JP2674822B2 - 加圧鋳造における局部加圧方法およびその装置 - Google Patents

加圧鋳造における局部加圧方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は加圧鋳造における局部加圧方法およびその装
置に関し、一層詳細には、溶湯を加圧充填した後、鋳巣
の発生を防止するため局部的に加圧する場合、加圧ピン
の適正な作動を確保し鋳造品の品質の安定に資する加圧
鋳造における局部加圧方法およびその装置に関する。
[発明の背景] 精密な金型を使用し油圧シリンダによって駆動される
プランジャで溶湯を金型内部のキャビテイに充填して鋳
造品を得る加圧鋳造は、例えば、自動車部品等の製造に
広範に利用されている。
加圧鋳造において、溶湯が凝固する際に発生する巣の
如き鋳造欠陥を防止するためには、巣が発生しやすい部
位に加圧ピンを圧入し局部的に加圧することによって巣
の発生を防止している。
このような二次的な局部加圧の場合、加圧ピンは金型
の内部に配設されており、その作動状況は外部からは視
認することが出来ない。専ら、当該加圧ピンを駆動する
油圧シリンダの作動圧力等を介して間接的に判断してい
る。従って、鋳造中、オペレータは実際に加圧ピンによ
る局部加圧が溶湯に対して有効に働いているかどうかを
把握出来ない不都合がある。
また、溶湯の凝固後、型開きを行うに際して加圧ピン
を後退させる時に加圧ピンの作動に係るトラブルが発生
し易い。すなわち、加圧ピンの先端は凝固した製品部に
嵌入しているために、カジリが生じ易く、油圧シリンダ
に圧力を加えても加圧ピンが戻らない場合がある。そし
て、油圧シリンダに供給する作動油の圧力をさらに上昇
させて加圧ピンを無理に戻そうとすると、油圧シリンダ
においてピストンの摺動部にリークが発生する等の事故
が発生する懸念がある。
[発明の目的] 本発明は前記の不都合を克服するためになされたもの
であって、加圧ピンを駆動する加圧シリンダの動作を計
測用のために別途設けたマスタシリンダと連動させて所
定の動作を行うことにより、このマスタシリンダの動作
によって加圧ピンの作動を把握出来るようにすると共
に、加圧ピンの動作に係るトラブルの発生を防止し、鋳
巣のない高品位の鋳造品を得ることを可能とした加圧鋳
造における局部加圧方法およびその装置を提供すること
を目的とする。
[目的を達成するための手段] 前記の目的を達成するために、本発明はスリーブ内に
注油された溶湯をプランジャによってキャビテイ内に加
圧充填する加圧鋳造において、キャビテイ内への溶湯の
充填が完了後、キャビテイの所定部位に対して局部的に
二次的に加圧する加圧ピンを作動させる加圧シリンダを
所定の速度、圧力で作動させると共に、前記加圧シリン
ダの動作を計測用マスタシリンダに連動させて加圧ピン
の動作を監視しながら二次加圧を遂行することを特徴と
する。
また、本発明はスリーブ内に注湯された溶湯をプラン
ジャによってキャビテイ内に加圧充填して鋳造品を得る
際に、キャビテイの所定部位に対して加圧ピンによって
局部的な二次加圧を行うことが可能な装置であって、前
記加圧ピンを作動させる第1のシリンダのヘッド側と、
前記加圧ピンの動作を計測するための第2のシリンダの
ヘッド側を圧力制御弁、速度制御弁、方向制御弁等を含
む制御部を介して油圧源と接続すると共に、前記第1シ
リンダのロッド側と第2シリンダのロッド側を接続し、
さらに、第1シリンダのロッド側と第2シリンダのヘッ
ド側とをチェックバルブを介して連痛させるよう構成す
ることを特徴とする。
[実施態様] 次に、本発明に係る加圧鋳造における局部加圧方法に
ついて、それを実施する装置との関連において好適な実
施態様を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説
明する。
第1図において、参照符号10は本実施態様に係る局部
加圧方法が適用される加圧鋳造用金型を示す。この加圧
鋳造用金型10は下型12と、上型14と、摺動型16a、16b
と、溶湯を加圧充填する給湯部18とから基本的に構成さ
れ、下型12、上型14の対向する製品成形面によってキャ
ビテイ20が画成される。本実施態様においてはキャビテ
イ20は自動車のパワーステアリングの構成部品であるギ
ヤボックスの輪郭形状に対応しており、前記摺動型16
a、16bは当該ギヤボックスの中空部を形成するためのも
のである。
そこで、下型12はダイベース22上に固定され、その内
部にはキャビテイ20と連通するランナ24が形成される。
また、下型12の下方端部に配設される給湯部18にあって
は、前記ランナ24に連通する湯溜り部26に臨むように射
出スリーブ28が装着され、この射出スリーブ28には射出
プランジャ30が摺動自在に嵌合する。射出プランジャ30
は図示しない油圧シリンダと連結されている。前記射出
プランジャ30は所定位置に設置される位置検出センサ3
1、例えば、射出プランジャ30に外嵌する磁性体30aに反
応する近接スイッチにより前進端位置が検出される(第
2図参照)。この時、位置検出センサ31の出力信号はオ
ペレータが鋳造工程の進行を集中的に管理するための図
示しないモニタ装置に導出され、この信号に基づき後述
する局部加圧装置が作動する。
一方、前記射出スリーブ28の軸方向とは直交する方に
は前記湯溜り部26に臨むように給湯スリーブ32が装着さ
れ、この給湯スリーブ32には給湯プランジャ34が摺動自
在に嵌合する。また、給湯スリーブ32の外周部には給湯
口36が形成され、この給湯口36には溶湯を注入し易いよ
うにホッパ38が接続される。
次に、上述のように構成される加圧鋳造用金型10に対
して局部加圧装置40が併設される。この局部加圧装置40
を第2図に模式的に示す。
局部加圧装置40は、後述する加圧ピンを作動させる加
圧シリンダ42と、この加圧シリンダ42の動作と相互に連
動するマスタシリンダ44と、これら加圧シリンダ42とマ
スタシリンダ44の動作を制御する制御部46とから基本的
に構成される。
先ず、制御部46は方向制御弁48、速度制御弁50a、50
b、圧力制御弁52を含む。この場合、図示しない油圧源
から延在する管路54は、例えば、ソレノイド駆動で4ポ
ート3位置のクローズドセンタ型式の方向制御弁48のポ
ートPと接続され、一方、方向制御弁48のポートTは戻
り用タンクに延在する管路56と接続され、大気圧に開放
されている。当該方向制御弁48の出口側のポート、すな
わち、ポートAとBは夫々管路58、60を介して加圧シリ
ンダ42のヘッド側のポートC、マスタシリンダ44のヘッ
ド側のポートEと接続されている。前記管路58にあって
は、方向制御弁48の下流に絞り弁と逆止弁を内蔵する速
度制御弁50aと、その下流にあって圧力制御弁52が設け
られ、管路60にあっては速度制御弁50bが設けられてい
る。この場合、加圧シリンダ42、マスタシリンダ44の速
度制御方式としては入口側の流量を絞るメータイン方式
が採用される。なお、圧力制御弁52の下流には圧力セン
サ61が接続され、この圧力センサ61は射出プランジャ30
に対して設けた位置検出センサ31と同様、図示しないモ
ニタ装置と接続されている。
ここで、加圧シリンダ42のピストンロッドには加圧ピ
ン62が連結され、この加圧ピン62の先端は加圧鋳造用金
型10の内部に画成されたキャビテイ20に臨む。一方、マ
スタシリンダ44のピストンロッドは、例えば、リニアエ
ンコーダ等からなるストローク計測センサ66と連結され
る。このストローク計測センサ66は前述した図示しない
モニタ装置に測定信号を出力する。
さらに、前記加圧シリンダ42のロッド側のポートDと
マスタシリンダ44のロッド側のポートFとは管路68を介
して接続され、この管路68と管路60は管路70によってバ
イパスされる。そして、この管路70には逆止弁72が設け
られている。
本発明に係る局部加圧装置は、基本的には、以上のよ
うに構成されるものであり、次に、この局部加圧装置を
使用して行う加圧鋳造における局部加圧方法との関連に
おいて、その作用並びに効果について説明する。ここ
で、第3図は鋳造工程の進行に対応した加圧ピンの動作
を示すタイムチャートである。以下、第3図を随時参照
しながら説明する。
第1図において、加圧鋳造用金型10を構成する上型14
と摺動型16a、16bを夫々下型12に対して所定の型締位置
まで変位させる。その後、キャビテイ20に溶湯を加圧充
填する工程が開始される(時刻t0)。
先ず、図示しないラドルを介してホッパ38に溶湯を注
ぎ入れ、給湯プランジャ34を図示しないアクチュエータ
の駆動作用下に矢印方向に変位させ、給湯スリーブ32に
形成されている給湯口36を閉塞する。次いで、湯溜り部
26および射出スリーブ28の内部に貯留した溶湯を射出プ
ランジャ30によってキャビテイ20へ加圧充填する。射出
プランジャ30が図示しない油圧シリンダの駆動作用下に
矢印方向に変位すると、第2図に示すように、溶湯はラ
ンナ24を介してキャビテイ20へと充填される。そして、
射出プランジャ30による加圧充填の終了は当該射出プラ
ンジャ30のストロークエンド位置に対応する磁性体30a
に反応する位置検出センサ31によって検知される。位置
検出センサ31はその出力信号をモニタ装置に出力する。
次いで、溶湯の加圧充填完了(時刻t1)後、所定時間
経過してから、局部加圧装置40においては方向制御弁48
の切換動作を行い、キャビテイ20内の溶湯に局部的な圧
力を付加する工程を行う。この場合、鋳造品であるギヤ
ケースにあっては、コントロールバルブ用の油路が形成
される肉厚部分にひけ巣が発生し易いため、溶湯が液相
から固相に変わる時にその該当部分に二次加圧を加える
ものである。
方向制御弁48がポジションIに切り換わると(時刻
t2)、油圧源から供給される作動油が管路58を通って加
圧シリンダ42のポートCから導入される。この際、速度
制御弁50a、圧力制御弁52によって作動油の流量および
圧力を条件に最適な値に予め設定しておく。こうして、
加圧シリンダ42は加圧ピン62をキャビテイ20側に突出さ
せ局所的に溶湯を加圧する。この間の加圧シリンダ42の
動作はマスタシリンダ44を介して確認される。
すなわち、加圧シリンダ42においては、ロッド側のシ
リンダ室内にあった作動油は管路68を通じてマスタシリ
ンダ44のロッド側シリンダ室に導出させることから、そ
のピストンは矢印I方向に変位する。そして、このピス
トンの変位はピストンロッドと連結されたストローク計
測センサ66によってその変位量が検出され、オペレータ
は加圧シリンダ42が適正に作動したか否かを監視するこ
とが出来る(時刻t2〜t3)。
その後、二次加圧状態を所定時間保持して時刻t3
t4)、キャビテイ20内の溶湯を凝固させる。加圧継続中
に、例えば、作動油のリークが発生したような場合、加
圧状態が維持出来なくなることがある。この場合、加圧
ピン62の後退はマスタシリンダ44のストロークの変位に
置き換えられるため、ストローク計測センサ66によって
確認出来る利点がある。その後、型開きを行う。その
際、加圧ピン62を元の位置に復帰させる工程を行うこと
になるが(時刻t4〜t5)それは次のようにして実施す
る。
すなわち、方向制御弁48を操作して、ポジションIIに
切り換える。これにより、油圧源からの作動油は管路60
を経てマスタシリンダ44のヘッド側のシリンダ室に供給
される。この場合、マスタシリンダ44のロッド側のシリ
ンダ室は加圧シリンダ42のエンド側のシリンダ室と管路
68を介して連通していることから、ピストンによって押
された作動油は加圧シリンダ42のロッド側シリンダ室へ
流れ、また、同時に逆止弁72を介して加圧シリンダ42の
ロッド側に流れることからそのピストンを矢印G方向へ
変位させようとする。
加圧ピン62が後退したら、型開きを行って、鋳造品を
取り出す。然る後、次の鋳造サイクルを開始する前に、
加圧ピンの作動を確認する工程を実施する(時刻t6
t7)。すなわち、方向制御弁48を再びポジションIに切
り換え、作動油を加圧シリンダ42のヘッド側シリンダ室
に供給し、無負荷で当該加圧シリンダ42をフルストロー
クさせる。この加圧シリンダ42の動作は、前述したよう
に、マスタシリンダ44の連動動作によってストローク計
測センサ66により確認出来る。また、加圧ピン62は下型
12と摺動部分との異物の詰まりを除去する作用を営むた
め、次回の正常な動作が確保される。
こうして、再び方向切換弁48をポジションIIに切り換
えて加圧ピン62を元の位置に復帰させて当該加圧ピンの
正常な動作を確認した後、以下同様にして次回の鋳造サ
イクルを実施する。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、加圧ピンを駆動する
シリンダと計測用のマスタシリンダを連動させる油圧回
路構成によって加圧ピンを作動させていることから加圧
シリンダの作動を前記マスタシリンダによってモニタリ
ングすることが出来、オペレータは常時加圧の状態を把
握出来るという利点があり、ひけ巣等の鋳造欠陥防止の
実効を上げることが出来る。そして、マスタシリンダと
加圧シリンダをチェック弁を含むバイパス回路で連通す
ることによってシリンダのリーク発生防止に効果があ
る。さらに、鋳造サイクルにおいて、無負荷で加圧ピン
を作動させ、その作動確認をすることによって加圧ピン
の作動不良を防止することが出来る利点が得られる。
以上、本発明について好適な実施態様を挙げて説明し
たが、本発明はこの実施態様に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良
並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る局部加圧装置が適用される加圧鋳
造用金型の概略断面図、 第2図は本発明に係る局部加圧装置の回路構成図、 第3図は本発明に係る局部加圧方法の工程に沿った加圧
ピンの動作を表すタイムチャートである。 10……加圧鋳造用金型、12……下型 14……上型、16a、16b……摺動型 20……キャビテイ、24……ランナ 28……射出スリーブ、30……射出プランジャ 40……局部加圧装置、42……加圧シリンダ 44……マスタシリンダ、46……制御部 48……方向制御弁、50……速度制御弁 52……圧力制御弁、72……逆止弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 恒雄 埼玉県狭山市新狭山1―10―1 ホンダ エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−223652(JP,A) 特開 昭62−183954(JP,A) 実開 昭63−138954(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スリーブ内に注湯された溶湯をプランジャ
    によってキャビテイ内に加圧充填する加圧鋳造におい
    て、キャビテイ内への溶湯の充填が完了後、キャビテイ
    の所定部位に対して局部的に二次的に加圧する加圧ピン
    を作動させる加圧シリンダを所定の速度、圧力で作動さ
    せると共に、前記加圧シリンダの動作を計測用マスタシ
    リンダに連動させて加圧ピンの動作を監視しながら二次
    加圧を遂行することを特徴とする加圧鋳造における局部
    加圧方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、型開きを行
    い製品取り出し後、加圧シリンダを作動させて無負荷で
    加圧ピンを往復動作させ、その作動確認を行うことを特
    徴とする加圧鋳造における局部加圧方法。
  3. 【請求項3】スリーブ内に注湯された溶湯をプランジャ
    によってキャビテイ内に加圧充填して鋳造品を得る際
    に、キャビテイの所定部位に対して加圧ピンによって局
    部的な二次加圧を行うことが可能な装置であって、前記
    加圧ピンを作動させる第1のシリンダのヘッド側と、前
    記加圧ピンの動作を計測するための第2のシリンダのヘ
    ッド側を圧力制御弁、速度制御弁、方向制御弁等を含む
    制御部を介して油圧源と接続すると共に、前記第1シリ
    ンダのロッド側と第2シリンダのロッド側を接続し、さ
    らに、第1シリンダのロッド側と第2シリンダのヘッド
    側とをチェックバルブを介して連通させるよう構成する
    ことを特徴とする加圧鋳造における局部加圧装置。
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