以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る回転軸装置は、横型ブラインド装置のスラットの開閉角度を調整する回転軸に作用するものであり、横型ブラインド装置に適用される。本発明に係る回転軸装置が適用される横型ブラインド装置は公知の横型ブラインド装置であり、特定の横型ブラインド装置に限定されない。例えば、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1は、図1乃至図3に示す横型ブラインド装置100に適用される。
図1は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1を有する横型ブラインド装置100の正面図である。図2は、図1に示す横型ブラインド装置100を上側から見た平面図である。図3は、図1に示す横型ブラインド装置100の側面図である。横型ブラインド装置100は、窓枠等に固定されて、室内からの外部の視認を可能にしたり、外部からの室内の視認を妨げたり、また、室内への光や風の取り入れを可能にしたり、室内への光や風の進入を防いだりする覆いである。
本発明の実施の形態に係る回転軸装置1が適用される横型ブラインド装置100は、ヘッドボックス110と、ボトムレール120と、スラット130と、ラダーコード140と、昇降コード150と、回転操作部160とを備える。なお、説明の便宜上、図1乃至図3に示すように、横型ブラインド装置100のヘッドボックス110の延び方向を長手方向LRとし、図1において左側を左側Lと、図1において右側を右側Rとする。また、ボトムレール120の昇降する方向を上下方向UDとし、上下方向UDにおいてヘッドボックス110に向かう側を上側Uと、上下方向UDにおいてボトムレール120に向かう側を下側Dとする。また、図3における左右方向を前後方向(幅方向)FBとし、図3の左側を前側F、図3の右側を後側Bとする。具体的には、前側Fは、回転操作部160がヘッドボックス110から垂下している側である。
ヘッドボックス110は、窓枠に取り付けられる部分であり、ブラケット111を有している。ヘッドボックス110は、ブラケット111を介して窓枠に取り付けられる。ヘッドボックス110の右側Rに、回転操作部160が垂下している。また、ヘッドボックス110からは、長手方向LRにおいて例えば等間隔に複数のラダーコード140及び複数の昇降コード150が垂下している。ヘッドボックス110には、チルタ112と、伝達装置113が設けられている。
チルタ112は、横型ブラインド装置100のヘッドボックス110内において長手方向LRに沿って直列に3つ設けられている。チルタ112は、ラダーコード140に対応する位置に配置されている。チルタ112は、ヘッドボックス110内においてベース(図示せず。)に回転自在に支持されている。チルタ112には回転軸114が差し込まれている。なお、本実施の形態においては、3つのチルタ112が設けられていたが、チルタ112の数はこれに限定されない。
回転軸114の回転軸線Xに交差する回転軸114の断面形状は六角形である。回転軸114は、ヘッドボックス110において長手方向LRに延びている。回転軸114は、チルタ112に対して相対的に回転せず、チルタ112と一体的に回転する。回転軸114の右側Rの端部は、伝達装置113に連結されている。なお、回転軸114の断面形状は、六角形に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形等の他の幾何学形状であってもよい。
伝達装置113は、ヘッドボックス110の右側Rの端に設けられている。伝達装置113は、ウォームホイール(図示せず。)を有する自在継手として構成されている。回転軸114は、ウォームホイールを介して伝達装置113に連結されている。伝達装置113は、ウォームホイールとかみ合うウォーム(図示せず。)を有している。ウォームは、回転操作部160に連結されている。回転操作部160を回転させると、回転力がウォーム及びウォームホイールを介して回転軸114に伝達され、回転軸114が回転する。
ボトムレール120は、ラダーコード140及び昇降コード150の下側Dの端部に取り付けられている。ボトムレール120は、昇降コード150の巻上げ時に、ボトムレール120の上側に配置されているスラット130が積み重ねられていく。ボトムレール120は、ヘッドボックス110とは反対側に面するボトムレール120の下面に昇降コード150を固定するホルダ122を有している。
スラット130は、薄板状の部材である。スラット130は、ヘッドボックス110の前側F及び後側Bから垂下されているラダーコード140の間に長手方向LRに延びた状態でラダーコード140に保持されている。スラット130は、前後方向FBにおいて中央に昇降コード150が挿通される挿通孔(図示せず。)を有する。スラット130は、ヘッドボックス110とボトムレール120との間に複数枚設けられている。
回転操作部160の操作により、前後方向FBにおけるスラット130の前縁及び後縁がそれぞれ上下方向UDにおいて上側U及び下側Dに位置するように回転して、スラット130の開閉状態が調整可能(チルト可能)になっている。スラット130の全閉状態には2つの状態がある。スラット130は、横型ブランド装置100が一の閉鎖状態で閉じられた状態と他の閉鎖状態で閉じられた状態との間を回動可能になっている。一の閉鎖状態は、前後方向FBにおいて前側Fに位置するスラット130の縁が、後側Bに位置するスラット130の縁に対して上側Uにある状態で、横型フラインド装置100においてスラット130が閉じられた状態である。他の閉鎖状態は、後側Bに面するスラット130の縁が、前側Fに面するスラット130の縁に対して上側Uにある状態で、横型ブラインド装置100においてスラット130が閉じられた状態である。
ラダーコード140は、長手方向LRにおいて例えば等間隔にヘッドボックス110から垂下している。一対のラダーコード140が、長手方向LRにおいて昇降コード150と例えば同じ位置でヘッドボックス110から垂下している。一対のラダーコード140は、前後方向FBに所定の間隔をおいてヘッドボックス110の前側F及び後側Bからそれぞれ垂下されている。ラダーコード140の上側Uの端部は、ラダーコード140が所定長さだけヘッドボックス110内に引き込まれる又はヘッドボックス110から送り出されるように、チルタ112に取り付けられている。なお、本実施の形態においては、ラダーコード140は、ヘッドボックス110から3箇所で垂下されているが、長手方向LRにおける横型ブラインド装置100の長さに応じて、2箇所又は4箇所以上から垂下されていてもよく、これに応じて、チルタ112の設置個数も変更される。
昇降コード150は、横型ブラインド装置100の長手方向LRにおいて所定の間隔をおいて、ラダーコード140と例えば同じ位置でヘッドボックス110から垂下されており、スラット130の挿通孔を通ってヘッドボックス110とボトムレール120との間を延びている。昇降コード150の一方の端部は、ボトムレール120に取り付けられており、昇降コード150の他方の端部は、回転操作部160に取り付けられている。なお、本実施の形態において昇降コード150は、3箇所から垂下されているが、横型ブラインド装置100の長さに応じて、2箇所又は4箇所以上から垂下されていてもよく、これに応じて、チルタ112の設置個数も変更される。
回転操作部160は、ヘッドボックス110の右側Rの端部に取り付けられている。回転操作部160は、操作部材161と、コードタッセル162とを有する。操作部材161は、例えば円筒状の部材である。操作部材161は、上側Uの端部において伝達装置113のウォームに連結されている。昇降コード150は、操作部材161内を挿通されている。ボトムレール120に固定されていない側の昇降コード150の端部は、コードタッセル162に取り付けられている。コードタッセル162を操作部材161に対して相対的に昇降コード150と共に引っ張ることにより、ボトムレール120を下側Dからヘッドボックス110の側に移動させることができる。また、ボトムレール120がヘッドボックス110側から下側Dに移動すると、昇降コード150はヘッドボックス110側に引き込まれるようになっている。
上述の構成を有する横型ブラインド装置100には、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1が設けられている。図4は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1の斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1の分解斜視図である。図6は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1の回転円筒部材10の斜視図である。
本実施の形態に係る回転軸装置1は、横型ブラインド装置100のスラット130を回転させる回転軸114に取り付けられて回転軸114に作用する。回転軸装置1は、回転軸114に取り付けられた状態において回転軸114と共に回転する、軸線(回転軸線X)方向に筒状に延びる部材である回転円筒部材10と、回転円筒部材10に係合する係合機構4とを備える。係合機構4は、回転円筒部材10の回転に伴い回転円筒部材10に衝撃を与える衝撃発生機構(以下、「クリック機構」ともいう。)40、回転円筒部材10の回転を制動する回転制動機構(以下、「ブレーキ機構」ともいう。)50、及び回転円筒部材10の過回転を防止する回転防止機構(以下、「ストッパ機構」ともいう。)60の少なくとも1つを有する。回転円筒部材10は、回転軸線Xに沿って直列に、衝撃発生機構40と係合する第1係合部(以下、「クリック突起」ともいう。)41と、回転制動機構50と係合する第2係合部(以下、「被ブレーキ(制動)面」ともいう。)51と、回転防止機構60と係合する第3係合部(以下、「ストッパ突起」ともいう。)61とを有する。以下、回転軸装置1の構成について具体的に説明する。
横型ブラインド装置100において回転軸装置1は、例えばヘッドボックス110の左側Lに位置するチルタ112の左側Lに設けられている。回転軸装置1は、ヘッドボックス110の前後方向FBにおける一対の壁部間に挟まれている。回転軸装置1は、回転円筒部材10を回転可能に支持する支持ケース20を備え、また、支持ケース20の支持カバー30を有する。
回転円筒部材10は、支持ケース20と支持カバー30とによって回転自在に支持されている。回転円筒部材10は、図4~6に示すように、回転軸114の回転軸線Xに沿った両端部に支持部11,12と、支持部11,12の間にさらに支持部13を有する。回転円筒部材10は、3箇所で支持ケース20により下側Dから支持され、支持カバー30により上側Uから支持されている。
回転円筒部材10は、図6に示すように、回転軸114が挿通される貫通孔14を有している。貫通孔14は、回転軸線Xに沿って回転円筒部材10を貫通して延びている。回転軸線Xに直交する貫通孔14の断面形状は六角形であり、回転軸114の断面形状と同じ又は略同じである。回転円筒部材10は拡径部15を有する。拡径部15は、各支持部11,12,13における回転円筒部材10の径よりも大きな径を有する部分である。拡径部15は、回転軸線Xに沿って左側Lの支持部11と中間の支持部13との間を延びている。
回転円筒部材10は、回転軸線X回りの外周面に、クリック突起41と被ブレーキ(制動)面51と、ストッパ突起61とを有する。回転円筒部材10において、回転軸線Xに沿って左側Lから右側Rに向かってクリック突起41、被ブレーキ(制動)面51、ストッパ突起61の順に配置されている。回転円筒部材10におけるクリック突起41、被ブレーキ(制動)面51、及びストッパ突起61の配置はこれに限られない。
クリック突起41は、回転円筒部材10の拡径部15の外周面に形成されており、回転円筒部材10においては2つのクリック突起41が設けられている。クリック突起41は、拡径部15の周方向において互いに所定の間隔をあけて設けられている。クリック突起41は、拡径部15から外周側に向かって突出している。拡径部15においてクリック突起41の間に周方向に延びる外周面は、後述する転動体としてのクリックボール45が転動する転動面43である。転動面43は、例えば、拡径部15においてクリック突起41の間に周方向に延びる外周面のうち、短い方の面である。周方向における転動面43の長さは、後述するクリックボール45の直径よりも十分に大きく設定されている。
クリック突起41は、回転軸線Xに沿って拡径部15から外周側に延びる一対の側面41aを有している。一対の側面41aは、拡径部15から外周側に向かうに連れて互いに接近していき、クリック突起41の先端で互いに交わっている。クリック突起41の先端は、丸味を帯びて形成されている。なお、クリック突起41は、2つに限られず、1つ又は3つ以上設けられていてもよい。例えば、45°毎に合計8個のクリック突起41を設けてもよい。
被ブレーキ(制動)面51は、回転円筒部材10においてクリック突起41の右側Rに位置する拡径部15の外周面に形成されている。被ブレーキ(制動)面51は、拡径部15の一部であってもよく、拡径部15に複数の溝等が形成されて摩擦係数が増加された部分であってもよい。ストッパ突起61は、回転円筒部材10の外周面16から外周側に突出する部分である第2突起によって形成されている。外周面16は、回転円筒部材10の支持部12,13を形成しており、回転円筒部材10の支持部11は、外周面16と同じ径を有している。回転円筒部材10の支持部12,13は、外周面16とは異なる回転円筒部材10の外周面によって形成されていてもよく、また、回転円筒部材10の支持部11は、外周面16と異なる径を有していてもよい。ストッパ突起61は、回転円筒部材10の周方向において、回転円筒部材10を回転軸線Xに沿って見た場合、クリック突起41の間に位置するように設けられている。ストッパ突起61は、クリック突起41と同様な形状を有しており、先端に向かって先細になっている。ストッパ突起61は、回転軸線Xに沿って外周側に延びる一対の側面63を有している。各側面63は、外周側に向かうに連れて互いに接近していき、ストッパ突起61の先端で互いに交わっている。ストッパ突起61の先端は、丸味を帯びて形成されている。
図7は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1の支持ケース20を示す図であり、図7(a)は支持ケース20の斜視図であり、図7(b)は支持ケース20を上側から見た平面図である。図8は、本発明の実施の形態に係る回転軸装置1を回転軸線Xに沿った断面図である。図9は、図8のA-A線に沿った断面図であり、図10は、図8のB-B線に沿った断面図であり、図11は、図8のC-C線に沿った断面図である。
支持ケース20は、回転円筒部材10を回転可能に支持する。支持ケース20は、支持カバー30と共に回転円筒部材10を収容する空間Sを形成する(例えば、図12参照。)。支持ケース20は、一対の端面壁21と、一対の側面壁22と、中間壁23と、底壁24と、を有する。端面壁21は、回転軸線Xに交差する方向(前後方向FB)に延びており、側面壁22は、回転軸線Xに沿った方向(左右方向LR)に延びている。中間壁23は、一対の側面壁22間を延びている。中間壁23は、左側Lの端面壁21に対して右側Rの端面壁21寄りに設けられている。
端面壁21の両端は、側面壁22から回転軸線Xに交差する方向に突出している。支持ケース20がヘッドボックス110に取り付けられた状態において端面壁21は、両端においてヘッドボックス110の前後方向FBにおける壁部の内壁面に接触するようになっている。各端面壁21には、支持凹部21aが形成されている。中間壁23には、支持凹部23aが形成されている。支持凹部21a,23aは、回転軸線X周りに円弧状に凹に窪んだ部分である。回転円筒部材10は、支持部11,12及び支持部13で一対の支持凹部21a及び支持凹部23aにおいて回転自在に支持される。
側面壁22にはそれぞれ支持カバー30を支持ケース20に係止可能にする係止部22aが設けられている。係止部22aは、側面壁22から外部側に向かって突出している。係止部22aは、係止面22bと案内面22cとを有している。案内面22cは、回転軸線X側から側面壁22の表面に対して斜めに延びており、係止面22bは、案内面22cの回転軸線Xとは反対側において側面壁22の表面に直交又は略直交する面であり、支持カバー30と係合する。底壁24は、支持カバー30とは反対の側で一方の端面壁21と中間壁23との間を延びている。具体的には、回転軸線Xに沿って後述する収容部25,26に亘って延びている。
支持ケース20は、クリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60を収容可能に構成されており、3つの収容部25,26,27を有する。収容部(第1収容部)25は、回転円筒部材10が回転する場合、クリック突起41と係合して回転円筒部材10に衝撃を与えるクリック部材(第1係合部材)42を収容可能である。収容部(第2収容部)26は、被ブレーキ(制動)面51と係合して回転円筒部材10の回転を制御するブレーキ部材(第2係合部材)を収容可能である。収容部(第3収容部)27は、回転円筒部材10が回転する場合、ストッパ突起61と係合して回転円筒部材10の回転を規制するストッパボール(第3係合部材)62を収容可能である。
収容部25は、支持ケース20において左側Lの端面壁21に隣接している。収容部25は、回転軸線X周りに弧状の面である円弧面25aと孔25bとを有する。円弧面25aは、回転円筒部材10が支持ケース20に支持された状態において、回転円筒部材10の外周面(拡径部15)に沿って形成された面である。円弧面25aは、回転円筒部材10の回転時にクリック突起41が接触しない位置に形成されている。円弧面25aは、側面壁22の間を延在している。孔25bは、側面壁22間で円弧面25aの延び方向において真ん中又は略真ん中に位置し、径方向に延びている。孔25bのその延び方向の断面形状は円形である。孔25bの断面形状は、後述する押圧ばね44を収容するために適した形状となっていれば、特に円形に限られない。
収容部26は、収容部25と中間壁23との間に設けられている。収容部26には、後述するブレーキ部材52が収容可能である。収容部26における一対の側面壁22側の内壁面は、底壁24の側から回転軸線X側に向かって互いに向かい合って平行に延びる鉛直部26aと、底壁24とは反対側の鉛直部26aの端部から側面壁22の外側に向かって傾斜して延びる傾斜部26bと、底壁24とは反対側の傾斜部26bの端部から互いに向かい合って平行に延びる鉛直部26cと、を有する。
収容部27は、右側Rの端面壁21と中間壁23との間に設けられている。収容部27は、転動路(通路)65を有する。転動路65は、後述するストッパ突起61と転動体としてのストッパボール62が係合した場合にストッパボール62が移動する通路である。
転動路65は、側面壁22間を延びている。転動路65は、回転円筒部材10に外周側から対向する、回転軸線X周りに延びる、周方向における一対の端部を有する面である通路面としての円弧面65aと、円弧面65aの一対の端部65bにそれぞれ設けられたストッパボール62の移動を規制する規制部としてのストッパ壁面66とを有する。円弧面65aは、回転軸線X回りに回転円筒部材10の外周面に沿って円弧状に形成されている。円弧面65aは、回転円筒部材10との間でストッパボール62を移動可能に保持しており、円弧面65aと、回転円筒部材10の外周面16との間の径方向における間隔は、ストッパボール62の直径より大きくなっている。
ストッパ壁面66は、転動路65に設けられており、転動路65の一対の端部65bにおいてストッパボール62の移動を規制する。ストッパ壁面66は、転動路65の両終端部65bから回転円筒部材10の側に向かって延びている。ストッパ壁面66は互いに平行に延びている。ストッパ壁面66の回転円筒部材10側の端部67と回転円筒部材10の外周面16とを径方向の間隔dは(図11参照。)、ストッパボール62の直径よりも小さく設定されている。つまり、ストッパボール62が、回転円筒部材10の外周面16と転動路65との間を抜けて支持ケース20から抜け出ることはない。ストッパボール62は、一対のストッパ壁面66の間を転動する。
支持カバー30は、支持ケース20に上側Uから被せることにより回転円筒部材10を回転自在に支持する。図5に戻って、支持カバー30は、上壁部31と被係止部32とを有する。上壁部31は、一対の支持凹部33を有する。支持凹部33は、回転軸線X周りに弧状に凹む面であり、支持凹部33は、支持ケース20の支持凹部21aに対応する位置にあり、回転円筒部材10を左右LRの支持部11,12において回転自在に支持するようになっている。
被係止部32は、回転軸線Xに交差する方向に面する上壁部31の側に設けられている。被係止部32は、上壁部31から支持ケース20の側に延びている。被係止部32は、中央に係止開口32aを有している。被係止部32は、支持ケース20に支持カバー30を取り付けた状態において、支持ケース20の側面壁22の外側から支持ケース20に取り付けられる。支持ケース20に支持カバー30を取り付けた状態において、支持ケース20の係止部22aの係止面22bが、被係止部32の係止開口32aの下側Dの縁部32bに引っ掛かり、支持カバー30が支持ケース20から外れることを防止する(例えば、図12(b)参照。)。
以上の構成を有する回転軸装置1は、クリック機構40と、ブレーキ機構50と、ストッパ機構60と、を有する。クリック機構40は、回転円筒部材10、具体的には回転円筒部材10の拡径部15におけるクリック突起41と、クリック部材42とにより形成されている(図9参照。)。クリック部材42は、押圧ばね44と突起としてのクリックボール45とを有する。クリック機構40は、支持ケース20における収容部25に設けられる。
クリック機構40は、回転円筒部材10の回転に伴いクリック突起41とクリック部材42との係合状態が変化することにより、回転円筒部材10に衝撃をクリック感として与える。クリック機構40による衝撃は、スラット130を開閉操作する、横型ブラインド装置100の使用者に回転操作部160を介して伝達される。
押圧ばね44は、圧縮コイルばねにより形成されている。押圧ばね44は、支持ケース20の収容部25の孔25bに収容されている。押圧ばね44の一端は、収容部25の孔25bにおける底面に支持されている。クリックボール45は、押圧ばね44の他端に支持されている。押圧ばね44は、収容部25の孔25bに収容された状態において、一端から他端に亘って完全に孔25b内に収容されている。
クリックボール45は、押圧ばね44の他端側において、一部が孔25bから突出した状態になっている。クリックボール45は、クリック部材42が乗り越え可能に押圧ばね44によって回転円筒部材10に向かって付勢されている。押圧ばね44は、圧縮コイルばねにより形成されていたが、例えば、板バネ、捩じりバネ、ゴム等の弾性部材であってもよい。また、クリックボール45は、樹脂製の球状部材であるが、例えば、先端が尖形状となる球状部材以外の部材、円筒形の転動体を用いてもよい。
ブレーキ機構50は、回転円筒部材10、具体的には回転円筒部材10の拡径部15における被ブレーキ(制動)面51と、ブレーキ部材52とにより形成されている(図10参照。)。ブレーキ部材52は、ブレーキ体53と押圧ばね54とを有する。ブレーキ機構50は、支持ケース20においてクリック機構40の右側Rに設けられている。
ブレーキ機構50は、スラット130の一の全閉状態と他の全閉状態との間でスラット130の開閉状態を維持するように、被ブレーキ(制動)面51とブレーキ部材52とが係合し続けることにより回転円筒部材10の回転を制動する。
ブレーキ体53は、回転軸線Xに沿った断面形状が矩形である板の部材である。ブレーキ体53は、収容部26から飛び出し可能に収容部26に収容可能に形成されており、回転軸線Xに沿った方向に面する面は互いに平行をなしている。ブレーキ体53の、回転軸線Xに交差する方向に面する面は、底壁24の側から、回転軸線X側に向かって互いに向かい合って平行に延びる鉛直部53aと、回転軸線X側の鉛直部53aの端部から互いに離れる側に向かって傾斜して延びる傾斜部53bと、回転軸線X側の傾斜部53bの端部から互いに向かい合って平行に延びる鉛直部53cと、を有する。ブレーキ体53が収容部26に収容された状態において、ブレーキ体53の鉛直部53a,53cはそれぞれ、収容部26の鉛直部26a,26cに対応し、ブレーキ体53の傾斜部53bは、収容部26の傾斜部26bに対応する。
ブレーキ体53は、接触面53dと、孔53eとを有する。接触面53dは、回転円筒部材10の被ブレーキ(制動)面51に外周側から押し付け可能に形成された回転軸線X周りに延びる面であり、ブレーキ体53が支持ケース20の収容部26に収容された状態において、回転円筒部材10の被ブレーキ(制動)面51に接触する面である。接触面53dは、回転円筒部材10の拡径部15の被ブレーキ(制動)面51に対応して回転軸線X周りに円弧状に凹に形成されている。接触面53dは、拡径部15の被ブレーキ(制動)面51に周方向に所定の間隔に亘って接触している。孔53eは、ブレーキ体53の接触面53dとは反対の側から接触面53dに向かって延びる。孔53eは、押圧ばね54を収容する。孔53eの、その延び方向に直交する断面形状は円形である。
押圧ばね54は、圧縮コイルばねにより形成されている。押圧ばね54は、ブレーキ体53の孔53e内に収容された状態において支持ケース20に一端が支持されている。押圧ばね54の他端は、ブレーキ体53の孔53eの接触面53d側の面で支持されている。押圧ばね54は、回転円筒部材10と支持ケース20との間において自然長から収縮させられた状態においてブレーキ体53の孔53e内に収容されている。この状態において押圧ばね54は、ブレーキ体53を回転円筒部材10に対して押し上げて、接触面53dを被ブレーキ(制動)面51に押し付けている。この押圧ばね54の押し付け力は、回転軸114が外力なしに回転できないようにする大きさとなっており、これにより、回転軸114は、回転操作部160を回転操作しない限りブレーキ機構50によりその回転が防止されている。
ばね定数が異なる押圧ばね54を使用することにより、種々の横型ブラインド装置100に合ったブレーキ力を有するブレーキ機構50を提供することができる。押圧ばね54、圧縮コイルばねにより形成されていたが、例えば、板バネ、捩じりバネ、ゴム等の弾性部材であってもよい。
ストッパ機構60は、上述のようにストッパボール62と、転動路65における円弧面65aとストッパ壁面66とにより形成されており(図11参照。)、回転円筒部材10のストッパ突起61と係合可能になっている。ストッパ機構60は、支持ケース20においてブレーキ機構50の右側Rに設けられている。
ストッパ機構60は、スラット130が全閉状態に達した場合に、ストッパ突起61がストッパボール62を介してストッパ壁面66と係合することにより、回転円筒部材10の過回転を防止する。より具体的には、スラット130が全閉状態に達した又は少し超えたときに、回転円筒部材10のストッパ突起61と、一方のストッパ壁面66との間でストッパボール62が挟まれた状態になり、一方向における回転軸114及び回転円筒部材10のそれ以上の回転をストッパ機構60は防止する。
次に、上記構成の横型ブラインド装置100の動作について説明する。図12は、スラット130が水平状態にある場合の回転軸装置1を示す図であり、図13乃至図15は、スラット130を一の閉鎖状態に調整する際の回転軸装置1を示す図である。図12(a)~(c)乃至図15(a)~(c)それぞれは、回転軸線Xに直交する断面におけるクリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60における回転軸装置1の断面図である。
スラット130の開閉を調整する場合、使用者が回転操作部160の操作部材161を把持して回転させる。操作部材161による回転力は、伝達装置113を介して回転軸114に伝達される。回転軸114が反時計回りに回転させられると、回転軸114に取り付けられたチルタ112に回転力がさらに伝達される。
チルタ112には、ラダーコード140の上側Uの端部が巻き付けられているので、ラダーコード140は、チルタ112に巻き取られる。これにより、スラット130の前後方向FBにおける縁がそれぞれ上下動して、スラット130の開閉状態が調整される。操作部材161の回転方向及び回転量に基づいて、ラダーコード140を介してスラット130の角度(チルト状態)が変化させられる。つまり、スラット130は、一の全閉状態から他の全閉状態の間で、角度を変化させることが可能である。
図12に示す状態において、スラット130は、横型ブラインド装置100の前後方向FBにおいて略水平状態にある。この状態において、クリック機構40は、クリック突起41とクリック部材42とが互いに係合していないため機能していない(図12(a)参照。)。ストッパ機構60は、ストッパ突起61とストッパ壁面66とがストッパボール62を介して係合していないため機能していない(図12(c)参照。)。これに対して、ブレーキ機構50はスラット130の開閉操作において終始機能している。横型ブラインド装置100において、回転円筒部材10の被ブレーキ(制動)面51に対して、ブレーキ体53の接触面53dが押圧ばね54によって押し付けられている(図12(b)乃至図15(b)参照。)。この状態において、操作部材161を回転させると、回転軸114及び回転円筒部材10は回転するものの、被ブレーキ(制動)面51とブレーキ体53の接触面53dとの間に発生する摩擦抵抗は、使用者には操作感として伝わる。
スラット130を閉鎖状態に調整する場合、使用者が操作部材161を回転操作し、例えば、回転軸114が反時計回りに回転すると、回転円筒部材10も回転軸114と共に反時計回りに回転する。回転円筒部材10が回転すると、回転円筒部材10のクリック突起41がクリックボール45に一方の周方向から接触する(図13(a)参照。)。クリック突起41がクリックボール45に接触した場合、スラット130は例えば全閉状態の少し手前の状態である。クリック突起41がクリックボール45に接触すると回転軸114の回転に対して負荷がかかり、使用者には操作部材161を回転させる際に若干の抵抗が知覚される。
クリック突起41とクリックボール45とが接触した状態から、使用者が若干の抵抗を感じつつも操作部材161をさらに回転させると、回転軸114及び回転円筒部材10はさらに回転して、クリック突起41がクリックボール45を介して押圧ばね44を下側Dに押し下げる(図14(a)参照。)。押圧ばね44は、収縮してクリックボール45が全体的に孔25b内に移動する。これにより回転円筒部材10は、クリック突起41においてクリックボール45を超えて回転する。
クリック突起41がクリックボール45を乗り越えると、押圧ばね44は、クリック突起41による押圧から解放され自然長に戻ろうとして、クリックボール45を回転円筒部材10に向かって押し返す。クリックボール45は、クリック突起41の高さ分だけ回転円筒部材10に対して押し付けられることになる(図15(a)参照。)。押圧ばね44の戻り現象に伴い、クリックボール45が回転円筒部材10の転動面43に衝突する。この衝突の際に発生する衝撃や衝撃音が「クリック感」として横型ブラインド装置100の使用者に知覚される。クリック感の発生は、スラット130が一の全閉状態に達したことを意味し、使用者は、クリック感を介してスラット130が全閉状態に達したことを認識する。
スラット130を全閉状態に調整する過程においてはブレーキ機構50がそのブレーキ作用を回転軸114及び回転円筒部材10に対して常に発揮しているので、使用者による回転操作部160の操作が行われない限り、スラット130の開閉状態(開閉角度)は維持される。さらに、クリック突起41が反時計回りとは反対の時計回りの方向に面する側面41aにおいてクリックボール45に接触していることも、回転軸114の回転を抑制することに寄与する。
ストッパ機構60は、スラット130が全閉状態に達するまでは機能しない。つまり、スラット130が全閉状態に達する前は、ストッパ突起61が円弧面65aに対向する領域に入り、ストッパ突起61がストッパボール62に係合して、ストッパボール62が円弧面65a上を転動することはあるものの、ストッパボール62自体はストッパ壁面66に接触していない(図12(c)乃至図14(c)参照。)。しかしながら、スラット130が全開状態に達した後、使用者が誤って操作部材161をさらに回転させた場合、回転軸114及び回転円筒部材10が反時計回りに過回転して、スラット130が許容される回動範囲を超えて回動しようとする。
回転円筒部材10が過回転しようとすると、ストッパ突起61は、ストッパボール62を介してストッパ壁面66と係合した状態になる。この状態においてストッパボール62は、ストッパ突起61とストッパ壁面66との間に挟まれた状態となる(図15(c)参照。)。また、ストッパ壁面66の回転円筒部材10側の端部と回転円筒部材10の外周面との間隔dは、ストッパボール62の直径よりも小さいので、ストッパ突起61とストッパ壁面66との間でストッパボール62は挟み込まれた状態にある。ストッパボール62は、反時計回りにおいてもはや転動できない。これにより、回転軸114及び回転円筒部材10の回転は完全に防止される。
なお、ストッパボール62が転動路65の両ストッパ壁面66間を移動する場合、回転円筒部材10は、360°(一回転)を超えて360°より少しだけ大きい範囲を回転するようになっている。一の閉鎖状態から他の閉鎖状態にスラット130を調整する場合には、操作部材161を時計回りに回転させればよい。
回転軸装置1を有していない従来の横型ブラインド装置においては、クリック機構、ブレーキ機構及びストッパ機構は、それぞれが独自のユニットとして構成されていたため、個々のユニットを横型ブラインド装置内に内蔵させる必要があり、コストが嵩んでいた。これに対して以上のような回転軸装置1によれば、クリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60それぞれと係合するクリック突起41、被ブレーキ(制動)面51及びストッパ突起61を全て回転円筒部材10が有しており、かつ、クリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60をそれぞれ形成するクリック部材42、ブレーキ部材52及びストッパボール62を収容する収容部25,26,27を全て支持ケース20が有している。これにより、回転軸装置1においては、クリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60を選択的に採用することが可能になる。
回転軸装置1によれば、クリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60から必要な機構のみを選択して装備することが可能になる。例えば、横型ブラインド装置100の取付け当初、回転軸装置1にはクリック機構40のみが備え付けられていた場合であっても、ブレーキ部材52を後付けにより支持ケース20の収容部26に収容することにより、ブレーキ機構50を回転軸装置1に簡単に装備することができる。さらに、ブレーキ機構50におけるブレーキ力を増大させたい場合には、ばね定数が大きい押圧ばね54に交換すればよい。
また、横型ブラインド装置100の取付け当初、回転軸装置1にストッパ機構60が備え付けられていなかった場合であっても、支持ケース20の収容部27には、転動路65とストッパ壁面66が形成されているので、ストッパボール62を収容部27に収容するだけで簡単にストッパ機構60を追加的に回転軸装置1に装備することができる。
また、横型ブラインド装置100の回転軸装置1にクリック機構40を追加したい場合には、押圧ばね44を収容部25の孔25bに挿入し、次いで、クリックボール45を押圧ばね44に載せるだけでよい。クリック機構40を設けるか否かに関係なく、予め押圧ばね44を孔25bに挿入しておくことも可能であり、この場合、クリックボール45を後から供給するだけでクリック機構40を回転軸装置1に装備することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、上記の実施の形態において、1つの回転軸装置1が横型ブラインド装置100に設けられていたが、2つ以上設けることもできる。
また、上記の実施の形態に係る回転軸装置1においては、左側Lからクリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60となっていたが、回転軸装置1におけるクリック機構40、ブレーキ機構50及びストッパ機構60の設置位置は、特に限定されない。これに伴い、回転円筒部材10におけるクリック突起41、被ブレーキ(制動)面51及びストッパ突起61の位置も適宜変更して回転円筒部材10を製造してもよい。