以下に、図面および実施例を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、形状などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様のものである。
<実施例1>
[電子写真画像形成装置の一般的な説明]
以下、第1の実施例について図を用いて説明する。
なお、以下の実施形態では画像形成装置として、4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー画像形成装置を例示している。
なお、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。
例えば、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、前記画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの個数は1個である。また、以下説明する実施形態では、画像形成装置の一例としてプリンタを例示している。
[画像形成装置の概略構成]
図2は本実施例の画像形成装置の断面概略図である。また、図3(a)は本実施例の画像形成装置の斜視図である。また、図4は本実施例のプロセスカートリッジPの断面図である。また、図5は本実施例のプロセスカートリッジPを駆動側からみた斜視図であり、図6は本実施例のプロセスカートリッジPを非駆動側からみた斜視図である。
図2に示すように、この画像形成装置1は、電子写真画像形成プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジを装置本体(電子写真画像形成装置本体)2に取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
ここで、画像形成装置1に関して、前ドア3を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置1を正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側と称す。図2は画像形成装置1を非駆動側から見た断面図であり、紙面手前が画像形成装置1の非駆動側、紙面右側が画像形成装置1の正面、紙面奥側が画像形成装置1の駆動側となる。
装置本体2には第1のプロセスカートリッジPY(イエロー)、第2のプロセスカートリッジPM(マゼンタ)、第3のプロセスカートリッジPC(シアン)、第4のプロセスカートリッジPK(ブラック)の4つのプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が水平方向に配置されている。
第1~第4の各プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、それぞれ同様の電子写真画像形成プロセス機構を有しており、現像剤の色が各々異なる。第1~第4のプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2の駆動出力部から回転駆動力が伝達される。詳細は後述する。
また、第1~第4の各プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
図4に示すように、本実施例の第1~第4の各プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、電子写真感光体ドラム4と、このドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段及びクリーニング手段を備えた感光体ドラムユニット8を有する。電子写真感光体ドラムは、その表面に感光層が設けられたドラムであり、電子写真画像形成プロセス用に用いられる感光体である。以下、電子写真感光体ドラム4を以下、単にドラム4と呼ぶ。
また、第1~第4の各プロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、ドラム4上の静電潜像を現像する現像手段を備えた現像ユニット9を有する。
第1のプロセスカートリッジPYは、現像枠体29内にイエロー(Y)の現像剤を収容しており、ドラム4の表面にイエロー色の現像剤像を形成する。
第2のプロセスカートリッジPMは、現像枠体29内にマゼンタ(M)の現像剤を収容してあり、ドラム4の表面にマゼンタ色の現像剤像を形成する。
第3のプロセスカートリッジPCは、現像枠体29内にシアン(C)の現像剤を収容してあり、ドラム4の表面にシアン色の現像剤像を形成する。
第4のプロセスカートリッジPKは、現像枠体29内にブラック(K)の現像剤を収容しており、ドラム4の表面にブラック色の現像剤像を形成する。
第1~第4のプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが設けられている。このレーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Zを出力する。そして、レーザ光Zは、カートリッジPの露光窓部10を通過してドラム4の表面を走査露光する。
第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を設けている。この中間転写ベルトユニット11は、駆動ローラ13・テンションローラ14、15を有し、可撓性を有する転写ベルト12を掛け渡している。
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)のドラム4は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12の内側には、ドラム4に対向させて1次転写ローラ16を設けている。
また、2次転写ローラ17が、テンションローラ14と対向する位置に、転写ベルト12を介して配置されている。転写ベルト12と2次転写ローラ17の接触部が2次転写部である。
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を設けている。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ19、給紙ローラ20を有する。
図2における装置本体2内の左上方には、定着ユニット21と、排出ユニット22を設けている。装置本体2の上面は排出トレイ23としている。
現像剤像を転写された記録媒体Sは、定着ユニット21に設けられた定着手段により定着された後に、排出トレイ23へ排出される。
カートリッジPは、引き出し可能なカートリッジトレイ60を介して、装置本体2に対して着脱可能な構成となっている。図3(a)は、装置本体2からカートリッジトレイ60、および、カートリッジPを引き出した状態を示している。
[画像形成動作]
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)のドラム4が所定の速度で回転駆動される(図4矢印D方向、図2において反時計回り)。
転写ベルト12もドラムの回転に順方向(図2矢印C方向)にドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。
レーザスキャナユニットLBも駆動される。スキャナユニットLBの駆動に同期して、帯電ローラ5によってドラム4の表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。レーザスキャナユニットLBは各ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Zで走査露光する。
これにより、各ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、所定の速度で回転駆動(図4矢印E方向、図2において時計回り)される現像ローラ6により現像される。
このような電子写真画像形成プロセスにより、第1のカートリッジPYのドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色の現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が転写ベルト12上に一次転写される。
同様に第2のカートリッジPMのドラム4にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
同様に第3のカートリッジPCのドラム4にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
同様に第4のカートリッジPKのドラム4にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色現像剤像が形成される。そして、その現像剤像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色の現像剤像に重畳されて1次転写される。
このようにして、転写ベルト12上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着現像剤像が形成される。
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで2次転写ローラ17と転写ベルト12との接触部である2次転写部に導入される。
これにより、記録媒体Sが前記2次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳の現像剤像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
以上をまとめると、図4に示すようにドラム4が矢印D方向に回転することで、ドラム4の表面上では、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程が行われる。まず、帯電ローラ(帯電部材)5によってドラム4の表面が帯電される。その後、ドラム4が回転すると、その表面にレーザ光Zによって潜像が形成され、さらにその潜像を現像ローラ6が現像する。これによってドラム4の表面にトナー像(現像剤像)が形成される。さらにドラム4が回転すると、そのトナー像は、カートリッジの外部に露出し、転写ベルト12に転写される。その後、ドラム4の表面は廃現像剤収納部27の内部に入る。現像剤像の転写後にドラム4の表面に残った現像剤は、クリーニングブレード(クリーニング部材)7によってドラム4の表面からそぎ落とされ(除去され)、廃現像剤収納部に収納される。その後、ドラム4の表面は廃現像剤収納部27から出て、再び帯電ローラ5に対向する。これによって上記行程が繰り返される。
このようにドラム4はその表面にトナーで形成された画像を担持して回転する回転体(回転部材)である。ドラム4を像担持体と呼ぶこともある。
クリーニングブレード7は、ドラム4に対してカウンター方向に当接するように構成されている。つまりクリーニングブレード7の先端は、ドラム4の回転方向の上流側を向くようにしてドラム4表面に接触している。
一方、現像ローラ(現像部材)6は、画像形成時(現像時)に、矢印E方向に回転することで以下の工程を経て潜像を現像する。現像枠体29の内部(すなわち現像剤収納部49の内部)において、現像ローラ6の表面にトナーが供給され現像ローラ6の表面は現像剤を担持する。
現像ローラ6がE方向に回転すると、現像ローラ6の表面に現像ブレード(現像剤規制部材、トナー規制部材)31が接触することで現像ローラ6の表面に担持された現像剤の量(トナーの層厚)が一定にされる。この後、現像ローラ6の表面は現像枠体29の外部に露出し、その後、ドラム4に対向する。これによって現像ローラ6はドラム4の表面の潜像をトナーによって現像する。さらに現像ローラ6が回転することで現像ローラ6の表面は再び、現像剤収納部49の内部に入り上記行程が繰り返される。なお現像ブレード31は、その先端が現像ローラ6の回転方向Eの上流側に向くように設置されている。
現像ローラ6はその表面にドラム4に供給するための現像剤を担持して回転する回転体(回転部材)である。
[プロセスカートリッジの全体構成]
本実施例において、第1から第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、同様の電子写真画像形成プロセス機構を有し、収容されている現像剤の色や現像剤の充填量を各々設定可能である。
カートリッジPは、感光体としてのドラム4と、ドラム4に作用するプロセス手段を備えている。ここで、プロセス手段はドラム4を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ5、ドラム4に形成された潜像を現像する現像手段としての現像ローラ6、ドラム4の表面に残留する残留現像剤を除去するためのクリーニング手段としてのクリーニングブレード7等がある。そして、カートリッジPは、ドラムユニット8と現像ユニット9とに分かれている。ドラムユニット8と現像ユニット9の一方を第1ユニット、他方を第2ユニットと呼ぶ場合がある。またドラムユニット8を構成する枠体(感光体支持枠体)と、現像ユニット9を構成する枠体(現像枠体)の一方を第1枠体、他方を第2枠体などと呼ぶことがある。
[ドラムユニットの構成]
図4、図5、図6に示すように、ドラムユニット8は、感光体としてのドラム4、帯電ローラ5、クリーニングブレード7、感光体支持枠体としてのクリーニング容器26、廃現像剤収納部27、カートリッジカバー部材(図5、図6における駆動側カートリッジカバー部材24と非駆動側カートリッジカバー部材25)で構成される。尚、広義の感光体支持枠体には、狭義の感光体支持枠体であるクリーニング容器26の他、廃現像剤収納部27、駆動側カートリッジカバー部材24、非駆動側カートリッジカバー部材25も含まれる(以下の実施例においても同様である)。なお、カートリッジPが装置本体2に装着された際には、感光体枠体は装置本体2に固定される。
ドラム4は、カートリッジPの長手両端に設けられたカートリッジカバー部材24、25により回転自在に支持されている。ここで、ドラム4の軸線方向を長手方向と定義する。軸線方向(長手方向)とは、ドラム4の軸線(回転軸線、axis)が延びる方向と平行な方向である。
カートリッジカバー部材24、25は、クリーニング容器26の長手方向の両端側で、クリーニング容器26に固定されている。
また、図5に示すように、ドラム4の長手方向の一端側には、ドラム4に駆動力を伝達するためのドラム側カップリング部材4aが設けられている。図3(b)は、装置本体2の斜視図であり、カートリッジトレイ60、および、カートリッジPを不図示としている。カートリッジP(PY・PM・PC・PK)のそれぞれのカップリング部材4aは、図3(b)に示す装置本体2の本体側駆動伝達部材としてのドラム駆動出力部材61(61Y・61M・61C・61K)と連結(カップリング)して、装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力がドラム4に伝達される。
帯電ローラ5は、ドラム4に対し接触して従動回転できるように、クリーニング容器26に支持されている。
また、クリーニングブレード7は、ドラム4の周表面に所定の圧力で接触するように、クリーニング容器26に支持されている。
クリーニング手段7によりドラム4の周面から除去された転写残現像剤は、クリーニング容器26内の廃現像剤収納部27に収納される。
また、駆動側カートリッジカバー部材24、非駆動側カートリッジカバー部材25には、現像ユニット9を回動可能に支持するための支持部24a、25aが設けられている(図6参照)。
[現像ユニットの構成]
図1、図4に示すように、現像ユニット9は、現像ローラ6、現像ブレード31、現像枠体29、軸受部材45、現像カバー部材32などで構成されている。
現像枠体29は、現像ローラ6に供給する現像剤を収納する現像剤収納部49、及び、現像ローラ6周面の現像剤の層厚を規制する現像ブレード31を有する。
また、図1に示すように、軸受部材45は、現像枠体29の長手方向一端側に固定されている。この軸受部材45は、現像ローラ6を回転可能に支持している。現像ローラ6は、その長手端部に現像ローラギア69を有する。軸受部材45は、現像ローラギア69へ駆動力を伝達するための下流側駆動伝達部材(下流側伝達部材)71も回転可能に支持している。詳細は後述する。
そして、現像カバー部材32が、カートリッジPの長手方向において、軸受部材45の外側に固定されている。この現像カバー部材32は、現像ローラギア69や下流側伝達部材71、上流側駆動伝達部材(上流側伝達部材)74、伝達解除機構(クラッチ)75を覆うように構成されている。伝達解除機構75についての詳細は後述するが、伝達解除機構75により上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達する場合と遮断する場合を切り替えることが可能である。すなわち伝達解除機構75はクラッチである。
また上流側伝達部材74は、画像形成装置本体から駆動力が入力される現像入力カップリング(カップリング部材)である。
図1に示すように、現像カバー部材32には円筒部32bが設けられている。そして、円筒部32bの内側の開口32dからは、上流側伝達部材74の回転力受け部(駆動力受け部)としての駆動入力部(カップリング部)74bが露出している。駆動入力部74bは、カートリッジP(PY・PM・PC・PK)が装置本体2に装着された際に、図3(b)に示す現像駆動出力部材62(62Y・62M・62C・62K)と係合し、装置本体2に設けられた駆動モータ(不図示)から駆動力が伝達される。装置本体2から上流側伝達部材74へ入力された駆動力は、伝達解除機構75、下流側伝達部材71を介して、さらに下流側に配置された駆動伝達部材である現像ローラギア69に伝達される。そして駆動力は更に現像ローラギア69から現像ローラ6へ伝達される。
カートリッジの両サイドのうち、カップリング部74b等が設けられる側をカートリッジの駆動側と呼んでいる。カートリッジの駆動側は、装置本体2の出力部材61、62等から駆動力が入力される側である。一方、軸線方向において駆動側とは反対側を、カートリッジの非駆動側と呼んでいる。
上流側伝達部材74、伝達解除機構75、下流側伝達部材71、カップリング部材4a(図5参照)等はカートリッジの駆動側に配置されている。
[ドラムユニットと現像ユニットの組立]
図5、図6に、現像ユニット9とドラムユニット8とを分解した状態を示す。ここで、カートリッジPの長手一端側では、駆動側カートリッジカバー部材24の支持部24aに現像カバー部材32の円筒部32bの外径部32aを回動可能に嵌合させている。また、カートリッジPの長手他端側では非駆動側カートリッジカバー部材25の支持穴部25aに、現像枠体29から突出して設けられた突出部29bを回動可能に嵌合させている。これにより、現像ユニット9は、ドラムユニット8に対して回動可能に支持される。ここで、現像ユニット9のドラムユニット8に対する回動中心(回動軸線)を、回動中心(回動軸線)Xと称す。この回動中心Xは、支持穴部24aの中心と支持穴部25aの中心とを結んだ軸線である。
[現像ローラとドラムの接触]
図4、図5、図6に示すように、現像ユニット9は、付勢部材かつ弾性部材である加圧バネ95により付勢され、回動中心Xを中心にして、現像ローラ6がドラム4に接触するように構成されている。即ち、加圧バネ95の付勢力によって、現像ユニット9は図4中の矢印G方向に押圧され、回動中心Xを中心に、矢印H方向のモーメントが作用する構成となっている。
また、図5に示すように上流側伝達部材74は、図3(b)に示す装置本体2に設けられた本体カップリングである現像駆動出力部材62から矢印J方向の回転駆動を受ける。次いで、上流側伝達部材74に入力された駆動力を受けて、下流側伝達部材71が矢印J方向に回転する。これにより、下流側伝達部材(伝達ギア)71と係合している現像ローラギア69が矢印E方向に回転する。これにより現像ローラ6が矢印E方向に回転する。現像ローラ6を回転させるために必要な駆動力が上流側伝達部材74に入力されることで、現像ユニット9には矢印H方向の回転モーメントが生じる。
上述の加圧バネ95の押圧力と、装置本体2からの回転駆動力により、現像ユニット9は回動中心Xを中心にして、矢印H方向にモーメントを受ける。これにより、現像ローラ6がドラム4に対し所定圧で接触できる。また、このときのドラムユニット8に対する現像ユニット9の位置を接触位置とする。なお、本実施例においては、ドラム4に対して現像ローラ6を押圧するために、加圧バネ95による押圧力、および、装置本体2からの回転駆動力の2つの力を用いた構成とした。しかしながら、必ずしもその限りではなく、上記何れか一方の力だけでドラム4に対して現像ローラ6を押圧する構成でもよい。
[現像ローラとドラムの離間]
図7はカートリッジPを駆動側から見た側面図である。この図においては、説明のために、一部の部品を不図示としている。カートリッジPが装置本体2に装着されているときは、ドラムユニット8は装置本体2に位置決め固定されている。
力受け部45aが軸受部材45に設けられている。力受け部45aは、装置本体2に設けられた本体離間部材80と係合可能な構成となっている。
この本体離間部材80は、不図示のモータからの駆動力を受け、レール81に沿って矢印F1、F2方向に移動可能な構成となっている。
図7(a)は、ドラム4と現像ローラ6とが互いに接触した状態を示している。このとき、力受け部45aと本体離間部材80とは隙間dを有して離間している。
図7(b)は、図7(a)の状態を基準として、本体離間部材80が矢印F1方向へ距離δ1だけ移動した状態を示している。このとき、力受け部45aは本体離間部材80と係合して力を受けている。前述の通り、現像ユニット9はドラムユニット8に対して回動可能な構成となっており、図7(b)においては、現像ユニット9は、回動中心Xを中心として矢印K方向に角度θ1だけ回動した状態となっている。このとき、ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε1だけ離間した状態となっている。
図7(c)は、図7(a)の状態を基準として、本体離間部材80が矢印F1方向にδ2(>δ1)だけ移動した状態を示している。現像ユニット9は、回動中心(回動軸線X)を中心として、矢印K方向に角度θ2だけ回動した状態となっている。このとき、ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε2だけ離間した状態となっている。また、補助加圧バネ96については、後に詳細に説明するが、図7(b)の状態と同様に現像ユニット9に対して、回動中心Xを中心にして矢印H方向にモーメントを付与している状態である。
尚、本実施例(以下の実施例においても同様である)において、力受け部45aとドラム4の回転中心との距離は13mm~33mmの範囲にある。
また、本実施例(以下の実施例においても同様である)において、力受け部45aと回動中心Xとの距離は、27mm~32mmの範囲にある。
[駆動連結部の構成]
図1を用いて駆動連結部の構成について説明する。まず、概略について説明する。
軸受部材45と、駆動側カートリッジカバー部材24と、の間には、軸受部材45から駆動側カートリッジカバー部材24に向かって、下流側伝達部材71、伝達解除機構75、上流側伝達部材74、現像カバー部材32が設けられている。これらの部材は上記した現像ユニット9の回動軸線上に設けられている。すなわち上流側伝達部材74、下流側伝達部材71、伝達解除機構75の軸線は、現像ユニット9の軸線Xと実質的に一致する。なお回転軸線Xは、感光体ドラム4の軸線と実質的に平行である。そのため伝達解除機構75等の軸線方向はドラム4の軸線方向と一致するとみなしてよい。
ここで、上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達する場合と遮断する場合を切り替える伝達解除機構75の一例について図9(a)~(c)を用いて詳細に説明する。図9Aおよび図9Bは伝達解除機構75を分解した状態であって、図9(a)は駆動側から見た斜視図であり、図9(b)は非駆動側から見た斜視図である。また図9(c)は伝達解除機構75の断面図である。
本実施例における伝達解除機構75は一般的にバネクラッチと呼ばれる。伝達解除機構75は一例として、入力内輪(入力部材、クラッチ側入力部材)75a、出力部材(クラッチ側出力部材)75b、伝達バネ(コイルスプリング、弾性部材、中間伝達部材)75c、制御環75d、抜け止め部材75e、等の部材で構成される。
入力内輪75aは内輪内径部75a1と、入力側外径部75a2と、回転被係合部75a3と入力側端面75a4を有する。入力内輪75aは駆動力(回転力)が入力される伝達解除機構75の入力部である。入力内輪75aは上流側伝達部材74と連結しており、上流側伝達部材74から駆動力を受けることで、上流側伝達部材74と共に回転する。
出力部材75bは被係合穴部75b1、係合溝75b2、内輪係合軸75b3、出力部材外径部75b4を有する。出力部材75bは駆動力を出力する伝達解除機構75の出力部である。出力部材75bは下流側伝達部材71と連結しており、下流側伝達部材71に駆動力を伝達することで下流側伝達部材71とともに回転する。
内輪係合軸75b3は内輪内径部75a1を回転可能に支持しており、入力内輪75aと出力部材75bは回転軸線X上に同軸に配置されている。
伝達バネ75cは上流側伝達部材74側から見て矢印J方向であって、軸線方向においてはM方向に向かって螺旋状に巻回され、内周部75c1を形成している。また、内周部75c1は入力内輪75aの入力側外径部75a2と出力部材75bの出力部材外径部75b4に対して、接触した状態で同軸上に配置されている。尚、バネクラッチにおいて、伝達バネ75cは上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達するための伝達部材(伝達媒体部材、伝達媒体部、中間伝達部材)である。より具体的に言うと、伝達バネ75cは入力内輪75aから出力部材75bに駆動力を伝達することで、上流側伝達部材74の回転力(駆動力)を下流側伝達部材71に伝達する。
制御環75dは伝達バネ75cと同軸上であって、伝達バネ75cの外周側に配置されており、伝達バネ75cの線材の一端側75c2と係合する伝達バネ端係止部75d3と、外径部において半径方向に突出した被係止部75d4を有する。
抜け止め部材75eは入力内輪75aと制御環75dの間に配置され、入力内輪75aが軸線方向に移動することを抑制する。
以下では、図1および図8を用いて伝達解除機構75と上流側伝達部材74および下流側伝達部材71の関係について説明する。
上流側伝達部材74は軸線方向の一端に駆動入力部(カップリング部)74bが設けられていて、駆動入力部74bにおいてカートリッジの外部(すなわち画像形成装置本体)から駆動力を受けるように構成されたカップリング部材である。上流側伝達部材74の軸線方向の他端側には接触端面74mが設けられており、接触端面74mは、伝達解除機構75の入力側端面75a4と接触する。上流側伝達部材74は装置本体2の現像駆動出力部材62から矢印N方向に付勢力(荷重U)を受けた状態で駆動力が伝達されている。そのため、上流側伝達部材74の接触端面74mは伝達解除機構75の入力側端面75a4に対して付勢力Uで押し付けられた状態で接触する。
また、上流側伝達部材74の回転軸線X方向において回転係合部74aが設けられる。回転係合部74aが、伝達解除機構75の入力内輪75aに設けられた回転被係合部75a3と係合することで、上流側伝達部材74の回転を伝達解除機構75に伝達する。上流側伝達部材74と入力内輪75aは一体的に回転するので、入力内輪75aと上流側伝達部材74を一体としてみなして、上流側伝達部材74を伝達解除機構75(クラッチ)の一部と考えてもよい。この場合には、上流側伝達部材74は伝達解除機構75の入力部材(クラッチ側入力部材)とみなすこともできる。
次に、下流側伝達部材71の詳細構成を説明した後に伝達解除機構75との関係について説明する。下流側伝達部材71は実質的に円筒形状であり、一端側の円筒内部において、回転軸線X上に係合軸(軸部)71aを有し、係合軸71aから半径方向に放射状に延びる係合リブ71b、伝達解除機構75と接触する長手接触端面71cを有している。また他端側の円筒外周部として被軸受部71dを有する。さらに、円筒の外周部には円筒部71e、端面フランジ71f、ギア部71gが設けられている。
下流側伝達部材71は一端側において円筒部71eと現像カバー部材32の内径部32qとが互いに係合している。また、他端側においては被軸受部71dと軸受部材45の第一軸受部45p(円筒外周面)とが互いに係合している。すなわち、下流側伝達部材71は、軸受部材45と現像カバー部材32とによって、その両端を回転可能に支持されている。
次に、下流側伝達部材71のギア部71gは現像ローラギア69とかみ合うことにより現像ローラ6を回転させる。つまり下流側伝達部材71は現像ローラギア69に噛み合うためのギア部材(伝達ギア)である。ここで、ギア部71gはハスバ歯車であり、現像ローラギア69とのかみ合いにより矢印M方向にスラスト荷重Wを受けるように歯車のネジレ角を設定している。このスラスト荷重Wによって、端面フランジ71fが現像カバー部材32の突き当て面32fに当接し、下流側伝達部材71は軸線方向の位置が定まる。
伝達解除機構75は出力部材75bに設けられた被係合穴部75b1が係合軸71aに係合され、下流側伝達部材71によって、下流側伝達部材と同軸上に支持される。つまり穴部75b1に係合軸71aが貫通することで、駆動解除機構75は下流側伝達部材71に直接係合している。また、下流側伝達部材71の係合リブ71bが伝達解除機構75の出力部材75bに設けられた係合溝75b2に挿入された状態である。これにより、伝達解除機構75が回転した際に下流側伝達部材71に駆動力を伝達することが可能となる。係合リブ71bは駆動力を受けるための駆動力受け部である。なおこのような構造のため下流側伝達部材71は、出力部材75bと一体的に回転する。したがって下流側伝達部材71と出力部材75bを一体とみなして、下流側伝達部材71を駆動解除機構75の一部と考えてもよい。この場合には、下流側伝達部材71を伝達解除機構75の出力部材(クラッチ側出力部、出力側伝達部材)の一部とみなすこともできる。
ここで、下流側伝達部材71と伝達解除機構75との同軸を確保する係合軸71aは係合リブ71bと一体的に形成されているため、小型化した上でも係合軸71aの強度を確保することができる。その結果として、下流側伝達部材71に対する伝達解除機構75の位置精度を高めることが可能となる。
伝達解除機構75は入力側端面75a4が上流側伝達部材74から矢印N方向に付勢力Uを受けることにより、軸線方向の他端側に設けられた下流側接触端面75b7が下流側伝達部材71の長手接触端面71cに接触する。一方で、前述したように、下流側伝達部材71のギア部71gは現像ローラギア69とかみ合うことにより矢印M方向にスラスト荷重Wを受けている。ところで、上流側伝達部材74からの矢印N方向の付勢力Uに対して、矢印M方向のスラスト荷重Wの方を大きく設定している。そのため、端面フランジ71fが現像カバー部材32の突き当て面32fに当接する位置において、下流側伝達部材71は軸線方向の位置が定まる。このように伝達解除機構75は下流側伝達部材71と上流側伝達部材74とによって軸線方向に押圧された状態で配置される。これにより、伝達解除機構75の軸線方向位置が安定し、後述する制御部材76と伝達解除機構75の制御環75dの係合を安定にする。
以下では、伝達解除機構75における駆動力の伝達と遮断について図10を用いて説明する。図10は駆動側から見た側面図であり、伝達解除機構75と制御部材76と現像カバー部材32の位置関係を示している。説明のため一部の部品を不図示としている。まず、伝達解除機構75と制御部材76の位置関係について簡単に説明し、制御部材76の動作については後に詳細に説明する。
制御部材76は伝達解除機構75に対して第一位置と第二位置を有している。制御部材76が第一位置にある場合、伝達解除機構75は上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達する。制御部材76が第二位置にある場合、伝達解除機構75は上流側伝達部材74の回転を遮断し下流側伝達部材71に回転を伝達しない。以下、詳細に説明する。
まず、制御部材76が第一位置である場合における伝達解除機構75の動作について説明する。被係止部75d4の最外形の回転軌跡を回転軌跡A(図10(a)の二点鎖線)とすると、第一位置は制御部材76が回転軌跡Aの外側であって、伝達解除機構75から離れた位置である(図10(a)に示す位置)。上流側伝達部材74が回転すると、上流側伝達部材74と係合する入力内輪75aは矢印J方向に回転する。入力内輪75aと係合する伝達バネ75cは入力内輪75aの回転による摩擦力によって、その内径が小さくなる方向に捩じられる。その結果、伝達バネ75cの内周部75c1は入力側外径部75a2を締め付けることにより、入力内輪75aの回転が伝達バネ75cに伝達される。伝達バネ75cは入力側外径部75a2と同様に出力部材外径部75b4に対しても内周部75c1で係合している。そのため、入力内輪75aの回転は伝達バネ75cを介して出力部材75bに伝達される。尚、制御環75dは伝達バネ端係止部75d3において、伝達バネ75cと係合しているため、伝達解除機構75の各部品と同様に回転している。
制御部材76が第一位置である場合、制御環75dに対し制御部材76は接触しない状態であり、伝達解除機構75は上記説明の通り、上流側伝達部材74の回転が伝達される。結果として、上流側伝達部材74の回転は伝達解除機構75を介して下流側伝達部材71に伝達される。
次に、制御部材76が第二位置である場合における伝達解除機構75の動作について説明する。第二位置は制御部材76が伝達解除機構75の回転軌跡Aの内側であって、制御部材76が被係止部75d4と接触できる位置である。(図10(c)に示す位置)。
上流側伝達部材74が回転すると、上流側伝達部材74と係合する入力内輪75aは矢印J方向に回転する。第二位置では制御部材76が被係止部75d4と接触できる位置であるため、制御環75dは制御部材76に係止されて、回転を停止する。加えて、伝達バネ75は線材の一端側75c2が回転を停止している制御環75dの被係止部75d4と係合しているため、入力内輪75aの回転に伴い伝達バネ75cの内径が小さくなる方向に捩じることができない。そのため、入力内輪75aの入力側外径部75a2と伝達バネ75cの内周部75c1との間で滑りが発生し、入力内輪75aが回転している状態であっても出力部材75bに対して駆動は伝達されない。結果として、上流側伝達部材74の回転は伝達解除機構75で遮断されて下流側伝達部材71に伝達されなくなる。
以上のように、伝達解除機構75は上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達する場合と遮断する場合を切り替えることが可能である。ところで、本実施例で説明した伝達解除機構75は上流側伝達部材74が受けた回転力を伝達バネ75cと入力側外径部75a2および出力部材外径部75b4との摩擦力により下流側伝達部材71に対して伝達している。仮に、現像ローラ6を回転させるための負荷が異常に高くなり、設定している摩擦力以上の回転負荷が発生した場合には、入力内輪75aと伝達バネ75cの内周部75c1との間で滑りを発生させることが可能である。これにより、装置本体2の故障を防止することができる。
なお、以上で説明した本実施例では、伝達解除機構75の一例として、一般的なバネクラッチについて説明したが、伝達解除機構75の形態はこの限りではない。例えば、上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達するための伝達媒体部を制御部半径方向に進退させるような構成であっても良い。このような構成は後述の実施例2以降にて説明する。
[制御部材76による駆動解除動作]
制御部材76の動作について説明する。先に明記したように、制御部材76は伝達解除機構75の制御環75dに対して第一位置と第二位置を有している。また、制御部材76は図7において説明した現像ユニット9のドラム4に対する接触位置と離間位置との移動動作に連動して第一位置と第二位置とに切り替わる。つまり、現像ユニット9とドラム4とが接触位置である場合は制御部材は第一位置であり、離間位置である場合は第二位置である。以下で詳細に説明する。
まず、制御部材76が第一位置にある状態について説明する。図7(a)に示すように、本体離間部材80と軸受部材45の力受け部45aに隙間dを有しているとき、ドラム4と現像ローラ6とは互いに接触した状態である。この状態を現像ユニット9の接触位置とする。図10(a)は制御部材76が第一位置であって、現像ユニット9がドラム4に対して接触位置である状態を示している。
制御部材76は、円形の穴である被支持部76aを有する。被支持部76aが駆動側カートリッジカバー24の制御部材支持部24c(図8参照)と篏合することで、制御部材76は駆動側カートリッジカバー24に回転可能に支持される。なお制御部材支持部24cは、駆動側カートリッジカバー24に設けられた軸部であり、以下、単に支持部24cと呼ぶ場合がある。ここで、制御部材76の回動中心を回動中心Yとする。さらに、制御部材76は回動中心Yから半径方向外方向に突出する2つの突出部を有し、第一突出部76eの先端に第一被作用部76cが設けられ、第二突出部76fに当接面76bと第二被制御部76dが設けられる。当接面76b、第一被作用部76cと第二被制御部76dは、制御部材76の回転に伴い、回動中心Yを中心に回転移動することができる。
また、向かい合う当接面76bと第一被作用部76cの間には、現像カバー部材32が有する作用部32cが配置され、作用部32cは第一作用部32c1と第二作用部32c2を有する。第一作用部32c1は、第一被作用部76cと対向する面であり、第二作用部32c2は、第二被作用部76dと対向する面である。
上述したように、現像ユニット9が有する現像カバー部材32は駆動側カートリッジカバー24に回転可能に支持される。つまり、第一作用部32c1と第二作用部32c2は、現像ユニット9の回転に伴い、回転中心Xを中心に回転移動することができる。
また、現像カバー部材32のX軸線方向内側には伝達解除機構75が回転中心Xと同軸上に配置され、駆動力を受ける伝達解除機構75の制御環75dは、回転中心Xを中心に現像カバー部材32の内部で矢印H方向に回転する。
現像ユニット9の接触位置において、当接面76bは制御環75dの回転軌跡Aの外側に位置しており、当接面76bと回転軌跡Aとは隙間fを有する。このとき、制御部材76の第二被作用部76dが第二作用部32c2と当接するため、制御部材76の矢印L1方向への回転移動は規制されている。そのため、当接面76bは回転軌跡Aに対して隙間fを安定して維持することが可能となる。また、制御部材76はL2方向に回転可能だが、制御部材76がL2方向に回転しても、制御部材76が回転軌跡Aの内側に侵入しないように制御部材76は配置されている。
制御部材76が制御環75dから離れた第一位置である場合、制御環75dが(制御部材76から停止されることなく)回転することができ、伝達解除機構75は上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達する。
続いて、図10(b)、図10(c)を用いて、現像ユニット9が接触位置から離間位置に移動して、制御部材76が第一位置から第二位置に移動する際の制御部材76の動作について説明する。
図10(b)は現像ユニット9が接触位置から離間位置に移動中の制御部材76の状態を示している。図10(c)は制御部材76が第二位置であって、現像ユニット9がドラム4に対して離間位置である状態を示している。
現像ユニット9は接触位置から、図7(c)に示すように、本体離間部材80が矢印F1方向にδ2だけ移動し停止すると、回動中心Xを中心として、矢印K方向に角度θ2だけ回動した状態になる。このとき、ドラム4と現像ローラ6とは互いに距離ε2だけ離間した状態になり、このときの現像ユニット9の状態が離間位置である。
現像ユニット9がドラム4との接触位置から離間位置に移動する過程で、図10(b)に示すように、現像カバー部材32の第一作用部32c1と第二作用部32c2は回動中心Xを中心として矢印K方向に移動する。第二作用部32c2は移動することで第二被作用部76dから離れ始める。さらに現像カバー部材32が矢印K方向に移動すると、第一作用部32c1は制御部材76の第一被作用部76cに当接する。第一作用部32c1と当接した第一被作用部76cには図10(b)の矢印B方向に力が加わり、矢印B方向の力によって、制御部材76は矢印L1方向に回動する。このように現像ユニット9の移動に伴って制御部材76が矢印L1方向に回動し、制御部材76の回動に伴い、当接面76bは矢印L1方向に移動し、制御環75dの回転軌跡Aに近づいていく。
さらに、現像ユニット9が回動し離間位置に到達すると、図10(c)に示すように、制御部材76も回動し、当接面76bは制御環75dの回転軌跡Aの内側に侵入する。制御環75dの回転軌跡Aの内側に侵入した当接面76bは回転する被係止部75d4と当接し、制御環75dの回転を停止させる。これにより伝達解除機構75による回転力の伝達が遮断される。これにより、上記で説明したように上流側伝達部材74が回転している状態においても、伝達解除機構75により回転が遮断されて下流側伝達部材71に伝達されなくなる。当接面76bは被係止部75d4と係合して(被係止部75d4を係止して)被係止部75d4の回転を止める係止部である。
ここで、上流側伝達部材74が回転している状態において、伝達解除機構75によって回転が遮断されている場合、入力内輪75aと伝達バネ75cの内周部75c1との間で滑りが発生している。そのため、上流側伝達部材74には伝達バネ75cの内周と入力側係合外径部75a2との摩擦によって回転負荷が残される。以下では、伝達解除機構75によって回転が遮断されている際の上流側伝達部材74に残る回転負荷を滑りトルクと称する。
当接面76bと被係止部75d4との当接部を当接部Tとすると、滑りトルクが発生している状態においては、当接面76bは当接部Tにおいて制御環75dから矢印P1方向の力を受けている。矢印P1方向の力は、制御部材76を矢印L2方向に回動させようとするが、制御部材76の第一被作用部76cが第一作用部32c1に当接することで制御部材76の回動は規制される。これにより、制御部材76は制御環75dから矢印P1方向の力を受けた状態であっても制御環75dとの当接状態を維持することが可能となる。
このように、制御部材76の制御環75dに対する位置は第一被作用部76cを第一作用部32c1に当接させることによって決まるので、第一作用部32c1の形状を変更すれば、制御部材76の第二位置を変化させることができる。つまり、第一作用部32c1の形状により、当接面76bが制御環75dの回転軌跡Aに近づく速度や侵入するタイミングを自在に制御することができ、伝達解除機構75の駆動の遮断を制御することができる。
図10(c)に示す状態から、現像ユニット9が矢印K方向に回動すると当接面76bは回転軌跡A内に図10(d)に示す位置まで侵入する。作用部32cは第一作用部32c1よりも図10(d)矢印H方向の下流側に過離間時作用部32c3を有する。過離間時作用部32c3は現像ユニット9の回動中心Xを中心にとる円弧形状である。現像ユニット9が図10(d)に示す状態よりも、さらに矢印K方向に大きく回動した場合、第一被作用部76cは円弧形状の過離間時作用部32c3に当接する。これによって、制御部材76は第二位置を維持し当接面76bの回転軌跡Aの内側への侵入量が増えないように構成されている。つまり、現像ユニット9の物流等で、現像ユニット9が離間位置よりも大きく回動する場合があっても、制御部材76が制御環75dの外形部75d2に衝突することを抑制し、破損等を防止することができる。過離間時作用部32c3は、制御部材76(当接面76b)が第一位置から前記第二位置へ移動する際に、第二位置を超えて過度に移動してしまわないように移動を規制する移動規制部である。すなわち過離間時作用部32c3は、制御部材76(当接面76b)が第一位置から前記第二位置へ移動する際に、第二位置において制御部材76(当接面76b)がそれ以上移動しないようにその移動を抑える。
[制御部材76による駆動連結動作]
以下、制御部材76が第二位置から第一位置に切り替わる際の制御部材76の動作について説明する。図10(c)に示す制御部材76は第二位置であり、上述したように滑りトルクが発生している状態においては、当接面76bと被係止部75d4との当接部Tで、当接面76bは被係止部75d4から垂直抗力として図10(c)矢印P1の力を受けている。本実施例において、当接面76bの面方向は、被係止部75d4から受ける垂直抗力(矢印P1)によって制御部材76が矢印L2方向に回動するように設定されている。つまり、制御部材76は伝達解除機構75の制御環75dとの当接により、制御部材76の第二位置から第一位置に移動する方向に力を受けている。これに対して、制御部材76の第一被作用部76cが第一作用部32c1に当接することで制御部材76の回動は抑制されている。この状態において、第一作用部32c1と第一被作用部76cとの当接部Vで、第一作用部32c1は第一被作用部76cから垂直抗力として図10(c)矢印P2の力を受けている。本実施例において、第一作用部32c1と第一被作用部76cの面の方向は、第一作用部32c1が第一被作用部76cから受ける垂直抗力(矢印P2)によって現像カバー部材32を有する現像ユニット9が矢印H方向に回動するよう設定されている。さらに、当接部Tと当接部Vは、制御部材76の回動中心Yの軸線方向と垂直な面に対して略同一断面内に配置されている。そのため、制御部材76が垂直抗力(矢印P2)の反力と垂直抗力(矢印P1)を同時に受けたときの制御部材76の回動中心Yの軸線方向の傾きが抑制され、結果として、制御部材76と伝達解除機構75の当接状態を安定的に維持することができる。
そもそも現像ユニット9は加圧バネ95の付勢力によって矢印H方向のモーメントが作用する構成であるが、さらに、矢印P2方向の力によって、現像カバー部材32を有する現像ユニット9は矢印H方向(図4参照)のモーメントが加わる。ところが、図7(c)に示すように、本体離間部材80と軸受部材45の力受け部45aが当接することで現像ユニット9の矢印H方向への回動は規制されている状態である。つまり、軸受部材45の力受け部45aが本体離間部材80との当接によって外力(カートリッジ外部からの力)を受けている。この力により、現像ユニット9の矢印H方向への回動が規制され、さらには制御部材76の矢印L2方向への回動も規制された状態を維持することが可能となる。
つまり、制御部材76は伝達解除機構75の制御環75dとの当接により、矢印P1方向の力を受けている状態においても制御部材76の第二位置を安定的に維持することが可能である。
このような状態から、本体離間部材80が図7(c)中矢印F2方向へ移動すると、本体離間部材80による現像ユニット9への回動規制および、制御部材76の回動規制が解除される。
つまり、本体離間部材80によって回動を規制されていた現像ユニット9は矢印P2方向の力によって矢印H方向に回動し始める。さらに、現像ユニット9が有する現像カバー部材32の第一作用部32c1が矢印H方向に回動すると、第一作用部32c1によって回動を規制されていた制御部材76が、矢印P1方向の力によって矢印L2方向に回動する。
制御部材76が矢印L2方向に回動すると当接面76bは同様に矢印L2方向に移動する。当接面76bの移動が進み、図10(a)に示すように、当接面76bが制御環75dの回転軌跡Aの外側まで移動した制御部材76の第一位置まで到達する。これにより、制御環75dは回転が可能になり、伝達解除機構75は上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達することが可能となる。
本構成では制御部材76の矢印L2方向への回動を第一作用部32c1で規制しているため、第一作用部32c1の形状設計により、当接面76bが回転軌跡Aの外側に抜けるタイミングや回動量を任意に設定することが可能である。したがって、現像ユニット9が離間位置から当接位置へ移動する際において、どのタイミングで駆動を伝達し始めるかを任意に設定することができる。
現像ローラ6上のトナーコート状態を安定させるためには、現像ローラ6とドラム4が当接する前に現像ローラ6を一定の回数(時間)回転させるのが望ましい。このような回転ををプレ回転と呼ぶ。本実施例の構成を取ればこの現像ローラ6のプレ回転の量(回数、時間)を任意に設定できる。
以上説明したように、制御部材76や制御環75dは互いに関連して、駆動力の伝達や遮断の切り替えを制御するので、制御部材76や制御環75dを駆動伝達とその遮断を制御するための制御機構の一部とみなすこともできる。そのため制御部材76だけでなく、制御環75dも制御部材と呼ぶ場合がある。その際、制御部材76と制御環75dの一方を第1の制御部材、他方を第2の制御部材などと区別して呼んでもよい。また、リング形状(円形状、円盤形状)を有する制御環75dと区別するために、制御部材76を制御レバーなどと呼んでもよい。制御部材76は屈曲したレバー形状を有しているレバー部材である。別のいい方をすると制御部材76はU字形状(C字、V字形状)を有する。制御部材76は、2つの端部と、その両端部の間の屈曲部とを有し、屈曲部の近傍に制御部材76の回動中心(軸線)が位置する。
また、制御環75dおよび制御部材76はともに回転可能な部材であるのでそれぞれを回転部材と呼ぶこともできる。その際、互いを区別するためにこれらの一方を第1の回転部材、他方を第2の回転部材などと呼んでもよい。
また本実施例では、図10(c)で示すように、当接面76bと被係止部75d4の当接部Tを回動中心Xと回動中心Yを結ぶ線Rよりも、制御環75dの回転方向(矢印H方向)の下流側に位置するように構成している。これにより、制御部材76を回動させ当接面76bを回転軌跡Aの外側に移動する動作を安定させることができる。この動作について図11を用いて詳しく説明する。図11(a)は、図10(c)の状態において、当接面76bと被係止部75d4を示した簡略図である。図11(a)に示すように、当接部Tは回動中心Xと回動中心Yを結ぶ線Rよりも制御環75dの回転方向(矢印H方向)の下流側に位置する。回動中心Xを中心として、回動中心Yとなる支持部24c(図8参照)に対して矢印H方向の下流側に、当接部T(当接面76b)が位置する。すなわち、回動中心Xを中心として、支持部24cに対して矢印H方向に向かって0度より大きく180度よりも小さい角度の範囲に当接部Tがある。
この状態から、上述したように当接面76bは、制御環75dの回転方向(矢印H方向)と異なる方向(矢印L2方向)に回転し、当接面76bは回転軌跡Aの外側に移動する。このような当接部Tの配置と当接面76bの回転方向の場合、当接面76bの端部76b2は、回動中心Yを中心とし、当接部Tから離れる方向で、かつ、回動中心Xから離れる方向である矢印A2方向に移動する。つまり、当接面76bを被係止部75d4から離れながら、回動中心Xを中心とする回転軌跡Aの外側へと移動させることができるため、当接部Tで摩擦の発生を抑制することができる。
ここで、本構成との比較のため、当接部Tを回動中心Xと回動中心Yを結ぶ線Rよりも制御環75dの回転方向の上流側に配置し、制御面76を制御環75dの回転方向と同方向に回転させた場合を、図11(b)を用いて説明する。図11(b)に示すように、当接面176bと被係止部75d4の当接部T2を、回動中心Xと回動中心Yを結ぶ線Rよりも制御環75dの回転方向(矢印H方向)の上流側に配置する。この状態から、当接面176bを制御環75dの回転方向(矢印H方向)と同方向(矢印L1方向)に回転させ、当接面176bを回転軌跡Aの外側に移動させる。このような当接部T2の配置と当接面176bの回転方向の場合、当接面176bの端部176b2は、回動中心Yを中心とし、当接部Tへ近づく方向で、かつ、回動中心Xから離れる方向である矢印A3方向に移動する。つまり、当接面176bは被係止部75d4と擦りながら、回動中心Xを中心とする回転軌跡Aの外側へと移動するため、当接部T2で摩擦が発生してしまう。
ただし、図11(a)のような配置の方が、当接部Tでの摩擦力の発生を抑制でき、当接面76bを安定して回転軌跡Aの外側に移動させることができるためよりよいが、図11(a)のような配置に限定されものではない。図11(b)に示すような配置でも、制御部材76によって伝達解除機構75の駆動伝達を制御することができる。
制御部材76の第一位置で伝達解除機構75が上流側伝達部材74の回転を下流側伝達部材71に伝達すると、滑りトルクよりも大きなトルクが上流側伝達部材74に発生しており、現像ユニット9にはより大きな矢印H方向の回転モーメントが生じる。この矢印H方向の回転モーメントによって現像ユニット9はより確実に当接位置まで移動する。
伝達解除機構75がバネクラッチである場合、上記したように伝達解除機構75によって回転が遮断されている際に上流側伝達部材74に滑りトルクが発生する。本実施例では滑りトルクにより発生する当接部Tにおける矢印P1方向の力を現像ユニット9が矢印H方向に回動するように切り替えている。
これに対し、伝達解除機構75によって回転が遮断されている際の上流側伝達部材74に残るトルクが小さい場合には、現像ユニットの当接・離間を確実に移行させるために、補助付勢部材としての補助加圧バネ96を設定してもよい。
図1に示すように補助加圧バネ96は捩じりコイルバネであって、コイル部分96cは駆動側カートリッジカバー部材24の制御部材支持部24cに支持されている。また、補助加圧バネ96の一端側アーム部96cは駆動側カートリッジカバー部材24の係止部24dに係合している。一方、他端側のアーム部96bは現像ユニット9の姿勢(離間位置もしくは当接位置)により、係合する相手部品が切り替わる。これについて以下に説明する。図7(a)に示すような現像ユニット9がドラム4と当接している状態においては、補助加圧バネ96の他端側のアーム部96bは現像ユニット9に対しては非接触状態であり、駆動側カートリッジカバー部材24の一部24eに係合している。つまり、現像ユニット9に対して補助加圧バネ96による付勢力Qを加えないように設定している。図7(b)から図7(c)に示すように、現像ユニット9がドラム4と離間している状態において、補助加圧バネ96の他端側のアーム部96bは現像ユニット9の被付勢部32eと接触する。これによって補助加圧バネ96は、現像ユニット9に対して回動中心Xを中心にして、矢印H方向にモーメントを与える。このように、伝達解除機構75が回転を遮断している際の上流側伝達部材74に残るトルク(滑りトルク)が小さい場合においても、補助加圧バネ96を設けることにより、現像ユニット9が離間状態から当接状態に確実に移行させることが可能となる。また、補助加圧バネ96を設けた場合においても、現像ユニット9がドラム4と当接している状態では補助加圧バネ96による付勢力Qが現像ユニット9に作用しないように設定することで、現像ローラ6とドラム4との当接力を大きくしないことができる。これにより、現像ローラ6上のトナーに対して、ストレスを軽減することができる。
以上で説明した本実施例の構成は、現像ユニット9およびドラムユニット8を有したプロセスカートリッジPの形態についての説明であったが、カートリッジの形態はこの限りではない。例えば、現像ユニット9とドラムユニット8を別々にカートリッジ化した構成でもよい。この場合、現像ユニット9を現像カートリッジということがある。この場合にも制御部材76は現像ユニット9を回動可能に支持するカートリッジカバー(支持部材)により回動可能に支持されていることが望ましい。
なお、上流側伝達部材74、下流側伝達部材75だけでなく、現像ローラギア69や、伝達解除機構75の入力内輪75a、伝達バネ75c、出力部材75b、もそれぞれ駆動力(回転力)を伝達するための駆動伝達部材(伝達部材)である。そのため、上流側伝達部材74、下流側伝達部材75、現像ローラギア69、入力内輪75a、伝達バネ75c、出力部材75bを順不同で第一、第二、…第六の伝達部材などと呼ぶことも可能である。特に伝達解除機構75の入力内輪(入力部材)75aと出力部材75cに言及する場合に、これらをそれぞれ第一、第二の伝達部材と呼ぶことがある。また入力内輪(入力部材)75aと出力部材75cを連結するための伝達バネ75cを中間伝達部材などと呼ぶことがある。
また一体的に回転するように連結された複数の駆動伝達部材を1つの伝達部材にすることもできる。たとえば上流側伝達部材74と入力内輪75aを一つの伝達部材にしたり、下流側伝達部材75と出力部材75bをまとめて一つの伝達部材にすることもある。
また、これまでの説明において、ドラム4上の静電潜像を現像する際にはドラム4と現像ローラ6とが接触した状態で現像する『接触現像方式』での説明であったが、現像方式はこの限りではない。ドラム4と現像ローラ6との間に微小隙間を設けてドラム4上の静電潜像を現像する『非接触現像方式』でもよい。
非接触現像方式であっても接触現像方式であっても、現像時にドラム4に現像ローラ6を近づけつつ、非現像時にはドラム4から現像ローラ6を離す構成をとることができる(図7(a)~(c)参照)。このような構成であれば、非現像時(非画像形成時)に、現像ローラ6の表面のトナーがドラム4に転移することを避けることができる。
なお接触現像方式の場合にはさらに、非現像時に現像ローラ6がドラム4に接触しないので、現像ローラ6とドラム4とが長期に接触し続けることを避けることができる。つまり、非現像時に現像ローラ6の変形が生じること避けることができる。
またいずれの方式であっても、非現像時には現像ローラ6の回転が停止するので、この際に現像ローラ6の周囲にある現像剤(トナー)に負荷(現像ローラ6と現像剤の間に生じる摩擦による負荷など)が加わらない。したがってカートリッジに収容された現像剤の寿命を長く保つことができる。
[従来例との差異]
ここで、従来構成と本実施例の違いを以下に説明する。
特許文献1(特開2001-337511)においては、画像形成装置本体から駆動を受ける駆動ハブ31a‐1(特許文献1記載の符号、本段落において同様)、および、駆動切替を行うバネクラッチが設けられている。現像ユニットとしての第2のハウジング4aが回動して現像ローラ7aが感光ドラム1aと離間する動作と、バネクラッチの駆動を遮断するためのバネクラッチ制御手段の移動を連動させている。バネクラッチ制御手段は、回動ピン32aの周りに回動自在に取り付けられたヒンジ部30aと、このヒンジ部30aに固定された制御板34aと、連結板29aからなる。連結板29aは、ヒンジ部30aの回動ピン32aの下方の制御ピン33aの周りに回動自在に一端を連結される。また連結板29aの他端は第1のハウジング10aの側面部の固定ピン35aに連結される。しかし、回転する軸(固定ピン35a)とそれとは芯のずれた軸(制御ピン33a)を結ぶ柄(連結板29a)からなるクランク機構はリンクの数が多い。そのため、現像ユニットが回動した際の角度のばらつきにより、クランク機構がバネクラッチに作用するタイミングにばらつきが生じやすい。特にバネクラッチに直接作用する制御板34aは、ヒンジ部30aや連結板29aを介して第1のハウジング10aに連結されている。そのため制御板34aは、回動ピン32aを中心としたヒンジ部30aの回転や、制御ピン33aや固定ピン35aを中心とした連結板29aの回転などに応じて第1のハウジング10aに対して複雑な動作をする。制御板34aの位置や動作を精度よく制御するのが難しい。
また、クランク機構を構成するリンクの数が増えると各リンクの移動可能空間を確保する必要があり、クランク機構やそれが設けられたカートリッジを小型化することが難しい。
これに対して、本実施例においては、伝達解除機構75による回転伝達・遮断を制御するための制御部材76は駆動側カートリッジカバー24の支持部24cによって1軸(回動中心Y)で回転可能に支持されている。制御部材76や当接面76b(図10参照)が駆動側サイドカバー24に対して行う運動(移動)が、支持部24cを中心とした回動のみである。そのため、駆動側サイドカバー24や現像ユニット9に対して、制御部材76や当接面76bの位置や動作の精度を保ちやすい。
また、駆動側カートリッジカバー24は伝達解除機構75を支持した現像ユニット9を制御部材76と同様に回転可能に支持している。制御部材76と現像ユニット9が同じ部材により回転可能に支持されることによって、制御部材76と伝達解除機構75の位置精度が高まる。
更には、制御部材76は現像ユニット9が有する現像カバー部材32に設けられた作用部32cの形状によって回転移動が制御されているため、現像ユニット9の回動角度に対して、制御部材76と伝達解除機構75との位置関係を安定して保つことができる。具体的には、制御部材76の第一位置においては、制御部材76の第二被作用部76dが第二作用部32c2と当接するため、制御部材76の矢印L1方向への回転移動は規制されている。そのため、当接面76bは回転軌跡Aに対して隙間fを安定して維持することが可能となる。
また、制御部材76の第二位置においては、制御部材76が伝達解除機構75から矢印P1方向の力によりH方向の回転モーメントが加わる。しかしこの状態においても、制御部材76の第一被作用部76cが第一作用部32c1に当接することで制御部材76の回動は抑制されている。つまり、制御部材76は第二位置を安定的に維持することが可能である。
このように、現像ユニット9の回動角度に対して、制御部材76と伝達解除機構75との位置関係を安定して保つことができることにより、確実に駆動の伝達および遮断を切り替えることができる。これにより、現像ローラ6の回転時間の制御ばらつきを少なくすることができる。
更に、これらの伝達解除機構75の構成が、現像ユニット6がドラムユニット8に対して回動可能に支持されている回動中心Xと同一直線上に配置している。ここで、回動中心Xは、ドラムユニット8と現像ユニット9との相対位置誤差が最も少ない。そのため、回動中心Xに現像ローラ6への駆動伝達を切替える伝達解除機構75を配置することで、現像ユニット9が回動した角度に対する伝達解除機構75の切替タイミングを最も精度良く制御することができる。結果として、現像ローラ9の回転時間を高精度に制御することができ、現像ローラ9や現像剤の劣化を抑制することができる。また現像ユニット9(現像枠体)が回転移動を行っても伝達解除機構75の位置が変化しないので、現像ユニット9の回動する際に、制御部材76が伝達解除機構75を制御しやすい。
また制御部材76の回転移動量を作用部32cの形状により制御しており、作用部32cは現像ユニット9の回動中心Xを中心にとる円弧形状である過離間時制御面32c3を有する。これにより、現像ユニット9が物流等の影響で所定位置よりも大きく回動した場合、制御部材76が伝達解除機構75に対して一定以上近接しないように設定することができ、破損等を防止することができる。
また、制御部材76は伝達解除機構75の制御環75dとの当接により、制御部材76の第二位置から第一位置に移動する方向に力(矢印P1方向)を受ける。また、制御部材76と第一作用部32c1が当接し、現像ユニット9は矢印P2方向に力を受けて矢印H方向に回動する。さらに第一駆動伝達部材74の回転方向(矢印J方向)は現像ユニット9を矢印H方向に回転モーメントを発生させる方向である。このため、制御部材76は第二位置から第一位置の切り替えおよび、現像ユニット9の当接・離間を確実に行うことができ、結果として確実に駆動の伝達および遮断を切り替えることができる。
本実施例では、現像カバー部材32が作用部32cを有する場合を説明したが、その限りではなく、現像ユニットの他の部分が作用部であってもよい。
〔構成のまとめ〕
最後に上記した本実施例の構成をまとめると以下の通りである。
本実施例のカートリッジPは、図1、図3に示すように、電子写真画像形成装置1(図1参照)の装置本体(電子写真画像形成装置本体)に着脱可能である。図4に示されるようにカートリッジPは、感光体に形成される潜像を現像するよう構成された現像ローラ6を有する。
この現像ローラ6は、図5に示すように軸受部材45によって回転可能に支持されている。なお、前述したように現像枠体29と現像軸受45、現像カバー部材32等を合わせて広義の意味での現像枠体と呼ぶ。
このような現像枠体(現像枠体29と現像カバー部材32、現像軸受け45)は、ドラムユニット(感光体ユニット)の枠体によって移動可能(回転可能)に支持されている。ドラムユニットの枠体は、現像枠体を移動可能に支持する支持部材(支持枠体)であり、駆動側カートリッジカバー24、非駆動側カートリッジカバー25、クリーニング容器26によって構成される。
ドラムユニットの枠体(支持部材)と現像枠体の一方を第1枠体、他方を第2枠体などと呼ぶ場合がある。
現像枠体は、現像ローラ6を感光体4から離間させる離間位置(図7(a))と、現像ローラ6を感光体4に近接させる近接位置(図7(b))をとり得る。本実施例の画像形成装置は接触現像方式を採用しているため、現像ローラ6は、感光体に接触するまで近接する。すなわち本実施例において、近接位置は接触位置である。一方、非接触現像方式が採用される場合には、現像枠体が近接位置にある際、現像ローラ6と感光体4の間には所定の間隔が設けられる。近接位置は、現像ローラ6によって感光体4の潜像を現像可能となるような現像枠体の位置であり、現像位置(現像枠体の第1の位置、第1の現像枠体位置)と呼ぶこともできる。また現像枠体が近接位置(接触位置、現像位置)にある際の現像ローラの位置のことも同様に近接位置(接触位置、現像位置)と呼んだり、第1の位置(第1の現像ローラ位置)などと呼ぶことがある。
一方、離間位置は、現像位置から退避した退避位置であって、現像ローラ6によって感光体4の潜像の現像を行わない非現像位置(現像枠体の第2の位置、第2の現像枠体位置)でもある。現像枠体が離間位置にある際の現像ローラの位置のことも離間位置(退避位置、非現像位置)と呼んだり、現像ローラの第2の位置(第2の現像ローラ位置)などとよぶことがある。
図8に示されるように、回転力を前記現像ローラ6に向けて伝達する状態と前記伝達を遮断する状態を切り替え可能に構成されたクラッチ(伝達解除機構75)が現像枠体に設けられている。本実施例では伝達解除機構75はバネクラッチであり、伝達バネ75c(図9(a)~(c)参照)の締まりと緩みによって駆動力の伝達とその遮断を切り替える構成となっている。
クラッチの駆動伝達とその遮断を制御するための制御部材76が、支持部材(駆動側カートリッジカバー24)に設けられている(図10参照)。制御部材76は駆動側カートリッジカバー24に対して固定された1つの回転軸線(すなわち支持部24c)を中心に回転可能なレバー(回転部材)である。
なお、本実施例においては、制御部材76の回転軸線(rotational axis)が位置する支持部24cは、駆動側カートリッジカバー24と一体的に形成されていた軸部(shaft)である。しかしこのような構造に限られるわけではない。支持部材(駆動側カートリッジカバー24)に設けられた回動軸線を中心に制御部材76が回転する場合、駆動側カートリッジカバー24とは別部材である軸部が、駆動側カートリッジカバー24によって支持されている場合もある。
たとえば、制御部材76に軸部が一体的に形成されていたり、軸部が制御部材76に固定されていたりして、そのような軸部が駆動側カートリッジカバー24に形成させた穴部によって支持されている場合もある。この場合には駆動側カートリッジカバー24に設けられた穴部を、制御部材76を回転可能に支持するための支持部とみなすことができる。いずれにせよ駆動側カートリッジカバー24に軸部や穴などの支持部が固定されていれば、制御部材76も駆動側カートリッジカバー24に対して固定された回転軸線Y(図10参照)を中心に回転することになる。
制御部材76は、伝達解除機構75の制御環75dに設けられた被係止部75d4と係合可能な係止部(当接面76b)を有する。この当接面76bは、被係止部75d4の回転軌跡Aから退避して被係止部75d4との係合(接触)を避ける非係止位置をとりうる(図10(a)参照)。このときの制御部材76や、制御部材76に設けられた当接面76bの位置を第一位置(第一制御位置、退避位置、非係止位置)と呼ぶ。この第一位置に当接面76bが位置する際、被係止部75d4は、伝達解除機構75が受けた回転力によって、軸線Xを中心に回転ができる。そのため被係止部75d4と一体的に回転する伝達バネ75c(図9A~C参照)の回転も妨げられず、伝達解除機構75内で伝達バネ75cは回転力を伝達する。すなわち第一の位置とは、当接面76bが伝達解除機構75による駆動力の伝達を許容するための位置(許容位置、駆動位置、伝達位置、非係止位置)である。
一方、この制御部材76やその当接面76bは、被係止部75d4の回転軌跡Aに進入し被係止部75d4と係合(接触)することで、被係止部75d4の回転を止める位置もとり得る(図10(c)、または図10(d)参照)。この際の制御部材76や当接面76bの位置を第二位置(第二制御位置、係止位置、進入位置、係合位置)と呼ぶ。この第二の位置に当接面76bが位置する際には、被係止部75d4が設けられている制御環(回転部材)75d(図9(a)~(c)参照)の回転も停止する。さらに、制御環75dに固定されている伝達バネ75cの端部(一端側75c2)の回転も停止する。この状態では、伝達解除機構75に上流側伝達部材74から駆動力(回転力)が入力され続けても、入力内輪75a(入力部材、入力ハブ、第一伝達部材)のみが回転する。出力部材(第二伝達部材)は回転しない。
すなわち伝達解除機構75は回転力を下流側駆動伝達部材(下流側伝達部材)71に出力しなくなる。下流側駆動伝達部材71やさらにその下流の現像ローラ6の回転が停止する。制御部材76の第二位置とは、当接面76bが伝達解除機構75による駆動力の伝達を遮断し、下流側駆動伝達部材71や現像ローラ6の回転を停止させる位置(遮断位置、停止位置)である。
当接面76bが第二位置に位置する際には、伝達バネ75cは一端側75c2が、制御環75dを介して当接面75bによって係止される。このことにより伝達バネ75cは回転が止められ、さらに伝達バネ75cは入力内輪75aから緩むことになる。そうすることで伝達バネ75cは、駆動力を入力内輪75aから出力部材75b(出力ハブ)へ駆動力を伝達しなくなる。
また現像枠体(現像カバー部材32)には、制御部材76に作用するための作用部32c(図8、図10参照)が設けられている。作用部32cは現像枠体に固定された固定部である。
現像枠体が支持部材(駆動側カートリッジカバー24、非駆動側カートリッジカバー25、クリーニング容器26)に対して移動(搖動、回動)することに伴って作用部32cは制御部材76に作用する(図7、図10参照)。作用部32cが制御部材76に作用することによって、制御部材76に設けられた係止部(当接面76b)を第一の位置(図10(a))と第二の位置(図10(c))の間で回転させる。これによりクラッチ(伝達解除機構75)による駆動の伝達が切り替えられる(オンオフされる)。
係止部(当接面76b)は、支持部材(駆動側サイドカバー24)に設けられた支持部(制御部材支持部24c)を中心(回転軸線)として第一の位置(図10(a))と第二の位置(図10(c))の間を回転移動可能である。現像枠体が支持部材に対して移動する際に、現像枠体(現像カバー部材32)に対して固定された作用部32cが、制御部材76と接触することによって、当接面76bは第一の位置と第二の位置との間を回転する(図7、図9A~C参照)。具体的には、現像枠体が近接位置に移動することに伴って作用部32cの第二作用部32c2は制御部材76の第二被作用部76dに接触して力を加えることで、当接面76bを第一の位置へ移動させる(図10(a)、図7(a))。このとき伝達解除機構75の駆動力の伝達は許容される。一方、現像枠体が離間位置に移動することに伴って作用部32cの第一作用部32c1は制御部材76の第一被作用部76cに接触して力を加えることで、当接面76bを第二位置に移動させる(図10(c)、図7(c))。このとき伝達解除機構75の駆動力の伝達は遮断される。
作用部32cは、第一被作用部76cと第二被作用部76dの間のスペースに配置され、制御部材76に対して接触と離間が可能な構成である。
本実施例によれば制御部材76や係止部(当接面76b)が支持部材(駆動側サイドカバー24)に対して行う運動(移動)が、支持部24cを中心とした回転のみであるため、支持部材に対する制御部材76や当接面76bの位置精度を保ちやすい。また、制御部材76に作用する作用部32cが現像枠体(現像カバー部材32)に対して固定されているので、現像枠体が支持部材に対して移動した際、その現像枠体の移動に直接連動させて、作用部32cを制御部材76に作用させることができる。制御部材76や当接面76bの動作タイミングを制御しやすく、現像枠体と支持部材の相対位置に対応させて、制御部材76や当接面76bを精度よく移動させやすい。
なお制御部材76が第二位置(図10(c)参照)にある際に、伝達解除機構75に回転力が入力されている状態では、制御部材76の係止部(当接面76b)は、伝達解除機構75の被係止部75d4から矢印P1の力を受けている。この矢印P1の力は、当接面76bを第一位置(伝達位置)に向けて付勢する方向に作用する。そのため、現像枠体が近接位置(図7(a)参照に向かって移動する際に作用部32cの第一作用部32c1が制御部材76の第一被作用部76cが離れると、当接面76bと被係止部75d4の係合の解除が、力P1によってアシストされる。
また制御部材76が第二位置(図10(c)参照)にある際に、伝達解除機構75に回転力が入力されている状態では、作用部32cの第一作用部32c1は制御部材76の第一被作用部76cから矢印P2の力を受けている。力P2は、現像ユニット9(現像枠体)を近接位置に向かって付勢する方向に作用する。そのため、図7(c)に示すように、本体離間部材80が現像枠体(軸受部材45の力受け部45a)から離れた際には、矢印P2の力によって、現像ユニット9(現像枠体)が近接位置(図7(a)参照)に向かって移動することがアシストされる。
またカートリッジPは、現像ユニット9(現像枠体)が離間位置(図7(c))に位置する際に、現像枠体を近接位置に向けて所定の付勢力で付勢するための補助加圧バネ96を有する。この補助加圧バネ96の付勢力によって、体離間部材80が現像枠体(軸受部材45)から離れた際には、現像ユニット9(現像枠体)が近接位置に向かって移動することと、当接面76bと被係止部75d4の係合が解除されることがアシストされる。なお補助加圧バネ96は、現像ユニット9(現像枠体)が近接位置(図7(a))に到達した際には、現像ユニット9に付勢力を加えないように構成されている。
すなわち現像ユニット9は、離間位置から近接位置へ向けて移動を始めるためには、当接面76bと被係止部75d4の係合が解除するために余分な力が必要になる場合が考えられる。そこで加圧バネ95(図4)のみの力だけでなく、補助加圧バネ96の力を用いることで、当接面76bと被係止部75d4の係合を解除することをアシストしている。一方、当接面76bと被係止部75d4が解除されて、現像ユニット9が近接位置に到達した状態では、加圧バネ95のみの力で、現像ユニット9を近接位置に保持することができる。そのため、現像ユニット9に加わる付勢力が過度に大きくならないようにするため、補助加圧バネ96が現像ユニット9を付勢させないようにしている。
また、本実施例では、伝達解除機構75と、上流側伝達部材74、下流側伝達部材71も同軸上(回動軸線X上)に配置されている。伝達解除機構75に対する駆動力の入力と出力のための構造を簡易化できる(図8参照)。
なお上流側伝達部材74にはカートリッジの外部(すなわち画像形成装置本体の現像駆動出力部材62)から駆動力が入力されるカップリング部(駆動入力部74b)が設けられている。一方、下流側伝達部材71は、伝達解除機構75から伝達された回転力を現像ローラ6に向けて出力するためのギア部71g(図1参照)を有する。すなわち下流側伝達部材71は、現像ローラギア69と噛み合うギア部71gを有する。駆動入力部74bも回動軸線X上に配置されているため、現像枠体が回動しても駆動入力部74bの位置がかわらない。現像ユニット9の移動が駆動入力部74bと現像駆動出力部材62の結合(カップリング)に影響が及ぶことを抑えられる。
なおギア部71gは斜歯(ハス歯)であり、下流側伝達部材71が回転することで下流側伝達部材71には軸線方向に力(荷重W)が加わる。この力によって伝達解除機構75も上流側伝達部材74に向かって軸線方向に付勢され、軸線方向において伝達解除機構75が位置決めされる。なお伝達解除機構75は入力部材(入力内輪75a)と出力部材75bと、その両者に巻きついたコイルばね(伝達バネ75c)を有する。ギア部71gによって伝達解除機構75に加わる力(荷重W)は、出力部材75bを入力内輪75aに押し付けるように作用する。このため出力部材75bと入力内輪75aが確実に接触した状態が保たれる。これにより出力部材75bと入力内輪75aが離間してその間に伝達バネ75cの一部が挟まるなどといった事態が起きるのを抑えることができる。特に本実施例では入力部材75aにも、現像駆動出力部材62から力Uが加わり出力部材75bに押し付けられていて、出力部材75bと入力内輪75aが確実に接触した状態が保たれる。
前述したように、伝達解除機構75と、上流側駆動伝達部材74、下流側伝達部材71は同軸上に配置されこれらは図1に示す矢印J方向に回転するように構成されている。伝達解除機構75と、上流側駆動伝達部材74、下流側伝達部材71が回転力を伝達している際には、この矢印J方向に生じる回転力によって、現像ユニット9(現像枠体)に矢印H方向のモーメントが加わる。この矢印H方向のモーメントは、現像ユニット9(現像枠体)を近接位置(図7(a))に向かって移動させるように作用する。伝達解除機構75等によって伝達されている回転力は、現像ローラ6を感光体4に向かって近接させるように作用し、感光体4に対する現像ローラ6の近接をアシストしたり、感光体に対する現像ローラ6の近接状態を安定化したりできる。
なお本実施例では、現像枠体を移動可能に支持する支持部材は、感光体4を回転可能に支持する感光体支持枠体(すなわち駆動側カートリッジカバー24、非駆動側カートリッジカバー25、クリーニング容器26)であった。そして現像枠体が支持部材に対して移動することによって現像ローラ6とドラム(感光体、感光体ドラム)4の距離が変化した(図7参照)。しかしながらこのような構成に限られるわけではなく、たとえば、支持部材がドラム4を支持していない構成も考えられる。
つまりカートリッジが現像ローラ6や伝達遮断機構75を有する一方でドラム4を有していない場合もあり得る。このようなカートリッジのことをプロセスカートリッジの代わりに現像カートリッジと呼ぶことがある。また現像カートリッジ構成がとられる場合には、ドラム4は現像カートリッジとは異なるカートリッジとして装置本体2に着脱可能に構成されることが考えられる。このような場合、ドラム4を有するカートリッジの方をプロセスカートリッジと呼ぶ場合や、あるいは、ドラムカートリッジ(感光体カートリッジ)と呼ぶ場合がある。ドラム4はカートリッジ化せずに装置本体2に備え付ける場合も考えられる。
尚、本実施例において、伝達解除機構75の構成の一例として、伝達バネ75cが入力側外径部75a2と同様に出力部材75bに設けた出力部材外径部75b4を締め付ける構成について説明した。別の形態としては、出力側外径部75b4を出力部材75bとは別部材で構成しても良い。この際は、出力側外径部75b4と出力部材75bとが一体的に回転するように両者が連結されていればよい。
さらに別の形態としての一例について図12(a)~(d)を用いて説明する。図12(a)および図12(b)は別形態の伝達解除機構75を分解した状態であって、図12(a)は駆動側から見た斜視図であり、図12(b)は非駆動側から見た斜視図である。また図12(c)は別形態の伝達解除機構75の断面図である。
伝達バネ75cは入力内輪75aを同軸上で係合する内周部75c1と、制御環75dと係合する線材の一端側75c2とは他端側に伝達係合端75c6を有する。出力部材75bには伝達係合端75c6と係合する伝達被係合部75b6が設けられており、入力内輪75aから伝達バネ75cに伝達された回転が伝達係合端75c6と伝達被係合部75b6との係合により、出力部材75bに伝達される。ここで伝達係合端75c6と伝達被係合部75b6との係合部を拡大した斜視図を図12(d)に示す。伝達被係合部75b6は伝達係合端75c6の先端部75c7が位置する領域において、軸線方向に段付き形状を設けており、伝達係合端75c6の先端部75c7と非接触になる段付き部75b7を有している。
駆動力を伝達させるための構成に対する別形態について説明したが、駆動力の伝達を遮断する点においては実施例と同様である。つまり、制御環75dの回転を停止させることによって伝達バネ75cは入力内輪75aからの緩みが発生し、入力内輪75aからの駆動力を伝達バネ75cは出力部材75bに伝達しなくなる。
伝達バネ75cは線材を螺旋状に巻回されて形成され、端部を曲げて切断されることで75c2および伝達係合端75c6が作られる。線材を切断する際には、先端部75c7にはバリやカエリが発生し得る。これに対して、先端部75c7と非接触になる段付き部75b7を有することによって、バリやカエリが存在した場合にも段付き部75b7との接触を抑制することができる。これによって、制御環75dの回転を停止させた際に、伝達バネ75cが入力内輪75aに対して緩む動作の抵抗となることを防止することができる。
<実施例2>
次に、別の形態を実施例2として説明する。実施例2では、実施例1でバネクラッチとした伝達解除機構を別形態としている。そのため、実施例1と説明が重複する箇所に関しては、その説明を省略する。
[現像ユニットの構成]
図13、図14を用いて、本実施例における、現像ユニット109の構成を示す。図13は、本実施例のプロセスカートリッジを駆動側から見た分解斜視図である。図13(a)は、現像ユニット109全体を示し、図13(b)は、伝達解除機構(クラッチ)170について、拡大して示している。図14は、本実施例のプロセスカートリッジを非駆動側から見た分解斜視図である。図14(a)は、プロセスカートリッジ全体を示し、図14(b)は、伝達解除機構170について、拡大して示している。
本実施例において、第一伝達部材174、第二伝達部材171、制御環175がそれぞれ実施例1の上流側伝達部材74、下流側伝達部材71、制御環75aに対応する構成である。ただし本実施例においては、これらの構造は図13に示すように一部、実施例1と異なるので、これらの差異ついて特に詳しく説明する。
なお、詳細は後述するが、本実施例の伝達解除機構170は、第一伝達部材(第一駆動伝達部材、入力側伝達部材、クラッチ側入力部、入力部材)174、第二伝達部材(第二駆動伝達部材、出力側伝達部材、クラッチ側出力部、出力部材)171、そして、制御環175により構成される。現像ユニット109のうち、伝達解除機構170を除く構成については、実施例1と同じであるため、その説明を省略する。
[現像ユニットの駆動構成]
図13、図14を用いて現像ユニットの駆動構成について説明する。まず、概略について説明する。
図13(a)に示すように、軸受部材45と、駆動側カートリッジカバー部材24と、の間には、軸受部材45から駆動側カートリッジカバー部材24に向かって、軸受部材45、第二駆動伝達部材171、制御環175、第一伝達部材174、現像カバー部材32が設けられている。現像カバー部材32を除くこれらの部材は回転自在であり、現像カバー部材32は揺動可能である。これらの回転軸線Xは、第一伝達部材174と略同一直線状に設けられている。
ここで、伝達解除機構170として、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171に伝達する場合と遮断する場合を、制御環175によって切り替える構成について、図10、図13、図14、図15、図16を用いて詳細に説明する。図15は、第一伝達部材174、第二伝達部材171、制御環175について、回転軸線Xを通る面で切断した断面図である。図16は、第一伝達部材174、第二伝達部材171、制御環175について、第二伝達部材171の駆動中継部171aの位置を通り回転軸線Xに直交する面を切断面とし、駆動側から見た断面図である。制御環175は、斜線のハッチングで示している。また、図16(a)は、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171に伝達している状態を示している。図16(b)、図16(c)は、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171へ伝達するのを遮断した状態を示している。図16(b)は、遮断した瞬間の状態を示している。図16(d)は、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171に伝達しているときの力の状態を示している。図16(e)は、第一伝達部材174と第二伝達部材171との回転伝達を遮断する、遮断動作中の力を示している。図16(f)は、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171への伝達の遮断中の力の状態を示している。図16(g)は、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171へ遮断状態から伝達に動作する際の力の状態を示している。
前述したとおり、本実施例における伝達解除機構170は、一例として、第一駆動伝達部材174と、第二伝達部材171と、制御環175とで構成される。
第一伝達部材174は、図13(b)、図14(b)に示されるように、略円筒形状であり、駆動入力部174bと、制御環支持部174cと、外径部174dと、係合面(係合部、駆動伝達部)174eと、を有する。また、係合面174eは、制御環支持部174cから半径方向内側への凹形状として設けられている。
第二伝達部材171は、図13(b)、図14(b)に示されるように、略円筒形状であり、第一伝達部支持部171fと、内径部171hと、駆動中継部171aと、を有する。駆動中継部171aは、被係合面(駆動力受け部、係合部)171a1と、支持部171a2と、被当接面としての被駆動遮断面171a3と、腕部171a4と、を有する。
被係合面171a1は、係合面174eと係合する部分である。そのため係合面174eと被係合面171a1の一方を第1の係合部、他方を第2の係合部などとよぶことがある。駆動中継部171aは、図16に示すように、一端を支持部(固定端、接続部)171a2として内径部171hに固定され(接続され、支持され)、もう一端を自由端としている。駆動中継部171aの自由端の近傍に被駆動遮断面(被付勢部、付勢力受け部、被保持部)171a3や被係合面171a1が設けられている。被駆動遮断面171a3と被係合面171a1とは回転方向において反対側に面している。被係合面171a1は回転方向Jの上流側に面しており、非駆動遮断面171a3は回転方向Jの下流側に面している。
被係合面171a1は駆動中継部171aに設けられた凸形状(凸部、突起部)の一部であり、駆動中継部171aに外力の加わらない自然状態において、この凸形状は半径方向内側へ突出している。駆動中継部171aに外力の加わらない自然状態において被係合面171a1は、前述した係合面174eを回転軸線Xで回転させた際の回転軌跡よりも半径方向内側に位置している。
また、駆動中継部171aは、支持部171a2から被駆動遮断面171a3に向かって、回転方向J下流側に延びた形状で構成される。別の言い方をすると駆動中継部171aは自身の自由端に向かって回転方向Jの下流側に延びている。なお回転方向Jとは、画像形成時における第二伝達部材171の回転方向である。つまり現像ローラ6を図4に示す矢印E方向に回転させるための第二伝達部材171の回転方向である。
図16(d)に示すように、被係合面171a1は、半径方向内側に向かうにつれ回転方向J上流側に向かって角度α1の角度をなすような突出する斜面に設定している。被駆動遮断面171a3は、半径方向外側に向うにつれ回転方向J下流側に向かって角度α2の角度をなすような突出する斜面に設定している。なお、角度α1と角度α2の関係は角度α1<角度α2となっている。駆動中継部171aは、片持ち梁として構成される。つまり駆動中継部171aは固定端(支持部171a2)から延びる腕部(アーム部)171a4が弾性変形することで、被係合面171a1および被駆動遮断面171a3が半径方向に移動可能なである。
制御環175は、図13(b)、図14(b)で示されるように、内径部175aと、被係止面175bと、当接面としての駆動遮断面(付勢部、保持部)175cと、を有する。被係止面175bは、実施例1と同様な形状として設けられている。また、駆動遮断部175cは、回転軸線Xより放射状に複数箇所設けられている。
図15に示すように、第二伝達部材171は、支持部171fで第一伝達部材174の外径部174dを回転軸線X上で互いに回転可能に支持する。そして、第一伝達部材174は、制御環支持部174cで制御環175の内径部175aを回転軸線X上で回転可能に支持する。また、図16に示すように、制御環175の駆動遮断面175cは、駆動中継部171aの被駆動遮断面171a3の回転方向J下流側で隣接するように配置される。
次に、第一伝達部材174から第二伝達部材171への回転の伝達と遮断の切り替えについて、詳細に説明する。本実施例においても、実施例1と同様に制御部材76の位置により、伝達解除機構170を制御する。つまり、制御部材76および制御部材76の係止部76bは伝達解除機構170に対して第一位置(第一の制御位置、非係止位置:図10(a)参照)と第二位置(第二の制御位置、係止位置:図10(b)参照)を移動可能な構成である。
制御部材76が第一位置にある場合、伝達解除機構170は第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171に伝達する。制御部材76が第二位置にある場合、伝達解除機構170は第一伝達部材174の回転を遮断し第二伝達部材171に回転を伝達しない。
なお、第一伝達部材174から第二伝達部材171に回転を伝達している状態を、駆動伝達状態とし、第一伝達部材174から第二伝達部材171への回転伝達を遮断している状態を、駆動遮断状態とする。また、駆動伝達状態から駆動遮断状態に推移するための動作を、駆動遮断動作とし、駆動遮断状態から駆動伝達状態へ推移する動作を、駆動伝達動作とする。これらの状態、および、動作について順に追って説明する。
まず、駆動伝達状態について、説明する。駆動伝達状態では制御部材76が第一位置であり、制御部材76は制御環175と接触しない。これは図10(a)に示す状態に相当する(実施例1の制御環75dが本実施例の制御環175に相当する)。
図16(a)は駆動伝達状態における状態を示している。駆動中継部171aの被係合面171a1は、第一伝達部材174の係合面174eに係合している。つまり、被係合面171a1は、係合面174eの回転軸線Xを中心とした回転軌跡内にある。この状態にある際の被係合面171a1の位置を被係合面の第一の位置(係合位置、第1の力受け部位置、第1の受け部位置、内側位置)と呼ぶ。
そして、第一伝達部材174が回転した状態において、被係合面171a1は係合面174eによって回転方向Jへ回転力が伝達される。つまり、被係合面171a1は、係合面174eから駆動力(回転力)を受けるための駆動力受け部である。また係合面174eは駆動力を付与するための駆動力付与部(駆動力伝達部)である。また係合面174eと被係合面171a1は互いに係合する係合部である。これらの一方を第1の係合部、他方を第2の係合部と呼ぶこともできる。
係合面174eと被係合面171a1が係合したときの力の伝達状態について、図16(d)を用いて説明する。駆動中継部171aの被係合面171a1は、係合面174eから反力(駆動力、回転力)f1を受けている。そして、反力f1の接線方向成分である接線力f1tによって、駆動中継部171aが回転方向Jに回転する。これにより、第二伝達部材171は回転方向Jへ回転する。また、被係合面171a1は、前述した通り、角度α1をもった斜面形状になっている。そのため、反力f1に半径方向内側への引き込み力f1rが発生する。この引き込み力f1rによって、駆動中継部171aは、半径方向内側に移動するため、被係合面171a1と係合面174eとの係合状態が安定する。その結果として、第一伝達部材174からの駆動伝達が安定する。なお、制御環175は制御部材76から係止されない状態においては実施例1と同様に、第一伝達部材174および第二伝達部材171と一体的に回転している。つまり制御環175の駆動遮断面175cが第二伝達部材171の被駆動遮断面と接触して駆動力を受けるので、制御環175は、第一伝達部材174および第二伝達部材171と同軸状で回転する(図16(a)参照)。このとき制御環175は第二伝達部材171に対して第一の位置(第一の回転位置)にあると呼ぶ。
次に、駆動伝達状態から駆動遮断状態に推移するための駆動遮断動作について実施例1の図10(c)、(d)を用いて説明する。図10(c)、(d)において図示される制御環75dが本実施例の制御環175に相当する。駆動遮断動作を開始するにあたり、図10(c)(d)に示されるように、制御部材76の係止部76bは、制御環175の被係止面175b(図における被係止面75d4に相当)を係止する。つまり制御部材76は、制御環175の回転を停止させることが可能な第二位置に移動する。なお、このときの制御部材76と制御環175の動作については、実施例1の制御部材76と制御環75dの動作と同様なため、詳細な説明を省略する。
次に、制御環175の回転が規制され回転が停止される際の動作について、図16(a)(b)(e)を用いて説明する。
図16(a)の状態において、第二伝達部材171は、第一伝達部材174から回転力が伝達され回転している。一方、図16(b)では、制御環175の回転が規制され停止しているため、駆動中継部171aは、制御環175に対して回転方向Jへ相対的に回転する。これにより、駆動中継部171aの被駆動遮断面(付勢力受部)171a3が、止まっている制御環175の駆動遮断面(付勢力付与部、付勢部、保持部)175cに向かっていく。被駆動遮断面171a3は駆動遮断面175cから一定の反力(付勢力)f2を受け、この反力f2によって駆動遮断動作を行う。つまり、被係合面171a1が径方向外向きに移動することによって、係合面174eから離脱し、係合面174eとの係合を解除する。この時の被係合面171a1の位置を、被係合面の第2の位置(非係合位置、外側位置、第2の受け部位置)と呼ぶ。またこのとき、第二伝達部材171に対する制御環の位置を、制御環175の第2の位置(第2の回転位置、第2の回転部材位置)と呼ぶ。
以下、このときの駆動中継部171aの力の状態について、図16(e)を用いて説明する。
被係合面171a1には、駆動伝達状態の時と同様に、係合面174eから反力(駆動力)f1を受け、接線力f1tと引き込み力f1rが発生する。そして、駆動中継部171aは、接線力f1tによって回転方向Jに回転しようとする。しかし、制御環175が制御部材76から係止されている状態において、制御環175の回転は停止しているため、第二伝達部材171が制御環175に対して相対的に回転する。その結果、被駆動遮断面171a3が駆動遮断面175cと接触し、駆動中継部171aは、被駆動遮断面171a3で駆動遮断面175cからの反力f2を受ける。
前述した通り、被駆動遮断面171a3は、角度α2を持った斜面形状であるため、半径方向外側に向かう引き抜き力f2rが発生する。つまり被駆動遮断面171a3は、駆動遮断面175cから径方向外側に向いた成分(引き抜き力f2r)を持つ反力(付勢力)f2を受けることになる。そして、角度α1<角度α2の関係であるため、半径方向内側への引き込み力f1rよりも半径方向外側への分力f2rの方が大きい。
従って、駆動中継部171aは、被駆動遮断面171a3と駆動遮断面175cとの間で、被駆動遮断面171a3に沿って回転方向J下流側への滑りが発生する。この滑りによって、被駆動遮断面171a3は、制御環175に対して回転方向Jへδt1だけ相対的に回転する。その結果、駆動中継部171aは、半径方向外側へδr1だけ弾性変形する。このすべり動作が継続することで、被係合面171a1は、係合面174eの回転軸線Xを中心とした回転軌跡上から退避し、図16(b)で示すように係合が解除された状態となる。すなわち、制御部材76が第二位置にある場合、制御部材76が制御環175を停止させることにより、駆動中継部171aを半径方向外側の第2の位置に移動させ、被係合面171a1と係合面174eとの係合状態を解除する。
その結果、伝達解除機構170は第一伝達部材174の回転を遮断し、第二伝達部材171に回転を伝達させない駆動遮断状態へと切り替わる。
次に、駆動遮断状態について説明する。前述した通り、駆動遮断状態では、被係合面171a1が係合面174eの回転軸線Xを中心とした回転軌跡上から退避し、被係合面171a1と係合面174eとの係合が解除された状態を維持している。このときの駆動中継部171aの力の状態について、図16(f)を用いて説明する。駆動遮断状態では、被係合面171a1は駆動遮断面175cとの接触により、半径方向外側の第二の位置(第二の回転位置)に移動して、その状態に保持されている状態である。そのため、駆動遮断状態では、図16(f)に示すように、駆動中継部171aが半径方向外側に移動したことによる弾性変形の状態から元の位置に回復しようとする復元力(弾性力、弾性復元力)f3が発生する。駆動中継部171aは、支持部171a2を内径部171hに固定されているため、復元力(弾性力)f3の半径方向成分f3rによって、被駆動遮断面171a3が半径方向内側へ移動しようとする。しかし、制御環175の回転が規制され停止しているため、駆動中継部171aは、駆動遮断面175cからの反力f4を被駆動遮断面171a3で受け、位置が規制される。このつり合い状態によって、駆動遮断状態を維持することが可能になる。
最後に、駆動遮断状態から駆動伝達状態へ推移する駆動伝達動作について説明する。駆動伝達動作の開始にあたり、制御部材76は、図10(a)で示されるような、制御環175の回転を許容する第一位置に移動する。なお、このときの制御部材76の動作については、実施例1と同様なため、説明を省略する。次に、制御環175の回転の規制が解除された際の動作について、説明する。駆動中継部171aは、前述したような復元力f3が発生している。この復元力f3によって、被係合面171a1を第一伝達部材174の係合面174eの回転軸線Xを中心とした回転軌跡内に移動させ、駆動伝達状態となる。以下、詳細に説明する。図16(g)に示すように、被駆動遮断面171a3は、復元力f3の半径方向成分f3rによって、半径方向内側に移動しようとする。そのため、被駆動遮断面171a3は、駆動遮断面175cへ荷重f5を加える。ここで、制御環175は、回転方向Jへの回転を規制されていないため、荷重f5の接線方向分力f5tによって、駆動中継部171aに対して回転方向Jへ相対的に回転する。制御環175が駆動中継部171aに対して回転方向Jへ相対的に回転するため、係合面171a1はさらに半径方向内側へ復元する。この復元力f3による移動によって被係合面171a1が係合面174eの回転軸線Xを中心とした回転軌跡よりも半径方向内側へと移動すると、被係合面171a1は係合面174eと係合し、駆動伝達状態となる。
以上説明した通り、制御環175の回転を許容する状態と、回転を規制し停止させる状態を切り替えることによって、第一伝達部材174の回転を第二伝達部材171に伝達する場合と遮断する場合を切り替えることが可能となる。
本実施例では被係合面(駆動力受け部、係合部)171a1が径方向に進退移動することで、係合面(駆動伝達部、係合部)174eとの係合とその解除を切り替えている。つまり被係合面171a1が係合面174eに向けて径方向内側に進出移動することで、係合および駆動力の伝達が行われる。また被係合面171a1が係合面174eから径方向外側に退避移動することで係合の解除および駆動力伝達の遮断が行われる。第二伝達部材171に対して制御環175が相対的に移動(回転)することで、被係合面171a1が上記のように移動する。
なお、被係合面171a1が径方向に移動するとは、被係合面171a1の移動方向を示すベクトルに少なくとも径方向の成分が含まれるという意味であって、径方向以外の成分があってもよい。つまり被係合面171a1が径方向に移動すると同時に、それ以外の方向(たとえば回転方向)にも移動することもある。つまり被係合面171a1が移動することで回転軸線(回転中心)からの距離が変われば、それは径方向の移動とみなせる。
上述したように図16(a)のように、被係合面171a1が、係合面174eと係合して駆動力(回転力)を受けうる位置を、被係合面171a1の第1の位置(第1駆動力受け部位置、第1受け部位置、内側位置、係合位置、伝達位置)と呼ぶ。またこの際に、被係合面171a1に対する制御環175の相対位置(第二伝達部材171に対する制御環175の相対位置)を、制御環175の第1の位置(第1制御環位置、第1回転部材位置、第1回転位置、非付勢位置、伝達位置)と呼ぶ。制御環175は、第1の位置にある際には、被係合面171a1を第1の位置に位置させて、被係合面171a1を係合面174eと係合した状態にさせる。このとき制御環175は被係合面171a1に特に作用しない。この時には、被係合面171a1は腕部171a4によって、第1の位置において支持されている。
一方、図16(b)、(c)に示すように、被係合面171a1が、係合面174eとの係合を解除して駆動力(回転力)を受けない位置(あるいは駆動力の受け取りを制限される位置)を、被係合面171a1の第2の位置(第2駆動力受け部位置、第2受け部位置、非係合位置、外側位置、非伝達位置)と呼ぶ。またこれらの際に、被係合面171a1に対する制御環175の相対位置(第二伝達部材171に対する制御環175の相対位置)を、制御環175の第2の位置(第2制御環位置、第2回転部材位置、第2回転位置、付勢位置、非伝達位置)と呼ぶ。制御環175は、第2の位置にある際には、被係合面171a1を第2の位置に位置させて、被係合面171a1を係合面174eから離脱(退避)させる。つまり制御環175は、被係合面171a1に付勢力を加えることで、腕部171a4の弾性力に抗して、被係合面171a1を径方向外側に移動させる。つまり腕部171a4が弾性変形することで被係合面171a1が径方向外側に移動する。
被係合面171a1は第1の位置(図16(a))から第2の位置(図16(b)、(c))に移動することで、回転軸線Xから遠ざかる。つまり被係合面171a1の第2の位置は、被係合面171a1の第1の位置よりも回転軸線Xから遠い位置である。
[本実施例の構成と作用]
本実施例において、伝達解除機構の別形態について説明した。伝達解除機構170による回転伝達・遮断を制御するための制御部材76の構成は実施例1と同様であり、同様の効果を得ることができる。つまり、現像ユニット9の回動角度に対して、制御部材76と伝達解除機構75との位置関係を安定して保つことができることにより、確実に駆動の伝達および遮断を切り替えることができる。これにより、現像ローラ6の回転時間の制御ばらつきを少なくすることができる。
また引用文献1や実施例1ではバネクラッチを採用していた。バネクラッチは駆動伝達が遮断する際にも負荷を発生する。たとえば実施例1で開示したバネクラッチである伝達解除機構75は、回転の伝達が遮断されている際には、入力内輪75aと伝達バネ75cが摺擦することにより、第一伝達部材74に滑りトルクが発生する。
これに対して、本実施例で説明した伝達解除機構170によって回転が遮断されている際には、駆動中継部171aを半径方向外側に退避移動させ、被係合面171a1と係合面174eとの係合状態を解除する。そのため、駆動遮断時における第一伝達部材174の滑りトルクを低減させることが可能である。
その一方、実施例1においては、伝達バネ75cが回転軸に対して直交する半径方向に締まった状態と緩んだ状態を切り替えることによって、入力内輪75aとの駆動伝達・遮断を切り替えている。この伝達バネ75cの締まりと緩みによる伝達バネ75cの変形量は、本実施例における被係合面(駆動力受け部)が径方向に進退移動にする移動量と比較すると小さい。実施例1のクラッチは応答性が高いという長所がある。
また、径方向に駆動中継部171aや被係合面171a1を移動させて、駆動の伝達と遮断を切り替えている。つまり回転軸線Xと被係合面171a1との距離を変えるように被係合面171a1が動くことによって、上記切り替えを行っている。これによって、回転軸線方向に対して駆動遮断機構の小型化が可能となる。つまり、駆動の伝達と遮断を切り替える際に被係合面171a1等を軸線方向に動かす必要がない。仮に被係合面171a1等が径方向だけでなく軸線方向にも動くとしても、軸線方向の移動距離は小さくできる。そのため駆動遮断機構の軸線方向の幅を大きくとる必要がない。
[別形態(変形例)]
本実施例では、伝達解除機構170では、第一伝達部材174が、カートリッジの外部から駆動力を受けるためのカップリング部174aを有していた。また第二伝達部材171が、現像ローラギア69に噛み合うためのギア部171gを有していた。しかしこのような構成に限定されるわけではない
図17に本実施例の変形例として伝達解除機構185を示す。伝達解除機構185は、上流側伝達部材(カップリング部材)184と、第一伝達部材183と、制御環182と、第二伝達部材181と、下流側伝達部材(伝達ギア)180とを有している。つまり、第一伝達部材174が、上流側伝達部材184と第一伝達部材183の2つの部材に分かれている。また第二伝達部材174が、下流側伝達部材180と第二伝達部材180の2つの部材に分かれている。この場合、第二伝達部材181は、その凸部181bを下流側伝達部材180の溝部(凹部)180aに係合させており、第二伝達部材181と下流側伝達部材180とは一体的に回転できるようになっている。なお、第二伝達部材181が溝(凹部)を有し、下流側伝達部材180が凸部を有していてもよい。
また、第一伝達部材183は、その溝部183aを上流側伝達部材184の凸部184cに係合させ、第一伝達部材183と上流側伝達部材184と一体的に回転できるようにする。なお、第一伝達部材183が凸部を有し、下流側伝達部材184が溝(凹部)でもよい。
上流側伝達部材184と第一伝達部材183とは一体的に回転するよう互いに連結しているので、本変形例のような構成において上流側伝達部材184を第一伝達部材183の一部とみなしてもよい。この場合には、上流側伝達部材184は第一伝達部材183とともに伝達解除機構(クラッチ)185の入力部材(入力側伝達部材、クラッチ入力部)を構成する。
同様に下流側伝達部材180と第二伝達部材181とは一体的に回転するように互いに連結しているので、下流側伝達部材180を第二伝達部材181の一部と見なしてもよい。この場合、下流側伝達部材180は第二伝達部材181と共に伝達解除機構185の出力部材(クラッチ側出力部、出力側伝達部材)を構成する。
また本実施例では、凸形状である駆動中継部171aの被係合面171a1が、凹形状である第一駆動伝達部材174の係合面174eと係合する構成とした。つまり一方が凸部で他方が凹部の係合であった。ただし両者の係合の構造はこれに限定されない。例えば、図18(b)に示すように、駆動中継部1711aの被係合面1711a1が凹形状で、第一駆動伝達部材1741の係合面1741eが凸形状でもよいし、図18(a)に示すように、双方とも凸形状になっていてもよい。つまり、回転方向に対して、それぞれが係合できる構成であればよい。
なお、図18(b)に示される第二駆動伝達部材1711が有する各部分1711g、1711a2、1711aは、それぞれ第二駆動伝達部材1711の部分171g、171a2、171aに対応した構成であり詳細な説明は省略する。
本実施例では、駆動中継部171aの被係合面171a1は、第一伝達部材174の係合面174eに対して半径方向内側へ係合する構成としたが、これに限定されない。例えば、図18(c)に示すように、駆動中継部1712aの被係合面(駆動力受け部)1712a1は、第一伝達部材1742の係合面1742eに対して半径方向外側へ係合してもよい。この場合、第二伝達部材1712に円筒外径部1712iを設け、駆動中継部1712aの支持部1712a2を外周部(円筒外径部)1712iに固定することになる。
被係合面(駆動力受け部)1712a1は径方向外側の第1の位置に進出移動することで第一伝達部材に係合し、径方向内側の第2の位置に退避移動することで第一伝達部材1742から離脱する。つまり本変形例では、これまで説明した構造とは異なり、第1の位置(係合位置)は、第2の位置(非係合位置)よりも軸線から遠い位置である。
本実施例では、図面上では駆動中継部171aや被係合面(駆動力受け部)の数を3つとしているが、これに限定されない。駆動中継部171aや被係合面の数は複数ではなく単数(1つ)でもよい。あるいは3以外の複数でもよい(つまり、2つでもよいし、4つ以上でもよい)。スペースに応じて適宜選択できる。
本実施例では、図面上では、第一伝達部材174の係合面174eの数は3つと駆動中継部171aの数と同数としているが、これに限定されない。例えば、第一伝達部材174の係合面174eの数が3つの場合、第一伝達部材174の係合面174eの数は、3つ、6つ、9つ・・・と、整数倍であれば好ましく、スペースに応じて適宜選択できる。
本実施例では、駆動中継部171aは、その一端171a2が固定された片持ち梁の構成で、腕部171a4が弾性変形する構成であったが、これに限定されない。
例えば、図19に示されるように、第二伝達部材1713が径方向移動を行うスライド部材(駆動力受け部材、駆動中継部)1713aとそのスライド移動をガイドするためのガイド部を有していてもよい。
スライド部材1713aは被係合面1713a1を有しており、スライド部材1713aは弾性変形可能なコイルばね(支持部、弾性部)1713a4によって付勢および支持されている。コイルばね1713a4は、被係合面1713a1が径方向の内側の第1の位置にあるようにスライド部材1713aを支持するが、径方向に縮むことができる。この場合、制御環175が第二駆動伝達部材1713に対して相対回転することによって、懲りるバネ1713a1が半径方向に伸び縮みし、被係合面1713a1が半径方向に移動可能とる。そして、被係合面1713a1と第一駆動伝達部材174の係合面174eとは、互いに係合可能な駆動伝達状態(図19(a))、および、互いの係合が解除された駆動遮断状態(図19(b))に切り替えることができる。つまり被係合面1713a1は、径方向の外側に向かって退避した第2の位置(図19(b))に移動することができる。
また、図20に示すような駆動中継部1714aは、両端を支持部(固定部)1714a2として固定され、半径方向内側に突出した弓なり形状であってもよい。この場合、制御環の相対回転によって、駆動中継部1714aが半径方向外側に向かって突出するように変形して、被係合面1714a1が半径方向に移動可能となる。そして、被係合面1714a1と第一伝達部材1744の係合面1744eは、互いに係合可能な駆動伝達状態(図20(a))、および、互いの係合が解除された駆動遮断状態(図20(b))と変化する。このように、制御環175の相対回転によって、駆動中継部171aの被係合面171a1が半径方向に移動する構成であればよい。
また、駆動中継部171aには、弾性変形を維持するためにバネ性の金属であってもよいし、腕部171a4にバネ性の金属がインサート成形されたものでもよい。バネ性を維持可能であれば、樹脂材料を用いてもよい。
また、制御環175の回転を規制する手段である制御部材76は、実施例1と同一形態を一例として説明したが、これに限らない。例えば、制御部材76はソレノイドによって制御可能な構成としてもよいし、特許文献1で示すようなリンク機構のような構成としてもよい。また、制御部材76は、現像カートリッジ109にではなく、画像形成装置1に設けていてもよい。
<実施例3>
実施例2は、駆動遮断機構やそれに関係する部分を構成する部品に変形や、部品間の遊び(緩み、隙間)等が小さい場合に特に有効な構成である。一方で、各部品に上記変形等が大きい場合には、後述する課題が発生する可能性がある。本実施例はそのような場合に、好適な構成である。
まず上記変形や遊び等が大きい状態の課題を図21を用いて説明する。制御環175に変形が大きい場合についてと、第二伝達部材171に回転方向の遊び(緩み)が大きい場合についてと、2つの状態についてそれぞれ説明する。
まず、制御環175に変形が発生する場合の課題について、図21を用いて説明する。図21(a)は、駆動遮断状態での第二伝達部材171と制御環175の力の状態を示している。また、図21(b)は、制御環175の変形を示した図である。駆動遮断状態において、制御環175の駆動遮断面175cは、駆動中継部171aの弾性変形からの復元力f3による荷重f5を受けている(図16(f)参照)。この時、制御環175は剛性が不足すると、荷重f5の接線力f5tによって回転方向J方向への変形が発生する。これについて図21(b)を用いて説明する。図21(b)において、制御環175は変形前の形状を実線で示し、変形後の形状を2点鎖線で示している。駆動遮断状態での制御環175は、被係止面175bを規制されているため、回転方向Jへの回転が規制されている。このとき、駆動遮断面175cには接線力f5tが発生しているため、制御環175に被係止面175bを支点とした回転方向Jへのねじれが発生する。このねじれ変形によって、制御環175の駆動遮断面175cは駆動中継部171aに対して回転方向Jへ相対回転する。これにより、制御環175が変形した量だけ駆動中継部171aは半径方向内側に移動することになる。その結果、被係合面171a1の一部は、係合面174eの回転軌跡上に移動し係合することになる。つまり、実施例2で説明したような、駆動伝達動作が発生する。しかし、制御環175は回転を規制され停止しているため、駆動遮断動作が開始し、再び駆動遮断状態となる。その後も、同様な理由で、駆動伝達動作と駆動遮断動作とを繰り返す状況になる。このような状況になると、回転力の伝達が不安定になる場合がある。
次に、駆動中継部171aや被係合面171a1を有する第二伝達部材171に回転方向Jへの遊びが大きい場合の課題について、図21(a)を用いて説明する。遊びが発生する例として、第二伝達部材171と噛み合う現像ローラギア69(図13(a)参照)とのバックラッシが挙げられる。
実施例2で説明した通り、駆動遮断動作においては、駆動中継部171aに反力(付勢力)f4が発生している(図16(f)参照)。この反力f4の接線方向分力f4tによって、駆動中継部171aに回転方向Jとは逆方向に回転させようとする逆回転力T4が働く。このとき、第二伝達部材171が大きな遊びを有していると、逆回転力T4によって、駆動中継部171aは回転方向Jとは逆方向への回転が発生する(以下、逆回転と記す)。そして、第二伝達部材171の逆回転により、制御環175は、駆動中継部171aに対して回転方向Jへ相対回転する。この後発生する現象については、制御環175に変形が発生した場合と同様なため、説明は省略する。
なお、第二伝達部材171と現像ローラギア69(図21(a)不図示)との間の遊び(バックラッシ)が小さい場合であっても、第二伝達部材171に逆回転が発生する場合がある。第二伝達部材171に連結されている駆動伝達経路の下流側にあるギア列の回転負荷(トルク)が小さい場合には、第二伝達部材171は逆回転力T4によって下流側のギア列とともに逆回転する。これにより、制御環175は、駆動中継部171aに対して回転方向Jへ相対回転し、同様な現象が発生する。
実施例3は、このような課題を発生した場合に解決する手段であり、実施例2を発展させた構成である。以下、詳細に説明するが、実施例2と内容が重複する箇所については、その説明を省略する。
[現像ユニットの駆動構成]
駆動連結機構の部品構成については、実施例2と同じため、その説明を省略する。
本実施例では、伝達解除機構270の一部と制御部材176が実施例1および2と異なる。また、本実施例における伝達解除機構270は、第一伝達部材274と、制御環275と、第二伝達部材271と、で構成されている。
次に、第一伝達部材274の回転を第二伝達部材271に伝達遮断する動作、および、制御環275の第二伝達部材271に対する回転方向Jへの相対回転を規制する動作について、図22、図23を用いて説明する。図22は、本実施例に関する伝達解除機構の分解斜視図で、駆動側方向から見た図である。
図23(a)~(d)は、第一伝達部材274、第二伝達部材271、制御環275、制御部材176を示している。(a)~(d)のそれぞれにおいて、カートリッジの駆動側を見た図と、第二伝達部材271の駆動中継部271aの位置を通り回転軸線Xに直交する面を切断面とした断面図とを示している。これは駆動側から見た断面である。
図22、図23に示されるように、伝達解除機構270は、第一伝達部材274と、第二伝達部材271、制御環275によって構成される。
第一伝達部材274は、駆動入力部274bと、制御環支持部274cと、外径部274dと、係合面274eと、を有する。
第二伝達部材271は、図22、図23に示すように、第一伝達部支持部(付図示)と、内径部271hと、駆動中継部271aと、規制リブ271kを有する。駆動中継部271aは、被係合面271a1と、支持部271a2と、被駆動遮断部271a3と、腕部271a4と、を有する。なお、駆動中継部271aの構成は実施例2と同様なため、説明を省略する。規制リブ271kは、回転方向J上流側に被係止面271k1を有し、被規制部271k1に対向する対向面271k2を有する。
制御環275は、図22に示すように、内径部275aと、被係止面275bと、駆動遮断部275cと、ガイド部(覆い部、カバー部、保護部)275dと、を有する。ガイド部275dは、被係止面275bの略同一半径上で回転方向J上流側に向かって延びたリブであり、回転方向J下流側の係止面275bを設けている。また、ガイド部275bは、半径方向内側には一定の空間275eが設けられている。また、ガイド部275bの自由端である先端部275fは、半径方向に対して弾性変形可能である。
また、制御環275の回転を制御する制御部材176については、図23に示すように、係止部176bの対向部に規制部176gを有している。他の制御部材176の構成については、実施例1、実施例2と同じであるため、説明を省略する。
第一伝達部材274と、第二伝達部材271と、制御環275の支持構成については、第二実施例と同じであるため、その説明を省略する。第二伝達部材271の規制リブ271kと、制御環275の被係止面275bとガイド部275dと、制御部材176の係止部176bと規制部176gは、略同一断面上に配置される。図23(a)に示すように、規制リブ271kは、ガイド部275dの半径方向内側に配置される。また、被規制部271k1は、被係止面275bの回転方向J下流側で隣接して配置される。そして、対向面271k2は、半径方向外側をガイド部275dで覆われている。なお、第一伝達部材274の係合面274eと、制御環275の駆動遮断面275cと、第二伝達部材271の駆動中継部271aの配置は、実施例2と同じであるため、説明を省略する。
次に、本実施例における、第一伝達部材274から第二伝達部材271への回転の伝達と遮断の切り替えについて、図23を用いて詳細に説明する。本実施例では、駆動伝達状態、駆動遮断動作、駆動遮断状態、相対回転規制動作、相対回転規制状態、駆動伝達動作が行われる。相対回転規制動作とは、駆動遮断状態中に遊びや変形によって、制御環275が駆動中継部271aに対して回転方向Jへの相対回転を規制するための動作である。また、相対回転規制状態とは、駆動遮断状態中に、制御環275が駆動中継部271aに対して回転方向Jへの相対回転が規制された状態である。なお、その他の動作および状態については、実施例2と同じである。また、図23(a)は、駆動伝達状態を示している。図23(b)は、駆動遮断動作が開始する瞬間を示している。図23(c)は、駆動遮断動作が完了して駆動遮断状態になり、相対回転規制動作が開始する瞬間を示している。図23(d)は、相対回転規制動作が完了し、相対回転規制状態を示している。
駆動伝達状態、および、駆動遮断動作については、実施例2と同じであるため、その説明を省略する。
次に、相対回転規制動作について、図23(c)を用いて説明する。相対回転規制動作は、駆動遮断状態後、制御環275の逆回転動作と、第二伝達部材271の逆回転規制動作との二つの動作が行われる。制御環275の逆回転動作は、制御環275を回転方向Jと逆方向に回転させ駆動中継部271aをさらに半径方向外側へ移動させる動作である。第二伝達部材271の逆回転規制動作は、前述した第二伝達部材271の遊び等で発生する逆回転を防止する動作である。以下詳細に説明する。
まず、制御環275の逆回転動作について説明する。図23(c)で示される駆動遮断状態から制御部材176をさらにL1方向へ回動動作させる。これにより、制御部材176の係止部176bは制御環275の被係止面(被係止部)275bに力を与える。この力により、制御環275は、第二伝達部材271に対して逆回転方向―Jへ相対回転(逆回転)する。このときの駆動中継部271aの力の状態について、図24を用いて説明する。図24は、長手方向において、第二伝達部材271の駆動中継部271aの位置を通り回転軸線Xに直交する面を切断面とし、駆動側から見た断面図である。また、図24は、前述したように、制御環275が第二伝達部材271に対して逆回転方向―Jへ相対回転させたときの力の状態を示している。前述した、制御環275が第二伝達部材271に対して逆回転方向―Jへ相対回転されると、駆動遮断面275cは被駆動遮断面271a3へ力を加える。つまり、被駆動遮断面(付勢力受け部)271a3には、駆動遮断面257cから反力(付勢力)f7を受ける。ここで、被駆動遮断面271a3は、実施例2と同様に角度β2を持った斜面形状である。そのため、反力f7には半径方向外側への分力f7rが発生する。この分力f7rによって、駆動中継部271aは、被駆動遮断面271a3に沿って回転方向J下流側への滑りが発生する。これにより、駆動中継部271aは、さらに半径方向外側に変形し移動する。その結果、駆動中継部271aと第一伝達部材274の間に隙間γができる。これにより、実施例3の冒頭で説明したように、駆動中継部271aが変形等により半径方向内側に移動した場合においても、その影響を無くす、もしくは、小さくすることができる。
次に、第二伝達部材271の逆回転動作を抑制をするための逆回転規制動作について説明する。図23(d)で示すように、制御部材176の回動動作が進行すると、制御部材176の規制部(逆回転規制部)176gが第二伝達部材271の被規制部271k1に接触する位置となる。これにより、第二伝達部材271は、逆回転方向―Jへの回転が規制(阻止あるいは抑制)される。これにより、実施例3の冒頭で説明したような、第二伝達部材271が遊び等で逆回転方向―Jへの回転が発生するような構成であっても、第二伝達部材271に逆回転は発生しない。つまり、駆動中継部271aの半径方向内側への移動が発生しなくなる
以上説明した通り、制御部材176によって、制御環275の逆回転動作と第二伝達部材271の逆回転規制(逆回転阻止、逆回転抑制)動作がなされる。これによって制御環275と第二伝達部材271の間の相対回転が規制(阻止あるいは抑制)された状態となり、駆動伝達状態と駆動遮断状態の繰り返しとなるような不安定な状態になることを抑えられる。
第一伝達部材274から第二伝達部材271への回転が遮断された状態から伝達される動作については、実施例2と同じため、その説明を省略する。
なお本実施例の制御環275は、実施例2とは異なりガイド部275dを備えるので、その役割について説明する。ガイド部275dは規制リブ271kの一部を覆うことで、制御部材の係止部176bが第二伝達部材271の規制リブ271kの回転を止めないようにするものである。
まずは説明のために、ガイド部275dを有する制御環275の比較例として、図25に、ガイド部275dを有さない制御環2750を示す。図25は、第一伝達部材274、第二伝達部材271、制御環2750、制御部材176について、駆動側方向から見た図である。図25(a)は、駆動伝達状態を示している。また、図25(b)は、制御部材176の規制部176gが規制リブ271kの対向面271k2と係合した状態を示している。図25(a)に示すような駆動伝達状態から駆動遮断動作を開始するためには、前述したように、制御部材176をL1方向に回動させ、制御環2750の回転を係止部176bで被係止面2750bに接触させ停止させればよい。しかしながら、制御部材176のL1方向への回動を開始するタイミングによっては、図25(b)に示すように、係止部176bが対向面271k2と係合する場合がある。このとき、第二伝達部材271および制御環2750は回転が停止されず、回転方向Jへ回転し続けるため、停止している制御部材176に対して干渉してしまう。以上が、ガイド部を設けない場合の課題である。
次に、制御環275にガイド部275dを設けた場合について、図25(c)を用いて説明する。図25(c)は、制御部材176の係止部176bが制御環275のガイド部275dに接触した状態を示している。駆動伝達状態(図23(a)参照)から係止部176bが対向面271k2と係合するタイミング(つまり、図25(b)と同じタイミング)で、制御部材176がL1方向へ回動したとする。この場合、対向面271k2がガイド部275dと回転方向でオーバーラップしているため、図25(c)に示すように、係止部176bがガイド部275dに接触することになる。これにより、制御部材176がL1方向への回転が規制されるため、係止部176bと対向面271k2との係合を防止できる。そして、制御環275は回転方向Jへ回転し続けるため、いずれ、図23(b)に示すような、係止部176bが被係止面275bと接触した状態になる。つまり、どのようなタイミングで制御部材176をL1方向に回転し始めても、確実に係止部176bを被係止面275dに接触させることが可能になる。これにより、制御環275の回転が規制され停止するため、駆動遮断動作が開始する。
つまりガイド部275dが第二伝達部材271の一部を覆っているため、制御部材176が第二伝達部材271の回転を止めることがない。ガイド部275dは制御部材176から第二伝達部材271を保護する保護部とみなすこともできる。
なお、実施例1で説明した通り、現像ユニットを離間位置に移動させる動作によって、制御部材176をL1方向へ回転させている(図7に示す制御部材76を参照)。係止部176bがガイド部275dに接触した状態においても、現像カートリッジの離間動作は進行し、制御部材176はL1方向へさらに回転しようとする。そのため、係止部176bとガイド部275dの間の摩擦力が増加する。これについては、前述した通り、ガイド部275dの先端部275fが半径方向に撓める構成としているため、摩擦力増加を低減可能である。たとえばガイド部275dを弾性的に変形が可能な樹脂等で構成するとよい。
以上説明した通り、制御環275にガイド部275dを設けることによって、確実に係止部176bを被係止面275bに接触させ、制御環275の回転を規制し停止することが可能になる。
以上説明した通り、本実施例は、実施例2で発生しうる可能性がある課題を解決するための形態であり、実施例2を発展させたものである。適用するプロセスカートリッジの構成に合わせて、実施例2の形態であったり、実施例3の形態を選択すればよい。
<実施例4>
次に、別形態を実施例4として説明する。実施例1において伝達解除機構75としてバネクラッチを用いた例を説明したが、実施例4では別形態の伝達解除機構475を用いた駆動連結部の構成について説明する。なお、実施例1あるいは実施例2,3と説明が重複する箇所に関しては、その説明を省略する。
[駆動連結部の構成]
図26、図27および図28を用いて、実施例4における駆動連結部の概略構成について説明する。
軸受部材445と、現像カバー部材32との間には、伝達下流側伝達部材(伝達ギア)471、第二伝達部材477、回転部材としての制御環475d、入力内輪475a、負荷バネ475c、第一伝達部材(第一駆動伝達部材、カップリング部材)474が設けられている。これらの部材は同じ回転軸線X上(同一直線上)に設けられている。すなわちこれらの部材が回転する際の軸線は実質的に一致する。
本実施例における伝達解除機構475は、第二伝達部材477、制御環475d、入力内輪475a、負荷バネ(弾性部材)475c、第一伝達部材474により構成される。現像ユニット409のうち、下流側伝達部材471と伝達解除機構475を除く構成については、実施例1と同じであるため、その説明を省略する。
以下では、図28、図29、図30を用いて各部材について詳細に説明する。図28(a)~(c)を用いて詳細に説明する。図28(a)および図28(b)は伝達解除機構475を分解した状態であって、図28(a)は駆動側から見た分解斜視図であり、図28(b)は非駆動側から見た分解斜視図である。また図28(c)は伝達解除機構475の回転軸線Xを通る面で切断した断面図である。また、図29、図30は駆動連結部を示す一断面であって、断面内には下流側伝達部材471、第二伝達部材477、制御環475d、第一伝達部材474を表示している。図29(a)は駆動遮断状態を示しており、図30(b)は駆動伝達状態を示している。また、図29(b)は駆動伝達動作および駆動遮断動作における一状態を示しており、図30(a)は駆動伝達動作および駆動遮断動作における別の一状態を示している。なお、以下において説明する部品の形状には複数箇所に略同形状が回転軸線Xを中心に放射状に均等な間隔に配置されいるものがあるが、図中においては、代表して1カ所のみに符号を示している。
第一伝達部材474は現像カップリング部材であり、その軸線方向の一端に、カートリッジの外部(つまり画像形成装置本体)から駆動力が入力される駆動入力部(カップリング部)474bが設けられている。第一伝達部材474の軸線方向の他端側には円筒形状である他端側被支持部474kが設けられている。第一伝達部材474は伝達解除機構(クラッチ)475に入力される駆動力を受けるための入力部材(クラッチ側入力部、入力側伝達部材)でもある。
また、第一伝達部材474は回転係合部474a、一端側被支持部474c、一端側制御環支持部(以下、支持部)474d、内輪支持部474e、他端側制御環支持部(以下、支持部)474f、駆動伝達係合部474gを有する。なお、内輪支持部474e、支持部474fは同径同軸上に位置している。
駆動伝達係合部474gは駆動伝達面474hと外周部474jと退避部474kを有する。駆動伝達係合部474gは第二伝達部材477と係合し、駆動を伝達する機能を担うため、駆動伝達係合部474gの詳細については第二伝達部材477と共に説明する。
次に、入力内輪475aは内輪内径部475a1と、内輪外径部475a2と、回転被係合部475a3と、入力側端面475a4と、出力側端面475a5を有する。
負荷バネ475cは第一伝達部材474側から見て矢印J方向であって、軸線方向においてはN方向に向かって螺旋状に巻回され、内周部475c1を形成し、線材の一端側に線材係合端475c2を有する。本実施例における負荷バネ475cは実施例1における伝達バネ75cとは逆方向に巻回されている。
制御環475dは、内径側に一端側支持部475d1と、他端側支持部475d2と、負荷バネ端係止部475d3と、外径部において半径方向に突出した複数の被係止部475d4を有する。また、制御環475dは端部において部分的な円環リブ状の駆動連結制御部(以下、制御部)475d5有しており、内径側の面である駆動連結面475d6と、外径側の面である第二伝達部材支持面475d7を有している。尚、制御部475d5の厚み、すなわち、駆動連結面475d6から第二伝達部材支持面475d7の距離を厚みtと定義する。(具体的には厚みtは1.5mmに設定している)。制御部475d5は回転軸線Xを中心として周方向に均等な間隔で複数箇所に配置されている。本実施例では3か所配置(120°間隔、略等間隔)されている。
伝達解除機構475を構成する部品の関係に対して詳細に説明する。まず、第一伝達部材474と入力内輪475aの関係について説明する。図28(c)に示すように、入力内輪475aは内輪内径部475a1において、第一伝達部材474の内輪支持部474eにより、回転軸線Xにおいて同軸上に回転可能に支持されている。また、図28(b)に示す回転係合部474aと回転被係合部475a3とが係合することによって、第一伝達部材474の回転を入力内輪475aに伝達することができ、第一伝達部材474と入力内輪475aは一体的に回転する。したがって入力内輪475aを第一伝達部材474の一部とみなすこともできる。
次に、負荷バネ475cについて説明する。図28(a)に示すように、負荷バネ475cの内周部475c1の自然状態における内径H1は入力内輪475aの内輪外径部475a2の外径H2よりも小さく設定されており、圧入された状態で回転軸線Xにおいて同軸上に配置されている。本実施例における負荷バネ475cは実施例1における伝達バネ75cとは逆方向に巻回されている。そのため、入力内輪475aが矢印J方向に回転した場合には、負荷バネ475の線材は巻きつけが緩む方向に作用する。つまり、負荷バネ475cと入力内輪475aは所謂トルクリミッタとして作用する。すなわち、所定のトルクまでは入力内輪475aは負荷バネ475cと一体的に回転し、所定以上のトルクが発生した場合には、入力内輪475aは負荷バネ475に対して相対的に回転することができる。
続いて、制御環475dについて説明する。図28(a)から図28(c)に示すように、制御環475dは第一伝達部材474および負荷バネ475cに対し、回転軸線Xにおいて同軸上であって、負荷バネ475cよりも半径方向外側に配置されている。具体的には、一端側制御環被支持部(以下、被支持部)475d1および他端側制御環被支持部(以下、被支持部)475d2が第一伝達部材474の支持部474dおよび支持部474fにより回転可能に支持されている。また、制御環475dの負荷バネ端係止部475d3は負荷バネ475cの線材係合端475c2と係合している。
つまり入力内輪475aと負荷バネ475によって、第一伝達部材474は制御環475dと連結されている。本実施例では実施形態の一例として、第一伝達部材474、入力内輪475a、負荷バネ475c、制御環475dをユニット化し、組み立てし易いようにしている。
次に、図29(a)を用いて第二伝達部材477について説明する。第二伝達部材477は、第一伝達部材474から駆動力が伝達される伝達部材である。また第二伝達部材477は、駆動伝達解除機構(クラッチ)475から外部に駆動力を出力するための出力部材(出力側伝達部材、クラッチ側出力部)である。
第二伝達部材477は外径部477aと内径部477bからなる円筒形状部477cと、駆動中継部477dと、駆動伝達係合部477eを有する。駆動中継部477dは支持部477fと、腕部477gと、駆動力受け面としての被係合面477hと、被駆動連結面477jおよび導入面477kを有する。
なお、支持部477fは駆動中継部477dの一端側として内径部477bと接続する接続部である。すなわち、駆動中継部477dは、その固定端(支持部477f)から、腕部477gが回転方向J下流側に延伸しており、自由端側の半径方向内側には被係合面477h、自由端側の半径方向外側には被駆動連結面477jが設置されている。また、導入面477kは半径方向外側において、駆動中継部477dの被駆動連結面477jと腕部477gをつなぐ斜面である。このように駆動中継部477dは支持部477fを支点とした片持ち梁である。
駆動中継部477dは略同形状で複数箇所に配置されており、本実施例では一例として、第二伝達部材477の周方向に均等な間隔で3カ所配置(120°間隔、略等間隔)されている。被係合面477hの形状は部分的に円弧形状を有している。駆動中継部477dが他の部品から力を受けていない自然状態において、3か所の被係合面477hに対して仮想的に内接円R1を作図した際の直径をd1とする。
ここで、第一伝達部材474における駆動伝達係合部474gの詳細について説明する。図29(a)に示すように、駆動伝達係合部474gは駆動伝達面474hと外周部474jと退避部474kを有している。
次に、外周部474jは三角柱の外接円R0の一部であってその直径をd0とする。直径d0と前述した直径d1の関係はd0≦d1であることが望ましい。すなわち、第一伝達部材474における3か所の駆動伝達面474hが形成する外接円R0よりも、第二伝達部材477における3か所の被係合面477hが形成する内接円R1の方が大きい。また、図29(a)に示す駆動中継部477dが他の部品から力を受けていない自然状態において、内径部477bと被駆動連結面477jとの間には隙間s0が設けられている。d0≦d1である場合、隙間s0と、制御環475dにおける制御部475d5の厚みtとの関係はs0<tとしている。
次に、下流側伝達部材471の詳細構成を説明した後に、第二伝達部材477と伝達解除機構475との関係について説明する。
図26、図27に示すように、下流側伝達部材(伝達ギア)471は実質的に円筒形状である。下流側伝達部材471は一端側の円筒の外周部において円筒部471eを有し、現像カバー部材432の内径部32qと係合している。また、他端側の円筒の外周部においては被軸受部471dを有し、軸受部材445の第一軸受部445p(円筒内周面)と係合している。すなわち、下流側伝達部材471は、軸受部材445と現像カバー部材432とによって、その両端を回転可能に支持されている。実施例1においては被軸受部71dと軸受部材45の第一軸受部45pが円周外周面で互いに係合していたが、本実施例においては内周と外周を逆転させている。どちらの構成においても実施可能である。
さらに、下流側伝達部材471には端面フランジ471f、ギア部471g1、ギア部471g2、ギア部471g3が設けられており、下流側伝達部材471は複数のギアと連結して、複数の部品に対して駆動を伝達させることが可能である。
具体的には、図27に示すように、下流側伝達部材471のギア部471g1は現像ローラギア469とかみ合うことにより現像ローラ6を回転させる。また、ギア部471g2は図2に示されているトナー供給ローラ33の端部に設けられたトナー供給ローラギア433に対して駆動を伝達する。トナー供給ローラ33は、現像ローラ6上にトナーを供給すると共に、現像されずに現像ローラ17上に残留したトナーを現像ローラ6上から剥ぎ取る作用をなす。また、ギア部471g3は現像枠体の内部に収容されたトナーを撹拌させるためのトナー撹拌部材に対して駆動を伝達する。ここで、ギア部471g1、471g2、471g3はハスバ歯車であり、ギアのかみ合いにより矢印M方向にスラスト荷重Wを受けるように歯車のネジレ角を設定している。このスラスト荷重Wによって、端面フランジ471fが現像カバー部材32の突き当て面32fに当接し、下流側伝達部材471は軸線方向の位置が定まる。
図28(c)に示すように、下流側伝達部材471は円筒内部において、第一伝達部材474を支持するための他端側円筒支持部471h、および第二伝達部材477の外径部477aを支持する外径支持部471aを有する。また、下流側伝達部材471は長手規制端面471cを有し、第二伝達部材477の軸線方向位置を規制する。第二伝達部材477は軸線方向において、下流側伝達部材471の長手規制端面471cと制御環475dの間に配置される。
下流側伝達部材471は上述したように、下流側伝達部材471は、軸受部材445と現像カバー部材432とによって、その両端を回転可能に支持されている。これに対して、第一伝達部材474は一端側において、一端側被支持部474cを現像カバー部材432により支持されており、他端側において、下流側伝達部材471の他端側円筒支持部471hにより、他端側被支持部474kを支持されている。すなわち、第一伝達部材474は現像カバー部材432と下流側伝達部材471とによって、その両端を回転可能に支持されている。
また、下流側伝達部材471は図26に示す円筒内部に設けられた外径支持部471aから半径方向に放射状に延びる被係合リブ471bを有し、図30(b)に示すように、第二伝達部材477の駆動伝達係合部477eと係合する。被係合リブ471bは第二伝達部材477が回転した際に下流側伝達部材471に駆動力を伝達することが可能となる。つまり、係合リブ471bは駆動力を受けるための駆動力受け部である。なお上記のように下流側伝達部材471は、第二伝達部材477と一体的に回転するよう第二伝達部材477に連結されているので、下流側伝達部材471を第二伝達部材477の一部とみなすこともできる。
続いて、図29(a)に示す第二伝達部材477の円筒形状部477cに配置される部品に対して説明する。第二伝達部材477における駆動中継部477dの内径側には第一伝達部材474の駆動伝達係合部474gが配置されている。それに対し、第二伝達部材477の内径部477bと駆動中継部477dとの間には制御環475dの円環リブ状の制御部475d5が配置される。制御部475d5に設けられた第二伝達部材支持面475d7は第二伝達部材477の内径部477bに対して回動可能に嵌合支持している。尚、本実施例において、駆動中継部477dと制御部475d5はそれぞれ3か所設置されているが、それぞれが相対可能となるように配置されている。
制御環475dは第二伝達部材477に対して回転軸線Xを中心に相対的に移動可能であり、駆動遮断状態と駆動伝達状態によって、制御環475dと第二伝達部材477との相対位置が切り替わる。
以下では、図29~ 図31を用いて、伝達解除機構475と第二伝達部材477の関係を詳細に説明する。さらに、駆動遮断状態、駆動伝達動作、駆動伝達状態および駆動遮断動作など各状態や動作に対して制御環475dと第二伝達部材477との位置関係について説明していく。
[駆動遮断状態1]
図29(a)に駆動遮断状態における一状態を示す。駆動遮断状態では制御環475dの駆動連結面475d6は被駆動連結面477jから退避した状態であり、駆動連結面475d6は駆動中継部477dと非接触である。駆動連結面475d6が駆動中継部477dから退避した状態においては、駆動中継部477dは制御環475dから力を受けていない状態である。そのため、駆動中継部477dにおける3か所の被係合面477hが形成する内接円R1は直径d1である。
これに対し、駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0との関係はd0≦d1である。そのため、第二伝達部材477の被係合面(駆動力受け部、第二係合部、被係合部)477hは第一伝達部材474の駆動伝達面(駆動伝達部、第一係合部)474hと係合しない状態である。この時の被係合面477hの位置を被係合面477hの第二の位置(第二の駆動力受け部位置、第二受け部位置、非係合位置)とよぶ。またこの時の制御環475dの位置を制御環475dの第二の位置(第二の回転部材位置、第二の回転位置、遮断位置、非伝達位置、非保持位置)と呼ぶ。
このとき、第二伝達部材477は、第一伝達部材474と係合せず、第一伝達部材474から駆動力を受けない状態である。伝達解除機構(クラッチ)475は、第一伝達部材474の回転力が第二伝達部材477へ伝達されるのを遮断し、下流側伝達部材471や現像ローラ6に回転を伝達させない駆動遮断状態となる。
[駆動伝達動作]
続いて、駆動遮断状態から駆動伝達状態へ推移する駆動伝達動作について説明する。
とする。図29(b)は駆動伝達状態から駆動遮断状態へ推移する駆動遮断動作の一状態を示している。
駆動伝達動作の開始にあたり、制御部材76は、図10(a)で示されるような、制御環475dの回転を許容する第一位置(非係止位置)に移動する。なお、図10(a)に示される制御環75dが本実施例の制御環475dに相当する。なお、このときの制御部材76の動作については、実施例1と同様なため、説明を省略する。制御部材76が第一位置である場合、制御環475dに対し制御部材76は接触しない状態であり、制御環475dの回転を許容する。
この状態において、第一伝達部材474が駆動力を受けて図28(a)に示すように矢印J方向に回転すると、制御環475dも回転する。これは前述したように入力内輪475aと負荷バネ475cが第一伝達部材474を制御環475dに連結しており、これらが第一伝達部材474から制御環475dに駆動力を伝達するからである。
入力内輪475aと、負荷バネ475cはトルクリミッタとして作用している。制御環475dを回転するためのトルクが所定の大きさ以下であれば、トルクリミッタは制御環475dを第一駆動伝達部材474と一体的に回転させる。
このため、駆動伝達動作が開始すると、停止している第二伝達部材477に対して、第一伝達部材474と一体的に回転する制御環475dは、第二伝達部材477に対して相対的に回転し始める。図29(a)に示す駆動遮断状態1において、制御環475dの駆動連結面475d6は駆動中継部477dと非接触の状態から回転が進み、駆動連結面475d6は第二伝達部材477の導入面477kと当接し始める。導入面477kは駆動中継部477dの被駆動連結面477jと腕部477gをつなぐ斜面であり、駆動連結面475d6は導入面477kと接触しながら回転方向J方向に回転を進めていく。制御部475d5は導入面477kとの接触位置T42において、導入面477kに対して力f42を発生させる。
ここで、第二伝達部材477の駆動中継部477dは支持部477fを支点とした片持ち梁である。駆動中継部477dの自由端側である導入面477kが接触位置T42において駆動連結面475d6から力f42を受けることによって、駆動中継部477dには曲げモーメントM42が発生する。これによって、駆動中継部477dには支持部477fを支点とした半径方向内側への撓みが発生し、駆動中継部477dは弾性変形により半径方向内側へと移動する。
さらに制御環475dが第二伝達部材477に対して相対的に回転すると、図30(a)に示すように、制御部475d5は第二伝達部材477の被駆動連結面477jと接触する。図29(a)に示す駆動遮断状態1において、第二伝達部材477における内径部477bと被駆動連結面477jとの間は隙間s0であり、制御環475dにおける制御部475d5の厚みtとの関係は隙間s0<厚みtである。隙間s0に対して制御部475d5の厚みtの方が大きいため、図30(a)に示すように駆動伝達動作おいて制御環475dの回転が進むと、制御部475d5が隙間s0を押し広げていく。
尚、制御環475dの回転は制御環475dに設けられた回転被規制端面475d8と第二伝達部材477に設けられた回転規制端面477mが接触するまで進行する。回転被規制端面475d8と回転規制端面477mが接触する状態が図30(b)に示す駆動伝達状態である。
隙間s0に対して制御部475d5が挿入された結果、第二伝達部材477の内径部477bと被駆動連結面477jとの隙間は隙間s1へと切り替わる。具体的に、隙間s1は厚みtと略同等である。また、駆動中継部477dを半径方向内側へと弾性変形させる撓み量は厚みtと隙間s0の差分に相当する。
ここで、第二伝達部材477における3か所の被係合面477hに対して仮想的に内接円R2を作図した際の直径をd2とする。直径d2は駆動中継部477dを半径方向内側へと弾性変形した分、図29(a)に示す駆動遮断状態における内接円R1の直径d1より小さくなる。また、駆動中継部477dが変形した結果の直径d2が、駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0に対し、d2<d0となるように制御部475d5の厚みtを設定している。
尚、駆動伝達動作による制御部475d5が第二伝達部材477の導入面477gと接触しながら回転を進める過程で、図29(b)で示される状態から図30(a)に示される状態となる。この過程において、駆動遮断状態における内接円R1の直径d1から駆動伝達状態における内接円R2の直径d2まで段階的に内接円の直径が小さくなっていく。
これにより、第二伝達部材477の被係合面477hは第一伝達部材474の駆動伝達面474hと係合できる状態に切り替わり、図30(b)に示すように第一伝達部材474の回転を下流側伝達部材471に伝達する駆動伝達状態となる。
この際の被係合面477hの位置を被係合面477hの第一の位置(第1駆動力受け部位置、第1受け部位置、内側位置、係合位置、伝達位置)と呼ぶ。またこの時の、制御環475dの位置を制御環475dの第一の位置(第一の制御位置、第一の回転部材位置、第一の回転位置、伝達位置、保持位置)と呼ぶ。制御環475dは第一の位置にある際に、制御部(保持部)475d5が、被係合面477hを第一の位置に保持する。すなわち制御部475d5は、駆動中継部477dの弾性力に抗して、被係合面477hを径方向の内側に付勢する。
ここで、駆動伝達動作により駆動伝達状態に移行する過程に対して、伝達解除機構475が有するトルクリミッタ(入力内輪475a、負荷バネ475c)の設定および作用について説明する。
入力内輪475aや負荷バネ475c(図28(a)等参照)は、第一伝達部材474から制御環475dに向けて駆動力を伝達するための伝達部材である。ただしこれらの入力内輪475aと負荷バネ475は単に駆動力を伝達するだけでなく上記したように、トルクリミッタとして作用するように構成されている。
入力内輪475aは第一伝達部材474に一体的に回転するように連結され、この入力内輪475aに負荷バネ475cが巻きついている。負荷バネ475cは制御環475dに連結されている。そして入力内輪475aを回転させるためのトルクが所定の大きさを下回る間は、入力内輪475aから負荷バネ475dに駆動力が伝達される。一方、トルクが所定の大きさ以上になると、入力内輪475aから負荷バネ475cに駆動力が伝達されなくなり、入力内輪475aが負荷バネ475cに対して空転する。なお入力内輪475aが負荷バネ475cに対して空転する際のトルクを空転トルクと呼ぶ。
このトルクリミッタの作用により、制御環475dに作用するトルクが所定のトルク(空転トルク)になるまでは、制御環475dは第一伝達部材474に連結され第一伝達部材474と一体的に回転する。
その一方で、制御環475dに作用するトルクが所定以上の場合には、入力内輪475aから負荷バネ475への駆動伝達が遮断されることにより制御環475dと第一伝達部材474の駆動連結が切れる。つまり制御部材が制御環475dの回転を停止したまま第一伝達部材474のみ回転させることが可能になる。
駆動伝達動作では、内径部477bと被駆動連結面477jの間の隙間s0を押し広げながら、制御環475dの制御部475d5が第二伝達部材477に対して回動する。すなわち、駆動伝達動作では、被駆動連結面477jが駆動連結面475d6と接触し、駆動中継部477dを半径方向内側へと弾性変形させる際の負荷抵抗が発生している。この負荷抵抗によって、制御環475dの回転が停止しないようにトルクリミッタの空転トルクを設定する必要がある。本実施例において、駆動中継部477dにおける半径方向内側への弾性変形量は0.8mmで設定しており、伝達解除機構475が有するトルクリミッタの空転トルクは2.94N・cmに設定している。
次に、図30(b)に示す駆動伝達状態に移行した状態では、制御環475dは回転被規制端面475d8と回転規制端面477mとが接触する位置に到達している。この状態において、制御環475dは第二伝達部材477から、第二伝達部材477と連結している下流側伝達部材471の負荷トルクを受ける。伝達解除機構475が有するトルクリミッタの空転トルクは、下流側伝達部材471の負荷トルク以下になるように設定されている。つまり、回転被規制端面475d8と第二伝達部材477の回転規制端面477mが接触することで、制御環475dが第二伝達部材477から負荷トルクを受けると、トルクリミッタは制御環475dと第一駆動伝達部材の駆動連結を一時的に解消する。
この結果、制御環475dは第二伝達部材477に対して相対的な回転が停止し、第一伝達部材474のみが第二伝達部材477に対して回転するようになる。つまり制御環475dが第二伝達部材477から回転を規制(停止)された状態になる。図30(b)に示すように制御環475dの回転被規制端面475d8と第二伝達部材477の回転規制端面477mが接触する状態における制御環475dの位置を第一の位置(第一の回転位置)と呼ぶ。これは駆動伝達状態における制御環475dの位置である。
ここで、駆動伝達動作中の一状態における第二伝達部材477の被係合面477hの回転方向位相に対して、駆動伝達動作の説明を加える。具体的には2つの位相組み合わせにおける駆動伝達動作についての説明である。1つめの位相組み合わせは図30(a)に示すような被係合面477hの回転方向位相が、第一伝達部材474の駆動伝達係合部474gの退避部474kに位置する場合である。次に、2つめの位相組み合わせは図29(b)に示すような被係合面477hにおける回転方向位相が、駆動伝達係合部474gの外周部474jおよび駆動伝達面474hに位置する場合である。
駆動伝達動作において、制御環475dが第二伝達部材477に対して相対的に回転すると、制御環475dの制御部475d5が第二伝達部材477の駆動中継部477dを半径方向内側へと弾性変形させる。
1つめの位相組み合わせ(図30(a))である場合、被係合面477hは退避部474kに位置するため、被係合面477hは駆動伝達係合部474gと接触する前に半径方向内側の第一の位置(係合位置)へと移動可能である。そのため、伝達解除機構475が有するトルクリミッタが制御環475dに駆動力を伝達することにより、制御環475dも第一の位置(第一の回転位置)に到達することが可能である。
制御環475dが第一の位置において、制御環475dの第二伝達部材477に対する相対回転が停止する際には、3か所の被係合面477hに対する内接円R2が直径d2である。つまり被係合面477hは制御環475dによって第一の位置にある状態に保持される。この状態になるとトルクリミッタによる連結が一時的に切れ、制御環475dは第二伝達部材477に対して停止する。
そこから第一伝達部材474が第二伝達部材477および制御環475dに対して相対的に回転すると、図30(b)に示すような被係合面477hは駆動伝達面474hと接触する駆動伝達状態に到達する。被係合面477hが駆動伝達面474hから受ける駆動力によって第二伝達部材477は回転を始める。また、この状態になるとトルクリミッタが制御環475dと第一伝達部材474を再び連結するので、第一伝達部材474、第二伝達部材477、制御環475dは一体的に回転するようになる。
続いて、図29(b)に示すような2つめの位相組み合わせである場合について説明する。
被係合面477hは制御部475d5により半径方向内側へと移動させられると、制御部475d5が被駆動連結面477jと接触する前に、駆動伝達係合部474gの外周部474jおよび駆動伝達面474hと接触してしまう。つまり、被係合面477hは第二の位置(非係合位置)から第一の位置(係合位置)への移動が完了する前に、その移動が妨げられる。
被係合面477hが駆動伝達係合部474gと接触した状態においては、制御環475dが第二伝達部材477の駆動中継部477dを半径方向内側へと移動させる際に大きな抵抗が発生する。
このため、伝達解除機構475が有するトルクリミッタは、第一伝達部材474が回転している状態でも制御環475dを停止させてしまう。つまり、第一伝達部材474の駆動伝達係合部474gにおける外周部474jおよび駆動伝達面474hが被係合面477hを通過して回転が進む。結果として、2つめの位相組み合わせ(図29(b)参照)から被係合面477hが退避部474kに位置する1つめの位相組み合わせ(図30(a)参照)に切り替わる。すると上述した過程により被係合面477hは駆動伝達面474hと接触する駆動伝達状態に到達する。
[駆動伝達状態]
図30(b)に駆動伝達状態を示す。駆動伝達動作によって、制御環475dは制御環475dに設けられた回転被規制端面475d8と第二伝達部材477に設けられた回転規制端面477mが接触する位置に到達している。この状態において、制御環475dと第二伝達部材477および第一伝達部材474の駆動伝達面474hとの関係についてより詳細に説明していく。
制御部475d5は片持ち梁である駆動中継部477dの自由端側に設けられた被係合面477hに対し、回転中心Xから被係合面477hに向かう半径方向の延長線上に配置されており、被駆動連結面477jと接触している。また、制御部475d5が有する厚みtによって、駆動中継部477dを半径方向内側へと弾性変形させている。その結果、3か所の被係合面477hに対する内接円R2の直径d2は駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0よりも小さい。
3か所の被係合面477hが外周部474jにおける直径d0よりも半径方向内側に位置している。つまり被係合面477hが第一の位置(係合位置)に位置するため、第一伝達部材474が回転すると、被係合面477hは駆動伝達面474hと接触することができる。
このときの力の状態について、図31(a)を用いて説明する。
駆動伝達面474hと第二伝達部材477の被係合面477hとの駆動伝達状態における接触位置T41とする。被係合面477hは接触位置T41において駆動伝達面474hから反力f41を受けている。駆動伝達面474hは角度α41の斜面を有しており、角度α41は回転中心Xと接触位置T41とを結んだ線を基準として、半径が大きくなるに従って回転方向Jの上流側に向かう角度である。これに対し、被係合面477hは円弧形状であるために、駆動伝達面474hと被係合面477hとの接触部における反力f41は駆動伝達面474hの垂直抗力として発生する。反力f41に対し、半径方向成分f41rと接線方向成分f41tに対して、それぞれ各部の力の状態を説明する。
まず、反力f41の半径方向成分f41rは、駆動伝達面474hは角度α41の斜面を有しているため、駆動中継部477dの被係合面477hを半径方向外側へと移動させる方向の力である。これに対して、駆動中継部477dの被駆動連結面477jは、回転中心Xから被係合面477hに向かう半径方向の延長線上に位置している。つまり、制御部475d5の駆動連結面475d6と接触して半径方向成分f41rを受けている。さらに、駆動連結面475d6と厚みtを介して対向して配置される制御部475d5の外径側の面である第二伝達部材支持面475d7は第二伝達部材477の内径部477bと接触している。また、さらに第二伝達部材477の外径部477aは下流側伝達部材471の外径支持部471aにより支持されている。このように、駆動中継部477dの被係合面477hを半径方向外側へと移動させる半径方向成分f41rに対して、駆動中継部477dは駆動連結面475d6と第二伝達部材477と下流側伝達部材471によって半径方向の移動を規制している状態である。そのため、半径方向成分f41rに対して、駆動中継部477dの変形を抑制することが可能であり、駆動伝達面474hと被係合面477hとの係合は安定する。つまり、制御環475dが第一の回転位置に位置しており、駆動連結面475d6と被駆動連結面477jと接触する時は安定して駆動伝達することができる。
続いて、接線方向成分f41tに対して説明する。反力f41は接線方向成分である接線力f41tを発生させており、接線力f41tによって、駆動中継部477dが回転方向Jに引っ張られて第二伝達部材477および下流側伝達部材471を回転方向Jに回転させることができる。
駆動中継部477dは、支持部477fから、被係合面477hおよび被駆動連結面477jの設けられた自由端側に向かって、回転方向J下流側に延伸した形状である。支持部477fから回転方向J下流側に延伸する方向は被係合面477hと駆動伝達面474hとの接触における接線力f41tと略平行であることが望ましい。片持ち梁である駆動中継部477dは延伸方向への引張り剛性の方が、半径方向である撓み方向への剛性よりも大きく、第一伝達部材474からの伝達トルクに対して駆動中継部477dの変形をより小さくすることが出来る。つまり、第一伝達部材474の回転を第二伝達部材477へと安定的に伝達することが可能となる。
[駆動遮断動作]
次に、駆動伝達状態から駆動遮断状態に推移するための駆動遮断動作ついて説明する。駆動遮断動作を開始するにあたり、図10(c)(d)に示されるように、現像ユニット9が回動し離間位置に到達すると、制御部材76も回動し第二位置に移動する。なお、このときの制御部材76の動作については、実施例1と同様なため、説明を省略する。
制御環475dは、駆動伝達状態において、伝達解除機構475が有するトルクリミッタの作用により、第一伝達部材474と一体的に回転している。これに対して、制御部材76が第二位置(係止位置)に位置する場合には制御部材76の当接面76bが図10(c)に示される回転軌跡Aの内側に位置する。この場合、制御部材76の当接面76bは、制御環475dの被係止部475d4を係止し、制御環475dの回転を規制しようとする。
制御部材76が制御環475dの回転を規制している状態では、制御環475dと係合している負荷バネ475cも同様に回転を規制された状態となる。この状態において、第一伝達部材474が回転すると、第一伝達部材474と一体的に回転する入力内輪475aは負荷バネ475cとの間で空転トルクを発生させながらも、負荷バネ475cおよび制御環475dに対して相対的に回転し続けることができる。つまり、制御環475dに制御部材76から大きな負荷がかかるため、トルクリミッタ(入力内輪475aと負荷バネ475c)は、第一伝達部材474と制御環475dの連結を切る。そのため制御環475d停止時にも第一伝達部材474が回転を続けることができる。
この様に、制御部材76が第二位置である場合、第一伝達部材474が回転している状態であっても、制御部材76によって制御環475dおよび負荷バネ475cの回転を規制し、停止させることができる。
以下では、駆動遮断動作における第一伝達部材474と、第二伝達部材477および制御管475dとの関係について説明していく。
駆動遮断動作により、制御環475dの回転を停止させた状態で、第一伝達部材474が回転すると、駆動伝達状態において第一伝達部材474と一体的に回転していた第二伝達部材477も同様に制御環475dに対して相対的に回転を進める。尚、第二伝達部材477の制御環475dに対する相対的な回転は駆動伝達面474hと被係合面477hとの係合状態が解除されるまで進んでいく。これについて具体的に説明する。
駆動遮断動作では、制御環475dは回転被規制端面475d8と回転規制端面477mが接触する図30(b)に示す第一の回転位置から図30(a)に示す状態のように回転被規制端面475d8と回転規制端面477mが離れていく。これは制御環475dが制御部材76により係止され、回転を停止している状態で、第二伝達部材477が第一伝達部材によって回転されるためである。なお、このき第一伝達部材474と制御環475dの駆動連結はトルクリミッタにより解消されており、制御環475dの回転が停止していても、第一伝達部材474が制御環475dに対して回転可能である。
このように、第二伝達部材477による制御環475dに対する相対的な回転が進み、制御環475dの制御部475d5は第二伝達部材477回転方向J上流側へと相対的に移動していく。つまり制御環475dは第一の位置(第一の回転位置)から第二の位置(第二の回転位置)へ向けて相対的に移動する。
図30(a)に示す状態のように、制御部475d5が駆動中継部477dの被駆動連結面477jに接触する状態では、第二伝達部材477の隙間s1は維持されている。そのため、3か所の被係合面477hで形成する内接円は駆動伝達状態での直径R2と略同等である。つまり被係合面477hは制御環475dの制御部475d5によって付勢され、径方向内側の第一の位置に保持されている。その結果、第二伝達部材477の被係合面477hと第一伝達部材474の駆動伝達面474hとの係合が維持されており、第一伝達部材474の回転を第二伝達部材477に対して伝達することができる。
次に、第二伝達部材477の制御環475dに対する回転が進んでいくと、図29(b)に示す状態のように、制御部475d5が駆動中継部477dの導入面477kまで到達する。制御部475d5が駆動中継部477dの導入面477kと接触しながら移動する際には、駆動伝達状態での隙間s1から駆動遮断状態での隙間s0にかけて段階的に変化していく。つまり、第二伝達部材477の駆動中継部477dが半径方向内側へと変形させられた状態から、自然状態へと半径方向外側に復元する。これによって、3か所の被係合面477hの内接円が、駆動伝達状態における内接円R2から駆動遮断状態における内接円R1に向かって段階的に大きくなる。
そのため、3か所の被係合面477hの内接円と、駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0との差が小さくなる。つまり、第二伝達部材477の被係合面477hと第一伝達部材474の駆動伝達面474hとの係合量が少なくなっていく。その結果として、第一伝達部材474の回転を第二伝達部材477に対して伝達することができず、第二伝達部材477の制御環475dに対する相対的な回転が停止する。
つまり、第一伝達部材474は回転を第二伝達部材477に対して伝達できなくなった時点で駆動遮断状態へと切り替わる。このようにして被係合面477hは、径方向外側の第二の位置(非係合位置)へ移動が完了することになる。
[駆動遮断状態2]
先に説明した図29(a)に示す駆動遮断状態1では、駆動遮断状態における一状態として、制御環475dの駆動連結面475d6が駆動中継部477dと非接触である状態であった。つまり、駆動遮断状態1では、駆動中継部477dの被係合面(駆動力受け部)477hが径方向外側の第2の位置(非係合位置)に退避していた。
それに対してここでは、駆動遮断状態における別の一状態として、図31(b)に示すような制御部475d5が導入面477kに接触する状態である駆動遮断状態について補足的に説明する。
制御部475d5が導入面477kに接触する場合、制御部475d5と導入面477kとの接触により、駆動中継部477dが自然状態まで復元できない状態である。ここで、制御部475d5が導入面477kに接触する場合における、3か所の被係合面477hの内接円の直径をd3とすると、直径d3は駆動中継部477dが自然状態である直径d1よりも小さい。また、駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0との関係はd0≦d1であるため、駆動伝達係合部474gの駆動伝達面474hと第二伝達部材477の被係合面477hが係合し得る関係である。つまり被係合面477はいまだ径方向内側の第1の位置(係合位置)に位置した状態とみなせる。
図31(b)に示すように、反力f41の半径方向成分f41rは、駆動中継部477dの被係合面477hを半径方向外側へと移動させる方向の力である。被係合面477hで受ける半径方向成分f41rに対して、制御部475d5は導入面477kとの接触位置T42において駆動中継部477dの変形を規制しようとする。
これに対して、駆動中継部477dの導入面477kは、回転中心Xから被係合面477hに向かう半径方向の延長線上よりも回転方向Jの上流側に位置している。そのため、半径方向成分f41rに対して、接触位置T42を支点として駆動中継部477dを半径方向外側へと変形させる曲げモーメントMkが発生し、被係合面477hが半径方向外側へと移動することを許容することができる。すなわち、3か所の被係合面477hの内接円が大きくなるように駆動中継部477dは半径方向外側へ変形することができる。その結果、内接円が駆動伝達係合部474gの外周部474jにおける直径d0と同等にまで広がった時、第一伝達部材474の回転を第二伝達部材477および、下流側伝達部材471に対して遮断することができる。
このように、図29(a)に示す駆動遮断状態1に加え、図31(b)に示すような制御部475d5が導入面477kに接触する状態においても、駆動遮断状態となり得る。この図31(b)に示す駆動遮断状態を駆動遮断状態2とする。
駆動遮断状態2では、第二伝達部材477の被係合面477hは第2の位置(外側位置、非係合位置)まで退避しておらず、第1の位置(内側位置、係合位置)にある状態ではある。しかし第一伝達部材474の回転時には、第一伝達部材474の係合部474gが、第二伝達部材477の被係合面477hに断続的に接触するたびに、被係合面477hが第1の位置(係合位置)から第2の位置(非係合位置)へ移動する。そのため、被係合面477hは、係合部474gから駆動力を受けることがない。
制御部材76が制御環475dを係止するタイミングによって、駆動遮断状態1と駆動遮断状態2になり得る。これについて図10(c)を用いて説明する。なお、図10(c)中の制御環の符号は75dであるが、本実施例中における説明においては475dと置き換え説明する。駆動遮断動作によって、制御部材76が回転し、制御部材76の先端の係止部が制御環475dの回転軌跡Aの内側に侵入すると、制御部材76は制御環475dと接触し係止することが可能である。つまり、制御部材76が制御環475dの回転軌跡Aの内側に侵入するタイミングに対して、制御環475dの被係止部475d4の回転位相が一定ではないために、制御部材76が制御環475dを係止するタイミングにばらつきが発生する。
制御部材76と制御環475dが接触したタイミングで制御環475dは回転を停止する。そして、制御環475dが回転を停止すると、第二伝達部材477と制御環475dの相対的な回転が開始される。その結果、制御環475dの制御部475d5が駆動中継部477dの被駆動連結面477jから退避していく。一方、駆動遮断動作において、制御部材76は回転方向L1への回転を一定時間続けている。そのため、制御部材76が回転軌跡Aの内側であって、回転方向L1の上流側において、制御環475dと接触した場合には、制御部材76が制御環475dとの接触後も回転方向L1に回転し、制御環475dを回転方向L1に回し込む。すなわち、制御部材76の回転によって制御環475dは回転方向Jの回転方向上流側に移動させられる(回転方向Jの逆方向に回転される)。そのため、第二伝達部材477との相対的な回転がより大きくなる。これによって、図29(a)に示すような駆動遮断状態1となる。
次に、制御部材76が回転軌跡Aの内側であって、回転方向L1への回転が進んだタイミングで制御環475dと接触した場合には、制御部材76が制御環475dとの接触後に制御環475dを回転方向L1に回し込む程度が小さくなる。そのため、制御部材76の回転によって制御環475dを回転方向Jの回転方向上流側に移動させる程度も小さく、結果として、制御環475dと第二伝達部材477との相対的な回転は小さくなる。これによって、図31(b)に示すような駆動遮断状態2となる。
このように、駆動遮断状態は駆動遮断状態1と駆動遮断状態2のような状態になり得る。駆動遮断状態における制御環475dの位置を第二の回転位置としており、第二の回転位置は制御部475d5が駆動中継部477dの被駆動連結面477jから退避した位置である。つまり、制御部475d5が導入面477kに接触する状態から、駆動中継部477dと非接触である状態までを含む。
なお、駆動中継部477dの弾性復元力が弱い(あるいは弾性復元力ない)場合にも、制御環475dの回転停止時に、駆動中継部477dが被係合面477hを第2の位置(非係合位置)まで退避移動させることができない。この場合であっても駆動遮断状態2で説明したように、被係合面477hが係合部474gから力f41(図32(b)参照)を受けることで、第2の位置(非係合位置)に退避移動できる。つまり本実施例では被係合面477hは必ずしも外力を受けない自然状態において、第2の位置(非係合位置)にいる必要はない。
なお、駆動遮断状態においては、制御部材76が制御環475dの回転を規制しており、制御環475dと係合している負荷バネ475cも同様に回転を規制された状態である。つまり第一伝達部材474と制御環475dを連結していたトルクリミッタ(負荷バネ475c)は、その連結を解除させる。第一伝達部材474が制御環475dに対して空転するようになる。
この状態において、第一伝達部材474が回転すると、第一伝達部材474と一体的に回転する入力内輪475aは負荷バネ475cとの間で空転トルクを発生させた状態である。
[本実施例の構成のまとめ]
本実施例において、伝達解除機構の別形態について説明した。伝達解除機構475による回転伝達・遮断を制御するための制御部材76の構成は実施例1と同様であり、従来技術に対して、別形態の伝達解除機構に対しても同様の効果を得ることができる。つまり、現像ユニット9の回動角度に対して、制御部材76と伝達解除機構475との位置関係を安定して保つことができることにより、確実に駆動の伝達および遮断を切り替えることができる。これにより、現像ローラ6の回転時間の制御ばらつきを少なくすることができる。
以下では、これまで説明した実施例との差異について説明する。
制御部材76が制御環475dから離れた第一位置である場合、制御環475dが(制御部材76から停止されることなく)回転することができ、伝達解除機構475は第一伝達部材474の回転を下流側伝達部材471に伝達する。駆動力を伝達させるための構成としては、実施例1においては、伝達バネ75cが第一伝達部材74の回転に対して内径側に締め付けることで駆動力伝達を可能とした。これに対し、本実施例においては、実施例2および実施例3と同様に駆動中継部477dを半径方向内側へと移動させることによって、駆動力伝達を可能としている。実施例2および3においては、駆動伝達状態において、駆動中継部171aの被係合面171a1と第一伝達部材174の係合面174eとの係合部において、半径方向内側への引き込み力f1rが発生するように係合面174eの形状を設定している。
本実施例においては、駆動伝達面474hと駆動中継部477dの被係合面477hとの係合部において、半径方向外側へと移動させる方向の力f41rが発生するように駆動伝達面474hの形状を設定している。これに対して、駆動中継部477dの被駆動連結面477jは、回転中心Xから被係合面477hに向かう半径方向の延長線上において、制御部475d5の駆動連結面475d6と接触して半径方向成分f41rを受けている。このように、半径方向成分f41rに対して、駆動中継部477dの変形を抑制するように構成することによって、駆動伝達面474hと被係合面477hとの係合は安定させている。これによって、実施例1から3と同様に安定して、第一伝達部材474の回転を下流側伝達部材471に伝達することが可能となる。
また、駆動伝達状態における駆動中継部477dの被係合面477hの位置は、制御部475d5の厚みtが第二伝達部材477における内径部477bと被駆動連結面477jとの隙間に挿入されることによって定まる。このため、例えば、駆動中継部477dがクリープ変形等で自然状態における形状が変化していた場合においても、駆動伝達状態における駆動中継部477dの被係合面477hの位置は安定する。繰り返し伝達/遮断をした場合においても同様に駆動伝達状態における駆動中継部477dの被係合面477hの位置は安定する。
次に、制御部材76が制御環475dと接触できる第二位置である場合、制御環475dが制御部材76により係止され、回転を停止されることによって、伝達解除機構475は第一伝達部材474の回転を遮断し下流側伝達部材471に回転を伝達しない。
実施例1においては、制御環75dと共に伝達バネ75cの回転を制御部材76により係止していた。これにより伝達バネ75cの内径が小さくなる方向に捩じることができないように規制して、第一伝達部材74と一体的に回転する入力内輪75aの回転を遮断した。実施例1で説明した伝達解除機構75であるバネクラッチでは、伝達解除機構75によって回転が遮断されている際には、入力内輪75aと伝達バネ75cが摺擦することにより、第一伝達部材74に滑りトルクが発生する。
これに対して、実施例2および実施例3においては、伝達解除機構170によって回転が遮断されている際には、制御環175により駆動中継部171aを半径方向外側に移動させ、被係合面171a1と係合面174eとの係合状態を解除する。そのため、駆動遮断状態における第一伝達部材174のトルクが低減した。
また、実施例2および3においては、駆動伝達状態において、駆動中継部171aの被係合面171a1と第一伝達部材174の係合面174eとの係合部において、半径方向内側への引き込み力f1rが発生するように係合面174eの形状を設定している。そのため、確実な駆動遮断状態を保つためには、係合面174eに対して、駆動中継部171aの被係合面171a1を半径方向外側に移動させ、確実に非接触状態を保つ必要があり、そのための構成を実施例3において説明した。
一方、本実施例において、駆動中継部477dが他の部品から力を受けていない自然状態における3か所の被係合面477hに対する内接円R1の直径d1を駆動伝達部係合部474gの外周部474jにおける直径d0に対して、d0≦d1とした。理想的にはd0<d1であることが好ましく、自然状態における3か所の被係合面477hが駆動伝達部係合部474gの外周部474jと離れている方が駆動遮断状態における被係合面477hと外周部474jによる接触を抑制できる。その結果として、被係合面477hと外周部474jが接触する際において、第一伝達部材474に発生する微小な負荷変動を抑制することができる。しかし、本実施例においては、d0≦d1であっても安定して駆動遮断状態にできることを説明してきた。すなわち、本実施例においては、駆動遮断状態では、制御環475dは回転を規制されて停止し、制御環475dの駆動連結面475d6が被駆動連結面477jから退避した状態である。また、駆動伝達面474hと駆動中継部477dの被係合面477hとの係合部において、半径方向外側へと移動させる方向の力f41rが発生するように駆動伝達面474hの形状を設定している。駆動遮断状態では、半径方向成分f41rに対して、駆動中継部477dの半径方向外側への変形を許容しており、3か所の被係合面477hの内接円が大きくなるように駆動中継部477dは半径方向外側へ変形することができる。たとえ、第一伝達部材474の駆動伝達面474hと駆動中継部477dの被係合面477hとが接触可能な状態であった場合においても、両者が係合することは避けることはできる。そのため第一伝達部材474の回転を第二伝達部材477および、下流側伝達部材471に対して伝達されることを遮断することができる。つまり、駆動中継部477dの被係合面477hを駆動伝達面474hから非接触にする必要がなく、被係合面477hを退避する量を小さくすることができる。
結果として、実施例2および実施例3と比較すると回転軸に対して直交する半径方向に対して小型化が可能となる。
<実施例5>
次に、別形態を実施例5として説明する。実施例4において伝達解除機構575の内部にトルクリミッタを有する構成を用いた例を説明したが、実施例5では別形態の伝達解除機構575を用いた駆動連結部の構成について説明する。なお、実施例1および実施例4と説明が重複する箇所に関しては、その説明を省略する。
なお、上記の実施例1~4において伝達解除機構(クラッチ)はカートリッジの内部において駆動力の伝達を遮断していた。これに対して本実施例では、カートリッジと画像形成装置の境界領域(連結領域)において駆動力の伝達を遮断するすることを特徴としている。
[駆動連結部の構成]
図32~図37を用いて、実施例5における駆動連結部の概略構成について説明する。
図32は本実施例におけるカートリッジpおよび伝達解除機構575を駆動側からみた斜視図である。
図33は本実施例におけるカートリッジpおよび伝達解除機構575を非駆動側からみた斜視図である。
図34は本実施例における伝達解除機構575と現像カバー部材532と制御部材576と本体駆動軸562を示した斜視図である。
図35は伝達解除機構575を分解した状態であって、図35(a)は駆動側から見た分解斜視図であり、図35(b)は非駆動側から見た分解斜視図である。
図36(a)は伝達解除機構575の側面図であり、図36(b)は伝達解除機構575の回転軸線Xを通る面で切断した断面図ある。
図37は伝達解除機構575を駆動側から見た正面図である。
軸受部材45と、現像カバー部材532との間には、下流側伝達部材(伝達ギア)571、出力部材575b、戻りバネ575c、回転部材としての制御環575d、および、第1伝達部材としてのカップリング部材577が設けられている。これらの部材の回転軸線Xは、上記した実施例同様に現像ユニットの回動中心と一致している。
以下では、伝達解除機構575について説明する。本実施例における伝達解除機構575は、第1伝達部材としてのカップリング部材577、制御環575d、出力部材575bおよび、戻りバネ(弾性部材、付勢部材)575cにより構成される。現像ユニット509のうち、現像カバー部材532と第二駆動伝達部材571と伝達解除機構575を除く構成については、実施例4と同じであるため、その説明を省略する。
なお、以下において説明する部品の形状には複数箇所に略同形状が均等な間隔に配置されいるものがあるが、図中においては、代表して1カ所のみに符号を示している。
カップリング部材577は実施例4において説明した第二伝達部材477に相当する構成であり、第二伝達部材477と類似した形状を有している。すなわち、カップリング部材577は外径部577aと内径部577bからなる円筒形状部577cと、駆動中継部577dと、出力部材係合部577pと、回転規制端面577mを有する。出力部材係合部577pは円筒形状部577cから矢印N方向に向かって延出する部分的な円環リブであって、駆動伝達係合部577e、反転被規制部577n、軸線方向被規制部577qを有する。すなわち、出力部材係合部577pには、回転方向J下流側の周方向端面に駆動伝達係合部577e、回転方向J上流側の周方向端面に反転被規制部577n、端面側に軸線方向被規制部577qが設けられている。なお、回転規制端面577mは反転被規制部577nと同一面の一部であって、円筒形状部577c側に設けられている。
図37および図34(b)に示すように、駆動中継部577dは固定端(支持部577f)と、腕部577gと、第一の駆動力受け面としての第一被係合面577hと、被駆動連結面577jおよび導入面577kを有する。
第一被係合面577hよりも径方向内側において、カップリング部材577には空間が形成されている(図34(b)参照)。すなわちカップリング部材577の軸線周囲は開放されており、カップリング部材577の内部に、後述する画像形成装置本体の駆動軸562が進入できるようになっている。
なお、以下に説明する駆動中継部577dの形状は実施例4と類似した形状である。支持部577fは駆動中継部577dの一端側として内径部577bと接続する接続部であり、駆動中継部577dの固定端である。駆動中継部577dは、固定端(支持部577f)から、腕部577gが回転方向J下流側に延伸している。自由端近傍の半径方向内側には第一被係合面(第1の駆動力受け部、係合部)577h、自由端近傍の半径方向外側には被駆動連結面577jが設置されている。また、導入面577kは半径方向外側において、駆動中継部577dの被駆動連結面577jと腕部577gをつなぐ斜面である。このように駆動中継部577dは支持部577fを支点とした片持ち梁である。駆動中継部577dは、第一被係合面577hを移動可能に支持する支持部(弾性部材)である。
駆動中継部577d、出力部材係合部577pは略同形状で複数箇所に配置されており、本実施例では一例として、カップリング部材577の周方向に均等な間隔で3カ所配置(120°間隔、略等間隔)されている。
第一被係合面577hの形状は部分的に円弧形状を有している。駆動中継部577dが他の部品から力を受けていない自然状態において、3か所の第一被係合面577hの円弧形状に対して仮想的に内接円R51を作図した際の直径をd51とする。
次に、制御環575dは、図35(a)および図35(b)に示すように、内径側に一端側制御環被支持部575d1と、戻りバネ端係止部575d3と、外径部において半径方向に突出した被係止部575d4と、ガイド部575d11を有する。
また、図35(a)および図35(b)に示すように、制御環575dは端部において矢印M方向に向かって突出する部分的な円環リブ状の駆動連結制御部(以下、制御部)575d5を有している。図35に示すように、制御部575d5は内径側の面である駆動連結面575d6と、外径側の面であるカップリング部材支持面575d7とを有している。さらに、回転方向J下流側の周方向端面において回転被規制端面575d8を有し、回転方向J上流側の周方向端面において、第二の駆動力受け面としての第二被係合面575d9を有する。このように、駆動連結面575d6、カップリング部材支持面575d7、回転被規制端面575d8、第二被係合面575d9によって部分的な円環リブ形状を成している。また、制御部575d5の端部において、半径方向内側に伸びる抜け止め形状部575d10を有する。
尚、図37に示すように、制御部575d5の厚み、すなわち、駆動連結面575d6からカップリング部材支持面575d7の距離を厚みtと定義する。(具体的には厚みtは1.5mmに設定している)。制御部575d5は回転軸線Xを中心として周方向に均等な間隔で複数箇所に配置されている。本実施例では3か所配置(120°間隔、略等間隔)されている。
ここで、被係止部575d4とガイド部575d11の位置を通り、回転軸線Xに直交する面を切断面として、駆動側から見た断面図を図38(a)と図38(b)に示す。図38(a)は制御部材576が制御環575dの回転を許容する第一位置に位置しており、また、制御環575dは駆動伝達状態における位置である第一の回転位置にある状態を示している。
次に、図38(b)は制御部材576が第二位置であって、制御部材576が制御環575dの被係止部575d4を係止している状態であり、制御環575dは駆動遮断状態における位置である第二の回転位置にある状態を示している。
ガイド部575d11は被係止部575d4の略同一半径上において、被係止部575d4から回転方向J上流側に向かって円周状に延びたリブであり、ガイド部575d11の自由端側の先端をガイド部先端部575d12とする。
被係止部575d4およびガイド部575d11は回転軸線Xを中心として周方向に均等な間隔で3か所箇所(120°間隔、略等間隔)に配置されている。
続いて、出力部材575bおよび戻りバネ575cの構成説明を加えながら、伝達解除機構575を構成する部品間の関係について詳細に説明する。
出力部材575bについて説明する。出力部材575bは、図35(a)および図35(b)に示すように、被係合穴部575b1、係合溝575b2、制御環係合軸575b3、制御環軸線方向規制面(以下、単に規制面)575b4、戻りバネ端他端側係止部575b5、カップリング係合部575b6を有する。
図35(b)に示すカップリング係合部575b6は駆動伝達被係合面575b7、反転規制面575b8、軸線方向規制面575b9および、回転方向先端面575b10を有している。具体的にカップリング係合部575b6の形状について説明する。ある一位相における規制面575b4と接続するように円環リブ形状が軸線方向の矢印M方向に延出している。この円環リブ形状には回転方向J下流側において回転方向先端面575b10が設けられ、回転方向J上流側において駆動伝達被係合面575b7が設けられている。さらに、駆動伝達被係合面575b7は規制面575b4よりも軸線方向の矢印N方向に伸びており、駆動伝達被係合面575b7よりも回転方向J上流側に配置される反転規制面575b8との間で凹部を形成する。軸線方向規制面575b9は凹部の底面であり、駆動伝達被係合面575b7と反転規制面575b8との間に配置される。そして、反転規制面575b8は次の位相における規制面575b4と接続して、略同形状で周方向に均等な間隔で3か所に配置される。
カップリング係合部575b6はカップリング部材577の出力部材係合部577pと係合する。図36(b)にはカップリング係合部575b6と出力部材係合部577pの係合部を示している。駆動伝達被係合面575b7はカップリング部材577の駆動伝達係合部577eと係合し、カップリング部材577の駆動力を受けるための駆動力受け部である。また、反転規制面575b8はカップリング部材577の反転被規制部577nと係合し、カップリング部材577が回転方向-Jに回転することを規制する。また、図36(a)に示すように、軸線方向において、軸線方向規制面575b9はカップリング部材577の軸線方向被規制部577qと面しており、カップリング部材577の軸線方向位置を規制する。
このように、出力部材575bとカップリング部材577は回転方向に係合されており、一体的に回転することができる。出力部材575bをカップリング部材577の一部とみなすこともできる。
また、出力部材575bとカップリング部材577とが一体的に回転する際には、出力部材係合部577pおよびカップリング係合部575b6は、回転方向先端面575b10(図35(b)図38)を先頭にして回転する。
次に、制御環575dと出力部材575bおよびカップリング部材577との関係について説明する。
図36(b)に示すように、制御環575dは一端側制御環被支持部575d1において、出力部材575bの制御環係合軸575b3により一端側を回転可能に支持されている。また、制御環575dの端部において矢印M方向に向かって突出する制御部575d5は、図37に示すように、外径側の面であるカップリング部材支持面575d7がカップリング部材577の内径部577bに対して回動可能に係合している。尚、本実施例においても、駆動中継部577dと制御部575d5はそれぞれ3か所設置されているが、それぞれが相対可能となるように配置されている。また、後述するように本実施例においても制御環575dはカップリング部材577に対して回転軸線Xを中心に相対的に移動可能であり、駆動遮断状態と駆動伝達状態によって、制御環575dとカップリング部材577との相対位置が切り替わる。すなわち、本実施例においても制御環575dは駆動伝達状態である第一の位置(第一の回転位置)と、駆動遮断状態である第二の位置(第二の回転位置)とを移動することが可能である。
図36(a)および図36(b)に示すように、制御環575dにおける被係止部575d4とガイド部575d11は、軸線方向において、出力部材575bの規制面575b4と、カップリング部材577の円筒形状部577cとの間に配置されている。ガイド部575d11の半径方向内側にはカップリング部材577の出力部材係合部577pと、出力部材575bのカップリング係合部575b6が配置されている。また、出力部材575bのカップリング係合部575b6における回転方向先端面575b10は、制御環575dが第一の回転位置と第二の回転位置のどちらの位置においてもガイド部575d11に覆われている状態である。すなわち、回転方向先端面575b10はガイド部先端部575d12よりも回転方向Jの下流側に配置されている。
次に、図35(a)、図35(b)、図36(b)、図38(b)を用いて戻りバネ(弾性部材)575cについて説明する。図35に示すように、戻りバネ575cは捩じりコイルバネである。
図36(b)に示すように、コイル部分575c1は出力部材575bの制御環係合軸575b3に支持されている。戻りバネ575cの一端側アーム部575c2は制御環575dの戻りバネ端係止部575d3に係合し、他端側アーム部575c3は出力部材575bの戻りバネ端他端側係止部575b5に係合する。このため、図37に示すように、戻りバネ575cは出力部材575bと制御環575dとの間で作用し、制御環575dに対して回転軸線X上において矢印K方向にモーメントM5を与えている。この戻りバネ575cによる矢印K方向のモーメントM5は、制御環575dの制御部575d5がカップリング部材577の被駆動連結面577jから退避する側に移動するように、制御環575dに対して作用している。その結果として、制御環575dに外部からの力が付勢されていない状態においては、制御環575dは第二の位置(第二の回転位置)にあり、駆動連結制御部575d5が被駆動連結面577jから退避している状態である。
本実施例では実施形態の一例として、伝達解除機構575をユニット化し、組立性を向上させている。そのために、図36(b)に示すように、出力部材575bの戻りバネ端他端側係止部575b5において、戻りバネ575cの他端側アーム部575c3を軸線方向に係止している。そして、戻りバネ575cの一端側アーム部575c2により、制御環575dを軸線方向に係止し、制御環575dの抜け止め形状部575d10により、カップリング部材577の駆動中継部577dを軸線方向に係止している。
次に、伝達解除機構575と下流側伝達部材571および現像カバー部材532との関係について説明する。
下流側伝達部材(伝達ギア)571は、図32に示す円筒内部の構成以外は実施例4と同様であり、軸受部材545と現像カバー部材532とによって、その両端を回転可能に支持される。また、円筒内部の構成は実施例1と同様であって、回転軸線X上に係合軸(軸部)571aを有し、係合軸571aから半径方向に放射状に延びる係合リブ571b、伝達解除機構575と接触する長手接触端面571cを有している。
伝達解除機構575は出力部材575bの被係合穴部575b1が係合軸571aに係合され、下流側伝達部材571に対して回転軸線Xにおいて同軸上に支持される。
また、伝達解除機構575はカップリング部材577の外径部577aが現像カバー部材532の内径532qにより回動可能に支持されている。すなわち、伝達解除機構575は現像カバー部材532と下流側伝達部材571とによって、その両端を回転軸線Xにおいて同軸上に支持されている。
また、下流側伝達部材571の係合リブ571bが伝達解除機構575の係合溝575b2に挿入された状態である。これにより、伝達解除機構575が回転した際に下流側伝達部材571に駆動力を伝達することが可能となる。つまり、係合リブ571bは駆動力を受けるための駆動力受け部である。
このように、伝達解除機構575は現像ユニット509さらにはカートリッジPの中で、回転軸線Xで支持されている。伝達解除機構575は、装置本体2に装着された際に装置本体2に設けられた本体駆動軸562より第1伝達部材としてのカップリング部材577を介して駆動力を得る。
このカップリング部材577は装置本体2の本体駆動軸562に結合および離脱可能に構成されている。
[本体駆動軸の構成]
第1伝達部材としてのカップリング部材577は図33、図34(c)、図39に示す本体駆動軸562と係合し、装置本体2に設けられた駆動モータ(不図示)から駆動力が伝達される。ここで、図33を用いて本体駆動軸562の構成を説明する。
図34(c)は本体駆動軸562の斜視図であり、図39(a)は本体駆動軸562の外形図である。図39(b)は画像形成装置本体へ装着した状態であって、伝達解除機構575と本体駆動軸562が係合する前の状態において、回転軸線X(回転軸線)に沿って切断した断面図である。図39(c)は、画像形成装置本体へ装着した状態であって、伝達解除機構575と本体駆動軸562が係合した状態において、回転軸線X(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図39(b)に示すように本体駆動軸562は第一出力部材(第一本体側カップリング)562aと、第二出力部材(第二本体側カップリング)562bと、トルクリミッタ562cと、で構成される。これらは同軸状に配置されている。また本体駆動軸562は、第1伝達部材としてのカップリング部材577における回転軸線Xと略同軸上に配置されている。
本体駆動軸562は不図示の駆動モータと連結しており、駆動力を得て回転する。また、第一出力部材562aは上流側駆動軸562dと一体的に構成されて駆動力が伝達される。次に、第二出力部材562bはトルクリミッタ562cと連結されており、トルクリミッタ562cは上流側駆動軸562dに対して装着されている。すなわち、第二出力部材562bはトルクリミッタ562cを介して上流側駆動軸562dと接続されている。そのため、第二出力部材562bは所定のトルクまでは上流側駆動軸562dと一体的に回転し、所定以上のトルクが発生した場合には、上流側駆動軸562dに対して相対的に回転することができる。
続いて第1伝達部材に対して駆動を伝達する第一出力部材562aの詳細形状について説明する。
図40(a)は、図39(c)に示すSS2において回転軸線Xに対し垂直な方向に切断した断面図であり、第一出力部材562aと、第二出力部材562bと、制御環575dの制御部575d5とカップリング部材577を切断する断面図である。
図40(b)は、 図39(c)に示すSS1において回転軸線Xに対し垂直な方向に切断した断面図であり、第一出力部材562aと、第二出力部材562bと、制御環575dの制御部575d5を切断する断面図である。
図39(b)に示すように、第一出力部材562aは回転軸線に沿ってカートリッジ側に向けて突出する突起形状の駆動伝達係合部562gを備える。
駆動伝達係合部562gは、図40(a)に示すように、駆動伝達面562hと外周部562jと退避部562kを有している。そして、モータから受けた回転駆動力は、駆動伝達係合部562gに設けられた駆動伝達面562hを介してカートリッジP側の第1伝達部材としてのカップリング部材577へと伝達される。
具体的には、駆動伝達係合部562gは凸形状の多角柱であり、カップリング部材577における駆動中継部577dの設置数に合わせ、3か所の駆動伝達面562hを有する。駆動伝達係合部562gは実施例4の駆動伝達係合部474g(図29(a)など参照)と類似構造である。
駆動伝達係合部562gには、その外周部562jから回転方向J下流側に向かって駆動伝達面562hが接続され、駆動伝達面562hよりも回転方向J下流側に退避部562kが設置されている。外周部562jは多角柱の外接円R50の一部であってその直径をd50とする。
また、第一出力部材562aは回転軸線に沿ってカートリッジP側の端部に抜け止めフランジ562qを有している。抜け止めフランジ562qの直径は外周部562jの直径と同じくd50である。つまり、抜け止めフランジ562qは部分的な円弧形状であった外周部562jを円周方向に接続して円形状にしたものである。抜け止めフランジ562qが第一出力部材562aの端部に設けられることによって、抜け止めフランジ562qと駆動伝達係合部562gとを接続する抜け止め面562mが形成される。
次に、制御環に対して駆動を伝達する、第二出力部材562bの詳細形状について説明する。図39(a)および図39(b)に示すように、第二出力部材562bは第一出力部材562aと同軸上であって、第一出力部材562aよりも半径方向外側に設置されている。第二出力部材562bは回転軸線に沿ってカートリッジP側に向けて突出する円環リブ形状の第二駆動伝達部562nを備える。図40(b)に示すように、第二駆動伝達部562nの回転方向J下流側には第二駆動伝達面562pが設けられておいる。第二駆動伝達面562pはカートリッジPの第二の駆動力受け面(第二の駆動力受け部)としての第二被係合面575d9に対して駆動を伝達する。
第二駆動伝達部562nは制御環575dに設けられた第二被係合面575d9の設置数に合わせ、3か所設置されている。第二出力部材562bは上述したようにトルクリミッタ562cと連結されており、トルクリミッタ562cと連動して回転する。
[カートリッジPの本体への装着]
続いてカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を装置本体2に対して装着する際の本体駆動軸562と伝達解除機構575との係合状態について説明する。
カートリッジPを装置本体2に対して装着した後に前ドア3(図2)を閉めると、前ドア3を閉める動作に連動して、本体駆動軸562は図39(b)から図39(c)へ回転軸線Xの方向に移動し、カートリッジPに対して近接する。
この時、図37において説明したように、伝達解除機構575は装置本体2に装着する前の状態では、戻りバネ575cの作用により、制御環575dは第二の回転位置にあり、制御部575d5が被駆動連結面577jから退避している状態である。
すなわち、図40(a)に示すように、カップリング部材577の駆動中継部577dは他の部品から力を受けていない自然状態であって、3か所の第一被係合面577hが形成する内接円R51は直径d51である。
これに対して、駆動伝達部係合部562gの外周部562jにおける直径d50は次のようにd50<d51と設定している。具体的には、直径d51は9.6mmであり、直径d50は8mmである。
このように、カップリング部材577の3か所の第一被係合面577hが形成する内接円R51の直径d51の方が、本体駆動軸562の駆動伝達部係合部562gの直径d51よりも大きく設定している。これにより、カートリッジPを装置本体2に挿入することに伴って、本体駆動軸562がカップリング部材577に進入して、本体駆動軸562とカップリング部材577が係合することができる。
以下では、図38から図45を用いて、伝達解除機構575と本体駆動軸562の関係を詳細に説明する。そして、駆動遮断状態、駆動伝達動作、駆動伝達状態および駆動遮断動作など各状態や動作に対して制御環575dとカップリング部材577と本体駆動軸562との位置関係について説明していく。
図38(a)は制御部材576が制御環575dの回転を許容する第一位置に位置しており、制御環575dは駆動伝達状態における位置である第一の回転位置にある状態を示している。制御部材576が第一位置にある場合、制御部材576の当接面576bが制御環575dの被係止部575d4の回転軌跡A(二点鎖線)よりも外側に位置しており、伝達解除機構575から離れた位置である。
次に、図38(b)は制御部材576が第二位置であって、制御部材576が制御環575dの被係止部575d4を係止している状態であり、制御環575dは駆動遮断状態における位置である第二の回転位置にある状態を示している。
制御部材576が第二位置にある場合、制御部材576の当接面576bが制御環575dの被係止部575d4の回転軌跡A(二点鎖線)よりも内側に位置している。そのため、制御部材576の当接面576bは、制御環575dの被係止部575d4を係止し、制御環575dの回転を規制しようとする。
図42および図43には伝達解除機構575と現像カバー部材532と制御部材576と本体駆動軸562を示しており、各状態における各部品の位置関係を示している。
図42(a)は駆動遮断状態であって、制御部材576は第二位置であり、制御環575dは第二の回転位置である。このとき、制御部材576の当接面576bは図38(b)に示すように、制御環575dの被係止部575d4と接触している状態である。
図42(b)駆動伝達動作における一状態であって、制御部材576は第一位置であり、制御環575dは第二の回転位置から第一の回転位置に移動する際の一状態である。このとき、制御部材576の当接面576bは図38(a)に示すように、制御環575dの被係止部575d4から退避している状態である。
図43(a)駆動伝達状態であって、制御部材576は第一位置であり、制御環575dは第一の回転位置である。このとき、制御部材576の当接面576bは図38(a)に示すように、制御環575dの被係止部575d4から退避している状態である。
図43(b)駆動遮断動作における一状態であって、制御部材576は第二位置であり、制御環575dは第一の回転位置から第二の回転位置に移動する際の一状態である。このとき、制御部材576の当接面576bは図38(b)に示すように、制御環575dの被係止部575d4と接触している状態である。
以下、順に詳細の状態について説明していく。
[駆動遮断状態1]
カートリッジPを装置本体2に対して装着した直後において、伝達解除機構575は図40(a)にしめすような駆動遮断状態である。具体的に説明していく。
カートリッジPを装置本体2に対して装着した直後において本体駆動軸562と伝達解除機構575の相対的な位相により、2つの位相を想定して説明する。
まず、図41(b)に示すように、本体駆動軸562の第二出力部材562bに円環リブ状の第二駆動伝達部562nが、制御環575dに設けられた円環リブ状の制御部575d5の位相と重なる。そして軸線方向において、互いの円環リブの端面同士が接触している状態である。
この状態を装着時第一位相とする。図41(a)は装着時第一位相において、伝達解除機構575と本体駆動軸562が係合した状態において、回転軸線X(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図41(b)は、図41(a)に示すSS3において回転軸線Xに対し垂直な方向に切断した断面図であり、第一出力部材562aと、第二出力部材562bの第二駆動伝達部562nを切断する断面図である。
装着時第一位相では、本体駆動軸562が伝達解除機構575に対して最終的な位置に収まっていない状態である。
尚、第二出力部材562bは第一出力部材562aに対して、軸線方向に対して一定量相対的に移動可能であり、また第二出力部材562bは不図示の付勢ばねによって軸線方向におけるカートリッジP側に付勢された状態である。
また、第一出力部材562aは装着時第一位相においても、図41(a)に示すように、カップリング部材577に対して挿入された状態である。装着時第一位相において、装置本体2の不図示のモータが回転すると、上流側駆動軸562dおよび第一出力部材562aは回転する。ところが、カップリング部材577の3か所の第一被係合面577hが自然状態において、駆動伝達部係合部562gの直径d51よりも半径方向外側にあるために、本体駆動軸562の回転をカップリング部材577に伝達できない駆動遮断状態である。
一方、トルクリミッタ562cを介して駆動を受ける第二駆動伝達部562nは制御環575dの制御部575d5の端面と接触しながら回転する。第二駆動伝達部562nが回転すると、第二駆動伝達部562nの位相が3か所に設けられた制御部575d5の間に到達し、不図示の付勢ばねによって第二駆動伝達部562nは矢印N方向へと移動する。この結果、図39(c)および図40(a)に示すような第二駆動伝達部562nは制御部575d5の間に配置された状態となる。この状態を装着時第二位相とする。
本体駆動軸562と伝達解除機構575の位相によっては、カートリッジPを装置本体2に対して装着した直後に装着時第二位相である場合もある。
装着時第二位相において、第二駆動伝達面562pと第二被係合面575d9が非接触である場合は、制御部575d5が被駆動連結面577jから退避している状態である。本体駆動軸562の回転をカップリング部材577に伝達できない駆動遮断状態が維持される。
[駆動伝達動作]
続いて、駆動遮断状態から駆動伝達状態へ推移する駆動伝達動作について説明する。
とする。図44(a)は駆動伝達状態から駆動遮断状態へ推移する駆動遮断動作の一状態を示している。
駆動伝達動作の開始にあたり、制御部材576は、図38(a)で示されるような、制御環575dの回転を許容する第一位置に位置している。なお、このときの制御部材576の動作については、実施例1と同様なため、説明を省略する。制御部材576が第一位置である場合、制御環575dに対し制御部材576は接触しない状態であり、制御環575dの回転を許容する。
上流側駆動軸562dが図40(a)に示す状態から矢印J方向に回転すると、上流側駆動軸562dとトルクリミッタ562cを介して接続されている第二出力部材562bも回転する。このトルクリミッタ562cの効果により、第二出力部材562bの回転に必要なトルクが所定の大きさとなるまでは、第二出力部材562bが第一出力部材562aと一体的に回転する。
このため、駆動伝達動作が開始すると、停止している制御環575dに対して、第二出力部材562bは回転する。第二出力部材562bに設けられた第二駆動伝達面562pは制御環575dに設けられた第二被係合面(第二駆動力受け部、付勢力受部)575d9が接触する位置まで到達する。
制御環575dは第二被係合面575d9において、第二出力部材562bからの駆動力を受けて、カップリング部材577に対して相対的に回転し始める。つまり現像ローラやカップリング部材577が停止している状態で、制御環575dが先に駆動力(第2の駆動力、第2の回転力、付勢力)を受けて動き始める。
制御環575dの駆動連結面575d6は駆動中継部577dと非接触の状態であった図40(a)に示す駆動遮断状態1から回転が進み、図44(a)に示すように駆動連結面575d6はカップリング部材577の導入面577kと当接し始める。導入面577kは駆動中継部577dの被駆動連結面577jと腕部577gをつなぐ斜面であり、駆動連結面575d6は導入面577kと接触しながら回転方向J方向に回転を進めていく。制御部575d5は導入面577kとの接触位置T52において、導入面577kに対して力f52を発生させる。
ここで、カップリング部材577の駆動中継部577dは支持部577fを支点とした片持ち梁である。駆動中継部577dの自由端側である導入面577kが接触位置T52において駆動連結面575d6から力f52を受けることによって、駆動中継部577dには曲げモーメントM52が発生する。これによって、駆動中継部577dには支持部577fを支点とした半径方向内側への撓みが発生し、駆動中継部577dは弾性変形により半径方向内側へと移動する。
さらに制御環575dがカップリング部材577に対して相対的に回転すると、制御環575dの回転は制御環575dに設けられた回転被規制端面575d8とカップリング部材577に設けられた回転規制端面577mが接触するまで進行する。回転被規制端面575d8と回転規制端面577mが接触する状態が図44(b)に示す駆動伝達状態である。図44(b)に示す駆動伝達状態では、制御部575d5はカップリング部材577の被駆動連結面577jと接触する。
図40(a)に示す駆動遮断状態1において、カップリング部材577における内径部577bと被駆動連結面577jとの間は隙間s0であり、制御環575dにおける制御部575d5の厚みtとの関係は隙間s0<厚みtである。隙間s0に対して制御部575d5の厚みtの方が大きいため、図44(b)に示すように駆動伝達動作おいて制御環575dの回転が進むと、制御部575d5が隙間s0を押し広げる。
隙間s0に対して制御部575d5が挿入された結果、カップリング部材577の内径部577bと被駆動連結面577jとの隙間は隙間s1へと切り替わる。具体的に、隙間s1は厚みtと略同等である。また、駆動中継部577dを半径方向内側へと弾性変形させる撓み量は厚みtと隙間s0の差分に相当する。
ここで、制御部575d5が導入面577kに接触する場合における、3か所の被係合面577hの内接円の直径をd53とする。直径d53は駆動中継部577dを半径方向内側へと弾性変形した分、図40(a)に示す駆動遮断状態1における内接円R51の直径d51より小さくなる。また、駆動伝達状態における3か所の被係合面577hに対して仮想的に内接円R52を作図した際の直径をd52とする。駆動中継部577dが変形した結果の直径d52が、本体駆動軸562の駆動伝達係合部562gの外周部562jにおける直径d50に対し、d52<d50となるように制御部575d5の厚みtを設定している。
尚、駆動伝達動作による制御部575d5がカップリング部材577の導入面577gと接触しながら回転を進めると、図44(a)に示される状態から図44(b)に示される状態となる。この過程において、駆動遮断状態における内接円R51の直径d51から駆動伝達状態における内接円R52の直径d52まで段階的に内接円の直径が小さくなっていく。つまり被係合面(係合部、駆動力受け部)577hは、径方向外側の第2の位置(非係合位置)から、径方向の内側の第1の位置(係合位置)へ移動していく。
これにより、カップリング部材577の被係合面577hは本体駆動軸562の駆動伝達面562hと係合できる状態に切り替わり、図44(b)に示すように本体駆動軸562の回転を下流側伝達部材571に伝達する駆動伝達状態となる。
ここで、駆動伝達動作により駆動伝達状態に移行する過程に対して、本体駆動軸562が有するトルクリミッタ562cの設定および作用について説明する。実施例4ではトルクリミッタがカートリッジの第一伝達部材と制御環の間に設けられていたが、本実施例ではトルクリミッタ562cが画像形成装置本体の本体駆動軸562に設けられている。
トルクリミッタ562cの作用により、第二出力部材562bに作用するトルクが所定トルクまでは、第二出力部材562bは上流側駆動軸562dと一体的に回転する。また、第二出力部材562bに作用するトルクが所定以上の場合には、トルクリミッタ562cの作用により第二出力部材562bが停止したままとなるが、本体駆動軸562は回転することができる。
駆動伝達動作では、隙間s0を押し広げながら制御部575d5がカップリング部材577に対して回動する。すなわち、駆動伝達動作では、被駆動連結面577jが駆動連結面575d6と接触し、駆動中継部577dを半径方向内側へと弾性変形させる際の負荷抵抗が発生している。さらに、本実施例において、伝達解除機構575には戻りバネ575cが設置されており、制御環575dに対して矢印K方向に対してモーメントM5が作用している。この矢印K方向のモーメントM5は第二出力部材562bが制御環575dを回転方向Jに回転させる際に負荷抵抗として加わる。これらの負荷抵抗によって、第二出力部材562bの回転が停止しないようにトルクリミッタ562cの空転トルクを設定する必要がある。本実施例において、駆動中継部577dにおける半径方向内側への弾性変形量は1.6mmで設定しており、戻りバネ575cのモーメントMを1.5N・cmとし、伝達解除機構575が有するトルクリミッタ562cの空転トルクは4.9N・cmに設定している。
次に、図44(b)に示す駆動伝達状態に移行した状態では、制御環575dは回転被規制端面575d8と回転規制端面577mとが接触する位置に到達している。この状態において、制御環575dはカップリング部材577と連結する下流側伝達部材571の負荷トルクを受ける。つまり、制御環575dに対して駆動伝達する第二出力部材562bも同様に下流側伝達部材571の負荷トルクを受けている。
トルクリミッタ562cは下流側伝達部材571の負荷トルク以下で空転トルクを設定しており、下流側伝達部材571を回転させることが出来ない。つまり、第二出力部材562bおよび制御環575dはカップリング部材577に対して相対的な回転が停止しており、制御環575dがカップリング部材577から回転規制された状態となる。
この制御環575dの回転被規制端面575d8とカップリング部材577の回転規制端面577mが接触する位置を第一の位置(第一の回転位置)とする。第一の回転位置は駆動伝達状態における制御環575dの位置である。
ここで、駆動伝達動作中の一状態におけるカップリング部材577の被係合面577hの回転方向位相に対して、駆動伝達動作の説明を加える。具体的には2つの位相組み合わせにおける駆動伝達動作についての説明である。1つめの位相組み合わせは図45(a)に示すような被係合面577hの回転方向位相が、本体駆動軸562の駆動伝達係合部562gの退避部562kに位置する場合である。次に、2つめの位相組み合わせは図44(a)に示すような被係合面577hにおける回転方向位相が、駆動伝達係合部562gの外周部562jおよび駆動伝達面562hに位置する場合である。
駆動伝達動作において、制御環575dがカップリング部材577に対して相対的に回転すると、制御環575dの制御部575d5がカップリング部材577の駆動中継部577dを半径方向内側へと弾性変形させる。
図45(a)に示すように1つめの位相組み合わせである場合、被係合面577hは退避部562kに位置するため、被係合面577hは駆動伝達係合部562gと接触する前に半径方向内側へと移動可能である。そのため、第二出力部材562bの駆動伝達を受けて制御環575dは第一の回転位置に到達することが可能である。図45(a)では、被係合面(係合部、駆動力受け部)577hは、制御環575dからの付勢力を受けて、径方向内側の第1の位置に位置している。
制御環575dが第一の回転位置において、制御環575dのカップリング部材577に対する相対回転が停止する際には、3か所の被係合面577hに対する内接円R52が直径d52である。そこから本体駆動軸562がカップリング部材577に対して相対的に回転すると、図44(b)に示すような被係合面577hは駆動伝達面562hと接触する駆動伝達状態に到達する。
続いて、図44(a)に示すような2つめの位相組み合わせである場合について説明する。被係合面577hは制御部575d5により半径方向内側へと移動させられると、制御部575d5が被駆動連結面577jと接触する前に、駆動伝達係合部562gの外周部562jおよび駆動伝達面562hと接触してしまう。被係合面577hが駆動伝達係合部562gと接触した状態においては、カップリング部材577の駆動中継部577dを半径方向内側へと移動させる際に大きな抵抗が発生する。
このため、第二出力部材562bが制御環575dを回転させることが出来ずに停止してしまう。一方、本体駆動軸562は引き続き回転しているため、本体駆動軸562の駆動伝達係合部562gにおける外周部562jおよび駆動伝達面562hが被係合面577hを通過して回転が進む。結果として、2つめの位相組み合わせから被係合面577hが退避部562kに位置する1つめの位相組み合わせに切り替わり、上述した過程により被係合面577hは駆動伝達面562hと接触する駆動伝達状態に到達する。
[駆動伝達状態]
図44(b)に駆動伝達状態を示す。駆動伝達動作によって、制御環575dは制御環575dに設けられた回転被規制端面575d8とカップリング部材577に設けられた回転規制端面577mが接触する位置に到達している。この状態において、制御環575dとカップリング部材577および本体駆動軸562の駆動伝達面562hとの関係についてより詳細に説明していく。
制御部575d5は片持ち梁である駆動中継部577dの自由端側に設けられた被係合面577hに対し、回転中心Xから被係合面577hに向かう半径方向の延長線上に配置されており、被駆動連結面577jと接触している。
また、制御部575d5が有する厚みtによって、駆動中継部577dを半径方向内側へと弾性変形させている。その結果、3か所の被係合面577hに対する内接円R52の直径d52は駆動伝達係合部562gの外周部562jにおける直径d50よりも小さい。
3か所の被係合面577hが外周部562jにおける直径d50よりも半径方向内側に位置しているため、第一出力部材562aが回転すると、被係合面577hは駆動伝達面562hと接触することができる。
このときの力の状態について、図44(b)を用いて説明する。
駆動伝達面562hとカップリング部材577の被係合面577hとの駆動伝達状態における接触位置T51とする。被係合面577hは接触位置T51において駆動伝達面562hから反力f51を受けている。駆動伝達面562hは角度α51の斜面を有しており、角度α51は回転中心Xと接触位置T51とを結んだ線を基準として、半径が大きくなるに従って回転方向Jの上流側に向かう角度である。これに対し、被係合面577hは円弧形状であるために、駆動伝達面562hと被係合面577hとの接触部における反力f51は駆動伝達面562hの垂直抗力として発生する。反力f51に対し、半径方向成分f51rと接線方向成分f51tに対して、それぞれ各部の力の状態を説明する。
まず、反力f51の半径方向成分f51rは、駆動伝達面562hは角度α51の斜面を有しているため、駆動中継部577dの被係合面577hを半径方向外側へと移動させる方向の力である。これに対して、駆動中継部577dの被駆動連結面577jは、回転中心Xから被係合面577hに向かう半径方向の延長線上に位置している。つまり、制御部575d5の駆動連結面575d6と接触して半径方向成分f51rを受けている。さらに、駆動連結面575d6と厚みtを介して対向して配置される制御部575d5の外径側の面であるカップリング部材支持面575d7はカップリング部材577の内径部577bと接触している。また、さらにカップリング部材577の外径部577aは図33に示す現像カバー部材532の内径532qにより支持されている。
力f51の半径方向成分f51rは、駆動中継部577dの被係合面577hを半径方向外側へと移動させるように作用する。この際に駆動中継部577dは駆動連結面575d6とカップリング部材577と現像カバー部材532によって半径方向の移動を規制(阻止)されている状態である。そのため、半径方向成分f51rに対して、駆動中継部577dの変形を抑制することが可能であり、駆動伝達面562hと被係合面577hとの係合は安定する。つまり、制御環575dが第一の回転位置に位置しており、駆動連結面575d6と被駆動連結面577jと接触する時は安定して駆動伝達することができる。
続いて、接線方向成分f51tに対して説明する。反力f51は接線方向成分である接線力f51tを発生させており、接線力f51tによって、駆動中継部577dが回転方向Jに引っ張られてカップリング部材577を回転方向Jに回転させることができる。
駆動中継部577dは、支持部577fから、被係合面577hおよび被駆動連結面577jの設けられた自由端側に向かって、回転方向J下流側に延伸した形状である。支持部577fから回転方向J下流側に延伸する方向は被係合面577hと駆動伝達面562hとの接触における接線力f51tと略平行であることが望ましい。片持ち梁である駆動中継部577dは延伸方向への引張り剛性の方が、半径方向である撓み方向への剛性よりも大きく、本体駆動軸562からの伝達トルクに対して駆動中継部577dの変形をより小さくすることが出来る。つまり、本体駆動軸562の回転をカップリング部材577へと安定的に伝達することが可能となる。
[駆動遮断動作]
次に、駆動伝達状態から駆動遮断状態に推移するための駆動遮断動作ついて説明する。駆動遮断動作を開始するにあたり、図38(b)に示されるように、現像ユニット9が回動し離間位置に到達すると、制御部材576も回動し第二位置に移動する。なお、このときの制御部材576の動作については、実施例1と同様なため、説明を省略する。
制御環575dは、駆動伝達状態において、第二出力部材562bからの駆動を受けて本体駆動軸562およびカップリング部材577と一体的に回転している。
これに対して、制御部材576が第二位置、すなわち制御部材576の当接面576bが図38(b)に示される回転軌跡Aの内側に位置する場合、制御部材576の当接面576bは、制御環575dの被係止部575d4を係止する。制御部材576は制御環575dの回転を規制しようとする。制御部材576が制御環575dの回転を規制している状態では、制御環575dに対して駆動伝達する第二出力部材562bも同様に回転を規制された状態となる。
この状態において、本体駆動軸562が回転するとトルクリミッタ562cにおいて空転トルクを発生させながらも、本体駆動軸562は第二出力部材562bおよび制御環575dと相対的に回転し続けることができる。この様に、制御部材576が第二位置である場合、本体駆動軸562が回転している状態であっても、制御部材576によって制御環575dの回転を規制し、停止させることができる。
以下では、駆動遮断動作における本体駆動軸562と、カップリング部材577および制御管575dとの関係について説明していく。
駆動遮断動作により、制御環575dの回転を停止させた状態で、本体駆動軸562が回転すると、駆動伝達状態において本体駆動軸562と一体的に回転していたカップリング部材577は制御環575dに対して相対的に回転を進める。
尚、カップリング部材577の制御環575dに対する相対的な回転は駆動伝達面562hと被係合面577hとの係合状態が解除されるまで進んでいく。これについて具体的に説明する。
駆動遮断動作では、制御環575dは回転被規制端面575d8と回転規制端面577mが接触する図44(b)に示す第一の回転位置から回転被規制端面575d8と回転規制端面577mが離れていく。これは制御環575dが制御部材576により係止され、回転を停止している状態で、カップリング部材577が回転しているためである。このように、カップリング部材577による制御環575dに対する相対的な回転が進み、制御環575dの制御部575d5はカップリング部材577回転方向J上流側へと相対的に移動していく。
制御部575d5が駆動中継部577dの被駆動連結面577jに接触する状態では、カップリング部材577の隙間s1は維持されている。そのため、3か所の被係合面577hで形成する内接円は駆動伝達状態での直径R52と略同等である。その結果、カップリング部材577の被係合面577hと本体駆動軸562の駆動伝達面562hとの係合が維持されており、第一出力部材562aの回転をカップリング部材577に対して伝達することができる。
次に、カップリング部材577の制御環575dに対する回転が進んでいくと、図44(a)に示す状態のように、制御部575d5が駆動中継部577dの導入面577kまで到達する。制御部575d5が駆動中継部577dの導入面577kと接触しながら移動する際には、駆動伝達状態での隙間s1から駆動遮断状態での隙間s0にかけて段階的に変化していく。つまり、カップリング部材577の駆動中継部577dが半径方向内側へと変形させられた状態から、自然状態へと半径方向外側に復元する。これによって、制御部575d5が導入面577kに接触する場合における3か所の被係合面577hの内接円の直径d53が、駆動伝達状態における内接円R52から駆動遮断状態における内接円R51に向かって段階的に大きくなる。
そのため、3か所の被係合面577hの内接円と、駆動伝達係合部562gの外周部562jにおける直径d50との差が小さくなる。つまり、カップリング部材577の被係合面577hと本体駆動軸562の駆動伝達面562hとの係合量が少なくなっていく。その結果として、第一出力部材562aの回転をカップリング部材577に対して伝達することができず、カップリング部材577の制御環575dに対する相対的な回転が停止する。つまり、第一出力部材562aは回転をカップリング部材577に対して伝達できなくなった時点で駆動遮断状態へと切り替わる。
ところで、本実施例において、図38(a)と図38(b)で説明したように、制御環575dにはガイド部575d11が設けられている。制御環575dが第一の回転位置と第二の回転位置のどちらの位置においても、カップリング部材577の出力部材係合部577pと、出力部材575bのカップリング係合部575b6がガイド部575d11の半径方向内側に配置されている。
制御環575dは制御部材576により係止された状態において、回転を停止することができる。これに対し、カップリング部材577および出力部材575bは本体駆動軸562からの駆動を受けて回転している状態では、制御部材576により係止することができない。
仮に、カップリング部材577や出力部材575bに対して、制御部材576が係止した場合には、制御部材576は大きな力を受けてしまう。このため、本実施例では、制御環575dにはガイド部575d11を設け、カップリング部材577および出力部材575bに対して制御部材576が係止できないようにしている。具体的には、制御部材576の当接面576bが図38(b)に示される回転軌跡Aの内側に位置する場合、カップリング部材577および出力部材575bの回転方向Jと直交する面が当接面576bと接触しないようにガイド部575d11を設置している。これによって、制御部材576がカップリング部材577や出力部材575bに対して係止することを抑制している。つまりガイド部575d11は、制御部材576がカップリング部材577や出力部材575b等の回転を止めないように、これらの一部を覆うカバー部(覆い部)である。別の言い方をするとガイド部575d11は、制御部材576からカップリング部材577等を保護する保護部である。
[駆動遮断状態2]
先に説明した図40(a)に示す駆動遮断状態1では、駆動遮断状態における一状態として、制御環575dの駆動連結面575d6が駆動中継部577dと非接触である状態であった。ここでは、駆動遮断状態における別の一状態として、図45(b)に示すような制御部575d5が導入面577kに接触する状態である駆動遮断状態について補足的に説明する。
制御部575d5が導入面577kに接触する場合、制御部575d5と導入面577kとの接触により、駆動中継部577dが自然状態まで復元できない状態である。ここで、制御部575d5が導入面577kに接触する場合における、3か所の被係合面577hの内接円の直径をd53は駆動中継部577dが自然状態である直径d51よりも小さい。また、駆動伝達係合部562gの外周部562jにおける直径d50との関係はd50≦d51であるため、駆動伝達係合部562gの駆動伝達面562hとカップリング部材577の被係合面577hが係合し得る関係である。図45(b)に示すように、反力f51の半径方向成分f51rは、駆動中継部577dの被係合面577hを半径方向外側へと移動させる方向の力である。被係合面577hで受ける半径方向成分f51rに対して、制御部575d5は導入面577kとの接触位置T52において駆動中継部577dの変形を規制しようとする。
これに対して、駆動中継部577dの導入面577kは、回転中心Xから被係合面577hに向かう半径方向の延長線上よりも回転方向Jの上流側に位置している。そのため、半径方向成分f51rに対して、接触位置T52を支点として駆動中継部577dを半径方向外側へと変形させる曲げモーメントMkが発生し、被係合面577hが半径方向外側へと移動することを許容することができる。すなわち、3か所の被係合面577hの内接円が大きくなるように駆動中継部577dは半径方向外側へ変形することができる。その結果、内接円が駆動伝達係合部562gの外周部562jにおける直径d50と同等にまで広がった時、第一出力部材562aの回転をカップリング部材577および、下流側伝達部材571に対して遮断することができる。
このように、図40(a)に示す駆動遮断状態1に加え、図45(b)に示すような制御部575d5が導入面577kに接触する状態においても、駆動遮断状態となり得る。この図45(b)に示す駆動遮断状態を駆動遮断状態2とする。駆動遮断状態1と駆動遮断状態2になり得る理由の説明は実施例4と同様である。
制御部材576が制御環575dを係止するタイミングによって、駆動遮断状態1と駆動遮断状態2になり得る。これについて図38(b)を用いて説明する。駆動遮断動作によって、制御部材576が回転し、制御環575dの回転軌跡Aの内側に侵入すると、制御部材576は制御環575dと接触し係止することが可能である。つまり、制御部材576が制御環575dの回転軌跡Aの内側に侵入するタイミングに対して、制御環575dの被係止部575d4の回転位相が一定ではないために、制御部材576が制御環575dを係止するタイミングにばらつきが発生する。
制御部材576と制御環575dが接触したタイミングで制御環575dは回転を停止する。そして、制御環575dが回転を停止すると、カップリング部材577と制御環575dの相対的な回転が開始される。その結果、制御環575dの制御部575d5が駆動中継部577dの被駆動連結面577jから退避していく。一方、駆動遮断動作において、制御部材576は回転方向L1への回転を一定時間続けている。そのため、制御部材576が回転軌跡Aの内側であって、回転方向L1の上流側において、制御環575dと接触した場合には、制御部材576が制御環575dとの接触後も回転方向L1に回転し、制御環575dを回転方向L1に回し込む。すなわち、制御部材576の回転によって制御環575dは回転方向Jの回転方向上流側に移動させられるため、カップリング部材577との相対的な回転がより大きくなる。これによって、図40(a)に示すような駆動遮断状態1となる。
次に、制御部材576が回転軌跡Aの内側であって、回転方向L1への回転が進んだタイミングで制御環575dと接触した場合には、制御部材576が制御環575dとの接触後に制御環575dを回転方向L1に回し込む程度が小さくなる。そのため、制御部材576の回転によって制御環575dを回転方向Jの回転方向上流側に移動させる程度も小さく、結果として、制御環575dとカップリング部材577との相対的な回転は小さくなる。これによって、図45(b)に示すような駆動遮断状態2となる。
このように、駆動遮断状態は駆動遮断状態1と駆動遮断状態2のような状態になり得る。駆動遮断状態における制御環575dの位置を第二の回転位置としており、第二の回転位置は制御部575d5が駆動中継部577dの被駆動連結面577jから退避した位置である。つまり、制御部575d5が導入面577kに接触する状態から、駆動中継部577dと非接触である状態までを含む。
[本体からのカートリッジPの取り外し]
続いてカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を装置本体2から取り外す際の本体駆動軸562と伝達解除機構575との関係について説明する。
装置本体2の前ドア3(図2)を開けると、前ドア3を開ける動作に連動して、本体駆動軸562は回転軸線Xの方向に移動し、カートリッジPから退避する。第二出力部材562bは第一出力部材562aに対して、軸線方向に対して一定量相対的に移動可能である。本体駆動軸562が回転軸線XのカートリッジPから退避する方向に移動する際には、第二出力部材562bが第一出力部材562aに対して先行して移動する。
そのため、図37に示すように、第二出力部材562bの第二駆動伝達面562pが制御環575dの制御部575d5から軸線方向に退避した状態となる。一方、第一出力部材562aは軸線方向において、本体駆動軸562の駆動伝達係合部562gがカップリング部材577の第一被係合面577hに位置する状態に留まっている。
仮に、図44(b)に示す駆動伝達状態である場合、カップリング部材577の駆動中継部577dは半径方向内側へと移動しており、3か所の被係合面577hは、第一出力部材562aの抜け止めフランジ562qよりも半径方向内側に位置する状態である。これに対して、図37に示す第二駆動伝達面562pが制御部575d5から軸線方向に退避した状態では、伝達解除機構575の戻りバネ575cの作用により、御環575dは第二の回転位置に切り替わる。その結果、制御部575d5が被駆動連結面577jから退避している状態となり、カップリング部材577の駆動中継部577dが半径方向内側へと変形させられた状態から、自然状態へと半径方向外側に復元する。これによって、3か所の被係合面577hの内接円R51は、駆動伝達部係合部562gの外周部562jおよび、抜け止めフランジ562qの直径d50よりも大きくなり、第一出力部材562aが軸線方向に移動することが可能な状態となる。
[本実施例の構成と作用のまとめ]
本実施例において、伝達解除機構の別形態について説明した。上記した本実施例の構成をまとめると以下の通りである。
本実施例における伝達解除機構(クラッチ)575は、カートリッジと画像形成装置本体との境界部において駆動の伝達とその遮断を切り替える構成である。つまり伝達解除機構575は画像形成装置本体に連結するためのカートリッジの連結機構である。
伝達解除機構575は、画像形成装置本体に設けられた駆動軸562とカップリング(連結)することで画像形成装置本体から直接駆動力を受けるカップリング部材577を有している(図32参照)。言い換えると、カップリング部材はカートリッジの外部から駆動力(回転力)が入力される部材である。
カップリング部材577は、第一出力部材(第一本体カップリング)562aが備える駆動伝達係合部(第1本体側係合部)562gの駆動伝達面562hから駆動力(第1の駆動力、第1の回転力)を受ける(図34(c)、図43、図44(b)等参照)。
カップリング部材577は、実施例4における第二伝達部材477(図26、27、29参照)に相当する構成である。一方、第一出力部材562aは実施例4における第一伝達部材474(図26、27、29参照)に相当する構成である。つまり本実施例の伝達解除機構575は、実施例4における伝達解除機構475の一部を、カートリッジから画像形成装置本体に移した構成と考えることもできる。
カップリング部材577は、駆動伝達係合部562gと係合して駆動力を受けるための第一被係合面(第1の駆動力受け部、第1のカートリッジ側係合部)577hを有する(図34(b))。
第一被係合面はカップリング部材577の軸線に近づくように突出している部分である。つまり第一被係合面は、軸線に近づくように突出した突起(凸部)に設けられている。
第一被係合面577hは、駆動中継部(支持部)577dによって支持されている(図45。駆動中継部577dは片持ち梁であって、弾性変形が可能な腕部(弾性部)を有する。駆動中継部577dの腕部の弾性変形によって第一被係合部577hは実施例2~4と同じように径方向の進退移動が可能である。
この第一被係合面577hの径方向の進退によって、伝達解除機構575は駆動力の入力を受ける状態と、駆動力の入力を受けない状態を切り替える。
図43(a)に示す第一被係合面577hは、カップリング部材577の軸線に近づいた第1の位置(第1の受け部位置、内側位置、係合位置)にある。この位置にあるとき、第一被係合面577hは、第一出力部材の駆動伝達係合部562gと係合して、駆動力を受けることができる。これはクラッチがつながった状態である。
一方、図43(b)に示す第一被係合面577hは、軸線から遠ざかる第2の位置(第2の受け部位置、外側位置、非係合位置)にある。この位置にあるとき、第一被係合面577hは、第一出力部材の駆動伝達係合部562gから遠ざかるように退避(すなわち離脱)することで、係合を解消する。つまりこのとき、第一被係合面577hは駆動力を受けない状態となる。これはクラッチが切れた状態である。
また、本実施例も実施例2~4と同様に、第一被係合面577hの位置を制御するための制御機構(制御環575dと制御部材576)を有する。
制御環575dは、カップリング部材577と同じ軸線を中心に回転する回転部材であり、カップリング部材577に対して相対的に回転が可能である。制御環575dは、駆動軸562の第二出力部材(第二本体カップリング562b)から駆動力を受けるための第二被係合面(第2の駆動力受け部、第2のカートリッジ側係合部)575d9を有している(図34(b)参照)。第二被係合面575d9は、第二出力部材562bが有する第二駆動伝達部(第二本体係合部)562nの第二駆動伝達面562pから駆動力(第2の駆動力、付勢力)を受けるように構成されている(図34(c)、図45等参照)。
カップリング部材577が停止している状態(現像ローラ6が駆動されていない状態)で、先に制御環575dが回転を始めることで、以下に説明する動作によってカップリング部材577が第一出力部材562aに連結可能な状態となる。
カートリッジPを装置本体2に対して装着した直後は、図40(a)、(b)に示すように、第一被係合面577hは、第一出力部材562aから退避しており、力を受けられない第二の位置(第二の受け部位置)にいる。またこの際、制御環575dもカップリング部材577に対して第二の位置(第二の回転位置、第二の回転部材位置)にある。この状態で、第一出力部材562aと第二出力部材562bが回転を始める。すると、第二出力部材562bの第二駆動伝達面(第二本体側係合部)562pが、制御環575dの第二被係合面575d9に接触し、駆動力(第2の駆動力、付勢力)を伝える。この結果、制御環575dはカップリング部材577に対して回転方向Jに向かって回転し、図44(b)や図45(a)に示す状態となる。これは制御環575dが第一の位置(第一の回転位置、第一の回転部材位置)にある状態である。この状態では、制御環575dに設けられた制御部575d5(駆動連結面575d6)が、被駆動連結面577jに径方向内向きの付勢力を加えている。この付勢力によって、第一被係合面577hは、軸線に近づいて第一の位置(第一の受け部位置)に保持されており、第一出力部材の駆動伝達係合部562gと係合が可能になる。この結果、第一被係合面577hが、駆動伝達係合部562gから駆動力を受けてカップリング部材577も回転を始め、現像ローラ6へ向けて駆動力が伝達される。この状態となると、カップリング部材577、制御環575d、第一出力部材562a、第二出力部材562bのすべてが回転している。
制御部575d5の駆動連結面575d6は、第一被係合面577hを第一の位置に向けて付勢し、かつ、第一の位置に保持するための付勢部(保持部)である。制御部575d5は、第二駆動伝達面562pから受けた駆動力(第2の駆動力、付勢力)を用いて第一被係合面577hを第1の位置に付勢する。制御部575d5の第二被係合面575d9は、第一被係合面577hを第1の位置に向けて付勢するための付勢力を第二駆動伝達面562pから受けるための付勢力受部である。
図45(a)等に示されるように、制御部575d5は、第一被係合面577hよりも軸線から遠くに位置する。別のいいかたをすると制御部575d5の回転半径は、第一被係合面577hの回転半径よりも大きい。
また第二被係合面575d9や駆動連結面575d6が設けられた制御部575d5は、カートリッジの外側に向けて突出している。別の言い方をすると、制御部575d5は、軸線方向においてカートリッジの非駆動側から遠ざかるように突出している凸部(突起部)である。
制御部575d5の先端は、軸線方向において駆動中継部577hや第一被係合面577hよりも、さらにカートリッジの外側に近づくように配置されている(図34(b)参照)。つまり、制御部575d5(第二被係合面575d9や駆動連結面575d6)の少なくとも一部は、軸線方向において駆動中継部577hや第一被係合面577hよりも、カートリッジの駆動側に配置されている。
別の言い方をすると、制御部575d5(第二被係合面575d9や駆動連結面575d6)の少なくとも一部は、軸線方向において駆動中継部577hや第一被係合面577hよりも、カートリッジの非駆動側から遠ざかっている。
カートリッジBに第一出力部材562a、第二出力部材562bからの駆動力が入力されていない状態では、通常、制御環575dはカップリング部材577に対して第二の回転位置にある(図40(a)、(b)参照)。これは、制御環575dを第二の回転位置に付勢するための付勢部材(弾性部材、付勢部、弾性部)として、戻りバネ575c(図35参照)があるからである。戻りバネ575cは出力部材575bと制御環575dにそれぞれ連結されている。この戻りバネ575cがあるため、カートリッジBに駆動力が伝達されない際には、制御環575dが第2の位置にあって、被係合面577hも第2の位置にある。そのためカートリッジの装着時に、被係合面577hが第一出力部材562aと干渉するのを抑えることができる。つまり第一出力部材562aが円滑にカップリング部材577の内部に進入することができる。
駆動軸562が回転した際には、制御環575dは、戻りバネ575cによる弾性力(付勢力)よりも大きな駆動力を第二出力部材562bから受けて、第二の回転位置(図40参照)から第一の回転位置(図44(b)、図45参照)に移動する。この結果、カップリング部材577も第一出力部材562aと連結することができる。
本実施例においても伝達解除機構575による回転伝達・遮断を制御するための制御部材576の構成(図42等参照)は実施例1の制御部材76(図7や図10参照)と同様である。本実施例の制御部材576も従来技術に対して、実施例1と同様の効果を得ることができる。つまり、現像ユニット9の回動角度に対して、制御部材576と伝達解除機構575との位置関係を安定して保つことができることにより、確実に駆動の伝達および遮断を切り替えることができる。これにより、現像ローラ6の回転時間の制御ばらつきを少なくすることができる。
現像枠体が現像位置(図38(a)参照)から非現像位置(図38(b)参照)に移動することに応じて制御部材576は制御環575dの回転を止める。この際、制御部材576は、制御環575dに係合している第二出力部材562bの回転も止める。第二出力部材562bはトルクリミッタ562c(図39(c))を介して第一出力部材562aと連結されているが、このときにはトルクリミッタ562cは上記連結を解除する。そのため、第二出力部材562bの回転が停止しても第一出力部材562aは回転を続けることができる。
制御環575dの回転が停止した後も、カップリング部材577は第一出力部材562aによって回転される。カップリング部材577の回転によって、制御環575dは、第一の回転位置(図44(b)、図45参照)から第二の回転位置(図40、図41参照)へ相対回転することになる。
この結果、制御環575dの制御部575d5がカップリング部材577から離れるので(退避するので)、第一被係合面577hは軸線から遠ざかる方向への移動が許容される(図40参照)。通常、制御環575dが第二の位置へ移動すると、駆動中継部577dの弾性変形が解消されることで、第一被係合部577hも第二の位置(第二の受け部位置:図40参照)まで退避移動することができる。この結果、第一被係合部577hは第一出力部材562aからの駆動力を受けない状態となる。制御環575dだけでなくカップリング部材577も停止し、現像ローラ6(図26参照)の回転駆動も停止された状態となる。これを駆動遮断状態1と呼ぶ。
なお駆動中継部577dの弾性復元力が弱い(あるいは弾性復元力ががない)場合や、制御環575dとカップリング部材577の相対回転が小さい場合には、第一被係合部577hが第二の位置まで退避できないこともある。
しかしながらこの場合であっても、第一被係合部577hが、回転している第一出力部材562aの駆動伝達面562hに接触すると、第一被係合部577hには径方向外向きに作用する力f51が加わる(図45(a))。その結果、第一被係合部577hは、駆動伝達面562hに接触するたびに第二の位置へ退避移動する。第一被係合部577hは駆動力を受けられないか、駆動力の受け入れが極端に制限される。このためカップリング部材577の回転が停止される(あるいは実質的にカップリング部材577の回転がきわめて制限され停止しているものとみなせる)。これを駆動遮断状態2と呼ぶ。このように本実施例は駆動遮断状態2をとり得るため、駆動中継部577dに外力が加わらない状態で必ずしも第一被係合部577hが第二の位置(非係合位置)に退避している必要はない。
まとめると、制御環575dは、第二の回転位置に移動することによって、第一被係合部577hを第二の位置に移動させるか、あるいは、第一被係合部577hが第二の位置に移動するのを許容すればよい(図40、図45(b))。
このようにして、制御部材576は、伝達解除機構575に対する駆動力の入力状態と、入力の停止状態の切り替えを制御している。現像枠体が非現像位置に移動すると、制御部材576は、駆動力の入力が停止されるように伝達解除機構575(制御環575d)に作用する。
つまり、制御部材576の先端の係止部が制御環575dと接触できる第二位置(係止位置)である場合、制御環575dが制御部材576により係止され、回転を停止される。これによって伝達解除機構575は本体駆動軸562の回転がカートリッジに入力されることを止め、下流側伝達部材571の回転を止める。
本実施例においては、実施例4と同様に、駆動伝達面562hと駆動中継部577dの被係合面577hとの係合領域において、半径方向外側へと移動させる方向の力f51rが発生するように駆動伝達面562hの形状を設定している。これに対して、駆動中継部577dの被駆動連結面577jは、回転中心Xから被係合面577hに向かう半径方向の延長線上において、制御部575d5の駆動連結面575d6と接触して半径方向成分f51rを受けている。このように、半径方向成分f51rに対して、駆動中継部577dの変形を抑制するように構成することによって、駆動伝達面562hと被係合面577hとの係合は安定させている。これによって、実施例1から3と同様に安定して、本体駆動軸562の回転を下流側伝達部材571に伝達することが可能となる。
また、駆動伝達状態における駆動中継部577dの被係合面577hの位置は、制御部575d5の厚みtがカップリング部材577における内径部577bと被駆動連結面577jとの隙間に挿入されることによって定まる。このため、例えば、駆動中継部577dがクリープ変形等で自然状態における形状が変化していた場合においても、駆動伝達状態における駆動中継部577dの被係合面577hの位置は安定する。繰り返し伝達/遮断をした場合においても同様に駆動伝達状態における駆動中継部577dの被係合面577hの位置は安定する。
駆動中継部577dが他の部品から力を受けていない自然状態における3か所の被係合面577hに対する内接円R51の直径d51を駆動伝達部係合部562gの外周部562jにおける直径d50に対して、d50≦d51とした。理想的にはd50<d51であることが好ましく、自然状態における3か所の被係合面577hが駆動伝達部係合部562gの外周部562jと離れている方が駆動遮断状態における被係合面577hと外周部562jによる接触を抑制できる。その結果として、被係合面577hと外周部562jが接触する際において、本体駆動軸562に発生する微小な負荷変動を抑制することができる。しかし、本実施例においては、d50≦d51であっても安定して駆動遮断状態にできることを説明してきた。すなわち、本実施例においては、駆動遮断状態では、制御環575dは回転を規制されて停止し、制御環575dの駆動連結面575d6が被駆動連結面577jから退避した状態である。また、駆動伝達面562hと駆動中継部577dの被係合面577hとの係合部において、半径方向外側へと移動させる方向の力f51rが発生するように駆動伝達面562hの形状を設定している。駆動遮断状態では、半径方向成分f51rに対して、駆動中継部577dの半径方向外側への変形を許容しており、3か所の被係合面577hの内接円が大きくなるように駆動中継部577dは半径方向外側へ変形することができる。
本体駆動軸562の駆動伝達面562hと駆動中継部577dの被係合面577hとが接触可能な状態であった場合においても、本体駆動軸562の回転がカップリング部材577および、下流側伝達部材571に対して伝達されることを遮断することができる。つまり、駆動中継部577dの被係合面577hを駆動伝達面562hから非接触にする必要がなく、被係合面577hを退避する量を小さくすることができる。結果として、実施例2および実施例3と比較すると回転軸に対して直交する半径方向に対して小型化が可能となる。
また、本実施例においては実施例4に対して、トルクリミッタ562cを本体駆動軸562に対して設置している。この構成においても実施例4と同様に、伝達解除機構575によって、本体駆動軸562からの回転を下流側伝達部材571に対して、駆動伝達状態と駆動遮断状態に切り替えられることを説明した。トルクリミッタ562cのような機能的な部品を本体側に設置することによって、カートリッジPのコストを低減することが可能となる。
また本実施例では、カートリッジの装着時には、カップリング部材577は第一出力部材562aが連結されない状態である。またカートリッジの取り外し時には、カップリング部材577が第一出力部材562aとの連結を解除されている状態である。そのためユーザーはカートリッジの装着と取り外しを容易にできる。その一方で、駆動軸562が回転した際には、カップリング部材577と第一出力部材562aを確実に連結できる。
<各実施例のまとめ>
以上、実施例1~5やその変形例、参考例で説明したように、現像ローラ(現像剤をその表面に担持して回転するための回転体)の回転を制御する機構として、種々の構成をとることができる。
例えば、図9等に示すように伝達遮断機構(クラッチ)の一例として、バネ(弾性部材)75cによる緩みや締まりによって駆動の伝達と遮断を切り替えるバネクラッチ75を採用することができる。また伝達遮断機構の別の例として、図16(a)~(c)、図19、図23、図29~図31、図42、図43等に示した構成をとることもできる。これらは被係合面(係合部、駆動力受け部)171a1等を径方向に進退移動させることで駆動の伝達と遮断を切り替える構成である。
また伝達遮断機構の一例として、カートリッジの内部で駆動の伝達と遮断を切り替える機構(75、170、270、375、475)を採用することができる(図9、図16(a)~(c)、図19、図23、図29~図31等参照)。つまり第一伝達部材と第二伝達部材を有し、これらの間で駆動力の伝達と遮断を行うクラッチである。
これに対し伝達遮断機構の別の例として、カートリッジと画像形成装置本体との境界領域(連結領域)において、駆動の伝達と遮断を切り替える機構(575)を採用することもできる(図32、33、34等参照)。このような伝達遮断機構575は、カートリッジ側のカップリング部材577が画像形成装置本体側の駆動軸562から駆動力が入力される状態と、入力されない状態と、を切り替えることで、駆動力の伝達と遮断を切り替える。伝達遮断機構575は、画像形成装置本体の駆動軸と連結するためのカップリング部材577を有する。
また伝達遮断機構に設けられる制御環に関しても複数の構成があり得る。図9に示す構成では、伝達遮断機構の入力部材(入力内輪、第一伝達部材)75aと出力部材(第二伝達部材)75bとを連結するためのバネ75cに制御環75bが接続されている。入力内輪75aからバネ75cを介して制御環75bが回転力を受け、制御環75bが回転する構成であった。
一方、図16に示す構造では、制御環175の駆動遮断面175cが伝達遮断機構の第二伝達部材(出力部材)171から駆動力を受けて、第二伝達部材171とともに回転するような構成をとっていた(図16(a))。
あるいは、図28に示すように、制御環475dがトルクリミッタ(バネ475c)を介して第一伝達部材474に連結され、制御環475dが第一伝達部材475の駆動力によって回転する構成もあり得る。
あるいは、図39や図43に示すように制御環575dを画像形成装置本体に設けられた第二駆動出力部材562bによって回転させることもできる。すなわち制御環575をカートリッジの内部から伝達される駆動力ではなく、カートリッジの外部から直接受ける駆動力を用いて駆動させる。
また図16(c)等に示すように、駆動遮断時に制御環175を第2の回転位置に移動させ、被係合面171a1を制御環175の駆動遮断面(付勢部、保持部)175cによって径方向の外側にある第2の位置に付勢する状態としてもよい。
また図30(a)や図45で示すような制御環(475d、575d)を用いることもできる。このような構成では、駆動伝達時に制御環(475d、575d)は第1の位置に移動し、制御環の付勢部(保持部475d5、575d5)を用いて、被係合面(駆動力受け部)477h、577hを径方向内側の第1の位置に付勢、保持する。
制御環(475d、575d)は、駆動遮断時には第2の位置へ移動することで、被係合面(477h、577h)を径方向外側の第2の位置に移動させる。あるいは制御環(475d、575d)は被係合面(477h、577h)が第2の位置に移動するのを許容する。
たとえば、図30(a)、図40(a)に示すように、駆動遮断時には、被係合面(477h、577h)を支持する支持部(駆動中継部477d、577d)の弾性力によって径方向外側の第2の位置に退避させることができる。これは上記した駆動遮断状態1と呼ぶ挙動である。
あるいは図31(b)、図45(b)に示すように、被係合面が駆動伝達部と接触した際に受ける力(f41、f51)を用いて、被係合面(477h、577h)を径方向の外側の第2の位置に移動させるようにして、駆動伝達を遮断することもできる。これは上記した駆動遮断状態2と呼ぶ挙動である。
また、被係合面171a1等は、弾性変形可能な駆動中継部(支持部、弾性部)171a等によって移動可能に支持されている。なお、図16(a)等では、被係合面を移動可能に支持するための支持部(駆動中継部)の形状として片持ち梁を開示したが、図18、図19、図20に示すように、その他の構成をとることもできる。
また、被係合面(駆動力受け部)は、径方向外向きに移動することで係合を解除するような構成に限られない。図18では、被係合面が径方向内向きに移動することで係合を解除する構成を示している。
このように実施例1~5では、現像ローラ(表面に現像剤を担持する回転体)へ向けた駆動力の伝達を制御するために種々の構成を開示した。異なる実施例の構成の一部を互いに組み合わせて実施するなどしてもよい。