JP2003112248A - ダイカストマシンの射出方法 - Google Patents

ダイカストマシンの射出方法

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JP2003112248A JP2001308328A JP2001308328A JP2003112248A JP 2003112248 A JP2003112248 A JP 2003112248A JP 2001308328 A JP2001308328 A JP 2001308328A JP 2001308328 A JP2001308328 A JP 2001308328A JP 2003112248 A JP2003112248 A JP 2003112248A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速射出に適した設置スペースが
少なくて良いダイカストマシンの射出方法を提供する。 【解決手段】 射出ピストンにより溶湯を金型キ
ャビティへ射出充填する充填工程中に該射出ピストンの
ヘッド側へ蓄圧された作動油を供給する充填用アキュム
レータと充填工程完了後に該射出ピストンのヘッド側へ
蓄圧された高圧の作動油を供給する増圧用アキュムレー
タを備えたダイカストマシンの射出方法において、該射
出ピストンのヘッド側とロッド側の面積差を利用して増
圧用アキュムレータに高圧の作動油を蓄圧する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカストマシン
の射出方法に係り、特に射出の高速化による射出ピスト
ンの慣性力増大に起因する問題点、特に射出速度制御の
応答性の低下やピーク圧の増大などの問題点を改善した
ダイカストマシンの射出方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般にダイカストマシンは金型のキャビ
ティに通じるランナ部に射出装置を接続し、給湯装置か
ら供給されて射出スリーブに充填された溶湯をプランジ
ャチップ(射出ピストン)によって押圧し、前記キャビ
ティ内に射出充填するようにしている。射出操作は前記
プランジャチップを後退限位置から、最初一定の低速度
で前進させ、溶湯の注入口通過後、高速移動させ、射出
スリーブ端面までの間隔を若干残して射出充填を完了す
るようになっている。射出ピストンによる射出充填が完
了した後の増圧工程では、射出ピストンの背後に設けた
ブースタ用ピストンのヘッド側とロッド側の面積差によ
り射出ピストンのヘッド側(ブースタ用ピストンのロッ
ド側)油圧が増圧され、所定の高圧力に達する。すなわ
ち、射出充填工程の初期では射出ピストンの低速及び高
速の射出動作はガスボトルにより供給される窒素ガスに
よってアキュムレータ内に蓄圧された圧油によって行わ
れ、射出シリンダのピストンの前進により射出スリーブ
(射出シリンダ)内の溶湯が射出ピストンにより押圧さ
れて金型キャビティ内へ充填される。 【0003】金型キャビティ内が溶湯で満たされると、
射出ピストンのヘッド側圧力が上昇し、シーケンス弁の
設定圧力を越えるとパイロットチェッキ弁が開き、アキ
ュムレータに蓄圧されていた圧油がブースタ用ピストン
のヘッド側へ流入し、ブースタ用ピストンを押圧する結
果、射出シリンダのヘッド側作動油はブースタ用ピスト
ンの面積差により増圧され、所定の押圧力となって、キ
ャビティ内の溶湯は高い押圧力を受けて押湯される。 【0004】一方、ダイカスト成形においては、製品の
薄肉化等により高速射出成形の要望が高くなってきてお
り、射出充填工程の終期においては射出ピストンを高速
で作動させる必要がある。しかしながら、上述の従来の
方法においては、射出ピストンよりもはるかに大きな直
径を有するブースタ用ピストンのヘッド側に多量の作動
油を供給するのに時間がかかり、それまでの圧力から高
い圧力を発生するまでに要する増圧時間を短くすること
が困難であった。また、上記の増圧時間を短くできたと
しても、射出ピストンやブースタ用ピストンを高速で作
動させることにより、ブースタ用ピストンの大きな慣性
力を急激に停止させるため増圧後の初期にピーク圧(サ
ージ圧)が発生し、バリの発生や成形品品質に悪影響を
与えることがあった。 【0005】即ち、射出ピストンを高速化すると、慣性
力は飛躍的に大きくなる。金型キャビティ内に溶湯が充
満すると、高速で運動していた射出ピストンが溶湯を圧
縮するので急激に射出圧力が上昇することになる。この
圧力上昇がブレーキとなって、大きな慣性力を持った射
出ピストンやブースタ用ピストンが急激に停止すること
になる。この時に高い衝撃波(サージ圧)が発生して、
金型キャビティに充填された溶湯が型締力を越えて型開
力として作用し、溶湯が金型分割面の隙間から噴出す
る、いわゆる鋳張りが発生する。 【0006】上記の問題を解決した先行技術として特開
平8−71725号公報に記載のダイカストマシンの射
出装置がある。本公報には、「射出充填工程中に射出シ
リンダのヘッド側に蓄圧された作動油を供給する充填用
アキュムレータと射出充填工程完了後にあらかじめ別に
設置したブースタの作動により蓄圧された高圧の作動油
を供給する増圧用アキュムレータとヘッド側への給油管
途中に速度制御バルブとロッド側とヘッド側とを接続す
るランアラウンド回路とを備えた射出装置により、射出
充填工程完了後の増圧時間を短縮するとともにピーク圧
の発生を防止する」技術が記載されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術においては、別置きのブースタ用ピストンが
必要となり、射出装置が複雑となるとともに設置スペー
スも広くなっていた。本発明は上述した問題点に鑑みな
されたもので、高速射出に適した設置スペースが少なく
て良いダイカストマシンの射出方法を提供することを目
的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明においては上記の
課題を解決するために、射出ピストンにより溶湯を金型
キャビティへ射出充填する充填工程中に該射出ピストン
のヘッド側へ蓄圧された作動油を供給する充填用アキュ
ムレータと充填工程完了後に該射出ピストンのヘッド側
へ蓄圧された高圧の作動油を供給する増圧用アキュムレ
ータを備えたダイカストマシンの射出方法において、該
射出ピストンのヘッド側とロッド側の面積差を利用して
増圧用アキュムレータに高圧の作動油を蓄圧することと
した。 【0009】即ち、前述したサージ圧を小さくするため
に射出ピストンの直径を小さくする場合、加圧面積が減
少した分を作動油の圧力を高くして、射出力を一定に保
つことが必要である。この作動油の圧力を高くする方法
には、 (1)先行技術(特開平8−71725号公報)として
説明したように、ブースタ用ピストンを新たに設ける方
法。 (2)高圧専用の油圧ポンプを新たに設ける方法。 等がある。しかしながら、本発明は上記の方法とは異な
り、射出ピストンをブースタ用ピストンとして利用した
ものである。本発明によれば、鋳造サイクルに影響しな
い射出ピストンのアイドルタイムを有効に利用して、こ
のアイドルタイム中に射出ピストンを作動させて高圧の
作動油を増圧用アキュムレータに補給することができ
る。上述したように、鋳造サイクルに影響がないように
するため、増圧用アキュムレータへの高圧作動油の補給
タイミングや高圧作動油の必要油量の詳細な検討が必要
となる。これらについては、実施例にて説明する。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一
実施形態について説明する。図1は本発明の実施例に係
るダイカストマシン射出装置の概略構成図、図2は本発
明の実施例に係るダイカストマシン射出装置の油圧回路
図である。図1に示すように、本発明においては、射出
シリンダ20のヘッド側Aには窒素ガスを封入したガス
ボンベと連通された充填用アキュムレータ120がパイ
ロットチェッキ弁140および速度制御バルブ130を
経由した給油配管により接続されている。充填用アキュ
ムレータ120への作動油は油圧ポンプ200により所
定の圧力に昇圧されて補給されている。 【0011】一方、速度制御バルブ130には、窒素ガ
スを封入したガスボンベと連通した増圧用アキュムレー
タ110も接続され、増圧用アキュムレータ110内の
作動油は射出シリンダ20のアイドルタイム時に射出ピ
ストン20aを必要ストロークだけ作動させることによ
り、射出ピストン20aのロッド側Bから供給される圧
油により昇圧されるように構成されている。充填用アキ
ュムレータ120及び増圧用アキュムレータ110内の
作動油の射出シリンダヘッド側Aへ至る給油系統には流
量制御弁130が配設され、作動油の流量を制御するこ
とにより射出ピストン20aの速度が制御される。射出
シリンダ20の射出ピストン20aは図示しないプラン
ジャチップと接続されるとともに、ロッド側Bとヘッド
側Aにはランアラウンドチェッキ弁150aを含んだラ
ンアラウンド回路150が接続されている。このランア
ラウンド回路150に図1に示すように電磁切替弁17
0を配設し、パイロットチェッキ弁160を経由して油
タンク190へ連絡するラインと、射出シリンダのアイ
ドルタイム中に増圧用アキュムレータ110高圧油を補
給するラインとを設けている。 【0012】このように構成された油圧回路を有する本
発明による射出装置においては、射出充填工程では充填
用アキュムレータ120に蓄圧された作動油が射出シリ
ンダのヘッド側Aへ供給され、速度制御バルブ130に
より射出ピストン20aは低速度または高速度に制御さ
れながら前進する。この時、射出ピストン20aのロッ
ド側Bの作動油はランアラウンド回路150を経由して
ヘッド側へ流れるから高速時のヘッド側への作動油の補
給が能率よく達成される。射出充填工程が完了して、押
湯のための押圧力増強工程においては、充填用アキュム
レータ120からの給油経路とランアラウンド回路15
0の連通を遮断し、射出シリンダ20のアイドルタイム
中に射出ピストンのヘッド側Aとロッド側Bの面積差を
利用して蓄圧されていた高圧の作動油が増圧用アキュム
レータ110から射出シリンダ20のヘッド側Aへ流
れ、ロッド側Bの作動油は油タンク190へ戻される。 【0013】より詳細に述べれば、射出充填工程では充
填用アキュムレータ120に蓄圧された作動油が射出シ
リンダ20のヘッド側Aに流れる。充填工程中に射出シ
リンダ20の射出ピストン20aの速度は、リミットス
イッチや磁気スケールなどの位置センサからの位置情報
に基づいて速度制御バルブ130によって制御される。
射出ピストン20aの前進中射出シリンダのロッド側B
の作動油はランアラウンド回路150を経由してヘッド
側Aへ移動する。このようにして射出充填工程が終了す
ると、キャビティ内に充填された溶湯に押湯するための
大きな押圧力を加える必要があり、射出シリンダ20の
ヘッド側へ高い圧力の作動油を供給する。一方、上述し
たように射出ピストンのアイドルタイム中に射出ピスト
ンを作動させて高圧の作動油を増圧用アキュムレータに
補給している。この高圧力の作動油を、流量制御弁、速
度制御バルブを経由して射出シリンダのヘッド側へ供給
する。この時、ランアラウンドチェッキ弁を閉止すると
ともにパイロットチェッキ弁を連通してロッド側の作動
油は油タンクへ戻すようにしている。 【0014】以上のように、本発明による油圧回路を有
する射出方法においては、射出充填工程完了後、射出シ
リンダ20のアイドルタイム中に射出ピストンのヘッド
側Aとロッド側Bの面積差を利用して高圧の作動油が蓄
圧されている増圧用アキュムレータによって、高圧の作
動油を射出シリンダ20のヘッド側Aへ供給するととも
に、射出ピストン20aは小口径化されているので必要
油量も少なく、増圧時間も短くできる。更に、従来のよ
うに大きな慣性力を有するブースタピストンを動かすこ
ともなく、作動油のみがヘッド側へ流れるだけであるか
ら、増圧時にピーク圧が発生することも防止できる。 【0015】図2は、本発明による射出方法の油圧回路
図の一つであり、その作動は基本的には図1に示した油
圧回路の動作と同じである。射出充填工程では射出ピス
トン20aを前半には低速で、後半には高速で動かす
が、充填用アキュムレータ120の作動油を速度制御弁
130を通過させて射出シリンダ20のヘッド側Aへ送
る。 【0016】充填工程が完了し、射出シリンダ20のヘ
ッド側Aを増圧する場合には、射出シリンダのヘッド側
の作動油がキャビティへ充填された溶湯の抵抗により、
高圧力となりソレノイドバルブ、シーケンスバルブを介
して伝えられパイロットチェッキ弁が開いて増圧用アキ
ュムレータ110の作動油がヘッド側Aへ供給される。
この供給ラインには、流量制御弁114を設けて流量を
調整することによって増圧時間を制御する。この時、ロ
ッド側Bの作動油はランアラウンド回路へは流れず、シ
ーケンスバルブの働きによりパイロットチェッキ弁を連
通して油タンクへ戻される。また、射出ピストン20a
を後退させるには、電磁弁のソレノイドを励磁して射出
ピストンを後退させるとともに、ヘッド側の作動油を油
タンクへ戻す。 【0017】ここで、増圧用アキュムレータへの高圧作
動油の補給タイミングと高圧作動油の必要油量につい
て、実施例に基づいて説明する。350トンのダイカス
トマシンの射出装置を例にして説明する。このダイカス
トマシンの射出ピストンは直径が125mm、ロッド径
が100mm、全ストローク(フルストローク)が48
0mmである。また、このマシンの最小サイクルタイム
は20秒となっており、その内訳は以下の通りである。
型締工程に2秒、給湯工程に2秒、射出工程に1秒、成
形品の冷却工程に5秒(この期間中に充填用アキュムレ
ータへの補給を行う)、型開工程に2.5秒、製品押出
工程(押出ピンの前後進)に2秒、製品取出・金型キャ
ビティ面へのスプレイ工程に5.5秒、射出ピストンの
後退工程に3.5秒、増圧用アキュムレータへの補給時
間に2秒となっている。前記工程中の「製品取出・金型
キャビティ面へのスプレイ工程」中に射出ピストンの後
退工程と増圧用アキュムレータへの補給工程を行うこと
ができる。「製品取出・金型キャビティ面へのスプレイ
工程」には油圧ポンプ200はアイドル状態にあり、射
出ピストンの後退工程と増圧用アキュムレータへの高圧
作動油の補給が可能となる非常に短い期間である。 【0018】射出ピストンをフルストローク戻すのに
3.5秒もかかっているので、増圧用アキュムレータへ
の補給は可能な限り、ショートストロークで行う必要が
ある。本実施例においては、射出充填後の溶湯の押込量
を10mmとし、この押込量に相当する油量が0.12
リットル、作動油の圧縮分の相当する油量が0.02リ
ットルとなり、合計が0.14リットルとなる。この結
果、余裕をみて増圧用アキュムレータへの補給量を0.
2リットルとした。0.2リットルを出すための必要ス
トロークは45mmであり、フルストロークの約10%
で良いことになる。従って、増圧用アキュムレータへの
高圧作動油の補給時間は2秒で充分可能となる。なお、
ヘッド側とロッド側の面積差による増圧比は約2.7倍
となり、油圧ポンプの吐出圧130kg/cm2に対し
て、360kg/cm2の高圧の作動油を得ることがで
きる。なお、アキュムレータについて補足説明すると、
本発明に使用するアキュムレータとしてはピストンタイ
プでもプラダタイプでもよい。一般的には、大容量用と
してはピストンタイプのものを、少容量用としてはプラ
ダタイプのものを使用する。本実施例においては、充填
用アキュムレータ120としてピストンタイプを、増圧
用アキュムレータ110としてプラダタイプを使用し
た。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように、上述の油圧回路を
有する本発明のダイカストマシンの射出方法において
は、溶湯を加圧する加圧力は同じであるにもかかわら
ず、射出ピストンの直径を小さくできるので、必要作動
油の油量も少なくなるので増圧時間が短く、かつ、増圧
時のピーク圧も低くなる。従って、金型割面よりのバリ
の発生もなくなる。また、高速射出時の慣性力が小さく
なるので、射出速度制御の応答性がよくなるとともに、
余分なブースタ用ピストンが不要となるので油圧回路が
シンプルとなる。更に、設置面積も少なくなるので省ス
ペース化が図れる。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明の実施例に係るダイカストマシン
射出装置の概略構成図である。 【図2】図2は本発明の実施例に係るダイカストマシン
射出装置の油圧回路図である。 【符号の説明】 20 射出シリンダ 20a 射出ピストン 110 増圧用アキュムレータ 114 流量制御弁 120 充填用アキュムレータ 130 速度制御バルブ 140 パイロットチェック弁 150 ランアラウンド回路 150a ランアラウンドチェック弁 160 パイロットチェック弁 170 電磁切替弁 190 油タンク 200 油圧ポンプ A 射出シリンダ(ピストン)のヘッド側 B 射出シリンダ(ピストン)のロッド側

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 射出ピストンにより溶湯を金型キャビ
    ティへ射出充填する充填工程中に該射出ピストンのヘッ
    ド側へ蓄圧された作動油を供給する充填用アキュムレー
    タと充填工程完了後に該射出ピストンのヘッド側へ蓄圧
    された高圧の作動油を供給する増圧用アキュムレータを
    備えたダイカストマシンの射出方法において、該射出ピ
    ストンのヘッド側とロッド側の面積差を利用して増圧用
    アキュムレータに高圧の作動油を蓄圧することを特徴と
    するダイカストマシンの射出方法。
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