JP7358950B2 - 硬化性組成物、及び硬化物 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の硬化性組成物を上記建築部材の接着剤用途に用いた場合、耐熱試験前後で、硬化物の伸びが低下する。
[1] 1つの末端基に平均して1.0個より多くの下式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される1種以上の化合物と、を含み、上記オキシアルキレン重合体100質量部に対する上記化合物の含有量が0.1~20質量部であり、前記化合物が下式3で表される化合物である、硬化性組成物(但し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基を有する有機重合体であって、主鎖骨格がポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体からなる群より選択される少なくとも1つである結晶性の有機重合体、及びシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基を有する有機重合体であって、主鎖骨格がポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体からなる群より選択される少なくとも1つである非結晶性の有機重合体を含む硬化性組成物を除く)。
-SiXaR3-a 式1
式1中、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示し、aは1~3の整数を示し、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよく、aが2又は3の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
M(OR 11 ) v 式3
前記式3中、R 11 は置換又は非置換の炭素数1~20の1価の有機基を示すか、又はいずれか2つ以上のOR 11 とMとが一体となって炭素数2~20である環構造を形成していることを示す。Mは、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウムであり、Mがチタン又はジルコニウムであるときvは4であり、Mがアルミニウムであるときvは3である。
[2] 上記オキシアルキレン重合体の少なくとも1つの末端基が下式2で表される原子団を含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 上記オキシアルキレン重合体の末端基は、上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を含む、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 上記オキシアルキレン重合体は、1分子中に末端基を2個又は3個有し、各末端基に上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を2個有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] 接着剤用である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6] [1]~[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
本発明の硬化物は、耐熱試験前後で伸びが低下しない。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
「オキシアルキレン重合体」とは、環状エーテルに基づく単位から形成されるポリオキシアルキレン鎖を有する重合体を意味する。
「前駆重合体の誘導体」とは、前駆重合体の末端基である水酸基を、シリル化剤と反応し得る官能基を含む末端基に変換した重合体である。シリル化剤と反応し得る官能基としては、活性水素含有基、分子末端に存在する不飽和基等が挙げられる。
「活性水素含有基」は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第二級アミノ基、ヒドラジド基及びスルファニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。
「活性水素」とは、上記活性水素含有基に基づく水素原子である。
「シリル化剤」とは、前駆重合体又はその誘導体の末端基に含まれる活性水素含有基又は分子末端に存在する不飽和基と反応して反応性ケイ素基を導入し得る化合物である。
反応性ケイ素基は、下式1で表わされる。
-SiXaR3-a 式1
上記式1において、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示す。Rは加水分解性基を含まない。
Rとしては、炭化水素基、ハロ炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基が挙げられる。
加水分解性基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、スルファニル基、アルケニルオキシ基が例示できる。
Xとしては、加水分解性が穏やかで取扱いやすい点から、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基であると、シロキサン結合を速やかに形成し硬化物中に架橋構造を形成しやすく、硬化物の物性値がより良好となる。
aは1又は2が好ましく、aは2がより好ましい。
重合体Aは、開始剤残基と、環状エーテルの開環付加重合により形成されたポリオキシアルキレン鎖と、上記ポリオキシアルキレン鎖の末端酸素原子を含む末端基と、を有する。開始剤残基の価数と、ポリオキシアルキレン鎖の数と、末端基の数とは等しい。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド以外の環状エーテルが挙げられる。特に、プロピレンオキシドが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖は2種以上のオキシアルキレン基を有する共重合鎖であってもよく、その場合、共重合鎖はブロック共重合鎖であってもよく、ランダム共重合鎖であってもよい。
重合体Aが有するポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシエチレン鎖、ポリ(オキシ-2-エチルエチレン)鎖、ポリ(オキシ-1、2-ジメチルエチレン)鎖、ポリ(オキシテトラメチレン)鎖、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖、ポリ(オキシプロピレン・オキシ-2-エチルエチレン)鎖が挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシプロピレン鎖及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖が好ましく、ポリオキシプロピレン鎖が特に好ましい。
1つの末端基に含まれる2価以上の原子の合計数は、80個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、40個以下がさらに好ましい。
1つの末端基に含まれる2価以上の原子の合計数は、1個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、10個以上がさらに好ましく、20個以上が特に好ましい。
2価以上の原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子がより好ましく、炭素原子、酸素原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子がさらに好ましい。
重合体Aの分子量分布は1.60以下が好ましく、1.40以下がより好ましく、1.20以下がさらに好ましく、1.17以下が特に好ましく、1.15以下が特別に好ましい。重合体Aの分子量分布は1.00以上が好ましい。分子量分布が上記上限値以下であると、硬化物の伸び物性が向上しやすい。
重合体Aの25℃における粘度は、0.1~70Pa・sが好ましく、0.5~60Pa・sがより好ましく、1~55Pa・sがさらに好ましい。上記範囲内であると作業性により優れる。
重合体Aは、末端基に上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を含むことが好ましい。
重合体Aは、1分子中に反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を4個~6個有することが好ましい。
シリル化率は、前駆重合体の誘導体の末端基に含まれる不飽和基に対して反応させるシリル化剤の量によって調整することができる。
硬化性組成物が、2種類以上の重合体Aを含む場合、重合体A全体における平均のシリル化率が上記の範囲内であればよい。
R1、R3としては-CH2-、-C2H4-、-C3H6-、-C4H8-、-C5H10-、-C6H12-、-C(CH3)2-、-CH2O-、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2-O-CH2-、-C=C-、-C≡C-、-CO-、-CO-O-、-CO-NH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-が例示できる。
R1は-CH2-O-CH2-、-CH2O-、-CH2-が好ましく、―CH2-O-CH2-がより好ましい。
R3は、-CH2-、-C2H4-が好ましく、-CH2-がより好ましい。
直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が例示できる。
分岐のアルキル基としては、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、2-エチルブチル基、2-プロピルブチル基、3-メチルブチル基、3-エチルブチル基、3-プロピルブチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、2-プロピルペンチル基、3-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、3-プロピルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-エチルペンチル基、4-プロピルペンチル基、2-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、3-プロピルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、4-プロピルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、5-エチルヘキシル基、5-プロピルヘキシル基が例示できる。
R2、R4は、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
上記式2のR5は、上記式1のRと同様である。
上記式2のYは、上記式1のXと同様である。
上記式2のbは上記式1のaと同様である。
重合体Aは、前駆重合体の1つの末端基に平均して上記反応性ケイ素基を1.0個より多く導入して得られる。
重合体Aの製造方法は、前駆重合体の末端基に平均して不飽和基を1.0個よりも多く導入した後、上記不飽和基と上記シリル化剤を反応させる方法が好ましい。
前駆重合体は、活性水素含有基を有する開始剤の活性水素に、開環重合触媒の存在下で、環状エーテルを開環付加重合させたオキシアルキレン重合体である。開始剤の活性水素の数と、前駆重合体の末端基の数と、重合体Aの末端基の数は同じである。
上記開始剤としては、水酸基を2~8個有する開始剤が好ましく、水酸基を2~6個有する開始剤がより好ましく、水酸基を2個又3個有する開始剤がさらに好ましい。開始剤は、2種類以上を併用してもよい。
水酸基を3個以上有する開始剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、低分子量のポリオキシプロピレントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュクロースが例示できる。
上記開始剤は、2種類以上を併用してもよい。
上記前駆重合体の誘導体1分子中に含まれる活性水素含有基の数は、貯蔵安定性の点から0.3個以下が好ましく、0.1個以下がより好ましい。
シリル化剤としては、不飽和基と反応して結合を形成し得る基(例えばスルファニル基)及び上記反応性ケイ素基の両方を有する化合物、ヒドロシラン化合物(例えばHSiXaR3-a、ただし、X、R及びaは上記式1と同様である。)が例示できる。具体的には、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリス(2-プロペニルオキシ)シラン、トリアセトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、(α-クロロメチル)ジメトキシシラン、(α-クロロメチル)ジエトキシシランが例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましく、メチルジメトキシシラン又はトリメトキシシランがより好ましい。
化合物aは、重合体Aの硬化触媒である。化合物aは、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である。化合物aは2種類以上を併用してもよい。
M(OR11)v 式3
上記式3中、R11は置換又は非置換の炭素数1~20の1価の有機基を示すか、又はいずれか2つ以上のOR11とMとが一体となって炭素数2~20である環構造を形成していることを示す。Mは、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウムであり、Mがチタン又はジルコニウムであるときvは4であり、Mがアルミニウムであるときvは3である。上記炭素数は、R11が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む。
このような化合物aとして、下式6又は下式7で表される化合物が好ましい。
R14、R15、R16の1価の炭化水素基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10がさらに好ましい。
R14、R15、R16で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基が好ましい。
-OR16で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
化合物aとしては、上記式6において、Mがチタン又はジルコニウムであり、mが2であり、R12が炭素数1~6のアルキル基であり、R13が水素原子であり、R14が炭素数1~4のアルキル基であり、R15が炭素数1~6のアルコキシ基である化合物が、耐熱試験前後で硬化物の伸びの低下が抑制されやすい点でより好ましい。
化合物aとしては、上記式6において、Mがチタン又はジルコニウムであり、mが2であり、R12が炭素数1~4のアルキル基であり、R13が水素原子であり、R14が炭素数1~3のアルキル基であり、R15が炭素数1~3のアルコキシ基である化合物が、耐熱試験前後で硬化物の伸びの低下が抑制されやすい点でさらに好ましい。
市販されている化合物aとしては、オルガチックスTC-750、オルガチックスAL-3200が耐熱試験前後で硬化物の伸びの低下が抑制される点で好ましい。
硬化性組成物は、重合体A及び化合物aに、さらに必要に応じた成分を添加し、混合して得られる。
硬化性組成物の総質量に対する重合体Aの含有割合は、5~70質量%が好ましく、7~60質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ましい。重合体Aの含有割合が上記範囲内であると、硬化物の強度と伸びがより優れる。
硬化性組成物の総質量に対する化合物aの含有割合は、0.1~14質量%が好ましく、0.2~10.5質量%がより好ましく、0.3~7質量%がさらに好ましい。化合物aの含有割合が上記範囲内であると、耐熱試験前後で硬化物の伸びの低下が抑制される。
重合体Aの100質量部に対する化合物aの含有量は0.1~20質量部であり、0.5~15質量部が好ましく、0.8~12質量部がより好ましく、1.0~10質量部がさらに好ましい。化合物aの含有量が上記範囲の下限値以上であると、耐熱試験前後で硬化物の伸びの低下が抑制され、上限値以下であると、適切な作業時間を確保しやすく、作業性がより向上する。
硬化性組成物は、1つの末端基に平均して1.0個以下の上記式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体、上記式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体以外の重合体、上記式1で表される反応性ケイ素基を有しない重合体を含んでいてもよい。オキシアルキレン重合体以外の重合体としては、アクリル酸系重合体、メタクリル酸系重合体等のビニル系重合体、飽和炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ポリサルファイド系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体が挙げられる。
硬化性組成物は、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、充填材、可塑剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、脱水剤、接着性付与剤、アミン化合物、酸素硬化性化合物、光硬化性化合物、硬化触媒(シラノール縮合触媒)が例示できる。
その他の成分は、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014-88481号公報、特開2015-10162号公報、特開2015-105293号公報、特開2017-039728号公報、特開2017-214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。
各成分は2種類以上を併用してもよい。
2液型の硬化性組成物において、硬化剤組成物は水を含んでもよい、主剤組成物は少量の水分を含んでもゲル化し難いが、貯蔵安定性の点からは配合成分を予め脱水乾燥することが好ましい。
貯蔵安定性を向上させるために、1液型の硬化性組成物又は2液型の主剤組成物に脱水剤を添加してもよい。
特に、局所的に熱がかかる部分に使用される接着剤用途に好適であり、例えば床暖房等の建築部材に使用される接着剤用途に好適である。
[水酸基換算分子量]
以下の例におけるオキシアルキレン重合体の前駆重合体の水酸基換算分子量は、上記前駆重合体の水酸基価をJIS K 1557(2007)に基づいて算出し、「56,100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数、又は前駆重合体の末端基の数)」として算出した値である。
HLC-8220GPC(東ソー社製品名)を用いて、Mw、Mn及びMw/Mnを求めた。
重合体の末端基中に塩化アリル及びアリルグリシジルエーテルを用いて不飽和基を導入し、シリル化剤を上記不飽和基と反応させて反応性ケイ素基を導入する方法において、末端基中の不飽和基に対する、シリル化剤の反応性ケイ素基の仕込み当量(モル比)をシリル化率とした。
塩化アリル及びアリルグリシジルエーテルを用いて導入された不飽和基とシリル化剤の反応において、副反応によりシリル化剤と反応しない不飽和基はおよそ10%である。したがって不飽和基の90モル%未満をシリル化剤と反応させる場合には、上記仕込み当量をシリル化率とする。
シリル化率に基づいて1分子あたりのシリル基数を算出した。
1分子あたりのシリル基数を末端基の数で除して、末端基あたりのシリル基数を算出した。
JIS A 1439の建築用シーリング材の試験方法に準拠して、アルミニウム板を被着体として、引張特性試験用の試験体を作製した。作成した試験体を温度23度、湿度50%で7日間養生し、更に温度50度、湿度65%で7日間養生を行い、標準サンプルを得た。この標準サンプルをテンシロン試験機にて23℃の条件下、引張速度50mm/分で引張試験を行い、50%伸張した時の応力(M50、単位:N/mm2)、最大点凝集力(Tmax、単位:N/mm2)、最大点伸び(単位:%)の引張特性を測定した。
上記標準サンプルをさらに温度110℃で7日間養生し、耐熱試験サンプルを得た。この耐熱試験サンプルを上記と同様にして引張試験を行い、50%伸張した時の応力(M50、単位:N/mm2)、最大点凝集力(Tmax、単位:N/mm2)、最大点伸び(単位:%)の引張特性を測定した。
耐熱試験前後の伸びの変化率は、下式8から算出した。
耐熱試験前後の伸びの変化率[%]=(耐熱試験サンプルの最大点伸び-標準サンプルの最大点伸び)/標準サンプルの最大点伸び×100 式8
上記引張試験後の耐熱サンプルについて、被着体の表面を目視で確認し、被着体表面に樹脂成分が残存している場合をCF、被着体上に樹脂成分が残存していない場合をAFとして評価した。CFである場合には、被着体の面積を100%として、樹脂成分が残存している面積の割合(%)を算出した。
Mnが約2,000で、末端基として水酸基を1個ずつ有するオキシプロピレン重合体を開始剤とし、配位子がt-ブチルアルコールの亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA-DMC触媒」と記す。)を触媒として使用してプロピレンオキシドを付加重合し、水酸基換算分子量が12,000の前駆重合体a1を得た。続いて、前駆重合体a1の水酸基に対して1.15倍当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して前駆重合体a1における水酸基をアルコラート化した。次いで加熱減圧によりメタノールを留去し、さらに前駆重合体a1の水酸基に対して1.05倍当量のアリルグリシジルエーテルを添加し、130℃で2時間反応させた。次いで、前駆重合体a1の水酸基に対して、0.28モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに前駆重合体a1の水酸基に対して、2.10モル当量の塩化アリルを添加して130℃で2時間反応を行い、減圧下で系中から未反応の塩化アリルを除去し、末端基にアリル基が導入されたオキシプロピレン重合体(重合体Q1)を得た。重合体Q1の1つの末端基に導入されたアリル基は平均2.0個であった。次いで、白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、重合体Q1のアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が1つの末端基に平均して1.0個より多く導入された重合体(重合体A)を得た。
得られた重合体のMn、Mw/Mn、1分子あたりの反応ケイ素基の平均数、末端基あたりのシリル基数を表1に示す(以下、同様に示す。)。
プロピレングリコールを開始剤とし、TBA-DMC触媒の存在下に、プロピレンオキシドを付加重合し、水酸基換算分子量が12,000の前駆重合体b1を得た。続いて、前駆重合体b1の水酸基に対して1.15倍当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して前駆重合体b1における水酸基をアルコラート化した。次いで、加熱減圧によりメタノールを留去し、さらに前駆重合体b1の水酸基に対して過剰量の塩化アリルを添加してポリオキシアルキレン鎖の末端基に導入されたアルコラート基をアリル基に変換した。末端基に導入されたアリル基は、平均1.0個であった。次いで、塩化白金酸六水和物の存在下、前駆重合体b1の水酸基がアリルオキシ基に変換された化合物に対して0.80倍モルのジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が1つの末端基に平均して1.0個以下導入された重合体(重合体B)を得た。
例1、2は実施例であり、例3~8は比較例である。
表2に示す配合(単位:質量部)の重合体、硬化触媒、及び重合体100質量部に対して、可塑剤(DINP、ジイソノニル二レート、ビニサイザー90、花王社製)の40質量部、安定剤(Songnox2450、Songwon社製品名)の1質量部、安定剤(Ti326、BASFジャパン株式会社製品名社製)の1質量部、チクソ性付与剤(水添ひまし油系チクソ性付与剤、ディスパロン6500、楠本化成社製品名)の3質量部、充填剤(膠質炭酸カルシウム、白艶化CCR、白石工業社製品名)の75質量部、充填剤(重質炭酸カルシウム、ホワイトンSB、白石工業社製品名)の75質量部、脱水剤(ビニルトリメトキシシラン、KBM-1003、信越化学社製品名)の3質量部、接着性付与剤(3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、KBM-603、信越化学社製品名)の1質量部、接着性付与剤(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、KBM-403、信越化学社製品名)の1質量部を混合して硬化性組成物を調製した。
得られた硬化性組成物の硬化物について、上記の方法により、M50、Tmax、最大点伸び、接着性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 1つの末端基に平均して1.0個より多くの下式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される1種以上の化合物と、を含み、前記オキシアルキレン重合体100質量部に対する前記化合物の含有量が0.1~20質量部であり、前記化合物が下式3で表される化合物である、硬化性組成物(但し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基を有する有機重合体であって、主鎖骨格がポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体からなる群より選択される少なくとも1つである結晶性の有機重合体、及びシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基を有する有機重合体であって、主鎖骨格がポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体からなる群より選択される少なくとも1つである非結晶性の有機重合体を含む硬化性組成物を除く)。
-SiXaR3-a 式1
式1中、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基または加水分解性基を示し、aは1~3の整数を示し、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよく、aが2又は3の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
M(OR 11 ) v 式3
前記式3中、R 11 は置換又は非置換の炭素数1~20の1価の有機基を示すか、又はいずれか2つ以上のOR 11 とMとが一体となって炭素数2~20である環構造を形成していることを示す。Mは、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウムであり、Mがチタン又はジルコニウムであるときvは4であり、Mがアルミニウムであるときvは3である。 - 前記オキシアルキレン重合体の少なくとも1つの末端基が下式2で表される原子団を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記オキシアルキレン重合体の末端基は、前記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記オキシアルキレン重合体は、1分子中に末端基を2個又は3個有し、各末端基に前記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、又は不飽和基のいずれかである基を2個有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 接着剤用である、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
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