JP7156014B2 - サーミスタ及びこれを備えるガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明はサーミスタに関し、特にガスセンサに応用することが好適なサーミスタに関する。また、本発明は、このようなサーミスタを備えるガスセンサに関する。
ガスセンサは、雰囲気中に含まれる測定対象ガスの濃度を検出するものであり、中でも、ヒータ抵抗によってサーミスタを加熱するタイプのガスセンサは小型化に優れている。例えば、特許文献1に記載されたガスセンサは、ヒータ抵抗によって加熱される2つのサーミスタを備えている。2つのサーミスタの一方は、測定対象ガスの濃度に応じて抵抗値が変化する検知用のサーミスタであり、他方は、測定対象ガスの濃度によって抵抗値が変化しない参照用のサーミスタである。参照用のサーミスタは、外界雰囲気を温度補償するための温度センサとして用いられる。
特開2011-232295号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたガスセンサは、検知用のサーミスタと参照用のサーミスタが積層された構造を有していることから、製造プロセス数が増加するという問題があった。製造プロセス数を削減するためには、検知用のサーミスタと参照用のサーミスタを平面視で異なる位置にそれぞれ配置すればよいが、この場合、ガスセンサの平面サイズが大きくなるという問題が生じる。
したがって、本発明の一つの目的は、ガスセンサに応用することが好適なサーミスタであって、検知用と参照用に兼用可能なサーミスタを提供することである。
また、本発明の別の目的は、1つのサーミスタを用いて検知動作及び参照動作の両方を行うことが可能なガスセンサを提供することである。
本発明によるサーミスタは、サーミスタ膜と、サーミスタ膜に接する複数のサーミスタ電極とを備え、複数のサーミスタ電極のうち所定の2つのサーミスタ電極間の所定温度における抵抗値は、複数のサーミスタ電極のうち別の2つのサーミスタ電極間の所定温度における抵抗値と異なることを特徴とする。
本発明によれば、サーミスタ膜に接する複数のサーミスタ電極のうち、どの2つを選択するかによって測定条件が変化することから、複数の測定条件を1つのサーミスタによって実現することが可能となる。したがって、本発明によるサーミスタをガスセンサに応用すれば、例えば、複数のサーミスタ電極のうち所定の2つを選択した状態で参照動作を行い、複数のサーミスタ電極のうち別の2つを選択した状態で検知動作を行うことが可能となる。
本発明において、複数のサーミスタ電極は第1、第2及び第3のサーミスタ電極を含み、所定の2つのサーミスタ電極は第1及び第2のサーミスタ電極からなり、別の2つのサーミスタ電極は第1及び第3のサーミスタ電極からなるものであっても構わない。これによれば、3つのサーミスタ電極を用いて2種類の測定条件を得ることが可能となる。
本発明において、所定の2つのサーミスタ電極間の第1の温度における抵抗値は、別の2つのサーミスタ電極間の第1の温度とは異なる第2の温度における抵抗値と同じであっても構わない。これによれば、サーミスタ膜を第1又は第2の温度に加熱するヒータ抵抗と、所定の2つのサーミスタ電極又は別の2つのサーミスタ電極を一対の端子電極に接続する第1のスイッチ回路と、一対の端子電極間の抵抗値に基づいて出力信号を生成する検出回路とを備えるガスセンサに応用することにより、製造プロセス数が少なく、且つ、平面サイズの小さいガスセンサを提供することが可能となる。
この場合、ヒータ抵抗は、印加される電圧又は供給される電流が第1の値である場合にサーミスタ膜を第1の温度に加熱し、印加される電圧又は供給される電流が第1の値とは異なる第2の値である場合にサーミスタ膜を第2の温度に加熱するものであっても構わない。或いは、ヒータ抵抗に含まれる第1及び第2の区間の接続関係を直列又は並列に切り替える第2のスイッチ回路をさらに備え、ヒータ抵抗は、第2のスイッチ回路によって第1及び第2の区間が直列に接続されることによってサーミスタ膜を第1の温度に加熱し、第2のスイッチ回路によって第1及び第2の区間が並列に接続されることによってサーミスタ膜を第2の温度に加熱するものであっても構わない。前者によれば、電圧源又は電流源を制御することによって、サーミスタ膜を第1又は第2の温度に加熱することができる。一方、後者によれば、電圧源又は電流源を制御することなく、第2のスイッチ回路によって、サーミスタ膜を第1又は第2の温度に加熱することができる。
このように、本発明によれば、ガスセンサの検知用と参照用に兼用可能なサーミスタを提供することが可能となる。また、本発明によれば、1つのサーミスタを用いて検知動作及び参照動作が可能なガスセンサを提供することが可能となる。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるガスセンサ10の構造を透過的に示す略平面図である。 図2は、ガスセンサ10をセラミックパッケージ21に収容した状態を示す略断面図であり、図1に示すA-A線に沿った断面に対応している。 図3は、ヒータ抵抗MHの平面形状を説明するための模式図である。 図4は、サーミスタ電極31~33の平面形状を説明するための模式図である。 図5は、外部回路の一部を示す回路図である。 図6は、ガスセンサ10の回路図である。 図7は、ガスセンサ10の動作を説明するためのタイミング図である。 図8は、変形例による外部回路の回路図である。 図9は、変形例によるヒータ抵抗MHの平面形状を説明するための模式図である。 図10は、変形例によるヒータ抵抗MHにスイッチ回路SW2a,SW2bを接続した状態を示す図である。 図11は、第1の変形例によるサーミスタ電極31~33の平面形状を説明するための模式図である。 図12は、第2の変形例によるサーミスタ電極31~33の平面形状を説明するための模式図である。 図13は、第3の変形例によるサーミスタ電極34~37の平面形状を説明するための模式図である。 図14は、第4の変形例によるサーミスタ電極34~37の平面形状を説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるガスセンサ10の構造を透過的に示す略平面図である。また、図2は、ガスセンサ10をセラミックパッケージ21に収容した状態を示す略断面図であり、図1に示すA-A線に沿った断面に対応している。
図1及び図2に示すように、本実施形態によるガスセンサ10は、基板11と、基板上11上に形成されたヒータ抵抗MH及びサーミスタRdを備えている。本実施形態によるガスセンサ10は、図2に示すセラミックパッケージ21に収容して使用することができる。セラミックパッケージ21は、上部が開放された箱形のケースであり、上部にはリッド22が設けられている。リッド22は複数の通気口23を有しており、これにより、雰囲気中の測定対象ガス(例えばCOガスやCOガス)がセラミックパッケージ21内に流入可能とされている。本実施形態によるガスセンサ10は、端子電極E1~E5に接続される外部回路をさらに備えている。外部回路の回路構成については後述する。
基板11は、適度な機械的強度を有し、且つ、エッチングなどの微細加工に適した材質であれば特に限定されるものではなく、シリコン単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミック基板、石英基板、ガラス基板などを用いることができる。基板11には、ヒータ抵抗MHによる熱が基板11へ伝導するのを抑制するため、平面視でヒータ抵抗MHと重なる位置にキャビティ11aが設けられている。キャビティ11aにより基板11が取り除かれた部分は、メンブレンと呼ばれる。メンブレンを構成すれば、基板11を薄肉化した分だけ熱容量が小さくなるため、より少ない消費電力で加熱を行うことが可能となる。
基板11の下面及び上面には、酸化シリコン又は窒化シリコンなどの絶縁材料からなる絶縁膜12,13がそれぞれ形成されている。絶縁膜12,13として例えば酸化シリコンを用いる場合には、熱酸化法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの成膜法を用いればよい。絶縁膜12,13の膜厚は、絶縁性が確保される限り特に限定されず、例えば0.1~1.0μm程度とすればよい。特に、絶縁膜13は、基板11にキャビティ11aを形成する際のエッチング停止層としても用いられるため、当該機能を果たすのに適した膜厚とすればよい。
ヒータ抵抗MHは、絶縁膜13上に形成される。ヒータ抵抗MHの平面形状は図3に示す通りであり、一筆書き可能な1本の導体パターンによって構成される。ヒータ抵抗MHの一端及び他端は、基板11に設けられた端子電極E4,E5にそれぞれ接続される。ヒータ抵抗MHのパターン形状については図3に示すパターン形状に限定されず、サーミスタRdを構成するサーミスタ膜30をできるだけ均一に加熱可能なパターン形状であれば、どのようなパターン形状であっても構わない。例えば、ヒータ抵抗MHのパターン形状は、ミアンダ状又は平面スパイラル状であっても構わない。
ヒータ抵抗MHは、温度によって抵抗率が変化する導電性物質からなり、比較的高融点の材料からなる金属材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。また、イオンミリングなどの高精度なドライエッチングが可能である導電材質であることが好ましく、特に、耐腐食性が高い白金(Pt)を主成分とすることがより好適である。また、絶縁膜13との密着性を向上させるために、Ptの下地にチタン(Ti)などの密着層を形成することが好ましい。
ヒータ抵抗MHの上部には、ヒータ保護膜14が形成される。ヒータ保護膜14の材料としては、絶縁膜13と同じ材料を用いることが望ましい。ヒータ抵抗MHは、常温から例えば150℃或いは300℃にまで上昇し、再び常温へ下がるという激しい熱変化を繰り返し生じるため、絶縁膜13及びヒータ保護膜14にも強い熱ストレスがかかり、この熱ストレスを継続的に受けると層間剥離やクラックといった破壊につながる。しかしながら、絶縁膜13とヒータ保護膜14を同じ材料によって構成すれば、両者の材料特性が同じであり、且つ、密着性が強固であることから、異種材料を用いた場合と比べて、層間剥離やクラックといった破壊が生じにくくなる。ヒータ保護膜14の材料として酸化シリコンを用いる場合、熱酸化法やCVD法などの方法により成膜すればよい。ヒータ保護膜14の膜厚は、サーミスタRdとの絶縁が確保される膜厚であれば特に限定されず、例えば0.1~3.0μm程度とすればよい。
ヒータ保護膜14上には、サーミスタRdが設けられる。サーミスタRdは、サーミスタ膜30及びこれに接する複数のサーミスタ電極31~33によって構成される。サーミスタ電極31~33の平面形状は図4に示す通りである。
サーミスタ膜30は、例えば、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ゲルマニウムなどの負の抵抗温度係数を持つ材料からなり、スパッタ法、CVDなどの薄膜プロセスを用いて形成することができる。サーミスタ膜30の膜厚は、目標とする抵抗値に応じて調整すればよく、例えばMnNiCo系酸化物を用いて室温での抵抗値(R25)を2MΩ程度に設定するのであれば、0.2~1μm程度の膜厚に設定すればよい。ここで、感温抵抗素子としてサーミスタ膜30を用いているのは、また、白金測温体などに比べて抵抗温度係数が大きいことから、大きな検出感度を得ることができるためである。また、薄膜構造であることから、ヒータ抵抗MHの発熱を効率よく検出することも可能となる。
サーミスタ電極31~33は、サーミスタ膜30の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質であって、比較的高融点の材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などからなる。図4に示すように、サーミスタ電極31~33の一端はそれぞれ端子電極E1~E3に接続され、サーミスタ電極31~33の他端はいずれも開放されている。
特に限定されるものではないが、サーミスタ電極31は、サーミスタ膜30の外周に沿って約1ターン延在する共通電極である。そして、サーミスタ電極31の外側にサーミスタ電極32が配置され、サーミスタ電極31の内側にサーミスタ電極33が配置されている。サーミスタ電極32は、ギャップG2を介し、サーミスタ電極31に沿って配置されている。サーミスタ電極31に沿ったサーミスタ電極32の長さはL2である。同様に、サーミスタ電極33は、ギャップG3を介し、サーミスタ電極31に沿って配置されている。サーミスタ電極31に沿ったサーミスタ電極33の長さはL3である。そして、本実施形態においては、ギャップG2がギャップG3よりも狭く、且つ、サーミスタ電極31に沿った長さL2が長さL3よりも長いことから、温度が一定であれば、サーミスタ電極31,32間の抵抗値は、サーミスタ電極31,33間の抵抗値よりも低くなる。尚、ギャップG2は長さL2に亘って一定幅であることが好ましく、ギャップG3は長さL3に亘って一定幅であることが好ましい。これは、ギャップG2,G3の幅が一定であれば、ギャップG2,G3を介して流れる電流の密度が一定となるからである。但し、本発明がこれに限定されるものではなく、位置によってギャップG2,G3の幅が変動しても構わない。
サーミスタRdは、サーミスタ保護膜15で覆われる。尚、サーミスタ膜30と還元性を持つ材料を接触させて高温状態にすると、サーミスタ膜30から酸素を奪って還元を引き起こし、サーミスタ特性に影響を与えてしまう。これを防止するためには、サーミスタ保護膜15の材料としては、シリコン酸化膜等の還元性を持たない絶縁性酸化膜であることが望ましい。
端子電極E1~E5は、ボンディングワイヤ16を介して、セラミックパッケージ21に設けられたパッケージ電極17に接続される。パッケージ電極17は、セラミックパッケージ21の裏面に設けられた外部端子18を介して外部回路に接続される。
このように、本実施形態によるガスセンサ10は、ヒータ抵抗MHとサーミスタRdが基板11上において積層された構成を有していることから、ヒータ抵抗MHによって生じる熱がサーミスタRdに効率よく伝わる。
図5は、端子電極E1~E3に接続される外部回路の一部を示す回路図である。
図5に示すように、端子電極E1にはグランド電位が与えられ、端子電極E2,E3はスイッチ回路SW1に接続される。スイッチ回路SW1は、接続ノードNを端子電極E2,E3のいずれか一方に接続する回路である。これにより、スイッチ回路SW1によって端子電極E2が選択されると、接続ノードNとグランドからなる一対の端子電極は、サーミスタ電極31,32を介して接続され、逆に、スイッチ回路SW1によって端子電極E3が選択されると、接続ノードNとグランドからなる一対の端子電極は、サーミスタ電極31,33を介して接続される。これにより、スイッチ回路SW1を切り替えることにより、サーミスタRdの特性が変化することになる。
図6は、本実施形態によるガスセンサ10の回路図である。
図6に示すように、接続ノードNは基準抵抗41を介して電源Vccに接続される。また、ヒータ抵抗MHには可変電圧源42が接続されている。可変電圧源42は、図5に示したスイッチ回路SW1の切り替えに同期して、制御回路40によって出力電圧が2段階に切り替えられる。具体的には、制御回路40によってスイッチ回路SW1が端子電極E2を選択している場合には、可変電圧源42の出力電圧はV2に設定され、制御回路40によってスイッチ回路SW1が端子電極E3を選択している場合には、可変電圧源42の出力電圧はV3(>V2)に設定される。これにより、スイッチ回路SW1が端子電極E2を選択している場合よりも、スイッチ回路SW1が端子電極E3を選択している場合の方が、ヒータ抵抗MHによる加熱温度が高くなる。
さらに、接続ノードNは、スイッチ回路SW0を介してサンプルホールド回路43,44のいずれか一方に接続される。スイッチ回路SW0の切り替えは、制御回路40によりスイッチ回路SW1の切り替えに同期して行われる。具体的には、スイッチ回路SW1が端子電極E2を選択している場合には、スイッチ回路SW0はサンプルホールド回路43を選択し、スイッチ回路SW1が端子電極E3を選択している場合には、スイッチ回路SW0はサンプルホールド回路44を選択する。サンプルホールド回路43,44に保持された電圧レベルは、検出回路であるコンパレータ45に供給され、その差分に基づいて出力信号Voutが生成される。
図7は、本実施形態によるガスセンサ10の動作を説明するためのタイミング図である。
図7に示す例では、期間T1においては、可変電圧源42の出力電圧がV2に設定され、これにより、サーミスタ膜30は例えば150℃に加熱される。一方、期間T2においては、可変電圧源42の出力電圧がV3に設定され、これにより、サーミスタ膜30は例えば300℃に加熱される。期間T1と期間T2は、交互に繰り返される。ここで、測定対象ガスがCOガスである場合、150℃の環境下ではCOガスの熱伝導率は空気の熱伝導率と大きく異なる一方、300℃の環境下ではCOガスの熱伝導率は空気の熱伝導率とほとんど差がない。この場合、期間T1は、COガスの濃度を検知可能な検知期間であり、期間T2は、COガスの濃度にかかわらず環境温度を参照する参照期間である。
さらに、期間T1においては、スイッチ回路SW1が端子電極E2側に接続され、スイッチ回路SW0がサンプルホールド回路43側に接続される。一方、期間T2においては、スイッチ回路SW1が端子電極E3側に接続され、スイッチ回路SW0がサンプルホールド回路44側に接続される。ここで、可変電圧源42の出力電圧がV2に設定され、これによりサーミスタ膜30が例えば150℃に加熱された状態における端子電極E1,E2間の抵抗値と、可変電圧源42の出力電圧がV3に設定され、これによりサーミスタ膜30が例えば300℃に加熱された状態における端子電極E1,E3間の抵抗値は、互いに同じ抵抗値となるよう設計される。
このような設計は、ギャップG2,G3の幅、並びに、長さL2,L3を調整することにより実現可能である。上述の通り、サーミスタ膜30は負の抵抗温度係数を有しているため、可変電圧源42の出力電圧がV2に設定され、これによりサーミスタ膜30が例えば150℃に加熱されている状態におけるサーミスタ膜30の抵抗値よりも、可変電圧源42の出力電圧がV3に設定され、これによりサーミスタ膜30が例えば300℃に加熱されている状態におけるサーミスタ膜30の抵抗値の方が低い。しかしながら、本実施形態においては、ギャップG2がギャップG3よりも狭く、且つ、サーミスタ電極31に沿った長さL2が長さL3よりも長いことから、各温度(例えば150℃及び300℃)におけるサーミスタRdの抵抗値をほぼ一致させることが可能となる。
そして、サーミスタ膜30が例えば150℃に加熱されている期間T1においては接続ノードNがサンプルホールド回路43に接続され、サーミスタ膜30が例えば300℃に加熱されている期間T2においては接続ノードNがサンプルホールド回路44に接続される。サンプルホールド回路43,44には、制御回路40からサンプリングクロック信号CLK1,CLK2がそれぞれ供給され、サンプルホールド回路43,44はこれに基づいてサンプリング動作を行う。その結果、サンプルホールド回路43の出力レベルは、期間T1に活性化するサンプリングクロック信号CLK1に同期して変化し、サンプルホールド回路44の出力レベルは、期間T2に活性化するサンプリングクロック信号CLK2に同期して変化する。そして、コンパレータ45は、サンプリングクロック信号CLK1に同期して出力信号Voutを変化させる。
サンプルホールド回路44の出力レベルは、サーミスタ膜30が例えば300℃に加熱されている状態における接続ノードNのレベルに相当し、これは測定対象である例えばCOガスの濃度に依存しない、現在の環境温度に対応した参照レベルVrefである。これに対し、サンプルホールド回路43の出力レベルは、サーミスタ膜30が例えば150℃に加熱されている状態における接続ノードNのレベルに相当し、これは測定対象である例えばCOガスの濃度に応じた検知レベルVdetである。したがって、これら参照レベルVrefと検知レベルVdetをコンパレータ45によって比較し、その差分に基づいて出力信号Voutを生成すれば、出力信号Voutは、環境温度による影響が排除された状態における測定対象ガスの濃度を正確に示すことになる。
このように、本実施形態によるガスセンサ10は、ヒータ抵抗MHによる加熱温度を2段階(例えば150℃及び300℃)に切り替えるとともに、各温度(例えば150℃及び300℃)におけるサーミスタRdの抵抗値がほぼ一致するよう、複数のサーミスタ電極31~33及びこれに接続されたスイッチ回路SW1を備えていることから、一つのサーミスタRdによって参照動作と検知動作の両方を時分割で実行することができる。これにより、1つのガスセンサ内に複数のサーミスタを形成する必要がなくなることから、製造プロセスを簡素化することができるとともに、ガスセンサの平面サイズを小型化することが可能となる。
尚、図7に示す動作では、期間T1と期間T2の間にインターバルが存在しないが、実際には、期間T1と期間T2の間にヒータ抵抗MHを加熱しないインターバル期間を設けることによって、消費電力を削減することが好ましい。
また、図6に示す回路例では、ヒータ抵抗MHを可変電圧源42に接続しているが、図8に示すように、ヒータ抵抗MHを可変電流源46に接続しても構わない。可変電流源46は、図5に示したスイッチ回路SW1の切り替えに同期して、制御回路40によって出力電流が2段階に切り替えられる。具体的には、制御回路40によってスイッチ回路SW1が端子電極E2を選択している場合には、可変電流源46の出力電流はI2に設定され、制御回路40によってスイッチ回路SW1が端子電極E3を選択している場合には、可変電流源46の出力電流はI3(>I2)に設定される。これにより、期間T1において可変電流源46の出力電流をI2に設定すれば、サーミスタ膜30を例えば150℃に加熱することができ、期間T2において可変電流源46の出力電流をI3に設定すれば、サーミスタ膜30を例えば300℃に加熱することができる。このように、ヒータ抵抗MHによる加熱温度の切り替えは、印加する電圧を変化させることにより行っても構わないし、供給する電流を変化させることにより行っても構わない。
さらに、ヒータ抵抗MHに印加する電圧又は供給する電流を変化させるのではなく、ヒータ抵抗MHを構成する電流パスを切り替えることによって加熱温度の切り替えを行うことも可能である。例えば、図9に示すヒータ抵抗MHは、一筆書き可能なヒータ抵抗MHの中間点MH0を端子電極E6に接続している。これにより、ヒータ抵抗MHは、端子電極E4,E6間に接続された第1の区間MH1と、端子電極E5,E6間に接続された第2の区間MH2に分けられる。そして、図10に示すように、可変電流源46を端子電極E5,E6のいずれか一方に接続するスイッチ回路SW2aを設けるとともに、端子電極E4,E5を短絡するスイッチ回路SW2bを設け、制御回路40によってこれらスイッチ回路SW2a,SW2bを切り替えれば、加熱温度を切り替えることができる。つまり、スイッチ回路SW2aを端子電極E5側に接続するとともにスイッチ回路SW2bをオフにすれば、第1の区間MH1と第2の区間MH2が直列に接続され、逆に、スイッチ回路SW2aを端子電極E6側に接続するとともにスイッチ回路SW2bをオンにすれば、第1の区間MH1と第2の区間MH2が並列に接続される。これにより、ヒータ抵抗MHの抵抗値が変化することから、ヒータ抵抗MHに流れる電流量が一定であっても、加熱温度を切り替えることが可能となる。
また、サーミスタ電極31~33のレイアウトについても図4及び図5に示すレイアウトに限定されるものではなく、図11に示すレイアウトであっても構わない。図11に示すレイアウトは、サーミスタ電極32の外側にサーミスタ電極31を配置し、サーミスタ電極32の内側にサーミスタ電極33を配置するものである。このように、本発明において、共通電極であるサーミスタ電極31が平面視でサーミスタ電極32,33に挟まれていることは必須でない。
さらに、本発明において、ギャップG2とギャップG3の幅が相違している点も必須ではなく、図12に示す例のように、ギャップG2とギャップG3の幅が同じであっても構わない。図12に示す例では、ギャップG2とギャップG3の幅が同じであるが、サーミスタ電極31に沿ったサーミスタ電極32の長さがL2であり、サーミスタ電極31に沿ったサーミスタ電極33の長さがL3(<L2)であることから、所定温度における端子電極E1,E2間の抵抗値は、所定温度における端子電極E1,E3間の抵抗値よりも低くなる。
また、本発明において、共通電極であるサーミスタ電極31を用いることは必須でなく、図13に示す例のように、4つのサーミスタ電極34~37を用い、これらをそれぞれ端子電極E7~E10に接続しても構わない。この場合、例えば端子電極E8,E10にグランド電位を与え、スイッチ回路SW1を用いて端子電極E7,E9のいずれか一方を接続ノードNに接続すればよい。さらに、図14に示す例のように、サーミスタ電極34,35を櫛歯状に分岐させ、これらが噛み合うようレイアウトしても構わない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、サーミスタが2種類の測定条件を有する例を説明したが、切り替え可能な測定条件が2種類に限られるものではなく、3種類以上の測定条件に切り替え可能に構成することも可能である。
10 ガスセンサ
11 基板
11a キャビティ
12,13 絶縁膜
14 ヒータ保護膜
15 サーミスタ保護膜
16 ボンディングワイヤ
17 パッケージ電極
18 外部端子
21 セラミックパッケージ
22 リッド
23 通気口
30 サーミスタ膜
31~37 サーミスタ電極
40 制御回路
41 基準抵抗
42 可変電圧源
43,44 サンプルホールド回路
45 コンパレータ
46 可変電流源

Claims (3)

  1. サーミスタ膜及び前記サーミスタ膜に接する複数のサーミスタ電極を備えるサーミスタであって、前記複数のサーミスタ電極のうち所定の2つのサーミスタ電極間の所定温度における抵抗値が前記複数のサーミスタ電極のうち別の2つのサーミスタ電極間の前記所定温度における抵抗値と異なり、且つ、前記所定の2つのサーミスタ電極間の第1の温度における抵抗値が前記別の2つのサーミスタ電極間の前記第1の温度とは異なる第2の温度における抵抗値と同じであるサーミスタと、
    前記サーミスタ膜を前記第1又は第2の温度に加熱するヒータ抵抗と、
    前記所定の2つのサーミスタ電極又は前記別の2つのサーミスタ電極を一対の端子電極に接続する第1のスイッチ回路と、
    前記一対の端子電極間の抵抗値に基づいて出力信号を生成する検出回路と、を備えることを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記ヒータ抵抗は、印加される電圧又は供給される電流が第1の値である場合に前記サーミスタ膜を前記第1の温度に加熱し、印加される電圧又は供給される電流が前記第1の値とは異なる第2の値である場合に前記サーミスタ膜を前記第2の温度に加熱することを特徴とする請求項に記載のガスセンサ。
  3. 前記ヒータ抵抗に含まれる第1及び第2の区間の接続関係を直列又は並列に切り替える第2のスイッチ回路をさらに備え、
    前記ヒータ抵抗は、前記第2のスイッチ回路によって前記第1及び第2の区間が直列に接続されることによって前記サーミスタ膜を前記第1の温度に加熱し、前記第2のスイッチ回路によって前記第1及び第2の区間が並列に接続されることによって前記サーミスタ膜を前記第2の温度に加熱することを特徴とする請求項に記載のガスセンサ。
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