JP7320364B2 - 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 - Google Patents
発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7320364B2 JP7320364B2 JP2019061384A JP2019061384A JP7320364B2 JP 7320364 B2 JP7320364 B2 JP 7320364B2 JP 2019061384 A JP2019061384 A JP 2019061384A JP 2019061384 A JP2019061384 A JP 2019061384A JP 7320364 B2 JP7320364 B2 JP 7320364B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- foam
- group
- resin composition
- weight
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
Description
1)基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)と、シラノール縮合触媒(D)とを含む発泡体用樹脂組成物であって、
基材樹脂(A)が反応性ケイ素基を有し、
基材樹脂(A)が、ガラス転移温度が35℃以上である高Tg樹脂(A1)と、ガラス転移温度が35℃未満である低Tg樹脂(A2)とを組み合わせて含む、発泡体用樹脂組成物。
2)高Tg樹脂(A1)がアクリル樹脂である、1)に記載の発泡体用樹脂組成物。
3)低Tg樹脂(A2)がポリオキシアルキレン系重合体である、1)又は2)に記載の発泡体用樹脂組成物。
4)低Tg樹脂(A2)のガラス転移温度が、-10℃未満である、1)~3)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
5)反応性ケイ素基が、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(3):
で表される基、及び下記式(4):
-R5-CH2-Si(R1)3-a(X)a (4)
(式(4)中、R1、及びaは、式(1)~式(3)におけるR1、及びaと同様であり、R5はヘテロ原子である。)
で表される基からなる群から選択される基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
6)基材樹脂(A)が、主鎖構造において分岐を有し、且つ3つ以上の末端を有する、請1)~5)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
7)化学発泡剤(B)が、二炭酸ジエステル(B-1)を含む、1)~6)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
8)二炭酸ジエステル(B-1)の含有量が、基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上50重量部以下である、7)に記載の発泡体用樹脂組成物。
9)シラノール縮合触媒(D)が、中性又は弱酸性の触媒である、1)~8)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
10)シラノール縮合触媒(D)が、錫含有触媒を含む、9)に記載の発泡体用樹脂組成物。
11)錫含有触媒が、下記式(D1)で表される化合物、又は下記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーである、中性又は弱酸性のジアルキル錫ジカルボキシレートである、10)に記載の発泡体用樹脂組成物。
(Rd1)(Rd2)(Rd3COO)(Rd4COO)Sn・・・(D1)
-(-(Rd1)(Rd2)Sn-OCORd5COO-)-・・・(D2)
(式(D1)及び式(D2)において、Rd1及びRd2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Rd1及びRd2は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、Rd3及びRd4は、それぞれ、炭素原子数1以上40以下の有機基であり、Rd5は、炭素原子数1以上40以下の2価の有機基である。)
12)シラノール触媒(D)の使用量が、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.05重量部以上20重量部以下である、1)~11)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
13)基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)とを含む第1液と、シラノール縮合触媒(D)を含む第2液とからなる、2液型の組成物である、1)~12)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物。
14)1)~13)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させてなる発泡体。
15)1)~13)のいずれか1つに記載の発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させることを含む、発泡体の製造方法。
16)発泡体用樹脂組成物が、13)に記載の発泡体用樹脂組成物であり、
発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させることが、前記第1液と、前記第2液とを混合することを含む、15)に記載の発泡体の製造方法。
発泡体用樹脂組成物は、発泡体の製造に好適に使用される。
発泡体用樹脂組成物は、基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)と、シラノール縮合触媒(D)とを含む。
基材樹脂(A)は、反応性ケイ素基を有し、且つ、ガラス転移温度が35℃以上である高Tg樹脂(A1)と、ガラス転移温度が35℃未満である低Tg樹脂(A2)とを組み合わせて含む。
以下、発泡体用樹脂組成物に含まれる必須又は任意の成分について、詳細に説明する。
基材樹脂(A)は、反応性ケイ素基を有する硬化性の成分である。基材樹脂(A)は、分子鎖中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するのが好ましい。
基材樹脂(A)が反応性ケイ素基を有するため、反応性ケイ素基間でシラノール縮合反応が起こって架橋し、高分子状態となり、硬化する。
基材樹脂(A)に含まれる反応性ケイ素基の数は、縮合反応性の点から、分子鎖中に少なくとも1個であるのが好ましい。硬化性、柔軟性の点からは、基材樹脂(A)は、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体であるのが好ましい。かかる重合体は、1分子中に好ましくは1.0個以上3.0個以下、より好ましくは1.1個以上2.5個以下、特に好ましくは1.2個以上2.0個以下の反応性ケイ素基を有する。
なお、反応性ケイ素基間の反応による基材樹脂(A)の硬化反応は、空気中及び材料中の水分のみによっても十分に進行し得る。このため、発泡体用樹脂組成物が、水(C)を含まないか、水(C)の含有量が極少量である場合でも、発泡体用樹脂組成物の硬化の進行の点では特段問題がない。
基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の両末端に反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、65重量部以上95重量部以下が好ましい。基材樹脂(A)100重量部における、分子鎖の片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体の含有量は、5重量部以上35重量部以下が好ましい。
-Si(R1a)3-a(X)a (1a)
(R1aはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基、又は、-OSi(R’)3(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1以上20以下の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、R1aとしての炭化水素基は、置換されていてもよく、且つヘテロ含有基を有してもよい。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基又は加水分解性基である。さらに、aは1以上3以下の整数である)
で表される基が挙げられる。
で表される基、及び下記式(4):
-R5-CH2-Si(R1)3-a(X)a (4)
(式(4)中、R1、及びaは、式(1)~式(3)におけるR1、及びaと同様であり、R5はヘテロ原子である。)
で表される基が好ましい。
R1としての炭化水素基としては、例えば、メチル基、及びエチル基等のアルキル基;クロロメチル基、及びメトキシメチル基等のヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;等を挙げることができる。R1としては、メチル基、メトキシメチル基、及びクロロメチル基が好ましく、メチル基、及びメトキシメチル基がより好ましく、メトキシメチル基がさらに好ましい。
基材樹脂(A)の主鎖構造は、前述の通り、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
基材樹脂(A)ガラス転移温度が35℃以上である高Tg樹脂(A1)と、ガラス転移温度が35℃未満である低Tg樹脂(A2)とを組み合わせて含む。基材樹脂(A)がかかる条件を満たす限り、基材樹脂(A)の主鎖構造には特に制限はない。基材樹脂(A)としては、各種の主鎖構造を有する主鎖骨格を含む重合体を使用することができる。
基材樹脂(A)の主鎖骨格を構成する重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体、炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ビニル系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、グラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する重合体(ウレタンプレポリマー)、ジアリルフタレート系重合体等をあげることができる。
特に良好なシュリンク抑制効果が得られることから、低Tg樹脂(A2)のガラス転移温度は、20℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましい。この低Tg樹脂(A2)は高Tg樹脂(A1)を溶解できるため、固形分100%の液状樹脂組成物となり、室温での反応性が高く、発泡・硬化後に未架橋成分の少ない発泡体が得られる。
基材樹脂(A)のガラス転移温度は、主鎖骨格の種類、主鎖を構成する単位の種類、主鎖を構成する単位の組成、及び分子量等を調整することにより調整できる。
高Tg樹脂(A1)のガラス転移温度は、35℃以上180℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましい。
低Tg樹脂(A2)のガラス転移温度の下限は、-60℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましい。
なお、ポリオキシアルキレン系重合体のガラス転移温度は低い傾向がある。ポリオキシアルキレン系重合体のガラス転移温度は、通常、35℃未満である。つまり、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、通常、低Tg樹脂(A2)に該当する。
また、発泡後の、発泡体のシュリンクを特に抑制しやすい点からは、基材樹脂(A)は、高Tg樹脂(A1)としてアクリル樹脂を含むのが好ましい。また、基材樹脂(A)は、低Tg樹脂(A2)としてポリオキシアルキレン系重合体を含むのが好ましい。
基材樹脂(A)が、アクリル樹脂、及びポリオキシアルキレン系重合体を含む場合、適切な範囲内の粘度を有する発泡体用樹脂組成物を得やすい点から、基材樹脂(A)100重量部中のアクリル樹脂の量は3重量部以上80重量部以上が好ましく、5重量部以上50重量部以下がより好ましく、5重量部以上30重量部以下がさらに好ましい。
また、炭素-炭素三重結合を有する化合物としては、塩化プロパルギル、1-クロロ-2-ブチン、4-クロロ-1-ブチン、1-クロロ-2-オクチン、1-クロロ-2-ペンチン、1,4-ジクロロ-2-ブチン、5-クロロ-1-ペンチン、6-クロロ-1-ヘキシン、臭化プロパルギル、1-ブロモ-2-ブチン、4-ブロモ-1-ブチン、1-ブロモ-2-オクチン、1-ブロモ-2-ペンチン、1,4-ジブロモ-2-ブチン、5-ブロモ-1-ペンチン、6-ブロモ-1-ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1-ヨード-2-ブチン、4-ヨード-1-ブチン、1-ヨード-2-オクチン、1-ヨード-2-ペンチン、1,4-ジヨード-2-ブチン、5-ヨード-1-ペンチン、及び6-ヨード-1-ヘキシン等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、及びヨウ化プロパルギルがより好ましい。
炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と同時に、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、及びヨウ化メタリル等の炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素以外の不飽和結合を有する炭化水素化合物を使用してもよい。
H-(SiR2a 2O)mSiR2a 2-R3a-SiX3 (2a)
ここで、式(2a)において、Xは式(1a)と同じである。2m+2個のR2aはそれぞれ独立に式(1a)のR1aと同じである。R3aは、炭素原子数1以上20以下の置換又は非置換の2価の炭化水素基を示す。mは0以上19以下の整数を示す。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造は下記式(3a)で示される繰り返し単位からなるのが好ましい。
-R4a-O- (3a)
ここで、式(3a)において、R4aは炭素原子数1以上14以下の直鎖状又は分岐状アルキレン基を示し、炭素原子数2以上4以下がより好ましい。
反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は種々の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、単独で又は複数組み合わせて重合することによって得ることができる。
具体的には、高Tg樹脂(A1)、又は低Tg樹脂(A2)について2種以上の樹脂を併用する場合、同種の主鎖を有する樹脂を組み合わせて用いてもよいし、異種の主鎖を有する樹脂を組み合わせて用いてもよい。
発泡体用樹脂組成物は、化学発泡剤(B)を含む。化学発泡剤(B)としては、前述の基材樹脂(A)を、良好に硬化させつつ発泡させ得る発泡剤であれば特に限定されない。化学発泡剤(B)としては、周知の化学発泡剤の中から、基材樹脂(A)の硬化速度と発泡速度とのバランスを勘案して適宜選択することができる。
しかしながら、例えば、反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を硬化させつつ発泡させる場合、基材樹脂(A)の硬化が5分程度でかなり進行してしまう場合がある。このため、反応性ケイ素基を有する基材樹脂(A)を含む発泡体用樹脂組成物に、20分もの時間をかけて発泡する化学発泡剤(B)を適用してしまうと、所望する発泡倍率に達する前に、基材樹脂(A)が速やかに硬化してしまい低発泡倍率の発泡体しか得られないと予測される。
ところが、本発明者らが検討したところ、意外にも、基材樹脂(A)と、シラノール縮合触媒(D)とを含む発泡体用樹脂組成物に、二炭酸ジエステル(B-1)を含む化学発泡剤(B)を配合する場合、短時間で樹脂組成物を所望する程度に発泡させることができることが見出された。
Rb-O-CO-O-CO-O-Rb・・・(B1)
式(B1)中、Rbは有機基である。Rbとしての有機基は、炭化水素基であるのが好ましい。2つのRbは、同一であっても異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。
Rbとしての炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基等の脂環式基、アラルキル基、及びアリール基が挙げられる。アルキル基について、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフタレン-1-イルメチル基、及びナフタレン-2-イルメチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、及び2-フェニルフェニル基等が挙げられる。
炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)の好ましい例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウム等の水に対して易溶な炭酸塩又は重炭酸塩が挙げられる。これらの水に易溶な炭酸塩又は重炭酸塩は、速やかに発泡し、安価である点で有用である。
炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)としては、2種以上を組み合わせて用いることができる。また、水に対して易溶である炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)と、水に対して難溶である炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)とを組み合わせて用いることもできる。
難溶性炭酸塩の20℃における水に対する溶解度は、例えば、0.0001g/100g以上が好ましく、0.0005g/100g以上がより好ましく、0.001g/100g以上がさらに好ましく、0.002g/100g以上が特に好ましい。
発泡体用樹脂組成物が、上記の難溶性炭酸塩を化学発泡剤(B)として含有する場合、難溶性炭酸塩が水に対して溶解しにくいことによって炭酸ガスの発生が徐々に進行するため、発泡体用樹脂組成物の急速な発泡を抑制しやすい。
このため、化学発泡剤(B)として難溶性炭酸塩を含む発泡体用樹脂組成物を用いる場合、発泡体用樹脂組成物の形状が所定の形状になり、且つ均一な発泡セルを形成できるまでの十分な時間を確保でき、発泡体の安定した連続製造が容易である。
無機カチオンとしては、金属カチオンであっても、非金属カチオンであってもよい。難溶性炭酸塩の入手が容易であることや、難溶性炭酸塩の水に対する溶解度が低い傾向があることから、無機カチオンとしては金属カチオンが好ましい。
以上より、難溶性炭酸塩としては、炭酸金属塩又は重炭酸金属塩が好ましい。
炭酸金属塩が上記の好ましい金属元素を含む場合、炭酸金属塩の20℃での水への溶解度は以下の通りである。
炭酸リチウム:1.3g/100g
炭酸べリリウム:0.2g/100g
炭酸マグネシウム:1.0g/100g
炭酸カルシウム:0.2g/100g
炭酸マンガン(II):0.1g/100g未満
炭酸鉄(II):0.1g/100g未満
炭酸コバルト(II):0.1g/100g未満
炭酸ニッケル(II):0.1g/100g未満
炭酸銅(II):0.1g/100g未満
炭酸亜鉛:0.1g/100g未満
炭酸ストロンチウム:0.1g/100g未満
炭酸イットリウム(III):0.1g/100g未満
炭酸カドミウム:0.1g/100g未満
炭酸バリウム:0.1g/100g未満
炭酸鉛(II):0.1g/100g未満
例えば、前述の炭酸金属塩に含まれる好ましい金属元素について標準酸化還元電位は以下の通りである。
Li:-3.05V
Ba:-2.90V
Sr:-2.89V
Ca:-2.87V
Na:-2.71V
Mg:-2.37V
Y:-2.37V
Be:-1.85V
Mn:-1.18V
Zn:-0.76V
Fe:-0.44V
Cd:-0.44V
Co:-0.28V
Ni:-0.25V
Pb:-0.13V
Cu:0.34V
なお、ブレンステッドの定義による酸性を示す化合物を、「酸性化合物」として定義する。
ここで、酸性化合物が複数のpKaを示す化合物である場合、当該複数のpKaの値のうち、炭酸のpKa1(=6.35)以下の範囲の1つ以上のpKaの値が、全て3.0以下である化合物を、「酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-3)」として定義する。
具体的には、例えば、サリチル酸は、2.97のpKa1と、13超のpKa2とを示す。従って、サリチル酸では、炭酸のpKa1(=6.35)以下の範囲のpKaの値は、2.97のみである。2.97は、3.0以下の値であるため、サリチル酸は、「酸解離定数pKaが3.0以下の酸性化合物(B-3)」に該当する。
また、pKaは、水中での値である。
化学発泡剤(B)の重量に対する、二炭酸ジエステル(B-1)の重量の比率は、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が特に好ましく、100重量%以上が最も好ましい。
化学発泡剤(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して2重量部以上200重量部以下が好ましく、5重量部以上170重量部以下がより好ましく、5重量部以上130重量部以下がさらに好ましく、5重量部以上100重量部以下が特に好ましい。
化学発泡剤(B)としての炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下が好ましく、1重量部以上80重量部以下がより好ましく、2重量部以上70重量部以下が特に好ましい。
化学発泡剤(B)としての酸性化合物(特に酸性化合物(B-3))の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下が好ましく、1重量部以上90重量部以下がより好ましく、3重量部以上80重量部以下が特に好ましい。
なお、酸性化合物の1分子中の官能基数は、炭酸のpKa1(=6.35)以下のpKaを示す官能基の数である。つまり、酸性化合物の1分子中の官能基数とは、炭酸塩又は重炭酸塩(B-2)と反応して炭酸ガスを発生させ得る官能基の数である。
発泡体用樹脂組成物は、水(C)を含むか、又は含まない。発泡体用樹脂組成物が水(C)を含まない場合でも、硬化及び発泡が進行する。他方、水(C)としては、化学発泡剤(B)の発泡反応及び基材樹脂(A)の硬化反応を促進させる働きがある。
発泡体用樹脂組成物が水(C)を含む場合、水(C)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上70重量部以下が好ましく、2重量部以上60重量部以下がより好ましく、2重量部以上50重量部以下がさらに好ましい。水(C)の含有量が上記の範囲内であると、十分に発泡させつつ良好に硬化を進行させやすく、微細且つ緻密な発泡セルを有し、柔軟性に優れる発泡体を得やすい。
特に、発泡体用樹脂組成物が化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステル(B-1)のみを含む場合、発泡体用樹脂組成物中の水(C)の含有量は、二炭酸ジエステル(B-1)1重量部に対して0.05重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上0.3重量部以下であることがより好ましい。
この場合、特に良好な発泡を生じさせながらも、発泡体作成後の発泡体中の水(C)の含有量を少なくでき、発泡体製造時の水等の揮発性成分を除去するための乾燥工程を省略することができる。
発泡体中の水(C)の含有量の低減の観点のみからは、発泡体用樹脂組成物中の水(C)の含有量は、二炭酸ジエステル(B-1)1重量部に対して、0重量部以上0.05重量部以下であるのも好ましく、0重量部以上0.03重量部以下がより好ましく、0重量部、つまり水(C)を含まないのが特に好ましい。
なお、二炭酸ジエステル(B-1)1モルは、水(C)1モルと反応し、炭酸ガス(二酸化炭素)2モルを発生させる。このため、二炭酸ジエステル(B-1)を、発泡体用樹脂組成物中の水(C)によって効率よく発泡させる観点からは、二炭酸ジエステル(B-1)と、水(C)とのモル比が、二炭酸ジエステル(B-1):水(C)として0.8:1~1:0.8であるのが好ましく、0.9:1~1:0.9であるのがより好ましく、0.95:1~1:0.95であるのがさらに好ましい。
水(C)が不足している場合でも二炭酸ジエステル(B-1)から良好に発泡が生じる理由は不明であるが、空気中及び材料中の水分による二炭酸ジエステル(B-1)の加水分解が生じているか、加水分解とは別の分解反応により二酸化炭素が発生していると思われる。
発泡体用樹脂組成物は、シラノール縮合触媒(D)を含む。シラノール縮合触媒(D)としては、縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。二炭酸ジエステル(B-1)の発泡反応により発生する炭酸の影響による触媒活性の低下が生じにくい点から、中性あるいは弱酸性のシラノール縮合触媒(D)が好ましい。炭酸は二酸化炭素が水に溶解することで発生する。
錫含有触媒としては、その質量における錫原子の質量の比率が高いほど、触媒活性が高く好ましい。
また、発泡体製造後の発泡体の経時的なシュリンクの抑制の観点からは、シラノール触媒(D)として、ジアルキル錫ジカルボキシレート類が好ましく、ジブチル錫ジアセテートがより好ましい。
また、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒を用いる場合、発泡開始時の、二炭酸ジエステル(B-1)の水との発泡反応の進行を阻害しにくい。
シラノール縮合触媒(D)は、基材樹脂(A)を良好に硬化させやすい点から、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒として、前述の種々の錫含有触媒のうち中性又は弱酸性の触媒を含むのが好ましい。
このような観点からも、シラノール縮合触媒(D)に関して、中性又は弱酸性の錫含有触媒として、ジアルキル錫ジカルボキシレート類が好ましい。
中性又は弱酸性のジアルキル錫ジカルボキシレートとしては、下記式(D1)で表される化合物、又は下記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーが好ましい。
(Rd1)(Rd2)(Rd3COO)(Rd4COO)Sn・・・(D1)
-(-(Rd1)(Rd2)Sn-OCORd5COO-)-・・・(D2)
式(D1)及び式(D2)において、Rd1及びRd2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Rd1及びRd2は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、直鎖アルキル基が好ましい。Rd1及びRd2としてのアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1以上20以下が好ましく、2以上16以下がより好ましく、3以上10以下がさらに好ましい。錫含有触媒の入手が容易な点や、錫含有触媒のシラノール縮合触媒(D)としての活性が良好であることから、Rd1及びRd2としては、n-ブチル基、及びn-オクチル基が好ましい。
式(D1)中、Rd3及びRd4は、それぞれ、炭素原子数1以上40以下の有機基である。Rd3及びRd4としての有機基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましい。Rd3及びRd4としての有機基は、O、S、N、及びSi等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
錫含有触媒の入手が容易な点や、錫含有触媒のシラノール縮合触媒(D)としての活性が良好であることから、Rd3及びRd4としては、炭素原子数1以上30以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と、下記式(D3):
-CH=CH-CO-ORd6・・・(D3)
で表される基が好ましい。Rd6は炭素原子数1以上30以下の炭化水素基である。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基との組み合わせであってもよい。Rd6としての炭化水素基の炭素原子数は1以上20以下が好ましい。
式(D2)中、Rd5は、炭素原子数1以上40以下の2価の有機基である。Rd5としての有機基の炭素原子数は、1以上30以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。Rd5としての有機基は、O、S、N、及びSi等のヘテロ原子を含んでいてもよい。Rd5としての有機基としては、炭化水素基が好ましく、-CH=CH-、及び-CH2CH2-がより好ましい。
上記式(D1)で表される化合物、又は上記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーの好適な具体例は、ジアルキル錫ジカルボキシレート類の具体例として前述した通りであり、ジブチル錫ジアセテートが特に好ましい。
シラノール縮合触媒が中性又は弱酸性であるかは、シラノール縮合触媒の濃度1質量%の水/アセトン=10/90溶液の20℃でのpHを測定することにより判別することができる。具体的には、pHが6.0以上8.0未満である場合を中性とし、pHが3.5以上6.0未満である場合を弱酸性とする。
中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒(D)を含む発泡体用樹脂組成物を用いる場合、短時間で、発泡及び効果を進行させやすい。このため、中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒(D)を含む発泡体用樹脂組成物は、建築現場や種々の工業製品の製造現場等における現場において、発泡体を施工する場合に、特に有用である。
現場での発泡体の施工には、短時間での発泡及び硬化が要求されるためである。
なお、上記のアミン類や、アミノ基を有するシランカップリング剤を単独でシラノール縮合触媒として用いる場合、基材樹脂(A)の硬化反応がやや遅い場合がある。このため、上記のアミン類や、アミノ基を有するシランカップリング剤は、前述の種々の錫含有触媒のように基材樹脂(A)の硬化反応の促進効果が高い触媒と併用されるのが好ましい。
特に、塩基性のシラノール縮合触媒(D)は、中性又は弱酸性の錫含有触媒と併用されるのが好ましく、ジアルキル錫ジカルボキシレート類と併用されるのがより好ましく、ジブチル錫ジカルボキシレート類が最も好ましい。
発泡体用樹脂組成物が二炭酸ジエステル(B-1)を含む場合、発泡体用樹脂組成物は、発泡助剤(E)、及び/又は発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)を含むのが好ましい。
発泡助剤(E)は、二炭酸ジエステル(B-1)の分解による発泡を促進させる成分である。発泡助剤(E)は、水と二炭酸ジエステル(B-1)とを含む混合物に添加された場合に、発泡を促進する化合物であれば特に限定されない。
例えば、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒(D)として上記の塩基性のシラノール縮合触媒のような発泡助剤(E)としての作用を奏する成分を含有する場合、便宜的に、発泡体用樹脂組成物が、シラノール縮合触媒(D)と発泡助剤(E)との双方を含むとして扱う。
発泡助剤(E)として作用するシラノール縮合触媒(D)の含有量は、前述のシラノール縮合触媒(D)の含有量と同様である。
発泡体用樹脂組成物には、発泡体の柔軟性や成形加工性を調整する目的で可塑剤、反応性調整剤、染料を添加することができる。
また、第2液が水(C)を含むのも好ましい。シラノール縮合触媒(D)を第1液に含有させる場合、基材樹脂(A)間の架橋による硬化が進行する場合がある。しかし、シラノール縮合触媒(D)を、第1液と別の液に含有させることにより、発泡体の製造前の基材樹脂(A)の硬化を防ぐことができる。第2液がシラノール縮合触媒(D)を含む場合、当該シラノール縮合触媒(D)は中性又は弱酸性のシラノール縮合触媒を含むのが好ましく、塩基性のシラノール縮合触媒を含むがより好ましい。
以上説明した発泡体用樹脂組成物を、常法に従って、発泡及び硬化させることにより発泡体が得られる。上記の発泡体の用途については特に限定されない。上記の発泡体は、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等の従来から知られる種々の発泡体が適用されル用途において好適に使用することができる。
上記の発泡体は、連続法により生産される場合でも、発泡体用樹脂組成物の形状が所定の形状になるまでの十分な時間を確保しながら、短時間で発泡及び硬化して製造されるため、形状や密度が均一であり高発泡倍率の発泡体として安定的に製造可能である。
包装材用途としては、緩衝材、クッション材、衝撃吸収材等の梱包資材が挙げられる。
医療・介護用途としては、再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他、歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材等にも利用できるものである。
トイレタリー用途としては、オムツ、生理用ナプキン等の吸収材、サイドギャザーや各種液体フィルター等が挙げられる。
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくら等の芯材、クッション材や表皮材・表皮裏打ち材、両面テープ基材、芳香剤、スタンプ台等の吸着媒体等が挙げられる。
発泡体の製造方法は、前述の発泡体用樹脂組成物を用いる方法であれば特に限定されない。発泡体の製造方法は、例えば、発泡体用樹脂組成物を型枠に充填した後に、型枠内で発泡、及び硬化を行うバッチ式であってもよく、連続的に移動する帯状の支持体上で、発泡体用樹脂組成物の発泡及び硬化を連続的に行う連続式であってもよい。支持体としては不織布を用いることができる。
このため、上記の発泡体用樹脂組成物は、完全な液状であるか、顔料(例えば、カーボンブラック)等の不溶分を少量しか含まない低粘度の組成とすることができる。
発泡体用樹脂組成物が低粘度である場合、1液、2液以上の多液型の発泡体用樹脂組成物を施工面に対して吐出して、施工面上で衝突混合させることにより、施工面上に被膜状の発泡体を形成することが可能である。
当該方法では、混合液において、化学発泡剤(B)の分解による発泡速度と、反応性ケイ素基間の反応による混合液の硬化反応の速度とが、発泡倍率が2倍以上60倍以下である発泡体が得られるように、それぞれ調整されるのが好ましい。
混合液の硬化反応の速度は、例えば、基材樹脂(A)が有する反応性ケイ素の種類、及び量、混合液中のシラノール縮合触媒(D)の種類及び含有量、混合液中の水(C)の含有量、並びに発泡体を製造する環境の温度等を適宜変更することにより調整することができる。
化学発泡剤(B)の分解による発泡速度と、混合液の硬化反応の速度とは、得られる発泡体の発泡倍率が2倍以上60以下であるように調整されるのが好ましく、発泡倍率が5倍以上40倍以下であるように調整されるのがより好ましい。
硬化及び発泡が完了する時間に特に制限はない。例えば、12分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。
乾燥の温度及び時間の条件は、発泡体用樹脂組成物に由来するか、硬化反応により副生する水、アルコール等を所望する程度まで低減できればよく、特に制約はない。乾燥条件は、例えば約80℃雰囲気下で約1時間であればよい。また、乾燥の温度及び時間の条件は、例えば約60℃雰囲気下で約12時間であってもよい。
ただし、前述の通り、化学発泡剤(B)として二炭酸ジエステルのみを用い、水(C)の使用量を低めに設定する場合、乾燥を行うことなく製品とすることが可能である。
なお、特に断りがない場合、実施例及び比較例での「部」及び「%」は、「重量部」及び「重量%」を示す。
<ポリマーA>
分子量約3,000のポリオキシプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が16,400(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)のヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこのヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンのヒドロキシ基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.5倍当量の3-クロロ-1-プロペンを添加して末端のヒドロキシ基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン重合体100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmを加え撹拌しながら、トリエトキシシラン3.3重量部をゆっくりと滴下し、90℃で2時間反応させた。さらにメタノール30重量部、HCl12ppmを添加して末端のエトキシ基をメトキシ基に変換した後、過剰のメタノールを除去することにより、末端にトリメトキシシリル基を1分子中に2.1個有する分岐状の反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンを得た。また、上記重合体のガラス転移温度は-60℃である。
<ポリマーB>
数平均分子量約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が27900(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)のヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンを得た。続いてこのヒドロキシ基末端ポリオキシプロピレンの水酸基に対して1.05倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに1.16倍当量の臭化プロパルギルを添加して末端の水酸基をプロパルギル基に変換した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンをn-ヘキサンと、水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端部位にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレンを得た。この重合体500gに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロピルアルコール溶液)150μL、及びトリメトキシシラン8.37gを添加し、90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去することにより、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28500のポリオキシプロピレンを得た。かかるポリオキシプロピレンは、プロパルギル基にトリメトキシシランが付加した末端構造を有する。得られたポリオキシプロピレンはトリメトキシシリル基を1分子中に平均2.0個有することが分かった。また、上記重合体のガラス転移温度は-60℃である。
<ポリマーD>
ポリマーA60重量部と、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体40重量部と、共重合体の溶媒であるイソブチルアルコール27重量部とを、ロータリーエバポレーターを用いて脱気及び均一混合して、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンとアクリル樹脂とのブレンドである固形分100%のポリマーDを得た。
上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/2EHA/SMA/TSMA/A189Zとして、65/24/1/10/8である。また、上記共重合体のガラス転移温度は43℃である。上記重合体の数平均分子量は、2,200(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
<ポリマーE>
ポリマーA60重量部と、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)、メタクリル酸ステアリル(SMA)、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(TSMA)、メタクリル酸tert-ブチル(tBMA)、及び(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(A189Z)の共重合体40重量部と、共重合体の溶媒であるイソブチルアルコール27重量部とを、を、ロータリーエバポレーターを用いて脱気及び均一混合して、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレンとアクリル樹脂とのブレンドである固形分100%のポリマーEを得た。
上記共重合体の共重合比率(質量比)は、MMA/BA/2EHA/SMA/TSMA/tBMA/A189Zとして、64/0.3/0.3/10/10/15/7.2である。また、上記共重合体のガラス転移温度は70℃である。上記重合体の数平均分子量は、2,300(送液システムとして東ソー製HLC-8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)である。
基材樹脂(A)[ポリマーA]100重量部、二炭酸ジエステル(B-1)[富士フイルム和光純薬(株)製、二炭酸ジエチル]10重量部、及び水(C)2重量部を添加し、十分に混合して第1液を作製した。
この第1液112重量部に、整泡剤[エボニックジャパン(株)製、テゴスターブBF2470]2重量部、シラノール縮合触媒(D)[日東化成(株)製、ネオスタンU200(ジブチル錫ジアセテート)]6重量部、及びシラノール縮合触媒[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]4重量部を添加し、室温(23℃雰囲気)下で、容積の目盛がついた樹脂製のカップ内で合計10ccとなるよう調合し、幅10mmスパチュラで10秒間手撹拌し、発泡させた。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率と、発泡体の密度とを表1に記す。また、撹拌開始から24時間後の発泡倍率を表1に記す。
基材樹脂(A)[ポリマーC、ジメトキシ(メチル)シリルメチルカルバメート末端を有するポリエーテル、WACKER CHEMIE社製、GENIOSIL(登録商標)STP E-10]100重量部、二炭酸ジエステル(B-1)[富士フイルム和光純薬(株)製、二炭酸ジエチル]10重量部、及び水(C)2重量部を添加し、十分に混合して第1液を作製した。ポリマーCは室温で液状である。ポリマーCのガラス転移温度は-60℃である。
この第1液112重量部に、整泡剤[エボニックジャパン(株)製、テゴスターブBF2470]2重量部、シラノール縮合触媒(D)[日東化成(株)製、ネオスタンU200(ジブチル錫ジアセテート)]6重量部、及びシラノール縮合触媒[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]1.2重量部を添加し、室温(23℃雰囲気)下で、容積の目盛がついた樹脂製のカップ内で合計10ccとなるよう調合し、幅10mmスパチュラで10秒間手撹拌し、発泡させた。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率と、発泡体の密度とを表1に記す。また、撹拌開始から24時間後の発泡倍率を表1に記す。
基材樹脂(A)をポリマーA100重量部から、ポリマーA80重量部及びポリマーB20重量部に変えることと、水(C)の使用量を2重量部から4重量部に変えることとの他は、比較例1と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
第1液において、水(C)の量を4重量部から2重量部に変えることと、シラノール縮合触媒[DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)]の量を4重量部から1.2重量部に変えることとの他は、実施例1と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
第1液において、水(C)を用いないことの他は、実施例1と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
ポリマーDをポリマーEに変えることの他は、実施例2と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
ポリマーAをポリマーBに変えることの他は、実施例4と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
ポリマーAをポリマーCに変えることの他は、実施例4と同様に、第1液の調製と、発泡体の調製とを行った。撹拌開始から5分経過後の発泡倍率及び発泡体の密度と、撹拌開始から24時間経過後の発泡倍率とを表1に記す。
他方、基材樹脂(A)として、ガラス転移温度が35℃未満である低Tg樹脂(A2)のみを含む発泡体用樹脂組成物を用いた比較例1では、発泡開始から24時間後において発泡体の大幅なシュリンクが生じた。
Claims (14)
- 基材樹脂(A)と、化学発泡剤(B)と、シラノール縮合触媒(D)とを含む発泡体用樹脂組成物であって、
前記基材樹脂(A)が反応性ケイ素基を有し、
前記基材樹脂(A)が、ガラス転移温度が35℃以上である高Tg樹脂(A1)と、ガラス転移温度が35℃未満である低Tg樹脂(A2)とを組み合わせて含み、
前記高Tg樹脂(A1)がアクリル樹脂であり、
前記低Tg樹脂(A2)がポリオキシアルキレン系重合体である、発泡体用樹脂組成物。 - 前記低Tg樹脂(A2)のガラス転移温度が、-10℃以下である、請求項1に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記反応性ケイ素基が、トリメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、下記式(1)~(3):
で表される基、及び下記式(4):
-R5-CH2-Si(R1)3-a(X)a (4)
(式(4)中、R1、及びaは、式(1)~式(3)におけるR1、及びaと同様であり、R5はヘテロ原子である。)
で表される基からなる群から選択される基である、請求項1又は2に記載の発泡体用樹脂組成物。 - 前記基材樹脂(A)が、主鎖構造において分岐を有し、且つ3つ以上の末端を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記化学発泡剤(B)が、二炭酸ジエステル(B-1)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記二炭酸ジエステル(B-1)の含有量が、前記基材樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上50重量部以下である、請求項5に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記シラノール縮合触媒(D)が、中性又は弱酸性の触媒である、請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記シラノール縮合触媒(D)が、錫含有触媒を含む、請求項7に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記錫含有触媒が、下記式(D1)で表される化合物、又は下記式(D2)で表される構成単位からなるオリゴマー又はポリマーである、中性又は弱酸性のジアルキル錫ジカルボキシレートである、請求項8に記載の発泡体用樹脂組成物。
(Rd1)(Rd2)(Rd3COO)(Rd4COO)Sn・・・(D1)
-(-(Rd1)(Rd2)Sn-OCORd5COO-)-・・・(D2)
(式(D1)及び式(D2)において、Rd1及びRd2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Rd1及びRd2は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、Rd3及びRd4は、それぞれ、炭素原子数1以上40以下の有機基であり、Rd5は、炭素原子数1以上40以下の2価の有機基である。) - 前記シラノール触媒(D)の使用量が、前記基材樹脂(A)100重量部に対して、0.05重量部以上20重量部以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 前記基材樹脂(A)と、前記化学発泡剤(B)とを含む第1液と、前記シラノール縮合触媒(D)を含む第2液とからなる、2液型の組成物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させてなる発泡体。
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させることを含む、発泡体の製造方法。
- 前記発泡体用樹脂組成物が、請求項11に記載の前記発泡体用樹脂組成物であり、
前記発泡体用樹脂組成物を発泡及び硬化させることが、前記第1液と、前記第2液とを混合することを含む、請求項13に記載の発泡体の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061384A JP7320364B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 |
PCT/JP2020/014160 WO2020196864A1 (ja) | 2019-03-27 | 2020-03-27 | 発泡体、吸音材、樹脂組成物、吸音方法、吸音構造体、吸音構造体の製造方法、吸音材の製造方法、建築物、及び車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061384A JP7320364B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020158695A JP2020158695A (ja) | 2020-10-01 |
JP7320364B2 true JP7320364B2 (ja) | 2023-08-03 |
Family
ID=72641968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019061384A Active JP7320364B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7320364B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005007745A1 (ja) | 2003-07-18 | 2005-01-27 | Kaneka Corporation | 硬化性組成物 |
JP2005290274A (ja) | 2004-04-01 | 2005-10-20 | Sekisui Chem Co Ltd | 硬化性組成物 |
JP2013237815A (ja) | 2012-05-17 | 2013-11-28 | Kaneka Corp | 硬化性組成物およびその硬化物 |
WO2016021630A1 (ja) | 2014-08-06 | 2016-02-11 | 株式会社カネカ | 変成シリコーン樹脂発泡体 |
WO2017119396A1 (ja) | 2016-01-08 | 2017-07-13 | 株式会社カネカ | 変成シリコーン樹脂発泡体 |
JP2019137827A (ja) | 2018-02-13 | 2019-08-22 | 株式会社カネカ | 吸音方法、及び吸音材 |
WO2019235034A1 (ja) | 2018-06-07 | 2019-12-12 | 株式会社カネカ | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-27 JP JP2019061384A patent/JP7320364B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005007745A1 (ja) | 2003-07-18 | 2005-01-27 | Kaneka Corporation | 硬化性組成物 |
JP2005290274A (ja) | 2004-04-01 | 2005-10-20 | Sekisui Chem Co Ltd | 硬化性組成物 |
JP2013237815A (ja) | 2012-05-17 | 2013-11-28 | Kaneka Corp | 硬化性組成物およびその硬化物 |
WO2016021630A1 (ja) | 2014-08-06 | 2016-02-11 | 株式会社カネカ | 変成シリコーン樹脂発泡体 |
WO2017119396A1 (ja) | 2016-01-08 | 2017-07-13 | 株式会社カネカ | 変成シリコーン樹脂発泡体 |
JP2019137827A (ja) | 2018-02-13 | 2019-08-22 | 株式会社カネカ | 吸音方法、及び吸音材 |
WO2019235034A1 (ja) | 2018-06-07 | 2019-12-12 | 株式会社カネカ | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020158695A (ja) | 2020-10-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3178872B1 (en) | Modified silicone resin foamed body | |
US11104776B2 (en) | Liquid resin composition | |
JP6669778B2 (ja) | 変成シリコーン樹脂発泡体 | |
JP7194734B2 (ja) | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 | |
WO2020196864A1 (ja) | 発泡体、吸音材、樹脂組成物、吸音方法、吸音構造体、吸音構造体の製造方法、吸音材の製造方法、建築物、及び車両 | |
JP2009074041A (ja) | 発泡体及びその製造方法 | |
JP7141269B2 (ja) | 吸音方法、及び吸音材 | |
JP7320364B2 (ja) | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 | |
JP2019163436A (ja) | 樹脂組成物、発泡体及び発泡体の連続製造方法 | |
JP7412891B2 (ja) | 発泡体、吸音材、建築物、及び車両 | |
JP2018162368A (ja) | 変成シリコーン樹脂発泡体 | |
JP2022054103A (ja) | 発泡体用樹脂組成物、発泡体、及び発泡体の製造方法 | |
JP2019210424A (ja) | 液状樹脂組成物、及び発泡体 | |
JP2024032476A (ja) | 樹脂組成物の製造方法 | |
JP2024032477A (ja) | 樹脂組成物の製造方法 | |
JP2019210425A (ja) | 多孔体の製造方法、及び多孔体 | |
JP2024017371A (ja) | 発泡体用樹脂組成物およびその利用 | |
JP7053315B2 (ja) | 断熱材、及び、断熱材の製造方法 | |
JP5611856B2 (ja) | 発泡性液状樹脂組成物および発泡体 | |
JP5756624B2 (ja) | 発泡性液状樹脂組成物および発泡体 | |
JPH0547573B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230207 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230406 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230627 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230724 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7320364 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |