JP7137539B2 - 窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板上に、n型のAlGaNにより形成されるn型クラッド層を、1090℃以上1120℃以下の第1の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、前記n型クラッド層をエピタキシャル成長させる工程後、1.0℃/秒以上の降温速度で降温を行うことにより成長温度を、1050℃以上1080℃以下の第2の成長温度まで下げる降温工程と、前記降温工程後、前記n型クラッド層上に、AlGaNにより形成される活性層を前記第2の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、を含み、前記第1の成長温度と前記第2の成長温度との差が30℃以上40℃以下である、窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
図1は、本発明の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法で製造される窒化物半導体発光素子の構成の一例を概略的に示す断面図である。なお、図1における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の窒化物半導体発光素子の寸法比と一致するものではない。この窒化物半導体発光素子1(以下、単に「発光素子1」ともいう)には、例えば、レーザダイオードや発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が含まれる。以下では、発光素子1として、中心波長が250nm~360nmの紫外光を発する発光ダイオード(LED)を例に挙げて説明する。
透明基板11は、発光素子1が発する深紫外光に対して透光性を有する基板であり、例えば、サファイア(Al2O3)により形成されたサファイア基板である。なお、透明基板11は、窒化アルミニウム(AlN)により形成されたAlN単結晶基板でもよい。また、この場合、バッファ層121は、必ずしも設けなくてもよい。透明基板11は、基板の一例である。
窒化物半導体層12を構成する半導体には、例えば、AlrGasIn1-r-sN(0≦r≦1、0≦s≦1、0≦r+s≦1)にて表される2元系、3元系若しくは4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。また、これらのIII族元素の一部は、ホウ素(B)、タリウム(Tl)等で置き換えても良く、また、Nの一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、又はビスマス(Bi)等で置き換えても良い。
電極13は、n型クラッド層122上に形成されたカソード側電極部(「n電極」ともいう。)131と、コンタクト層126上に形成されたアノード側電極部(「p電極」ともいう。)132と、を有している。
次に、発光素子1の製造方法について説明する。本発明の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)は、主として、以下の工程を含む。
(1)透明基板11上に窒化物半導体層12を成長させる工程、
(2)エッチングを施す工程、
(3)電極を形成する工程、及び
(4)チップに切断する工程。
以下、具体的に説明する。
この工程では、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシ法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:HVPE)等の周知のエピタキシャル成長法を用いて、透明基板11上に窒化物半導体層12を成長させる。
(a)透明基板11上にバッファ層121を高温成長させる工程、
(b)バッファ層121上にn型クラッド層122を高温成長させる工程、
(c)予め定められた時間(以下、「インターバル」ともいう。)で降温を行い、成長温度を目標とする温度まで下げる工程(以下、「降温工程」ともいう。)、及び
(d)障壁層123a及び井戸層123bを交互に形成した活性層123、電子ブロック層124、p型クラッド層125、及びコンタクト層126を順に積層して、所定の直径(例えば、50mm程度)を有する円板状の窒化物半導体積層体(「ウエハ」又は「ウェハ」ともいう)を形成する工程。
次に、コンタクト層126の上にマスクを形成し、活性層123、電子ブロック層124、p型クラッド層125及びコンタクト層126においてマスクが形成されていないぞれぞれの露出領域を除去する。活性層123、電子ブロック層124、p型クラッド層125及びコンタクト層126の除去は、例えば、プラズマエッチングにより行うことができる。
次に、n型クラッド層122の露出面上にn電極131を形成し、マスクを除去したコンタクト層126上にp電極132を形成する。n電極131及びp電極132は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。このウエハを所定の寸法に切り分けることにより、図1に示す発光素子1が形成される。
次に、本発明の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法の実施例について具体的に説明する。図3は、成長温度の制御の一例を示す図であり、(a)は、基板ヒーターの出力の一例を示す図、(b)は、キャリアガスの流量の一例を示す図、(c)は、成長温度のプロファイルの一例を示す図である。
次に、上記の実施例に係る窒化物半導体発光素子の製造方法により製造された発光素子1の発光出力を測定した結果について説明する。発光出力は、種々の公知の方法で測定することが可能であるが、本実施例では、一例として、1枚のウエハの中心部と縁部とにそれぞれIn(インジウム)電極を付着し、この電極に所定の電流を流してウエハの中心部を発光させ、所定の位置に設置した光検出器(不図示)によりこの発光を測定する方法を用いた。なお、測定時に流した電流の大きさは、20mAとした。以下、2つの実験結果についてそれぞれ説明する。
第1の実験では、n型クラッド層122の成長の終了から活性層123の成長の開始まで間(すなわち、インターバル中)に実行する降温工程における降温速度と発光出力との関係を調べた。なお、インターバルの長さは、降温時間と略等しい。インターバル中、降温工程の実行を継続するためである。図4は、降温速度と発光出力との関係を示す図である。図4の横軸は、降温速度(℃/秒)を示し、縦軸は、発光出力(任意単位)を示す。
第2の実験では、n型クラッド層122の成長温度及び活性層123の成長温度の差(以下、「温度差」ともいう。)と発光出力との関係を調べた。この第2の実験では、上述した本製造方法によって作製したサンプルのうち、降温速度を1.3±0.3℃/秒以上として作製したサンプルの発光出力を測定した。図5は、温度差と発光出力との関係を示す図である。なお、温度差℃は、n型クラッド層122の成長温度としての、n型クラッド層122の成長時の外側の温度及び内側の温度の平均値と、活性層123の成長温度としての、活性層123の成長時の外側の温度及び内側の温度の平均値との差とした。
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[2]前記第1の成長温度と前記第2の成長温度との差が20℃以上40℃以下である、前記[1]に記載の窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
[3]前記降温工程における降温時間は、40秒以下である、前記[1]又は[2]に記載の窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
[4]前記降温工程は、前記基板を保持する保持部材の下部に設けられた熱源の出力を制御することにより行われる、前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
[5]前記降温工程は、キャリアガスの流量を制御することにより行われる、前記[1]から前記[4]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
11…透明基板
12…窒化物半導体層
121…バッファ層
122…n型クラッド層
123…活性層
123a…障壁層
123b…井戸層
124…電子ブロック層
125…p型クラッド層
126…コンタクト層
13…電極
131…カソード側電極(n電極)
132…アノード側電極(p電極)
2…サセプタ
20…中心軸
21…基板保持部
3…基板ヒーター
3A…インナーヒーター
3B…アウターヒーター
Claims (5)
- 基板上に、n型のAlGaNにより形成されるn型クラッド層を、1090℃以上1120℃以下の第1の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、
前記n型クラッド層をエピタキシャル成長させる工程後、1.0℃/秒以上の降温速度で降温を行うことにより成長温度を、1050℃以上1080℃以下の第2の成長温度まで下げる降温工程と、
前記降温工程後、前記n型クラッド層上に、AlGaNにより形成される活性層を前記第2の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、
を含み、
前記降温工程における降温時間は、40秒以下である、窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 基板上に、n型のAlGaNにより形成されるn型クラッド層を、1090℃以上1120℃以下の第1の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、
前記n型クラッド層をエピタキシャル成長させる工程後、1.0℃/秒以上の降温速度で降温を行うことにより成長温度を、1050℃以上1080℃以下の第2の成長温度まで下げる降温工程と、
前記降温工程後、前記n型クラッド層上に、AlGaNにより形成される活性層を前記第2の成長温度でエピタキシャル成長させる工程と、
を含み、
前記第1の成長温度と前記第2の成長温度との差が30℃以上40℃以下である、窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記降温工程における降温時間は、40秒以下である、
請求項2に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記降温工程は、前記基板を保持する保持部材の下部に設けられた熱源の出力を制御することにより行われる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記降温工程は、キャリアガスの流量を制御することにより行われる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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