JP7145410B2 - 車両用ドア構造 - Google Patents
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なお、従来の車両用ドア構造の中には、樹脂製サッシュの下部の車両前方領域であって、乗員腰部に対応する位置のドアトリムの裏面側に、エネルギー吸収パッド(EAパッド)が設けられているものがある。しかし、このような従来の車両用ドア構造は、早いタイミングで乗員を保護するために、別部品の追加等が行われてきた。
すなわち、本発明に係る車両用ドア構造では、ロアサッシュの下端部に車両外方へ突出して設けられた外側突出部が側突時に侵入するドアアウタパネルなどの侵入物に対して突っ張る作用を行うことになる。したがって、本発明に係る車両用ドア構造では、侵入物の車両内側への侵入量が低減し、侵入物によるロアサッシュ近傍のドアラッチの損傷や、侵入物とラッチレバーとの強接触が抑制されるので、ドアの開放を効果的に防止することができる。
図1~図5は本発明の実施形態に係る車両用ドア構造を示すものである。なお、図において、矢印Fr方向は車両前方を示し、矢印U方向は車両上方を示し、矢印X方向は車両前後方向を示している。また、矢印I方向は車室内側を示し、矢印O方向は車両外側を示している。さらに、車両前後方向などの方向を示す用語は、原則としてドアが閉じた状態での方向を示している。
本実施形態のロアサッシュ4は、図2~図4に示すように、下端部がドアインナパネル21側へ向かって突出してドアインナパネル21に固定されるロアサッシュ固定部41を有している。このロアサッシュ固定部41は、ドアガラス3が存在しない部分にロアサッシュ4を拡大するような形状に形成されており、先端部分41aは、締結する座面として、締結ボルト(もしくは、スクリュ)5などによりドアインナパネル21に締付け固定されるようになっている。
これによって、外側突出部42は、側突時にドアアウタパネル22と接触する側の外側端部の面積が確保されるように構成されている。
また、ロアサッシュ固定部41の車室内側端部の上下方向部分は、図2に示すように、パッド材6の車両上下方向の範囲内に位置している。すなわち、通常時にドアインナパネル21と接触する部分であるロアサッシュ固定部41の車室内側端部の先端部分41aは、パッド材6の車両上下方向の範囲内に含まれ、もしくは、パッド材6の車両上下方向と同等の高さに位置している。しかも、ロアサッシュ固定部41からパッド材6の車両後方側端部6aまでの距離L1は、パッド材6の車両前後方向の長さL2よりも短くなるように設定されている(L1<L2)。言い換えれば、パッド材6とロアサッシュ固定部41及び外側突出部42とは、車両前後方向で近接した位置に配置されている。
これにより、側突初期に入力された衝撃荷重が車室内側に伝達される場合に、ドアアウタパネル22が抵抗なく侵入する距離(空走距離)を無くし、パッド材6が早いタイミングで乗員の腰部を押して保護するようになっている。
このような位置にビード形状部21Aを設けることによって、ドアインナパネル21の剛性が高められ、側突時に入力された衝撃荷重の周辺部品への伝達効率が向上するような構造にしている。
すなわち、ドアラッチ7は、ロアサッシュ固定部41の上方で近接した位置に配置されている。これによって、側突時に侵入するドアアウタパネル22などがドアラッチ7と強接触することが抑制されるようになっている。
そのため、本発明に係る車両用ドア構造では、車室内側へ突出してドアインナパネル21に固定されるロアサッシュ固定部41に加えて、車両外方へ突出する外側突出部42がロアサッシュ4の下端部にロアサッシュ固定部41と対応して設けられているので、外側突出部42が側突時に侵入するドアアウタパネル22などの侵入物に対して突っ張る作用を行うことになる。したがって、本発明に係る車両用ドア構造では、侵入物の車両内側への侵入量を低減させ、侵入物によるロアサッシュ4近傍のドアラッチ7の損傷や、侵入物とラッチレバーとの強接触を抑制するようになるので、フロントサイドドア1の開放を防止することができる。しかも、側突時に生じるドアアウタパネル22などの侵入に対して、樹脂製のロアサッシュ4に設けられた突出形状の外側突出部42及びロアサッシュ固定部41が変形することになるので、側突時の衝撃エネルギーを効果的に吸収でき、衝撃エネルギーの吸収及び伝達ための別部品を追加する必要が無く、レイアウトの自由度が向上し、部品コストを低減させることができる。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、外側突出部42及びロアサッシュ固定部41がパッド材6の近くに位置することになるので、側突初期に衝撃荷重が車室内側に伝達され、ドアアウタパネル22が侵入しても、外側突出部42などの突っ張りによってドアアウタパネル22の空走距離を無くすことができ、パッド材6が早いタイミングで乗員の腰部を押して保護することができる。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、ドアインナパネル21の剛性がビード形状部21Aによって高められることになるので、側突時に入力された衝撃荷重を周辺部品等へ効率的に伝達することができ、ドアインナパネル21の変形モードの発生を抑制することができる。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、ドアラッチ7がロアサッシュ固定部41の上方で近接した位置に配置されているので、側突時に侵入するドアアウタパネル22などの侵入物とドアラッチ7との強接触を抑制することができ、ドアラッチ7等の破損を抑えてフロントサイドドア1の開放を防止することができる。
2 ドア本体
3 ドアガラス
4 ロアサッシュ
5 締結ボルト
6 パッド材
6a パッド材の車両後方側端部
7 ドアラッチ
7a ドアラッチの下端部
7b ドアラッチの上端部
11 ドアハンドル
12 フロントサイドドアのベルトライン
21 ドアインナパネル
21A ビード形状部
22 ドアアウタパネル
23 ドアトリム
40 ロアサッシュ本体部
41 ロアサッシュ固定部
42 外側突出部
Claims (4)
- ドアのベルトラインよりも車両下方に位置するドアガラスを昇降可能に案内するロアサッシュが配置されている車両用ドア構造において、
前記ロアサッシュは、車両後方側に配置されるサッシュであり、下端部がドアインナパネル側へ向かって突出して該ドアインナパネルに固定されるロアサッシュ固定部を有し、
前記ロアサッシュ固定部のドアアウタパネル側には、車両外方へ向かって突出する外側突出部が設けられ、該外側突出部は、車両側面視で前記ロアサッシュ固定部と重なる位置に配置され、
前記ドアのベルトラインよりも車両下方に位置する車室内側には、ドアトリムが設けられ、前記ドアインナパネルと前記ドアトリムとの間にはパッド材が配置されており、
前記ドアインナパネルには、車両側面視で、車両前後方向に沿って延びるビード形状部が形成されており、該ビード形状部は、少なくとも前記ロアサッシュ固定部から前記パッド材と前記ドアインナパネルとが重なる位置まで延びていることを特徴とする車両用ドア構造。 - 前記ロアサッシュは、車両上下方向に延びるロアサッシュ本体部を有し、前記ロアサッシュ固定部は、前記ロアサッシュ本体部に対して車両後方側にオフセットした位置に配置され、
前記外側突出部は、車両前後方向で、前記ロアサッシュ本体部と前記ロアサッシュ固定部を跨いで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア構造。 - 前記ロアサッシュ固定部の車室内側端部の上下方向部分は、前記パッド材の車両上下方向の範囲内に位置し、前記ロアサッシュ固定部から前記パッド材の車両後方側端部までの距離は、前記パッド材の車両前後方向の長さよりも短くなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドア構造。
- 前記ドアインナパネルと前記ロアサッシュ本体部との間には、ドアラッチが配置されており、該ドアラッチの下端部は、前記ロアサッシュ固定部の上方位置に配置されているとともに、前記ドアラッチの上端部は、ドアハンドルの下方位置に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ドア構造。
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2018
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