JP7139332B2 - 第xi因子抗体および使用方法 - Google Patents

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Description

本出願は、それが参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、2016年12月23日に出願された、米国仮出願第62/438,648号明細書の利益を主張する。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2017年12月18日に作成された前記ASCIIコピーは、PAT057548-WO-PCT_SL.txtと名付けられ、82,506バイトのサイズである。
血栓症とは、血栓性素因または凝固亢進状態として公知の遺伝性危険因子と、後天性危険因子との組合せに後続する、血管内部の血栓形成を指す。血管壁の損傷、うっ血、血小板の反応性の増大、および凝血因子の活性化は、血栓症の根源的な特色の一部である。血栓症は、静脈循環および動脈循環のいずれにおいても生じる可能性があり、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、および脳卒中の発症を結果としてもたらしうる。動脈系内で血栓が生じると、下流で虚血症が生じることから、急性冠動脈症候群(ACS)、虚血性脳卒中、および急性下肢虚血症がもたらされうる。静脈系内の血栓形成は、深部静脈血栓症、肺塞栓症、および慢性血栓塞栓性肺高血圧症をもたらすことが典型的である。凝血はまた、心房細動(AF)を伴う患者の左心耳内でも形成される可能性があり、脱離した血栓は、重篤となる可能性のある合併症、すなわち、血栓塞栓性脳卒中および全身性塞栓症を結果としてもたらしうる。低分子量ヘパリン(LMWH)、トロンビンインヒビター、および第Xa因子(FXa)インヒビターを含む、現在利用可能な抗血栓薬は全て、著明な出血リスクと関連する(Weitz J.I. (2010) Thromb. Haemost. 103, 62)。止血に影響を及ぼさず、したがって、出血合併症を結果としてもたらさない抗血栓剤の開発が、強く所望される。
現行の抗凝固剤は、注射されるか、または経口服用される。注射用の抗凝固性LMWHは、広く使用されており、かつて適用された未分画ヘパリンを上回る治療プロファイルの改善をもたらしている。過去数十年間にわたり、最も一般に使用された経口抗凝固剤は、ワルファリンであった。ワルファリンは、治療ウィンドウが狭く、このため、凝固状態についての頻繁なモニタリングを要求し、様々な薬物間相互作用を示す。より近年では、経口で利用可能な直接的FXaおよびトロンビンインヒビターが、抗凝固剤市場に参入し、適用を増大させている。
LMWH、FXaインヒビター、およびトロンビンインヒビターは全て、手術後の静脈血栓塞栓性疾患の予防、自発的なDVTおよび肺塞栓症の処置、ならびに心房細動における脳卒中の予防に効果的である。しかし、これらの抗凝固剤はまた、旧来の薬物であるワルファリンおよび未分画ヘパリンについて観察される出血合併症と一般に同等な出血合併症とも関連する。ADVANCE-2臨床試験では、FXaインヒビターアピキサバン(Eliquis)が、人工膝関節置換術後の患者において、LMWHであるエノキサパリンと比較された。急性アピキサバン療法は、静脈血栓塞栓性疾患を予防するのに、エノキサパリンより効果的であったが、いずれの薬剤も、著明な出血リスクと関連した。臨床的に関与性の出血は、アピキサバンを施される患者の4%、およびエノキサパリンで処置された患者の5%において生じた(Lassen, M.R., et al (2009) N. Engl. J. Med. 361, 594)。
RE-LY試験では、直接的トロンビンインヒビターであるダビガトラン(Pradaxa)が、心房細動および脳卒中のリスクを伴う患者において、ワルファリンと比較された(Connolly, S.J., et al. (2009) N. Engl. J. Med. 361, 1139)。慢性ダビガトラン療法は、脳卒中または全身性塞栓症のリスクの著明な低下と関連した。しかし、大量出血の合併症が、毎日150mgのダビガトランを施される患者の3.1%、およびワルファリンを施される患者の3.4%において生じた(p=0.31)。
心房細動(AF)は依然として、臨床実践において、最も一般的な心不整脈であり、心調律異常のための入院の約3分の1を占める。現在、AFは、欧州において、600万を超える患者に、および米国において、約230万に影響を及ぼすと推定されており、老化人口の比率の増大のため、この数は、急速に増大し続けている。65歳を超える人口の約5%、および80歳を超える人々の10%が、AFを発症すると推定されているが、AFの有病数は、年齢だけで説明される有病数を超えて増大しつつある。高血圧症、うっ血性心不全、左室肥大、冠動脈疾患、および糖尿病、ならびに閉塞性睡眠時無呼吸症などのAF危険因子もまた、増加しつつある。AFに罹患する個体の数はそれ自体、欧米人において、今後30年間で、2~3倍に増大することが期待される(Kannel and Benjamin (2008) Med Clin North Am. 2008; 92:17-40; Bunch, et al. (2012) J Innovations of Card Rhythm Manag 2012; 3: 855-63)。
AFの主要なリスクは、塞栓性脳卒中の4~5倍の増大である。AFとの関連に帰着しうる脳卒中のリスクは、年齢と共に急激に増大し、80~89歳では、23.5%に増大する。AFは、いずれの性別においても、死亡率の倍増と関連する(Kannel and Benjamin 2008)。AFはまた、認知機能の低下および認知症の全ての形態とも非依存的に関連する(Marzona, et al. (2012) CMAJ 2012; 184: 329-36; Geita et al 2013; Bunch et al 2012)。
AFを伴う大半の患者は、心塞栓性脳卒中および全身性塞栓症を予防するのに、生涯にわたる抗凝固療法を要求する。CHA2DS2-VAScリスクスコアは、妥当性が確認され、心房細動患者における血栓塞栓性のリスクを予測し、抗凝固療法から利益を得る患者を同定するのに広く使用されている層別化ツールであり(LIP 2011、Camm, et al. (2012) Eur Heart J 2012; 33: 2719-2747)、証拠の蓄積は、CHA2DS2-VAScが、脳卒中および血栓塞栓症を発症する患者を同定するのに、CHADS2などのスコアと少なくとも同程度に正確であるか、または、おそらく、これらより優れており、AFを伴う患者であって、「真にリスクの小さな」患者を同定するのには、決定的に優れていることを示す。AF患者の85~90%は、抗凝固療法を要求することが推定される。
脳卒中および全身性塞栓症の低減における、ビタミンKアンタゴニスト(VKA)の効果について査定する、6つの試験を含むメタアナリシスでは、脳卒中発症率のリスクの、高度に有意な低減が観察された(脳卒中のリスクの相対的低減は67%であった)。全死因死亡率は、用量を調整したVKAにより、対照と対比して有意に低減された(26%)(Hart, Pearce, and Aguilar (2007) Ann Intern Med 2007; 146:857-867)。2~3の間のINR(international normalized ratio)目標値が、最良の利益-危険比と関連し(Hylek et al (2003) N Engl J Med; 349:1019-1026)、国際ガイドラインおよび国内ガイドラインで広く採択されている。
近年では、直接的経口抗凝固剤(DOAC)とも称する、新たな経口抗凝固剤(NOAC)が、承認され、臨床実践に導入されている。これらの薬物は、血栓塞栓性疾患の低減において、ワルファリンと、少なくとも同程度に効果的であるか、またはなお優れている(Connolly, et al. (2009) N Engl J Med; 361:1139-51; Connolly, et al. (2011) N Engl J Med; 364:806-17; Patel, et al. (2011) N Engl J Med 2011; 365:883-91)。NOACはまた、ワルファリンの最も重篤な合併症、すなわち、出血性脳卒中および頭蓋内出血の大幅な低減とも関連した。大量出血事象は、良好に施されたワルファリン療法と同等であるか、またはわずかに少なかった。加えて、NOACは、ワルファリンより小さな薬物間相互作用の可能性と関連し、ルーチンのモニタリングを伴わずに使用することができ、これは、日常的な医療実践におけるそれらの使用を容易とすることが期待される。
近年の改善にもかかわらず、抗凝固剤の使用に伴う出血リスクは、依然として高いままである。例えば、大量出血および臨床的に関与性の非大量出血の年間発症率は、14.9%であり、ROCKET研究で、リバーロキサバンにより処置された患者における、大量出血事象の年間発症率は、3.6%であった(Patel et al 2011)。出血リスクが高く、HAS Bledリスクスコアが≧3であると規定された患者における、大量出血の年間発症率は>5%であった(Gallego, et al. (2012) Carc Arrhythm Electrophysiol.; 5:312-318)。大量出血は、特に関与性の大きな臨床転帰であり、例えば、ROCKET研究では、大量出血が生じた場合、全死因死亡率は、リバーロキサバン群において20.4%およびワルファリン群において26.1%であった。大量出血事象が生じた場合、リバーロキサバン群およびワルファリン群、それぞれの患者の4.7%および5.4%で、脳卒中および全身性塞栓症が生じた(Piccini, et al. (2014) Eur Heart J; 35:1873-80)。入院、血液製剤の輸液、および血液供給源の活用もまた、大量出血の発生から重大な影響を受けた。出血リスクはまた、適格性患者において抗凝固剤を施さない、主要な理由でもある。35カ国の182の病院ならびに5333人の外来AF患者および入院AF患者からのデータを含む、Euro Heart Survey on Artial Fibrillationでは、適格性患者の67%が、退院時に経口抗凝固剤を施されるに過ぎなかった(Nieuwlaat, et al (2005) Eur Heart J;26, 2422-2434)。
したがって、既存の治療と同等な有効性を伴うが、易出血性を低下させた、脳卒中、全身性塞栓症、認知機能の低下、および死亡率など、AFの血栓塞栓性合併症を低減しうる、より安全な治療に対する満たされていない大きな医療上の必要が存在する。
本開示は、ヒトの第XI凝固因子およびXIa(活性型第XI因子)(以下、場合によって、「FXI」、「FXIa」、および類似の用語で称する)に結合するモノクローナル抗体、およびこれを含む医薬組成物、およびこれを投与するステップを含む処置方法に関する。血栓症または血栓塞栓性疾患/障害(例えば、血栓性脳卒中、心房細動、心房細動における脳卒中の予防(SPAF)、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、肺塞栓症、急性冠動脈症候群(ACS)、虚血性脳卒中、急性下肢虚血症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、全身性塞栓症)の予防および処置において効果的であるが、出血リスクを保有しないか、または最小限の出血リスクを保有するに過ぎない抗血栓剤を開発すれば、満たされていない大きな医療上の必要が満たされるであろう。本明細書ではまた、本明細書で記載される抗FXI抗体で処置されるか、またはこれを投与される患者における、出血または出血リスクを管理する方法も提示される。
具体的な態様では、本明細書で提示される抗体(例えば、ヒトモノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体)は、ヒトのFXIaおよびFXIの触媒ドメイン(CD)に、同様の高アフィニティーで結合し、FXIa内で、不活性のプロテアーゼドメインコンフォメーションを誘導する。
本明細書で記載される、単離抗FXI抗体および/または抗FXIa抗体、例えば、本明細書で記載される2つの結合性部位を伴う全長IgGは、FXIおよび/またはFXIaに、100pM以下の平衡解離定数(K)で結合する。例えば、本明細書で記載される単離抗体は、ヒトのFXIおよび/またはFXIaに、100pM以下、50pM以下、45pM以下、40pM以下、35pM以下、20pM以下、または10pM以下のKで結合しうる。より具体的には、本明細書で記載される単離抗体はまた、ヒトのFXIおよび/またはFXIaに、AM4について溶液中平衡滴定アッセイ(SET)により測定される0.2pM以下のKで結合することも可能である。
本明細書で記載される、単離抗FXI抗体および/または単離FXIa抗体ならびに抗原結合性断片を使用して、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/もしくはトロンビンの、直接的もしくは間接的な活性化、ならびに/または血小板受容体への結合を阻害することができ、これにより、内因系凝固経路および/または共通凝固経路の活性化を防止することができる。
本明細書で記載される、単離抗FXI抗体および/または単離FXIa抗体ならびに抗原結合性断片を使用して、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/またはトロンビンの、直接的または間接的な活性化を、100nM以下、50nM以下、35nM以下、25nM以下、10nM以下、または5.2nM以下のIC50で阻害することができる。より具体的には、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片は、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/またはトロンビンの、直接的または間接的な活性化を、100nM以下、50nM以下、35nM以下、25nM以下、10nM以下、または5.2nM以下のIC50で阻害しうる。より具体的には、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片は、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/またはトロンビンの、直接的または間接的な活性化を、100nM以下、50nM以下、35nM以下、25nM以下、20nM以下、または18nM以下のIC50で阻害しうる。より具体的には、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片は、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/またはトロンビンの、直接的または間接的な活性化を、100nM以下、50nM以下、35nM以下、25nM以下、10nM以下、または5nM以下のIC50で阻害しうる。具体的な実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、その天然の基質であるFIXの、FXIaを媒介する活性化を、2nM以下の、例えば、1.8nMのIC50で阻害する。
単離抗FXI抗体および/もしくは単離抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片を使用して、例えば、FXIおよび/またはFXIaを媒介するFIXの活性化の阻害を介して、内因系凝固経路および/または共通凝固経路を阻害する(例えば、これらの活性化を遮断する)ことができる。したがって、単離抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片を使用して、凝血または凝血の拡大を防止することができる。単離抗体またはその抗原結合性断片は、FXIを媒介するFIXの活性化を阻害することにより、深部静脈血栓症などの凝固障害および脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)を予防、処置、または改善するのに使用することができる。
具体的な実施形態では、抗FXI抗体および/もしくは抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片は、例えば、実施例節で記載されるaPTTアッセイにより決定される通り、濃度依存的に、ヒト血漿の凝血時間(例えば、血餅が形成し始めるまでの時間)を延長することが可能である。具体的な実施形態では、凝血時間(aPTT)は、aPTTアッセイにより決定される通り、全抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)濃度を、10nM~20nMの範囲、例えば、約11nM、13nM、または14nM(例えば、実施例5において記載される通り)としたとき、ベースラインと比較して倍増した。特定の実施形態では、抗FXI抗体および/もしくは抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片は、例えば、実施例節で記載されるaPTTアッセイにより決定される通り、5nM~20nMの範囲、例えば、約13nMのIC50で、濃度依存的に、ヒト血漿の凝血時間を延長することが可能である。
具体的な態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体および/もしくは抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片は、非常に低濃度の組織因子(TF)の存在下において、FXIa阻害の、トロンビン→FXIaのフィードフォワードループに対する効果を測定する、ヒト血漿中のトロンビン生成アッセイ(TGA)において、トロンビンの量を濃度依存的に低減することが可能である。特定の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体および/もしくは抗FXIa抗体、またはそれらの抗原結合性断片は、例えば、実施例節で記載される通り、ヒト血漿中のトロンビン生成アッセイ(TGA)において、トロンビンの量を、5nM~10nMの範囲、例えば、約5nM、6nM、または9nMのIC50値、および約85nM~185nMの残留トロンビン濃度で低減することが可能である。
本明細書の具体的な態様では、ヒトFXIおよび/またはFXIaの触媒ドメインに特異的に結合する抗体(例えば、AM1、AM2、AM3、もしくはAM4など、表2における抗体、または抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、HCDR 1~3およびLCDR 1~3を含む抗体)またはそれらの抗原結合性断片が提示される。
本明細書で記載される単離抗FXI抗体および/もしくは単離FXIa抗体、またはその抗原結合性断片は、モノクローナル抗体、ヒトまたはヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、Fv断片、F(ab’)2断片、またはscFv断片、および/またはIgGのアイソタイプ(例えば、ヒトIgG1などのIgG1)でありうる。具体的な実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体および/または抗FXIa抗体は、組換えヒト抗体である。具体的な実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体および/または抗FXIa抗体は、ヒトIgG1/ラムダ(λ)抗体である。具体的な実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体および/または抗FXIa抗体は、エフェクター機能(例えば、ADCCおよび/またはCDC)の可能性を低減するように操作されたFcドメイン、例えば、D265A置換および/またはP329A置換を含むヒトFcドメインを含むヒトIgG1/ラムダ(λ)抗体である。
本明細書で記載される単離抗FXI抗体および/もしくは単離FXIa抗体またはそれらの抗原結合性断片はまた、アミノ酸が、ヒトVH生殖細胞系列配列またはヒトVL生殖細胞系列配列のそれぞれに由来する抗体フレームワークに置換されたフレームワークも含みうる。
本開示の別の態様は、表2に記載されているFabの完全重鎖および軽鎖配列を有する単離抗体またはその抗原結合性断片を含む。特定の態様では、表2に記載されている単離抗体またはその抗原結合性断片は、表1に記載されている抗体、例えば、抗体NOV1401の重鎖配列および軽鎖配列を含まない。より具体的には、単離抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の重鎖配列および軽鎖配列を含みうる。
本明細書のさらなる態様では、表2に記載されている抗体/Fabの、重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む単離抗体またはその抗原結合性断片が提示される。特定の態様では、表2に記載されている単離抗体またはその抗原結合性断片は、表1に記載されている抗体、例えば、抗体NOV1401の、重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含まない。より具体的には、単離抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含みうる。
本明細書のさらなる態様は、Kabat CDR、IMGT CDR、Chothia CDR、または組合せCDRなど、表2に記載されている抗体の重鎖可変ドメインCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)配列と、軽鎖可変ドメインCDR(すなわち、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)配列とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片を含む。より具体的には、単離抗体またはその抗原結合性断片は、Kabat CDR、IMGT CDR、Chothia CDR、または組合せCDRなど、例えば、表2に提示された抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含みうる。
本開示はまた、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4など、本明細書で記載される、例えば、表2に記載されている抗体およびそれらの断片のVLポリペプチドおよび/またはVHポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸にも関する。本開示はまた、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4など、本明細書で記載される、例えば、表2で記載されている抗体およびそれらの断片の軽鎖ポリペプチドおよび/または重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸にも関する。
本開示は、本明細書で記載される核酸分子の1つまたは複数を含むベクターに関する。本明細書の特定の態様では、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4など、本明細書で記載される、例えば、表2に記載されている抗体およびそれらの断片のVLポリペプチドおよびVHポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターの集団が提示される。本明細書の特定の態様では、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4など、本明細書で記載される、例えば、表2に記載されている抗体およびそれらの断片の軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターの集団が提示される。
本開示はまた、本明細書で記載した抗体の重鎖をコードする組換えDNA配列と、本明細書で記載した抗体の軽鎖をコードする第2の組換えDNA配列とを含む単離宿主細胞にも関し、この場合、前記DNA配列は、プロモーターに作動可能に連結され、宿主細胞内で発現することが可能である。抗体は、ヒトモノクローナル抗体でありうることが企図される。また、宿主細胞は、非ヒト哺乳動物細胞であることも企図される。
本開示はまた、本明細書で記載される抗体のVHをコードする組換えDNA配列と、本明細書で記載される抗体のVLをコードする、第2の組換えDNA配列とを含む単離宿主細胞であって、前記DNA配列を、プロモーターに作動可能に連結し、宿主細胞内で発現させることが可能な単離宿主細胞にも関する。抗体が、ヒトモノクローナル抗体でありうることが想定される。一実施形態ではまた、宿主細胞が、非ヒト哺乳動物細胞であることも想定される。
本開示はまた、FXIおよび/もしくはFXIaの発現、ならびに/または内因系凝固経路および/もしくは共通凝固経路の活性化を低減する方法であって、細胞を、有効量の、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片を含む組成物と接触させるステップを含む方法にも関する。
本開示はまた、FXIおよび/もしくはFXIaの、FIXへの結合を阻害する方法であって、細胞を、有効量の、本明細書で記載される単離抗体またはその抗原結合性断片を含む組成物と接触させるステップを含む、方法にも関する。
一態様では、細胞は、ヒト細胞であることが企図される。細胞は、対象中にあることがさらに企図される。一実施形態では、細胞は、血小板であることが企図される。特定の実施形態では、対象が、ヒトであることもさらに想定される。
本開示はまた、対象における、血栓塞栓性疾患または血栓塞栓性状態を処置、改善、または予防する方法であって、対象に、有効量の、本明細書で記載される抗体またはそれらの抗原結合性断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)を含む組成物を投与するステップを含む方法にも関する。一態様では、血栓塞栓性疾患は、血栓性障害(例えば、血栓症、血栓性脳卒中、心房細動、心房細動における脳卒中の予防(SPAF)、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、および肺塞栓症)である。具体的な実施形態では、対象が、ヒトであることが想定される。
特定の態様では、前出の単離抗体またはその抗原結合性断片のいずれも、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片でありうる。
本開示の非限定的実施形態は、以下の態様において記載される。
1.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR2が、
(i)X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDであり、HCDR2が、配列番号4ではない]、
(ii)X1-X2-X3-X4-X5-X6(配列番号60)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、HCDR2が、配列番号8ではない]、および
(iii)I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T(配列番号61)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、HCDR2が、配列番号10ではない]
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
2.(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、アミノ酸配列X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様1の抗体または抗原結合性断片。
3.(i)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、アミノ酸配列X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様1の抗体または抗原結合性断片。
4.(i)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6(配列番号60)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]を含み、HCDR2が、配列番号8ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、
態様1の抗体または抗原結合性断片。
5.(i)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、アミノ酸配列I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T(配列番号61)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]を含み、HCDR2が、配列番号10ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様1の抗体または抗原結合性断片。
6.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、(i)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(ii)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR2が、配列番号27、28、29、38、39、40、45、46、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
7.(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号47のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様6の抗体または抗原結合性断片。
8.(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号39のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様6の抗体または抗原結合性断片。
9.(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号28のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号29のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
態様6の抗体または抗原結合性断片。
10.HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
11.HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
12.HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号28、39、または46のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
13.HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号29、40、または47のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
14.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、表2から選択される相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、表2から選択される相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
15.VHが、組み合わされたHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、組み合わされたLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、態様14の抗体または抗原結合性断片。
16.VHが、KabatによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、KabatによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、態様14の抗体または抗原結合性断片。
17.VHが、ChothiaによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、ChothiaによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、態様14の抗体または抗原結合性断片。
18.VHが、IMGTによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、IMGTによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、態様14の抗体または抗原結合性断片。
19.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM1の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
20.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM2の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM2の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
21.FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
22.VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
23.VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号55のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
24.VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
25.VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
26.VHが、配列番号30のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
27.重鎖が、配列番号32、43、50、または53のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号57または36のアミノ酸配列を含む、態様6の抗体または抗原結合性断片。
28.重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号57のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
29.重鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
30.重鎖が、配列番号43のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
31.重鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、態様22の抗体または抗原結合性断片。
32.VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、態様6の抗体または抗原結合性断片。
33.VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、態様6の抗体または抗原結合性断片。
34.ヒトモノクローナル抗体である、態様1~33のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片。
35.ヒト化モノクローナル抗体である、態様1~33のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片。
36.ヒトIgG1アイソタイプ抗体である、態様1~35のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片。
37.ヒトIgG2アイソタイプ抗体またはヒトIgG4アイソタイプ抗体である、態様1~35のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片。
38.単鎖抗体、Fab断片、Fv断片、F(ab’)2断片、またはscFv断片である、態様1~33のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片。
39.態様1~38のいずれか1つの抗体またはその抗原結合性断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
40.血栓塞栓性障害を処置する、または血栓塞栓性障害のリスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または抗原結合性断片を含む、有効量の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
41.対象が、心房細動および深部静脈血栓症と関連する脳卒中の1つまたは複数に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、態様40の方法。
42.対象が、心房細動と関連する脳卒中に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、態様40の方法。
43.対象が、心房細動に罹患している、態様40の方法。
44.脳卒中を予防、処置する、または脳卒中のリスクを管理、または低減する方法であって、それを必要とする対象に、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または抗原結合性断片を含む、有効量の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
45.対象が、心房細動に罹患している、態様44の方法。
46.血栓塞栓性障害を処置する、または血栓塞栓性障害のリスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、1つまたは複数のスタチン療法と組み合わせた、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または断片を含む、有効量の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
47.態様1~38のいずれか1つの抗FXI抗体または抗原結合性断片で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、抗FXI抗体に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与するステップを含み、抗イディオタイプ抗体またはその断片が、抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転(reverse)させる、方法。
48.抗イディオタイプ抗体またはその断片が、抗FXI抗体の抗凝固効果を一時的に逆転させるために、対象に1回または2回投与される、態様47の方法。
49.態様1~38のいずれか1つの抗FXI抗体または抗原結合性断片で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、以下:(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子の投与のうちの1つにより、出血を管理するのに十分な時間にわたって抗凝固効果を一時的に逆転させるステップを含む方法。
50.対象に、抗FXI抗体に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片の、1、2、3、4、または5回の投与を行うステップを含み、抗イディオタイプ抗体またはその断片が、抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転させる、態様40~46のいずれか1つの方法。
51.以下:(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子の投与のうちの1つにより、出血を管理するのに十分な時間にわたって抗凝固効果を一時的に逆転させるステップを含む、態様40~46のいずれか1つの方法。
52.態様1~38のいずれか1つの抗FXI抗体または抗原結合性断片の、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片により処置されている患者における抗凝固効果を逆転させるための方法であって、有効量の、抗FXI抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与するステップを含む方法。
53.態様1~38のいずれか1つの抗FXI抗体に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片であって、抗FXI抗体の抗凝固活性を、少なくとも30%、または少なくとも40%逆転させる抗イディオタイプ抗体またはその断片。
54.態様1~38のいずれか1つに記載の抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬。
55.態様1~38のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片のVL、VH、またはVLおよびVHをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
56.態様1~38のいずれか1つの抗体または抗原結合性断片の重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖をコードする、態様55のポリヌクレオチド。
57.表2に記載の核酸配列を含む、態様55のポリヌクレオチド。
58.態様55~57のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
59.態様58のベクターを含む宿主細胞。
60.真核細胞である、態様59の宿主細胞。
61.哺乳動物細胞である、態様59の宿主細胞。
62.抗FXI/FXIa抗体またはその断片を作製する方法であって、態様59~61のいずれか1つの宿主細胞を、抗FXI/FXIa抗体またはその断片の発現に適した条件下で培養するステップを含む方法。
63.抗FXI/FXIa抗体またはその断片を精製するステップをさらに含む、態様62の方法。
64.心房細動を伴う患者における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを低減する方法であって、患者に、治療有効量の、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または抗原結合性断片を投与するステップを含む方法。
65.患者が、非弁膜症性心房細動を有する、態様64の方法。
66.患者が、証明された(demonstrated)、高い出血リスクを有する、態様64または65の方法。
67.慢性腎疾患を伴う患者における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを低減する方法であって、患者に、治療有効量の、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または抗原結合性断片を投与するステップを含む方法。
68.患者が、末期腎不全(ESRD)を有する、態様67の方法。
69.患者が、ESRDを有し、透析を受けている、態様67の方法。
70.患者が、非弁膜症性心房細動を有する、態様69の方法。
71.患者が、証明された、高い出血リスクを有する、態様70の方法。
72.対象における、血栓塞栓性障害のリスクを処置または管理または低減する方法における使用のための、態様39に記載の医薬組成物または態様54に記載の医薬。
73.対象が、心房細動および深部静脈血栓症と関連する脳卒中の1つまたは複数に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、前出の態様のいずれか1つに記載の医薬組成物または医薬。
74.対象が、心房細動と関連する脳卒中に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、前出の態様のいずれか1つに記載の医薬組成物または医薬。
75.対象が、心房細動に罹患している、前出の態様のいずれか1つに記載の医薬組成物または医薬。
76.対象における、脳卒中のリスクを防止、処置、または管理、または低減する方法における使用のための、態様39に記載の医薬組成物または態様54に記載の医薬。
77.対象が、心房細動に罹患している、態様76に記載の医薬組成物または医薬。
78.血栓塞栓性障害のリスクを処置または管理または低減する方法であって、医薬組成物または医薬を、それを必要とする対象に、1つまたは複数のスタチン療法と組み合わせて投与するステップを含む方法における使用のための、態様39に記載の医薬組成物または態様54に記載の医薬。
79.血栓塞栓性障害のリスクを処置または管理または低減するための医薬の調製における、態様1~38のいずれか1つに記載の抗体または抗原結合性断片の使用。
用語
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が関する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
「FXIタンパク質」、「FXI抗原」、および「FXI」という用語は、互換的に使用され、異なる種における第XI因子タンパク質を指す。第XI因子とは、限定的なタンパク質分解により、活性型のセリンプロテアーゼに転換されると、血液凝固の内因系経路に参与するチモーゲンとして、ヒト血漿中に、25~30nMの濃度で存在する糖タンパク質である、哺乳動物の第XI血漿凝固因子である。
「FXIaタンパク質」、「FXIa抗原」、および「FXIa」という用語は、互換的に使用され、異なる種における活性型FXIタンパク質を指す。チモーゲンである第XI因子は、血液凝固の接触相を介して、または血小板表面上の、トロンビンを媒介する活性化を介して、その活性形態である第Xla凝固因子(FXIa)に転換される。第XI因子のこの活性化時に、内部のペプチド結合は、2つの鎖の各々に切断され、ジスルフィド結合により共に保持された、2つの重鎖および2つの軽鎖から構成されるセリンプロテアーゼである、活性型第Xla因子を結果としてもたらす。このセリンプロテアーゼであるFXIaは、第IX凝固因子を、IXaに転換し、続いて、IXaは、第X凝固因子を活性化させる(Xa)。次いで、Xaは、第ll凝固因子/トロンビンの活性化を媒介しうる。例えば、ヒトFXIは、表1(配列番号1)に示される配列を有し、先行の報告および文献(Mandle RJ Jr, et al. (1979) Blood;54(4):850、NCBI基準配列:AAA51985)において記載されている。
本開示の文脈では、「FXI」および「FXIa」(など)という用語は、天然のFXIタンパク質およびFXIaタンパク質のそれぞれの突然変異体および変異体であって、上述の報告において記載されている、天然の一次構造(アミノ酸配列)のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する突然変異体および変異体を含む。
「触媒ドメイン」、「セリンプロテアーゼ触媒ドメイン」という用語、および本明細書で使用される同様な用語は、循環中の成熟タンパク質のN末端のGlu1から数えた、アミノ酸Ile370~Val607を意味する。これはまた、FXIのC末端における残基388~625としても記載することができる。本明細書で使用される「活性部位」という用語は、アミノ酸であるHis413、Asp462、およびSe557を含む、触媒性三残基を意味する(Bane and Gailani (2014) Drug Disc. 19(9))。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合性断片(すなわち、「抗原結合性部分」)またはそれらの単鎖体を意味する。全抗体は、ジスルフィド結合により相互接続される少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、VHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、VLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメインであるCLを含む。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域を散在させた、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよび各VLは、アミノ末端からカルボキシ末端に、以下の順序で配置される3つのCDRおよび4つのFR:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4からなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、宿主組織または免疫系の多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む因子への結合を媒介しうる。
本明細書で使用される、抗体の「抗原結合性部分」または「抗原結合性断片」という用語は、所与の抗原(例えば、XIa因子(FXIa))に特異的に結合する能力を保持する、インタクトな抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合性機能は、インタクトな抗体の断片により果たされうる。抗体の抗原結合性部分または抗原結合性断片という用語内に包含される結合性断片の例は、Fab断片、VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)断片、VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片、VHドメインまたはVLドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)断片(Wardら、1989 Nature 341:544~546)、ならびに単離相補性決定領域(CDR)を含む。
さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLドメインおよびVHドメインは、個別の遺伝子によりコードされるが、組換え法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖として作製することを可能とする人工のペプチドリンカーにより付着することができ、この場合、VL領域およびVH領域は、対合して一価分子(単鎖Fv(scFv)として公知であり、例えば、Birdら、1988 Science 242:423~426、およびHustonら、1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879~5883を参照されたい)を形成する。このような単鎖抗体は、抗体の1つまたは複数の抗原結合性部分または抗原結合性断片を含む。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技法を使用して得られ、断片も、インタクトな抗体と同じ形で有用性についてスクリーニングされる。
抗原結合性断片はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR、およびbis-scFv(例えば、HollingerおよびHudson、2005、Nature Biotechnology、23、9、1126~1136を参照されたい)に組み込むこともできる。抗体の抗原結合性部分は、III型フィブロネクチン(Fn3)などのポリペプチド(フィブロネクチンポリペプチドモノボディについて記載する米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)に基づく足場にグラフトすることができる。
抗原結合性断片は、相補的な軽鎖ポリペプチドと併せて抗原結合性領域の対を形成する、タンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む単鎖分子に組み込むことができる(Zapataら、1995 Protein Eng. 8(10):1057~1062、および米国特許第5,641,870号明細書)。
本明細書で使用される「アフィニティー」という用語は、単一の抗原性部位における抗体と抗原との間の相互作用の強度を指す。各抗原性部位内では、抗体「アーム」の可変領域は、多数の部位において、弱い非共有結合的力を介して抗原と相互作用し、相互作用が大きいほど、アフィニティーは強くなる。抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab断片)について本明細書で使用される「高アフィニティー」という用語は一般に、10-9M以下のK(例えば、10-10M以下のK、10-11M以下のK、10-12M以下のK、10-13M以下のK、10-14M以下のKなど)を有する抗体または抗原結合性断片を指す。
「アミノ酸」という用語は、自然発生のアミノ酸および合成アミノ酸のほか、自然発生のアミノ酸と同様の形で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体も指す。自然発生のアミノ酸とは、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸のほか、後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンでもある。アミノ酸類似体とは、自然発生のアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合したアルファ炭素を有する化合物を指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、自然発生のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、自然発生のアミノ酸と同様の形で機能する化学化合物を指す。
本明細書で使用される「結合特異性」という用語は、1つの抗原決定基だけと反応する個別の抗原結合部位の能力を指す。
抗体(例えば、FXI結合性抗体および/またはFXIa結合性抗体)に「特異的に(または選択的に)結合する」という語句は、タンパク質および他の生体物質の異質な集団内のコグネイト抗原(例えば、ヒトのFXIおよび/もしくはFXIaまたはカニクイザルのFXIおよび/もしくはFXIa)の存在を決定する結合反応を指す。本明細書では、「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という語句は、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と互換的に使用される。
「FXIおよび/またはFXIaを媒介する」という用語は、FXIおよび/またはFXIaが、第IX因子(また、FIXとしても公知である)、第X因子(FX)、および/もしくはトロンビンを、直接的もしくは間接的に活性化させることにより、かつ/または血小板受容体に結合することにより、内因系凝固経路および/または共通凝固経路を媒介するという事実を指す。
「止血」という用語は、損傷部位における血流を止めるための主要な機構、および創傷治癒時に血管の開存を回復するための主要な機構のそれぞれを表す。正常な止血および病理学的血栓症では、3つの機構:活性化血小板の、血管壁との相互作用を意味する一次止血、フィブリンの形成、および線溶と称する過程が同時に活性化する。
「凝固および凝固カスケード」、「凝固のカスケードモデル」などという用語は、創傷を密封するように形成される凝血を安定化させるのに用いられる、タンパク質ベースの系を指す。凝固経路とは、タンパク質分解性カスケードである。経路の各酵素は、血漿中に、活性化すると、タンパク質分解性切断を受けて、前駆体分子から活性の因子を放出する、チモーゲン(不活性形態にある)として存在する。凝固カスケードは、活性化過程を制御する一連の正および負のフィードバックループとして機能する。経路の最終目標は、次いで、可溶性フィブリノゲンを、凝血を形成するフィブリンに転換しうる、トロンビンを産生することである。
トロンビンの生成過程は、3つの相:内因系経路、および活性の凝血因子:FXa(活性型第X因子)を生成させるための代替的な経路である外因系経路、およびトロンビンの形成を結果としてもたらす、最終的な共通経路に分けることができる(Hoffman M.M. and Monroe D.M. (2005) Curr Hematol Rep. 4:391 -396; Johne J, et al. (2006) Biol Chem. 387:173-178)。
「血小板の凝集」とは、血管の破断が生じたら、正常では血流と直接接触しない物質が曝露される過程を指す。これらの物質(主に、コラーゲンおよびフォンヴィレブランド因子)は、血小板が、破断した表面に接着することを可能とする。血小板は、表面に付着すると、さらなる血小板を損傷領域に誘引する化学物質を放出するが、これを血小板の凝集と称する。これらの2つの過程が、出血を止める最初の応答である。
本明細書で使用される「血栓塞栓性障害」という用語または類似の用語は、内因系凝固経路および/または共通凝固経路が、異常に活性化しているか、または自然に不活化しない(例えば、治療手段を伴わずに)、任意の数の状態または疾患を指す。これらの状態は、血栓性脳卒中、心房細動、心房細動における脳卒中の防止(SPAF)、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、および肺塞栓症を含むがこれらに限定されない。これらはまた、カテーテルが血栓性となるカテーテル関連状態(例えば、がん患者におけるヒックマンカテーテル)、およびチュービングが凝血を発症させる体外式膜型人工肺(ECMO)も含みうる。
本明細書で使用される「血栓塞栓性」という用語または類似の用語はまた、本開示の抗FXI Abおよび/もしくは抗FXIa Abまたはそれらの抗原結合性断片を使用して防止または処置しうる、任意の数の以下のもの:
・発作性心房細動もしくは発作性心房粗動、遷延性心房細動もしくは遷延性心房粗動、または永続性心房細動もしくは永続性心房粗動などの心不整脈を疑われるか、または確認されている対象における血栓塞栓症、
・心房細動における脳卒中の防止(SPAF)を伴う対象であって、その亜集団が、経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受けるAF患者である対象、
・出血リスクが大きな患者における、急性静脈血栓塞栓性事象(VTE)の処置、および長期的な続発性VTEの防止、
・一過性虚血性発作(TIA)または非機能障害誘発性脳卒中の後の二次防止における大脳および心血管事象、ならびに洞調律を伴う心不全における、血栓塞栓性事象の防止における大脳および心血管事象、
・心不整脈のための心除細動を受ける対象における、左心房内の凝血形成および血栓塞栓症、
・心不整脈のためのアブレーション手順の前、その間、およびその後における血栓症、
・静脈血栓症であり、これは、下肢または上肢における、深部静脈血栓症または表在静脈血栓症、腹部静脈および胸部静脈における血栓症、静脈洞血栓症および頸静脈血栓症の処置および二次防止を含むがこれらに限定されない、
・カテーテルまたはペースメーカーの導線など、静脈内の任意の人工表面上の血栓症、
・静脈血栓症を伴うかまたは伴わない患者における肺塞栓症、
・慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、
・破裂したアテローム性プラーク上の動脈血栓症、動脈内の人工装具上またはカテーテル上の血栓症、および見かけ上正常な動脈内の血栓症であり、これらは、急性冠動脈症候群、ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞、不安定狭心症、ステント血栓症、動脈系内の任意の人工表面の血栓症、および肺高血圧症を伴うかまたは伴わない対象における肺動脈血栓症を含むがこれらに限定されない、
・経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者における、血栓症および血栓塞栓症、
・心塞栓性脳卒中および潜因性脳卒中、
・侵襲性および非侵襲性のがん性悪性腫瘍を伴う患者における血栓症、
・留置カテーテルにわたる血栓症、
・重病患者における血栓症および血栓塞栓症、
・心血栓症および血栓塞栓症であり、これらは、心筋梗塞後における心血栓症、心動脈瘤、心筋線維症、心肥大および心機能不全、心筋炎、ならびに心臓内の人工表面などの状態と関連する心血栓症を含むがこれらに限定されない、
・心房細動を伴うかまたは伴わない、心弁性心疾患を伴う患者における血栓塞栓症、
・心弁用の機械的または生物学的人工装具にわたる血栓塞栓症、
・単純型心奇形または複合型心奇形の心臓修復術後において、天然または人工の心パッチ、動脈または静脈の導管を有した患者における血栓塞栓症、
・人工膝関節置換術、人工股関節置換術、および整形外科術、胸部手術または腹部手術の後における、静脈血栓症および血栓塞栓症、
・頭蓋内インターベンションおよび脊髄インターベンションを含む神経外科術の後における、動脈血栓症または静脈血栓症、
・第V因子 Leiden、プロトロンビンの突然変異、抗トロンビンIII、プロテインC欠損症およびプロテインS欠損症、第XIII因子の突然変異、家族性異常フィブリノゲン血症、先天性プラスミノゲン欠損症、第XI因子レベルの上昇、鎌状赤血球病、抗リン脂質症候群、自己免疫疾患、慢性腸疾患、ネフローゼ症候群、溶血性尿毒症、骨髄増殖性疾患、播種性血管内凝固、発作性夜間ヘモグロビン尿症、およびヘパリン誘導性血小板減少症を含むがこれらに限定されない、先天性または後天性の血栓性素因、
・慢性腎疾患における血栓症および血栓塞栓症、ならびに
・血液透析を受ける患者、および体外式膜型人工肺を受ける患者における、血栓症および血栓塞栓症
指す場合がある。
「キメラ抗体」という用語は、(a)抗原結合性部位(可変領域)を、クラス、エフェクター機能、および/もしくは種が異なるか、またはクラス、エフェクター機能、および/もしくは種を改変された定常領域、あるいはキメラ抗体に新たな特性を付与する全く異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結するように、定常領域またはその一部を、改変するか、置きかえるか、または交換した抗体分子、あるいは(b)可変領域またはその一部を、抗原特異性が異なるか、または抗原特異性を改変された可変領域により改変するか、置きかえるか、またはこれと交換した抗体分子を指す。例えば、マウス抗体は、その定常領域を、ヒト免疫グロブリンに由来する定常領域で置きかえることにより修飾することができる。ヒト定常領域による置きかえに起因して、キメラ抗体は、ヒトにおける抗原性を、元のマウス抗体と比較して低減しながら、抗原の認識におけるその特異性を保持しうる。
「保存的に修飾された変異体」という用語は、アミノ酸配列および核酸配列のいずれにも適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体とは、同一なアミノ酸配列もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一な配列を指す。遺伝子コードの縮重性のために、多数の機能的に同一な核酸が、所与の任意のタンパク質をコードする。例えば、コドンであるGCA、GCC、GCG、およびGCUのいずれも、アミノ酸であるアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより指定されるあらゆる位置で、コードされるポリペプチドを改変せずに、コドンを、記載された対応するコドンのいずれかに改変することができる。このような核酸変異は、保存的に修飾された変異の1種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする、本明細書のあらゆる核酸配列はまた、核酸のあらゆる可能なサイレント変異についても記載する。当業者は、核酸内の各コドン(通常メチオニンだけのコドンであるAUG、および通常トリプトファンだけのコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一な分子をもたらしうることを認識するであろう。したがって、記載される各配列内では、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異が含意されている。
ポリペプチド配列では、「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸の、化学的に類似するアミノ酸による置換を結果としてもたらす、ポリペプチド配列への個別の置換、欠失、または付加を含む。当技術分野では、機能的に類似するアミノ酸を提示する保存的置換表が周知である。このような保存的に修飾された変異体は、本開示の多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子に追加されるものであり、これらを除外するものではない。以下の8つの群:1)アラニン(A)、グリシン(G)、2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、4)アルギニン(R)、リシン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、7)セリン(S)、トレオニン(T)、および8)システイン(C)、メチオニン(M)は、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を含有する(例えば、Creighton、Proteins(1984)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴にそれほど大きな影響を及ぼしたりこれを改変したりしないアミノ酸修飾を指すのに使用する。
「エピトープ」という用語は、抗体への特異的な結合が可能なタンパク質決定基を意味する。エピトープは通例、アミノ酸または糖側鎖など、化学的に活性な表面分子群からなり、通例、特異的な三次元構造特徴のほか、特異的な電荷特徴も有する。コンフォメーショナルエピトープと非コンフォメーショナルエピトープとは、前者への結合は、変性溶媒の存在下で失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。競合結合アッセイにおいて、当業者に周知の方法のいずれかにより、一方の抗体が、第2の抗体と同じエピトープに結合することが示される場合、2つの抗体は、「競合する」という。
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域およびCDR領域のいずれもが、ヒト由来の配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、このようなヒト配列、例えば、ヒト生殖細胞系列配列またはヒト生殖細胞系列配列の突然変異させたバージョンに由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroにおけるランダム突然変異誘発もしくは部位特異的突然変異誘発により導入された突然変異、またはin vivoにおける体細胞突然変異により導入された突然変異)を含みうる。
「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、単一の結合特異性を提示する抗体であって、フレームワーク領域およびCDR領域のいずれもが、ヒト配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を使用して調製する。
「ヒト化」抗体とは、ヒトにおける免疫原性は小さいが、非ヒト抗体の反応性を保持する抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、抗体の残りの部分を、それらのヒト対応物(すなわち、可変領域の定常領域ならびにフレームワーク部分)で置きかえることにより達成することができる。例えば、Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:6851~6855、1984; MorrisonおよびOi、Adv. Immunol.、44:65~92、1988; Verhoeyenら、Science、239:1534~1536、1988; Padlan、Molec. Immun.、28:489~498、1991、およびPadlan、Molec. Immun.、31:169~217、1994を参照されたい。ヒト操作技術の他の例は、US5,766,886において開示されているXoma技術を含むがこれらに限定されない。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における「同一な」または「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の配列または部分配列が同じであることを指す。以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または手作業のアライメントおよび目視により測定される比較域または指定領域にわたり、最大の対応性について比較され、配列決定された場合の、2つの配列の、指定された百分率のアミノ酸残基またはヌクレオチドが同じであれば(すなわち、指定される領域にわたる、または、指定されない場合は、配列全体にわたる、60%の同一性、任意選択で、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の同一性を有すれば)、2つの配列は「実質的に同一」である。任意選択で、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド(または10アミノ酸)の長さの領域にわたり、またはより好ましくは、100~500、または1000ヌクレオチド以上(または20、50、または200アミノ酸以上)の長さの領域にわたり存在する。
配列比較では、1つの配列が、それに照らして被験配列を比較する基準配列として働くことが典型的である。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験配列および基準配列をコンピュータに入力し、必要な場合は、部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用することもでき、代替的なパラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメータに基づき、被験配列について、基準配列と比べた配列同一性パーセントを計算する。
本明細書で使用される「比較域」は、2つの配列を最適に配列決定した後で、配列を、同じ数の連続的な位置による基準配列と比較しうる、20~600、通例約50~約200、より通例では、約100~約150からなる群から選択される連続的な位置の数のいずれか1つによるセグメントに対する言及を含む。当技術分野では、比較のための配列アライメント法が周知である。比較のための最適な配列アライメントは、例えば、SmithおよびWaterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cによる局所相同性アルゴリズムにより行うこともでき、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol. 48:443、1970による相同性アライメントアルゴリズムにより行うこともでき、PearsonおよびLipman、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444、1988による類似性検索法により行うこともでき、これらアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により行うこともでき、手作業のアライメントおよび目視(例えば、Brentら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons, Inc.(Ringbou編、2003)を参照されたい)により行うこともできる。
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するのに適したアルゴリズムの2つの例は、それぞれ、Altschulら、(1977)Nuc. Acids Res. 25:3389~3402、およびAltschulら、(1990) J. Mol. Biol. 215:403~410において記載されている、BLASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationにより公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードで配列決定したときに、ある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはこれを満たす、クエリー配列内の短いワード長Wを同定することにより、高スコア配列対(HSP)をまず同定することを伴う。Tを、隣接ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称する。これらの初期の隣接ワードヒットが、これらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして働く。累積アライメントスコアが増大しうる限りにおいて、ワードヒットを、各配列に沿っていずれの方向にも拡張する。累積スコアは、ヌクレオチド配列では、パラメータM(マッチする残基の対についてのリウォードスコア、常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティースコア、常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列では、スコアリングマトリックスを使用して、累積スコアを計算する。累積アライメントスコアが、達成されたその最大値から量Xだけ低下した場合、1つまたは複数の負スコア残基のアライメントの累積のために、累積スコアが、ゼロ以下に低下した場合、または配列のいずれかの末端に達した場合は、各方向へのワードヒットの拡張を停止させる。BLASTアルゴリズムパラメータであるW、T、およびXにより、アライメントの感度および速度が決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)では、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。アミノ酸配列のためのBLASTPプログラムでは、3のワード長、および10の期待値(E)、および50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915、1989を参照されたい)アライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性についての統計学的解析(例えば、KarlinおよびAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873~5787、1993を参照されたい)も実施する。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間のマッチングが偶然に生じる確率の指標をもたらす最小合計確率(P(N))である。例えば、被験核酸を基準核酸に照らして比較したときの最小合計確率が約0.2未満であり、より好ましくは、約0.01未満であり、最も好ましくは、約0.001未満であれば、核酸は基準配列と類似すると考えられる。
2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントはまた、PAM120重み付け残基表、12のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用するALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた、E. MeyersおよびW. Miller(Comput. Appl. Biosci.、4:11~17、1988)によるアルゴリズムを使用しても決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重み付け、および1、2、3、4、5、または6の長さ重み付けを使用する、GCGソフトウェアパッケージ(インターネット上のgcg.comで入手可能である)内のGAPプログラムに組み込まれた、NeedlemanおよびWunsch(J. Mol, Biol. 48:444~453、1970)によるアルゴリズムを使用しても決定することができる。
上記で言及した配列同一性百分率以外の、2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であることの別の指標は、下記で記載される通り、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対する抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換だけによって異なる場合、ポリペプチドは、第2のポリペプチドと実質的に同一なことが典型的である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、下記で記載される通り、2つの分子またはそれらの相補体が、厳密な条件下で、互いとハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらに別の指標は、同じプライマーを使用して配列を増幅しうることである。
「単離抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、FXIおよび/もしくはFXIaに特異的に結合する単離抗体は、FXIおよび/もしくはFXIa以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、FXIおよび/もしくはFXIaに特異的に結合する単離抗体は、他の抗原に対する交差反応性を有しうる。さらに、単離抗体は、他の細胞内物質および/または化学物質を実質的に含まない場合もある。
「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりもたらされる抗体クラス(例えば、IgM、IgE、IgG1またはIgG4などのIgG)を指す。アイソタイプはまた、これらのクラスの1つの修飾バージョンも含み、その修飾は、Fc機能を改変する、例えば、エフェクター機能またはFc受容体への結合を増強または低減するように施されている。
本明細書で使用される「kassoc」または「k」という用語が、特定の抗体-抗原間相互作用の会合速度を指すことを意図するのに対し、本明細書で使用される「kdis」または「k」という用語は、特定の抗体-抗原間相互作用の解離速度を指すことを意図する。本明細書で使用される「K」という用語は、kのkに対する比(すなわち、k/k)から得られる解離定数を指すことを意図し、モル濃度(M)として表す。抗体のK値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKを決定するための方法は、Biacore(商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用して表面プラズモン共鳴を測定するか、または溶液平衡滴定(SET)により溶液中のアフィニティーを測定するステップを含む。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一の分子組成による抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性およびアフィニティーを提示する。
本明細書では、「核酸」という用語が、「ポリヌクレオチド」という用語と互換的に使用され、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらの一本鎖形態または二本鎖形態におけるポリマーを指す。「核酸」という用語は、公知のヌクレオチド類似体または修飾骨格残基もしくは修飾連結を含有する核酸であって、合成の核酸、自然発生の核酸、および非自然発生の核酸であり、基準核酸と同様の結合特性を有し、基準ヌクレオチドと同様の形で代謝される核酸を包含する。このような類似体の例は、限定なしに述べると、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)を含む。
別段に指し示されない限りにおいて、特定の核酸配列はまた、保存的に修飾されたその変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列も暗示的に包含するほか、明示的に指し示される配列も包含する。とりわけ、下記で詳述される通り、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作り出すことにより達成することができる(Batzerら、Nucleic Acid Res. 19:5081、1991; Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260:2605~2608、1985、およびRossoliniら、Mol. Cell. Probes 8:91~98、1994)。
「作動可能に連結された」という用語は、2つ以上のポリヌクレオチド(例えば、DNA)セグメントの間の機能的関係を指す。「作動可能に連結された」という用語は、転写調節配列の、転写される配列に対する機能的関係を指すことが典型的である。例えば、プロモーター配列またはエンハンサー配列は、それが、適切な宿主細胞内または他の発現系内のコード配列の転写を刺激またはモジュレートするとき、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、転写される配列に作動可能に連結されたプロモーター転写調節配列は、転写される配列と物理的に隣接する、すなわち、シス作用型である。しかし、エンハンサーなど、一部の転写調節配列は、その転写をそれらが増強するコード配列に物理的に隣接する必要も、近接して配置される必要もない。
本明細書で使用される「最適化された」という用語は、ヌクレオチド配列を、産生細胞または産生生物、一般に、真核細胞、例えば、ピキア(Pichia)属細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、またはヒト細胞において好ましいコドンを使用してアミノ酸配列をコードするように改変していることを意味する。最適化されたヌクレオチド配列は、「親」配列としてもまた公知の出発ヌクレオチド配列により本来コードされるアミノ酸配列を、完全に、または可能な限り多く保持するように操作する。本明細書の最適化された配列は、哺乳動物細胞において好ましいコドンを有するように操作されている。しかし、本明細書ではまた、他の真核細胞または原核細胞におけるこれらの配列の最適化された発現も企図される。最適化されたヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列もまた、最適化されていると称する。
本明細書では、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語が、アミノ酸残基のポリマーを指すように互換的に使用される。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する自然発生のアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーのほか、自然発生のアミノ酸ポリマーおよび非自然発生のアミノ酸ポリマーにも適用される。別段に指し示されない限りにおいて、特定のポリペプチド配列はまた、保存的に修飾されたその変異体も暗示的に包含する。
本明細書で使用される「組換えヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックまたはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス)またはこれにより調製されるハイブリドーマから単離される抗体、ヒト抗体を発現させるように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離される抗体、組換えのコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部または一部の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う、他の任意の手段により調製されるか、発現させるか、創出されるか、または単離される抗体など、組換え手段により調製されるか、発現させるか、創出されるか、または単離される、全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域およびCDR領域が、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、ある種の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、in vitroの突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合は、in vivoの体細胞突然変異誘発)にかけることができ、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH配列およびVL配列に由来し、これらに関連するが、in vivoのヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内で天然には存在しない可能性がある配列である。
「組換え宿主細胞」(または、簡単に、「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターを導入した細胞を指す。このような用語は、特定の対象細胞だけを指すことを意図するものではなく、このような細胞の子孫細胞も指すことを意図するものであることを理解されたい。後続する世代では、突然変異または環境的影響に起因して、ある種の修飾が生じうるため、このような子孫細胞は、実のところ、親細胞と同一ではない可能性もあるが、やはり本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含む。非ヒト動物は、非ヒト霊長動物(例えば、カニクイザル)、ヒツジ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類など、全ての脊椎動物(例えば、哺乳動物および非哺乳動物)を含む。特記される場合を除き、本明細書では、「患者」または「対象」という用語が互換的に使用される。本明細書で使用される「カニクイザル(cyno)」または「カニクイザル(cynomolgus)」という用語は、カニクイザル(cynomolgus monkey)(カニクイザル(Macaca fascicularis))を指す。
一実施形態では、本明細書で使用される、任意の疾患または障害(例えば、血栓塞栓性障害)「~を処置すること」またはこれらの「処置」という用語は、疾患または障害を改善すること(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を緩徐化するか、停止させるか、または軽減すること)を指す。別の実施形態では、「~を処置すること」または「処置」とは、患者により識別可能でない可能性があるパラメータを含む少なくとも1つの物理的パラメータを緩和または改善することを指す。さらに別の実施形態では、「~を処置すること」または「処置」とは、疾患または障害を、物理的にモジュレートする(例えば、識別可能な症状の安定化)か、生理学的にモジュレートする(例えば、物理的パラメータの安定化)か、または物理的かつ生理学的にモジュレートすることを指す。さらに別の実施形態では、「~を処置すること」または「処置」とは、疾患または障害の発生または発症または進行を防止するかまたは遅延させることを指す。
例えば、血栓塞栓性障害を含む、本明細書で記載される適応に関する場合の「防止」とは、例えば、下記で記載される、血栓塞栓性疾患パラメータの悪化を、血栓塞栓性障害に罹患するリスクを有するか、または前記悪化のリスクを有する患者において、防止または緩徐化する、任意の作用を意味する。
「ベクター」という用語は、それが連結された別のポリヌクレオチドを輸送することが可能なポリヌクレオチド分子を指すことを意図する。ベクターの1つの種類は、さらなるDNAセグメントをライゲーションしうる、環状の二本鎖DNAループを指す「プラスミド」である。ベクターの別の種類は、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノムにライゲーションしうる、アデノ随伴ウイルスベクター(AAVまたはAAV2)などのウイルスベクターである。ある種のベクター(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよび哺乳動物のエピソームベクター)は、それらが導入された宿主細胞における自己複製が可能である。他のベクター(例えば、非哺乳動物のエピソームベクター)は、宿主細胞に導入すると、宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、これにより、宿主ゲノムと共に複製する。さらに、ある種のベクターは、それらが作動的に連結された遺伝子の発現を方向付けることが可能である。本明細書では、このようなベクターを、「組換え発現ベクター」(または簡単に、「発現ベクター」)と称する。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドはベクターの最も一般的に使用される形態であるので、本明細書では、「プラスミド」と「ベクター」とを互換的に使用することができる。しかし、本開示は、同等な機能をもたらすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)など、発現ベクターの他の形態も含むことを意図する。
FXIa抗体NOV1090、ならびにNOV1090に由来する3つのアフィニティー成熟抗体AM1、AM2、およびAM3についてのELISA結合曲線を示す図である。図1Aは、ヒト血漿由来のFXIおよびFXIaに結合する抗体についてのELISA曲線を示す。 FXIa抗体NOV1090、ならびにNOV1090に由来する3つのアフィニティー成熟抗体AM1、AM2、およびAM3についてのELISA結合曲線を示す図である。図1Bは、カニクイザルFXIおよびウサギFXIに結合する抗体についてのELISA曲線を示す。 FXIa抗体NOV1090、ならびにNOV1090に由来する3つのアフィニティー成熟抗体AM1、AM2、およびAM3についてのELISA結合曲線を示す図である。図1Cは、ヒトプレカリクレインおよびヒトカリクレインに結合する抗体についてのELISA曲線を示す。 FXIa抗体についての、aPTT化合物による応答曲線を示す図である。プールされたヒト血漿を使用するaPTTアッセイにおいて、凝固時間を延長する、3つのアフィニティー成熟抗体(AM1、AM2、AM3)についての、代表的な応答曲線を示す。アッセイは、実施例5で記載される通り、異なる濃度の抗体の存在下で、内因系凝血カスケードを開始させた後における、凝固時間を測定する。黒線は、ロジスティック非線形当てはめモデルを使用する当てはめ(fit)を表す。点線は、凝血時間が、ベースラインと比較して倍増するとき、すなわち、2×aPTT値のときの抗体濃度であって、AM1、AM2、およびAM3について、それぞれ、14nM、13nM、および11nMである抗体濃度を指し示す。 FXIa抗体についての、TGA化合物による応答曲線を示す図である。プールされたヒト血漿を用いるTGAにおいてトロンビン生成を阻害する3つのアフィニティー成熟抗体(AM1、AM2、AM3)についての、代表的な応答曲線を示す。アッセイは、実施例5で記載される通り、異なる濃度のNOV1401の、いわゆるトロンビン→FXIaフィードフォワードループを介する、非常に低濃度の組織因子(TF)により誘発されうるトロンビン生成に対する効果を測定する。黒線は、4パラメータ用量応答曲線モデルを使用する当てはめを表す。AM1、AM2、およびAM3について、それぞれ、6nM、7nM、および9nMのIC50値を、これらの化合物応答曲線について計算した。 実施例において記載される、NOV1090の生殖細胞系列形であるNOV1401、およびNOV1090に由来するアフィニティー成熟抗体AM4についてのSET実験による、代表的な結合曲線を示す図である。K値は、実験データを、実施例において記載される、1:1結合モデルに当てはめることから決定した。
本開示は、FXIおよび/またはFXIaに特異的に結合し、その生物学的活性を阻害する抗体分子の発見に部分的に基づき、特に、チモーゲンであるFXIおよびFXIaに特異的に結合し、その生物学的活性を阻害する抗体分子の発見に部分的に基づく。本開示は、全長IgGフォーマット抗体、ならびにFab断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4)など、それらの抗原結合性断片の両方に関する。
したがって、本開示は、FXIおよび/またはFXIa(例えば、ヒト、ウサギ、およびカニクイザルのFXIおよび/またはFXIa)に特異的に結合する抗体、医薬組成物、このような抗体および組成物の作製法および使用法を提供する。
第XI因子
FXIは、内因系凝固経路および外因系凝固経路の両方において、ならびに血漿による止血の開始期および増幅期の橋渡しにおいて重要な役割を果たす。第XIIa因子およびトロンビンのいずれも、FXIを活性化させる結果として、持続的なトロンビンの生成および線溶の阻害をもたらしうる。FXIは、「血管損傷後」に、高組織因子環境下にある、正常な止血で果たす役割は小さいが、血栓症では、鍵となる役割を果たすと考えられる。重度の第XI因子欠損症は、虚血性脳卒中および静脈の血栓塞栓性事象の発症率の低下と関連する(Salomon et al 2008; Salomon, et al. (2011) Thromb Haemost.; 105:269-73)。重度の第XI因子欠損症を伴う対象における出血症状は、低頻度であり、軽度で、損傷誘導性であることが多く、口腔粘膜、鼻腔粘膜、および尿路など、線溶活性が増大した組織に影響することが好ましい(Salomon et al 2011)。致命的な臓器における出血は、極めてまれであるか、または認められていない。
血漿凝固とは、血中の凝固因子が相互作用し、活性化する、逐次的な過程であり、最終的には、フィブリンの生成および凝血の形成を結果としてもたらす。凝固の古典的カスケードモデルでは、フィブリン生成の過程は、2つの顕著に異なる経路、すなわち、内因系経路および外因系経路のそれぞれにより開始されうる(Mackman, 2008)。
外因系経路では、血管損傷は、血管外組織因子(TF)を、第VII因子(FVII)と相互作用させ、これを活性化させ、これにより、第X因子およびプロトロンビンの活性化を逐次的にもたらす。活性トロンビンは最終的に、可溶性フィブリノゲンを、フィブリンに転換する。外因系経路は、止血に中心的であり、この経路内の凝固因子に対する干渉は、出血リスクを結果としてもたらす。
内因系経路では、第XII因子は場合によって、接触活性化と称する過程により活性化しうる。活性型第XIIa因子の生成は、第XI因子および第IX因子の逐次的な活性化をもたらす。第IXa因子は、第X因子を活性化させるので、外因系経路と、内因系経路とは、この段階で合流する(共通経路)。トロンビン活性は、トロンビンが、第XI因子を、第XII因子に依存せずに活性化させる、フィードフォワードループを介して、それ自体の生成を増幅することによりブーストされる。このフィードフォワードループは、持続的な血栓成長には寄与するが、凝血の形成には、血管外組織因子による強力な活性化で十分であるので、止血への関与は、最小限に限られる。したがって、内因系経路は、止血には実質的に関与しない(Gailani and Renne (2007) Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2007, 27(12):2507-13, Mueller, Gailiani, and Renne 2011)。
様々な手法を使用して、様々な種にわたるFXIまたはFXIaを阻害する前臨床研究が、この標的の検証に寄与している。FXI-/-マウスは、実験による静脈血栓症(Wang, et al. (2006) J Thromb Haemost; 4:1982-8)および動脈血栓症(Wang, et al. (2005) J Thromb Haemost; 3:695-702)に対して抵抗性である。FXIIaによるFXIの活性化を遮断する抗体(Ab、14E11)によるマウスの処置は、実験による血栓症の阻害を結果としてもたらし(Cheng, et al. (2010) Blood, 116:3981-9)、虚血性脳卒中のマウスモデルにおける脳梗塞サイズを低減した(Leung, et al. (2012) Transl Stroke Res 2012; 3:381-9)。FXIaによるFIXの結合および活性化を遮断する抗FXI Abを投与されたヒヒでは、コラーゲンでコーティングされた血管グラフト上において、血小板に富む血栓の増殖の低減が観察され(Tucker, et al. (2009) Blood 2009; 113:936-44)、同様の結果は、このモデルにおいて、14E11によっても見出された(Cheng 2010)。これらの研究のいずれにおいても、過剰な出血は認められなかった。
マウス(Zhang, et al. (2010) Blood 2010; 116:4684-92)、カニクイザル(Younis, et al. (2012) Blood 2012; 119:2401-8)、およびヒヒ(Crosby, et al. (2013) Arterioscler Thromb Vasc Biol 2013; 33:1670-8)において、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより、FXIの合成を遮断することは、過剰な出血を伴わずに、抗血栓効果および抗凝固効果を結果としてもたらした。さらに、ラット(Schumacher, et al. (2007) Eur J Pharmacol 2007; 570:167-74)およびウサギ(Wong, et al. (2011) J Thromb Thrombolysis 2011; 32:129-37)の静脈血栓症モデルおよび動脈血栓症モデルにおいて、低分子量インヒビターでFXIaを遮断することによっても、同様な効果がもたらされている。
重度のFXI欠損症を伴う患者は、自発的に出血することがまれであり、線溶活性が高度な組織内を除き、軽度の外傷誘導性出血を示すにとどまる。重度のFXI欠損症の希少性は、これらの患者について、一般集団と比べた血栓プロファイルを明らかにする集団研究の使用を必然化する。とりわけ、このような研究は、これらの患者では、虚血性脳卒中(Salomon 2008)および深部静脈血栓症(DVT)(Salomon, et al. (2011) Blood 2008; 111: 4113-17)の発症率が低減されることを報告している。こうして、重度のFXI欠損症を伴う115例の患者において観察される虚血性脳卒中の数(N=1)は、イスラエルの一般集団において予測される発症数(N=8.6)より少なく(p<0.003)、重度のFXI欠損症を伴う患者におけるDVTの発症数(N=0)は、対照集団において予測される発症数(N=4.7)より少なかった(p<0.019)。逆に、FXIレベルが第90百分位数を上回る個体は、DVTを発症するリスクが2倍であった(Meijers, et al. (2000) N Engl J Med. 2000; 342:696-701)。
近年、DVTの素因となる手順である、人工膝関節置換術を受ける患者を、FXIアンチセンス療法または標準治療(エノキサパリン)で処置した。アンチセンス群(300mg)は、標準治療と比較した、静脈血栓症の発症率の7分の1の低下と、出血事象の減少(有意ではない)とを示した(Bueller et al, (2014) N Engl J Med. 372(3):232-40. doi: 10.1056/NEJMoa1405760. Epub 2014 Dec 7)。
FXI/FXIa抗体および抗原結合性断片
本開示は、ヒトFXIおよび/またはFXIaに特異的に結合する抗体(例えば、ヒトモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体)を提示する。一部の実施形態では、本開示は、ヒト、ウサギ、およびカニクイザルのFXIおよび/またはFXIaに特異的に結合する抗体を提示する。本明細書で提示される抗体は、例えば、実施例において記載される通りに単離される、ヒトモノクローナル抗体およびFabを含むがこれらに限定されない。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、活性のFXI(FXIa)に結合するが、活性のFXI(FXIa)触媒ドメインに結合すると、FXIaに、そのコンフォメーションを、不活性コンフォメーションに変化させる。別の態様では、前記単離抗体またはその抗原結合性断片は、前記不活性コンフォメーションのN末端の4つの残基、ループ145、188、および220が、活性コンフォメーションと比較して、シフトし、かつ/または不規則的になる変化をさらに誘導する。
一態様では、単離抗体またはその抗原結合性断片は、FXI(例えば、ヒトFXI)に結合するが、FXIに結合すると、FXI触媒ドメインが、ループ145、188、および220がFXIa触媒ドメインの構造内と同様に規則的である活性コンフォメーションを取ることを防止する。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、FXIに結合するが、FXIに結合すると、FXI触媒ドメインが、N末端の4つの残基、ループ145、188、および220がFXIa触媒ドメインの構造内と同様に規則的である活性コンフォメーションを取ることを防止する。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、FXIに結合するが、FXIに結合すると、チモーゲン構造内のコンフォメーション変化を誘導し、FXIaに結合するときに観察される阻害性FXIコンフォメーションと緊密に関連する阻害性FXIコンフォメーションをさらにもたらすことにより、FXI触媒ドメインが、活性コンフォメーションを取ることを防止する。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに結合するが、FXIおよび/またはFXIaに結合し、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメインと、抗体:抗原複合体を形成すると、ループ145、188、および220の、活性の第XI因子(FXIa)の触媒ドメインの、複合体化していない構造と比較した場合の、シフトおよび/または配向性の喪失を引き起こす。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに結合するが、FXIおよび/またはFXIaに結合し、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメインと抗体:抗原複合体を形成すると、N末端の4つの残基、ループ145、188、および220の、活性の第XI因子(FXIa)の触媒ドメインの、複合体化していない構造と比較した場合の、シフトおよび/または配向性の喪失を引き起こす。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、活性のFXI(FXIa)に結合し、FXI(FXIa)触媒ドメインに、そのコンフォメーションを、ループ145、188、および220が活性コンフォメーションと比較してシフトし、かつ/または配向性が喪失している不活性コンフォメーションに変化させる。
一態様では、単離抗体またはそれらの抗原結合性断片は、FXIに結合し、チモーゲン構造内のコンフォメーション変化を誘導し、これにより、FXIaに結合するときに観察される阻害性FXIコンフォメーションと緊密に関連する阻害性FXIコンフォメーションをもたらすことにより、触媒ドメインが、活性コンフォメーションを取ることを防止する。
具体的な態様では、本開示は、FXIタンパク質および/またはFXIaタンパク質(例えば、ヒト、ウサギ、およびカニクイザルのFXIおよび/またはFXIa)に特異的に結合する抗体であって、表2に記載されている配列から選択される配列を含む抗体を提示する。特定の態様では、本明細書で提示される抗体は、表2に記載されている配列から選択される配列を含むが、表1に記載されている配列(例えば、CDRまたは可変領域配列)を含有しない。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR2が、
(i)配列番号59(X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]であって、HCDR2が、配列番号4ではない、配列番号59、
(ii)配列番号60(X1-X2-X3-X4-X5-X6)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]であって、HCDR2が、配列番号8ではない、配列番号60、および
(iii)配列番号61(I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]であって、HCDR2が、配列番号10ではない、配列番号61
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、配列番号59(X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。具体的な実施形態では、HCDR2は、配列番号59(X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG)[配列中、X1は、TまたはSであり、X2は、DまたはEであり、X3は、YまたはSであり、X4は、S、Y、またはWであり、X5は、S、D、またはGであり、X6は、Q、T、またはDであり、X7は、DまたはEであり、X8は、Y、H、またはDである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号4ではない。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、配列番号59(X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、HCDR2は、配列番号59(X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG)[配列中、X1は、TまたはSであり、X2は、DまたはEであり、X3は、YまたはSであり、X4は、S、Y、またはWであり、X5は、S、D、またはGであり、X6は、Q、T、またはDであり、X7は、DまたはEであり、X8は、Y、H、またはDである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号4ではない。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、配列番号60(X1-X2-X3-X4-X5-X6)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号8ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な実施形態では、HCDR2は、配列番号60(X1-X2-X3-X4-X5-X6)[配列中、X1は、EまたはDであり、X2は、YまたはSであり、X3は、Y、S、またはWであり、X4は、S、D、またはGであり、X5は、D、T、またはQであり、X6は、DまたはEである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号8ではない。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、
(ii)HCDR2が、配列番号61(I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号10ではなく、
(iii)HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、
(iv)LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、
(v)LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、HCDR2は、配列番号61(I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T)[配列中、X1は、EまたはDであり、X2は、YまたはSであり、X3は、S、Y、またはWであり、X4は、S、D、またはGであり、X5は、D、T、またはQであり、X6は、DまたはEである]のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号10ではない。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、(i)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(ii)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR2が、配列番号27、28、29、38、39、40、45、46、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号47のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書のある種の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号39のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号28のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号29のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号28、39、または46のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、HCDR2が、配列番号29、40、または47のアミノ酸配列を含み、HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書のある種の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、表2から選択される相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、表2から選択される相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、組み合わされたHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、組み合わされたLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、KabatによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、AM1、AM2、AM3、またはAM4の、KabatによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、CothiaによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、CothiaによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書の特定の態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する抗体または抗原結合性断片であって、(a)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(b)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、IMGTによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、IMGTによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、抗体または抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM2の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM2の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、抗体AM1の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLが、抗体AM1の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号55のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号30のアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号32、43、50、または53のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号57または36のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号57のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号43のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。
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具体的な態様では、これらの抗体の各々は、FXIおよび/もしくはFXIaに結合しうるので、VH配列、VL配列、全長軽鎖配列、および全長重鎖配列(アミノ酸配列と、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と)を「混合し、マッチさせて」、他のFXI結合性抗体および/もしくはFXIa結合性抗体を創出することができる。このような「混合し、マッチさせた」FXI結合性抗体および/もしくはFXIa結合性抗体は、当技術分野で公知の結合アッセイ(例えば、ELISAおよび実施例節で記載される他のアッセイ)を使用して調べることができる。これらの鎖を混合し、マッチさせる場合、特定のVH/VL対合に由来するVH配列を、構造的に類似するVH配列で置きかえるものとする。同様に、特定の全長重鎖/全長軽鎖対合に由来する全長重鎖配列を、構造的に類似する全長重鎖配列で置きかえるものとする。同様に、特定のVH/VL対合に由来するVL配列を、構造的に類似するVL配列で置きかえるものとする。同様に、特定の全長重鎖/全長軽鎖対合に由来する全長軽鎖配列を、構造的に類似する全長軽鎖配列で置きかえるものとする。
本明細書で使用される「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗原特異性および抗原結合アフィニティーを付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。一般に、各重鎖可変領域(HCDR1、HCDR2、HCDR3)内には、3つのCDRがあり、各軽鎖可変領域(LCDR1、LCDR2、LCDR3)内には、3つのCDRがある。
所与のCDRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948(「Chothia」番号付けスキーム)、Lefranc et al., (2003) Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77(「IMGT」番号付けスキーム)により記載されているスキーム、または「組合せ」システムを含む、周知の多数のスキームのいずれかを使用して、たやすく決定することができる。
例えば、Kabatによれば、重鎖可変ドメイン(VH)内の抗体NOV1090のCDRアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~66(HCDR2)、および99~111(HCDR3)と番号付けされており、軽鎖可変ドメイン(VL)内のCDRアミノ酸残基は、22~35(LCDR1)、51~57(LCDR2)、および90~100(LCDR3)と番号付けされている。Chothiaによれば、VH内のCDRアミノ酸は、26~32(HCDR1)、52~57(HCDR2)、および99~111(HCDR3)と番号付けされており、VL内のアミノ酸残基は、25~33(LCDR1)、51~53(LCDR2)、および92~99(LCDR3)と番号付けされている。KabatおよびChothiaの両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDRは、ヒトVH内のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~66(HCDR2)、および99~111(HCDR3)、ならびにヒトVL内のアミノ酸残基22~35(LCDR1)、51~57(LCDR2)、および90~100(LCDR3)からなる。KabatおよびChothiaの両方のCDR定義を組み合わせることにより、「組合せ」CDRは、ヒトVH内のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~66(HCDR2)、および99~108(HCDR3)、ならびにヒトVL内のアミノ酸残基24~38(LCDR1)、54~60(LCDR2)、および93~101(LCDR3)からなる。別の例として、IMGTによれば、重鎖可変ドメイン(VH)内のCDRアミノ酸残基は、26~33(HCDR1)、51~58(HCDR2)、および97~108(HCDR3)と番号付けされており、軽鎖可変ドメイン(VL)内のCDRアミノ酸残基は、27~36(LCDR1)、54~56(LCDR2)、および93~101(LCDR3)と番号付けされている。表2は、抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3およびAM4について、Kabat、Chothia、組合せ、およびIMGTによる、例示的なHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を提示する。別の態様では、本開示は、表2に記載されている、重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3、またはそれらの組合せを含むFXI/FXIa結合性抗体を提供する。
具体的な態様では、これらの抗体の各々は、FXIおよび/もしくはFXIaに結合することが可能であり、抗原結合特異性は主に、CDR1領域、CDR2領域、およびCDR3領域によりもたらされることを踏まえれば、各抗体は、本明細書で提供される他のFXI結合性分子および/もしくはFXIa結合性分子を創出するのに、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3、ならびにVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含有することが好ましいが、VH CDR1配列、VH CDR2配列、およびVH CDR3配列、ならびにVL CDR1配列、VL CDR2配列、およびVL CDR3配列を、「混合し、マッチさせる」ことができる(すなわち、異なる抗体に由来するCDRを、混合し、マッチさせることができる)。このような「混合し、マッチさせた」FXI結合性分子および/もしくはFXIa結合性抗体は、当技術分野で公知の結合アッセイおよび実施例で記載される結合アッセイ(例えば、ELISA、SET、Biacore(商標))を使用して調べることができる。VH CDR配列を混合し、マッチさせる場合は、特定のVH配列に由来するCDR1配列、CDR2配列、および/またはCDR3配列を、構造的に類似するCDR配列で置きかえるものとする。同様に、VL CDR配列を混合し、マッチさせる場合は、特定のVL配列に由来するCDR1配列、CDR2配列、および/またはCDR3配列を、構造的に類似するCDR配列で置きかえるものとする。当業者には、新規のVH配列およびVL配列を、1つまたは複数のVH CDR領域配列および/またはVL CDR領域配列を、本開示のモノクローナル抗体のための、本明細書で示されるCDR配列に由来する、構造的に類似する配列で置換することにより創出しうることがたやすく明らかであろう。前出に加えて、一実施形態では、本明細書で記載される抗体の抗原結合性断片は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3、またはVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むことが可能であり、この場合、断片は、FXIおよび/もしくはFXIaに、単一の可変ドメインとして結合する。
本開示のある種の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはそれらの抗原結合性断片は、表2に記載されている、Fabの重鎖配列および軽鎖配列を有しうる。より具体的には、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM4の重鎖配列および軽鎖配列を有しうる。特定の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM3の重鎖配列および軽鎖配列を有しうる。特定の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM2の重鎖配列および軽鎖配列を有しうる。特定の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片は、抗体AM1の重鎖配列および軽鎖配列を有しうる。
抗体の可変領域または全長鎖が、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られる場合、本明細書で使用されるヒト抗体は、特定の生殖細胞系列配列「の産物」であるかまたはこれ「に由来する」、重鎖もしくは軽鎖可変領域または全長重鎖もしくは軽鎖を含む。このような系は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを、対象の抗原で免疫化するか、または対象の抗原を伴うファージ上で提示されるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることを含む。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはこれ「に由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列を、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、配列がヒト抗体の配列と最も近似する(すなわち、同一性%が最大である)ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列を選択することにより、それ自体として同定することができる。
特定のヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはこれ「に由来する」ヒト抗体は、例えば、自然発生の体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的な導入に起因して、生殖細胞系列配列と比較したアミノ酸の差異を含有しうる。しかし、VHフレームワーク領域またはVLフレームワーク領域では、選択されたヒト抗体は、アミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一であり、ヒト抗体を、他の種の生殖細胞系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖細胞系列配列)と比較した場合に、ヒトとして同定するアミノ酸残基を含有することが典型的である。ある種の場合には、ヒト抗体は、アミノ酸配列が、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、90%、または少なくとも95%、なおまたは、少なくとも96%、97%、98%、または99%同一でありうる。
組換えヒト抗体は、VHフレームワーク領域内またはVLフレームワーク領域内のヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列との、10アミノ酸以下の差異を提示することが典型的である。ある種の場合には、ヒト抗体は、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列との、5アミノ酸以下、なおまたは、4、3、2、または1アミノ酸以下の差異を提示しうる。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子の例は、下記で記載される生殖細胞系列の可変ドメイン断片のほか、DP47およびDPK9も含むがこれらに限定されない。
相同抗体
さらに別の実施形態では、本開示は、表2に記載されている配列(例えば、配列番号30、41、48、34、55、32、43、50、53、57、または36)と相同なアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合性断片を提供するが、抗体は、FXIタンパク質および/またはFXIaタンパク質(例えば、ヒトFXIa、ウサギFXIa、およびカニクイザルFXIa)に結合し、AM1、AM2、AM3、またはAM4など、表2に記載されている抗体の、所望の機能的特性を保持する。具体的な態様では、このような相同抗体は、表2に記載されているCDRアミノ酸配列(例えば、Kabat CDR、Chothia CDR、IMGT CDR、または組合せCDR)を保持する。
他の実施形態では、VHアミノ酸配列および/またはVLアミノ酸配列は、表2に示される配列と、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一でありうる。他の実施形態では、VHアミノ酸配列および/またはVLアミノ酸配列は、1、2、3、4、または5カ所以下のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を除き同一でありうる。表2に記載されている抗体のVH領域およびVL領域と大きな(すなわち、80%以上の)同一性を有するVH領域およびVL領域を有する抗体は、表2に記載されている核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介突然変異誘発)の後、本明細書で記載される機能アッセイを使用して、コードされる改変抗体を、機能の保持について調べることにより得ることができる。
他の実施形態では、全長重鎖アミノ酸配列および/または全長軽鎖アミノ酸配列は、表2に示される配列と、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一でありうる。表2に記載されている全長重鎖と大きな(すなわち、80%以上の)同一性を有する全長重鎖および全長軽鎖を有する抗体は、このようなポリペプチドをコードする核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介突然変異誘発)の後、本明細書で記載される機能アッセイを使用して、コードされる改変抗体を、機能の保持について調べることにより得ることができる。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、表2に明示された配列から選択される、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、表2に明示された配列から選択される、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号48のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、表2に明示された配列から選択される、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号41のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、表2に明示された配列から選択される、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
本明細書の具体的な態様では、FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、VHが、配列番号30のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、VLが、配列番号34のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片が提示される。さらに具体的な態様では、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片は、表2に明示された配列から選択される、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む。
本明細書で使用される、2つの配列の間の同一性パーセントとは、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮する配列により共有される、同一な位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一な位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列の間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、下記の非限定的な例で記載されている、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
加えて、または代替的に、本開示のタンパク質配列は、公表されたデータベースに照らして検索を実施する、例えば、関連の配列を同定するための「クエリー配列」としてさらに使用することもできる。例えば、このような検索は、Altschulら、1990 J. Mol. Biol. 215:403~10によるBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。
保存的修飾を伴う抗体
ある種の実施形態では、本開示の抗体は、CDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、ならびにCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を有し、この場合、これらのCDR配列の1つまたは複数は、本明細書で記載される抗体またはそれらの保存的修飾に基づき指定されたアミノ酸配列を有し、抗体は、本開示のFXIa結合性抗体の所望の機能的特性を保持する。
したがって、本開示は、表2における配列から選択される、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3の配列を含む重鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾と、表2における配列から選択される、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む軽鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片を提示し、抗体またはその抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに特異的に結合するが、この場合、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体NOV1401またはNOV1090ではない。
具体的な態様では、本開示は、表2に記載されている抗体AM4の、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3の配列を含む重鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾と、表2に記載されている抗体AM4の、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む軽鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片を提示し、抗体またはその抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに特異的に結合するが、この場合、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体NOV1401またはNOV1090ではない。
具体的な態様では、本開示は、表2に記載されている抗体AM2の、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3の配列を含む重鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾と、表2に記載されている抗体AM2の、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む軽鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片を提示し、抗体またはその抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに特異的に結合するが、この場合、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体NOV1401またはNOV1090ではない。
具体的な態様では、本開示は、表2に記載されている抗体AM1の、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3の配列を含む重鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾と、表2に記載されている抗体AM1の、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む軽鎖可変領域、およびこれらの保存的修飾とを含む単離抗体またはその抗原結合性断片を提示し、抗体またはその抗原結合性断片は、FXIおよび/またはFXIaに特異的に結合するが、この場合、抗体またはその抗原結合性断片は、抗体NOV1401またはNOV1090ではない。
他の実施形態では、本開示の抗体は、哺乳動物細胞における発現について最適化されており、全長重鎖配列および全長軽鎖配列を有し、これらの配列の1つまたは複数は、本明細書で記載される抗体またはそれらの保存的修飾に基づき指定されたアミノ酸配列を有し、抗体は、本開示のFXIa結合性抗体の所望の機能的特性を保持する。したがって、本開示は、哺乳動物細胞における発現のために最適化され、全長重鎖および全長軽鎖からなる単離抗体であって、全長重鎖が、表2に記載されている配列から選択されるアミノ酸配列、およびこれらの保存的修飾を有し、全長軽鎖が、表2に記載されている配列から選択されるアミノ酸配列、およびこれらの保存的修飾を有し、FXIおよび/またはFXIa(例えば、ヒト、ウサギ、およびカニクイザルのFXIa)に特異的に結合する単離抗体を提示する。
操作抗体および修飾抗体
出発抗体から特性を改変した修飾抗体を操作する出発材料として、本明細書で示されるVH配列および/またはVL配列の1つまたは複数を有する抗体を使用して、本開示の抗体をさらに調製することができる。抗体は、一方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内、例えば、1つもしくは複数のCDR領域内、および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を修飾することにより操作することができる。加えて、または代替的に、抗体は、定常領域内の残基を修飾して、例えば、抗体のエフェクター機能を改変することによっても操作することができる。
実施しうる可変領域操作の1つの種類は、CDRグラフティングである。抗体は、主に6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)内に位置するアミノ酸残基を介して、標的抗原と相互作用する。この理由で、CDR内のアミノ酸配列は、個別の抗体の間の多様性が、CDRの外部の配列より大きい。CDR配列は、大半の抗体-抗原間相互作用の一因となるため、異なる特性を伴う異なる抗体に由来するフレームワーク配列にグラフトされた特異的自然発生抗体に由来するCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特異的自然発生抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmann, L.ら、1998 Nature 332:323~327; Jones, P.ら、1986 Nature 321:522~525; Queen, C.ら、1989 Proc. Natl. Acad. U.S.A. 86:10029~10033、Winterによる米国特許第5,225,539号明細書、ならびにQueenらによる米国特許第5,530,101号明細書、同第5,585,089号明細書、同第5,693,762号明細書、および同第6,180,370号明細書を参照されたい)。
このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系列の抗体遺伝子配列を含む公表されたDNAデータベースまたは公表された参考文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は、ヒト生殖細胞系列の配列データベースである「VBase」(インターネットのmrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで入手可能である)のほか、それらの各々の内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat, E. A.ら、1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication第91-3242号; Tomlinson, I. M.ら、1992 J. Mol. Biol. 227:776~798、およびCox, J. P. L.ら、1994 Eur. J Immunol. 24:827~836においても見出すことができる。
本開示の抗体における使用のためのフレームワーク配列の例は、本開示の、選択された抗体により使用されるフレームワーク配列、例えば、本開示のモノクローナル抗体により使用されるコンセンサス配列および/またはフレームワーク配列と構造的に類似するフレームワーク配列である。VH CDR1配列、VH CDR2配列、およびVH CDR3配列、ならびにVL CDR1配列、VL CDR2配列、およびVL CDR3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子内で見出される配列と同一の配列を有するフレームワーク領域にグラフトすることもでき、CDR配列は、生殖細胞系列配列と比較して、1つまたは複数の突然変異を含有するフレームワーク領域にグラフトすることもできる。例えば、ある種の場合には、フレームワーク領域内の残基を突然変異させて、抗体の抗原結合能力を維持または増強することが有益であると見出されている(例えば、Queenらによる米国特許第5,530,101号明細書、同第5,585,089号明細書、同第5,693,762号明細書、および同第6,180,370号明細書を参照されたい)。本明細書で記載される抗体および抗原結合性断片をその上に構築する足場として用いられうるフレームワークは、VH1A、VH1B、VH3、Vk1、Vl2、およびVk2を含むがこれらに限定されない。当技術分野では、さらなるフレームワークが知られており、例えば、インターネットのvbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/index.php?&MMN_position=1:1上のvBaseデータベースにおいて見出すことができる。
したがって、本開示の実施形態は、配列番号30、41、および48からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはこのような配列のフレームワーク領域内に1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号34および55からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはこのような配列のフレームワーク領域内に1、2、3、4、もしくは5カ所のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸付加を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域をさらに含み、NOV1401ではない単離FXI/FXIa結合性抗体またはそれらの抗原結合性断片に関する。
可変領域修飾の別の種類は、「アフィニティー成熟」として公知の、VH CDR1領域内、VH CDR2領域内、および/もしくはVH CDR3領域内、ならびに/またはVL CDR1領域内、VL CDR2領域内、および/もしくはVL CDR3領域内のアミノ酸残基を突然変異させて、これにより、対象の抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、アフィニティー)を改善することである。部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介突然変異誘発を実施して、突然変異を導入することができ、本明細書で記載され、実施例でも提示される、in vitroアッセイまたはin vivoアッセイにおいて、抗体結合性または他の対象の機能的特性に対する効果を査定することができる。保存的修飾(上記で論じた)を導入することができる。突然変異は、アミノ酸の置換の場合もあり、付加の場合もあり、欠失の場合もある。さらに、CDR領域内の、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下の残基も改変する。
抗原結合性ドメインの、代替的なフレームワークまたは足場へのグラフティング
結果として得られるポリペプチドが、FXIaに特異的に結合する少なくとも1つの結合性領域を含む限りにおいて、多種多様な抗体/免疫グロブリンのフレームワークまたは足場を利用することができる。このようなフレームワークまたは足場は、ヒト免疫グロブリンまたはそれらの断片の5つの主要なイディオタイプを含み、好ましくはヒト化側面を有する他の動物種の免疫グロブリンを含む。この点で、ラクダ科動物において同定される単一重鎖抗体などの単一重鎖抗体は、特に対象である。当業者により、新規のフレームワーク、足場、および断片が、発見および開発され続けている。
一態様では、本開示は、本開示のCDRをグラフトしうる非免疫グロブリン足場を使用して、非免疫グロブリンベースの抗体を作り出すことに関する。それらが、標的のFXIタンパク質および/またはFXIaタンパク質に特異的な結合性領域を含む限りにおいて、公知または将来の非免疫グロブリンフレームワークおよび非免疫グロブリン足場を利用することができる。公知の非免疫グロブリンフレームワークおよび非免疫グロブリン足場は、フィブロネクチン(Compound Therapeutics,Inc.、Waltham、MA)、アンキリン(Molecular Partners AG、Zurich、Switzerland)、ドメイン抗体(Domantis,Ltd.、Cambridge、MA、およびAblynx nv、Zwijnaarde、Belgium)、リポカリン(Pieris Proteolab AG、Freising、Germany)、低分子モジュラー免疫医薬(Trubion Pharmaceuticals Inc.、Seattle、WA)、マキシボディ(Avidia,Inc.、Mountain View、CA)、プロテインA(Affibody AG、Sweden)、およびアフィリン(ガンマ-クリスタリンまたはユビキチン)(Scil Proteins GmbH、Halle、Germany)を含むがこれらに限定されない。
フィブロネクチン足場は、III型フィブロネクチンドメイン(例えば、III型フィブロネクチンの第10モジュール(10 Fn3ドメイン))に基づく。III型フィブロネクチンドメインは、それら自体が互いに対してパックされてタンパク質のコアを形成し、ベータ鎖を互いに接続し、溶媒に露出されるループもさらに含有する(CDRと類似する)、2つのベータシートの間に分配された、7つまたは8つのベータ鎖を有する。ベータシートサンドイッチの各エッジには、少なくとも3つのこのようなループがあり、エッジは、ベータ鎖の方向に対して垂直なタンパク質の境界である(US6,818,418を参照されたい)。全体的なフォールドは、ラクダおよびラマIgG内の抗原認識単位全体を含む最小の機能的抗体断片である重鎖可変領域のフォールドと密接に関連するが、これらのフィブロネクチンベースの足場は、免疫グロブリンではない。この構造のために、非免疫グロブリン抗体は、性質およびアフィニティーが抗体の性質およびアフィニティーと類似する抗原結合特性を模倣する。これらの足場は、in vivoにおける抗体のアフィニティー成熟の工程と類似する、in vitroにおけるループのランダム化戦略およびシャフリング戦略において使用することができる。これらのフィブロネクチンベースの分子は、標準的なクローニング法を使用して、分子のループ領域を本開示のCDRで置きかえうる、足場として使用することができる。
アンキリン技術は、アンキリンに由来するリピートモジュールを伴うタンパク質を、異なる標的への結合に使用しうる可変領域を保有する足場として使用することに基づく。アンキリンリピートモジュールとは、2つのアンチパラレルのα-ヘリックスおよびβ-ターンからなる、33アミノ酸のポリペプチドである。可変領域の結合は、リボソームディスプレイを使用することにより大部分が最適化される。
アビマーは、LRP-1など、天然のAドメイン含有タンパク質に由来する。これらのドメインは、本来、タンパク質間相互作用に使用され、ヒトでは、250を超えるタンパク質が、構造的にAドメインに基づく。アビマーは、アミノ酸リンカーを介して連結された多数の(2つ~10の)異なる「Aドメイン」単量体からなる。標的抗原に結合しうるアビマーは、例えば、米国特許出願公開第20040175756号明細書、同第20050053973号明細書、同第20050048512号明細書、および同第20060008844号明細書において記載されている方法を使用して創出することができる。
アフィニティーリガンドであるアフィボディとは、プロテインAのIgG結合性ドメインの1つの足場に基づく3ヘリックスバンドルからなる、低分子の単純なタンパク質である。プロテインAとは、細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来する表面タンパク質である。この足場ドメインは58アミノ酸からなり、それらのうちの13がランダム化されており、多数のリガンド変異体を伴うアフィボディライブラリーを作り出す(例えば、US5,831,012を参照されたい)。アフィボディ分子は、抗体を模倣し、150kDaである抗体の分子量と比較して、分子量が6kDaである。その小サイズにもかかわらず、アフィボディ分子の結合部位は、抗体の結合部位と同様である。
アンチカリンとは、Pieris ProteoLab AG社により開発された生成物である。アンチカリンは、通例、化学的に感受性の化合物または不溶性の化合物の生理学的輸送または貯蔵に関与する、広範にわたる低分子の頑健なタンパク質群であるリポカリンに由来する。いくつかの天然リポカリンは、ヒト組織内またはヒト体液中で生じる。タンパク質のアーキテクチャーは、リジッドフレームワークの上部の超可変ループを伴う免疫グロブリンを連想させる。しかし、抗体またはそれらの組換え断片とは対照的に、リポカリンは、単一の免疫グロブリンドメインよりかろうじて大きい、160~180アミノ酸残基を伴う単一のポリペプチド鎖からなる。結合性ポケットを構成する4つのループのセットは、顕著な構造可塑性を示し、様々な側鎖を許容する。したがって、異なる形状の規定の標的分子を、高度なアフィニティーおよび特異性で認識するために、結合性部位を独自の工程で再形成することができる。4つのループのセットを突然変異誘発することによりアンチカリンを開発するのには、リポカリンファミリーの1つのタンパク質である、オオモンシロチョウ(Pieris Brassicae)のビリン結合性タンパク質(BBP)が使用されている。アンチカリンについて記載する特許出願の1つの例は、PCT公開国際公開第199916873号パンフレットにある。
アフィリン分子とは、タンパク質および低分子に対する特異的なアフィニティーのためにデザインされた低分子非免疫グロブリンタンパク質である。新たなアフィリン分子は、それらの各々が、異なるヒト由来の足場タンパク質に基づく2つのライブラリーから非常に迅速に選択することができる。アフィリン分子は、免疫グロブリンタンパク質に対するいかなる構造相同性も示さない。現在、2つのアフィリン足場が利用されており、それらの一方は、ヒト水晶体の構造タンパク質であるガンマクリスタリンであり、他方は、「ユビキチン」スーパーファミリータンパク質である。いずれのヒト足場も非常に小型で、高度な熱安定性を示し、pH変化および変性剤に対してほぼ耐性である。この高度な安定性は主に、タンパク質のベータシート構造の展開に起因する。ガンマクリスタリンに由来するタンパク質の例は、WO200104144において記載されており、「ユビキチン様」タンパク質の例は、WO2004106368において記載されている。
タンパク質エピトープ模倣体(PEM)とは、タンパク質間相互作用に関与する主要な二次構造である、タンパク質のベータ-ヘアピン二次構造を模倣する、中程度のサイズの環状ペプチド様分子(分子量:1~2kDa)である。
本開示は、FXIおよび/またはFXIaタンパク質に特異的に結合する完全ヒト抗体を提供する。キメラ抗体またはヒト化抗体と比較して、本開示のヒトFXI/FXIa結合性抗体は、ヒト対象に投与された場合の抗原性がさらに低減されている。
ラクダ科動物抗体
ラマ種(アルパカ(Lama paccos)、ラマ(Lama glama)、およびビクーニャ(Lama vicugna))などの新世界メンバーを含む、ラクダおよびヒトコブラクダ(dromedary)(フタコブラクダ(Camelus bactrianus)およびヒトコブラクダ(Calelus dromaderius))ファミリーのメンバーから得られる抗体タンパク質は、サイズ、構造的複雑性、およびヒト対象に対する抗原性に関して特徴付けられている。天然で見出されるこのファミリーの哺乳動物に由来するある種のIgG抗体は、軽鎖を欠き、したがって、他の動物に由来する抗体の場合の、2つの重鎖および2つの軽鎖を有する、典型的な4つの鎖の四次構造とは構造的に異なっている。PCT/EP93/02214(1994年3月3日に公表された国際公開第94/04678号パンフレット)を参照されたい。
VHHとして同定される小型の単一の可変ドメインである、ラクダ科動物抗体の領域は、標的に対して高いアフィニティーを有する低分子タンパク質をもたらすことから、「ラクダ科動物ナノボディ」として公知の低分子量抗体由来タンパク質を結果としてもたらす遺伝子操作により得ることができる。1998年6月2日に取得された米国特許第5,759,808号を参照されたい。また、Stijlemans, B.ら、2004 J Biol Chem 279:1256~1261; Dumoulin, M.ら、2003 Nature 424:783~788; Pleschberger, M.ら、2003 Bioconjugate Chem 14:440~448; Cortez-Retamozo, V.ら、2002 Int J Cancer 89:456~62、およびLauwereys, M.ら、1998 EMBO J 17:3512~3520も参照されたい。ラクダ科動物抗体および抗体断片の操作ライブラリーは、例えば、Ablynx、Ghent、Belgiumから市販されている。非ヒト由来の他の抗体と同様に、ラクダ科動物抗体のアミノ酸配列は、ヒト配列により酷似する配列を得るように、組換えにより改変することができる、すなわち、ナノボディは、「ヒト化」することができる。したがって、ヒトに対するラクダ科動物抗体の天然の小さな抗原性を、さらに低減することができる。
ラクダ科動物ナノボディの分子量は、ヒトIgG分子の分子量の約10分の1で、タンパク質の物理的直径は、数ナノメートルに過ぎない。サイズが小さいことの1つの帰結は、大型の抗体タンパク質には機能的に不可視である抗原性部位に結合するラクダ科動物ナノボディの能力である、すなわち、ラクダ科動物ナノボディは、古典的な免疫学的技法を使用するこれ以外の形では隠蔽されたままの抗原を検出する試薬として有用であり、可能な治療剤として有用である。したがって、サイズが小さいことのさらに別の帰結は、ラクダ科動物ナノボディが、標的タンパク質のグルーブ内または狭小なクレフト内の特異的部位に結合することの結果として、標的タンパク質を阻害することが可能であり、よって、古典的な抗体の機能よりも、古典的な低分子量の薬物の機能により酷似する能力において用いられうることである。
低分子量およびコンパクトなサイズはさらに、熱安定性が極めて大きく、極端なpHおよびタンパク質分解性消化に対して安定的であり、抗原性が小さいラクダ科動物ナノボディを結果としてもたらす。別の帰結は、ラクダ科動物ナノボディが、循環系から組織にたやすく移動し、血液脳関門もなお越え、神経組織に影響を及ぼす障害も処置しうることである。ナノボディはさらに、血液脳関門を越える薬物輸送も容易としうる。2004年8月19日に公表された米国特許出願第20040161738号明細書を参照されたい。これらの特色を、ヒトに対する抗原性が小さいことと組み合わせることにより、大きな治療的可能性が指し示される。さらに、これらの分子は、大腸菌(E. coli)などの原核細胞内で完全に発現させることができ、バクテリオファージとの融合タンパク質として発現させ、機能的である。
したがって、本開示の特色は、FXIおよび/またはFXIaに対して高いアフィニティーを有するラクダ科動物抗体またはラクダ科動物ナノボディである。本明細書のある種の実施形態では、ラクダ科動物抗体またはラクダ科動物ナノボディは、天然ではラクダ科動物において産生される、すなわち、他の抗体について本明細書で記載される技法を使用する、FXIおよび/またはFXIaまたはそのペプチド断片による免疫化の後で、ラクダ科動物により産生される。代替的に、FXIおよび/またはFXIa結合性ラクダ科動物ナノボディは、操作されたものである、すなわち、例えば、本明細書の実施例において記載されている、標的としてのFXIおよび/もしくはFXIa、ならびに/またはそのドメインおよび/もしくはペプチド断片を伴うパニング手順を使用する、適切に突然変異誘発させたラクダ科動物ナノボディタンパク質を提示するファージライブラリーからの選択によって作製される。操作されたナノボディはさらに、遺伝子操作により、レシピエント対象における半減期が、45分間~2週間となるようにカスタマイズすることもできる。具体的な実施形態では、ラクダ科動物抗体またはラクダ科動物ナノボディを、例えば、PCT/EP93/02214において記載されている通り、本開示のヒト抗体の重鎖または軽鎖のCDR配列を、ナノボディまたは単一ドメイン抗体フレームワーク配列にグラフトすることにより得る。
二特異性分子および多価抗体
別の態様では、本開示は、本開示のFXI結合性抗体および/またはFXIa結合性抗体またはその断片を含む二特異性分子または多特異性分子を特色とする。本開示の抗体またはその抗原結合性領域は、少なくとも2つの異なる結合性部位または標的分子に結合する二特異性分子を作り出すように誘導体化することもでき、別の機能的分子、例えば、別のペプチドまたはタンパク質(例えば、受容体に対する別の抗体またはリガンド)に連結することもできる。本開示の抗体は実際、3つ以上の異なる結合性部位および/または標的分子に結合する多特異性分子を作り出すように誘導体化することもでき、他の2つ以上の機能的分子に連結することもでき、このような多特異性分子はまた、本明細書で使用される「二特異性分子」という用語により包含されることも意図される。本開示の二特異性分子を創出するには、本開示の抗体を、二特異性分子が結果として得られるように、別の抗体、抗体断片、ペプチド、または結合性模倣体など、1つまたは複数の他の結合性分子に機能的に連結する(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的会合により、またはこれら以外の形で)ことができる。
したがって、本開示は、FXIおよび/もしくはFXIaに対する少なくとも1つの第1の結合特異性および第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含む二特異性分子を含む。例えば、第2の標的エピトープは、第1の標的エピトープと異なる、FXIおよび/もしくはFXIaの別のエピトープである。
加えて、二特異性分子が多特異性である本開示では、分子は、第1の標的エピトープおよび第2の標的エピトープに加えて、第3の結合特異性もさらに含みうる。
一実施形態では、本開示の二特異性分子は、結合特異性として、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、または単鎖Fvを含む、少なくとも1つの抗体またはその抗体断片を含む。抗体はまた、軽鎖もしくは重鎖の二量体、またはLadnerら、米国特許第4,946,778号明細書において記載されている、Fvもしくは単鎖構築物など、その任意の最小断片でありうる。
ダイアボディとは、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短すぎるリンカーにより接続されたVHドメインおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上で発現させた、二価の二特異性分子である。VHドメインおよびVLドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対合し、これにより、2つの抗原結合性部位を創出する(例えば、Holligerら、1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444~6448; Poljakら、1994 Structure 2:1121~1123を参照されたい)。ダイアボディは、VHA-VLBおよびVHB-VLA構造(VH-VL立体配置)、またはVLA-VHBおよびVLB-VHA構造(VL-VH立体配置)を伴う2つのポリペプチド鎖を、同じ細胞内で発現させることにより作製することができる。ダイアボディの大半は、細菌内の可溶性形態で発現させることができる。単鎖ダイアボディ(scDb)は、2つのダイアボディ形成ポリペプチド鎖を、約15アミノ酸残基のリンカーで接続することにより作製する(HolligerおよびWinter、1997 Cancer Immunol. Immunother.、45(3~4):128~30; Wuら、1996 Immunotechnology、2(1):21~36を参照されたい)。scDbは、細菌内の可溶性で活性の単量体形態で発現させることができる(HolligerおよびWinter、1997 Cancer Immunol. Immunother.、45(34):128~30; Wuら、1996 Immunotechnology、2(1):21~36; PluckthunおよびPack、1997 Immunotechnology、3(2):83~105; Ridgwayら、1996 Protein Eng.、9(7):617~21を参照されたい)。ダイアボディをFcと融合させて、「ジダイアボディ」を作り出すことができる(Luら、2004 J. Biol. Chem.、279(4):2856~65を参照されたい)。
本開示の二特異性分子内で利用しうる他の抗体は、マウスモノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、およびヒト化モノクローナル抗体である。
二特異性分子は、当技術分野で公知の方法を使用して、構成要素である結合特異性をコンジュゲートさせることにより調製することができる。例えば、二特異性分子の各結合特異性は、個別に作り出し、次いで、互いとコンジュゲートさせることができる。結合特異性がタンパク質またはペプチドである場合は、様々なカップリング剤または架橋剤を、共有結合的コンジュゲーションに使用することができる。架橋剤の例は、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)を含む(例えば、Karpovskyら、1984 J. Exp. Med. 160:1686、Liu, MAら、1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照されたい)。他の方法は、Paulus、1985 Behring Ins. Mitt. 78号、118~132; Brennanら、1985 Science 229:81~83、およびGlennieら、1987 J. Immunol. 139:2367~2375において記載されている方法を含む。コンジュゲート剤は、SATAおよびスルホ-SMCCであり、いずれも、Pierce Chemical Co.(Rockford、IL)から入手可能である。
結合特異性が、抗体である場合、それらは、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域をスルフヒドリル結合させることによりコンジュゲートさせることができる。特定の実施形態では、コンジュゲーションの前に、奇数のスルフヒドリル残基、例えば、1つのスルフヒドリル残基を含有するように、ヒンジ領域を修飾する。
代替的に、いずれの結合特異性も、同じベクター内でコードさせ、同じ宿主細胞内で発現およびアセンブルさせることができる。この方法は、二特異性分子が、mAb×mAb融合タンパク質、mAb×Fab融合タンパク質、Fab×F(ab’)2融合タンパク質、またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合に、特に有用である。本開示の二特異性分子は、1つの単鎖抗体および結合決定基を含む単鎖分子の場合もあり、2つの結合決定基を含む単鎖二特異性分子の場合もある。二特異性分子は、少なくとも2つの単鎖分子を含みうる。二特異性分子を調製する方法については、例えば、米国特許第5,260,203号明細書、米国特許第5,455,030号明細書、米国特許第4,881,175号明細書、米国特許第5,132,405号明細書、米国特許第5,091,513号明細書、米国特許第5,476,786号明細書、米国特許第5,013,653号明細書、米国特許第5,258,498号明細書、および米国特許第5,482,858号明細書において記載されている。
それらの特異的な標的に対する二特異性分子の結合は、例えば、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(REA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害アッセイ)、またはウェスタンブロットアッセイにより確認することができる。これらのアッセイの各々では一般に、対象の複合体に特異的な、標識された試薬(例えば、抗体)を利用することにより、特に対象となるタンパク質-抗体間複合体の存在が検出される。
別の態様では、本開示は、FXIaに結合する、本開示の抗体の少なくとも2つの同一であるかまたは異なる抗原結合性部分を含む、多価化合物を提供する。抗原結合性部分は、タンパク質の融合または共有結合的連結もしくは非共有結合的連結を介して、併せて連結することができる。代替的に、二特異性分子のための連結法も記載されている。四価化合物は、例えば、本開示の抗体を、本開示の抗体の定常領域に結合する抗体、例えば、Fc領域またはヒンジ領域と架橋することにより得ることができる。
三量体化ドメインについては、例えば、Boreanによる特許であるEP1012280B1において記載されている。五量体化モジュールについては、例えば、PCT/EP97/05897において記載されている。
半減期を延長した抗体
本開示は、in vivoにおける半減期を延長した、FXI/FXIaタンパク質に特異的に結合する抗体を提供する。
多くの因子が、in vivoにおけるタンパク質の半減期に影響を及ぼしうる。例えば、腎臓における濾過、肝臓における代謝、タンパク質分解性酵素(プロテアーゼ)による分解、および免疫原性応答(例えば、抗体によるタンパク質の中和およびマクロファージおよび樹状細胞による取込み)。様々な戦略を使用して、本開示の抗体の半減期を延長することができる。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、reCODE PEG、抗体足場、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性リガンド、および炭水化物シールドとの化学的連結により、アルブミン、IgG、FcRn、およびトランスフェリンなどの血清タンパク質に結合するタンパク質との遺伝子融合により、ナノボディ、Fab、DARPin、アビマー、アフィボディ、およびアンチカリンなど、血清タンパク質に結合する他の結合部分とカップリングする(遺伝子的または化学的に)ことにより、rPEG、アルブミン、アルブミンのドメイン、アルブミン結合性タンパク質、およびFcとの遺伝子融合により、またはナノ担体、徐放製剤、もしくは医療デバイスへの組込みにより、本発明の抗体の半減期を延長することができる。
in vivoにおける抗体の血清中循環を延長するため、高分子量のPEGなど、不活性のポリマー分子を、PEGの、抗体のN末端もしくはC末端への部位特異的コンジュゲーションを介して、またはリシン残基上に存在するイプシロン-アミノ基を介して、多官能性リンカーを伴うかまたは多官能性リンカーを伴わない、抗体またはそれらの断片に付着することができる。抗体をPEG化するには、抗体またはその断片を、ポリエチレングリコール(PEG)の反応性エステルまたはアルデヒド誘導体などのPEGと、1つまたは複数のPEG基が抗体または抗体断片に付着する条件下で反応させることが典型的である。PEG化は、反応性PEG分子(または類似する反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応により実行することができる。本明細書で使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1~C10)アルコキシ-ポリエチレングリコールもしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するのに使用されているPEGの形態のいずれかを包含することを意図するものである。ある種の実施形態では、PEG化される抗体は、脱グリコシル化抗体である。直鎖状ポリマーまたは分枝状ポリマーの誘導体化であって、生物学的活性の喪失を結果として最小とする誘導体化が、使用されるであろう。コンジュゲーションの程度を、SDS-PAGEおよび質量分析により緊密にモニタリングして、PEG分子の抗体への適正なコンジュゲーションを確認することができる。反応しなかったPEGは、サイズ除外クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーにより、抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者に周知の方法を使用して、例えば、本明細書で記載されるイムノアッセイにより、結合活性ならびにin vivoにおける有効性について調べることができる。当技術分野では、タンパク質をPEG化する方法が知られており、本開示の抗体に適用することができる。例えば、NishimuraらによるEP0154316およびIshikawaらによるEP0401384を参照されたい。
他の改変されたPEG化技術は、tRNAシンセターゼおよびtRNAを含む再構成系を介して、化学的に特定された側鎖を、生合成タンパク質に組み込む、再構成化学的直交性直接操作技術(reconstituting chemically orthogonal directed engineering)(ReCODE PEG)を含む。この技術は、30を超える新たなアミノ酸の、大腸菌(E. coli)細胞内、酵母細胞内、および哺乳動物細胞内の生合成タンパク質への組込みを可能とする。tRNAは、非天然アミノ酸を、アンバーコドンが配置される任意の位置に組み込み、アンバーを終始コドンから、化学的に特定されたアミノ酸の組込みを知らせるコドンに転換する。
組換えPEG化技術(rPEG)はまた、血清半減期の延長にも使用することができる。この技術は、300~600アミノ酸の非構造化タンパク質テールを、既存の医薬用タンパク質に遺伝子融合させることを伴う。このような非構造化タンパク質鎖の見かけの分子量は、その実際の分子量の約15倍であるため、タンパク質の血清半減期は、大きく増大する。化学的コンジュゲーションおよび再精製を要求する従来のPEG化とは対照的に、製造工程は大きく簡略化され、生成物は、均質である。
ポリシアリル化は、天然のポリマーであるポリシアル酸(PSA)を使用して、活性寿命を延長し、治療用ペプチドおよび治療用タンパク質の安定性を改善する、別の技術である。PSAとは、シアル酸(糖)のポリマーである。タンパク質および治療用ペプチドの薬物送達に使用される場合、コンジュゲーション時に、ポリシアル酸は、保護的微小環境をもたらす。これは、循環内の治療用タンパク質の活性寿命を延長し、それが免疫系により認識されることを防止する。PSAポリマーは、天然では、ヒト体内で見出される。PSAは、数百万年にわたり、それらの壁をPSAでコーティングするように進化したある種の細菌により採用された。次いで、これらの天然でポリシアリル化した細菌は、分子的模倣により、体内の防御系を失効化することが可能となった。自然の究極のステルス技術であるPSAは、このような細菌から、大量に、かつ、所定の物理的特徴を伴って、容易に作製することができる。細菌PSAは、ヒト体内ではPSAと化学的に同一であるので、タンパク質にカップリングさせた場合でもなお、完全に非免疫原性である。
別の技術は、抗体に連結されたヒドロキシエチルデンプン(「HES」)誘導体の使用を含む。HESとは、蝋状トウモロコシデンプンに由来する、修飾された天然ポリマーであり、体内の酵素により代謝されうる。HES溶液は通例、血液量不足を補い、血液のレオロジー特性を改善するために投与される。抗体のHES化は、分子の安定性を増大させることのほか、腎クリアランスを低減することによっても、循環半減期の延長を可能とし、生物学的活性の増大を結果としてもたらす。HESの分子量など、異なるパラメータを改変することにより、広範にわたるHES抗体コンジュゲートをカスタマイズすることができる。
in vivoにおける半減期を延長した抗体はまた、1つまたは複数のアミノ酸修飾(すなわち、置換、挿入、または欠失)を、IgG定常ドメインまたはそのFcRn結合性断片(好ましくはFcドメイン断片またはヒンジFcドメイン断片)に導入しても作り出すことができる。例えば、国際特許公開第98/23289号パンフレット、国際特許公開第97/34631号パンフレット、および米国特許第6,277,375号明細書を参照されたい。
さらに、抗体または抗体断片を、in vivoにおいてより安定的とするか、またはin vivoにおける半減期を延長するために、抗体を、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、HSA)にコンジュゲートさせることもできる。当技術分野では、技法が周知であり、例えば、国際特許公開第93/15199号パンフレット、同第93/15200号パンフレット、および同01/77137号パンフレット、ならびに欧州特許第413,622号明細書を参照されたい。加えて、上記で記載した二特異性抗体の文脈では、抗体の特異性は、抗体の1つの結合性ドメインが、FXIaに結合するのに対し、抗体の第2の結合性ドメインは、血清アルブミン、好ましくは、HSAに結合するようにデザインすることもできる。
半減期を延長するための戦略は、in vivoにおける半減期の延長が所望される、ナノボディ、フィブロネクチンベースの結合剤、および他の抗体またはタンパク質においてとりわけ有用である。
抗体コンジュゲート
本開示は、融合タンパク質を作り出すように、異種タンパク質または異種ポリペプチドに(またはその断片、好ましくは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100アミノ酸のポリペプチドに)、組換えにより融合させるかまたは化学的にコンジュゲートさせた(共有結合的コンジュゲーションおよび非共有結合的コンジュゲーションの両方を含む)、FXI/FXIaタンパク質に特異的に結合する抗体またはそれらの断片を提供する。特に、本開示は、本明細書で記載される抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメイン、またはVL CDR)と、異種タンパク質、異種ポリペプチド、または異種ペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。当技術分野では、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを、抗体または抗体断片と融合またはコンジュゲートさせる方法が知られている。例えば、米国特許第5,336,603号明細書、同第5,622,929号明細書、同第5,359,046号明細書、同第5,349,053号明細書、同第5,447,851号明細書、および同第5,112,946号明細書、欧州特許第307,434号明細書および同第EP367,166号明細書、国際特許公開第96/04388号パンフレットおよび同第91/06570号パンフレット、Ashkenaziら、1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535~10539; Zhengら、1995、J. Immunol. 154:5590~5600、およびVilら、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337~11341を参照されたい。
さらなる融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(まとめて、「DNAシャフリング」と称する)の技法を介して作り出すことができる。DNAシャフリングを利用して、本開示の抗体またはそれらの断片の活性を改変する(例えば、アフィニティーが大きく、解離速度が小さい抗体またはそれらの断片)ことができる。一般に、米国特許第5,605,793号明細書、同第5,811,238号明細書、同第5,830,721号明細書、同第5,834,252号明細書、および同第5,837,458号明細書、Pattenら、1997、Curr. Opinion Biotechnol. 8:724~33; Harayama、1998、Trends Biotechnol. 16(2):76~82; Hanssonら、1999、J. Mol. Biol. 287:265~76、ならびにLorenzoおよびBlasco、1998、Biotechniques 24(2):308~313(これらの特許および刊行物の各々は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる)を参照されたい。抗体もしくはそれらの断片、またはコードされる抗体もしくはそれらの断片は、組換えの前に、エラープローンPCRによるランダム突然変異誘発、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法にかけることにより改変することができる。FXIaタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の異種分子の1つまたは複数の成分、モチーフ、区間、一部、ドメイン、断片などで組み換えることができる。
さらに、抗体またはそれらの断片は、精製を容易とするペプチドなどのマーカー配列に融合させることもできる。具体的な実施形態では、マーカーのアミノ酸配列は、それらの多くが市販されている中でとりわけ、pQEベクター(QIAGEN,Inc.、9259 Eton Avenue、Chatsworth、CA、91311)において提供されているタグなどのヘキサヒスチジンペプチド(配列番号68)である。Gentzら、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821~824において記載されている通り、例えば、ヘキサヒスチジン(配列番号68)は、融合タンパク質の簡便な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープ(Wilsonら、1984、Cell 37:767)に対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ、および「フラッグ」タグを含むがこれらに限定されない。
他の実施形態では、本開示の抗体またはそれらの断片を、診断剤または検出可能薬剤とコンジュゲートさせる。このような抗体は、疾患または障害の発生、発症、進行、および/または重症度を、特定の治療の有効性を決定することなど、臨床検査手順の一部としてモニタリングまたは予後診断するのに有用でありうる。このような診断および検出は、抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどであるがこれらに限定されない多様な酵素、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどであるがこれらに限定されない補欠分子族、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンなどであるがこれらに限定されない蛍光材料、ルミノールなどであるがこれらに限定されない発光材料、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどであるがこれらに限定されない生物発光材料、ヨウ素(131I、125I、123I、および121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、および111In)、テクネシウム(99Tc)、タリウム(201Tl)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tinなどであるがこれらに限定されない放射性材料、ならびに多様なポジトロン断層法を使用するポジトロン放出金属および非放射性の常磁性金属イオンを含むがこれらに限定されない検出可能な物質にカップリングすることにより達成することができる。
本開示は、治療用部分とコンジュゲートさせた抗体またはそれらの断片の使用もさらに包含する。抗体またはその断片は、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、アルファ放射体などの治療用部分とコンジュゲートさせることができる。細胞毒素または細胞傷害剤は、細胞に有害な任意の薬剤を含む。
さらに、抗体またはその断片は、所与の生物学的応答を修飾する治療用部分または薬物部分とコンジュゲートさせることもできる。治療用部分または薬物部分は、古典的化学的治療剤に限定されるとはみなされないものとする。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドでありうる。このようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス属外毒素、コレラ毒素、またはジフテリア毒素などの毒素、腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲン活性化因子、アポトーシス剤、抗血管新生剤、または例えば、リンホカインなどの生体応答修飾剤などのタンパク質を含みうる。
さらに、抗体は、213Biなどのアルファ放射体などの放射性金属イオン、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含むがこれらに限定されない放射性金属イオンを、ポリペプチドとコンジュゲートするのに有用な大環状キレート化剤などの治療用部分とコンジュゲートさせることもできる。ある種の実施形態では、大環状キレート化剤は、リンカー分子を介して抗体に付着させうる、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(DOTA)である。当技術分野では、このようなリンカー分子が一般に公知であり、各々が参照によりそれらの全体において組み込まれる、Denardoら、1998、Clin Cancer Res. 4(10):2483~90; Petersonら、1999、Bioconjug. Chem. 10(4):553~7、およびZimmermanら、1999、Nucl. Med. Biol. 26(8):943~50において記載されている。
治療用部分を、抗体にコンジュゲートさせるための技法は周知であり、例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、243~56頁(Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(2版)、Robinsonら(編)、623~53頁(Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、475~506頁(1985); 「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、303~16頁(Academic Press 1985)、およびThorpeら、1982、Immunol. Rev. 62:119~58を参照されたい。
抗体はまた、特に、イムノアッセイまたは標的抗原の精製に有用な固体支持体に付着させることもできる。このような固体支持体は、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンを含むがこれらに限定されない。
抗体を作製する方法
本開示はまた、FXIおよび/またはFXIaタンパク質(例えば、ヒト、ウサギ、およびカニクイザルのFXIa)、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4に特異的に結合する、本明細書で記載される抗体のVH、VL、全長重鎖、および/または全長軽鎖をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドも提示する。このような核酸配列は、哺乳動物細胞内の発現について最適化することができる(例えば、表2を参照されたい)。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で記載される、抗FXI/FXIa抗体または抗原結合性断片、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、VL、VH、またはVLおよびVHをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提示される。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で記載される抗体または抗原結合性断片、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4の、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提示される。
本明細書の特定の態様では、表2に明示されたヌクレオチド配列、例えば、配列番号31、33、35、37、42、44、49、51、52、54、56、および58を含むポリヌクレオチドが提示される。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で記載されるポリヌクレオチド(例えば、表2)を含むベクター(例えば、発現ベクター)が提示される。
本明細書のある種の態様では、本明細書で記載されるベクター、または本明細書で記載されるポリヌクレオチドを含む宿主細胞が提示される。具体的な態様では、宿主細胞は、真核細胞である。ある種の態様では、宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞などの非ヒト哺乳動物細胞)である種の態様では、宿主細胞は、(i)VHまたは重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクターまたはポリヌクレオチドと、(ii)VLまたは軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクターまたはポリヌクレオチドとを含む。具体的な態様では、第1の宿主細胞は、VHまたは重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクターまたはポリヌクレオチドを含み、第2の宿主細胞は、VLまたは軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ベクターまたはポリヌクレオチドを含む。
本明細書の特定の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはその断片を作製する方法であって、本明細書で記載される宿主細胞を、抗FXI/FXIa抗体またはその断片の発現に適した条件下で培養するステップを含む方法が提示される。
ある種の態様では、抗FXI/FXIa抗体またはその断片を作製する方法は、抗FXI/FXIa抗体またはその断片を精製するステップをさらに含む。
抗体をコードする核酸
本開示は、上記で記載したFXIa結合性抗体鎖のセグメントまたはドメインを含むポリペプチドをコードする、実質的に精製された核酸分子を提供する。本開示の核酸のいくつかは、配列番号30、41、または48に示される重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列、および/または配列番号34または55に示される軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む。具体的な実施形態では、核酸分子は、表2において同定される核酸分子である。本開示の他のいくつかの核酸分子は、表2において同定される核酸分子のヌクレオチド配列と実質的に(例えば、少なくとも65、80%、95%、または99%)同一なヌクレオチド配列を含む。適切な発現ベクターから発現させるとき、これらのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドは、FXIおよび/もしくはFXIa抗原結合能を呈することが可能である。
本開示ではまた、上記で示したFXIa結合性抗体の重鎖または軽鎖に由来する少なくとも1つのCDR領域、および、通例3つ全てのCDR領域をコードするポリヌクレオチドも提供される。他のいくつかのポリヌクレオチドは、上記で示したFXIa結合性抗体の重鎖および/または軽鎖の可変領域配列の全てまたは実質的に全てをコードする。コードの縮重性のために、様々な核酸配列は、免疫グロブリンアミノ酸配列の各々をコードするであろう。
本開示の核酸分子は、抗体の可変領域および定常領域の両方をコードしうる。本開示の核酸配列のいくつかは、配列番号32、43、50、または53に示される重鎖配列と実質的に(例えば、少なくとも80%、90%、または99%)同一な重鎖配列をコードするヌクレオチドを含む。他のいくつかの核酸配列は、配列番号57または36に示される軽鎖配列と実質的に(例えば、少なくとも80%、90%、または99%)同一な軽鎖配列をコードするヌクレオチドを含む。
ポリヌクレオチド配列は、デノボの固相DNA合成、またはFXIa結合性抗体またはその結合性断片をコードする既存の配列(例えば、下記の実施例で記載される配列)に対するPCRによる突然変異誘発により作製することができる。核酸の直接的な化学合成は、Narangら、1979、Meth. Enzymol. 68:90によるホスホトリエステル法、Brownら、Meth. Enzymol. 68:109、1979によるホスホジエステル法、Beaucageら、Tetra. Lett., 22:1859、1981によるジエチルホスホルアミダイト法、および米国特許第4,458,066号明細書による固体支持体法など、当技術分野で公知の方法により達成することができる。PCRによる、突然変異の、ポリヌクレオチド配列への導入は、例えば、PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、H.A. Erlich(編)、Freeman Press、NY、NY、1992、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Innisら(編)、Academic Press、San Diego、CA、1990; Mattilaら、Nucleic Acids Res. 19:967、1991、およびEckertら、PCR Methods and Applications 1:17、1991において記載されている通りに実施することができる。
本開示ではまた、上記で記載したFXI結合性抗体および/もしくはFXIa結合性抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞も提供される。多様な発現ベクターを、利用して、FXIa結合性抗体鎖または結合性断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることができる。ウイルスベースの発現ベクターおよび非ウイルス発現ベクターのいずれを使用しても、哺乳動物宿主細胞内で抗体を作製することができる。非ウイルスベクターおよび非ウイルス系は、プラスミド、典型的に、タンパク質またはRNAを発現させるための発現カセットを伴うエピソームベクター、およびヒト人工染色体を含む(例えば、Harringtonら、Nat Genet 15:345、1997を参照されたい)。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞内のFXIa結合性ポリヌクレオチドおよびLOX-1結合性ポリペプチドの発現に有用な非ウイルスベクターは、pThioHis A、pThioHis B、およびpThioHis C、pcDNA3.1/His、pEBVHis A、pEBVHis B、およびpEBVHis C(Invitrogen、San Diego、CA)、MPSVベクター、ならびに他のタンパク質を発現させるための、当技術分野で公知の他の多数のベクターを含む。有用なウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスに基づくベクター、SV40に基づくベクター、パピローマウイルス、HBPエプスタインバーウイルス、ワクシニアウイルスベクター、およびセムリキ森林熱ウイルス(SFV)を含む。Brentら、前出; Smith、Annu. Rev. Microbiol. 49:807、1995、およびRosenfeldら、Cell 68:143、1992を参照されたい。
発現ベクターの選択は、その中でベクターを発現させる、意図される宿主細胞に依存する。発現ベクターは、FXIa結合性抗体鎖または断片をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターおよび他の調節配列(例えば、エンハンサー)を含有することが典型的である。いくつかの実施形態では、誘導条件下を除き、挿入された配列の発現を防止するのに、誘導的プロモーターを利用する。誘導的プロモーターは、例えば、アラビノース、lacZ、メタロチオネインプロモーター、または熱ショックプロモーターを含む。形質転換された生物の培養物は、それらの発現産物が宿主細胞により良好に許容されるコード配列の集団にバイアスをかけずに、非誘導条件下で増殖させることができる。プロモーターに加えて、他の調節的エレメントもまた、FXIa結合性抗体鎖または断片の効率的な発現に要求または所望される可能性がある。これらのエレメントは、ATG開始コドンおよび隣接のリボソーム結合性部位または他の配列を典型的に含む。加えて、発現の効率は、使用される細胞系に適したエンハンサーを組み入れることにより増強することもできる(例えば、Scharfら、Results Probl. Cell Differ. 20:125、1994、およびBittnerら、Meth. Enzymol., 153:516、1987を参照されたい)。例えば、SV40エンハンサーまたはCMVエンハンサーを使用して、哺乳動物宿主細胞内の発現を増大させることができる。
発現ベクターはまた、挿入されたFXIa結合性抗体配列によりコードされるポリペプチドとの融合タンパク質を形成するように、分泌シグナル配列の位置ももたらしうる。挿入されたFXI結合性抗体配列および/もしくはFXIa結合性抗体配列は、ベクター内に組み入れる前に、シグナル配列に連結することが多い。FXI結合性抗体および/もしくはFXIa結合性抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインをコードする配列を受容するのに使用されるベクターは、場合によってまた、定常領域またはそれらの一部もコードする。このようなベクターは、定常領域との融合タンパク質としての可変領域の発現を可能とし、これにより、インタクトな抗体またはそれらの断片の作製をもたらす。このような定常領域は、ヒト定常領域であることが典型的である。
FXI結合性抗体鎖および/もしくはFXIa結合性抗体鎖を保有し、これを発現させるための宿主細胞は、原核細胞の場合もあり、真核細胞の場合もある。大腸菌(E. coli)は、本開示のポリヌクレオチドをクローニングし、発現させるのに有用な1つの原核生物宿主である。使用に適した他の微生物宿主は、枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、およびサルモネラ(Salmonella)属種、セラチア(Serratia)属種、および多様なシュードモナス(Pseudomonas)属種など、他の腸内細菌科を含む。これらの原核生物宿主内ではまた、典型的に、宿主細胞と適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する発現ベクターも作製することができる。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダに由来するプロモーター系など、任意の数の、様々な周知のプロモーターも存在する。プロモーターは、任意選択で、オペレーター配列により発現を制御することが典型的であるが、転写および翻訳を開始して終結させるためのリボソーム結合性部位配列なども有する。本開示のFXIa結合性ポリペプチドを発現させるのに、酵母など、他の微生物もまた利用することができる。また、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞も使用することができる。
いくつかの具体的な実施形態では、本開示のFXI結合性ポリペプチドおよび/もしくはFXIa結合性ポリペプチドを発現させ、作製するのに、哺乳動物宿主細胞を使用する。哺乳動物宿主細胞は、任意の正常非不死化動物細胞または正常不死化動物細胞もしくは非正常不死化動物細胞またはヒト細胞を含む。例えば、CHO細胞系、多様なCos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、および形質転換B細胞を含む、インタクトな免疫グロブリンを分泌することが可能な多数の適切な宿主細胞系が開発されている。ポリペプチドを発現させるための、哺乳動物組織細胞培養物の使用については、例えば、Winnacker、FROM GENES TO CLONES、VCH Publishers、N.Y.、N.Y.、1987において一般に論じられている。哺乳動物宿主細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびエンハンサーなどの発現制御配列(例えば、Queenら、Immunol. Rev. 89:49~68、1986を参照されたい)、ならびにリボソーム結合性部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列などの、必要なプロセシング情報部位を含みうる。
これらの発現ベクターは通例、哺乳動物遺伝子に由来するプロモーターまたは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターを含有する。適切なプロモーターは、構成的プロモーター、細胞型特異的プロモーター、段階特異的プロモーター、および/またはモジュレート可能プロモーターもしくは調節可能プロモーターでありうる。有用なプロモーターは、メタロチオネインプロモーター、構成的アデノウイルス主要後期プロモーター、デキサメタゾン誘導性MMTVプロモーター、SV40プロモーター、MRP polIIIプロモーター、構成的MPSVプロモーター、テトラサイクリン誘導性CMVプロモーター(ヒト即初期CMVプロモーターなど)、構成的CMVプロモーター、および当技術分野で公知のプロモーター-エンハンサーの組合せを含むがこれらに限定されない。
対象のポリヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを導入する方法は、細胞宿主の種類に応じて変化する。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが一般に原核細胞に用いられるのに対し、リン酸カルシウム処理または電気穿孔は、他の細胞宿主に使用することができる(一般に、Sambrookら、前出を参照されたい)。他の方法は、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム処理、リポソーム媒介型形質転換、注射およびマイクロインジェクション、遺伝子銃法、ウィロソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNA、人工ビリオン、ヘルペスウイルス構造タンパク質であるVP22との融合体(ElliotおよびO'Hare、Cell 88:223、1997)、DNAの薬剤増強型取込み、およびex vivoにおける形質導入を含む。組換えタンパク質の長期にわたる高収率作製のためには、安定的発現が所望されることが多い。例えば、FXIa結合性抗体鎖または結合性断片を安定的に発現させる細胞系は、ウイルス複製起点または内因性発現エレメント、および選択マーカー遺伝子を含有する、本開示の発現ベクターを使用して調製することができる。ベクターを導入した後、細胞は、強化培地中で1~2日間にわたり成長させてから、選択培地に切り替えることができる。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与し、その存在により細胞の成長を可能とし、これにより、導入された配列を選択培地中で発現させることに成功することである。耐性で安定的にトランスフェクトされた細胞は、細胞型に適した組織培養法を使用して増殖させることができる。
フレームワークまたはFcの操作
本開示の操作抗体は、例えば、抗体の特性を改善するように、VHおよび/またはVL内のフレームワーク残基に修飾を施した操作抗体を含む。このようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を低下させるように施すことが典型的である。例えば、1つの手法は、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系列配列に「復帰突然変異させる」ことである。より具体的には、体細胞突然変異を経た抗体は、抗体が由来する生殖細胞系列配列と異なるフレームワーク残基を含有しうる。このような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞系列配列と比較することにより同定することができる。フレームワーク領域配列を、それらの生殖細胞系列の立体配置に戻すには、例えば、部位特異的突然変異誘発により、体細胞突然変異を、生殖細胞系列配列に「復帰突然変異させる」ことができる。このような「復帰突然変異させた」抗体もまた、本開示により包含されることを意図する。
フレームワーク修飾の別の種類は、1つもしくは複数のフレームワーク領域内の残基、なおまたは、1つもしくは複数のCDR領域内の残基を突然変異させて、T細胞エピトープを除去して、これにより、抗体の潜在的な免疫原性を低減することを伴う。この手法はまた、「脱免疫化」とも称し、Carrらによる米国特許公開第20030153043号明細書においてさらに詳細に記載されている。
フレームワーク内またはCDR領域内に施された修飾に加えて、またはこれと代替的に、本開示の抗体は、Fc領域内の修飾を含んで、典型的に、血清半減期、補体の結合、Fc受容体の結合、および/または抗体依存性細胞性細胞傷害など、抗体の1つまたは複数の機能的特性を改変するように操作することもできる。さらに、本開示の抗体は、化学的に修飾することもでき(例えば、1つまたは複数の化学的部分を抗体に付着することができる)、そのグリコシル化を改変して、ここでもまた、抗体の1つまたは複数の機能的特性を改変するように修飾することもできる。これらの実施形態の各々については、下記でさらに詳細に記載する。Fc領域内の残基の番号付けは、KabatによるEUインデックスである。
一実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基の数を改変する、例えば、増大または減少させるように、CH1のヒンジ領域を修飾する。この手法は、Bodmerらによる米国特許第5,677,425号明細書においてさらに記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖のアセンブリーを容易とするか、または抗体の安定性を増大もしくは低下させるように改変する。
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域を突然変異させて、抗体の生物学的半減期を短縮する。より具体的には、抗体のブドウ球菌属プロテインA(SpA)への結合が、天然Fc-ヒンジドメインのSpAへの結合と比べて損なわれるように、1つまたは複数のアミノ酸突然変異を、Fc-ヒンジ断片のCH2ドメイン-CH3ドメイン間界面領域に導入する。この手法は、Wardらによる米国特許第6,165,745号明細書においてさらに詳細に記載されている。
別の実施形態では、抗体は、その生物学的半減期を延長するように修飾する。多様な手法が可能である。例えば、Wardによる米国特許第6,277,375号明細書において記載されている突然変異の1つまたは複数を使用することができる。代替的に、生物学的半減期を延長するために、抗体を、Prestaらによる米国特許第5,869,046号明細書、および同第6,121,022号明細書において記載されている、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから採取されたサルベージ受容体結合性エピトープを含有するように、CH1領域内またはCL領域内で改変することもできる。
さらに他の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸残基を、抗体のエフェクター機能を改変する異なるアミノ酸残基で置きかえることにより、Fc領域を改変する。例えば、抗体が、エフェクターリガンドに対するアフィニティーを改変しているが、親抗体の抗原結合能は保持するように、1つまたは複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基で置きかえることができる。それに対するアフィニティーを改変するエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1成分でありうる。この手法は、両方ともWinterらによる米国特許第5,624,821号明細書、および同第5,648,260号明細書においてさらに詳細に記載されている。
別の実施形態では、抗体が、C1qへの結合を改変し、かつ/または補体依存性細胞傷害作用(CDC)を低減もしくは消失させるように、アミノ酸残基から選択される1つまたは複数のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基で置きかえることができる。この手法は、Idusogieらによる米国特許第6,194,551号明細書においてさらに詳細に記載されている。
別の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基を改変して、これにより、補体に結合する抗体の能力を改変する。この手法は、BodmerらによるPCT公開国際公開第94/29351号パンフレットにおいてさらに記載されている。
具体的な実施形態では、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗体)は、任意の表面関連FXIにより引き起こされる、ADCCまたはCDCの可能性を低減するように、2つのアミノ酸置換である、D265AおよびP329Aを含むヒトIgG(例えば、IgG1)Fc領域を含む。これらのアラニン置換は、ADCCおよびCDCを低減することが示されている(例えば、Idosugie et al., J. Immunol. 164:4178-4184, 2000; Shields et al., J. Biol. Chem. 276:6591-6604, 2001を参照されたい)。
さらに別の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸を修飾することにより、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する抗体の能力を増大させ、かつ/またはFcγ受容体に対する抗体のアフィニティーを増大させるように、Fc領域を修飾する。この手法は、PrestaによるPCT公開国際公開第00/42072号パンフレットにおいてさらに記載されている。さらに、ヒトIgG1上の、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、およびFcRnに対する結合性部位もマップされており、結合を改善させた変異体も記載されている(Shields, R.L.ら、2001 J. Biol. Chen. 276:6591~6604を参照されたい)。
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化を修飾する。例えば、脱グリコシル化抗体(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)を作製することができる。グリコシル化は、例えば、「抗原」に対する抗体のアフィニティーを増大させるように改変することができる。このような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内の1つまたは複数のグリコシル化部位を改変することにより達成することができる。例えば、1つまたは複数の可変領域フレームワークグリコシル化部位の消失を結果としてもたらす、1つまたは複数のアミノ酸置換を作製して、これにより、その部位におけるグリコシル化を消失させることができる。このような脱グリコシル化により、抗原に対する抗体のアフィニティーを増大させることができる。このような手法は、Coらによる米国特許第5,714,350号明細書、および同第6,350,861号明細書においてさらに詳細に記載されている。
加えて、または代替的に、フコシル残基の量を低減した低フコシル化抗体または二分枝型GlcNac構造を増大させた抗体など、グリコシル化の種類を改変した抗体を作製することもできる。このようなグリコシル化パターンの改変は、抗体のADCC能を増大させることが証明されている。このような炭水化物修飾は、例えば、グリコシル化機構を改変した宿主細胞内で抗体を発現させることにより達成することができる。当技術分野では、グリコシル化機構を改変した細胞が記載されており、本開示の組換え抗体を発現させ、これにより、グリコシル化を改変した抗体を産生するための宿主細胞として使用することができる。例えば、HangらによるEP1,176,195は、このような細胞系内で発現させた抗体が、低フコシル化を呈するように、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を機能的に破壊した細胞系について記載している。PrestaによるPCT公開国際公開第03/035835号パンフレットは、フコースをAsn(297)連結された炭水化物に付着する能力を低減し、また、その宿主細胞内で発現させた抗体の低フコシル化も結果としてもたらす、変異体のCHO細胞系である、Lecl3細胞について記載している(また、Shields, R.L.ら、2002 J. Biol. Chem. 277:26733~26740も参照されたい)。UmanaらによるPCT公開国際公開第99/54342号パンフレットは、操作細胞系内で発現させた抗体が、抗体のADCC活性の増大を結果としてもたらす二分枝型GlcNac構造の増大を呈するように、糖タンパク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)-NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現させるように操作された細胞系について記載している(また、Umanaら、1999 Nat. Biotech. 17:176~180も参照されたい)。
改変抗体を操作する方法
上記で論じた通り、本明細書で示されるVH配列およびVL配列または全長重鎖および全長軽鎖配列を有するFXIa結合性抗体は、全長重鎖配列および/もしくは全長軽鎖配列、VH配列および/もしくはVL配列、またはこれらに付着された定常領域を修飾することにより、新たなFXIa結合性抗体を創出するのに使用することができる。したがって、本開示の別の態様では、本開示のFXIa結合性抗体の構造特色を使用して、ヒトFXIaに結合し、また、FXIaの1つまたは複数の機能的特性も阻害すること(例えば、FXIaとFXIa受容体の結合を阻害する、FXIa依存性の細胞増殖を阻害する)など、本開示の抗体の少なくとも1つの機能的特性を保持する、構造的に関連するFXIa結合性抗体を創出する。
例えば、本開示の抗体の1つまたは複数のCDR領域またはそれらの突然変異は、組換えにより、公知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組み合わせて、組換えにより操作された、上記で論じた、本開示の、さらなるFXIa結合性抗体を創出することができる。他の種類の修飾は、前出の節で記載した修飾を含む。操作法のための出発材料は、本明細書で提示されるVH配列および/もしくはVL配列の1つもしくは複数、またはそれらの1つもしくは複数のCDR領域である。操作抗体を創出するのに、本明細書で提示されるVH配列および/もしくはVL配列の1つもしくは複数、またはそれらの1つもしくは複数のCDR領域を有する抗体を実際に調製する(すなわち、タンパク質として発現させる)ことは必要ではない。そうではなくて、配列内に含有される情報を、元の配列に由来する「第2世代の」配列を創出するための出発材料として使用し、次いで、「第2世代の」配列を、タンパク質として調製し、発現させる。
したがって、別の実施形態では、本開示は、哺乳動物細胞内の発現について最適化されたFXIa結合性抗体であって、配列番号32、43、50、および53の群から選択される配列を有する、全長重鎖抗体の配列と、配列番号36および57の群から選択される配列を有する、全長軽鎖抗体の配列とからなるFXIa結合性抗体を調製し、少なくとも1つの変更された抗体配列を創出するように、全長重鎖抗体の配列内および/または全長軽鎖抗体の配列内の、少なくとも1つのアミノ酸残基を変更し、変更された抗体配列を、タンパク質として発現させるための方法を提示する。一実施形態では、重鎖または軽鎖の改変は、重鎖または軽鎖のフレームワーク領域内である。
改変抗体配列はまた、CDR3配列、またはUS2005/0255552において記載されている、最小限の不可欠な結合決定基を固定し、CDR1配列およびCDR2配列には多様性を持たせた抗体ライブラリーをスクリーニングすることによっても調製することができる。スクリーニングは、ファージディスプレイ技術など、抗体を、抗体ライブラリーからスクリーニングするのに適切な任意のスクリーニング技術に従い実施することができる。
標準的な分子生物学の技法を使用して、改変抗体配列を調製し、発現させることができる。改変抗体配列によりコードされる抗体は、ヒト、カニクイザル、ラットおよび/またはマウスFXIaに特異的に結合すること、ならびに抗体が、F36E細胞増殖アッセイおよび/またはBa/F3-FXIaR細胞増殖アッセイにおいて、FXIa依存性の細胞増殖を阻害することを含むがこれらに限定されない、本明細書で記載されるFXIa結合性抗体の機能的特性の1つ、一部、または全部を保持する抗体である。
本開示の抗体を操作する方法のある種の実施形態では、FXIa結合性抗体コード配列の全部または一部に沿って、ランダムに、または選択的に、突然変異を導入することができ、結果として得られる修飾FXIa結合性抗体を、本明細書で記載される結合活性および/または他の機能的特性についてスクリーニングすることができる。当技術分野では、突然変異法が記載されている。例えば、ShortによるPCT公開国際公開第02/092780号パンフレットは、飽和突然変異誘発、合成ライゲーションアセンブリー、またはこれらの組合せを使用して、抗体の突然変異を創出し、スクリーニングするための方法について記載している。代替的に、LazarらによるPCT公開国際公開第03/074679号パンフレットは、コンピュータによるスクリーニング法を使用して、抗体の生理化学的特性を最適化する方法について記載している。
本開示のある種の実施形態では、抗体は、脱アミド化部位を除去するように操作されている。脱アミド化は、ペプチド内またはタンパク質内の構造的変化および機能的変化を引き起こすことが公知である。脱アミドは、生物学的活性の低下のほか、タンパク質医薬品の薬物動態および抗原性の改変も結果としてもたらしうる(Anal Chem. 2005年3月1日;77(5):1432~9)。
本開示のある種の実施形態では、抗体は、pIを増大させ、それらの薬物様特性を改善するように操作されている。タンパク質のpIは、分子の全体的な生物物理的特性の鍵となる決定因子である。pIが小さな抗体は、可溶性が小さく、安定性が小さく、凝集しやすいことが公知である。さらに、pIが小さな抗体の精製は、とりわけ、臨床における使用のためのスケールアップにおいて、困難であり、問題を生じる可能性がある。本開示の抗FXI抗体および/もしくは抗FXIa抗体またはFabのpIを増大させることにより、それらの可溶性が改善され、抗体を高濃度(>100mg/ml)で製剤化することが可能となった。抗体を高濃度(例えば、>100mg/ml)で製剤化することにより、高用量の抗体を投与することが可能であるという利点がもたらされ、これにより、血栓性障害および/または血栓塞栓性障害を含む慢性疾患を処置するための著明な利点である、投与頻度の低減を可能とすることができる。pIの増大はまた、抗体のIgGバージョンのFcRnを媒介するリサイクリングも増大させ、これにより、薬物が長時間にわたり体内にとどまり、要求される注射の回数を少なくすることも可能としうる。最後に、pIの増大に起因して、抗体の全体的な安定性が著明に改善され、その結果として、保管寿命およびin vivoにおける生物学的活性の延長がもたらされる。pIは、8.2以上であることが好ましい。
改変抗体の機能的特性は、実施例において示されるアッセイ(例えば、ELISA、aPTTアッセイ)など、当技術分野において利用可能であり、かつ/または本明細書で記載される標準的なアッセイを使用して評価することができる。
予防的使用および治療的使用
本明細書で記載される、FXIおよび/またはFXIaに結合する抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI抗体など、表2に記載されている抗体)は、有効量の、本開示の抗体または抗原結合性断片を、それを必要とする対象に投与することにより、血栓塞栓性疾患または血栓塞栓性障害(例えば、血栓性脳卒中、心房細動、心房細動における脳卒中の防止(SPAF)、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、肺塞栓症、急性冠動脈症候群(ACS)、虚血性脳卒中、急性下肢虚血症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、または全身性塞栓症)を処置するために、治療的に有用な濃度で使用することができる。本開示は、有効量の、本開示の抗体を、それを必要とする対象に投与することにより、血栓塞栓性障害(例えば、血栓性障害)を処置する方法を提供する。本開示は、有効量の、本開示の抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)を、それを必要とする対象に投与することにより、血栓塞栓性障害(例えば、血栓性脳卒中、心房細動、心房細動における脳卒中の防止(SPAF)、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、肺塞栓症、急性冠動脈症候群(ACS)、虚血性脳卒中、急性下肢虚血症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、または全身性塞栓症)を処置する方法を提供する。
本明細書で記載される抗体(例えば、抗体、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI抗体など、表2に記載されている抗体)はとりわけ、本明細書でより詳細に記載される通り、血栓性障害を含むがこれらに限定されない、血栓塞栓性状態または血栓塞栓性障害を処置、防止、および改善するのに使用することができる。
本明細書で提示される抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI抗体など、表2に記載されている抗体)はまた、血栓塞栓性障害を防止、処置、または改善するために、他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。例えば、スタチン療法は、血栓性障害および/または血栓塞栓性障害を伴う患者を処置するために、本開示のFXIa抗体および抗原結合性断片と組み合わせて使用することができる。
本明細書の具体的な実施形態では、心房細動を伴う患者における脳卒中を処置または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVHCDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、心房細動を伴う患者における塞栓性脳卒中および全身性塞栓症など、心房細動(AF)と関連するリスクまたは状態を管理または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVHCDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、心房細動を伴う患者における塞栓性脳卒中および全身性塞栓症など、心房細動(AF)と関連する状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVHCDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法が提示される。特定の実施形態では、AF患者は、出血リスクが高い。
本明細書の具体的な実施形態では、対象(例えば、深部静脈血栓症を伴うか、またはこれを発症するリスクを有する対象)における深部静脈血栓症またはこれと関連する状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象(例えば、静脈血栓塞栓症を伴うか、またはこれを発症するリスクを有する対象)における静脈血栓塞栓症(VTE)またはこれと関連する状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。特定の実施形態では、本明細書で提示される抗FXI抗体で処置される対象は、がん患者を含め、1)出血リスクが低い、初回の特発性VTE、2)特発性VTEの再発、または3)血栓性素因と関連するVTEを経ている。
本明細書の具体的な実施形態では、対象(例えば、肺塞栓症を伴うか、またはこれを発症するリスクを有する対象)における肺塞栓症またはこれと関連する状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象における急性冠動脈症候群(ACS)またはこれと関連する状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象(例えば、虚血性脳卒中を伴うか、またはこれを発症するリスクを有する対象)における虚血性脳卒中を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象における急性下肢虚血症を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象における慢性血栓塞栓性肺高血圧症を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な実施形態では、対象(例えば、全身性塞栓症を伴うか、またはこれを発症するリスクを有する対象)における全身性塞栓症を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
本明細書のある種の実施形態では、カテーテルが血栓性となったカテーテル(例えば、がん患者におけるヒックマンカテーテル)関連状態である、またはチュービングが凝血を発症させる体外式膜型人工肺(ECMO)である血栓塞栓性状態を処置、管理、または防止する方法であって、有効量の、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提示される。
特定の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体による処置を必要とする対象は、
・慢性の抗凝固療法の適応(例えば、AF、左室性血栓、既往の心塞栓性脳卒中)を伴う対象、
・大量出血のリスクが中等度~高度である対象、
・ステント血栓症を防止するように、二重の抗血小板療法(アスピリンおよびP2Y12受容体アンタゴニスト)を施すことを要求しうるステント留置を伴う、待機的経皮冠動脈インターベンション(PCI)または直接的PCIを受ける対象
を含みうる。
特定の実施形態では、以下の状態:
・発作性心房細動もしくは発作性心房粗動、遷延性心房細動もしくは遷延性心房粗動、または永続性心房細動もしくは永続性心房粗動などの心不整脈を疑われるか、または確認されている対象における血栓塞栓症、
・心房細動における脳卒中の防止(SPAF)を伴う対象であって、その亜集団が、経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受けるAF患者である対象、
・出血リスクが高い患者における、急性静脈血栓塞栓性事象(VTE)の処置、および長期的な続発性VTEの防止、
・一過性虚血性発作(TIA)または非機能障害誘発性脳卒中の後の二次防止における大脳および心血管事象、ならびに洞調律を伴う心不全における血栓塞栓性事象の防止における大脳および心血管事象、
・心不整脈のための心除細動を受ける対象における、左心房内の凝血形成および血栓塞栓症、
・心不整脈のためのアブレーション手順の前、その間、およびその後における血栓症、
・静脈血栓症であり、これは、下肢または上肢における、深部静脈血栓症または表在静脈血栓症、腹部静脈および胸部静脈における血栓症、静脈洞血栓症および頸静脈血栓症の処置および二次防止を含むがこれらに限定されない、
・カテーテルまたはペースメーカーの導線など、静脈内の任意の人工表面上の血栓症、
・静脈血栓症を伴うかまたは伴わない患者における肺塞栓症、
・慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、
・破裂したアテローム性プラーク上の動脈血栓症、動脈内の人工装具上またはカテーテル上の血栓症、および見かけ上正常な動脈内の血栓症であり、これらは、急性冠動脈症候群、ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞、不安定狭心症、ステント血栓症、動脈系内の任意の人工表面の血栓症、および肺高血圧症を伴うかまたは伴わない対象における肺動脈血栓症を含むがこれらに限定されない、
・経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者における、血栓症および血栓塞栓症、
・心塞栓性脳卒中および潜因性脳卒中、
・侵襲性および非侵襲性のがん性悪性腫瘍を伴う患者における血栓症、
・留置カテーテルにわたる血栓症、
・重病患者における血栓症および血栓塞栓症、
・心血栓症および血栓塞栓症であり、これらは、心筋梗塞後における心血栓症、心動脈瘤、心筋線維症、心肥大および心機能不全、心筋炎、ならびに心臓内の人工表面などの状態と関連する心血栓症を含むがこれらに限定されない、
・心房細動を伴うかまたは伴わない、心弁性心疾患を伴う患者における血栓塞栓症、
・心弁用の機械的または生物学的人工装具にわたる血栓塞栓症、
・単純型心奇形または複合型心奇形の心臓修復術後において、天然または人工の心パッチ、動脈または静脈の導管を有した患者における傷害または外傷、
・人工膝関節置換術、人工股関節置換術、および整形外科術、胸部手術または腹部手術の後における、静脈血栓症および血栓塞栓症、
・頭蓋内インターベンションおよび脊髄インターベンションを含む神経外科術の後における、動脈血栓症または静脈血栓症、
・第V因子 Leiden、プロトロンビンの突然変異、抗トロンビンIII、プロテインC欠損症およびプロテインS欠損症、第XIII因子の突然変異、家族性異常フィブリノゲン血症、先天性プラスミノゲン欠損症、第XI因子レベルの上昇、鎌状赤血球病、抗リン脂質症候群、自己免疫疾患、慢性腸疾患、ネフローゼ症候群、溶血性尿毒症、骨髄増殖性疾患、播種性血管内凝固、発作性夜間ヘモグロビン尿症、およびヘパリン誘導性血小板減少症を含むがこれらに限定されない、先天性または後天性の血栓性素因、
・慢性腎疾患における血栓症および血栓塞栓症、
・末期腎不全(ESRD)における血栓症および血栓塞栓症、
・慢性腎疾患またはESRDを伴い、血液透析を受ける患者における血栓症および血栓塞栓症、ならびに
・血液透析を受ける患者、および/または体外式膜型人工肺を受ける患者における、血栓症および血栓塞栓症
の1つを、本明細書で記載される抗FXI抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体で処置または管理することができる。
本明細書の特定の態様では、対象における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを処置、管理、防止、または低減する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を投与するステップを含み、対象が、非弁膜症性心房細動などの心房細動を有する、方法が提示される。具体的な態様では、対象は、高い出血リスクが証明された、非弁膜症性心房細動などの心房細動を有する。
本明細書の特定の態様では、対象における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを処置、管理、防止、または低減する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体、例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体を投与するステップを含み、対象が、ESRDを有し、透析を受けている、方法が提示される。具体的な態様では、対象は、非弁膜症性心房細動などの心房細動と、ESRDとを有し、透析を受けている。具体的な態様では、対象は、高い出血リスクが証明された、非弁膜症性心房細動などの心房細動と、ESRDとを有し、透析を受けている。
例えば、高い出血リスクが証明された対象は、出血、例えば、手術中の出血もしくは手術後における出血、または抗凝固剤(例えば、ワルファリン)で処置された場合の出血の医学的既往歴により同定することができる。加えて、高い出血リスクが証明された対象は、当技術分野で公知のin vitro/ex vivoアッセイ、例えば、対象の血漿に関するアッセイであって、aPTT、ならびにプロトロンビン時間(PT)およびトロンビン時間(TT)など、外因性凝固経路についてのバイオマーカーを測定するアッセイにより同定することができる。
心房細動患者に特異的な、出血リスクの評価ツール、例えば、HAS-BLED、ATRIA、HEMORR2HAGES、ORBIT、およびABCリスクスコアは、心房細動を伴う患者における出血リスクを予測するために開発された。残念ながら、出血リスクは、脳卒中のリスクと緊密に相関するので、ワルファリンまたはNOACS(新規経口抗凝固剤)などのビタミンKアンタゴニストを使用するように治療的決定を導く、これらのリスクスコアの価値は、限定されたものであった。しかし、出血リスクスコアは、出血リスクを低減した新たな治療、例えば、抗FXI/FXIa抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)から利益を得る患者を同定するのに、大いに役立ちうる。
特定の態様では、脳卒中および全身性塞栓症についてのリスクが中等度~高度である対象は、≧2のCHA2DS2VAScリスクスコアを有する。さらなる特定の態様では、HAS BLEDリスクスコアが≧3である対象は、高い出血リスクを有するものとして特徴付けられる(Gallego, et al., (2012) Carc Arrhythm Electrophysiol.; 5:312-318, and Friberg et al., (2012) Circulation.; 125:2298-2307を参照されたい)。
脳卒中、全身性塞栓症、冠動脈血栓症または末梢動脈血栓症、静脈血栓症、および肺塞栓症を含む血栓塞栓性事象のリスクは、血栓形成傾向、血管壁の損傷、およびうっ血など、素因となる因子の存在と共に増大する。医学的既往歴、家族的先行例、および関連する併存疾患についての査定は、患者を、それらの血栓塞栓性のリスクに従い層別化する一助となる。心房細動を伴う患者では、いくつかの評定システム、例えば、CHADS2およびCHA2DS2-VAScが、脳卒中のリスクを評価するために開発されている。各評定システムは、無作為化試験、ならびに臨床研究および病因論的コホート研究、ならびに簡略化され、使いやすく覚えやすいデバイス、アルゴリズム、計算機、またはオンラインツールに、変換され、重み付けされた、脳卒中のリスク因子についての多変量公式によるデータに基づき開発された。CHADS2リスクスコアは、心房細動患者における血栓塞栓性リスクを予測する層別化ツールとして使用された(LIP 2011; Camm et al 2012)が、蓄積された証拠は、CHA2DS2-VAScは、脳卒中および血栓塞栓症を発症する患者の同定において、CHADS2などのスコアと、少なくとも同程度に良好であるか、または、おそらく、これより良好であり、「真に低リスクの」、心房細動を伴う患者の同定では、決定的に良好であることを示す。CHA2DS2-VAScスコアは、現在、ガイドラインにより、抗凝固治療から利益を得るはずの患者に関する決定を導き、また、抗凝固治療が正当ではない、低リスクの患者を同定するのにも、推奨されている(Camm et al Eur Heart J (2012) 33, 2719-2747; January et al, AHA/ACC/HRS Atrial Fibrillation Guideline; J Am Coll Cardiol 2014;64:2246-80)。
具体的な態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、少なくとも18歳である。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、少なくとも50歳である。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、少なくとも55歳である。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、少なくとも60歳である。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、少なくとも65歳である。
具体的な態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、18kg/m以上のボディマス指数(BMI)を有する。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、30kg/m以上のBMIを有する。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、35kg/m以上のBMIを有する。別の態様では、本明細書で提示される方法により処置されている対象は、40kg/m以上のBMIを有する。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で提示される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)で処置されるかまたはこれを投与される患者における出血、例えば、外傷、手術、月経、または産後と関連する出血を管理する方法であって、抗凝固効果の逆転を含む方法が提示される。FXI欠損症は、自発的な出血症状と関連することがまれであり、具体的な態様では、出血は、外傷、手術、月経、または産後と関連することが最も典型的である。出血の遷延は、大きな外傷の後、または口腔粘膜、鼻腔粘膜、生殖器粘膜、または泌尿器粘膜などの高線溶領域を伴う臓器に関与する手術の後で生じうる。抜歯、扁桃摘出術、および子宮または前立腺のアブレーションは、高い出血リスクを伴う手術の例である。また、障害を伴う人々も、鼻血および斑状出血を発症させる傾向が強く、まれだが、尿中または腸内への出血を発症させる場合もある。FXI欠損症を伴う患者では、自発的な筋肉または関節の出血および頭蓋内出血の頻度は増大しない。静脈穿刺は通例、出血の長期化と関連しない。FXI欠損症と関連する他の遺伝子突然変異は、重度のFXI欠損症を伴う患者における、異質な予測外の出血傾向に寄与しうる。抗血小板剤、他の抗凝固剤、および線溶薬剤の併用は、出血リスクを増大させうる。
本明細書の特定の実施形態では、本明細書で提示される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)で処置される患者における出血を管理する方法であって、出血を管理するのに十分な時間にわたる、一次的な抗凝固効果の逆転を含む方法が提示される。具体的な実施形態では、抗凝固効果を逆転するステップは、(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、または(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血を含む。特定の実施形態では、例えば、重度の救急症例における、抗凝固剤の効果の逆転のための治療剤は、新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、および活性型PCC[(APCC)、例えば、第VIII因子インヒビターバイパス活性(FEIBA)]ならびに組換え活性型第VII因子(rFVIIa)など、止血促進性の血液成分を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、例えば、30μg/kgの用量におけるrFVIIaの投与に続き、例えば、6時間ごと、5~7日間にわたる、1gのトラネキサム酸に加えて、例えば、2~4時間ごとに15~30μg/kgの用量で、24~48時間にわたるrFVIIaの投与を含むレジメンは、本明細書で提示される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)で処置される対象であって、大手術を受ける対象、および接近不可能な出血部位を伴う患者における止血を回復させ、出血を止める可能性を有しうる。例えば、Riddelleらは、インヒビターを伴わない重度のFXI欠損症を伴う、手術を受ける患者4例における経験について報告したが(Riddell et al., 2011, Thromb. Haemost.; 106: 521-527)、患者は、30μg/kgのrFVIIaおよび1gのトラネキサム酸を、麻酔導入時にi.v.投与された。後続の、例えば、15~30μg/kgのrFVIIaのボーラス投与は、rotational thromboelastometry(ROTEM)の結果により示される指針の通り、2~4時間間隔で投与された。患者は、上述の用量のrFVIIaで、24~48時間にわたり処置された。6時間ごとに1gのトラネキサム酸は、5日間にわたり継続された。この少量シリーズでは、トラネキサム酸と組み合わせた、15~30μg/kgという低用量のrFVIIaは、この研究の重度のFXI欠損症における止血異常の矯正において、安全かつ有効であった。インヒビター(通例、重度のFXI欠損症を伴う患者への輸血または血液製剤の投与の後で獲得される、自家FXI中和抗体)を伴う重度のFXI欠損症を伴う、5件の手術を経た患者4例を含む別の研究では、著者ら(Livnat et al., 2009, Thromb. Haemost.; 102: 487-492)は、以下のプロトコールを適用した:手術の2時間前における、経口トラネキサム酸1g、次いで、インターベンションの直前に、患者に、別のi.v.トラネキサム酸1gを施した。用量を15~30μg/kgの範囲とする組換えFVIIaを、手術の完了時に注入した。その後、経口トラネキサム酸1gを、6時間ごとに、少なくとも7日間にわたり施した。フィブリン接着剤を、患者1例における、摘出された胆嚢床に噴霧した。このプロトコールは、インヒビターを伴う重度のFXI欠損症を伴う患者における、正常な止血を確保した。
一態様では、フィブリン接着剤を使用して、FXI欠損症を伴う患者における、歯科手術時の局所止血を回復させることができる(Bolton-Maggs (2000) Haemophilia; 6 (S1):100-9)。本明細書で提示される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)で処置される患者における出血を管理する方法に関する、ある種の実施形態では、フィブリン接着剤の使用と関連する、6時間ごと、5~7日間にわたるトラネキサム酸1gからなるレジメンは、小さな手術を受ける対象、および口腔および鼻腔における出血事象を含む、出血している部位が接近可能な対象において、局所的な止血を確立するのに使用されうる。
本明細書の特定の態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)で処置されるか、またはこれを投与された患者における、出血または出血リスクを管理する方法であって、それを必要とする患者に、抗FXI抗体の抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)を投与するステップを含み、抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)が、抗FXI抗体に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する、方法が提示される。具体的な実施形態では、抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)は、例えば、緊急の大手術時または外傷時において、本明細書で記載される抗FXI抗体の効果を逆転させて、出血リスクを緩和する。
具体的な態様では、抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)は、抗FXI抗体の抗凝固効果を逆転させるか、またはこれを阻害する。特定の態様では、抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)を、それを必要とする患者に投与して、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)の抗凝固効果を、一時的に逆転させる。
本明細書の特定の態様では、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4などの抗FXI抗体で処置されるか、またはこれを投与された患者における、出血または出血リスクを管理する方法であって、それを必要とする患者に、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4など、抗FXI抗体の抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)を投与するステップを含み、抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)が、抗FXI抗体の抗原結合性領域に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIおよび/またはFXIaへの結合を遮断する、方法が提示される。具体的な実施形態では、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4など、抗FXI抗体の抗イディオタイプ抗体またはその抗原結合性断片(例えば、Fab)は、抗FXI抗体の抗凝固効果の1つまたは複数を逆転させるか、またはこれを阻害する。ある種の実施形態では、抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)の抗凝固効果の1つまたは複数の、一時的な逆転または阻害を達成する。具体的な実施形態では、抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)の、一時的な逆転または阻害の後、抗FXI抗体を、再度、患者に投与する。
本明細書の特定の態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体または抗原結合性断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、抗FXI抗体に特異的に結合し、抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与するステップを含み、抗イディオタイプ抗体またはその断片が、抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転させる、方法が提示される。具体的な態様では、抗イディオタイプ抗体またはその断片を、対象に、1回または2回にわたり投与して、抗FXI抗体の抗凝固効果を一時的に逆転させる。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体または抗原結合性断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、以下:(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子の投与のうちの1つにより、出血を管理するのに十分な時間にわたって抗凝固効果を逆転させるステップを含む方法が提示される。具体的な態様では、前記方法は、対象に、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体またはその断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)の、1回もしくは2回、またはこれを超える回数の投与を行うステップを含む。具体的な態様では、抗イディオタイプ抗体は、抗FXI/FXIa抗体の、FXI/FXIaへの結合を遮断し、抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転させることが可能である。具体的な態様では、前記方法は、以下:(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子(rfVIIa)の投与のうちの1つにより、出血を管理するのに十分な時間にわたる、抗凝固効果の逆転(例えば、一時的な逆転)を含む。具体的な態様では、このような方法は、任意選択で、トラネキサム酸を投与するステップを含む。
本明細書の具体的な態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体または抗原結合性断片(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)の、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片により処置されている患者における抗凝固効果を逆転させるための方法であって、有効量の、抗FXI抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与するステップと、任意選択で、有効量の新鮮凍結血漿(FFP)と、任意選択で、トラネキサム酸とを投与するステップとを含む方法が提示される。
本明細書の具体的な態様では、抗体AM4など、本明細書で記載される抗FXI抗体または抗原結合性断片の、抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片により処置されている患者における抗凝固効果を逆転させるための方法であって、有効量の、抗FXI抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体(例えば、抗AM4抗体)またはその断片を投与するステップと、任意選択で、有効量の組換え活性型第VII因子(rfVIIa)と、任意選択で、トラネキサム酸とを投与するステップを含む方法が提示される。
特定の態様では、抗イディオタイプ抗体は、既に記載されている多様な方法により作製することができる(例えば、Pan et al., 1995, FASEB J. 9:43-49を参照されたい)。抗イディオタイプ抗体は、抗体分子(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、またはAM4)により誘発され、抗体の結合性部位内、またはこの近傍の抗原決定基(イディオタイプ)に対して方向付けられる。抗イディオタイプ抗体は、元の抗原と接触する結合性部位の一部と重複し、誘発性抗原を模倣しうる抗原決定基を認識する。
医薬組成物
本開示は、薬学的に許容される担体と併せて製剤化されたFXI/FXIa結合性抗体(インタクトなまたは結合性断片)を含む医薬組成物を提供する。組成物は加えて、例えば、血栓塞栓性障害(例えば、血栓性障害)の処置または防止に適した1つまたは複数の他の治療剤も含有しうる。薬学的に許容される担体は、組成物を増強するかもしくは安定化させるか、または、組成物の調製を容易とするのに使用することもできる。薬学的に許容される担体は、生理学的に適合性の溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。
本開示の医薬組成物は、当技術分野で公知の様々な方法により投与することができる。投与経路および/または投与方式は、所望される結果に応じて変化する。投与は、静脈内投与、筋内投与、腹腔内投与、もしくは皮下投与であるか、または標的部位に近接して投与することが好ましい。薬学的に許容される担体は、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、非経口投与、脊髄投与、または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適したものとする。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、二特異性分子および多特異性分子である抗体は、化合物を、化合物を不活化しうる酸および他の天然の状態の作用から保護する材料でコーティングすることができる。
特定の態様では、本明細書で記載される抗FXI/FXIa抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、皮下注射用の液体バイアル中に、1mL当たり約75mg~1mL当たり約200mgの濃度で製剤化する。特定の実施形態では、医薬組成物は、医薬担体または医薬賦形剤、例えば、スクロースおよびポリソルベート20を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、L-ヒスチジンおよび/またはヒスチジンHCl一水和物を含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約4~7または5~6のpHを有する。
特定の態様では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、皮下注射用の液体バイアル中に、1mL当たり150mgの濃度で製剤化する。一実施形態では、150mg/mLの流体製剤は、pH=5.5±0.5として、150mgの抗FXI抗体、L-ヒスチジン、ヒスチジンHCl一水和物、スクロース、およびポリソルベート20を含有する。組成物は、滅菌であり、かつ、流体であるものとする。適正な流体性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより維持することができ、分散液の場合には、要求される粒子サイズを維持し、界面活性剤を使用することにより維持することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトールまたはソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長時間吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組み入れることによりもたらすことができる。
本開示の医薬組成物は、当技術分野において周知であり、日常的に実施されている方法に従い調製することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing Co.、20版、2000、およびSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc.、New York、1978を参照されたい。医薬組成物は、GMP条件下で製造することが好ましい。本開示の医薬組成物中では、FXIa結合性抗体の治療的に有効な用量または治療的に効果的な用量を利用することが典型的である。FXIa結合性抗体は、当業者に公知の従来の方法により、薬学的に許容される剤形に製剤化する。投与レジメンは、所望される最適応答(例えば、治療的応答)をもたらすように調整する。例えば、単一のボーラスを投与することもでき、複数に分割された用量をある期間にわたり投与することもでき、治療状況の要件により指し示されるのに応じて、用量を比例的に低減するかまたは増大させることもできる。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、非経口組成物を、投与量単位形態で製剤化することがとりわけ有利である。本明細書で使用される投与量単位形態とは、処置される対象のための単位投与量として適した、物理的に個別の単位を指す。各単位は、要求される医薬担体との関連で、所望の治療効果をもたらすように計算された、所定量の活性化合物を含有する。
本開示の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性とならずに、特定の患者、組成物、および投与方式に所望される治療的応答を達成するのに有効な量の有効成分を得るように変化させることができる。選択される投与量レベルは、利用される本開示の特定の組成物、それらの活性、投与経路、投与時期、利用される特定の化合物の排出速度、処置の持続期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康、および医療既往歴などの因子を含む様々な薬物動態因子に依存する。
医師は、医薬組成物中で利用される本開示の抗体の投与を、所望の治療効果を達成するのに要求されるレベル未満のレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで、投与量を漸増させることができる。一般に、本明細書で記載される血栓性および/または血栓塞栓性障害を処置するのに有効な、本開示の組成物の用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、投与される他の薬物、および処置が予防的であるのか治療的であるのかを含む、多くの異なる因子に応じて変化する。処置投与量は、安全性および有効性を最適化するように滴定することが必要である。抗体の全身投与では、投与量は、宿主の体重1kg当たり約0.01~15mgの範囲である。抗体の投与では、投与量は、0.1mg~5mgの範囲でありうる。例えば、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.1mg/kg、4.2mg/kg、4.3mg/kg、4.4mg/kg、4.5mg/kg、4.6mg/kg、4.7mg/kg、4.8mg/kg、4.9mg/kg、または5.0mg/kg。例示的な処置レジメは、2週間ごとに1回、または毎月1回、または3~6カ月ごとに1回の全身投与を伴う。例示的な処置レジメは、毎週1回、2週間ごとに1回、毎月1回、もしくは3~6カ月ごとに1回、または必要に応じて(PRN)の全身投与を伴う。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.またはs.c.により、3mg/kgの用量で投与する。ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.またはs.c.により、10mg/kgの用量で投与する。ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.またはs.c.により、30mg/kgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.またはs.c.により、50mg/kgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.またはs.c.により、100mg/kgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.経路またはs.c.経路により、5mg~600mgの範囲の用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.経路またはs.c.経路により、約5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、90mg、100mg、120mg、150mg、180mg、200mg、210mg、240mg、250mg、270mg、300mg、330mg、350mg、360mg、390mg、400mg、420mg、450mg、480mg、500mg、510mg、540mg、550mg、570mg、または600mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、5mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、15mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、50mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、150mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、300mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、s.c.経路により、600mgの用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.経路またはs.c.経路により、2倍またはこれを超える、aPTT延長の平均持続時間を、30日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、または50日間を超えない期間にわたり達成するのに十分な用量で投与する。
ある種の実施形態では、本明細書で記載される抗FXI抗体(例えば、抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4、または抗体AM1、AM2、AM3、もしくはAM4のVL CDRおよびVH CDRを含む抗FXI/FXIa抗体など、表2に記載されている抗FXI/FXIa抗体)を、例えば、i.v.経路またはs.c.経路により、2倍またはこれを超える、aPTT延長の平均持続時間を、42日間を超えない期間にわたり達成するのに十分な用量で投与する。
特定の態様では、抗体は通例、複数回投与する。単回の投与の間の間隔は、毎週、毎月、または毎年でありうる。間隔はまた、患者におけるFXIa結合性抗体の血中レベルを測定することにより指し示される通り、不規則でもありうる。加えて、医師が代替的な投与間隔を決定する場合もあり、毎月または効果的であるのに必要な間隔で投与する。全身投与のいくつかの方法では、投与量は、抗体の血漿中濃度1~1000μg/mLを達成するように調整し、いくつかの方法では、25~500μg/mlを達成するように調整する。代替的に、抗体は、持続放出製剤として投与することもでき、この場合は、低頻度の投与が要求される。投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般に、ヒト化抗体は、キメラ抗体および非ヒト抗体の半減期より長い半減期を示す。投与量および投与頻度は、処置が予防的であるのか治療的であるのかに応じて変化しうる。予防的適用では、比較的低投与量を、比較的低頻度の間隔で、長期にわたり投与する。一部の患者には、彼らの余生にわたり処置を施し続ける。治療的適用では場合によって、比較的高投与量が、疾患の進行が軽減されるか終結するまで、比較的短い間隔で要求され、好ましくは、患者が、疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで要求される。その後、患者には、予防的レジメンを投与することができる。
以下の実施例は、本開示をさらに例示するために提示されるものであり、その範囲を限定するために提示されるものではない。当業者には、本開示の他の変形がたやすく明らかであろうし、添付の特許請求の範囲によっても包含される。
[実施例1]
アフィニティー成熟抗FXI/FXIa抗体の作出
成熟パニング
抗FXI/FXIa抗体NOV1090(NOV1401の非生殖細胞系列形であり、ヒトFcドメイン内に、D265A置換およびP329A置換などのFc修飾を含有しない)のアフィニティーおよび生物学的活性を増大させるために、多様化させたカセット/モジュールにより、並列的に、CDR-L3領域と、CDR-H2領域とを交換して(Prassler et al (2009) Immunotherapy; 1(4):571-83)、下記で記載されるHuCAL PLATINUM(登録商標)Maturation Librariesを作り出した。
アフィニティーを改善された候補物を選択するために、成熟ライブラリーからの、ファージ由来の候補物を、ヒトFXIの触媒ドメインなど、ヒトFXIによる、2または3ラウンドの成熟パニングにかけた(例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、PCT国際公開第2016/207858号パンフレットを参照されたい)。
各パニングラウンドにおける抗原濃度を低下させることにより、パニングの厳密性を増大させた(Low et al (1996) J Mol Biol; 260(3):359-68)。抗原の低減に加えて、オフ速度選択を実施した(Hawkins et al (1992) J Mol Biol; 226(3):889-96)。これらの戦略を、洗浄ステップの延長と組み合わせた。
HuCAL PLATINUM(登録商標)Maturation Librariesの作出
NOV1090についての成熟ライブラリーを作り出すために、CDR-L3領域およびCDR-H2領域を、フレームワーク領域を一定に保ちながら、トリヌクレオチドにより方向付けられた突然変異誘発を使用するカセット突然変異誘発により最適化した(Virnekaes et al (1994) Nucleic Acids Res; 22(25):5600-7)。
成熟ライブラリーのクローニングは、親NOV1090 Fab断片をコードする、CysDisplay(商標)ベクター内で実施した。
CDR-L3を最適化するために、CDR-L3、フレームワーク4のほか、軽鎖の定常領域をコードする約400bpのDNA断片を、制限消化により、親抗体の配列から除去し、フレームワーク4および定常ドメインと併せて多様化させたCDR-L3領域をコードするDNA断片のレパートリーで置きかえた。
第2のライブラリーのために、接続するフレームワーク領域は一定に保ちながら、CDR-H2をコードする配列を多様化させた。親非多様化配列のバックグラウンドを低減するために、親CDR-H2配列およびフレームワーク3配列を含有する約150bpのDNA断片を、制限消化およびライゲーションを介して、約590bpの「ダミー」配列で置きかえてから、制限消化およびライゲーションにより、多様化させたCDR-H2カセット(フレームワーク3を含む)を挿入した。
MC1061F’へのライゲーション混合物の電気穿孔により、全サイズを、それぞれ、7.7×10および6.7×10とする、HCDR2およびLCDR3の多様化のためのライブラリーをもたらした。ライブラリーの増幅は、既に記載されている通りに実施した(Rauchenberger et al (2003) J Biol Chem; 278(40):38194-205)。品質管理のために、ライブラリー1つ当たり、およそ10~20の単一クローンを、ランダムにピックアップし、シーケンシングした。
抗体AM1、AM2、およびAM3を、この工程から同定した。AM4とは、軽鎖のN末端において、2カ所のアミノ酸変化を伴う、AM3の生殖細胞系列形(表2を参照されたい)である。
[実施例2]
溶液平衡滴定(SET)による、抗FXI/FXIa Fab(NOV1090 Fab)についての、Kの決定
方法についての記載
解析的サイズ除外クロマトグラフィー(SEC)により解析される通り、少なくとも90%単量体含量を含有する、NOV1090 Fabの純粋な画分を、SETによるアフィニティーの決定のために使用した。
溶液中のKの決定は、記載される通りに実施した(Friguet et al (1985) J Immunol Methods; 77(2):305-19. PubMed PMID: 3981007)。SET法の感度および精度を改善するために、SET法を、古典的ELISAから、ECLベースの技術に移した(Haenel et al (2005) Anal Biochem; 339(1):182-4)。
製造元の指示書に従い、MSD Sulfo-TAG(商標)NHS-Ester(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD、USA)で標識化された、1mg/mLのFlag M2特異的抗体(Sigma)を、検出試薬として使用した。
実験は、ポリプロピレン製のマイクロ滴定プレート内で、0.5%BSAおよび0.02%のTween20を含有する、アッセイ緩衝液としてのPBS(GIBCO 14190、pH 7.0~7.2)により実行した。予測されるKの、少なくとも10倍の濃度で始まる、非標識化FXIa抗原の希釈系列を調製した。抗原を伴わないウェルを使用して、Bmax値を決定し、アッセイ緩衝液だけを含有するウェルを使用して、バックグラウンドを決定した。適切な量の結合剤(予測されるK以下の抗体濃度、60μLの最終容量)を添加した後で、混合物を、RTで、一晩にわたりインキュベートした。
MSDプレートを、1μg/mLのヒト血漿由来FXIa(ウェル1つ当たり30μL)でコーティングした。プレートを、0.05%のTween 20を含有するPBSで洗浄した後で、平衡化させた試料を、プレートに移し、20分間にわたりインキュベートした。インキュベーションの後、ウェル1つ当たり30μLのMSD-Sulfoタグで標識化された検出抗体(抗Flag M2(Sigma)1:2,000)を、洗浄されたMSDプレートに添加し、Eppendorf製のシェーカー(700rpm)上、RTで30分間にわたりインキュベートした。
MSDプレートを洗浄し、ウェル1つ当たり30μLのMSD Read Buffer Tを、界面活性剤と共に添加した後、Sector Imager 6000(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD、USA)を使用して、電気化学発光シグナルを検出した。
データは、カスタマイズされた当てはめモデルを適用する、XLfit(IDBS)ソフトウェアにより査定した。Haenelら(Haenel et al (2005) Anal Biochem; 339(1):182-4)に従う当てはめモデルであって、Abrahamら(Abraham et al (1996) J Mol Recognit; 9(5-6):456-61)に従い改変された当てはめモデルを、NOV1090 FabのKを決定するために使用した。
結果
NOV1090 FabのKは、SETにより、約210±120pMであると決定された(表3)。この値は、近縁のNOV1401 Fabについて、同一なCDRにより決定された305±8pMのKと符合する(表1を参照されたい)。
Figure 0007139332000017
[実施例3]
アフィニティー成熟の後における、SETスクリーニングによるKの推定
方法についての記載
FabのKを推定するために細菌溶解物を、SETによりスクリーニングした。SETスクリーニング法(例えば、Della Ducata et al (2015) J Biomol Screen; 20(10):1256-67を参照されたい)は、一般に、SET決定法について、上記で記載した通りに実施した。Haenelら(Haenel et al (2005) Anal Biochem; 339(1):182-4)により記載された原理に基づき、SETにより、成熟結合剤をランク付けするために、一定量の、希釈されたBEL抽出物(細菌溶解物)を、異なる濃度の抗原と共に、一晩にわたり平衡化させた。
次いで、混合物を、抗原(ヒト血漿1mL当たり1μgのFXIa)であらかじめコーティングされたMSDプレートに移し、インキュベーションおよび洗浄の後、適切なMSD-Sulfoタグで標識化された検出抗体を添加した(抗Flag M2、Sigma)。
その後、抗His特異的抗体(Jackson)でコーティングされた、標準的なMSDプレートを使用する、Sector Imager 6000(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD、USA)を使用するECL検出(ECLで標識化された抗ヒト(Fab)2、Dianova)を介して、結合していないFabの濃度を定量化した。
上記で記載した、対応する当てはめモデルを適用する、XLfit(IDBS)ソフトウェアを使用して、アフィニティーを推定し、これにより、成熟により最も改善されたクローンを同定するように、結果を加工した。
結果
実施例1で記載した、NOV1090に由来する、3つのアフィニティー成熟FXIa抗体FabについてのSETスクリーニング結果を、表4にまとめる。3つのFab全てについて、約7分の1のK値は、アフィニティー成熟パニングが、高アフィニティー抗体を作り出すことに成功したことを指し示す。
SETスクリーニング結果は、SETによる正確なKの決定のための、精製試料による、完全な滴定実験と比較して、非精製Fab試料による、わずかに5つのデータ点(1つは定量化、4つは特異的滴定)により生成されているので、正確なK値ではなく、Kの推定値を表すことに留意されたい。しかし、Kの結果は、一般に、ある妥当な変動内で同等である(Della Ducata et al (2015) J Biomol Screen; 20(10):1256-67を参照されたい)。
Figure 0007139332000018
[実施例4]
アフィニティー成熟抗FXI/FXIa IgGのELISA結合プロファイル
ELISA法を使用して、精製されたアフィニティー成熟IgGを特徴付けた、すなわち、ヒトFXIa、ヒトFXI、カニクイザルFXI、およびウサギFXIのほか、ヒトカリクレインおよびヒトプレカリクレインへの結合について査定した。
方法についての記載
最適の抗原濃度および抗体濃度のほか、ブロッキング条件について、予備実験で査定し、これに応じて、設定を調整した。
直接的なコーティングELISAのために、表5に示される濃度を使用して、抗原を、384ウェルMaxisorp(商標)マイクロ滴定プレート上に、4℃で、一晩にわたり固定化した。PBS(ウェル1つ当たり80μl)中に5%の脱脂粉乳によるブロッキングの後、多様な濃度(典型的に、それぞれ、200nMのIgGまたはFabで始まる、12点による、1:3の滴定)のFab含有大腸菌(E. coli)溶解物または精製抗体、ウェル1つ当たり20μlを、プレートに添加し、室温で1時間にわたりインキュベートした。結合した抗体は、「AttoPhos」蛍光基質(Roche、型番11681982001)と組み合わせたそれぞれの、アルカリホスファターゼカップリング二次抗体(アルカリホスファターゼとコンジュゲートさせたF(ab)2特異的ヤギ抗ヒトIgG(Jackson、型番109-055-097、PBS+0.05%Tween20中で、1:5000に希釈された))を使用して検出した。535nmにおける蛍光の発光を、430nmにおける励起により記録した。個々のアッセイステップの間に、PBS+0.05%Tween20による、複数の洗浄ステップを実施した。
Figure 0007139332000019
結果
3つのアフィニティー成熟IgG全て、ならびに親IgGについてのELISA結合プロファイルを、図1に示す。全ての抗体(親NOV1090、ならびにNOV1090の、3つのアフィニティー成熟形(AM1、AM2、AM3))は、ヒトFXIおよびヒトFXIaへの特異的結合(図1A)のほか、カニクイザルFXIおよびウサギFXIへの特異的結合(図1B)を示す。ヒトプレカリクレインおよびヒトカリクレインに対する結合は、100nMまで検出されなかった(図1C)。
アフィニティー成熟抗体についての、全体的なELISA曲線は、NOV1090と比較して、左にシフトし、IC50値は、とりわけ、ヒトFXIaおよびFXIへの結合について低下した。カニクイザルFXIおよびウサギFXIについてのIC50値は、親変異体と、アフィニティー成熟変異体との間で、いっそう類似している。まとめると、ELISAデータは、アフィニティー成熟が、FXIaと最も近縁の酵素であるカリクレインへの非特異的結合を導入せずに、FXIおよびFXIa、特に、ヒト酵素への結合を増大させたことを示唆する。
[実施例5]
アフィニティー成熟させた抗FXI/FXIa IgGの機能的活性
活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイおよびトロンビン生成アッセイ(TGA)を使用することにより、3つのアフィニティー成熟抗体の抗凝固活性について調べた。
aPTTアッセイについての記載
凍結乾燥正常ヒト血漿「凝固対照N」(参照番号:5020050)は、Technoclone GmbH(Vienna、Austria)から購入した。凝固対照Nは、選択された健常ドナーのクエン酸血漿からプールされた。この正常血漿に関して得られる凝血時間は、凝血に関与する凝固因子の正常濃度を反映する。凍結乾燥血漿は、4℃で保管した。その使用前に、バイアルを注意深く回転させ、次いで、室温で10分間にわたり保つことにより、血漿を、1mLの蒸留水中に再懸濁させた。
界面活性剤としてのスルファチドおよびシリカを伴う二重活性化aPTT試薬である、内因性経路誘発性のDapttin(登録商標)TC(型番5035090)は、高度に精製されたリン脂質の最適混合物と併せて、Technoclone GmbH(Vienna、Austria)から購入され、リン脂質、スルファチド、およびケイ酸塩を含有した。凍結乾燥された誘発剤は、バイアル上に表示の容量により、蒸留水中で復元した。
塩化カルシウム(Fluka、型番21115)は、蒸留水中に25mMの原液濃度で調製した。リン酸緩衝生理食塩液(PBS、Life Technologies、型番10010-023)を、抗体の希釈緩衝液として使用した。
凝血時間の測定は、半自動式の機械的凝血検出システムである、ball coagulometer model MC10(Merlin medical、Germany)により実施した。システムは、ステンレス鋼製のボールを分配した特製のキュベット(Merlin medical、型番Z05100)を用いる。
キュベットを、ball coagulometerの測定ウェルに入れる。試料、血漿、および誘発剤を、キュベットに添加した後、測定ウェルは、ゆっくりと回転し、キュベットにその長軸の周りを回転させる。キュベットは、やや傾いて置かれるため、重力および慣性力は、ボールを、常にキュベットの最も低い位置に置く。ボール位置の正反対の位置に、磁気センサーがある。適切なインキュベーション時間の後、塩化カルシウム溶液を添加して、タイマーを始動する。凝固が生じると、反応混合物中に、フィブリン鎖が形成される。フィブリン鎖は、ボールを、その慣性位置から引き離し、これにより、磁気センサー内に、インパルスを誘発する。このインパルスは、タイマーを電気的に停止させる。
NOV1090およびアフィニティー成熟抗体(例えば、AM1、AM2、およびAM3)の希釈系列を、PBS中で調製した。復元されたヒト血液血漿、誘発試薬(Dapttin)、および塩化カルシウムを、水浴中、37℃で、10分間にわたり暖めた。
アッセイは、もっぱら、ステンレス鋼製のボールを含有する、専用のキュベット内で実施した。ピペッティングスキームを、表6に概括する。
Figure 0007139332000020
試料は、上記で記載したMerlin ball coagulometer内、37℃の温度、二連で測定した。
aPTTアッセイの結果
図2は、親抗体NOV1090と、3つのアフィニティー成熟抗体(例えば、AM1、AM2、およびAM3)とについての、代表的な反応曲線を示す。3つの抗体全ては、aPTT凝血時間の、濃度依存的な延長を示した。aPTT凝血時間は、抗体濃度を11~14nMとするとき、ベースラインと比較して倍増する。これらの結果は、親であるNOV1090により達成される結果と同等である。
TGAについての記載:
TGA凍結乾燥正常ヒト血漿(凝固対照N)は、Technoclone GmbH(Cat#5020040)から購入し、製造元により示唆される容量中の蒸留水中で再構成する。
Technoclone GmbH(Cat#5006230)製の蛍光性基質であるZ-Gly-Gly-Arg-AMCを使用して、基質溶液を調製した。凍結乾燥基質のアリコートを、4℃に保った。アッセイにおけるその使用の20分前に、バイアル上に表示の容量の蒸留水中に新たに基質を溶解させた。再構成された基質溶液は、1mMの濃度の蛍光性ペプチドと、15mMの濃度のCaClとを含有する。
誘発試薬である「PPP(乏血小板血漿)-Reagent Low」は、Thrombinoscope(Cat#TS31.00)から購入し、バイアル上に表示の蒸留水中で再構成した。「PPP-Reagent Low」は、リン脂質と組織因子との混合物を、非常に低濃度で含有する。試薬は、使用の直前に、pH7.4の80mMトリス/HCl、0.05%(w/v)のCHAPS中で8倍希釈した。
試料は、Costar(製品番号:3603)から購入した96ウェル黒透明底プレートにアリコート分割し、この中で測定した。自動化移入のために、試料を、V字底96ウェルプレート(Costar、3894)に入れ、CyBio自動化システム(Analytik Jena US、Woburn、MA、USA)を使用して移した。
再構成されたヒト血漿、誘発試薬である「PPP-Reagent Low」、および基質を、水浴中37℃で10分間にわたり、あらかじめ加熱した。PBS中に1:3の抗体(例えば、NOV1401、AM1、AM2、およびAM3)希釈系列を、96ウェルプレート内、5μM(1μMの最終最高濃度の5倍の濃度)のNOV1401濃度で始めて、合計8つの希釈率にわたり調製した。222μlの誘発試薬を、1108μlの基質溶液と混合して、10+50誘発試薬基質ミックスを作り出した。自動化システムを使用する後続の移入のために、ウェル1つ当たり80μlを、V字底96ウェルプレートに添加した。プレートは、37℃に保った。試薬は、表7に示すスキームに従い添加した。
Figure 0007139332000021
自動化を使用して、誘発剤/基質混合物を移した。混合物を添加した後で、Synergy Neo instrument(BioTek Instrument Inc.、Winooski、VT、USA)を使用して、それぞれ360nmおよび460nmの励起および発光を、速やかに記録した。試料は、プレートリーダー内、37℃の温度で、55秒間隔の二連で、90分間にわたり測定した。
ピークを生成するために、Technocloneから提供されるTGA査定ソフトウェアファイルを使用して、トロンビン濃度値データを加工した。ピークについてのプロットを作り出すために、GraphPadソフトウェアを使用して、トロンビン濃度対抗体濃度のデータを当てはめた。これらのデータを、GraphPad Prism5ソフトウェア(GraphPad Software Inc.、La Jolla、CA、USA)内の非線形回帰モデルに当てはめた。IC50値は、ビルトイン型の4パラメータ用量応答曲線式(傾き可変型):y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10(Log IC50-x)×Hillslope)[式中、yは、インヒビター濃度をxとするときに形成される最大トロンビン濃度であり、TopおよびBottomは、それぞれ、インヒビターを伴わない場合のトロンビン濃度およびインヒビターの最大濃度におけるトロンビン濃度を表す]を使用して決定した。
TGAの結果
図3は、3つのアフィニティー成熟FXIa抗体(例えば、AM1、AM2、およびAM3)と、比較のために、親抗体NOV1090の生殖細胞系列形である、NOV1401とについての、代表的な反応曲線を示す。3つのアフィニティー成熟抗体全ては、NOV1401と比較して約3~4分の1のIC50値で、TGAにおけるトロンビン生成の、濃度依存的な阻害を示した。IC50値および残留トロンビン濃度を、これらの応答曲線から計算し、表8に示す。
Figure 0007139332000022
AM3の生殖細胞系列形であるAM4(表1を参照されたい)もまた、aPTTアッセイおよびTGAにかけたところ、aPTT延長およびTGAにおけるIC50値について、AM3と比較して、極めて類似する結果がもたらされた。
[実施例6]
溶液平衡滴定(SET)による、アフィニティー成熟抗FXI/FXIa IgG(AM4)についての、Kの決定
実施例2で記載したSET法を、使用して、AM4(IgG)について、Kを決定し、その親抗体であるNOV1090の生殖細胞系列形であるNOV1401と比較した。図4は、FXIaへの結合についての用量反応および当てはめ曲線を、両方の抗体について示し、結果を、表9にまとめる。
Figure 0007139332000023
近縁の抗体であるNOV1401およびNOV1090の、FXIaに対するアフィニティーは、同等であるので(データは示さない)、全長IgG抗体についての、これらの結合データは、AM4が、その親抗体であるNOV1090の、約10倍のアフィニティーを有することを示唆する。およそ10倍のアフィニティーの増大はまた、AM1、AM2、およびAM3についての、SETによるK推定値を、NOV1090 Fabについて決定されたSETによるK(実施例2および3を参照されたい)と比較しても観察された。
まとめると、これらのデータは、例えば、aPTT延長アッセイと、トロンビン量の低減を示すTGAとにより決定される通り、抗FXI/FXIa抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4が、親NOV1090と比較した場合、FXIおよびFXIaに対する結合アフィニティーの増大、ならびに少なくとも同等の抗凝固活性を示すことを示唆する。抗体AM1、AM2、AM3、およびAM4は、ある種のコンセンサスアミノ酸配列、例えば、配列番号59(組合せHCDR2およびKabat HCDR2)、60(Chothia HCDR2)、または61(IMGT HCDR2)を共有する場合、HCDR2を除き、同じCDRを共有するので、これらの結果は、同じHCDR1、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を共有し、HCDR2のコンセンサスアミノ酸配列内に収まる同様の抗FXI/FXIa抗体であれば、これもまた、有効な結合剤であり、同様の抗凝固活性を呈することを指し示す。
参照による組込み
特許、特許出願(例えば、特許出願公開)、論文、刊行物、教科書などを含む、本明細書で引用される全ての参考文献、およびこれらにおいて引用された参考文献は、それらがいまだ組み込まれていない範囲まで、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
同等物
前出の明細書は、当業者が、本開示を実施することを可能とするのに十分であると考えられる。しかし、前出の記載および実施例が、本文中でいかに詳述されているように見えるとしても、本開示は、多くの様式で実施することができ、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの任意の同等物に従うとみなされるべきであることが察知されるであろう。
また、本開示は以下を提供する。
[1]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
前記HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記HCDR2が、
(i)X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDであり、HCDR2は、配列番号4ではない]、
(ii)X1-X2-X3-X4-X5-X6(配列番号60)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、HCDR2は、配列番号8ではない]、および
(iii)I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T(配列番号61)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、HCDR2は、配列番号10ではない]
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[2]
(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
(ii)前記HCDR2が、アミノ酸配列X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[1]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[3]
(i)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、
(ii)前記HCDR2が、アミノ酸配列X1-I-X2-X3-X4-X5-X6-X7-T-X8-YADSVKG(配列番号59)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはTもしくはSであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはQ、T、もしくはDであり、X7は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEであり、X8は、任意のアミノ酸であるか、またはY、H、もしくはDである]を含み、HCDR2が、配列番号4ではなく、
(iii)前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、
(v)前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、
(vi)前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[1]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[4]
(i)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、
(ii)前記HCDR2が、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6(配列番号60)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはY、S、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]を含み、HCDR2が、配列番号8ではなく、
(iii)前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
(iv)前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(v)前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、
[1]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[5]
(i)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、
(ii)前記HCDR2が、アミノ酸配列I-X1-X2-X3-X4-X5-X6-T(配列番号61)[配列中、X1は、任意のアミノ酸であるか、またはEもしくはDであり、X2は、任意のアミノ酸であるか、またはYもしくはSであり、X3は、任意のアミノ酸であるか、またはS、Y、もしくはWであり、X4は、任意のアミノ酸であるか、またはS、D、もしくはGであり、X5は、任意のアミノ酸であるか、またはD、T、もしくはQであり、X6は、任意のアミノ酸であるか、またはDもしくはEである]を含み、HCDR2が、配列番号10ではなく、
(iii)前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、
(iv)前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、
(v)前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(vi)前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[1]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[6]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、(i)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(ii)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
前記HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記HCDR2が、配列番号27、28、29、38、39、40、45、46、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
前記LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[7]
(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号47のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[8]
(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号39のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[9]
(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
(iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号28のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
(iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[10]
前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[11]
前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[12]
前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号28、39、または46のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[13]
前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号29、40、または47のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[14]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、表2から選択される相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、表2から選択される相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[15]
前記VHが、組み合わされたHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、組み合わされたLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、[14]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[16]
前記VHが、KabatによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、KabatによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、[14]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[17]
前記VHが、ChothiaによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、ChothiaによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、[14]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[18]
前記VHが、IMGTによるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、IMGTによるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、[14]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[19]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、抗体AM1の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、抗体AM1の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[20]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、抗体AM2の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、抗体AM2の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[21]
FXIおよび/またはFXIaの触媒ドメイン内に結合する単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)とを含み、前記VHが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、抗体AM3またはAM4の相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離抗FXI抗体またはその抗原結合性断片。
[22]
前記VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[23]
前記VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号55のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[24]
前記VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[25]
前記VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[26]
前記VHが、配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[27]
前記重鎖が、配列番号32、43、50、または53のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号57または36のアミノ酸配列を含む、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[28]
前記重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号57のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[29]
前記重鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[30]
前記重鎖が、配列番号43のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[31]
前記重鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む、[22]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[32]
前記VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、前記VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、前記VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[33]
前記VHが、配列番号30、41、および48のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつ、前記VHが、配列番号12のアミノ酸配列を含まず、前記VLが、配列番号23のアミノ酸配列を含まない、[6]に記載の抗体または抗原結合性断片。
[34]
ヒトモノクローナル抗体である、[1]~[33]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[35]
ヒト化モノクローナル抗体である、[1]~[33]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[36]
ヒトIgG1アイソタイプ抗体である、[1]~[35]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[37]
ヒトIgG2アイソタイプ抗体またはヒトIgG4アイソタイプ抗体である、[1]~[35]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[38]
単鎖抗体、Fab断片、Fv断片、F(ab’)2断片、またはscFv断片である、[1]~[33]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[39]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
[40]
血栓塞栓性障害を処置する、または血栓塞栓性障害のリスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を含む、有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
[41]
前記対象が、心房細動および深部静脈血栓症と関連する脳卒中の1つまたは複数に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、[40]に記載の方法。
[42]
前記対象が、心房細動と関連する脳卒中に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、[40]に記載の方法。
[43]
前記対象が、心房細動に罹患している、[40]に記載の方法。
[44]
脳卒中を予防、処置する、または脳卒中のリスクを管理、または低減する方法であって、それを必要とする対象に、[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を含む、有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
[45]
前記対象が、心房細動に罹患している、[44]に記載の方法。
[46]
血栓塞栓性障害を処置する、または血栓塞栓性障害のリスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする対象に、1つまたは複数のスタチン療法と組み合わせて、[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または断片を含む、有効量の医薬組成物を投与することを含む方法。
[47]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗FXI抗体または抗原結合性断片で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、それを必要とする前記対象に、前記抗FXI抗体に特異的に結合し、前記抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与するステップを含み、前記抗イディオタイプ抗体またはその断片が、前記抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転させる、方法。
[48]
前記抗イディオタイプ抗体またはその断片が、前記抗FXI抗体の抗凝固効果を一時的に逆転させるために、前記対象に1回または2回投与される、[47]に記載の方法。
[49]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗FXI抗体または抗原結合性断片で処置されるか、またはこれを投与された対象における、出血または出血リスクを管理または低減する方法であって、(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子の投与のうちの1つにより、前記出血を管理するのに十分な時間にわたって抗凝固効果を一時的に逆転させることを含む方法。
[50]
前記対象に、前記抗FXI抗体に特異的に結合し、前記抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片の、1回または2回の投与を行うことを含み、前記抗イディオタイプ抗体またはその断片が、前記抗FXI抗体の抗凝固活性を逆転させる、[40]~[46]のいずれか一項に記載の方法。
[51]
以下:(i)コロイド、クリスタロイド、ヒト血漿、もしくはアルブミンなどの血漿タンパク質を用いた補液、(ii)濃厚赤血球もしくは全血による輸血、または(iii)新鮮凍結血漿(FFP)、プロトロンビン複合体濃縮物(PCC)、第VIII因子インヒビターなどの活性型PCC(APCC)、および/もしくは組換え活性型第VII因子の投与のうちの1つにより、出血を管理するのに十分な時間にわたって抗凝固効果を一時的に逆転させることを含む、[40]~[46]のいずれか一項に記載の方法。
[52]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗FXI抗体または抗原結合性断片の抗凝固効果を、前記抗FXI/FXIa抗体またはそれらの抗原結合性断片により処置されている患者において逆転させるための方法であって、有効量の、前記抗FXI抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体またはその断片を投与することを含む方法。
[53]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗FXI抗体に特異的に結合し、前記抗FXI抗体の、FXIへの結合を遮断する抗イディオタイプ抗体またはその断片であって、前記抗FXI抗体の抗凝固活性を、少なくとも30%、または少なくとも40%逆転させる抗イディオタイプ抗体またはその断片。
[54]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬。
[55]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片のVL、VH、またはVLおよびVHをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
[56]
[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片の重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖をコードする、[55]に記載のポリヌクレオチド。
[57]
表2]に記載の核酸配列を含む、[55]に記載のポリヌクレオチド。
[58]
[55]~[57]のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[59]
[58]に記載のベクターを含む宿主細胞。
[60]
真核細胞である、[59]に記載の宿主細胞。
[61]
哺乳動物細胞である、[59]に記載の宿主細胞。
[62]
抗FXI/FXIa抗体またはその断片を作製する方法であって、[59]~[61]のいずれか一項に記載の宿主細胞を、前記抗FXI/FXIa抗体またはそれらの断片の発現に適した条件下で培養するステップを含む方法。
[63]
前記抗FXI/FXIa抗体またはその断片を精製することをさらに含む、[62]に記載の方法。
[64]
心房細動を伴う患者における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを低減する方法であって、前記患者に、治療有効量の、[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を投与することを含む方法。
[65]
前記患者が、非弁膜症性心房細動を有する、[64]に記載の方法。
[66]
前記患者が、証明された、高い出血リスクを有する、[64]または[65]に記載の方法。
[67]
慢性腎疾患を伴う患者における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを低減する方法であって、前記患者に、治療有効量の、[1]~[38]のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を投与することを含む方法。
[68]
前記患者が、末期腎不全(ESRD)を有する、[67]に記載の方法。
[69]
前記患者が、ESRDを有し、透析を受けている、[67]に記載の方法。
[70]
前記患者が、非弁膜症性心房細動を有する、[69]に記載の方法。
[71]
前記患者が、証明された、高い出血リスクを有する、[70]に記載の方法。

Claims (24)

  1. 離抗XI因子(FXI)および/または抗活性化XI因子(FXIa)抗体またはその抗原結合性断片であって、(i)相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、(ii)相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、
    前記HCDR1が、配列番号3、6、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
    前記HCDR2が、配列番号27、28、29、38、39、40、45、46、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
    前記HCDR3が、配列番号5および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
    前記LCDR1が、配列番号16、19、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
    前記LCDR2が、配列番号17および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
    前記LCDR3が、配列番号18および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む
    体またはその抗原結合性断片。
  2. a)(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
    (iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号47のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、あるいは、
    b)(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号39のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
    (iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号40のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、あるいは
    c)(i)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (ii)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    (iii)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号28のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、または
    (iv)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、
    請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  3. a)前記HCDR1が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    b)前記HCDR1が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号27、38、または45のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
    c)前記HCDR1が、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号28、39、または46のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号5のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、あるいは
    d)前記HCDR1が、配列番号9のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2が、配列番号29、40、または47のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3が、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1が、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  4. 前記VHが、配列番号30、41、または48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  5. a)前記VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、
    b)前記VHが、配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、
    c)前記VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、または
    d)前記VHが、配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  6. 列番号32、43、50、または53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号57または36のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  7. a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含むか、
    b)配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含むか、
    c)配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含むか、または
    d)配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  8. 前記VHが、配列番号30、41、または48のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含、請求項1に記載の抗体または抗原結合性断片。
  9. 前記VHが、配列番号30、41、または48のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号34または55のアミノ酸配列と、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含、請求項1に記載の抗体または抗原結合性断片。
  10. ヒトモノクローナル抗体である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  11. ヒト化モノクローナル抗体である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  12. ヒトIgG1アイソタイプ抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  13. ヒトIgG2アイソタイプ抗体またはヒトIgG4アイソタイプ抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  14. 単鎖抗体、Fab断片、Fv断片、F(ab’)2断片、またはscFv断片である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  16. 対象において血栓塞栓性障害を処置もしくは管理する、または血栓塞栓性障害のリスクを低減するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片の使用
  17. a)前記対象が、心房細動および深部静脈血栓症と関連する脳卒中の1つまたは複数に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、
    b)前記対象が、心房細動と関連する脳卒中に罹患しているか、またはこれを発症するリスクを有する、あるいは
    c)前記対象が、心房細動に罹患している、請求項16に記載の使用
  18. 対象において血栓塞栓性障害を処置もしくは管理する、または血栓塞栓性障害のリスクを低減するための医薬の製造における、1つまたは複数のスタチン療法と組み合わせ、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片の使用
  19. 請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片のVLおよびVHをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
  20. 請求項19に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  21. 請求項20に記載のベクターを含む宿主細胞。
  22. a)真核細胞である、または
    b)哺乳動物細胞である、請求項21に記載の宿主細胞。
  23. 抗FXI/FXIa抗体またはその抗原結合性断片を作製する方法であって、請求項21又は22に記載の宿主細胞を、前記抗FXI/FXIa抗体またはそれらの抗原結合性断片の発現に適した条件下で培養するステップを含む方法。
  24. 心房細動を伴う患者における、脳卒中および/または全身性塞栓症のリスクを低減するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片の使用
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