離して出力する。PBS142は、光信号を偏波分離するPBS142-1と、局発光を偏波分離するPBS142-2が備えられている。PBS142-1は、通信路204を介して入力された光信号を偏波分離し、X偏波を90度ハイブリッド143-1に出力し、Y偏波を90度ハイブリッド143-2に送る。また、PBS142-2は、局発光出力部147から入力される光を偏波分離し、X偏波を90度ハイブリッド143-1に出力し、Y偏波を90度ハイブリッド143-2に送る。
90度ハイブリッド143は、入力された光信号と局発光を位相が90度異なる2つの経路で合波する。90度ハイブリッド143-1は、PBS142-1から入力される光信号のX偏波成分と、PBS142-2から入力される局発光のX偏波成分を位相が互いに90度異なる2つの経路で合波する。
90度ハイブリッド143-1は、光信号と局発光を位相が90度異なる経路で合波することで生成したI相成分とQ相成分の信号を光検出部144-1に送る。90度ハイブリッド143-2は、PBS142-1から入力される光信号のY偏波成分と、PBS142-2から入力される局発光のY偏波成分を位相が互いに90度異なる2つの経路で合波する。90度ハイブリッド143-2は、光信号と局発光を位相が90度異なる経路で合波することで生成したI相成分とQ相成分の信号を光検出部144-2に送る。
光検出部144は、入力された光信号を電気信号に変換して出力する。光検出部144は、フォトダイオードを用いて構成されている。また、光検出部144は、光信号から変換した電気信号を増幅するTIAを備えている。検出部144-1は、90度ハイブリッド143-1から入力されるX偏波のI相成分とQ相成分の光信号をそれぞれ電気信号に変換しADC145-1に送る。また、光検出部144-2は、90度ハイブリッド143-2から入力されるY偏波のI相成分とQ相成分の光信号をそれぞれ電気信号に変換しADC145-2に送る。
ADC145は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADC145-1は、光検出部144-1から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、DSP146に送る。また、ADC145-2は、光検出部144-2から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、DSP146に送る。
DSP146は、入力された信号の歪み補正、復号および誤り訂正等の受信処理を行ってクライアント信号を復調する。DSP146は、半導体装置によって構成されている。DSP146の受信処理機能は、FPGAを用いて構成されていてもよい。また、DSP146の受信処理機能は、CPUのような汎用プロセッサがコンピュータプログラムを実行することで行われてもよい。DSP146は、復調したクライアント信号をクライアント信号出力部150に送る。
局発光出力部147は、通信路204を介して伝送されてくる光信号と局発光を合波し、光信号と局発光の周波数差に対応する周波数の光信号を生成する際に用いる局発光を生成する。局発光出力部147は、半導体レーザを備え、通信路204を介して伝送されてくる光信号の周波数を基に設定されている周波数の光を出力する。
位相可変部148は、局発光の位相を変化させる機能を有する。位相可変部148は、制御部141の制御に基づいて局発光の位相に変動を加える。
偏波制御部149は、光信号の偏波状態に変動を加える機能を有する。偏波制御部149は、制御部141の制御に基づいて光信号に偏波回転を加える。
通信路204は、光ファイバを用いた光通信ネットワークとして構成されている。通信路204は、光送信装置130から光受信装置140の方向に光信号を伝送する。
本実施形態の光通信システムの動作について説明する。光送信装置130のクライアント信号入力部134に入力されたクライアント信号は、信号処理部132に送られる。
クライアント信号が入力されると、信号処理部132は、クライアント信号を通信路204で伝送する際のフレームにマッピングする。マッピングを行うと、信号処理部132は、マッピングした信号を信号変調部133に送る。
マッピングされたフレームのデータに基づく信号が入力されると、信号変調部133は、光源部131から出力される光に信号処理部132から入力されるフレームのデータに基づいて変調を施す。信号変調部133は、例えば、BPSK方式を用いて電気信号から光信号への変換を行う。信号変調部133は、例えば、BPSK変調方式によって変調を行う。信号変調部133は、BPSK以外のQPSKや8QAMなど他の多値変調方式で電気信号から光信号への変換を行う構成であってもよい。信号変調部133は、変調を施して生成した光信号を通信路204に送信する。
通信路204に送信された光信号は、通信路204を伝送され、光受信装置140に送られる。光受信装置140において受信された光信号は、偏波制御部149に入力される。光信号が入力されると、偏波制御部149は制御部141の制御に基づいて光信号に偏波回転を施す。偏波回転が施された光信号は、PBS142-1に送られる。
光信号が入力されると、PBS142-1は、入力された光信号を偏波分離し、X偏波の光信号を90度ハイブリッド143-1に送り、Y偏波の光信号を90度ハイブリッド143-2に送る。
また、局発光出力部147は、局発光を生成し位相可変部148に出力する。局発光が入力されると、位相可変部148は、制御部141の制御に基づいて局発光の位相に変動を加える。位相可変部148は、位相に変動を加えた局発光をPBS142-2に送る。
PBS142-1から光信号が入力されると、90度ハイブリッド143-1および90度ハイブリッド143-2は、PBS142-1から入力される光信号とPBS142-2から入力される局発光を合波し、I相成分とQ相成分に対応する信号を生成する。90度ハイブリッド143-1および90度ハイブリッド143-2は、生成した光信号を光検出部144-1および光検出部144-2に送る。
光信号が入力されると、光検出部144-1および光検出部144-2は、入力された光信号を電気信号に変換し、ADC145-1およびADC145-2に送る。光信号から変換された電気信号が入力されると、ADC145-1およびADC145-2は、入力された信号をデジタル信号に変換しDSP146に送る。
DSP146に信号が入力されると、DSP146は、入力された信号に受信処理を施してクライアント信号を復調し、復調したクライアント信号をクライアント信号出力部150に送る。クライアント信号出力部150は、入力されたクライアント信号を通信ネットワークや通信装置に出力する。
DSP146において受信処理が行われている際に、制御部141は、DSP146におけるエラー訂正処理を監視し、受信した信号のエラーの数を計測する。本実施形態の制御部141は、エラーの数をBERとして算出する。BERを算出すると、制御部141は、算出したBERが所定の基準内かを確認する。算出したBERが所定の基準以下のとき、制御部141は、局発光の位相の調整および光信号の偏波回転の制御を設定値を変えずに継続する。
算出したBERが所定の基準よりも大きいとき、制御部141は、局発光の位相の調整量および光信号の偏波回転量を変化させる。局発光の位相の調整量および光信号の偏波回転量は、BERの変化量に基づいてあらかじめ設定されている。光受信装置140は、局発光の位相の調整量および光信号の偏波回転量をBERを基に制御することで受信処理を安定化することができる。
光信号の変調方式が4値以上の多値変調の場合について説明する。光信号の変調方式が4値以上の多値変調の場合、受信信号に含まれるシンボルの成分は、図30A、図30B、図30Cおよび図30Dに示すようにX偏波I成分、X偏波Q成分、Y偏波I成分およびY偏波Q成分がそれぞれ含まれた状態となる。4値以上の多値変調方式としては、例えば、図30Aおよび図30Bとして示す偏波多重4値位相変調方式(Polarization Multiplexing - Quadrature Phase Shift Keying;PM-QPSK)や、図30Cおよび図30Dとして示す偏波多重16値直交位相振幅変調信号(Polarization Multiplexing - Sixteen Quadrature Amplitude Modulation;PM-16QAM)が用いられる。
局発光とコヒーレント受信された上記4成分は、それぞれある信号成分を含んでいる。上記4成分は、光検出部144で電気信号に変換されTIAで増幅された後、ADC145においてデジタル信号にサンプリングされる。DSP146は、デジタル信号にサンプリングされた信号を元にデジタル信号処理により電気情報信号を復調する。
しかし、光信号の変調方式が4値より小さい多値変調の場合、受信信号の偏波状態および局発光の位相等により、光電変換されたX偏波I成分、X偏波Q成分、Y偏波I成分およびY偏波Q成分のうち、1成分または2成分がほぼ0に近い状態になることがある。4値より小さい多値変調には、例えば、偏波多重2値位相変調 (Polarization Multiplexing - Binary Phase Shift Keying;PM-BPSK)などが用いられる。図31A、図31B、図31Cおよび図31Dは、偏波多重2値位相変調方式におけるコンスタレーションを示している。図31Aおよび図31Bでは、2成分とも0以外の値になっているのに対し、図31Cおよび図31Dでは、2成分がほぼ0に近い状態になっている。
信号が0に近いチャネルでは、TIAで増幅する際に電気的雑音成分が増幅される。信号が0に近いチャネルでは、信号成分があるチャネルよりも雑音成分が大きくなる。そのため、信号が0に近いチャネルでは、受信SNRが悪化した状態となり、SNRの影響を受ける受信BERが悪化する恐れがある。図32は、信号が0に近いチャネルにおけるBERの時間変化を観測した例を示したものである。
BERの悪化を抑えるためには、特定の偏波状態や局発光の周波数、位相条件にならないように受信する光信号または局発光に微小な変動を与えることが有効である。図33Aおよび図33Bは、局発光の位相に微小変動を与えた場合の偏波多重2値位相変調光の復調シンボルの状態を示したものである。
図33Aおよび図33Bでは、光検出部およびADCにおける4つの信号(XI,XQ、YI、YQ)成分がある値を持って変動している。そのため、TIAで雑音成分が過剰に増幅されることがないため、BERの過剰劣化を抑えることができる。この微小変動による影響は、デジタル信号処理における周波数オフセット補償機能で補償されるため、BERへの影響はない。微小変動を与えた時のBERの時間変化を観測した結果の例を図34に示す。図32で発生していた過剰なBER劣化が抑えられて安定した特性が得られている。このように、光受信装置の局発光の位相に微小変動を加えることで、偏波多重2値位相変調光を受信する場合においても安定した受信特性を得ることができる。
NRZ(Non - Return - to - Zero)信号またはRZ(Return - to - Zero)信号などの強度変調、さらにはm-QAM(m値 Quadrature Amplitude Modulation)などの位相変調と強度変調を組み合わせた変調方式に適用してもよい。
本実施形態の光通信システムは、受信側で局発光の位相の調整および光信号の偏波回転の制御を行っている。そのような構成に対し、送信側の光源の周波数を変動させると、ROADM等に搭載される波長多重・分離の光フィルタ帯域に対する信号占有帯域のずれが生じスペクトル狭窄による信号劣化を起こす恐れがある。また、送信側の光信号または局発光光源の周波数を変動させると、デジタル信号処理における周波数オフセット補償処理にペナルティが発生する恐れがある。一方で、本実施形態の光通信システムのような構成にすることで信号劣化等を抑制することができるので、安定した受信処理を行うことができる。
本実施形態の光通信システムは、光受信装置140の制御部141において検出したBERを基に、局発光の位相の調整および入力された光信号の偏波回転の調整を行っている。BERが適正な値となるように、局発光の位相および光信号の偏波状態の調整をすることで、受信信号に生じるノイズの影響を抑制し受信品質を維持することができる。
第8の実施形態の光受信装置は、図35のような構成としてもよい。図35の光受信装置は、局発光出力部301と、位相調整部302と、偏波制御部303と、合波部304と、光電変換部305と、復調部306と、制御部307を備えている。
局発光出力部301は、入力される光信号の周波数に基づいて設定された周波数の局発光を出力する。位相調整部302は、局発光の位相を調整する。偏波制御部303は、光信号の偏波回転を制御する。合波部304は、位相調整部302から出力された局発光と偏波制御部303から出力された光信号とを合波させる。光電変換部305は、合波部304が合波した光信号を電気信号に変換する。復調部306は、光電変換部305が変換した電気信号を元に復調処理を行う。制御部307は、光信号の受信状態の情報を基に、位相調整部302における局発光の位相の調整または偏波制御部303における光信号の偏波回転の少なくとも一方の実行を制御する。
図35の光受信装置は、光信号の受信状態の情報を基に、位相調整部302における局発光の位相の調整または偏波制御部303における光信号の偏波回転の少なくとも一方の実行を制御している。そのような制御を行うことで、本実施形態の光受信装置は、安定した受信処理を行える受信品質を維持することができる。
第2乃至第8の実施形態の光通信システムでは、光送信装置から光受信装置へ光信号を送信する1方向の通信を行う構成について示している。そのような構成に代えて、各実施形態の光通信システムにおいて双方向の光通信が行われてもよい。双方向の光通信を行う場合には、光信号と局発光の周波数の差である周波数オフセットの制御は、それぞれの方向に対して行われる。また、双方向の通信を行う場合に、エラー情報、光の周波数の情報および光信号と局発光の周波数差の情報などの情報は、対向する装置に送るフレーム内に付加して送信する構成としてもよい。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2018年9月7日に出願された日本出願特願2018-167935を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。