JP7131258B2 - 複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極材料等に用いられるLiFeOに関するものである。
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるため、携帯電話やノート型パソコンなどの種々の機器の電池として用いられている。リチウムイオン二次電池は、主な構成要素として、正極、負極及び電解液を備える。正極は、集電体と、該集電体の表面に形成され、正極活物質を含有する正極活物質層とを有する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質として、種々のリチウム金属複合酸化物が用いられることが知られており、その一種として、LiFeOが知られている。また、LiFeOは可逆容量が小さいことや、充電に伴いガスを発生することも知られており、負極の不可逆容量を補うためのリチウムイオン供給剤としての用途や、正極の添加剤としての用途で用いられることも知られている。
例えば、特許文献1には、LiMnとLiFeOとを質量比95:5で用いた正極を具備するリチウムイオン二次電池が具体的に記載されており、LiFeOの添加により、負極活物質の初期容量ロスを補うことができた旨が記載されている。
特許文献2には、正極活物質としてLiFeOのみを具備するリチウムイオン二次電池、及び、正極活物質としてLiFeO及びLiを含まない金属酸化物を具備するリチウムイオン二次電池が、具体的に記載されている。
特許文献3には、正極活物質としてLiCoOとLiFeOとを質量比91:9~97:3で用いた正極を具備するリチウムイオン二次電池が具体的に記載されており、LiFeOの添加により、初期充電容量を向上させることができた旨が記載されている。
特許文献4には、初回充電時にガス発生する正極添加剤としてLiFeOを正極活物質層に添加することが記載されており、初回充電時のガス発生により、正極活物質層内に空孔を形成し得ることが記載されている。
特開2007-287446号公報 特開2012-99316号公報 特開2014-157653号公報 国際公開第2014/118834号
近年、産業界からは、電池特性に優れるリチウムイオン二次電池や、リチウムイオン二次電池を製造する際の優れた材料が求められており、それを実現するための新たな技術が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、新たなLiFeO関連材料の製造方法を提供することを目的とする。
LiFeOの合成方法として、Li源及びFe源を加熱条件下で反応させて合成する方法が知られている。
本発明者は、LiOをLi源とし、FeをFe源として、実際にLiFeOを製造した。本発明者は、当該LiFeOの評価を行い、当該LiFeOが保管条件によっては劣化する可能性があることを知見した。具体的には、当該LiFeOは、大気下で保管すると吸湿してしまう場合があった。吸湿したLiFeOは、水との反応により劣化する可能性がある。
本発明者は、保管によるLiFeOの劣化を抑制すべく、様々な条件でLiFeOの製造を試み、鋭意研究を重ねて本発明を完成した。
本発明の複合粒子の製造方法は、
Li源、Li以外のアルカリ金属源及びFe源を含む混合原料を加熱する工程を含む、LiFeOとLi以外のアルカリ金属とを含む複合粒子の製造方法である。
本発明の複合粒子の製造方法によると、保管による劣化の抑制された複合粒子を製造できる。
評価例2における実施例3、実施例4、実施例6、実施例9及び実施例10の複合粒子並びに比較例1のLiFeOのX線回折チャートである。 評価例3における実施例3、実施例4、実施例7及び実施例11の複合粒子並びに比較例1のLiFeOの質量の経時変化を表すグラフである。 評価例4における実施例1及び実施例2の複合粒子、並びに評価例3における実施例3の複合粒子及び比較例1のLiFeOの質量の経時変化を表すグラフである。 評価例5における実施例12の複合粒子及び比較例2の複合粒子のX線回折チャートである。 評価例7の実施例13の複合粒子及び比較例2の複合粒子、並びに評価例3の実施例4の複合粒子及び比較例1のLiFeOの質量の経時変化を表すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a~b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明の複合粒子の製造方法は、Li源、Li以外のアルカリ金属源及びFe源を含む原料を加熱する工程を含む方法であり、当該本発明の複合粒子の製造方法により得られる複合粒子は、LiFeOと、Li以外のアルカリ金属と、を含む複合粒子である。以下、特に説明のない場合には、「Li以外のアルカリ金属源」を単にアルカリ金属源と称し、「Li以外のアルカリ金属」を単にアルカリ金属と称する。また、必要に応じて、本発明の複合粒子の製造方法を単に本発明の製造方法と称する。更に、必要に応じて、Li源、アルカリ金属源及びFe源を含む混合原料を加熱し複合粒子を製造する工程を、合成工程と称する。
LiFeOの合成に用いるLi源としては、リチウム単体、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、フッ化リチウム等が知られている。当該Li源としては、従来、酸化リチウムが主に用いられている。しかし酸化リチウムは比較的高価であるため、本発明者は、複合粒子を安価に提供すべく、より安価なLi源を用いることを志向した。水酸化リチウムや炭酸リチウムは、酸化リチウムよりも安価なLi源であるため、酸化リチウムに代わるLi源として有望である。
本発明者は、これら各種のLi源をFe源とともに加熱して、実際に、LiFeOを合成した。また、他種の元素の存在下でLi源及びFe源を加熱しLiFeOを合成することで、当該元素とLiFeOとの複合粒子を製造することも試みた。本発明者は、そのなかで、アルカリ金属塩等のアルカリ金属源の存在下でLi源及びFe源を加熱した系で製造された複合粒子は、保管による劣化が少ないことを見いだした。
本発明の製造方法で製造される複合粒子は、Li源及びFe源を加熱することで合成されたLiFeOと、アルカリ金属源に由来するアルカリ金属と、の複合粒子である。本発明の複合粒子において、アルカリ金属は、LiFeOと別々に存在しても良いし、LiFeOの一部と合金化していても良い。何れの場合にも、本発明の複合粒子はLiFeOを含む。後述する実施例において、このことは裏付けられる。
アルカリ金属の存在により、複合粒子の保管による劣化が抑制される理由は定かではないが、例えば、LiFeOのリチウムの一部がアルカリ金属と置換されて、LiFeOよりも結晶構造の安定な置換型LiFeOが生成した可能性が考えられる。
または、LiFeOの合成時に生じる二酸化炭素等の副生物とアルカリ金属源とが反応し、大気中で安定なアルカリ金属化合物、例えばアルカリ金属の炭酸塩等が生成した可能性も考えられる。LiFeOの表面が当該アルカリ金属化合物で覆われれば、複合粒子の保管による劣化が抑制されると考えられる。
何れの場合にも、本発明の製造方法によると、保管による劣化の抑制された、本発明の複合粒子を得ることができる。
混合原料に用いるLi源としては、上記したとおり、リチウム単体、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、フッ化リチウム等が例示される。本発明の製造方法では、何れのLi源を用いても良いが、コスト面を考慮すると、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムを用いるのが好ましい。
Fe源としては、鉄単体、酸化鉄、水酸化鉄、オキシ水酸化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄が例示される。本発明の製造方法では、何れのFe源を用いても良いが、生成物の純度の点から、鉄単体又は酸化鉄を選択するのが好ましい。
アルカリ金属源としては、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の塩を例示できる。アルカリ金属の塩としては、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ金属の酢酸塩、アルカリ金属の塩酸塩、アルカリ金属のリン酸塩等を例示できる。このうち、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩を用いるのが特に好ましい。
アルカリ金属源に含まれるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等が例示される。コスト面を考慮すると、アルカリ金属はナトリウムまたはカリウムであるのが好ましい。
混合原料には、Li源、Fe源、アルカリ金属源以外の副材料を配合しても良い。当該副材料としては、黒鉛や有機添加剤が挙げられる。
黒鉛を副材料として用いる場合には、黒鉛に由来する優れた導電性を複合粒子に付与できる利点がある。この場合には、本発明の製造方法における合成工程では、Li源、Fe源、アルカリ金属源及び黒鉛を含む混合原料を加熱して、LiFeO、アルカリ金属及び炭素を含む本発明の複合粒子が合成される。
なお、炭素を含む本発明の複合粒子は、LiFeOの相と炭素の相とが複合された粒子ともいい得る。既述したように、LiFeOの相はアルカリ金属を含み得る。当該LiFeOの相を、必要に応じて、LiFeO相と称する。また、当該炭素の相を、必要に応じて、炭素相と称する。LiFeO相は、主として電池反応に関与する部分であるものの比較的導電性に劣り、炭素相は自身の優れた導電性により当該LiFeO相の導電性を補う役割を担う部分であるといえる。
有機添加剤を副材料として用いる場合には、本発明の複合粒子を歩留まり良く製造できる利点がある。
例えば、Li源としてLiCOを用いる場合には、合成工程において、混合原料を加熱する加熱装置の反応器に、LiCOが固着してしまう場合がある。当該LiCOの固着が生じると、複合粒子の収率が悪化する。
混合原料に、ショ糖脂肪酸エステルや脂肪酸等の潤滑剤として機能し得る有機添加剤を添加することで、このLiCOの固着の問題を抑制することができる。有機添加剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸アミド、N,N’-エチレンビス脂肪酸アミド、フマル酸アルキルエステルアルカリ金属塩及び硬化油が例示される。
有機添加剤の添加により、上述したように加熱装置の反応器へのLiCOの固着を抑制できるだけでなく、LiFeOの粒子が粗大化するのを抑制できる利点もある。
有機添加剤の添加量としては、混合原料の全体に対して、0.1~10質量%の範囲内、0.5~5質量%の範囲内、1~3質量%の範囲内、の各範囲を挙げることができる。
合成工程において、混合原料を加熱する装置としては、例えば、ホットウォール型、コールドウォール型、横型、縦型などの型式の、流動層反応炉、回転炉、トンネル炉、バッチ式焼成炉、ロータリーキルンなどの公知の加熱装置を用いればよい。
なお、合成工程は、上記の混合原料を流動状態にして行うことが望ましい。このようにすることで、Li源、Fe源およびアルカリ金属源、ならびに必要に応じて黒鉛等の副材料を均一に分散させることができ、LiFeOを効率良く合成でき、品質の均一な複合粒子を得ることができる。更にこの場合には複合粒子同士の結着を抑制することもできる。混合原料を流動状態にするには、流動床を用いるなど各種方法があるが、混合原料を撹拌するのが好ましい。例えば、内部に邪魔板をもつ回転炉を用いれば、邪魔板に留まった混合原料が回転炉の回転に伴って所定高さから落下することで撹拌される。
合成工程における加熱温度は、Li源により異なるため、使用するLi源の種類に応じて適宜決定すれば良い。例えば、LiCOをLi源とするLiFeOの合成温度は730℃付近であるため、Li源としてLiCOを用いる場合の好ましい加熱温度の範囲としては、720℃以上、730℃以上及び740℃以上の各範囲が挙げられる。また、LiOHをLi源とするLiFeOの合成温度は460℃付近であるため、Li源としてLiOHを用いる場合の好ましい加熱温度の範囲としては、450℃以上、460℃以上、470℃以上の各範囲が挙げられる。加熱時間は合成反応の進行に応じて適宜決定すれば良いが、好ましい加熱時間の範囲として、4時間以上、8時間以上、10時間以上、15時間以上、20時間以上の各範囲を例示できる。
合成工程は、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行っても良いし、酸化性ガス雰囲気下で行っても良い。合成工程を酸化性ガス雰囲気下で行う場合には、Fe等のFe源やLiFeOの還元を抑制しつつ、効率よくLiFeO及び複合粒子の合成を行い得る利点がある。
合成工程の原料となる混合原料には、LiFeOの合成反応の量論比に基づいた量のLi源及びFe源を配合すれば良い。アルカリ金属源の量は、特に問わないが、例えば、1molのLiに対するアルカリ金属の量は0.0005~0.1molの範囲内であるのが好ましく、0.001~0.1molの範囲内であるのがより好ましく、0.002~0.1molの範囲内であるのが更に好ましく、0.002~0.05molの範囲内であるのが特に好ましい。
なお、本発明の複合粒子においても、同様に、1molのLiに対するアルカリ金属の量は0.0005~0.1molの範囲内であるのが好ましく、0.001~0.1molの範囲内であるのがより好ましく、0.002~0.1molの範囲内であるのが更に好ましく、0.002~0.05molの範囲内であるのが特に好ましい。
混合原料に黒鉛を配合する場合の黒鉛の量は特に問わないが、好ましい範囲として、混合原料において、1molのLiに対して炭素換算で0.01~0.7molの範囲内、0.05~0.5molの範囲内、0.1~0.3molの範囲内を挙げることができる。本発明の複合粒子においても、同様に、1molのLiに対する炭素の量の好ましい範囲として、0.01~0.7molの範囲内、0.05~0.5molの範囲内、0.1~0.3molの範囲内を挙げることができる。
混合原料に含まれるLi源、Fe源及びアルカリ金属源は、予め粉砕しておくのが好ましい。必要に応じて、黒鉛を粉砕しても良い。混合原料は、Li源、Fe源及びアルカリ金属源に必要に応じて黒鉛を単に足し加えたものであっても良いし、混合したものであっても良いが、手動で又は混合装置を用いて均一に混合したものであるのが好ましい。例えば、混合原料は、ボールミル、遊星型ボールミル、株式会社奈良機械製作所のハイブリダイゼーションシステム(NHS)及びミラーロ(MIRALO)、ホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン及びノビルタ、株式会社徳寿工作所のシータ・コンポーザ等の装置により、粉砕、混合又は一体化させることができる。
混合原料に黒鉛を含む場合の本発明の複合粒子は、既述したように、LiFeO相及び炭素相を有するものである。当該LiFeO相および炭素相は、如何なる大きさであっても良いし如何なる形状であっても良いが、本発明の複合粒子をリチウムイオン二次電池の正極材料に用いるのであれば、粒子状のLiFeO相の表面に炭素相が存在するのが好ましい。既述したように、LiFeO相は主として電池反応に関与し、炭素相はLiFeO相の導電性を補う役割を担うためである。
粒子状のLiFeO相の表面に存在する炭素相は、LiFeOよりも小径の粒子状であるのが良く、LiFeOの表面全体に点在していても良いし、当該LiFeOの表面の一部にのみ存在していても良い。
本発明の複合粒子のBET比表面積は特に問わないが、0.05~15.0m/g、0.1~10.0m/g、0.2~5.0m/g、0.4~0.2m/g、0.4~0.75m/gの各範囲を挙げることができる。
なお、BET比表面積が過小であれば、容量に劣る場合がある。他方、BET比表面積が過大であれば、大気中の水分や二酸化炭素と反応して、LiFeOが劣化する場合や、正極製造時のスラリーの物性などに悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の複合粒子は、粉末状態であるものが好ましい。本発明の複合粒子の粉体抵抗値としては、10-1~5×10Ωcm、1~1×10Ωcm、10~5×10Ωcmを例示できる。
なお、本明細書における粉体抵抗値とは、測定試料に4kNの荷重をかけた際の体積抵抗値を意味する。
本発明の複合粒子は、正極活物質として、リチウムイオン供給剤として、又は、各種の添加剤として機能し得る。特に、本発明の複合粒子は、リチウムイオン二次電池用正極材料であって、リチウムイオン二次電池の正極において、初回充電時のリチウムイオン供給剤として好適に機能する。以下、本発明の複合粒子を具備するリチウムイオン二次電池用正極を「本発明の正極」といい、本発明の正極を具備するリチウムイオン二次電池を「本発明のリチウムイオン二次電池」という。
本発明の正極において、本発明の複合粒子は、正極活物質が存在する正極活物質層に添加されるのが好ましい。本発明の正極の一態様は、本発明の複合粒子を含む正極活物質層、及び、集電体を具備する。正極活物質層は集電体上に形成される。本発明の複合粒子がリチウムイオン供給剤の場合は、正極活物質層における本発明の複合粒子の配合量は、負極の不可逆容量に応じて決定すればよい。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al-Cu系、Al-Mn系、Al-Fe系、Al-Si系、Al-Mg系、Al-Mg-Si系、Al-Zn-Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al-Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al-Fe系)が挙げられる。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm~100μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層には、本発明の複合粒子以外に公知の正極活物質が含まれるのが好ましい。
正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiNiCoAl(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、電荷担体(例えば充放電に寄与するリチウムイオン)を含まないものを用いても良い。例えば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウム等の電荷担体を含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予め電荷担体を添加しておく必要がある。電荷担体は、イオンの状態で添加しても良いし、金属等の非イオンの状態で添加しても良い。例えば、電荷担体がリチウムである場合には、リチウム箔を正極及び/又は負極に貼り付けるなどして一体化しても良い。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質として、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3) で表されるリチウム複合金属酸化物、又は、LiNiCoAl(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物を採用することが好ましい。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質として、スピネル構造のLiMn2―y(Aは、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、P、Ga、Geから選ばれる少なくとも1の元素、及び、Niなどの遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素から選択される。0<x≦2.2、0≦y≦1)を例示できる。xの値の範囲としては、0.5≦x≦1.8、0.7≦x≦1.5、0.9≦x≦1.2を例示でき、yの値の範囲としては、0≦y≦0.8、0≦y≦0.6を例示できる。具体的なスピネル構造の化合物として、LiMn、LiMn1.5Ni0.5を例示できる。
具体的な正極活物質として、LiFePO、LiFeSiO、LiCoPO、LiCoPO、LiMnPO、LiMnSiO、LiCoPOFを例示できる。他の具体的な正極活物質として、LiMnO-LiCoOを例示できる。
正極活物質層には、結着剤及び導電助剤が含まれているのが好ましい。正極活物質層に含まれる結着剤及び導電助剤としては、後述の負極で説明するものを適宜適切に採用すればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、具体的に、本発明の正極と、負極と、電解液と、セパレータとを具備する。負極は、集電体と集電体上に形成された負極活物質層を具備する。負極活物質層は負極活物質を含み、必要に応じて結着剤及び導電助剤等の添加剤を含み得る。負極の集電体としては、本発明の正極で説明したものから適宜適切に選択すればよい。
負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag-Sn合金、Cu-Sn合金、Co-Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質として、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li3-xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
高容量化の可能性の点から、好ましい負極活物質として、黒鉛、Si含有材料、Sn含有材料を挙げることができる。特に、負極活物質として、不可逆容量の存在が重要な問題となるSi含有材料を採用した場合に、本発明の複合粒子に含まれるLiFeOのリチウムイオン供給剤としての効果が顕著に発揮される。
Si含有材料の具体例として、Si単体や、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiO(0.3≦x≦1.6)を例示できる。SiOにおけるSi相は、リチウムイオンを吸蔵及び放出でき、二次電池の充放電に伴って体積変化する。ケイ素酸化物相はSi相に比べて充放電に伴う体積変化が少ない。つまり、負極活物質としてのSiOは、Si相により高容量を実現するとともに、ケイ素酸化物相を有することにより負極活物質全体の体積変化を抑制する。なお、xが下限値未満であると、Siの比率が過大になるため、充放電時の体積変化が大きくなりすぎて二次電池のサイクル特性が低下する。一方、xが上限値を超えると、Si比率が過小になってエネルギー密度が低下する。xの範囲は0.5≦x≦1.5であるのがより好ましく、0.7≦x≦1.2であるのがさらに好ましい。
なお、上記したSiOにおいては、リチウムイオン二次電池の充放電時にリチウムとSi相のケイ素とによる合金化反応が生じると考えられている。そして、この合金化反応がリチウムイオン二次電池の充放電に寄与すると考えられている。後述するSn含有材料についても、同様に、スズとリチウムとの合金化反応によって充放電できると考えられている。
Sn含有材料の具体例として、Sn単体、Cu-SnやCo-Snなどのスズ合金、アモルファススズ酸化物、スズケイ素酸化物を例示できる。アモルファススズ酸化物としてはSnB0.40.63.1を例示でき、スズケイ素酸化物としてはSnSiOを例示できる。
Si含有材料、及び、Sn含有材料は、炭素材料と複合化して負極活物質とすることが好ましい。複合化に因り、特にケイ素及び/又はスズの構造が安定し、負極の耐久性が向上する。上記複合化は、既知の方法で行えば良い。複合化に用いられる炭素材料としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等を採用すればよい。黒鉛は、天然黒鉛でもよく、人造黒鉛でもよい。
Si含有材料の具体例として、国際公開第2014/080608号などに開示されるシリコン材料(以下、単に「シリコン材料」という。)を挙げることができる。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するものである。シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
シリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
ただし、ポリシランであるSiを合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Siは水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSiのみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi(OH)(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
既述のとおり、シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体が効率的に吸蔵及び放出されるためには、板状シリコン体は厚さが10nm~100nmの範囲内のものが好ましく、20nm~50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm~50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2~1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm~300nmの範囲内が好ましく、1nm~100nmの範囲内がより好ましく、1nm~50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm~10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃~950℃の範囲内が好ましく、400℃~900℃の範囲内がより好ましい。
シリコン材料は炭素で被覆されていてもよい。炭素で被覆されたシリコン材料は導電性に優れる。
シリコン材料の平均粒子径は、2~7μmの範囲内が好ましく、2.5~6.5μmの範囲内がより好ましい。平均粒子径が小さすぎるシリコン材料を用いると、凝集性や濡れ性の観点から、負極製造が困難になる場合がある。具体的には、負極製造時に調製するスラリー中において、平均粒子径が小さすぎるシリコン材料が凝集する場合がある。他方、平均粒子径が大きすぎるシリコン材料を用いた負極を具備するリチウムイオン二次電池は、好適な充放電ができない場合がある。平均粒子径が大きすぎるシリコン材料においては、リチウムイオンが当該シリコン材料の内部まで十分に拡散し得ないことが原因と推測される。なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で試料を測定した場合におけるD50を意味する。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o-トリジン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
活物質層中の結着剤の配合割合は、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましく、3~5質量%が特に好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。活物質層中の導電助剤の配合割合は、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましく、2~5質量%が特に好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質層の成分及び溶剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
正極活物質層を製造するための、本発明の複合粒子と溶剤とを具備するスラリー状の正極活物質層製造用組成物においては、固形分の配合量は30~90質量%の範囲内が好ましく、50~75質量%の範囲内がより好ましい。ここで、固形分とは、正極活物質層製造用組成物に含まれる溶剤以外の成分を意味する。
正極活物質層製造用組成物における、本発明の複合粒子の配合量は、本発明の複合粒子の用途に応じて適宜決定すればよい。
本発明の複合粒子を、負極の不可逆容量に相当するリチウムイオンを補填するためのリチウムイオン供給剤として用いる場合であれば、正極活物質層製造用組成物における本発明の複合粒子の配合量としては、固形分に対して、1~10質量%の範囲内、3~9質量%の範囲内、5~8質量%の範囲内を例示できる。
また、正極活物質層製造用組成物における正極活物質の配合量としては、固形分に対して、80~95質量%の範囲内、83~93質量%の範囲内、85~90質量%の範囲内を例示できる。正極活物質層製造用組成物における結着剤の配合量としては、固形分に対して、0.5~10質量%の範囲内、1~5質量%の範囲内、2~4質量%の範囲内を例示できる。正極活物質層製造用組成物における導電助剤の配合量としては、固形分に対して、0.5~5質量%の範囲内、1~4質量%の範囲内、1~3質量%の範囲内を例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートを例示でき、環状エステルとしては、ガンマブチロラクトン、2-メチル-ガンマブチロラクトン、アセチル-ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示でき、鎖状エステルとしては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、各種の具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの具体例によって限定されるものではない。
(実施例1)
(合成工程)
Li源としてLiOHを3.908g(163.2mmol)、Fe源としてFeを2.606g(16.3mmol)、及び、アルカリ金属源としてNaCOを0.0086g(0.08mmol)を混合原料としてボールミルに投入した。ボールミル内の混合原料を800rpmで4時間混合し、混合原料の複合体を製造した。
この混合原料の複合体を反応器に入れ、管状炉中で、アルゴンガスを0.8L/分の流量で流通させつつ、460℃で4時間加熱して、実施例1の複合粒子を得た。
なお、実施例1における混合原料には、LiとFeとが原子比で5:1となる量のLiOH及びFe源を配合した。また、アルカリ金属源については、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、アルカリ金属であるナトリウムが0.001molとなる量のNaCOを配合した。
(実施例2)
混合原料にアルカリ金属源としてNaCOを0.0172g(0.16mmol)を配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例2の複合粒子を製造した。
なお、実施例2における混合原料には、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、アルカリ金属であるナトリウムが0.002molとなる量のNaCOを配合した。
(実施例3)
混合原料にアルカリ金属源としてNaCOを0.043g(0.4mmol)を配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例3の複合粒子を製造した。
なお、実施例3における混合原料には、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、アルカリ金属であるナトリウムが0.005molとなる量のNaCOを配合した。
(比較例1)
混合原料にアルカリ金属源を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に、比較例1のLiFeOを製造した。
(実施例4)
混合原料にアルカリ金属源としてNaOHを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.01molとなる量のNaOHを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例4の複合粒子を製造した。
(実施例5)
混合原料にアルカリ金属源としてNaOHを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.05molとなる量のNaOHを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例5の複合粒子を製造した。
(実施例6)
混合原料にアルカリ金属源としてNaOHを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.1molとなる量のNaOHを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例6の複合粒子を製造した。
(実施例7)
混合原料にアルカリ金属源としてNaFを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.01molとなる量のNaFを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例7の複合粒子を製造した。
(実施例8)
混合原料にアルカリ金属源としてNaFを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.1molとなる量のNaFを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例8の複合粒子を製造した。
(実施例9)
混合原料にアルカリ金属源としてNaClを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.01molとなる量のNaClを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例9の複合粒子を製造した。
(実施例10)
混合原料にアルカリ金属源としてNaClを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.1molとなる量のNaClを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例10の複合粒子を製造した。
(実施例11)
混合原料にアルカリ金属源としてNaSOを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.005molとなる量のNaSOを配合したこと以外は、実施例1と同様に、実施例11の複合粒子を製造した。
(評価例1)
実施例3~実施例11の複合粒子及び比較例1のLiFeOにつき、目視にてその性状を観察した。結果を表1に示す。
Figure 0007131258000001
表1に示すように、混合原料中のアルカリ金属の量が多いと、凝固した複合粒子が得られる。具体的には、混合原料中のアルカリ金属の量が1molのリチウムに対して0.05mol以上であれば、凝固した状態の複合粒子が得られる傾向にある。凝固した複合粒子は、反応器から容易に取り出し難いため、反応工程の効率や複合粒子の収率を考慮すると、混合原料中のアルカリ金属の量を、1molのリチウムに対して0.05mol未満とするのが好ましく、0.02mol以下とするのがより好ましく、0.01mol以下とするのが更に好ましいといえる。
(評価例2)
実施例3、実施例4、実施例6、実施例9及び実施例10の複合粒子並びに比較例1のLiFeOにつき、Cu管球を線源とした粉末X線回折分析に供して分析を行った。得られたX線回折チャートを図1に示す。
図1に示すように、実施例3、実施例4、実施例6、実施例9及び実施例10の複合粒子並びに比較例1のLiFeOにLiFeOが生成していることが裏付けられた。
また、上記の各実施例の複合粒子のX線回折チャートにLiFeOが確認されたことから、各実施例の複合粒子においては、LiFeOを構成する元素の一部がアルカリ金属に置換された等の可能性はあるにせよ、当該複合粒子には、依然としてLiFeOが含まれることも裏付けられた。
なお、実施例6の複合粒子のX線回折チャートには、Li源であるLiOHが確認され、更に、合成工程における中間生成物と考えられるLiFeOが僅かに確認された。また、実施例10の複合粒子のX線回折チャートには、アルカリ金属源であるNaClが僅かに確認された。これは、実施例6の製造方法や実施例10の製造方法では、混合原料に含まれるアルカリ金属源が多量であったことに起因すると推測される。この結果からも、混合原料中のアルカリ金属の量は、1molのリチウムに対して0.05mol未満とするのが好ましいといえる。
(評価例3)
実施例3、実施例4、実施例7及び実施例11の複合粒子並びに比較例1のLiFeOにつき、約23℃、露点を0℃付近とした大気中に放置し、その質量の経時変化を測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例3、実施例4、実施例7及び実施例11の複合粒子の質量変化率は、何れも、比較例1のLiFeOの質量変化率よりも小さかった。この結果から、合成工程において、アルカリ金属源の存在下でLi源とFe源とを加熱することで、大気下での保管時にも劣化し難い複合粒子が得られることがわかる。また、アルカリ金属源としては、NaOH及びNaCOが特に好ましいといえる。
なお、上記評価例2の結果により、合成工程で得られた複合粒子にはLiFeOが含まれるといえるため、合成工程において、アルカリ金属源の存在下でLi源とFe源とを加熱することで、大気下での保管時にも劣化し難いLiFeOが得られる、ともいい得る。
(評価例4)
実施例1及び実施例2の複合粒子につき、評価例3と同様に、約23℃、露点を0℃付近とした大気中に放置し、その質量の経時変化を測定した。結果を評価例3における実施例3の複合粒子及び比較例1のLiFeOの結果とともに図3に示す。
図3に示すように、実施例1~実施例3の複合粒子の質量変化率は、何れも、比較例1のLiFeOの質量変化率よりも小さかった。実施例1~実施例3の複合粒子は、混合原料中のアルカリ金属の量を、1molのリチウムに対してそれぞれ0.001mol、0.002mol、0.005molとしたものである。比較例1のLiFeOは、混合原料にアルカリ金属源を配合しなかったものである。
この結果から、本発明の製造方法によると、混合原料中のアルカリ金属の量に拘わらず、アルカリ金属源の存在下で合成工程を行うことで、大気下での保管時にも吸湿し難く劣化し難い複合粒子が得られるといえる。また、この結果から、混合原料中のアルカリ金属の量は、1molのリチウムに対して0.001mol以上であるのが好ましいといえる。
また、実施例2の複合粒子及び実施例3の複合粒子の質量変化率は、実施例1の複合粒子の質量変化率に比べて小さく、かつ、実施例2の複合粒子及び実施例3の複合粒子の質量変化率は同程度であったことから、混合原料中のアルカリ金属の量は、1molのリチウムに対して0.002mol以上であるのがより好ましく、当該アルカリ金属の量は1molのリチウムに対して0.005mol以下で足るといえる。
(実施例12)
(合成工程)
Li源としてLiOHを3.757g(156.9mmol)、Fe源としてFeを2.505g(15.7mmol)、アルカリ金属源としてNaCOを0.0086g(0.08mmol)、及び、黒鉛を0.254g(炭素換算で21.2mmol)混合原料としてボールミルに投入した。ボールミル内の混合原料を800rpmで4時間混合し、混合原料の複合体を製造した。
この混合原料の複合体を反応器に入れ、管状炉中で、アルゴンガスを0.8L/分の流量で流通させつつ、460℃で4時間加熱して、LiFeO相と炭素相とを有する実施例12の複合粒子を得た。
なお、実施例12における混合原料には、LiとFeとが原子比で5:1となる量のLiCO及びFe源を配合した。また、アルカリ金属源については、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、アルカリ金属であるナトリウムが0.001molとなる量のNaCOを配合した。
(実施例13)
混合原料にアルカリ金属源としてNaOHを用い、LiOHに含まれるリチウム1molに対して、ナトリウムが0.01molとなる量のNaOHを配合したこと以外は、実施例12と同様に、実施例13の複合粒子を製造した。
(比較例2)
混合原料にアルカリ金属源を配合しなかったこと以外は、実施例12と同様に、比較例2の複合粒子を製造した。比較例2の複合粒子は、アルカリ金属源を配合しない混合原料から合成されたものであるが、LiFeO相と炭素相とを有する複合粒子といえる。
(評価例5)
実施例12の複合粒子及び比較例2の複合粒子につき、Cu管球を線源とした粉末X線回折分析に供して分析を行った。得られたX線回折チャートを図4に示す。
図4に示すように、実施例12の複合粒子及び比較例2の複合粒子にはLiFeOが生成していた。この結果から、Li源、Fe源、アルカリ金属源に加えて黒鉛の存在下で合成工程を行う場合にも、LiFeOが生成することが裏付けられる。
(評価例6)
実施例12の複合粒子及び比較例2の複合粒子の比表面積をBET法で測定し、BET比表面積とした。実施例12の複合粒子の比表面積は0.47m/gであり、比較例2の複合粒子の比表面積は0.80m/gであった。この結果から、アルカリ金属源及び黒鉛の存在下でLi源とFe源とを反応させて得られた実施例12の複合粒子は、黒鉛の存在下でLi源とFe源とを反応させて得られた比較例2の複合粒子と比較して、比表面積の面で遜色のないものであるといえる。
なお、実施例12の複合粒子の比表面積及び比較例2の複合粒子の比表面積は、過大でない適切な大きさである。LiFeOは強アルカリ性であるため、比表面積の過大なLiFeOを、例えば、スラリー状をなすリチウムイオン二次電池用の正極活物質層製造用組成物に用いると、当該スラリーがゲル化してしまう場合がある。しかし、実施例12の複合粒子及び比較例2の複合粒子の比表面積は、適切な大きさであるため、上記したスラリーのゲル化を抑制できる利点がある。他の実施例の複合粒子についても、同程度の比表面積となると推測されるため、本発明の複合粒子の比表面積は、スラリーのゲル化抑制に適切といい得る。
(評価例7)
実施例13の複合粒子及び比較例2の複合粒子につき、評価例3と同様に、約23℃、露点を0℃付近とした大気中に放置し、その質量の経時変化を測定した。結果を評価例3における実施例4の複合粒子及び比較例1のLiFeOの結果とともに図5に示す。
図5に示すように、比較例2の複合粒子の質量変化率は、比較例1のLiFeOの質量変化率よりも小さかった。この結果から、LiFeO相及び炭素相を有する複合粒子は、LiFeO相を有するが炭素相を有さないLiFeOに比べて、大気下での保管時にも劣化し難いといい得る。
また、図5に示すように、アルカリ金属源の存在下かつ黒鉛の非存在下で合成工程を行うことにより得られた実施例4の複合粒子は、アルカリ金属源の非存在下かつ黒鉛の存在下で合成工程を行うことにより得られた比較例2の複合粒子に比べて、質量変化率が小さかった。
この結果から、LiFeO相を有しかつアルカリ金属を含む本発明の複合粒子は、LiFeO相と炭素相を有する複合粒子に比べて、大気下での保管時に更に劣化し難いといい得る。
更に、図5に示すように、アルカリ金属源の存在下かつ黒鉛の存在下で合成工程を行うことにより得られた実施例13の複合粒子は、アルカリ金属源の存在下かつ黒鉛の非存在下で合成工程を行うことにより得られた実施例4の複合粒子に比べて、更に質量変化率が小さかった。この結果から、本発明の複合粒子は、更に炭素相を有する場合に、大気下での保管時においてより一層劣化し難いといい得る。

Claims (4)

  1. Li源、Li以外のアルカリ金属源及びFe源を含む混合原料を加熱する工程を含
    前記アルカリ金属源はNaOH又はNa CO であり、
    前記混合原料は、1molのLiに対して0.001mol以上かつ0.05mol未満の前記アルカリ金属を含む、LiFeOとLi以外のアルカリ金属とを含む複合粒子の製造方法。
  2. 前記混合原料は更に黒鉛を含む、請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  3. 前記Li源はLiOHである、請求項1又は請求項2に記載の複合粒子の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属源はNaを含む、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の複合粒子
    の製造方法。
JP2018182952A 2018-09-27 2018-09-27 複合粒子の製造方法 Active JP7131258B2 (ja)

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