JP7412891B2 - 発泡体、吸音材、建築物、及び車両 - Google Patents

発泡体、吸音材、建築物、及び車両 Download PDF

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Description

本発明は、良好な吸音特性を示す発泡体と、当該発泡体を備える吸音材と、当該吸音材を備える建築物及び車両に関する。
高分子化合物の発泡体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いた発泡体がよく知られている。このような発泡体は、その吸音特性を活かし、例えば、シート、あるいはボードのような形態として、住宅等の建築物や車両等の種々の物品における吸音材として使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2012-189783号公報
しかしながら、ポリウレタン等の樹脂からなる発泡体の吸音性能は、必ずしも十分ではない。このため、騒音等を吸音させる吸音方法において用いられる吸音材には、吸音特性の向上が求められている。
本発明者は、上記課題に関して鋭意検討を行った結果、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)を含む反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を、発泡及び硬化させて発泡体を製造することにより、1000Hz~5500Hzの幅広い周波数範囲において良好な吸音特性を示す発泡体を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
1)オキシアルキレン系重合体(A1)を含む反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を、発泡及び硬化させてなる発泡体であって、
厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数1000Hz~5500Hzにおける吸音率が70%以上である、発泡体。
2)厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される吸音率について、周波数1000Hz~1700Hzの範囲に極大を示す、1)に記載の発泡体。
3)厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数800Hzにおける吸音率が40%以上である、1)又は2)に記載の発泡体。
4)基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含有する発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させてなる発泡体であり、
発泡体中の、金属塩及び/又は無機粒子の含有量が前記発泡体の重量に対して2.5重量%以下である、1)~3)のいずれか1つに記載の発泡体。
5)化学発泡剤(B)が、非熱分解型である、4)に記載の発泡体。
6)化学発泡剤(B)が、二炭酸ジエステル(B-1)を含む、5)に記載の発泡体。
7)基材樹脂(A)が、ガラス転移温度が35℃以上であるアクリル樹脂(A2)を含む、1)~6)のいずれか1つに記載の発泡体。
8)反応性ケイ素基が、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(3):
Figure 0007412891000001
Figure 0007412891000002
Figure 0007412891000003
(式(1)~式(3)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基であり、Rとしての前記炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよく、Xはヒドロキシ基又は加水分解性基であり、aは1、2、又は3であり、Rは2価の連結基であり、前記Rが有する2つの結合手は、それぞれ、前記連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に結合しており、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はシリル基のいずれかである。)
で表される基、及び下記式(4):
-R-CH-Si(R3-a(X) (4)
(式(4)中、R1、及びaは、式(1)~式(3)におけるR、及びaと同様であり、Rはヘテロ原子である。)
で表される基からなる群から選択される基である、1)~7)のいずれか1つに記載の発泡体。
9)発泡倍率が15~60倍である、1)~8)のいずれか1つに記載の発泡体。
10)0℃でのFP硬度が60以下である、1)~9)のいずれか1つに記載の発泡体。
11)1)~10)のいずれか1つに記載の発泡体を備える吸音材。
12)11)に記載の吸音材を備える、建築物。
13)11)に記載の吸音材を備える、車両。
本発明によれば、幅広い周波数範囲において良好な吸音特性を示す発泡体と、当該発泡体を備える吸音材と、当該吸音材を備える建築物及び車両とを提供することができる。
実施例3の発泡体、及び比較例1の発泡体の吸音率を示す図である。 実施例2の発泡体、及び実施例3の発泡体の吸音率を示す図である。
≪発泡体≫
発泡体は、オキシアルキレン系重合体(A1)を含む反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を、発泡及び硬化させてなる発泡体である。
かかる発泡体に関して、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数1000Hz~5500Hzにおける吸音率が70%以上である。
発泡体は、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される吸音率について、周波数1000Hz~1700Hzの範囲に極大を示すのが好ましい。
また、発泡体について、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数800Hzにおける吸音率が40%以上であるのが好ましい。
さらに、発泡体について、厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数1500Hzにおける吸音率が90%以上であるのが好ましい。
つまり、上記の発泡体は、吸収対象の音のうち、周波数1000Hz~5500Hzの範囲内の成分を良好に吸収し、周波数1000Hz~1700Hzの範囲内の成分を特に良好に吸収する。
周波数1000Hz~1700Hzの範囲内の成分を含む音としては、日常会話、ピアノやクラリネット等の楽器音が含まれる。このため、上記の発泡体は、日常生活において特に気になる騒音を吸音しやすい。
また、従来知られる発泡体を吸音材として使用する場合、吸音特性を高める目的でスキン層を切り落とされることが多い。しかし、上記の発泡体ではスキン層の有無の吸音特性への影響が小さい。例えば、建築現場や、種々の製品の製造現場で、発泡体用樹脂組成物を用いて発泡体を施工する場合、スキン層のカットを行いにくい場合がある。しかしながら、上記の発泡体については、スキン層の有無の吸音特性への影響が小さいため、建築現場や、種々の製品の製造現場で発泡体を施工しても、十分に発泡体の吸音特性を発揮させることができる。
そして、上記の通り、上記の発泡体は建築現場での施工が容易であるので、住宅等の建築物において、硬質の断熱材とともに内壁や隙間に容易に施工することができる。後述するように、上記の発泡体はFP硬度が低く柔軟である。このため、住宅等の建築物において、硬質の断熱材とともに上記の発泡体を内壁や隙間に施工すると、地震の揺れを吸収でき、硬質断熱材の割れを防止できる。その結果として、地震が起きた場合であっても、住宅等の建築物の高断熱性や気密性を維持することができる。
上記の発泡体の用途については特に限定されない。上記の発泡体は、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等の従来から知られる種々の発泡体が適用される用途において好適に使用することができる。
発泡体の形状は特に限定されない。発泡体の形状としては、シート状、棒状、正多面体状(例えば、立方体状、正四面体状、正八面体状等)、円盤状、球状、半球状、不定形状等が挙げられる。連続法により好ましく製造し得る点からは、発泡体の形状は、シート状、又は棒状が好ましい。なお、棒状とは、静止した状態での形状である。発泡体は柔軟であるため、静止状態で棒状の発泡体を動かした場合に、発泡体が紐のようにふるまう場合がある。
発泡体の密度は、発泡体が所望する吸音特性を示す限り特に限定されない。発泡体の密度は、例えば、200kg/m以下が好ましく、150kg/m以下がより好ましく、100kg/m以下がさらに好ましい。密度が当該範囲であると、発泡体の吸音特性が良好であることに加え、比較的軽量であり日常的な持ち運びが容易であって、建築物等への発泡体の吸音材としての施工が容易である。発泡体の密度の下限は、特に限定するものではないが、10kg/m以上が好ましく、30kg/m以上がより好ましい。密度が小さすぎる場合は、発泡体を吸音材として使用する際、自重で変形しやすくなる場合がある。
発泡体の硬度は、特に限定されない。発泡体の硬度は、発泡体の用途や、発泡体に要求される性能に応じて適宜決定される。発泡体の硬度は、0℃で測定されたFP硬度(ASKER FP硬度)として、60以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
上記の発泡体は吸音材用途に好適に使用される。上記の発泡体を備える吸音材、及びその用途については詳細に後述する。
発泡体の用途は、吸音材用には限定されない。発泡体は、例えば、防音材、制振材、クッション材等として、輸送機器、寝具・寝装品、家具、各種機器、建材、包装材、医療・介護等の用途に好適に利用できる。
好ましい用途として、例えば輸送機器用途としては、自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、ピラー、コンソールボックス、クォータートリム、サンバイザー、フレキシブルコンテナー、フロントミラー、ハーネス、ダストカバー等の芯材や表皮材・表皮裏打ち材、フロアクッション等の制振吸音材、ヘルメット内張り、クラッシュパッド、センタピラガーニッシュ等の緩衝材、エネルギー吸収バンパー、ガード防音材、車両ワックス用スポンジ等が挙げられる。
寝具・寝装品用途としては、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくら等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
家具用途としては、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッション等の各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マット等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
各種機器用途としては、液晶、電子部品等のシール・緩衝材、ロボットの皮膚、導電性クッション材、帯電防止性クッション材、圧力感知材等が挙げられる。
建材用途としては、床や屋根等の断熱材、床や壁等の衝撃吸収材等が挙げられる。
包装材用途としては、緩衝材、クッション材、衝撃吸収材等の梱包資材が挙げられる。
医療・介護用途としては、再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他、歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材等にも利用できるものである。
その他、例えば下記の用途を挙げることができる。
各種洗浄用スポンジ用途としては、清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナー等が挙げられる。
トイレタリー用途としては、オムツ、生理用ナプキン等の吸収材、サイドギャザーや各種液体フィルター等が挙げられる。
履物用途としては、靴の表皮材、裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷等が挙げられる。
化粧用具用途としては、化粧用パフ、アイカラーチップ等が挙げられる。
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくら等の芯材、クッション材や表皮材・表皮裏打ち材、両面テープ基材、芳香剤、スタンプ台等の吸着媒体等が挙げられる。
衣料用途としては、肩・ブラジャー等のパッド材や、防寒材等のライナーや断熱材等が挙げられる。
スポーツ用途としては、スポーツ用プロテクター類、ボルダリング(2~3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、ビート板、高飛び用のクッション材、体操競技や運動用の着地マット、キッズマット等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、スキーブーツ、スノーボードブーツ等のライナー等が挙げられる。
玩具・遊具用途としては、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボール等のクッション材や詰め物、表皮材・表皮裏打ち材、装飾品や怪獣等の特殊形状物、各種物品形状の型取りやモデル作製用等の注型材料、注型法における物品形状の型取り材料、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物等が挙げられる。
以下、発泡体を構成する材料について説明する。
<基材樹脂(A)>
基材樹脂(A)は、反応性ケイ素基を有する硬化性の成分である。基材樹脂(A)は、分子鎖中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するのが好ましい。
基材樹脂は(A)が反応性ケイ素基を有するため、反応性ケイ素基間でシラノール縮合反応が起こって架橋し、高分子状態となり、硬化する。
基材樹脂(A)は、反応性ケイ素基を有する樹脂としてオキシアルキレン系重合体(A1)を含む。発泡体は、オキシアルキレン系重合体(A1)が反応性ケイ素基間の縮合反応によって硬化した硬化物を含むとともに、発泡状態が適宜調整されることによって、所望する吸音特性を示す。
基材樹脂(A)に含まれる反応性ケイ素基の数は、縮合反応性の点から、分子鎖中に少なくとも1個であるのが好ましい。硬化性、柔軟性の点からは、基材樹脂(A)は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体であるのが好ましい。かかる重合体は、1分子中に好ましくは1.0個以上3.0個以下、より好ましくは1.1個以上2.5個以下、特に好ましくは1.2個以上2.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
なお、反応性ケイ素基間の反応による基材樹脂(A)の硬化反応は、空気中の水分及び材料中のみによっても十分に進行し得る。このため、発泡体の製造に使用される、発泡体用樹脂組成物が、水(C)を含まないか、水(C)の含有量が極少量である場合でも、発泡体用樹脂組成物の硬化の進行の点では特段問題がない。
基材樹脂(A)が、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体のみからなる場合、得られる発泡体のアセトンゲル分率が高い傾向がある。アセトンゲル分率が高いことは、発泡体の有機溶剤耐性が高いことを意味する。発泡体のアセトンゲル分率が高いと、例えば、発泡体を、有機溶剤を含む接着剤を用いて、種々の建築物に施工したり種々の機器に取り付けたりする場合に、発泡体の溶剤による劣化(溶剤可溶分の溶出)が生じにくい。
また、基材樹脂(A)は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体とともに、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体を含んでいてもよい。分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体は、1分子中に平均して、好ましくは1.0個以下、より好ましくは0.3個以上1.0個以下、さらに好ましくは0.4個以上1.0個以下、特に好ましくは0.5個以上1.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、65重量部以上95重量部以下が好ましい。基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、5重量部以上35重量部以下が好ましい。
基材樹脂(A)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基又は加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、式(1a):
-Si(R1a3-a(X) (1a)
(R1aはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基、又は、-OSi(R’)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1以上20以下の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1aとしての炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよい。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基又は加水分解性基である。さらに、aは1以上3以下の整数である)
で表される基が挙げられる。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及び、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基やヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1個以上3個以下の範囲で結合することができる。加水分解性基やヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
上記式(1a)におけるaは、2又は3が好ましく、硬化性の点と、硬化と発泡とが同時に進行する点とから、3が好ましい。
また上記式(1a)におけるR1aの具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R’がメチル基、フェニル基等である-OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基、及びメトキシメチル基が特に好ましい。
上記式(1a)で表される反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基がより好ましい。
基材樹脂(A)の構造としては、直鎖状であっても、分岐構造を有していても構わないが、分岐であるほうが硬化性の観点から好ましい。
基材樹脂(A)の分子量は、粘度及び反応性のバランスの点から、数平均分子量Mnとして1500以上が好ましく、3000以上がより好ましい。数平均分子量Mnの上限値には特に限定は無いが、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。また、基材樹脂(A)は、2種類以上の組み合わせでもよい。また、その際、主剤として用いる重合体以外の重合体は、粘度及び架橋構造の調整を目的とする場合は、上記条件以外のものでもよい。
基材樹脂(A)の末端における反応性ケイ素基は、ヒドロキシ基末端のオキシアルキレンをイソシアネートシラン化合物で末端変性することにより導入することができる。別の方法としてはヒドロキシ基末端にアリル基等の炭素-炭素不飽和結合を有する基を導入した後に、アルコキシシランによるヒドロシリル化を行うことにより、基材樹脂(A)の末端に反応性ケイ素基を導入することもできる。さらに、ポリイソシアネート変性品の末端をイソシアネート基とした場合は、活性水素を有するアミノシラン等で末端変性することで、基材樹脂(A)の末端に反応性ケイ素基を導入することができる。
以上説明した、基材樹脂(A)における反応性ケイ素基、又は反応性ケイ素基を含む末端基としては、高発泡倍率の発泡体を製造しやすいことから、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(3):
Figure 0007412891000004
Figure 0007412891000005
Figure 0007412891000006
(式(1)~式(3)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基であり、Rとしての炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよく、Xはヒドロキシ基又は加水分解性基であり、aは1、2、又は3であり、Rは2価の連結基であり、Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に結合しており、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はシリル基のいずれかである。)
で表される基、及び下記式(4):
-R-CH-Si(R3-a(X) (4)
(式(4)中、R、及びaは、式(1)~式(3)におけるR、及びaと同様であり、Rは置換されていてもよいヘテロ原子である。)
で表される基が好ましい。
式(1)~(3)で表される構造では、上記のように、-Si(R3-a(X)で表される反応性ケイ素基に、炭素-炭素二重結合が隣接している。このため、式(1)~(3)で表される構造においては、炭素-炭素二重結合が電子吸引基として作用し、反応性ケイ素基の活性が向上する。その結果、式(1)~(3)で表される末端基を有する基材樹脂(A)や、当該基材樹脂(A)を含む発泡体用樹脂組成物は、硬化反応性に優れると考えられる。
は2価の連結基である。Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に結合している。
ここで、Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に結合しているとは、Rが有する2つの結合手が、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子上に存在することを意味する。
2価の連結基の具体例としては、-(CH-、-O-(CH-、-S-(CH-、-NR-(CH-、-O-C(=O)-NR-(CH-、及び-NR-C(=O)-NR-(CH-、等が挙げられる。これらの中では、-O-(CH-、-O-C(=O)-NR-(CH-、及び-NR-C(=O)-NR-(CH-が好ましく、-O-CH-が原料が入手しやすいためより好ましい。Rは、水素原子又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基である。Rとしての炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基等のアルキル基、フェニル基、及びナフチル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。nとしては、0以上10以下の整数が好ましく、0以上5以下の整数がより好ましく、0以上2以下の整数がさらに好ましく、0又は1が特に好ましく、1が最も好ましい。
、及びRは、それぞれ独立に水素、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及びシリル基のいずれかである。アルキル基の炭素原子数は、1以上12以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。アリール基の炭素原子数は、6以上12以下が好ましく、6以上10以下がより好ましい。アラルキル基の炭素原子数は、7以上12以下が好ましい。
、及びRとしては、具体的には、水素;メチル基、エチル基、及びシクロヘキシル等のアルキル基;フェニル基、及びトリル基等のアリール基;ベンジル基、及びフェネチル基等のアラルキル基;トリメチルシリル基等のシリル基、が挙げられる。これらの中では、水素、メチル基、及びトリメチルシリル基が好ましく、水素、及びメチル基がより好ましく、水素がさらに好ましい。
上記式(1)~(3)で表される構造としては、それぞれ、下記式(5)~(7):
Figure 0007412891000007
Figure 0007412891000008
Figure 0007412891000009
で表される構造が好ましい。
、X、及びaは上記の記載と同様である。
式(1)~式(4)において、Rとしての炭化水素基は、式(1a)におけるR1aとしての炭化水素基と同様である。
としての炭化水素基としては、例えば、メチル基、及びエチル基等のアルキル基;クロロメチル基、及びメトキシメチル基等のヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;等を挙げることができる。Rとしては、メチル基、メトキシメチル基、及びクロロメチル基が好ましく、メチル基、及びメトキシメチル基がより好ましく、メトキシメチル基がさらに好ましい。
式(1)~式(4)におけるXとしては、式(1a)について前述した通りである。
式(4)におけるRは、置換されていてもよいヘテロ原子である。Rが電子リッチなヘテロ原子であることにより、式(4)で表される反応性ケイ素基を有する末端基は、高い反応性を示す。
式(4)におけるRとしての置換されていてもよいヘテロ原子としては、本発明の目的と阻害しない限り特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、O、N、及びSが挙げられる。
が無置換のヘテロ原子である場合、-R-で表される2価基の具体例としては、-O-、及び-S-が挙げられる。
が置換されたヘテロ原子である場合、-R-で表される2価基の具体例としては、例えば、-SO-、-SO-、-NH-、及び-NR-等が挙げられる。
置換基としてのRは特に限定されない。Rの好適な例としては、炭化水素基、及び-CO-Rで表されるアシル基等が挙げられる。Rとしては、炭化水素基が好ましい。R及びRとしての炭化水素基の例としては、Rとしての炭化水素基の例と同様である。
以下、基材樹脂(A)の主鎖構造について説明する。
[主鎖構造]
基材樹脂(A)の主鎖構造は、前述の通り、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
基材樹脂(A)の主鎖構造には特に制限はない、基材樹脂(A)としては、各種の主鎖構造を有する主鎖骨格を含む重合体を使用することができる。
基材樹脂(A)の主鎖骨格を構成する重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体、炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ビニル系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、グラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)、ジアリルフタレート系重合体等をあげることができる。
なお、前述の通り、基材樹脂(A)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)を必須に含む。
ポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体等が挙げられる。
炭化水素系重合体としては、例えば、エチレン-プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレン又はブタジエンとアクリロニトリル及び/又はスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレン又はブタジエンとアクリロニトリル及びスチレンとの共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリエステル系重合体としては、例えば、アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合反応で得られる重合体、及びラクトン類の開環重合で得られる重合体等のエステル結合を有する重合体が挙げられる。
ビニル系(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びスチレン等のビニル系単量体を、単独、又は複数組み合わせてラジカル重合して得られる(共)重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体を、単独、又は複数組み合わせてラジカル重合して得られる(共)重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、所謂、アクリル樹脂である。
グラフト重合体としては、例えば、上記の各種重合体中で、ビニル系単量体を重合して得られる重合体が挙げられる。
ポリアミド系重合体としては、例えば、ε-カプロラクタムの開環重合で得られるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合で得られるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との縮重合で得られるナイロン6・10、ε-アミノウンデカン酸の縮重合で得られるナイロン11、ε-アミノラウロラクタムの開環重合で得られるナイロン12、及び上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等が挙げられる。
ポリカーボネート系重合体としては、例えば、ビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造される重合体等が挙げられる。
ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)としては、例えば、ポリオールと過剰量のポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる分子末端にイソシアネート基を有する液状高分子化合物等が挙げられる。
本願明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を表す。「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。「(共)重合体」とは「重合体及び/又は共重合体」を表す。
基材樹脂(A)の主鎖骨格を構成する重合体の中で、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、及び水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、並びにアクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステル系重合体)は、比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。
基材樹脂(A)の主鎖骨格を構成する重合体のガラス転移温度は、特に限定は無いが、20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-20℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度が20℃を上回ると、冬季又は寒冷地での発泡体用樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合があり、また、発泡体の柔軟性が低下し、伸びが低下する場合がある。ガラス転移温度はDSC測定による値を示す。
また、基材樹脂(A)がガラス転移温度が35℃以上である樹脂を含むのも好ましい。この場合、発泡後の発泡体のシュリンクを抑制しやすい。発泡後の発泡体のシュリンクを特に抑制しやすい点からは、基材樹脂(A)が、ガラス転移温度が35℃以上である樹脂とともに、ガラス転移温度が35℃未満である樹脂を含むのが好ましい。
ガラス転移温度が35℃以上である樹脂としては、アクリル樹脂(A2)が好ましい。つまり、発泡体の製造に用いられる反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)と、ガラス転移温度が35℃以上であるアクリル樹脂(A2)とを組み合わせて含むのが好ましい。
基材樹脂(A)のガラス転移温度は、主鎖骨格の種類、主鎖を構成する単位の種類、主鎖を構成する単位の組成、及び分子量等を調整することにより調整できる。
基材樹脂(A)の主鎖骨格を構成する重合体の中でも、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)及びアクリル樹脂(A2)は透湿性が高い点等から好ましい。必須成分としてのポリオキシアルキレン系重合体(A1)の中では、ポリオキシプロピレン系重合体が好ましい。
基材樹脂(A)が、アクリル樹脂(A2)、及びポリオキシアルキレン系重合体(A1)を含む場合、適切な範囲内の粘度を有する発泡体用樹脂組成物を得やすい点から、基材樹脂(A)100重量部中のアクリル樹脂(A2)の量は10重量部以上80重量部以上が好ましく、10重量部以上50重量部以下がより好ましく、10重量部以上30重量部以下がさらに好ましい。
基材樹脂(A)が低粘度であると、発泡体を製造する際の発泡体用樹脂組成物の撹拌が容易である。基材樹脂が(A)が低粘度であると、特に、発泡体用樹脂組成物を2液型以上の多液型の組成物とする場合に、発泡体製造時の各液のスタティックミキサー等による均一な混合が容易である。この点からも、記載樹脂(A)におけるアクリル樹脂(A2)の含有量は、上記の範囲内の量であるのが好ましい。
基材樹脂(A)の主鎖への反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。例えば以下の方法があげられる。
方法I:ヒドロキシ基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する化合物を反応させ、不飽和基を有する有機重合体を得る。次いで、得られた不飽和基を有する有機重合体に、ヒドロシリル化によって、反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物を反応させる。
方法Iにおいて使用し得る反応性を示す活性基及び不飽和基を有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等の不飽和基含有エポキシ化合物、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、及びヨウ化メタリル等の炭素-炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、炭素-炭素三重結合を有する化合物としては、塩化プロパルギル、1-クロロ-2-ブチン、4-クロロ-1-ブチン、1-クロロ-2-オクチン、1-クロロ-2-ペンチン、1,4-ジクロロ-2-ブチン、5-クロロ-1-ペンチン、6-クロロ-1-ヘキシン、臭化プロパルギル、1-ブロモ-2-ブチン、4-ブロモ-1-ブチン、1-ブロモ-2-オクチン、1-ブロモ-2-ペンチン、1,4-ジブロモ-2-ブチン、5-ブロモ-1-ペンチン、6-ブロモ-1-ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1-ヨード-2-ブチン、4-ヨード-1-ブチン、1-ヨード-2-オクチン、1-ヨード-2-ペンチン、1,4-ジヨード-2-ブチン、5-ヨード-1-ペンチン、及び6-ヨード-1-ヘキシン等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、及びヨウ化プロパルギルがより好ましい。
炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と同時に、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、及びヨウ化メタリル等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素以外の不飽和結合を有する炭化水素化合物を使用してもよい。
方法Iにおいて使用し得るヒドロシラン化合物としては、例えば、ハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類、アシロキシシラン類、及びケトキシメートシラン類等が挙げられる。ヒドロシラン化合物は、これらに限定されない。
ハロゲン化シラン類としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、及びフェニルジクロロシラン等が挙げられる。
アルコキシシラン類としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、及び1-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
アシロキシシラン類としては、例えば、メチルジアセトキシシラン、及びフェニルジアセトキシシラン等が挙げられる。
ケトキシメートシラン類としては、例えば、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、及びビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン等が挙げられる。
これらの中では、ハロゲン化シラン類、及びアルコキシシラン類が特に好ましい。アルコキシシラン類は、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいために最も好ましい。
アルコキシシラン類の中では、入手しやすい点、硬化性、及び貯蔵安定性に優れる発泡体用樹脂組成物を得やすい点、発泡体用樹脂組成物を用いて引張強度に優れる発泡体を製造しやすい点等からジメトキシメチルシランが好ましい。また、硬化性に優れる発泡体用樹脂組成物を得やすい点から、トリメトキシシラン、及びトリエトキシシランも好ましい。
方法II:メルカプト基及び反応性ケイ素基を有する化合物を、ラジカル開始剤及び/又はラジカル発生源存在下でのラジカル付加反応によって、方法Iと同様にして得られた不飽和基を有する有機重合体の不飽和基部位に導入する方法。
方法IIにおいて使用し得るメルカプト基及び反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、3-メルカプト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、及びメルカプトメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。メルカプト基及び反応性ケイ素基を有する化合物は、これらに限定されない。
方法III:分子中にヒドロキシ基、エポキシ基、及びイソシアネート基等の官能基を有する有機重合体に、これらの官能基に対して反応性を示す官能基及び反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法。
方法IIIにおいて採用し得る、ヒドロキシ基を有する有機重合体と、イソシアネート基及び反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、特開平3-47825号公報に示される方法等が挙げられる。
方法IIIにおいて使用し得る、イソシアネート基及び反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、3-イソシアナト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン、及びイソシアナトメチルジエトキシメチルシラン等があげられる。イソシアネート基及び反応性ケイ素基を有する化合物はこれらに限定されない。
トリメトキシシラン等の1つのケイ素原子に3個の加水分解性基が結合しているシラン化合物は不均化反応が進行する場合がある。不均化反応が進むと、ジメトキシシランのような不安定な化合物が生じ、取り扱いが困難となることがある。しかし、3-メルカプト-n-プロピルトリメトキシシランや3-イソシアナト-n-プロピルトリメトキシシランでは、このような不均化反応は進行しない。このため、ケイ素含有基としてトリメトキシシリル基等の3個の加水分解性基が1つのケイ素原子に結合している基を用いる場合には、方法II又は方法IIIの方法を用いることが好ましい。
一方、下記式(2a)で表されるシラン化合物は不均化反応が進まない。
H-(SiR2a O)SiR2a -R3a-SiX (2a)
ここで、式(2a)において、Xは式(1a)と同じである。2m+2個のR2aはそれぞれ独立に式(1a)のR1aと同じである。R3aは、炭素原子数1以上20以下の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示す。mは0以上19以下の整数を示す。
このため、方法Iで、3個の加水分解性基が1つのケイ素原子に結合している基を導入する場合には、式(2a)で表されるシラン化合物を用いることが好ましい。入手性及びコストの点から、2m+2個のR2aとしては、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1以上8以下の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下の炭化水素基がさらに好ましい。R3aとしては、炭素原子数1以上12以下の2価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上8以下の2価の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数2の2価の炭化水素基がさらに好ましい。mは1が最も好ましい。
式(2a)で示されるシラン化合物としては、例えば、1-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1-[2-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、及び1-[2-(トリメトキシシリル)ヘキシル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記の方法I又は方法IIIにおいて、末端にヒドロキシ基を有する有機重合体と、イソシアネート基及び反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法は、比較的短い反応時間で高い転化率が得られるために好ましい。さらに、方法Iで得られた反応性ケイ素基を有する有機重合体は、方法IIIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体よりも低粘度であり、作業性のよい発泡体用樹脂組成物が得られること、また、方法IIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体は、メルカプトシランに基づく臭気が強いことから、方法Iが特に好ましい。
以下、基材樹脂(A)の中でも必須であるか特に好ましい、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)と、アクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステル系共重合体)(A2)について詳細に説明する。
(ポリオキシアルキレン系重合体(A1))
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の主鎖構造は下記式(3a)で示される繰り返し単位からなるのが好ましい。
-R4a-O- (3a)
ここで、式(3a)において、R4aは炭素原子数1以上14以下の直鎖状又は分岐状アルキレン基を示し、炭素原子数2以上4以下がより好ましい。
式(3a)で示される繰り返し単位としては、例えば、-CHO-、-CHCHO-、-CHCH(CH)O-、-CHCH(C)O-、-CHC(CHO-、及び-CHCHCHCHO-等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の主鎖は、1種類だけの繰り返し単位からなっていてもよく、2種類以上の繰り返し単位からなっていてもよい。ポリオキシアルキレン系重合体(A1)は、非晶質且つ比較的低粘度であるポリオキシプロピレン系重合体であることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の合成法としては、例えば、KOH等のアルカリ触媒による重合法;特開昭61-215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体等の遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒による重合法;特公昭46-27250号公報、特公昭59-15336号公報、米国特許第3278457号、米国特許3278458号、米国特許3278459号、米国特許3427256号、米国特許3427334号、及び米国特許3427335号等に示される複合金属シアン化物錯体触媒(例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒)による重合法;特開平10-273512号公報に示されるポリホスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法;特開平11-060722号公報に示されるホスファゼン化合物からなる触媒を用いる重合法等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の合成方法は、これらに限定されない。
これらの合成法の中では、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、開始剤にアルキレンオキシドを反応させる重合法が分子量分布の狭い重合体を得られることから好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn[Co(CN)(亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)等が挙げられる。また、これらにアルコール及び/又はエーテルが有機配位子として配位した触媒も使用できる。
開始剤としては、少なくとも2個の活性水素基を有する化合物が好ましい。活性水素含有化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の多価アルコールや、数平均分子量500以上20,000以下の直鎖状又は分岐鎖状のポリエーテル化合物等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びイソブチレンオキシド等が挙げられる。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)としては、例えば、特公昭45-36319号公報、特公昭46-12154号公報、特開昭50-156599号公報、特開昭54-6096号公報、特開昭55-13767号公報、特開昭55-13468号公報、特開昭57-164123号公報、特公平3-2450号公報、米国特許3632557号、米国特許4345053号、米国特許4366307号、米国特許4960844号等の各公報に提案されている重合体が挙げられる。また、特開昭61-197631号公報、特開昭61-215622号公報、特開昭61-215623号公報、特開昭61-218632号公報、特開平3-72527号公報、特開平3-47825号公報、特開平8-231707号公報の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下や1.3以下の高分子量で分子量分布が狭い反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体等も好ましい。このような反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A1)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(アクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体)(A2))
反応性ケイ素基を有するアクリル樹脂(((メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体)(A2)は種々の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、単独で又は複数組み合わせて重合することによって得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、3-((メタ)アクリロイルオキシ)-n-プロピルトリメトキシシラン、3-((メタ)アクリロイルオキシ)-n-プロピルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、及び(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸系単量体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、これらに限定されない。
アクリル樹脂(A2)は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とともに、以下のビニル系単量体を共重合することもできる。
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸、及びスチレンスルホン酸塩等のスチレン系単量体;ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、マレイン酸、並びにマレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル等のマレイン酸又はマレイン酸誘導体;フマル酸、並びにフマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル等のフマル酸又はフマル酸誘導体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、及びシクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、及び桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、及びプロピレン等のアルケン類;ブタジエン、及びイソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で重合させてもよく、複数を共重合させてもよい。
アクリル樹脂(A2)としては、物性等の点から(メタ)アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体との共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体がより好ましく、アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体がさらに好ましい。
アクリル樹脂(A2)の製造方法は、特に限定されない。(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、公知の方法により製造することができる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2より大きく、粘度が高くなりやすい。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を得るためには、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物、及びハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤として用い、遷移金属錯体を触媒として用いて(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するアクリル樹脂(A2)の製造方法としてさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法は、例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁等に記載されている。
反応性ケイ素基を有するアクリル樹脂(A2)の製造方法としては、例えば、特公平3-14068号公報、特公平4-55444号公報、及び特開平6-211922号公報等に、連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法を用いた製法が開示されている。また、特開平9-272714号公報等に、原子移動ラジカル重合法を用いた製法が開示されている。反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製造方法は、これらの方法に限定されない。上記の反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、単独で使用されてもよく、2種以上を併用されてもよい。
これらの反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。具体的には、2種以上の基材樹脂(A)を併用する場合、同種の主鎖を有する基材樹脂(A)を組み合わせて用いてもよいし、例えば、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との組み合わせのように、異種の主鎖を有する基材樹脂(A)を組み合わせて用いてもよい。
<化学発泡剤(B)>
発泡体の製造に使用し得る発泡体用樹脂組成物は、化学発泡剤(B)を含むのが好ましい。化学発泡剤(B)としては、発泡体が所望の吸音特性を示す限り特に限定されない。
化学発泡剤(B)としては、発泡反応に加熱を要する加熱型の化学発泡剤ではなく、例えば、-10℃以上30℃以下の温度範囲において、水分、酸、塩基等との化学反応によって発泡反応を生じさせる、非熱分解型の化学発泡剤が好ましい。
基材樹脂(A)は、加熱により劣化する場合があるが、このような非熱分解型の化学発泡剤を用いることにより、基材樹脂(A)の劣化による発泡体の性能低下を抑制できる。
また、良好な吸音特性を示す発泡体の製造が容易であることから、化学発泡剤(B)が、二炭酸ジエステル(B-1)を含むのが好ましい。二炭酸ジエステル(B-1)は、発泡体用樹脂組成物の調製後に、室温程度の低温条件下であっても、基材樹脂(A)の硬化反応の速度に応じた好ましい速で分解して発泡し得る。二炭酸ジエステル(B-1)は、水(C)の存在下では、無水条件よりも良好に発泡しやすい。
例えば、特公昭46-35992号公報には、不飽和ポリエステルを付加反応により硬化される発泡体用樹脂組成物に、二炭酸ジエチルを発泡剤として加える場合、室温で発泡体を製造する際に、20分程度の時間をかけて発泡による樹脂組成物の膨張が進行し、20分を超える長い時間をかけて樹脂組成物の硬化が進行することが開示されている(特公昭46-35992号公報の実施例8を参照。)。
しかしながら、例えば、反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を硬化させつつ発泡させる場合、基材樹脂(A)の硬化が5分程度でかなり進行してしまう場合がある。このため、反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を含む発泡体用樹脂組成物に、20分もの時間をかけて発泡する化学発泡剤(B)を適用してしまうと、所望する発泡倍率に達する前に、基材樹脂(A)が速やかに硬化してしまい低発泡倍率の発泡体しか得られないと予測される。
ところが、本発明者らが検討したところ、意外にも、基材樹脂(A)と、シラノール縮合触媒(D)とを含む発泡体用樹脂組成物に、二炭酸ジエステル(B-1)を含む化学発泡剤(B)を配合する場合、短時間で樹脂組成物を所望する程度に発泡させることができることが見出された。
二炭酸ジエステルは、下記式(B1)で表される。
-O-CO-O-CO-O-R・・・(B1)
式(B1)中、Rは有機基である。Rとしての有機基は、炭化水素基であるのが好ましい。2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。
としての、炭化水素基の炭素原子数は、1以上16以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましく、1以上6以下が特に好ましい。
としての炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基等の脂環式基、アラルキル基、及びアリール基が挙げられる。アルキル基について、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフタレン-1-イルメチル基、及びナフタレン-2-イルメチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、及び2-フェニルフェニル基等が挙げられる。
式(B1)で表される二炭酸ジエステル(B-1)としては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジ-n-プロピル、二炭酸ジイソプロピル、二炭酸ジ-n-ブチル、二炭酸ジイソブチル、二炭酸ジ-sec-ブチル、二炭酸ジ-tert-ブチル、二炭酸ジ-n-ペンチル、及び二炭酸ジ-n-ヘキシルが好ましい。入手が容易であることや、分子量が小さく単位重量当たりの発泡量が多いことから、二炭酸ジエステル(B-1)としては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジ-n-プロピル、及び二炭酸ジイソプロピルが好ましく、二炭酸ジメチル、及び二炭酸ジエチルがより好ましい。さらに、二炭酸ジエステルが加水分解された後の生成物の揮発性の高さ及び毒性の低さの観点により、二炭酸ジエステル(B-1)としては、二炭酸ジエチルが特に好ましい。
発泡体用樹脂組成物が、水(C)を含まないか、少量の水(C)しか含まなくてもよい点や、化学発泡剤(B)の使用量が少量でも高発泡倍率を達成しやすい点で、化学発泡剤(B)が、主に二炭酸ジエステル(B-1)からなるのも好ましい。
化学発泡剤(B)の重量に対する、二炭酸ジエステル(B-1)の重量の比率は、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が特に好ましく、100重量%以上が最も好ましい。
化学発泡剤(B)が二炭酸ジエステル(B-1)以外の他の化学発泡剤を含む場合、当該他の化学発泡剤としては、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の種々の化学発泡剤を用いることができる。
二炭酸ジエステル(B-1)以外の好ましい化学発泡剤(B)としては、テトライソシアネートシラン(Si(NCO))、メチルトリイソシアネートシラン(SiCH(NCO))、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、2-イソシアナトエチルトリメトキシシラン、2-イソシアナトエチルトリエトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルトリエトキシシラン、4-イソシアナト-n-ブチルトリメトキシシラン、及び4-イソシアナト-n-ブチルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物(B-2)が挙げられる。特にアルコキシシリル基を有するイソシアネートシランはポリマーに固定化される点で好ましい。
イソシアネートシラン化合物(B-2)は、二炭酸ジエステル(B-1)と併用されてもよい。
化学発泡剤(B)の使用量は、発泡体の発泡倍率を勘案して適宜選択され得る。
化学発泡剤(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して2重量部以上200重量部以下が好ましく、5重量部以上170重量部以下がより好ましく、5重量部以上130重量部以下がさらに好ましく、5重量部以上100重量部以下が特に好ましい。
化学発泡剤(B)としての二炭酸ジエステル(B-1)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上50重量部以下が好ましく、2重量部以上40重量部以下がより好ましく、5重量部以上30重量部以下が特に好ましい。
以上化学発泡剤(B)について説明したが、化学発泡剤による発泡に加え、発泡体用樹脂組成物に物理発泡剤を加えて発泡を補助してもよい。物理発泡剤の沸点は、発泡性、作業性、及び安全性の点から、100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。物理発泡剤の具体例としては、炭化水素(例えば、LPG(プロパン)、ブタン等)、ハロゲン化炭化水素、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、フルオロオレフィン(FO)、クロロフルオロオレフィン(CFO)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロフルオロオレフィン(HCFO)、二酸化炭素、窒素、及び空気等が挙げられる。これらの物理発泡剤の中では、環境適合性の観点から、炭化水素、エーテル、二酸化炭素、窒素、及び空気が好ましい。
<水(C)>
発泡体用樹脂組成物は、水(C)を含むか、又は含まない。発泡体用樹脂組成物が水(C)を含まない場合でも、硬化及び発泡が進行する。他方、水(C)としては、化学発泡剤(B)の発泡反応及び基材樹脂(A)の硬化反応を促進させる働きがある。
発泡体用樹脂組成物が水(C)を含む場合、水(C)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上70重量部以下が好ましく、2重量部以上60重量部以下がより好ましく、2重量部以上50重量部以下がさらに好ましい。水(C)の含有量が上記の範囲内であると、十分に発泡させつつ良好に硬化を進行させやすく、微細且つ緻密な発泡セルを有し、柔軟性に優れる発泡体を得やすい。
発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)を含む場合、発泡体用樹脂組成物の水(C)の含有量は、二炭酸ジエステル(B-1)1重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上であるのがより好ましい。このような量の水を使用することにより、二炭酸ジエステル(B-1)を良好に水(B)と反応させ、特に良好な発泡を生じさせることができるとともに、基材樹脂(A)が有する反応性ケイ素基間の加水分解縮合反応が良好に進行する。
特に、発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)のみを含む場合、発泡体用樹脂組成物中の水(C)の含有量は、二炭酸ジエステル(B-1)1重量部に対して0.05重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上0.3重量部以下であることがより好ましい。
この場合、特に良好な発泡を生じさせながらも、発泡体作製後の発泡体中の水(C)の含有量を少なくでき、発泡体製造時の水等の揮発性成分を除去するための乾燥工程を省略することができる。
発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)を含む場合、発泡体中の水(C)の含有量の低減の観点のみからは、発泡体用樹脂組成物中の水(C)の含有量は、二炭酸ジエステル(B-1)1重量部に対して、0重量部以上0.05重量部以下であるのも好ましく、0重量部以上0.03重量部以下がより好ましく、0重量部、つまり水(C)を含まないのが特に好ましい。
なお、二炭酸ジエステル(B-1)1モルは、水(C)1モルと反応し、炭酸ガス(二酸化炭素)2モルを発生させる。このため、二炭酸ジエステル(B-1)を、発泡体用樹脂組成物中の水(C)によって効率よく発泡させる観点からは、二炭酸ジエステル(B-1)と、水(C)とのモル比が、二炭酸ジエステル(B-1):水(C)として0.8:1~1:0.8であるのが好ましく、0.9:1~1:0.9であるのがより好ましく、0.95:1~1:0.95であるのがさらに好ましい。
水(C)が不足している場合でも二炭酸ジエステル(B-1)から良好に発泡が生じる理由は不明であるが、空気中及び材料中の水分による二炭酸ジエステル(B-1)の加水分解が生じているか、加水分解とは別の分解反応により二酸化炭素が発生していると思われる。
<シラノール縮合触媒(D)>
発泡体の製造に用いられる発泡体用樹脂組成物は、シラノール縮合触媒(D)を含むのが好ましい。シラノール縮合触媒(D)としては、縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)を含む場合、二炭酸ジエステル(B-1)の発泡反応により発生する炭酸の影響による触媒活性の低下が生じにくい点から、中性あるいは弱酸性のシラノール縮合触媒(D)が好ましい。炭酸は二酸化炭素が水に溶解することで発生する。
シラノール縮合触媒(D)の例としては、4価の錫化合物類、2価の錫化合物物類、前述の2価の錫化合物類と後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物及び混合物、モノアルキル錫類、チタン酸エステル類、有機アルミニウム化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸金属塩と後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物及び混合物、キレート化合物、飽和脂肪族第一級アミン類、飽和脂肪族第二級アミン類、飽和脂肪族第三級アミン類、脂肪族不飽和アミン類、芳香族アミン類、これらのアミン類以外のその他のアミン類、これらのアミン類とカルボン酸等との塩、アミン系化合物と有機錫化合物との反応物及び混合物、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、アミノ基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤を変性した誘導体等が挙げられる。
4価の錫化合物類としては、ジアルキル錫ジカルボキシレート類、ジアルキル錫アルコキサイド類、ジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、ジアルキル錫オキサイドとエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイドとカルボン酸とアルコール化合物との反応物、ジアルキル化合物、ジアルキル錫オキサイドとシリケーと化合物との反応物、及びこれらのジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等が挙げられる。
ジアルキル錫ジカルボキシレート類の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジ(メチルマレエート)、ジブチル錫ジ(エチルマレエート)、ジブチル錫ジ(ブチルマレエート)、ジブチル錫ジ(イソオクチルマレエート)、ジブチル錫ジ(トリデシルマレエート)、ジブチル錫ジ(オレイルマレエート)、ジブチル錫ジ(ベンジルマレエート)、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジ(エチルマレエート)、ジオクチル錫ジ(イソオクチルマレエート)等が挙げられる。
なお、ジブチル錫マレエートは、下記式:
-Sn(-n-C-OCO―CH=CH=COO-
で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーである。
ジアルキル錫アルコキサイド類の具体例としては、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等が挙げられる。
ジアルキル錫の分子内配位性誘導体類の具体例としては、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート等が挙げられる。
ジアルキル錫オキサイドとエステル化合物との反応物の具体例としては、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物が挙げられる。
ジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物としては、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等が挙げられる。
2価の錫化合物物類の具体例としては、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸錫等が挙げられる。
モノアルキル錫類の具体例としては、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等が挙げられる。
チタン酸エステル類の具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ-イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
カルボン酸金属塩の具体例としては、カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等が挙げられる。当該カルボン酸金属塩を与えるカルボン酸の具体例としては2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等が挙げられる。
キレート化合物類の具体例としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等が挙げられる。
飽和脂肪族第一級アミン類の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
飽和脂肪族第二級アミン類の具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等が挙げられる。
飽和脂肪族第三級アミン類の具体例としては、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等が挙げられる。
脂肪族不飽和アミン類の具体例としては、トリアリルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。
芳香族アミン類の具体例としては、ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等が挙げられる。
上記のアミン類以外のその他のアミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等のアミン系化合物が挙げられる。
アミン系化合物と有機錫化合物との反応物及び混合物としては、ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、3-アミノ-n-プロピルトリメトキシシラン、3-アミノ-n-プロピルトリエトキシシラン、3-アミノ-n-プロピルトリイソプロポキシシラン、3-アミノ-n-プロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノ-n-プロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-3-アミノ-n-プロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-3-アミノ-n-プロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-3-アミノ-n-プロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-3-アミノ-n-プロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-3-アミノ-n-プロピルトリイソプロポキシシラン、3-ウレイド-n-プロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノ-n-プロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノ-n-プロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-3-アミノ-n-プロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
上記のアミノ基を有するシランカップリング剤を変性した誘導体としては、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等が挙げられる。
さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等を、公知のシラノール縮合触媒として例示できる。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CHO)-P(=O)(-OH)、(CHO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(CO)-P(=O)(-OH)、(C17O)-P(=O)(-OH)、(C17O)-P(=O)(-OH)、(C1021O)-P(=O)(-OH)、(C1021O)-P(=O)(-OH)、(C1327O)-P(=O)(-OH)、(C1327O)-P(=O)(-OH)、(C1633O)-P(=O)(-OH)、(C1633O)-P(=O)(-OH)、(HO-C12O)-P(=O)(-OH)、(HO-C12O)-P(=O)(-OH)、(HO-C16O)-P(=O)(-OH)、(HO-C16O)-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)O]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)O]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]-P(=O)(-OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]-P(=O)(-OH)等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
発泡体用樹脂組成物の硬化を良好に進行させる観点からは、前述のシラノール縮合触媒(D)の好適な例の中でも、Snを含む錫含有触媒が好ましく、ジアルキル錫ジカルボキシレート類、ジアルキル錫アルコキサイド類、ジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、ジアルキル錫オキサイドとエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸及びアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、ジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、及びこれらのジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類を含むのが好ましい。
錫含有触媒としては、その質量における錫原子の質量の比率が高いほど、触媒活性が高く好ましい。
また、発泡体製造後の発泡体の経時的なシュリンクの抑制の観点からは、シラノール縮合触媒(D)として、ジアルキル錫ジカルボキシレート類が好ましく、ジブチル錫ジアセテートがより好ましい。
二炭酸ジエステル(B-1)の発泡反応により発生する炭酸の影響による触媒活性の低下が生じにくく、二炭酸ジエステル(B-1)と水との発泡反応と、基材樹脂(A)の硬化反応とを特にバランスよく進行させるという観点から、上記に挙げられるシラノール縮合触媒(D)の中でも、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒が好ましく、弱酸性のシラノール縮合触媒がより好ましい。炭酸は二酸化炭素が水に溶解することで発生する。
また、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒を用いる場合、発泡開始時の、二炭酸ジエステル(B-1)の水との発泡反応の進行を阻害しにくい。
シラノール縮合触媒(D)は、基材樹脂(A)を良好に硬化させやすい点から、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒として、前述の種々の錫含有触媒のうち中性又は弱酸性の触媒を含むのが好ましい。
このような観点からも、シラノール縮合触媒(D)に関して、中性又は弱酸性の錫含有触媒として、ジアルキル錫ジカルボキシレート類が好ましい。
中性又は弱酸性のジアルキル錫ジカルボキシレートとしては、下記式(D1)で表される化合物、又は下記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーが好ましい。
(Rd1)(Rd2)(Rd3COO)(Rd4COO)Sn・・・(D1)
-(-(Rd1)(Rd2)Sn-OCORd5COO-)-・・・(D2)
式(D1)及び式(D2)において、Rd1及びRd2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Rd1及びRd2は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、直鎖アルキル基が好ましい。Rd1及びRd2としてのアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1以上20以下が好ましく、2以上16以下がより好ましく、3以上10以下がさらに好ましい。錫含有触媒の入手が容易な点や、錫含有触媒のシラノール縮合触媒(D)としての活性が良好であることから、Rd1及びRd2としては、n-ブチル基、及びn-オクチル基が好ましい。
式(D1)中、Rd3及びRd4は、それぞれ、炭素原子数1以上40以下の有機基である。Rd3及びRd4としての有機基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましい。Rd3及びRd4としての有機基は、O、S、N、及びSi等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
錫含有触媒の入手が容易な点や、錫含有触媒のシラノール縮合触媒(D)としての活性が良好であることから、Rd3及びRd4としては、炭素原子数1以上30以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と、下記式(D3):
-CH=CH-CO-ORd6・・・(D3)
で表される基が好ましい。Rd6は炭素原子数1以上30以下の炭化水素基である。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基との組み合わせであってもよい。Rd6としての炭化水素基の炭素原子数は1以上20以下が好ましい。
式(D2)中、Rd5は、炭素原子数1以上40以下の2価の有機基である。Rd5としての有機基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。Rd5としての有機基は、O、S、N、及びSi等のヘテロ原子を含んでいてもよい。Rd5としての有機基としては、炭化水素基が好ましく、-CH=CH-、及び-CHCH-がより好ましい。
上記式(D1)で表される化合物、又は上記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーの好適な具体例は、ジアルキル錫ジカルボキシレート類の具体例として前述した通りであり、ジブチル錫ジアセテートが特に好ましい。
シラノール縮合触媒が中性又は弱酸性であるかは、シラノール縮合触媒の濃度1質量%の水/アセトン=10/90(重量比)溶液の20℃でのpHを測定することにより判別することができる。具体的には、pHが6.5以上7.5未満である場合を中性とし、pHが4.0以上6.5未満である場合を弱酸性とする。
中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒(D)を含む発泡体用樹脂組成物を用いる場合、短時間で、発泡及び効果を進行させやすい。このため、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒(D)を含む発泡体用樹脂組成物は、建築現場や種々の工業製品の製造現場等における現場において、発泡体を施工する場合に、特に有用である。
現場での発泡体の施工には、短時間での発泡及び硬化が要求されるためである。
塩基性のシラノール縮合触媒(D)の好適な例としては、それぞれ上記される、脂肪族第一級アミン類、脂肪族第二級アミン類、脂肪族第三級アミン類、脂肪族不飽和アミン類、及び芳香族アミン類と、これらのアミン類以外のその他のアミン類と、アミノ基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
なお、上記のアミン類や、アミノ基を有するシランカップリング剤を単独でシラノール縮合触媒として用いる場合、基材樹脂(A)の硬化反応がやや遅い場合がある。このため、上記のアミン類や、アミノ基を有するシランカップリング剤は、前述の種々の錫含有触媒のように基材樹脂(A)の硬化反応の促進効果が高い触媒と併用されるのが好ましい。
特に、塩基性のシラノール縮合触媒(D)は、中性又は弱酸性の錫含有触媒と併用されるのが好ましく、ジアルキル錫ジカルボキシレート類と併用されるのがより好ましく、ジブチル錫ジカルボキシレート類が最も好ましい。
シラノール縮合触媒(D)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して90重量部以下が好ましく、0.05重量部以上80重量部以下がさらに好ましく、0.05重量部以上20重量部以下がより好ましく、1重量部以上15重量部以下がさらにより好ましい。シラノール縮合触媒(D)の含有量が80重量部よりも多いと、得られた発泡体の圧縮により底付きする場合がある。シラノール縮合触媒(D)の量を調整することにより、発泡体用樹脂組成物の硬化性を調整することができる。
<発泡助剤(E)>
発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)を含む場合、発泡体用樹脂組成物は、発泡助剤(E)、及び/又は発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)を含むのが好ましい。
発泡助剤(E)は、二炭酸ジエステル(B-1)の分解による発泡を促進させる成分である。発泡助剤(E)は、水と二炭酸ジエステル(B-1)とを含む混合物に添加された場合に、発泡を促進する化合物であれば特に限定されない。
典型的には、発泡助剤(E)としては、有機又は無機の塩基性化合物が好ましく挙げられる。このため、シラノール縮合触媒として前述した塩基性の触媒は、発泡助剤(E)としての作用を奏する場合がある。
例えば、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒(D)として上記の塩基性のシラノール縮合触媒のような発泡助剤(E)としての作用を奏する成分を含有する場合、便宜的に、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒(D)と発泡助剤(E)との双方を含むとして扱う。
発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)の好適な例としては、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル、トリエチレンジアミン及びN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-エチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール及び1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の活性水素を含有しない第三級アミン類や、ジメチルエタノールアミンジエチルエタノールアミン、ジメチルヘキサノールアミン等の、水酸基、チオール基、カルボキシ基等の活性水素含有基を有する活性水素を含有する第三級アミンが挙げられる。
シラノール縮合触媒(D)に該当しない発泡助剤(E)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して0.05重量部以上20重量部以下が好ましく、0.1重量部以上10重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。
発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)の含有量は、前述のシラノール縮合触媒(D)の含有量と同様である。
<その他添加剤>
発泡体用樹脂組成物には、発泡体の柔軟性や成形加工性を調整する目的で可塑剤、反応性調整剤、染料を添加することができる。
可塑剤としては、オキシアルキレン系単位からなる繰り返し単位から構成される主鎖を有する可塑剤が好ましい。主鎖の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドから選ばれる2種以上のランダム又はブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。これらのうち、基材樹脂(A)との相溶性の点で、ポリプロピレンオキシドが好ましい。また、これらのオキシアルキレンをイソシアネート変性したものも添加することができる。
可塑剤の分子量は、得られる発泡体の柔軟性や、可塑剤の系外への流出防止の観点から数平均分子量で1000以上であり、3000以上が好ましい。数平均分子量が前述の範囲内であると、熱や圧縮等による可塑剤の経時的な系外への流出を抑制でき、初期の物性を長期に渡り維持しやすく、柔軟性への悪影響が少ない。また、上限値は特に限定は無いが、数平均分子量が高くなりすぎると粘度が高くなり、作業性が悪化するため50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。なお、可塑剤は、発泡体に柔軟性を付与できるものであれば、直鎖状でも分岐状でも特に限定はない。
可塑剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、5重量部以上150重量部以下、より好ましくは10重量部以上120重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上100重量部以下である。可塑剤の添加量が前述の範囲内であると、柔軟性や成形加工性を調整しやすく、良好な機械強度を有し、所望する発泡倍率である発泡体を形成しやすい。可塑剤の製造方法は特に限定なく、公知の製造方法を適用することができ、さらに市販の化合物を用いてもよい。
反応性調整剤は、反応性ケイ素基を有するのが好ましい。反応性調整剤は、メチルシリケート、エチルシリケート等のシリケート化合物であってもよく、反応性ケイ素基を有するビニルモノマーの共重合体であってもよく、チオール等の連鎖移動基を有する反応性ケイ素モノマーを使用した共重合体であってもよい。これらは単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
反応性調整剤の分子量は、得られる発泡体の硬化及び発泡の観点から数平均分子量で1000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。また、上限値は特に限定は無いが、発泡体用樹脂組成物の粘度を作業しやすい範囲内としやすいことから、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。なお、反応性調整剤は、発泡体用樹脂組成物の硬化性を調整できるものであれば、直鎖状でも分岐状でも特に限定はない。
反応性調整剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、2重量部以上120重量部以下、より好ましくは5重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下である。かかる範囲内の量の反応調整剤を用いると、硬化性を適切な範囲内に調整しやすく、適切な速度で硬化を進行させ発泡倍率の高い発泡体を得やすい。反応性調整剤の製造方法は特に限定なく、公知の製造方法を適用することができ、さらに市販の化合物を用いてもよい。
発泡体用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤、潤滑剤、難燃剤等を必要に応じて添加してもよい。
耐光性安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びイオウ原子、リン原子、1級アミン、2級アミンを含まないヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ここで、耐光性安定剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能、又は、光吸収により生成したラジカルを捕捉して熱エネルギーに変換し無害化する機能等を有し、光に対する安定性を高める化合物である。
紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が例示される。ここで、紫外線吸収剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能を有する化合物である。
耐光性安定剤、及び紫外線吸収剤の添加量としては、それぞれ、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、0.1重量部以上3重量部以下がより好ましく、0.3重量部以上2.0重量部以下がさらに好ましい。耐光性安定剤、紫外線吸収剤の添加量が当該範囲内であると、経時的な表面粘着性の上昇を抑制する効果が得やすい。
貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、又は2種以上併用してもよい。具体的には、2-ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2-(4-モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3-メチル-1-ブテン-3-オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2-ペンテンニトリル、2,3-ジクロロプロペン等が挙げられる。
発泡体用樹脂組成物には、必要であれば、気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、タルク、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ等の無機固体粉末が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、周波数1000Hz以下や800Hz以下の音の成分を良好に吸収する発泡体を製造しやすいことから、発泡体中の、金属塩及び/又は無機粒子の含有量が発泡体の重量に対して2.5重量%以下であるのが好ましく、1重量%以下であるのがより好ましい。なお、金属塩は、無機塩であっても、有機アニオン又は有機カチオンを含む有機塩であってもよい。
このため、発泡体用樹脂組成物に無機固体粉末を含有させる場合、無機固体粉末の使用量は、発泡体中の無機固体粉末の使用量が上記の量であるように調整されるのが好ましい。
気泡調整剤の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下が好ましく、0.5重量部以上50重量部以下がより好ましい。
発泡体用樹脂組成物には、必要であれば、整泡剤を添加してもよい。整泡剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、ポリエーテル変成シリコーンオイル等のシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、ポリプロピレン及びポリエチレン変性シリコーンは少量での整泡力が期待できる場合がある。
整泡剤の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.2重量部以上30重量部以下が好ましく、0.5重量部以上15重量部以下がより好ましい。
発泡体用樹脂組成物には、必要であれば、中空粒子を添加してもよい。中空粒子の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、熱可塑性のシェルポリマーの中にシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性液体を内包し、加熱された揮発性液体がガス状になるとともに、シェルポリマーが軟化して膨張したものが挙げられる。また、膨張する前の中空粒子を添加し、成形時に発泡させることも可能である。
中空粒子の使用量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.2重量部以上30重量部以下が好ましく、0.5重量部以上15重量部以下がより好ましい。
中空粒子が中空シリカやグラスバルーンのような無機粒子である場合、その好ましい使用量は、無機固体粉末の好ましい使用量と同様である。
さらに、発泡体用樹脂組成物に含まれる成分の相溶性を向上する目的で、潤滑剤を添加することもできる。
潤滑剤を含有することで、発泡体用樹脂組成物を発泡してなる発泡体の発泡セル内における摩擦や粘着を少なくし、所望の柔軟性を有する発泡体を得ることができる。また、潤滑剤は、基材樹脂(A)間のシラノール縮合反応によって形成される三次元網目構造体に保持されて、発泡体系外へのブリードアウトが抑えられる傾向にあるため、長期間にわたって柔軟性を維持することが可能となる。
潤滑剤としては、液状の潤滑剤が好ましい。液体潤滑剤の具体的な例としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、脂肪酸グリセライド等の動植物油;ポリ-1-デセン、ポリブテン等のアルキル構造を有するオレフィン系潤滑剤;アラルキル構造を有するアルキル芳香族化合物系潤滑剤;ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテル、パーフロロポリエーテル、ポリフェニルエーテル等のエーテル系潤滑剤;脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有するエステル系潤滑剤;ジメチルシリコーン(すなわち、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン)、及びジメチルシリコーンのメチル基の一部をポリエーテル基、フェニル基、アルキル基、アラルキル基、フッ素化アルキル基等で置換したシリコーンオイル等のシリコーン系潤滑剤;クロロフロロカーボン等のフッ素原子含有系潤滑剤等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの潤滑剤の中では、発泡セル内における摩擦係数の低下や分散性、加工性、安全性等の観点から、特にシリコーン系潤滑剤が好ましい。
潤滑剤の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、2重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましい。潤滑剤の添加量の上限値に特に制限はないが、25重量部以下、さらには20重量部以下が好ましい。かかる範囲内の量の潤滑剤を用いると、発泡セル内の摩擦や粘着を抑制しやすく、発泡倍率を高めやすく、潤滑剤の系外へのブリードアウトを抑制しやすく、所望する柔軟性の発泡体を得やすい。
難燃剤の好適な具体例としては、赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、及び金属水酸化物が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。難燃剤としては、赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも1つとが組み合わせて使用されるのが好ましい。
化学発泡剤(B)と、水(C)とが共存する環境下では発泡が進行しやすいため、発泡体用樹脂組成物は、2液又は3液以上の多液型液状組成物として使用される場合がある。混合による発泡体用樹脂組成物の調製が容易であることから、発泡体用樹脂組成物は2液型樹脂組成物であるのが好ましい。
多液型樹脂組成物は、基材樹脂(A)と、二炭酸エステル(B-1)とを含む第1液と、少なくともシラノール縮合触媒(D)を含む第2液とを含むのが好ましい。
また、第2液が水(C)を含むのも好ましい。シラノール縮合触媒(D)を第1液に含有させる場合、基材樹脂(A)間の架橋による硬化が進行する場合がある。しかし、シラノール縮合触媒(D)を、第1液と別の液に含有させることにより、発泡体の製造前の基材樹脂(A)の硬化を防ぐことができる。第2液がシラノール縮合触媒(D)を含む場合、当該シラノール縮合触媒(D)は中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒を含むのが好ましく、弱酸性のシラノール縮合触媒を含むがより好ましい。
また、多液型樹脂組成物において、シラノール縮合触媒(D)を含む第2液か、第1液及び第2液以外の液に、発泡助剤(E)、及び/又は発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)を含有させるのが好ましい。
≪発泡体の製造方法≫
発泡体の製造方法は、特に限定されない。前述の発泡体用樹脂組成物を用いる場合、発泡体の製造方法は、例えば、発泡体用樹脂組成物を型枠に充填した後に、型枠内で発泡、及び硬化を行うバッチ式であってもよく、連続的に移動する帯状の支持体上で、発泡体用樹脂組成物の発泡及び硬化を連続的に行う連続式であってもよい。支持体としては不織布を用いることができる。
また、上記の発泡体用樹脂組成物は、例えば、化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)を用いることによって、完全な液状であるか、顔料(例えば、カーボンブラック)等の不溶分を少量しか含まない低粘度の組成とすることができる。
発泡体用樹脂組成物が低粘度である場合、1液、2液以上の多液型の発泡体用樹脂組成物を施工面に対して吐出して、施工面上で衝突混合させることにより、施工面上に被膜状の発泡体を形成することが可能である。
発泡体は、典型的には、反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)と、二炭酸ジエステル(B-1)等の化学発泡剤(B)を含む第1液と、シラノール縮合触媒(D)とを混合して混合液を得る、混合工程を含む方法によって製造される。
当該方法では、混合液において、二炭酸ジエステル(B-1)等の化学発泡剤(B)の分解による発泡速度と、反応性ケイ素基間の反応による混合液の硬化反応の速度とが、所望する発泡倍率の発泡体が得られるように、それぞれ調整されるのが好ましい。
二炭酸ジエステル(B-1)等の化学発泡剤(B)の分解による発泡速度は、例えば、化学発泡剤(B)の種類及び使用量、混合液中の水(C)の含有量、発泡体を製造する環境の温度、並びに混合液中の発泡助剤(E)、及び/又は発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)の種類及び含有量等を適宜変更することにより調整することができる。
混合液の硬化反応の速度は、例えば、基材樹脂(A)が有する反応性ケイ素の種類、及び量、混合液中のシラノール縮合触媒(D)の種類及び含有量、混合液中の水(C)の含有量、並びに発泡体を製造する環境の温度等を適宜変更することにより調整することができる。
上記の製造方法における、化学発泡剤(B)の使用量、及びシラノール縮合触媒(D)の使用量は、組成物について前述の通りである。
上記の混合工程において、発泡助剤(E)、及び/又は発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)が、第1液に混合されるのが好ましい。発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)としては、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましい。
発泡体用樹脂組成物を硬化及び発泡させる温度は特に限定されない。発泡体用樹脂組成物を硬化及び発泡させる温度は、例えば、-10℃以上40℃以下が好ましく、0℃以上37℃以下がより好ましい。かかる温度条件であれば、発泡体を使用する現場での、発泡体用樹脂組成物を用いる発泡体の製造が容易である。
硬化及び発泡が完了する時間に特に制限はない。例えば、12分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。
このようにして製造された発泡体は、好ましくは乾燥された後に発泡体製品として、流通、販売される。
乾燥の温度及び時間の条件は、発泡体用樹脂組成物に由来するか、硬化反応により副生する水、アルコール等を所望する程度まで低減できればよく、特に制約はない。乾燥条件は、例えば約80℃雰囲気下で約1時間であればよい。また、乾燥の温度及び時間の条件は、例えば約60℃雰囲気下で約12時間であってもよい。
ただし、前述の通り、化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)のみを用い、水(C)の使用量を低めに設定する場合、乾燥を行うことなく製品とすることが可能である。
≪吸音材≫
吸音材は、前述の発泡体を備える。吸音材は、発泡体のみからなってもよく、発泡体と発泡体以外の部材とから構成されていてもよい。例えば、金属板、木製の板、プラスチックシート、段ボール紙、厚紙等の支持体に発泡体が固定された複合体を吸音材として用いることができる。
≪吸音材の用途≫
上記の吸音材は、前述の発泡体を備えるため良好な吸音特性を示す。このため、上記の吸音材を、従来より種々の吸音材が適用されている種々の物品の製造に好適に用いることができる。
前述の通り、上記の吸音材は、日常生活における騒音を良好に吸収できる。このため、前述の吸音材を備える建築物、及び前述の吸音材を備える車両は、吸音材を備える物品として好ましい。
また、吸音材は、空気入りタイヤ用の吸音材として使用されるのも好ましい。自動車における騒音は、主にタイヤパターンノイズといわれる800Hz以下の騒音である。
実施例、及び図面により詳細に後述するように、前述の吸音材は、800Hz以下の周波数領域において、ポリウレタンフォームのような周知の発泡体よりも良好な吸音特性を示す。
空気入りタイヤへの前述の吸音材の取り付け方法は特に限定されない。吸音材は、例えば、空気入りタイヤの内腔内に、タイヤ周方向に伸びる帯状の部材として設けられるのが好ましい。かかる帯状の部材の形状は、円弧状であってもよく、環状であってもよく、環状が好ましい。
かかる帯状の部材は、空気入りタイヤの内面から離れた位置に配置されても、空気入りタイヤの内面に接して配置されてもよく、空気入りタイヤの内面に接して配置されるのが好ましい。また、吸音材からなる帯状の部材は、接着剤や、ビス等の固定具を用いて、空気入りタイヤの内面に接して固定されるのが好ましい。
上記の帯状の部材のサイズは、帯状の部材の体積が、空気入りタイヤの内腔の容積の0.1%以上30%以上であるサイズが好ましく、0.5%以上20%以下であるサイズがより好ましい。
帯状の部材の、タイヤ周方向における接線方向に対して垂直な断面の形状は特に限定されない。かかる断面の形状の好ましい例としては、正方形、長方形、三角形(好ましくは二等辺三角形)、台形、及び半円形や、これらの形状に概略近似する形状が挙げられる。
また、かかる断面の形状は、空気入りタイヤの内面側が平滑であり、空気入りタイヤの内面側の面と反対の面(空気入りタイヤの回転中心側の面)の側に1以上の突出部(好ましくは2又は3の突出部)を有する形状が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、特に断りがない場合、実施例及び比較例での「部」及び「%」は、「重量部」及び「重量%」を示す。
[合成例1]
<ポリマーA>
分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が16,400(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)のヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこのヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンのヒドロキシ基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.5倍当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端のヒドロキシ基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン重合体100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmを加え撹拌しながら、トリエトキシシラン3.3重量部をゆっくりと滴下し、90℃で2時間反応させた。さらにメタノール30重量部、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換した後、過剰のメタノールを除去することにより、末端にトリメトキシシリル基を1分子中に2.1個有する分岐状の反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンを得た。
[調製例1]
<ポリマーB>
ポリマーA60重量部と、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体40重量部と、共重合体の溶媒であるイソブチルアルコール27重量部とを、ロータリーエバポレーターを用いて脱気及び均一混合して、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンとアクリル樹脂とのブレンドである固形分100%のポリマーBを得た。
上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/2EHA/SMA/TSMA/A189Zとして、65/24/1/10/8である。また、上記共重合体のガラス転移温度は43℃である。上記重合体の数平均分子量は、2,200(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
[調製例2]
<ポリマーC>
ポリマーA60重量部と、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、メタクリル酸tert-ブチル(tBMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体40重量部と、共重合体の溶媒であるイソブチルアルコール27重量部とを、ロータリーエバポレーターを用いて脱気及び均一混合して、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンとアクリル樹脂とのブレンドである固形分100%のポリマーCを得た。
上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/BA/2EHA/SMA/TSMA/tBMA/A189Zとして、64/0.3/0.3/10/10/15/7.2である。また、上記共重合体のガラス転移温度は70℃である。上記重合体の素平均分子量は、2,300(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
[調製例3]
<ポリマーD>
ポリマーA60重量部と、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、イソボロニルメタクリレート(iBOMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体40重量部と、共重合体の溶媒であるイソブチルアルコール27重量部とを、ロータリーエバポレーターを用いて脱気及び均一混合して、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンとアクリル樹脂とのブレンドである固形分100%のポリマーDを得た。
上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/BA/2EHA/SMA/TSMA/iBoMA/A189Zとして、20/0.3/0.3/10/10/60/1.8である。また、上記共重合体のガラス転移温度は100℃である。上記重合体の素平均分子量は、5,300(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
[実施例1]
基材樹脂(A)[ポリマーA]80重量部、基材樹脂(A)[ポリマーB]20重量部、二炭酸ジエステル(B-1)[富士フイルム和光純薬(株)製、二炭酸ジエチル]10重量部、及び水(C)4重量部を添加し、十分に混合して第1液を作製した。
この第1液114重量部に、整泡剤[エボニックジャパン(株)製、テゴスターブBF2470]2重量部、シラノール縮合触媒(D)[日東化成(株)製、ネオスタンU200(ジブチル錫ジアセテート)]6重量部、及びシラノール縮合触媒(D)[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]4重量部を添加し、室温(23℃雰囲気)下で、容積の目盛がついた樹脂製のカップ内で合計10ccとなるよう調合し、幅10mmスパチュラで10秒間手撹拌し、発泡させた。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率と、発泡体の密度とを表1に記す。
また、得られた発泡体の0℃でのASKER FP硬度を測定した。FP硬度を表1に記す。
[実施例2]
基材樹脂(A)[ポリマーA]80重量部、基材樹脂(A)[ポリマーC]20重量部、二炭酸ジエステル(B-1)[富士フイルム和光純薬(株)製、二炭酸ジエチル]10重量部、及び水(C)2重量部を添加し、十分に混合して第1液を作製した。
この第1液112重量部に、整泡剤[エボニックジャパン(株)製、テゴスターブBF2470]2重量部、シラノール縮合触媒(D)[日東化成(株)製、ネオスタンU200(ジブチル錫ジアセテート)]6重量部、及びシラノール縮合触媒(D)[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]1.2重量部を添加し、室温(23℃雰囲気)下で、容積の目盛がついた樹脂製のカップ内で合計10ccとなるよう調合し、幅10mmスパチュラで10秒間手撹拌し、発泡させた。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率と、発泡体の密度とを表1に記す。
また、得られた発泡体の0℃でのASKER FP硬度を測定した。FP硬度を表1に記す。
[実施例3]
基材樹脂(A)[ポリマーA]40重量部、基材樹脂(A)[ポリマーD]60重量部、二炭酸ジエステル(B-1)[富士フイルム和光純薬(株)製、二炭酸ジエチル]13重量部、及び水(C)4重量部を添加し、十分に混合して第1液を作製した。
この第1液117重量部に、整泡剤[エボニックジャパン(株)製、テゴスターブBF2470]0.3重量部、シラノール縮合触媒(D)[日東化成(株)製、ネオスタンU200(ジブチル錫ジアセテート)]4重量部、及びシラノール縮合触媒(D)[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]1.2重量部を添加し、室温(23℃雰囲気)下で、容積の目盛がついた樹脂製のカップ内で合計10ccとなるよう調合し、幅10mmスパチュラで10秒間手撹拌し、発泡させた。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率と、発泡体の密度とを表1に記す。
また、得られた発泡体の0℃でのASKER FP硬度を測定した。FP硬度を表1に記す。
[比較例1]
ポリウレタンフォーム(ソノーライズ(株)製、ウレタンスポンジ吸音材ZS)を、比較例1の発泡体として用いた。
<吸音率測定>
吸音率測定用の実施例2の発泡体を以下の方法に従い作製した。
まず、[ポリマーA]80重量部、[ポリマーC]20重量部、発泡剤(B-1)[富士フイルム和光純薬工業(株)製、二炭酸ジエチル]10重量部、及び水(C)2重量部を添加し、十分に混合してA液を作製した。このA液とB液成分である整泡剤[エボニック・デグサ・ジャパン(株)製、TEGOSTAB BF2470]2重量部、発泡助剤[エボニック・デグサ・ジャパン(株)製、DABCO NE1070]1.2重量部、及びSn触媒(D)[ジブチル錫ジアセテート(日東化成(株)製、NEOSTANN U-200)]6重量部とを添加し、十分に混合して発泡体を作製した。発泡体成形は、東京理化器械(株)製撹拌機マゼラZZ-2221を用いて、以下の条件で撹拌を行うことにより作製した。
撹拌回転数:610rpm
撹拌翼:ディスクエッジを交互に上下に幅10mm×曲げ長さ5mmで折り曲げた直径4cm円形ディスパー
混合量:120g
混合時間:10秒間
撹拌直後に20cm×20cm×5cmのポリエチレンタッパーに液状の組成物を流し込み、上蓋をした状態で発泡させ、12時間放置した。作業条件は23℃条件であった。(発泡成形工程)。得られた発泡硬化物を、ポリエチレンタッパーから離型して23℃雰囲気下で1週間放置した後に軟質樹脂発泡体を得た(乾燥工程)。得られた軟質樹脂発泡体のスキン層をカットして25mm又は20mmの厚みとし、B管サンプルは直径29mmに打ち抜き、吸音率測定サンプルを得た(スキン層カット工程)。
吸音率測定用の実施例3の発泡体を以下の方法に従い作製した。
まず、[ポリマーA]40重量部、[ポリマーD]60重量部、発泡剤(B-1)[和光純薬工業(株)製 二炭酸ジエチル]13重量部、及び水(C)4重量部を添加し、十分に混合してA液を作製した。このA液とB液成分である整泡剤[エボニック・デグサ・ジャパン(株)製、TEGOSTAB BF2470]0.3重量部、発泡助剤[エボニック・デグサ・ジャパン(株)製、DABCO NE1070]1.2重量部、及びSn触媒(D)[ジブチル錫ジアセテート(日東化成(株)製、NEOSTANN U-200)]4重量部とを添加し、十分に混合して発泡体を作製した。発泡体成形は、東京理化器械(株)製撹拌機マゼラZZ-2221を用いて、以下の条件で撹拌を行うことにより作製した。
撹拌回転数:610rpm
撹拌翼:ディスクエッジを交互に上下に幅10mm×曲げ長さ5mmで折り曲げた直径4cm円形ディスパー
混合量:80g
混合時間:10秒間
撹拌直後に20cm×20cm×5cmのポリエチレンタッパーに液状の組成物を流し込み、上蓋をした状態で発泡させ、12時間放置した。作業条件は23℃条件であった。(発泡成形工程)。得られた発泡硬化物を、ポリエチレンタッパーから離型して23℃雰囲気下で1週間放置した後に軟質樹脂発泡体を得た(乾燥工程)。得られた軟質樹脂発泡体のスキン層をカットして20mmの厚みとし、B管サンプルは直径29mmに打ち抜き、吸音率測定サンプルを得た(スキン層カット工程)。
比較例1の発泡体としては、ソノーライズ社製、ウレタンスポンジ吸音材ZSの厚み25mmを直径29mmに打ち抜き、B管の吸音率測定サンプルを得た。
作製された試験片を用いて、JISA-1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて、500Hz~6400Hzの周波数範囲における発泡体の吸音率を測定した。なお、試験片はスキン層をすべてカットした状態である。
吸音率の測定結果を、図1に示す。
<水ゲル分率測定>
実施例1~3の発泡体の試験片を、室温(23℃雰囲気)下で3日間水に浸漬させた後、100℃12時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量の、水浸漬前の試験片の重量に対する比率(%)を、水ゲル分率(%)とした。なお、約10gの発泡体の試験片を225mL瓶の水に浸漬した。
Figure 0007412891000010
*1:シラノール縮合触媒(D)のうち、DABCOは、発泡助剤(E)として作用する。
表1及び図1によれば、ポリオキシアルキレン系重合体(A1)を含む反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を、発泡及び硬化させることにより、所定の方法で測定された吸音率が周波数1000Hz~5500Hzの広い範囲において70%以上である発泡体を製造し得ることが分かる。
他方、公知のポリウレタンフォームである比較例1の発泡体の吸音率は、図1に示されるグラフにおける全周波数範囲において、実施例の発泡体の吸音率よりも低く、800Hz~2500Hzの範囲で特に低い。
また、実施例1~3によれば、化学発泡剤(B)として、二炭酸ジエステル(B-1)を用いる場合、水ゲル分率が高く、発泡体の耐水性が良好であることが分かる。
また、実施例2の発泡体と、実施例3の発泡体とについて、それぞれ厚さ20mmであり、スキン層がカットされた試験片を作製した。作製された試験片を用いて、JISA-1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて、500Hz~6400Hzの周波数範囲における発泡体の吸音率を測定した。吸音率の測定結果を図2に示す。
図2によれば、実施例2の発泡体と、実施例3の発泡体とで、吸音率に大きな差がないとこと分かる。
また、実施例1~3では、発泡体の製造に用いる材料として、金属塩及び無機微粒子を使用していない。実際、実施例1~3で得られた発泡体について、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)によりアルカリ金属含有量、特にナトリウム含有量を確認したが、アルカリ金属の含有量は0.005質量%未満の極少量であった。
このように、金属塩及び無機粒子の発泡体中の含有量が少ないことは、発泡体の高い吸音性、特に、周波数1000Hz以下や800Hz以下での高い吸音性に寄与していると考えられる。
なお、発明者が試験したところ、発泡体における金属塩や無機微粒子の含有量の増加にともない、周波数1000Hz以下や800Hz以下での吸音性がわずかに低下する傾向が確認された。
〔スキン層の吸音率への影響の検討〕
実施例3の発泡体と、比較例2の発泡体(サンゴバン社製ポリウレタン発泡体、AGP200、密度30kg/m)について、それぞれ厚さ20mmであり、スキン層がカットされた試験片とスキン層を有する試験片とを作製した。作製された試験片を用いて、JISA-1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて、500Hz~6400Hzの周波数範囲における発泡体の吸音率を測定した。
その結果、実施例3の発泡体については、スキン層を有する試験片と、スキン層がカットされた試験片とで、各周波数毎の吸音率はほとんど変わらなかった。
他方、比較例2の発泡体は、スキン層を有する試験片の吸音率が、1000~3000Hzの周波数の範囲において、スキン層がカットされた試験片の吸音率よりも大きく劣っていた。
つまり、実施例3の発泡体は、スキン層の有無の吸音特性への影響が小さい。例えば、建築現場や、種々の製品の製造現場で、発泡体用樹脂組成物を用いて発泡体を施工する場合、スキン層のカットを行いにくい場合がある。しかしながら、実施例の発泡体については、スキン層の有無の吸音特性への影響が小さいため、建築現場や、種々の製品の製造現場で発泡体を施工しても、十分に発泡体の吸音特性を発揮させることができる。

Claims (11)

  1. ポリオキシアルキレン系重合体(A1)を含む反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を、発泡及び硬化させてなる発泡体であって、
    厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される、周波数1000Hz~5500Hzにおける全ての周波数において吸音率が70%以上であり、且つ周波数800Hzにおける吸音率が40%以上であって、
    前記基材樹脂(A)が、ガラス転移温度が100℃以上であるアクリル樹脂(A2)を含む、発泡体。
  2. 厚さ25mmの試料を用いて、JIS A 1405-2に準拠して、20℃においてB管を用いて測定される吸音率について、周波数1000Hz~1700Hzの範囲に極大を示す、請求項1に記載の発泡体。
  3. 前記基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含有する発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させてなる発泡体であり、
    前記発泡体中の、金属塩及び/又は無機粒子の含有量が前記発泡体の重量に対して2.5重量%以下である、請求項1又は2に記載の発泡体。
  4. 前記化学発泡剤(B)が、非熱分解型である、請求項に記載の発泡体。
  5. 前記化学発泡剤(B)が、二炭酸ジエステル(B-1)を含む、請求項又はに記載の発泡体。
  6. 前記反応性ケイ素基が、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(3):
    Figure 0007412891000011
    Figure 0007412891000012
    Figure 0007412891000013
    (式(1)~式(3)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基であり、Rとしての前記炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよく、Xはヒドロキシ基又は加水分解性基であり、aは1、2、又は3であり、Rは2価の連結基であり、前記Rが有する2つの結合手は、それぞれ、前記連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に結合しており、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又はシリル基のいずれかである。)
    で表される基、及び下記式(4):
    -R-CH-Si(R3-a(X) (4)
    (式(4)中、R、及びaは、式(1)~式(3)におけるR、及びaと同様であり、Rはヘテロ原子である。)
    で表される基からなる群から選択される基である、請求項1~のいずれか1項に記載の発泡体。
  7. 発泡倍率が15~60倍である、請求項1~のいずれか1項に記載の発泡体。
  8. 0℃でのFP硬度が60以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の発泡体。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の発泡体を備える吸音材。
  10. 請求項に記載の吸音材を備える、建築物。
  11. 請求項に記載の吸音材を備える、車両。
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