JP7149717B2 - 型枠保護シート - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シート、複数のコンクリート型枠パネルを連設させてなるコンクリート型枠構造体、及び該コンクリート型枠構造体を用いたコンクリート製建築物の製造方法に関する。
コンクリート製建築物の製造では、コンクリート型枠パネルを基本構造として組み立てたコンクリート型枠構造体が利用されている。コンクリート型枠構造体の内側に打設されるコンクリートは、余剰水及び気泡を含んでおり、これらがコンクリートとコンクリート型枠パネルとの界面に滞留すると、硬化後のコンクリートの表面にアバタと呼ばれる窪みが形成される。特に、重力式擁壁等の傾斜面を有するコンクリート製建築物の製造では、前傾させたコンクリート型枠パネルとの界面において余剰水及び気泡が滞留しやすく、アバタの発生率が高くなる。そこで、アバタの発生を防ぐために、透水性のシートをコンクリート型枠パネルに施工する技術が知られている。
例えば、濾過層と、通気・透水層とを積層した透水性シートがあった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の透水性シートは、コンクリートと接するコンクリート型枠パネルの主面に施工されることで、濾過層において余剰水及び気泡をセメント粒子から分離させ、通気・透水層を通して余剰水及び気泡のみを外部へ排出する。これにより、アバタの発生を抑制することができる。
特開平6-143236号公報
コンクリートの余剰水はアルカリ性である。このため、コンクリート型枠パネルが余剰水に接触すると劣化し、再利用が困難になる場合がある。そこで、コンクリート型枠パネルへの余剰水の接触を防止するべく、耐アルカリ性及び耐水性を有するシートをコンクリート型枠パネルに施工すれば、コンクリート型枠パネルの劣化が防止され、コンクリート型枠パネルの再利用性を高めることができると考えられる。
しかしながら、特許文献1の透水性シートは、濾過層及び通気・透水層を通過する余剰水が透水性シートの表面に滲出するため、特許文献1の透水性シートをコンクリート型枠パネルに施工してもコンクリート型枠パネルと余剰水との接触を完全に防ぐことはできず、その結果、コンクリート型枠パネルが劣化し、再利用性が低下するという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、アバタの発生を防ぐことが可能でありながら、コンクリート型枠パネルの再利用性が良好な型枠保護シート、コンクリート型枠構造体、及び該コンクリート型枠構造体を用いたコンクリート製建築物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明にかかる型枠保護シートの特徴構成は、
コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記フィルター層と前記通水層との間の通気量は、1cm/(cm・s)以上であり、
前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数の1/10以下であることにある。
本構成の型枠保護シートは、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層と、通水性を有する通水層とを有し、フィルター層と通水層との間の通気量が1cm/(cm・s)以上であり、フィルター層と通水層との間の透水係数が1×10-2cm/s以上であるため、コンクリートに含まれる余剰水及び気泡が、フィルター層を透過して通水層に導入され、通水層を介して外部へ排出される。この結果、余剰水及び気泡がコンクリートと型枠保護シートとの界面に滞留することがなく、アバタの発生を抑えて、平滑なコンクリート製建築物を製造することができる。また、フィルター層は、セメント粒子を透過させないため、硬化後のコンクリートから型枠保護シートを剥離することが容易となる。さらに、フィルター層と粘着層との間の透水係数が、フィルター層と通水層との間の透水係数の1/10以下に抑えられているため、フィルター層を透過して通水層まで導入された余剰水は、粘着層をさらに透過してコンクリート型枠パネル側へ浸透するよりも、通水層内を通流する傾向が高くなる。この結果、余剰水とコンクリート型枠パネルとの接触を抑制し、コンクリート型枠パネルの再利用性を向上させることができる。さらに、粘着層を有することで、型枠保護シートをコンクリート型枠パネルに固定する際に、ステープルや両面テープを用いる必要がなく、施工性に優れる。
本発明に係る型枠保護シートにおいて、
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、1×10-3cm/s以下であることが好ましい。
本構成の型枠保護シートによれば、フィルター層と粘着層との間の透水係数が1×10-3cm/s以下であるため、粘着層での止水性が高く、コンクリート型枠パネルに施工された状態で、余剰水とコンクリート型枠パネルとの接触を確実に防ぐことができる。
本発明に係る型枠保護シートにおいて、
前記フィルター層は、目付が10~50g/mである不織布を含み、当該不織布を形成する繊維の直径が20μm以下であることが好ましい。
本構成の型枠保護シートによれば、フィルター層が上記の不織布を含むことで、コンクリートに含まれる余剰水及び気泡を透過させつつ、セメント粒子の透過を確実に防ぐことができる。
本発明に係る型枠保護シートにおいて、
前記粘着層と前記通水層との間に止水フィルムを有することが好ましい。
本構成の型枠保護シートによれば、粘着層と通水層との間に止水フィルムを有することで、通水層に導入された余剰水とコンクリート型枠パネルとの接触をより確実に防ぎ、コンクリート型枠パネルの劣化を防ぐことができる。
上記課題を解決するための本発明にかかるコンクリート型枠構造体の特徴構成は、
複数のコンクリート型枠パネルを連設させてなるコンクリート型枠構造体であって、
前記コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートを備え、
前記型枠保護シートは、前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
前記フィルター層と前記通水層との間の通気量は、1cm/(cm・s)以上であり、
前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
前記フィルター層と前記粘着層との間の透水係数は、前記フィルター層と前記通水層との間の透水係数の1/10以下であることにある。
本構成のコンクリート型枠構造体は、型枠保護シートがコンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層と、通水性を有する通水層とを有し、フィルター層と通水層との間の通気量が1cm/(cm・s)以上であり、フィルター層と通水層との間の透水係数が1×10-2cm/s以上であるため、コンクリートに含まれる余剰水及び気泡が、フィルター層を透過して通水層に導入され、通水層を介して外部へ排出される。この結果、余剰水及び気泡がコンクリートと型枠保護シートとの界面に滞留することがなく、アバタの発生を抑えて、平滑なコンクリート製建築物を製造することができる。また、型枠保護シートのフィルター層がセメント粒子を透過させないため、硬化後のコンクリートから型枠保護シートを剥離することが容易となる。さらに、フィルター層と粘着層との間の透水係数が、フィルター層と通水層との間の透水係数の1/10以下に抑えられているため、フィルター層を透過して通水層まで導入された余剰水は、粘着層をさらに透過してコンクリート型枠パネル側へ浸透するよりも、通水層内を通流する傾向が高くなる。この結果、余剰水とコンクリート型枠パネルとの接触を抑制し、コンクリート型枠パネルの再利用性を向上させることができる。
上記課題を解決するための本発明にかかるコンクリート製建築物の製造方法の特徴構成は、上記のコンクリート型枠構造体内に、コンクリートを打設することにある。
本構成のコンクリート製建築物の製造方法は、型枠保護シートがコンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層と、通水性を有する通水層とを有し、フィルター層と通水層との間の通気量が1cm/(cm・s)以上であり、フィルター層と通水層との間の透水係数が1×10-2cm/s以上であるため、打設されたコンクリートに含まれる余剰水及び気泡が、型枠保護シートのフィルター層を透過して通水層に導入され、通水層を介して外部へ排出される。この結果、余剰水及び気泡がコンクリートと型枠保護シートとの界面に滞留することがなく、アバタの発生を抑えて、平滑なコンクリート製建築物を製造することができる。また、型枠保護シートのフィルター層がセメント粒子を透過させないため、硬化後のコンクリートから型枠保護シートを剥離することが容易となる。さらに、フィルター層と粘着層との間の透水係数が、フィルター層と通水層との間の透水係数の1/10以下に抑えられているため、フィルター層を透過して通水層まで導入された余剰水は、粘着層をさらに透過してコンクリート型枠パネル側へ浸透するよりも、通水層内を通流する傾向が高くなる。この結果、余剰水とコンクリート型枠パネルとの接触を抑制し、コンクリート型枠パネルの再利用性を向上させることができる。
図1は、本発明にかかるコンクリート型枠構造体を示す図である。 図2は、本発明にかかる型枠保護シートの概略断面図である。
以下、本発明の型枠保護シート、コンクリート型枠構造体、及びコンクリート製建築物の製造方法について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。なお、各図において、本発明の型枠保護シートを構成する複数の層が図示されているが、各層の厚み関係は説明容易化のため適宜変更しており、実際の型枠保護シートにおける各層の厚みの大小関係(縮尺)を正確に反映したものではない。
<コンクリート型枠構造体>
図1は、本発明にかかるコンクリート型枠構造体100を示す図である。図1(a)は、コンクリート型枠構造体100の斜視図である。図1(b)は、コンクリート型枠構造体100の断面図である。図1(c)は、型枠保護シート10による余剰水及び気泡の排出機能の説明図である。コンクリート型枠構造体100は、コンクリート型枠パネル20を基本構造として構成されている。コンクリート型枠構造体100は、一方の面が傾斜した重力式擁壁の製造に用いるものであり、傾斜面を形成するために主面を前傾させて立設されたコンクリート型枠パネル20と、垂直に立設されたコンクリート型枠パネル20とが、互いの主面を対向させて基礎コンクリート30上に配置された構造である。各コンクリート型枠パネル20には、主面に型枠保護シート10が施工されている。なお、図1(a)では、4枚のコンクリート型枠パネル20を含むコンクリート型枠構造体100を示しているが、コンクリート型枠パネル20の数は、製造するコンクリート製建築物のサイズに応じて任意に増減することができる。コンクリート型枠パネル20の材質としては、木製、樹脂製、及びコンクリート製等が挙げられる。なお、一般に、コンクリート型枠構造体は、コンクリート型枠パネルの背面側に補強部材を配することで、各コンクリート型枠パネルを連結し、内側に充填されるコンクリートの圧力に耐え得るように構成されるが、図1では、説明容易化のため、補強部材を省略している。
例えば、図1(b)に示す破線の位置まで、コンクリート型枠構造体100の内側にコンクリート40が充填された場合、コンクリート40は、コンクリート型枠パネル20に直接接触することがなく、コンクリート型枠パネル20の主面に施工された型枠保護シート10に接触することになる。ここで、型枠保護シート10は、図1(c)に示すように、粘着層1、通水層2、及びフィルター層3を有し、コンクリート型枠パネル20に粘着層1によって貼着される。フィルター層3は、コンクリート40中のセメント粒子Cの透過を防ぐ一方で、透水性及び通気性を有する。コンクリート40に含まれる余剰水及び気泡は、コンクリート40と型枠保護シート10との界面に滞留することなく矢印で示すようにフィルター層3を透過して通水層2へ導入され、通水層2を介して外部へ排出される。これにより、アバタの発生を抑えて、平滑なコンクリート製建築物を製造することができる。また、フィルター層3は、セメント粒子Cを透過させないため、コンクリート型枠構造体100の解体時に、硬化後のコンクリートから型枠保護シート10を剥離することが容易となる。一方、粘着層1と通水層2との間は、透水性を低く設定することで、余剰水とコンクリート型枠パネル20との接触を防ぎ、コンクリート型枠パネル20の劣化を防ぐことができる。
<型枠保護シート>
図2は、本発明にかかる型枠保護シート10の概略断面図である。図2(a)は、一つの実施形態にかかる型枠保護シート10の構成を示す。図2(b)は、他の実施形態にかかる型枠保護シート10Aの構成を示す。図2(a)に示す型枠保護シート10は、粘着層1、通水層2、及びフィルター層3がこの順に積層された構造を有する。型枠保護シート10の厚みは、好ましくは0.16~2.35mmに設定され、より好ましくは0.3~2mmに設定される。型枠保護シート10の厚みを上記の範囲に設定することで、適度なハリコシ、及びコンクリート型枠パネル20表面の凹凸に対する良好な追従性が得られ、コンクリート型枠パネル20への貼り付け作業が容易なものとなる。型枠保護シート10の厚みが0.16mm未満の場合、型枠保護シート10のハリコシが不足し、作業性が悪くなる虞がある。型枠保護シート10の厚みが2.35mmを超える場合、表面の凹凸に対して十分な追従性が得られず、型枠保護シート10の浮きが生じる虞がある。
型枠保護シート10は、JIS A 1218 定水位透水試験法に準拠して測定される透水係数(以下、単に「透水係数」と称する。)を調整することで、適切な透水性能を発揮することができる。具体的には、フィルター層3と通水層2との間の透水係数は、1×10-2cm/s以上に設定され、好ましくは1×10-1cm/s以上に設定される。フィルター層3と通水層2との間の透水係数を上記の範囲に設定することで、コンクリート型枠パネル20に貼着した状態において、コンクリート中の余剰水を、フィルター層3を透過させて通水層2に導入し、通水層2内を通流させて外部へ排出することができる。フィルター層3と通水層2との間の透水係数が1×10-2cm/s未満の場合、透水性が不足することにより、コンクリートと型枠保護シート10との界面に余剰水が滞留し、アバタが発生する虞がある。フィルター層3と粘着層1との間の透水係数は、フィルター層3と通水層2との間の透水係数の1/10以下に設定され、好ましくは1/100以下に設定される。フィルター層3と粘着層1との間の透水係数を、フィルター層3と通水層2との間の透水係数の1/10以下に設定することで、フィルター層3を透過して通水層2まで導入された余剰水は、粘着層1をさらに透過するよりも、通水層2内を通流しやすくなる。この結果、余剰水とコンクリート型枠パネル20との接触を抑制して、コンクリート型枠パネル20の劣化を抑制することができる。フィルター層3と粘着層1との間の透水係数が、フィルター層3と通水層2との間の透水係数の1/10を超える場合、粘着層1をさらに透過してコンクリート型枠パネル20側へ浸透する余剰水が増える虞がある。また、フィルター層3と粘着層1との間の透水係数は、好ましくは1×10-3cm/s以下に設定され、より好ましくは1×10-4cm/s以下に設定される。フィルター層3と粘着層1との間の透水係数を上記の範囲に設定することで、コンクリート型枠パネル20に貼着した状態において、型枠保護シート10内に浸透したコンクリートの余剰水が、コンクリート型枠パネル20に接触することを防ぎ、コンクリート型枠パネル20の劣化を防ぐことができる。フィルター層3と粘着層1との間の透水係数が1×10-3cm/sを超える場合、止水性が不足することにより、コンクリート型枠パネル20にアルカリ性の余剰水が直接接触し、コンクリート型枠パネル20が劣化する虞がある。
型枠保護シート10は、JIS L 1096 A法フラジール形法に準拠して測定される通気量(以下、単に「通気量」と称する。)を調整することで、適切な通気性能を発揮することができる。具体的には、フィルター層3と通水層2との間の通気量は、1cm/(cm・s)以上に設定され、好ましくは3cm/(cm・s)以上に設定される。通気量を上記の範囲に設定することで、コンクリート型枠パネル20に貼着した状態において、コンクリート中の気泡を、フィルター層3を透過させて通水層2に導入し、通水層2内を移動させて外部へ排出することができる。この結果、アバタの発生を防ぐことができる。通気量が1cm/(cm・s)未満の場合、コンクリートと型枠保護シート10との界面に気泡が滞留し、アバタが発生する虞がある。
粘着層1は、コンクリート型枠パネル20に貼着されることで、型枠保護シート10をコンクリート型枠パネル20に固定する部材である。粘着層1は、例えば、再剥離性粘着剤の塗膜として形成することができ、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びシリコーン系樹脂が挙げられ、特に、再剥離性に優れるアクリル系樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、複数種を混合した混合物として用いてもよい。上掲の樹脂を使用することで、粘着層1は、耐水性及び耐アルカリ性に優れたものとなるとともに、コンクリート型枠パネル20から型枠保護シート10を剥離させる際の作業性がよいものとなる。粘着層1の厚みは、好ましくは30~200μmに設定され、より好ましくは50~150μmに設定される。粘着層1の厚みを上記の範囲に設定することで、粘着層1が良好な止水性を有するものとなり、フィルター層3と粘着層1との間の透水係数を、1×10-3cm/s以下に抑えることが可能となる。粘着層1の厚みが30μm未満の場合、十分な止水性が得られない虞がある。粘着層1の厚みが200μmを超える場合、粘着力が強過ぎて使用後の剥離が困難となる。型枠保護シート10は、図2(b)に示す他の実施形態の型枠保護シート10Aのように、粘着層1と通水層2との間に、止水性の高い止水フィルム4を設けた構成としてもよい。この構成であれば、止水フィルム4の高い止水性によって、フィルター層3と粘着層1との間の透水係数を、1×10-3cm/s以下に容易に抑えることができる。その結果、コンクリート型枠パネル20をより確実に保護することができ、粘着層1の経時的な耐久性も向上させることができる。止水フィルム4の材料としては、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられ、特に、生産性、経済性に優れるポリエチレンが好ましい。粘着層1と通水層2との間に止水フィルム4を設けた構成では、コンクリート型枠パネル20への余剰水の接触を防止する止水効果は、粘着層1と止水フィルム4とが協働することにより発揮される。そのため、この場合の粘着層1の厚みは、止水フィルム4を設けない構成よりも低減することが可能であり、好ましくは10~200μmに設定される。粘着層1の厚みが10μm未満の場合、粘着力が不足し、コンクリート型枠パネル20への型枠保護シート10の固定が不十分なものとなる虞がある。粘着層1の厚みが200μmを超える場合、粘着力が強過ぎて使用後の剥離が困難となる。
通水層2は、粘着層1に積層され、通水性を有する部材である。通水層2は、不織布を含むように構成されることが好ましい。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、及びニードルパンチ不織布が挙げられ、特に、平滑性及び耐引裂性に優れるサーマルボンド不織布が好ましい。不織布を形成する繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエステルが挙げられ、特に、ポリエステルが好ましい。これらの繊維は単独で用いてもよいし、複数種を混在させてもよいし、芯鞘繊維として用いてもよい。また、不織布は、プラズマ処理等の親水処理が施されたものであることが好ましい。不織布に親水処理が施されていることで、通水層2は、フィルター層3を透過してきた余剰水との濡れ性が向上し、余剰水を速やかに外部へ排水することができる。通水層2の目付は、好ましくは40~200g/mに設定され、より好ましくは100~150g/mに設定される。通水層2の目付を上記の範囲に設定することで、優れた通水性、吸水性、及び通気性が得られる。通水層2の目付が40g/m未満の場合、通水性及び吸水性が不十分なものとなる虞がある。通水層2の目付が200g/mを超える場合、通気性が不十分なものとなる虞がある。通水層2の厚みは、好ましくは0.1~2mmに設定され、より好ましくは0.2~1.5mmに設定される。通水層2の厚みを上記の範囲に設定することで、厚み方向に十分な強度が得られるため、コンクリート型枠構造体100の内側にコンクリート40が充填されたときに、コンクリート40の圧力に押しつぶされることなく、優れた通水性、吸水性、及び通気性を維持することができる。通水層2の厚みが0.1mm未満の場合、厚み方向の強度が不足し、コンクリート40が充填されたときに、通水性、吸水性、及び通気性を維持できない虞がある。通水層2の厚みが2mmを超える場合、型枠保護シート10の柔軟性が低下し、コンクリート型枠パネル20表面の凹凸に対する良好な追従性が得られず、型枠保護シート10の浮きが生じる虞がある。通水層2の表面凹凸高さは、好ましくは30μm以下に設定され、より好ましくは20μm以下に設定される。通水層2の表面凹凸高さを上記の範囲に設定することで、硬化後のコンクリート表面を平滑に維持し、型枠保護シート10を剥離したときの後残りを防止することができる。通水層2の表面凹凸高さが30μmを超える場合、コンクリート表面への凹凸の転写、及び後残り(毛羽付き)が発生する虞がある。
フィルター層3は、通水層2を挟んで粘着層1と対向する側に積層され、コンクリート中の水分及び気泡を透過させ、セメント粒子Cの透過を防ぐ部材である。フィルター層3は、不織布を含むように構成されることが好ましい。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、湿式不織布、及びケミカルボンド不織布が挙げられ、特に、平滑性及び耐引裂性に優れるサーマルボンド不織布が好ましい。不織布を形成する繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、及びポリエステルが挙げられる。これらの繊維は単独で用いてもよいし、複数種を混在させてもよいし、芯鞘繊維として用いてもよい。特に、親水性及び耐引裂性に優れるポリエステルとポリオレフィンとを混繊した芯鞘繊維が好ましい。また、不織布を形成する繊維には、直径が20μm以下の極細繊維を用いることが好ましい。直径が20μm以下の極細繊維を用いることで、フィルター層3は、優れた透水性が得られる。また、不織布は、表面にカレンダー加工、特に熱カレンダー加工が施されたものであることが好ましい。表面にカレンダー加工が施されていることで、フィルター層3は、コンクリート表面への後残り(毛羽付き)の原因となる毛羽立ちを防ぐことができる。フィルター層3の目付は、好ましくは10~50g/mに設定され、より好ましくは20~40g/mに設定される。フィルター層3の目付を上記の範囲に設定することで、優れた透水性及び通気性が得られる。フィルター層3の目付が10g/m未満の場合、フィルター層3をセメント粒子が透過してしまう虞がある。また、耐引裂性が不足し、コンクリート型枠構造体100の組み立て作業時に破損する虞がある。フィルター層3の目付が50g/mを超える場合、透水性及び通気性が不十分なものとなり、コンクリートとコンクリート型枠パネル20との界面に余剰水及び気泡が滞留する虞がある。フィルター層3の厚みは、好ましくは30~150μmに設定され、より好ましくは50~100μmに設定される。フィルター層3の厚みを上記の範囲に設定することで、優れた透水性及び通気性が得られる。フィルター層3の厚みが30μm未満の場合、フィルター層3をセメント粒子が透過してしまう虞がある。フィルター層3の厚みが150μmを超える場合、透水性及び通気性が不十分なものとなり、コンクリートとコンクリート型枠パネル20との界面に余剰水及び気泡が滞留する虞がある。フィルター層3の表面凹凸高さは、好ましくは30μm以下に設定され、より好ましくは20μm以下に設定される。フィルター層3の表面凹凸高さを上記の範囲に設定することで、硬化後のコンクリート表面を平滑に維持し、型枠保護シート10を剥離したときの後残りを防止することができる。フィルター層3の表面凹凸高さが30μmを超える場合、コンクリート表面への凹凸の転写、及び後残り(毛羽付き)が発生する虞がある。
上記の型枠保護シート10は、(1)フィルター層と通水層との積層、及び(2)粘着層の積層を順に実施することで製造される。
(1)フィルター層と通水層との積層
フィルター層と通水層との積層方法としては、例えば、スプレーラミネート法、パウダーラミネート法、ドライラミネート法、ニードルパンチ法、及びサーマルラミネート法が挙げられ、特に、パウダーラミネート法、及びスプレーラミネート法が好ましい。パウダーラミネート法によるフィルター層と通水層との積層は、例えば、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/m以上を散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から110度の熱ロールにてプレスし、熱圧着する。このようなパウダーラミネート法では、フィルター層と通水層との間の透水性に優れ、二層を強固に接着することができる。スプレーラミネート法によるフィルター層と通水層との積層は、例えば、フィルター層となる不織布にスプレー方式にて液状ホットメルト接着剤を3g/m以上を散布し、その後、通水層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から110度の熱ロールにてプレスし、熱圧着する。このようなスプレーラミネート法では、フィルター層と通水層との間の透水性に優れ、生産性及び経済性の面でも有利である。
(2)粘着層の積層
粘着層の積層方法としては、例えば、Tダイラミネート法、及び通水層への直接の圧着ロール法が挙げられ、特に、粘着層に優れた止水性を付与できるTダイラミネート法が好ましい。Tダイラミネート法による粘着層の積層は、例えば、剥離シート上に粘着剤を厚み50~200mmで均一に塗工して粘着層を形成し、これとは別に、フィルター層と通水層との積層基材の通水層側の面に、厚さ20~30μmのポリエチレンフィルムをTダイラミネート法により裏打し、剥離シート上に形成された粘着層と、積層基材に裏打ちされたポリエチレンフィルムとを対向させて、これらをプレスロールにより圧着させる。通水層への直接の圧着ロール法による粘着層の積層は、例えば、剥離シート上に粘着剤を厚み50~200mmで均一に塗工して粘着層を形成し、これをフィルター層と通水層との積層基材の通水層側の面に対向させて、プレスロールにより圧着させる。
以下、本発明のコンクリート型枠構造体の実施例について説明する。本実施例では、本発明の構成を有するコンクリート型枠構造体(実施例1~3)、本発明の範囲外となるコンクリート型枠構造体(比較例1~4)を作製した。
<実施例1>
フィルター層となる不織布として、ポリエステル/ポリエチレン芯鞘構造(芯部:ポリエステル、鞘部:ポリエチレン)の繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付22g/mのサーマルボンド不織布を作製し、熱カレンダー処理により毛羽立ちを抑えた。通水層となる不織布として、ポリエステル/ポリエチレン芯鞘構造(芯部:ポリエステル、鞘部:ポリエチレン)の繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付70g/mのサーマルボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。次に、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/mを散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして、積層不織布を作製した。この積層不織布の目付が70g/mであるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が100g/mになるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、型枠保護シートを貼着した主面が30°の角度で前傾するようにコンクリート型枠パネルを基礎コンクリート上に配し、この他に3枚のコンクリート型枠パネルを基礎コンクリート上に垂直に配して、一つの面のみ傾斜した柱状のコンクリート型枠構造体(実施例1)を組み立てた。
<実施例2>
実施例1に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が70g/mであるサーマルボンド不織布側の面に、共押出しTダイラミネート法により、厚み30μmのポリエチレンフィルムを止水フィルムとして裏打ちした。その後、止水フィルムにアクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が100g/mになるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(実施例2)を組み立てた。
<実施例3>
実施例1に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が70g/mであるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が60g/mになるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(実施例3)を組み立てた。
<比較例1>
型枠保護シートを貼着していない合板製のコンクリート型枠パネルを用いて、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例1)を組み立てた。
<比較例2>
通水層となる不織布として、ポリプロピレン繊維を用いて、スパンボンド法により目付100g/mのスパンボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/mを散布し、その後、フィルター層となるポリエステル繊維製の目付150g/mの織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして貼り合わせ、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートは粘着層を有しないものであるため、両面テープを用いて面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例2)を組み立てた。
<比較例3>
フィルター層となる不織布として、ポリプロピレン繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付80g/mのサーマルボンド不織布を作製し、熱カレンダー処理により毛羽立ちを抑えた。通水層となる不織布として、ポリエステル繊維を用いて、サーマルボンド法により、目付100g/mのサーマルボンド不織布を作製し、プラズマ処理による親水処理を施した。次に、通水層となる不織布に粉状ホットメルト接着剤を15g/mを散布し、その後、フィルター層となる不織布を重ね、フィルター層となる不織布側から100度の熱ロールにてプレスして、積層不織布を作製した。この積層不織布の目付が100g/mであるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が120g/mになるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例3)を組み立てた。
<比較例4>
比較例3に準じて、フィルター層となる不織布と、通水層となる不織布との積層不織布を作製し、この積層不織布の目付が100g/mであるサーマルボンド不織布側の面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の塗布量が50g/mになるよう塗布して粘着層を形成することにより、型枠保護シートを得た。この型枠保護シートを、粘着層を介して、面寸法が100mm×200mmの合板製のコンクリート型枠パネルに貼着し、実施例1と同形状のコンクリート型枠構造体(比較例4)を組み立てた。
実施例1~3のコンクリート型枠構造体、及び比較例1~4のコンクリート型枠構造体について、各種測定及び評価を行った。測定項目は、〔1〕型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の透水係数、〔2〕型枠保護シートのフィルター層と粘着層との間の透水係数、及び〔3〕型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の通気量である。
〔1〕型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の透水係数
型枠保護シートのフィルター層及び通水層となる積層不織布を用いて、JIS A 1218 定水位透水試験法に準拠して測定した透水係数を、型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の透水係数とした。測定条件は、透水面積を1cm、透水時間を60s、水位を10cmとした。また、定水位透水試験法において、基材厚さは、JIS L 1908に準拠して押圧荷重2kPaでの測定結果から算出した値を用いた。
〔2〕型枠保護シートのフィルター層と粘着層との間の透水係数
型枠保護シートを用いて、JIS A 1218 定水位透水試験法に準拠して測定した透水係数を、型枠保護シートのフィルター層と粘着層との間の透水係数とした。測定条件は、透水面積を1cm、透水時間を60s、水位を10cmとした。また、定水位透水試験法において、基材厚さは、JIS L 1908に準拠して押圧荷重2kPaでの測定結果から算出した値を用いた。
〔3〕型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の通気量
型枠保護シートのフィルター層及び通水層となる積層不織布を用いて、JIS L 1096 A法フラジール形法に準拠して測定した通気量を、型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の通気量とした。
コンクリート型枠構造体の評価は、〔4〕アバタ発生数、〔5〕コンクリート表面平滑性、〔6〕施工性、及び〔7〕型枠保護性について行った。
〔4〕アバタ発生数
コンクリート型枠構造体に、生コンクリート(5kgのコメリ株式会社製インスタントコンクリートに150cmの水を混合したもの)を流し込み、バイブレーターにて10秒間の振動を与えた後、24時間以上放置して硬化させた。コンクリート型枠パネルを型枠保護シートごとコンクリートから剥離させ、型枠保護シートと接触していたコンクリートの傾斜面に形成されている直径が2mm以上の窪みをアバタとして目視にて計数した。
〔5〕コンクリート表面平滑性
アバタ発生数を計数したコンクリートの傾斜面の表面が平滑であるかどうかを目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:目視により凹凸が確認されない
△:1mの距離からの目視により凹凸が確認される
×:5mの距離からの目視により凹凸が確認される
〔6〕施工性
コンクリート型枠パネルへの型枠保護シートの貼着からコンクリート型枠構造体の組み立てが終了するまでの作業時間を計測した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:5分未満
△:5~10分
×:10分以上
〔7〕型枠保護性
コンクリートの硬化後、コンクリート型枠パネルから型枠保護シートを剥離し、コンクリート型枠パネルの主面に付着したセメントの付着具合を目視にて確認した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎:セメントが付着していない
○:セメントが僅かに付着している(主面の1/5未満の範囲)
△:セメントが少量付着している(主面の1/5以上、1/2未満の範囲)
×:セメントが多量付着している(主面の1/2以上の範囲)
測定結果及び評価を表1に示す。
Figure 0007149717000001
実施例1~3のコンクリート型枠構造体では、型枠保護シートは、何れもフィルター層と通水層との間の透水係数が8.9×10-2cm/sであり、本発明に規定の数値範囲(1×10-2cm/s以上)に含まれるものであった。フィルター層と粘着層との間の透水係数は、夫々5.5×10-4cm/s(実施例1)、0cm/s(実施例2)、8.5×10-3cm/s(実施例3)であり、何れも好ましい数値範囲(1×10-3cm/s以下)に含まれ、フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の0.006倍(実施例1)、0倍(実施例2)、0.095倍(実施例3)であり、何れも本発明の条件(1/10以下)を満たすものであった。フィルター層と通水層との間の通気量は、実施例1~3の何れのコンクリート型枠構造体でも119.6cm/(cm・s)であり、本発明に規定の数値範囲(1cm/(cm・s)以上)に含まれるものであった。このように、実施例1~3のコンクリート型枠構造体では、型枠保護シートのフィルター層から通水層において優れた透水性及び通気性を有しながらも、型枠保護シートの全層(フィルター層から粘着層)では十分な止水性を有することが確認された。
アバタ発生数に関しては、実施例1及び3のコンクリート型枠構造体では、硬化後のコンクリートにおいて発生したアバタが3カ所のみであり、コンクリート表面も平滑であった。実施例2のコンクリート型枠構造体では、アバタの発生が2カ所のみであり、コンクリート表面も平滑であった。このように、実施例1~3のコンクリート型枠構造体では、高品位なコンクリート製建築物を製造できることが確認された。また、コンクリート型枠構造体の組み立てにおいて、実施例1~3のコンクリート型枠構造体に用いた型枠保護シートは、コンクリート型枠パネルへの貼着が容易であり、優れた施工性が確認された。さらに、実施例1のコンクリート型枠構造体では、コンクリート型枠構造体の解体後にコンクリート型枠パネルの主面の1/5未満の範囲に僅かなセメントの付着が観察され、実施例3のコンクリート型枠構造体では、解体後のコンクリート型枠パネルの主面の1/4程度の範囲に少量のセメントの付着が観察されたが、実施例1及び3の何れも付着したセメントは容易に除去可能なものであった。また、フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の1/10以下であれば、実用上十分な型枠保護性を有することが確認された。実施例1のコンクリート型枠構造体にさらに止水フィルムを設けた実施例2のコンクリート型枠構造体では、コンクリート型枠構造体の解体後にコンクリート型枠パネルの主面へのセメントの付着が観察されなかった。止水フィルムを設けることで、型枠保護性をより向上させることが可能であることが確認された。
一方、型枠保護シートを用いない比較例1のコンクリート型枠構造体では、硬化後のコンクリートにおいて、50カ所以上のアバタが発生した。このことから、型枠保護シートを用いない場合、出来上がったコンクリート製建築物の形状が実施例1~3のコンクリート型枠構造体と同じであっても、コンクリートとコンクリート型枠パネルとの界面に余剰水及び気泡が滞留すると考えられる。さらに、比較例1では、コンクリート型枠構造体の解体後に、コンクリート型枠パネルの主面の1/2以上の範囲に多量のセメントの付着が観察された。そして、比較例1のコンクリート型枠構造体において、コンクリート型枠パネルの主面に付着したセメント粒子の除去は、時間がかかるものであった。
比較例2では、型枠保護シートが粘着層を有していないため、型枠保護シートの全層を用いて計測される「フィルター層と粘着層との間の透水係数」と、「フィルター層と通水層との間の透水係数」とが同じ数値(9.6×10-2cm/s)となる。そのため、比較例2のコンクリート型枠構造体は、型枠保護シートの全層での止水性が不十分なものとなり、コンクリート型枠パネルの保護性を有するものではなかった。また、比較例2のコンクリート型枠構造体は、コンクリート型枠パネルへの型枠保護シートの固定に両面テープを使用しているため、コンクリート型枠構造体の組み立てに時間がかかり、施工性に問題があった。また、比較例2のコンクリート型枠構造体では、硬化後のコンクリートの表面の平滑性が劣るものであった。これは、両面テープを用いた固定では、型枠内に充填されたコンクリートからの圧力に十分に耐えることが困難であったためと考えられる。さらに、比較例2のコンクリート型枠構造体では、コンクリート型枠構造体の解体後に、コンクリート型枠パネルの主面に多量のセメントの付着が観察された。比較例2のコンクリート型枠構造体において、コンクリート型枠パネルの主面に付着したセメント粒子の除去は、時間がかかるものであった。
比較例3及び4のコンクリート型枠構造体は、型枠保護シートのフィルター層と通水層との間の通気量が0.6cm/(cm・s)であり、十分な通気性を有していなかった。フィルター層と通水層との間の透水係数も1.0×10-4cm/sであり、本発明に規定の数値範囲(1×10-5cm/s以上)を下回っていた。また、硬化後のコンクリートにおいて、50カ所以上のアバタが発生した。このことから、型枠保護シートの透水性及び通気性が不十分であると、出来上がったコンクリート製建築物の形状が実施例1及び2のコンクリート型枠構造体と同じであっても、コンクリートとコンクリート型枠パネルとの界面に余剰水及び気泡が滞留すると考えられる。
さらに、比較例4のコンクリート型枠構造体は、フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の0.2倍であり、本発明の条件(1/10以下)を満たすものではなかった。また、比較例4では、コンクリート型枠構造体の解体後に、コンクリート型枠パネルの主面の1/2以上の範囲に多量のセメントの付着が観察された。そして、比較例4のコンクリート型枠構造体において、コンクリート型枠パネルの主面に付着したセメント粒子の除去は、時間がかかるものであった。このように、比較例4は、型枠保護性が得られないものであった。フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の0.095倍である実施例3では、実用上十分な型枠保護性が得られた一方で、フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の0.2倍である比較例4では型枠保護性が得られないことから、フィルター層と粘着層との間の透水係数がフィルター層と通水層との間の透水係数の1/10を超えると、フィルター層と粘着層との間の止水性が不十分になると考えられる。
本発明の型枠保護シート、コンクリート型枠構造体、及びコンクリート製建築物の製造方法は、建物、ブロック、基礎、道路、トンネル、橋梁等のコンクリート構造物の建造に利用可能である。
1 粘着層
2 通水層
3 フィルター層
4 止水フィルム
10、10A 型枠保護シート
20 コンクリート型枠パネル
100 コンクリート型枠構造体

Claims (2)

  1. コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
    前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
    前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
    前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
    前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における通気量は、1cm/(cm・s)以上であり、
    前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における透水係数は、1×10-2cm/s以上であり、
    前記積層された前記フィルター層、前記通水層及び前記粘着層における透水係数は、1×10-3cm/s以下であり、
    前記粘着層の厚みが50~150μmに設定され
    前記フィルター層は、目付が20~40g/m である不織布を含み、当該不織布を形成する繊維の直径が20μm以下である型枠保護シート。
  2. コンクリート型枠パネルに施工される型枠保護シートであって、
    前記コンクリート型枠パネルに貼着される粘着層と、
    前記粘着層に積層され、通水性を有する通水層と、
    前記通水層を挟んで前記粘着層と対向する側に積層され、コンクリート中の余剰水及び気泡を透過させ、セメント粒子の透過を防ぐフィルター層とを有し、
    前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における通気量は、1cm /(cm ・s)以上であり、
    前記積層された前記フィルター層及び前記通水層における透水係数は、1×10 -2 cm/s以上であり、
    前記積層された前記フィルター層、前記通水層及び前記粘着層における透水係数は、1×10 -3 cm/s以下であり、
    前記粘着層の厚みが30~200μmに設定され、
    前記粘着層と前記通水層との間に止水フィルムが設けられない型枠保護シート。
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