JP5078330B2 - 非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池に関し、特に水系バインダーを使用しながらもサイクル特性及び充電負荷特性に優れた電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等に最適な非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池に関する。
環境保護運動の高まりを背景として二酸化炭素ガス等の排出規制が強化されており、自動車業界ではガソリン、ディーゼル油、天然ガス等の化石燃料を使用する自動車だけでなく、EVやHEVの開発が活発に行われている。加えて、近年の化石燃料の価格の急激な高騰はこれらのEVやHEVの開発を進める追い風となっている。そして、EV用やHEV用電池分野においても、他の電池に比べて高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目され、この非水電解質二次電池の占める割合は大きな伸びを示している。
図1は、従来から作製されている円筒形の非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。この非水電解質二次電池10は、正極11と負極12とがセパレータ13を介して巻回された巻回電極体14を、この巻回電極体14の上下にそれぞれ絶縁板15及び16を配置した後、負極端子を兼ねるスチール製の円筒形の電池外装缶17の内部に収容し、負極12の集電タブ12aを電池外装缶17の内側底部17aに溶接するとともに正極11の集電タブ11aを安全装置が組み込まれた電流遮断封口体18の底板部に溶接し、この電池外装缶17の開口部から所定の非水電解液を注入した後、電流遮断封口体18によって電池外装缶17を密閉することにより製造されている。このような非水電解質二次電池は、電池性能や電池の信頼性が高いという優れた効果を奏するものである。
そして、このような非水電解質二次電池における正極活物質として、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLixMO (但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO 、LiNiO 、LiNi Co 1−y (y=0.01〜0.99)、LiMnO 、LiMn 、LiCo Mn Ni (x+y+z=1)、LiFePO などが一種単独もしくは複数種を混合して用いられている。
また、負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体の一種あるいは複数種混合したもの等、炭素を主体としたものが多く使用されている。
ところで、電池の高容量化は、集電体の表面に塗布される活物質合剤密度を上昇させることにより達成可能であるが、活物質合剤密度を上昇させると活物質合剤層内の空隙が減少し、活物質合剤層内に保持することができる非水電解液量が減少する。この状態で充放電を繰り返すと、非水電解液中の非水溶媒(有機溶媒)が分解されるために更に活物質合剤層内の非水電解液量が減少する。特に活物質合剤の調整時に水系バインダーを用いると、水系バインダーの電解液の保持能力が低いため、比較的早い段階で充放電が不可能な状態となることがある。このような充放電時の活物質合剤層内の非水電解液量の減少は、負極活物質として黒鉛、非晶質炭素などの炭素質材料を用いると、充放電過程において電極表面で有機溶媒が還元分解されるため、特に顕著に表れる。なお、水系バインダーとは、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有する樹脂、多糖類等からなる化合物の1種又は複数種を水に溶解ないし分散させたものをいう。
上述のような負極活物質として炭素材料を用いた場合の非水電解液の分解等の問題点を解決するため、下記特許文献1には、炭素負極の表面にイオン性高分子、水溶性高分子、アルカリ金属塩のいずれかからなる被覆層を形成し、炭素負極と非水電解質層との間の濡れ性を向上させ、非水電解質層の分解を抑制するようになした非水電解質二次電池の発明が開示されている。同じく、下記特許文献2には、有孔性リチウムイオン電導性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルニトリル等の非水電解液により膨潤又は湿潤する高分子層を正極と負極との間に備えることにより、高温で放置しても正極と負極の間の電解液が枯渇することがなく、その後の充放電特性が優れた円筒型非水電池の発明が開示されている。
特開平11−120992号公報 特開平11− 26025号公報
上記特許文献1に開示されている非水電解質二次電池の発明では、負極活物質として炭素質材料を使用し、バインダー樹脂組成物及びN−メチルピロリドン(NMP)との混合物からなる負極活物質合剤を用いて負極を作製し、この負極の表面にイオン性高分子、水溶性高分子、アルカリ金属塩のいずれかからなる被覆層を形成しており、また、上記特許文献2に開示されている円筒型非水電池の発明では、負極活物質として炭素質材料を使用し、バインダーとしてのPVdF及びNMPとの混合物からなる負極活物質合剤を用いて負極を作製している。
一般に、負極活物質合剤の製造の際にてNMP等の有機溶媒に溶解ないし分散する性質のバインダーを用いる理由は、電池を組み立てたときの残留水分による電池性能の劣化を防止するためである。そして、上記特許文献1及び2に開示された発明のように、バインダーとしてNMP等の有機溶媒に溶解ないし分散する性質の材料を用いた負極を用いて非水電解質二次電池を作製すれば、一応水系バインダーを使用した場合よりは非水電解液の保持能力は大きくなるため、サイクル特性は良好となる。
しかしながら、負極活物質合剤の製造の際には、NMP等の有機溶媒を使用すると作業環境の問題や有機溶媒の外部排出防止のための手段を講じる必要があるので、有機溶媒の使用を可能な限り控えることが要望されている。そのため、水系バインダーを使用しながらも、負極極板を形成した際にバインダーとしてNMP等の有機溶媒に溶解ないし分散する性質の高分子材料を使用した場合と同等かそれ以上の非水電解液保持特性を発揮し得る負極極板が必要とされる。
発明者等は、このような従来技術の問題点を解決すべく種々検討を重ねた結果、水系バインダーを使用した負極活物質合剤が設けられている負極極板の表面に有機溶媒に溶解させたPVdF溶液を塗布することにより3次元網目構造を持つPVdF層を形成すると、3次元網目構造中に多量の非水電解液を保持することができるようになるため、特に負極極板の製造時に有機溶媒の使用量を減少させながら、サイクル特性及び充電負荷特性に優れた非水電解質二次電池用負極が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、水系バインダーを使用した負極活物質合剤が設けられている負極極板を使用しながらも、サイクル特性及び充電負荷特性に優れ、EV、HEV等の大電流の充放電が必要とされる用途に最適な非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、本発明の非水電解質二次電池用負極極板は、水系バインダーと負極活物質を含む負極活物質合剤層が負極芯体の表面に形成された非水電解質二次電池用負極極板において、前記負極活物質合剤層の表面にはポリフッ化ビニリデンの有機溶媒溶液を塗布することより形成された3次元網目構造を有するポリフッ化ビニリデン層が被覆されており、前記ポリフッ化ビニリデン層の被覆量は前記負極活物質合剤中の負極活物質質量の4%以下であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用負極極板に使用する水系バインダーとしては、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー、多糖類等の化合物、またはこれらの混合物を水に分散させて使用することができる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース樹脂、などから適宜選択し得る。なお、通常、カルボキシメチルセルロース(CMC)は他のバインダーと併用されて増粘剤として使用されることが多いが、CMC単独でバインダーとしての機能を奏するものとして使用されることもあるので、本発明においてはCMCも水系バインダーに含まれるものとして取り扱うこととする。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極極板に使用し得る負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体の一種あるいは複数種混合したもの等、炭素を主体としたものが好ましい。
また、本発明は、上記非水電解質二次電池用負極極板において、前記負極活物質は炭素質材料であり、前記水系バインダーはCMC及びSBRの混合物からなることを特徴とする。
また、本発明の非水電解質二次電池は、上記いずれかの発明の非水電解質二次電池用負極極板と、正極活物質合剤が正極芯体の表面に形成された正極極板と、非水電解質とを有することを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池で使用する正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLi MO (但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO 、LiNiO 、LiNi Co 1−y (y=0.01〜0.99)、LiMnO 、LiMn 、LiCo Mn Ni (x+y+z=1)、又はLiFePO などの一種単独もしくは複数種を混合して使用することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池で使用する非水溶媒系電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好ましく、カーボネート類がさらに好適に用いられる。
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。
なお、本発明の非水電解質二次電池で使用する非水電解質の溶質としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF 、LiBF 、LiCF SO 、LiN(CF SO 、LiN(C SO 、LiN(CF SO )(C SO )、LiC(CF SO 、LiC(C SO 、LiAsF 、LiClO 、Li 10 Cl 10 、Li 12 Cl 12 など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF (ヘキサフルオロリン酸リチウム)が好ましく用いられる。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
本発明は上記の構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、本発明の非水電解質二次電池用負極極板によれば、水系バインダーと負極活物質を含む負極活物質合剤層の表面にPVdFの有機溶媒溶液を塗布することにより形成された3次元網目構造を有するPVdF層が被覆されているので、負極活物質合剤層内に含有されている非水電解液量が少なくても、負極活物質合剤層の表面に設けられている3次元網目構造を有するPVdF層内に非水電解液を保持できるので、充放電サイクルを繰り返すことによって負極活物質合剤内の非水電解液が分解されるようなことがあっても、3次元網目構造を有するPVdF層内に保持されている非水電解液が負極活物質合剤内に供給されるので、負極活物質合剤層内の液枯れを抑制することができる。そのため、本発明の非水電解質二次電池用負極極板を用いると、充放電サイクル特性に優れているとともに放電負荷特性にも優れた非水電解質二次電池が得られる。
加えて、本発明の非水電解質二次電池用負極極板によれば、3次元網目構造を有するPVdF層の被覆量が負極活物質合剤中の負極活物質質量の4%以下であるため良好な充放電サイクル特性の向上効果を奏する。この3次元網目構造を有するPVdF層の被覆量が負極活物質合剤中の負極活物質質量の4%を越えると、この次元網目構造を有するPVdF層の内部抵抗が増加するため、サイクル特性の向上効果は期待できるが充電負荷特性が低下する。なお、この3次元網目構造を有するPVdF層の被覆量は、僅かであってもそれなりのサイクル特性の向上効果が生じるので、下限は0%を超えていればよい。
また、負極活物質としての黒鉛、非晶質炭素などの炭素質材料は、リチウム金属やリチウム合金に匹敵する放電電位を有しながらも、デンドライトが成長することがないために安全性が高く、更に初期効率に優れ、電位平坦性も良好であり、また、密度も高いという優れた性質を有していることが知られているものであるが、電極の表面で非水電解液を分解しやすいという性質を備えているものである。本発明の非水電解質二次電池用負極極板によれば、負極活物質として炭素質材料を使用しながらも、水系バインダーとしてCMC及びSBRの混合物を使用したため、上記本発明の効果が顕著に表れる。
また、本発明の非水電解質二次電池によれば、上記の非水電解質二次電池用負極極板を使用しているため、上記非水電解質二次電池用負極極板の発明の効果を奏することができる非水電解質二次電池が得られる。
従来の円筒形の非水電解質二次電池の外装缶を透視して表した正面図である。
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[正極の作製]
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO )は、出発原料としてリチウム源には炭酸リチウム(Li CO )を用い、コバルト源には四酸化三コバルト(Co )を用い、これらを所定量秤量して混合した後、空気雰囲気下において850℃で24時間焼成し、コバルト酸リチウムを得た。これを乳鉢で平均粒径14μmまで粉砕し、正極活物質とした。このようにして作製された正極活物質を90質量部と、導電剤としての黒鉛粉末を5質量部と、バインダーとしてのPVdF粉末を5質量部とを、NMP溶液中に分散させて正極活物質スラリーを調製した。次に、この正極活物質スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であったNMPを除去した後、ロールプレス機を用いて厚みが140μmとなるように圧延して正極極板を作製した。
[負極極板の作製]
負極活物質としての黒鉛粉末97質量部と、CMC1質量部と、SBR2質量部の割合で水中に分散させて均一に混合して負極活物質合剤スラリーを調製した。次にこの負極活物質合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であった水を除去した後、ロールプレス機を用いて厚みが125μmとなるように圧延して負極極板を作製した。次いで、この表面にNMPに溶解させたPVdFを負極活物質に対する質量比で2%となるようにドクターブレード法により塗布し、乾燥してNMPを除去して3次元網目構造を有するPVdF層を被覆することにより実施例1の負極極板を作製した。なお、正極及び負極のそれぞれの活物質塗布量は、設計基準となる充電電圧において、正極極板と負極極板とが対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した(以下、同じ)。
[非水電解液の調製]
ECとEMCとDECとを体積比20:50:30の割合(1気圧、25℃換算)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF を1.0mol/Lの割合で溶解したものを非水電解液とした。
[電池の作製]
上述のようにして作製した正極極板、負極極板及び非水電解液を用い、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜を使用して、図1に示したような構成の実施例1の円筒形非水電解質二次電池を作製した。なお、この円筒形非水電解質二次電池の設計容量は2200mAhである。
実施例2では、負極活物質合剤層の表面を被覆するPVdF層の量を負極活物質に対する質量比で4%となるようにした以外は実施例1の場合と同様に負極極板を作製し、その他の構成はすべて実施例1の場合と同様にして実施例2の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例4]
比較例4では、負極活物質合剤層の表面を被覆するPVdF層の量を負極活物質に対する質量比で5%となるようにした以外は実施例1の場合と同様に負極極板を作製し、その他の構成はすべて実施例1の場合と同様にして比較例4の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例1]
比較例1では、負極極板の表面にPVdF層を設けない以外は実施例1の場合と同様に負極極板を作製し、その他の構成はすべて実施例1の場合と同様にして比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例2]
比較例2では、負極極板の作製の際に、黒鉛粉末95質量部とPVdF5質量部との割合でNMP溶液中で均一に混合して負極活物質合剤スラリーを調整し、次にこの負極活物質合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であったNMPを除去した後、ロールプレス機を用いて厚みが125μmとなるように圧延して比較例2の負極極板を作製した。この比較例2の負極極板の表面にはPVdF層が設けられていない。この比較例2の負極極板を用いて実施例1の場合と同様にして比較例2の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例3]
比較例3では、負極極板の作製の際に、黒鉛粉末95質量部とPVdF5質量部との割合でNMP溶液中で均一に混合して負極活物質合剤スラリーを調整し、次にこの負極活物質合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であったNMPを除去した後、ロールプレス機を用いて厚みが125μmとなるように圧延して負極極板を作製した。次いで、この表面にNMPに溶解させたPVdFを活物質に対する質量比で2%となるようにドクターブレード法により塗布を行い、乾燥してNMPを除去することにより3次元網目構造を有するPVdF層を被覆し、比較例3の負極極板を作製した。そして、その他の構成はすべて実施例1の場合と同様にして比較例3の非水電解質二次電池を作製した。
[サイクル特性及び充電負荷特性の測定]
以上のようにして作製された実施例1〜3及び比較例1〜3の6種類の電池について、以下のようにしてサイクル特性及び充電負荷特性を測定した。サイクル特性の測定は、まず、25℃において1It=2200mAの定電流で電池電圧が4.20Vとなるまで充電し、その後4.20Vの定電圧で電流が1/50It=44mAとなるまで充電し、次いで、25℃で1Itの定電流で電池電圧が2.75Vとなるまで放電した。このときの放電容量を1サイクル目の放電容量として求めた。次いで、上述のような充放電サイクルを300回繰り返し、300回目の放電容量を300サイクル目の放電容量として求めた。そして、以下の計算式によりサイクル特性値を求めた。結果を表1にまとめて示した。
サイクル特性値(%)
=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
また、充電負荷特性は、1サイクル目の放電容量を測定した電池に対して、25℃において、1Itで電池電圧が4.20Vになるまで定電流充電した後に1Itで電池電圧が2.75Vになるまで放電させたときの充電容量を1It充電容量として求め、次いで3It=6600mAの定電流で電池電圧が4.20Vとなるまで充電した後に1Itの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させた時の充電容量を3It充電容量として求め、以下の計算式により充電負荷特性を求めた。結果を表1にまとめて示した。
充電負荷特性(%)
=(3It充電容量/1It充電容量)×100
Figure 0005078330
表1に示した結果から、以下のことが分かる。すなわち、負極極板の表面に3次元網目構造を有するPVdF層を備えていない比較例1及び比較例2の結果の比較から、水系バインダーを使用した比較例1の電池のサイクル特性は非水系バインダーを使用した比較例2の電池よりもサイクル特性が低下していることが分かる。このことは、水系バインダーを用いた負極極板では、非水系バインダーを用いた負極極板よりも非水電解液の保持能力が低いため、充放電サイクルの早い段階で負極活物質合剤層内の非水電解液が枯渇してしまうことを示している。
これに対し、同じ水系バインダーを使用しながらも負極活物質合剤層の表面に3次元網目構造を有するPVdF層を備えている実施例1の電池では、このような高分子層を備えていない比較例1の電池と比するとサイクル特性が大幅に増加していることが分かる。実施例1の電池と比較例1の電池との構成の差異は、負極活物質合剤層の表面に3次元網目構造を有するPVdF層の有無のみであるから、この3次元網目構造を有するPVdF層に保持された非水電解液の存在がサイクル特性の向上に繋がっていることは明らかである。なお、この3次元網目構造を有するPVdF層の存在の有無は充電負荷特性にはほとんど影響を与えていない。
また、水系バインダーを使用した同じ組成の負極活物質合剤層を使用しながら、この負極活物質合剤層の表面に被覆された3次元網目構造を有するPVdF層の量が相違する実施例1、実施例2及び比較例4の結果を対比すると、3次元網目構造を有するPVdF層の量が4%まではサイクル特性及び充電負荷特性にほとんど影響を与えないが、3次元網目構造を有するPVdF層の量が4%を超えるとサイクル特性が低下するとともに充電負荷特性は大幅に低下している。このことは、比較例4の電池では3次元網目構造を有するPVdF層の量が多いためにこの3次元網目構造を有するPVdF層の厚さが厚くなり、この3次元網目構造を有するPVdF層内に多量の非水電解液が保持されているとしてもこの3次元網目構造を有するPVdF層での内部抵抗が大きくなり、これが充電負荷特性の大幅な低下に繋がったものと考えられる。したがって、3次元網目構造を有するPVdF層の量は、負極活物質合剤層内の活物質質量に対して4%以下が好ましいことが分かる。
10 非水電解質二次電池
11 正極
11a 正極の集電タブ
12 負極
12a 負極の集電タブ
13 セパレータ
14 巻回電極体
17 電池外装缶
18 電流遮断封口体

Claims (3)

  1. 水系バインダーと負極活物質を含む負極活物質合剤層が負極芯体の表面に形成された非水電解質二次電池用負極極板において、
    前記負極活物質合剤層の表面にはポリフッ化ビニリデンの有機溶媒溶液を塗布することより形成された三次元網目構造を有するポリフッ化ビニリデン層が被覆されており、
    前記ポリフッ化ビニリデン層の被覆量は前記負極活物質合剤中の負極活物質質量の4%以下であることを特徴とする非水電解質二次電池用負極極板。
  2. 前記負極活物質は炭素質材料であり、前記水系バインダーはカルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエンゴムの混合物からなることを特徴とする請求項に記載の非水電解質二次電池用負極極板。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用負極極板と、正極活物質合剤が正極芯体の表面に形成された正極極板と、非水電解質とを有することを特徴とする非水電解質二次電池。
JP2006321832A 2006-11-29 2006-11-29 非水電解質二次電池用負極極板及びこの負極極板を用いた非水電解質二次電池 Expired - Fee Related JP5078330B2 (ja)

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