JP2018162368A - 変成シリコーン樹脂発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた触感、柔軟性、表面性および離型性に優れ、副生成物として水素の発生を伴わない発泡成形が可能な変成シリコーン樹脂発泡体を提供する。【解決手段】本発明は、基材樹脂(A)100重量部、シラノール縮合触媒(B)0.1〜5重量部、化学発泡剤(C)2〜40重量部、潤滑剤(D)0.5〜30重量部を含む発泡性液状樹脂組成物が硬化した変成シリコーン樹脂発泡体であって、基材樹脂(A)が、特定の重合体(a)65〜95重量%と特定の反応性可塑剤(b)5〜35重量%とからなり、潤滑剤(D)が、特定の動粘度のヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含むものであることを特徴とする変成シリコーン樹脂発泡体。【選択図】なし

Description

本発明は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する重合体、シラノール縮合触媒、および、化学発泡剤を含む発泡性液状樹脂組成物を硬化してなる変成シリコーン樹脂発泡体に関する。
高分子化合物の発泡体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いた発泡体が知られている。かかる発泡体は、ビーズ、シート、あるいはボードとして、その断熱性、軽量性、緩衝性等の特性を活かし、土木建築分野、包装分野、家電分野、自動車分野等に利用されている。これらはいずれも、成形体とするのに大規模な設備を必要とする。これらはまた、一般的に硬質の発泡体である。
液状樹脂組成物を硬化・発泡してなる熱硬化性樹脂を用いた発泡体として、ポリウレタンの発泡体がよく知られている。ポリウレタンの発泡体は、小規模な設備で簡単に成形でき、軟質の発泡体も作製可能である(特許文献1)。しかし、該ポリウレタン発泡体は、充分な柔軟性と、良好な触感とを有するとは言えない。そこで、成形が容易であり、かつ柔軟で触感の良い発泡体が望まれている。
一方、変成シリコーン樹脂を用いても、条件によっては発泡体を作製することが可能である。特許文献2では、変成シリコーン樹脂と予め発泡させた中空粒子とを含む硬化性組成物が開示されているが、作製された硬化物は発泡体ではなく、高硬度で柔軟性に欠ける。また、特許文献3では、変成シリコーン樹脂と添加剤とを含む硬化性組成物が開示されているが、作製された硬化性組成物は高い伸び率を維持するものの発泡させておらず充分な柔軟性がないため、触感が良いとは言えない。特許文献4では、従来の軟質発泡体であるポリウレタンの発泡体よりも触感が良好で、低硬度、低反発弾性率といった優れた柔軟性を有しており、寝具や各種クッション材等の素材として好適である変成シリコーン樹脂発泡体が開示されている。特許文献5では、衣料等に用いられる衝撃吸収体として好適に使用される、低密度で柔軟性および衝撃吸収性に優れた、シリコーン系重合体を基材樹脂とする発泡体が開示されている。ただし、特許文献4および5に記載の発泡体では、硬化反応としてヒドロシリル化反応を用いており、使用形態によっては、発泡体作製時に爆発の危険性が高い水素ガスが副生成物として発生する可能性がある。
特開2014−162813号公報 特開2013−237815号公報 特開1999−241013号公報 特開2012−122021号公報 国際公開第2008/117734号
以上に鑑み、本発明の目的は、優れた触感、柔軟性、表面性および離型性に優れ、副生成物として水素の発生を伴わない発泡成形が可能な変成シリコーン樹脂発泡体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に関して鋭意検討を行った結果、反応性ケイ素基を有し、主鎖を構成する単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体を、シラノール縮合触媒、化学発泡剤および潤滑剤と組み合わせることにより、発泡体作製時に爆発の危険性が高い水素ガスを副生成物として発生することなく高い柔軟性かつ良好な表面性を有する変成シリコーン樹脂発泡体が得られることを見出し、発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
1)基材樹脂(A)100重量部、シラノール縮合触媒(B)0.1〜5重量部、化学発泡剤(C)2〜40重量部、潤滑剤(D)0.5〜30重量部を含む発泡性液状樹脂組成物が硬化した変成シリコーン樹脂発泡体であって、基材樹脂(A)が、重合体(a)65〜95重量%と反応性可塑剤(b)5〜35重量%とからなり、重合体(a)が、反応性ケイ素基を分子鎖中に1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなり、反応性可塑剤(b)が、反応性ケイ素基を分子鎖の片末端に1.0個未満有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなり、潤滑剤(D)が、動粘度が25℃雰囲気下において100mm2/s以上15000mm2/s以下である、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含むものであることを特徴とする変成シリコーン樹脂発泡体。
2)潤滑剤(D)が、さらにヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)を含むことを特徴とする1)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
3)潤滑剤(D)が、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)20〜80重量%と、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)20〜80重量%とからなることを特徴とする1)または2)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
4)前記重合体(a)が、数平均分子量3000以上100000以下の重合体であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
5)前記反応性可塑剤(b)が、数平均分子量2000以上20000以下の重合体であることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
6)シラノール縮合触媒(B)が有機酸性リン酸エステル化合物であることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
7)前記シラノール縮合触媒(B)が、一般式(1):
(Cm2m+1O)n−P(=O)(−OH)3-n
(式中、mは4〜10の整数、nは0〜2の整数である。)で示される有機酸性リン酸エステル化合物であることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
8)前記化学発泡剤(C)が、重炭酸塩と有機酸と有機酸塩、重炭酸塩と有機酸、および、重炭酸塩と有機酸塩から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
9)前記有機酸が、多価カルボン酸であることを特徴とする8)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
10)前記有機酸塩が多価カルボン酸の金属塩であることを特徴とする8)または9)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
11)前記ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)の動粘度が、25℃雰囲気下において5mm2/s以上10000mm2/s以下であることを特徴とする2)〜10)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
12)密度が10kg/m3以上900kg/m3以下であることを特徴とする1)〜11)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
13)1)〜12)のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
14)前記発泡性液状樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化させると同時に発泡させることを特徴とする13)に記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、優れた触感、柔軟性、表面性および離型性に優れ、成形時に副生成物として水素の発生を伴わない。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、優れた触感・柔軟性を有することから寝具、各種クッション材、等の用途向け素材として好適に使用される。また、発泡体作製の際に、反応中においても爆発の危険性が高い水素ガスが発生しないため、設備的な負担が小さい設備にて発泡体を作製することが可能である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、基材樹脂(A)100重量部、シラノール縮合触媒(B)0.1〜5重量部、化学発泡剤(C)2〜40重量部、潤滑剤(D)0.5〜30重量部を含む発泡性液状樹脂組成物の硬化物からなる。基材樹脂(A)は、重合体(a)65〜95重量%と反応性可塑剤(b)5〜35重量%とからなる。重合体(a)は、反応性ケイ素基を分子鎖中に1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなる。反応性可塑剤(b)は、反応性ケイ素基を分子鎖の片末端に1.0個未満有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなる。潤滑剤(D)は、動粘度が25℃雰囲気下において100mm2/s以上15000mm2/s以下である、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含むものである。
<発泡性液状樹脂組成物>
発泡性液状樹脂組成物の構成成分である、基材樹脂(A)、シラノール縮合触媒(B)、化学発泡剤(C)、潤滑剤(D)について記述する。
<基材樹脂(A)>
基材樹脂(A)は、重合体(a)65〜95重量部と反応性可塑剤(b)5〜35重量部とからなる。重合体(a)は、分子鎖中に反応性ケイ素基を1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。重合体(a)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、架橋することによって高分子状となり、硬化する。反応性可塑剤(b)は、分子鎖の片末端に反応性ケイ素基を1.0個未満有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。ここで片末端とは、末端が多数存在する場合は、一つの末端を意味する。反応性可塑剤(b)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、重合体(a)中の反応性ケイ素基と架橋することによって高分子状となり、硬化する。
重合体(a)に含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖中に1.0個以上2.0個以下である。シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも1.0個必要であり、好ましくは1.1個以上、より好ましくは1.2個以上存在するのが好ましい。平均1.0個未満の場合、硬化性が不十分になり、2.0個を超えると、硬化物が硬くなることがある。また、硬化性、柔軟性の点からは、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の両末端に反応性ケイ素基が存在するのが好ましい。
反応性可塑剤(b)に含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖の片末端に1.0個未満である。シラノール縮合触媒(B)によって重合体(A)と部分的に縮合反応して架橋するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも0.3個必要であり、好ましくは0.4個以上、より好ましくは0.5個以上存在するのがよい。平均0.3個未満の場合、硬化性が不十分になり、1.0個を超えると、硬化物が硬くなることがある。また、柔軟性の点からは、主鎖もしくは分岐部の分子鎖の片末端に反応性ケイ素基が存在するのが好ましい。
反応性ケイ素基の平均個数は、1H−NMR機器を用いて定量する方法により求めることができる。
基材樹脂(A)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、一般式(2):
−SiR1 3-pp (2)
(R1は、それぞれ独立に炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、−OSi(R’)3(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。さらに、pは1から3の整数である)で表される基が挙げられる。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、および、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
加水分解性基やヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1から3個の範囲で結合することができる。加水分解性基やヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
上記一般式(2)におけるpは、硬化性の点から、2または3であることが好ましく、特に速硬化性を求める場合には3であることが好ましく、貯蔵中の安定性を求める場合には2であることが好ましい。
上記一般式(2)におけるR1の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R’がメチル基、フェニル基等である−OSi(R’)3で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましい。
基材樹脂(A)の構造としては、直鎖状であっても、分岐が主鎖の分子量よりも少ない範囲で分岐構造を有していても構わないが、直鎖状であるほうが柔軟性の観点から好ましい。
重合体(a)の分子量は、柔軟性・触感および反応性のバランスの点から、数平均分子量として、3000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。数平均分子量の上限値には特に限定は無いが、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。数平均分子量が3000未満であると、粘度が低くなり、硬化反応が進み難いだけでなく、触感にも悪影響を及ぼす可能性がある。数平均分子量が100000を超えると、触感に悪影響を及ぼすだけでなく、粘度が高くなり作業性が悪化する可能性がある。
反応性可塑剤(b)の分子量は、反応性のバランスの点から、数平均分子量として、2000以上20000以下であることが好ましく、3000以上15000以下であることがより好ましい。数平均分子量が2000未満であると、粘度が低くなり、硬化反応が遅くなり、発泡反応が先に終了し発泡倍率の低い発泡体となる可能性がある。数平均分子量が20000を超えると、粘度が高くなり、触感にも悪影響を及ぼし可塑剤として機能しない可能性がある。なお、数平均分子量は、GPCを用いた標準ポリスチレン換算法により算出できる。
また、重合体(a)は、2種類以上の重合体の組み合わせからなるものでもよい。 重合体(a)が2種類以上の重合体の混合物である場合は、混合物の数平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
なお、柔軟性、触感、架橋構造等の調整を目的として、重合体(a)に、上記以外の重合体を添加してもよい。
主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される基材樹脂(A)は、主鎖を形成する出発物質として活性水素を2個以上有する化合物を使用し、アルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等を出発物質として用い、C2〜C4のアルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。
基材樹脂(A)の主鎖の具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドから選ばれる2種以上のモノマーのランダムまたはブロック共重合体、等が挙げられる。基材樹脂(A)は、これらの群より選ばれる主鎖の少なくとも1種の末端に、アルケニル基を導入することが好ましい。柔軟性、および触感の点から、主鎖の繰返し単位は、ポリプロピレンオキシドであることがより好ましい。
重合体の主鎖骨格に反応性ケイ素基を導入する方法としては、特に限定されず、例えば、国際公開第2014/073593号に記載された公知の方法で行うことができる。
<シラノール縮合触媒(B)>
反応性ケイ素基を有し、主鎖を構成する単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体を反応させるシラノール縮合触媒としては、シラノール縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。
このようなシラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート等のジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドとジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、バーサチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、等の脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはバーサチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CH3O)2−P(=O)(−OH)、(CH3O)−P(=O)(−OH)2、(C25O)2−P(=O)(−OH)、(C25O)−P(=O)(−OH)2、(C37O)2−P(=O)(−OH)、(C37O)−P(=O)(−OH)2、(C49O)2−P(=O)(−OH)、(C49O)−P(=O)(−OH)2、(C817O)2−P(=O)(−OH)、(C817O)−P(=O)(−OH)2、(C1021O)2−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)2、(C1327O)2−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)2、(C1633O)2−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C612O)2−P(=O)(−OH)、(HO−C612O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C816O)2−P(=O)(−OH)、(HO−C816O)−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)CH2O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)CH2O]−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)C24O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)C24O]−P(=O)(−OH)2等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
上記に挙げられるシラノール縮合触媒(B)の中でも、特に、化学発泡剤(C)による発泡反応を阻害せず硬化反応も阻害されない、すなわち、発泡反応と硬化反応の両方をバランス良く進行させるという観点からは、有機酸性リン酸エステル化合物が好ましい。有機酸性リン酸エステル化合物としては、一般式(1):
(Cm2m+1O)n−P(=O)(−OH)3-n
(式中、mは4〜10の整数、nは0〜2の整数である。)で表される構造を有する化合物がより好ましい。mが4より小さいと、硬化反応の進行が遅く、発泡反応とのバランス調整が困難となり未硬化の発泡体となる傾向がある。
発泡性液状樹脂組成物におけるシラノール縮合触媒(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であり、0.1〜3重量部が好ましく、0.1〜2.5重量部がより好ましい。シラノール縮合触媒(B)の含有量が0.1重量部より少ないと、十分に硬化が進行しない場合がある。また、シラノール縮合触媒(B)の含有量が5重量部よりも多いと、液状樹脂組成物の硬化の制御が困難な場合や、得られた変成シリコーン樹脂発泡体が着色する場合がある。
<化学発泡剤(C)>
本発明では、化学発泡剤(C)としては特に限定されないが、重炭酸塩と有機酸と有機酸塩、重炭酸塩と有機酸、および、重炭酸塩と有機酸塩から選ばれるいずれかの組み合わせが好ましい。重炭酸塩と有機酸と有機酸塩、重炭酸塩と有機酸、または、重炭酸塩と有機酸塩からなる化学発泡剤は、本発明での基材樹脂(A)のシラノール縮合触媒(B)による硬化反応(シラノール縮合反応)と併行して、炭酸ガスを発生する化合物であり、水素等の可燃性ガスが発生しないため、防火・防爆仕様の設備にすることなく、発泡体を製造することができる。
重炭酸塩としては、特に限定されないが、基材樹脂(A)のシラノール縮合触媒(B)による硬化反応(シラノール縮合反応)が適切に進行する温度領域で分解することが好ましいことから、炭酸水素ナトリウム、および、炭酸水素アンモニウムが好ましい。
有機酸としては多価カルボン酸が好ましい。具体例として、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
有機酸塩としては、多価カルボン酸の金属塩であることが好ましい。具体例として、前記有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルミニウム、亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
重炭酸塩、有機酸、および、有機酸塩は、それぞれ、1種を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
発泡性液状樹脂組成物における化学発泡剤(C)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して2〜40重量部であり、5〜30重量部が好ましい。化学発泡剤(C)の含有量が2重量部より少ないと、十分な発泡が起こらないまま硬化が進行し、柔軟性に乏しい発泡倍率の低い発泡体となる場合がある。化学発泡剤(C)の含有量が40重量部よりも多いと、硬化に比べ発泡が著しく起こり、発泡セルが大きくなる等不良な発泡体となる場合がある。
基材樹脂(A)100重量部に対する重炭酸塩の含有量は、1重量部以上36重量部以下が好ましく、2重量部以上25重量部以下がより好ましい。
また、重炭酸塩と有機酸および/または有機酸塩の重量比率((重炭酸塩)/(有機酸+有機酸塩)、(重炭酸塩)/(有機酸)、または、(重炭酸塩)/(有機酸塩))が1/10以上10以下であることが好ましく、1/5以上5以下であることがより好ましい。重炭酸塩の含有量が1重量部未満、または、重炭酸塩と有機酸および/または有機酸塩の重量比率が1/10未満では、熱分解による炭酸ガスの発生量が少なく、発泡倍率が低下する傾向にある。重炭酸塩の含有量が36重量部より多い、または、重炭酸塩と有機酸および/または有機酸塩の重量比率が10を超えると、熱分解による炭酸ガスの発生量が多く、発泡と硬化のバランスが崩れ、発泡セルが大きくなる等不良な発泡体となる場合がある。
他の化学発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、テトラゾール化合物、トリヒドラジノトリアジン等の有機系熱分解型発泡剤、炭酸塩、亜硝酸塩等の無機系熱分解型発泡剤等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、バリウムアゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられる。
ニトロソ化合物としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、例えば、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等が挙げられる。
セミカルバジド化合物としては、例えば、p−トルエンスルホニルセミカルバジドが挙げられる。
テトラゾール化合物としては、例えば、5−フェニルテトラゾール、1−Hテトラゾール塩、1,4−ビステトラゾール等が挙げられる。
炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸アンモニウムが挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における化学発泡剤(C)として、熱膨張性マイクロカプセルを用いることもできる。熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性のシェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性液体を内包しており、加熱されると、揮発性液体がガス状になるとともに、シェルポリマーが軟化して膨張する。
<潤滑剤(D)>
本発明の変性シリコーン樹脂発泡体は潤滑剤(D)を含有し、潤滑剤(D)は、動粘度が25℃雰囲気下において100mm2/s以上15000mm2/s以下である、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含む。潤滑剤(D)を使用することで、発泡性液状樹脂組成物を発泡してなる発泡体の発泡セル内における摩擦や粘着を少なくし、所望の触感や柔軟性を有する発泡体を得ることができる。また、潤滑剤は、基材樹脂(A)間のシラノール縮合反応によって形成される三次元網目構造体に保持されて、発泡体系外へのブリードアウトが抑えられる傾向にあるため、長期間にわたって触感や柔軟性を維持することが可能となる。
潤滑剤(D)は、液状であることが好ましい。液状の潤滑剤の具体的な例としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、脂肪酸グリセライド等の動植物油;ポリ−1−デセン、ポリブテン等のアルキル構造を有するオレフィン系潤滑剤;アラルキル構造を有するアルキル芳香族化合物系潤滑剤;ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテル、パーフロロポリエーテル、ポリフェニルエーテル等のエーテル系潤滑剤;脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有するエステル系潤滑剤;ジメチルシリコーン(すなわち、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン)、およびジメチルシリコーンのメチル基の一部をポリエーテル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルキル基、アラルキル基、フッ素化アルキル基等で置換したシリコーンオイル等のシリコーン系潤滑剤;クロロフルオロカーボン等のフッ素原子含有系潤滑剤等が挙げられる。
これらのうち本発明では、発泡セル内における摩擦係数の低下や分散性、加工性、安全性等の観点から、特にシリコーン系潤滑剤が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるシリコーン系潤滑剤(D)は、分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基との反応性を有する、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含む。基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基と反応することにより、潤滑剤の発泡体系外へのブリードアウトが抑えられ、長期間にわたってその配合効果を保持できる。
また、分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基との反応性を有する官能基を含有するシリコーン系潤滑剤(D)として、他のオルガノポリシロキサン系潤滑剤をさらに含んでいてもよい。反応性官能基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、両末端ビニルポリジメチルシロキサン、両末端ビニルジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー、両末端ビニルフェニルメチルシロキサン、トリメチルシリル基封鎖ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルT−構造ポリマー、ビニル基含有環状ジメチルポリシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、ヒドロキシ基末端ポリジメチルシロキサン等のシラノール基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
本発明における潤滑剤(D)は、発泡セル内における摩擦係数や、得られる発泡体の触感の柔軟性の調整を目的として、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いても良く、例えば、分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基と反応性を有するヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)と分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基と反応性を有さない(ヒドロキシ基を有さない)シリコーン系潤滑剤(d)とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明におけるヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)は、発泡セル内における摩擦係数低下効果や、得られる発泡体の触感の柔軟性の面から、25℃での動粘度が100mm2/s以上15000mm2/s以下である。10000mm2/s以下であることが好ましく、5000mm2/s以下であることがさらに好ましい。
また、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)は、得られる発泡体から潤滑剤のブリードアウトが少なく、発泡体の感触と柔軟性の面から、25℃での動粘度が5mm2/s以上10000mm2/s以下であることが好ましく、より好ましくは10mm2/s以上、さらには30mm2/s以上、特に50mm2/s以上であることが好ましい。
なお、25℃における動粘度は、ASTM D 445−46Tによるウッベローデ粘度計により測定できる。
潤滑剤(D)の添加量は、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜30重量部である。1重量部以上が好ましく、2重量部以上がさらに好ましい。0.5重量部未満では、発泡セル内の摩擦や粘着の抑制が不十分となり、所望の触感や柔軟性が得られ難い。潤滑剤(D)の上限値は20重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、発泡体の発泡倍率が低下したり、潤滑剤(D)の系外へのブリードアウトが発生する傾向がある。
ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)とヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)は、発泡体の硬化反応中に重量比率が1/10以上10以下であることが好ましく、1/7以上7以下がより好ましく、1/5以上5以下がさらに好ましい。重量比率が1/10より小さくなると、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)の割合が大きくなり、分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基と反応しないために、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)の系外へのブリードアウトが経時的に発生する傾向がある。重量比率が10より大きくなると、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)の割合が大きく、分子中に基材樹脂(A)末端の反応性ケイ素基と反応性を有するヒドロキシ基の割合が大きくなり、発泡体の発泡セル内における摩擦や粘着が軽減されにくくなり、所望の触感を有する発泡体を得ることが困難となる。
<その他添加剤>
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体には、本発明の効果を損なわない限り、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤等を必要に応じて添加してもよい。
前記耐光性安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、およびイオウ原子、リン原子、1級アミン、2級アミンを含まないヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ここで、耐光性安定剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能、または、光吸収により生成したラジカルを捕捉して熱エネルギーに変換し無害化する機能等を有し、光に対する安定性を高める化合物である。
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が例示される。ここで 、紫外線吸収剤とは、紫外線領域の波長の光を吸収してラジカルの生成を抑制する機能を有する化合物である。
耐光性安定剤、紫外線吸収剤の添加量としては、経時的な表面粘着性の上昇を抑制する効果が得やすいことから、それぞれ、基材樹脂(A)100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、0.1 重量部以上3重量部以下がより好ましく、0.3重量部以上2.0重量部以下がさらに好ましい。
前記貯蔵安定性改良剤の好ましい例としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられる。
気泡調整剤の種類には特に限定はなく、通常使用される、例えば、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ等の無機固体粉末や、ポリエーテル変成シリコーンオイル等のシリコーンオイル系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
気泡調整剤の使用量は、基材樹脂(A)とシラノール縮合触媒(B)の合計量100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下が好ましく、0.5重量部以上50重量部以下がより好ましい。
<変成シリコーン樹脂発泡体>
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、密度が900kg/m3以下であることが好ましく、500kg/m3以下がより好ましく、350kg/m3以下がさらに好ましく、300kg/m3以下が特に好ましく、250kg/m3以下が最も好ましい。密度が900kg/3以下であると、例えば、寝具やクッション等として製品化した場合、比較的軽量であり日常的な持ち運びが楽になるものと想定される。発泡体の密度の下限は、特に限定するものではないが、10kg/m3以上が好ましく、50kg/m3以上がより好ましく、100kg/m3以上がさらに好ましく、150kg/m3以上が特に好ましい。10kg/m3未満であると、寝具やクッション等として使用する際、圧縮により底付きする場合がある。
本発明の変成シリコーン樹脂発泡体は、25℃雰囲気下におけるASKER FP硬度が60以下であることが好ましい。ASKER FP硬度は、ASKER FP硬度計による測定で得られる値である。ASKER FP硬度は、40以下であることがさらに好ましく、0であることが特に好ましい。60以下であれば、柔軟な触感であるといえる。
変成シリコーン樹脂発泡体の形態としては、特に限定するものではないが、例えば板状、シート状、不定形塊状、ビーズ状、あるいは袋状や衣服の形態に成形したもの等が挙げられる。
発泡体は単独で用いてもよく、ウレタン発泡体等の他種発泡体やゲル、プラスチック、ゴム、フィルム、布や不織布等の繊維製品、紙等の素材と一体として用いてもよい。
またさらには、本発明の変成シリコーン樹脂発泡体の表面に綿、アクリル繊維、毛、ポリエステル繊維等でできた布や不織布を、適宜、接着剤を使って貼り合わせてもよい。この様に貼り合わせることで、発泡体の触感をさらに良好にし、さらに、用途によっては運動時や高温・多湿時の発汗時にこの張り合わされた生地によって吸汗作用を施すことができる。
変成シリコーン樹脂発泡体の形状としては、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、ひし形等の多角形や、短冊状やドーナツ型の内部がくりぬいてあるもの、表面に任意の凹凸を付けたもの等が挙げられる。
また、通気性を持たせるために、適宜貫通孔をあけてもよい。
変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法は、特に限定はないが、発泡性液状樹脂組成物を型枠に注入してから発泡および硬化させてもよい。また、発泡性液状樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化させると同時に発泡させてもよい。
具体的には、以下のように製造できる。
発泡性液状樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、基材樹脂(A)、シラノール縮合触媒(B)および化学発泡剤(C)、さらに、必要に応じてその他の添加剤を攪拌混合して製造する。混合順序も特に限定されず、これらの成分を一緒に混合してもよいが、基材樹脂(A)と化学発泡剤(C)、さらに、必要に応じてその他の添加剤を混合しておき、最後にシラノール縮合触媒(B)を加えることが好ましい。複数の基材樹脂(A)を組み合わせて使用する場合は、同時に添加すればよい。
硬化前に発泡させる場合、例えば、予め膨張済みの熱膨張性マイクロカプセル、基材樹脂(A)、さらに、必要に応じてその他の添加剤を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を加えればよい。複数の基材樹脂(A)を組み合わせて使用する場合は、同時に添加すればよい。
続いて、発泡性液状樹脂組成物を型枠に注入する、あるいは、ベルトコンベア上の基材に垂らす、等した後、加熱することで、硬化と発泡が進行し、変成シリコーン樹脂発泡体が得られる。
加熱温度は特に制約はないが、例えば25℃以上250℃以下、加熱時間は特に制約はないが、例えば1分以上6時間以下、好ましくは10分以上3時間以下の加熱で本発明の変成シリコーン樹脂発泡体が得られる。
変成シリコーン樹脂発泡体は、柔軟性が高く触感が良いため、このような物性を有効に発揮できる様々な用途に使用することが可能である。また、イソシアネートを使用していないことから、例えば、防音材、制振材、クッション材等として、輸送機器、寝具・寝装品、家具、各種機器、建材、包装材、医療・介護等の用途に好適に利用できる。
変成シリコーン樹脂発泡体の優れた触感や柔軟性を有効に発揮できる用途として、例えば輸送機器用途としては、自動車・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、バイク・自転車等のサドル・ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、天井材、ハンドル、ドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、ピラー、コンソールボックス、クォータートリム、サンバイザー、フレキシブルコンテナー、フロントミラー、ハーネス、ダストカバー等の芯材や表皮材・表皮裏打ち材、フロアクッション等の制振吸音材、ヘルメット内張り、クラッシュパッド、センタピラガーニッシュ等の緩衝材、エネルギー吸収バンパー、ガード防音材、車両ワックス用スポンジ等が挙げられる。
寝具・寝装品用途としては、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくら等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
家具用途としては、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッション等の各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マット等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材等が挙げられる。
各種機器用途としては、液晶、電子部品等のシール・緩衝材、ロボットの皮膚、導電性クッション材、帯電防止性クッション材、圧力感知材等が挙げられる。
建材用途としては、床や屋根等の断熱材、床や壁等の衝撃吸収材等が挙げられる。
包装材用途としては、緩衝材、クッション材、衝撃吸収材等の梱包資材が挙げられる。
医療・介護用途としては、再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、低周波治療器用電極パッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、入れ歯台、その他、歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材等にも利用できるものである。
その他、例えば下記の用途を挙げることができる。
各種洗浄用スポンジ用途としては、清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナー等が挙げられる。
トイレタリー用途としては、オムツ、生理用ナプキン等の吸収材、サイドギャザーや各種液体フィルター等が挙げられる。
履物用途としては、靴の表皮材、裏打ち、中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷等が挙げられる。
化粧用具用途としては、化粧用パフ、アイカラーチップ等が挙げられる。
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくら等の芯材、クッション材や表皮材・表皮裏打ち材、両面テープ基材、芳香剤、スタンプ台等の吸着媒体等が挙げられる。
衣料用途としては、肩・ブラジャー等のパッド材や、防寒材等のライナーや断熱材等が挙げられる。
スポーツ用途としては、スポーツ用プロテクター類、ボルダリング(2〜3mの岩を登るクライミング・ミニ岩登り)マット、ビート板、高飛び用のクッション材、体操競技や運動用の着地マット、キッズマット等のクッション材や表皮材・表皮裏打ち材、スキーブーツ、スノーボードブーツ等のライナー等が挙げられる。
玩具・遊具用途としては、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボール等のクッション材や詰め物、表皮材・表皮裏打ち材、装飾品や怪獣等の特殊形状物、各種物品形状の型取りやモデル作製用等の注型材料、注型法における物品形状の型取り材料、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例、および比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。柔軟性以外の4種の官能評価に関しては、4種中×が1つ以上または△が2つ以上のものは比較例とした。
<柔軟性>
25℃雰囲気下において、ASKER FP硬度計[高分子計器(株)製]を、得られた変成シリコーン樹脂発泡体底面の平らな部分の上に載せて、その指示値により評価した。試料によっては、経時的に指示値が下がっていく場合があるため、硬度計を載せた直後の値を読み取った。
<触感>
得られた変成シリコーン樹脂発泡体を掌で圧縮した際の触感を、以下の基準で評価した。
◎:やわらかくてさわり心地がよく、さらに、指で底づき感を感じるまで押して、横にずらした際に、低い力で横ずり変形ができる。ゲル素材と同程度。
○:やわらかくてさわり心地がよく、さらに、指で底づき感を感じるまで押して、横にずらした際に、中程度の力で横ずり変形ができる。
△:指で底づき感を感じるまで押して、横にずらした際に、強い力だと横ずり変形ができる。
×:指で底づき感を感じるまで押して、横にずらした際に、強い力でも横ずり変形ができない。
<表面性>
得られた変成シリコーン樹脂発泡体を切断した際の断面および外観を、以下の基準で評価した。
○:細かな気泡が均一に分散しており表面が滑らかで、さらに、発泡成形後に収縮が見られない。
△:細かな気泡の間に所々大きな気泡が分散している、または、発泡成形後に若干の収縮が見られる。
×:大きな気泡が不均一に分散している、または、発泡成形後に大きな収縮が見られる。
<ブリード>
得られた変成シリコーン樹脂発泡体を1日以上平らな机等の上に静置し、持ち上げた際に置いていた場所に跡が残らないものを○、若干跡が残るものを△、明確に跡が残るものを×とした。
<離型性(タック)>
得られた変成シリコーン樹脂発泡体を成形型から取り外す際に、型から容易に外れるものを○、少し力を入れれば綺麗に引き外せるものを△、力を入れて引き外すと発泡体の表面が破れてしまうものを×とした。
<発泡体の密度>
得られた変成シリコーン樹脂発泡体から30mm角程度の立方体を切り出し、3辺のサイズを測定して体積(m3)を算出し、測定した重さ(kg)から除することにより、密度(kg/m3)を算出した。
<原料>
実施例、比較例で使用した原料類は以下のとおりである。
[基材樹脂(A)]
重合体(a):トリメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド系重合体、数平均分子量29000、1分子中の反応性ケイ素基数1.4
反応性可塑剤(b):メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド系重合体、数平均分子量8000、1分子中の反応性ケイ素基数0.9
[シラノール縮合触媒(B)]
AP−8(商品名):2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、大八化学(株)製
[化学発泡剤(C)]
炭酸水素ナトリウム:FE−507(商品名)、永和化成工業(株)製
クエン酸:クエン酸(無水)(商品名)、磐田化学工業(株)製
[可塑剤]
ポリエーテルポリオール:SHP−3900(商品名)、三井化学(株)製。
[潤滑剤]
・ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)
ヒドロキシ基両末端ジメチルポリシロキサン:
YF3057(商品名、25℃での動粘度3000mm2/s)
XF3905(商品名、25℃での動粘度700mm2/s)
XC96−723(商品名、25℃での動粘度30mm2/s)
YF3800(商品名、25℃での動粘度80mm2/s)
YF3807(商品名、25℃での動粘度20000mm2/s)
YF3802(商品名、25℃での動粘度80000mm2/s)
全てモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)製
・ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)
ジメチルポリシロキサン:KF−96−100cs(商品名)、信越化学工業(株)製
メチルハイドロジェンポリシロキサン(側鎖型):KF−99(商品名)、信越化学工業(株)製。
(実施例1〜16)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱硬化し、変成シリコーン樹脂発泡体を得た。
(比較例1〜7)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)および非反応性可塑剤を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。基材樹脂(A)には、重合体(a)のみを使用し、潤滑剤(D)には、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)のみを使用した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱したが、比較例1〜4では加熱硬化して得られた変成シリコーン樹脂発泡体からのブリードアウトが顕著に見られ、比較例5〜7では硬化せず変成シリコーン樹脂発泡体が得られなかった。さらに、比較例2〜7で使用したヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)は、側差の水素基が反応するため、水素ガスの発生により発泡反応と硬化反応の両方がバランス良く進行しなかった。
(比較例8、9)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。潤滑剤(D)には、25℃での動粘度が低粘度(30mm2/s)であるヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を使用した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱したが、硬化せず変成シリコーン樹脂発泡体が得られなかった。
(比較例10、11)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。潤滑剤(D)には、25℃での動粘度が低粘度(80mm2/s)であるヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を使用した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱硬化したところ、大きく収縮し、上手く成形できなかった。
(比較例12〜15)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。潤滑剤(D)には、25℃での動粘度が高粘度(20000mm2/sまたは80000mm2/s)であるヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を使用した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱硬化し、変成シリコーン樹脂発泡体を得たが、タックが強く、かつ大きな気泡が不均一に分散した表面性の悪い発泡体であった。
(比較例16、17)
基材樹脂(A)へ、化学発泡剤(C)を添加し、十分に混合した。その後、潤滑剤(D)を混合し、最後にシラノール縮合触媒(B)を添加して十分に混合した。基材樹脂(A)には、重合体(a)のみを使用し、潤滑剤(D)には、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)のみを使用した。得られた混合物を型枠に注入し、100℃に設定したオーブンで90分加熱したが、加熱硬化して得られた変成シリコーン樹脂発泡体からのブリードアウトが少し見られ、型から取り外す際の離型性が悪く、場合によっては発泡体の表面が破れてしまった。
各実施例および比較例の原料、配合重量部数および評価結果を表1、2に示す。なお、評価サンプル切り出し時に千切れる等してサンプル作製ができなかったものは「測定不能」とした。
Figure 2018162368
Figure 2018162368
上記結果より、実施例の発泡体は、比較例に比べ柔軟性、触感、表面性および離型性に優れ、ブリードアウトしないことが判明した。従って、本発明によって、柔軟性に優れ、触感が良く、爆発の危険性がある水素ガスを排出しない変成シリコーン樹脂発泡体が提供可能であることが明らかとなった。

Claims (14)

  1. 基材樹脂(A)100重量部、シラノール縮合触媒(B)0.1〜5重量部、化学発泡剤(C)2〜40重量部、潤滑剤(D)0.5〜30重量部を含む発泡性液状樹脂組成物が硬化した変成シリコーン樹脂発泡体であって、
    基材樹脂(A)が、重合体(a)65〜95重量%と反応性可塑剤(b)5〜35重量%とからなり、
    重合体(a)が、反応性ケイ素基を分子鎖中に1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなり、
    反応性可塑剤(b)が、反応性ケイ素基を分子鎖の片末端に1.0個未満有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される重合体からなり、
    潤滑剤(D)が、動粘度が25℃雰囲気下において100mm2/s以上15000mm2/s以下である、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)を含むものであることを特徴とする変成シリコーン樹脂発泡体。
  2. 潤滑剤(D)が、さらにヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)を含むことを特徴とする請求項1に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  3. 潤滑剤(D)が、ヒドロキシ基を有するシリコーン系潤滑剤(c)20〜80重量%と、ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)20〜80重量%とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  4. 前記重合体(a)が、数平均分子量3000以上100000以下の重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  5. 前記反応性可塑剤(b)が、数平均分子量2000以上20000以下の重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  6. シラノール縮合触媒(B)が有機酸性リン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  7. 前記シラノール縮合触媒(B)が、一般式(1):
    (Cm2m+1O)n−P(=O)(−OH)3-n
    (式中、mは4〜10の整数、nは0〜2の整数である。)で示される有機酸性リン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  8. 前記化学発泡剤(C)が、重炭酸塩と有機酸と有機酸塩、重炭酸塩と有機酸、および、重炭酸塩と有機酸塩から選ばれるいずれかの組み合わせであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  9. 前記有機酸が、多価カルボン酸であることを特徴とする請求項8に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  10. 前記有機酸塩が多価カルボン酸の金属塩であることを特徴とする請求項8または9に記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  11. 前記ヒドロキシ基を有さないシリコーン系潤滑剤(d)の動粘度が、25℃雰囲気下において5mm2/s以上10000mm2/s以下であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  12. 密度が10kg/m3以上900kg/m3以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
  14. 前記発泡性液状樹脂組成物を硬化させる前、または、硬化させると同時に発泡させることを特徴とする請求項13に記載の変成シリコーン樹脂発泡体の製造方法。
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CN113004700A (zh) * 2021-02-03 2021-06-22 嘉兴未来新材料科技有限公司 一种有机硅慢回弹海绵及其制备方法

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