JP7152273B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の活性エネルギー線硬化性組成物では、硬化物の耐水性と金型離型性とを高い水準で両立できていないという問題があった。
即ち、本発明は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリレート(A)と、脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、一般式(1)で表される2価の有機基(a)を分子内に1~15個有する3~6官能(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記光重合開始剤(D)が2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンを含有する活性エネルギー線硬化性組成物
;前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である。
脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、上記一般式(1)で表される2価の有機基(a)を分子内に1~15個有する3~6官能(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
前記の(メタ)アクリレート(A)のうち、金型からの離型性の観点から好ましいのは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートであり、更に好ましいのはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
前記の(メタ)アクリレート(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、炭素数が4~11のラクトンとしては、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン及びウンデカラクトン等が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレート(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン以外の光重合開始剤(D)を使用してもよく、その例としては、フォスフィンオキサイド化合物(D1)、ベンゾイルホルメート化合物(D2)、チオキサントン化合物(D3)、オキシムエステル化合物(D4)、ヒドロキシベンゾイル化合物(D5)、ベンゾフェノン化合物(D6)、ケタール化合物(D7)及びαアミノアルキルフェノン化合物(D8)等が挙げられる。
5重量%以上であれば、離型性が良好であり、50重量%以下であれば耐水性が良好である。
15重量%以上であれば、耐水性が良好であり、80重量%以下であると離型性が良好である。
10重量%以上であれば、耐水性が良好であり、60重量%以下であると離型性が良好である。
ラジカル重合開始剤(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン及び2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン以外の前記の光重合開始剤(D)の合計の重量割合は、硬化性及び透明性の観点から、(A)~(C)の合計重量に基づいて好ましくは0.1~10重量%であり、更に好ましくは0.2~7重量%である。
添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
以下に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて、硬化物としての成形体を製造する方法について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いた成形体の製造方法は、特に限定されないが、例えば次の方法で塗工、成形することができる。即ち、本発明の組成物を予め20~50℃に温調し、成形体形状(例えば光学レンズ形状)が得られる金型(型温は好ましくは20~50℃、更に好ましくは25~40℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが50~150μmとなるように塗工(又は充填)し、塗膜上から透明基材(透明フィルムを含む)を空気が入らないように加圧積層し、更に該透明基材上から後述の活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させた後に、型から離型し成形体(例えばレンズシート)を得る。
特に、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ及び視野角向上レンズ等)、光学補償フィルム、位相差フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路等の光学部品として有用である。
更に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、耐水性も優れているため、屋外での使用が多いスマートフォン及びタブレット等モバイル向け製品に搭載する光学部品として有用である。
表1に記載の各成分と配合量に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一になるまで混合攪拌し、実施例1~9及び比較例1~4の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(A-1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[商品名「ネオマーDA-600」、三洋化成工業(株)製、6官能]
(A-2):ペンタエリスリトールテトラアクリレート[商品名「ネオマーEA-300」、三洋化成工業(株)製、4官能]
(A-3):ジペンタエリスリトールペンタアクリレート[商品名「アロニックスM-403」、東亜合成(株)製、5官能]
(B-1):ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート[商品名「ライトアクリレートDCP-A」、共栄社化学(株)製、2官能]
(B-2):シクロヘキサンジメタノールジアクリレート[和光純薬(株)製、2官能]
(B’-1):PEG600#ジアクリレート[商品名「ライトアクリレート14EG-A」、共栄社化学(株)製、2官能]
(C-1):ジペンタエリスリトールのε-カプロラクトン12モル付加物のヘキサアクリレート[商品名「カヤラッドDPCA-120」、日本化薬(株)製]
(C-2):ジペンタエリスリトールのε-カプロラクトン6モル付加物のヘキサアクリレート[商品名「カヤラッドDPCA-60」、日本化薬(株)製]
(D-1):2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン[商品名「イルガキュア907」、BASF社製]
その結果を表1に示す。
(1)溝の深さが50μmで溝の幅およびピッチ幅それぞれを20μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したステンレス製の金型を用意した。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物を、この金型の片面に、金型の凹底部分からの厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化膜とした。
(3)金型から硬化膜ごとポリエステルフィルムを離型し、下記の判定基準で離型性を評価した。
◎:金型に引っ掛かりがなく離型できる
○:金型に引っ掛かりはあるものの離型できる
×:離型できない
(1)アセトンを染み込ませた布で表面の汚れをふき取ったガラス板を用意した。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物を、このガラス板の片面に厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「ルミラーS10」東レ(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させ、ガラス板及びポリエステルフィルムから樹脂を剥離して硬化膜を得た。
(3)硬化膜を、片面が5cm×5cmのフィルムとなるように切断した物を試験片とし、試験片を30℃の水に浸漬させ24時間放置した。
(4)浸漬後の試験片の表面を軽くキムワイプ(登録商標)[S-200、日本製紙クレシア(株)製]で拭いた後、浸漬前後の重量変化を測定し、水膨潤率を次のように算出し、水膨潤率により耐水性を評価した。
水膨潤率:(水浸漬後の重量-水浸漬前の重量)/水浸漬前の重量×100(重量%)
◎:1重量%未満
○:1重量%以上3重量%未満
×:3重量%以上
一方、(メタ)アクリレート(A)を含有しない比較例1は金型からの離型性が悪い。
また、脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(B)を含有しない比較例2及び比較例3並びに3~6官能(メタ)アクリレート(C)を含有しない比較例4は耐水性が悪い。
特に、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ及び視野角向上レンズ等)、光学補償フィルム、位相差フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路等の光学部品として有用である。
更に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、耐水性も優れているため、屋外での使用が多いスマートフォン及びタブレット等モバイル向け製品に搭載する光学部品として有用である。
Claims (3)
- ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリレート(A)と、脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(B)と、一般式(1)で表される2価の有機基(a)を分子内に1~15個有する3~6官能(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記光重合開始剤(D)が2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンを含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記(A)~(C)の合計重量に基づいて、前記(A)の重量割合が5~50重量%、前記(B)の重量割合が15~80重量%、前記(C)の重量割合が10~60重量%である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
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