JP2021014491A - 硬化性組成物、及び硬化物 - Google Patents
硬化性組成物、及び硬化物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021014491A JP2021014491A JP2019128606A JP2019128606A JP2021014491A JP 2021014491 A JP2021014491 A JP 2021014491A JP 2019128606 A JP2019128606 A JP 2019128606A JP 2019128606 A JP2019128606 A JP 2019128606A JP 2021014491 A JP2021014491 A JP 2021014491A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon atoms
- polymer
- compound
- curable composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Sealing Material Composition (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
Description
特許文献2には、反応性ケイ素基を有する有機重合体100重量部に対して、カーボネート基を1個有する化合物を30重量部超、150重量部以下含有する硬化性組成物が開示されている。硬化性組成物がカーボネート基を1個有する化合物を特定量含有することにより、作業性及び深部硬化性に優れ、貯蔵後の硬化遅延が改善されることが記載されている。
特許文献1に記載の硬化性組成物により得られる硬化物の強度、伸びは充分ではない。
さらに、特許文献2に記載の硬化性組成物により得られる硬化物の伸びは充分でない。さらに本発明者等が特許文献2に記載の硬化性組成物をシーリング材に適用することを検討したところ、硬化前後で体積が著しく変化し、シーリング材に適用することが困難であることが判明した。
[1] 下記式1で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体と、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物と、を含む、硬化性組成物。
−SiXaR3−a 式1
式1中、Rは炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、aが2又は3の場合、Xは互いに同一でも異なっていてもよい。
[2] 前記有機重合体100質量部に対して、前記化合物を5〜150質量部含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 前記有機重合体は、アルキレンオキシド単量体の繰り返し単位を含む重合体である、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記化合物の数平均分子量が、400〜30,000である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] 前記化合物の総質量に対する、カーボネート基に由来する単位の割合は、2〜75質量%である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6] 前記化合物が下記式2で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
R1−[(OR2)a−(OC(O)OR3)b−(OC(O)OR4)c−OH]x 式2
式2中、xは、2〜8の整数を表し、a、b又はcは、0〜250の整数を表し、a+b+cは1以上の整数であり、かつ(b+c)×xは2以上の整数であり、R1は、x価の炭素数1〜16の飽和炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1〜12のアルキレン基、又は−R5−R6−R5−で表される基を表し、R5は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R6は、置換若しくは非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基、置換若しくは非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂環式飽和炭化水素基における単環又は多環構造の環を構成する1個以上の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。ただし、隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。
[7] 前記化合物が下記式3で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
HO−R7−[(OR2)a−(OC(O)OR3)b−(OC(O)OR4)c]−OH 式3
式3中、a、b又はcは、0〜250の整数を表し、b+cは2以上の整数であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1〜12のアルキレン基、又は−R5−R6−R5−で表される基を表し、R5は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R6は、置換若しくは非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基、置換若しくは非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂環式飽和炭化水素基における単環又は多環構造の環を構成する1個以上の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。ただし、隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。R7は、R2、R3、及びR4のいずれか一つと同一である。
[8] シーリング材用である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[9] 接着剤用である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
本発明の硬化物は、強度及び伸びに優れる。
「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により直接形成された原子団を意味する。
「主鎖」とは、2個以上の単量体の連結により形成された重合鎖をいう。後述のオキシアルキレン重合体における「主鎖」は、開始剤の残基とアルキレンオキシド単量体に基づく繰り返し単位を含む部分をいう。
「主鎖末端基」とは、主鎖を構成する末端の原子に結合する原子又は原子団を意味する。
「オキシアルキレン重合体」とは、アルキレンオキシド単量体に基づく単位から形成される重合鎖を有する重合体を意味する。
「前駆重合体」とは、反応性ケイ素基導入前の重合体であって、開始剤の活性水素にアルキレンオキシド単量体を重合させた主鎖末端基が水酸基であるオキシアルキレン重合体のことである。
「(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体」とは、アクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位から形成される重合鎖及びメタアクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位から形成される重合鎖の一方又は両方を有する重合体を意味する。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の一方又は両方を意味する。
「カーボネート基に由来する単位」とは−O−C(O)−O−で表される単位を意味する。
「活性水素含有基」とは、上記活性水素を有する基を意味する。なお、活性水素含有基は、イソシアネート基と反応し得る反応性基でもある。
「不飽和基」とは、不飽和性の二重結合を含む1価の基であり、特に断らない限り、ビニル基、アリル基、及びイソプロペニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基のことである。
「シリル化率」は、オキシアルキレン重合体の主鎖末端基における、反応性ケイ素基、活性水素含有基、不飽和基のいずれかである末端基の数の合計に対する前記反応性ケイ素基の数の割合である。シリル化率の値はNMR分析によって測定できる。また、後述のシリル化剤により、オキシアルキレン重合体の主鎖末端基における末端基に前記反応性ケイ素基を導入する際の、末端基の数に対する添加した前記シリル化剤のシリル基の数の割合(モル%)でもよい。
「シリル化剤」とは、活性水素含有基又は不飽和基と反応する官能基と反応性ケイ素基とを有する化合物を意味する。
[{(b+c)×x}×(12+16×3)]÷Mn(又は式量) 式4
{(b+c)×(12+16×3)}÷Mn(又は式量) 式5
本発明の硬化性組成物は、後述の式1で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体(以下、「重合体A」という。)と、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物(以下、「化合物a」という。)と、を含む。硬化性組成物に含まれる重合体Aは2種類以上でもよい。硬化性組成物に含まれる化合物aは2種類以上でもよい。
重合体Aは、後述の式1で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体である。
重合体Aは、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(以下、「重合体A1」という。)、及び反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下、「重合体A2」という。)からなる群から選ばれる1種類以上の重合体が好ましい。硬化性組成物に含まれる重合体A1は2種類以上でもよい。硬化性組成物に含まれる重合体A2は2種類以上でもよい。
−SiXaR3−a 式1
Rは、炭素数1〜20の炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
加水分解性基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、スルファニル基、アルケニルオキシ基が例示できる。
加水分解性が穏やかで取扱いやすい点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基であると、シロキサン結合を速やかに形成し硬化物中に架橋構造を形成しやすく、硬化物の物性値がより良好となる。
aは1又は2が好ましく、aは2がより好ましい。
オキシアルキレン重合体からなる重合鎖として、エチレンオキシド単量体からなる重合鎖、プロピレンオキシド単量体からなる重合鎖、ブチレンオキシド単量体からなる重合鎖、テトラメチレンオキシド単量体からなる重合鎖、エチレンオキシド単量体とプロピレンオキシド単量体の共重合鎖、プロピレンオキシド単量体とブチレンオキシド単量体の共重合鎖が例示できる。特にプロピレンオキシド単量体からなる重合鎖が好ましい。
重合体A1の主鎖末端基は、前記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基及び不飽和基のいずれかであり、前記式1で表される反応性ケイ素基、水酸基及びアリル基からなる群より選ばれる1種類以上の基が好ましい。それぞれの前記主鎖末端基は互いに同じであっても、異なってもよい。
活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第一級アミンから水素原子を除去した1価の官能基、ヒドラジド基及びスルファニル基が挙げられる。活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、第一級アミンから水素原子を除去した1価の官能基が好ましく、水酸基がより好ましい。
重合体A1は、前記反応性ケイ素基を1分子あたりに平均して6個以下有するものが好ましく、硬化物の引張強度が良好となりやすいため、0.5個超6個以下有するものがより好ましく、1.2個〜3.8個有するものがさらに好ましい。
重合体A1の分子量分布は1.80以下が好ましい。粘度低減の点から、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.50以下がより好ましく、1.40以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
前記前駆重合体は、活性水素含有基を有する開始剤の活性水素に、開環重合触媒の存在下で、アルキレンオキシド単量体を開環付加重合させたオキシアルキレン重合体である。 前駆重合体としては、水酸基を有する開始剤にアルキレンオキシド単量体を開環付加重合させた、主鎖末端基が水酸基である前駆重合体が好ましい。
前駆重合体は、水酸基を有する開始剤にアルキレンオキシド単量体を開環付加重合させた、主鎖末端基における末端基が水酸基である重合体が好ましい。
前記開始剤としては、水酸基を2〜6個有する開始剤が好ましく、水酸基を2〜4個有する開始剤がより好ましく、水酸基を2個又は3個有する開始剤がさらに好ましく、水酸基を2個有する開始剤が特に好ましい。
開始剤は2種類以上を併用してもよい。開始剤を2種類以上併用する場合には、それらの開始剤の活性水素含有基の数のモル平均が上述の範囲内であればよい。
水酸基を2個有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、低分子量のポリオキシプロピレングリコールが例示できる。
水酸基を3個有する開始剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、低分子量のポリオキシプロピレントリオールが例示できる。
水酸基を4個以上有する開始剤としては、ソルビトール、ペンタエリスリトールが例示できる。
重合体A1の分子量分布を狭くすることができ、粘度の低い硬化性組成物が得られやすい点から複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化物錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用できる。例えば、国際公開公報第2003/062301号、国際公開公報第2004/067633号、特開2004−269776号公報、特開2005−15786号公報、国際公開公報第2013/065802号、特開2015−010162号公報に開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
重合体A1の前駆重合体としては、全主鎖末端基が水酸基である前駆重合体が好ましい。
シリル化剤としては、不飽和基と反応して結合を形成し得る基(例えばスルファニル基)及び前記反応性ケイ素基の両方を有する化合物、ヒドロシラン化合物(例えばHSiXaR3−a、ただし、X、R及びaは前記式1と同様である。)が例示できる。具体的には、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリス(2−プロペニルオキシ)シラン、トリアセトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、(α−クロロメチル)ジメトキシシラン、(α−クロロメチル)ジエトキシシランが例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましく、メチルジメトキシシラン又はトリメトキシシランがより好ましい。
イソシアネートシラン化合物としては、例えば、特開2011−178955号に記載される、従来公知のイソシアネートシラン化合物を用いることができる。
前駆重合体の1つの主鎖末端基に対して不飽和基を1個導入した後、前記不飽和基とシリル化剤を反応させる方法、又は前記前駆重合体の主鎖末端基の活性水素含有基とイソシアネートシラン化合物をウレタン化反応させる方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特公昭45−36319号、特開昭50−156599号、特開昭61−197631号、特開平3−72527号、特開平8−231707号、特開2011−178955号、米国特許3632557、米国特許4960844号の各公報に提案されている方法が挙げられる。
前記中間体の1分子中に含まれる活性水素含有基の数は、貯蔵安定性の点から0.3個以下が好ましく、0.1個以下がより好ましい。
硬化性組成物が、2種類以上の重合体A1を含む場合、重合体A1全体における平均のシリル化率が前記の範囲内であればよい。
重合体A2の主鎖は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに基づく単位のほかに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な不飽和基を有する単量体に基づく単位を有してもよい。
重合体A2を構成する単量体としては、例えば、特公平3−14068号公報、特開平6−211922号公報、特開平11−130931号公報に記載される、従来公知の単量体を用いることができる。
前記単量体と共重合させる反応性ケイ素基及び不飽和基を含む単量体としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、(メタ)アクリル酸−3−(メチルジメトキシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸−3−(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸−3−(トリエトキシシリル)プロピルが例示できる。これらは1種でもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合体A2を構成する全単量体に対して、(メタ)アクリル酸エステル単量体は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。
反応性ケイ素基及び重合性不飽和基を含む単量体と、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体をフリーラジカル重合法で重合すると、側鎖に反応性ケイ素基を有する重合体A2が得られる。
リビングラジカル重合法を用いると、主鎖末端基として反応性ケイ素基を有する重合体A2が得られる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合又はバルク重合によるフリーラジカル重合開始剤を用いた重合方法やリビングラジカル重合が例示できる。リビングラジカル重合法としては、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されているようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、特表2003−500378号公報に示されているようなニトロオキサイドラジカルを用いるもの、特開平11−130931号公報に示されているような有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物などを開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP法)が例示できる。リビングラジカル重合で得られる重合体は、分子量分布が狭く、低粘度である傾向がある。
(メタ)アクリル酸エステル重合体A2の分子量分布は、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましい。
重合体A2の1分子あたりの反応性ケイ素基の数の平均は「重合体A2中の反応性ケイ素基の濃度[mol/g]×重合体A2のMn」で算出する。重合体A2中の反応性ケイ素基の濃度[mol/g]は、NMRにより測定できる。
化合物aは、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物である。
1分子中のカーボネート基の数は、NMR分析により算出することができる。化合物aにおける1分子中のカーボネート基の数は、2個以上であり、3個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、150個以下が好ましく、100個以下がより好ましい。上記下限値以上であれは、硬化物の強度と伸びがより優れ、上記上限値以下であれば、粘度が低くなり作業性がより優れる。
化合物aのMnは、400〜30,000が好ましく、500〜27,000がより好ましく、700〜23,000がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると、硬化前後の体積変化を抑制しやすく、上限値以下であると、硬化物の強度と伸びがより優れる。
化合物aの分子量分布は、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましい。
式2中、xは、2〜8の整数を表し、a、b又はcは、0〜250の整数を表し、a+b+cは1以上の整数であり、かつ(b+c)×xは2以上の整数であり、R1は、x価の炭素数1〜16の飽和炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1〜12のアルキレン基、又は−R5−R6−R5−で表される基を表し、R5は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R6は、置換若しくは非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基、置換若しくは非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂環式飽和炭化水素基における単環又は多環構造の環を構成する1個以上の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。ただし、隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。
aは0〜250が好ましく、より硬化物の強度が上がるため、0〜230がより好ましく、0〜200がさらに好ましい。
bは1〜150が好ましく、粘度が低くなりやすく作業性に優れるため、1〜100がより好ましく、1〜60がさらに好ましい。
cは0〜150が好ましく、粘度が低くなりやすく作業性に優れるため、0〜100がより好ましく、1〜60がさらに好ましい。
R1がx価の炭素数1〜16の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基である場合は、炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。
R1における、x価の炭素数1〜16の飽和炭化水素基は、炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐の飽和炭化水素化合物、又は炭素数3〜16の環状構造を有する飽和炭化水素化合物におけるx個の水素原子が、式2におけるR1以外の残基と置換した構造を有する。
上記炭素数1〜16の直鎖の飽和炭化水素化合物としては、メタン、エタン、n−プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンが例示される。n−プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンが好ましく、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサンがより好ましい。
上記単環又は多環の飽和炭化水素化合物における水素原子がアルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基であるアルキル基と置換された単環又は多環の飽和炭化水素化合物の炭素数との合計が3〜16である。上記置換基であるアルキル基としては、上記炭素数3〜16の分岐の飽和炭化水素化合物で説明した置換基であるアルキル基と同様の基が例示され、好ましい態様も同様である。
R6が非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基である場合、R6の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜12がさらに好ましい。非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基が例示され、フェニレン基が好ましい。
R6が置換基を有する多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基である場合、上記多環構造は、上述の非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基と同様である。
R6が置換基を有する炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基である場合、上記芳香族炭化水素基としては、上述の非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基と同様である。
R6の炭素数は、環を構成する炭素原子の数のみを示し、置換基の炭素数は含まない。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が例示される。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、が例示される。置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子が好ましく、メチル基、エチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子がより好ましい。置換基の数は、0〜4が好ましく、0〜2がより好ましい。
式3中、a、b、c、R2、R3、及びR4は前記式2と同様であり、R7は、R2、R3、及びR4のいずれか一つと同一であり、b+cは2以上の整数である。
式3a中、a1+a2=aであり、a、b、c、R2、R3、及びR4は前記式3と同様である。
市販されている化合物aとしては、Converge polyol 2501−56(アラムコ社製品名)、BENEBIOL NL2050B(三菱ケミカル社製品名)、ETERNACOLL UM−90(1/1)(宇部興産社製品名)が硬化物の強度及び伸びに優れる点で好ましい。
前記式3において、R2が−CH2CH(CH3)−、R3が炭素数1〜12のアルキレン基、R4が炭素数1〜12のアルキレン基又は前記−R5−R6−R5−で表される基である、オキシプロピレンに基づく単位を有する化合物aの製造方法としては、上述の方法と同様にして得られる末端に水酸基を有するポリカーボネート化合物を開始剤として、プロピレンオキシドを開環付加重合させる方法、遷移金属錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドと二酸化炭素を共重合する方法が例示できる。例えば、特開2015−28182号公報に記載される、従来公知の方法を採用することができる。
硬化性組成物は、重合体A及び化合物aに、さらに必要に応じた成分を添加し、混合して得られる。
硬化性組成物の総質量に対する重合体Aの含有割合は、3〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。重合体Aの含有割合が上記範囲内であると、硬化物の強度と伸びがより優れる。
硬化性組成物における重合体Aの総質量に対する重合体A1と重合体A2の合計の含有割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。前記下限値以上であれば、硬化物の物性が良好となりやすい。
硬化性組成物が重合体A1と重合体A2の両方を含む場合の、重合体A1と重合体A2の合計の質量に対する重合体A2の含有割合は、1〜70質量%が好ましく、5〜65質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、硬化性により優れる。
硬化性組成物の総質量に対する化合物aの含有割合は、1〜50質量%が好ましく、2〜45質量%がより好ましく、3〜40質量%がさらに好ましい。化合物aの含有割合が上記範囲内であると、硬化物の強度と伸びがより優れる。
硬化性組成物の総質量に対する重合体A及び化合物aの合計含有割合は、1〜100質量%が好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。重合体Aと化合物aの合計含有割合が上記範囲内であると、硬化物の強度と伸びがより優れる。
重合体Aの100質量部に対する、化合物aの含有量は5〜150質量部が好ましく、10〜120質量部がより好ましく、20〜80質量部がさらに好ましく、20〜60質量部が特に好ましい。化合物aの含有量が前記範囲の下限値以上であると、より良好な強度と伸びを得られ、上限値以下であると粘度が低くなりやすく作業性により優れる。
硬化性組成物は、前記重合体A及び化合物a以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、上記式1で表される反応性ケイ素基を有さない有機重合体、充填材、可塑剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、脱水剤、接着性付与剤、アミン化合物、酸素硬化性化合物、光硬化性化合物、硬化触媒(シラノール縮合触媒)が例示できる。
その他の成分は、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014−88481号公報、特開2015−10162号公報、特開2015−105293号公報、特開2017−039728号公報、特開2017−214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。
各成分は2種類以上を併用してもよい。
2液型の硬化性組成物において、硬化剤組成物は水を含んでもよい、主剤組成物は少量の水分を含んでもゲル化し難いが、貯蔵安定性の点からは配合成分を予め脱水乾燥することが好ましい。
貯蔵安定性を向上させるために、1液型の硬化性組成物又は2液型の主剤組成物に脱水剤を添加してもよい。
特に、優れた強度と伸びが要求される用途に好適であり、例えば屋外に施工されるシーリング材及び接着剤が好適である。
[前駆重合体の分子量]
水酸基を有する開始剤にアルキレンオキシドを重合させたオキシアルキレン重合体(前駆重合体)の分子量(以下、「水酸基換算分子量」という。)は、JIS K 1557(2017年)に基づいて算出された水酸基価より、「56100/(前駆重合体の水酸基価)×開始剤の活性水素の数」の式に基づいて算出した。
HLC−8220GPC(東ソー社製品名)を用いて、Mw、Mn及びMw/Mnを求めた。
主鎖末端に塩化アリルを用いて不飽和基を導入し、シリル化剤を上記不飽和基と反応させて反応性ケイ素基を導入する方法において、主鎖末端に導入された不飽和基に対する、シリル化剤の反応性ケイ素基の仕込み当量(モル比)をシリル化率とした。
塩化アリルを用いて導入された不飽和基とシリル化剤の反応において、副反応によりシリル化剤と反応しない不飽和基はおよそ10%である。したがって不飽和基の90モル%未満をシリル化剤と反応させる場合には、上記仕込み当量をシリル化率とする。
シリル化率に基づいてシリル基数を算出した。
重合体A2のシリル基数は、1H−NMRにより算出した重合体中の反応性ケイ素基の濃度[mol/g]に上記GPCにより測定したMnを掛けることにより算出した。
測定対象の硬化性組成物を厚さ2mmの型枠に充填し、温度23℃、湿度50%で3日間養生し、更に温度50℃、湿度65%で4日間養生した。得られた硬化物をダンベル型枠で打ち抜いて、試験片を得た。この試験片を引張速度500mm/分で引張試験を行い、50%伸張した時の応力(M50、単位:N/mm2)、最大点凝集力(単位:N/mm2)、最大点伸び(単位:%)の引張特性を測定した。
JIS A 1439の5.11.2(2016年)に記載の体積損失試験に準拠して行った。体積変化率が10%以下であれば、体積損失が少なく、建築用のシーリング材として好適と判断することができる。
NMR分析及びMnより、各化合物におけるカーボネート基に由来する単位の割合を求めた。
(合成例1:重合体A1−1)
プロピレングリコールを開始剤とし、配位子がt−ブチルアルコールの亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA−DMC触媒」と記す。)を触媒として使用してプロピレンオキシドを重合し、水酸基換算分子量が18,000の前駆重合体を得た。次いで、前駆重合体の水酸基に対して1.15モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して前駆重合体をアルコラート化した。次に、加熱減圧によりメタノールを留去し、さらに前駆重合体の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加して主鎖末端基をアリル基に変換した。次に、塩化白金酸六水和物の存在下、前駆重合体の変換されたアリル基に対して0.65モル当量のメチルジメトキシシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させ、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体A1−1)を得た。
得られた重合体のMn、Mw/Mn、1分子あたりの反応ケイ素基の平均数を表1に示す(以下、同様に示す。)。
Mnが約2,000で、両末端に水酸基を1個ずつ有するオキシプロピレン重合体を開始剤として使用し、TBA−DMC触媒を触媒として使用してプロピレンオキシドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体A’)を得た。前駆重合体A’は、両末端に水酸基を有し、水酸基換算分子量は18,000であった。
前駆重合体A’の水酸基に対して1.15モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加した。脱気により減圧下でメタノールを留去し、さらに前駆重合体A’の水酸基に対して1.05モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加し、130℃で2時間反応させた。次いで、0.28モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに2.10モル当量の塩化アリルを添加して130℃で2時間反応を行い、末端基をアリル基に変換し、減圧下で系中から未反応の塩化アリルを除去し、主鎖末端にアリル基が導入されたオキシプロピレン重合体(重合体Q1)を得た。重合体Q1の1つの主鎖末端に導入されたアリル基は平均2.0個であった。次いで、白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、重合体Q1のアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端に導入された重合体(重合体A1−2)を得た。
メチルメタクリレートの100g、ブチルアクリレートの250g、ステアリルメタクリレートの85g、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの12g、n−ドデシルメルカプタンの1.6g及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(V65、和光純薬社製品名)の4gを混合した混合液を、70℃に加熱した酢酸エチルの300gに2時間かけて滴下した後2時間重合して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(重合体A2−1)を得た。
本例では、リビングラジカル重合法を用い、重合反応の終期にアルケニル基を2個有する化合物を反応させる方法で下記重合体A2−2を合成した。
2Lフラスコに臭化第一銅の8.39g、アセトニトリルの112mLを添加し、窒素気流下70℃で20分間加熱撹拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチルの17.6g、アクリル酸エチルの130mL、アクリル酸ブチルの720mL、アクリル酸ステアリルの251gを添加し、さらに70℃で40分間加熱撹拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「トリアミン」という。)0.41mLを添加して反応を開始した。引き続き70℃で加熱撹拌を続け、さらにトリアミンの2.05mLを添加した。反応開始から330分後に1,7−オクタジエンの244mL及びトリアミンの4.1mLを添加し、引き続き70℃で加熱撹拌を続け、反応開始から570分後に加熱を停止した。
得られた反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱処理して、末端にアルケニル基を有するアクリル酸エステル重合体(重合体Y1)を得た。
重合体Y1のMnは22,800、分子量分布は1.40、1H−NMR分析より求めた重合体Y1の1分子あたりのアルケニル基の平均数は2.8個であった。
(合成例5:化合物a1)
グローブボックスの中で、特開2015−28182号の段落[0434]〜[0436]に記載のコバルト錯体(5.4mg、1.0当量)を、オーブン乾燥した20mLガラスライナーに仕込んだ。このライナーをステンレススチール製高圧反応器に挿入した。反応器内を窒素でパージした後、CO2でパージした。系内を5回N2でパージし、CO2で2回パージした。ジプロピレングリコール[HO−CH2−CH(CH3)−O−CH(CH3)−CH2−OH]の75μLと、プロピレンオキシドの5mL(25,000当量)を前記高圧反応器に仕込んだ。反応物を50℃に加熱し、次いでCO2で加圧(300psi)し、撹拌した。
6時間後、酸性メタノールの0.2mLを添加して反応を終了させて、生成物を取り出した。この生成物を室温まで冷却し、精製したポリマーをアセトンの5mLで希釈し、ホイルパンに移した。未反応のプロピレンオキシド及びアセトンを蒸発により取り除くことによって、1分子中に2個以上のカーボネート基を有し、かつプロピレンオキシドに基づく単位を有する化合物a1を得た。
化合物a1は、前記式3において、aが17であり、bが10であり、cが0であり、R2、R3、R7がともに−CH2CH(CH3)−である化合物である。
得られた化合物a1のMn、Mw/Mn、化合物a1の総質量に対するカーボネート基に由来する単位の割合を表2に示す(以下、同様に示す。)。
攪拌機、留出液トラップおよび圧力調整装置を備えた反応管に、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジフェニルカーボネート、酢酸マグネシウム4水和物を入れ、反応管中を窒素置換した。200℃に設定したオイルバスで反応基質を加熱溶解し、30分間反応させた。反応圧力は、400Paを超えていた。
その後、5時間30分かけて圧力を400Paまで下げつつ、留出したフェノールおよび未反応のジオールを除いた。次に200℃、400Paに保持したまま30分間反応させ、副生したネオペンチルグリコールカーボネートを留出させて除き、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物a2を得た。
化合物a2は、前記式3において、aが0であり、bが7であり、cが8であり、R3及びR7が−(CH2)4−であり、R4が−CH2C(CH3)2CH2−である化合物である。
化合物a2の1,4−ブタンジオールに由来する単位とネオペンチルグリコールに由来する単位の割合は、50:50であった。
合成例6で得られた化合物a2に、TBA−DMC触媒を触媒として使用してプロピレンオキシドを重合し、1分子中に2個以上のカーボネート基を有し、かつプロピレンオキシドに基づく単位を有する化合物a3を得た。
化合物a3は、前記式3において、aが103であり、bが8であり、cが8であり、R2及びR7が−CH2CH(CH3)−であり、R3が−(CH2)4−であり、R4が−CH2C(CH3)2CH2−である化合物である。
化合物a3の総質量に対するプロピレンオキシドに基づく単位の割合は、75質量%であり、1,4−ブタンジオールに由来する単位とネオペンチルグリコールに由来する単位の割合(モル比)は、50:50であった。
1,6−ヘキサンジオールとカーボネート化合物をエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させた。次いで、残存する触媒に失活処理を施して、ジオール成分が1,6−ヘキサンジオールであるMnが500のポリカーボネートジオール1を得た。
1,6−ヘキサンジオールを1,4−シクロヘキサンジメタノールとする他は上記と同様にして、ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであるMnが500のポリカーボネートジオール2を得た。
攪拌機と温度計を備えた反応器に、ポリカーボネート1とポリカーボネート2とチタンテトラ−n−ブトキシドとを仕込み、圧力約0.03MPa、窒素雰囲気下で、170℃に昇温して6時間攪拌した。反応終了後、反応液を冷却して室温で、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物a4を得た。
化合物a4は、前記式3において、aが0であり、bが2.8であり、cが2.8であり、R3及びR7が−(CH2)6−であり、R4が2つのR5がメチレン基で、R6がシクロヘキシレン基である−R5−R6−R5で表されるアルキレン基である化合物である。
(合成例9:化合物a5)
グローブボックスの中で、合成例5で使用したのと同一のコバルト錯体(5.4mg、1.0当量)を、オーブン乾燥した20mLガラスライナーに仕込んだ。このライナーをステンレススチール製高圧反応器に挿入した。反応器内を窒素でパージした後、CO2でパージした。系内を5回N2でパージし、CO2で2回パージした。グリセリン[HO−CH2−CH(OH)−CH2−OH]の75μL、プロピレンオキシドの3mL(25,000当量)を前記高圧反応器に仕込んだ。反応物を50℃に加熱し、次いでCO2で加圧(300psi)し、撹拌を行った。
6時間後、酸性メタノールの0.2mLを添加して反応を終了させて、生成物を取り出した。この生成物を室温まで冷却し、精製したポリマーをアセトンの5mLで希釈し、ホイルパンに移した。未反応のプロピレンオキシド及びアセトンを蒸発により取り除くことによって、1分子中に2個以上のカーボネート基を有し、かつプロピレンオキシドに基づく単位を有する化合物a5得た。
化合物a5は、前記式2において、xが3であり、aが9であり、bが5であり、cが0であり、R1が−CH2−CH−CH2−(n−プロパンの3つの炭素それぞれから、水素原子を1個除去した3価の基)、であり、R2、R3がともに−CH2CH(CH3)−である化合物である。
比較化合物b1:EXCENOL 2020、AGC社製品名
比較化合物b2:プロピレンカーボネート、東京化成社製(式量:102)
比較化合物b3:ジメチルカーボネート、東京化成社製(式量:90)
比較化合物b1は、分子中にカーボネート基を有さない。比較化合物b2及び比較化合物b3は、1分子中に1個のカーボネート基を有する。
表3に記載の添加物は以下の通りである。
ホワイトンSB:重質炭酸カルシウム、白石工業社製品名。
CCR:膠質炭酸カルシウム、白艶化CCR、白石工業社製品名。
R−820:酸化チタン、石原産業社製品名。
バルーン80GCA:有機バルーン、松本油脂社製品名。
N−12D:カクタスノルマルパラフィンN−12D、n−ドデカン、純度98.0%、JXTGエネルギー社製品。
サンソサイザーEPS:4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−エチルヘキシル、新日本理化社製品名。
ディスパロン6500:水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製品名。
IRGANOX1135:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製品名。
TINUVIN326:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製品名。
TINUVIN765:3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製品名。
LA−63P:アデカスタブLA−63P、ADEKA社製品名。
KBM−1003:ビニルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
KBM−403:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
KBM−603:3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
ラウリルアミン:試薬、純正化学社製。
ファーミンCS:ココナットアミン、花王社製品名。
EH−235R−2:ケチミン化合物、ADEKA社製品名。
桐油;空気酸化硬化性化合物、木村社製。
M−309:アロニックスM−309、東亜合成社製品名。
U−220H:ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、日東化成社製品名。
例1〜10、例16〜85は実施例であり、例11〜15は比較例である。
表4に示す配合(単位:質量部)の重合体A、化合物a、比較化合物b及び表3に示す配合の添加剤1を混合して硬化性組成物を調製した。表3に示す配合は重合体Aの合計100質量部に対する値(単位:質量部)である。
得られた硬化性組成物の硬化物について、上記の方法により、M50、最大点凝集力、最大点伸び、体積変化率を評価した。結果を表4に示す。
例11、14、15は分子中にカーボネート基を有さないMnが2,000の比較化合物b1を使用した比較例である。例11は重合体Aの構成が同じである例1〜6と比較して、強度と伸びの両方が劣った。例14は重合体Aの構成が同じである例8と比較して強度と伸びの両方が劣った。例15は重合体Aの構成が同じである例10と比較して強度と伸びの両方が劣った。
例12は1分子中にカーボネート基を1個有する比較化合物b2(式量:102)を使用した比較例である。例13は1分子中にカーボネート基を1個有する比較化合物b3(式量:90)を使用した比較例である。例12、例13は体積変化率がそれぞれ、22%、14%となり、建築用のシーリング材に適用することは困難であることがわかった。
上記例1〜10において添加剤を表3の添加剤2〜8に変更してそれぞれ硬化性組成物を調製し、上記と同様に評価した。例16〜25は添加剤2を添加した例であり、例26〜35は添加剤3を添加した例であり、例36〜45は添加剤4を添加した例であり、例46〜55は添加剤5を添加した例であり、例56〜65は添加剤6を添加した例であり、例66〜75は添加剤7を添加した例であり、例76〜85は添加剤8を添加した例である。いずれの例においても、硬化物のM50、最大点凝集力、及び最大点伸びの値が高く、強度と伸びの両方が優れていた。また、体積変化率は10%以下であり、建築用のシーリング材として好適であった。
Claims (10)
- 下記式1で表される反応性ケイ素基を有する有機重合体と、1分子中に2個以上のカーボネート基を有する化合物と、を含む、硬化性組成物。
−SiXaR3−a 式1
式1中、Rは炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、aが2又は3の場合、Xは互いに同一でも異なっていてもよい。 - 前記有機重合体100質量部に対して、前記化合物を5〜150質量部含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記有機重合体は、アルキレンオキシド単量体の繰り返し単位を含む重合体である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記化合物の数平均分子量が、400〜30,000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記化合物の総質量に対する、カーボネート基に由来する単位の割合は、2〜75質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記化合物が下記式2で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
R1−[(OR2)a−(OC(O)OR3)b−(OC(O)OR4)c−OH]x 式2
式2中、xは、2〜8の整数を表し、a、b又はcは、0〜250の整数を表し、a+b+cは1以上の整数であり、かつ(b+c)×xは2以上の整数であり、R1は、x価の炭素数1〜16の飽和炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1〜12のアルキレン基、又は−R5−R6−R5−で表される基を表し、R5は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R6は、置換若しくは非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基、置換若しくは非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂環式飽和炭化水素基における単環又は多環構造の環を構成する1個以上の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。ただし、隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。 - 前記化合物が下記式3で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
HO−R7−[(OR2)a−(OC(O)OR3)b−(OC(O)OR4)c]−OH 式3
式3中、a、b又はcは、0〜250の整数を表し、b+cは2以上の整数であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1〜12のアルキレン基、又は−R5−R6−R5−で表される基を表し、R5は単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R6は、置換若しくは非置換の単環構造を有する炭素数3〜9の2価の脂環式飽和炭化水素基、置換若しくは非置換の多環構造を有する炭素数4〜16の2価の脂環式飽和炭化水素基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を表す。前記2価の脂環式飽和炭化水素基における単環又は多環構造の環を構成する1個以上の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。ただし、隣り合う炭素原子は同時に酸素原子に置換されない。R7は、R2、R3、及びR4のいずれか一つと同一である。 - シーリング材用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 接着剤用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019128606A JP7306120B2 (ja) | 2019-07-10 | 2019-07-10 | 硬化性組成物、及び硬化物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019128606A JP7306120B2 (ja) | 2019-07-10 | 2019-07-10 | 硬化性組成物、及び硬化物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021014491A true JP2021014491A (ja) | 2021-02-12 |
JP7306120B2 JP7306120B2 (ja) | 2023-07-11 |
Family
ID=74530348
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019128606A Active JP7306120B2 (ja) | 2019-07-10 | 2019-07-10 | 硬化性組成物、及び硬化物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7306120B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023204067A1 (ja) * | 2022-04-22 | 2023-10-26 | Agc株式会社 | 硬化性組成物及びその硬化物 |
WO2023204064A1 (ja) * | 2022-04-22 | 2023-10-26 | Agc株式会社 | 硬化性組成物及びその硬化物 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09278982A (ja) * | 1996-04-15 | 1997-10-28 | Dainippon Ink & Chem Inc | 硬化性樹脂組成物ならびにそれらを用いた塗膜形成方法 |
WO2002088255A1 (en) * | 2001-04-26 | 2002-11-07 | Orient Chemical Industries, Ltd. | Polymeric material, molded article, and processes for producing these |
WO2012144605A1 (ja) * | 2011-04-22 | 2012-10-26 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ用ゴム組成物およびスタッドレスタイヤ |
JP2014514412A (ja) * | 2011-04-25 | 2014-06-19 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 湿気硬化型組成物およびその組成物からなる低表面エネルギーのコーティング組成物 |
JP2014528496A (ja) * | 2011-09-30 | 2014-10-27 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | シリル化ポリマーにおける圧縮歪み特性の改善 |
JP2015172119A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 株式会社カネカ | 硬化性組成物およびその硬化物 |
US20160244606A1 (en) * | 2015-02-23 | 2016-08-25 | King Industries | Curable coating compositions of silane functional polymers |
WO2018066218A1 (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | Dic株式会社 | セミipn型複合体の製造方法 |
JP2018104488A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-07-05 | 株式会社カネカ | 硬化性組成物 |
-
2019
- 2019-07-10 JP JP2019128606A patent/JP7306120B2/ja active Active
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09278982A (ja) * | 1996-04-15 | 1997-10-28 | Dainippon Ink & Chem Inc | 硬化性樹脂組成物ならびにそれらを用いた塗膜形成方法 |
WO2002088255A1 (en) * | 2001-04-26 | 2002-11-07 | Orient Chemical Industries, Ltd. | Polymeric material, molded article, and processes for producing these |
WO2012144605A1 (ja) * | 2011-04-22 | 2012-10-26 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ用ゴム組成物およびスタッドレスタイヤ |
JP2014514412A (ja) * | 2011-04-25 | 2014-06-19 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 湿気硬化型組成物およびその組成物からなる低表面エネルギーのコーティング組成物 |
JP2014528496A (ja) * | 2011-09-30 | 2014-10-27 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | シリル化ポリマーにおける圧縮歪み特性の改善 |
JP2015172119A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 株式会社カネカ | 硬化性組成物およびその硬化物 |
US20160244606A1 (en) * | 2015-02-23 | 2016-08-25 | King Industries | Curable coating compositions of silane functional polymers |
WO2018066218A1 (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | Dic株式会社 | セミipn型複合体の製造方法 |
JP2018104488A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-07-05 | 株式会社カネカ | 硬化性組成物 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023204067A1 (ja) * | 2022-04-22 | 2023-10-26 | Agc株式会社 | 硬化性組成物及びその硬化物 |
WO2023204064A1 (ja) * | 2022-04-22 | 2023-10-26 | Agc株式会社 | 硬化性組成物及びその硬化物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7306120B2 (ja) | 2023-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2022075628A (ja) | 硬化性組成物の製造方法 | |
JP2021059722A (ja) | 硬化性材料、硬化性組成物、硬化物、ポリカーボネート重合体の製造方法、及びポリカーボネート重合体 | |
JP5251493B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2013076094A (ja) | 硬化性組成物 | |
JPWO2007072825A1 (ja) | 室温硬化性組成物 | |
JP7306120B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP2019199581A (ja) | 硬化性組成物及びその製造方法、ならびに硬化物及びシーリング材 | |
JP2020176169A (ja) | 硬化性組成物、硬化物、及びシーリング材 | |
JP6977747B2 (ja) | 床用接着剤用硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP6610690B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP6579206B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP7127302B2 (ja) | オキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物、シーリング材用のオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物、及び硬化物 | |
WO2004076555A1 (ja) | 硬化性樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP7375508B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP7404838B2 (ja) | 硬化性組成物及び硬化物 | |
JP6953910B2 (ja) | 硬化性組成物およびその製造方法、硬化物、ならびにシーリング材 | |
JP2021055013A (ja) | 反応性ケイ素基含有重合体及び硬化性組成物 | |
JP7243332B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 | |
JP7380041B2 (ja) | 硬化性組成物の製造方法 | |
JP7056478B2 (ja) | 硬化性組成物及びその硬化物 | |
JP2020117583A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP7435472B2 (ja) | 硬化性組成物の製造方法 | |
WO2023282298A1 (ja) | 硬化性組成物、硬化物、接着剤、及びシーリング材 | |
WO2023204067A1 (ja) | 硬化性組成物及びその硬化物 | |
JP7358950B2 (ja) | 硬化性組成物、及び硬化物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220214 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230208 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230530 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230612 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7306120 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |