JP2004154805A - スクイズピン作動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金型10,11のキャビティ12内にスクイズピン15を突入させるスクイズピン作動装置のシリンダ装置20は、シリンダ本体21とピストン25よりなり、シリンダ本体の前端から突出されるピストンロッド25aの先端にスクイズピンが連接されている。シリンダ装置のへッド側チャンバ28bと切換弁31の間には作動油の戻りを阻止するパイロットチェック弁32が設けられている。圧力センサ35により検出されるへッド側チャンバ内の圧力が設定圧力を越えれば、制御装置36は切換弁を切り換えてへッド側チャンバ内に油圧ポンプ33からの加圧された作動油を供給し、ピストンを加圧位置に移動させてスクイズピンをキャビティ内に突入させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストやチクソモールディングなどにおいて引けまたは巣を防止するために、金型のキャビティ内に溶湯が充填されたときにスクイズピンをキャビティに向けて突入させるスクイズピン作動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスクイズピン作動装置としては、金型のキャビティ内と連通する通路に進退可能にスクイズピンと進退部材を設け、キャビティ内に溶湯が充填されたときの溶湯の圧力による進退部材の退行を退行検出手段により検出し、進退部材の退行が検出されたときにスクイズピンが進出方向へ駆動されるようにスクイズピン駆動手段(油圧シリンダ)を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開平3−85155公報(第1頁、図1)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
スクイズピンは、金型のキャビティ内への溶湯の充填が実質的に完了した後で溶湯が凝固する前にキャビティに向けて突入させる必要がある。前述した特許文献1の従来技術は、溶湯の充填が実質的に完了することにより急激に増大する溶湯の圧力によって退行する進退部材の退行を退行検出手段が検出したときにスクイズピンが進出方向へ駆動されてキャビティに向けて突入されるので、溶湯の射出開始からキャビティ内に溶湯が充填されるまでの時間を予測して、溶湯の射出開始時点からこの予測時間後にスクイズピンを突入させるようにしたそれ以前に一般的に採用されていた技術に比して、より適切なスクイズピン突入のタイミングを得ることができる。しかしながら特許文献1の従来技術は進退部材の退行を退行検出手段(具体的にはリミットスイッチ)により検出しているので、キャビティ内に溶湯が充填された時点から進退部材が退行して退行検出手段がこれを検出するまでに多少のタイムラグを生じる。このために溶湯の材質または充填条件などにより、溶湯の充填完了から凝固するまでの時間がきわめて短い場合には、スクイズピンによるスクイズが完了する前に溶湯が凝固して引けまたは巣の防止が完全に行われないことがあるという問題がある。
【0005】
また特許文献1の技術は、ピストンロッドにより作動されるスクイズピンとは別に油圧シリンダ装置の内部に溶湯の圧力により退行してリミットスイッチを作動させる進退部材を設けているので、スクイズピン作動装置の構造が複雑化し、またそれまでに用いていたスクイズピン駆動用油圧シリンダ装置の全体をこのようなスクイズピン作動装置と交換する必要がある。このために改造コストが増大するという問題も生じる。
【0006】
本発明は、溶湯からスクイズピンを介してピストンに加わる力を圧力として直接検出するようにして、このような各問題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このために、本発明によるスクイズピン作動装置は、金型のキャビティ内に溶湯が充填されたときに、キャビティ内に連通されるピン穴に摺動自在に嵌合されたスクイズピンをキャビティに向けて突入させるスクイズピン作動装置において、前後両端が閉じられたシリンダ本体の内面に摺動自在に嵌合したピストンの前側にシリンダ本体の前端から摺動自在に突出されて先端にスクイズピンが連接されるピストンロッドを形成してなるシリンダ装置と、このシリンダ装置に加圧された作動油を供給する油圧ポンプと、この油圧ポンプからシリンダ装置に供給される加圧された作動油を切り換えて、ピストンを中立位置、この中立位置から前側となる加圧位置および後側となる戻り位置に向けて移動させる切換弁と、ピストンが戻り位置に向かって移動される際にシリンダ装置から切換弁に作動油が戻される管路の途中に設けられ、ピストンがピストンロッドに加わる外力により戻り位置に向かって移動される際には作動油の戻りを阻止するが油圧ポンプより供給される加圧された作動油により戻り位置に向かって移動される際には作動油の戻りを許容するパイロットチェック弁と、このパイロットチェック弁により戻りが阻止される作動油の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサにより検出される圧力が所定の設定圧力を越えればピストンを油圧ポンプからの加圧された作動油により加圧位置に向けて移動させるように切換弁を切り換える制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
前項に記載のスクイズピン作動装置のパイロットチェック弁と圧力センサは、シリンダ装置と独立して設けられていることが好ましい。
【0009】
前2項に記載のスクイズピン作動装置は、シリンダ本体の内面の中間部には内向き突起を形成し、ピストンは内面の内向き突起よりも前側の部分に摺動自在に嵌合されてシリンダ本体の内部を前側のロッド側チャンバと後側のへッド側チャンバに区画し、ピストンの後側には中径部と後向きロッドを形成し、さらに後向きロッドに摺動自在に嵌合されて内向き突起および中径部の各後端面に当接可能なばね受けと、このばね受けとシリンダ本体の後部内端面との間に介装されたスプリングを備えることが好ましい。
【0010】
前項に記載のスクイズピン作動装置の切換弁は不作動位置においてはロッド側チャンバおよびへッド側チャンバにそれぞれ連通されるAポートとBポートおよびリザーバに連通されるRポートを互いに連通するとともに油圧ポンプに連通されるPポートを閉じ、第1作動位置ではPポートをBポートに連通するとともにAポートをRポートに連通し、また第2作動位置ではPポートをAポートに連通するとともにBポートをRポートに連通する4ポート3位置切換弁とし、パイロットチェック弁はへッド側チャンバとBポートの間に設けるとともに同パイロットチェック弁のパイロットポートはロッド側チャンバに連通し、制御装置は切換弁を、圧力センサにより検出される圧力が所定の設定圧力を越えれば第1作動位置に切り換え、それから所定時間後に第2作動位置に切り換え、次いで不作動位置に戻すようにすることが好ましい。
【0011】
【発明の作用および効果】
請求項1の発明によれば、キャビティ内への溶湯の充填が完了に近づき、急激に増大する溶湯の圧力がスクイズピンに加わってピストンが戻り位置に向かって移動されようとすれば、シリンダ装置とパイロットチェック弁の間の作動油の圧力は急激に増大し、圧力センサにより検出されるこの圧力が所定の設定圧力を越えれば、制御装置は切換弁を切り換えてピストンを油圧ポンプからの加圧された作動油により加圧位置に向けて移動させる。従ってキャビティ内への溶湯の充填が実質的に完了すれば、スクイズピンは実質的にタイムラグなしにキャビティに向けて突入されるので、溶湯の充填完了から凝固するまでの時間がきわめて短い場合でも、溶湯が凝固する前にスクイズピンによるスクイズは完了し、スクイズによる引けまたは巣の防止が行われる。また引けまたは巣を防止するスクイズピンに加わる溶湯の圧力を利用してスクイズ開始時点を定めるための溶湯の充填の完了を検出しているので、キャビティに連通されるピン穴に摺動自在に嵌合される部材はただ一つとなり、これによりスクイズピン作動装置の構造を簡略化することができる。
【0012】
請求項2のスクイズピン作動装置によれば、それまでのスクイズピン作動用の油圧シリンダ装置はそのまま使用し、これにパイロットチェック弁と圧力センサを追加して改造することができるので、実施に要するコストを低下させることができる。
【0013】
請求項3のスクイズピン作動装置によれば、ロッド側チャンバとへッド側チャンバに加わる圧力を0にすれば、スプリングによりばね受けが内向き突起の後端面に当接するとともにピストンの中径部の後端面がばね受けに当接する中立位置となり、へッド側チャンバに油圧ポンプからの加圧された作動油を供給すれば中径部の後端面がばね受けから離れてピストンは加圧位置に向かって移動し、ロッド側チャンバに油圧ポンプからの加圧された作動油を供給すれば中径部の後端面がスプリングに抗してばね受けを押しピストンは戻り位置に向かって移動する。従ってピストンを中立位置と加圧位置と戻り位置に向けて移動させる切換弁の構造は簡単なもので足りる。
【0014】
請求項4のスクイズピン作動装置によれば、圧力センサにより検出される圧力が所定の設定圧力を越えれば直ちに油圧ポンプからの加圧された作動油がへッド側チャンバに供給されてスクイズピンはピストンによりキャビティに向けて突入され、所定時間後に加圧された作動油がロッド側チャンバに供給されてピストンはスクイズピンとともに戻り位置に向けて移動され、次いでピストンはスプリングにより中立位置に戻される。従って改めてリセットを行う必要なしにスクイズピンを繰り返して作動させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図1および図2図に示す実施の形態により、本発明によるスクイズピン作動装置の説明をする。この実施の形態によるスクイズピン作動装置が設けられる金型は、図1に示すように、固定型10と可動型11よりなり、この両型が接合されることによりキャビティ12が形成され、このキャビティ12に湯道およびゲート(何れも図示省略)を介してアルミニウム合金やマグネシウム合金などの溶湯が充填されるようになっている。溶湯は、ダイカストの場合は完全に溶融されたものを使用され、チクソモールディングの場合は半溶融状態のものが使用される。この実施の形態では、可動型11に形成されてキャビティ12内の肉厚部に連通されるピン穴13には、スクイズピン15が液密かつ摺動可能に嵌合されているが、スクイズピン15は固定型10側に設けてもよい。
【0016】
スクイズピン15を進退作動させるスクイズピン作動装置は、図1に示すように、シリンダ装置20と、油圧ユニット30と、圧力センサ35と、制御装置36により構成されている。シリンダ装置20は、シリンダ本体21とピストン25を主要な構成部材とするもので、スクイズピン15はピストン25のピストンロッド25aの先端に固定されて、ピストン25により駆動されるようになっている。ブラケット(図示省略)を介して可動型11に固定されたシリンダ本体21には、中間部に環状の内向き突起23が形成された内面22が同軸的に形成され、前端部はピストンロッド25aが通る孔を除き閉じられ、後端部は着脱可能なロッドカバー24により液密に閉じられている。シリンダ本体21には、次に述べるロッド側チャンバ28aおよびへッド側チャンバ28bにそれぞれ連通される戻り側ポート29aおよび入り側ポート29bが形成されている。
【0017】
ピストン25はシリンダ本体21の内面22の内向き突起23より前側の部分に摺動自在に液密に嵌合されてシリンダ本体21の内部を前側のロッド側チャンバ28aと後側のへッド側チャンバ28bに区画している。ピストン25と同軸的に一体形成されて前側に延びるピストンロッド25aは、シリンダ本体21の前端部に形成された孔を摺動自在に液密に貫通して、シリンダ本体21から前側に突出する先端部にはスクイズピン15の後端部が同軸的に固定されている。ピストン25の後側には中径部25bと後向きロッド25cが同軸的に一体形成され、中径部25bは多少の隙間をおいて内向き突起23の内側を通過可能である。
【0018】
後向きロッド25cには、内向き突起23および中径部25bの各後端面に当接可能なばね受け26が摺動自在に嵌合されている。両チャンバ28a,28bに油圧が加わらない状態では、図1の実線に示すように、ばね受け26はロッドカバー24の内端面との間に介装したスプリング27により内向き突起23の後端面に当接され、またピストン25は中径部25bの後端面がばね受け26に当接される中立位置になっている。この中立位置では、内向き突起23の前端面とピストン25の後端面の間には多少の隙間が空いており、またピストンロッド25aに固定されたスクイズピン15の先端面は、キャビティ12の肉厚部の内面と一致している。
【0019】
油圧ユニット30は、電磁式の4ポート3位置切換弁(切換弁)31と、パイロットチェック弁32と、シリンダ装置20に4ポート3位置切換弁31を介して加圧された作動油を供給する油圧ポンプ33により構成され、シリンダ装置20とは独立してその外側に設けられている。4ポート3位置切換弁31は、シリンダ装置20の戻り側ポート29aに連通されるAポートと、パイロットチェック弁32を介してシリンダ装置20の入り側ポート29bに連通されるBポートと、油圧ポンプ33に連通されるPポートと、リザーバ34に連通されるRポートの4つのポートを有しており、また、PポートをBポートに連通するとともにAポートをRポートに連通する第1弁要素31aと、AポートとBポートとRポートを互いに連通するとともにPポートを閉じる第2弁要素31bと、PポートをAポートに連通するとともにBポートをRポートに連通する第3弁要素31cの3つの弁要素を有している。4ポート3位置切換弁31は、その電磁コイル通電されていない不作動位置では第2弁要素31bが選択され、第1作動位置では第1弁要素31aが選択され、第2作動位置では第3弁要素31cが選択される。
【0020】
パイロットチェック弁32はパイロットポート32aがロッド側チャンバ28aに連通され、ロッド側チャンバ28aに油圧ポンプ33からの加圧された作動油が供給されず、従ってパイロットポート32aに油圧が加わっていない状態では4ポート3位置切換弁31からへッド側チャンバ28bへの作動油の流れは許容するがこれと逆向きの作動油の流れは阻止し、またロッド側チャンバ28aに油圧ポンプ33からの加圧された作動油が供給されてパイロットポート32aに油圧が加わっている状態では4ポート3位置切換弁31からへッド側チャンバ28b向かう向きとその逆向きの両方向に作動油の流れを許容するようになっている。
【0021】
シリンダ装置20の入り側ポート29bとパイロットチェック弁32の間の連通路には、へッド側チャンバ28b内の圧力を検出する圧力センサ35が設けられている。制御装置36は、両チャンバ28a,28bに加わる油圧が0でピストン25が中立位置となっている状態でピストン25がスクイズピン15により押され、圧力センサ35により検出されるへッド側チャンバ28b内の圧力が記憶装置に記憶された所定の設定圧力を越えれば、4ポート3位置切換弁31を第1作動位置に切り換え、それから溶湯が凝固するのに必要な所定時間後に4ポート3位置切換弁31を第2作動位置に切り換え、次いで4ポート3位置切換弁31を不作動位置に戻すものである。
【0022】
次に上述した実施の形態の作動を、図1および図2により説明する。図1に示すように、4ポート3位置切換弁31の第2弁要素31bが選択された不作動位置では、シリンダ装置20の両チャンバ28a,28bに加わる油圧が0であり、ピストン25は図1および図2(a) に示す中立位置となっている。この状態では、へッド側チャンバ28bから4ポート3位置切換弁31に向かう作動油の流れは、パイロットチェック弁32により阻止されている。
【0023】
この状態で閉じられたキャビティ12内に溶湯が射出され、溶湯の充填が完了に近づけば溶湯の圧力は急激に増大し、この圧力はキャビティ12内に連通されるピン穴13に嵌合されたスクイズピン15に加わる(図2(b) 参照)。この圧力が増大してスクイズピン15を介してピストン25に加わる力が増大し、この力がスプリング27の付勢力を越えれば、図2(b) に示すようにピストン25はスプリング27に抗して後退する。この状態では、へッド側チャンバ28bから4ポート3位置切換弁31への作動油の戻りはパイロットチェック弁32により阻止されているので、ピストン25の後退が開始されればへッド側チャンバ28b内の作動油の圧力は直ちに急激に増大する。
【0024】
この圧力は圧力センサ35により検出され、検出されたこの圧力が所定の設定圧力を越えれば、制御装置36は4ポート3位置切換弁31を第1弁要素31aが選択される第1作動位置に切り換える。この切り換えにより、油圧ポンプ33からの加圧された作動油がへッド側チャンバ28bに供給され、ロッド側チャンバ28aはリザーバ34に導通されるので、図1の二点鎖線および図2(c) に示すように、ピストン25が中立位置から前側となる加圧位置に向かって移動される加圧行程が行われ、スクイズピン15はキャビティ12に向けて突入されて引けまたは巣は防止される。スクイズピン15の前端はピストン25がシリンダ本体21の内面22の前端面に当接する位置(図2(c) の符号15A参照)まで前進可能であるが、そのときの溶湯の状態に応じて、その手前で停止される。
【0025】
それから溶湯が凝固するのに必要な所定時間経過後に、制御装置36は4ポート3位置切換弁31を第3弁要素31cが選択される第2作動位置に切り換える。これにより、油圧ポンプ33からの加圧された作動油がロッド側チャンバ28aに供給され、へッド側チャンバ28bは両方向の作動油の流れを許容するパイロットチェック弁32を介してリザーバ34に導通されるので、図2(d) に示すように、ピストン25は中立位置から後側となる戻り位置に向かって移動される戻り行程が行われ、ピストン25は内向き突起23の前端面に当接されるまで戻されてスクイズピン15はキャビティ12内から引き抜かれ、中径部25bの後端面はばね受け26に当接してスプリング27は撓められる。
【0026】
次いで制御装置36は4ポート3位置切換弁31を第2弁要素31bが選択される不作動位置に切り換える。これによりピストン25は図1および図2(a) に示す中立位置に戻る。以上により引けまたは巣を防止するためのスクイズピン作動装置の1サイクルの作動は終了し、スクイズピン作動装置は待機状態に戻る。
【0027】
油圧ポンプ33により供給される作動油の圧力は、加圧行程の際にスクイズピン15より溶湯に加わる圧力が引けまたは巣を防止するのに充分な値となるように定める。スプリング27の付勢力は、スクイズピン15およびピストン25を、各摺動部分の抵抗などに打ち勝って戻り位置から中立位置に戻すのに充分な値であって、溶湯の充填完了時のキャビティ12内の充填圧力の最大値によりスクイズピン15の先端に加わる力よりは小さい値となるように定める。また予め記憶装置に記憶されて圧力センサ35の検出圧力がその値を越えたときに制御装置36が4ポート3位置切換弁31を第1作動位置に切り換えるようにする所定の設定圧力は、キャビティ12内の充填圧力の最大値がスクイズピン15の先端に加わった際のへッド側チャンバ28b内の圧力よりも相当に低い値とする。
【0028】
上述した実施の形態によれば、キャビティ12内への溶湯の充填が完了に近づけば溶湯の圧力は急激に増大し、スクイズピン15に加わるこの圧力が増大して、これによる力がスプリング27の付勢力を越えればピストン25はスプリング27に抗して後退を開始してへッド側チャンバ28b内の作動油の圧力は直ちに急激に増大する。そして圧力センサ35により検出されるこの圧力が所定の設定圧力を越えれば、制御装置36は4ポート3位置切換弁31を第1作動位置に切り換えてピストン25を油圧ポンプ33からの加圧された作動油により加圧位置に向かって移動させる。従ってキャビティ12内への溶湯の充填が実質的に完了すれば、スクイズピン15は実質的にタイムラグなしにキャビティ12に向けて突入されるので、例えばマグネシウム合金によるチクソモールディングなどの場合ように溶湯の充填完了から凝固するまでの時間がきわめて短い場合でも、溶湯が凝固する前にスクイズピン15によるスクイズは完了し、スクイズによる引けまたは巣の防止が行われる。
【0029】
さらにこの実施の形態によれば、引けまたは巣を防止するスクイズピン15を利用してスクイズ開始時点を定めるための溶湯の充填の実質的な完了を検出しているので、キャビティ12に連通されるピン穴13に摺動自在に嵌合される部材はただ一つとなり、これによりスクイズピン作動装置の構造を簡略化することができる。また、溶湯の射出開始時点から所定の予測時間後に油圧シリンダ装置によりスクイズピンを突入させるようにした従来技術を改造する場合、この実施の形態ではパイロットチェック弁32と圧力センサ35はシリンダ装置20とは独立してその外側に設けているので、それまで使用していたスクイズピン作動用の油圧シリンダ装置はそのまま使用し、これにパイロットチェック弁32と圧力センサ35を追加し、この追加に伴う配線と配管を変更するだけで実施できるので、改造に要するコストを低下させることができる。
【0030】
上述した実施の形態では、シリンダ本体21の内面22の中間部には内向き突起23を形成し、ピストン25は内面22の内向き突起23より前側の部分に摺動自在に嵌合し、ピストン25の後向きロッド25cに摺動自在に嵌合したばね受け26をシリンダ本体21の内向き突起23とピストン25の中径部25bの各後端面に当接可能とし、ばね受け26とシリンダ本体21のロッドカバー24の間にスプリング27を介装しており、このようにすれば両チャンバ28a,28bの圧力が0であれば、スプリング27によりばね受け26が内向き突起23の後端面に当接するとともにピストン25の中径部25bの後端面がばね受け26に当接する中立位置となり、へッド側チャンバ28bに加圧された作動油を供給し、ロッド側チャンバ28aに加わる圧力を0にすれば中径部25bの後端面がばね受け26から離れてピストン25は加圧位置に向かって移動し、ロッド側チャンバ28aに加圧された作動油を供給し、へッド側チャンバ28bに加わる圧力を0にすれば中径部25bの後端面がスプリング27に抗してばね受け26を押しピストン25は戻り位置に向かって移動する。従ってピストン25を中立位置と加圧位置と戻り位置に移動させるのに標準的な4ポート3位置切換弁31を使用することができ、またスクイズピン15の突入ストロークを長くすることができる。
【0031】
しかしながら本発明は上述したような実施の形態に限定されるものではなく、シリンダ装置20は両側からスプリングにより付勢されて中立位置に弾性的に保持されるピストンを有するものとしてもよい。またキャビティ12のスクイズピン15を設ける部分は、キャビティ12の製品部に限らず、金型のゲートから離れた部分に生じる欠陥を防ぐために設ける湯溜り部をも含むものである。
【0032】
また上述した実施の形態では、ピストン25を戻り位置に向かって移動させる力はロッド側チャンバ28a内の油圧またはキャビティ12内の溶湯の充填圧であるので、両チャンバ28a,28b内の圧力が0であっても、待機状態においてピストン25の中径部25bの後端面がばね受け26に当接される中立位置になることは必ずしも保証されない。しかし上述した実施の形態では、制御装置36は、圧力センサ35により検出される圧力が所定の設定圧力を越えれば4ポート3位置切換弁31を第1作動位置に切り換えてピストン25を加圧位置に向けて移動させ、それから所定時間後に第2作動位置に切り換えてピストン25を戻り位置に向けて移動させ、次いで4ポート3位置切換弁31を不作動位置に戻してピストン25を中立位置にするようにしており、ピストン25は戻り位置に向けて移動されたときには必ず中径部25bの後端面がばね受け26に当接され、スプリング27により戻される際に中径部25bがばね受け26から離れることはないので、待機状態ではピストン25は中径部25bの後端面がばね受け26に当接された中立位置となる。従って改めてリセットを行う必要なしにスクイズピン15を繰り返して作動させることができる。
【0033】
しかしながら本発明はこのような実施の形態に限られるものではなく、スプリング27より弱いスプリングによりピストン25を後向きに付勢し、制御装置36は4ポート3位置切換弁31を第1弁要素31aから第2弁要素31bに選択した際に、パイロットチェック弁32のパイロットポート32aに所定時間油圧を供給するようにしてもよい。このようにしてもピストン25は、待機状態では中径部25bの後端面がばね受け26に当接された中立位置となる。なおこの場合は、切換弁31は第3弁要素31cを除いた4ポート2位置切換弁となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスクイズピン作動装置の一実施形態の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す実施の形態のシリンダ装置の作動を説明する図面である。
【符号の説明】
10,11…金型、12…キャビティ、13…ピン穴、15…スクイズピン、20…シリンダ装置、21…シリンダ本体、22…内面、23…内向き突起、25…ピストン、25a…ピストンロッド、25b…中径部、25c…後向きロッド、26…ばね受け、27…スプリング、28a…ロッド側チャンバ、28b…へッド側チャンバ、31…切換弁(4ポート3位置切換弁)、32…パイロットチェック弁、32a…パイロットポート、33…油圧ポンプ、34…リザーバ、35…圧力センサ、36…制御装置。
Claims (4)
- 金型のキャビティ内に溶湯が充填されたときに、前記キャビティ内に連通されるピン穴に摺動自在に嵌合されたスクイズピンを前記キャビティに向けて突入させるスクイズピン作動装置において、
前後両端が閉じられたシリンダ本体の内面に摺動自在に嵌合したピストンの前側に前記シリンダ本体の前端から摺動自在に突出されて先端に前記スクイズピンが連接されるピストンロッドを形成してなるシリンダ装置と、
このシリンダ装置に加圧された作動油を供給する油圧ポンプと、
この油圧ポンプから前記シリンダ装置に供給される加圧された作動油を切り換えて、前記ピストンを中立位置、この中立位置から前側となる加圧位置および後側となる戻り位置に向けて移動させる切換弁と、
前記ピストンが前記戻り位置に向かって移動される際に前記シリンダ装置から前記切換弁に作動油が戻される管路の途中に設けられ、前記ピストンが前記ピストンロッドに加わる外力により前記戻り位置に向かって移動される際には作動油の戻りを阻止するが前記油圧ポンプより供給される加圧された作動油により前記戻り位置に向かって移動される際には作動油の戻りを許容するパイロットチェック弁と、
このパイロットチェック弁により戻りが阻止される作動油の圧力を検出する圧力センサと、
この圧力センサにより検出される圧力が所定の設定圧力を越えれば前記ピストンを前記油圧ポンプからの加圧された作動油により前記加圧位置に向けて移動させるように前記切換弁を切り換える制御装置
を備えたことを特徴とするスクイズピン作動装置。 - 請求項1に記載のスクイズピン作動装置において、
前記パイロットチェック弁と前記圧力センサは前記シリンダ装置と独立して設けられている
ことを特徴とするスクイズピン作動装置。 - 請求項1または請求項2に記載のスクイズピン作動装置において、
前記シリンダ本体の内面の中間部には内向き突起を形成し、
前記ピストンは前記内面の前記内向き突起よりも前側の部分に摺動自在に嵌合されて前記シリンダ本体の内部を前側のロッド側チャンバと後側のへッド側チャンバに区画し、
前記ピストンの後側には中径部と後向きロッドを形成し、
さらに前記後向きロッドに摺動自在に嵌合されて前記内向き突起および中径部の各後端面に当接可能なばね受けと、このばね受けと前記シリンダ本体の後部内端面との間に介装されたスプリングを備えた
ことを特徴とするスクイズピン作動装置。 - 請求項3に記載のスクイズピン作動装置において、
前記切換弁は不作動位置においては前記ロッド側チャンバおよびへッド側チャンバにそれぞれ連通されるAポートとBポートおよびリザーバに連通されるRポートを互いに連通するとともに前記油圧ポンプに連通されるPポートを閉じ、第1作動位置では前記Pポートを前記Bポートに連通するとともに前記Aポートを前記Rポートに連通し、また第2作動位置では前記Pポートを前記Aポートに連通するとともに前記Bポートを前記Rポートに連通する4ポート3位置切換弁とし、
前記パイロットチェック弁は前記へッド側チャンバと前記Bポートの間に設けるとともに同パイロットチェック弁のパイロットポートは前記ロッド側チャンバに連通し、
前記制御装置は前記切換弁を、前記圧力センサにより検出される圧力が前記所定の設定圧力を越えれば前記第1作動位置に切り換え、それから所定時間後に前記第2作動位置に切り換え、次いで前記不作動位置に戻すこと
を特徴とするスクイズピン作動装置。
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