JP7141269B2 - 吸音方法、及び吸音材 - Google Patents

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Description

本発明は、軟質樹脂発泡体を吸音材として用いる吸音方法、当該吸音方法において好適に用いられる吸音材、前述の吸音材の製造方法、並びに前述の吸音材を備える建築物及び車両に関する。
高分子化合物の発泡体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いた発泡体がよく知られている。このような発泡体は、その吸音特性を活かし、例えば、シート、あるいはボードのような形態として、住宅等の建築物や車両等の種々の物品における吸音材として使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2012-189783号公報
しかしながら、ポリウレタン等の樹脂からなる発泡体の吸音性能は、必ずしも十分ではない。このため、騒音等を吸音させる吸音方法において用いられる吸音材には、吸音特性の向上が求められている。
本発明者は、上記課題に関して鋭意検討を行った結果、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体である基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物を吸音材として用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
1)軟質樹脂発泡体を吸音材として用いる吸音方法であって、
軟質樹脂発泡体は、基材樹脂(A)と化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物からなり、
基材樹脂(A)は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体である、吸音方法。
2)吸音対象の音が、周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内の成分を含む、1)に記載の吸音方法。
3)軟質樹脂発泡体の密度が、200kg/m以下である、1)又は2)に記載の吸音方法。
4)軟質樹脂発泡体の-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδが0.1以上である、1)~3)のいずれか1つに記載の吸音方法。
5)液状樹脂組成物が、基材樹脂(A)100重量部と、化学発泡剤(B)2重量部以上200重量部以下と、水(C)1重量部以上50重量部以下を含む、1)~4)のいずれか1つに記載の吸音方法。
6)軟質樹脂発泡体からなる吸音材であって、
軟質樹脂発泡体は、基材樹脂(A)と化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物であり、
基材樹脂(A)は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体である、吸音材。
7)周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内の成分を含む音の吸収に用いられる、6)に記載の吸音材。
8)厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数800Hzにおける吸音率が30%以上である、6)又は7)に記載の吸音材。
9)厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数1600Hzにおける吸音率が70%以上である、6)~8)のいずれか1項に記載の吸音材。
10)密度が、200kg/m以下である、6)~9)のいずれか1つに記載の吸音材。
11)密度が、150kg/m以下である、10)に記載の吸音材。
12)-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδが0.1以上である、6)~10)のいずれか1つに記載の吸音材。
13)基材樹脂(A)が、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体である、6)~12)のいずれか1つに記載の吸音材。
14)液状樹脂組成物が、基材樹脂(A)100重量部と、化学発泡剤(B)2重量部以上200重量部以下と、水(C)1重量部以上50重量部以下を含む、6)~13)のいずれか1つに記載の吸音材。
15)液状樹脂組成物における、化学発泡剤(B)の量が45重量部以上200重量部以下である、14)に記載の吸音材。
16)化学発泡剤(B)が、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)である、6)~15)のいずれか1つに記載の吸音材。
17)6)~16)のいずれか1つに記載の吸音材の製造方法であって、
液状樹脂組成物を発泡及び硬化させて発泡硬化物を得る発泡成形工程を含む、吸音材の製造方法。
18)6)~16)のいずれか1つに記載の吸音材を備える、建築物。
19)6)~16)のいずれか1つに記載の吸音材を備える、車両。
本発明によれば、吸音特性に優れる吸音材を用いる吸音方法と、当該吸音方法において好適に使用される吸音特性に優れる吸音材と、当該吸音材の製造方法と、当該吸音材を備える建築物及び車両とを提供することができる。
JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定された、実施例及び比較例の吸音材の吸音率を示す図である。 JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定された、実施例及び比較例の吸音材の吸音率を示す図である。 JIS A 1405-2に準拠して、0℃においてA管を用いて測定された、実施例及び比較例の吸音材の吸音率を示す図である。 JIS A 1405-2に準拠して、0℃においてB管を用いて測定された、実施例及び比較例の吸音材の吸音率を示す図である。
≪吸音方法≫
吸音方法は、後述する特定の軟質樹脂発泡体を吸音材として用いる吸音方法である。吸音方法としては、所定の吸音材を用いることの他、吸音材を用いる従来の吸音方法と同様に行われる。
以下、吸音材について詳細に説明する。
<吸音材>
吸音材は、軟質樹脂発泡体からなる。軟質樹脂発泡体は、基材樹脂(A)と化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物である。
基材樹脂(A)としては、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体を用いる。
上記の発泡硬化物からなる吸音材は、吸収対象の音のうち、周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内、好ましくは1000Hz以上2200Hz以下の範囲内の成分を特に良好に吸収する。
このため、吸音方法においては、吸音対象の音が、周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内の成分を含むのが好ましい。
かかる周波数の範囲内の成分を含む音としては、日常会話、犬の鳴き声、ピアノやクラリネット等の楽器音が含まれる。このため、上記の吸音方法によれば、日常生活において特に気になる騒音を吸音しやすい。
吸音材の吸音率は、具体的には、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数800Hzにおける吸音率として、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が特に好ましい。
また、吸音材の吸音率は、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数1600Hzにおける吸音率として、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
吸音材の密度は、吸音材が所望する吸音特性を示す限り特に限定されない。吸音材の密度は、例えば、200kg/m以下が好ましく、150kg/m以下がより好ましい。密度が当該範囲であると、吸音材の吸音特性が良好であることに加え、比較的軽量であり日常的な持ち運びが容易であって、建築物等への吸音材の施工が容易である。吸音材の密度の下限は、特に限定するものではないが、10kg/m以上が好ましく、70kg/m以上がよりに好ましい。密度が小さすぎる場合は、吸音材として使用する際、自重で変形しやすくなる場合がある。
吸音材の吸音特性が良好であることから、吸音材の、-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδは0.1以上であるのが好ましい。
tanδは、例えば、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。典型的な測定条件としては、サンプルサイズ:チャック間2cm×幅0.5cm×厚み0.5cm、昇温速度4℃/分、測定周波数1Hz、歪0.05%である。具体的な動的粘弾性測定装置としては、例えば、アイティー計測制御株式会社製の、DVA-200等が挙げられる。
典型的な軟質樹脂発泡体としては、基材樹脂(A)200重量部、化学発泡剤(B)2重量部以上200重量部以下、水(C)1重量部以上50重量部以下を含む液状樹脂組成物を、例えば、-10℃以上40℃以下の雰囲気下で混合することで硬化及び発泡させて得られる軟質樹脂発泡体が挙げられる。
なお、硬化及び発泡の温度条件については特に限定されない。硬化及び発泡の温度条件は、化学発泡剤(B)の種類等に応じて、硬化及び発泡の速度を高めるために、40℃を超える高温で硬化及び発泡を行ってもよい。
例えば、化学発泡剤(B)が、炭酸亜鉛を含む場合には、40℃を超える高温、好ましくは40℃以上90℃以下で硬化及び発泡を行い、硬化及び発泡の反応時間を短縮させるのが好ましい。発泡時の加熱温度が、過度に低いと、十分な発泡を行えなかったり、所望する発泡を達成するために長時間を要したりする場合がある。発泡時の加熱温度が、例えば90℃超の過度に高い温度であると、水の気化が激しかったり、水が沸騰したりすることにより、適度な範囲のサイズのセルを有する発泡体を形成しにくい場合がある。
以下、液状樹脂組成物に含まれ得る、必須又は任意の成分について説明する。
<基材樹脂(A)>
基材樹脂は(A)は、分子鎖中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる、シラノール縮合触媒によって硬化する成分である。基材樹脂は(A)は、分子鎖中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するため、シラノール縮合反応が起こって架橋し、高分子状態となり、硬化する。基材樹脂(A)に含まれる反応性ケイ素基の数は、シラノール縮合触媒によって縮合反応するという点から、少なくとも1個必要である。硬化性、柔軟性の点からは、基材樹脂(A)は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体であるのが好ましい。かかる重合体は、1分子中に、好ましくは1.0個以上3.0個以下、より好ましくは1.0個以上2.5個以下、さらに好ましくは1.0個以上2.0個以下、さらにより好ましくは1.1個以上2.0個以下、特に好ましくは1.2個以上2.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
基材樹脂(A)が、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体のみからなる場合、得られる吸音材のアセトンゲル分率が高い傾向がある。アセトンゲル分率が高いことは、吸音材の有機溶剤耐性が高いことを意味する。吸音材のアセトンゲル分離が高いと、例えば、吸音材を、有機溶剤を含む接着剤を用いて、吸音材を室内に施工したり音響機器等に取り付けたりする場合に、吸音材の溶剤による劣化(溶剤可溶分の溶出)が生じにくい。
また、基材樹脂(A)は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体とともに、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体を含んでいてもよい。分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体は、1分子中に平均して、好ましくは1.0個以下、より好ましくは0.3個以上1.0個以下、さらに好ましくは0.4個以上1.0個以下、特に好ましくは0.5個以上1.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、65重量部以上95重量部以下が好ましい。基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、5重量部以上35重量部以下が好ましい。
基材樹脂(A)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基又は加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、一般式(1):
-SiR 3-a (1)
(Rは、それぞれ独立に炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は、-OSi(R’)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1以上20以下の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基又は加水分解性基である。さらに、aは1以上3以下の整数である。)
で表される基が挙げられる。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及び、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基やヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1個以上3個以下の範囲で結合することができる。加水分解性基やヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
上記一般式(1)におけるaは、硬化性の点から3であることが好ましく、2液が混合することにより硬化と発泡が同時の進行するためには3であることが好ましい。
また上記一般式(1)におけるRの具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R’がメチル基、フェニル基等である-OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基がより好ましい。
基材樹脂(A)の構造としては、直鎖状であっても、分岐構造を有していても構わないが、分岐であるほうが硬化性の観点から好ましい。
基材樹脂(A)の分子量は、粘度及び反応性のバランスの点から、数平均分子量Mnとして3000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。数平均分子量Mnの上限値には特に限定は無いが、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。また、基材樹脂(A)は、2種類以上の組み合わせでもよい。また、その際、主剤として用いる重合体以外の重合体は、粘度及び架橋構造の調整を目的とする場合は、上記条件以外のものでもよい。
基材樹脂(A)は、主鎖を構成する繰返し単位がオキシアルキレン系単位であるため、主鎖を形成する出発物質として活性水素を2個以上有する化合物を重合させることにより製造されることができる。例えば、基材樹脂(A)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等を用い、C~Cのアルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。また、オキシアルキレンをポリイソシアネート化合物で変性することができる。
基材樹脂(A)の末端反応性ケイ素基については、水酸基末端のオキシアルキレンをイソシアネートシラン化合物で末端変性することができ、別の方法としては水酸基末端をアリル化後にアルコキシシランによるヒドロシリル化を行うこともできる。さらに、ポリイソシアネート変性品の末端をイソシアネート基とした場合は、活性水素を有するアミノシラン等で末端変性することができる。
基材樹脂(A)の主鎖の具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドから選ばれる2種以上のランダム又はブロック共重合体、等が挙げられる。低温の柔軟性の点から、主鎖の繰返し単位は、ポリプロピレンオキシドであることがより好ましい。
<化学発泡剤(B)>
液状樹脂組成物は、化学発泡剤(B)を含む。化学発泡剤(B)としては、樹脂からなる発泡体の製造に用いられる種々の発泡剤を特に制限なく用いることができる。
化学発泡剤(B)としては、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と酸性化合物とからなる化学発泡剤(B)が好ましい。特に、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)とからなる化学発泡剤(B)が好ましい。
なお、ブレンステッドの定義による酸性を示す化合物を、「酸性化合物」として定義する。
ここで、酸性化合物が複数のpKaを示す化合物である場合、当該複数のpKaの値のうち、炭酸のpKa1(=6.35)以下の範囲の1つ以上のpKaの値が、全て3.0以下である化合物を、「酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)」として定義する。
具体的には、例えば、サリチル酸は、2.97のpKa1と、13超のpKa2とを示す。従って、サリチル酸では、炭酸のpKa1(=6.35)以下の範囲のpKaの値は、2.97のみである。2.97は、3.0以下の値であるため、サリチル酸は、「酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)」に該当する。
また、pKaは、水中での値である。
かかる化学発泡剤(B)を用いると、基材樹脂(A)の硬化反応(シラノール縮合反応)と併行して、炭酸ガスが発生する。この場合、水素等の可燃性ガスが発生しないため、防火・防爆仕様の設備にすることなく、発泡体を製造することができる。
なお、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)を含む化学発泡剤(B)において、重炭酸塩と、炭酸塩とを組み合わせて用いてもよい。
重炭酸塩の好ましい具体例としては炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。炭酸塩の好ましい具体例としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸エステル等が挙げられる。酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)としては、有機酸が好ましい。有機酸としては、カルボン酸あるいはスルホン酸が好ましく、例えば、サリチル酸、塩素化酢酸、フッ素化酢酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でもサリチル酸が特に好ましい。pKaが3.0以下の酸性化合物を選定することにより配合中のpHが低くなり、硬化反応(シラノール縮合反応)及び炭酸ガス発生反応が進行しやすくなる。これらのうち、基材樹脂(A)の硬化反応(シラノール縮合反応)が適切に進行するpH領域で炭酸ガスが発生することが好ましいことから、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩又は炭酸塩と前述の有機酸の混合物が好ましく、炭酸水素ナトリウムとサリチル酸の混合物が特に好ましい。
化学発泡剤(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して2重量部以上200重量部以下が好ましく、5重量部以上70重量部以下がさらに好ましい。
日常生活において特に騒音として気になる、ピアノの音、小型犬等の甲高い鳴き声、小児等の高音の会話等の、例えば、1800Hz以上2200Hz以下の音成分を特に良好に吸音できることから、化学発泡剤(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して45重量部以上200重量部であるのも好ましく、50重量部以上90重量部以下であるのがより好ましい。
化学発泡剤(B)の含有量が上記の範囲内であると、十分に発泡させつつ良好に硬化を進行させやすく、微細且つ緻密な発泡セルを有し、柔軟性に優れる発泡体を得やすい。
基材樹脂(A)100重量部に対する重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)の含有量は、1重量部以上100重量部以下が好ましく、2重量部以上80重量部以下がより好ましい。また、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と有機酸との当量比は、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)/有機酸が1/1以上3/1以下であることが好ましく、1/1以上2/1以下であることがより好ましい。重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)の官能基数が有機酸の官能基数より少ないと、有機酸が残存して湿気による錆発生の原因となる場合がある。例えば、重曹15重量部は分子量84で1官能基のため官能基数は0.18モルとなり、サリチル酸22重量部は分子量138で1官能基のため官能基数は0.16モルとなる。
なお、酸性化合物の1分子中の官能基数は、炭酸のpKa1(=6.35)以下のpKaを示す官能基の数である。つまり、酸性化合物の1分子中の官能基数とは、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と反応して炭酸ガスを発生させ得る官能基の数である。
<水(C)>
水(C)としては、化学発泡剤(B)の発泡反応及び基材樹脂(A)の硬化反応を促進させる働きがある。水(C)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上50重量部以下が好ましく、2重量部以上30重量部以下がより好ましく、2重量部以上20重量部以下がさらに好ましい。水(C)の含有量が上記の範囲内であると、十分に発泡させつつ良好に硬化を進行させやすく、微細且つ緻密な発泡セルを有し、柔軟性に優れる発泡体を得やすい。
<シラノール縮合触媒(D)>
液状樹脂組成物は、シラノール縮合触媒(D)を含むのが好ましい。シラノール縮合触媒(D)としては、縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。
シラノール縮合触媒(D)の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート等のジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、例えば、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸及びアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、例えば、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、及びこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類;例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物及び混合物;例えば、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ-イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物及び混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン等の脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;及び、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物及び混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CHO)-P(=O)(-OH)、(CHO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(C17O)-P(=O)(-OH)、(C17O)-P(=O)(-OH)、(C1021O)-P(=O)(-OH)、(C1021O)-P(=O)(-OH)、(C1327O)-P(=O)(-OH)、(C1327O)-P(=O)(-OH)、(C1633O)-P(=O)(-OH)、(C1633O)-P(=O)(-OH)、(HO-C12O)-P(=O)(-OH)、(HO-C12O)-P(=O)(-OH)、(HO-C16O)-P(=O)(-OH)、(HO-C16O)-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)O]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)O]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]-P(=O)(-OH)等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
発泡反応と硬化反応をバランス良く進行させるという観点から、上記に挙げられるシラノール縮合触媒(D)の中でも、硬化が早く反応性の高い有機酸性リン酸エステル化合物等の酸性触媒が特に好ましい。
シラノール縮合触媒(D)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して0重量部以上90重量部以下が好ましく、0.1重量部以上80重量部以下がさらに好ましい。シラノール縮合触媒(D)の含有量が80重量部よりも多いと、得られた軟質樹脂発泡体の圧縮により底付きする場合がある。
<その他添加剤>
液状樹脂組成物には、軟質樹脂発泡体の柔軟性や成形加工性を調整する目的で可塑剤、反応性調整剤、染料を添加することができる。
可塑剤としては、オキシアルキレン系単位からなる繰り返し単位から構成される主鎖を有する可塑剤が好ましい。主鎖の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドから選ばれる2種以上のランダム又はブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。これらのうち、基材樹脂(A)との相溶性の点で、ポリプロピレンオキシドが好ましい。また、これらのオキシアルキレンをイソシアネート変性したものも添加することができる。
可塑剤の分子量は、得られる軟質樹脂発泡体の柔軟性や、可塑剤の系外への流出防止の観点から数平均分子量で1000以上であり、3000以上が好ましい。数平均分子量が前述の範囲内であると、熱や圧縮等による可塑剤の経時的な系外への流出を抑制でき、初期の物性を長期に渡り維持しやすく、柔軟性への悪影響が少ない。また、上限値は特に限定は無いが、数平均分子量が高くなりすぎると粘度が高くなり、作業性が悪化するため50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。なお、可塑剤は、軟質樹脂発泡体に柔軟性を付与できるものであれば、直鎖状でも分岐状でも特に限定はない。
可塑剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、5重量部以上150重量部以下、より好ましくは10重量部以上120重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上100重量部以下である。可塑剤の添加量が前述の範囲内であると、柔軟性や成形加工性を調整しやすく、良好な機械強度を有し、所望する発泡倍率である軟質樹脂発泡体を形成しやすい。可塑剤の製造方法は特に限定なく、公知の製造方法を適用することができ、さらに市販の化合物を用いてもよい。
反応性調整剤は、反応性ケイ素基を有するのが好ましい。反応性調整剤は、メチルシリケート、エチルシリケート等のシリケート化合物であってもよく、反応性ケイ素基を有するビニルモノマーの共重合体であってもよく、チオール等の連鎖移動基を有する反応性ケイ素モノマーを使用した共重合体であってもよい。これらは単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
反応性調整剤の分子量は、得られる軟質樹脂発泡体の硬化及び発泡の観点から数平均分子量で1000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。数平均分子量が前述の範囲内であると、吸音性に優れる軟質樹脂発泡体を形成しやすい。また、上限値は特に限定は無いが、液状樹脂組成物の粘度を作業しやすい範囲内としやすいことから、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。なお、反応性調整剤は、軟質樹脂発泡体の硬化性を調整できるものであれば、直鎖状でも分岐状でも特に限定はない。
反応性調整剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、2重量部以上120重量部以下、より好ましくは5重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下である。かかる範囲内の量の反応調整剤を用いると、硬化性を適切な範囲内に調整しやすく、適切な速度で効果を進行させ発泡倍率の高い軟質樹脂発泡体を得やすい。反応性調整剤の製造方法は特に限定なく、公知の製造方法を適用することができ、さらに市販の化合物を用いてもよい。
液状樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤、潤滑剤等を必要に応じて添加してもよい。
耐光性安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びイオウ原子、リン原子、1級アミン、2級アミンを含まないヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ここで、耐光性安定剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能、又は、光吸収により生成したラジカルを捕捉して熱エネルギーに変換し無害化する機能等を有し、光に対する安定性を高める化合物である。
紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が例示される。ここで、紫外線吸収剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能を有する化合物である。
耐光性安定剤、及び紫外線吸収剤の添加量としては、それぞれ、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、0.1重量部以上3重量部以下がより好ましく、0.3重量部以上2.0重量部以下がさらに好ましい。耐光性安定剤、紫外線吸収剤の添加量が当該範囲内であると、経時的な表面粘着性の上昇を抑制する効果が得やすい。
貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、又は2種以上併用してもよい。具体的には、2-ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2-(4-モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3-メチル-1-ブテン-3-オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2-ペンテンニトリル、2,3-ジクロロプロペン等が挙げられる。
貯蔵安定性改良剤の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下が好ましく、0.5重量部以上2重量部以下がより好ましい。貯蔵安定性改良剤の使用量が、当該範囲内であると、経時的な物性変化を抑制しやすい。
液状樹脂組成物には、必要であれば、気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ等の無機固体粉末が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、カーボンブラック等の黒顔料は吸音材を補強する効果が期待できる場合がある。
気泡調整剤の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下が好ましく、0.5重量部以上50重量部以下がより好ましい。
液状樹脂組成物には、必要であれば、整泡剤を添加してもよい。整泡剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、ポリエーテル変成シリコーンオイル等のシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、ポリプロピレン及びポリエチレン変性シリコーンは少量での整泡力が期待できる場合がある。
整泡剤の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.2重量部以上30重量部以下が好ましく、0。5重量部以上15重量部以下がより好ましい。
液状樹脂組成物には、必要であれば、中空粒子を添加してもよい。中空粒子の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、熱可塑性のシェルポリマーの中にシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性液体を内包し、加熱された揮発性液体がガス状になるとともに、シェルポリマーが軟化して膨張したものが挙げられる。また、膨張する前の中空粒子を添加し、成形時に発泡させることも可能である。
中空粒子の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.2重量部以上30重量部以下が好ましく、0.5重量部以上15重量部以下がより好ましい。
さらに、基材樹脂(A)、化学発泡剤(B)、水(C)を含んでなる発泡性液状樹脂組成物の相溶性を向上する目的で、潤滑剤を添加することもできる。
潤滑剤を含有することで、発泡性液状樹脂組成物を発泡してなる発泡体の発泡セル内における摩擦や粘着を少なくし、所望の柔軟性を有する発泡体を得ることができる。また、潤滑剤は、基材樹脂(A)間のシラノール縮合反応によって形成される三次元網目構造体に保持されて、発泡体系外へのブリードアウトが抑えられる傾向にあるため、長期間にわたって柔軟性を維持することが可能となる。
潤滑剤としては、液状の潤滑剤が好ましい。液体潤滑剤の具体的な例としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、脂肪酸グリセライド等の動植物油;ポリ-1-デセン、ポリブテン等のアルキル構造を有するオレフィン系潤滑剤;アラルキル構造を有するアルキル芳香族化合物系潤滑剤;ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテル、パーフロロポリエーテル、ポリフェニルエーテル等のエーテル系潤滑剤;脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有するエステル系潤滑剤;ジメチルシリコーン(すなわち、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン)、及びジメチルシリコーンのメチル基の一部をポリエーテル基、フェニル基、アルキル基、アラルキル基、フッ素化アルキル基等で置換したシリコーンオイル等のシリコーン系潤滑剤;クロロフロロカーボン等のフッ素原子含有系潤滑剤等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの潤滑剤の中では、発泡セル内における摩擦係数の低下や分散性、加工性、安全性等の観点から、特にシリコーン系潤滑剤が好ましい。
潤滑剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、2重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましい。潤滑剤の添加量の上限値に特に制限はないが、25重量部以下、さらには20重量部以下が好ましい。かかる範囲内の量の潤滑剤を用いると、発泡セル内の摩擦や粘着を抑制しやすく、発泡倍率を高めやすく、潤滑剤の系外へのブリードアウトを抑制しやすく、所望する柔軟性の軟質樹脂発泡体を得やすい。
≪吸音材≫
本発明者は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系単位からなる重合体である上記の基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物についての、極めて優れる吸音特性を示すという、未知の属性を見出した。
本発明者は、当該未知の属性に基づき、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン系単位からなる重合体である基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物からなる吸音材に関する発明を提供するに至った。
吸音材について詳細については、吸音方法について前述した通りである。
≪吸音材の製造方法≫
軟質樹脂発泡体からなる吸音材の製造方法は、特に限定はないが、発泡性液状樹脂組成物を型枠に注入してから発泡及び硬化させてもよく、発泡性液状樹脂組成物を硬化させる前、又は、硬化させると同時に発泡させてもよい。具体的には、以下のように製造できる。
基材樹脂(A)、発泡剤(B)及び水(C)を撹拌混合して調製し、液状樹脂組成物を得る。得られた液状樹脂組成物を型枠に注入する、あるいは、ベルトコンベア上の基材に垂らす等した後、発泡及び硬化させて軟質樹脂発泡体である発泡硬化物を得る(発泡成形工程)。
なお、基材樹脂(A)、発泡剤(B)及び水(C)の2液以上の3液型液状組成物の組み合わせとすることが好ましく、基材樹脂(A)、及び重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)を含むA液と、酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)、及び水(C)を含むB液と、からなる2液型液状樹脂組成物の組み合わせとすることがより好ましい。組成物の組み合わせが当該範囲であると、3液あるいは2液の混合システムを使用すれば、連続生産が可能となる。
硬化及び発泡が完了する時間は特に制約はないが、例えば15分以下、好ましくは12分以下、さらに好ましくは10分以下の放置で発泡硬化物が得られる。
液状樹脂組成物の混合条件は、-10℃以上40℃以下の雰囲気下であることが好ましく、0℃以上37℃以下がより好ましい。混合条件が当該範囲であると人による現場発泡が長時間実施できる。
以上説明した方法により製造される発泡硬化物を、さらに水洗するのも好ましい。上記の方法により製造される発泡硬化物には、発泡剤(B)に由来する水溶性物質が含まれていることが多い。水溶性物質としては、例えば、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と、酸性化合物(B-2)との塩が挙げられ、より具体的には、サリチル酸ナトリウム等が挙げられる。
水溶性物質を含む発泡硬化物を水洗すると、吸音材から予め、水溶性物質を除去できるため、吸音材が水と接触する場合の吸音材の変質を抑制することができる。
また、水溶性物質が吸音材から溶出することにより、発泡剤(B)の発泡に由来する細孔とは、孔径の異なる細孔が吸音材に形成される。その結果として、吸音材が最も吸収しやすい音の周波数を調整し得る。
例えば、炭酸水素ナトリウムと、サリチル酸とを含む液状樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られる、サリチル酸ナトリウムを含む多孔体前駆硬化物を水洗して多孔体を製造する場合、多孔体が最も吸収しやすい音の周波数領域を、1500~2000Hz程度から、700~1000Hz程度の低周波数側にシフトさせることができる。
水溶性物質を含む発泡硬化物を水洗する方法は特に限定されない。例えば、発泡硬化物に水を噴霧してもよく、流水に発泡硬化物をさらしてもよく、発泡硬化物を水に浸漬してもよい。
これらの方法の中では、容易であることや、効率よく水溶性物質を水に溶解させやすいことから、発泡硬化物を水に浸漬させる方法が好ましい。
水洗に用いる水の温度は、発泡硬化物が過度に劣化したりしない温度であれば特に限定されない。水の温度は、例えば、0℃以上50℃以下が好ましい。
発泡硬化物と水とを接触させる時間は特に限定されない。発泡硬化物と水とを接触させる時間は、例えば、5分以上1週間以内であり、10分以上5日以内が好ましく、30分以上3日以内がより好ましい。
次に、得られた発泡硬化物を、必要に応じて乾燥し、軟質樹脂発泡体からなる吸音材が得られる(乾燥工程)。
乾燥の温度及び時間の条件は、液状組成物に由来するか、硬化反応により副生する水、アルコール等を所望する程度まで低減できればよく、特に制約はないが、例えば約80℃雰囲気下で約1時間であればよい。また、乾燥の温度及び時間の条件は、例えば約60℃雰囲気下で約12時間であってもよい。これによれば、工場において作業終了時に纏めて乾燥を開始すると、翌日の作業開始時にちょうど乾燥が終了することとなる。
≪吸音材の用途≫
軟質樹脂発泡体からなる吸音材は、良好な吸音特性を示すため、従来より種々の吸音材が適用されている種々の物品の製造に好適に用いることができる。
前述の通り、上記の吸音材は、日常生活における騒音を良好に吸収できる。このため、前述の吸音材を備える建築物、及び前述の吸音材を備える車両は、吸音材を備える物品として好ましい。
また、吸音材は、空気入りタイヤ用の吸音材として使用されるのも好ましい。自動車における騒音は、主にタイヤパターンノイズといわれる800Hz以下の騒音である。
実施例、及び図面により詳細に後述するように、前述の吸音材は、800Hz以下の周波数領域において、ポリウレタンフォームのような周知の発泡体よりも良好な吸音特性を示す。
また、前述するように、発泡硬化物を水洗して得られる吸音材は、最も吸収しやすい音の周波数が、700~1000Hz程度にシフトする。
このため、発泡硬化物を水洗して得られる発泡体は、空気入りタイヤ用の吸音材として特に好ましく用いることができる。
空気入りタイヤへの前述の吸音材の取り付け方法は特に限定されない。吸音材は、例えば、空気入りタイヤの内腔内に、タイヤ周方向に伸びる帯状の部材として設けられるのが好ましい。かかる帯状の部材の形状は、円弧状であってもよく、環状であってもよく、環状が好ましい。
かかる帯状の部材は、空気入りタイヤの内面から離れた位置に配置されても、空気入りタイヤの内面に接して配置されてもよく、空気入りタイヤの内面に接して配置されるのが好ましい。また、吸音材からなる帯状の部材は、接着剤や、ビス等の固定具を用いて、空気入りタイヤの内面に接して固定されるのが好ましい。
上記の帯状の部材のサイズは、帯状の部材の体積が、空気入りタイヤの内腔の容積の0.1%以上30%以上であるサイズが好ましく、0.5%以上20%以下であるサイズがより好ましい。
帯状の部材の、タイヤ周方向における接線方向に対して垂直な断面の形状は特に限定されない。かかる断面の形状の好ましい例としては、正方形、長方形、三角形(好ましくは二等辺三角形)、台形、及び半円形や、これらの形状に概略近似する形状が挙げられる。
また、かかる断面の形状は、空気入りタイヤの内面側が平滑であり、空気入りタイヤの内面側の面と反対の面(空気入りタイヤの回転中心側の面)の側に1以上の突出部(好ましくは2又は3の突出部)を有する形状が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、特に断りがない場合、実施例及び比較例での「部」及び「%」は、「重量部」及び「重量%」を示す。
(合成例1)
<ポリマーA>
分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が16,400(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)の水酸基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレンの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.5倍当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン重合体100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmを加え撹拌しながら、トリエトキシシラン3.3重量部をゆっくりと滴下し、90℃で2時間反応させた。さらにメタノール30重量部、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換した後、過剰のメタノールを除去することにより、末端にトリメトキシシリル基を有する分岐状の反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンを得た。
(合成例2)
<ポリマーB>
分子量約3,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が28,500(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)の水酸基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレンの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.5倍当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン重合体100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmを加え撹拌しながら、トリエトキシシラン1.2重量部をゆっくりと滴下し、90℃で2時間反応させた。さらにメタノール30重量部、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換した後、過剰のメタノールを除去することにより、末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状の反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンを得た。
(合成例3)
<ポリマーC>
ブタノールを開始剤として使用し、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量7,000のポリオキシプロピレンを得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレンの水酸基1当量に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加し、メタノールを留去した後、さらに1.5当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)36重量ppmを加え撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン1.72重量部をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させることにより、末端がジメトキシメチルシリル基である直鎖状のポリオキシプロピレンを得た。
(実施例1)
基材樹脂(A)[ポリマーA]100重量部、化学発泡剤(B-1)[炭酸水素ナトリウム:永和化成工業(株)製、FE-507]27重量部(0.32mol)、及び黒色顔料[旭カーボン(株)製、アサヒサーマル]5重量部を添加し、十分に混合してA液を作製した。化学発泡剤(B-2)[サリチル酸(pKa:2.97):キシダ化学(株)製1級サリチル酸]37重量部(0.27mol)、水(C)12重量部、シラノール縮合触媒(D)[2-エチルアシッドホスフェート(城北化学工業(株)製、酸性リン酸エステル、JP-502)]10重量部、及び整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製、SRX-298]2重量部を添加し、十分に混合してB液を作製した。
得られたA液及びB液をA液:B液=2:1の重量比率で、室温(23℃雰囲気)下で約15分間混合して発泡させ、発泡硬化物を得た(発泡成形工程)。
得られた発泡硬化物を、90℃雰囲気下で約12時間乾燥して軟質樹脂発泡体からなる吸音材を得た(乾燥工程)。
発泡は、乾燥後の発泡硬化物の密度が76kg/mとなるまで行った。
また、吸音材(発泡硬化物)の密度は、直径10cm×厚さ2.5cmの円盤形状の発泡硬化物の試料を作成し、試料の重量を測定して求めた。
なお、吸音材の作成は、2液型ディスペンサ(ツインフローVR50(トミタエンジニアリング(株)製))を用いて、以下の条件で行った。
ダイナミックミキサー:75cc4段、1700rpm
スタティックミキサー:24エレメント、先端吐出径8mm
吐出速度:1ショット/2.4秒
実施例1で得られた吸音材の、-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδを前述の方法に従い測定したところ、tanδの値は0.1以上であった。
(実施例2)
基材樹脂(A)[ポリマーB]80重量部、基材樹脂(A)[ポリマーC]20重量部:化学発泡剤(B)[炭酸水素ナトリウム:永和化成工業(株)製、FE-507]7.5重量部(0.09mol)、化学発泡剤(B)[クエン酸(無水、pKa:3超):磐田化学工業(株)製]7.5重量部(0.12mol)、潤滑剤[ジメチルポリシロキサン:信越化学工業(株)製、KF-96-100cs]5重量部、及びシラノール縮合触媒(D)[2-エチルヘキシルアッシドホスフェート:大八化学(株)製、AP-8]0.5重量部を混合して、液状樹脂組成物を得た。
得られた液状樹脂組成物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱硬化し、軟質樹脂発泡体からなる吸音材を得た。
得られた吸音材の密度は249kg/mであった。
また、吸音材の密度は、直径10cm×厚さ2.5cmの円盤形状の発泡硬化物を作成し、その重量を測定して求めた。
実施例2で得られた吸音材の、-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδを、前述の方法に従い測定したところ0.1以上であった。
<吸音率評価>
実施例1で得られた吸音材と、実施例2で得られた吸音材と、比較例1の吸音材(ポリウレタンフォーム(ソノーライズ(株)製、ウレタンスポンジ吸音材ZS))、及び比較例2の吸音材(グラスウール(パーテーションウールGW32、旭ファイバーグラス(株)製))とを用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃、及び0℃においてA管と、B管とを用いて吸音率を測定した。発泡体の吸音材はスキン層をすべてカットした状態である。
A管又はB管を用いた20℃での吸音率の測定結果を、図1及び図2に示す。また、A管又はB管を用いた0℃での吸音率の測定結果を、図3及び図4に示す。
図1~図4によれば、例えば、400Hz以上2300Hz以下の周波数範囲、特に800Hz以上2300Hz以下の周波数範囲において、実施例1及び実施例2の吸音材は、従来使用されている吸音材であるポリウレタンフォームやグラスウールよりも格段に高い吸音率を示すことが分かる。
また、図2及び図4における、実施例1と、実施例2との比較によれば、化学発泡剤(B)を、基材樹脂(A)100重量部に対して45重量部以上の多量に用いて製造された、実施例1の吸音材は、基材樹脂(A)100重量部に対して45重量部未満の少量の化学発泡剤(B)を用いて製造された、実施例2の吸音材と比較して、周波数1800Hz以上2200Hz以下の音成分を特に良好に吸音できることが分かる。
(実施例3)
実施例1で得られた吸音材を、吸音材の体積の2倍の体積の水に3日間浸漬させた後、乾燥させて、水洗処理された吸音材を得た。
水洗処理された実施例3の吸音材の20℃での吸音特性(吸音率)を、実施例1で得られた吸音材と同様に評価した。A管又はB管を用いた20℃での吸音率の測定結果を、図1及び図2に示す。
その結果、実施例1で得られた吸音材が最もよく吸収する音の周波数の領域が1500~2000Hz程度であったのに対して、実施例3の吸音材が最もよく吸収する音の周波数の領域が、700~1000Hz程度の低周波数側にシフトしていた。
なお、実施例3の吸音材の、周波数800Hz付近の吸音率は、従来使用されている吸音材であるポリウレタンフォームやグラスウールよりも格段に高かった。

Claims (18)

  1. 軟質樹脂発泡体を吸音材として用いる吸音方法であって、
    前記軟質樹脂発泡体は、基材樹脂(A)と化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物からなり、
    前記基材樹脂(A)は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体であり、
    前記化学発泡剤(B)が、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)である、吸音方法。
  2. 吸音対象の音が、周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内の成分を含む、請求項1に記載の吸音方法。
  3. 前記軟質樹脂発泡体の密度が、200kg/m以下である、請求項1又は2に記載の吸音方法。
  4. 前記軟質樹脂発泡体の-20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδが0.1以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音方法。
  5. 前記液状樹脂組成物が、前記基材樹脂(A)100重量部と、前記化学発泡剤(B)2重量部以上200重量部以下と、水(C)1重量部以上50重量部以下を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸音方法。
  6. 軟質樹脂発泡体からなる吸音材であって、
    前記軟質樹脂発泡体は、基材樹脂(A)と化学発泡剤(B)とを含む液状樹脂組成物の発泡硬化物であり、
    前記基材樹脂(A)は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る反応性ケイ素基を分子鎖中に少なくとも1個有し、オキシアルキレン系単位からなる主鎖を有する重合体であり、
    前記化学発泡剤(B)が、重炭酸塩又は炭酸塩(B-1)と酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-2)である、吸音材。
  7. 周波数800Hz以上2300Hz以下の範囲内の成分を含む音の吸収に用いられる、請求項6に記載の吸音材。
  8. 厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数800Hzにおける吸音率が30%以上である、請求項6又は7に記載の吸音材。
  9. 厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてA管を用いて測定される、周波数1600Hzにおける吸音率が70%以上である、請求項6~8のいずれか1項に記載の吸音材。
  10. 密度が、200kg/m以下である、請求項6~9のいずれか1項に記載の吸音材。
  11. 密度が、150kg/m以下である、請求項10に記載の吸音材。
  12. -20℃以上50℃以下の温度範囲における引張粘弾性のtanδが0.1以上である、請求項6~11のいずれか1項に記載の吸音材。
  13. 前記基材樹脂(A)が、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に前記反応性ケイ素基を有する重合体である、請求項6~12のいずれか1項に記載の吸音材。
  14. 前記液状樹脂組成物が、前記基材樹脂(A)100重量部と、前記化学発泡剤(B)2重量部以上200重量部以下と、水(C)1重量部以上50重量部以下を含む、請求項6~13のいずれか1項に記載の吸音材。
  15. 前記液状樹脂組成物における、前記化学発泡剤(B)の量が45重量部以上200重量部以下である、請求項14に記載の吸音材。
  16. 請求項6~15のいずれか1項に記載の吸音材の製造方法であって、
    前記液状樹脂組成物を発泡及び硬化させて前記発泡硬化物を得る発泡成形工程を含む、
    吸音材の製造方法。
  17. 請求項6~15のいずれか1項に記載の吸音材を備える、建築物。
  18. 請求項6~15のいずれか1項に記載の吸音材を備える、車両。
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