JP7392523B2 - ダイカスト成形方法および制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイカストによる成形方法、およびダイカスト成形に用いられる制御装置に関する。
ダイカストマシンの射出装置は、射出シリンダ、アキュムレータ、およびバルブ等を含む油圧システムにより駆動される。かかる射出装置は、射出シリンダにより駆動されるプランジャによってスリーブ内の溶湯をキャビティに向けて射出し、キャビティに溶湯が充填されたならば、プランジャにより押圧力を付与することでキャビティの溶湯の圧力を増加させる。
溶湯の充填と増圧のため、充填用アキュムレータと、増圧用アキュムレータとが用いられる(特許文献1)。充填用アキュムレータを用いた溶湯の充填が完了すると、制御指令によるバルブの開閉により、充填用アキュムレータから増圧用アキュムレータへと油圧源が切り替えられる。
射出工程の開始前に、充填用アキュムレータおよび増圧用アキュムレータにはそれぞれ規定の圧力が蓄えられる。特許文献1において、充填用アキュムレータへの蓄圧には油圧ポンプが用いられ、増圧用アキュムレータへの蓄圧には、油圧ポンプから供給される圧油により作動するブースターが用いられる。
特開平8-71725号公報
ダイカストマシンには規定の型締め力が与えられ、また、油圧システムの充填用アキュムレータおよび増圧用アキュムレータのそれぞれには、規定の圧力(チャージ圧)が蓄えられる。充填の完了後に押圧力を増強させるため、充填完了時において、充填用アキュムレータのチャージ圧がPACC1、増圧用アキュムレータのチャージ圧がPACC2であるとすると、充填完了時にPACC1<PACC2の関係を満足するように鋳造条件が設定されている。製品に応じてPACC1,PACC2のそれぞれの大きさを調整可能である場合でも、PACC1<PACC2の大小関係を変えることはできない。
かかるダイカストマシンを投影面積のより大きな製品の鋳造に用いると、PACC1<PACC2に基づいて、以下に説明するように、増圧時にキャビティの溶湯に加えられる力が型締め力を超える可能性がある。
金型の分割面に対するキャビティおよびランナの投影面積が大きいほど、溶湯の流動長が長い。そのため、投影面積が大きいほど、溶湯が凝固しないうちに、キャビティの全体に亘り溶湯を迅速に充填する必要があるので、プランジャによる射出速度を低速域から高速域へと切り替える際には、射出速度をごく短時間で十分な加速度により目標速度に到達させることが要求される。
そうすると、投影面積の大きな製品を鋳造する場合は、十分に大きい加速度を実現するため、加速度に相応の圧力が射出工程の開始前において充填用アキュムレータに蓄えられる。その後、充填用アキュムレータから射出シリンダに得られる油圧により溶湯をキャビティに充填し、キャビティの溶湯の圧力を急激に増加させつつ充填を完了する。このとき、充填用アキュムレータのチャージ圧PACC1に対し、増圧アキュムレータのチャージ圧PACC2はさらに高いので、増圧時にキャビティの溶湯に加えられる力が型締め力を超えると、金型の隙間に溶湯が入って凝固する現象である鋳バリが生じてしまう。
以上より、本発明は、規定の型締め力を有したダイカストマシンを用いて、投影面積がより大きな製品を鋳バリ発生等の支障なく成形可能なダイカスト成形方法、およびダイカスト成形に用いる制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、油圧により駆動される射出装置を用いるダイカスト成形方法であって、封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、アキュムレータから作動油を受け入れ可能な容器と、アキュムレータおよび容器のうち少なくともアキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を使用し、アキュムレータと容器とが連通していない状態で、アキュムレータからの油圧により射出装置を駆動してキャビティに溶湯を充填する第1工程と、アキュムレータと容器とを連通させると、アキュムレータから射出シリンダおよび容器の双方へと作動油が流れる第2工程と、を備える。
第1工程による充填の完了時において、アキュムレータにおける第1圧力に対して容器における第2圧力が低い。
本発明のダイカスト成形方法において、アキュムレータは、第1のアキュムレータであり、容器は、第2のアキュムレータであり、第1工程に先立ち、第1のアキュムレータおよび第2のアキュムレータにそれぞれ圧力を蓄えることが好ましい。
本発明のダイカスト成形方法において、第2工程では、第1圧力と第2圧力との間の第3圧力にバランスした第1のアキュムレータおよび第2のアキュムレータの双方から射出シリンダに得られる油圧によりキャビティの溶湯が押圧されることが好ましい。
本発明のダイカスト成形方法は、充填の完了時において、第1圧力がPACC1、第2圧力がPACC2、第1のアキュムレータのガスの体積がVACC1、第2のアキュムレータのガスの体積がVACC2であり、第1のアキュムレータと第2のアキュムレータとの連通に伴い、第1のアキュムレータから流出する作動油の体積がΔVACC1、第1のアキュムレータから第2のアキュムレータへと流入する作動油の体積がΔVACC2、第1のアキュムレータから射出シリンダへと流入する作動油の体積がΔVCYL、第1圧力と第2圧力とがバランスした第3圧力がPLOWであり、熱力学におけるポリトロープ指数がnであるとすると、下記の連立方程式により第3圧力であるPLOWが導かれることが好ましい。
PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2
また、本発明は、ダイカストマシンを所定の鋳造条件に基づいて制御する制御装置であって、ダイカストマシンに備わる射出装置を駆動する油圧システムは、封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、アキュムレータから作動油を受け入れ可能な容器と、アキュムレータおよび容器のうち少なくともアキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を含む。
設定可能な一の鋳造条件において、アキュムレータと容器とが連通していない状態で、アキュムレータからの油圧により射出装置を駆動することによるキャビティへの溶湯の充填の完了時に、アキュムレータにおける第1圧力がPACC1、容器における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ。
本発明の制御装置において、設定可能な一の鋳造条件において、PACC1>PACC2が成り立ち、設定可能な他の鋳造条件において、PACC1<PACC2が成り立つことが好ましい。
本発明によれば、充填完了に伴いアキュムレータと容器とを連通させ、充填完了時におけるアキュムレータの第1圧力に対して容器の第2圧力が低いことに基づいて、アキュムレータから流出した作動油の一部を容器に受け入れることにより、アキュムレータのチャージ圧を減少させてキャビティの溶湯圧力(メタル圧力)を抑えることができる。
そうすると、メタル圧力に投影面積を乗じた押圧力の大きさを型締め力よりも小さい値に抑えることができるので、投影面積が大きな製品であっても、鋳バリ発生等の支障なく成形することができる。
本発明の一実施形態に係るダイカストマシンの油圧システムを示す図である。 図1に示す油圧システムにより駆動される射出装置を備えたダイカストマシンを示す図である。 射出速度およびメタル圧力の変化を示すグラフである。 (a)は、充填完了時における第1アキュムレータおよび第2アキュムレータのそれぞれの状態を説明するための模式図である。(b)は、充填完了に伴い互いに連通させた第1アキュムレータおよび第2アキュムレータのそれぞれの状態を説明するための模式図である。(a)および(b)において弁の図示は省略されている。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示す油圧システム10は、図2に示すダイカストマシン100に備わる射出装置20を油圧により駆動する。油圧システム10により射出装置20を例えば図3に示す速度により動作させる射出・充填工程S1(第1工程)および押圧工程S2(第2工程)を経て、ダイカスト成形による鋳造品を得ることができる。
ダイカストマシン100は、図2に構成の一例を簡略に示すように、溶湯が充填されるキャビティ2を形成する固定金型3および可動金型4と、固定金型3および可動金型4に型締め力を与える型締め装置5と、油圧システム10と、キャビティ2に溶湯を射出する射出装置20と、ダイカストマシン100を制御する制御装置30とを備えている。
型締め装置5は、固定プラテン51と、図示しない可動プラテンおよびタイバーとを備えている。
本実施形態に開示するダイカスト成形によれば、金型3,4の分割面に対するキャビティ2およびランナ24の投影面積が、ダイカストマシン100に想定された大きさの範囲に留まる製品に加え、より投影面積が大きな製品をも、規定の型締め力を増強させることなく、同一のダイカストマシン100により鋳バリ発生等の支障なく成形することができる。
ここで、充填完了後の押湯によりキャビティ2の溶湯に加えられる力(押圧力)の大きさは、下記のメタル圧力に投影面積を乗じた値に相当する。金型3,4の隙間に溶湯が入り込んで固まる鋳バリ、あるいは金型3,4の隙間から溶湯が吹き出すフラッシュの発生を防ぐため、押圧力を型締め力よりも低い値に抑える必要がある。
メタル圧力は、キャビティ2の溶湯に加えられる圧力を言い、次式(1)により与えられる。
Pm=P×Ah/At ・・・(1)
Pm:メタル圧力
P :射出シリンダ10Cのピストンヘッド側圧力(流入油室C1の圧力)
Ah:射出シリンダ10Cのピストンヘッドの断面積
At:射出装置20のプランジャのチップの断面積
射出装置20は、固定プラテン51に設けられたスリーブ21と、スリーブ21に対して進退可能に設けられるプランジャ22とを備えている。プランジャ22のロッド22Aは、油圧システム10の射出シリンダ10Cのピストンロッド110Bに対して、カップリング221を介して結合している。
アルミニウム合金等の溶湯を注入口21Aからスリーブ21の内側に注入した後、射出シリンダ10Cによりプランジャ22をキャビティ2に向けて前進させると、プランジャ22のチップ22Bによりスリーブ21内から溶湯23が押し出され、固定金型3に形成されたランナ24やゲート25を通りキャビティ2に向けて射出される(射出・充填工程S1)。
プランジャ22がキャビティ2に向けて移動する速度のことを「射出速度」と称する。
射出速度を検出するため、例えばピストンロッド110Bに設置されたリニアエンコーダ等のセンサ19を用いることができる。
射出・充填工程S1の開始時から、プランジャ22の前進によりスリーブ21に溶湯が満たされ、溶湯がゲート25に到達するまでの間は、プランジャ22が相対的に低い低速域、例えば射出速度vLにて駆動される(図3の低速射出ステップS11)。溶湯がゲート25に到達するとプランジャ22による射出速度が相対的に高い高速域、例えば目標速度vTへと切り替えられ(図3の高速射出ステップS12)、プランジャ22を一気に前進させて溶湯をキャビティ2に充填する。
ここで、金型3,4の分割面に対するキャビティ2およびランナ24の投影面積が大きいほど、溶湯の流動長が長い。そのため、特に、投影面積が大きい製品を成形する場合は、金型3,4により溶湯が凝固しないうち、つまり出来るだけ短時間のうちに、キャビティ2の全体に亘って溶湯が充填されるように、低速射出ステップS11から高速射出ステップS12へと急激に射出速度を増加させて大流量で溶湯を射出する必要がある。
図1は、油圧システム10の油圧回路の一例を示している。油圧システム10は、射出装置20(図2)を油圧により駆動する射出シリンダ10Cと、第1アキュムレータ11と、第1アキュムレータ11から作動油を受け入れ可能な第2アキュムレータ12と、油圧ポンプ13と、射出シリンダ10Cに供給される作動油の流量を調整可能な流量調整弁14と、適時に開閉される開閉弁151~154と、油圧ポンプ13への作動油の逆流を防ぐチェック弁16と、作動油を貯留する貯留タンク17とを備えている。
流量調整弁14は、サーボ弁であることが好ましい。サーボ弁は、例えば、サーボモータ14A、ボールねじ等の直動機構、ベアリングおよびスプール等を備えている。
射出シリンダ10Cは、シリンダ本体111と、ピストン110と、ピストンヘッド110A側の流入油室C1と、ピストンロッド110B側の排出油室C2とを備えている。流入油室C1は、開閉弁151,152の開閉状態に応じて、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12のうち少なくとも第1アキュムレータ11に接続される。つまり、射出シリンダ10Cは、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12のうち少なくとも第1アキュムレータ11から油圧を得る。
排出油室C2は、流量調整弁14を介して貯留タンク17に接続されている。排出油室C2からの作動油の排出流量を流量調整弁14により調整すると、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cの流入油室C1に得られる圧油が調整されることで、プランジャ22による射出速度が制御される。
流量調整弁14が排出油室C2に接続されていると、負荷変動に対する射出シリンダ10Cの動作安定性や、流量調整弁14の動作に対するプランジャ22の追従性に優れる。
本実施形態とは異なり、流量調整弁14が流入油室C1に接続されることも許容される。その場合でも、流入油室C1に流入する作動油の流量が流量調整弁14により調整されることで、プランジャ22による射出速度が制御される。
第1アキュムレータ11、第2アキュムレータ12、および油圧ポンプ13は、油圧システム10の油圧源に相当する。
第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12のいずれも、封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積し、蓄積された作動油の圧力(チャージ圧)を適時に放出することが可能である。
第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12は、各々のシリンダ内のピストン11A,12Aよりも上方の区画に図示しないガス供給源から窒素ガス等の不活性ガスを給気可能に構成されている。
なお、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12は、ピストンを備えたピストン形アキュムレータには限られず、公知の適宜なアキュムレータであってよい。
第1アキュムレータ11は、開閉弁151,154を介して射出シリンダ10Cの流入油室C1に接続されている。第2アキュムレータ12は、開閉弁152,154を介して射出シリンダ10Cの流入油室C1に接続されている。
第1アキュムレータ11に圧力を蓄える際は、開閉弁151,153を開き、開閉弁152,154を閉じた状態で、第1アキュムレータ11の初期チャージ圧(第1初期チャージ圧P1)に到達するまで、貯留タンク17の作動油を油圧ポンプ13により第1アキュムレータ11に圧送する。第1アキュムレータ11への圧力蓄積が終了したならば、開閉弁151,153が閉じられる。
第1初期チャージ圧P1は、開閉弁151,154を開いた時に第1アキュムレータ11から作動油が供給される流入油室C1の圧力(射出圧力)に相当し、図示しない圧力センサにより検知される。
第2アキュムレータ12に圧力を蓄える際は、開閉弁152,153を開き、開閉弁151,154を閉じた状態で、第2アキュムレータ12の初期チャージ圧(第2初期チャージ圧P2)に到達するまで、貯留タンク17の作動油を油圧ポンプ13により第2アキュムレータ12に圧送する。一般的には、第2初期チャージ圧P2は第1初期チャージ圧P1よりも大きい。
第2アキュムレータ12への圧力蓄積が終了したならば、開閉弁152,153が閉じられる。
第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とは、開閉弁151,152のいずれも開いた状態のとき、互いに連通している。開閉弁151,152の少なくとも一方が閉じた状態のとき、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とは連通していない。
射出・充填工程S1は、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とが連通しておらず、第1アキュムレータ11と射出シリンダ10Cとが連通した状態で、第1アキュムレータ11により射出シリンダ10Cに油圧を得ながら行われる。この状態から、後述するように充填完了時に開閉弁152を開くことで、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させる。
なお、開閉弁152は、開度の調整が可能な調整弁であってもよい。つまり、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させるとき、開閉弁152は、全開に限らず、絞られていてもよい。
制御装置30は、ダイカストマシン100を所定の鋳造条件に基づいて制御する。この制御装置30は、ダイカストマシン100の必ずしも全体を制御する必要はなく、ダイカストマシン100の一部を制御するものであれば良い。
制御装置30は、上述の流量調整弁14や開閉弁151~154等に制御指令を送り、動作させる。
制御装置30には種々の鋳造条件を設定可能である。設定可能な一の鋳造条件(第1鋳造条件)において、射出・充填工程S1による充填の完了時に、第1アキュムレータ11における第1圧力がPACC1、第2アキュムレータ12における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ。
また、制御装置30に設定可能な他の鋳造条件(第2鋳造条件)において、PACC1<PACC2が成り立つ。この第2鋳造条件は、典型例に相当する。第2鋳造条件を設定する場合は、充填完了に伴い、油圧源が第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと切り替えられる。
図1および図3を参照し、ダイカストマシン100を用いたダイカスト成形の手順の一例を説明する。図3には、射出速度を破線で示し、メタル圧力を実線で示している。
まず、充填の完了時にPACC1>PACC2が成り立つように第1鋳造条件を設定した場合について説明する。充填の完了時にPACC1>PACC2であることにより、以下で説明するように、充填完了時に第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12を連通させることで、第1アキュムレータ11から流出した作動油の一部が第2アキュムレータ12へと流入する。その結果、メタル圧力を抑え、メタル圧力に投影面積を乗じた押圧力の大きさを抑えることができるので、第1鋳造条件は、投影面積が大きい製品に適用可能である。
射出開始前の準備の一環として、第1アキュムレータ11に第1初期チャージ圧P1を蓄え、かつ、第2アキュムレータ12に第2初期チャージ圧P2を蓄える(蓄圧工程)。
次いで、開閉弁152,153を閉じたまま、開閉弁151,154を開くことで、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cに得られる油圧により、射出・充填工程S1を開始する。射出・充填工程S1に亘り第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とは連通していない。
射出・充填工程S1の開始時から、溶湯がゲート25に到達するまでの低速射出ステップS11では、流量調整弁14を所定の開度に絞ることで、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cに供給される作動油の流量を射出速度vLに対応する流量に制限する。
低速射出ステップS11から高速射出ステップS12への射出速度の切り替えに際し、射出速度を目標速度vTに向けて急激に増加させるため、流量調整弁14を低速域に対応した開度から一旦全開状態の開度に変更した後、目標速度vTに対応する開度に調整する。
高速射出ステップS12においてキャビティ2の全体に溶湯が行き渡るのとほぼ同時にキャビティ2の溶湯の圧力(メタル圧力)が急激に増加し、これに伴い増加した射出圧力が所定の切替圧力に到達すると、射出速度のフィードバック制御から射出圧力のフィードバック制御へと制御が切り替わり、押圧工程S2へと移行する。
図3に示す例では、充填の完了時には、メタル圧力が実線で示されているようにPmまで増加する。
図4(a)は、キャビティ2の全体に亘る溶湯の充填が完了した状態を示している。
充填完了時には、第1アキュムレータ11のチャージ圧が第1初期チャージ圧P1に対してPACC1まで減少している。このとき第1アキュムレータ11にはチャージ圧PACC1に対応するガスの体積VACC1が与えられている。
一方、開閉弁152が閉じられているため第1アキュムレータ11と連通していない第2アキュムレータ12のチャージ圧は、第2初期チャージ圧P2と同じPACC2である。このとき第2アキュムレータ12にはチャージ圧PACC2に対応するガスの体積VACC2が与えられている。
上述の鋳造条件に基づいて、PACC1>PACC2である。
充填完了に伴う押圧工程S2への移行時には、開閉弁153を閉じたまま、開閉弁151,154に加えて開閉弁152も開くことで、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させる。
そうすると、図4(b)に作動油の流れを矢印で示すように、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cおよび第2アキュムレータ12の双方へと作動油が流れる。
このとき、第1アキュムレータ11から流出する作動油の体積をΔVACC1で示し、第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと流入する作動油の体積をΔVACC2で示す。また、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cへと流入する作動油の体積をΔVCYLで示し、第1アキュムレータ11のチャージ圧PACC1と第2アキュムレータ12のチャージ圧PACC2とのバランスした圧力をPLOWで示す。PLOWは、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させる前における第1アキュムレータ11のチャージ圧PACC1に対して低い。
押圧工程S2では、PLOWにバランスした第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12の双方から射出シリンダ10Cに得られる油圧によりキャビティ2の溶湯が押圧される。
ここで、PLOWは、下記の3つの方程式からなる連立方程式(2)により導くことができる。
PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2 ・・・(2)
〔充填の完了時に関して〕
PACC1:第1アキュムレータ11のチャージ圧(第1圧力)
PACC2:第2アキュムレータ12のチャージ圧(第2圧力)
VACC1:第1アキュムレータ11のガスの体積
VACC2:第2アキュムレータ12のガスの体積
〔作動油の流出および流入に関して〕
ΔVACC1:第1アキュムレータ11から流出する作動油の体積
ΔVACC2:第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと流入する作動油の体積
ΔVCYL:第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cへと流入する作動油の体積
PLOW:PACC1とPACC2とがバランスした圧力(第3圧力)
n:熱力学におけるポリトロープ指数
押圧工程S2では、流量調整弁14を絞りつつ、PLOWにバランスした第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12の双方から射出シリンダ10Cに得られる油圧によりキャビティ2の溶湯にメタル圧力Pm(図3)を付与する。Pmは、上述の式(1)より、PLOW×Ah/Atに相当する。
メタル圧力を所定時間に亘りPmに維持することで、キャビティ2の溶湯を押湯により緻密化させたならば、金型3,4を開いて製品を取り出し、プランジャ22を後退させる。型開き後、次のサイクルの射出・充填工程S1の開始までの間、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12への蓄圧を行うことができる。
さて、第2鋳造条件を設定した場合は、充填完了時にPACC1<PACC2が成り立つように、第2アキュムレータ12の初期チャージ圧P2が、第1鋳造条件を設定した場合の初期チャージ圧P2と比べて大きい。そして、充填完了に伴い、開閉弁151を閉じて第1アキュムレータ11と射出シリンダ10Cとの連通を遮断するとともに、開閉弁152を開き、第2アキュムレータ12から射出シリンダ10Cに油圧を得る。こうした弁の開閉により射出シリンダ10Cに作動油を供給する油圧源を第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと切り替えることを除いて、第2鋳造条件を設定する場合の手順は、第1鋳造条件を設定する場合と同様である。
図3には、第2鋳造条件を設定する場合のメタル圧力Pm1,Pm2を示している。メタル圧力Pm1は、充填完了時のPACC1に対応しており、メタル圧力Pm2は、充填完了時のPACC2に対応している。PACC1<PACC2の大小関係と同様に、Pm1<Pm2である。
第2鋳造条件を採用すると、油圧源の第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12への切り替えに伴い、メタル圧力が図3に二点鎖線で示すように大幅に増加する。
投影面積が大きな製品に第2鋳造条件を採用した場合を想定すると、例えば、充填完了時までは、メタル圧力Pm1に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超えないが、その後の押圧工程S2において、メタル圧力Pm2に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超える可能性がある。あるいは、充填完了時に既に、メタル圧力Pm1に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超える可能性すらある。
それに対して、第1鋳造条件を設定し、充填完了に伴い第1アキュムレータ11のチャージ圧と第2アキュムレータ12のチャージ圧とをバランスさせることにより、投影面積が大きいとしても、型締め力を超えない程度の押圧力による押湯が可能となる。
つまり、図3に示すメタル圧力Pmから言えるように、充填完了時に押湯のため押圧力を増強させる必要は必ずしもない。
なお、充填完了時に第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと作動油を移送する代わりに、射出開始前に、第1アキュムレータ11から図示しない排出用タンク等にガスを抜くことで、メタル圧力Pm1を下げることもできる。しかし、その場合は、投影面積が大きいため流動長の長い製品に必要な射出時の加速度を得ることが難しい。
本実施形態によれば、典型的な第2鋳造条件を採用すると鋳バリ等が発生する程に投影面積が大きな製品をも、ダイカストマシン100に規定の型締め力を増強させることなく、同一のダイカストマシン100を使用して鋳バリ発生等の支障なく成形することができる。
また、本実施形態は、鋳バリが生じないまでも、金型3,4への過大な負荷を避けることができるので、金型3,4の寿命の観点からも好ましい。
(変形例)
上記実施形態(図1~図4)の第2アキュムレータ12に代えて、充填完了時に第1アキュムレータ11に貯留された作動油の一部を受け入れ可能な容器(12)を用いることもできる。かかる容器(12)は、充填完了に先立ち、所定の圧力が蓄えられていてもよいし、大気に開放されていてもよい。
こうした変形例によっても、充填完了時に開閉弁152を所定の開度に開くことで第1アキュムレータ11と容器(12)とを連通させ、第1アキュムレータ11から容器(12)へと作動油を受け入れることにより、第1アキュムレータ11から容器(12)へと作動油が流入した分、第1アキュムレータ11のチャージ圧が減少する。その結果、押圧工程S2において少なくとも第1アキュムレータ11により射出シリンダ10Cに油圧を得つつ、メタル圧力を抑え、鋳バリ等を発生させることなく押湯をすることができる。
当該変形例において、容器(12)は、充填完了時に第1アキュムレータ11から圧油を移送するためのバッファとして機能する。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2 キャビティ
3 固定金型
4 可動金型
5 型締め装置
10 油圧システム
10C 射出シリンダ
11 第1アキュムレータ
11A,12A ピストン
12 第2アキュムレータ(容器)
13 油圧ポンプ
14 流量調整弁
14A サーボモータ
16 チェック弁
17 貯留タンク
19 センサ
20 射出装置
21 スリーブ
21A 注入口
22 プランジャ
22A ロッド
22B チップ
23 溶湯
24 ランナ
25 ゲート
30 制御装置
51 固定プラテン
100 ダイカストマシン
110 ピストン
110A ピストンヘッド
110B ピストンロッド
111 シリンダ本体
151~154 開閉弁
221 カップリング
C1 流入油室
C2 排出油室
PACC1 充填完了時の第1アキュムレータのチャージ圧(第1圧力)
PACC2 充填完了時の第2アキュムレータのチャージ圧(第2圧力)
Pm,Pm1,Pm2 メタル圧力
S1 射出・充填工程(第1工程)
S11 低速射出ステップ
S12 高速射出ステップ
S2 押圧工程(第2工程)
vL 射出速度
vT 目標速度

Claims (6)

  1. 油圧により駆動される射出装置を用いるダイカスト成形方法であって、
    封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、前記アキュムレータから前記作動油を受け入れ可能な容器と、前記アキュムレータおよび前記容器のうち少なくとも前記アキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を使用し、
    前記アキュムレータと前記容器とが連通していない状態で、前記アキュムレータからの油圧により前記射出装置を駆動してキャビティに溶湯を充填する第1工程と、
    前記アキュムレータと前記容器とを連通させると、前記アキュムレータから前記射出シリンダおよび前記容器の双方へと前記作動油が流れる第2工程と、を備え、
    前記第1工程による充填の完了時において、前記アキュムレータにおける第1圧力に対して前記容器における第2圧力が低い、ダイカスト成形方法。
  2. 前記アキュムレータは、第1のアキュムレータであり、
    前記容器は、第2のアキュムレータであり、
    前記第1工程に先立ち、前記第1のアキュムレータおよび前記第2のアキュムレータにそれぞれ圧力を蓄える、
    請求項1に記載のダイカスト成形方法。
  3. 前記第2工程では、
    前記第1圧力と前記第2圧力との間の第3圧力にバランスした前記第1のアキュムレータおよび前記第2のアキュムレータの双方から前記射出シリンダに得られる油圧により前記キャビティの溶湯が押圧される、
    請求項2に記載のダイカスト成形方法。
  4. 前記充填の完了時において、
    前記第1圧力がPACC1、前記第2圧力がPACC2、前記第1のアキュムレータのガスの体積がVACC1、前記第2のアキュムレータのガスの体積がVACC2であり、
    前記第1のアキュムレータと前記第2のアキュムレータとの連通に伴い、
    前記第1のアキュムレータから流出する前記作動油の体積がΔVACC1、前記第1のアキュムレータから前記第2のアキュムレータへと流入する前記作動油の体積がΔVACC2、前記第1のアキュムレータから前記射出シリンダへと流入する前記作動油の体積がΔVCYL、前記第1圧力と前記第2圧力とがバランスした第3圧力がPLOWであり、
    熱力学におけるポリトロープ指数がnであるとすると、
    下記の連立方程式により前記第3圧力であるPLOWが導かれる、
    PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
    PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
    ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2
    請求項3に記載のダイカスト成形方法。
  5. ダイカストマシンを所定の鋳造条件に基づいて制御する制御装置であって、
    前記ダイカストマシンに備わる射出装置を駆動する油圧システムは、
    封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、
    前記アキュムレータから前記作動油を受け入れ可能な容器と、
    前記アキュムレータおよび前記容器のうち少なくとも前記アキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を含み、
    設定可能な一の前記鋳造条件において、
    前記アキュムレータと前記容器とが連通していない状態で、前記アキュムレータからの油圧により前記射出装置を駆動することによるキャビティへの溶湯の充填の完了時に、前記アキュムレータにおける第1圧力がPACC1、前記容器における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ、制御装置。
  6. 設定可能な一の前記鋳造条件において、PACC1>PACC2が成り立ち、
    設定可能な他の鋳造条件において、PACC1<PACC2が成り立つ、
    請求項5に記載の制御装置。
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