以下、図面を参照して、本開示に係る複数の態様(実施形態及び変形例)について説明する。なお、複数の態様のうち相対的に後に説明される態様については、基本的に、先に説明された態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明された態様と同様とされたり、先に説明された態様から類推されたりしてよい。また、複数の態様において互いに対応する構成については、相違点があっても、便宜上、互いに同一の符号を付すことがある。
以下では、まず、本開示の実施形態に係る局部加圧装置の概要について説明する。その後、より具体化した第1及び第2実施形態並びにその変形例について述べる。
<実施形態に係る局部加圧装置の概要>
図1(a)~図3(b)は、実施形態に係る局部加圧装置2(以下、単に「加圧装置2」ということがある。)及び射出装置9の動作の概要を示す模式図である。
図1(a)、図2(a)及び図3(a)は、加圧装置2及び射出装置9を模式的に示しており、また、成形サイクル中(より詳細には射出サイクル中)の互いに異なる時点の状態を示している。図1(b)は、図1(a)の領域Ibの拡大図である。図2(b)は、図2(a)の領域IIbの拡大図である。図3(b)は、図3(a)の領域IIIbの拡大図である。
図1(a)は、成形材料(例えば溶融状態の金属である溶湯109)を金型101の内部に射出する射出工程が行われている状態を示している。射出工程においては、矢印a1で示すように、プランジャ21(射出プランジャ)が金型101に向かって前進することによって、スリーブ19内の溶湯109を金型101の内部(空間107)に押し出す。
図2(a)は、図1(a)の後の状態を示している。射出工程が進むと、溶湯109が空間107の概ね全体に充填される。図2(a)は、そのような状態を示している。なお、実施形態の説明では、このような状態に至ったことを充填が完了したということがある。充填が完了すると、逃げ場を失った溶湯109をプランジャ21が押すことによって溶湯109の圧力は上昇する。このとき一時的かつ急激な圧力上昇を伴う、いわゆるサージ圧が生じることもある。
図3(a)は、図2(a)の後の状態を示している。図2(a)の一部拡大図である図2(b)と、図3(a)の一部拡大図である図3(b)との比較から理解されるように、充填が完了すると、矢印a4(図3(a))及び矢印a5(図3(b))によって示すように、加圧部材41(加圧ピン)が前進する。これにより、溶湯109が局部的に加圧される。この加圧によって、例えば、ひけ巣(溶湯の凝固収縮に伴う空洞)が発生する蓋然性が低減される。なお、プランジャ21は、充填完了後、例えば、前進して溶湯109の昇圧に寄与してもよいし、単に充填完了時の位置に留まるだけであってもよい。
従来においては、加圧部材41は、射出開始前から充填が完了するまでの間、後退限(空間107とは反対側の駆動限)にて待機した。そして、充填が完了した後の適宜な時期に、加圧部材41に連結されている加圧シリンダ43への液圧の付与が開始され、加圧部材41の前進(すなわち局部加圧)が開始された。ここで、加圧シリンダ43への液圧の付与を開始してから加圧シリンダ43の液圧が所望の圧力まで上昇するまでにはタイムラグが存在する。従って、溶湯109の凝固が速い場合においては、凝固に遅れずに十分に局部加圧を行うことが困難な状況が生じる可能性があった。
一方、本実施形態においては、図1(a)に示すように、充填が完了する前(換言すれば溶湯109が加圧部材41に到達する前)に、加圧シリンダ43に液圧(第1圧力P1)が付与される。そして、図1(a)及び図1(b)に示すように、加圧シリンダ43は、後退限よりも前方(空間107側)の位置(例えば前進限)にて待機する。このときの第1圧力P1の付与は、アキュムレータ61によってなされる。
そして、溶湯109が加圧部材41の位置に到達し、さらに、溶湯109が加圧部材41を後方に押す力が、第1圧力P1が加圧部材41を前方に押す力を上回ると、矢印a2(図2(a))及び矢印a3(図2(b))によって示すように、加圧部材41は後退する。なお、加圧部材41は、後退限に到達してもよいし(図示の例)、到達しなくてもよい。
その後、適宜な時期に第1圧力P1(並びに溶湯109が加圧部材41を後方に押す力に相当する液圧)よりも高い第2圧力P2(図3(a))が加圧シリンダ43に付与される。これにより、図3(a)及び図3(b)に示すように、加圧部材41が前進を開始する。すなわち、局部加圧が開始される。このときの第2圧力P2の付与は、アキュムレータ61によってなされる。
アキュムレータ61は、上記のように、第1圧力P1(図1(a)及び図2(a))と、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2(図3(a))とを選択的に付与可能に構成されている。例えば、アキュムレータ61は、加圧シリンダ43に液圧を付与する少なくとも2つの液室(第1液室Ra及び第2液室Rb)を有している。そして、ACC側バルブ63によって、第1液室Ra及び第2液室Rbの加圧シリンダ43に対する接続関係が切り換えられることによって、第1圧力P1又は第2圧力P2が加圧シリンダ43に付与される。
なお、加圧装置は、加圧部材41を含んで定義されてもよいし、加圧部材41を含まずに定義されてもよい。加圧部材41は、金型101の交換によって交換され得るものだからである。加圧シリンダ43についても同様である。実施形態の説明では、便宜上、加圧装置2は、加圧部材41及び加圧シリンダ43を含まないものとする。加圧装置2は、加圧シリンダ43に液圧を付与する液圧装置として捉えられてもよい。
以上のとおり、実施形態に係る加圧装置2では、溶湯109が加圧部材41に到達する前に、予め第1圧力P1を加圧シリンダ43に付与している。従って、例えば、溶湯109が加圧部材41に到達した後に加圧シリンダ43の圧力を第2圧力P2まで上昇させる場合において、加圧シリンダ43の圧力が第1圧力P1に上昇するまでの時間を省くことができる。すなわち、局部加圧の開始後、局部加圧の圧力を短時間で目標圧力に近づけることができる。その結果、例えば、薄肉かつ大型の成形品のように、凝固が速い成形品についても、凝固に遅れずに局部加圧を行うことができ、成形品の品質が向上する。
また、予め第1圧力P1を加圧シリンダ43に付与することから、加圧部材41は、後退限よりも前方の初期位置(例えば前進限)にて待機することになる。そして、溶湯109に押されて上記初期位置から後退する。これにより、例えば、サージ圧が吸収される。すなわち、加圧部材41を局部加圧のための部材としてだけではなく、サージ圧を吸収するための部材として有効利用できる。サージ圧の吸収によって、バリ(溶湯109が空間107の外部へはみ出して形成される部分)が発生する蓋然性が低減され、成形品の品質が向上する。別の観点では、射出のときに金型101を締め付ける型締力を小さくすることができる。
さらに、溶湯が加圧部材41に到達して加圧部材41が後退することから、例えば、この後退を検出することによって、溶湯の加圧部材41の位置への到達、及び/又は溶湯の充填完了を検出することができる。その結果、例えば、加圧部材41の後退の検出に基づいて、局部加圧の開始のタイミングを適切に決定することができる。加圧部材41の後退の検出に基づく溶湯の到達及び/又は充填完了の検出は、他の検出方法(例えば通電センサ、温度センサ又は圧力センサ)とは異なる長所を有している。これについては後述する。なお、局部加圧の開始のタイミングは、上記他の検出方法に基づいて行われてもよい。
以上が実施形態に係る加圧装置2の概要である。以下では、加圧装置2の具体的な構成が互いに異なる第1実施形態及び第2実施形態の詳細について順に説明し、さらに、その変形例について説明する。
<第1実施形態>
(ダイカストマシンの全体構成)
図4は、第1実施形態に係る型付ダイカストマシンDCの要部の構成を示す側面図(一部に断面図を含む)である。図4を参照して行う説明において、便宜上、図4の左側を前方といい、図4の右側を後方ということがある。
型付ダイカストマシンDCは、型(金型101)と、金型101を保持しているダイカストマシン1とを有している。ダイカストマシン1は、金型101の内部(空間107)に溶融状態の成形材料を射出(充填)することによって、凝固した成形材料からなる製品(成形品、ダイカスト品)を製造する装置として構成されている。
成形材料は、例えば、アルミニウム等の金属である。溶融状態の金属は、既述のように、溶湯と呼ばれることがある。なお、溶融状態の成形材料に代えて、固液共存状態(半凝固状態又は半溶融状態)の成形材料が空間107に射出されてもよい。
金型101は、例えば、固定型103と、固定型103と対向する移動型105とを有している。空間107の主たる部分は、固定型103と移動型105との間に構成される。固定型103は、移動しない型である。移動型105は、固定型103との対向方向(型開閉方向)に移動する型である。型開閉方向は、例えば、水平方向である。図4等では、便宜上、固定型103又は移動型105の断面が1種類のハッチングで示されている。ただし、これらの型は、直彫り式のものであってもよいし、入れ子式のものであってもよい。また、固定型103及び/又は移動型105は、ダイベースを含んでいてよい。
ダイカストマシン1は、機械的動作を行うマシン本体3と、マシン本体3の制御を行う制御装置5とを有している。マシン本体3は、例えば、金型101の型開閉及び型締めを行う型締装置7と、空間107に溶湯を射出する射出装置9と、溶湯が凝固して構成された製品を固定型103又は移動型105から押し出す不図示の押出装置と、を有している。
また、ダイカストマシン1(又はマシン本体3)は、加圧装置2(図1(a))を有している。また、型付ダイカストマシンDCは、図1(a)に示したように、加圧部材41と、加圧シリンダ43と、加圧装置2とを有している。加圧装置2の具体例である第1実施形態に係る加圧装置については、加圧装置2A(図5参照)と称するものとする。
ダイカストマシン1において、加圧装置2以外の構成要素の構成及び動作は、公知のものであってもよいし、新規なものであってもよく、換言すれば、種々の態様とされてよい。なお、公知の構成及び動作とされて構わない構成及び動作については、適宜に説明を省略する。
以下におけるダイカストマシン1の説明では、概ね、下記の順に説明を行う。
1.型締装置7
2.射出装置9
3.制御装置5
4.ダイカストマシンのその他の構成
5.加圧部材41
6.加圧シリンダ43
7.加圧装置2A
8.射出及び局部加圧に係る動作の例
9.射出及び局部加圧に係る制御の例
10.第1実施形態のまとめ
(1.型締装置)
型締装置7は、例えば、ベース11と、ベース11上に固定されている固定ダイプレート13と、ベース11上において型開閉方向に移動可能な移動ダイプレート15と、これらのダイプレートに挿通されている複数(例えば4本)のタイバー17と、を有している。固定ダイプレート13と移動ダイプレート15とは型開閉方向において互いに対向している。固定ダイプレート13は、移動ダイプレート15に対向する面に固定型103を保持する。移動ダイプレート15は、固定ダイプレート13に対向する面に移動型105を保持する。移動ダイプレート15の型開閉方向における移動によって、金型101の開閉がなされる。また、型閉じがなされた状態でタイバー17が伸長されることによって、その伸長量に応じた型締力が金型101に付与される。
(2.射出装置)
射出装置9は、固定ダイプレート13の背後(移動ダイプレート15とは反対側)に位置している。射出装置9は、空間107に通じるスリーブ19と、スリーブ19内の溶湯を空間107へ押し出すプランジャ21と、プランジャ21を駆動する駆動部23とを有している。なお、スリーブ19及びプランジャ21は、消耗品として捉えることができるから、駆動部23のみを射出装置として捉えてもよい。
スリーブ19は、固定ダイプレート13に挿通されるように設けられている。なお、スリーブ19は、固定型103に挿通されていなくてもよいし(図4の例)、挿通されていてもよい(図1(a)の例)。スリーブ19は、概略、円筒状の部材であり、水平方向(前後方向)に延びるように配置されている。スリーブ19の上面には、溶湯が供給される供給口19aが開口している。
プランジャ21は、スリーブ19を摺動するプランジャチップ21aと、プランジャチップ21aに固定されたプランジャロッド21bとを有している。プランジャロッド21bは、前後方向に延びており、その後端は、カップリング25によって駆動部23と連結されている。
図4では、射出開始前の状態が示されている。このとき、プランジャチップ21aは、供給口19aよりも後方にてスリーブ19内に(少なくとも一部が)位置している。この状態で、不図示の給湯装置等によって溶湯が供給口19aに注がれる。次に、駆動部23の駆動力によってプランジャチップ21aが空間107に向かって摺動する(前進する)。これにより、溶湯は空間107内に射出される。
駆動部23は、例えば、液圧式(油圧式)、電動式又はハイブリッド式(液圧式と電動式との組み合わせ)とされてよい。図1(a)では、液圧式の駆動部23が例示されている。すなわち、駆動部23は、プランジャ21に連結される液圧シリンダ(射出シリンダ27)と、射出シリンダ27への作動液(例えば作動油)の供給等を行う液圧装置(不図示)を有している。
射出シリンダ27の構成は任意である。例えば、射出シリンダ27は、単胴式(図1(a)の例)又は増圧式(不図示)とされてよい。単胴式の射出シリンダ27(図1(a))は、シリンダ部材31と、シリンダ部材31の内部を摺動可能なピストン33と、ピストン33から前方(プランジャ21側)へ延びるピストンロッド37と、を有している。
シリンダ部材31は、不動とされている。シリンダ部材31の内部は、ピストン33によって、ピストンロッド37側のロッド側室31rと、その反対側のヘッド側室31hに区画されている。ピストンロッド37は、シリンダ部材31の外部へ延び出ており、その前端がカップリング25によってプランジャ21の後端と連結されている。
ヘッド側室31hへ作動液が供給されることによって、ピストン33は前進する。これにより、ピストンロッド37及びカップリング25を介してピストン33に連結されているプランジャ21が前進する。ひいては、スリーブ19内の溶湯が空間107に射出される。
(3.制御装置)
制御装置5は、例えば、特に図示しないが、コンピュータを含んで構成されてよい。コンピュータは、例えば、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置を含んで構成されてよい。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、種々の演算(制御を含む)を行う種々の機能部が構築される。また、制御装置5は、一定の動作を実行する論理回路を含んでいてもよいし、電源回路を含んでいてもよいし、ドライバを含んで概念されてもよい。制御装置5は、ハードウェア的に1カ所に纏められていてもよいし、複数個所に分散されていてもよい。
なお、制御装置5は、ダイカストマシン1が含む各装置に着目したときは、その装置の制御装置として捉えられてよい。例えば、制御装置5は、加圧装置2の制御装置として捉えられてよい。
本実施形態の説明において、ダイカストマシン1(加圧装置2)の動作は、基本的に制御装置5の制御によって実現されてよい。従って、例えば、図1(a)~図3(b)を参照して説明した動作、並びに後述する図5~図8を参照して説明する動作は、制御装置5の制御によって実現されてよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、これらの動作について、制御装置5が制御する点を省略して説明することがある。また、制御装置5の制御によって実現される動作の一部又は全部は、オペレータがダイカストマシン1の入力装置(不図示)に対して操作を行うことによって実現されたり、人力で実現されたりしても構わない。
(4.ダイカストマシンのその他の構成)
型付ダイカストマシンDCは、種々のセンサを有してよい。そして、制御装置5は、種々のセンサの検出値に基づいて、各部を制御してよい。
上記のようなセンサの例を挙げる。例えば、特に図示しないが、プランジャ21の位置を検出する位置センサ、及び/又は駆動部23の駆動力を検出するセンサが設けられてよい。位置の微分によって速度が得られるから、位置センサは速度センサと捉えられてもよい。駆動部23の駆動力を検出するセンサとしては、例えば、駆動部23が射出シリンダ27を有する態様においては、ヘッド側室31hの圧力を検出する圧力センサ(及び必要に応じてロッド側室31rの圧力を検出する圧力センサ)が用いられてよい。
プランジャ21の位置を検出するセンサは、例えば、射出速度(換言すればプランジャ21の速度)の制御に利用される。駆動部23の駆動力を検出するセンサは、射出圧力(換言すればプランジャ21が成形材料に付与する圧力)の制御に利用される。ただし、後述するように、本実施形態においては、加圧装置2によって成形材料の圧力が所望の圧力にされてよく、射出圧力の制御は必須ではない。
(5.加圧部材)
型付ダイカストマシンDCは、1以上の任意の数で加圧部材41を有してよい。複数の加圧部材41が設けられている態様においては、例えば、金型101の製品部107a内の溶湯に均等に圧力を付与することが容易化される。ただし、以下の説明では、便宜上、特に断り無く、1つの加圧部材41に着目した説明を行うことがある。
図1(b)に示すように、加圧部材41の形状は、概略、進退方向を長手方向とするピン状であってもよいし(図示の例)、ピン状でなくてもよい。後者の例としては、加圧部材41の進退方向における長さよりも径が大きいブロック状の形状を挙げることができる。また、加圧部材41の進退方向に直交する断面の形状は、円形であってもよいし、円形以外の形状であってもよい。加圧部材41の寸法も任意である。
加圧部材41は、先端側(空間107側)の少なくとも一部が、先端側ほど径が小さくなるテーパ状とされてよい。この場合、凝固した成形材料から加圧部材41を引き抜くことが容易化される。テーパ状とされる範囲は適宜に設定されてよい。図示の例では、加圧部材41が前進限に位置しているときに、加圧部材41のうち空間107内に位置する部分の全体がテーパ状とされている。なお、もちろん、加圧部材41は、先細りしない形状(例えば径が一定の形状)とされても構わない。
加圧部材41は、固定型103に配置されてもよいし(図示の例)、移動型105に配置されてもよい。本実施形態の説明では、便宜上、加圧部材41が固定型103に配置される態様を前提として説明を行うことがある。
加圧部材41は、例えば、その一部又は全部が型(固定型103又は移動型105)に対して進退方向に摺動してよい(当接してよい)。加圧部材41は、後端側の部分(加圧シリンダ43に連結される部分)が型の外部に位置していてもよいし、その全体が型の内部に位置していてもよい。後者の例としては、加圧部材41の後端側部分が不図示のダイベースによって構成された空間に位置している態様を挙げることができる。
加圧部材41の進退方向は、適宜な方向とされてよい。例えば、進退方向は、型開閉方向(図1(b)の左右方向)であってもよいし、型開閉方向に交差(直交又は傾斜)する方向であってもよい。ただし、進退方向が型開閉方向であれば、例えば、加圧部材41が配置されている型から成形品を引き剥がす動作(型開動作であってもよいし、及び/又は押出動作であってもよい。)に伴って加圧部材41を成形品から引き抜くことが可能である。
加圧部材41の空間107に対する配置位置は適宜に設定されてよい。例えば、空間107は、図1(a)及び図1(b)に示すように、製品形状に対応する形状を有している製品部107aと、スリーブ19から製品部107aへ溶湯を導くランナー107eと、余剰な溶湯が流れ込むオーバーフロー107bとを有している。加圧部材41は、これらのいずれの空間に位置する溶湯を加圧してもよい。
図1(a)の例では、加圧部材41は、オーバーフロー107bに流れ込んだ溶湯を加圧するように配置されている。オーバーフロー107bは、通常、型開閉方向に見て、製品部107aの外周(特にスリーブ19から離れた位置)に接続されている。従って、オーバーフロー107bの溶湯を加圧する加圧部材41は、製品部107a内の溶湯のうちプランジャ21によって圧力を付与しにくい外周側の溶湯に圧力を付与できる。その結果、例えば、製品部107a内の溶湯は、その全体に均等に圧力が付与されやすくなる。ひいては、大型の製品を成形する場合において、プランジャ21によって溶湯に付与する圧力を高くする必要性を低減できる。別の観点では、ダイカストマシン1の大型化の必要性を低減できる。
なお、図1(b)に示すように、固定型103(加圧部材41が配置される型)は、移動型105側の面に、加圧部材41の先端側部分が出し入れされる凹部107cを有してよい。この凹部107cは、例えば、加圧部材41の先端側部分よりも径が大きくされてよく、また、例えば、移動型105側ほど径が大きくなる逆テーパ状とされてよい。凹部107cによって、加圧部材41を空間107内に出し入れするための容積が空間107に確保される。また、逆テーパ状であることによって、凝固した成形材料が固定型103から抜けやすくなる。もちろん、固定型103は、そのような凹部107cを有さなくてもよいし、逆テーパ状でない凹部107cが形成されてもよい。
加圧部材41の前進限及び後退限は、例えば、加圧部材41が前進又は後退するときに加圧部材41が当接する部材又は部位(ストッパ)が金型101等に設けられることによって規定されてもよいし、加圧シリンダ43の駆動限によって規定されてもよい。なお、実施形態の説明では、加圧部材41及び加圧ピストン47のいずれによって加圧部材41の駆動限が規定されているのか、特に区別しないことがある。また、前進限及び後退限を規定する部材の図示は省略する。
(6.加圧シリンダ)
型付ダイカストマシンDCは、1以上の任意の数で加圧シリンダ43を有してよい。ダイカストマシン1が複数の加圧シリンダ43を有していることによって、例えば、金型101の製品部107a内の溶湯に均等に圧力を付与することが容易化される。ただし、実施形態の説明では、特に断り無く、1つの加圧シリンダ43に着目した説明を行うことがある。
1つの加圧シリンダ43が駆動する加圧部材41の数は、1つであってもよいし(図示の例)、2以上であってもよい。後者の場合、例えば、公知の押出装置から類推できるように、ピストンロッド49に直交する板状部材をピストンロッド49の先端に固定し、この板状部材に複数の加圧部材41を並列に固定してよい。なお、本実施形態の説明では、基本的に、図示の態様(1つの加圧シリンダ43が1つの加圧部材41を駆動する態様)を例に取る。
図5は、局部加圧に係る構成を示す模式図である。なお、図5及び図5に相当する他の図においては、便宜上、後述するロッド側室45r及びヘッド側室45hの双方に作動液が満たされていても、一方のみに作動液を示すハッチングを付している。
加圧シリンダ43は、例えば、シリンダ部材45と、シリンダ部材45の内部を摺動可能な加圧ピストン47と、加圧ピストン47からシリンダ部材45の外部へ延びるピストンロッド49と、を有している。さらに、加圧シリンダ43は、加圧ピストン47とシリンダ部材45との間等の適宜な位置にパッキン(符号省略)を有していてよい。
なお、便宜上、加圧ピストン47とシリンダ部材45との間にパッキンが介在していても、加圧ピストン47がシリンダ部材45に対して摺動する等と表現する。他の部材(例えばアキュムレータ61及び射出シリンダ27)も適宜な位置にパッキンを有してよい。ただし、便宜上、図示又は符号は省略されることがあり、また、特に言及しない。パッキンが介在しても、摺動等と表現することも、加圧シリンダ43と同様である。
シリンダ部材45は、例えば、概略、筒状の部材である。シリンダ部材45の内部の横断面の形状は、例えば、円形である。シリンダ部材45の外形(外側の形状)は、直方体状等の適宜な形状とされてよい。加圧ピストン47は、例えば、概略、円柱状の部材であり、シリンダ部材45の内部を軸方向において摺動可能である。シリンダ部材45の内部の空間は、加圧ピストン47によって、ピストンロッド49側のロッド側室45rと、その反対側のヘッド側室45hに区画されている。ピストンロッド49は、例えば、概略、円柱状の部材である。ピストンロッド49の径は、加圧ピストン47の径よりも小さい。その差は、適宜に設定されてよい。
加圧シリンダ43は、例えば、加圧部材41の空間107とは反対側(図5の右側)に加圧部材41に同軸的に配置され、また、ピストンロッド49側を加圧部材41に向けている。シリンダ部材45は、固定型103(加圧部材41が配置されている型)に対して不動とされる。例えば、シリンダ部材45は、固定型103及び/又は固定ダイプレート13に対してボルトなどによって固定される。ピストンロッド49の先端は、例えば、加圧部材41の後端と適宜なカップリング(図1(a)に符号を省略して示す。)によって連結される。
従って、例えば、加圧シリンダ43においては、ヘッド側室45hに作動液(例えば作動油)が供給されると、加圧ピストン47がロッド側室45r側へ移動する。ひいては、ピストンロッド49を介して加圧ピストン47に連結されている加圧部材41が空間107に向かって前進する。また、例えば、溶湯によって加圧部材41が押されると、加圧ピストン47がヘッド側室45h側へ移動するとともに、ヘッド側室45hの作動液が排出される。
上記の説明とは逆に、シリンダ部材45を加圧部材41に固定し、ピストンロッド49を固定型103に対して不動としてもよい。また、加圧シリンダ43の向きは、上記の説明とは逆であってもよい。すなわち、シリンダ部材45及びピストンロッド49のいずれを不動とするか、及びピストンロッド49が延び出る方向をいずれの方向に向けるか、の組み合わせに関しては、図示以外に3通り可能である。上記に関連して、加圧部材41を空間107の側へ前進させるときに作動液が供給されるシリンダ室(図示の態様ではヘッド側室45h)は、ロッド側室45rであってもよい。なお、本実施形態の説明では、便宜上、図示の態様を前提として説明を行うことがある。
ロッド側室45rへの作動液の供給による加圧ピストン47の移動(加圧シリンダ43の駆動力による加圧部材41の後退(空間107とは反対側への移動))は、行われてもよいし、行われなくてもよい。本実施形態では、前者の態様を例に取る。
本実施形態の説明とは異なり、ロッド側室45rへの作動液の供給による加圧ピストン47の移動が行われない態様においては、ロッド側室45rは、作動液が満たされていてもよいし、満たされていなくてもよい。ロッド側室45rに作動液が満たされている場合、ロッド側室45rは、その容積が拡張するときにタンク又は駆動源(例えばポンプ)から作動液の不足分が供給されるだけであってよい。また、ロッド側室45rに作動液が満たされていない場合、ロッド側室45rは、例えば、大気開放されていてよい。この場合、作動液としての油が潤滑等の目的でロッド側室45rに少量配置されていても構わない。
また、ロッド側室45rへの作動液の供給による加圧ピストン47の移動が行われない態様においては、加圧シリンダ43は、ロッド側室45rを有さない構成とされてもよい。例えば、加圧ピストン47がシリンダ部材45からヘッド側室45hとは反対側へ延び出ていてもよい(別の観点ではピストンロッド49の径が加圧ピストン47の径と同じであってもよい。)。
加圧ピストン47は、シリンダ部材45の内部の前端及び後端(シリンダ部材45内に設けられた不図示のストッパを含む概念であるものとする。)に対する当接によって、物理的な前進限及び後退限(駆動限)が規定される。既述のように、この前進限及び/又は後退限は、加圧部材41の前進限及び/又は後退限を規定してもよいし、規定しなくてもよい。
(7.加圧装置)
図5に示すように、図1(a)の加圧装置2の具体例としての第1実施形態に係る加圧装置2Aは、図1(a)のアキュムレータ61の具体例としてのアキュムレータ61Aと、図1(a)のACC側バルブ63の具体例としてのACC側バルブ63Aとを有している。
アキュムレータ61Aは、少なくとも2つのアキュムレータ(第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65B)を有している。第1アキュムレータ65Aは、図1(a)の第1液室Raの一例としての第1液室71Aを有している。第2アキュムレータ65Bは、図1(a)の第2液室Rbの一例としての第2液室71Bを有している。
第1液室71Aの作動液には、図1(a)及び図2(a)に示した第1圧力P1が付与されている。第2液室71Bの作動液には、図3(a)に示した第2圧力P2(>第1圧力P1)が付与されている。ACC側バルブ63Aは、第1液室71A及び第2液室71Bの一方を選択的に加圧シリンダ43のヘッド側室45h(より厳密には図示の例では流路75c)に接続する。これにより、第1圧力P1及び第2圧力P2を選択的に(換言すれば順番に)ヘッド側室45hに付与することが可能となっている。
図1(a)~図3(b)を参照して説明した動作手順に即して加圧装置2Aの動作の概要を説明する。ACC側バルブ63Aは、まず、第1液室71A及び第2液室71Bのうち第1液室71Aのみをヘッド側室45hに接続する。これにより、第1圧力P1がヘッド側室45hに付与され、加圧ピストン47及び加圧部材41が前進する。そして、図1(a)及び図1(b)を参照して説明したように、加圧部材41は前進限で待機する。その後、溶湯が加圧部材41に到達すると、図2(a)及び図2(b)を参照して説明したように、加圧部材41及び加圧ピストン47は後退する。後退開始後、ACC側バルブ63Aは、第1液室71A及び第2液室71Bのうち第2液室71Bのみをヘッド側室45hに接続する。これにより、図3(a)及び図3(b)を参照して説明したように、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2がヘッド側室45hに付与され、加圧ピストン47及び加圧部材41が前進する。すなわち、局部加圧が行われる。
以上が加圧装置2Aの概要である。以下では、概略、下記の順に加圧装置2Aについて説明する。
7.1.アキュムレータ61A
7.2.ACC側バルブ63A
7.3.加圧装置2Aの構成の具体例
7.4.加圧装置2Aの動作の具体例
7.5.複数の加圧シリンダ43が設けられている場合の加圧装置2Aの構成
7.6.加圧装置2Aのその他の構成
(7.1.アキュムレータ61A)
以下の説明では、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bに共通してよい事項については、一方のアキュムレータのみについて説明し、他方のアキュムレータに係る符号等を括弧内に示すことがある。
第1アキュムレータ65A(65B)は、種々の形式のアキュムレータとされてよい。例えば、第1アキュムレータ65A(65B)の形式は、重量式、ばね式、気体圧式、シリンダ式又はブラダ式とされてよい。重量式では、重りの重力によって作動液に圧力を付与する。ばね式では、ばねの復元力によって作動液に圧力を付与する。気体圧式は、圧縮された気体が作動液に直接に触れて作動液に圧力を付与する。シリンダ式では、圧縮された気体がピストンを介して作動液に圧力を付与する。ブラダ式では、圧縮された気体が可撓性のブラダ(ダイヤフラム)を介して作動液に圧力を付与する。気体圧式、シリンダ式及びブラダ式において、気体は、例えば、空気若しくは窒素である。第1アキュムレータ65Aの形式と、第2アキュムレータ65Bの形式とは、互いに同一であってもよいし(図示の例)、互いに異なっていてもよい。
図示の例においては、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bのいずれの形式もシリンダ式である。すなわち、第1アキュムレータ65A(65B)は、第1シリンダ67A(第2シリンダ67B)と、第1シリンダ67A(67B)内を軸方向に摺動する第1ピストン69A(第2ピストン69B)とを有している。第1シリンダ67A(67B)の内部は、第1ピストン69A(69B)によって、既述の第1液室71A(71B)と、その反対側の第1気体室73A(第2気体室73B)とに区画されている。第1気体室73A(73B)の気体は圧縮されており、これにより、第1ピストン69A(69B)を介して第1液室71A(71B)の作動液に第1圧力P1(P2)が付与される。
第1シリンダ67A(67B)及び第1ピストン69A(69B)の具体的な形状及び寸法は任意である。例えば、第1シリンダ67A(67B)の内部空間の形状、及び第1ピストン69A(69B)の形状は、概略、円柱形状である。特に図示しないが、第1アキュムレータ65A(65B)は、第1シリンダ67A(67B)の第1気体室73A(73B)と連通されているタンクを有していてもよい。当該タンクは、例えば、第1気体室73A(73B)と通じる気体室を有する気体圧式のアキュムレータとされ、作動液が供給されることによって第1気体室73A(73B)の圧力の調整に寄与してよい。
既述のように、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bは、加圧シリンダ43に付与する圧力(第1圧力P1及び第2圧力P2)が互いに相違し、また、その役割(図1(a)~図3(b))も相違する。第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bの形式(シリンダ式等)が同一の態様において、両者は、上記のような圧力の相違及び/又は役割の相違に応じて、具体的な構成が互いに異なっていてもよい。例えば、両者は、耐圧性能及び/又は容量が異なっていてもよい。上記とは異なり、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bは、具体的な構成も同じとされ、封入されている気体の質量及びピストン(69A及び69B)の位置に応じて定まる圧力のみが互いに異なっていてもよい。別の観点では、加圧装置2Aの流通段階においては、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bは区別できなくてもよい。
アキュムレータの形式にもよるが、第1アキュムレータ65A(65B)が加圧シリンダ43に付与する圧力は変動し得る。例えば、シリンダ式の第1アキュムレータ65A(65B)から加圧シリンダ43に作動液が供給されると、第1ピストン69A(69B)が第1液室71A(71B)側に移動し、第1気体室73A(73B)の圧力は低下する。ひいては、第1アキュムレータ65A(65B)が加圧シリンダに付与する第1圧力P1(P2)は低下する。また、例えば、第1アキュムレータ65Aから加圧シリンダ43に第1圧力P1を付与しているときに、加圧部材41が溶湯に押されて加圧シリンダ43から第1アキュムレータ65Aへ作動液が戻されると、第1アキュムレータ65Aの圧力は上昇する。換言すれば、第1アキュムレータ65Aから加圧シリンダ43に付与する第1圧力P1は上昇する。
上記のような圧力の変動を考慮したとき、第2圧力P2が第1圧力P1よりも高いといとき、図1(a)~図3(b)を参照して説明した作用から理解されるように、少なくとも、加圧シリンダ43に付与する圧力を第1圧力P1から第2圧力P2に切り換えるときに、第2圧力が第1圧力よりも高ければよい。これにより、溶湯からの圧力によって後退していた加圧部材41を前進させ得る。もちろん、実際に加圧部材41を前進させるためには、さらに、第2圧力P2によって加圧部材41を前方に押す力が、溶湯が加圧部材41を後方に押す力を超える必要がある。また、第2圧力P2が第1圧力P1よりも高いといとき、例えば、加圧部材41又は加圧ピストン47が前進限に位置するときの第2圧力P2(想定される最も低い第2圧力)が、加圧部材41又は加圧ピストン47が後退限に位置するときの第1圧力P1(想定される最も高い第1圧力P1)よりも高くされてもよい。なお、実施形態の説明では、便宜上、アキュムレータの圧力に関して、成形サイクル中の第1ピストン69A(69B)の移動による圧力の変動を無視した表現をすることがある。
第1圧力P1及び第2圧力P2の具体的な値は、実施形態で述べる作用が奏されるように、種々の条件を考慮して適宜に設定されてよく、特に制限はない。考慮される条件としては、例えば、加圧装置2Aが適用されるダイカストマシン1のサイズ、及びオペレータが不図示の入力装置を介して設定する鋳造圧力が挙げられる。また、第1圧力P1及び第2圧力P2の具体的な値は、アキュムレータの形式にもよるが、アキュムレータの構成自体によって規定されてもよいし(例えば重力式)、液体及び/又は気体の充填によって調整されてもよい(例えばシリンダ式)。後者の場合は、オペレータが第1圧力P1及び第2圧力P2を設定可能である。参考までに第2圧力P2(最も高いとき)の一例を挙げると、13MPa以上14MPa以下である。
なお、例えば、アキュムレータ61からヘッド側室45hへ液圧を付与するときに、その間に介在する流路の容積が大きく、かつ加圧ピストン47の移動量が小さい場合は、アキュムレータ61に収容されていた作動液は、ヘッド側室45hへ到達しない。このような場合であっても、便宜上、アキュムレータ61からヘッド側室45hへ作動液を供給すると表現することがある。他の構成要素(例えば後述するポンプ79及びタンク77等)についても同様である。
(7.2.ACC側バルブ)
ACC側バルブ63Aの構成は、第1液室71A及び第2液室71Bを選択的にヘッド側室45hに接続することが可能な限り、種々の構成とされてよい。
図示の例では、ACC側バルブ63Aは、3ポート2位置の切換弁として機能するように構成されている。そして、ACC側バルブ63Aは、図の左側の矩形の状態(位置)では、第1液室71Aから延びる流路75aと、ヘッド側室45hへ向かう流路75cとを接続する。また、ACC側バルブ63Aは、図の右側の矩形の状態(位置)では、第2液室71Bからの流路75bと、ヘッド側室45hへ向かう流路75cとを接続する。また、図示の例では、ACC側バルブ63Aは、ばねの復元力によって左側の矩形の状態となり、ソレノイドが駆動力を発揮することによって右側の矩形の状態となる。
ACC側バルブ63Aは、当該バルブを駆動するための信号が制御装置5から出力されてから実際に切り換わる(別の観点では弁体が特定の位置に到達する)までの時間が比較的短い高応答のバルブとされてよい。そのようなバルブとしては、例えば、サーボバルブ(より詳細には例えばサーボバルブの機能を有する切換弁)が挙げられる。サーボバルブは、一般に、サーボ機構の中で使用され、入力信号に応じて流量又は圧力を無段階に(連続的に、任意の値に)変調できるバルブを指す。このようなサーボバルブは、一般に高応答である。
ACC側バルブ63A(例えばサーボバルブ)は、少なくとも、流路75b(換言すれば第2アキュムレータ65B)と流路75c(換言すればヘッド側室45h)とを接続しているときに、流量制御弁又は圧力制御弁として機能するように構成されていてよい。流量制御弁は、例えば、圧力変動があっても流量を一定に保つことができる圧力補償付流量調整弁とされてよい。
ソレノイドによって駆動されるACC側バルブ63A(例えばサーボバルブ)は、例えば、ソレノイドによって直接的に駆動されるものであってもよいし(図示の例)、ソレノイドによって間接的に駆動されるものであってもよい。後者は、特に図示しないが、例えば、流路75a、75b及び75cに接続されるパイロット式のメインバルブと、ソレノイドによって駆動されてメインバルブへのパイロット圧の導入を制御するパイロットバルブとを有している。パイロット圧は、適宜な液圧源(例えば第1アキュムレータ65A、第2アキュムレータ65B又はポンプ79)の液圧であってよい。
ACC側バルブ63Aの構成の他の例を挙げる。例えば、ACC側バルブ63Aは、3ポート3位置の切換弁によって構成されてよい。例えば、図5に示された2つの状態(位置)の他に、流路75a及び流路75bの双方を流路75cから遮断する状態(位置)が加えられてよい。また、例えば、ACC側バルブ63Aは、流路75aを開閉するバルブと、流路75bを開閉するバルブとの2つのバルブによって構成されていてもよい。この場合において、少なくとも流路75bを開閉するバルブは、流量制御弁(例えば圧力補償付流量調整弁)又は圧力制御弁とされてもよく、また、サーボバルブとされてもよい。また、流路75aを開閉するバルブ及び/又は流路75bを開閉するバルブは、パイロット式の逆止弁とされてもよい。
なお、流路75a、75b及び75cは、適宜な構成とされてよい。例えば、各流路は、剛体からなる管、可撓性のホース、流路が形成されたブロック、及び/又はこれらの組み合わせによって構成されてよい。他の流路も同様とする。
(7.3.加圧装置の構成の具体例)
これまでの説明から理解されるように、加圧装置2Aは、第1アキュムレータ65A、第2アキュムレータ65B、ACC側バルブ63A及び適宜な流路を有している。流路としては、例えば、以下の流路が挙げられる。第1アキュムレータ65AとACC側バルブ63Aとを接続する流路75a。第2アキュムレータ65BとACC側バルブ63Aとを接続する流路75b。ACC側バルブ63Aとヘッド側室45hとを接続する流路(流路75cを含む)。加圧装置2Aは、これらの構成要素を有していれば、図1(a)~図3(b)を参照して説明した動作を実現できる。
加圧装置2Aは、上記の構成要素に加えて、他の付加的な構成要素(流路及びバルブ等)を有していてもよい。これにより、より好適な動作が実現されてよい。以下では、そのような付加的な構成要素を含む加圧装置2Aの構成の一例について述べ、さらに次の節(7.4.加圧装置の動作の具体例)で、そのような構成の一例によって実現される動作の一例について述べる。
ここでは、概略、以下の順に付加的な構成要素について述べる。
7.3.1.ポンプ及びタンク
7.3.2.加圧シリンダ43側の液圧回路
7.3.3.ポンプ側の液圧回路
7.3.4.加圧装置におけるセンサ
7.3.5.他の付加的な構成要素
(7.3.1.ポンプ及びタンク)
ダイカストマシン1は、例えば、作動液を貯留するタンク77と、タンク77の作動液を送出するポンプ79とを有している。タンク77及びポンプ79は、加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよいし、構成要素として捉えられなくてもよい。以下の説明では、便宜上、後者の捉え方を前提とした表現をすることがある。
ポンプ79及び/又はタンク77は、ダイカストマシン1が有する、加圧装置2A以外の液圧装置(例えば射出装置9の液圧装置)に共用されてもよいし、共用されなくてもよい。なお、タンク77及びポンプ79は、複数のダイカストマシン1等に共用されているものであってもよい。また、タンク77及びポンプ79は、ダイカストマシン1の構成要素と捉えることが困難な態様のものであってもよい。
ポンプ79及びタンク77の構成は、種々の構成とされてよく、例えば、公知の構成とされて構わない。ポンプ79は、必要に応じて駆動されてもよいし、常時駆動されていてもよい。タンク77は、例えば、大気開放型のものとされている。従って、タンク77に接続されている流路等の圧力は、基本的には概ね大気圧である。
(7.3.2.加圧シリンダ側の液圧回路)
加圧装置2Aは、ヘッド側室45hにつながっている流路75hと、ロッド側室45rにつながっている流路75rと、これらの流路の接続先(アキュムレータ61A等)を切り換えるシリンダ側バルブ81とを有している。なお、流路75r及び75hは、その全体が加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよいし、シリンダ側バルブ81側の一部のみが加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよい。
加圧装置2Aは、シリンダ側バルブ81と流路75c(換言すればACC側バルブ63A)とを接続する流路75dと、シリンダ側バルブ81とタンク77とを接続する流路75tとを有している。なお、流路75tは、その全体が加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよいし、シリンダ側バルブ81側の一部のみが加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよい。
シリンダ側バルブ81は、4ポート2位置の切換弁によって構成されている。そして、シリンダ側バルブ81は、図の左側の矩形の状態(位置)では、流路75rと流路75dとを接続するとともに、流路75hと流路75tとを接続する。また、シリンダ側バルブ81は、図の右側の矩形の状態(位置)では、流路75rと流路75tとを接続するとともに、流路75hと流路75dとを接続する。また、図示の例では、シリンダ側バルブ81は、ばねの復元力によって右側の矩形の状態となり、ソレノイドが駆動力を発揮することによって左側の矩形の状態となる。
(7.3.3.ポンプ側の液圧回路)
加圧装置2Aは、流路75c(別の観点では流路75d)とポンプ79とを接続する流路75pを有している。なお、流路75pは、その全体が加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよいし、流路75c側の一部のみが加圧装置2Aの構成要素として捉えられてもよい。また、加圧装置2Aは、流路75cにおいて、ポンプ側バルブ83と、ポンプ側バルブ83よりも流路75c側に位置する逆止弁85とを有している。
ポンプ側バルブ83は、2ポート2位置の切換弁によって構成されている。そして、ポンプ側バルブ83は、図の左側の矩形の状態(位置)では閉じられ、図の右側の矩形の状態(位置)では開かれる。また、図示の例では、ポンプ側バルブ83は、ばねの復元力によって左側の矩形の状態となり、ソレノイドが駆動力を発揮することによって右側の矩形の状態となる。逆止弁85は、ポンプ79側から流路75c側への流れを許容し、その反対側への流れを禁止する。
なお、ポンプ79は、常時駆動されるのではなく、必要に応じて駆動されてよいことを既に述べた。この場合、ポンプ79が加圧装置2Aに作動液を供給するために駆動される時期は、例えば、後に説明する、ポンプ側バルブ83を開いている時期と同じとされてよい。また、この場合、ポンプ側バルブ83は省略されてもよいし、省略されなくてもよい。
(7.3.4.加圧装置におけるセンサ)
加圧装置2Aは、第1液室71Aの圧力を検出する第1圧力センサ87Aと、第2液室71Bの圧力を検出する第2圧力センサ87Bと、を有している。これらの圧力センサは、例えば、第1アキュムレータ65Aの圧力又は第2アキュムレータ65Bの圧力を目標圧力に調整することに寄与する。これらの圧力センサの具体的な構成は、種々の構成とされてよく、例えば、公知の構成とされて構わない。
第1圧力センサ87A及び第2圧力センサ87Bは、実質的に第1液室71A又は第2液室71Bの圧力を検出できる限り、任意の位置で圧力を検出してよい。図示の例では、第1圧力センサ87Aは、第1液室71Aから延びる流路75aの圧力を検出するように設けられている。また、第2圧力センサ87Bは、第2液室71Bから延びる流路75bの圧力を検出するように設けられている。この他、圧力センサは、例えば、液室の圧力を直接的に検出するように設けられたり、気体室の圧力を検出するように設けられたりしてもよい。
加圧装置2Aは、第1ピストン69Aの位置(より詳細には第1シリンダ67Aに対する相対位置)を検出する位置センサ89を有している。位置センサ89は、第1ピストン69A自体の位置及び/又は移動の検出に寄与する他、第1ピストン69Aと作動液を介して連動している状態の加圧部材41の位置及び/又は移動を検出することに寄与し得る。
位置センサ89の構成は適宜なものとされてよい。図示の例では、位置センサ89は、磁気式又は光学式のリニアエンコーダによって構成されている。そして、位置センサ89は、第1ピストン69Aに固定されているスケール部89aと、第1シリンダ67Aに(直接的又は間接的に)固定されているセンサ部89bとを有している。スケール部89aは、第1ピストン69Aから第1気体室73A側に第1アキュムレータ65Aの軸方向に延び、さらには、第1シリンダ67Aの外部に延び出ている。センサ部89bは、第1シリンダ67Aの外部に位置しており、スケール部89aに対向し、スケール部89aとの相対移動に応じてパルス信号を出力する。
特に図示しないが、加圧装置2Aは、上記のセンサに加えて、又は代えて、他のセンサを有していてもよいし、有していなくてもよい。特に図示しないが、以下に他のセンサの例を挙げる。
例えば、加圧装置2Aは、加圧部材41又はピストンロッド49の位置を直接的に検出する位置センサを有していてもよい。また、加圧装置2Aは、ロッド側室45rから排出される作動液の流量を検出する流量センサを有していてもよい。このような位置センサ又は流量センサは、例えば、加圧部材41の位置及び/又は移動の検出に寄与する。
加圧装置2Aは、ロッド側室45rの圧力を検出する圧力センサを有していてもよい。この圧力センサは、例えば、ヘッド側室45hの圧力を検出する圧力センサ(図示の例では例えば第2圧力センサ87B等)と共に、加圧部材41が溶湯に付与する圧力の算出に寄与する。
(7.3.5.他の付加的な構成要素)
加圧装置2Aは、上記以外の他の付加的な構成要素を有していてもよい。特に図示しないが、以下に例を示す。
例えば、加圧装置2Aは、加圧シリンダ43のロッド側室45rからタンク77に至る流路(例えば流路75t)に接続されている背圧除去シリンダを有していてもよい。背圧除去シリンダは、例えば、比較的低圧のアキュムレータによって構成されてよい。ロッド側室45rからタンク77へ作動液が流れるとき、その一部は背圧除去シリンダに流れ込む。これにより、例えば、加圧ピストン47(加圧部材41)が前進するときのロッド側室45rの圧力(背圧)の上昇が低減される。ひいては、加圧部材41の前進速度(別の観点では加圧部材41の応答性)が向上する。
(7.4.加圧装置の動作の具体例)
以下では、上記の付加的な構成要素を含む加圧装置2Aの構成の一例によって実現される動作の一例を説明する。なお、上記に述べた種々の付加的な構成要素は、下記の動作の一例が実現されるように、適宜に変形されて構わない。
これまでに参照した図5と、図5と同様の模式図である図6~図8は、加圧装置2Aの動作を示している。すなわち、成形サイクルが進行すると、加圧装置2Aの状態は、図5、図6、図7、図8の順に遷移する。そして、成形サイクルの繰り返しによって、図5~図8の状態が繰り返される。また、図5は、図1(a)及び図1(b)の状態に対応している。図6は、図2(a)及び図2(b)の状態に対応している。図7は、図3(a)及び図3(b)の状態に対応している。図8は、図7の状態から図5の状態へ戻る途中の状態に対応している。
以下、下記に示すように、順に説明する。
7.4.1.溶湯が加圧部材41に到達する前の動作(図5)
7.4.2.溶湯が加圧部材41に到達したときの動作(図6)
7.4.3.局部加圧時の動作(図7)
7.4.4.局部加圧後の動作(図8)
(7.4.1.溶湯が加圧部材に到達する前の動作)
図5に示すように、溶湯が加圧部材41に到達する前(例えば射出開始前)において、制御装置5は、ACC側バルブ63Aを図の左側の矩形の状態とする。すなわち、ACC側バルブ63Aは、第1アキュムレータ65Aからの流路75aと、ヘッド側室45hへ向かう流路75cとを接続する。また、制御装置5は、シリンダ側バルブ81を図の右側の矩形の状態とする。すなわち、シリンダ側バルブ81は、流路75cにつながる流路75dと、ヘッド側室45hにつながる流路75hとを接続するとともに、ロッド側室45rにつながる流路75rと、タンク77につながる流路75tとを接続する。
従って、第1アキュムレータ65Aからヘッド側室45hに作動液(換言すれば第1圧力P1)が供給されるとともに、ロッド側室45rからタンク77への作動液の排出が許容される。これにより、加圧ピストン47が前進し、ひいては、加圧部材41も前進する。そして、加圧部材41は、前進限に至る。前進限に至った加圧部材41は、第1圧力P1と加圧ピストン47のヘッド側室45hにおける受圧面積との積に相当する力が前方に付与された状態で待機する。
上記の動作の前、上記の動作が行われているとき、及び/又は上記の動作の後において、ポンプ79から第1アキュムレータ65A及び/又はヘッド側室45hに作動液が供給されてもよい。これにより、第1圧力P1を上昇させて第1圧力P1を所定の目標圧力に調整してよい。このような圧力調整は、例えば、毎サイクル行われてよい。
例えば、制御装置5は、上記の動作の後(加圧部材41が前進限に到達した後)にポンプ側バルブ83を開いてよい。なお、図5では、ポンプ側バルブ83が開かれている状態を例示している。そして、制御装置5は、第1圧力センサ87Aの検出値が所定の値になったときにポンプ側バルブ83を閉じてよい。なお、ポンプ側バルブ83が閉じられた状態は、図6に示す。このように、加圧部材41が前進限に到達した後に第1圧力P1を調整する場合、第1圧力P1が最も低いときの圧力が目標圧力に調整される。
上記において、制御装置5は、加圧部材41が前進限に到達したことを適宜に判定してよい。例えば、加圧部材41が前進限に到達したことは、第1アキュムレータ65Aからヘッド側室45hへの作動液の供給を開始してから所定の時間が経過したか否かに基づいて判定されてもよいし、加圧部材41の位置及び/又は移動を検出するセンサ(例えば位置センサ89)の検出結果に基づいて判定されてもよい。
また、例えば、制御装置5は、加圧部材41を前進させる動作の開始前にポンプ側バルブ83を開いてよい。そして、制御装置5は、第1圧力センサ87Aの検出値が所定の値になったときにポンプ側バルブ83を閉じてよい。この場合、第1圧力P1が最も高いときの圧力が目標圧力に調整される。
上記の他、例えば、制御装置5は、加圧部材41を前進させる動作の開始後かつ加圧部材41が前進限に到達する前にポンプ側バルブ83を開いてもよい。そして、例えば、制御装置5は、加圧部材41が前進限に到達した後に、第1圧力センサ87Aの検出値が所定の値になったときにポンプ側バルブ83を閉じてよい。この場合、加圧部材41が前進限に到達してからポンプ側バルブ83を開く場合と同様に、第1圧力P1が最も低いときの圧力を調整しつつ、調整開始の時期を早めることができる。
第1気体室73Aに封入される気体の質量は、例えば、上記のようなポンプ79による圧力の調整と加圧部材41の前進とが完了している状態において、第1ピストン69Aが第1液室71A側の駆動限又はその付近に位置するように設定されてよい。なお、気体の質量の設定は、別の観点では、第1ピストン69Aが所定位置にあるときの第1気体室73Aの圧力の設定である。このように気体の質量(圧力)が設定されることによって、例えば、加圧ピストン47の後退に伴う第1ピストン69Aの移動量と、第1ピストン69Aの移動可能なストロークとを近づけることができる。ひいては、第1アキュムレータ65Aを小型化できる。
(7.4.2.溶湯が加圧部材に到達したときの動作)
図6に示すように、射出装置9によって溶湯109が金型101の空間107に射出されると、溶湯109が加圧部材41に到達する。さらに、溶湯109が加圧部材41を後方(図の右側)へ押す力が、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方に押す力を上回ると、加圧部材41及び加圧ピストン47が後退する。これにより、例えば、サージ圧が吸収される。
加圧ピストン47の後退に伴ってヘッド側室45hから排出される作動液は、シリンダ側バルブ81及びACC側バルブ63Aを介して第1液室71Aに戻される。ヘッド側室45hから排出された作動液のポンプ79側への逆流は、逆止弁85及びポンプ側バルブ83によって規制される。加圧ピストン47の後退に伴って容積が増加するロッド側室45rには、タンク77からシリンダ側バルブ81Aを介して作動液が補給される。
ヘッド側室45hから第1液室71Aへ作動液が排出されることによって、第1アキュムレータ65Aの圧力は上昇する。すなわち、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力は増加する。この増加した力と、溶湯が加圧部材41を後方へ押す力とが釣り合うと、加圧部材41は停止する。又は、加圧部材41又は加圧ピストン47が後退限に到達することによって、加圧部材41は停止する。なお、後述する説明(7.4.3.局部加圧時の動作)から理解されるように、加圧部材41は、上記のように自然と停止する前に前進(局部加圧)を開始してもよい。
なお、上記の作用からも明らかなように、第1圧力P1は、少なくとも最も低いとき(加圧部材41が前進限に位置しているとき)の圧力が、加圧部材41の位置における予想される溶湯の圧力よりも小さくなるように設定される。その圧力差は適宜に設定されてよい。例えば、この圧力差は比較的小さくされてよい。この場合、加圧部材41を十分に後退させてサージ圧を吸収することが容易化される。
(7.4.3.局部加圧時の動作)
図7に示すように、制御装置5は、加圧部材41が後退を開始した後の適宜な時期にACC側バルブ63Aを図の右側の矩形の状態に切り換える。これにより、加圧シリンダ43のヘッド側室45hに接続されるアキュムレータが第1アキュムレータ65Aから第2アキュムレータ65Bに切り換えられる。ひいては、ヘッド側室45hには、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2が付与される。第2圧力P2は、加圧ピストン47を前方に押す力に換算した値が、加圧部材41の位置に到達した溶湯の(予想されている)圧力を、加圧部材41を後方に押す力に換算した値よりも高く設定されている。従って、加圧部材41は、金型101の空間107に向かって前進する。これにより、局部加圧が行われる。
制御装置5がACC側バルブ63Aを切り換えるタイミングは、例えば、適宜な条件が満たされた時期、又は上記条件が満たされてから所定時間が経過した時期とされてよい。すなわち、局部加圧を開始するタイミングは、適宜な条件に基づいて決定されてよい。
上記条件は、例えば、センサ(例えば位置センサ89)によって加圧部材41の後退が検出されたこととされてよい。ここでいう後退の検出は、加圧部材41の後退の有無の検出であってもよいし、加圧部材41の後退量が所定量に到達したことの検出であってもよいし、加圧部材41が所定位置まで後退したことであってもよい。なお、上記の後退量が比較的小さい場合、及び上記の所定位置が前進限に比較的近い場合は、加圧部材41の後退の有無が検出されていると捉えられてよい。
前段落の所定位置は、加圧部材41の後退限であってもよいし、後退限でなくてもよい。後退限でない所定位置は、溶湯の圧力及び第1圧力P1に無関係に設定されている一定の位置であってもよいし、図6の説明で述べた溶湯が加圧部材41を後方に押す力と、第1圧力P1によって加圧ピストン47を前方に押す力とが釣り合う位置であってもよい。なお、加圧部材41が上記の釣り合う位置に到達したことは、例えば、加圧部材41の速度が所定の速度以下になったことに基づいて判定されてよい。
また、局部加圧を開始する契機となる条件は、加圧部材41の後退の検出以外のものであってもよい。例えば、上記条件は、射出装置9による射出開始から所定の時間が経過したことであってもよい。また、例えば、加圧部材41の後退の検出以外の方法(例えば通電センサ、温度センサ又は圧力センサ)によって溶湯が所定位置に到達したことが検出されたことであってもよい。
加圧部材41の後退を検出するためのセンサは、適宜な構成とされてよい。図示の例では、位置センサ89によって加圧部材41の後退が検出される。他のセンサとしては、例えば、以下のものが挙げられる。第1ピストン69Aの位置を検出するリミットスイッチ。加圧部材41又はピストンロッド49の位置を直接的に検出する位置センサ又はリミットスイッチ。位置センサとしては、例えば、リニアエンコーダが挙げられる。リミットスイッチは、接触式のものであってもよいし、非接触式のものであってもよい。加圧部材41が後退すると、ヘッド側室45hの圧力が上昇するから、ヘッド側室45hの圧力を検出する圧力センサ(第1圧力センサ87Aであってもよい)によって加圧部材41の後退を検出することも可能である。
局部加圧開始後、加圧部材41は、例えば、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力と、溶湯が加圧ピストン47を後方へ押す力とが釣り合う位置で停止する。当該位置は、加圧部材41(加圧ピストン47)の前進限よりも手前(後方)である。これにより、加圧部材41付近において、溶湯は、第2圧力P2の圧力を、加圧ピストン47のヘッド側室45hにおける受圧面積及び加圧部材41の空間107における受圧面積を用いて加圧部材41の前面の圧力に換算した圧力で加圧される。この状態は、後に図8を参照して説明する動作が開始されるまで維持される。すなわち、溶湯は、第2圧力P2に応じた圧力が付与された状態が維持される。
図6を参照して説明した動作において、加圧部材41は、加圧部材41が溶湯から受ける力と、加圧ピストン47がヘッド側室45hの作動液から受ける力とが釣り合う位置まで後退してよいことを述べた。この場合において、加圧部材41は、局部加圧の開始前から最終的な圧力に到達するまでの間にP2/P1の増圧比(ここではP1及びP2の増減は無視している。)で増圧を行ったことになる。この増圧比は、第1圧力P1及び/又は第2圧力P2の調整によって調整できる。従って、後述する第2実施形態の比較から理解されるように、第1実施形態は、この増圧比が可変である態様ということができる。
なお、上記の説明とは異なり、局部加圧開始後、溶湯による後方への力と第2圧力P2による前方への力とが釣り合う位置に加圧部材41が到達する前に、アキュムレータ61(第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bの双方)とヘッド側室45hとを遮断してもよい。この場合、ヘッド側室45hの圧力が第2圧力P2よりも低い任意の圧力になっている状態で、溶湯に付与する圧力の増加が停止される。換言すれば、第2圧力P2に依存しない圧力を局部加圧における最終的な圧力としてもよい。なお、このような動作を実現するバルブは、適宜なものとされてよい。例えば、ACC側バルブ63Aは、3ポート3位置の切換弁によって構成され、図5に示された2つの状態(位置)の他に、流路75a及び流路75bの双方を流路75cから遮断する状態(位置)を実現してよい。また、さらに上記の説明とは異なり、加圧部材41は、前進限に到達しても構わない。
制御装置5は、第2アキュムレータ65Bからヘッド側室45hへ作動液を供給して局部加圧を行っているとき、メータイン回路及び/又はメータアウト回路によって、任意の圧力曲線(時間経過に対する圧力の変化をプロットした曲線)を実現してもよい。メータイン回路は、ヘッド側室45hへ供給される作動液の流量を制御する。メータアウト回路は、ロッド側室45rから排出される作動液の流量を制御する。
メータイン回路及び/又はメータアウト回路を構成するバルブは、適宜なものとされてよい。例えば、既述のように、ACC側バルブ63Aが流量制御の機能を有していてもよい。また、図7に点線で示すように、シリンダ側バルブ81とヘッド側室45hとの間の流路75hに流量制御弁91が設けられていてもよい。流量制御弁91は、例えば、圧力補償付き流量制御弁及び/又はサーボバルブとされてよい。なお、流量制御弁91は、制御装置5によって制御されるものでなく、手動で流量を設定するものとされてもよい。
(7.4.4.局部加圧後の動作)
図8に示すように、制御装置5は、溶湯が凝固すると、第2アキュムレータ65Bからヘッド側室45hへの液圧の供給を停止して、溶湯に対する所定の鋳造圧力の付与の維持(保圧)を終了する。なお、制御装置5は、溶湯が凝固したか否かを適宜に判断してよい。例えば、適宜な時点(例えば射出開始時点又は局部加圧開始時点)から所定の時間が経過したか否かによって溶湯の凝固を判定してよい。
具体的には、図示の例では、制御装置5は、シリンダ側バルブ81を図の左側の矩形の状態に切り換える。これにより、ヘッド側室45hはタンク77に接続され、ロッド側室45rは第2アキュムレータ65Bに接続される。従って、ロッド側室45rに作動液が供給され、加圧ピストン47は、ヘッド側室45hの作動液をタンク77に押し出しながら後退する。ひいては、加圧部材41も後退する。加圧部材41は、例えば、後退限まで後退してよい。加圧部材41が後退した状態は、例えば、金型101の加圧部材41が摺動する面に対する離型剤等のスプレイに利用されてよい。
また、図示の例では、制御装置5は、適宜な時期(例えば加圧部材41が後退限に到達した後)に、ポンプ側バルブ83を開く(図の右側の矩形の状態に切り換える。)。これにより、ポンプ79から作動液が第2アキュムレータ65Bに供給されて第2アキュムレータ65Bの蓄圧が行われる。そして、制御装置5は、第2圧力センサ87Bの検出する圧力(第2圧力P2)が所定の目標圧力に到達すると、ポンプ側バルブ83を閉じる(図の左側の矩形の状態に切り換える)。これにより、ポンプ79から第2アキュムレータ65Bへの作動液の供給が停止され、第2圧力P2は目標圧力に維持される。
図7を参照して説明したように、加圧部材41は、局部加圧が行われるとき、溶湯による後方への力とヘッド側室45hの作動液による前方への力とが釣り合う位置で停止してよい。この場合、第2圧力P2の上記目標圧力は、オペレータが不図示の入力装置を介して設定した鋳造圧力に応じた値とされてよい。ここでの鋳造圧力に応じた値は、厳密には、加圧部材41の前方の受圧面積及び加圧ピストン47の後方の受圧面積を用いて鋳造圧力を第2アキュムレータ65Bの圧力に換算した値に対して、図7に示した加圧ピストン47の前進に伴う第2アキュムレータ65Bの圧力低下分だけ高い値である。また、上記のような釣り合いの位置以外の位置で停止してよい旨の既述の説明から理解されるように、上記目標圧力は、鋳造圧力に応じた値よりも大きな値とされてもよい。
上記の説明では、ポンプ側バルブ83が開かれる前に、シリンダ側バルブ81が図の左側の矩形の状態(ヘッド側室45hと第2アキュムレータ65Bとを遮断する状態)に切り換えられ、かつ加圧部材41が後退限に到達する動作を説明した。上記の説明とは異なり、ポンプ側バルブ83は、シリンダ側バルブ81の切換前若しくは切換えと同時に開かれたり、又はシリンダ側バルブ81の切換後であって加圧部材41の後退限への到達前に開かれたりしてもよい。そして、加圧部材41が後退限に到達した後、上記のようにポンプ側バルブ83が閉じられてもよい。
さらに上記の説明とは異なる動作が行われてもよい。例えば、制御装置5は、シリンダ側バルブ81を図の左側の矩形の状態に切り換える前に、ポンプ側バルブ83を開いて第2アキュムレータ65Bの蓄圧を行ってよい。そして、制御装置5は、第2圧力センサ87Bの検出圧力が目標圧力に達したときに、ポンプ側バルブ83を閉じたり、及び/又はACC側バルブ63Aを図の左側の矩形の状態(第1アキュムレータ65Aを流路75cに接続する状態)に切り換えたりしてよい。その後、制御装置5は、シリンダ側バルブ81を図の右側の矩形の状態(流路75cをロッド側室45rに接続する状態)に切り換えてよい。
第2アキュムレータ65Bの圧力を目標圧力に調整した後、制御装置5は、図5を参照して説明した動作のための制御を行う。すなわち、図5に示すように、制御装置5は、ACC側バルブ63Aを図の左側の矩形の状態に切り換えるとともに、シリンダ側バルブ81を図の右側の矩形の状態に切り換える。これにより、第1アキュムレータ65Aがヘッド側室45hに接続されるとともに、ロッド側室45rがタンク77に接続される。ひいては、加圧部材41が前進し、その後、加圧部材41は前進限で待機する。
図5を参照して説明したように、第1アキュムレータ65Aの圧力は、例えば、加圧部材41が前進限で待機した状態で目標圧力に調整される。次に、図6を参照して説明したように、第1アキュムレータ65Aの圧力は、加圧部材41の後退に伴って上昇する。このとき、加圧部材41は、例えば、溶湯からの力とヘッド側室45hの作動液からの力とが釣り合う位置で停止し、後退限に到達していない。一方、図8の動作から図5の動作に移行するとき、加圧部材41は、例えば、第2アキュムレータ65Bからの圧力によって後退限に到達している。従って、図8の動作から図5の動作に移行して、第1アキュムレータ65Aからヘッド側室45hへ作動液が供給されて加圧部材41が前進限に到達すると、第1アキュムレータ65Aの圧力は、前サイクルにおける図5の動作における目標圧力よりも低下している。そこで、図5を参照して説明したように、ポンプ79からの作動液の供給によって、第1アキュムレータ65Aの圧力の調整がなされてよい。
なお、これまでの説明とは異なり、図7を参照して説明した局部加圧を行った後、加圧部材41の後退が行われずに、図5の動作が開始されてもよい。例えば、制御装置5は、局部加圧の後、シリンダ側バルブ81を図の左側の矩形の状態に切り換えることなく、ポンプ側バルブ83を開いて第2アキュムレータ65Bの蓄圧を行ってよい。そして、制御装置5は、第2圧力センサ87Bの検出圧力が目標圧力に達したときに、ポンプ側バルブ83を閉じたり(開いたままであってもよい。)、及び/又はACC側バルブ63Aを図の左側の矩形の状態(第1アキュムレータ65Aを流路75cに接続する状態)に切り換えたりすることによって、図5の動作に移行してもよい。この場合、シリンダ側バルブ81は省略されてもよい。また、上記のような動作の結果、第1アキュムレータ65Aの圧力が目標圧力よりも高くなった場合においては、第1液室71Aの作動液をタンク77へ排出することによって圧力の調整がなされてよい。
(7.5.複数の加圧シリンダが設けられている場合の加圧装置の構成)
加圧装置2Aは、複数の加圧シリンダ43に作動液を供給してよい。この場合の加圧装置2Aの構成は適宜なものとされてよい。
例えば、特に図示しないが、加圧装置2Aは、加圧シリンダ43毎に、流路75dから加圧シリンダ43までの構成(「ユニット93」と称するものとする。)を有していてよい。図示の例では、ユニット93は、流路75d、75r及び75h並びにシリンダ側バルブ81を有している。また、既述のように、ユニット93は、メータイン回路及び/又はメータアウト回路を有していてもよい。図5~図8では、図示された加圧シリンダ43以外の加圧シリンダ43(不図示)に対して設けられた流路75dに相当する流路75d-1が示されている。
加圧装置2Aが加圧シリンダ43毎にユニット93を有している場合、制御装置5は、複数の加圧シリンダ43を互いに独立に制御できる。この場合、複数の加圧シリンダ43による局部加圧の開始時期等は、加圧シリンダ43同士で同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。なお、既に触れたように、1つの加圧シリンダ43は、1つの加圧部材41を駆動してもよいし、2以上の加圧部材41を駆動してもよい。
また、図示の例とは異なり、例えば、シリンダ側バルブ81よりも加圧シリンダ43側の流路75r及び75hがそれぞれ分岐して、複数の加圧シリンダ43につながっていてもよい。換言すれば、シリンダ側バルブ81は、複数の加圧シリンダ43に共用されてもよい。この態様においてメータイン回路及び/又はメータアウト回路が設けられる場合、当該回路は、複数の加圧シリンダ43に共用されてもよいし、共用されなくてもよい。これまでの説明から理解されるように、複数の加圧シリンダ43によって共用される液圧回路の範囲は適宜に設定されてよい。
図示の例では、位置センサ89によって、複数の加圧シリンダ43に共通して加圧部材41の後退及び/又は位置が検出される。図示の例とは異なり、加圧シリンダ43毎に加圧部材41の後退及び/又は位置が検出されてもよい。例えば、加圧部材41又はピストンロッド49の位置を直接的に検出するセンサ又はリミットスイッチが加圧シリンダ43毎に設けられてもよい。この場合、例えば、加圧シリンダ43毎に、加圧部材41の後退の検出に基づくタイミングで局部加圧を開始することができる。すなわち、各加圧シリンダ43に適したタイミングで局部加圧を開始できる。なお、上記とは異なり、代表的な加圧シリンダ43の後退の検出に基づくタイミングに対して互いに異なる時間差を複数の加圧シリンダ43に割り当てて、各加圧シリンダ43に適したタイミングで局部加圧を開始してもよい。
(7.6.加圧装置のその他の構成)
加圧装置2Aは、ダイカストマシン1に対して後付け(別の観点では分離)が可能若しくは容易な構成であってもよいし、そのような構成でなくてもよい。前者の場合、例えば、加圧装置2Aの構成要素は、不図示の基台に載置されることによって纏められていてよい。及び/又は、加圧装置2Aの流路のうち外部に接続される流路75r、75h及び75p(その全部又は加圧装置2A側の一部)は、その先端に不図示の継手を有していてもよい。また、これらの流路には、手動で開閉されるコックが設けられていてもよい。コックは、上記の継手を兼ねていてもよいし、兼ねていなくてもよい。
また、加圧装置2Aが、後付けが可能若しくは容易な構成である場合において(あるいはそうでない場合においても)、図4に示すように、制御装置5は、ダイカストマシン1の加圧装置2A以外の構成要素(例えば型締装置7及び射出装置9)を制御するための第1制御部5aと、加圧装置2Aを制御するための第2制御部5bとを有していてよい。第2制御部5bは、例えば、第1制御部5aとの間で信号を入力及び/又は出力することによって、ダイカストマシン1の加圧装置2A以外の構成要素と同期して、加圧装置2Aの各部(ACC側バルブ63A等)を制御する。第2制御部5bは、加圧装置2Aの一部である。第2制御部5bは、加圧装置2Aの液圧回路とともに前段落で述べた不図示の基台に載置されていてもよいし、載置されていなくてもよい。
加圧装置2Aが後付けされるものである場合において、加圧装置2Aは、可搬が容易化されていてよい。例えば、既述のように、加圧装置2Aの少なくとも液圧回路が不図示の基台に纏められている態様において、図5に模式的に示すように、基台(加圧装置2A)を支持するキャスター95が設けられてよい。
特に図示しないが、加圧装置2Aは、メンテナンス用の流路及び/又はバルブを有していてもよい。例えば、ロッド側室45rとヘッド側室45hとを接続する流路と、当該流路を開閉するバルブとを有していてもよい。バルブは、手動で開閉されるコックによって構成されてよい。成形サイクルが行われているときは、上記バルブは閉じられている。メンテナンスのときには、上記バルブが開かれ、作動液が循環される。これにより、加圧シリンダ43からエアー抜きがなされる。ひいては、加圧シリンダ43の動作が安定する。
(8.射出及び局部加圧に係る動作の例)
図9は、射出及び局部加圧に係る動作を説明するための図である。
図9において、横軸は時間tを示しており、右側ほど後の時点となっている。左の縦軸は速度Vを示しており、上側ほど高速である。右の縦軸は圧力Pを示しており、上側ほど高圧である。
線LVは、射出速度(プランジャ21の速度)の経時変化を示している。線LPは、射出圧力の経時変化を示している。ここでは、射出圧力は、プランジャ21が溶湯に付与する圧力であるものとする。線LSは、加圧部材41が溶湯に付与する圧力(別の観点では溶湯が加圧部材41に付与する圧力)の経時変化を示している。なお、線LV、LP及びLSによって示される速度又は圧力は、目標値を示していると捉えられてもよいし、実際の値を示していると捉えられてもよい。また、これらの線で示される波形は一例に過ぎない。
ダイカストマシン1は、例えば、低速射出(時点t0~t1)、高速射出(時点t1~t2)、並びに増圧及び保圧(時点t2~)を順に行う。すなわち、ダイカストマシン1は、線LVによって示されているように、射出の初期段階においては、溶湯の空気の巻き込みを防止する等の観点から比較的低速(速度VL)でプランジャ21を前進させる低速射出を行う。次に、ダイカストマシン1は、線LVで示されているように、溶湯の凝固に遅れずに溶湯を充填するため等の観点から比較的高速(速度VH)でプランジャ21を前進させる高速射出を行う。次に、ダイカストマシン1は、線LPによって示されているように、ひけ巣をなくす等の観点から、製品部107a内の溶湯を上昇させる増圧を行う。その後、線LPによって示されているように、ダイカストマシン1は、増圧によって得られた鋳造圧力Pc(終圧)を維持する保圧を行う。
射出圧力は、低速射出(時点t0~t1)では、比較的低圧となっている。なお、図9では、便宜上、低速射出中の射出圧力については、極めて小さいものとして図示が省略されている。その後、高速射出が開始されると(時点t1)、射出圧力は上昇する。さらに、溶湯の充填が概ね完了すると(時点t2)、溶湯が行き場を失うことから、射出圧力は急激に上昇する。その後、射出圧力は鋳造圧力Pcに至る。
溶湯の充填が概ね完了すると(時点t2)、溶湯が加圧部材41の位置に到達する。そして、図2(a)、図2(b)及び図6を参照して説明したように、加圧部材41は、溶湯に押されて後退する。このとき、線LSで示すように、加圧部材41が溶湯に付与する圧力が上昇していく。そして、加圧部材41が溶湯に付与する圧力は、第1アキュムレータ65Aが加圧シリンダ43に付与する第1圧力P1に対応する圧力P1aに到達する(時点t3)。
時点t3では、図3(a)、図3(b)及び図7を参照して説明したように、加圧シリンダ43に付与される圧力が第2アキュムレータ65Bの第2圧力P2に切り換えられる。これにより、線LSで示すように、加圧部材41が溶湯に付与する圧力が更に上昇していく。そして、当該圧力は、第2圧力P2に対応する圧力である鋳造圧力Pcに到達する。その後、加圧装置2Aによる保圧が行われる。
時点t3における圧力P1aは、図5を参照して説明した第1アキュムレータ65Aの圧力の調整によって調整可能である。図9では、圧力P1aを調整可能であることを点線及び矢印a1によって示している。
加圧装置2Aによる鋳造圧力Pcは、図8を参照して説明した第2アキュムレータ65Bの圧力の調整によって調整可能である。図9では、鋳造圧力Pcを調整可能であることを点線及び矢印a2によって示している。
これまでの説明では、プランジャ21が最終的に溶湯に付与する圧力(圧力Peとする。)と、加圧部材41が最終的に溶湯に付与する圧力(圧力P2aとする。)とが同等であるものとして、両者を纏めて鋳造圧力Pcと称した。ただし、両者は異なっていてもよい。
例えば、圧力P2aは、圧力Peよりも高くてもよい。この場合において、圧力P2aは、オペレータによって不図示の入力装置を介して設定された鋳造圧力Pc(設定値)と同等とされ、圧力Peは、鋳造圧力Pc(設定値)よりも低くされてよい。すなわち、鋳造圧力Pcは、プランジャ21ではなく、加圧部材41によって実現されてよい。あるいは上記とは異なり、圧力Peが鋳造圧力Pc(設定値)と同等とされ、圧力P2aが鋳造圧力Pc(設定値)よりも高くされてもよい。また、圧力Peが鋳造圧力Pc(設定値)よりも小さく、圧力P2aが鋳造圧力Pc(設定値)よりも高くされてもよい。
圧力P2aによって鋳造圧力Pcを実現するということは、プランジャ21による射出圧力(圧力Pe)を低くできるということである。これにより、例えば、サージ圧が発生する蓋然性を低減したり、サージ圧に起因するバリを低減したりできる。また、射出装置9の構成を簡素化したり、動作を簡素化したりできる。例えば、射出シリンダ27を増圧式のものにする必要性が低減される。これらの効果は、加圧部材41及び/又は加圧シリンダ43の数が複数とされることによって更に向上する。
圧力P2aが圧力Peよりも高い場合の両者の差等は任意に設定されてよい。例えば、圧力P2aは、圧力Peの1.1倍以上とされてよい。また、溶湯の凝固によって、溶湯においてパスカルの原理は厳密には成立しなくなる。従って、圧力P2aが圧力Peよりも高くても、その差が大き過ぎない限り、プランジャ21は後退しない。
線LCは、比較例の加圧装置によって加圧シリンダ43に液圧を付与した場合において加圧部材41が溶湯に付与する圧力(局部加圧の圧力)の経時変化を示している。ここでいう比較例に係る加圧装置は、例えば、第1アキュムレータ65Aを有していない。比較例においては、溶湯が加圧部材41に到達する前において、ヘッド側室45hには液圧が付与されておらず、また、加圧部材41は、後退限にて待機している。その後、局部加圧の開始時期(時点t3)が到来すると、第2アキュムレータ65Bからヘッド側室45hへの液圧の付与が開始される。そして、線LCによって示されているように、加圧部材41が溶湯に付与する圧力は、圧力P1aよりも低い圧力(図示の例では略ゼロ)から上昇していく。
従って、実施形態(線LS)では、比較例(線LC)に比較して、時点t3の時点で圧力P1aが実現されていることから、概略、加圧部材41が溶湯に付与する圧力が圧力P1aまで上昇する時間だけ、加圧部材41が溶湯に付与する圧力を早期に上昇させることができる。その結果、溶湯の凝固に遅れずに局部加圧を行うことが容易化され、ひいては、成形品の品質を向上させることができる。
例えば、図9に示すように、所定の品質を確保するために、時点t4において、局部加圧の圧力が圧力Pq以上であることが必要であるものとする。この場合において、点PtC及びPtSによって示されているように、比較例(線LC)においては、時点t4において圧力Pqを実現できないところ、実施形態(線LS)においては、時点t4において圧力Pqを実現できるという事態が生じ得る。
なお、溶湯が加圧部材41に到達した後の加圧部材41の前進開始時点(局部加圧の開始時点)は、時点t3よりも後の時点とされても構わない。図9では、そのようなタイムラグが意図的に設けられてもよいことが、線LSを図の右側にシフトさせた線LS′と、矢印a3とで示されている。
(9.射出及び局部加圧に係る制御の例)
図10は、これまでに説明した動作を実現するために制御装置5が実行する処理の手順の一例の概要を示すフローチャートである。
ステップST1では、制御装置5は、ユーザの入力操作等に基づいて、種々の成形条件に関する初期設定を行う。この初期設定において設定される条件としては、例えば、図9において示した射出速度(線LV)、射出圧力(線LP)、及び局部加圧の圧力(線LS)の、適宜な時点における値が挙げられる。これらの値には、例えば、圧力P1a及び鋳造圧力Pcが含まれてよい。局部加圧の目標圧力である圧力P2aが、オペレータが不図示の入力装置を介して設定する鋳造圧力Pcと異なる場合、圧力P2aは、オペレータによって不図示の入力装置を介して設定されてもよいし、鋳造圧力Pc等に基づいて制御装置5が設定してもよい。
ステップST2では、制御装置5は、射出の開始条件が満たされたか否か判定する。開始条件は、例えば、固定型103及び移動型105の型締が終了し、溶湯がスリーブ19に供給されたことを示す情報が得られたことなどとされてよい。そして、制御装置5は、開始条件が満たされるまで待機して(ステップST2を繰り返し)、開始条件が満たされたと判定すると、ステップST3及びST6に進む。
ステップST3~ST5は、射出装置9による射出に係る処理の手順を示している。一方、ステップST6~ST8は、加圧装置2Aによる局部加圧に係る処理の手順を示している。これらの処理は、例えば、少なくとも一部が並行して行われる。
ステップST3では、制御装置5は、プランジャ21を前進させるように射出装置9の駆動部23を制御する。例えば、制御装置5は、射出シリンダ27のヘッド側室31hへ作動液が供給されるように射出装置9の液圧装置(不図示)を制御する。これにより、低速射出及び高速射出が行われる。
ステップST4では、制御装置5は、射出圧力が充填完了時の目標値である圧力Peに到達したか否か判定する。そして、制御装置5は、否定判定のときは待機し(高速射出を継続し)、肯定判定のときはステップST5に進む。
ステップST5では、制御装置5は、例えば、プランジャ21の前進を停止する。例えば、制御装置5は、ヘッド側室31hへの作動液の供給を停止する。また、このとき、溶湯からの圧力によってプランジャ21が後退しないように、ヘッド側室31hからの作動液の排出を禁止してもよい。あるいは、制御装置5は、プランジャ21の前進を停止する処理は特に行わず、ヘッド側室31hへの作動液の供給を継続してもよい。
ステップST6では、制御装置5は、加圧部材41(加圧ピン)を初期位置(例えば前進限)へ移動させるように加圧装置2Aを制御する。例えば、制御装置5は、図5(及び図8)を参照して説明したように、第1アキュムレータ65Aを加圧シリンダ43のヘッド側室45hに接続するようにACC側バルブ63Aを制御する。なお、このステップは、溶湯が加圧部材41の位置に到達する前に行われる限り、任意のタイミングで行われてよい。例えば、ステップST2の前に行われても構わない。
ステップST7では、制御装置5は、位置センサ89からの信号に基づいて、加圧部材41が溶湯に押されて後退したか否か判定する。そして、制御装置5は、否定判定のときは待機し(ステップST7を繰り返し)、肯定判定のときはステップST8に進む。なお、既述のように、ここでの判定は、加圧部材41が後退したか否かではなく、例えば、加圧部材41の後退量が所定の閾値を超えたか否か、又は加圧部材41が所定の位置まで後退したか否かであってもよい。
ステップST8では、制御装置5は、加圧部材41を前進させるように加圧装置2Aを制御する。例えば、制御装置5は、図7を参照して説明したように、第2アキュムレータ65Bを加圧シリンダ43のヘッド側室45hに接続するようにACC側バルブ63Aを制御する。これにより、局部加圧(別の観点では増圧)が開始される。その後、溶湯が加圧部材41を後方へ押す力と、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力とが釣り合うと、鋳造圧力Pc(圧力P2a)が得られ、また、加圧部材41は停止する。
特に図示しないが、その後、溶湯の凝固に相関する所定の条件(例えば所定時間の経過)が満たされると、制御装置5は、加圧装置2Aによる保圧を終了する。例えば、制御装置5は、図8を参照して説明したように、第2アキュムレータ65Bを加圧シリンダ43のロッド側室45rに接続するとともにヘッド側室45hをタンク77に接続するようにシリンダ側バルブ81を制御する。また、制御装置5は、型開き及びプランジャ21の後退等に係る制御を行う。その後、制御装置5は、所定の終了条件が満たされるまで、ステップST2に戻り、射出サイクル(成形サイクル)を繰り返してよい。
図10においてステップST4とステップST7とを結ぶ矢印で示すように、ステップST4において肯定判定がなされることは、ステップST7を実行する前提条件とされてよい。別の観点では、制御装置5は、プランジャ21が溶湯に付与する圧力が所定の圧力(図示の例では最終的な圧力Pe)に到達したことを必要条件として、加圧部材41の前進を開始するように加圧装置2Aを制御してよい。
この場合、例えば、溶湯の充填が完了していないときに加圧部材41の前進が開始される蓋然性が低下する。その結果、例えば、加圧部材41の後退の検出(ステップST7)の感度を高くすることができる。例えば、制御装置5が位置センサ89の検出値に基づいて加圧部材41が後退したと判定するときの後退量(閾値)を小さくしたり、制御装置5が第1圧力センサ87Aの検出値に基づいて加圧部材41が後退したと判定するときの圧力上昇量(閾値)を小さくしたりできる。この感度の向上は、例えば、溶湯の凝固の進行に起因して、加圧部材41の位置まで射出圧力が伝わりにくい場合に有効である。
複数の加圧部材41及び複数の加圧シリンダ43が設けられている態様においては、ステップST7及びST8は、加圧シリンダ43ごとに互いに独立に行われてよい。これにより、互いに異なる位置に配置されている複数の加圧部材41を、それぞれに適切なタイミングで制御することができる。
(10.第1実施形態のまとめ)
以上のとおり、第1実施形態に係る局部加圧装置2Aは、アキュムレータ61Aと、ACC側バルブ63Aとを有している。アキュムレータ61Aは、第1液室71A及び第2液室71Bを有している。第1液室71A及び第2液室71Bは、局部加圧を行う加圧部材41に連結される加圧シリンダ43の、加圧部材41を型(金型101)の空間107に向かって前進させるときに液圧が付与されるシリンダ室(ヘッド側室45h)に、それぞれ通じ得る。ACC側バルブ63Aは、第1液室71A及び第2液室71Bのヘッド側室45hに対する接続関係を第1状態と第2状態との間で切り換える。第1状態(図5に示されたACC側バルブ63Aの左側の矩形の状態)は、アキュムレータ61Aからヘッド側室45hに第1圧力P1が付与される接続状態である。第2状態(図5に示されたACC側バルブ63Aの右側の矩形の状態)は、アキュムレータ61Aからヘッド側室45hに第2圧力P2が付与される接続状態である。
なお、少なくとも、運用段階(例えば成形サイクルが行われているとき)において、第2圧力P2は第1圧力P1よりも高い。逆にいえば、流通段階においては、既に触れたように、第1圧力P1及び第2圧力P2の大小関係は、必ずしも明確でなくてよい。
また、第1実施形態に係る成形機(型付ダイカストマシンDC又はダイカストマシン1)は、上記の加圧装置2Aと、金型101を保持する型締装置7と、空間107に成形材料(溶湯)を射出する射出装置9と、を有している。
以上の構成により、例えば、第1実施形態の説明の前に図1(a)~図3(b)を参照して説明した効果を得ることが可能となる。具体的には、例えば、局部加圧の開始後、局部加圧の圧力を短時間で目標圧力に近づけることが可能となる。また、サージ圧を加圧部材41の後退によって吸収してバリが発生する蓋然性を低減することが可能となる。
アキュムレータ61Aは、第1アキュムレータ65Aと、第2アキュムレータ65Bとを有してよい。第1アキュムレータ65Aは、第1液室71Aを有してよい。第2アキュムレータ65Bは、第2液室71Bを有してよい。第1状態(第1圧力P1がヘッド側室45hに付与される接続状態)では、第1液室71A及び第2液室71Bのうち第1液室71Aのみがヘッド側室45hに接続されてよい。第2状態(第2圧力P2がヘッド側室45hに付与される接続状態)では、第1液室71A及び第2液室71Bのうち第2液室71Bのみがヘッド側室45hに接続されてよい。
この場合、例えば、後述する第2実施形態との比較から理解されるように、第1圧力P1と第2圧力P2とを個別に設定することが可能である。別の観点では、P2/P1の増圧比を任意に設定することが可能である。その結果、例えば、第1圧力P1によるサージ圧の吸収と、第2圧力P2による局部加圧との双方の効果を向上させることが容易化される。また、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bとして一般的な構成のものを利用することができる。その結果、コスト削減が容易である。
ACC側バルブ63Aは、サーボバルブであってよい。
この場合、例えば、既述のように、ACC側バルブ63Aは、高応答のバルブであるということができる。従って、ヘッド側室45hに接続されるアキュムレータを第1アキュムレータ65Aから第2アキュムレータ65Bに切り換える動作が高応答で行われる。ひいては、局部加圧開始のトリガが生じてから実際にヘッド側室45hに第2圧力P2の付与が開始されるまでのタイムラグが低減される。その結果、局部加圧の圧力を短時間で目標圧力に近づける効果が向上する。
アキュムレータ61Aは、シリンダ(第1シリンダ67A)と、第1シリンダ67A内を軸方向に摺動可能なピストン(第1ピストン69A)と、を有していてよい。第1液室71Aは、第1シリンダ67Aの内部のうち第1ピストン69Aよりも軸方向の一方側の部分によって構成されていてよい。加圧装置2Aは、第1ピストン69Aの第1シリンダ67Aに対する軸方向における位置を検出するセンサ(位置センサ89。ここでのセンサは、リミットスイッチを含む概念である。)を更に有していてよい。
この場合、例えば、位置センサ89の検出値に基づいて、加圧部材41の移動(例えば後退)及び/又は位置を間接的に検出することができる。その検出結果は、例えば、溶湯に押された加圧部材41の後退(図6)の検出に利用されてよい。位置センサ89が設けられることによって、例えば、加圧部材41及び/又は加圧シリンダ43のピストンロッド49の位置を直接的に検出するセンサ(位置センサ又はリミットスイッチ)を設ける必要性が低減される。位置センサ89は、加圧部材41及び/又はピストンロッド49の位置を直接的に検出するセンサに比較して、耐熱性が低くてもよい。また、位置センサ89は、金型101の交換等に伴って取り付け直す必要性がない。
加圧装置2Aは、アキュムレータ61A及びACC側バルブ63Aを可搬とするキャスター95を更に有していてよい。この場合、後付け式の加圧装置2Aの取り扱い性が向上する。
加圧装置2Aは、ACC側バルブ63Aを制御する制御装置5を更に有していてよい。制御装置5は、金型101の空間107に射出された溶湯が加圧部材41の位置に到達する前に、ACC側バルブ63Aを第1状態(第1圧力P1がヘッド側室45hに付与される接続状態)にする。また、制御装置5は、加圧部材41の位置に到達した溶湯の圧力によって加圧部材41が後退を開始した後に、ACC側バルブ63Aを第1状態から第2状態(第2圧力P2がヘッド側室45hに付与される接続状態)に切り換える。
この場合、例えば、図1(a)~図3(b)を参照して説明した動作が行われる。ひいては、加圧部材41の後退によってサージ圧を吸収したり、局部加圧の圧力を短時間で目標圧力に近づけたりすることができる。なお、流通段階において、制御装置5は、加圧装置2Aに含まれていなくてもよい。すなわち、図1(a)~図3(b)の動作は、制御装置5によって実現されるが、制御装置5は、加圧装置2Aの必須要件とされなくてよい。
加圧装置2Aは、加圧部材41の後退を検出するセンサ(位置センサ89)を更に有していてよい。制御装置5は、位置センサ89による加圧部材41の後退の検出に基づくタイミングで、ACC側バルブ63Aを第1状態(第1圧力P1がヘッド側室45hに付与される接続状態)から第2状態(第2圧力P2がヘッド側室45hに付与される接続状態)に切り換えてよい。
この場合、例えば、加圧部材41の後退を検出することによって、溶湯の加圧部材41への到達及び/又は溶湯の充填完了(以下、一方のみを例に取ることがある。)を検出していることになる。本実施形態に係る加圧装置2Aは、溶湯が加圧部材41に到達する前に、加圧部材41を後退限よりも前方にて待機させていることから、加圧部材41の後退の検出に基づいて、充填完了を検出することができる。従来においては、加圧部材41を後退限にて待機させていることから、本実施形態のように、加圧部材41の後退の検出によって充填完了を検出することはできない。
加圧部材41の後退の検出に基づいて溶湯の充填完了を検出することによる効果は、例えば、以下のとおりである。
実施形態に対する比較例としては、プランジャ21を駆動する駆動部(例えば油圧シリンダ)の駆動力の上昇(換言すればプランジャ21が溶湯109から受ける圧力の上昇)に基づいて加圧部材41の前進開始のタイミングを決定する態様が挙げられる。ただし、射出中に溶湯109の凝固が進むことなどから、プランジャ21の位置における溶湯109の圧力の上昇と、加圧部材41の位置における溶湯109の到達(又は加圧部材41の位置における溶湯109の圧力の上昇)とは必ずしも一致しない。その結果、加圧部材41の前進開始のタイミングは、加圧部材41の位置における溶湯109の状態に対して必ずしも適切なものとはならない。一方、本実施形態では、加圧部材41の位置において、溶湯109の到達を検出できるから、そのような不都合が生じない。
また、他の比較例としては、金型101の適宜な位置に溶湯109の到達を検出するセンサ(例えば圧力センサ、温度センサ又は通電センサ)を設ける態様が挙げられる。しかし、センサの取り付け位置によっては、上記の比較例と同様の不都合が生じる。また、このようなセンサは、溶湯109に接触可能に空間107に露出する位置又はその近傍に設けられる。従って、溶湯109の圧力及び熱に対する耐久性が要求される。しかし、加圧部材41の後退を検出するセンサ(位置センサ89)は、空間107に露出していなくてもよく、また、空間107から比較的離れた位置に配置することもできる。これは、後退を検出するセンサが加圧部材41又はピストンロッド49の後退を直接的に検出するセンサである態様においても同様である。従って、センサに要求される耐久性を下げることができる。さらに、センサが位置センサである態様においては、比較例に係るセンサとは異なり、加圧部材41を前進させるときにフィードバック制御に利用することができる。
制御装置5は、金型101の空間107に射出された溶湯が加圧部材41の位置に到達する前であって、ACC側バルブ63Aを第1状態(第1圧力P1がヘッド側室45hに付与される接続状態)にしているときに、ポンプ79からアキュムレータ61Aに作動液を供給して第1圧力P1を所定の目標圧力に調整するように、ポンプ79とアキュムレータ61Aとの間のバルブ(ポンプ側バルブ83)、及びポンプ79の少なくとも一方を制御してよい。
これにより、例えば、第1圧力P1によって加圧部材41を後退限よりも前方(例えば前進限)にて待機させているときに、第1圧力P1を調整できる(図9の矢印a1参照)。その結果、例えば、射出条件(例えばプランジャ21が溶湯に付与する圧力)に応じて適宜に第1圧力P1を設定し、ひいては、サージ圧を適切に吸収したり、局部加圧の圧力曲線を適切なものとしたりできる。なお、既述のように、従来は、溶湯が加圧部材41の位置に到達する前においては、加圧部材41を後退限にて待機させているから、上記のような動作はなされない。
<第2実施形態>
第2実施形態は、実施形態の概要の説明で述べたように、加圧装置2(図1(a)等)の具体的な構成が第1実施形態と相違する。換言すれば、型付ダイカストマシンDCにおける他の構成は、第1実施形態と同様とされてよい。第2実施形態に係る加圧装置2(加圧装置2の具体例)を加圧装置2Bと称する。加圧装置2Bは、第1実施形態の加圧装置2Aと比較して、主として、アキュムレータ61(図1(a)等)の構成が相違し、これに伴い、アキュムレータ61と他の構成要素(加圧シリンダ43、タンク77及びポンプ79等)とを接続する液圧回路の具体的構成が相違する。例えば、以下のとおりである。
図11は、第2実施形態における局部加圧に係る構成を示す模式図であり、第1実施形態の図5に相当している。
加圧装置2Bは、図1(a)のアキュムレータ61の具体例としてのアキュムレータ61Bと、図1(a)のACC側バルブ63の具体例としてのACC側バルブ63Bとを有している。
アキュムレータ61Bは、シリンダ式のアキュムレータによって構成されており、シリンダ267と、シリンダ267内を軸方向に摺動可能なピストン269と、を有している。シリンダ267は、内径(横断面が円形でない場合は円相当径。他の径についても同様。)が互いに異なる小径シリンダ部267a及び大径シリンダ部267bを有している。大径シリンダ部267bは、小径シリンダ部267aと直列につながっており、小径シリンダ部267aの内径よりも大きい内径を有している。ピストン269は、径が互いに異なる小径ピストン部269a及び大径ピストン部269bを有している。大径ピストン部269bは、小径ピストン部269aと直列につながっており、小径ピストン部269aの径よりも大きな径を有している。
小径ピストン部269aは、小径シリンダ部267a内を軸方向に摺動可能である。大径ピストン部269bは、大径シリンダ部267b内を軸方向に摺動可能である。小径シリンダ部267aの内部のうち、小径ピストン部269aよりも図の下方(大径シリンダ部267bとは反対側)の部分は、図1(a)の第1液室Raの一例としての第1液室271Aを構成している。大径シリンダ部267bの内部のうちの大径ピストン部269bよりも小径シリンダ部267aの側の部分は、図1(a)の第2液室Rbの一例としての第2液室271Bを構成している。大径シリンダ部267bの内部のうち、大径ピストン部269bよりも図の上方(小径シリンダ部267aとは反対側)の部分は、圧縮された気体が封入される気体室273を構成している。
第1圧力P1(図1(a)及び図2(a))を加圧シリンダ43のヘッド側室45hに付与するときは、第1液室271A及び第2液室271Bの双方が加圧シリンダ43のヘッド側室45hに接続される。一方、第2圧力P2(図3(a))をヘッド側室45hに付与するときは、第1液室271A及び第2液室271Bの一方(図示の例では後述するように第1液室271A)が加圧シリンダ43のヘッド側室45hに接続され、第1液室271A及び第2液室271Bの他方(図示の例では後述するように第2液室271B)がタンク77に接続される。この切換えは、ACC側バルブ63Bによって行われる。
第1圧力P1が付与されるときの上記接続状態では、ピストン269は、大径ピストン部269bの横断面の面積に相当する受圧面積で、第1液室271A及び第2液室271Bの作動液に圧力を付与する。一方、第2圧力P2が付与されるときの上記接続状態では、ピストン269は、小径ピストン部269aの横断面の面積に相当する受圧面積で、第1液室271Aの作動液に圧力を付与する。従って、パスカルの原理から明らかなように、第2圧力P2は第1圧力P1よりも高くなる。
以上が第2実施形態の第1実施形態との相違点の概要である。以下では、概略、下記の順で加圧装置2Bについて説明する。
11.加圧装置2B
11.1.アキュムレータ
11.2.ACC側バルブ
11.3.加圧装置2Bの構成の具体例
11.4.加圧装置2Bの動作の具体例
12.第2実施形態のまとめ
(11.加圧装置)
(11.1.アキュムレータ)
アキュムレータ61Bは、既述のように、第2圧力P2を付与するとき、第1液室271A及び第2液室271Bの一方の液室をヘッド側室45hに接続する。本実施形態の説明では、便宜上、上記一方の液室が第1液室271Aである態様を例に取る。
アキュムレータ61Bの形式は、既述のように、気体室273に圧縮された気体を有するシリンダ式とされている。ただし、アキュムレータ61Bの形式は、他の形式とすることも可能である。例えば、特に図示しないが、重りに作用する重力がピストン269に対して図の下方に付与される重力式とされたり、ばねの復元力がピストン269に対して図の下方に付与されるばね式とされたりしてもよい。換言すれば、気体室273は設けられなくてもよい。ただし、本実施形態の説明では、シリンダ式を例に取る。
シリンダ267、小径シリンダ部267a、大径シリンダ部267b、ピストン269、小径ピストン部269a及び大径ピストン部269bの具体的な形状及び寸法は任意である。例えば、小径シリンダ部267a及び大径シリンダ部267bの内部空間の形状、並びに、小径ピストン部269a及び大径ピストン部269bの形状は、概略、円柱形状である。第1実施形態のアキュムレータと同様に、気体室273に通じるタンク(例えば気体圧式のアキュムレータ)が設けられていてもよい。
第2圧力P2の第1圧力P1に対する比である増圧比(P2/P1)は、大径ピストン部269bの横断面の面積(Sbとする。)の小径ピストン部269aの横断面の面積(Saとする。)に対する比(Sb/Sa)と同じである。従って、既述のように、第1実施形態のアキュムレータ61Aでは増圧比が可変であるのに対して、本実施形態では、増圧比は固定である。
(11.2.ACC側バルブ)
ACC側バルブ63Bは、例えば、第1液室271A及び第2液室271Bの他方(図示の例では第2液室271B)をヘッド側室45h及びタンク77に対して選択的に接続する。第1液室271A及び第2液室271Bの一方(図示の例では第1液室271A)は、ACC側バルブ63Bを経由せずにヘッド側室45hに接続されている。従って、ACC側バルブ63Bによって、第2液室271Bの接続先がヘッド側室45h及びタンク77の間で切り換えられると、第1液室271A及び第2液室271Bの双方がヘッド側室45hに接続されている状態と、第1液室271Aのみがヘッド側室45hに接続されている状態との間の切換えが行われる。
ACC側バルブ63Bの構成は、上記の切換えが可能である限り、種々の構成とされてよい。図示の例では、ACC側バルブ63Bは、4ポート2位置の切換弁として機能するように構成されている。ただし、4ポートのうち1つは塞がれて使用されていない状態とされている。そして、ACC側バルブ63Bは、図の左側の矩形の状態(位置)では、第2液室271Bから延びる流路275bと、ヘッド側室45hへ向かう流路275cとを接続する。また、ACC側バルブ63Bは、図の右側の矩形の状態(位置)では、流路275bと、タンク77へ延びる流路275eとを接続する。また、図示の例では、ACC側バルブ63Aは、ばねの復元力によって左側の矩形の状態となり、ソレノイドが駆動力を発揮することによって右側の矩形の状態となる。
第1実施形態のACC側バルブ63Aの説明は、矛盾等が生じない限り、ACC側バルブ63Bに援用されてよい。念のために記載すると、ACC側バルブ63Bは、高応答のもの(例えばサーボバルブ)とされてよい。ACC側バルブ63Bは、ソレノイドによって直接的に駆動されてもよいし、ソレノイドとパイロット圧とが順次に作用することによって駆動されてもよい。ACC側バルブ63Bは、2つのバルブによって構成されるなど、適宜に変形されてよい。
なお、図11では、便宜上、2個所(シリンダ側バルブ81の位置及びACC側バルブ63Bの位置)にタンク77が示されている。実際には、タンク77は、1つであってよい。もちろん、図示のとおり、又は図示とは異なる態様で、2以上のタンク77が存在しても構わない。
(11.3.加圧装置の構成の具体例)
これまでの説明から理解されるように、加圧装置2Bは、アキュムレータ61B、ACC側バルブ63B及び適宜な流路を有している。流路としては、例えば、以下の流路が挙げられる。第1液室271Aとヘッド側室45hとを接続する流路(流路275a、75d及び75h)。第2液室271BとACC側バルブ63Bとを接続する流路275b。ACC側バルブ63Aとヘッド側室45hとを接続する流路(流路275c、75d及び75h)。ACC側バルブ63Aとタンク77とを接続する流路275e。加圧装置2Bは、これらの構成要素を有していれば、図1(a)~図3(b)を参照して説明した動作を実現できる。
加圧装置2Bは、上記の構成要素に加えて、他の付加的な構成要素(流路及びバルブ等)を有していてもよい。これにより、より好適な動作が実現されてよい。以下では、そのような付加的な構成要素を含む加圧装置2Bの構成の一例について述べ、さらに次の節(11.4.加圧装置の動作の具体例)で、そのような構成の一例によって実現される動作の一例について述べる。
加圧装置2Bのうち、流路75dから加圧シリンダ43側の構成(ユニット93)は、第1実施形態における、流路75dから加圧シリンダ43側の構成と同様とされてよい。また、加圧装置2Bのうち、流路75pからポンプ79側の構成は、第1実施形態における、流路75pからポンプ79側の構成と同様とされてよい。
加圧装置2Bは、アキュムレータ61の構成の相違に起因して、第1実施形態の流路と多少なりとも位置付けが異なる流路として、流路275a、流路275b、275c及び275eを有している。流路275b及び275eの接続先については既に述べた。流路275aは、一端が第1液室271Aに接続され、他端が流路75d及び75pに接続されている。流路275cは、一端がACC側バルブ63Bに接続され、他端が流路75pに接続されている。流路275cは、別の観点では、流路275a及び75dに接続されている。流路275cは、図示の例とは異なる位置で、流路275p、275a及び75dに接続されていてもよい。
加圧装置2Bは、流路275eに流量制御弁291を有している。これにより、例えば、第2液室271Bをタンク77に接続するとともに第1液室271Aからヘッド側室45hに第2圧力P2を付与して局部加圧を行うときに、第2液室271Bから排出される作動液の流量を制御して、局部加圧の圧力について所望の曲線を得ることができる。流量制御弁291は、例えば、圧力補償付き流量制御弁及び/又はサーボバルブとされてよい。なお、流量制御弁291は、制御装置5によって制御されるものでなく、手動で流量を設定するものとされてもよい。流量制御弁291は、第1実施形態で述べたメータアウト回路及び/又はメータイン回路(流量制御弁91を含む。)に加えて、又は代えて設けられてよい。
加圧装置2Bは、流路275cに流量制御弁297を有している。この流量制御弁297は、例えば、第1液室271Aの圧力が流路275a及び275cを介してACC側バルブ63Bに付与する負荷を低減することに寄与する。
加圧装置2Bは、第1実施形態と同様に、位置センサ89を有している。第1実施形態では、位置センサ89は、第1アキュムレータ65Aに設けられたが、本実施形態では、アキュムレータ61Bに設けられている。
加圧装置2Bは、気体室273の圧力を検出する圧力センサ99を有している。これにより、例えば、アキュムレータ61Bがヘッド側室45hに付与する圧力を検出できる。なお、圧力センサ99に代えて、又は加えて、第1実施形態と同様に、第1液室271Aの圧力を検出する圧力センサ、及び/又は第2液室271Bの圧力を検出する圧力センサが設けられてもよい。
(11.4.加圧装置の動作の具体例)
以下では、上記の付加的な構成要素を含む加圧装置2Bの構成の一例によって実現される動作の一例を説明する。なお、上記に述べた種々の付加的な構成要素は、下記の動作の一例が実現されるように、適宜に変形されて構わない。
これまでに参照した図11と、図11と同様の模式図である図12~図14は、加圧装置2Bの動作を示している。すなわち、成形サイクルが進行すると、加圧装置2Bの状態は、図11、図12、図13、図14の順に遷移する。そして、成形サイクルの繰り返しによって、図11~図14の状態が繰り返される。図11は、図1(a)及び図1(b)(並びに第1実施形態の図5)の状態に対応している。図12は、図2(a)及び図2(b)(並びに図6)の状態に対応している。図13は、図3(a)及び図3(b)(並びに図7)の状態に対応している。図14は、図13の状態から図11の状態へ戻る途中の状態(図8の状態)に対応している。
以下、下記に示すように、順に説明する。
11.4.1.溶湯が加圧部材41に到達する前の動作(図11)
11.4.2.溶湯が加圧部材41に到達したときの動作(図12)
11.4.3.局部加圧時の動作(図13)
11.4.4.局部加圧後の動作(図14)
(11.4.1.溶湯が加圧部材に到達する前の動作)
図11に示すように、溶湯が加圧部材41に到達する前(例えば射出開始前)において、制御装置5は、ACC側バルブ63Bを図の左側の矩形の状態とする。すなわち、ACC側バルブ63Bは、第2液室271Bからの流路275bと、ヘッド側室45hへ向かう流路275cとを接続する。また、制御装置5は、第1実施形態(図5)と同様に、シリンダ側バルブ81を図の右側の矩形の状態とする。すなわち、シリンダ側バルブ81は、流路75dと、ヘッド側室45hにつながる流路75hとを接続するとともに、ロッド側室45rにつながる流路75rと、タンク77につながる流路75tとを接続する。なお、流路75dは、本実施形態では、流路275aを介して第1液室271Aにつながっているとともに、流路275cを介してACC側バルブ63Bにつながっている。
上記により、第1液室271A及び第2液室271Bの双方からヘッド側室45hに作動液(換言すれば第1圧力P1)が供給されるとともに、ロッド側室45rからタンク77への作動液の排出が許容される。これにより、第1実施形態と同様に、加圧ピストン47が前進し、ひいては、加圧部材41も前進する。そして、加圧部材41は、前進限に至る。前進限に至った加圧部材41は、第1圧力P1と加圧ピストン47のヘッド側室45hにおける受圧面積との積に相当する前方への力が付与された状態で待機する。
第1実施形態と同様に、上記の動作の前、上記の動作が行われているとき、及び/又は上記の動作の後において、ポンプ側バルブ83が開かれ、ポンプ79からアキュムレータ61B及び/又はヘッド側室45hに作動液が供給されてもよい。これにより、アキュムレータ61Bの圧力が調整されてよい。
ただし、このときの作動液は、例えば、第1液室271A及び第2液室271Bの双方に付与される。なお、図示の例では、第1液室271Aにのみ作動液を供給してアキュムレータ61Bを蓄圧することも可能である。また、第2液室271Bのみに作動液を供給してアキュムレータ61Bを蓄圧するように図示の例とは異なる液圧回路を構成することも可能である。ただし、第1液室271A及び第2液室271Bの双方に作動液を付与した方が、ピストン269における作動液に対する受圧面積が大きいから、ポンプ79の負担が軽減される。
また、既に述べたように、本実施形態では、増圧比P2/P1は固定であるから、ここで調整した圧力は、第1圧力P1及び第2圧力P2の双方に影響する。従って、第1実施形態の図5では、第1圧力P1が所定の目標圧力になるように圧力を調整したが、本実施形態では、例えば、第2圧力P2が所定の目標圧力になるように圧力が調整されてよい。換言すれば、オペレータが不図示の入力装置を介して設定した鋳造圧力Pcに対応した圧力P2a(図9参照。P2a=Pcであってもよい。)が得られるように圧力が調整されてよい。
なお、最終的に加圧部材41が溶湯に付与する圧力P2aは、第2圧力P2を溶湯の圧力に換算した圧力よりも小さい任意の値とすることが可能である。例えば、局部加圧を開始した後、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力と、溶湯が加圧部材41を後方へ押す力とが釣り合って停止する前に、第1液室271Aからヘッド側室45hへの液圧の付与を停止してもよい。従って、上記の説明とは異なり、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1圧力P1が所定の目標圧力になるように圧力が調整されても構わない。
第1実施形態と同様に、ポンプ側バルブ83を開く時期は、加圧部材41の前進前、前進中、又は前進限での待機中のいずれであってもよい。制御装置5は、第1実施形態と同様に、アキュムレータ61Bの圧力が所定の目標圧力になったときにポンプ側バルブ83を閉じる。ポンプ側バルブ83を閉じる時期も、第1実施形態と同様に、加圧部材41の前進前、又は前進限での待機中のいずれであってもよい。なお、図11の例では、図5の例とは異なり、制御装置5は、圧力センサ99の検出値に基づいて、アキュムレータ61Bの圧力が目標圧力に到達したか否か判定する。もちろん、図5の例と同様に、適宜な位置における作動液の圧力に基づいて圧力調整がなされてもよい。
第1実施形態と同様に、制御装置5は、加圧部材41が前進限に到達したことを適宜に判定してよい。また、加圧部材41が前進限に到達したとき、第1実施形態の第1ピストン69Aと同様に、ピストン269は、第1液室271A側の駆動限又はその付近に位置していてもよいし、位置していなくてもよい。
(11.4.2.溶湯が加圧部材に到達したときの動作)
図12に示すように、また、第1実施形態(図6)と同様に、射出装置9によって溶湯109が金型101の空間107に射出されると、溶湯109が加圧部材41に到達する。さらに、溶湯109が加圧部材41を後方(図の右側)へ押す力が、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方に押す力を上回ると、加圧部材41及び加圧ピストン47が後退する。これにより、例えば、サージ圧が吸収される。
加圧ピストン47の後退に伴ってヘッド側室45hから排出される作動液は、第1液室271A及び第2液室271Bに流れ込む。そして、アキュムレータ61Bの圧力は上昇する。すなわち、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力は増加する。この増加した力と、溶湯が加圧部材41を後方へ押す力とが釣り合うと、加圧部材41は停止する。ただし、第1実施形態でも言及したように、加圧部材41は後退限に到達してもよいし、加圧部材41が停止する前に前進(局部加圧)が開始されてもよい。
(11.4.3.局部加圧時の動作)
図13に示すように、また、第1実施形態(図7)と同様に、制御装置5は、加圧部材41が後退を開始した後の適宜な時期にACC側バルブ63Bを図の右側の矩形の状態に切り換える。これにより、第2液室271Bの圧抜きが行われ、第1液室271Aの液圧のみがヘッド側室45hに付与される。ひいては、気体室273の圧力(別の観点では第1圧力P1)を増圧した第2圧力P2がヘッド側室45hに付与される。第2圧力P2は、溶湯の圧力に換算した値が、加圧部材41の位置に到達した溶湯の(予想されている)圧力よりも高く設定されている。従って、加圧部材41は、金型101の空間107に向かって前進する。これにより、局部加圧が行われる。
制御装置5がACC側バルブ63Bを切り換えるタイミングは、第1実施形態と同様に、適宜な条件に基づいてよい。念のために記載すると、上記条件は、加圧部材41の後退が検出されたことであってもよいし、他の事象が生じたことであってもよい。
局部加圧開始後、第1実施形態と同様に、加圧部材41は、例えば、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方へ押す力と、溶湯が加圧ピストン47を後方へ押す力とが釣り合う位置で停止する。当該位置は、加圧部材41(加圧ピストン47)の前進限よりも手前(後方)である。これにより、加圧部材41付近において、溶湯は、第2圧力P2に応じた圧力で加圧される。この状態は、後に図14を参照して説明する動作が開始されるまで維持される。すなわち、保圧が行われる。なお、第1実施形態でも述べたように、加圧部材41が上記の釣り合いの位置に到達する前に溶湯に付与する圧力の増加を停止してもよい。
(11.4.4.局部加圧後の動作)
図14に示すように、制御装置5は、溶湯が凝固すると、局部加圧(保圧)を終了する。具体的には、図示の例では、制御装置5は、第1実施形態(図8)と同様に、シリンダ側バルブ81を図の左側の矩形の状態に切り換える。これにより、ヘッド側室45hはタンク77に接続され、ロッド側室45rはアキュムレータ61Bに接続される。従って、ロッド側室45rに作動液が供給され、加圧ピストン47は、ヘッド側室45hの作動液をタンク77に押し出しながら後退する。ひいては、加圧部材41も後退する。
また、図示の例では、制御装置5は、ACC側バルブ63Bを図の左側の矩形の状態に切り換える。この切換えは、上記のシリンダ側バルブ81の切換前、切換えと同時及び切換え後のいずれにおいて行われてもよい。別の観点では、加圧ピストン47の後退は、第1圧力及び第2圧力P2のいずれによって行われてもよい。
また、図示の例では、制御装置5は、第1実施形態と同様に、ポンプ側バルブ83を開く(図の右側の矩形の状態に切り換える。)。これにより、ポンプ79から作動液がアキュムレータ61Bに供給される。ひいては、図11を参照して説明したアキュムレータ61Bの圧力の調整が行われる。なお、ポンプ側バルブ83を開く時期は、例えば、シリンダ側バルブ81を図の左側の矩形の状態に切り換えた後である。ただし、前者の時期は、後者の切換えと同時又は前とすることも可能である。また、ポンプ側バルブ83を開く時期は、例えば、ACC側バルブ63Bを図の左側の矩形の状態に切り換えた後である。ただし、前者の時期は、後者の切換えと同時又は前とすることも可能である。
(12.第2実施形態のまとめ)
以上のとおり、第2実施形態に係る局部加圧装置2Bは、アキュムレータ61Bと、ACC側バルブ63Bとを有している。アキュムレータ61Bは、第1液室271A及び第2液室271Bを有している。第1液室271A及び第2液室271Bは、局部加圧を行う加圧部材41に連結される加圧シリンダ43の、加圧部材41を型(金型101)の空間107に向かって前進させるときに液圧が付与されるシリンダ室(ヘッド側室45h)に、それぞれ通じ得る。ACC側バルブ63Bは、第1液室271A及び第2液室271Bのヘッド側室45hに対する接続関係を第1状態と第2状態との間で切り換える。第1状態(図11に示されたACC側バルブ63Bの左側の矩形の状態)は、アキュムレータ61Bからヘッド側室45hに第1圧力P1が付与される接続状態である。第2状態(図11に示されたACC側バルブ63Bの右側の矩形の状態)は、アキュムレータ61Bからヘッド側室45hに第2圧力P2が付与される接続状態である。
従って、第2実施形態においても、これまでに述べた実施形態の効果が奏される。具体的には、例えば、局部加圧の開始後、局部加圧の圧力を短時間で目標圧力に近づけることが可能となる。また、サージ圧を加圧部材41の後退によって吸収してバリが発生する蓋然性を低減することが可能となる。
アキュムレータ61Bは、シリンダ267と、シリンダ267内を軸方向に摺動可能なピストン269と、を有してよい。シリンダ267は、小径シリンダ部267a及び大径シリンダ部267bを有してよい。大径シリンダ部267bは、小径シリンダ部267aと直列につながっていてよく、小径シリンダ部267aの内径よりも大きい内径を有していてよい。ピストン269は、小径ピストン部269a及び大径ピストン部269bを有していてよい。小径ピストン部269aは、小径シリンダ部267a内を摺動してよい。大径ピストン部269bは、小径ピストン部269aと直列につながっていてよく、大径シリンダ部267b内を摺動してよい。第1液室271Aは、小径シリンダ部267aの内部のうちの小径ピストン部269aよりも大径シリンダ部267bとは反対側の部分によって構成されていてよい。第2液室271Bは、大径シリンダ部267bの内部のうちの大径ピストン部269bよりも小径シリンダ部267aの側の部分によって構成されていてよい。第1状態(第1圧力P1をヘッド側室45hに付与する接続状態)では、第1液室271A及び第2液室271Bの双方がヘッド側室45hに接続されてよい。第2状態(第2圧力P2をヘッド側室45hに付与する接続状態)では、第1液室271A及び第2液室271Bの一方(第1液室271A)がヘッド側室45hに接続され、他方(第2液室271B)がタンク77に接続されてよい。
この場合、例えば、1つのシリンダ267及び1つのピストン269によって、第1圧力P1及び第1圧力P1よりも高い第2圧力P2をヘッド側室45hに付与することができる。また、別の観点では、第1液室271Aは、第1圧力P1の付与と、第2圧力P2の付与との双方に寄与し得る。従って、例えば、アキュムレータ61Bの小型化が容易である。
<13.変形例>
既に述べたように、実施形態に係る加圧装置2の動作を実現するための液圧回路は種々可能であり、適宜に変形されてよい。以下では、下記のごとく、加圧装置2の液圧回路の変形例について説明する。なお、便宜上、第1実施形態の加圧装置2Aの構成に対して変形を施した構成を図示する。ただし、ここで述べる変形例は、適宜に第2実施形態に適用されて構わない。また、変形例の説明では、図1(a)等で用いた符号を用いることもある。
13.1.第1変形例
13.2.第2変形例
13.3.第3変形例
(13.1.第1変形例)
図15は、第1変形例に係る加圧装置2Aaの構成を示す模式図である。この図は、第1実施形態の図5に対応している。
加圧装置2Aaの加圧装置2Aに対する相違点は、以下の3点である。
13.1.1.シリンダ側バルブ81がシリンダ側バルブ81Aになっている点。
13.1.2.バイパス流路75f及び逆止弁86が追加されている点。
13.1.3.タンク側バルブ84が追加されている点。
以下、上記の相違点について順に説明する。
(13.1.1.シリンダ側バルブ)
シリンダ側バルブ81Aは、基本的には、シリンダ側バルブ81と同様のものである。すなわち、シリンダ側バルブ81Aは、4ポート2位置の切換弁によって構成されている。シリンダ側バルブ81Aにおける図15の上方の矩形の状態は、シリンダ側バルブ81における図5の右側の矩形の状態に相当する。図15の下方の矩形の状態は、図5の左側の矩形の状態に対応する。すなわち、矩形内の記号の相違は、図示の都合上のものに過ぎない。
従って、シリンダ側バルブ81Aは、図15の上方の矩形の状態では、流路75r(ロッド側室45r)と流路75t(タンク77)とを接続するとともに、流路75h(ヘッド側室45h)と流路75d(アキュムレータ61A等)とを接続する。また、シリンダ側バルブ81Aは、図15の下方の矩形の状態では、流路75rと流路75dとを接続するとともに、流路75hと流路75tとを接続する。
ただし、シリンダ側バルブ81は、ソレノイドが駆動されていないときに図5の右側の矩形の状態(図15の上方の矩形の状態)とされる構成であるのに対して、シリンダ側バルブ81Aは、シリンダ側バルブ81とは逆に、ソレノイドが駆動されていないときに図15の下方の矩形の状態(図5の左側の矩形の状態)とされる構成とされている。この例から理解されるように、シリンダ側バルブ(又は他のバルブ)において、ソレノイドの駆動とバルブの状態(位置)との関係は、実施形態における説明とは逆であっても構わない。
(13.1.2.バイパス流路及び逆止弁)
バイパス流路75fは、シリンダ側バルブ81Aをバイパスしてアキュムレータ61Aとヘッド側室45hとを接続可能に設けられている。具体的には、例えば、バイパス流路75fは、流路75d(別の観点では流路75c)に接続されているとともに流路75hに接続されている。逆止弁86は、バイパス流路75fに設けられており、流路75d(別の観点ではアキュムレータ61A及びポンプ79)からヘッド側室45hへの作動液の流れを禁止し、その逆側の流れを許容する。
従って、例えば、溶湯からの力によって加圧部材41が後退するときに、ヘッド側室45hから排出される作動液は、シリンダ側バルブ81Aを介してアキュムレータ61Aへ流れるだけでなく、バイパス流路75fを介してアキュムレータ61Aへ流れる。これにより、例えば、速やかに加圧部材41を後退させることができ、サージ圧を吸収する効果を向上させることができる。
また、例えば、バイパス流路75fに逆止弁86が設けられていることから、ヘッド側室45hへの意図されていない流れが禁止される。例えば、図8を参照して説明したように、加圧装置2Aaにおいては、シリンダ側バルブ81Aを図の下方の矩形の状態に切り換えて、アキュムレータ61A及び/又はポンプ79からロッド側室45rへ作動液を供給し、加圧ピストン47を後退させてよい。このとき、アキュムレータ61A及び/又はポンプ79からの作動液がバイパス流路75fを介してヘッド側室45hへ流れることが逆止弁86によって禁止される。
なお、バイパス流路75f及び逆止弁86は、例えば、加圧シリンダ43毎に設けられてよい。換言すれば、各ユニット93は、バイパス流路75f及び逆止弁86を有してよい。また、これまでの説明から、バイパス流路75f及び逆止弁86が第2実施形態の加圧装置2Bにも適用可能であることは明らかである。
(13.1.3.タンク側バルブ)
タンク側バルブ84は、シリンダ側バルブ81Aとタンク77とを接続する流路75tに位置しており、流路75tを開閉する。その具体的な構成は任意である。図示の例では、タンク側バルブ84は、2ポート2位置の切換弁によって構成されている。そして、タンク側バルブ84は、図の左側の矩形の状態(位置)では開かれ、図の右側の矩形の状態(位置)では閉じられる。また、図示の例では、タンク側バルブ84は、ばねの復元力によって図の左側の矩形の状態となり、ソレノイドが駆動力を発揮することによって図の右側の矩形の状態となる。
タンク側バルブ84は、例えば、以下のように利用されてよい。
タンク側バルブ84は、少なくとも溶湯が加圧部材41に到達する前に開かれている。なお、タンク側バルブ84は、例えば、下記に述べる閉じられる期間(局部加圧に係る保圧の期間)を除いて、基本的に開かれていてよい。タンク側バルブ84が開かれているときの加圧装置2Aaの動作は、加圧装置2Aの動作と同様である。
アキュムレータ61からヘッド側室45hへの作動液の供給が開始されるときもタンク側バルブ84は開かれている。従って、タンク側バルブ84は、加圧ピストン47の前進に伴うロッド側室45hからタンク77への作動液の排出を許容する。これにより、加圧部材41が前進を開始して、局部加圧が開始される。
その後、制御装置5は、適宜な保圧開始条件が満たされると、タンク側バルブ84を閉じてロッド側室45hからタンク77への作動液の排出を禁止する。その結果、加圧部材41は、溶湯が加圧部材41を後方へ押す力と、ロッド側室45rの作動液が加圧ピストン47を後方に押す力と、ヘッド側室45hの作動液が加圧ピストン47を前方に押す力とが釣り合う位置で停止する。これにより、局部加圧の最終的な圧力P2a(図9)を所望の大きさにすることができる。
上記の保圧開始条件は適宜に設定されてよい。例えば、保圧開始条件は、加圧部材41が溶湯に付与する圧力が所定の閾値まで上昇したこととされてよい。この場合、加圧部材41が溶湯に付与する圧力は、例えば、ヘッド側室45hの検出圧力(必要に応じてロッド側室45rの検出圧力)に基づいて特定されてよい。なお、ここでのヘッド側室45hの検出圧力は、アキュムレータ61の圧力と同等と扱われる理論上の圧力ではなく、実際のヘッド側室45hの圧力であり、図示の例の第2圧力センサ87Bによって検出されてもよいが、第2圧力センサ87Bよりもヘッド側室45hに近い位置(例えばシリンダ側バルブ81Aよりもヘッド側室45h側の位置)において検出されてもよい。また、保圧開始条件は、加圧部材41が所定の位置まで前進したことが検出されたこととされてもよい。
(13.2.第2変形例)
図16は、第2変形例に係る加圧装置2Abの構成を示す模式図である。この図は、第1実施形態の図5に対応している。
加圧装置2Abは、上記の第1変形例に係る加圧装置2Aaに対して、逆止弁86に代えてロジック弁86Aが設けられている点が相違する。ロジック弁86Aは、逆止弁86と同様に、流路75d(別の観点ではアキュムレータ61A及びポンプ79)から流路75h(別の観点ではヘッド側室45h)への作動液の流れを禁止し、その逆側の流れを許容する。ただし、ロジック弁86Aは、流路75rを介してロッド側室45rの圧力がパイロット圧力として導入されている。そして、ロジック弁86Aは、ヘッド側室45hからの圧力がロッド側室45rからの圧力に対して所定の圧力差以上で大きくなったときに開かれる。
従って、例えば、加圧シリンダ43によってサージ圧を吸収するときに、溶湯によって加圧部材41に付与される圧力が急激に上昇するときは、ロジック弁86Aが開かれる。これにより、第1変形例と同様に、ヘッド側室45hの作動液は、シリンダ側バルブ81Aを介してアキュムレータ61Aに流れるだけでなく、バイパス流路75fを介してアキュムレータ61Aへ流れる。一方、溶湯によって加圧部材41に付与される圧力の上昇が緩慢なときは、ロジック弁86Aは閉じられる。このような動作によって、例えば、ロジック弁86Aが開かれてサージ圧が適切に吸収されるとともに、その後に(あるいは当初から急激な圧力上昇が生じていない場合に)、必要以上に溶湯の圧力を吸収する蓋然性が低減される。
なお、以上の説明から理解されるように、ロジック弁86Aは、逆止弁の一種として捉えられてもよい。また、ロジック弁86Aは、上記のような機能を果たす限り、他の形式の弁によって構成されていてもよい(ロジック弁でなくてもよい。)。
(13.3.第3変形例)
図17は、第3変形例に係る加圧装置2Acの構成を示す模式図である。この図は、第1実施形態の図5に対応している。
加圧装置2Acは、上記の第2変形例に係る加圧装置2Abに対して、以下の2点が相違する。
13.3.1.ACC側バルブ63Aに代えてACC側バルブ63Aaが設けられている点
13.3.2.シリンダ側バルブ81Aに代えてシリンダ側バルブ81Bが設けられている点
(13.3.1.ACC側バルブ)
ACC側バルブ63が種々の構成とされてよいことは第1実施形態の説明等においても述べたとおりである。図17に例示するACC側バルブ63Aaは、その種々の構成の一例である。
ACC側バルブ63Aaは、4ポート3位置の切換弁として構成されている。ただし、1つのポートは塞がれて未使用状態とされている。各位置における接続関係については、次に述べるとおりである。
ACC側バルブ63Aaにおける図17の中央の矩形の状態(位置)は、第1実施形態のACC側バルブ63Aでは明示されていなかった状態である。この状態では、ACC側バルブ63Aaは、第1アキュムレータ65A及び第2アキュムレータ65Bの双方と流路75c(別の観点では加圧シリンダ43)とを遮断する。ACC側バルブ63Aaにおける図17の左側の矩形の状態は、ACC側バルブ63Aにおける図5の左側の矩形の状態に対応する。すなわち、この状態では、第1アキュムレータ65Aと流路75cとが接続される。ACC側バルブ63Aaにおける図17の右側の矩形の状態は、ACC側バルブ63Aの図5の右側の矩形の状態に対応する。すなわち、この状態では、第2アキュムレータ65Bと流路75cとが接続される。
第1実施形態の説明で述べたように、ACC側バルブ63は、流路75a、75b及び75cに接続されるパイロット式のメインバルブと、ソレノイドによって駆動されてメインバルブへのパイロット圧の導入を制御するパイロットバルブとを有してよい。図17に示すACC側バルブ63Aaは、そのような構成を有するバルブとして描かれている。また、図示の例では、ACC側バルブ63Aaは、駆動されていないとき、図の中央の矩形の状態となるように構成されている。
ACC側バルブ63Aaの動作は、基本的に、ACC側バルブ63Aの動作と同様とされてよい。ただし、ACC側バルブ63Aaの図17の中央の矩形の状態(閉状態)が適宜に利用されてよい。例えば、図8を参照して説明した動作においては、ACC側バルブ63Aaを閉じた状態でポンプ79からの作動液の供給によって加圧ピストン47を後退させてよい。この場合、第2アキュムレータ65Bの蓄圧は、加圧ピストン47の後退の前及び/又は後に行われてよい。
(13.3.2.シリンダ側バルブ)
シリンダ側バルブ81が種々の構成とされてよいことは第1実施形態の説明等においても述べたとおりである。図17に例示するシリンダ側バルブ81Bは、その種々の構成の一例である。
シリンダ側バルブ81Bは、4ポート3位置の切換弁として構成されている。各位置における接続関係については、次に述べるとおりである。
シリンダ側バルブ81Bにおける図17の中央の矩形の状態(位置)は、第1変形例に係るシリンダ側バルブ81A(図15)にはなかった状態である。この状態では、シリンダ側バルブ81Bは、流路75r(ロッド側室45r)及び流路75h(ヘッド側室45h)の双方を流路75t(タンク77)に接続する。シリンダ側バルブ81Bにおける図17の上方の矩形の状態は、シリンダ側バルブ81Aにおける図15の上方の矩形の状態に対応する。シリンダ側バルブ81Bにおける図17の下方の矩形の状態は、シリンダ側バルブ81Aの図15の下方の矩形の状態に対応する。
シリンダ側バルブ81Bは、例えば、シリンダ側バルブ81(81A)と同様に、ソレノイドによって駆動される。ただし、図示の例では、ACC側バルブ63Aaは、駆動されていないとき、図の中央の矩形の状態となるように構成されている。
シリンダ側バルブ81Bの動作は、基本的に、シリンダ側バルブ81の動作と同様とされてよい。ただし、シリンダ側バルブ81Bの図17の中央の矩形の状態が適宜に利用されてよい。例えば、図8を参照して説明した加圧ピストン47の後退後、図5を参照して説明した加圧ピストン47の前進への移行前において、シリンダ側バルブ81Bが図17の中央の矩形の状態とされてよい。
本発明は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、樹脂を成形する射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、縦型締横射出、横型締縦射出であってもよい。ダイカストマシンは、コールドチャンバマシンに限定されず、例えば、ホットチャンバマシンであってもよい。
射出は、低速射出及び高速射出を含むものに限定されず、例えば、低速で層流充填を行うものであってもよい。局部加圧のための加圧部材は、成形材料が凝固して構成された成形品を型から押し出すための押出ピンと兼用されるものであってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
加圧部材は、加圧シリンダの駆動力に加えて、他の力が付与されてもよい。例えば、加圧部材は、電動機の駆動力及び/又は弾性部材(例えば、ばね)の復元力が付与されてもよい。より詳細には、例えば、加圧部材の後退に伴って復元力が増加する弾性部材が設けられてもよい。このような弾性部材は、例えば、サージ圧の吸収及び/又は局部加圧に必要な力を増加することに寄与し得る。また、例えば、加圧部材が前進したとき加圧部材を後方へ押す復元力を生じる(又は増加させる)弾性部材が設けられてもよい。このような弾性部材は、例えば、溶湯が加圧部材に到達する前に加圧部材を前進させるとき(図1(a))に、前進限手前で加圧部材を減速させて衝撃を緩和することに寄与する。なお、このような弾性部材が設けられている場合、加圧部材は、第1圧力P1が加圧シリンダに付与されているとき(図1(a))に前進限と後退限との間の待機位置で待機し得る。また、第2圧力P2が加圧シリンダに付与されて前進した後(図3(a))、上記の待機位置に対して、前方、同じ位置、又は後方で停止し得る。
2以上の圧力を付与するアキュムレータは、実施形態の説明で示した以外の態様も可能である。特に図示しないが、以下に一例を挙げる。なお、以下の説明では、実施形態と同様に、アキュムレータの軸方向が上下方向で、下方から作動液が放出されるものとする。第1シリンダと、第1シリンダに対して直列かつ上方に離れて配置される第2シリンダと、第1シリンダを摺動する第1ピストンと、第2シリンダを摺動する第2ピストンと、第1ピストンと第2ピストンとを連結するロッドとを設ける。第1シリンダのうち、第1ピストンよりも下方を第1液室とする。第2シリンダのうち第2ピストンよりも下方を第2液室とする。第1シリンダのうち、第1ピストンよりも上方(第1液室と第2液室との間)は、第2液室と通じておらず、常に一定圧力とされている(例えば、常にタンクに接続され、又は常に大気開放されている)。第2シリンダのうち、第2ピストンよりも上方を気体室とする。このような構成では、第2実施形態と同様に、第1液室及び第2液室の双方を加圧シリンダに接続することによって第1圧力を加圧シリンダに付与し、第1液室及び第2液室の一方を加圧シリンダに接続し、第1液室及び第2液室の他方をタンクに接続することによって第2圧力を加圧シリンダに付与できる。