JP2004253819A - Iii族窒化物半導体発光素子 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 III族窒化物半導体発光素子を用いて青色帯から緑色帯にかけての単色性に優れる短波長光を高強度で発光できるようにする。
【解決手段】 この発明のIII 族窒化物半導体発光素子は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層101とp形障壁層102との中間に、インジウム含有III族窒化物半導体から成るn形発光層としての井戸層202,204と、その井戸層202,204に比して禁止帯幅をより大とするIII族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層202,204と同一の電気伝導形を有するバリア層201,203,205と、を多重に積層して成る多重量子井戸構造を挟持して成る発光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子において、発光部を構成する井戸層202,204のn形障壁層101側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtvと、p形障壁層102側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtwとの関係がΔtw<Δtvである、ことを特徴としている。
【選択図】 図9

Description

この発明は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層とp形障壁層との中間に、インジウム含有III族窒化物半導体から成る発光層、或いはインジウム含有III族窒化物半導体から成る発光層としての井戸層を含む量子井戸構成体を狭持して成る発光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子に関するものである。
A.III族窒化物半導体発光素子
元素周期律表の第III族に属するアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)やインジウム(In)等と、第V族である窒素(N)との化合物は、所謂、禁止帯幅(band gap)が比較的大きいが、半導体の性質を呈するためIII族窒化物半導体と称される。これら一般式AlxGayInzN(0≦x,y,z≦1、x+y+z=1)で表される第V族元素として窒素のみを含むIII族窒化物半導体に加え、窒素以外の第V族元素である砒素(As)や燐(P)等を一構成元素として含むAlxGayInz1-aa(0≦x,y,z≦1、x+y+z=1、0<a≦1、M:窒素以外の第V族の構成元素)も一般にはIII族窒化物半導体の範疇とされている。このIII族窒化物半導体は、炭化珪素(SiC)やセレン化亜鉛(ZnSe)等のII−VI族化合物半導体と同様に、ワイドバンドギャップ(wide band gap)と称され、短波長の可視光或いは紫外光を放射する発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子を構成する材料として活用され、特に可視短波長光を発するに適する禁止帯幅を有するIII族窒化物半導体は、発光層を構成する材料として重用されている。
B.発光層を構成するIII族窒化物半導体材料
III族窒化物半導体を用いて構成したLEDを例にすれば、現在では緑色、青緑色、青色或いは紫色等の紫外帯域に迄及ぶ様々な発光波長を有する短波長LEDが実現されるに至っている。また、III族窒化物半導体を用いて構成したLDを例にすれば、青色LDの実用化に向けての研究開発が盛んに進められている。
このような発光素子にあって発光をもたらすのは、発光層或いは活性層と呼ばれる機能層である。III族窒化物を用いて構成したLEDにあって、量子井戸構造(Quantum Well:QW)と称する構成を有し波長を525nmとする高輝度の純緑色LED、若しくは波長を大凡490nm前後とする青緑色LED、或いは波長を450nm程度とする青色LEDなどの、短波長可視光を出力するLEDの各発光層には、窒化ガリウム・インジウム混晶(GacIn1-cN:0≦c<1)等のインジウムを構成元素として含むIII族窒化物半導体(インジウム含有III族窒化物半導体)が利用されている(特許文献1参照)。
特公昭55−3834号公報
窒化ガリウム・インジウム混晶が短波長発光素子の発光層として特に好ましく利用されるのは、インジウムの組成比を適宜、選択することをもって都合良く短波長の発光を与える禁止帯幅と成るからである。例えば、インジウム組成比を約0.05(5%)から約0.10(10%)とする窒化ガリウム・インジウム層は、波長を約450nmとする青色帯域の発光素子の発光層として利用されている(非特許文献1参照)。インジウム組成比を約0.15から約0.20とする亜鉛(Zn)がドーピングされた窒化ガリウム・インジウム層は、波長を約490nm前後とする青緑帯域の発光素子の発光層として用いられている(非特許文献2参照)。
Appl.Phys.Lett.、64(13)(1994)、1687〜1689頁 J.Crystal Growth、145(1994)、911〜917頁
C.III族窒化物発光素子の発光部の構成
LEDを例にして説明すれば、窒化ガリウム・インジウムを発光層とする発光部の構成には大別して3通りある。第一は、n形の窒化ガリウム・インジウム層とp形の窒化ガリウム・インジウムとの同一の物質相互のpn接合から成る所謂、ホモ接合から成る発光部である(特許文献2参照)。第2は、単一ヘテロ(SH)構造の発光部である(特許文献3参照)。
特開平3−203388号公報 特開平5−63236号公報
第3は、例えばクラッド層等の障壁層を成すp形とn形のIII族窒化物半導体層の中間に、窒化ガリウム・インジウム発光層を配置した発光部である(特許文献4参照)。ここで、障壁層とは、一般には、発光層を構成する半導体材料に対し、室温における電子の熱運動エネルギ(約0.26eV)を越えるバンドオフセットを発生させるために、キャリア(電子及び正孔)の通行にとって障壁として作用する半導体層のことを云う。発光層の両側をクラッド層等のn形とp形のIII族窒化物半導体の障壁層で狭持した構造は、pn接合型のダブルヘテロ(DH)構造と称されている。発光層を狭持する、発光層より禁止帯幅を大とする半導体から構成される障壁層は、発光をもたらす電子と正孔との放射再結合を、限定された領域即ち発光層内で、効率良く実施させる作用を帰結する。このキャリアの「閉じ込め」効果によりDH接合構造から成る発光部においては、上記のSH接合の場合に比較すればより高い強度の発光が得られる利点がある。このため、近年では砒化ガリウム(GaAs)系材料等の他のIII−V族化合物半導体LEDと同じく、窒化ガリウム系LEDにあってもpn接合を備えたDH構造型のLEDが主流となっている(特許文献5参照)。
特開平6−209120号公報 特開平6−260682号公報
ちなみに、実用化に至っている青色、青緑色或いは緑色を発する短波長LEDを例にすれば、クラッド層は通常窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AlxGayN:0≦x,y≦1、x+y=1)から構成されている(特許文献6参照)。特に、発光層の下部に配置する下部クラッド層はn形の窒化ガリウム(GaN)から構成する例がある(非特許文献3参照)。一方、p形の上部クラッド層は窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AlxGayN;0≦x,y≦1、x+y=1)から構成されるのが通例である(特許文献7参照)。
特開平6−260283号公報 Jpn.J.Appl.Phys.、32(1993)、L8〜L11頁 特開平6−268259号公報
発光部の構成は上記のように、大別すると3通りあるが、この他にさらに、ホモ接合、SH構造或いはDH構造の発光部に発光層として備えられている窒化ガリウム・インジウム層を井戸層とする量子井戸(QW)構造のものがある(非特許文献4、非特許文献5参照)。
Jpn.J.Appl.Phys.、21(9)(1982)、L574〜L576. Phys.Rev.、40(5)(1989)、3013〜3020.
具体的に記述すれば、窒化ガリウム・インジウム混晶の薄層を井戸層とし、窒化ガリウム(GaN)或いは窒化アルミニウム・ガリウム混晶(AldGa1-dN:0<d≦1)から成る薄層を障壁層とする単一量子井戸構造(Single QW:SQW)或いは多重量子井戸構造(Multi QW:MQW)である(特開平9−36430号公報明細書参照)。QW構造における障壁層は、矩形(方形)ポテンシャル井戸(井戸層)内に都合良く電子の量子準位の形成を可能にするバンド構成とするために、発光層(井戸層)と同一の電気伝導形の半導体層から構成されるのが通例である。したがって、電気伝導形から量子井戸の構成単位、すなわち単一量子井戸の構成を省みれば、例えばn形障壁層/n形井戸層/n形障壁層の積層構成が一例として挙げられる。MQWはこのような電気伝導形の積層関係を有する構成単位を反復して重層となしたものである。
本発明が対象とするのは、p形及びn形障壁層に狭持された発光層、或いは量子井戸(QW)構造に観られるように発光層(井戸層)と同一の電気伝導形の障壁層と接合を成す井戸層を含む発光部を備えたLED若しくはLD等の発光素子である。
単色性に優れる発光スペクトルをもたらす量子井戸構造から成る発光部の利点を流用すべく、近年では、III族窒化物半導体から成る障壁層と井戸層とから成る量子井戸構造の発光部を備えた窒化ガリウム・インジウム系の発光素子の例が多数報告されている。例えば、下記の特許文献8〜12、非特許文献6〜13に、III族窒化物半導体から構成される量子井戸構造を具備した発光素子の例が掲げられている。これらの従来例においては、インジウム含有III族窒化物半導体から成る発光層と、それを狭持する或いはそれに接合する障壁層との積層関係或いは接合関係が例示されている。
特開平6−164055号公報 特開平6−268257号公報 特開平7−7223号公報 特開平7−94784号公報 特開平7−297476号各公報 J.Vac.Sci.Technol.B、8(1990)、316頁 Appl.Phys.Lett.、56(1990)、1257頁 J.Appl.Phys.、74(1993)、3911頁 J.Electron.Mater.、21(1992)、437頁、609頁 Jpn.J.Appl.Phys.、30(Part1)(1991)、1924頁 Jpn.J.Appl.Phys.、34(1995)、L797頁 Jpn.J.Appl.Phys.、34(Part2)(1995)、L1332頁、L1517頁、 Jpn.J.Appl.Phys.、35(1996)、L74頁
D.インジウム含有III族窒化物半導体の発光機構
発光層をp形及びn形障壁層で狭持するDH構造から成る発光部、或いはp形及びn形障壁層の間に、井戸層と同一の電気伝導形の障壁層との接合から成る量子井戸構造を含むDH構造から成る発光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子にあって、より高出力化を果たすための技術動向が不鮮明たる一つの理由は、インジウム含有III族窒化物半導体からの発光の機構(メカニズム)が、従来において必ずしも明確となっていないことに因っている。最近では、発光の機構を説明する一例として、量子ドット等の発生による低次元のキャリアの遷移を介するメカニズムが挙げられている。また、発光層とするインジウム含有III族窒化物半導体発光層に「閉じ込め」られた状態の量子を介しての発光の可能性が示唆されている(非特許文献14参照)。
1997年(平成9年)春季第44回応用物理学関係連合講演会講演予稿集No.1、講演番号28a−D−6、178頁
しかし、キャリアの「閉じ込め」の実態は不明であって、どのようなバンド構成に因るのかも明かではない。どのような分布状態を示すキャリアが発光をもたらす再結合に寄与しているかは不明である。更には、”本来”のバンド端よりも低いレベルにある量子準位を介した発光も唱えられている(特許文献13参照)。しかし、”本来”のバンド端レベルより低いエネルギレベルに量子準位が形成されるとするのはそもそも理に合わない。
特開平8−316528号公報
以上纏めれば、従来のインジウム含有III族窒化物半導体を発光層とする発光部がもたらす発光は、局在する量子化されたキャリアの放射再結合に起因するものと推察されるものの、発光出力の向上をもたらすに適する量子準位を形成するに都合の良いバンド構造(ポテンシャル構成)が提示或いは特定されておらず、またそのポテンシャル構成に従い局在するキャリアが存在する領域についても、提示或いは特定されていないために、III族窒化物半導体発光素子の尚一層の発光出力の向上をもたらす技術施策の方向性を不定としているのが現状である。
E.発光層内での量子準位の発現
発光層をp形及びn形障壁層で狭持する構成の発光部、或いは井戸層にその井戸層と同一の電気伝導形の障壁層を接合させる量子井戸構造を含む発光部の何れにしても、発光層の内部に量子準位を発現するには、条件の整備が必要である。その一つの条件として、インジウム含有III族窒化物半導体発光層に接合する半導体層が、ポテンシャル井戸をもたらすに足る半導体材料から選択されていることが必要である。例えば、従来のIII族窒化物半導体発光素子に備えられている量子井戸構造における発光層を対称中心とする矩形(方形)ポテンシャル井戸を発現するタイプIとして分類される超格子(「半導体超格子の物理と応用」((株)培風館発行)、2頁参照)を得るには、次の式(1)及び式(2)の関係を満足する半導体材料から障壁層を構成する必要がある。
(Eg)a<(Eg)b ・・・・・・(1)
(Eg)a+χa<(Eg)b+χb ・・・(2)
ここで、(Eg)a:発光層の禁止帯幅
(Eg)b:障壁層の禁止帯幅
χa :発光層の電子親和力
χb :障壁層の電子親和力
F.対称型矩形ポテンシャル井戸構成において量子準位を安定して発現するための条件
上記のように、発光層及び障壁層を上記の式(1)及び式(2)を満足するIII族窒化物半導体材料を用いて量子井戸構造を形成するのが先ず第1の条件ではあるが、その第1の条件を満足させても、所望するところのエネルギレベルの量子準位が発現されるとは必ずしも限らない。量子準位を確実に発現させるに足るポテンシャル井戸を形成するにあっては、井戸層(発光層)と井戸層とのオフセットを生む障壁層との接合界面で、構成元素或いは構成元素の組成比が急峻に変化していることが必要である。
構成元素の急峻な変化が要求される一具体例を挙げれば、窒化ガリウム・インジウムから発光層(井戸層)を、窒化アルミニウム・ガリウム混晶から障壁層を構成するポテンシャル井戸系にあって、井戸層と障壁層との接合界面で物質を窒化ガリウム・インジウムから窒化アルミニウム・ガリウム混晶へと原子的なレベルで変化させる必要がある。すなわち、インジウム(In)原子は井戸層にのみ存在し、アルミニウム(Al)原子は障壁層のみに存在していることが理想として要求される。しかし、実際は接合界面を通しての原子の相互拡散等の理由により、発光層を構成する元素がそれに接合する障壁層内へと侵入する事態が発生する。
発光層と障壁層との接合界面における構成元素の急峻な濃度変化が獲得できない場合の端的な問題点は、井戸層と障壁層との接合界面におけるバンド変化が緩慢となることである。発光層(井戸層)と障壁層等との接合界面でのバンドの緩慢な変化はポテンシャル井戸幅の不用意な拡副をもたらし、これより形成される量子準位は所望とするところのレベルより低下したものとなる。これは、一般に量子準位の「ゆらぎ」として認識されている現象である(「半導体超格子の物理と応用」((株)培風館発行)、227頁参照)。量子準位の「ゆらぎ」はポテンシャルの緩慢な変化のみではなく、井戸層の層厚が意図する値から僅かに変化した場合にも発生するが、この量子準位の「ゆらぎ」は、井戸層内の量子準位間の遷移を基に発光を得る量子井戸構造の発光素子にあって、量子化されたキャリア間の遷移エネルギの変化、すなわち、発光波長の意図する波長からの”ずれ”を帰結する不具合をもたらす。したがって、従来の如くの対称型矩形ポテンシャル井戸構成を有する量子井戸構造を形成するにあたっては、発光層の両側に接合する障壁層との接合界面において、発光層の構成元素の濃度変化を急峻とするのが必須となる。
G.非対称型ポテンシャル井戸構成において量子準位を安定して発現するための条件
矩形ポテンシャル井戸以外の量子構造を利用するデバイス例には、発光素子ではないが、高移動度トランジスタ(MODFET、TEGFET)等の電子デバイスが挙げれる(非特許文献15参照)。このMODFETの動作に利用されるキャリアは主に電子であり、ポテンシャル井戸内の量子化された2次元的に振る舞う低次元の電子である。しかし、MODFETに高速動作性を付与する量子化された電子の存在をもたらすポテンシャル井戸の構成は、従来の発光素子用途の対称型矩形(方形)ポテンシャル井戸のそれとは異にする(非特許文献16参照)。
Appl.Phys.Lett.、69(25)(1996)、3872〜3874頁 Appl.Phys.Lett.、69(23)(1996)、3456〜3458頁
図15はMODFET用途の積層構造体におけるポテンシャル井戸構造を概略的に示す図である。図において、MODFETは、電子走行層(チャネル層)S1/スペーサ層S2/電子供給層S3から成る積層部において、非対称型のポテンシャル井戸構造を有している(非特許文献17参照)。
Appl.Phys.Lett.、69(6)(1996)、794〜796頁
スペーサ層S2との接合界面510近傍の電子走行層S3の内部の領域では、伝導帯端と価電子帯端にバンドが急激に変化する部分501,502が発生しており、これにより非対称型で非矩形のポテンシャル構成と成っている。特に、伝導帯端のバンドの曲折部分503での落ち込みは顕著であって、接合界面510近傍の領域では、伝導帯のレベルがフェルミレベルF以下に下降している。この伝導帯がフェルミレベルF以下となるポテンシャルの低い領域には、量子準位505a,505b,505c,505d…が形成され、この量子準位505a…にキャリア(電子)が蓄積され、局在化する。この量子準位505a…は、発光層を構成する半導体の本来の伝導帯が曲折した領域に形成されるが、曲折した伝導帯とは云え、量子準位505a…はこの本来の伝導帯より高エネルギ側に形成されるものである。
非対称型のポテンシャル構造におけるキャリアの分布状況を、発光素子に具備されている従来の対称型矩形ポテンシャル井戸構成におけるそれと対比するに、従来の対称型矩形ポテンシャル井戸内のキャリアは、障壁層等との何れか一方の接合界面に偏在するのではなく、ポテンシャル井戸内に全般に略一様に分布しているのに対し、非対称型ポテンシャル構造では接合界面の内、特定の界面近傍の領域、すなわち、活性層の特定の領域に偏在して分布しており、この点で双方は明確に相違している。そして、このMODFET用途の積層構造体における非対称型ポテンシャル井戸構造のように、一方の接合界面にポテンシャル井戸を形成するには、その接合界面で構成元素の濃度変化を特に急峻とすれば良い。
以上記述した如く、量子化されたキャリアの放射再結合をもたらす量子井戸構造の発光部にあっては、対称型或いは非対称型ポテンシャル構造に拘らず、キャリアを局在或いは偏在させるためのポテンシャル井戸の形成には、構造的に単に積層構造とするのではなく、接合界面での構成元素の急峻性を獲得して、確実に且つ安定に量子準位を特定の領域に創生する必要がある。翻って、従来の単純なpn接合型のDH構造の発光部にあってしても、p形及びn形障壁層との発光層との間の接合界面での急峻性が損なわれれば、光及びキャリアの他層への「滲み出し」が発生し、充分な光及びキャリアの「閉じ込め」を得るに至らない不具合が生ずる。
しかし、上記のように、量子化されたキャリアの放射再結合に基づく発光をより効果的に行わせるべく、発光層との間の接合界面で構成元素の濃度変化を急峻なものとしようとしても、それ以前にIII族窒化物半導体発光素子にあっては、発光出力と色純度の向上をもたらすに適する、キャリアを偏在させる領域を発光層のどの領域に創生すべきかは未だ明示されるに至っていない。ましてや、高発光出力で優れた単色性の獲得を意図した場合、発光層の電気的な性質に依存させてキャリアをどの領域に偏在させ、その領域にどのような変化を与えるのが最良であるかも、明確にされていない。
換言すれば、従来技術においては、インジウム含有III族窒化物半導体からの発光のメカニズムが充分に解明されていなかった故に、発光層とそれに接合する半導体層との配置関係において、構成元素の濃度の急峻化をもって形成すべき、キャリアを偏在させる領域が不明確であり、したがって、発光素子として構成した場合、発光強度特性及び色純度(単色性)特性を充分に発揮させることができないという問題点を有していた。
この発明は上記に鑑み提案されたもので、青色帯から緑色帯にかけての短波長光を、高強度でかつ優れた色純度(単色性)で発光することのできるIII族窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層とp形障壁層との中間に、インジウム含有III族窒化物半導体から成るn形発光層としての井戸層と、その井戸層に比して禁止帯幅をより大とするIII族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層と同一の電気伝導形を有するバリア層と、を多重に積層して成る多重量子井戸構造を挟持して成る発光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子において、発光部を構成する井戸層のn形障壁層側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtvと、p形障壁層側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtwとの関係がΔtw<Δtvである、ことを特徴としている。
この発明のIII族窒化物半導体発光素子によれば、発光部における発光層とそれに接合する障壁層との接合界面において、インジウム原子濃度の勾配の急峻化に差異を設けるようにしたので、発光層とは反対の電気伝導形を有する障壁層側にキャリアを選択的に且つ優先的に偏在させることができるようになり、正孔と電子との再結合を効果的に行わせることができる。したがって、発光素子として構成した場合、発光強度特性及び色純度(単色性)特性を充分に発揮させることができ、青色帯から緑色帯にかけての短波長光を、高強度でかつ優れた色純度(単色性)で発光させることができる。
以下にこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のIII族窒化物半導体発光素子における発光部を概念的に示す図であり、図1(A)はその積層構造を、図1(B)はインジウム原子濃度の変化をそれぞれ示している。図において、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の発光部10は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層1とp形障壁層3との中間に、インジウム含有III族窒化物半導体から成る発光層2を挟持して構成されている。発光層2の電気伝導形については特に限定されないが、ここではn形として説明する。
発光層2を構成するインジウムを含有するIII族窒化物半導体には、一般式AlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x,y<1、z≠0)で表記される窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム系混晶がある。また、燐(P)や砒素(As)等の窒素(N)以外の元素周期律表の第V族元素(記号Mで示す。)を構成元素として含む一般式AlxGayInza1-a(x+y+z=1、0≦x,y<1、z≠0、0<a≦1)で表記される混晶もインジウム含有III族窒化物半導体とする。
発光層2の構成例としては、層厚を0.5μmとするアンドープの窒化ガリウム・インジウム層を単層の発光層として利用するものがある。このようなアンドープの窒化ガリウム・インジウム薄層から成る発光層2にあっては、発光スペクトルの半値幅を狭帯化させることができ、単色性(発光の色純度)を向上させることができる。このため、最近ではアンドープ窒化ガリウム・インジウムから成る発光層2の層厚を以前の約1/10未満程度と薄くする場合もある。具体的には、層厚を約10nmとし、発光スペクトルの半値幅を従来の約1/2以下(約15〜30nm)とする。
一方、不純物をドーピングした発光層2として、亜鉛と珪素を共にドーピングした層厚を100Å(オングストロ−ム)とする窒化ガリウム・インジウム(Ga0.85In0.15N)を発光層として用いてもよい。具体的には、珪素をドーピングした層厚を10Å〜0.5μmとする窒化ガリウム・インジウム(InxGa1-xN:0<x<0.5)層を発光層とし、また亜鉛をドーピングした層厚を10Å〜0.5μmとする窒化ガリウム・インジウム(InxGa1-xN:0<x<0.5)層を発光層とする。
発光層2を構成する半導体材料としては上記のように、アンドープ或いは不純物ドープの何れをも選択できるが、不純物をドーピングした層を発光層とする場合は、少なくとも、キャリアの偏在を期す接合界面側の発光層内の領域には、不純物散乱を被らない不純物を故意に添加しないアンドープ層等の高純度の結晶層を配置して成る、不純物ドープ層とアンドープ層との重層構成から成る発光層とするのが好ましい。これは、キャリアを特定の接合界面に向けて発光層内を走行させ、特定の接合界面に選択的に偏在させる本発明の趣旨からすれば、発光層内に、散乱作用等によりキャリアの走行を妨げない総不純物が少ない純度の高い層を形成するのが好ましいからである。
発光層2を構成する結晶層の内部結晶組織には特に、限定を加えない。上記の一般式AlxGayInzNで表記される混晶系に包含される窒化ガリウム・インジウム混晶を例にすれば、同混晶がインジウム組成を均一とする単一相構造であっても、また、被熱によりインジウム濃度を相違する、インジウム組成(濃度)に”ゆらぎ”を有する複数の相から成る多相構造であっても構わない。代表的な多相構造例には、窒化ガリウム或いはインジウム濃度を比較的希薄とする窒化ガリウム・インジウム混晶から成る母相と、母相の構成物質よりもインジウム濃度を大とする窒化ガリウム・インジウム混晶から成るドット状の微結晶体を従属相とする複数の相から成る多相構造が挙げられる。本発明では、特に、放射される発光の強度の観点からして、より強い発光を帰結する多相構造から成るインジウム含有III族窒化物半導体材料から発光層2を構成することを推奨する。多相構造には、発光層2の内部に従属相が空間的に略均一の密度で存在する場合と発光層2と他層との接合界面若しくはその近傍の領域に集中して従属相が存在する場合がある。例えば、インジウム含有III族窒化物半導体発光層2とクラッド層等のn形障壁層1との接合界面4に、当界面4の特定の領域に凝縮したインジウムを核として発達したと見受けられる島状或いは球状のインジウム含有従属相が集中して存在する場合がある。本発明では、従属相の発光層内での分布状況に拘らず、何れも多相構造とみなす。
n形障壁層1及びp形障壁層3は、発光層2を構成するインジウム含有III族窒化物半導体材料に対し、伝導帯側でのバンドオフセットを室温での電子の熱運動エネルギーである約0.26エレクトロンボルト(eV)以上とし、発光層より禁止帯幅を大とするするIII族窒化物半導体材料から構成する。特に、n形発光層2とは反対の電気伝導形のp形障壁層3とのバンドオフセットは、室温での電子の熱運動エネルギ(約0.26eV)を越え、約0.3eV以上とするのが好ましい。
そして、易昇華性の窒化ガリウム・インジウムから成る発光層の高温での昇華、揮散、或いは熱変質を防止するために、発光層上に「蒸発防止層」と称する層を設ける場合があるが、このような層も「蒸発防止層」の機能を果たす障壁層の一種であるとして取り扱う。例えば、インジウム組成比を0.2とする珪素(Si)ドープ窒化ガリウム・インジウム(Ga0.8In0.2N)発光層に対し、アルミニウム組成比を0.4とする窒化アルミニウム・ガリウム混晶(Al0.4Ga0.6N)から成る「蒸発防止層」を冠する場合、Ga0.8In0.2Nの室温での禁止帯幅は約2.9eVで、Al0.4Ga0.6Nのそれは約4.4eVである。したがって、両者の禁止帯幅の差は約1.5eVと大であり、窒化ガリウム/窒化インジウムヘテロ接合系における伝導帯側のバンドオフセット率を仮に69%としても、伝導帯側のオフセット量は1.0eVを越えるものとなり、このような「蒸発防止層」も障壁層として取り扱う。
また、発光層とは反対の電気伝導形の障壁層との接合界面の近傍領域で発光層の伝導帯端がフェルミレベル以下に落ち込むが如くの伝導帯のバンドの曲折が発現できれば、尚更好ましい。このようなバンドの曲折は、上記の図15で示したようなMODFET用途の積層構造において見られるが、この図15でのバンドの曲折は、電子走行層S1とスペーサS2との同一の電気伝導形(実際にはn形)の半導体層のn/nヘテロ接合界面におけるものである。これに対し、この実施形態では、バンドの曲折を電気伝導形を互いに異にする半導体のp/n接合界面で発現させている。
その理由を、この実施形態の図1を用いて説明すれば、図1では、バンドの曲折をn形発光層2とは反対の電気伝導形を有するp形障壁層3との接合界面5に形成し、その部分にキャリア(電子)を蓄積させているが、それは、蓄積した電子と、順方向電流の注入(電流注入)によってp形障壁層3からより多く供給される正孔との再結合を生じさせるのに都合が良いからである。n形障壁層1側との接合界面4に、電子の局在をもたらすバンドの曲折を発生させた発光層にあっては、電子が蓄積された領域にp形障壁層3からの正孔が到達するは、正孔の拡散長を考慮しても不合理である。すなわち、pn接合界面の急峻性を重視するのは、偏在させるキャリア、例えば電子を、電子に比較すれば拡散長が極めて小さい正孔に隣接して存在させ、放射再結合の結合効率の向上を目指してのことである。
そして、上記のように、接合界面5に電子の局在をもたらすバンドの曲折を発生させるには、その接合界面5の急峻性を特に優れるものとする必要がある。すなわち、n形発光層2と、p形障壁層3との接合界面5でのバンドオフセットを確実に創生するためには、そのn形障壁層3との接合界面5の急峻性を良好となす必要がある。
そこで、この発明では、図1(B)に示すように、n形発光層2と同一の電気伝導形の障壁層側、すなわちn形障壁層1側におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅ΔtVと、n形発光層2とは反対の電気伝導形の障壁層側、すなわちp形障壁層3側におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtwとの関係をΔtw<ΔtVとして規定している。以下に、その説明を行う。
発光層2内に一構成元素として存在するインジウムは、発光層2の成膜過程、或いは発光層2上へのp形障壁層3の重層過程での加温により、p形障壁層3またはn形障壁層1内部に拡散し遷移し、遷移領域幅ΔtV 、Δtw を形成する。この遷移領域幅ΔtV 、Δtw は、濃度分布曲線Cによって示されるインジウム原子濃度NIが、発光層2内部の濃度Roから、例えば2桁減少する、その減少し始めの起点D1、D2からの距離を指す。この起点D1、D2が発光層2と障壁層1,3との接合界面4,5にそれぞれ一致する場合は、これらの接合界面4,5からの距離が遷移領域幅を表す。遷移領域幅ΔtV はn形障壁層1との接合側でインジウム原子濃度NIが遷移する幅であり、遷移領域幅ΔtW はp形障壁層3との接合側でインジウム原子濃度NIが遷移する幅である。また、遷移領域幅ΔtV1、ΔtW1はインジウム原子濃度NIが発光層2の内部濃度Roより2桁減少を来すに要する深さ(距離)である。インジウム濃度NIが発光層2の内部の平均的な濃度Roより2桁減少する深さ(距離)をもって、ΔtV1及びΔtw1を定義したのは、発光層2内に比してインジウム濃度NIが1%程度まで減じれば、もはや構成元素としてそれが存在する層の物性値に影響を与える濃度とは殆どならないからである。
本発明では、上記したように、接合界面4,5における急峻性を発光層2の一構成元素であるインジウムのn形、p形障壁層内部への拡散距離をもって表している。そして、発光層2の電気伝導形を基準にして発光層2と障壁層1,3との接合界面4,5における組成急峻性(インジウム原子濃度NIの遷移領域幅)の関係を規定し、p形障壁層3との接合界面5における遷移領域幅Δtw(Δtw1)を、n形障壁層1との接合界面4における遷移領域幅ΔtV(ΔtV1)より小とするものである。
一般に、発光層との接合界面でキャリアの局在或いは偏在を果たすには、その接合界面にキャリアを偏在させるに有効な”明瞭な”ポテンシャル井戸構造を創生する必要がある。”明瞭な”ポテンシャル井戸構造とは、接合界面においてバンドのオフセットが急激に発生しているポテンシャル構成を有するものを云う。急激なバンドオフセットを発現させるには、そもそも接合界面における構成元素の濃度の急峻な変化が要求されるのは、上述の如くである。
本発明が発光層2と障壁層1,3との接合界面4,5の急峻性につき規定を加えるのは、より急峻性に優れるp形障壁層3との接合界面5に選択的に且つ優先的にキャリアを偏在させるのを目的としているからである。そして、このキャリアの特定領域への偏在をより効率的に達成するため、本発明では、他方のn形障壁層1との接合界面4側のインジウム濃度の急峻性を悪化させる構成とする。バンド構成の観点からすれば、発光層2とn形障壁層1との接合界面4でのバンドオフセットを、発光層2とp形障壁層3とのバンドオフセットに比較して小とするのを特徴とする。これにより、発光層2とn形障壁層1との接合界面4近傍の領域にキャリアが捕獲される事態を抑制すると併せて、発光層2とp形障壁層3との接合界面5にキャリアを選択的に且つ優先的に偏在できるバンド(ポテンシャル)構成を創出するものである。
この実施形態では、p形障壁層3との接合界面5での遷移領域幅ΔtV1を250ナノメータ(nm)以下とする。そして、n形障壁層1との接合界面4での遷移領域幅Δtw1と、ΔtV1との関係をΔtV1>Δtw1とするため、Δtw1も250nm以下とする。したがって、発光層2の電気伝導形に拘らず、発光層2と接合を成すn形及びp形障壁層1,3との接合界面4,5の急峻性(遷移領域幅)は、双方とも250nm以下とする。インジウム濃度の遷移領域幅ΔtV1、Δtw1がそもそもこの幅(250nm)を越えると、たとえ発光層2とのバンドオフセットが障壁足るものとしても、インジウム濃度の緩慢な変化により接合界面で禁止帯幅の変化が急峻とは成らず、したがって”明瞭な”境界を呈するオフセットを充分に発現するに至らず、このため充分な障壁作用をもたらす”明瞭な”エネルギの境界を有する矩形ポテンシャル構造が創出できないからである。したがって、本発明では、発光層2と障壁層1,3との接合界面4,5において、界面急峻性の指標となるインジウム濃度の遷移領域幅を少なくとも250nm以下とすることをもって、充分な障壁作用をもたらすバンドのオフセットを発生させるようにしている。
さらに、本発明では、発光層2とn形及びp形障壁層1,3との双方での接合界面4,5でのインジウム濃度の急峻性を250nm以下とする条件下で、p形障壁層3との接合界面5での急峻性(Δtw 、Δtw1)につき、ΔtV>ΔtwまたはΔtV1>Δtw1の関係を保持しながら、尚且つ遷移領域幅Δtw1を20nm以下に規定するのが好ましい。その理由は、発光層2に、発光層2より禁止帯幅を大とする半導体層を接合させて単に障壁たる”明瞭な”境界を有する矩形ポテンシャル構造を形成するのではなく、キャリアの偏在を可能とするポテンシャル構造を組成急峻性をもって発現させ、p形障壁層3との接合界面5での組成急峻性を有する領域に、キャリアを選択的に且つ優先的に偏在させるためである。
例えば、キャリアの偏在をもたらすバンドの曲折を得るには、本発明者の見識に依れば、遷移領域幅Δtw1を約100nm程度以下とすれば達成され得る。しかしながら、例えば、伝導帯端をフェルミレベル以下に落ち込ませるようなバンドの曲折を発現するには、更なる界面急峻性が要求され、その値は概ね、50nm程度以下である。遷移領域幅Δtw1は0(零)であるのが理想である。遷移領域幅Δtw1=0である状態は、インジウム原子の濃度がp形障壁層3との接合界面5で、遷移距離を要さずに一挙に2桁減少することを意味している。インジウム濃度の分析手法或いは分析条件に依って一見、Δtw1=0に近い状態であると見受けられる分析結果が得られる場合があるが、実際には、熱拡散し易いインジウムにあっては特に、Δtw1=0となる場合は希有である。界面でのインジウム濃度に関する急峻性を獲得するに優れる接合界面の形成方法をもってしても、安定してもたらされる最良のΔtw1は実状、大凡、約10nm前後である。このような点を鑑みて、遷移領域幅Δtw1を20nm以下に規定している。
発光部10を構成する各III族窒化物半導体層の成長方法には、有機化合物熱分解気相成長法(MOCVD法)、分子線エピタキシャル成長法(MBE法)やハロゲン化物或いはハイドライド(水素化物)を原料とする気相成長法(VPE法)がある。そして、界面の急峻性に関する基本的な達成能力についての従来からの経験的な見識から、MOCVD法或いはMBE法が多用されている。
両方法の成膜時の圧力を比較すれば、MBE法或いはそれの一複合法である気体原料(気化させた原料)を用いるガスソース(gas−source)MBE(GS−MBE)法などでは、成膜が高真空中で実施されるのに対し、MOCVD法では、常圧(大気圧)下でも成膜が実施できる。成長が蒸発の進行が促進される真空中ではなく、略大気圧下で実施できる利便性は、窒化ガリウム・インジウム等の易昇華性の物質の昇華を抑制するに効果を奏することから、現在では、もっぱらMOCVD法がIII族窒化物半導体膜の成膜手段として利用されている。
しかし、一般的に利用されるMOCVD法を例にすれば、同法を利用すれば所望する急峻性を有するヘテロ接合界面が形成されるとは限らない。接合界面の急峻化を妨害する様々な要因を排除する配慮を施した成長反応炉等の部位の装置構成や成長環境の創出が必要である。ヘテロ接合界面の急峻性を損なう、所謂、界面の”弛れ”と俗称される原因には、バルブ等の配管系の構成、成長反応炉内の原料ガス等の熱対流、成長反応炉の管壁への原料ガスの吸着、脱着等が挙げられている。特に、III族窒化物半導体層の成膜は砒化ガリウム(GaAs)等の他のIII−V族化合物半導体に比較して、より高い温度である約800℃〜約1200℃で実施されるのが通常である。このため、成長反応炉内で原料ガス等の熱対流がより激しく発生し、滞留した一部のガスは成長反応炉の管壁に沈積物として残留する。このような沈積物が窒化ガリウム層の安定成長を阻害する原因となっていることは既に知られている。III族窒化物半導体系から成るヘテロ接合にあって、その接合界面の急峻性を求める場合もこの沈積物の堆積の抑制が重要な因子である。
図2はIII族窒化物半導体からなる接合界面の急峻性を達成するための創意を施した成長反応炉の構成例を示す図である。図において、成長反応炉90は基板100の表面(被堆積面)に略平行に原料ガス等を流通させる方式であり、横型形式の反応炉の範疇に属するものである。従来の如く原料ガス及び不活性ガス等からなるキャリア(輸送)ガスを、基板100の表面に対し、略垂直及び略水平の2方向から個別に供給する縦(垂直)方向及び横(水平)方向流通方式ではない。特徴は、原料ガスを基板100の表面に導入するための第1流路91及び第2流路92の他に、成長反応炉90の内壁94、特に基板100が載置されている領域及びその前方の領域に在る内壁94への沈積物の析出を抑制するための掃引ガスを流通する専用の掃引ガス流路93を配備したことにある。すなわち、従来の横型形式の成長反応炉に観られるように、窒素(N)等の第V族元素の原料ガスと、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)等の第III族元素の原料ガスを互い分離、隔離して炉内に導入するための2つの流路91,92に加え、掃引ガスの内壁94周辺への供給を目的とした掃引ガス流路93を設けた3流路方式としたことにある。原料ガスの流路91,92とは区画された掃引ガス流路93を設けて掃引ガスを導入できる流路構成とすると、反応炉内壁94への反応による分解生成物の沈積を防止する格別の効果が上げられる。これは、ヘテロ接合界面の急峻性を安定して得るに顕著な効果を奏する。
掃引ガス流路93は、基板100上方の領域に在る内壁94を被覆するが如く掃引ガスが選択的に流れる形状とするのが望ましい。すなわち、基板100表面を水平の基準として最も遠隔に在る流路を掃引ガスの流路とするのが好ましい。更には、原料ガスの周囲への拡散を抑制するが如く原料ガスを中央部に囲繞し、基板100の周囲の領域に在る反応炉内壁94に直接、原料ガスあるいは原料ガスの分解生成物が接触するのを抑制できるように、掃引ガスを流通させるのが好ましい。
掃引ガスを構成するガス種としては、MOCVD法においてキャリアガスとし一般に使用される水素ガス(H2)や窒素ガス(N2)の他、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを用いる。また、III族窒化物半導体の一般的な成膜温度で分解し、その分解により金属性の分解生成物、例えば、ガリウム、アルミニウムあるいはインジウムを発生する恐れの無い、例えば、第V族元素の原料として一般的に使用さているアンモニア(NH3)を混合したH2、N2やArの混合ガスも使用できる。図2に図示した構成の成長反応炉90にあって、各流路91,92及び93に流通させるガスの種類、流量、構成、混合比等の諸条件は、成膜温度、反応圧力等の基本条件に照合して、また帰結される膜の均一性等に鑑みて適宜、決定すれば良い。
上述の内容から思量される如く、界面の急峻性は、成長操作法や成長条件の影響を受け、また成長装置の構成自体にも影響される。勿論、インジウムの拡散特性の温度依存性も界面の急峻性に影響する。このような背景からして、界面の急峻性を制御する手法として次の3つの例が挙げられる。
(1)帰結される界面の急峻性に差異を生ずる成長系を利用してΔtV1>Δtw1の関係を達成する手法。
他方に比較して劣る界面の急峻性を帰結する成長系を利用して、n形障壁層1との界面4を形成する。その後発光層2を成長させた後、成長系をより優れた界面急峻性を与える成長系に変更する。その系により、発光層2上にp形障壁層3を、ΔtV1>Δtw1の関係を保持する界面急峻性を付して堆積する。
(2)インジウムの熱的挙動、特に窒化ガリウム系結晶へのインジウムの取り込まれ量の温度依存性を利用してΔtV1>Δtw1の関係を達成する手法。
窒化ガリウム系結晶、例えば、窒化ガリウム(GaN)結晶へ取り込まれるインジウムの量が高温であれば減少し、逆に、低温である程、増加する特性を利用する方法である。n形障壁層1上に発光層2を堆積するに際し、発光層2の成長の初期段階で成長温度を漸次、経時的に低下させながら界面を形成する。発光層2より高い成長温度で成膜されるn形障壁層1を先ず形成したる後、成長温度を発光層2のそれに適する温度に降温させる過程において、適度に温度が低下した時点からインジウム原料を成長系に流入せしめ、然るべき温度或いは層厚に到達した時点でn形障壁層1との接合界面4の形成を終える。これにより、n形障壁層1から発光層2の内部に向けてインジウム原子濃度を漸増する接合界面4を得る。
(3)インジウム原料を、要求される界面急峻性に応じて、急峻性に関して相違する性能を発揮する配管系を通じて別途に供給し、ΔtV1>Δtw1の関係を達成する手法。
例えば、インジウム原料の供給系に関して優れた急峻性を与える配管系と、その配管系からすればデッドスペースを多く内包する配管系とを備えた成長系を利用する方法である。n形障壁層1上に発光層2を成長させる際には、デッドスペース(滞留空間)を多く内包する配管系を介してインジウム原料を成長系に供給する。逆に、発光層2上にp形障壁層3を堆積する際には、急峻性をもたらす配管系を介してインジウム原料を供給する。これにより、ΔtV1>Δtw1とする関係を得る。
発光層2の障壁層1,3側との接合界面4,5の急峻性を確保するために、格別に留意を施して遷移領域幅ΔtV1を250nm以下に、且つ遷移領域幅Δtw1を好ましい20nm以下とする界面急峻性を確実に与える条件が設定された場合にあっても、不意の事態により本発明の規定を満たす範囲内でΔtV1及びΔtw1が変動する場合がある。端的な例を挙げれば、発光部10を構成する各層の構成元素が相違するのに伴う原料種の切り替え時における第III族元素の液体原料或いは昇華性原料を、バブリング(発泡)或いは随伴するガスの流量が一時的に変動する、若しくはその変動量が一定ではない等の不意の事情により、接合界面4,5の急峻性(遷移領域幅)に変動を来す場合がある。このような不安定性を回避する一手段として、予めΔtV1及びΔtw1の要求を満足するインジウム濃度に勾配を付した組成遷移層を配置する方法を提示する。
例えば、発光層2とn形障壁層1との接合界面4における遷移領域幅ΔtV1を100nmと略一定とし、安定した組成勾配を所望するならば、予め100nmの層厚でインジウム原子濃度を2桁減ずる勾配を付した組成遷移層を設けるようにすればよい。この場合、インジウム濃度はn形障壁層1より発光層2側に向けて増ずるように勾配を付す。このような組成勾配を敢えて付す場合には、III族元素の原料に係わる流量を経時的に漸次、変化させる操作を行うため、インジウムの濃度分布上での突出した或いはその逆の分布が発生するのを抑制できる。
一方、p形障壁層3との接合界面5での急峻性の安定化も同様の手段によって達成される。すなわち、20nmの層厚でインジウム原子の濃度を2桁減少する組成遷移層を発光層2とp形障壁層との間に設ければ良い。インジウム濃度は発光層2側からp形障壁層3側に向けて減少するように勾配を付すものとする。遷移領域幅Δtw1は、そもそも好ましい範囲を20nmとしている。このような組成勾配を付す場合には、III族元素の原料に係わる流量をパルス的に瞬時に変化させる操作を行う。
組成遷移層の機械的な層厚と、遷移領域幅ΔtV(ΔtV1)またはΔtw(Δtw1)とは厳密に一致しないのが一般的である。通常は、組成遷移層の層厚の方が遷移領域幅ΔtV(ΔtV1)またはΔtw(Δtw1)より大であるのがもっぱらである。インジウムが所定の濃度に達するに至る迄に、たとえ優れた急峻性を帰結する配管系であっても、インジウム原子の取り込まれ率等の結晶成長上の成長機構に係わる理由などにより、組成遷移層の機械的な層厚は、遷移領域幅ΔtV (ΔtV1)またはΔtw(Δtw1)より大となるのが通例である。
図3は発光部に組成遷移層を設けた場合を示す図である。図において、発光部10sには、上記の手法を用いて組成遷移層7,8を形成してある。すなわち、発光部10sには、発光層2とn形障壁層1との中間に、発光層2から該障壁層1に向けて発光層2内のインジウム原子濃度を減少させる組成遷移層7を形成し、発光層2とp形障壁層3との中間に、発光層2から該障壁層3に向けて発光層2内のインジウム原子濃度を減少させる組成遷移層8を形成してある。そして、この発光部10sでは、組成遷移層7の層厚は組成遷移層8の層厚より大きく形成し、例えば発光層2からn形障壁層1に向けて発光層2内のインジウム原子濃度を2桁減少させる組成遷移層7の膜厚を250nm以下、発光層2からp形障壁層3に向けて発光層2内のインジウム原子濃度を2桁減少させる組成遷移層8の膜厚を20nm以下となるように形成する。
接合界面の急峻性をインジウム原子濃度の分布状況をもって判断するに当たって、その急峻性は例えば、2次イオン質量分析法によるインジウム原子の深さ方向の濃度分布、所謂、デプスプロファイル(depth profile)をもって、定常的に計測される。その他、オージェ(Auger)電子分光法等の物理分析による深さ方向の元素分析からも急峻性を評価できる。
インジウム以外の他の構成元素、例えば、ガリウム(Ga)やアルミニウム(Al)原子の濃度の分布状況からも原理的には、界面の急峻性を測定できる。しかし、III族窒化物半導体発光素子にあっては、発光部の各層は、ガリウムを構成元素として共通して含むIII族窒化物半導体層から構成されるのが通例であるため、接合界面でガリウムのデプスプロファイル上に急激な濃度変化が明瞭に認められない場合もあり、ガリウムの原子濃度分布をもって界面の急峻性を評価する手法は正確さを欠くものとなる。一方、例えば、窒化ガリウム・インジウムを発光層とし、発光層の両側に窒化アルミニウム・ガリウム混晶を障壁層として配置した構成の発光部にあっては、アルミニウム原子の濃度分布状況から接合界面の急峻性を知ることもできる。アルミニウム原子の濃度分布状況から求めた界面の急峻性は通常は、インジウム原子濃度の分布状況から計測したそれに比較しても略同一である。すなわち、インジウム原子濃度の遷移領域幅をアルミニウム原子の濃度のそれに代替して調査することができる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を利用したウェッジ(wedge)TEM、或いはCAT法(Composition Analysis by Thickness−fringe)(外村彰編著、「電子顕微鏡技術」(平成元年8月31日、丸善(株)発行)、83頁参照)でも接合界面における”弛れ”を半定量的ではあるが判断できる。CAT法では、供する試料の端面が特に平坦であることが要求され、試料としては壁開等により平坦で平滑な端面が露呈されたものであるのが望ましい。ウェッジTEMに依れば、薄層化した接合界面近傍の領域の格子像からも、界面での組成の変化の模様を知ることができる。例えば、接合界面から距離を隔てるに伴う格子面間隔の変化から界面近傍における組成の変化を知ることができる。特性X線の波長並びに強度から元素を同定し、その元素の濃度を分析できるEPMA装置を付帯するTEMであれば、被検体に照射する電子ビーム(beam)の径に依存するが、接合界面近傍の数nm〜数十nmの微小領域における元素濃度の分布を調査することができる。
偏在するキャリアの有無は、シュブニコフ・ド・ハース(Shubnikov−de Haas:SdH)効果による磁気抵抗の振動の測定から調査できる。特に、磁場方向が接合界面(被検体)に対して垂直である場合の磁気抵抗のSdH振動におけるランダウ準位の出現から、局在化した低次元(2次元)のキャリアの存在を知ることができる。したがって、キャリアの濃度が適当であるか否かは発光層のキャリア面密度、すなわち、シートキャリア濃度をもって判断すれば良い。発光層とするインジウム含有III族窒化物半導体層のシートキャリア濃度は、概ね1×1011cm−2以上とし、約5×1013cm−2以下とするのが好ましい。その理由は、次の通りである。
或る決められた”深さ”のポテンシャル井戸に蓄積するキャリアの量には限りがある。形成される量子準位に許容される状態密度を越える程の多量のキャリアが存在する状態となると、ポテンシャル井戸から逸脱して通常の3次元的な挙動を呈するようになるキャリアの量も増加する。すなわち、素子の高速動作をもたらす量子化された低次元の挙動をするキャリアが、他の3次元的キャリアの量に占有する割合が低下する。したがって、発光層の内部には、3次元的に振る舞うキャリアが優勢的に存在する事態となり、量子効果に基づく優れた素子特性を明瞭に顕現するに妨げとなる。一方、逆にポテンシャル井戸内に蓄積するキャリアの量が、形成される量子準位を満たすに充分でないと、やはり、量子化された低次元のキャリアが、3次元のキャリアに占める比率は小となる。したがって、量子デバイスの特徴を発現するに困難となる。
そして、上記の1×1011cm−2以上で、5×1013cm−2以下の範囲外の、低いシートキャリア濃度を有する発光層では、量子化したキャリアは存在するものの、量子化されたキャリアが3次元的なバルク的な非量子化キャリアに占める割合が低下するため、量子化されたキャリアの再結合に起因する優れた発光特性を充分に顕現するに至らず、逆に、この範囲を越える高いシートキャリア濃度下では、3次元的なキャリアが優勢となるため、発光の高速応答性等の低次元キャリアによってもたらされる特有の優れた発光特性が充分に顕現されるに至らない。
本発明の云う遷移領域幅Δtw(Δtw1)を遷移領域幅ΔtV(ΔtV1)以下とする規定は、一発光層をp形及びn形障壁層で狭持するDH構造の発光部に適用されるだけでなく、発光層を井戸層としこの井戸層と、発光層と同一の電気伝導形の障壁層足るバリア層との接合を含む、所謂、単一或いは多重量子井戸構成を含むDH構造の発光部にも適用される。発光部を単一或いは多重量子井戸構造を含むとする場合にあっても、これら量子井戸構成とそれを狭持するp形及びn形障壁層との接合面における界面急峻性は、本発明が規定するところの関係を踏襲する。以下に、その詳細を図4、図5及び図6を用いて説明する。
図4は本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第1の構成例を示す図であり、図4(A)はその積層構造を、図4(B)はインジウム原子濃度の変化をそれぞれ示している。図において、上記の実施形態(図1)での積層構造と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この第1の構成例における発光部11は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層1とp形障壁層3との中間に、量子井戸構成体21を挟持して構成されている。この量子井戸構成体21は、インジウム含有III族窒化物半導体(例えばアンドープの窒化ガリウム・インジウム)から成る発光層としてのn形の井戸層212と、その井戸層212を挟持する2つのバリア層211,213から構成されている。バリア層211,213は、井戸層212に比して禁止帯幅をより大とするインジウム含有III族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層212と同一の電気伝導形であるn形を有している。
このように、量子井戸構成体21の終端層がバリア層211,213であってそのバリア層211,213がインジウムを含有しているこの構成例1では、この発明に係る接合界面での組成急峻性の差異は、図4(B)に示すように、バリア層211,213と障壁層1,3との間で成立させる。すなわち、n形障壁層1とバリア層211との接合界面41におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtvaと、p形障壁層3とバリア層213との接合界面51におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtwaとの関係を、Δtwa<ΔtVaと規定する。
これにより、キャリアを特に量子構成体21(井戸層212)とは電気伝導形を反対とするp形障壁層3との接合界面51に偏在させることができる。
図5は本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第2の構成例を示す図であり、図5(A)はその積層構造を、図5(B)はインジウム原子濃度の変化をそれぞれ示している。図において、上記の実施形態(図1)での積層構造と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この第2の構成例における発光部12は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層1とp形障壁層3との中間に、量子井戸構成体22を挟持して構成されている。この量子井戸構成体22は、インジウム含有III族窒化物半導体(例えばアンドープの窒化ガリウム・インジウム)から成る発光層としての2つのn形の井戸層221,223を終端層とし、その2つの井戸層221,223の間にバリア層222を配置して構成されている。バリア層222は、井戸層221,223に比して禁止帯幅をより大とするIII族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層221,223と同一の電気伝導形であるn形を有している。
このように、量子井戸構成体22の終端層が井戸層221,223であるこの構成例2では、この発明に係る接合界面での組成急峻性の差異は、図5(B)に示すように、井戸層221,223と障壁層1,3との間で成立させる。すなわち、n形障壁層1と井戸層221との接合界面42におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtvbと、p形障壁層3と井戸層223との接合界面52におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtwbとの関係を、Δtwb<ΔtVbと規定する。
これにより、キャリアを特に量子構成体22とは電気伝導形を反対とするp障壁層3との接合界面52に偏在させることができる。
図6は本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第3の構成例を示す図であり、図6(A)はその積層構造を、図6(B)はインジウム原子濃度の変化をそれぞれ示している。図において、上記の実施形態(図1)での積層構造と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この第3の構成例における発光部13は、III族窒化物半導体から成るn形障壁層1とp形障壁層3との中間に、量子井戸構成体23を挟持して構成されている。この量子井戸構成体23は、インジウム含有III族窒化物半導体(例えばアンドープの窒化ガリウム・インジウム)から成る発光層としてのn形の井戸層232と、その井戸層232を挟持する2つのバリア層231,233から構成されている。バリア層231,233は、井戸層232に比して禁止帯幅をより大とするインジウムを含まないIII族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層232と同一の電気伝導形であるn形を有している。
このように、量子井戸構成体23の終端層がバリア層231,233であってそのバリア層231,233がインジウムを含まないこの構成例3では、この発明に係る接合界面での組成急峻性の差異は、図6(B)に示すように、井戸層232とバリア層231,233との間で成立させる。すなわち、n形障壁層1に接する終端層(バリア層)231と井戸層232との接合界面43におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtvcと、p形障壁層3に接する終端層(バリア層)233と井戸層232との接合界面53におけるインジウム原子濃度NIの遷移領域幅Δtwcとの関係を、Δtwc<ΔtVcと規定する。
これにより、キャリアを特に井戸層232とは電気伝導形を反対とするp形障壁層3側に接するバリア層233との接合界面53に偏在させることができる。
このように、この発明では、インジウム含有III族窒化物半導体からの発光のメカニズムを充分に解明し、発光部における発光層とそれに接合する障壁層との接合界面において、インジウム原子濃度の急峻化に差異を設けることで、発光層とは反対の電気伝導形を有する障壁層側にキャリアを選択的に且つ優先的に偏在させることができるようになった。したがって、キャリアの一方の接合界面に向けての流通、走行を促進するできるとともに、正孔と電子との再結合を効果的に行わせることができ、発光素子として構成した場合、発光強度特性及び色純度(単色性)特性を充分に発揮でき、青色帯から緑色帯にかけての短波長光を、高強度でかつ優れた色純度(単色性)で発光させることができる。
なお、上記の実施形態では、各発光層(2,212,221,223,232)の電気伝導形をn形とし、p形障壁層との接合界面側により急峻な遷移領域幅を形成し、その接合界面側にキャリアを偏在させるようにしたが、発光層の電気伝導形は特に限定する必要はなく、例えば発光層をp形とし、n形障壁層との接合界面側により急峻な遷移領域幅を形成し、キャリアをその接合界面側に偏在させるように構成してもよい。
次に、この発明のIII族窒化物半導体発光素子を、より具体的な実施例を以て説明する。
(第1実施例) 本発明を、アンドープ窒化ガリウムインジウムから成るn形発光層を、窒化アルミニウム・ガリウム混晶からなるp形障壁層と、窒化ガリウムから成るn形障壁層とで挟持して構成された、pn接合を含むヘテロ接合構造から成る発光ダイオード(LED)に適用した場合について説明する。LED用途の積層構造体を構成する各構成層は一般的な常圧(大気圧)方式のMOCVD成長装置を利用して、基板上に次の手順により順次形成した。
図7は本発明の第1実施例に係る積層構造体を示す図である。図において、積層構造体10aは、基板100上に積層して構成されている。基板100として直径約2インチ(直径約50mm)、厚さを約90μmとする両面(表裏面)を機械的化学的研磨法により鏡面に研磨した(0001)(c面)−サファイア(α−Al2O3単結晶)を使用した。基板100上への積層構造体10aの各構成層の堆積には、上記したMOCVD成長反応炉90(図2)を利用した。この結晶基板100を反応炉90内の高純度グラファイト製サセプタ99上に略水平に載置した。
この反応炉90の具体的な構成例は次の通りである。反応炉90は、アルカリ金属類の含有量が低い半導体工業用高純度石英から構成した。反応炉90の鉛直断面の形状は長方形であって、その中央部の断面積は約20cm2である。この反応炉90の特徴は、上記したように、元素周期律表の第III族元素と第V族元素の原料ガス(正確には、原料を随伴するガス)を分別して反応炉内に導入するための互いに隔離された第1、第2流路91,92に加え、反応炉90の内壁94への、原料ガスの分解により生成した分解物の付着を防止するための掃引ガスを流通する専用の掃引ガス流路93を設けてあることにある。したがって、炉内に合計して3つの流路91,92,93を備えたものとなっている。
基板100をサセプタ99上に載置した後、反応炉90内を通常の油回転式真空ポンプを具備した真空排気経路(図示省略)を介して真空に排気した。約10−3トール(Torr)の真空度に到達してから約10分間保持した後に、3流路の各々から毎分1リットルの併せて合計約3リットル/分の流量の精製アルゴンガス(Ar)を反応炉90内に流通させて炉内の圧力をほぼ大気圧に復帰させた。
約5分間に亘り反応炉90内を精製された高純度のアルゴンガスで掃気した後、アルゴンガスの反応炉90への供給を停止した。代わりに露点を約マイナス(−)90℃とする精製水素ガス(H2)を反応炉90内へ供給した。水素ガスの流量は各流路91,92,93につき均等に3リットル/分に電子式質量制御計(マスフローコントロラー(MFC))で維持した。すなわち、各流路91,92,93には、予め3リットル/分の水素ガスが流通する状態としておいた。
然る後、反応炉90の外周に設けた円状に巻いた高周波加熱コイルに高周波電源を投入した。これにより、基板100の温度を室温(約25℃)から450℃に上昇させた。基板100の温度は上記のサセプタ99の中腹に開けた直径約5mmの貫通孔に挿入したモリブデン(Mo)シース型の白金(Pt)−白金・ロジウム(Pt・Rh)合金熱電対(日本工業規格JIS−R規格に準拠した熱電対)により測温した。基板100の温度は、熱電対から発生される熱起電力信号を入力するPID方式の市販の温度制御器により、±1℃以内に精密に制御した。基板100の温度が450℃に到達してから約20分経過し、温度の変動が450℃±1℃に確実に制御されるようになった時点で、窒素源とした液化アンモニアガスの気化により発生したアンモニアガス(NH3)を毎分1リットルの割合で反応炉90への供給し始めた。アンモニアは3重に重ねられた上記の3流路の内、第V族元素の原料ガスであるアンモニアの流通用途としての中央の第2流路92を介して反応炉90内に供給した。すなわち、中央の第2流路92には上記の予め流通させておいた3リットル/分の水素と共に毎分1リットルのアンモニアガスが流れる状態となった。
アンモニアガスの供給と同時に反応炉90へアルミニウム(Al)源としてのトリメチルアルミニウム((CH3)3Al)を3流路の中で最下段の第1流路91から供給した。トリメチルアルミニウムを収納した316ステンレス鋼製バブラ容器はペルチェ効果を利用した電子式恒温槽で20℃に保持した。この容器内のトリメチルアルミニウムを毎分20ccの流量の水素ガスでバブリングし、トリメチルアルミニウムの蒸気を随伴する水素バブリングガスを、最下段の第1流路91に流れる毎分3リットルの水素ガスと共に反応炉90へ供給した。各々個別の第1、第2流路91,92を介しての、トリメチルアルミニウムを随伴する水素ガスと、アンモニアガスとの反応炉90への供給を正確に6分間継続した。これより、層厚を20nmとする窒化アルミニウム(AlN)から成る緩衝層100aを形成した。緩衝層100aの成長は、反応炉90へのトリメチルアルミニウムの蒸気を随伴する水素ガスの供給の停止をもって終了した。
然る後、各流路91,92,93を介しての反応炉90への水素ガスの供給を停止し、代わりに各流路につき流量を2リットル/分とする合計6リットル/分の流量のアルゴンガスの供給を開始した。高周波加熱コイルに印加する電力量を増し、基板100の温度を450℃から1050℃に平均して約100℃/分の速度で昇温した。途中、基板100の温度が約500℃を通過した時点で流量を1リットル/分とするアンモニアガスの供給を、上記の中央の第2流路92を介して開始した。熱電対で測温される基板100の温度が1050℃となった時点で、アンモニアの反応炉90への供給量を毎分1リットルから毎分3.5リットルへと電子式質量流量計をもって増加させた。同時に最上段の掃引ガス流路93のみから毎分2リットルのアルゴンが供給される状態としたままで、最下段及び中央の第1、第2流路91,92からのアルゴンガスの供給を停止した。最下段及び中央の第1、第2流路91,92からは、アルゴンの供給を停止すると同時に、中央の流路92からは1リットル/分の水素ガスを、最下段の第1流路91からは毎分2リットルの水素ガスを流通させた。これにより、高純度石英管から構成される反応炉90へは合計して8.5リットル/分の水素、アルゴン及びアンモニアが流通する状況となった。
基板100の温度が1050℃に到達して5分間待機した後、緩衝層100a上にn形障壁層101として珪素(Si)をドーピングしたn形窒化ガリウム層を成長させた。n形窒化ガリウム層の成長時には、0℃に保持し液化したトリメチルガリウムに毎分30ccの流量の水素ガスでバブリング操作を施し、トリメチルガリウムを随伴した水素バブリングガスを反応炉90内に供給した。珪素は高純度の水素で体積濃度にして約1ppmに希釈されたジシラン(Si2H6)をドーピング源として添加した。ジシランドーピングガスの流量は電子式質量流量計により毎分20ccに設定し、中央の第2流路92からアンモニアガスと共に流通させた。ガリウム源を随伴する水素バブリングガス、及び珪素ドーピング源ガスの反応炉90への供給を正確に60分間に亘り継続して、層厚を3μmとするSiドープn形窒化ガリウム層からなるn形障壁層101を得た。n形障壁層101のキャリア濃度は約1×1018cm−3であった。
下部クラッド層たるn形障壁層101の成長を終えた後、各流路91,92,93に流通するガスをアルゴンに変換しその流量を全て毎分2リットルとした。中央の第2流路92には毎分3.0リットルの流量のアンモニアガスを加えて流通させた。然る後、基板100の温度を1050℃から870℃に平均して60℃/分の速度で降温した。この降温過程の中途、基板100の温度が950℃となった時点で、最下段の第III族元素原料用の第1流路91からアルゴンと共にガリウム源及びインジウム源の供給を開始した。ガリウム(Ga)源には上記のトリメチルガリウムを使用した。ガリウム源のバブラ容器の温度は0℃とした。インジウムの供給源にはトリメチルインジウム((CH3)3In)を使用した。トリメチルインジウムは内容積を約100ccとするステンレス鋼製のシリンダ容器内に収納し、シリンダ容器は電子式恒温槽を利用して正確に35℃に保持した。成長初期におけるトリメチルガリウムの蒸気を随伴するためのバブリング用水素ガスの流量は、電子式質量流量計により毎分10ccに制御した。
また、インジウム源を収納するシリンダ容器内において昇華したトリメチルインジウムの蒸気を反応炉90内に随伴するための水素ガスの流量は、毎分62.0ccとした。基板100の温度が870℃に降下した後は、7.5分間に亘り、双方の第III族元素の原料を随伴する水素ガスの流量を変更せずに一定に保ち、インジウム組成比を約0.15と一定とする窒化ガリウム・インジウムから成るアンドープでn形の発光層102を成膜した。以上の一連の成長操作により、降温中途で成長させた厚みを含めて合計の層厚を約50nmとする窒化ガリウム・インジウムから成る発光層102を得た。
上記のガリウム源及びインジウム源の反応炉90への供給を中断して発光層102の形成を終えた後は、反応炉90内へのアルゴン及びアンモニアガスの供給を継続したままで、熱電対からの熱起電力信号を基に、高周波加熱コイルに印荷する高周波電源からの電力量を自動的に調節して、基板100の温度を870℃から1050℃に昇温した。昇温過程での不用意に緩やかな昇温に因るインジウムを含有する発光層102の揮散を抑制する目的で、870℃から1050℃へは1.5分間で昇温した。
デッドスペース(dead space:淀み空間)が小さく、高速応答性の良好なバルブの動作を信頼して、発光層102の成長後に直ちにp形接合層の成長に移行する成長手段も有り得る。しかし、本実施例では、昇温中に掃引ガスを流通した効果によりMOCVD反応炉90の内壁94には茶褐色の薄い膜が付着しているのみで、ガリウム等の金属の液滴等が視覚上存在しないのを確認した上で、掃気ガスとしてのアルゴンの流量を毎分2リットルから5リットルに増加させ、尚かつこの状態を5分間継続し待機した。このアルゴン流量の増加と5分間継続により、反応炉90内に滞留或いは残存すると杞憂される未分解の原料ガス等を確実に炉外へ排出し、次層(p形障壁層)103との接合界面105の急峻化を図った。このように、本実施例では、デッドスペースの小さいバルブ等の部品を備えた界面の急峻化に利する配管系を利用した上に更に、次層(p形障壁層)103の成膜に移行する間に、上記の昇温時間(1.5分)と待機時間(5分)とを併せて合計6.5分間に亘る成長中断時間(インターバル時間)を設けた。
基板100の温度が1050℃に到達した後、各流路91,92,93に流すアルゴン、アンモニア及び水素の流量を、n形障壁層101の形成の場合と同一とした。最下段の第1流路91には、ガリウム源を含む随伴ガスに加え、アルミニウム源の蒸気を随伴する水素ガスを添加した。また、マグネシウム源を含む水素ガスも添加した。ガリウム源にはトリメチルガリウムを使用した。トリメチルガリウムを収容する316ステンレス鋼製バブラ容器は電子式恒温槽により正確に0℃に保持した。バブリング用且つトリメチルガリウムの蒸気の随伴用の水素ガスの流量は、毎分30ccとした。アルミニウム源は緩衝層100aの成膜時に使用したトリメチルアルミニウムとした。アルミニウム源の供給量はアルミニウム組成比を0.1とする窒化アルミニウム・ガリウム混晶が得られるように設定した。マグネシウムのドーピング源にはビス−メチルシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(CH3C5H4)2Mg)を使用した。マグネシウムドーピング源を収容するステンレス鋼製のシリンダ容器は、電子式恒温槽により45℃の恒温に保持した。同温度に保持し液化させたビス−メチルシクロペンタジエニルマグネシウム内には、バブリング用ガスとして、電子式質量流量計により流量を毎分20ccに精密に調整して制御された水素ガスを流通させた。ガリウム源、アルミニウム源及びマグネシウム源の蒸気を随伴する水素ガスの反応炉90への供給は、発光層102との接合界面105との急峻化を期して、高速スイッチングバルブを介して、同時に且つ瞬時に行った。5分間に亘り継続して反応炉90へ原料を供給し、層厚を0.2μmとするマグネシウムをドーピングした窒化アルミニウム・ガリウム混晶(Al0.1Ga0.9N)混晶から成るp形障壁層103を成膜した。アルミニウム源の蒸気を随伴する水素ガスの供給を遮断して、p形障壁層103の成膜を終了した。
このようにして、珪素をドーピングした窒化ガリウム(GaN)から成るn形障壁層101と、窒化ガリウム・インジウム(Ga0.85In0.15N)から成る発光層102と、マグネシウムをドーピングした窒化アルミニウム・ガリウム混晶(Al0.1Ga0.9N)から成るp形障壁層103とを備えたヘテロ接合構造体を構成した。そして、このへテロ接合構造体の構成時に、n形障壁層101に発光層102を積層させる際には、経時的に成長温度を変遷させるとともに、原料ガス流量を経時的に漸次変化させて成膜することで、接合界面104における組成急峻性を比較的緩やかにしてあり、また発光層102にp形障壁層103を積層させる際には、デッドスペースの小さいバルブ等を備えた配管系を利用したこと、次層(p形障壁層)103の成膜に移行する間にインターバル時間を設けたこと、原料ガス流量をパルス的に瞬時に変化させること等により、接合界面105における組成急峻性を顕著なものとしている。
引き続き、基板100の温度を1050℃に維持し、アンモニア、ガリウム源及びマグネシウム源の供給流量を不変としたままで、窒化アルミニウム・ガリウム混晶から成るp形障壁層103上に、最表層110を堆積した。最表層110の成長時には、ジエチル亜鉛((C2H5)2Zn)を含むガスを、亜鉛(Zn)のドーピング源として添加した。亜鉛のドーピング源には、体積濃度にして100ppmのジエチル亜鉛を含む高純度水素ガスを使用した。原料ガス及びドーピングガスの供給を3分間に亘り継続し、層厚を0.1μmとするマグネシウム及び亜鉛を共にドーピングした窒化ガリウムから成る最表層110となした。窒化ガリウムから成る最表層110の成膜は、ガリウム源の反応炉90内への流通を停止することをもって終了した。同時にマグネシウム及び亜鉛のドーピングガス及び水素ガスの反応炉90内への供給も停止した。
一方、アンモニアガスの流量は毎分3.5リットルに維持した。高周波加熱コイルに印加する高周波電力量を低減して、基板100の温度を1050℃から約2分間で950℃に低下させた。950℃から650℃へは毎分15℃の速度で20分間を要して降温した。650℃に降温した時点でアンモニアガスの反応炉90内への供給を遮断し、反応炉90に流通するガスをアルゴンのみとした。かかる状態で室温に至る迄冷却した。
以上の成長操作をもって、n形障壁層101と、n形の発光層102と、p形障壁層103とから成るヘテロ接合構造体に、マグネシウムと亜鉛とを共にドーピングした窒化ガリウムから成るp形の最表層110を積層することで、積層構造体10aの形成を終了した。
積層構造体10aから一片(約5mm×約5mm×t(厚さ))を切り出し、構成元素の深さ方向の分析用試料に供した。積層構造体10aの最表層110より深さ方向のマトリックス元素の濃度分布(デプスプロファイル)は市販のSIMS分析装置((仏)CAMECA社製IMS−6F型2次イオン質量分析装置)で定量した。インジウム及びアルミニウムの濃度分析については、共にセシウム(Cs)イオンビームを一次イオンビームとして用いた。ビーム加速電圧は5.5KVとした。このSIMS分析装置を用いて測定した、発光層102との接合界面104,105におけるインジウムとアルミニウムとの濃度分布は、次のようであった。
図8は発光層との接合界面におけるインジウムとアルミニウムの濃度分布を示す図である。横軸は積層構造体表面からの深さ、縦軸は原子濃度をそれぞれ示している。インジウム原子の濃度分布曲線C1が示す通り、インジウム原子の濃度が発光層102の内部での平均的な濃度RoIから、2桁低い濃度に減ずるに要する遷移領域幅Δtwi、Δtviを比較すれば、n形窒化ガリウム・インジウム発光層102と窒化アルミニウム・ガリウム混晶から成るp形障壁層103との接合界面105側での遷移領域幅Δtwiは、上記のように瞬時的に原料ガスを変化させたこと等により、起点D4から約18nmと極めて狭小であった。ここでは、起点D4は接合界面105に一致している。
一方のn形窒化ガリウム障壁層101との接合界面104側での遷移領域幅Δtviは、上記のように経時的に成長温度を変遷させて成膜したこと等により、起点D3から約30nmと、Δtwiに比べて幅広であった。ここで、起点D3は、接合界面104に一致せず、発光層102の内部に位置している。
一方、アルミニウム原子の濃度については、アルミニウム原子の濃度分布曲線C2が示す通り、発光層102の内部での平均的なアルミニウム原子濃度Roaから、2桁低い濃度に減ずるに要する遷移領域幅Δtwaが、インジウムの遷移領域幅Δtwiの18nmよりさらに小さくなっている。このように、接合界面105におけるインジウム原子と、アルミニウム原子とは、接合界面105を越えるといずれも急激に落ち込んでおり、接合界面105での顕著な急峻性の要求を充分に満たしていることが分かった。
(第2実施例) 図9は本発明の第2実施例に係る積層構造体を示す図である。図において、第1実施例の積層構造体10aと同一の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
この第2実施例では、n形障壁層101とp形障壁層103との間に量子井戸構成体200を挟持して積層構造体100bを構成している。この積層構造体100bを形成するため、第2実施例では、インジウム原料を個別に且つ独立して供給できる2つの配管系を備えた常圧MOCVD成長装置を成膜装置として利用した。配管系は接合界面の急峻性については、異なる達成能力を有するものである。
上記成長装置により第1実施例に記載のサファイア基板100上に堆積した窒化アルミニウム緩衝層100aとn形障壁層101上に、図9に示すように、n形窒化ガリウムから成るバリア層201を終端層として形成した。バリア層201はn形のアンドープ窒化ガリウムから構成し、層厚は30nmに設定した。バリア層201は、第1実施例に記載のn形障壁層101の成長に引き続き、1050℃で成長させた。バリア層201の成長が終了した後は、成長温度を870℃に低下させて、インジウム組成比を0.15と一定とするアンドープでn形の窒化ガリウム・インジウム(Ga0.85In0.15N)井戸層202を成長させた。井戸層202は第1実施例に記載のガリウム源及びインジウム源に関する流量条件で成膜した。但し、層厚は量子準位の発現に足る層厚とするため、層厚は第1実施例1に対し成長時間の短縮をもって変更を加え、6nmとした。このn形障壁層101に最も近接する井戸層202の形成には、意識して急峻性に劣るインジウム配管系を利用した。以後、基板温度100を1000℃に昇温して温度の安定を観た後、アンドープn形窒化ガリウムから成るバリア層203を堆積した。
2層目のバリア層203の成長が終了した後は、基板100の温度を870℃に降温してn形アンドープ窒化ガリウム・インジウム井戸層204を成長させた。この際には、上記のn形障壁層側の井戸層202の形成に使用したインジウムの配管系とは異なり、接合界面でインジウム濃度分布上での”弛れ”の発生を極力、抑制でき、急峻な界面を与えることが予め判明している別のインジウムの配管系を利用した。位置的にp形障壁層103側に配置されたこととなる井戸層204の成長が終了した後は、再び、基板温度を1000℃とし、p形障壁層103と接合することとなるn形窒化ガリウムから成るバリア層205を成長させた。これにより、両方の終端層をアンドープのn形窒化ガリウムから成るバリア層201,205とし、これらの終端層を含めて、2層の井戸層202,204と、3層のバリア層201,203,205とから成る多重量子井戸構造の量子井戸構成体200を形成した。この量子井戸構成体200の電気伝導形はn形である。
上記の多重量子井戸構造の一終端をなすn形窒化ガリウムバリア層205上に量子井戸構成体200とは電気伝導形を反対(逆)とするp形障壁層103を接合させた。この場合も、急峻な界面を与えることが予め判明しているインジウムの配管系を利用した。n形窒化ガリウムバリア層205上に接合させるp形障壁層103及びその層上の窒化ガリウム最表層110は、第1実施例と同一の条件をもって成長させた。以上をもって、n形障壁層101と、窒化ガリウム・インジウム/窒化ガリウム多重量子井戸構造の量子井戸構成体200と、p形障壁層103とから成る発光部を含むpn接合型のDH構造から成る積層構造体10bを形成した。
積層構造体10bについての構成元素の深さ方向の濃度分布に関するSIMS分析結果から測定した界面急峻性は、n形窒化ガリウム・インジウム井戸層202と一終端層を成すn形窒化ガリウム・インジウムバリア層201との接合界面211で約45nmであった。一方、p形障壁層103側に配置したアンドープn形窒化ガリウム・インジウム井戸層204とアンドープn形窒化ガリウムバリア層205との接合界面214におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅は約14nmであった。また、p形障壁層103に配置した窒化ガリウム・インジウム井戸層204の両バリア層203,205の接合界面213,214におけるインジウム原子濃度の急峻性は、n形障壁層側に配置した井戸層202の両バリア層201,203との接合界面211,212におけるそれよりも”弛れ”も少なく優れるものとなっているのが特徴であった。
(第3実施例) 図10は本発明の第3実施例に係る積層構造体を示す図である。図において、第1実施例の積層構造体10aと同一の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
この第3実施例では、n形障壁層101と発光層102との間に、インジウム濃度の変化の安定化をもたらすインジウム濃度に関する第1組成遷移層71を設けている。この第1組成遷移層71は、層厚を50nmとするアンドープのn形窒化ガリウム・インジウム層から構成した。この第1組成遷移層71は、層厚が50nmに到達する間にインジウムの原子濃度が2桁増加して発光層102内の平均的なインジウム濃度となるようにしたものである。
成膜手順を記すに先ず、第1実施例に記載の通り、n形窒化ガリウムから成る障壁層101を1050℃で成膜した後、基板100の温度を870℃に低下させた。次に、基板100の温度が870℃に安定するに至る迄3分間、同温度で待機した後、n形のアンドープ窒化ガリウム・インジウム発光層102を成膜するに当たりインジウム源の、ガリウム源とインジウム源の供給量の総和であるIII族元素源に対する供給比率(インジウム原料の気相組成比)を経時的に変化させることをもって、インジウムの第1組成遷移層71を形成した。
具体的には、発光層102の成長の初期段階において、35℃の恒温に保持されたインジウム源としたトリメチルインジウムを収納す容器内に水素ガスを流通させ、昇華したトリメチルインジウムを随伴する水素ガスの流量を0(零)から毎分62.0ccに15分間を費して時間的に一律に増加させた。この間、0℃の恒温に保持されたガリウム源のトリメチルガリウムをバブリングする水素ガスの流量は、毎分10ccと一定を保ち、インジウムの第1組成遷移層71を形成した。然る後、インジウム源を随伴する水素ガスの流量を最終的な62.0cc/分とし、ガリウム源を随伴する水素ガスの流量を10cc/分とした上で、更に1.5分間に亘り、III族元素原料の供給を継続して層厚を5nmとし、インジウム組成を0.15と深さ方向に一定とするアンドープでn形の窒化ガリウム・インジウム(Ga0.85In0.15N)から成る発光層102を成長させた。発光層102上には、p形障壁層103とp形窒化ガリウムから成る最表層110を順次、堆積した。このようにして、n形発光層102とn形障壁層101との中間に、n形発光層/n形障壁層の接合界面におけるインジウム原子の濃度の安定な変化をもたらすための第1組成遷移層71を配置した構成を含む積層構造体10cを形成した。
SIMS分析によるインジウム原子の深さ方向の濃度分析結果から急峻性を観れば、n形障壁層101とn形発光層102との接合界面側におけるインジウムの原子濃度の遷移領域幅は約30nmであった。すなわち、層厚を50nmとするインジウム濃度に関する第1組成遷移層71にあって、実際にインジウム原子濃度が2桁増加して発光層2の内部の平均的な濃度に到達するに要する幅(距離)は約30nmであった。この第1組成遷移層71内では、インジウム原子濃度はn形障壁層101側からn形発光層102側に向けて単調に増加していた。一方、n形発光層102とp形障壁層103との接合界面側におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅は約15nmであった。
(第4実施例) 図11は本発明の第4実施例に係る積層構造体を示す図である。図において、第3実施例の積層構造体10cと同一の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
この第4実施例では、n形発光層102とp形障壁層103との中間にインジウム組成についての第2組成遷移層81を設けてある。上記の第3実施例に記載の手順に従い、n形発光層102迄成長させた後、n形発光層102の成長温度とした870℃に基板100の温度を保持しながら、優れた界面急峻性を与えるインジウム供給用配管系を利用して層厚を20nmとする第2組成遷移層81を形成した。この第2組成遷移層81の形成の初期においては、昇華したインジウム原料を随伴する水素ガスの供給量を毎分62.0ccとした。このインジウム源を随伴する水素ガスの流量は、10分間に亘る第2組成遷移層81の成長時間内に一律に0cc/分に低下させた。この間、0℃に保持したガリウム源(トリメチルガリウム)の蒸気を随伴するバブリング用水素ガスの流量は毎分10ccに固定した。このようにして形成した第2組成遷移層81上には、第1実施例に記載の条件、操作に従い、p形障壁層103及びp形最表層110を順次、積層させた。これにより、発光層102の両側にインジウム原子濃度の安定した変化をもたらす第2組成遷移層81を配置した構成を含む積層構造体10dを得た。
図12は第4実施例における発光層との接合界面におけるインジウム原子の濃度分布を示す図である。横軸は積層構造体表面からの深さ、縦軸はインジウム原子の濃度である。このインジウム原子濃度の分布状況はSIMS分析により測定した。
図において、インジウム原子の濃度分布C3が示すように、n形障壁層101側の膜厚を50nmとする組成遷移層71内のインジウム原子濃度の遷移領域幅ΔtvMは、第3実施例の場合と略同一で約30nmであった。すなわち、第1組成遷移層71にあって、実際にインジウム原子濃度が2桁増加して発光層2の内部の平均的な濃度に到達するに要する幅(距離)は約30nmであった。一方、p形障壁層103側の組成遷移層81のインジウム原子濃度の遷移領域幅ΔtWMは約18nmであった。すなわち、層厚を20nmとするインジウム濃度に関する第2組成遷移層81にあって、実際に発光層2の内部の平均的なインジウム原子濃度が2桁減少するに要する幅(距離)は約18nmであった。
上記第4実施例の積層構造体10dを母体材料としてLEDを作製した。
図13はLEDの断面構造を模式的に示す図で図14のA−A断面であり、図14はLEDの平面模式図である。図13、図14に示すLED60を構成するために、先ず図11の積層構造体10dにおいて、n形電極(負電極)61を形成する予定領域のn形障壁層101上に在る発光層102、p形障壁層103及び最表層110を、アルゴン−メタン(CH4)−水素混合ガスを使用するマイクロ波プラズマエッチング技術によりエッチングして除去した。このエッチングはn形障壁層101の表層部を約150nm除去するに至る迄継続した。然る後、エッチングにより露呈したn形障壁層101の表面に透光性、透過性の電極を付帯しないパッド電極61を形成した。パッド電極61はアルミニウム(Al)単体から構成した。
一方、最表層110上には、金・ベリリウム(Au・Be)合金と金(Au)との重層から成るパッド電極62と全体の膜厚を約20nmとする2層から成る透過性(透光性)電極63を被着した。透過性電極63は上記のエッチングによりメサ型に残存させた最表層110のほぼ全域に形成した。透過性電極63の表面上に直接、パッド電極を形成する方法もあるが、本実施例では透過性電極63の表層を形成する金属酸化物膜のみを選択的除去して、残存させた下層の金(Au)薄膜電極上にパッド電極62を形成した。
このようにして形成したLED60において、隣接する電極61及び62間に直流電圧を印加した。5ボルト(V)未満の直流電圧、例えば3.5Vの印加により既に青色の発光が得られた。印加する電圧値の増大と共に青色発光の強度は増加した。積分球を利用した測定では、順方向電流を20ミリアンペア(mA)通流した際の発光出力は17.0マイクロワット(μW)となった。ちなみに、発光層と障壁層との接合界面におけるインジウム原子濃度に関する急峻性の求められる差異に注意を払わず、単に機械的に接合をなした従来のDH構造のLEDの発光出力は、約11μW〜約14μWであった。これにより、本発明の規定する条件を満足する界面急峻性を備えることをもって、発光強度に優れる発光素子が提供されるのは明かとなった。
ヘリウム(He)−カドミウム(Cd)レーザ光を励起光とする通常のフォトルミネッセンス測光装置を利用した発光スペクトルの測定では、主たる発光スペクトルの発光波長は約445〜462nmであることが分かった。また、主たる発光スペクトルの半値幅は、大凡12〜15nmであり、このため、LED60からの発光は単色性(色純度)に優れたものであることも分かった。
他の各実施例で形成した積層構造体についても、その積層構造体からLEDを作製し、上記と同様に、発光出力、発光スペクトルの発光波長、発光スペクトルの半値幅を測定したが、上記のLED60とほぼ同等の品質結果が得られた。
上記の各実施例では、本発明を発光ダイオード(LED)に適用した場合について説明したが、本発明は、他の発光素子、例えばレーザダイオード(LD)にも同様に適用することができる。
本発明のIII族窒化物半導体発光素子における発光部を概念的に示す図である。 III族窒化物半導体からなる接合界面の急峻性を達成するための創意を施した成長反応炉の構成例を示す図である。 発光部に組成遷移層を設けた場合を示す図である。 本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第1の構成例を示す図である。 本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第2の構成例を示す図である。 本発明を多重量子井戸構造に適用した場合の第3の構成例を示す図である。 本発明の第1実施例に係る積層構造体を示す図である。 第1実施例における発光層との接合界面におけるインジウムとアルミニウムの濃度分布を示す図である。 本発明の第2実施例に係る積層構造体を示す図である。 本発明の第3実施例に係る積層構造体を示す図である。 本発明の第4実施例に係る積層構造体を示す図である。 第4実施例における発光層との接合界面におけるインジウム原子の濃度分布を示す図である。 LEDの断面構造を模式的に示す図である。 LEDの平面模式図である。 MODFET用途の積層構造体におけるポテンシャル井戸構造を概略的に示す図である。
符号の説明
1 n形障壁層
2 n形発光層
3 p形障壁層
4 n形障壁層と発光層との接合界面
5 p形障壁層と発光層との接合界面
6 散乱防止層(薄層)
7 組成遷移層
8 組成遷移層
10,10s,11,12 発光部
10a,10b,10c,10d 積層構造体
41,42,43,51,52,53 接合界面
60 LED
61 パッド電極(負電極)
62 パッド電極(正電極)
63 透過性電極
71 第1組成遷移層
81 第2組成遷移層
90 成長反応炉
91 第1流路
92 第2流路
93 掃引ガス流路
94 内壁
99 サセプタ
100 基板
101 n形障壁層
102 発光層
103 p形障壁層
104 n形障壁層と発光層との接合界面
105 p形障壁層と発光層との接合界面
110 最表層
200 量子井戸構成体
201,203,205 バリア層
C,C1,C3 インジウム原子の濃度分布曲線
C2 アルミニウム原子の濃度分布曲線
D1,D2,D3,D4 インジウム原子の濃度が減少する起点
Δtv,Δtv1,Δtva,Δtvb,Δtvc,ΔtvM,Δtvi,ΔtvZ
発光層と、発光層と同じ電気伝導形を有する障壁層との間での遷移領域幅
ΔtW,ΔtW1,ΔtWa,ΔtWb,ΔtWc,ΔtWM,ΔtWi,ΔtWZ
発光層と、発光層と反対の電気伝導形を有する障壁層との間での遷移領域幅

Claims (1)

  1. III族窒化物半導体から成るn形障壁層とp形障壁層との中間に、インジウム含有III族窒化物半導体から成るn形発光層としての井戸層と、
    その井戸層に比して禁止帯幅をより大とするIII族窒化物半導体から成り且つ当該井戸層と同一の電気伝導形を有するバリア層と、
    を多重に積層して成る多重量子井戸構造を挟持して成る発光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子において、
    発光部を構成する井戸層のn形障壁層側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtvと、p形障壁層側の終端におけるインジウム原子濃度の遷移領域幅Δtwとの関係がΔtw<Δtvである、
    ことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
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