JP6879876B2 - 硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents

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本発明は硬化性組成物及びその硬化物に関する。
従来、液晶ディスプレイに使用されるプリズムシート並びに、プロジェクションTVに使用されるフレネルレンズ及びレンチキュラーレンズといった光学レンズは、金型内面に樹脂基材がセットされた型内に硬化性組成物を流し込み、活性エネルギー線を照射し、硬化させることで製造されている(例えば特許文献1参照)。
このプロセスは、生産性の面で優位であるため、光学部材(プラスチックレンズ、プリズム及び光ファイバー等)、電気・電子部材(フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路等)、シーリング材、接着剤並びに紙及びプラスチック等のコーティング剤等幅広い分野で使用されている。
近年、光学部材用途では、光学ディスプレイ等の小型化、薄型化、高輝度化、反射防止及び干渉縞防止のため、樹脂の高屈折率化が求められている。
高屈折率化を実現する手段として、樹脂中の芳香環濃度を高める方法や金属酸化物の微粒子を分散させる方法が挙げられる。具体的には、フルオレン等の骨格を有するアクリレートモノマーを用いたもの(特許文献1)、高屈折率樹脂に金属酸化物の微粒子を分散させたもの(特許文献2)等が提案されている。
これらの硬化性組成物から得られる硬化物は高い屈折率を有するものの、プラスチック基材との密着性又は上述の金型との離形性が不十分であり、これらの性能の全てを満足できていなかった。
特開2010−7004号公報 特開2010−248505号公報
本発明の目的は、本発明は屈折率が高く、かつ、プラスチック基材との密着性及び金型離型性に優れる硬化物を与える硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和結合を有さず水酸基及びフルオレン骨格を有する化合物(B)と、エチレン性不飽和結合及びアミド結合を有する化合物(C)と、ラジカル重合開始剤(D)とを含有する硬化性組成物であって、前記化合物(B)が、化学式(2)で表される化合物であり、前記化合物(C)が、一般式(3)で表される化合物、一般式(4)で表される化合物、ビニルピロリドン及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である硬化性組成物(E);前記硬化性組成物(E)を硬化させてなる硬化物である。
Figure 0006879876
[一般式(1)中、2個あるRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し;x+y個あるAは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を表し;x及びyはそれぞれ独立に1〜15の整数である。]
Figure 0006879876
Figure 0006879876
Figure 0006879876
上記一般式(3)〜(4)中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。上記一般式(3)〜(4)中、R 、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基を表す。上記一般式(4)中、R Oは、炭素数が2〜3のアルキレンオキシ基を表し、複数ある場合のR は同一でも異なっていてもよい。一般式(4)中、nは1〜3の整数である。
本発明の硬化性組成物の硬化物は、屈折率が高く、かつ、プラスチック基材との密着性及び金型離型性に優れるという効果を奏する。
本発明の硬化性組成物(E)は、上記一般式(1)で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和結合を有さず水酸基及びフルオレン骨格を有する化合物(B)と、エチレン性不飽和結合及びアミド結合を有する化合物(C)と、ラジカル重合開始剤(D)とを含有する。
本発明における化合物(A)は、上述の通り、上記一般式(1)で表される。
上記式(1)中、2個あるRは水素原子又はメチル基を表す。
また、上記式(1)中、x+y個あるAは、それぞれ独立に炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。
炭素数が2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等が挙げられる。
また、上記式(1)中、x及びyは、それぞれ独立に1〜15の整数である。
前記の化合物(A)は、オグソールEA−0200[大阪ガスケミカル(株)製]及びKOMERATE D064[KPX Green Chemical社製]等として、市場から入手することができる。
前記の化合物(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるエチレン性不飽和結合を有さず水酸基及びフルオレン骨格を有する化合物(B)として、屈折率及び密着性の観点から好ましいものとしては、化学式(2)で表される化合物等が挙げられる。
前記の化合物(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006879876
本発明におけるエチレン性不飽和結合及びアミド結合を有する化合物(C)としては、
一般式(3)で表される化合物、一般式(4)で表される化合物、ビニルピロリドン及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」の表記は、アクリロイル及び/又はメタアクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」の表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
Figure 0006879876
Figure 0006879876
上記一般式(3)〜(4)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
また、上記一般式(3)〜(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基を表す。
炭素数が1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びiso−プロピル基等が挙げられる。
また、上記一般式(4)中、ROは、炭素数が2〜3のアルキレンオキシ基を表し、複数ある場合のRは同一でも異なっていてもよい。
炭素数が2〜3のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、1,2−プロピレンオキシ基及び1,3−プロピレンオキシ基等が挙げられる。
また、一般式(4)中、nは1〜3の整数である。
前記の一般式(3)で表される化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらの内、プラスチック基材との密着性の観点から好ましいのは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドである。
前記の一般式(4)で表される化合物としては、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
これらの内、プラスチック基材との密着性の観点から好ましいのは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドである。
これらの化合物(C)の内、プラスチック基材との密着性の観点から好ましいのは、ビニルピロリドンである。
前記の化合物(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物(E)における必須成分であるラジカル重合開始剤(D)としては、ベンゾイン化合物(D−1)、アルキルフェノン化合物(D−2)、アントラキノン化合物(D−3)、チオキサントン化合物(D−4)、ケタール化合物(D−5)、ベンゾフェノン化合物(D−6)、ホスフィンオキシド(D−7)及びオキシムエステル系化合物(D−8)等が挙げられる。
ベンゾイン化合物(D−1)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物(D−2)としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
アントラキノン化合物(D−3)としては、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等が挙げられる。
チオキサントン化合物(D−4)としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
ケタール化合物(D−5)としては、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物(D−6)としては、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド及び4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
ホスフィンオキシド(D−7)としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフォィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物(D−8)としては、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)及びエタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤(D)のうち、硬化物が黄変しにくいという耐光性の観点から好ましいのは、アルキルフェノン化合物(D−2)及びホスフィンオキシド(D−7)であり、更に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド及びビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、特に好ましいのは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである。
ラジカル重合開始剤(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明の硬化性組成物(E)には、必要により、前記の化合物(A)及び化合物(C)以外のその他のモノマーを併用してもよい。
その他モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート及びイソボルニルアクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA エチレンオキサイド1〜30モル付加物ジアクリレート、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキシ基2〜20モル)ジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物(E)には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、金型離型剤(G)、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、着色剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤、界面活性剤、可塑剤、分散剤及びチクソトロピー性付与剤(増粘剤)等が挙げられる。
前記の金型離型剤(G)としては、特開2011−202106に記載の塩(C)、即ち、リン酸エステル(モノエステル又はジエステル)と、3級アミン(3級脂肪族アミン、1級脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物及び2級脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物等)との塩等を好ましく用いることができる。
中でも、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルとN,N−ジメチルステアリルアミンとの塩及びトリデカノールエチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)10モル付加物のリン酸エステルとN,N−ジメチルステアリルアミンとの塩が好ましい。
また、金型離型剤を構成するリン酸エステルと3級アミンの当量比は、0.5/1〜3/1が好ましく、更に好ましくは0.8/1〜2/1であり、特に好ましくは1:1である。
本発明の硬化性組成物(E)が含有する前記の化合物(A)の重量割合は、屈折率及び密着性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて、20〜90重量%更に好ましくは20〜50重量%であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物(E)が含有する前記の化合物(B)の重量割合は、屈折率及び硬化性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて、1〜20重量%であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物(E)が含有する前記の化合物(C)の重量割合は、密着性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて5〜50重量%更に好ましくは10〜40重量%であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物(E)が含有する前記のラジカル重合開始剤(D)の重量割合は、硬化性及び透明性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて0.1〜10重量%であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物(E)が含有する前記のその他のモノマーの重量割合は、屈折率及び密着性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて、0〜70重量%であることが好ましい。
前記硬化性組成物(E)が含有するその他の添加剤の重量割合は、屈折率及び硬化性の観点から、硬化性組成物(E)の合計重量に基づいて、0〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0〜5重量%以下である。
本発明の硬化性組成物(E)は、例えば前記の化合物(A)、前記の化合物(B)、前記の化合物(C)及び前記のラジカル重合開始剤(D)並びに必要に応じて前記のその他のモノマー及び前記のその他の添加剤を、公知の機械的混合方法(メカニカルスターラー及びマグネティックスターラー等を用いる方法)を用いて均一混合することで、製造することができる。
硬化性組成物(E)には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により溶剤で希釈させることができる。
溶剤としては、他の成分との相溶性、分散性の観点から、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノール等);
ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等);
エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等);
エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル等);
芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン及びキシレン等);
アミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等)等が挙げられる。
これらの内、硬化性組成物(E)との相溶性の観点から好ましいのは、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレンである。
前記の溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記の溶剤の重量割合は、硬化時の工数削減(硬化性組成物塗工後の溶剤揮発工程の削減)及び揮発性有機化合物(VOC)低減の観点から、前記硬化性組成物(E)の重量を基準として1重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量%以下であり、特に好ましくは0重量%[即ち、硬化性組成物(E)を溶剤で希釈しない]である。
本発明の硬化性組成物(E)は、硬化させることで光学部品として使用可能な成形体を製造することができる。
以下に、本発明の硬化性組成物(E)を硬化させて、成形体を製造する方法について説明する。
本発明の硬化性組成物を(E)用いた成形体の製造方法は、特に限定されないが、微細な凹凸構造を有する三次元形状のプラスチックレンズは、例えば微細な凹凸構造を有する平らな金型を用いて硬化性組成物(E)を光硬化させ金型から離型することにより得ることができる。
より具体的な成形体の製造方法としては、以下の方法等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物(E)を予め20〜50℃に温調し、成形体形状(例えば光学レンズ形状)が得られる上述の金型(型温は20〜50℃、好ましくは25〜40℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが20〜150μmとなるように塗工(又は充填)し、塗膜上からプラスチック基材(透明フィルムを含む)を空気が入らないように加圧積層する。
そして、該プラスチック基材上から活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させる。 その後、硬化物を型から離型し、成形体(例えばレンズシート)を得る。
プラスチック基材(透明フィルムを含む)としては、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、メチルメタクリレート(共)重合物、ポリエチレンテレフタレート及びポリシクロオレフィン等の樹脂を用いて構成されるもの等が挙げられる。
また、プラスチック基材は、後述の活性光線を用いて硬化させる場合、透明であることが好ましい。
本発明における活性エネルギー線としては、熱線、活性光線及び電子線等が挙げられる。
本発明において、活性光線とは250nm〜830nmの波長を有する紫外線を意味する。
本発明の組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合は、種々の活性エネルギー線照射装置[活性エネルギー線として活性光線を用いる場合は、フュージョンUVシステムズ(株)製、活性エネルギー線照射装置(型番:VPS/I600)]が使用できる。
使用するランプとしては、高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000mJ/cm、更に好ましくは100〜5,000mJ/cmである。
本発明の硬化性組成物(E)の硬化物は、屈折率が高く、かつ、プラスチック基材との密着性及び金型離型性に優れているため、光学部材及び電気・電子部材として有用である。
具体的には、フィルム状やシート状で使われるほか、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角向上レンズ、視野角制御レンズ及びコントラスト向上レンズ等)、光学補償フィルム、位相差フィムル、電磁波シールド用フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路として有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
0であった。
<製造例1:金型離型剤(G−1)の製造>
撹拌装置及び温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステル[商品名「AP−8」、大八化学(株)製]55.6部を仕込んだ。ここにN,N−ジメチルステアリルアミン[商品名「ファーミンDM8098」、花王(株)製]44.4部を投入し50℃で2時間攪拌し、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルとN,N−ジメチルステアリルアミンの塩(G−1)を得た。
<製造例2:金型離型剤(G−2)の製造>
製造例1において、2−エチルヘキシルアルコールのリン酸エステルに代えて、トリデカノールEO10モル付加物のリン酸エステル[商品名「イオネット1310R」、三洋化成工業(株)製]55.6部を用いた以外は、製造例1と同様の操作でトリデカノールEO10モル付加物のリン酸エステルとN,N−ジメチルステアリルアミンの塩(G−2)を得た。
<実施例1〜7及び比較例1〜4>
表1に示す配合組成(重量部)で、各原料を60℃で混合して、硬化性組成物(E−1)〜(E−7)及び比較用の硬化性組成物(E’−1)〜(E’−4)を得た。
Figure 0006879876
なお、表1に記載する化合物としては、以下のものを使用した。
(A−1):ビスフェノールフルオレン EO2モル付加物ジアクリレート[商品名「OGSOL EA −0200」、大阪ガスケミカル(株)製]
(A−2):ビスフェノールフルオレン EO6モル付加物ジアクリレート[商品名「KOMERATE−D064」、KPX Green Chemical社製]
(A−3):ビスフェノールフルオレン EO10モル付加物ジアクリレート[商品名「KOMERATE−D104」、KPX Green Chemical社製]
(A−4):ビスフェノールフルオレン EO20モル付加物ジアクリレート[商品名「KOMERATE−D204」、KPX Green Chemical社製]
(B−1):化学式(2)で表される化合物[商品名「Bis OPPEO−FL」、本州化学工業(株)製]
(C−1):N−ビニルピロリドン[商品名「N−ビニルピロリドン」、(株)日本触媒 製]
(C−2):N,N−ジメチルアクリルアミド[商品名「ジメチルアクリルアミドDMAA」、KJケミカルズ(株)製]
(C−3):N,N−ジエチルアクリルアミド[商品名「ジエチルアクリルアミドDEAA」、KJケミカルズ(株)製]
(C−4):4−アクリロイルモルホリン[商品名「ACMO」、KJケミカルズ(株)製]
(D−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF社製]
(D−2):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド[商品名「イルガキュアTPO」、BASF社製]
(D−3):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[商品名「イルガキュア819」、BASF社製]
(D−4):2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン[商品名「イルガキュア907」、BASF社製]
(F−1):エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート[商品名:NKエステル A−LEN−10、新中村化学工業(株)製]
(F−2):ビスフェノールA EO4モル付加物のジアクリレート[商品名:ネオマーBA−641、三洋化成工業(株)製]
実施例1〜7の硬化性組成物(E−1)〜(E−7)及び比較例1〜4の比較用の硬化性組成物(E’−1)〜(E’−4)について、硬化物の屈折率、プラスチック基材との密着性及び金型離型性を下記の方法で測定し、評価した。結果を表1に示す。
[硬化物の25℃での屈折率の測定]
(1)板ガラスの表面に、厚さが30μmになるように各硬化性組成物を塗工した(塗工面積が、後に貼り合わせる基材フィルムの面積以上になるように塗工)。
(2)縦100mm×横100mm×厚さ80μmの平坦なポリエステル樹脂製の基材フィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を塗工面に乗せ、ローラーを上から転がして空気を押し出して貼り合わせた。
(3)基材フィルム側から活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1,000mJ/cm照射して、硬化させ、硬化物を作成した。基材フィルムと密着した硬化物を板ガラスから剥離した。
(4)硬化物の屈折率を25℃の環境下で屈折率計[商品名:アッベ屈折率計4T、(株)アタゴ製]を用いて測定した。
[プラスチック基材(セルローストリアセテート樹脂:TAC樹脂)との密着性の評価]
(1)板ガラスの表面に、厚さが30μmになるように各硬化性組成物を塗工した(塗工面積が、後に貼り合わせる基材フィルムの面積以上になるように塗工)。
(2)縦100mm×横100mm×厚さ80μmの平坦なTAC樹脂製の基材フィルムとして「FTUV80」[富士写真フィルム(株)製]を塗工面に乗せ、ローラーを上から転がして空気を押し出して貼り合わせた。
(3)基材フィルム側から活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1,000mJ/cm照射して、硬化させ、硬化物を作成した。基材フィルムと密着した硬化物を板ガラスから剥離した。
(4)板ガラスから剥離した硬化物をJIS K 5600−5−6に準拠し、25個(5個×5個)のマスができるよう2mm幅にカッターナイフで切込みを入れ、25マス中の剥離せず密着しているマス目の個数を数えた。
なお、密着性の評価の判定基準は以下の通りである。
○:試験後にフィルム上にマス目25個全部が残っている。
×:試験後にフィルム上のマス目が1個以上欠けている。
[金型離型性の評価]
(1)溝の深さ22μm、ピッチ幅50μmで平行に線を刻んで、微細に凹凸処理を施したSUS製の金型の表面に、金型の凹部分からの厚さが50μmになるように各硬化性組成物を塗工した。
(2)基材である厚さ80μmの上記記載のTAC樹脂製の基材フィルムを塗工面に乗せ、ローラーを上から転がして空気を押し出して貼り合わせた。
(3)TAC樹脂製の基材フィルム側から活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、活性エネルギー線を1,000mJ/cm照射して、各硬化性組成物を硬化させ、硬化膜を作成した。
(4)フィルムと密着した硬化膜を金型から剥離し、凹凸の転写が再現されているかをレーザー顕微鏡で判定した。
なお、金型離型性の評価の判定基準は以下の通りである。
◎:金型から剥離する際の力が5.0N/cmより小さく、金型に樹脂残りがなく、凹凸の転写が再現できている。
○:金型から剥離する際の力が5.0N/cm以上だが、金型に樹脂残りがなく、凹凸の転写が再現できている。
×:金型に樹脂残りがあるか、凹凸の転写が再現できていない。
なお、金型から剥離する際の力は、以下の方法で測定した。
TAC樹脂製の基材フィルムをたわみ性被着材とみなし、金型を剛性被着剤とみなして、JIS K6854−1に記載のはく離接着強さ試験方法に準拠して、平均剥離力(N)を算出した。
算出した平均剥離力を、ポリイミド樹脂製基材フィルムの幅[つかみ移動方向と垂直方向の長さ(cm)]で除した値を、本発明における金型から剥離する際の力(N/cm)とした。
表1の結果から、実施例1〜7の本発明の硬化性組成物の硬化物は、硬化物の屈折率、プラスチック基材との密着性、金型離型性のすべてに優れていることが分かる。
一方、化合物(A)を含まない比較例1は屈折率が低く、金型離型性も悪い。
また、エチレン性不飽和結合を有さず水酸基及びフルオレン骨格を有する化合物(B)を含まない比較例2及び4は、屈折率又は基材への密着性のいずれかが低く、屈折率及び基材への密着性を高い水準で両立できない。
また、化合物(C)を含まない比較例3はTAC基材への密着性が悪い。
本発明の硬化性組成物(E)の硬化物は、屈折率が高く、かつ、プラスチック基材との密着性及び金型離型性に優れているため、光学部材及び電気・電子部材として有用である。
具体的には、フィルム状やシート状で使われるほか、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角向上レンズ、視野角制御レンズ及びコントラスト向上レンズ等)、光学補償フィルム、位相差フィムル、電磁波シールド用フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路として有用である。

Claims (3)

  1. 一般式(1)で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和結合を有さず水酸基及びフルオレン骨格を有する化合物(B)と、エチレン性不飽和結合及びアミド結合を有する化合物(C)と、ラジカル重合開始剤(D)とを含有する硬化性組成物であって、前記化合物(B)が、化学式(2)で表される化合物であり、前記化合物(C)が、一般式(3)で表される化合物、一般式(4)で表される化合物、ビニルピロリドン及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である硬化性組成物(E)
    Figure 0006879876
    [一般式(1)中、2個あるRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し;x+y個あるAは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を表し;x及びyはそれぞれ独立に1〜15の整数である。]
    Figure 0006879876
    Figure 0006879876
    Figure 0006879876
    上記一般式(3)〜(4)中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。上記一般式(3)〜(4)中、R 、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数が1〜3のアルキル基を表す。上記一般式(4)中、R Oは、炭素数が2〜3のアルキレンオキシ基を表し、複数ある場合のR は同一でも異なっていてもよい。一般式(4)中、nは1〜3の整数である。
  2. 前記硬化性組成物の重量に基づいて、前記化合物(A)の重量割合が20〜90重量%であり、前記化合物(B)の重量割合が1〜20重量%であり、前記化合物(C)の重量割合が5〜50重量%であり、前記ラジカル重合開始剤(D)の重量割合が0.1〜10重量%である請求項に記載の硬化性組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
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