JP2023009597A - 硬化性組成物、硬化物、接着剤、及びシーリング材 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物、接着剤、及びシーリング材 Download PDF

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Yusuke Jimbo
和真 今野
Kazumasa Konno
佳孝 砂山
Yoshitaka Sunayama
高 伊藤
Takashi Ito
大輔 賀来
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Abstract

【課題】低粘度でかつ得られる硬化物のモジュラスが高く、強度及び伸びが良好な硬化性組成物を提供する。【解決手段】重合体Aと重合体Bを含み、重合体Aの質量の重合体Bの質量に対する比が5/95~95/5である硬化性組成物。重合体A:末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、且つ-SiXaR3-aで表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で0.3~1.0個有し、1つの末端基あたりの水酸基換算分子量が500~2,000であるオキシアルキレン重合体。重合体B:前記反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で1.0個超有するオキシアルキレン重合体。Rは加水分解性基以外の炭素数1~20の1価の有機基を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。aは1~3の整数である。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なっていてもよく、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化物、接着剤、及びシーリング材に関する。
本発明は、ケイ素原子に結合した水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する重合体を含む硬化性組成物に関する。
分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する重合体は、室温においても、湿分等による反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状の硬化物が得られるという性質を有することが知られている。
これらの反応性ケイ素基を有する重合体の中で、主鎖骨格がオキシアルキレン重合体、飽和炭化水素重合体、アクリル酸アルキルエステル重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル重合体は、既に工業的に生産され、シーリング材、接着剤、塗料等の用途に広く使用されている。これらの反応性ケイ素基を有する重合体を含む硬化性組成物を接着剤として用いる場合には、硬化性、硬化物の伸び物性の他に被着物に対する接着性が重要であり、高いモジュラスと強度が求められる。
硬化物の高いモジュラスと高い強度を実現するために、重合体1分子中の反応性ケイ素基の数を増やし、架橋密度を上げることが考えられる。
特許文献1には、分子量2,000~6,000でかつ、1分子中に反応性ケイ素基を平均して2.1~5個含有する有機重合体の主鎖構造が、少なくとも1つ以上の分岐鎖を有しているポリオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物が開示されている。前記重合体は一般建築用シーリング材組成物として、高硬度の硬化物を与える硬化性組成物を提供できることが記載されている。
特許文献2には、1つの主鎖末端に複数の反応性ケイ素基を含有する重合体と主鎖末端に1.0個以下の反応性ケイ素基を有する重合体とを硬化性組成物中に配合することにより、硬化性を高めるとともに、その硬化物の復元率、耐候性及び引裂き強度の向上を実現していることが記載されている。
国際公開第2012/070476号 国際公開第2015/080067号
しかしながら、特許文献1や特許文献2における重合体を含む硬化性組成物の硬化物ではモジュラス、強度及び伸びのいずれかが不充分である場合がある。特に接着剤においては、これらの物性の両立が求められている。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硬化性組成物が低粘度で作業性が良好であり、かつその硬化物のモジュラス、強度及び伸びが良好である硬化性組成物の提供を課題とする。
本発明は、下記[1]~[8]である。
[1] 下記重合体Aと下記重合体Bを含み、前記重合体Aの質量の前記重合体Bの質量に対する比が5/95~95/5である、硬化性組成物。
重合体A:末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、且つ下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で0.3~1.0個有し、1つの末端基あたりの下記オキシアルキレン重合体の水酸基換算分子量が500~2,000であるオキシアルキレン重合体。
重合体B:下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で1.0個超有するオキシアルキレン重合体。
-SiX3-a 式1
[上記式1中、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。aは1~3の整数である。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なっていてもよく、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。]
[2] 前記重合体Aは、末端基を1分子あたり平均で3~8個有する、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 前記重合体Bが、下式2又は下式3で表される基を含む末端基を有する、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
Figure 2023009597000001
上記式2中、Rは酸素原子、硫黄原子、上記式2中の-(CH―と結合する原子が炭素原子である-C(=O)O-で表される2価の基、又は-N(R)-で表される2価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、mは0~10の整数である。Rは酸素原子若しくは窒素原子を含んでもよく、酸素原子若しくは窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の1価の炭化水素基、水素原子、又は-R-CHR-CH-Siで表される基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、複数のR、R、Siはそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。
Figure 2023009597000002
上記式3中、R11、R13はそれぞれ独立に炭素数1~6の2価の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、R12、R14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、nは1~10の整数を示し、複数のSiは互いに同一でも異なってもよい。
[4] 前記重合体Bの数平均分子量が10,000~100,000である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] 前記重合体Aの質量の前記重合体Bの質量に対する比が5/95~40/60である[1]~[4]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6] [1]~[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
[7] [6]に記載の硬化物からなる、接着剤。
[8] [6]に記載の硬化物からなる、シーリング材。
本発明の硬化性組成物は、低粘度であり、モジュラスが高く、強度及び伸びが良好な硬化物を得ることができる。本発明の硬化物は、モジュラスが高く、強度及び伸びが良好であり、特に接着剤に有用である。
本明細書における用語の意味及び定義は以下のとおりである。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により直接形成された原子団を意味する。
「主鎖」とは、2個以上の単量体の連結により形成された重合鎖を意味する。
オキシアルキレン重合体は、主鎖と、末端基からなる重合体である。
後述のオキシアルキレン重合体A、後述の式3、8で表される基を有するオキシアルキレン重合体B、及び後述のオキシアルキレン重合体Cの場合、オキシアルキレン重合体における「主鎖」は、開始剤の残基と、環状エーテルに基づく繰り返し単位を含む部分(ポリオキシアルキレン鎖)と、を含む部分を意味する。また、オキシアルキレン重合体における「末端基」は、前記ポリオキシアルキレン鎖中の酸素原子のうち、分子末端に最も近い酸素原子を含む原子団を意味する。但し、原子団が開始剤の残基を含む場合は、末端基とはみなさない。
後述の式2、7で表される基を有するオキシアルキレン重合体Bの場合、オキシアルキレン重合体における「主鎖」は、後述のカップリング反応によって導入されたカップリング剤由来の連結部位と、ポリオキシアルキレン鎖と、を含む部分を意味する。また、オキシアルキレン重合体における「末端基」は、前記ポリオキシアルキレン鎖中の酸素原子のうち、分子末端に最も近い酸素原子を含む原子団を意味する。後述の式2、7で表される基を有するオキシアルキレン重合体Bの場合、「末端基」は、開始剤化合物から活性水素を1個除いた残基由来の構造を有する。
「活性水素」とは、アルキレンオキシドが開環付加しうる反応性基が有する水素原子を意味し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等に結合した水素原子を意味する。また、水も活性水素を有するものとする。但し、ケイ素原子に結合した水酸基中の水素は活性水素とはみなさない。
「活性水素含有基」とは、上記活性水素を有する基を意味する。なお、活性水素含有基は、イソシアネート基と反応し得る反応性基でもある。
「不飽和基」とは、不飽和性の二重結合を含む1価の基を意味する。特に断らない限り、ビニル基、アリル基、及びイソプロペニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。
「前駆重合体」とは、後述のオキシアルキレン重合体A、後述の式3、8で表される基を有するオキシアルキレン重合体B、及び後述のオキシアルキレン重合体Cにおける、反応性ケイ素基導入前の重合体であって、開始剤の活性水素に環状エーテルを重合させた末端基が水酸基であるオキシアルキレン重合体を意味する。
「シリル化率」は、オキシアルキレン重合体の末端基における反応性ケイ素基、活性水素含有基、不飽和基、イソシアネート基の合計に対する前記反応性ケイ素基の数の割合である。シリル化率の値はNMR分析によって測定できる。
「シリル化剤」とは、活性水素含有基、不飽和基、又はイソシアネート基と反応する官能基と反応性ケイ素基とを有する化合物を意味する。
後述のオキシアルキレン重合体A、後述の式3、8で表される基を有するオキシアルキレン重合体B、及び後述のオキシアルキレン重合体Cにおける「末端基の数」は、開始剤の活性水素の数又は前駆重合体の末端基の数と同じ数である。「末端基の数」は、例えば、後述の方法(a)によりオキシアルキレン重合体A、後述の式3、8で表される基を有するオキシアルキレン重合体B、及び後述のオキシアルキレン重合体Cを製造する場合、オキシアルキレン重合体の前駆重合体に不飽和基を導入した後、JIS K 0070(1992)に規定されたよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に不飽和基濃度を測定する方法で算出した値とすることもできる。後述の式2、7で表される基を有する重合体Bにおける「末端基の数」は、後述のカップリング剤に含まれる官能基(イソシアネート基、ハロゲン原子、及びエポキシ基)の数と同じである。本明細書における数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)とは、THFを溶離液とするGPCを使用し、分子量既知のポリスチレン重合体を用いて検量線を作成して測定した、ポリスチレン換算分子量である。分子量分布(Mw/Mn)は、Mnに対するMwの比率である。
「水酸基換算分子量」とは、アルキレンオキシド単量体に基づく繰り返し単位を含む重合体である場合において、開始剤や前駆重合体の水酸基価をJIS K 1557(2007)に基づいて算出し、「56,100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数、又は、前駆重合体の末端基の数)」として算出した値である。
1つの末端基あたりのオキシアルキレン重合体の水酸基換算分子量は、前記前駆重合体における前記水酸基価の値を「56,100/(前駆重合体の水酸基価)」の式に当てはめて算出することにより求めることができる。水酸基換算分子量とGPC測定により求めたMnの検量線をあらかじめ作成しておき、求めたい重合体のMn測定結果をこの検量線に当てはめることで重合体の水酸基換算分子量を推定し、「推定した水酸基換算分子量/推定した官能基数」の式に当てはめて算出してもよい。推定した官能基数については、NMRにより開始剤を同定するか、GPC測定より求めたMnと重合体の粘度の検量線を、各官能基の重合体毎にあらかじめ作成しておき、求めたい重合体のMnと粘度の測定結果をこの検量線に当てはめることで重合体の官能基数を推定することができる。
本発明の硬化性組成物は、下記重合体Aと下記重合体Bを含み、前記重合体Aの質量の前記重合体Bの質量に対する比が5/95~95/5である硬化性組成物である。
重合体A:末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、且つ下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で0.3~1.0個有し、1つの末端基あたりの下記オキシアルキレン重合体の水酸基換算分子量が500~2000であるオキシアルキレン重合体。
重合体B:下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で1.0個超有するオキシアルキレン重合体。
<反応性ケイ素基>
反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成して架橋し得る。シロキサン結合を形成する反応は硬化触媒によって促進される。重合体A及び重合体Bにおける反応性ケイ素基は下式1で表される。
-SiX3-a 式1
上記式1において、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示す。Rは加水分解性基を含まない。
Rは、炭素数1~20の炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、α-クロロアルキル基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、α-クロロメチル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基及びトリフェニルシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。反応性ケイ素基を有する重合体の硬化性と硬化性組成物の安定性が良い点からメチル基又はエチル基が好ましい。硬化物の硬化速度が速い点からα-クロロメチル基が好ましい。容易に入手できる点からメチル基が特に好ましい。
上記式1において、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。Xは互いに同一でも異なっていてもよい。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、スルファニル基、アルケニルオキシ基が例示できる。
加水分解性が穏やかで取扱いやすい点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基であると、シロキサン結合を速やかに形成し硬化物中に架橋構造を形成しやすく、硬化物の物性値が良好となりやすい。
上記式1において、aは1~3の整数である。aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。硬化物が、高いモジュラスで伸びと強度に優れたものとなりやすいため、aは2又は3が好ましく、aは2であることがより好ましい。
上記式1で表される反応性ケイ素基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリス(2―プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、メチルジイソプロポキシシリル基、(α-クロロメチル)ジメトキシシリル基、(α-クロロメチル)ジエトキシシリル基が例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましく、ジメトキシメチルシリル基がより好ましい。
<重合体A>
重合体Aは、末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、且つ上記式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で0.3~1.0個有し、1つの末端基あたりの前記重合体Aの水酸基換算分子量が500~2,000である。本発明の硬化性組成物における重合体Aは2種類以上でもよい。
重合体Aの主鎖は、開始剤の残基と、1種類以上の環状エーテルの開環付加重合により形成されたオキシアルキレン鎖からなる重合鎖である。2種類以上の環状エーテルの開環付加重合により形成された共重合鎖である場合、それらの開環付加は、ブロック重合体を形成していてもよくランダム重合体を形成していてもよい。
重合体Aは、末端基を1分子あたり平均で2~8個有する。硬化物の強度、モジュラス、伸び特性の観点から、末端基を1分子あたり平均で3~8個有するものがより好ましく、4~8個有するものがさらに好ましく、4~6個有するものが特に好ましい。
重合体Aの末端基は、上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、不飽和基、及びイソシアネート基のいずれかを有し、上記式1で表される反応性ケイ素基、水酸基、アリル基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の基を有することが好ましい。それぞれの末端基は互いに同じであっても、異なってもよい。
活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第一級アミンから水素原子を除去した1価の官能基、ヒドラジド基及びスルファニル基が挙げられる。活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、第一級アミンから水素原子を除去した1価の官能基が好ましく、水酸基がより好ましい。
重合体Aは、上記式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたりに平均して0.3~1.0個有し、0.60~0.97個有することが好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の強度により優れ、モジュラスがより高くなりやすい。
1つの末端基あたりの重合体Aの水酸基換算分子量は500~2,000であり、500~1,750が好ましく、600~1,500がより好ましく、700~1,500がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなりやすい。
重合体Aの水酸基換算分子量は1,000~16,000が好ましく、1,400~12,000がより好ましく、2,100~9,000が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になりやすい。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなりやすい。
重合体Aの分子量分布は1.8以下が好ましい。良好な伸び物性が得られやすいため、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.0~1.6がより好ましく、1.02~1.5がさらに好ましく、1.04~1.4が特に好ましい。
重合体AのMnは1,500~24,000が好ましく、2,000~20,000がより好ましく、3,000~14,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
重合体AのMnを重合体Aの末端基の数で除して得られる、1つの末端基あたりの重合体AのMnは600~3,000が好ましく、650~2,700がより好ましく、700~2,500がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
重合体Aの製造方法として、下記の方法(a)~方法(c)による製造方法が挙げられる。
方法(a):前駆重合体の水酸基をアルケニルオキシ基に変換し、次いでアルケニルオキシ基の不飽和基に上記式1で表される反応性ケイ素基を導入しうるシリル化剤を反応させて上記式1で表される反応性ケイ素基を有するアルコキシ基とする方法。
方法(b):前駆重合体の水酸基に前記水酸基と反応しうる官能基と上記式1で表される反応性ケイ素基とを有するシリル化剤を反応させて、水酸基を上記式1で表される反応性ケイ素基を有する基に変換する方法。
方法(c):前駆重合体の水酸基を、イソシアネート基を有する基に変換し、次いでイソシアネート基と反応し得る官能基と上記式1で表される反応性ケイ素基とを有するシリル化剤を反応させて、水酸基を上記式1で表される反応性ケイ素基を有する基に変換する方法。
方法(a)に使用するシリル化剤としては、不飽和基と反応して結合を形成し得る基(例えばスルファニル基)及び上記式1で表される反応性ケイ素基の両方を有する化合物、ヒドロシラン化合物(例えばHSiX3-a、X、R及びaは上記式1と同じである。)が例示できる。具体的には、例えば、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラン、メチルジイソプロポキシシラン、(α-クロロメチル)ジメトキシシラン、(α-クロロメチル)ジエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリス(2―プロペニルオキシ)シラン、トリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランが例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシランが好ましく、ジメトキシメチルシランがより好ましい。
不飽和基と、シリル化剤とを反応させる方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特公昭45-36319号、特開昭50-156599号、特開昭61-197631号、特開平3-72527号、特開平8-231707号、特開2011-178955号、米国特許3632557、米国特許4960844号の各公報に提案されている方法が挙げられる。
方法(b)に使用するシリル化剤としては、下記式4で表されるイソシアネートシラン化合物が好ましい。
OCN-(CH-SiX3-a 式4
上記式4中の-SiX3-aは上記式1と同じである。pは1~8の整数であり、好ましくは1~3である。
前駆重合体の水酸基と上記イソシアネートシラン化合物との反応により、前駆重合体の水酸基が-O-C(=O)NH-(CH-SiX3-aで表される、ウレタン結合(-O-C(=O)NH-)と-SiX3-aを有する末端基に変換される。
イソシアネートシラン化合物としては、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジメトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジエトキシシランが挙げられる。
イソシアネートシラン化合物としては、前駆重合体との反応性や取扱いのし易さから、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジメトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシランが好ましい。
この反応はウレタン化触媒の存在下に行ってもよい。ウレタン化触媒としては、特に限定されず、公知のウレタン化触媒を適宜用いることができる。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、ビスマス化合物等の金属触媒、有機アミン等の塩基触媒が挙げられる。反応温度としては、20~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましい。また、ウレタン化反応は、不活性ガス雰囲気下に行われることが好ましい。不活性ガスとしては窒素が好ましい。
方法(c)では、前駆重合体の水酸基にポリイソシアネート化合物を反応させて、水酸基を、前駆重合体との結合末端側にウレタン結合(-O-C(=O)NH-)を有する、イソシアネート基を含有する1価の有機基(以下、「イソシアネート含有基」ともいう。)に変換し、次いで、前記イソシアネート含有基にイソシアネート基と反応し得る官能基と上記式1で表される反応性ケイ素基とを有するシリル化剤を反応させて、ウレタン結合(-O-C(=O)NH-)を2個以上有し、かつ、イソシアネート基と反応したシリル化剤残基を有する1価の有機基(以下、「ウレタン結合及び反応性ケイ素基含有基」ともいう。)である末端基とする。
以下、上記ポリイソシアネート化合物を下式5で表されるジイソシアネート化合物とし、イソシアネート基と反応し得る官能基と上記式1で表される反応性ケイ素基とを有するシリル化剤を下式6で表される化合物として、方法(c)を説明するが、これに限定されるものではない。
OCN-R20-NCO 式5
上記式5中のR20は2価の有機基を示す。
W-R21-SiX3-a 式6
上記式6中のWは1価のイソシアネート基と反応し得る官能基(活性水素1個以上を有する基)、R21は2価の有機基、-SiX3-aは上記式1と同じである。
前駆重合体の水酸基に上記式5で表されるポリイソシアネート化合物を反応させた場合、上記イソシアネート含有基は、-O-C(=O)NH-R20-NCOで表される基となる。上記イソシアネート含有基と上記式6で表されるシリル化剤を反応させた場合、上記ウレタン結合及び反応性ケイ素基含有基は、-O-C(=O)NH-R20-NHC(=O)-W’-R21-SiX3-a(ただし、W’はWから活性水素1個を除いて得られる2価の基である。)で表される基となる。例えば、Wが水酸基である場合、上記ウレタン結合及び反応性ケイ素基含有基は、-O-C(=O)NH-R20-NHC(=O)-O-R21-SiX3-aで表される基である。この場合、上記ウレタン結合及び反応性ケイ素基含有基は2個のウレタン結合を有する。
20としては炭素数2~20の2価の有機基が好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基、ビシクロアルキレン基、単環もしくは多環の2価の芳香族炭化水素基、アルキル基を置換基として有するシクロアルカン中の2個の水素原子を除いて得られる2価の基、アルキル基を置換基として有する芳香族炭化水素中の2個の水素原子を除いて得られる2価の基、アルキレン基を介して結合された、アルキル基を置換基として有していてもよい2以上のシクロアルカン中の2個の水素原子を除いて得られる2価の基、アルキレン基を介して結合された、アルキル基を置換基として有していてもよい2以上の芳香族炭化水素中の2個の水素原子を除いて得られる2価の基等が挙げられる。
上記式5で表されるジイソシアネート化合物及びそれ以外のポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、無黄変性芳香族ポリイソシアネート(芳香族環を構成する炭素原子に直接結合したイソシアネート基を有しない化合物をいう。)、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環族ポリイソシアネート、並びに、上記ポリイソシアネートから得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド変性体、及びイソシアヌレート変性体が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、及び2,6-トリレンジイソシアネートが挙げられる。
無黄変性芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個有するものが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートが好ましく、硬化物の強度が得られやすいため、トリレンジイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネート化合物は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式6で表されるイソシアネート基と反応し得る官能基と-SiX3-aとを有するシリル化剤におけるR21としては、炭素数1~20の2価の有機基が好ましく、炭素数1~10の芳香族炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基、炭素数1~4のアルキル基で置換された炭素数1~10の芳香族炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基、炭素数1~10の環状炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基、炭素数1~12の直鎖の炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基がより好ましく、炭素数1~8の直鎖の炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基がさらに好ましく、炭素数1~6の直鎖の炭化水素から水素原子を2個除いて得られる基が特に好ましい。
Wとしては水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、アミノ基、1つの水素原子が炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基から選ばれる、活性水素を1又は2個有する基が好ましく、水酸基、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基及びブチルアミノ基が好ましく、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基及びブチルアミノ基がより好ましい。
前駆重合体に導入される上記反応性ケイ素基の数としては、前記のように、1つの末端基あたりに平均して0.3~1.0個であり、硬化物のモジュラスが高く、かつ伸び特性が良好となりやすいという観点から、0.60~0.97個がより好ましい。
前駆重合体は、活性水素含有基を有する開始剤の活性水素に、開環重合触媒の存在下で、環状エーテルを開環付加重合させたオキシアルキレン重合体である。開始剤の活性水素の数と、前駆重合体の末端基の数と、重合体Aの末端基の数は同じである。
前駆重合体は、水酸基を有する開始剤に環状エーテルを開環付加重合させた、末端基が水酸基である重合体が好ましい。重合体Aの前駆重合体としては、全末端基が水酸基である前駆重合体が好ましい。
前記開始剤としては、活性水素含有基を2~8個有する開始剤が好ましく、3~8個有する開始剤がより好ましく、4~8個有する開始剤がさらに好ましく、4~6個有する開始剤が特に好ましい。開始剤における活性水素含有基は水酸基が好ましい。
開始剤は2種類以上を併用してもよい。開始剤を2種類以上併用する場合には、それらの開始剤の活性水素含有基の数のモル平均が2~8個であればよい。
活性水素含有基を2~8個有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリストール、スクロース、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トレハロース、ジグリセリン、エチレンジアミンが例示でき、グリセリン、ペンタエリストール、ソルビトールが硬化物の強度の観点から好ましい。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド以外の環状エーテルが挙げられる。環状エーテルとしては、アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドがより好ましく、特に、プロピレンオキシドが好ましい。
開始剤に環状エーテルを開環付加重合させる際の、開環重合触媒としては、従来公知の触媒を用いることができ、例えば、KOHのようなアルカリ触媒、有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような金属化合物-ポルフィリン錯体触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン化合物からなる触媒が挙げられる。
重合体Aの分子量分布を狭くすることができ、粘度の低い硬化性組成物が得られやすい点から複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化物錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用できる。例えば、国際公開公報第2003/062301号、国際公開公報第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-15786号公報、国際公開公報第2013/065802号、特開2015-010162号公報に開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
1つの末端基あたりの重合体Aの水酸基換算分子量は、上記方法(a)~方法(c)によって前記反応性ケイ素基を導入する前の、前駆重合体における水酸基換算分子量から、算出することができる。
重合体Aにおける前駆重合体において、1つの末端基当たりの前駆重合体の水酸基換算分子量は、500~2,000が好ましく、500~1,750がより好ましく、600~1,500がさらに好ましく、700~1,500が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
前駆重合体の水酸基換算分子量は1,000~16,000が好ましく、1,400~12,000がより好ましく、2,100~9,000が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
重合体Aのシリル化率は30~100モル%が好ましく、60~97モル%がより好ましい。シリル化率が上記範囲の下限値以上であると硬化物の強度が優れ、モジュラスがより高くなる。
硬化性組成物が、2種類以上の重合体Aを含む場合、重合体A全体における平均のシリル化率が前記の範囲内であればよい。
<重合体B>
重合体Bは、上記式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり1.0個超有する、オキシアルキレン重合体である。本発明の硬化性組成物における重合体Bは2種類以上でもよい。重合体Bの主鎖の例示は、重合体Aの主鎖の例示と同じである。また、重合体Bの上記式1で表される反応性ケイ素基の好ましい態様は、重合体Aと同じである。
重合体Bは上記式1で表される反応性ケイ素基を有するため、重合体Bを含有する硬化性組成物による硬化物は、モジュラスが高く、伸び特性と強度に優れる。
また、末端基を1分子あたり平均で2~8個有する重合体Bは、当該重合体Bを含有する硬化性組成物による硬化物のモジュラスが高く、伸び特性と強度を維持できるため、好ましく、末端基を1分子あたり平均で2~6個有する重合体Bがより好ましく、末端基を1分子あたり平均で2~4個有する重合体Bがさらに好ましい。後述の式3及び8で表される基を有する重合体Bの末端基の数は、開始剤に存在する活性水素の数と同じである。後述の式2及び7で表される基を有する重合体Bの末端基の数は、後述のカップリング剤に含まれる官能基(イソシアネート基、ハロゲン原子、及びエポキシ基)の数と同じである。
重合体Bは直鎖状であることが好ましい。重合体Bが直鎖状であるとは、重合体Bの主鎖が直鎖状であることを意味する。後述の式3及び8で表される基を有する重合体Bの場合、直鎖状の主鎖は活性水素を2個有する開始剤の残基と環状エーテルの開環付加重合により形成されたポリオキシアルキレン鎖を有し、末端基を2個有する。後述の式2及び7で表される基を有する重合体Bの場合、直鎖状の主鎖はカップリング反応によって導入されたカップリング剤由来の連結部位と、ポリオキシアルキレン鎖を有し、末端基を2個有する。
重合体Bの末端基は、上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基、不飽和基、及びイソシアネート基のいずれかの基を有しており上記式1で表される反応性ケイ素基、水酸基、アリル基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の基を有することが好ましい。それぞれの末端基は互いに同じであっても、異なってもよい。
重合体Bは、上記式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均して1.0個超有し、硬化物のモジュラスが高く、伸びと強度に優れたものとなりやすいため、1.0個超3.0個以下有するものがより好ましく、1.0個超2.0個以下有するものがさらに好ましい。
重合体Bは、下式2、3、7、又は8で表される基を含む末端基を有することが好ましい。下式2、3で表される基を含む末端基を有することがより好ましい。
重合体Bは、下式2、3、7、又は8で表される末端基を有することが好ましい。重合体Bは、下式2、3で表される末端基を有することがより好ましい。
下式2、3におけるSiは、上記式1で表される反応性ケイ素基を示す。1つの末端基に複数のSiが存在する場合、それらは互いに同一でも異なってもよい。
Figure 2023009597000003
上記式2中、Rは酸素原子、硫黄原子、上記式2中の-(CH―と結合する原子が炭素原子である-C(=O)O-で表される2価の基、又は-N(R)-で表される2価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、mは0~10の整数である。Rは酸素原子若しくは窒素原子を含んでもよく、酸素原子若しくは窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の1価の炭化水素基、水素原子、又は-R-CHR-CH-Siで表される基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、複数のR、R、Siはそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。
mは、0~8が好ましく、1~7がより好ましく、1~6がさらに好ましい。
の炭素数は、Rが炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。Rの1価の炭化水素基の炭素数は、1~9が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~4が特に好ましい。
としては、酸素原子又は上記式2中の-(CH―と結合する原子が炭素原子である-C(=O)O-で表される2価の基が好ましく、酸素原子がより好ましい。
の炭素数は、Rが炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。
の炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基、アルケニル基は直鎖又は分岐であってもよい。
におけるアルキル基としては、炭素数1~18のアルキル基が好ましい。
直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、ラウリル基、ステアリル基が例示でき、メチル基、エチル基が好ましい。分岐のアルキル基は、前記直鎖のアルキル基中の水素原子(但し、末端の炭素中の水素原子は除く)がアルキル基で置換された構造を有する。前記置換基としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基が例示でき、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
におけるアルキル基としては、シクロアルカン構造を有するアルキル基でもよい。シクロアルカン構造を有するアルキル基としては、前記直鎖又は分岐のアルキル基中のメチレン基がシクロアルキレン基で置換された1価の基が例示できる。シクロアルキレン基としては、後述のシクロアルキル基から水素原子を1個の除いた2価の基が例示できる。
におけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基が例示でき、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が好ましい。シクロアルキル基中の水素原子がアルキル基で置換された構造を有していてもよい。置換基としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基が例示でき、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
におけるアルケニル基としては、前記アルキル基のいずれか一つの炭素原子間の単結合が二重結合に置換されたものが例示できる。
におけるアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基が例示できる。アリール基中の水素原子がアルキル基で置換された構造を有していてもよい。置換基としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基が例示でき、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
中の酸素原子及び窒素原子の合計数は、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、1個以下がさらに好ましい。なお、上記式2中のR及びRと隣接する炭素原子と直接結合するR中の原子は炭素原子が好ましい。
の酸素原子を含む炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、アルコキシ基、前記アルキル基中の水素原子がアルコキシ基で置換された1価の基、前記シクロアルカン構造を有するアルキル基中の水素原子がアルコキシ基で置換された1価の基が挙げられ、具体的には、-OCH、-O-CH-CH、-O-(CH-CH、-O-(CH-CH、-OCH(CH、-CH-O-CH、-(CH-O-CH、-(CH-O-CH、-CH(CH)CH-O-CH、-(CH-O-CH、-C(CHCH-O-CH、-(CH-O-CH、-(CH-O-CH、-CH-C10-CH-O-CH、-CH-O-CH-CH、-(CH-O-CH-CH、-(CH-O-CH-CH、-CH(CH)CH-O-CH-CH、-(CH-O-CH-CH、-C(CHCH-O-CH-CH、-(CH-O-CH-CH、-(CH-O-CH-CH、-CH-C10-CH-O-CH-CH、などが挙げられる。上記例示において-C10-はシクロヘキシレン基を意味し、以下も同様である。
の窒素原子を含む炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、―CH―NH-CH、―CH―N(CHが挙げられる。
としては、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は-CH-O-CHで表される1価の基が好ましく、水素原子、炭素数1~18の直鎖のアルキル基、炭素数1~18の分岐のアルキル基、又は-CH-O-CHで表される1価の基がより好ましく、水素原子又は炭素数1~18の直鎖のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~6の直鎖のアルキル基がよりさらに好ましく、炭素数1~4の直鎖のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基又はプロピル基がより特に好ましい。
は、水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
の炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が挙げられる。アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基としては、Rで例示した直鎖のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖のアルケニル基、アリール基から水素原子を1個除いた2価の基が例示できる。アルキレン基及びアルケニレン基は直鎖又は分岐であってもよい。
は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、炭素数1~10のアルキル基が例示できる。Rの炭素数は、Rが炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。
は、酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である。R中の酸素原子及び窒素原子の合計数は、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、1個以下がさらに好ましい。なお、上記式2中のR及びRと隣接する炭素原子と直接結合するR中の原子は炭素原子が好ましい。
の酸素原子を含む炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、Rで例示した酸素原子を含む炭素数1~20の1価の炭化水素基から水素原子を1個除いた2価の基が例示できる。
の窒素原子を含む炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、Rで例示した窒素原子を含む炭素数1~20の1価の炭化水素基から水素原子を1個除いた2価の基が例示できる。
としては、炭素数1~18のアルキレン基、酸素原子を含む炭素数1~18のアルキレン基、炭素数1~18のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基又は酸素原子を含む炭素数1~10のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~6のアルキレン基又は酸素原子を1個含む炭素数1~6のアルキレン基がさらに好ましい。
-R-CHR-CH-Siで表される基としては、-OCH-CH(CH)-CH-Si、-O-(CH-Si、-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-O-(CH-Si、-O-(CH-CH(CH)-CH-Si -O-(CH-Si、-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-O-(CH-Si、-OC(CH-CH(CH)-CH-Si、-OC(CH-(CH-Si、-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH(CH)CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-C(CHCH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH-C10-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-Si、-CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-Siが例示でき、-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-Siが好ましく、-CH-O-(CH-Si又は-(CH-O-(CH-Siがより好ましい。
は、上述のRと同様であり、好ましい態様も同様である。
は、上述のRと同様であり、好ましい態様も同様である。
-R-CHR-CH-Siで表される基は、上述の-R-CHR-CH-Siで表される基と同様であり、好ましい態様も同様である。
Figure 2023009597000004
前記式7中、R52は水素原子又はメチル基であり、R51は酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、複数のR51、R52、Siはそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。
51の2価の炭化水素基の炭素数は、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。R51の炭素数は、R51が炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。
51の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が挙げられ、アルキレン基、シクロアルキレン基が好ましく、アルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基及びアルケニレン基は直鎖又は分岐である。
51におけるアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基の例示は、Rと同様である。
51中の酸素原子及び窒素原子の合計数は、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、1個以下がさらに好ましい。なお、上記式7中の窒素原子と直接結合するR51中の原子は炭素原子が好ましい。
-R51CHR52-CH-Siで表される基としては、-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH(CH)CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-C(CHCH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH-C10-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-Si、-CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH(CH)CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-C(CHCH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-C10-CH-O-(CH-Siが例示でき、-CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-(CH-O-CH-CH(CH)-CH-Si、-CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-Si、-(CH-O-(CH-Siが好ましく、-CH-O-(CH-Si又は-(CH-O-(CH-Siがより好ましい。
Figure 2023009597000005
上記式3中、R11、R13はそれぞれ独立に炭素数1~6の2価の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、R12、R14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、nは1~10の整数を示し、複数のSiは互いに同一でも異なってもよい。
上記式3において、R11、R13はそれぞれ独立に炭素数1~6の2価の結合基を示し、前記結合基中に存在する炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子である。
11、R13としては-CH-、-C-、-C-、-C-、-C10-、-C12-、-C(CH-、-CHO-、-CH-O-CH-、-CH-O-CH-O-CH-、-C=C-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-が例示できる。
11は-CH-O-CH-、-CHO-、-CH-が好ましく、―CH-O-CH-がより好ましい。
13は、-CH-、-C-が好ましく、-CH-がより好ましい。
上記式3におけるR12、R14は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。
前記炭化水素基としては、直鎖又は分岐の炭素数1~10のアルキル基が好ましい。
直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が例示できる。
分岐のアルキル基としては、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、2-エチルブチル基、2-プロピルブチル基、3-メチルブチル基、3-エチルブチル基、3-プロピルブチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、2-プロピルペンチル基、3-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、3-プロピルペンチル基、4-メチルペンチル基、4-エチルペンチル基、4-プロピルペンチル基、2-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、3-プロピルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、4-プロピルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、5-エチルヘキシル基、5-プロピルヘキシル基が例示できる。
12、R14はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
上記式3におけるnは1~10の整数を示し、1~7が好ましく、1~5がより好ましく、1がさらに好ましい。
Figure 2023009597000006
上記式8において、R15は単結合又は炭素数1~6の2価の結合基を示し、前記結合基中に存在する炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子である。上記式8中のYは式9~12のいずれかで表される1価の基である。上記式9~12におけるSiは、上記式1で表される反応性ケイ素基を示す。上記式9及び10における複数のSiは互いに同一でも異なってもよい。
15における2価の結合基の例示は、前記R11、R13における2価の結合基の例示と同様である。
15は、単結合又は炭素数1~4の炭化水素基が好ましく、単結合、炭素数1~3のアルキレン基がより好ましく、単結合又はメチレン基がさらに好ましい。
上記式11において、R16は水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す。
16における1価の炭化水素基の例示は、前記R12、R14における1価の炭化水素基の例示のうち、炭素数が1~10である例示と同じである。
16は、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
上記式12におけるR17、R18は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~9の1価の炭化水素基である。
前記炭化水素基としては、直鎖又は分岐の炭素数1~9のアルキル基が好ましい。R17、R18としてのアルキル基の例示は、前記R12、R14としてのアルキル基の例示のうち、炭素数が1~9である例示と同じである。
17及びR18がいずれも水素原子であることが好ましい。
重合体BのMnは10,000~100,000が好ましく、11,000~90,000がより好ましく、12,000~80,000がさらに好ましく、12,000~30,000がより好ましく、12,000~25,000がよりさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性が良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
重合体Bの水酸基換算分子量は6,000~80,000が好ましく、7,000~70,000がより好ましく、8,000~60,000がさらに好ましく、8,000~40,000がより好ましく、8,000~30,000がよりさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び特性がより良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
重合体Bの分子量分布は1.8以下が好ましい。良好な伸び物性が得られやすいため、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.0~1.5がより好ましく、1.02~1.4がさらに好ましく、1.04~1.3が特に好ましい。
<重合体Bの製造方法>
重合体Bのうち、上記式2又は7で表される基を含む末端基を有するものは、後述する製造方法Iで製造できる。重合体Bのうち、上記式3又は8で表される基を含む末端基を有するものは、後述する製造方法IIで製造できる。
<重合体Bの製造方法I>
重合体Bは、後述するオキシアルキレン重合体B-1の他方の末端基における水酸基と、水酸基と反応し得るカップリング剤とを反応させて、末端基に不飽和基を有するオキシアルキレン重合体B-2を得、前記オキシアルキレン重合体B-2の末端基における不飽和基と、上記式1で表される反応性ケイ素基を有するシリル化剤とを反応させることで得られる。
重合体B-1は、一方の末端基と、主鎖と、他方の末端基からなる重合体である。重合体B-1の一方の末端基は開始剤化合物の残基であり、主鎖はポリオキシアルキレン鎖であり、他方の末端基は、ポリオキシアルキレン鎖の分子末端の水酸基である。重合体B-1の一方の末端基は平均で不飽和基を2個以上有する。
重合体B-2は、主鎖と、末端基からなる重合体である。重合体B-2の主鎖は、後述のカップリング反応によって導入されたカップリング剤由来の連結部位と、ポリオキシアルキレン鎖と、を含む部分であり、末端基は、前記ポリオキシアルキレン鎖中の酸素原子のうち、分子末端に最も近い酸素原子を含む原子団を意味する。なお、重合体B-1の一方の末端基と、重合体B-2の末端基は同じである。すなわち、重合体B-2は、1つの末端基あたりに不飽和基を平均で2個以上有する。
<重合体B-1>
重合体B-1は、一分子中に2個以上の不飽和基を有し、かつ、一分子中に1個の活性水素含有基を有する化合物(以下、「化合物a」という。)を開始剤化合物として、環状エーテルを開環付加重合反応させることにより得られる。
環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシド以外の環状エーテルが挙げられる。環状エーテルとしては、アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドがより好ましく、特に、プロピレンオキシドが好ましい。
化合物aの一分子中における不飽和基の数は、2個以上であり、2~6個が好ましく、2~4個がより好ましい。
化合物a中の不飽和基は、分子末端の不飽和基であることが好ましい。
化合物aの分子量は、環状エーテルとの反応性の点から、60以上2,000未満がより好ましく、70~1,000がさらに好ましく、70~300が特に好ましい。
化合物aとしては、下式13及び14で表される化合物が好ましい。
Figure 2023009597000007
上記式13中、R31は活性水素含有基、R32は水素原子又はメチル基であり、R30は酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、R33は酸素原子若しくは窒素原子を含んでもよく、酸素原子若しくは窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の1価の炭化水素基、水素原子、又は-R34-CR35=CHで表される基であり、R35は水素原子又はメチル基であり、R34は酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、2個のR30、R32はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、sは0~10の整数である。
sは、0~8が好ましく、1~7がより好ましく、1~6がさらに好ましい。
31は活性水素含有基であり、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第一級アミンから水素原子を1個除去した1価の官能基及びスルファニル基が好ましく、水酸基、カルボニル基又はアミノ基がより好ましい。
32は、水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
30の炭素数は、R30が炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。R30における2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が挙げられる。アルキレン基、アルケニレン基は直鎖又は分岐であってもよい。R30におけるアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基の例示は、上述のRと同様であり、好ましい態様も同様である。
33の炭素数は、R33が炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。R33の炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基、アルケニル基は直鎖又は分岐であってもよい。R33におけるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基の例示は、上述のRと同様であり、好ましい態様も同様である。
34は、R30と同様であり、R35は、R32と同様である。
-R30-CR32=CH及び-R34-CR35=CHで表される基としては、-CH-O-CH-C(CH)=CH、-CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-CH(CH)CH-O-CH-C(CH)=CH、-CH(CH)CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-C(CHCH-O-CH-C(CH)=CH、-C(CHCH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-CH-C10-CH-O-CH-C(CH)=CH、-CH-C10-CH-O-CH-CH=CH、-CH-O-(CH-C(CH)=CH、-CH-O-(CH-CH=CH、-(CH-O-(CH-C(CH)=CH、-(CH-O-(CH-CH=CH、-(CH-O-(CH-C(CH)=CH、-(CH-O-(CH-CH=CH、-CH(CH)CH-O-(CH-C(CH)=CH、-CH(CH)CH-O-(CH-CH=CH、-(CH-O-(CH-C(CH)=CH、-(CH-O-(CH-CH=CH、-C(CHCH-O-(CH-C(CH)=CH、-C(CHCH-O-(CH-CH=CH、-(CH-O-(CH-C(CH)=CH、-(CH-O-(CH-CH=CH、-(CH-O-(CH-C(CH)=CH、-(CH-O-(CH-CH=CH、-CH-C10-CH-O-(CH-C(CH)=CH、-CH-C10-CH-O-(CH-CH=CHが例示でき、-CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-CH=CHが好ましく、-CH-O-CH-CH=CH又は-(CH-O-CH-CH=CHがより好ましい。
上記式13で表される化合物aとしては、R31が水酸基であり、sが1~3であり、R30が-CH-O-CH-、-(CH-O-CH-、-(CH-O-CH-で表される2価の基であり、R32が水素原子又はメチル基であり、R33が酸素原子及び窒素原子を含まない炭素数1~2のアルキル基、又は-CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-(CH-O-CH-C(CH)=CH、-CH-O-CH-CH=CH、-(CH-O-CH-CH=CH、又は-(CH-O-CH-CH=CHで表される1価の基である化合物が好ましい。
Figure 2023009597000008
上記式14中、R42は水素原子又はメチル基であり、R41は、酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、2個のR41、R42はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
41の炭素数は、R41が炭素原子を有する置換基を有する場合は、置換基の炭素数を含む。
42は、水素原子が好ましい。
41における2価の炭化水素基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が挙げられる。R41におけるアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基の例示は、上述のR51と同様であり、好ましい態様も同様である。
-R41-CR42=CHで表される基としては、-R34-CR35=CHで表される基と同様である。
上記式14で表される化合物aとしては、R42が水素原子又はメチル基であり、R41が酸素原子及び窒素原子を含まない炭素数1~2のアルキレン基である1価の基が好ましい。
開始剤化合物に環状エーテルを開環付加重合反応させる際の開環付加重合触媒としては、従来公知の触媒を用いることができ、例えば、アルカリ触媒(KOH等)、遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒(有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体等)、複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物からなる触媒が例示できる。
重合体B-1の分子量分布を狭くすることができ、粘度の低い硬化性組成物が得られやすい点から複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。複合金属シアン化錯体触媒は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用できる。例えば、国際公開公報第2003/062301号、国際公開公報第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-15786号公報、国際公開公報第2013/065802号、特開2015-010162号公報に開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
<化合物aの製造方法>
化合物aは、一分子中にx個(但し、xは3以上の整数である。)の活性水素含有基を有する化合物中のx-1個の活性水素含有基を、不飽和基を有する基に変換することにより製造できる。活性水素含有基を、不飽和基を有する基に変換する方法は、アルカリ金属水酸化物と、不飽和基を有するハロゲン化炭化水素とを反応させる方法が好ましい。
xは3~10が好ましく、3~8がより好ましく、3~6がさらに好ましい。
化合物aは、水と、不飽和基を有するハロゲン化炭化水素とを反応させることによっても製造することができる。
一分子中に3個以上の活性水素含有基を有する化合物としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、ベンゼントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、が例示できる。入手が容易という点から、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールが好ましい。
活性水素含有基を、不飽和基を有する基に変換する方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特昭60-231625号に提案されている方法が挙げられる。
活性水素含有基を、不飽和基を有する基に変換する場合、1~x個の活性水素含有基が不飽和基を有する基に変換された化合物の混合物が得られる。この混合物を蒸留により精製すると、x-1個の活性水素含有基が不飽和基を有する基に変換された化合物aを得られる。
<重合体B-2>
重合体(B-2)は、重合体(B-1)の他方の末端基の水酸基と、カップリング剤とを反応させて得られる。
カップリング剤は、一分子中にイソシアネート基を2個以上有するカップリング剤(以下、カップリング剤a)ともいう。)、一分子中にハロゲン原子を2個以上有するカップリング剤(以下、「カップリング剤b」ともいう。)及び一分子中にエポキシ基を2個以上有するカップリング剤(以下、「カップリング剤c」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも1種のカップリング剤が好ましく、カップリング剤aがより好ましい。
カップリング剤との反応は、例えば、特開平3-88825号公報等に記載されている従来公知の方法を用いることができる。
カップリング剤aをカップリング剤として使用する場合、反応には触媒を使用してもよく、使用するカップリング剤aにより適宜選択できる。触媒の例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、及び2-エチルヘキサン酸錫(オクチル酸錫)等の有機錫化合物、鉄アセチルアセトナート、塩化鉄等の鉄化合物、オクチル酸鉛等の鉛化合物、オクチル酸ビスマス等のビスマス化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系触媒等が挙げられ、好ましくは有機錫化合物、オクチル酸鉛、オクチル酸ビスマスが例示される。
反応温度や反応時間は、使用するカップリング剤aにより適宜選択できるが、反応温度は0~130℃であってよく、20~90℃が好ましく、反応時間は0.5~24時間が好ましい。
カップリング剤bをカップリング剤として使用する場合、反応温度は、50~140℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。
カップリング剤cをカップリング剤として使用する場合、反応温度は、50~140℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。
カップリング剤cをカップリング剤として使用する場合、触媒として、一般的なエポキシドの開環触媒を使用することができ、ホウ素化合物、アンチモン化合物、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体等を使用することが好ましい。
重合体Bは、重合体B-2の末端基における不飽和基と、上記式1で表される反応性ケイ素基を有するシリル化剤とを反応させて、得られる。
シリル化剤としては、上述の重合体Aの製造方法における方法(a)で説明したシリル化剤を用いることができ、好ましい態様も同様である。不飽和基と、シリル化剤とを反応させる方法は、上述の重合体Aの製造方法における方法(a)で説明した方法を採用することができる。
シリル化率は50モル%超100モル%以下が好ましく、55~98モル%がより好ましく、60~97モル%がさらに好ましい。
<重合体Bの製造方法II>
上記重合体Aで説明した前駆重合体に、上記式1で表される反応性ケイ素基を、1つの末端基あたり平均で1.0個より多く導入して得られる。
開始剤としては、重合体Aと同じものを使用することができ好ましい態様も同様である。環状エーテルとしては、重合体Aと同じものを使用することができ、好ましい態様も同様である。
前駆重合体の末端基に、1つの末端基あたり平均で1.0個よりも多くの不飽和基を導入した後、前記不飽和基とシリル化剤を反応させて反応性ケイ素基を導入する方法が好ましい。
前駆重合体は、水酸基を有する開始剤に環状エーテルを開環付加重合させた、末端基が水酸基である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。開始剤の水酸基の数と、水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体の水酸基の数は同じである。
特に、水酸基を2個有する開始剤に、上記環状エーテルを開環付加重合させた、主鎖が直鎖状である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
前駆重合体の末端基に、1つの末端基あたり平均で1.0個より多くの不飽和基を導入する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、国際公開第2013/180203号公報、国際公開第2014/192842号公報、特開2015-105293号、特開2015-105322号、特開2015-105323号、特開2015-105324号、国際公開第2015/080067号公報、国際公開第2015/105122号公報、国際公開第2015/111577号公報、国際公開第2016/002907号公報、特開2016-216633号、特開2017-39782号に記載される方法を用いることができる。
前駆重合体の末端基に、1つの末端基あたり平均で1.0個より多くの不飽和基を導入する方法としては、前駆重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、不飽和基を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法、又は、前駆重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法が好ましい。
アルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシドは例示できる。
取り扱い容易性と溶解性の点から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシドがより好ましい。入手容易性の点でナトリウムメトキシドが特に好ましい。
アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で使用してもよい。
不飽和基を有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシド、1,4-シクロペンタジエンモノエポキシドが例示できる。アリルグリシジルエーテルが好ましい。
不飽和基を有するエポキシ化合物としては、下式15で表される化合物が好ましい。
Figure 2023009597000009
上記式15のR11、R12は、上記式3のR11、R12と同じである。
不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物として、炭素-炭素二重結合を含むハロゲン化炭化水素化合物、及び炭素-炭素三重結合を含むハロゲン化炭化水素化合物の一方又は両方を使用できる。
炭素-炭素二重結合を含むハロゲン化炭化水素化合物としては、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリルが例示できる。塩化アリル、塩化メタリルが好ましい。
炭素-炭素三重結合を含むハロゲン化炭化水素化合物としては、塩化プロパルギル、1-クロロ-2-ブチン、4-クロロ-1-ブチン、1-クロロ-2-オクチン、1-クロロ-2-ペンチン、1,4-ジクロロ-2-ブチン、5-クロロ-1-ペンチン、6-クロロ-1-ヘキシン、臭化プロパルギル、1-ブロモ-2-ブチン、4-ブロモ-1-ブチン、1-ブロモ-2-オクチン、1-ブロモ-2-ペンチン、1,4-ジブロモ-2-ブチン、5-ブロモ-1-ペンチン、6-ブロモ-1-ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1-ヨード-2-ブチン、4-ヨード-1-ブチン、1-ヨード-2-オクチン、1-ヨード-2-ペンチン、1,4-ジヨード-2-ブチン、5-ヨード-1-ペンチン、6-ヨード-1-ヘキシンが例示できる。塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、ヨウ化プロパルギルが好ましい。
不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物は2種以上を併用してもよい。
前記反応により、前駆重合体の末端基に不飽和基が導入された誘導体が得られる。前記誘導体は末端基に未反応の活性水素含有基を含んでいてもよい。
前記前駆重合体の誘導体に含まれる活性水素含有基の数は、貯蔵安定性の点から、1分子あたり平均で0.3個以下が好ましく、0.1個以下がより好ましい。
前記前駆重合体の誘導体の不飽和基と上記式1で表される反応性ケイ素基を導入可能なシリル化剤とを反応させて、末端基に反応性ケイ素基を導入して重合体Bを得る。
シリル化剤としては、上述の重合体Aの製造方法における方法(a)で説明したシリル化剤を用いることができ、好ましい態様も同様である。不飽和基と、シリル化剤とを反応させる方法は、上述の重合体Aの製造方法における方法(a)で説明した方法を採用することができる。
式3で表される基を有する重合体Bを得る方法としては、前記前駆重合体に、アルカリ金属塩を作用させた後、不飽和基を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させて、前駆重合体の末端基に不飽和基が導入された誘導体を得て、前記誘導体における不飽和基とシリル化剤を反応させる方法が好ましい。
式8で表される基を有する重合体Bを得る方法としては、前記前駆重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させて、前駆重合体の末端基に不飽和基が導入された誘導体を得て、前記誘導体における不飽和基とシリル化剤を反応させる方法が好ましい。
反応に用いる上記シリル化剤の使用量によって、1つの末端基あたりの反応性ケイ素基の数を調整できる。
<重合体C>
本発明の硬化性組成物は、1分子中に末端基を1個有し、前記末端基が上記式1で表される反応性ケイ素基を有し、数平均分子量が2,000以上である、直鎖構造のオキシアルキレン重合体(以下、「重合体C」という。)を含んでもよい。なお、重合体Cの一方の分子末端は開始剤の残基由来の構造を有しており、他方の分子末端は前記末端基由来の構造を有する。本発明の硬化性組成物は、重合体Cを2種類以上含んでもよい。重合体Cは反応性可塑剤として働き、反応基を有しない可塑剤と比較して塗料汚染性の向上やブリードアウトの抑制に寄与する。
重合体Cの主鎖の例示は、重合体Aの主鎖の例示と同じである。
重合体Cは、上記式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたりに平均して0個超1.0個以下有するものが好ましく、0.5個超1.0個以下有するものがより好ましく、0.51~0.97個有するものがさらに好ましく、0.52~0.95個有するものが特に好ましい。
重合体Cの水酸基換算分子量は2,000~15,000が好ましく、2,200~12,000がより好ましく、2,500~10,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の強度により優れ、より高いモジュラスになる。上記範囲の上限値以下であると、粘度が抑えられ作業性がより良好となる。
重合体CのMnは2,000~15,000が好ましく、2,200~12,000がより好ましく、2,500~10,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、より硬化物の強度に優れ、より高いモジュラスになる。上記範囲の上限値以下であると、より粘度が抑えられ作業性が良好となる。
重合体Cの分子量分布は1.8以下が好ましい。粘度低減の点から、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.0~1.6がより好ましく、1.02~1.5がさらに好ましく、1.04~1.4が特に好ましい。
重合体Cは、活性水素含有基である1個の末端基を有する前駆重合体に、前記反応性ケイ素基を、1つの末端基あたりに平均して0個超1.0以下導入して得られる。
重合体Cの一方の分子末端である開始剤の残基としては、R10-O-(R10は1価の炭化水素基)が好ましい。R10としては、炭素数1~20の分岐又は直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1~10の分岐又は直鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4の分岐又は直鎖のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基又はt-ブチル基が特に好ましい。
重合体Cの前駆重合体は、活性水素含有基を1個有する開始剤を用いる他は、重合体Aと同様に製造できる。開始剤は2種類以上を併用してもよい。
開始剤の活性水素含有基は水酸基が好ましい。前駆重合体は、末端基として水酸基を1個有する重合体が好ましい。
水酸基を1個有する開始剤としては、直鎖又は分岐の炭化水素基を有する1価のアルコールが好ましい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、低分子量のポリオキシアルキレンモノオールが例示できる。
重合体Cの製造方法は、従来公知の方法を用いることができ、重合体Aと同様の方法を用いることができる。
重合体Cは、1分子中に末端基を1個有し、前記末端基は、前記反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基を有することが好ましい。
重合体Cのシリル化率は50モル%超100モル%以下が好ましく、51~97モル%がより好ましく、52~95モル%がさらに好ましい。重合体Cのシリル化率が上記範囲の下限値以上であると硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなる。
硬化性組成物が、2種類以上の重合体Cを含む場合、重合体C全体における平均のシリル化率が前記の範囲内であればよい。
<重合体D>
本発明の硬化性組成物は、1分子中に1個以上の上記式1で表される反応性ケイ素基を有するビニル重合体(以下、「重合体D」という。)を含んでもよい。本発明の硬化性組成物における重合体Dは、2種類以上でもよい。重合体Dは、耐候性や耐水性などに寄与する。
重合体Dにおける反応性ケイ素基は、主鎖の末端に導入されていても、側鎖に導入されていても、主鎖の末端と側鎖の両方に導入されていてもよい。
重合体Dの1分子あたりの反応性ケイ素基の数の平均は0.8個以上であることが好ましい。硬化後の強度の点から1.0個以上が好ましく、1.2個以上がより好ましい。硬化物の伸びが良好となる点から4.0個以下が好ましく、3.0個以下がより好ましい。
重合体Dの1分子あたりの反応性ケイ素基の数の平均は「重合体D中の反応性ケイ素基の濃度[モル/g]×重合体DのMn」で算出される。重合体D中の反応性ケイ素基の濃度[モル/g]は、NMRにより測定できる。
重合体Dの主鎖を構成する単量体としては、例えば、特公平3-14068号公報、特開平6-211922号公報、特開平11-130931号公報に記載される、従来公知の単量体を用いることができる。
上記単量体と共重合させる反応性ケイ素基及び不飽和基を含む単量体としては、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、トリス(2-メトキシエトキシ)ビニルシラン、(メタ)アクリル酸-3-(ジメトキシメチルシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸-3-(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸-3-(トリエトキシシリル)プロピルが例示できる。これらは2種類以上を用いてもよい。
重合体Dを構成する全単量体に対して、(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有割合は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。
重合体Dは、特開2006-257405号公報、特開2006-37076号公報、特開2008-45059号公報などに記載の従来公知の重合方法で重合できる。重合に必要な開始剤などの副資材についても従来公知のものを用いることができ、反応温度や反応圧力などの反応条件も適宜選択できる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合又はバルク重合によるラジカル重合開始剤を用いた重合方法やリビングラジカル重合が例示できる。リビングラジカル重合法としては、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されているようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、特表2003-500378号公報に示されているようなニトロオキサイドラジカルを用いるもの、特開平11-130931号公報に示されているような有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物などを開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP法)が例示できる。リビングラジカル重合で得られる重合体は、分子量分布が狭く、低粘度である傾向がある。
市販の重合体Dを用いることもできる。市販品としては、例えばXMAPシリーズ(カネカ社製品名)、ARUFON US-6000シリーズ(例えば、US-6110、US-6120、US-6170等、いずれも東亜合成社製品名)、アクトフロー NEシリーズ(例えば、NE-1000、NE-3000、いずれも綜研化学社製品名)等を用いることができる。
重合体DのMnは、500~100,000が好ましく、800~80,000がより好ましく、1,000~60,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び物性や耐候性により優れ、上限値以下であると、作業性により優れる。
重合体Dの分子量分布は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましい。上記上限値以下であると、作業性により優れる。
<重合体E>
本発明の硬化性組成物は、反応性ケイ素基を有しない、Mnが1,000以上の重合体(以下、「重合体E」という。)を含んでもよい。本発明の硬化性組成物における重合体Eは、2種類以上でもよい。
重合体Eは、硬化物の表面の汚染低減、硬化物の表面上の塗料の乾燥性向上、塗料表面の汚染低減、樹脂の耐候性に寄与する。
重合体Eとしては、飽和炭化水素重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体及びオキシアルキレン重合体からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
飽和炭化水素重合体は、主鎖が飽和炭化水素の単量体に基づく単位を含む重合体であり、ポリエチレン、ポリプロピレンが例示できる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルを含む単量体の重合体又は共重合体が例示できる。市販の(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、ARUFON UP-1000、ARUFON UP-1110、ARUFON UP-1171(いずれも東亜合成社製品名)が例示できる。
オキシアルキレン重合体としては、ポリエーテルポリオール(例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール)、上記ポリエーテルポリオールの水酸基を封止してエステル又はエーテルにした誘導体が例示できる。市販のオキシアルキレン重合体としては、エクセノール3020(EL3020)、プレミノールS3011、プレミノールS4012、プレミノールS4013F(いずれもAGC社製品名)が例示できる。
重合体Eがオキシアルキレン重合体である場合の水酸基換算分子量は、1,000~40,000が好ましく、1,000~35,000がより好ましく、1,500~30,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物からブリードアウトしにくく、上限値以下であると硬化性組成物の粘度をより低くでき、作業性により優れる。
重合体EのMnは、1,000~40,000が好ましく、1,500~35,000がより好ましく、2,000~30,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると熱や降雨による流出が抑制されやすく、上限値以下であると粘度が低くなりやすく、作業性により優れる。
重合体Eの分子量分布は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の場合、6.0未満が好ましく、5.5以下がより好ましく、5.0以下がさらに好ましい。オキシアルキレン重合体の場合、2.0未満が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましい。上限値以下であると作業性により優れる。
<硬化性組成物>
硬化性組成物は、重合体A及び重合体Bとその他の必要な成分とを混合して得られる。
硬化性組成物における、重合体Aの質量の重合体Bの質量に対する比は、5/95~95/5であり、5/95~50/50がより好ましく、5/95~40/60がさらに好ましい。重合体Aの質量の重合体Bの質量に対する比が上記範囲内であると、硬化物の強度がより優れ、且つ伸び特性がより良好となりやすい。
硬化性組成物の総質量に対する、重合体Aの含有割合は、1~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、2~20質量%がさらに好ましい。重合体Aの含有割合が上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、且つ伸び特性がより良好となりやすい。
硬化性組成物の総質量に対する、重合体Bの含有割合は、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、4~35質量%がさらに好ましい。重合体Bの含有割合が上記範囲の下限値以上であると、伸び特性が良好になりやすく、上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなりやすい。
硬化性組成物の総質量に対する、重合体A及び重合体Bの合計含有割合は、2~70質量%が好ましく、3~60質量%がより好ましく、4~50質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化性が良好であり、硬化物の強度がより優れ、モジュラスがより高くなりやすい。上記範囲の上限値以下であると、伸び特性がより良好となりやすい。
硬化性組成物が重合体Cを含有する場合、重合体Aの合計100質量部に対する、重合体Cの含有割合は、1~600質量部が好ましく、5~500質量部がより好ましく、10~300質量部がさらに好ましい。重合体Cの含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物による硬化物はブリードアウト抑制に優れる。
硬化性組成物が重合体Dを含有する場合、重合体Aの合計100質量部に対する、重合体Dの含有量は、1~600質量部が好ましく、5~500質量部がより好ましく、10~300質量部がさらに好ましい。重合体Dの含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物による硬化物の耐候性が良好となる。
硬化性組成物が重合体Eを含有する場合、重合体Aの合計100質量部に対する、重合体Eの含有量は、1~600質量部が好ましく、5~500質量部がより好ましく、10~300質量部がさらに好ましい。重合体Eの含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物による硬化物表面の汚染低減、硬化物の表面上の塗料の乾燥性向上、塗料表面の汚染低減、樹脂の耐候性が良好となる。
[その他の成分]
上記その他の成分としては、重合体A~E以外の硬化性化合物、硬化触媒(シラノール縮合触媒)、充填剤、可塑剤、チクソ性付与剤、安定剤、接着性付与剤、物性調整剤、脱水剤、接着性付与樹脂、フィラーなどの補強材、表面改質剤、難燃剤、発泡剤、溶剤、シリケートが例示できる。
その他の成分は、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014-88481号公報、特開2015-10162号公報、特開2015-105293号公報、特開2017-039728号公報、特開2017-214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。各成分は2種類以上を併用してもよい。
[作用機序]
本発明の硬化性組成物では、組成物に含まれる重合体Aが末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、1つの末端基あたりの重合体の水酸基換算分子量が500~2,000であることで架橋密度が高くなるため、モジュラスが高く、引張強度が良好な硬化物を得ることが出来る。さらに重合体Bが組成物に含まれることで、硬化性組成物中の高い架橋密度を維持したまま架橋点間分子量を長くすることができるため、重合体Aと重合体Bを5/95~95/5の範囲で硬化性組成物を調製するによって、硬化性組成物が低粘度でかつ得られる硬化物のモジュラスが高く、伸びと強度が優れたものを得ることができる。
[用途]
本発明の硬化性組成物の用途としては、接着剤、シーリング材(例えば建築用弾性シー
リング材、複層ガラス用シーリング材、ガラス端部の防錆・防水用封止材、太陽電池裏面
封止材、建造物用密封材、船舶用密封材、自動車用密封材、道路用密封材)、電気絶縁材
料(電線・ケーブル用絶縁被覆材)、が好適である。
特に、硬化物の硬度及び伸び物性が要求される用途に好適であり、例えば床用の接着剤
が例示できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[重合体に含まれる不飽和基、反応性ケイ素基、水酸基の平均数の測定]
重合体に含まれる反応性ケイ素基の数は、1H-NMRの内部標準法で測定した。
重合体に含まれる不飽和基の数は、JIS K0070(1992)に準拠したヨウ素価滴定により測定した。
重合体に含まれる水酸基の数は、無水フタル酸のピリジン溶液で水酸基をエステル化し、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液による滴定方法(JIS K1557:2007に準拠)で測定した。
[数平均分子量及び分子量分布]
HLC-8220GPC(東ソー社製品名)、カラムはTSKgel SupermultiporeHZ-M(東ソー社製品名)、溶媒にテトラヒドロフラン、を用い、サンプルポンプを0.350mL/min、リファレンスポンプを0.350mL/min、検出器の温度を40℃、収集時間を6分~15分に設定し、収集時間6分~11分に現れるピークを解析することにより、Mn、及びMw/Mnを求めた。
[引張試験]
測定対象の硬化性組成物を厚さ2mmの型枠に充填し、温度23℃、湿度50%で3日間養生し、更に温度50℃、湿度65%で4日間養生した。この作成条件を「初期養生」と示す。得られた硬化物をダンベル型枠で打ち抜いて、試験片を得た。この試験片をテンシロン試験機にて引張速度500mm/分で引張試験を行い、50%伸張した時の応力であるモジュラス(M50、単位:N/mm)、最大点凝集力である引張強度(Tmax、単位:N/mm)、最大点伸び(伸び特性、単位:%)を測定した。
また、作成した硬化物を上記「初期養生」の条件で養生した後、温度90℃で7日間養生を行った。この条件を「耐熱養生」と示す。得られた硬化物をダンベル型枠で打ち抜いて、試験片を得た。この試験片をテンシロン試験機にて引張速度500mm/分で引張試験を行い、50%伸張した時の応力であるモジュラス(M50、単位:N/mm)、最大点凝集力である引張強度(Tmax、単位:N/mm)、最大点伸び(伸び特性、単位:%)を測定した。M50は初期養生で1.0N/mm以上、耐熱養生で0.9N/mm以上である場合、モジュラスが良好であるとする。また、最大点凝集力は、初期養生,耐熱養生共に1.5N/mm以上である場合、強度が良好であるとする。
[粘度の測定]
重合体Aと重合体Bを混合した後の変成シリコーンポリマー試料を1mL採取し、E型粘度計(東機産業社製、製品名:RE80型)を用いて、測定温度25℃、ローターNo.4の条件で粘度を測定した。校正用標準液としては、JS14000(日本グリース社製、製品名)を用いた。粘度は7.0Pa・s以下で低粘度であるとする。
(合成例1:重合体(A-1))
水酸基換算分子量が約1,000で、水酸基を3個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、配位子がt-ブチルアルコールの亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA-DMC触媒」と記す)の存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P1)を得た。前駆重合体P1は1分子あたり水酸基を3個有し、水酸基換算分子量が3,000であった。
前駆重合体P1の水酸基に対して1.15モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度28質量%、以下同様)を添加した。真空脱気によりメタノールを留去した後、前駆重合体P1の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加し、130℃で2時間反応させて、水酸基をアリルオキシ基に変換した。次いで、白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、アリルオキシ基に対して0.72モル当量のジメトキシメチルシランを添加した。70℃で5時間反応させた後、未反応のシリル化剤を減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(A-1))を得た。重合体(A-1)の末端基数、反応性ケイ素基構造、1つの末端基あたりの水酸基換算分子量、1つの末端基あたりの平均の反応性ケイ素基数、Mn、及びMw/Mnを表1に示す(以下同様)。
(合成例2:重合体(A-2))
水酸基換算分子量が約870で、水酸基を6個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、TBA-DMC触媒存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P2)を得た。前駆重合体P2は1分子あたり水酸基を6個有し、水酸基換算分子量が5,000であった。
前駆体P1に代えて前駆体P2を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.70モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(A-2))を得た。
(合成例3:重合体(A-3))
水酸基換算分子量が約1,000で、水酸基を3個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、TBA-DMC触媒存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P3)を得た。前駆重合体P3は1分子あたり水酸基を3個有し、水酸基換算分子量が5,000であった。
前駆体P1に代えて前駆体P3を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.70モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(A-3))を得た。
(合成例4:重合体(A-4))
水酸基換算分子量が約550で、水酸基を4個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、TBA-DMC触媒存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P4)を得た。前駆重合体P4は1分子あたり水酸基を4個有し、水酸基換算分子量が5,000であった。
前駆体P1に代えて前駆体P4を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.63モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(A-4))を得た。
(合成例5:重合体(A-5))
水酸基換算分子量が約870で、水酸基を6個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、TBA-DMC触媒存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P5)を得た。前駆重合体P5は1分子あたり水酸基を6個有し、水酸基換算分子量が7,500であった。
前駆体P1に代えて前駆体P5を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.69モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(A-5))を得た。
(合成例6:重合体(A-6))
合成例5における前駆重合体P5を入れた反応器内を窒素ガスで置換し、内温を50℃に保持しながら、NCO/OH(モル比)が0.97となるように、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランを投入し、触媒としてジオクチル錫ビスイソオクチルチオグリコール(ネオスタンU-860:日東化成社製品名)を投入した。80℃に昇温し、80℃に保持しながら撹拌した。フーリエ変換赤外分光光度計にて分析し、水酸基とイソシアネート基の反応の終結を確認できるまで反応させた後、貯蔵安定剤として3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM-803:信越化学社製品名)を、前駆重合体PXの100質量部に対して0.06質量部加え、重合体(A-6)を得た。
(合成例7:重合体(A-7))
水酸基換算分子量が約870で、水酸基を6個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、水酸化カリウム存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P6)を得た。前駆重合体P6は1分子あたり水酸基を6個有し、水酸基換算分子量が7,500であった。
前駆体P5に代えて前駆体P6を用いた以外は、合成例6と同様にして、重合体(A-7)を得た。
(合成例8:重合体(A-8))
合成例6において、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランを3―イソシアネートプロピルトリメトキシシランに変更した。それ以外は、合成例6と同様にして重合体(A-8)を得た。
(合成例9:重合体(a-1))
水酸基換算分子量が約1,000で、水酸基を3個有するポリオキシプロピレンポリオールを開始剤として、TBA-DMC触媒存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P7)を得た。前駆重合体P7は1分子あたり水酸基を3個有し、水酸基換算分子量が10,000であった。
前駆体P1に代えて前駆体P7を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.66モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(a-1))を得た。
(合成例10:重合体(b-1))
水酸基換算分子量が約2,000で、水酸基を2個有するポリオキシプロピレングリコールを開始剤として、TBA-DMC触媒の存在下、プロピレンオキサイドを重合し、オキシプロピレン重合体(前駆重合体P8)を得た。前駆重合体P8は1分子あたり水酸基を2個有し、水酸基換算分子量が12,000であった。
前駆体P1に代えて前駆体P8を用い、ジメトキシメチルシランの投入量をアリルオキシ基に対して0.80モル当量とした以外は、合成例1と同様にして、ジメトキシメチルシリル基が末端基に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体(b-1))を得た。重合体b-1の末端基数、反応性ケイ素基構造、Mn、1つの末端基当たりの反応性ケイ素基数、及びMw/Mnを表2に示す(以下同様)。
(合成例11:重合体(B-1))
水酸基換算分子量が約2,000で、水酸基を2個有するポリオキシプロピレングリコールを開始剤として、TBA-DMC触媒の存在下、プロピレンオキシドを重合し、水酸基換算分子量が12,000のオキシプロピレン重合体(前駆重合体P9)を得た。次いで、前駆重合体P9の水酸基に対して1.0モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して前駆重合体P9をアルコラート化した。次に、加熱減圧によりメタノールを留去し、さらに前駆重合体の水酸基量に対して1.0モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加して130℃で2時間反応を行い、その後前駆重合体P9の水酸基に対して0.28モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに前駆重合体P9の水酸基に対して1.79モル当量の塩化アリルを添加し、反応後減圧下で未反応の塩化アリルを除去し、末端基にアリルオキシ基が導入されたオキシプロピレン重合体(重合体Q1)を得た。重合体Q1の1つの末端基に導入されたアリルオキシ基は平均2.0個であった。次に、白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、重合体Q1のアリルオキシ基に対して0.85モル当量のジメトキシメチルシランを添加し、85℃にて3時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が1つの末端基に平均して1.0個より多く導入された重合体(B-1)を得た。
(合成例12:重合体(B-2))
[製造例1:混合物(x1)の製造]
撹拌機、還流冷却器、温度計、及び2本の滴下漏斗を備えたフラスコにトリメチロールプロパン1mol当量を仕込み、窒素気流下、90℃に加熱した。90℃で撹拌しながら、40質量%の水酸化ナトリウム水溶液をトリメチロールプロパンに対し2mol当量及び塩化アリルをトリメチロールプロパンに対し2mol当量それぞれ別の滴下漏斗を用いて同時に滴下した。水酸化ナトリウム水溶液は2時間、塩化アリルは3時間かけて滴下した。反応終了後、水を加えて、析出した塩化ナトリウムを溶解させ、冷却放置した。有機層と水層からなる2層の反応後の溶液の有機層を分液して、混合物(x1)を得た。得られた混合物(x1)をガスクロマトグラフィーで分析したところ、下式16で表される一分子中に3個のアリル基を有し、活性水素含有基を有しない化合物、下式17で表される一分子中に2個のアリル基を有し、1個の活性水素含有基を有する化合物、及び下式18で表される一分子中に1個のアリル基を有し、2個の活性水素含有基を有する化合物が確認された。
Figure 2023009597000010
Figure 2023009597000011
Figure 2023009597000012
混合物(x1)のガスクロマトグラフィーにおける上記式16で表される化合物、上記式17で表される化合物及び上記式18で表される化合物の合計のピーク面積に対する、上記式16で表される化合物の割合は5%、上記式17で表される化合物の割合は88%、上記式18で表される化合物の割合は7%であった。
[製造例2:混合物(x2)の製造]
前記有機層を精密蒸留して混合物(x2)を得た。得られた混合物x2における、ガスクロマトグラフィーの総ピーク面積に対する上記式16で表される化合物由来のピーク面積の割合は、98%であった。
[製造例3:前駆重合体(Q2)の製造]
前記混合物(x2)における、上記式17で表される化合物を開始剤化合物として、TBA-DMC触媒の存在下、プロピレンオキシドを重合し、前記開始剤化合物を由来とするプロピレンオキシド重合体である成分(Q2-1)と、プロピレンオキシドに含まれる水を由来とするプロピレンオキシド重合体である成分(Q2-2)を含む前駆重合体(Q2)を得た。成分(Q2-1)は一方の末端基中に不飽和基を2.0個、水酸基を0個有し、他方の末端基中に不飽和基を0個、水酸基を1.0個有し、成分(Q2-2)は、1分子中に水酸基を2.0個有するという前提のもと、上記測定方法により得られた前駆重合体(Q2)中の水酸基の数、不飽和基の数を前駆重合体(Q2)に含まれる成分(Q2-1)及び成分(Q2-2)のGPCのピーク面積の割合に従って、成分(Q2-1)及び成分(Q2-2)に配分した。その結果、成分(Q2-1)1分子中の不飽和基の平均数は2.0個であり、水酸基の平均数は1.0個であった。
[製造例4:重合体(B-2)の製造]
製造例3で得られた前駆重合体(Q2)を減圧脱水した後、オクチル酸錫(II)(ニッカオクチックス錫、日本化学産業社製品名)を添加し、前駆重合体(Q2)の水酸基に対してインデックス100%のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」ともいう。)を常温で添加し、85℃で2時間加熱した。IR分析より反応液中に残存HDIがないことを確認した後、反応液の総量に対してメタノールを1質量%添加し、0.5時間撹拌し、その後減圧脱気によりメタノールを除去した。反応液をGPCで分析し分子量が増加していることを確認し、カップリングが確実に進行していることを確認した。
次に、得られた反応液の総量に対して水を2質量%添加し、85℃で0.5時間攪拌し、その後減圧脱気により、水分を除去した。白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、反応液に含まれる前駆重合体(Q2)の不飽和基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、85℃にて3時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、前記成分(Q2-1)の2分子がカップリング反応して生成した成分を由来とする成分(B-2-1)、及び前記成分(Q2-1)の2分子と前記成分(Q2-2)の1分子がカップリング反応して生成した成分を由来とする成分(B-2-2)を含む重合体(B-2)を得た。前記成分(B-2-1)及び前記成分(B-2-2)は、末端基を2個有し、1つの末端基あたりに反応性ケイ素基を1.6個、不飽和基を0.4個、水酸基を0個有するという前提のもと、上記測定方法により得られた重合体B-2中の反応性ケイ素基の数、不飽和基の数、水酸基の数を重合体(B-2)に含まれる成分(B-2-1)、成分(B-2-2)のGPCのピーク面積の割合に従って、成分(B-2-1)、成分(B-2-2)に配分した。その結果、成分(B-2-1)及び成分(B-2-2)はともに、1分子中の反応性ケイ素基の平均数が3.2個であり、不飽和基の平均数が0.8個であり、水酸基の平均数が0個であった。
(合成例13:重合体(B-3))
[製造例5:前駆重合体(Q3)の製造]
製造例1で得られた混合物(x1)を開始剤とし、TBA-DMC触媒の存在下、プロピレンオキシドを重合し、上記式17で表される化合物を由来とするオキシプロピレン重合体である成分(Q3-1)と、上記式18で表される化合物を由来とするオキシプロピレン重合体である成分(Q3-2)を含む前駆重合体(Q3)を得た。
成分(Q3-1)は一方の末端基中に不飽和基を2.0個、水酸基を0個有し、他方の末端基中に不飽和基を0個、水酸基を1.0個有し、成分(Q3-2)は、1分子中に不飽和基を1.0個、水酸基を2.0個有するという前提のもと、上記測定方法により得られた前駆重合体(Q3)中の水酸基の数、不飽和基の数を混合液に含まれる成分(Q3-1)、成分(Q3-2)のGPCのピーク面積の割合に従って、成分(Q3-1)、成分(Q3-2)に配分した。
その結果、成分(Q3-1)の1分子中の不飽和基の平均数は2.0個であり、水酸基の平均数は1.0個となり、成分(Q3-2)の1分子中の不飽和基の平均数は1.0個であり、水酸基の平均数は2.0個であった。なお、前記前駆重合体(Q3)中には1分子中に水酸基を2.0個有し不飽和基を有さない重合体(1F)が存在するが、微量であるためピーク面積はゼロとみなした。
[製造例6:重合体(B―3)の製造]
製造例5で得られた前駆重合体(Q3)を減圧脱水した後、オクチル酸錫(II)を添加し、前記混合液に含まれる重合体の水酸基に対してインデックス100%のHDIを常温で添加し、85℃で2時間加熱した。IR分析により反応液中に残存HDIがないことを確認した後、メタノールを反応液の総量に対して1質量%添加し、0.5時間撹拌し、その後減圧脱気によりメタノールを除去した。反応液をGPCで分析して分子量が増加していることを確認し、カップリングが確実に進行していることを確認した。
次に、得られた反応液の総量に対して水を2質量%添加し、85℃で0.5時間攪拌し、その後減圧脱気により、水分を除去した。白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、混合液に含まれる重合体の不飽和基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、85℃にて3時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、以下の成分(B-3-1)及び(B-3-2)を含む重合体(B-3)を得た。
成分(B-3―1):前駆重合体(Q3)中の成分(Q3-1)の2分子がカップリング反応して生成した成分を由来とする成分。
成分(B-3-2):前駆重合体(Q3)中の成分(Q3-1)の2分子と、成分(Q3-2)及び重合体(1F)からから選ばれる1種以上の重合体の1分子以上とがカップリング反応して生成した成分を由来とする成分。
[その他の成分]
表3に記載の添加剤は以下のとおりである。
ホワイトンSB:重質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製品名
CCR:膠質炭酸カルシウム、白艶化CCR、白石カルシウム社製品名
ビニサイザー90(DINP):ジイソノニルフタレート、花王社製品名
DINCH:1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、BASF社製品名
EL-3020:水酸基換算分子量が3,000のポリエーテルポリオール、エクセノールEL-3020、AGC社製品名
UP-1110:アクリルポリマー、東亜合成社製品名
ディスパロン#6500:水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製品名
IRGANOX 1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製品名
TINUVIN 326:ベンゾトリアゾール系光安定剤、BASF社製品名
KBM-1003:ビニルトリメトキシシラン、信越化学社製品名
KBM-403:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名
KBM-603:3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名
DBTDL:ジラウリン酸ジブチル錫
U-810:ジオクチル錫触媒、日東化成社製品名
U-220H:ジブチル錫ジアセトアセトネート、日東化成社製品名
TC-750:チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、マツモトファインケミカル社製品名
[硬化性組成物の調製]
例1、2、6~9及び12~17は実施例であり、例3~5、10、11及び18は比較例である。
(例1~例18)
表4又は5に示す配合量(単位:質量部)の反応性ケイ素基を有する重合体及び表3に示す配合量(単位:質量部)の添加剤を添加して硬化性組成物を調製した。表3に示す各成分の配合量は、重合体A又は比較重合体aと、重合体B又は比較重合体bとの合計100質量部に対する値(単位:質量部)である。
得られた硬化性組成物を使用して、上記の方法で引張特性試験実施した。結果を表4又は5に示す。
(例19~例33)
表4又は5の例1、6、16において添加剤を表2の添加剤3~7に変更してそれぞれ硬化性組成物を調製し、上記と同様に評価した。例19~21は添加剤3を添加した例であり、例22~24は添加剤4を添加した例であり、例25~27は添加剤5を添加した例であり、例28~30は添加剤6を添加した例であり、例31~33は添加剤7を添加した例である。得られた硬化性組成物は低粘度であり、得られた硬化物は、いずれも上記引張試験において、伸び特性、モジュラス(M50)及び引張強度(Tmax)が良好であった。
Figure 2023009597000013
Figure 2023009597000014
Figure 2023009597000015
Figure 2023009597000016
Figure 2023009597000017
表4又は5に示すように、例1、2、6~9及び12~17では、重合体Aと重合体Bの混合物の粘度が低く、かつ硬化物の伸び物性が良好であり、モジュラス(M50)及び引張強度(Tmax)が良好であった。重合体Aを含んでいない例3、4、10及び11では、重合体B、比較重合体a及びbの混合物の粘度は低かったものの、硬化物のモジュラス(M50)及び引張強度(Tmax)が低かった。重合体Aを含んでいない例18では、重合体Aと重合体Bの混合物の粘度が高く、硬化物の引張強度(Tmax)が低かった。重合体Bを含まない例5では、硬化物のモジュラス(M50)及び引張強度(Tmax)が低かった。

Claims (8)

  1. 下記重合体Aと下記重合体Bを含み、前記重合体Aの質量の前記重合体Bの質量に対する比が5/95~95/5である、硬化性組成物。
    重合体A:末端基を1分子あたり平均で2~8個有し、且つ下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で0.3~1.0個有し、1つの末端基あたりの下記オキシアルキレン重合体の水酸基換算分子量が500~2,000であるオキシアルキレン重合体。
    重合体B:下式1で表される反応性ケイ素基を1つの末端基あたり平均で1.0個超有するオキシアルキレン重合体。
    -SiX3-a 式1
    [上記式1中、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。aは1~3の整数である。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なっていてもよく、aが1の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。]
  2. 前記重合体Aは、末端基を1分子あたり平均で3~8個有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記重合体Bが、下式2又は下式3で表される基を含む末端基を有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    Figure 2023009597000018
    上記式2中、Rは酸素原子、硫黄原子、上記式2中の-(CH―と結合する原子が炭素原子である-C(=O)O-で表される2価の基、又は-N(R)-で表される2価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、mは0~10の整数である。Rは酸素原子若しくは窒素原子を含んでもよく、酸素原子若しくは窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の1価の炭化水素基、水素原子、又は-R-CHR-CH-Siで表される基であり、Rは酸素原子又は窒素原子を含んでもよく、酸素原子又は窒素原子と隣接する原子は炭素原子である炭素数1~20の2価の炭化水素基又は単結合であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、複数のR、R、Siはそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。
    Figure 2023009597000019
    上記式3中、R11、R13はそれぞれ独立に炭素数1~6の2価の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、R12、R14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Siは上記式1で表される反応性ケイ素基を示し、nは1~10の整数を示し、複数のSiは互いに同一でも異なってもよい。
  4. 前記重合体Bの数平均分子量が10,000~100,000である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記重合体Aの質量の前記重合体Bの質量に対する比が5/95~40/60である請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物からなる、接着剤。
  8. 請求項6に記載の硬化物からなる、シーリング材。
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