JP7152937B2 - 研削方法及び研削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を研削する研削方法及び研削装置に関する。
研削装置では、保持テーブルが保持した半導体ウェーハ等の板状の被加工物に回転する研削砥石を接触させて研削している。被加工物が樹脂や軟らかい金属等の場合、研削砥石の研削面に樹脂や金属が研削された研削屑が付着する。そのため、研削砥石の研削力が落ちて研削が続行できないという問題があり、この問題を解決するために、特許文献1に記載のように、研削砥石の研削面に水と粉体(例えば砥粒)とを混合させた混合物を吹きかけて、研削面に付着した研削屑を除去している。
特開2016-179533号公報
しかし、特許文献1に記載されている研削装置では、ノズルから混合物を噴出させているため、粉体がノズルの噴出口を削ってしまうという問題があり、噴出口の形状が変化したことで、混合物の吹きかけによって研削屑を研削面から適切に除去できなくなるという問題がある。
よって、混合物を研削砥石の研削面に吹きかけ研削屑を除去する場合には、ノズルの噴出口の変形を防ぎ、研削砥石の研削面から研削屑を継続的に適切に除去できるようにするという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、研削砥石を環状に配設した研削ホイールを回転させ、被加工物に該研削砥石の研削面の一部を接触させ被加工物を研削する研削方法であって、被加工物からオーバーハングした該研削面に向かって高圧水供給ノズルから高圧水を吹きかけると共に、該高圧水供給ノズルから外部に噴出された高圧水の軌道上に向けて砥粒を含んだエアを噴出し、該高圧水供給ノズルの外部において該高圧水と該砥粒を含んだエアとを混合させ、該高圧水と該エアと該砥粒との混合物を該研削面に吹きかけながら被加工物を研削する研削方法である。
前記砥粒の粒径は、前記研削砥石に含まれる砥粒の粒径以下であると好ましい。
本発明に係る研削方法においては、前記混合物を間欠的に生成すると好ましい。
また、上記課題を解決するための本発明は、被加工物を保持する保持手段と、研削砥石を環状に配設した研削ホイールを回転させ被加工物に該研削砥石の研削面の一部を接触させ被加工物を研削する研削手段と、を備える研削装置であって、被加工物からオーバーハングした該研削面に高圧水を吹きかける高圧水供給ノズルと、該高圧水供給ノズルから噴出された高圧水の軌道上に向けて砥粒を含んだエアを噴出し、該高圧水供給ノズルの外部において該高圧水と該砥粒を含んだエアとを混合させる砥粒供給ノズルと、該砥粒供給ノズルに砥粒を供給する砥粒供給手段と、を備え、該砥粒供給手段は、該砥粒供給ノズルとエア源とを連通する第1の配管と、該第1の配管に配設されエアの流速で負圧を生成する負圧生成部と、該負圧生成部と砥粒供給源とを連通し該負圧生成部で生成された負圧で該砥粒を吸引し該第1の配管へと導く第2の配管と、を備えた研削装置である。
前記第1の配管にバルブを備え、該バルブをON又はOFFさせて間欠的にエアの供給を行って間欠的に前記高圧水と該エアと前記砥粒との混合物を生成すると好ましい。
本発明に係る研削方法は、被加工物からオーバーハングした研削面に向かって高圧水供給ノズルから高圧水を吹きかけると共に、高圧水供給ノズルと研削面との間で高圧水に砥粒を含んだエアを混合させ、高圧水とエアと砥粒との混合物を研削面に吹きかけながら被加工物を研削するため、高圧水を噴出させるノズルの噴出口が砥粒により変形(磨耗)してしまうことを防ぎ、研削砥石の研削面から研削屑を継続的に適切に除去できるようになる。
砥粒供給ノズルから供給する砥粒の粒径を、研削砥石に含まれる砥粒の粒径以下とすることで、研削砥石の気孔に溜まった研削屑を気孔から効率よく排除することが可能となる。
本発明に係る研削方法において、研削砥石の研削面に吹きかける混合物を間欠的に生成することで、研削砥石の研削力が落ちている場合、即ち、研削面に研削屑が多く付着している場合に混合物を研削面に吹きかけ、研削砥石の研削力が落ちていない場合には高圧水を研削面に吹きかけることで、砥粒の無駄な使用を減らすことが可能となる。
本発明に係る研削装置は、被加工物からオーバーハングした研削砥石の研削面に高圧水を吹きかける高圧水供給ノズルと、高圧水供給ノズルと研削砥石の研削面との間で高圧水に砥粒を混合するように供給する砥粒供給ノズルと、砥粒供給ノズルに砥粒を供給する砥粒供給手段と、を備え、砥粒供給手段は、砥粒供給ノズルとエア源とを連通する第1の配管と、第1の配管に配設されエアの流速で負圧を生成する負圧生成部と、負圧生成部と砥粒供給源とを連通し負圧生成部で生成された負圧で砥粒を吸引し第1の配管へと導く第2の配管と、を備えているため、高圧水供給ノズルの噴出口の砥粒による変形(磨耗)を防ぐことができ、研削砥石の研削面から研削屑を継続的に適切に除去できるようになる。
なお、本発明に係る研削装置及び研削方法において研削砥石の研削面に研削屑が付着しない場合には、研削面をエアと高圧水と砥粒との混合物でドレッシングすることが可能である。
例えば、被加工物が硬い場合、接着力の強い接着剤で砥粒を接着させた研削砥石を用いているが、接着力が強いため砥粒が研削面から脱落せず、そのため砥粒が摩滅して研削力が低下する。そこで、研削面から砥粒を脱落させるために、ノズルの噴出口の変形を防ぎつつ混合物を研削面に吹きかけ、接着剤を除去して摩滅した砥粒を脱落させ新たな砥粒を研削面に表出させるドレッシングを行うことで、被加工物に対する良好な研削加工を継続的に実施することが可能となる。
本発明に係る研削装置においては、第1の配管にバルブを備え、バルブをON又はOFFさせて間欠的にエアの供給を行って間欠的に高圧水とエアと砥粒との混合物を生成することで、研削砥石の研削力が落ちている場合、即ち、研削面に研削屑が多く付着している場合に混合物を研削面に吹きかけ、研削砥石の研削力が落ちていない場合には高圧水を研削面に吹きかけることで、砥粒の無駄な使用を減らすことが可能となる。
研削装置の一例を示す斜視図である。 研削装置の要部の一例を示す断面図である。 負圧生成部の別例を示す断面図である。 研削加工中の研削砥石の研削面に高圧水とエアと砥粒との混合物が吹きかけられている状態を説明する側面図である。
図1に示す本発明に係る研削装置1は、保持手段30上に保持された被加工物Wを研削手段7によって研削する装置である。研削装置1のベース10上の前方(-Y方向側)は、保持手段30に対して被加工物Wの着脱が行われる領域であり、ベース10上の後方(+Y方向側)は、研削手段7によって保持手段30上に保持された被加工物Wの研削が行われる領域である。
被加工物Wは、例えば、外形が円形板状で基板上に積層された複数のデバイスチップが樹脂で封止されて構成されるパッケージ基板である。即ち、図1において上側を向いている被加工物Wの被研削面Wbは樹脂封止されている。なお、被加工物Wは樹脂基板、又はシリコン、ガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム若しくはシリコンカーバイド等からなるウェーハであってもよい。
被加工物Wを保持する保持手段30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。吸着部300は図示しない吸引源に連通し、吸着部300の露出面である保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。保持面300aは、保持手段30の回転中心を頂点とする極めて緩やか傾斜を備える円錐面に形成されている。
保持手段30はZ軸方向の軸心周りに回転可能であると共に、図示しない移動手段によってY軸方向に往復移動可能となっている。また、保持手段30の下方には、傾き調整機構31が配設されている。傾き調整機構31は、保持手段30の保持面300aの水平面(X軸Y軸平面)に対する傾きを調節することができる。
研削領域には、コラム11が立設されており、コラム11の前面には研削手段7を保持手段30に対して離間又は接近するZ軸方向(鉛直方向)に研削送りする研削送り手段5が配設されている。研削送り手段5は、鉛直方向の軸心を有するボールネジ50と、ボールネジ50と平行に配設された一対のガイドレール51と、ボールネジ50の上端に連結しボールネジ50を回動させるモータ52と、内部のナットがボールネジ50に螺合し側部がガイドレール51に摺接する昇降板53とを備えており、モータ52がボールネジ50を回動させると、これに伴い昇降板53がガイドレール51にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板53に固定された研削手段7がZ軸方向に研削送りされる。
保持手段30に保持された被加工物Wを研削する研削手段7は、軸方向がZ軸方向であるスピンドル70と、スピンドル70を回転可能に支持するハウジング71と、スピンドル70を回転駆動するモータ72と、スピンドル70の下端に接続された円環状のマウント73と、マウント73の下面に着脱可能に装着された研削ホイール74と、ハウジング71を支持し研削送り手段5の昇降板53にその側面が固定されたホルダ75とを備える。
研削ホイール74は、ホイール基台741と、ホイール基台741の底面に環状に配置された略直方体形状の複数の研削砥石740とを備える。研削砥石740は、適宜のバインダー(接着剤)でダイヤモンド砥粒(例えば、番手♯2000~♯4000)等が固着されて成形されており、主にその下面が研削面740aとなる。
スピンドル70の軸心線上には研削ホイール74の回転中心が位置しており、スピンドル70が回転することで、研削ホイール74は研削ホイール74の中心を軸にしてZ軸方向の軸心周りに回転する。
スピンドル70の内部には、図示しない研削水供給源に連通し研削水の通り道となる流路70aが、スピンドル70の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、流路70aは、さらにマウント73を通り、ホイール基台741の底面において研削砥石740に向かって研削水を噴出できるように開口している。
図1、2に示すように、被加工物Wの研削時において、研削手段7の研削砥石740の回転中心が被加工物Wの回転中心に対して所定距離だけ水平方向にずれ、研削砥石740の回転軌道が被加工物Wの回転中心を通るように被加工物Wが位置付けられる。即ち、研削砥石740の一部は、被加工物Wからオーバーハングした状態になる。
研削装置1は、研削時に保持手段30に保持された被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに高圧水を吹きかける高圧水供給ノズル20と、高圧水供給ノズル20と研削面740aとの間で高圧水に砥粒を混合するように供給する砥粒供給ノズル21と、砥粒供給ノズル21に砥粒を供給する砥粒供給手段22と、を備えている。
高圧水供給ノズル20は、例えば、直進ノズルであり、研削位置まで降下した状態の研削ホイール74に隣接する位置(例えば、ベース10上)に配設されている。高圧水供給ノズル20の噴出口20aは、例えば、保持手段30に保持された被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに向かって少しだけ斜め下方から対向している。なお、高圧水供給ノズル20の研削砥石740の研削面740aに対する角度は変更可能となっている。
高圧水供給ノズル20は、図1、2に示す純水等を溜めた水源29に水流路290を介して連通しており、ポンプ291により水源29から吸い上げられた水が送給される。
図2に示すように、砥粒供給ノズル21は、例えば、略逆L字状の外形を備えており、その噴出口21aは高圧水供給ノズル20の高圧水の噴出軌道に対して径方向外側から対向している。砥粒供給ノズル21の下端側は砥粒供給手段22の負圧生成部223に連通している。
図1、2に示す砥粒供給手段22は、砥粒供給ノズル21とコンプレッサー等からなるエア源28とを連通する第1の配管221と、第1の配管221に配設されエアの流速で負圧を生成する負圧生成部223と、負圧生成部223と砥粒供給源26とを連通し負圧生成部223でエジェクター効果により生成された負圧で砥粒を吸引し第1の配管221へと導く第2の配管222と、を備えている。
図2に示すように、第2の配管222は、負圧生成部223に対して略垂直に連通されている。負圧生成部223は、その内部に径が絞られた流路を備えており、負圧生成部223に至ったエアがこの径の絞られた流路を通過して砥粒供給ノズル21に流れていくことで、負圧生成部223により、第2の配管222を介して砥粒供給源26から砥粒を吸引する負圧が生成される。
負圧生成部223は、図2に示す形状の例に限定されるものではない。例えば、図3に示す負圧生成部225を砥粒供給手段22が備えるものとしてもよい。負圧生成部225は、内部に砥粒供給ノズル21側に向かって縮径するテーパノズル部225aを備えており、テーパノズル部225aの外周側に形成される略環状の空間225bに、第2の配管222が略垂直に連通されている。負圧生成部225内部のテーパノズル部225aよりも砥粒供給ノズル21側の空間はディフューザー部225cとなっている。
負圧生成部225は、テーパノズル部225aからディフューザー部225cに向かって流速が速められたエアが高圧噴射されることで、空間225bに真空雰囲気を生成し第2の配管222に連通する砥粒供給源26から砥粒を吸引する。エアは吸引された砥粒を同伴混合しながらディフューザー部225cを砥粒供給ノズル21に向かって流れていく。
図1、2に示す砥粒供給源26には、粉体状の砥粒、例えば、番手♯1000~♯4000のGC砥粒(グリーンカーボン砥粒)、CBN砥粒、又はアルミナ砥粒等が溜められている。なお、砥粒供給源26から砥粒供給ノズル21に供給される砥粒の粒径は、研削砥石740に含まれる砥粒の粒径以下であると好ましい。即ち、砥粒供給源26から砥粒供給ノズル21に供給される砥粒の番手は、研削砥石740に含まれる砥粒の番手以上であると好ましい。
図1に示すように、研削装置1は、例えば、装置全体の制御を行う制御手段9を備えている。制御手段9は、制御プログラムに従って演算処理するCPU及びメモリ等の記憶部90を備えており、研削送り手段5及び研削手段7等に電気的に接続されている。そして、制御手段9の制御の下で、研削送り手段5による研削手段7のZ軸方向への研削送り動作、及び研削手段7における研削ホイール74の回転動作等が制御される。
例えば、研削手段7のモータ72には、モータ72の負荷電流値を検出する電流計79が電気的に接続されており、電流計79が読み取った負荷電流値についての情報は制御手段9に送信される。
本実施形態の研削装置1は、例えば、第1の配管221にバルブ25を備えている。バルブ25は、ソレノイド(電磁石)バルブであり、第1の配管221がエア源28に連通する状態(ON状態)と連通していない状態(OFF状態)とを切り換える機能を有している。そして、バルブ25には制御手段9が電気的に接続されており、制御手段9によってバルブ25に通電がなされ開閉(ON/OFF)を切り換える制御が行われる。
以下に、上述した研削装置1を用いて本発明に係る研削方法を実施して図1に示す被加工物Wを研削する場合の、研削装置1の動作について説明する。
まず、研削装置1の着脱領域において、被加工物Wが、被研削面Wbを上側に向けて、保持面300aの中心と被加工物Wの中心とが略合致するように保持手段30の保持面300a上に載置される。そして、図示しない吸引源が作動して生み出された吸引力が保持面300aに伝達されることで、保持手段30により被加工物Wが保持される。
また、緩やかな円錐面である保持面300aが研削砥石740の研削面740aに対して平行になるように、傾き調整機構31によって保持手段30の傾きが調整されることで、円錐面である保持面300aにならって吸引保持されている被加工物Wの被研削面Wbが、研削面740aに対して平行になる。
被加工物Wを保持した保持手段30が、研削手段7の下まで+Y方向へ送られて、研削ホイール74と保持手段30に保持された被加工物Wとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、研削ホイール74の回転中心が被加工物Wの回転中心に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削砥石740の回転軌跡が被加工物Wの回転中心を通るように行われる。そして、研削砥石740は、被加工物Wからオーバーハングした状態になる。
また、図2に示すように、モータ72がスピンドル70を+Z方向から見て例えば反時計回り方向に所定の回転速度(例えば、1000rpm~2000rpm)で回転駆動し、これに伴って研削ホイール74が回転する。また、研削手段7が研削送り手段5により-Z方向へと所定の速度で研削送りされ、回転する研削砥石740が被加工物Wの被研削面Wbに当接することで研削が行われる。研削中は、保持手段30が+Z方向から見て反時計回り方向に例えば200rpm~300rpmで回転するのに伴って、保持面300a上に保持された被加工物Wも回転するので、研削砥石740が被研削面Wb全面の研削加工を行う。また、研削水が研削砥石740と被研削面Wbとの接触部位に対して図1に示す流路70aを介して供給され、接触部位が冷却・洗浄される。
図2、4に示すように、研削加工中において、高圧水供給ノズル20の噴出口20aは、保持手段3が保持する被加工物Wから+Y方向側にオーバーハングした(はみ出した)研削加工中の研削砥石740の研削面に対向している。例えば、図4に示すように、高圧水供給ノズル20は、研削砥石740の回転方向に対して逆方向に少しだけ傾けられているとよい。
そして、水源29の水がポンプ291により水流路290に例えば圧力8MPa~15MPaで送出され、該高圧水は高圧水供給ノズル20の噴出口20aから上方に噴出する。そして、被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに向かって高圧水供給ノズル20から高圧水が吹きかけられる。
また、第1の配管221のバルブ25が開かれた状態で、エア源28がエアを第1の配管221に例えば圧力0.4MPa~0.5MPaで供給する。第1の配管221を流れるエアの流速で負圧生成部223において負圧が生成されて、砥粒供給源26から砥粒が吸引される。そして、砥粒供給ノズル21を砥粒とエアとの混合流体が噴出口21aに向かって流れていき、噴出口21aから該混合流体が高圧水供給ノズル20から噴出する高圧水の軌道上に向かって噴出する。
その結果、図2、4に示すように、高圧水の流れにエアと砥粒との混合流体が乗って、高圧水供給ノズル20と研削砥石740の研削面740aとの間で高圧水に砥粒を含んだエアが混合されて、高圧水とエアと砥粒との混合物が研削面740aに吹きかけられる。
上記のように本発明に係る研削方法は、被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに向かって高圧水供給ノズル20から高圧水を吹きかけると共に、高圧水供給ノズル20と研削面740aとの間で高圧水に砥粒を含んだエアを混合させ、高圧水とエアと砥粒との混合物を研削面740aに吹きかけながら被加工物Wを研削するため、高圧水供給ノズル20の噴出口20aが砥粒により変形(磨耗)してしまうことを防ぐことができる。また、混合物によって、研削砥石740の研削面740aにこびりついた研削屑(例えば、樹脂)を継続的に適切に除去できるようになり、研削面740aの接着剤が除去され研削砥石740の砥粒が研削面740aから突出する突出量が増やされたり、研削面740aから突出し過ぎている砥粒を脱落させたりするなどして、適切な自生発刃を促すことが可能となる。
砥粒供給源26から砥粒供給ノズル21に供給される砥粒の粒径を、研削砥石740に含まれる砥粒の粒径以下とする、即ち、砥粒供給源26から砥粒供給ノズル21に供給される砥粒の番手を、研削砥石740に含まれる砥粒の番手以上とすることで、研削砥石740の気孔に溜まった研削屑を気孔から効率よく排除することが可能となる。
例えば、高圧水とエアと砥粒との混合物を継続的に生成し、被加工物Wの研削加工中に高圧水とエアと砥粒との混合物を研削砥石740の研削面740aに常に吹きかけながら、被加工物Wを所望の仕上げ厚みになるまで研削した後、研削手段7を+Z方向へと移動させて被加工物Wから離間させる。
なお、本発明に係る研削装置1及び研削方法において研削砥石740の研削面740aに研削屑が付着しない場合には、研削面740aをエアと高圧水と砥粒との混合物でドレッシングすることが可能である。
例えば、被加工物Wが硬い場合、接着力の強い接着剤で砥粒を接着させた研削砥石740を用いるが、接着力が強いため砥粒が研削面740aから脱落せず、そのため砥粒が摩滅して研削力が低下する。そこで、研削面740aから砥粒を脱落させるために、高圧水供給ノズル20の噴出口20aの変形を防ぎつつ混合物を研削面740aに吹きかけ、接着剤を除去して摩滅した砥粒を脱落させ新たな砥粒を研削面740aに表出させるドレッシングを行うことで、被加工物Wに対する良好な研削加工を継続的に実施することが可能となる。
本発明に係る被加工物の研削方法は本実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている研削装置1の各構成についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
例えば、被加工物Wの研削加工中において、高圧水とエアと砥粒との混合物を間欠的に生成し、高圧水とエアと砥粒との混合物を研削砥石740の研削面740aに間欠的に吹きかけながら、被加工物Wを所望の仕上げ厚みになるまで研削してもよい。
具体的には、回転する研削砥石740により被加工物Wの研削が開始されると、被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに向かって高圧水供給ノズル20から高圧水が吹きかけられると共に、電流計79が、スピンドル70を回転駆動するモータ72に流れる電流値を検出し始める。そして、電流計79が、検出したモータ72の負荷電流値についての情報を、制御手段9の電流値監視部91に順次送り、電流値監視部91がスピンドル70を回転駆動するモータ72の負荷電流値の監視を開始する。
例えば、制御手段9の記憶部90には、予め、モータ72の負荷電流値についての所定の閾値が記憶されている。この閾値は、実験的、経験的、又は理論的に選択された値であり、研削砥石740の研削面740aに許容量を越える研削屑が付着したときに起きる研削砥石740の研削力の低下、即ち、モータ72の負荷電流値の変化を制御手段9の電流値監視部91が判断するために記憶される電流値である。制御手段9の電流値監視部91によるモータ72の負荷電流値の監視においては、電流計79が検出するモータ72の負荷電流値の値と上記所定の閾値とが順次比較され続けている。
研削面740aに研削屑がこびりついて目つぶれや目詰まりが起きることで、研削砥石740に掛かる負荷が大きくなる。ここで、研削砥石740が回転している最中においては、図示しない電源からモータ72に電力が供給され続けており、研削砥石740に作用する負荷が大きくなった場合でもスピンドル70を一定の回転数で回転させるようにモータ72はフィードバック制御されている。そのため、研削面740aに研削屑が付着していくことで、モータ72の負荷電流値が上昇していき記憶部90に記憶されている閾値を越える。その結果、制御手段9の電流値監視部91は、研削面740aの混合物による洗浄が必要であると判断する。
図4に示す制御手段9からバルブ25に通電がなされ、バルブ25が開かれた状態(ON状態)になる。また、エア源28がエアを第1の配管221に例えば圧力0.4MPa~0.5MPaで供給する。第1の配管221を流れるエアの流速で負圧生成部223において負圧が生成されて、砥粒供給源26から砥粒が吸引される。そして、砥粒供給ノズル21を砥粒とエアとの混合流体が噴出口21aに向かって流れていき、該混合流体が噴出口21aから高圧水供給ノズル20から噴出する高圧水の軌道上に向かって噴出する。高圧水供給ノズル20と研削砥石740の研削面740aとの間で高圧水に砥粒を含んだエアが混合されて、高圧水とエアと砥粒との混合物がオーバーハングした研削面740aに吹きかけられる。
高圧水とエアと砥粒との混合物によって、研削砥石740の研削面740aにこびりついた研削屑(例えば、樹脂)が適切に除去され、研削面740aの接着剤が除去され研削砥石740の砥粒が研削面740aから突出する突出量が増やされたり、研削面740aから突出しすぎている砥粒を脱落させたりするなどして、適切な自生発刃が促される。そして、モータ72の負荷電流値が下降していき記憶部90に記憶されている閾値を下回る。その結果、制御手段9の電流値監視部91は、研削面740aの混合物による洗浄が不要で有ると判断する。そして、制御手段9からのバルブ25に対する通電が停止され、バルブ25が閉じられた状態(OFF状態)になる。したがって、砥粒供給源26からの砥粒の吸引が停止され、被加工物Wからオーバーハングした研削砥石740の研削面740aに対して、高圧水供給ノズル20から噴出する高圧水のみが吹きかけられる。
このように本発明に係る研削装置1においては、第1の配管221にバルブ25を備え、バルブ25をON又はOFFさせて間欠的にエアの供給を行って間欠的に高圧水とエアと砥粒との混合物を生成することで、研削砥石740の研削面740aの研削力が落ちている場合、即ち、研削面740aに研削屑が多く付着している場合に混合物を研削面740aに吹きかけ、研削砥石740の研削力が落ちていない場合には高圧水を研削面740aに吹きかけることで、砥粒の無駄な使用を減らすことが可能となる。
W:被加工物
1:研削装置 10:ベース 11:コラム
30:保持手段 300a:保持面 31:傾き調整機構
5:研削送り手段 50:ボールネジ 52:モータ
7:研削手段 70:スピンドル 72:モータ 74:研削ホイール 740:研削砥石
740a:研削砥石の研削面
79:電流計
20:高圧水供給ノズル 20a:噴出口
21:砥粒供給ノズル
22:砥粒供給手段 221:第1の配管 222:第2の配管 223:負圧生成部
29:水源 290:水流路 291:ポンプ
28:エア源 25:バルブ 26: 砥粒供給源 225:負圧生成部
9:制御手段 90:記憶部 91:電流値監視部

Claims (5)

  1. 研削砥石を環状に配設した研削ホイールを回転させ、被加工物に該研削砥石の研削面の一部を接触させ被加工物を研削する研削方法であって、
    被加工物からオーバーハングした該研削面に向かって高圧水供給ノズルから高圧水を吹きかけると共に、該高圧水供給ノズルから外部に噴出された高圧水の軌道上に向けて砥粒を含んだエアを噴出し、該高圧水供給ノズルの外部において該高圧水と該砥粒を含んだエアとを混合させ、該高圧水と該エアと該砥粒との混合物を該研削面に吹きかけながら被加工物を研削する研削方法。
  2. 前記砥粒の粒径は、前記研削砥石に含まれる砥粒の粒径以下である請求項1記載の研削方法。
  3. 前記混合物を間欠的に生成する請求項1又は2記載の研削方法。
  4. 被加工物を保持する保持手段と、研削砥石を環状に配設した研削ホイールを回転させ被加工物に該研削砥石の研削面の一部を接触させ被加工物を研削する研削手段と、を備える研削装置であって、
    被加工物からオーバーハングした該研削面に高圧水を吹きかける高圧水供給ノズルと、該高圧水供給ノズルから噴出された高圧水の軌道上に向けて砥粒を含んだエアを噴出し、該高圧水供給ノズルの外部において該高圧水と該砥粒を含んだエアとを混合させる砥粒供給ノズルと、該砥粒供給ノズルに砥粒を供給する砥粒供給手段と、を備え、
    該砥粒供給手段は、該砥粒供給ノズルとエア源とを連通する第1の配管と、該第1の配管に配設されエアの流速で負圧を生成する負圧生成部と、該負圧生成部と砥粒供給源とを連通し該負圧生成部で生成された負圧で該砥粒を吸引し該第1の配管へと導く第2の配管と、を備えた研削装置。
  5. 前記第1の配管にバルブを備え、該バルブをON又はOFFさせて間欠的にエアの供給を行って間欠的に前記高圧水と該エアと前記砥粒との混合物を生成する請求項4記載の研削装置。
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