JP7392523B2 - ダイカスト成形方法および制御装置 - Google Patents
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Description
射出工程の開始前に、充填用アキュムレータおよび増圧用アキュムレータにはそれぞれ規定の圧力が蓄えられる。特許文献1において、充填用アキュムレータへの蓄圧には油圧ポンプが用いられ、増圧用アキュムレータへの蓄圧には、油圧ポンプから供給される圧油により作動するブースターが用いられる。
金型の分割面に対するキャビティおよびランナの投影面積が大きいほど、溶湯の流動長が長い。そのため、投影面積が大きいほど、溶湯が凝固しないうちに、キャビティの全体に亘り溶湯を迅速に充填する必要があるので、プランジャによる射出速度を低速域から高速域へと切り替える際には、射出速度をごく短時間で十分な加速度により目標速度に到達させることが要求される。
第1工程による充填の完了時において、アキュムレータにおける第1圧力に対して容器における第2圧力が低い。
PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2
設定可能な一の鋳造条件において、アキュムレータと容器とが連通していない状態で、アキュムレータからの油圧により射出装置を駆動することによるキャビティへの溶湯の充填の完了時に、アキュムレータにおける第1圧力がPACC1、容器における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ。
そうすると、メタル圧力に投影面積を乗じた押圧力の大きさを型締め力よりも小さい値に抑えることができるので、投影面積が大きな製品であっても、鋳バリ発生等の支障なく成形することができる。
図1に示す油圧システム10は、図2に示すダイカストマシン100に備わる射出装置20を油圧により駆動する。油圧システム10により射出装置20を例えば図3に示す速度により動作させる射出・充填工程S1(第1工程)および押圧工程S2(第2工程)を経て、ダイカスト成形による鋳造品を得ることができる。
型締め装置5は、固定プラテン51と、図示しない可動プラテンおよびタイバーとを備えている。
ここで、充填完了後の押湯によりキャビティ2の溶湯に加えられる力(押圧力)の大きさは、下記のメタル圧力に投影面積を乗じた値に相当する。金型3,4の隙間に溶湯が入り込んで固まる鋳バリ、あるいは金型3,4の隙間から溶湯が吹き出すフラッシュの発生を防ぐため、押圧力を型締め力よりも低い値に抑える必要がある。
Pm=P×Ah/At ・・・(1)
Pm:メタル圧力
P :射出シリンダ10Cのピストンヘッド側圧力(流入油室C1の圧力)
Ah:射出シリンダ10Cのピストンヘッドの断面積
At:射出装置20のプランジャのチップの断面積
プランジャ22がキャビティ2に向けて移動する速度のことを「射出速度」と称する。
射出速度を検出するため、例えばピストンロッド110Bに設置されたリニアエンコーダ等のセンサ19を用いることができる。
流量調整弁14が排出油室C2に接続されていると、負荷変動に対する射出シリンダ10Cの動作安定性や、流量調整弁14の動作に対するプランジャ22の追従性に優れる。
第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12のいずれも、封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積し、蓄積された作動油の圧力(チャージ圧)を適時に放出することが可能である。
なお、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12は、ピストンを備えたピストン形アキュムレータには限られず、公知の適宜なアキュムレータであってよい。
第2アキュムレータ12への圧力蓄積が終了したならば、開閉弁152,153が閉じられる。
射出・充填工程S1は、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とが連通しておらず、第1アキュムレータ11と射出シリンダ10Cとが連通した状態で、第1アキュムレータ11により射出シリンダ10Cに油圧を得ながら行われる。この状態から、後述するように充填完了時に開閉弁152を開くことで、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させる。
なお、開閉弁152は、開度の調整が可能な調整弁であってもよい。つまり、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させるとき、開閉弁152は、全開に限らず、絞られていてもよい。
制御装置30は、上述の流量調整弁14や開閉弁151~154等に制御指令を送り、動作させる。
制御装置30には種々の鋳造条件を設定可能である。設定可能な一の鋳造条件(第1鋳造条件)において、射出・充填工程S1による充填の完了時に、第1アキュムレータ11における第1圧力がPACC1、第2アキュムレータ12における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ。
まず、充填の完了時にPACC1>PACC2が成り立つように第1鋳造条件を設定した場合について説明する。充填の完了時にPACC1>PACC2であることにより、以下で説明するように、充填完了時に第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12を連通させることで、第1アキュムレータ11から流出した作動油の一部が第2アキュムレータ12へと流入する。その結果、メタル圧力を抑え、メタル圧力に投影面積を乗じた押圧力の大きさを抑えることができるので、第1鋳造条件は、投影面積が大きい製品に適用可能である。
次いで、開閉弁152,153を閉じたまま、開閉弁151,154を開くことで、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cに得られる油圧により、射出・充填工程S1を開始する。射出・充填工程S1に亘り第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とは連通していない。
高速射出ステップS12においてキャビティ2の全体に溶湯が行き渡るのとほぼ同時にキャビティ2の溶湯の圧力(メタル圧力)が急激に増加し、これに伴い増加した射出圧力が所定の切替圧力に到達すると、射出速度のフィードバック制御から射出圧力のフィードバック制御へと制御が切り替わり、押圧工程S2へと移行する。
図3に示す例では、充填の完了時には、メタル圧力が実線で示されているようにPmまで増加する。
充填完了時には、第1アキュムレータ11のチャージ圧が第1初期チャージ圧P1に対してPACC1まで減少している。このとき第1アキュムレータ11にはチャージ圧PACC1に対応するガスの体積VACC1が与えられている。
一方、開閉弁152が閉じられているため第1アキュムレータ11と連通していない第2アキュムレータ12のチャージ圧は、第2初期チャージ圧P2と同じPACC2である。このとき第2アキュムレータ12にはチャージ圧PACC2に対応するガスの体積VACC2が与えられている。
上述の鋳造条件に基づいて、PACC1>PACC2である。
そうすると、図4(b)に作動油の流れを矢印で示すように、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cおよび第2アキュムレータ12の双方へと作動油が流れる。
このとき、第1アキュムレータ11から流出する作動油の体積をΔVACC1で示し、第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと流入する作動油の体積をΔVACC2で示す。また、第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cへと流入する作動油の体積をΔVCYLで示し、第1アキュムレータ11のチャージ圧PACC1と第2アキュムレータ12のチャージ圧PACC2とのバランスした圧力をPLOWで示す。PLOWは、第1アキュムレータ11と第2アキュムレータ12とを連通させる前における第1アキュムレータ11のチャージ圧PACC1に対して低い。
PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2 ・・・(2)
〔充填の完了時に関して〕
PACC1:第1アキュムレータ11のチャージ圧(第1圧力)
PACC2:第2アキュムレータ12のチャージ圧(第2圧力)
VACC1:第1アキュムレータ11のガスの体積
VACC2:第2アキュムレータ12のガスの体積
〔作動油の流出および流入に関して〕
ΔVACC1:第1アキュムレータ11から流出する作動油の体積
ΔVACC2:第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12へと流入する作動油の体積
ΔVCYL:第1アキュムレータ11から射出シリンダ10Cへと流入する作動油の体積
PLOW:PACC1とPACC2とがバランスした圧力(第3圧力)
n:熱力学におけるポリトロープ指数
メタル圧力を所定時間に亘りPmに維持することで、キャビティ2の溶湯を押湯により緻密化させたならば、金型3,4を開いて製品を取り出し、プランジャ22を後退させる。型開き後、次のサイクルの射出・充填工程S1の開始までの間、第1アキュムレータ11および第2アキュムレータ12への蓄圧を行うことができる。
第2鋳造条件を採用すると、油圧源の第1アキュムレータ11から第2アキュムレータ12への切り替えに伴い、メタル圧力が図3に二点鎖線で示すように大幅に増加する。
投影面積が大きな製品に第2鋳造条件を採用した場合を想定すると、例えば、充填完了時までは、メタル圧力Pm1に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超えないが、その後の押圧工程S2において、メタル圧力Pm2に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超える可能性がある。あるいは、充填完了時に既に、メタル圧力Pm1に投影面積を乗じた押圧力が型締め力を超える可能性すらある。
それに対して、第1鋳造条件を設定し、充填完了に伴い第1アキュムレータ11のチャージ圧と第2アキュムレータ12のチャージ圧とをバランスさせることにより、投影面積が大きいとしても、型締め力を超えない程度の押圧力による押湯が可能となる。
つまり、図3に示すメタル圧力Pmから言えるように、充填完了時に押湯のため押圧力を増強させる必要は必ずしもない。
また、本実施形態は、鋳バリが生じないまでも、金型3,4への過大な負荷を避けることができるので、金型3,4の寿命の観点からも好ましい。
上記実施形態(図1~図4)の第2アキュムレータ12に代えて、充填完了時に第1アキュムレータ11に貯留された作動油の一部を受け入れ可能な容器(12)を用いることもできる。かかる容器(12)は、充填完了に先立ち、所定の圧力が蓄えられていてもよいし、大気に開放されていてもよい。
当該変形例において、容器(12)は、充填完了時に第1アキュムレータ11から圧油を移送するためのバッファとして機能する。
3 固定金型
4 可動金型
5 型締め装置
10 油圧システム
10C 射出シリンダ
11 第1アキュムレータ
11A,12A ピストン
12 第2アキュムレータ(容器)
13 油圧ポンプ
14 流量調整弁
14A サーボモータ
16 チェック弁
17 貯留タンク
19 センサ
20 射出装置
21 スリーブ
21A 注入口
22 プランジャ
22A ロッド
22B チップ
23 溶湯
24 ランナ
25 ゲート
30 制御装置
51 固定プラテン
100 ダイカストマシン
110 ピストン
110A ピストンヘッド
110B ピストンロッド
111 シリンダ本体
151~154 開閉弁
221 カップリング
C1 流入油室
C2 排出油室
PACC1 充填完了時の第1アキュムレータのチャージ圧(第1圧力)
PACC2 充填完了時の第2アキュムレータのチャージ圧(第2圧力)
Pm,Pm1,Pm2 メタル圧力
S1 射出・充填工程(第1工程)
S11 低速射出ステップ
S12 高速射出ステップ
S2 押圧工程(第2工程)
vL 射出速度
vT 目標速度
Claims (6)
- 油圧により駆動される射出装置を用いるダイカスト成形方法であって、
封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、前記アキュムレータから前記作動油を受け入れ可能な容器と、前記アキュムレータおよび前記容器のうち少なくとも前記アキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を使用し、
前記アキュムレータと前記容器とが連通していない状態で、前記アキュムレータからの油圧により前記射出装置を駆動してキャビティに溶湯を充填する第1工程と、
前記アキュムレータと前記容器とを連通させると、前記アキュムレータから前記射出シリンダおよび前記容器の双方へと前記作動油が流れる第2工程と、を備え、
前記第1工程による充填の完了時において、前記アキュムレータにおける第1圧力に対して前記容器における第2圧力が低い、ダイカスト成形方法。 - 前記アキュムレータは、第1のアキュムレータであり、
前記容器は、第2のアキュムレータであり、
前記第1工程に先立ち、前記第1のアキュムレータおよび前記第2のアキュムレータにそれぞれ圧力を蓄える、
請求項1に記載のダイカスト成形方法。 - 前記第2工程では、
前記第1圧力と前記第2圧力との間の第3圧力にバランスした前記第1のアキュムレータおよび前記第2のアキュムレータの双方から前記射出シリンダに得られる油圧により前記キャビティの溶湯が押圧される、
請求項2に記載のダイカスト成形方法。 - 前記充填の完了時において、
前記第1圧力がPACC1、前記第2圧力がPACC2、前記第1のアキュムレータのガスの体積がVACC1、前記第2のアキュムレータのガスの体積がVACC2であり、
前記第1のアキュムレータと前記第2のアキュムレータとの連通に伴い、
前記第1のアキュムレータから流出する前記作動油の体積がΔVACC1、前記第1のアキュムレータから前記第2のアキュムレータへと流入する前記作動油の体積がΔVACC2、前記第1のアキュムレータから前記射出シリンダへと流入する前記作動油の体積がΔVCYL、前記第1圧力と前記第2圧力とがバランスした第3圧力がPLOWであり、
熱力学におけるポリトロープ指数がnであるとすると、
下記の連立方程式により前記第3圧力であるPLOWが導かれる、
PACC1・VACC1 n=PLOW・(VACC1+ΔVACC1)n
PACC2・VACC2 n=PLOW・(VACC2-ΔVACC2)n
ΔVACC1=ΔVCYL+ΔVACC2
請求項3に記載のダイカスト成形方法。 - ダイカストマシンを所定の鋳造条件に基づいて制御する制御装置であって、
前記ダイカストマシンに備わる射出装置を駆動する油圧システムは、
封入されたガスを圧縮させながら作動油の圧力を蓄積可能なアキュムレータと、
前記アキュムレータから前記作動油を受け入れ可能な容器と、
前記アキュムレータおよび前記容器のうち少なくとも前記アキュムレータから油圧を得る射出シリンダと、を含み、
設定可能な一の前記鋳造条件において、
前記アキュムレータと前記容器とが連通していない状態で、前記アキュムレータからの油圧により前記射出装置を駆動することによるキャビティへの溶湯の充填の完了時に、前記アキュムレータにおける第1圧力がPACC1、前記容器における第2圧力がPACC2であるとすると、PACC1>PACC2が成り立つ、制御装置。 - 設定可能な一の前記鋳造条件において、PACC1>PACC2が成り立ち、
設定可能な他の鋳造条件において、PACC1<PACC2が成り立つ、
請求項5に記載の制御装置。
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