JP7150788B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
平均屈曲比は、式(1):
R=B/A (1)
により算出される。
式(1)中、「R」は、平均屈曲比を示す。「B」は、負極基材と負極活物質粒子との接点を始点として、複数個の負極活物質粒子の輪郭線に沿って負極活物質層の表面まで延びる、最短経路の長さの平均値を示す。「A」は、負極活物質層の厚さの平均値を示す。
図1は、本実施形態における非水電解質二次電池の一例を示す概略図である。
電池100は、電池ケース90を含む。電池ケース90は、角形である。ただし角形は一例である。電池ケース90は、任意の外形を有し得る。電池ケース90は、電極体50および電解液(不図示)を収納している。すなわち、電池100は、電極体50および電解液を含む。
図2は、本実施形態における電極体の一例を示す概略図である。
電極体50は、正極板10、負極板20およびセパレータ30を含む。正極板10、負極板20およびセパレータ30は、いずれもシート状である。図2の電極体50は、巻回型である。すなわち、セパレータ30、負極板20、セパレータ30および正極板10がこの順に積層され、さらに渦巻状に巻回されることにより、電極体50が形成されている。ただし、電極体50は、積層(スタック)型であってもよい。
図3は、本実施形態における負極板の一例を示す概略平面図である。
負極板20は、帯状のシートである。負極板20は、負極基材21および負極活物質層22を含む。負極基材21は、例えば、銅(Cu)合金箔等であってもよい。負極基材21は、例えば、芯体、集電体等とも称され得る。負極活物質層22は、負極基材21の表面に配置されている。負極活物質層22は、負極基材21の片面のみに配置されていてもよい。負極活物質層22は、負極基材21の表裏両面に配置されていてもよい。負極基材21の一部は、負極活物質層22から露出している。以下、負極基材21が露出した部分が「負極基材露出部」とも記される。負極基材露出部は、短手方向(図3のx軸方向)の一方の端部に配置されている。負極基材露出部は、長手方向(図3のy軸方向)に延びている。負極基材露出部は、電極体50と負極端子92との接続に利用され得る。
負極活物質層22は、実質的に、複数個の負極活物質粒子からなっていてもよい。負極活物質粒子は、任意のサイズを有し得る。負極活物質粒子は、例えば、1μmから30μmのD50を有していてもよい。負極活物質粒子は、例えば、3μmから20μmのD50を有していてもよい。D50は、体積基準の粒度分布において、小粒径側からの累積粒子体積が全粒子体積の50%になる粒子径を示す。D50は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定され得る。
負極活物質層22は、例えば、1.1g/cm3から1.4g/cm3の密度を有していてもよい。負極活物質層22は、例えば、1.1g/cm3から1.3g/cm3の密度を有していてもよい。密度は、負極活物質層22の塗布量(単位面積あたりの質量)が、負極活物質層22の厚さで除されることにより算出される。
本実施形態の負極活物質層22は、1.5から2.5の平均屈曲比を有する。負極活物質層22が1.5から2.5の平均屈曲比を有することにより、ハイレート充放電後の一時的な出力の低下が抑えられる傾向がある。負極活物質層22は、好ましくは、1.5から2.0の平均屈曲比を有する。
R=B/A (1)
により算出される。
式(1)中、「R」は平均屈曲比を示す。「B」は平均屈曲経路長を示す。「A」は負極活物質層22の平均厚さを示す。
断面SEM画像において、負極活物質粒子1と、負極基材21との接点が任意に抽出される。該接点が始点(sp)である。始点(sp)から、複数個の負極活物質粒子1の輪郭線に沿って、負極活物質層22の表面まで経路が描かれる。経路が負極活物質層22の表面に達した点が終点(ep)である。経路の途中に分岐点(bp1、bp2)がある場合は、経路の長さが最短になるように、経路が選択される。例えば、図4の例では、始点(sp)から終点(ep)に至る経路上で、第1分岐点(bp1)および第2分岐点(bp2)が考えられる。第1分岐点(bp1)および第2分岐点(bp2)に基づき、第1経路(r1)、第2経路(r2)および第3経路(r3)が考えられる。第1経路(r1)は、断面SEM画像において、7955ピクセルの長さを有する。第2経路(r2)は、断面SEM画像において、10130ピクセルの長さを有する。第3経路(r3)は、断面SEM画像において、10781ピクセルの長さを有する。したがって、第1経路(r1)が最短経路である。第1経路(r1)が、該始点(sp)についての屈曲経路長とみなされる。1枚の断面SEM画像において、5個以上の屈曲経路長が測定される。すなわち、合計25個以上の屈曲経路長が測定される。25個以上の屈曲経路長の算術平均が、平均屈曲経路長とみなされる。
図5および図6中、例えば「10668」等の数値は、断面SEM画像における経路の長さを示す。図5(第1測定例)における細孔の経路は、図6(第2測定例)における細孔の経路に比して、複雑である。図5(第1測定例)では、図6(第2測定例)に比して、最短距離(t)に対する、屈曲経路長の比が大きくなっている。
負極活物質層22は、例えば、負極スラリーの塗布により形成されてもよい。負極スラリーは、例えば、負極活物質粒子、バインダおよび分散媒が混練されることにより、調製され得る。例えば、混練時間の長さにより、平均屈曲比が調整されてもよい。混練時間が長くなる程、平均屈曲比は小さくなる傾向がある。混練時間は、例えば、180minから300minであってもよい。なお、混練機、ブレード形状、せん断負荷等の影響により、混練時間と平均屈曲比との関係が変化することも考えられる。
図7は、アスペクト比の説明図である。
負極活物質粒子のアスペクト比は、屈曲経路長の測定に使用された断面SEM画像において測定され得る。アスペクト比は、短軸径(ds)に対する長軸径(dl)の比を示す。本実施形態の長軸径(dl)は、粒子の断面において、粒子の最大内径を示す。短軸径(ds)は、長軸径(dl)の中央において、長軸径(dl)と垂直に交わる内径を示す。1枚の断面SEM画像において、20個以上の負極活物質粒子のアスペクト比が測定される。すなわち、合計100個以上の負極活物質粒子のアスペクト比が測定される。100個以上のアスペクト比の算術平均が、平均アスペクト比とみなされる。平均アスペクト比は小数第1位まで有効である。小数第2位以下は四捨五入される。
大アスペクト比粒子は、10以上のアスペクト比を有する負極活物質粒子を示す。合計100個以上の負極活物質粒子のアスペクト比が測定されることにより、測定個数に対する、大アスペクト比粒子の個数比率(百分率)が算出される。大アスペクト比粒子の個数比率は、実数部のみ有効である。小数部は四捨五入される。
図8は、本実施形態における正極板の一例を示す概略平面図である。
正極板10は、帯状のシートである。正極板10は、正極基材11および正極活物質層12を含む。正極基材11は、例えば、アルミニウム(Al)合金箔等であってもよい。正極活物質層12は、正極基材11の表面に配置されている。正極基材11の一部は、正極活物質層12から露出している。以下、正極基材11が露出した部分が「正極基材露出部」とも記される。正極基材露出部は、短手方向(図8のx軸方向)の一方の端部に配置されている。正極基材露出部は、長手方向(図8のy軸方向)に延びている。正極基材露出部は、電極体50と正極端子91との接続に利用され得る。
電極体50は、例えば、2枚のセパレータ30を含んでいてもよい。電極体50は、例えば、1枚のセパレータ30を単独で含んでいてもよい。セパレータ30の少なくとも一部は、正極板10と負極板20との間に介在している。セパレータ30は、正極板10と負極板20とを分離している。セパレータ30は、帯状の多孔質シートである。セパレータ30は、例えば、ポリオレフィン製であってもよい。セパレータ30は、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製等であってもよい。セパレータ30の表面に、例えば、セラミック粒子層等が形成されていてもよい。
電解液の少なくとも一部は、電極体50に含浸されている。電解液の全部が電極体50に含浸されていてもよい。電解液の一部が電極体50に含浸されていてもよい。電解液の一部は、電極体50の外部に貯留していてもよい。電解液は液体電解質である。電解液は、溶媒および支持電解質を含む。溶媒は非プロトン性である。溶媒は任意の成分を含み得る。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルカーボネート(DEC)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。支持電解質は溶媒に溶解している。支持電解質は任意の成分を含み得る。支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4およびLiN(FSO2)2からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。電解液は、溶媒および支持電解質に加えて、例えば添加剤等をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば、ビニレンカーボネート(VC)等を含んでいてもよい。
以下のように、No.1からNo.5に係る電池が製造された。
1.正極板の準備
下記材料が準備された。
導電材:AB
バインダ:PVDF
分散媒:N-メチル-2-ピロリドン
基材:Al合金箔
正極活物質層12の幅(W12、図8参照):90mm
正極板10の幅(W11+W12):105mm
下記材料が準備された。
バインダ:CMC、SBR
分散媒:水
負極基材:Cu合金箔
負極活物質層22の幅(W22、図3参照):95mm
負極板20の幅(W21+W22):107mm
セパレータ30として、帯状の多孔質シートが準備された。セパレータ30はポリオレフィン製であった。セパレータ30は、100mmの幅寸法を有していた。セパレータ30、負極板20、セパレータ30および正極板10がこの順で積層され、渦巻状に巻回されることにより、筒状の電極体50が形成された。電極体50が扁平状に成形された。電極体50は、下記寸法等を有していた。
電極体50の厚さ:10.6mm
電極体50の高さ:56.5mm
積層数:44層
下記組成を有する電解液が準備された。
支持電解質:LiPF6(濃度 1mоl/L)
添加剤:VC(濃度 0.3質量%)
電池ケース90が準備された。電池ケース90は、角形であった。電池ケース90は、下記寸法を有していた。
電池ケース90の厚さ:12.5mm
電池ケース90の高さ:60mm
上記「2.負極板の準備」において、負極スラリーの混練時間が300minに変更されることを除いては、No.1と同様に、電池100が製造された。No.2におけるスラリー混練時間は、No.1におけるスラリー混練時間の1.25倍である。
上記「2.負極板の準備」において、負極スラリーの混練時間が180minに変更されることを除いては、No.1と同様に、電池100が製造された。No.3におけるスラリー混練時間は、No.1におけるスラリー混練時間の0.75倍である。
上記「2.負極板の準備」において、負極スラリーの混練時間が360minに変更されることを除いては、No.1と同様に、電池100が製造された。No.4におけるスラリー混練時間は、No.1におけるスラリー混練時間の1.5倍である。
上記「2.負極板の準備」において、負極スラリーの混練時間が120minに変更されることを除いては、No.1と同様に、電池100が製造された。No.5におけるスラリー混練時間は、No.1におけるスラリー混練時間の0.5倍である。
以下、本実施例において「CC-CV」は、定電流-定電圧方式を示す。「CC」は定電流方式を示す。「CV」は定電圧方式を示す。また、例えば「1It」等における「It」は、電流のレート(時間率)を示す記号である。1Itの電流によれば、電池の定格容量が1時間で放電される。例えば、電池の定格容量が5Ahである時、1Itは5Aの電流に相当する。
CC-CV充電により、電池のSOC(state of charge)が50%に調整された。CC充電時の電流は、1Itであった。CC-CV充電の合計充電時間は、90minであった。50%のSOCにおける、電池の電圧は3.69Vであった。充電後、30minの休止を挟んで、36Itの電流により、電池が10秒間放電された。この時の放電出力が「初期出力」である。
充電:充電電流=10It、充電容量=20%のSOCに相当する容量
合計充放電時間:120h
CC-CV充電により、電池のSOCが50%に調整された。CC充電時の電流は、1Itであった。CC-CV充電の合計充電時間は、90minであった。50%のSOCにおける、電池の電圧は3.69Vであった。充電後、30minの休止を挟んで、36Itの電流により、電池が10秒間放電された。この時の放電出力が「初期出力」である。
充電:充電電流=1It、充電容量=20%のSOCに相当する容量
合計充放電時間:1200h
ハイレート出力維持率およびローレート出力維持率の測定後、電池が放電された。放電後、電池ケースが開封されることにより、電極体が回収された。電極体から負極板が回収された。電極体において、4層、13層、22層、31層および40層に相当する各位置から、それぞれ、負極板の試料片が採取された。試料片の平面サイズは、20mm×20mmであった。各試料片において、厚さ方向に平行な断面がSEMにより観察された。これにより、5枚の断面SEM画像が取得された。各断面SEM画像において、5箇所以上で負極活物質層の厚さが測定された。合計25箇所以上の厚さの算術平均により、負極活物質層の平均厚さが算出された。各断面SEM像において、5箇所以上で屈曲経路長が測定された。合計25箇所以上の屈曲経路長の算術平均により、平均屈曲経路長が算出された。上記式(1)により、平均屈曲比が算出された。平均屈曲比は、下記表1に示される。
5枚の断面SEM画像から、100個以上の負極活物質粒子が任意に抽出された。各負極活物質粒子のアスペクト比が測定された。100個以上のアスペクト比の算術平均により、平均アスペクト比が算出された。平均アスペクト比は、下記表1に示される。
アスペクト比が測定された負極活物質粒子の全個数に対する、高アスペクト粒子の個数比率が算出された。高アスペクト粒子の個数比率は、下記表1に示される。
図9は、平均屈曲比と出力維持率との関係を示すグラフである。
図9に示されるように、平均屈曲比が1.5から2.5である範囲において、ハイレート出力維持率が顕著に向上している。他方、平均屈曲比と、ローレート出力維持率との相関は明確ではない。ローレートサイクル試験においては、出力の低下が顕在化し難いと考えられる。
Claims (2)
- 電極体および電解液を含み、
前記電解液の少なくとも一部は、前記電極体に含浸されており、
前記電極体は、正極板、負極板およびセパレータを含み、
前記セパレータは、前記正極板と前記負極板とを分離しており、
前記負極板は、負極基材および負極活物質層を含み、
前記負極活物質層は、前記負極基材の表面に配置されており、
前記負極活物質層は、複数個の負極活物質粒子を含み、
前記負極活物質層の厚さ方向に平行な断面において、
複数個の前記負極活物質粒子は、2.5から4.0の平均アスペクト比を有し、かつ
平均屈曲比が1.5から2.5であり、
前記平均屈曲比は、式(1):
R=B/A (1)
により算出され、
前記式(1)中、
Rは、前記平均屈曲比を示し、
Bは、前記負極基材と前記負極活物質粒子との接点を始点として、複数個の前記負極活物質粒子の輪郭線に沿って前記負極活物質層の表面まで延びる、最短経路の長さの平均値を示し、
Aは、前記負極活物質層の厚さの平均値を示す、
非水電解質二次電池。 - 前記負極活物質層の前記厚さ方向に平行な前記断面において、
複数個の前記負極活物質粒子の個数に対する、10以上のアスペクト比を有する前記負極活物質粒子の個数比率が、5%から22%である、
請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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