JP2024032476A - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、かつ安定的に製造する方法を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、(A)揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを、混合して混合物Xを得る工程および(B)前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合した混合物Yを、脱気する工程を含み、前記工程(A)において、前記混合物X中の前記揮発性溶媒は23重量%以上であり、前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は、70℃以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法、および当該製造方法により製造された樹脂組成物に関する。本発明はまた、発泡体の製造方法に関する。
従来、熱硬化性樹脂を用いた発泡体として、変性シリコーン樹脂を用いた発泡体が知られている。
例えば、特許文献1には、溶媒としてイソブチルアルコールと、アクリル系樹脂である共重合体と、加水分解性基を有するケイ素基を有するポリオキシプロピレンとを脱気および混合して、混合物を得る工程を含む発泡体用樹脂組成物が開示されている。
特開2022-54103号公報
しかしながら、前記発泡体用樹脂組成物は、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む場合、発泡体とした際にブツが生じやすくなる傾向があるため、製造効率の観点から改善の余地があった。
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、かつ安定的に製造することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、樹脂組成物の製造において、特定量の揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を含有する液状重合体とを、混合する工程を含むことにより、前記アクリル系樹脂のガラス転移温度が高い場合でも、前記樹脂組成物を短時間かつ安定的に製造できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の一態様は、(A)揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合して混合物Xを得る工程;および(B)前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合し、得られた混合物Yを脱気する工程を含む、樹脂組成物の製造方法であり、前記工程(A)において、前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計量を100重量%としたときに、前記揮発性溶媒の含有量は、23重量%以上であり、前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は、70℃以上である樹脂組成物の製造方法である。
本発明の一態様によれば、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、かつ安定的に製造する方法を提供することができる。
〔1.本発明の概要〕
上述した通り、本発明者らは、変性シリコーン樹脂を含む樹脂組成物について検討した。その結果、従来の発泡体用樹脂組成物は、耐シュリンク性を向上させるためにガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を配合すると、発泡体の表面にブツが生じやすくなるという課題を見出した。また、本発明者らは、前記発泡体表面のブツを抑制するためには、高温かつ長時間の混合を実施する必要があるという課題も見出した。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂組成物の製造において、特定量の揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を含有する液状重合体とを、混合する工程を含むことにより、前記樹脂組成物を短時間で、かつ安定的に製造できることを見出した。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法によれば、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、かつ安定的に製造できるため、発泡体を利用する種々の分野において、有利である。
〔2.樹脂組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法(以下、本製造方法とも称する。)は:
(A)揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合して混合物Xを得る工程;および
(B)前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合し、得られた混合物Yを脱気する工程
を含み、前記工程(A)において、前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計量を100重量%としたときに、前記揮発性溶媒の含有量は、23重量%以上であり、
前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は、70℃以上である。
本製造方法が上述した構成を有することにより、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、かつ安定的に製造できる。
本明細書において「短時間で、かつ安定的に製造できる」とは、樹脂組成物の製造工程の混合物Xを得る工程において、70℃以下の温度で、45分間以下の時間混合した際に、当該樹脂組成物から製造される発泡体のブツの発生を抑制できる(ブツの発生が解消する)ことを意味する。なお、樹脂組成物から製造される発泡体のブツの発生は、前記樹脂組成物の製造工程において当該樹脂組成物のブツの発生を測定することにより、評価できる。また、樹脂組成物のブツの発生の有無については、実施例に記載の方法により確認できる。
<工程(A)>
本製造方法において、工程(A)は揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを、混合して混合物Xを得る工程である。本製造方法が工程(A)を含むことにより、樹脂組成物のブツの発生を抑えることができる。
(アクリル系樹脂)
前記工程(A)において、揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂が使用される。樹脂組成物がアクリル系樹脂を含むことにより、樹脂組成物を発泡体とした場合に耐シュリンク性が向上する。これは、ガラス転移温度が室温以上のアクリル系樹脂が架橋構造に組み込まれることによる急激な粘度上昇の効果である。
本製造方法において使用されるアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が70℃以上であり、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。アクリル系樹脂のガラス転移温度が前記範囲であれば、樹脂組成物を発泡体とした場合に耐シュリンク性が向上する。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、取り扱い性の観点から、例えば、180℃以下が好ましい。
前記アクリル系樹脂の分子量は、生物濃縮性の点から、数平均分子量Mnとして1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上が特に好ましい。数平均分子量Mnの上限値には特に限定は無いが、20000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、8000以下がさらに好ましい。
前記アクリル系樹脂は、工程(A)において、揮発性溶媒に溶解している。揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂の固形分濃度は、20~80重量%が好ましく、30~70重量%がより好ましく、40~60重量%がさらに好ましい。アクリル系樹脂の固形分濃度が上記範囲内であれば、揮発性溶媒によりアクリル系樹脂の粘度が低下するため、取り扱い性が向上する。
前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計を100重量%としたとき、アクリル系樹脂の含有量は、33~58重量%が好ましく、35~55重量%がより好ましく、37~53重量%がさらに好ましい。
前記アクリル系樹脂としては例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体を、単独、または複数組み合わせてラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、3-((メタ)アクリロイルオキシ)-n-プロピルトリメトキシシラン、3-((メタ)アクリロイルオキシ)-n-プロピルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、イソボロニルメタクリレート、および(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸系単量体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、これらに限定されない。
前記(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とともに、ビニル系単量体を共重合することもできる。
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸、およびスチレンスルホン酸塩等のスチレン系単量体;ビニルトリメトキシシラン、およびビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、マレイン酸、並びにマレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル等のマレイン酸またはマレイン酸誘導体;フマル酸、並びにフマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル等のフマル酸またはフマル酸誘導体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、およびシクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;アクリルアミド、およびメタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、および桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、およびプロピレン等のアルケン類;ブタジエン、およびイソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で重合させてもよく、複数を共重合させてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体としては、物性等の点から(メタ)アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体との共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体がより好ましく、アクリル酸エステル系単量体の(共)重合体がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製造方法は、特に限定されない。(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、公知の方法により製造することができる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2より大きく、粘度が高くなりやすい。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を得るためには、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物、およびハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤として用い、遷移金属錯体を触媒として用いて(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、前記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤および触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法としてさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法は、例えば、Matyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁等に記載されている。
前記アクリル系樹脂は、反応性ケイ素基を有していてもよい。反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製造方法としては、例えば、特公平3-14068号公報、特公平4-55444号公報、および特開平6-211922号公報等に、連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法を用いた製法が開示されている。また、特開平9-272714号公報等に、原子移動ラジカル重合法を用いた製法が開示されている。反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の製造方法は、これらの方法に限定されない。前記の反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、単独で使用されてもよく、2種以上を併用されてもよい。
本願明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を表す。「(共)重合体」とは「重合体および/または共重合体」を表す。
前記アクリル系樹脂は上述した方法により合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
(揮発性溶媒)
前記工程(A)において、アクリル系樹脂は揮発性溶媒に溶解されている。アクリル系樹脂が揮発性溶媒に溶解されていることにより、アクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体が混合されやすくなる。
前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計を100重量%としたとき、揮発性溶媒の含有量は23重量%以上であり、23~39重量%が好ましく、24~38重量%がより好ましく、25~35重量%がさらに好ましい。揮発性溶媒の含有量が上記範囲であれば、短時間で安定的に樹脂組成物を製造することができる。
前記揮発性溶媒としては、減圧脱気により樹脂組成物の除去が可能な観点から、沸点が200℃以下の溶媒であることが好ましい。そのような揮発性溶媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブチルアルコール等のアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル等のエステル類等が挙げられる。また、これらの揮発性溶媒は1種類のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(反応性ケイ素基を有する液状重合体)
前記反応性ケイ素基を有する液状重合体(以下、ケイ素基含有液状重合体とも称する。)は、分子鎖中に反応性ケイ素基を少なくとも1個有することが好ましい。ケイ素基含有液状重合体が反応性ケイ素基を有することにより、反応性ケイ素基によるシラノール縮合反応が生じて、樹脂組成物が高分子状態となり硬化する。ケイ素基含有液状重合体は、ガラス転移温度が室温以下の液体である。
前記混合物X中のアクリル系樹脂と、ケイ素基含有液状重合体と、揮発性溶媒との合計を100重量%としたとき、ケイ素基含有液状重合体の含有量は5~45重量%が好ましく、8~40重量%がより好ましく、10~38重量%がより好ましい。ケイ素基含有液状重合体の含有量が上記範囲であれば、短時間で安定的に樹脂組成物を製造することができる。
ケイ素基含有液状重合体に含まれる反応性ケイ素基の数は、1分子中に1.0個以上3.0個以下が好ましく、1.1個以上2.5個以下がより好ましく、1.2個以上2.0個以下がさらに好ましい。ケイ素基含有液状重合体は、硬化性、柔軟性の観点から、主鎖もしくは分岐部の分岐鎖の両末端に反応性ケイ素基を有することが好ましい。
また、ケイ素基含有液状重合体は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有してもよいし、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有してもよい。分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体は、1分子中に平均して、好ましくは1.0個以下、より好ましくは0.3個以上1.0個以下、さらに好ましくは0.4個以上1.0個以下、特に好ましくは0.5個以上1.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
ケイ素基含有液状重合体は、アクリル系樹脂を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、ケイ素基含有液状重合体に含まれるアクリル系樹脂は、上述の「(アクリル系樹脂)」の欄に記載される樹脂のうち、ガラス転移温度が室温(23℃)以下のものであり得る。そのようなアクリル系樹脂であると、脱気後の混合物Yは液状となり易い。以下に、ケイ素基含有液状重合体の一実施形態について、具体的に説明する。
(反応性ケイ素基)
ケイ素基含有液状重合体に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、下記式(1a)で示されるものが挙げられる。
-Si(R1a3-a(X)・・・(1a)
(R1aはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基、または、-OSi(R’)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1以上20以下の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1aとしての炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよい。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。さらに、aは1以上3以下の整数である。)
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、および、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基およびヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1個以上3個以下の範囲で結合することができる。加水分解性基やヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
前記式(1a)におけるaは、2または3が好ましく、硬化性の点と、硬化と発泡とが同時に進行する点とから、3が好ましい。
また前記式(1a)におけるR1aの具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基、フェニル基等である-OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基、およびメトキシメチル基が特に好ましい。
前記式(1a)で表される反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基がより好ましい。
ケイ素基含有液状重合体の主鎖構造としては、直鎖状であっても、分岐構造を有していても構わないが、分岐であるほうが硬化性の観点から好ましい。ケイ素基含有液状重合体の主鎖構造が分岐構造である場合、ケイ素基含有液状重合体は3つ以上の末端を有するのが好ましい。つまり、ケイ素基含有液状重合体が、主鎖構造において分岐を有し、且つ3つ以上の末端を有する樹脂を含むのが好ましい。
ケイ素基含有液状重合体の分子量は、粘度および反応性のバランスの点から、数平均分子量Mnとして1500以上が好ましく、3000以上がより好ましい。数平均分子量Mnの上限値には特に限定は無いが、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。また、ケイ素基含有液状重合体は、2種類以上の組み合わせでもよい。また、その際、主剤として用いる重合体以外の重合体は、粘度および架橋構造の調整を目的とする場合は、前記条件以外のものでもよい。
ケイ素基含有液状重合体の末端における反応性ケイ素基は、ヒドロキシ基末端のオキシアルキレンをイソシアネートシラン化合物で末端変性することにより導入することができる。別の方法としてはヒドロキシ基末端にアリル基等の炭素-炭素不飽和結合を有する基を導入した後に、アルコキシシランによるヒドロシリル化を行うことにより、ケイ素基含有液状重合体の末端に反応性ケイ素基を導入することもできる。さらに、ポリイソシアネート変性品の末端をイソシアネート基とした場合は、活性水素を有するアミノシラン等で末端変性することで、ケイ素基含有液状重合体の末端に反応性ケイ素基を導入することができる。
以上説明した、ケイ素基含有液状重合体における反応性ケイ素基、または反応性ケイ素基を含む末端基としては、発泡体の発泡倍率を高くしやすいことから、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(4)で表される基であることが好ましい。
(式(1)~式(3)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基であり、Rとしての炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよく、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、aは1、2、または3であり、Rは2価の連結基であり、Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合しており、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、またはシリル基のいずれかである。)
-R-CH-Si(R3-a(X)・・・(4)
(式(4)中、R、およびaは、式(1)~式(3)におけるR、およびaと同様であり、Rはヘテロ原子である。)
式(1)~(3)で表される構造では、前記のように、-Si(R3-a(X)で表される反応性ケイ素基に、炭素-炭素二重結合が隣接している。このため、式(1)~(3)で表される構造においては、炭素-炭素二重結合が電子吸引基として作用し、反応性ケイ素基の活性が向上する。その結果、式(1)~(3)で表される末端基を有する基材樹脂(A)および、当該基材樹脂(A)を含む発泡体用樹脂組成物は、硬化反応性に優れると考えられる。
は2価の連結基である。Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合している。2価の連結基の具体的としては、-(CH)n-、-O-(CH)n-、-S-(CH)n-、-N-(CH)n-、-O-C(=O)-N-(CH)n-、および-N-C(=O)-N-(CH)n-等が挙げられる。これらの中では、-O-(CH)n-、-O-C(=O)-N-(CH)n-および-N-C(=O)-N-(CH)n-が好ましく、-O-(CH2)-がより好ましく、-O-CH-が、原料を入手しやすいためさらに好ましい。nとしては、0以上10以下の整数が好ましく、0以上5以下の整数がより好ましく、0以上2以下の整数がさらに好ましく、0または1が特に好ましく、1が最も好ましい。
およびRは、それぞれ独立に水素、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、およびシリル基のいずれかである。具体的には、水素;メチル基、エチル基、およびシクロヘキシル等のアルキル基;フェニル基、およびトリル基等のアリール基;ベンジル基、およびフェネチル基等のアラルキル基;トリメチルシリル基等のシリル基、が挙げられる。これらの中では、水素、メチル基、およびトリメチルシリル基が好ましく、水素、およびメチル基がより好ましく、水素がさらに好ましい。前記式(1)~(3)で表される構造としては、それぞれ、下記式(5)~(7)が挙げられる。
、X、およびaは前記の記載と同様である。
式(1)~式(4)において、Rとしての炭化水素基は、式(1a)におけるR1aとしての炭化水素基と同様である。
としての炭化水素基としては、例えば、メチル基、およびエチル基等のアルキル基;クロロメチル基、およびメトキシメチル基等のヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;等を挙げることができる。Rとしては、メチル基、メトキシメチル基、およびクロロメチル基が好ましく、メチル基、およびメトキシメチル基がより好ましく、メトキシメチル基がさらに好ましい。
式(1)~式(4)におけるXとしては、式(1a)について上述した通りである。
式(4)におけるRとしてのヘテロ原子としては、本発明の目的と阻害しない限り特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、O、NおよびSが挙げられる。
以下、ケイ素基含有液状重合体の主鎖構造について説明する。
(主鎖構造)
ケイ素基含有液状重合体の主鎖構造は、上述した通り、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
ケイ素基含有液状重合体の主鎖骨格を構成する重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体、炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ビニル系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、グラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ウレタン結合および/またはウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)、ジアリルフタレート系重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、およびポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体等が挙げられる。
炭化水素系重合体としては、例えば、エチレン-プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンまたはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンまたはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンとの共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリエステル系重合体としては、例えば、アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合反応で得られる重合体、およびラクトン類の開環重合で得られる重合体等のエステル結合を有する重合体が挙げられる。
ビニル系(共)重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレン等のビニル系単量体を、単独、または複数組み合わせてラジカル重合して得られる(共)重合体が挙げられる。
グラフト重合体としては、例えば、前記の各種重合体中で、ビニル系単量体を重合して得られる重合体が挙げられる。
ポリアミド系重合体としては、例えば、ε-カプロラクタムの開環重合で得られるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合で得られるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との縮重合で得られるナイロン6・10、ε-アミノウンデカン酸の縮重合で得られるナイロン11、ε-アミノラウロラクタムの開環重合で得られるナイロン12、および前記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等が挙げられる。
ポリカーボネート系重合体としては、例えば、ビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造される重合体等が挙げられる。
ウレタン結合および/またはウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)としては、例えば、ポリオールと過剰量のポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる分子末端にイソシアネート基を有する液状高分子化合物等が挙げられる。
ケイ素基含有液状重合体の主鎖骨格を構成する重合体の中で、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、および水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、は、比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。
ケイ素基含有液状重合体の主鎖への反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。例えば以下の方法があげられる。
方法I:ヒドロキシ基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する化合物を反応させ、不飽和基を有する有機重合体を得る。次いで、得られた不飽和基を有する有機重合体に、ヒドロシリル化によって、反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物を反応させる。
方法Iにおいて使用し得る反応性を示す活性基および不飽和基を有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等の不飽和基含有エポキシ化合物、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、およびヨウ化メタリル等の炭素-炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、炭素-炭素三重結合を有する化合物としては、塩化プロパルギル、1-クロロ-2-ブチン、4-クロロ-1-ブチン、1-クロロ-2-オクチン、1-クロロ-2-ペンチン、1,4-ジクロロ-2-ブチン、5-クロロ-1-ペンチン、6-クロロ-1-ヘキシン、臭化プロパルギル、1-ブロモ-2-ブチン、4-ブロモ-1-ブチン、1-ブロモ-2-オクチン、1-ブロモ-2-ペンチン、1,4-ジブロモ-2-ブチン、5-ブロモ-1-ペンチン、6-ブロモ-1-ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1-ヨード-2-ブチン、4-ヨード-1-ブチン、1-ヨード-2-オクチン、1-ヨード-2-ペンチン、1,4-ジヨード-2-ブチン、5-ヨード-1-ペンチン、および6-ヨード-1-ヘキシン等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、およびヨウ化プロパルギルがより好ましい。
炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と同時に、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、およびヨウ化メタリル等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素以外の不飽和結合を有する炭化水素化合物を使用してもよい。
方法Iにおいて使用し得るヒドロシラン化合物としては、例えば、ハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類、アシロキシシラン類、およびケトキシメートシラン類等が挙げられる。ヒドロシラン化合物は、これらに限定されない。
ハロゲン化シラン類としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、およびフェニルジクロロシラン等が挙げられる。
アルコキシシラン類としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、および1-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
アシロキシシラン類としては、例えば、メチルジアセトキシシラン、およびフェニルジアセトキシシラン等が挙げられる。
ケトキシメートシラン類としては、例えば、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、およびビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン等が挙げられる。
これらの中では、ハロゲン化シラン類、およびアルコキシシラン類が特に好ましい。アルコキシシラン類は、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいために最も好ましい。
アルコキシシラン類の中では、入手しやすい点、硬化性、および貯蔵安定性に優れる発泡体用樹脂組成物を得やすい点、発泡体用樹脂組成物を用いて引張強度に優れる発泡体を製造しやすい点等からジメトキシメチルシランが好ましい。また、硬化性に優れる発泡体用樹脂組成物を得やすい点から、トリメトキシシラン、およびトリエトキシシランも好ましい。
方法II:メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を、ラジカル開始剤および/またはラジカル発生源存在下でのラジカル付加反応によって、方法Iと同様にして得られた不飽和基を有する有機重合体の不飽和基部位に導入する方法。
方法IIにおいて使用し得るメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、3-メルカプト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプト-n-プロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、およびメルカプトメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。メルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物は、これらに限定されない。
方法III:分子中にヒドロキシ基、エポキシ基、およびイソシアネート基等の官能基を有する有機重合体に、これらの官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法。
方法IIIにおいて採用し得る、ヒドロキシ基を有する有機重合体と、イソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、特開平3-47825号公報に示される方法等が挙げられる。
方法IIIにおいて使用し得る、イソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物としては、例えば、3-イソシアナト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン、およびイソシアナトメチルジエトキシメチルシラン等があげられる。イソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物はこれらに限定されない。
トリメトキシシラン等の1つのケイ素原子に3個の加水分解性基が結合しているシラン化合物は不均化反応が進行する場合がある。不均化反応が進むと、ジメトキシシランのような不安定な化合物が生じ、取り扱いが困難となることがある。しかし、3-メルカプト-n-プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナト-n-プロピルトリメトキシシランでは、このような不均化反応は進行しない。このため、ケイ素含有基としてトリメトキシシリル基等の3個の加水分解性基が1つのケイ素原子に結合している基を用いる場合には、方法IIまたは方法IIIの方法を用いることが好ましい。
一方、下記式(2a)で表されるシラン化合物は不均化反応が進まない。
H-(SiR2a O)SiR2a -R3a-SiX・・・(2a)
ここで、式(2a)において、Xは式(1a)と同じである。2m+2個のR2aはそれぞれ独立に式(1a)のR1aと同じである。R3aは、炭素原子数1以上20以下の置換または非置換の2価の炭化水素基を示す。mは0以上19以下の整数を示す。
このため、方法Iで、3個の加水分解性基が1つのケイ素原子に結合している基を導入する場合には、式(2a)で表されるシラン化合物を用いることが好ましい。入手性およびコストの点から、2m+2個のR2aとしては、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1以上8以下の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下の炭化水素基がさらに好ましい。R3aとしては、炭素原子数1以上12以下の2価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2以上8以下の2価の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数2の2価の炭化水素基がさらに好ましい。mは1が最も好ましい。
式(2a)で示されるシラン化合物としては、例えば、1-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1-[2-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、および1-[2-(トリメトキシシリル)ヘキシル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
前記の方法Iまたは方法IIIにおいて、末端にヒドロキシ基を有する有機重合体と、イソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法は、比較的短い反応時間で高い転化率が得られるために好ましい。さらに、方法Iで得られた反応性ケイ素基を有する有機重合体は、方法IIIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体よりも低粘度であり、作業性のよい発泡体用樹脂組成物が得られること、また、方法IIで得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体は、メルカプトシランに基づく臭気が強いことから、方法Iが特に好ましい。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
これらの中でも、ケイ素基含有液状重合体はポリオキシアルキレン系重合体を含むことが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造は下記式(3a)で示される繰り返し単位からなるのが好ましい。
-R4a-O-・・・(3a)
ここで、式(3a)において、R4aは炭素原子数1以上14以下の直鎖状または分岐状アルキレン基を示し、炭素原子数2以上4以下がより好ましい。
式(3a)で示される繰り返し単位としては、例えば、-CHO-、-CHCHO-、-CHCH(CH)O-、-CHCH(C)O-、-CHC(CHO-、および-CHCHCHCHO-等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖は、1種類だけの繰り返し単位からなっていてもよく、2種類以上の繰り返し単位からなっていてもよい。ポリオキシアルキレン系重合体は、非晶質且つ比較的低粘度であるポリオキシプロピレン系重合体であることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の合成法としては、例えば、KOH等のアルカリ触媒による重合法;特開昭61-215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体等の遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒による重合法;特公昭46-27250号公報、特公昭59-15336号公報、米国特許第3278457号、米国特許3278458号、米国特許3278459号、米国特許3427256号、米国特許3427334号、および米国特許3427335号等に示される複合金属シアン化物錯体触媒(例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体(触媒))による重合法;特開平10-273512号公報に示されるポリホスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法;特開平11-060722号公報に示されるホスファゼン化合物からなる触媒を用いる重合法等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A1)の合成方法は、これらに限定されない。
これらの合成法の中では、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、開始剤にアルキレンオキシドを反応させる重合法が分子量分布の狭い重合体を得られることから好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn[Co(CN)(亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)、等が挙げられる。また、これらにアルコールおよび/またはエーテルが有機配位子として配位した触媒も使用できる。
開始剤としては、少なくとも2個の活性水素基を有する化合物が好ましい。活性水素含有化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールおよびグリセリン等の多価アルコール、数平均分子量500以上20,000以下の直鎖状または分岐鎖状のポリエーテル化合物等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびイソブチレンオキシド等が挙げられる。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、特公昭45-36319号公報、特公昭46-12154号公報、特開昭50-156599号公報、特開昭54-6096号公報、特開昭55-13767号公報、特開昭55-13468号公報、特開昭57-164123号公報、特公平3-2450号公報、米国特許3632557号、米国特許4345053号、米国特許4366307号、米国特許4960844号等の各公報に提案されている重合体が挙げられる。また、特開昭61-197631号公報、特開昭61-215622号公報、特開昭61-215623号公報、特開昭61-218632号公報、特開平3-72527号公報、特開平3-47825号公報、特開平8-231707号公報の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下、または1.3以下の高分子量で分子量分布が狭い反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体等も好ましい。このような反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体としては、市販品を用いることもできる。市販品の例としては、カネカMSポリマー(登録商標)S810、S257、S327、S203H、S303H(いずれも株式会社カネカ製);サイリル(登録商標)SAX220、SAT350、SAT400、SAX510,SAX520、SAX580、SAX590、SAX750(いずれも株式会社カネカ製);エクセスター(登録商標)ES-S2410、ES-S2420、ES-S3630(いずれもAGC株式会社製);GENIOSIL(登録商標)STP-E10、STP-E15、STP-E-30、STP-E-35(いずれもWacker製)が挙げられる。
前記工程(A)において、混合を実施する時間は5分~1時間が好ましく、8~50分がより好ましく、10~30分がさらに好ましい。混合を実施する時間が1時間以下であれば、樹脂組成物を短時間で製造できる。また、混合を実施する時間が5分以上であれば、アクリル系樹脂と反応性ケイ素基を有する液状重合体が十分に混合される。一例として、混合は、樹脂組成物のブツが解消されるまで実施されてもよい。
前記工程(A)において、混合時の温度は10~120℃が好ましく、20~90℃がより好ましく、50~70℃がさらに好ましい。混合時の温度が10℃以上であれば、混合時間を短縮できる。また、混合時の温度が120℃以下であれば、加熱に要するエネルギーが少なくなる。
前記工程(A)において、混合時には減圧脱気を行ってもよい。減圧脱気時の蒸気圧は、240hPa~1013hPaが好ましく、500~1013hPaがより好ましく、700~1013hPaがさらに好ましく、850~1013hPaが特に好ましい。蒸気圧が240hPa以上であれば、揮発性溶媒が揮発しにくい。特に、蒸気圧が500hPa以上であれば、イソブチルアルコールが揮発しにくく、アクリル系樹脂と反応性ケイ素基を有する液状重合体の相溶化が促進されやすい。
前記工程(A)の後に工程(B)を連続して実施できる観点から、加温可能かつ密閉可能な攪拌槽に、真空ポンプを接続したもの、またはロータリーエバポレーターを使用することが好ましく、加温可能かつ密閉可能な攪拌槽に、真空ポンプを接続したものを用いることがより好ましい。
<工程(B)>
本製造方法における工程(B)は、前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合し、得られた混合物Yを脱気する工程である。工程(B)は、混合物Xに対して、反応性ケイ素基を有する液状重合体をさらに混合する工程と換言することもできる。前記工程(A)を実施してから工程(B)を実施することにより、高温下で長時間混合をしなくとも、樹脂組成物のブツを解消することができる。
工程(B)におけるケイ素基含有液状重合体については、前記工程(A)における(反応性ケイ素基を有する液状重合体)の記載を適宜援用することができる。工程(B)において使用されるケイ素基含有液状重合体は、工程(A)で使用されるものと同一であってもよいし、異なってもよい。
前記工程(B)において、脱気は、混合物Y中の揮発性溶媒の濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下となるまで実施される。減圧脱気後の混合物Y中の揮発性溶媒の濃度は少ない程好ましく、例えば0ppmであってもよい。
前記工程(B)において、混合時の温度は揮発性溶媒の沸点以上が好ましい。たとえば、揮発性溶媒がイソブチルアルコールである場合、100~150℃が好ましく、110~140℃がより好ましく、120~130℃がさらに好ましい。
脱気後の前記混合物Y中のアクリル系樹脂の含有量は、5~60重量%が好ましく、10~50重量%がより好ましく、20~40重量%がさらに好ましい。混合物Y中のアクリル系樹脂の含有量が前記範囲であれば、混合物Yを発泡体としたときの耐シュリンク性が向上する。
本製造方法の工程(B)において、得られた前記混合物Yを脱気することにより、混合物Y中の揮発性溶媒を除去できるため、得られる樹脂組成物の引火点が高くなり、安全性が向上する。前記工程(B)の脱気を行う方法は、揮発性溶媒を除去することができれば特に限定されず、公知の方法により実施することができるが、例えば減圧脱気であってもよい。
脱気後の前記混合物Y中のケイ素基含有液状重合体の含有量は、40~95重量%が好ましく、50~90重量%がより好ましく、60~80重量%がさらに好ましい。混合物Y中のケイ素基含有液状重合体の含有量が前記範囲であれば、樹脂組成物を発泡体とした場合の物性が向上し、かつ脱気後の前記混合物Yが液状となる。
脱気後の前記混合物Yは、液状であることが好ましい。脱気後の前記混合物Yは、上述したケイ素基含有液状重合体の含有量を適宜調整することによって、液状とすることができる。脱気後の前記混合物Yが液状であることにより、送液およびミキシング槽での混合が容易になり、効率的に製造することができる。
前記工程(B)において、減圧脱気を行う場合、蒸気圧は、240hPa未満、0hPa以上が好ましく、150~10hPaがより好ましく、100~20hPaがさらに好ましい。蒸気圧が前記範囲であれば、揮発性溶媒を十分に除去することができる。
前記工程(B)における脱気は混合と同時に実施されてもよい。すなわち、混合物Yを得るための混合中に、減圧脱気を実施してもよい。
<工程(C)>
本製造方法は、さらに非加熱型発泡剤を添加する工程(C)を含むことが好ましい。添加する発泡剤が非加熱型であることにより、本製造方法により得られる樹脂組成物を常温下にて発泡させることができる。
非加熱型発泡剤としては、前記樹脂組成物を常温下にて良好に硬化させつつ発泡させることができれば特に限定されず、周知の非加熱型発泡剤の中から前記樹脂組成物の硬化速度と発泡速度のバランスを考慮して適宜選択することができる。
前記非加熱型発泡剤は、二炭酸ジエステルを含むことが好ましい。二炭酸ジエステルは常温下にて、前記樹脂組成物の硬化反応の速度に応じた好ましい速度で分解して、短時間で本発泡体用樹脂組成物を発泡させることができる。
二炭酸ジエステルは、下記式(B1)で表される。
-O-CO-O-CO-O-R・・・(B1)
式(B1)中、Rは有機基である。Rとしての有機基は、炭化水素基であるのが好ましい。2つのRは、同一であっても異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。
としての、炭化水素基の炭素原子数は、1以上16以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましく、1以上6以下が特に好ましい。
としての炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基等の脂環式基、アラルキル基、およびアリール基が挙げられる。アルキル基について、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。前記炭化水素基として挙げられた官能基の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが挙げられる。
式(B1)で表される二炭酸ジエステルとしては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジ-n-プロピル、二炭酸ジイソプロピル、二炭酸ジ-n-ブチル、二炭酸ジイソブチル、二炭酸ジ-sec-ブチル、二炭酸ジ-tert-ブチル、二炭酸ジ-n-ペンチル、および二炭酸ジ-n-ヘキシルが好ましい。入手が容易であること、分子量が小さく単位重量当たりの発泡量が多いことから、二炭酸ジエステルとしては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジ-n-プロピル、および二炭酸ジイソプロピルが好ましく、二炭酸ジメチル、および二炭酸ジエチルがより好ましい。さらに加水分解物の揮発性および毒性の観点により二炭酸ジエチルが好ましい。
その他の非加熱型発泡剤は、さらに炭酸塩または重炭酸塩が挙げられる。なお、発泡体用樹脂組成物が、非加熱型発泡剤として炭酸塩または重炭酸塩を含む場合、通常、発泡体用樹脂組成物は、非加熱型発泡剤とともに水を含む。炭酸塩または重炭酸塩は、水と反応することにより良好に発泡する。前記炭酸塩または重炭酸塩の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが挙げられる。
非加熱型発泡剤が炭酸塩または重炭酸塩を含む場合、非加熱型発泡剤が、炭酸塩または重炭酸塩とともに酸性化合物を含んでもよい。特に、非加熱型発泡剤が、酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物を含んでもよい。なお、ブレンステッドの定義による酸性を示す化合物を、「酸性化合物」として定義する。前記酸性化合物の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが挙げられる。
非加熱型発泡剤の使用量は、発泡体の発泡倍率を勘案して適宜選択され得る。非加熱型発泡剤の含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して2重量部以上200重量部以下が好ましく、5重量部以上170重量部以下がより好ましく、5重量部以上130重量部以下がさらに好ましく、5重量部以上100重量部以下が特に好ましい。
非加熱型発泡剤としての二炭酸ジエステルの含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して1重量部以上30重量部以下が好ましく、2重量部以上20重量部以下がより好ましく、3重量部以上12重量部以下が特に好ましい。
非加熱型発泡剤が、二炭酸ジエステルとともに、炭酸塩または重炭酸塩と、酸性化合物とを組み合わせて含む場合、それぞれの好ましい含有量は以下の通りである。
非加熱型発泡剤としての炭酸塩または重炭酸塩の含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下が好ましく、1重量部以上80重量部以下がより好ましく、2重量部以上70重量部以下が特に好ましい。
非加熱型発泡剤としての酸性化合物(特に酸性化合物)の含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下が好ましく、1重量部以上90重量部以下がより好ましく、3重量部以上80重量部以下が特に好ましい。
炭酸塩または重炭酸塩と酸性化合物との当量比は、炭酸塩または重炭酸塩/酸性化合物として1/1以上3/1以下であることが好ましく、1/1以上2/1以下であることがより好ましい。炭酸塩または重炭酸塩の官能基数が酸性化合物の官能基数より少ないと、酸性化合物が残存して湿気による錆発生の原因となる場合がある。
なお、酸性化合物の1分子中の官能基数は、炭酸のpKa1(=6.35)以下のpKaを示す官能基の数である。つまり、酸性化合物の1分子中の官能基数とは、炭酸塩または重炭酸塩と反応して炭酸ガスを発生させ得る官能基の数である。
以上非加熱型発泡剤について説明したが、非加熱型発泡剤による発泡に加え、前記樹脂組成物に物理発泡剤を加えて発泡を補助してもよい。物理発泡剤の沸点は、発泡性、作業性、および安全性の点から、100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。物理発泡剤の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが挙げられる。
前記樹脂組成物は、発泡および硬化させて発泡体とする場合、シラノール縮合触媒および/または発泡触媒と混合して、発泡体用樹脂組成物としてもよい。
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒としては、縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。非加熱型発泡剤として二炭酸ジエステルを用いる場合、二炭酸ジエステルの発泡反応により発生する炭酸の影響による触媒活性の低下が生じにくい点から、中性あるいは弱酸性のシラノール縮合触媒が好ましい。なお、炭酸は二酸化炭素が水に溶解することで発生する。
シラノール縮合触媒の例としては、4価の錫化合物類、2価の錫化合物物類、上述した2価の錫化合物類と後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物、モノアルキル錫類、チタン酸エステル類、有機アルミニウム化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸金属塩と後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物、キレート化合物、飽和脂肪族第一級アミン類、飽和脂肪族第二級アミン類、飽和脂肪族第三級アミン類、脂肪族不飽和アミン類、芳香族アミン類、これらのアミン類以外のその他のアミン類、これらのアミン類とカルボン酸等との塩、アミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、アミノ基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤を変性した誘導体等が挙げられる。
シラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが使用できる。
シラノール縮合触媒の含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して90重量部以下が好ましく、0.05重量部以上80重量部以下がさらに好ましく、0.05重量部以上20重量部以下がより好ましく、1重量部以上15重量部以下がさらにより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が80重量部よりも多いと、得られた発泡体の圧縮により底付きする場合がある。シラノール縮合触媒の量を調整することにより、発泡体用樹脂組成物の硬化性を調整することができる。
<発泡触媒>
前記発泡体用樹脂組成物は、発泡触媒、および/または発泡触媒として作用するシラノール縮合触媒を含んでいてもよい。
発泡触媒は、非加熱型発泡剤の分解による発泡を促進させる成分である。発泡触媒は、前記樹脂組成物、および非加熱型発泡剤を含む発泡体用樹脂組成物に添加された場合に、当該発泡体用樹脂組成物の発泡を促進する化合物であれば特に限定されない。
典型的には、発泡触媒としては、有機または無機の塩基性化合物が好ましく挙げられる。このため、シラノール縮合触媒として上述した塩基性の触媒は、発泡触媒としての作用を奏する場合がある。
例えば、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒として前記塩基性のシラノール縮合触媒のような発泡触媒としての作用を奏する成分を含有する場合、便宜上、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒と発泡触媒との双方を含んでいるとしてもよい。
発泡触媒として作用し得るシラノール縮合触媒の好適な例としては、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-エチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾールおよび1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ジメチルアミノプロピルウレア等の活性水素を含有しない第三級アミン類、ジメチルエタノールアミンジエチルエタノールアミン、ジメチルヘキサノールアミン等の、水酸基、チオール基、カルボキシ基等の活性水素含有基を有する活性水素を含有する第三級アミンが挙げられる。上記以外の発泡触媒の具体例としては、例えば特開2022-54103号公報に記載のものが使用できる。
<水>
前記発泡体用樹脂組成物は、発泡および硬化させて発泡体とする場合、上述したシラノール縮合触媒および発泡触媒に加えて、さらに水を混合してもよい。水は、非加熱型発泡剤の発泡反応および前記樹脂組成物の硬化反応を促進させる働きがある。ただし、前記発泡体用樹脂組成物が水を含まない場合でも、硬化および発泡は進行し得る。
前記発泡体用樹脂組成物が水を含む場合、水の含有量は、前記樹脂組成物100重量部に対して1重量部以上70重量部以下が好ましく、2重量部以上60重量部以下がより好ましく、2重量部以上50重量部以下がさらに好ましい。水の含有量が上述した範囲内であると、十分に発泡させつつ良好に硬化を進行させやすく、微細且つ緻密な発泡セルを有し、柔軟性に優れる発泡体を得やすい。
水の含有量は、非加熱型発泡剤1重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上であるのがより好ましい。水の含有量が上述した範囲であれば、非加熱型発泡剤を良好に水と反応させ、特に良好な発泡を生じさせることができるとともに、基材樹脂(A)が有する反応性ケイ素基間の加水分解縮合反応が良好に進行する。
特に、前記発泡体用樹脂組成物が非加熱型発泡剤として二炭酸ジエステルのみを含む場合、前記発泡体用樹脂組成物中の水の含有量は、二炭酸ジエステル1重量部に対して0.05重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上0.3重量部以下であることがより好ましい。
この場合、特に良好な発泡を生じさせながらも、発泡体作成後の発泡体中の水の含有量を少なくでき、発泡体製造時の水等の揮発性成分を除去するための乾燥工程を省略することができる。
発泡体中の水の含有量を低減する観点からは、前記発泡体用樹脂組成物中の水の含有量は、二炭酸ジエステル1重量部に対して、0重量部以上0.05重量部以下であってもよいし、0重量部以上0.03重量部以下であってもよいし、0重量部、つまり水を含まなくてもよい。
なお、二炭酸ジエステル1モルは、水1モルと反応し、炭酸ガス(二酸化炭素)2モルを発生させる。このため、二炭酸ジエステルを、発泡体用樹脂組成物中の水によって効率よく発泡させる観点からは、二炭酸ジエステルと、水とのモル比が、二炭酸ジエステル:水として0.8:1~1:0.8であるのが好ましく、0.9:1~1:0.9であるのがより好ましく、0.95:1~1:0.95であるのがさらに好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<その他添加剤>
前記発泡体用樹脂組成物には、発泡体の柔軟性および成形加工性を調整する目的で可塑剤、反応性調整剤、染料等の添加材を添加することができる。また、前記発泡体用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤、潤滑剤、難燃剤等を必要に応じて添加してもよい。前記その他の添加剤の具体例としては、例えば、特開2022-54103号公報に記載のものが使用できる。
〔2.樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、本製造方法によって製造される。しかしながら、前記樹脂組成物をその構造または特性により特定することは、不可能または非実際的である。本製造方法は揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、ケイ素基含有液状重合体とを、二段階に分けて混合することを特徴とし、使用している成分、およびそれらの最終的な使用量は従来の製造方法から変化していない。したがって、得られた樹脂組成物は、従来の製造方法により製造された樹脂組成物とその組成等に基づいて区別することは不可能あるいは非実際的である。
前記樹脂組成物は、そのまま発泡および硬化させて発泡体としてもよいし、上述したシラノール触媒および/または発泡触媒と混合して、発泡体用樹脂組成物としてから発泡体としてもよい。
〔3.発泡体の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る発泡体(以下、本発泡体とも称する。)の製造方法は、本製造方法により製造された樹脂組成物と、シラノール縮合触媒および/または発泡触媒とを混合して発泡体用樹脂組成物を得る工程、および当該発泡体用樹脂組成物を発泡および硬化させる工程を含む。発泡体用樹脂組成物、シラノール縮合触媒および発泡触媒については上述した通りである。
前記シラノール縮合触媒および/または発泡触媒は、本発泡体用樹脂組成物と混合される前に、同一の溶液としてあらかじめ混合されていてもよいし、別々の溶液であってもよい。好ましくは、前記シラノール触媒と発泡触媒は別々の溶液である。
本発泡体の製造方法は、例えば、発泡体用樹脂組成物を型枠に充填した後に、型枠内で発泡、および硬化を行うバッチ式であってもよく、連続的に移動する帯状の支持体上で、発泡体用樹脂組成物の発泡および硬化を連続的に行う連続式であってもよい。本発泡体の製造方法は、好ましくはバッチ式である。
発泡体用樹脂組成物を硬化および発泡させる温度は特に限定されない。発泡体用樹脂組成物を硬化および発泡させる温度は、例えば、-10℃以上40℃以下が好ましく、0℃以上37℃以下がより好ましい。かかる温度条件であれば、発泡体を使用する現場での、発泡体用樹脂組成物を用いる発泡体の製造が容易である。
硬化および発泡が完了する時間に特に制限はない。例えば、12分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。
このようにして製造された発泡体は、好ましくは乾燥された後に発泡体製品として、流通、販売される。
乾燥の温度および時間の条件は、発泡体用樹脂組成物に由来するか、硬化反応により副生する水、アルコール等を所望する程度まで低減できればよく、特に制約はない。乾燥条件は、例えば約80℃雰囲気下で約1時間であればよい。また、乾燥の温度および時間の条件は、例えば約60℃雰囲気下で約12時間であってもよい。
ただし、上述した通り、化学発泡剤として二炭酸ジエステルのみを用い、水の使用量を低めに設定する場合、乾燥を行うことなく製品とすることが可能である。
本発泡体の発泡倍率は特に限定されないが、10倍以上が好ましく、10倍以上30倍以下がより好ましく、10倍以上25倍以下がさらに好ましい。発泡倍率が10倍以上であると、発泡体が十分に軽くなる。発泡倍率は、ケイ素基含有液状重合体、および/または非加熱型発泡剤の含有量を変化させることにより調整できる。
発泡体の形状は特に限定されない。発泡体の形状としては、シート状、棒状、正多面体状(例えば、立方体状、正四面体状、正八面体状等)、円盤状、球状、半球状、不定形状等が挙げられる。
発泡体の密度は、特に限定されない。発泡体の密度は、発泡体の用途、および発泡体に要求される性能に応じて適宜決定される。発泡体の密度は、例えば、150kg/m以下が好ましく、100kg/m以下がより好ましく、75kg/m以下がさらに好ましく、50kg/m以下が特に好ましい。密度が前記範囲であると、軽量であり日常的な持ち運びが容易であって、建築物等への発泡体の施工または、種々の物品に対する発泡体の取り付け等が容易である。発泡体の密度の下限は、特に限定されない。発泡体の密度は、例えば、10kg/m以上が好ましく、20kg/m以上がより好ましい。
発泡体の硬度は、特に限定されない。発泡体の硬度は、発泡体の用途、および発泡体に要求される性能に応じて適宜決定される。発泡体の硬度は、23℃で測定されたASKERFP硬度として、50以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
上記製造方法により得られた本発泡体は様々な用途に使用できる。本発泡体は、例えば、防音材、制振材、クッション材等として、輸送機器、寝具・寝装品、家具、各種機器、建材、包装材、医療・介護、洗浄用スポンジ、トイレタリー、履物、化粧用具、雑貨、衣料、スポーツ、玩具・遊具等の用途に好適に利用できる。
好ましい用途として、例えば輸送機器用途としては、自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、ピラー、コンソールボックス、クォータートリム、サンバイザー、フレキシブルコンテナー、フロントミラー、ハーネス、ダストカバー等の芯材や表皮材・表皮裏打ち材、フロアクッション等の制振吸音材、ヘルメット内張り、クラッシュパッド、センタピラガーニッシュ等の緩衝材、エネルギー吸収バンパー、ガード防音材、車両ワックス用スポンジ等が挙げられる。
寝具・寝装品用途としては、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくら等のクッション材、表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
家具用途としては、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッション等の各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マット等のクッション材、表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
各種機器用途としては、液晶、電子部品等のシール・緩衝材、ロボットの皮膚、導電性クッション材、帯電防止性クッション材、圧力感知材等が挙げられる。
建材用途としては、床や屋根等の断熱材、床および壁等の衝撃吸収材等が挙げられる。
包装材用途としては、緩衝材、クッション材、衝撃吸収材等の梱包資材が挙げられる。
医療・介護用途としては、再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他、歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材等が挙げられる。
各種洗浄用スポンジ用途としては、清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナー等が挙げられる。
トイレタリー用途としては、オムツ、生理用ナプキン等の吸収材、サイドギャザーや各種液体フィルター等が挙げられる。
履物用途としては、靴の表皮材、裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷等が挙げられる。
化粧用具用途としては、化粧用パフ、アイカラーチップ等が挙げられる。
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくら等の芯材、クッション材、表皮材、表皮裏打ち材、両面テープ基材、芳香剤、スタンプ台等の吸着媒体等が挙げられる。
衣料用途としては、肩・ブラジャー等のパッド材や、防寒材等のライナーや断熱材等が挙げられる。
スポーツ用途としては、スポーツ用プロテクター類、ボルダリング(2~3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、ビート板、高飛び用のクッション材、体操競技または運動用の着地マット、キッズマット等のクッション材、表皮材・表皮裏打ち材、スキーブーツ、スノーボードブーツ等のライナー等が挙げられる。
玩具・遊具用途としては、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボール等のクッション材、詰め物、表皮材・表皮裏打ち材、装飾品、怪獣等の特殊形状物、各種物品形状の型取りまたはモデル作製用等の注型材料、注型法における物品形状の型取り材料、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物等が挙げられる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔5.その他〕
すなわち、本発明の一態様は、以下を含む。
<1>(A)揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合して混合物Xを得る工程;および
(B)前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合し、得られた混合物Yを脱気する工程
を含む、樹脂組成物の製造方法であり、
前記工程(A)において、前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計量を100重量%としたときに、前記揮発性溶媒の含有量は、23重量%以上であり、
前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は、70℃以上である、樹脂組成物の製造方法。
<2>前記混合物X中の前記アクリル系樹脂の含有量が、33~58重量%である、<1>に記載の樹脂組成物の製造方法。
<3>前記脱気後の混合物Y中の前記液状重合体の含有量が、40~95重量%である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物の製造方法。
<4>非加熱型発泡剤を添加する工程(C)をさらに含む、<1>~<3>のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
<5>前記非加熱型発泡剤が、二炭酸ジエステルを含む、<4>に記載の樹脂組成物の製造方法。
<6><1>~<5>のいずれかに記載の製造方法により製造された樹脂組成物と、シラノール縮合触媒および/または発泡触媒とを混合して、発泡体用樹脂組成物を得る工程、および
前記発泡体用樹脂組成物を発泡および硬化させる工程を含む、発泡体の製造方法。
<7><1>~<5>のいずれかに記載の製造方法により製造された、樹脂組成物。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔測定および評価方法〕
実施例および比較例における測定および評価を、以下の方法で行った。
(ブツ評価)
工程(A)および(B)において、攪拌により混合物のブツが解消するまでの時間を測定した。ブツが解消したかどうかは、LEDライトを使用して目視により確認した。工程(A)では1時間攪拌を実施してもブツが解消しなかった場合は、ブツ有と評価した。また、工程(B)では1.5時間攪拌を実施してもブツが解消しなかった場合は、ブツ有と評価した。
(反応性ケイ素基を有する液状重合体)
<ポリマーA>
分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が16,400(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)のヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこのヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンのヒドロキシ基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.5倍当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端のヒドロキシ基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン重合体100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmを加え撹拌しながら、トリエトキシシラン3.3重量部をゆっくりと滴下し、90℃で2時間反応させた。さらにメタノール30重量部、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換した後、過剰のメタノールを除去することにより、末端にトリメトキシシリル基を1分子中に2.1個有する分岐状の反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンをポリマーAとして得た。
<ポリマーB>
数平均分子量が約4500のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量12,900(末端基換算分子量10,600)、分子量分布Mw/Mn=1.20のポリオキシプロピレンを得た。得られたポリオキシプロピレンの末端の水酸基に対して、1.2モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、ポリオキシプロピレンの末端の水酸基に対して、1.5モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。得られた未精製のポリオキシプロピレンに、n-ヘキサンおよび水を加えて混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。この重合体500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体溶液(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50μlを加え、撹拌しながらトリメトキシシラン9.8gをゆっくりと滴下して混合溶液を得た。得られた混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、トリメトキシシリル基を有する数平均分子量13,500のポリオキシプロピレンをポリマーBとして得た。得られたポリマーBはトリメトキシシリル基を1つの末端に平均0.8個、一分子中に平均1.6個有することが分かった。
(アクリル系樹脂)
<アクリル系樹脂A>
メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、イソボロニルメタクリレート(iBOMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体をアクリル系樹脂Aとして使用した。アクリル系樹脂Aを、揮発性溶媒であるイソブチルアルコールに、固形分濃度が60%となるように溶解させた。
なお、上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/SMA/TSMA/iBOMA/A189Zとして、20.6/10/10/60/1.8である。また、上記共重合体のガラス転移温度は104℃(FOX式より算出)である。上記重合体の数平均分子量は、4,400(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
<アクリル系樹脂B>
メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸2エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体をアクリル系樹脂Bとして使用した。アクリル系樹脂Bを、揮発性溶媒であるイソブチルアルコールに、固形分濃度が60%となるように溶解させた。
なお、上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/2EHA/SMA/TSMA/A189Zとして、65/24/1/10/1.8である。また、上記共重合体のガラス転移温度は43℃(FOX式より算出)である。上記重合体の数平均分子量は、2,200(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
〔実施例1〕
(工程(A))
ポリマーAとアクリル系樹脂Aとを表1に記載の比率にてナスフラスコ内に加えた後、東京理化器械株式会社製ロータリーエバポレーター N-1110型と東京理化器械株式会社製オイルバス OSB―2200にセットした。表2に記載の温度、蒸気圧、時間にて、回転数5で攪拌することにより、混合物Xを得た。500hpa、23℃、50℃、70℃ではイソブチルアルコールはほとんど揮発しない。一方、240hpaで、70℃、90℃ではイソブチルアルコールは一部揮発する。
(工程(B))
前記混合物Xに、ポリマーAを表1に記載の比率となるように加えた。東京理化器械株式会社製ロータリーエバポレーター N-1110型と東京理化器械株式会社製オイルバス OSB―2200によって120℃にて、5hPaまで減圧脱気し、回転数5で攪拌を行うことにより、樹脂組成物を得た。なお、混合物Yの総重量は700gであった。
〔実施例2~4、比較例1〕
各成分の組成を表1に記載の比率とし、工程(A)における混合を表2に記載の条件で実施したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
〔比較例2〕
工程(A)を実施せず、ポリマーAとアクリル系樹脂Aとを表1に記載の比率にて混合したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
〔参考例1〕
ポリマーAの代わりにポリマーBを使用し、アクリル系樹脂Aの代わりにアクリル系樹脂Bを使用したこと以外は、比較例2と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例1~4、比較例1~2、参考例1の各工程における反応性ケイ素基を有する液状重合体およびアクリル系樹脂の混合比率、ならびに揮発性溶媒の含有量を表1に示し、工程(A)における混合時の温度、蒸気圧、およびブツが消えるまでの時間を表2に示す。なお、比較例2および参考例1は工程(A)を実施していないため、工程(B)における温度および蒸気圧を表2に記載している。
<結果>
表1および2より、工程(A)を実施していない比較例2に比べて、工程(A)を実施した実施例1~4の樹脂組成物はブツが無く、樹脂組成物を安定的に製造できた。また、揮発性溶媒の含有量が少ない比較例1に比べて、実施例1~4の樹脂組成物は短時間かつ低温でブツを解消することができた。さらに、実施例1~4の樹脂組成物は、ガラス転移温度が70℃未満のアクリル系樹脂を含む参考例1の樹脂組成物と同程度の時間で製造可能であった。以上より、本製造方法によれば、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を含む樹脂組成物を、短時間で、安定的に製造できることが示された。
本樹脂組成物は、防音材、制振材、クッション材等として、輸送機器、寝具・寝装品、家具、各種機器、建材、包装材、医療・介護等の用途に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. (A)揮発性溶媒に溶解したアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合して混合物Xを得る工程;および
    (B)前記工程(A)で得られた混合物Xと、さらなる反応性ケイ素基を有する液状重合体とを混合し、得られた混合物Yを脱気する工程
    を含む、樹脂組成物の製造方法であり、
    前記工程(A)において、前記混合物X中のアクリル系樹脂と、反応性ケイ素基を有する液状重合体と、揮発性溶媒との合計量を100重量%としたときに、前記揮発性溶媒の含有量は、23重量%以上であり、
    前記アクリル系樹脂のガラス転移温度は、70℃以上である、樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記混合物X中の前記アクリル系樹脂の含有量が、33~58重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記脱気後の混合物Y中の前記液状重合体の含有量が、40~95重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 非加熱型発泡剤を添加する工程(C)をさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記非加熱型発泡剤が、二炭酸ジエステルを含む、請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された樹脂組成物と、シラノール縮合触媒および/または発泡触媒とを混合して、発泡体用樹脂組成物を得る工程、および
    前記発泡体用樹脂組成物を発泡および硬化させる工程を含む、発泡体の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、樹脂組成物。
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