JP6818540B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、反応性ケイ素基を有する有機重合体およびその重合体を含む硬化性組成物に関する。
反応性ケイ素基を有する有機重合体は、室温においても湿分などによる反応性ケイ素基の加水分解反応などを伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという性質を有することが知られている。
反応性ケイ素基を有する有機重合体の中で、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体や反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、既に工業的に生産され、シーリング材、接着剤、塗料などの用途に広く使用されている。
反応性ケイ素基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物には、作業性を改善する目的や硬化物の機械物性を調整する目的で、一般的に可塑剤が使用されており、従来から低粘度で安価なフタル酸エステル系可塑剤が用いられている(特許文献1)。
反応性ケイ素基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物に、低湿度雰囲気下での硬化性を改善する目的で、N−メチル−2−ピロリドンのような双極性非プロトン溶剤の添加が検討されている。また、双極性非プロトン溶剤の例としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートも開示されている(特許文献2)。
硬化性シリコーン樹脂およびオキシラン環を有するエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物に、プラスチックに対する密着性を向上させる目的で、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのような分子内に五員環カーボネート基を有する化合物を添加することが検討されている(特許文献3)。
反応性シリル基を有するポリマーを含む組成物の硬化性を改善する目的で、非金属触媒としてジアザ二環式化合物またはその塩を硬化触媒として使用することが検討されている。ここで、補助物質として、炭酸プロピレンなどの極性および無極性溶媒を含んでいてもよいことが開示されている(特許文献4)。
特開平5−202282号公報 特開2005−350514号公報 特開2011−12144号公報 特表2015−521211号公報
反応性ケイ素基を有する有機重合体にフタル酸エステル系可塑剤を配合した1液型硬化性組成物は、空気中の水分によって組成物の表面から硬化が進むため深部の硬化性が十分でない場合があった。このため早い段階で強度や接着性が求められる用途においては深部硬化性を改善することが望まれていた。また、この1液型硬化性組成物を貯蔵後に使用すると硬化遅延を起こす場合があった。このため硬化性について改善する余地があった。
本発明は、深部硬化性および貯蔵後の硬化遅延を改善することにより、シーリング材や接着剤に適用可能な硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、反応性ケイ素基を有する有機重合体を含む硬化性組成物に、有機炭酸エステル化合物を添加することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
1)(A)反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対して、(B)一般式R10−O−CO−O−R11(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。またR10およびR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表される有機炭酸エステル化合物を30重量部を超え150重量部含むことを特徴とする硬化性組成物。
2)(A)成分が、(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、(A2)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする1)に記載の硬化性組成物。
3)(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体が、反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン系重合体であることを特徴とする2)に記載の硬化性組成物。
4)(A)成分が、(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
5)(A)成分の反応性ケイ素基が下記一般式(1)で表されることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
−SiR 3−a (1)
(ここで、一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または−OSi(R’)(式中、R’はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基を示す)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を示す。aは1〜3の整数である。)
6)(A)成分の反応性ケイ素基がジメトキシメチルシリル基および/またはジエトキシメチルシリル基であることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
7)(B)成分のR10とR11とが互いに結合して−R10−R11−構造(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)を形成している環状有機炭酸エステル化合物(B1)であることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の硬化性組成物。
8)環状有機炭酸エステル化合物(B1)が五員環カーボネート構造を有し、−R10−R11−構造が−CH−CH(R12)− (ここでR12は、水素原子または置換基として水酸基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示す。)で表されることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載の硬化性組成物。
9)(B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造、分岐構造もしくは脂環式構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の硬化性組成物。
10)(B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造または分岐構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることを特徴とする1)〜6)または9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
11)さらに(C)フタル酸エステル系可塑剤を含むことを特徴とする1)〜10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
12)1液型硬化性組成物であることを特徴とする1)〜11)のいずれかに記載の硬化性組成物。
13)1)〜11)のいずれかに記載の硬化性組成物を含有するシーリング材。
14)1)〜11)のいずれかに記載の硬化性組成物を含有する接着剤。
15)1)〜11)のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
本発明の硬化性組成物は深部硬化性に優れるとともに、貯蔵後の硬化遅延を改善することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の(A)反応性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖骨格は特に制限はない。
(A)成分の有機重合体の主鎖骨格を構成する重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体、炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ビニル系(共重合体)、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、グラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ウレタン結合および/またはウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)、ジアリルフタレート系重合体などをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などをあげることができる。
炭化水素系重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンまたはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンなどとの共重合体、ポリブタジエン、イソプレンまたはブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンとの共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体などをあげることができる。
ポリエステル系重合体としては、例えば、アジピン酸などの2塩基酸とグリコールとの縮合反応で得られる重合体、またはラクトン類の開環重合で得られる重合体などのエステル結合を有する重合体をあげることができる。
ビニル系(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどのビニル系単量体をラジカル重合して得られる重合体をあげることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体をラジカル重合して得られる重合体をあげることができる。
グラフト重合体としては、例えば、上記の各種重合体中で、ビニル系単量体を重合して得られる重合体をあげることができる。
ポリアミド系重合体としては、例えば、ε−カプロラクタムの開環重合で得られるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合で得られるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との縮重合で得られるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合で得られるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合で得られるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロンなどをあげることができる。
ポリカーボネート系重合体としては、例えば、ビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造される重合体などをあげることができる。
ウレタン結合および/またはウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)としては、例えば、ポリオールと過剰量のポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる分子末端にイソシアネート基を有する液状高分子化合物などをあげることができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を表し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸および/またはメタリル酸」表し、「(共)重合体」とは「重合体および/または共重合体」を表す。同様のその他の表記も、これらと同様の意味を有する。
(A)成分の有機重合体の主鎖骨格を構成する重合体の中で、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンなどの飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。
(A)成分の有機重合体の主鎖骨格を構成する重合体のガラス転移温度は、特に限定は無いが、20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度が20℃を上回ると、冬季または寒冷地での硬化性組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合があり、また、硬化物の柔軟性が低下し、伸びが低下する場合がある。前記ガラス転移温度はDSC測定による値を示す。
また、(A)成分の有機重合体の主鎖骨格を構成する重合体の中で、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は透湿性が高く、これらを含む1液型硬化性組成物は深部硬化性に優れ、さらに接着性にも優れることから好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体がより好ましく、ポリオキシプロピレン系重合体が最も好ましい。
本発明の(A)成分に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。ここで加水分解性基とは、水と反応して水酸基を生成する基を意味する。
反応性ケイ素基は下記一般式(1)の基として示される。
−SiR 3−a (1)
ここで、一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または−OSiR’(ただしR’はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を示す。aは1〜3の整数を示す。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよく、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などがあげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(1)におけるaは、硬化性の点から、2または3であることが好ましく、特に硬化性組成物の速硬化性を求める場合には3であることが好ましく、硬化性組成物の貯蔵安定性を求める場合には2であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるRとしては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、R’がメチル基、フェニル基などである−OSiR’基で示されるトリオルガノシロキシ基などがあげられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基などがあげられる。
こららの中で、活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基およびジメトキシメチルシリル基がより好ましく、トリメトキシシリル基がさらに好ましい。また、貯蔵安定性の点から、ジメトキシメチルシリル基、トリエトキシシリル基が好ましい。さらに、反応性ケイ素基の加水分解反応に伴って生成するアルコールがエタノールであるため、より高い安全性を有する点から、トリエトキシシリル基およびジエトキシメチルシリル基が好ましい。
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。例えば以下の方法があげられる。
方法I:水酸基などの官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する化合物を反応させ、不飽和基を有する有機重合体を得る。次いで、得られた不飽和基を有する有機重合体に、ヒドロシリル化によって、反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物を反応させる。
方法Iで用いる反応性を示す活性基および不飽和基を有する化合物としては、例えば、塩化アリル、塩化メタリル、およびアリルグリシジルエーテルのような不飽和基含有エポキシ化合物などをあげることができる。
方法Iで用いるヒドロシラン化合物としては、例えば、ハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類、アシロキシシラン類、ケトキシメートシラン類などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
ハロゲン化シラン類としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランなどをあげることができる。
アルコキシシラン類としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、フェニルジメトキシシラン、1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどをあげることができる。
アシロキシシラン類としては、例えば、メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランなどをあげることができる。
ケトキシメートシラン類としては、例えば、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどをあげることができる。
これらの中では、特にハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましく、特にアルコキシシラン類は得られる硬化性組成物の加水分解性が穏やかで取り扱いやすいために最も好ましい。
アルコキシシラン類の中では、ジメトキシメチルシランは入手し易く、得られる有機重合体を含有する硬化性組成物の硬化性、貯蔵安定性、伸び特性、引張強度が高いために特に好ましい。また、トリメトキシシランは得られる硬化性組成物の硬化性および復元性の点から特に好ましい。
方法II:メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を、ラジカル開始剤および/またはラジカル発生源存在下でのラジカル付加反応によって、方法Iと同様にして得られた不飽和基を有する有機重合体の不飽和基部位に導入する方法などをあげることができる。
方法IIで用いるメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシランなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
方法III:分子中に水酸基、エポキシ基またはイソシアネート基などの官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
方法IIIのうち水酸基を有する有機重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法としては、例えば、特開平3−47825号に示される方法などがあげられるが、これに限定されるものではない。
方法IIIで用いるイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルジメトキシメチルシラン、イソシアネートメチルジエトキシメチルシランなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
トリメトキシシランなどの一つのケイ素原子に3個の加水分解性基が結合しているシラン化合物は不均化反応が進行する場合がある。不均化反応が進むと、ジメトキシシランのような不安定な化合物が生じ、取り扱いが困難となることがある。しかし、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランでは、このような不均化反応は進行しない。このため、ケイ素含有基としてトリメトキシシリル基などの3個の加水分解性基が一つのケイ素原子に結合している基を用いる場合には、方法IIまたは方法IIIの方法を用いることが好ましい。
一方、下記一般式(2)で表されるシラン化合物は不均化反応が進まない。
H−(SiR O)SiR −R−SiX (2)
ここで、一般式(2)において、Xは一般式(1)に同じである。2m+2個のRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。Rは2価の有機基を示す。mは0〜19の整数を示す。
このため、方法Iで、3個の加水分解性基が1つのケイ素原子に結合している基を導入する場合には、一般式(2)で表されるシラン化合物を用いることが好ましい。入手性およびコストの点から、2m+2個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の炭化水素基がさらに好ましい。Rは炭素数1〜12の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数2〜8の2価の炭化水素基がより好ましく、炭素数2の2価の炭化水素基がさらに好ましい。mは1がもっとも好ましい。
一般式(2)で示されるシラン化合物としては、例えば、1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−[2−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−[2−(トリメトキシシリル)ヘキシル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどがあげられる。
上記の方法Iまたは方法IIIの中で末端に水酸基を有する有機重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法は、比較的短い反応時間で高い転化率が得られるために好ましい。さらに、方法Iで得られた反応性ケイ素基を有する有機重合体は、方法IIIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体よりも低粘度であり、これを用いれば作業性の良い硬化性組成物が得られること、また、方法IIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体は、メルカプトシランに基づく臭気が強いことから、方法Iが特に好ましい。
反応性ケイ素基を有する有機重合体は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。反応性ケイ素基を有する有機重合体の数平均分子量(Mn)は、GPC(ポリスチレン換算)により測定される値であり、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満では硬化物の伸びが不充分となる傾向があり、100,000を越えると硬化性組成物が高粘度となるために作業性の点で不都合な傾向がある。GPCにより測定される反応性ケイ素基を有する有機重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましい。
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、有機重合体に含有される反応性ケイ素基の数は、1分子中に平均して1個以上が好ましく、1.1〜5個がより好ましく、1.1〜3個がさらに好ましく、1.1〜2個がもっとも好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が平均して1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を有する硬化物が得られ難くなる。反応性ケイ素基は有機重合体の主鎖末端または側鎖末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、反応性ケイ素基が主鎖末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物中における有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
本発明の(A)成分の中で、(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造は下記一般式(3)で示される繰り返し単位が好ましい。
−R−O− (3)
ここで、一般式(3)において、Rは炭素数1〜14の直鎖状または分岐状アルキレン基を示し、炭素数2〜4がより好ましい。
一般式(3)で示される繰り返し単位としては、例えば、−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−などをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖は、1種類だけの繰り返し単位からなっていてもよく、2種類以上の繰り返し単位からなっていてもよい。特に本発明の硬化性組成物がシーラントなどに使用される場合には、(A)成分の有機重合体の主鎖構造が、非晶質かつ比較的低粘度であるポリオキシプロピレン系重合体であることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHなどのアルカリ触媒による重合法、特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体などの遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、US3278457号、US3278458号、US3278459号、US3427256号、US3427334号、US3427335号などに示される複合金属シアン化物錯体触媒(例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒)による重合法、特開平10−273512号に示されるポリホスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法、特開平11−060722号に示されるホスファゼン化合物からなる触媒を用いる重合法などをあげることがきる、これらに限定されるものではない。
これらの中では、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、開始剤にアルキレンオキシドを反応させる重合法が分子量分布の狭い重合体を得られることから好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn[Co(CN)(亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)などをあげることができる。また、これらにアルコールおよび/またはエーテルが有機配位子として配位した触媒も使用できる。
開始剤としては、少なくとも2個の活性水素基を有する化合物が好ましい。活性水素含有化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、数平均分子量500〜20,000の直鎖および/または分岐ポリエーテル化合物などをあげることができる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシドなどをあげることができる。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、特公昭45−36319号、特公昭46−12154号、特開昭50−156599号、特開昭54−6096号、特開昭55−13767号、特開昭55−13468号、特開昭57−164123号、特公平3−2450号、US3632557号、US4345053号、US4366307号、US4960844などの各公報に提案されている重合体、また特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号、特開平3−72527号、特開平3−47825号、特開平8−231707号の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下の高分子量で分子量分布が狭い反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体などをあげることができる。このような反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の(A)成分の中で、(A2)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の主鎖構造は脂肪族不飽和結合を含有しない重合体である。なお、飽和炭化水素系重合体は芳香環を有していてもよい(すなわち、芳香族二重結合を有していてもよい)。
飽和炭化水素系重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどの炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主単量体として重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができる。
イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、一分子中の末端官能基の平均数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖構造が飽和炭化水素系重合体から構成される、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、耐熱性、耐候性、耐久性、および、湿気遮断性に優れる特徴を有する。
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、他の単量体との共重合体でもよい。ゴム特性の点からはイソブチレンに由来する繰り返し単位を50重量%以上含有するものが好ましく、80重量%以上含有するものがより好ましく、90〜99重量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多くのいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体は、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J.P.Kennedyら、J.Polymer Sci., Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、数平均分子量1,000〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入することができる。
(A2)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、例えば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開平1−197509号、特許第2539445号、特許第2873395号、特開平7−53882号などに記載されているが、これらに限定されるものではない。上記の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の(A)成分の中で、(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は種々の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を(共)重合することによって得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸系単量体をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
上記(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とともに、以下のビニル系単量体を共重合することもできる。
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩などのスチレン系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどのアルケン類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコールなどをあげることできる。これらは単独で重合させてもよく、複数を共重合させてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体としては、物性などの点から(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる(共)重合体、並びにスチレン系単量体谷および(メタ)アクリル酸系単量体からなる共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる(共)重合体がより好ましく、アクリル酸エステル系単量体からなる(共)重合体がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製法としては、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2より大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を得るためには、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物などを開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲンなどを末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法としてさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法は、例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁などに記載されている。
(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製法としては、例えば、特公平3−14068号、特公平4−55444号、特開平6−211922号などに、連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法を用いた製法が開示されている。また、特開平9−272714号などに、原子移動ラジカル重合法を用いた製法が開示されているが、これらに限定されるものではない。上記の反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの(A)成分である反応性ケイ素基を有する有機重合体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。具体的には、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体、からなる群から選択される2種以上の有機重合体の混合物も使用できる。
(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体とからなる有機重合体の混合物は、例えば、特開昭59−122541号、特開昭63−112642号、特開平6−172631号、特開平11−116763号などに提案されているが、これらに限定されるものではない。
(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体からなる有機重合体の混合物の製造方法としては、例えば、反応性ケイ素基を有し、分子鎖が下記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体と下記一般式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体に、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が好ましい。
CH=C(R)(COOR) (4)
ここで、一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。
CH=C(R)(COOR) (5)
ここで、一般式(5)中、Rは一般式(4)と同じ。Rは炭素数9以上のアルキル基を示す。
一般式(4)のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1または2のアルキル基がさらに好ましい。なお、一般式(4)の単量体は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
一般式(5)のRとしては、例えば、ノニル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基などの炭素数9以上のアルキル基が好ましく、炭素数10〜30のアルキル基がより好ましく、炭素数10〜20のアルキル基がさらに好ましい。なお、一般式(5)の単量体は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の分子鎖は、、一般式(4)および一般式(5)の単量体からなることが好ましく、一般式(4)および一般式(5)の単量体の合計が50重量%以上であることがより好ましく、一般式(4)および一般式(5)の単量体の合計が70重量%以上であることがさらに好ましい。
一般式(4)と一般式(5)の単量体の存在比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
一般式(4)および一般式(5)以外の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を含む単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を含む単量体;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレンなどに起因する単量体をあげることができる。
反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体中の反応性ケイ素基は、反応性ケイ素基とメルカプト基を有する化合物および/または反応性ケイ素基と重合性不飽和基を有する化合物を(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合することによって導入することができる。
反応性ケイ素基とメルカプト基を有する化合物としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、α−メルカプトメチルトリメトキシシラン、α−メルカプトメチルジメトキシメチルシラン、α−メルカプトメチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン化合物をあげることができる。
反応性ケイ素基と重合性不飽和基を有する化合物としては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、α−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、α−(メタ)アクリロキシメチルジメトキシメチルシラン、α−(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。
(A2)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体と(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体とからなる有機重合体の混合物は、例えば、特開平1−168764号、特開2000−186176号などに提案されているが、これらに限定されるものではない。
反応性ケイ素基を有する有機重合体と(A3)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体とからなる有機重合体の混合物は、反応性ケイ素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。このような製造方法は、例えば、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号などに提案されているが、これらに限定されるものではない。
本発明の(A)成分として、(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体を使用することもできる。
ウレタン結合(−NR−C(=O)−O−)および/またはウレア結合(−NR−C(=O)−NR−)は下記一般式(6)で表されるアミド結合部位を含む結合基である。
−NR−C(=O)− (6)
ここで、一般式(6)中、Rは有機基または水素原子を示す。
一般式(6)で表されるアミド結合部位は、例えば、イソシアネート基と水酸基との反応、イソシアネート基とアミノ基との反応、イソシアネート基とイソシアネート基との反応、イソシアネート基とメルカプト基との反応などにより形成されるものをあげることができる。また、一般式(6)のRに活性水素原子を含むアミド結合部位とイソシアネート基との反応により形成されるものも、一般式(6)で表されるアミド結合部位に含まれる。
(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体の工業的に容易な製造方法としては、例えば、末端に活性水素含有基を有する有機重合体に、過剰のポリイソシアネート化合物を反応させて、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン系重合体とした後、あるいは同時に、該末端のイソシアネート基の全部または一部に下記一般式(7)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法により製造されるものをあげることができる。
W−R−SiR 3−a (7)
ここで、一般式(7)中、R、X、aは一般式(1)と同じ。Rは2価の有機基を示し、炭素数1〜20の炭化水素基がより好ましい。Wは水酸基、カルボキシ基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれる活性水素含有基を示す。
一般式(7)で表されるケイ素化合物としては、例えば、アミノ基含有シラン化合物、水酸基含有シラン化合物、メルカプト基含有シラン化合物などをあげることができる。
アミノ基含有シラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N−フェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシランなどをあげることができる。
水酸基含有シラン化合物としては、例えば、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
メルカプト基含有シラン化合物としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
また、特開平6−211879号(US5364955号)、特開平10−53637号(US5756751号)、特開平10−204144号(EP0831108)、特開2000−169544号、特開2000−169545号に記載されている様に、各種のα,β−不飽和カルボニル化合物と一級アミノ基含有シラン化合物とのMichael付加反応物、または、各種の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物と一級アミノ基含有化合物とのMichael付加反応物も一般式(7)で表されるケイ素化合物として用いることができる。
この製造方法に関連する文献としては、例えば、特公昭46−12154号(US3632557号)、特開昭58−109529号(US4374237号)、特開昭62−13430号(US4645816号)、特開平8−53528号(EP0676403)、特開平10−204144号(EP0831108)、特表2003−508561(US6197912号)、特開平6−211879号(US5364955号)、特開平10−53637号(US5756751号)、特開平11−100427号、特開2000−169544号、特開2000−169545号、特開2002−212415号、特許第3313360号、US4067844号、US3711445号、特開2001−323040号などをあげることができる。
また、(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体としては、例えば、末端に活性水素含有基を有する有機重合体と、一般式(8)で示される反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物とを反応させることにより製造される重合体もあげることができる。
O=C=N−R−SiR 3−a (8)
ここで、一般式(8)中、R、R、X、aは前記に同じである。
一般式(8)で表される反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物としては、例えば、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルメチルイソシアネート、トリエトキシメチルシリルメチルイソシアネート、ジメトキシメチルシリルメチルイソシアネート、ジエトキシメチルシリルメチルイソシアネートなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、特開2000−119365号(米国特許6046270号)に記載されている様に、一般式(7)のケイ素化合物と、過剰の前記ポリイソシアネート化合物を反応させて得られる化合物もまた、一般式(8)で表される反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物として用いることができる。
この製造方法に関連する文献としては、例えば、特開平11−279249号(US5990257号)、特開2000−119365号(US6046270号)、特開昭58−29818号(US4345053号)、特開平3−47825号(US5068304号)、特開平11−60724号、特開2002−155145号、特開2002−249538号、WO03/018658、WO03/059981などをあげることができる。
末端に活性水素含有基を有する有機重合体としては、例えば、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(ポリエーテルポリオール)、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する飽和炭化水素系重合体(ポリオレフィンポリオール)、ポリチオール化合物、ポリアミン化合物などをあげることができる。これらの中でも、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、および、ポリオレフィンポリオールは得られる有機重合体のガラス転移温度が比較的低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。特に、ポリエーテルポリオールは得られる有機重合体の粘度が低く、作業性が良好であり、硬化性組成物の深部硬化性および硬化物の接着性が良好であるために特に好ましい。また、ポリアクリルポリオールおよび飽和炭化水素系重合体は得られる硬化物の耐候性、耐熱性が良好であるためにより好ましい。
ポリエーテルポリオールの製造方法は、特に限定されることはないが、全分子平均で分子末端当り、少なくとも0.7個の水酸基を有するものが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、従来のアルカリ金属触媒を使用して製造したポリオキシアルキレン系重合体や、複合金属シアン化物錯体触媒やセシウム触媒の存在下、少なくとも2つの水酸基を有するポリヒドロキシ化合物などの開始剤に、アルキレンオキシドを反応させて製造されるポリオキシアルキレン系重合体などをあげることができる。
上記重合法の中でも、複合金属シアン化物錯体触媒を使用する重合法は、より低不飽和度で、分子量分布(Mw/Mn)が狭く、より低粘度でかつ、高耐酸性、高耐候性のポリオキシアルキレン系重合体を得ることが可能であるため好ましい。
前記ポリアクリルポリオールとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体を主鎖とし、かつ、分子内に水酸基を有するポリオールをあげることができる。この重合体の合成法は、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がさらに好ましい。また、特開2001−207157号に記載されているアクリル酸アルキルエステル系単量体を高温および高圧で連続塊状重合することによって得られる(いわゆるSGOプロセスで得られる)重合体を用いるのが好ましい。具体的には、東亞合成(株)製のアルフォンUH−2000などをあげることができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネートをあげることができる。
芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどをあげることができる。
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどをあげることができる。
(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体は、一般に、シリル化ウレタン、シリル化ポリウレタン、SPURなどとも呼ばれており、既に工業的に生産されている。
(A4)反応性ケイ素基を有し、ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体は、例えば、Desmoseal Sシリーズ(Bayer製)、SPURシリーズ(Momentive製)、GENIOSIL STP−E10、GENIOSIL STP−E15、GENIOSIL STP−E30、GENIOSIL STP−E35(いずれもWacker製)などとして入手可能である。
本発明の(A)成分の好ましい実施態様としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つのケイ素含有基を1分子中に平均して1.1〜5個有し、数平均分子量が1,000〜100,000であり、(A1)ポリオキシアルキレン系重合体、(A2)飽和炭化水素系重合体、(A3)(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体および(A4)ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体からなる群から選択される少なくとも一つの有機重合体である。なお、この好ましい実施態様の記載において、前記ケイ素含有基および数平均分子量の限定(修飾語句)は、(A1)ポリオキシアルキレン系重合体、(A2)飽和炭化水素系重合体、(A3)(メタ)アクリル酸エステル系重合体および(A4)ウレタン結合および/またはウレア結合を含む有機重合体の全てを修飾している。
(A)成分のより好ましい実施態様としては、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基およびジメトキシメチルシリル基からなる群から選択される少なくとも一つのケイ素含有基を1分子中に平均して1.1〜3個有し、数平均分子量が2,000〜50,000である、(A1)ポリオキシアルキレン系重合体および(A3)(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体からなる群から選択される少なくとも一つの有機重合体である。なお、このより好ましい実施態様の記載において、前記ケイ素含有基および数平均分子量の限定(修飾語句)は、(A1)ポリオキシアルキレン系重合体および(A3)(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の両方を修飾している。
(A)成分のさらに好ましい実施態様としては、ジメトキシメチルシリル基を1分子中に平均して1.1〜2個有し、数平均分子量が3,000〜30,000であるポリオキシアルキレン系重合体である。
(A)成分のもっとも好ましい実施態様としては、ジメトキシメチルシリル基を1分子中に平均して1.1〜2個有し、数平均分子量が3,000〜30,000であるポリオキシプロピレン系重合体である。
本発明の(B)一般式R10−O−CO−O−R11(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。また、R10およびR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表される有機炭酸エステル化合物は、硬化性組成物の粘度調整および作業性改善、ならびに、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の機械特性を調整する目的で添加される。(B)成分を単独またはフタル酸エステル系可塑剤と併用することにより、フタル酸エステル系可塑剤を単独で使用した場合と比較して、1液型硬化性組成物の深部硬化性を向上させることができ、また、貯蔵後の硬化遅延を防止することができる。
(B)成分は環状有機炭酸エステル化合物および/または鎖状有機炭酸エステル化合物であることが好ましい。
環状有機炭酸エステル化合物としては、(B)成分のR10とR11とが互いに結合して−R10−R11−構造(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)を形成している環状有機炭酸エステル化合物(B1)であることがより好ましい。
環状有機炭酸エステル化合物としては、(B)成分のR10とR11とが互いに結合して−R10−R11−構造を有する五員環カーボネート構造(ここで、R10は−CH−、R11は−CH(R12)−を示す。R12は、水素原子または置換基として水酸基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示す。)を形成している環状有機炭酸エステル化合物(B1)であることがさらに好ましい。
環状有機炭酸エステル化合物としては、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,2−ヘキシレンカーボネート、1,2−オクチレンカーボネート、グリセリンカーボネートなどをあげることができる。
鎖状有機炭酸エステル化合物としては、(B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造、分岐構造もしくは脂環式構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることがより好ましい。
鎖状有機炭酸エステル化合物としては、(B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造または分岐構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることがさらに好ましい。
鎖状有機炭酸エステル化合物としては、(B2)成分のR10およびR11が脂肪族炭化水素基の場合、具体的には、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブテニルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジノニルカーボネート、ジデシルカーボネート、ジドデシルカーボネート、ジヘキサデシルカーボネート、ジオクタデシルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジシクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘプチルカーボネートなどをあげることができる。なお、これら化合物に異性体が存在する場合には各異性体を含むものとする。
鎖状有機炭酸エステル化合物としては、(B2)成分のR10およびR11が芳香族炭化水素基の場合、具体的には、例えば、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジスチリルカーボネートなどをあげることができる。なお、これら化合物に異性体が存在する場合には各異性体を含むものとする。
(B)成分の中で、(A)成分に対する可塑化効果や得られる硬化物の機械物性の点から、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートがもっとも好ましい。
(B)成分は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して、30重量部を超え150重量部が好ましく、30重量部を超え120重量部がより好ましく、30重量部を超え110重量部がさらに好ましく、30重量部を超え100重量部がもっとも好ましい。30重量部以下では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を超えると硬化物の機械強度が不足する。
本発明の硬化性組成物には、可塑剤成分としてさらに(C)フタル酸エステル系可塑剤を添加することができる。ここで、本願では『フタル酸エステル』とは広義の意味で用いられ、オルト体であるフタル酸エステル(狭義の意味)、メタ体であるイソフタル酸エステル、パラ体であるテレフタル酸エステルを含むものである。
オルト体であるフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、フタル酸ビスブチルベンジルなどをあげることができる。
メタ体であるイソフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジ−n−ブチル、イソフタル酸ジイソブチル、イソフタル酸ジ−n−ヘキシル、イソフタル酸ジ−n−オクチル、イソフタル酸ジイソオクチル、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(シージーエスター(株)製、商品名:DOIPとして入手可能)、イソフタル酸ジ−n−ノニル、イソフタル酸ジイソノニル、イソフタル酸ジイソデシルなどをあげることができる。
パラ体であるテレフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジ−n−ブチル、テレフタル酸ジイソブチル、テレフタル酸ジ−n−ヘキシル、テレフタル酸ジ−n−オクチル、テレフタル酸ジイソオクチル、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(EASTMAN製、商品名:EASTMAN168として入手可能)、テレフタル酸ジ−n−ノニル、テレフタル酸ジイソノニル、テレフタル酸ジイソデシルなどをあげることができる。
これらのうち、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)が入手性の点から特に好ましい。
(C)成分は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して、5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、20〜110重量部がさらに好ましく、30〜100重量部がもっとも好ましい。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を超えると硬化物の機械強度が不足する。
(B)成分と(C)成分の割合(重量%)は(B)成分:(C)成分=100:0〜10:90が好ましく、90:10〜20:80がより好ましく、80:20〜30:70がさらに好ましく、70:30〜40:60がもっとも好ましい。
本発明の硬化性組成物には(C)成分以外の可塑剤を使用することも可能である。
(C)成分以外の可塑剤の例としては、シクロヘキサンジカルボン酸エステル、脂肪族多価カルボン酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル(LANXESS製、商品名:Mesamollとして入手可能)、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、塩素化パラフィン、炭化水素系油、プロセスオイル、エポキシ可塑剤などをあげることができる。
シクロヘキサンジカルボン酸エステルとしては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(BASF製、商品名:Hexamoll DINCHとして入手可能)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソブチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ヘキシル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−オクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソオクチル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ヘキシル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−オクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソオクチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジーn−ノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシルなどのシクロヘキサンジカルボン酸エステルなどをあげることができる。
脂肪族多価カルボン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリブチルなどをあげることができる。
不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチルなどをあげることができる。
リン酸エステルとしては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどをあげることができる。
炭化水素系油としては、例えば、アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどをあげることができる。
エポキシ可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどをあげることができる。
また、高分子可塑剤を使用することもできる。高分子可塑剤を使用すると低分子の可塑剤を使用した場合と比較して、初期の物性を長期にわたり維持することができる。さらに得られる硬化物にアルキド塗料を塗付した場合の乾燥性(塗装性)を改良することができる。
高分子可塑剤としては、例えば、以下に示す化合物をあげることができる。
ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体、
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル化合物、
2塩基酸(例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸など)と2価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)から得られるポリエステル系可塑剤、
数平均分子量500以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、あるいはこれらポリエーテルポリオールのヒドロキシ基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体などのポリエーテル化合物、
ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのポリスチレン系可塑剤。
さらに、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレンなどをあげることができる。
高分子可塑剤の中では、(A)成分と相溶するものが好ましく、ポリエーテルやビニル系重合体が特に好ましい。
ポリエーテルを可塑剤として配合すると、表面硬化性および深部硬化性が改善されることから好ましく、中でもポリプロピレングリコールがより好ましい。
相溶性および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でもアクリル重合体および/またはメタクリル重合体が好ましく、ポリアクリル酸アルキルエステルなどアクリル系重合体がより好ましい。この重合体の合成には、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がより好ましい。中でも、特開2001−207157号公報に記載されているアクリル酸アルキルエステル系単量体を高温・高圧で連続塊状重合によって得るSGOプロセスによる重合体(例えば、東亞合成(株)製、商品名:ARUFONとして入手可能)を用いるのがもっとも好ましい。
高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000が好ましく、800〜10,000がより好ましく、1,000〜8,000がさらに好ましく、1,000〜5,000が特に好ましく、1,000〜3,000がもっとも好ましい。数平均分子量が500未満では熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できなくなる。また、数平均分子量が15,000を超えると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
高分子可塑剤の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.80未満が好ましく、1.60以下がより好ましく、1.50以下がさらに好ましく、1.40以下が特に好ましく、1.30以下がもっとも好ましい。
高分子可塑剤の数平均分子量は、ビニル系重合体の場合はGPC法で、ポリエーテル系重合体の場合は末端基分析法で測定することができる。また、分子量分布はGPC法(ポリスチレン換算)で測定される。
高分子可塑剤は、反応性ケイ素基を有していても、有していなくてもよい。反応性ケイ素基を有する場合、反応性可塑剤として作用し、硬化物からの可塑剤の移行を防止できる。反応性ケイ素基有する場合、1分子に対し平均して1個以下、さらには0.8個以下が好ましい。
これら(C)成分以外の可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分以外の可塑剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、20〜110重量部がさらに好ましく、30〜100重量部がもっとも好ましい。
本発明の硬化性組成物には、(A)成分の硬化を促進する目的で硬化触媒を使用することができる。
硬化触媒としては、例えば、4価の有機錫化合物、カルボン酸、カルボン酸金属塩、アミン化合物、錫以外の金属化合物などをあげることができる。
4価の有機錫化合物としては、例えば、ジメチル錫化合物、ジブチル錫化合物、ジオクチル錫化合物などをあげることができる。
ジメチル錫化合物としては、例えば、ジメチル錫ジアセテート、ジメチル錫ビス(アセチルアセトナート)などをあげることができる。
ジブチル錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ビス(メチルマレエート)、ジブチル錫ビス(エチルマレエート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ビス(n−オクチルマレエート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルマレエート)、ジブチル錫ビス(トリデシルマレエート)、ジブチル錫ビス(ベンジルマレエート)、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ジフェノキシド、ジブチル錫ビス(ノニルフェノキサイド)、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(エチルアセトアセトナート)、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫オキサイドとジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエートなどのエステル化合物との反応物などをあげることができる。
ジオクチル錫化合物としては、例えば、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(n−オクチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫オキサイドとジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエートなどのエステル化合物との反応物などをあげることができる。
カルボン酸としては、例えば、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸などをあげることができる。
カルボン酸金属塩としては、例えば、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、バーサチック酸錫、ネオデカン酸錫などの2価のカルボン酸錫;カルボン酸鉛、カルボン酸ビスマス、カルボン酸カリウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸ハフニウム、カルボン酸バナジウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸鉄などをあげることができる。また、2価のカルボン酸錫とラウリルアミンなどのアミン化合物との反応物および/または混合物などをあげることができる。
アミン化合物としては、例えば、ラウリルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の1級や3級アミン類、1−(o−トリル)ビグアニド等のビグアニド類、グアニジン、1−フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン等のグアニジン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、DBUの塩酸塩等のジアザ二環式化合物またはその塩類などをあげることができる。
錫以外の金属化合物としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物などをあげることができる。
硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒としては、4価の有機錫化合物が好ましく、ジブチル錫化合物、ジオクチル錫化合物が強度が速く発現することからより好ましい。
硬化触媒の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.05〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部がさらに好ましく、1.5〜5重量部がもっとも好ましい。0.05重量部未満では硬化速度が遅くなる傾向にある。一方、20重量部を超えると硬化速度が速くなりすぎるために良好な硬化物を得ることができない。
なお、アミン類やジアザ二環式化合物またはその塩類は、ブリードアウトの原因になったり黄変の原因になる可能性もあるため、(A)成分100重量部に対して0.01重量部未満であることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物の作業性改善ならびに硬化物の硬度、引張り強度および伸びなどの機械特性の調整をする目的で充填剤を使用することができる。充填剤の例としては有機系充填剤や無機系充填剤を使用することができる。
無機系充填剤としては、例えば、珪酸(シリカ)系、珪酸塩(クレー)系、カーボンブラック、炭酸塩などのその他の無機充填剤をあげることができる。
珪酸(シリカ)系としては、例えば、沈降性シリカ、ゲル法シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカのような合成シリカ;石英、クリストバライトのような結晶性シリカ;石英ガラス(溶融シリカ);珪藻土、ホワイトカーボンのような非結晶性シリカなどをあげることができる。
珪酸塩(クレー)系としては、例えば、カオリン、焼成クレー、タルク、白雲母、ウォラストナイト、蛇紋石、パイロフィライトなどをあげることができる。
炭酸塩などのその他の無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸価第二鉄、亜鉛華(酸化亜鉛)、活性亜鉛華、ベントナイト、シラスバルーン、ガラスバルーンなどをあげることができる。
炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムをあげることができる。
沈降性炭酸カルシウムとしては、例えば、長径1μm以上の軽質炭酸カルシウムと平均粒子径1μm以下のコロイダル炭酸カルシウムをあげることができる。
また、これらの炭酸カルシウムの表面を処理した表面処理炭酸カルシウムを使用することもできる。
表面処理剤としては、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、脂肪酸エステル、変性脂肪酸、ロジンなどの樹脂酸、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カチオン系界面活性剤などをあげることができる。
有機系充填剤としては、例えば、フェノール樹脂または塩化ビニリデン樹脂製などの有機マイクロバルーン、PVC粉末やPMMA粉末などの樹脂粉末などをあげることができる。
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、石英ガラス(溶融シリカ)、ドロマイト、、珪酸塩(クレー)系、カーボンブラック、表面処理炭酸カルシウム、活性亜鉛華などから選ばれる充填剤を使用することがより好ましい。
また、低強度で破断伸びの大きい硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、亜鉛華(酸化亜鉛)、シラスバルーンなどから選ばれる充填剤を使用することが好ましい。
なお、一般的に炭酸カルシウムは、比表面積の値が大きいほど硬化物の破断強度、破断伸び、接着性の改善効果は大きくなる。炭酸カルシウムを使用する場合、表面処理コロイダル炭酸カルシウムと粒径の大きな重質炭酸カルシウムなどとを併用することが好ましい。表面処理コロイダル炭酸カルシウムの粒径は0.5μm以下が好ましく、表面処理は脂肪酸や脂肪酸塩で処理されていることが好ましい。また、粒径が大きな重質炭酸カルシウムの粒径は1μm以上が好ましく、表面処理されているものおよび/または表面処理されていないもののどちらでも使用することができる。
これら充填剤は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これら充填剤のうち、得られる硬化性組成物の作業性と硬化物の物性との両立から炭酸カルシウムを使用することが好ましく、表面処理したコロイダル炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとを併用することがより好ましい。
充填剤の使用量は(A)成分100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、50〜400重量部がより好ましく、100〜300重量部がさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物には、垂れを防止し、作業性を改善するためにチクソ性付与剤を使用することができる。
チクソ性付与剤としては、例えば、ポリアミドワックス、水添ヒマシ油誘導体、金属石鹸(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウムなど)などをあげることができる。また、特開平11−349916号公報に記載されているような粒子径10から500μmのゴム粉末や、特開2003−155389号公報に記載されているような有機質繊維を用いると、チクソ性が高く作業性の良好な硬化性組成物を得ることができる。
チクソ性付与剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
チクソ性付与剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜15重量部がより好ましく、1〜10重量部さらに好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化物の光酸化劣化を防止する目的で光安定剤を使用することができる。
光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤などをあげることができ、特にヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤は、例えば、Tinuvin770、Tinuvin770DF、Tinuvin765、Tinuvin622LD、Tinuvin744、Tinuvin292、Tinuvin144、CHIMASSORB944FDL、CHIMASSORB2020(以上いずれもBASFジャパン(株)製)、アデカスタブ LA−52、アデカスタブ LA−57、アデカスタブ LA−62、アデカスタブ LA−63P、アデカスタブ LA−68、アデカスタブ LA−67(以上いずれもADEKA製)などの市販品として入手可能である。
光安定剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
光安定剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化物の表面耐候性を高める目的で紫外線吸収剤を使用することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、置換トリル系および金属キレート系化合物などをあげることができ、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、例えば、Tinuvin P、Tinuvin234、Tinuvin326、Tinuvin237、Tinuvin328、Tinuvin329(いずれもBASFジャパン製)、アデカスタブ LA−29、アデカスタブ LA−32、アデカスタブ LA−36(以上いずれもADEKA製)などの市販品として入手可能である。
紫外線吸収剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化物の耐候性を高める目的で酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤などをあげることができ、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1035(以上いずれもBASFジャパン製)、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO60、アデカスタブ AO−330(以上いすれもADEKA製)などの市販品として入手可能である。
酸化防止剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
酸化防止剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物には、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材、ならびに、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材などの各種被着体との接着性を改善する目的で、接着性付与剤を使用することができる。
接着性付与剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシラン、イソシアネートシラン、メルカプトシラン、ビニル型不飽和基含有シラン、ハロゲン含有シラン、イソシアヌレートシランなどをあげることができる。
アミノシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−(β−(β−アミノエチル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチルアミノ)−β−メチルプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(β−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどのアミノ基含有シラン化合物をあげることができる。また、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンなどのケチミン型シラン化合物などをあげることができる。
エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどをあげることができる。
イソシアネートシランとしては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルジエトキシメチルシラン、γ−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルジメトキシメチルシランなどをあげることができる。
メルカプトシランとしては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、メルカプトメチルトリエトキシシランなどをあげることができる。
カルボキシシランとしては、例えば、β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
ビニル型不飽和基含有シランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシランなどをあげることができる。
ハロゲン含有シランとしては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
イソシアヌレートシランとしては、例えば、トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレートなどをあげることができる。
これら接着性付与剤の中で、良好な接着性を確保するためには、アミノシランまたはエポキシシランが好ましく、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシランがより好ましく、特に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシランが好ましい。
接着性付与剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着性付与剤の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部がさらに好ましい。接着性付与剤の使用量が0.01重量部を下回ると、接着性が十分に得られない場合がある。使用量が20重量部を超えると、硬化物がもろくなり十分な強度が得られなくなったり、また硬化速度が遅くなる場合がある。
本発明の硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂は添加量に応じて触媒活性を低下させる場合がある。このためエポキシ樹脂の添加量は少ないことが好ましい。エポキシ樹脂の添加量としては、(A)成分100重量部に対して、1重量部未満が好ましく、0.5重量部未満がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
硬化性組成物には、全ての配合剤を混合しておく1液型組成物と、主成分のポリマーと硬化触媒などを別の梱包に分けて保存しておき、使用直前に混合して使用する2液型組成物がある。本発明の硬化性組成物は、いずれのタイプにも使用することが可能である。しかし、使用が容易であることから1液型組成物として使用されることが適している。
前記硬化性組成物が1液型組成物の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。前記硬化性組成物が2液型組成物の場合、反応性ケイ素基を有する重合体を含有する主剤に硬化触媒を配合する必要がないので配合剤中には若干の水分が含有されていてもゲル化の心配は少ないが、長期間の貯蔵安定性を必要とする場合には脱水乾燥するのが好ましい。脱水、乾燥方法としては、粉状などの固状物の場合は加熱乾燥法または減圧脱水法が好ましく、液状物の場合は減圧脱水法または合成ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、生石灰、酸化マグネシウムなどを使用した脱水法が好ましい。かかる脱水乾燥法に加えて、n−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加し、水と反応させて脱水してもよい。また、3−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)−1,3−オキサゾリジンなどのオキサゾリジン化合物を配合して水と反応させて脱水してもよい。また、イソシアネート化合物を少量配合してイソシアネート基と水とを反応させて脱水してもよい。
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物の使用量は(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物または硬化物の諸物性を調整する目的で、必要に応じて、上記以外の添加剤を配合してもよい。
このような添加剤としては、例えば、酸素硬化性物質(例えば、キリ油やアマニ油などの乾性油)、光硬化性物質(例えば、不飽和アクリル系化合物)、加水分解により1価のシラノール基を有する化合物(例えば、トリメチルシラノール)を生成する化合物(例えば、トリス(トリメチルシリルオキシ)プロパン、フェニルオキシトリメチルシラン、トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体など)、ジアルキルジアルコキシシランのような物性調整剤、粘着付与樹脂(例えば、スチレン系共重合体、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン−フェノール樹脂、シクロペンタジエン樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂など)、シリケート化合物(例えば、テトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物)、熱膨張性微粒中空体、無機系バルーン(例えば、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン)、有機系バルーン(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン系共重合体、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデンーアクリロニトリルージビニルベンゼン共重合体などのいずれかから形成される樹脂バルーン)、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、防蟻剤、防かび剤、難燃剤などをあげることができる。これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物の製造方法は特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて、常温または加熱下、大気圧下または減圧下、バッチ式または連続式で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させて混合したりするなどの通常の方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する硬化物へと硬化する。
本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、型取り剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、柔軟性および接着性に優れることから、これらの中でも、シーリング材または接着剤として用いることがより好ましい。
また、太陽電池裏面封止材・電気および電子部品材料・電線およびケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、弾性接着剤、コンタクト型接着剤、スプレー型シール材、クラック補修材、粉体塗料、注型材料、医療用ゴム材料、医療用粘着剤、医療機器シール材、食品包装材、サイジングボードなどの外装材の目地用シーリング材、コーティング材、プライマー、電磁波遮蔽用導電性材料、熱伝導性材料、ホットメルト材料、電気・電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、各種成形材料ならびに網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車部品・電機部品・各種機械部品などの液状シール剤などの様々な用途に利用可能である。
さらに、単独あるいはプライマーの使用により、ガラス・磁器・木材・金属・樹脂成形物などの広範囲な基材に密着しうるので、種々のタイプの密封剤組成物および接着剤組成物としても使用可能である。また、本発明の硬化性組成物は、内装パネル用接着剤、外装パネル用接着剤、タイル張り用接着剤、石材張り用接着剤、天井仕上げ用接着剤、床仕上げ用接着剤、壁仕上げ用接着剤、車両パネル用接着剤、電気・電子・精密機器組立用接着剤、ダイレクトグレージング用シーリング材、複層ガラス用シーリング材、SSG工法用シーリング材、または、建築物のワーキングジョイント用シーリング材、アスファルトを併用した防水材としても使用可能である。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
分子量2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量16,000の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た(送液システム:東ソー製HLC−8120のGPC、カラム:東ソー製TSK−GEL Hタイプ、溶液:THFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)。この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加した後、メタノールを留去し、さらに水酸基に対して1.7倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。
得られた未精製のアリル末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対して、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去した。得られたヘキサン溶液にさらに水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去した。これら操作により数平均分子量約16,000のアリル基末端ポリプロピレンオキシドを得た。
得られたアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部とジメトキシメチルシラン1.3重量部とを、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3重量%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として90℃で2時間反応させた。
その結果、数平均分子量が16,000(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)であり、H−NMRによる分析から末端に1分子当たり平均1.3個のジメトキシメチルシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体(a1)を得た。
(合成例2)
分子量約2,000のポリオキシプロピレンジオールと分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオールの1/1(重量比)混合物を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約19,000の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た(送液システム:東ソー製HLC−8120のGPC、カラム:東ソー製TSK−GEL Hタイプ、溶液:THFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)。この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加した後、メタノールを留去し、さらに水酸基に対して1.7倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。
得られた未精製のアリル末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対して、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去した。得られたヘキサン溶液にさらに水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去した。これら操作により数平均分子量約19,000のアリル基末端ポリプロピレンオキシドを得た。
得られたアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部とメチルジメトキシシラン1.35重量部とを、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3重量%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として90℃で2時間反応させた。
その結果、数平均分子量が19,000(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)であり、H−NMRによる分析から末端に1分子当たり平均1.7個のジメトキシメチルシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体(a2)を得た。
(実施例1)
合成例1で得た重合体(a1)30重量部と合成例2で得た重合体(a2)70重量部の合計100重量部に対して、可塑剤としてフタル酸ジイソデシル((株)ジェイ・プラス製、商品名:DIDP)45重量部、有機炭酸エステル化合物としてジメチルカーボネート(Shandong Shida Shenghua Chemical Group製)45重量部、表面処理コロイダル炭酸カルシウム(竹原化学工業(株)製、商品名:NEOLIGHT SP)160重量部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名:LM2200)54重量部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:タイペークR820)20重量部、チキソ性付与剤(Cray Valley製、商品名:Crayvallac SL)2重量部、光安定剤(BASFジャパン(株)製、商品名:Tinuvin770)1重量部、紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製、商品名:Tinuvin326)1重量部を計量し、スパチュラを用いて混合した後、3本ロールミルに3回通して分散させた。この後、プラネタリーミキサーを用いて120℃で2時間減圧乾燥を行い、50℃以下に冷却後、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、商品名:Silquest A−171)3重量部、接着性付与剤としてN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、商品名:Silquest A−1120)3重量部を添加して混合した。さらに縮合触媒としてジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)(日東化成(株)製、商品名:ネオスタンU−220H)2重量部を添加し混合することにより硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を防湿性の容器に充填し、密封することにより1液型硬化性組成物を得た。
(実施例2)
実施例1の鎖状有機炭酸エステル化合物45重量部の代わりに、有機炭酸エステル化合物としてプロピレンカーボネート(Shandong Shida Shenghua Chemical Group製)45重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして1液型硬化性組成物を得た。
(実施例3)
実施例1の鎖状有機炭酸エステル化合物45重量部の代わりに、有機炭酸エステル化合物としてエチレンカーボネート(Shandong Shida Shenghua Chemical Group製)45重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして1液型硬化性組成物を得た。
(比較例1)
実施例1の可塑剤45重量部および有機炭酸エステル化合物45重量部の代わりに、可塑剤(DIDP)90重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして1液型硬化性組成物を得た。
(比較例2)
実施例1の可塑剤45重量部および有機炭酸エステル化合物45重量部の代わりに、可塑剤(DIDP)45重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして1液型硬化性組成物を得た。
(比較例3)
実施例1の可塑剤45重量部の代わりに、ピロリドン系溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(キシダ化学(株)製、試薬)45重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして1液型硬化性組成物を得た。
上記で得られた硬化性組成物について、粘度、皮張り時間、深部硬化性、残留タックの評価を行った。
(粘度)
23℃、50%RHの条件下にて、初期および貯蔵後(50℃×4週間後)の硬化性組成物を容量100mlのカップに気泡が入らないように充填した。東機産業(株)製のBS型粘度計とローターNo.7を用いて、23℃、50%RHの条件下にて、ローター回転速度2rpmでの硬化性組成物の粘度を測定した。測定結果を表1に示した。
(皮張り時間)
23℃、50%RHの条件下にて、初期および貯蔵後(50℃×4週間後)の硬化性組成物を厚みが約3mmになるようにヘラを用いて伸ばした。ミクロスパチュラを用いて経時で硬化性組成物の表面に軽く触れ、硬化性組成物がミクロスパチュラに付いてこなくなるまでの時間を測定した。測定結果を表1に示した。
(深部硬化性)
23℃、50%RHの条件下にて、初期および貯蔵後(50℃×4週間後)の硬化性組成物を直径12mmのポリエチレン製チューブに気泡が入らないようにして充填し、ヘラで表面が水平になるようにかきとって、試験体を調製した。23℃、50%RHの条件下にて、試験体を7日間放置した後、表層の硬化部分をめくり取り、未硬化部分をきれいに取り去った後、硬化部分の厚さをノギスを用いて測定した。測定結果を表1に示した。
(残留タック)
23℃、50%RHの条件下にて、初期および貯蔵後(50℃×4週間後)の硬化性組成物を厚みが約3mmになるようにヘラを用いて伸ばした。23℃、50%RHの条件下で放置して、1日後および7日後にその表面を指先で軽く触れ、べたつき程度を評価した。べたつき感は8段階の数字で表現し、8は全くべたつきが感じられない、5は少しべたつき感があり、3はべたつき感がきつい、1は硬化していない、を目安に判定した。測定結果を表1に示した。
Figure 0006818540
表1から明らかなように、本発明の硬化性組成物は深部硬化性に優れるとともに、貯安後の硬化遅延が起き難いことがわかる。

Claims (11)

  1. (A)反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対して、(B)一般式R10−O−CO−O−R11(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。またR10およびR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)で表される有機炭酸エステル化合物を30重量部を超え150重量部含み、
    (A)成分が、(A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体であり、
    (A)成分の反応性ケイ素基がジメトキシメチルシリル基および/またはジエトキシメチルシリル基であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A1)反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体が、反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン系重合体であることを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  3. (B)成分のR10とR11とが互いに結合して−R10−R11−構造(ここで、R10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)を形成している環状有機炭酸エステル化合物(B1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 環状有機炭酸エステル化合物(B1)が五員環カーボネート構造を有し、−R10−R11−構造が−CH−CH(R12)− (ここでR12は、水素原子または置換基として水酸基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を示す。)で表されることを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  5. (B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造、分岐構造もしくは脂環式構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. (B)成分のR10およびR11は、それぞれ、直鎖構造または分岐構造を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である鎖状有機炭酸エステル化合物(B2)であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. さらに(C)フタル酸エステル系可塑剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 1液型硬化性組成物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物を含有するシーリング材。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物を含有する接着剤。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
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