以下に添付図面を参照して、この発明にかかるエレベーターの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(エレベーターの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの構成を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーター100によって実現することができる。エレベーター100は、たとえば、複数階建てのビルなどの建物内に設置される。
エレベーター100が備える各部は、制御盤101によって駆動制御される。制御盤101は、エレベーター100が備える各部と接続されており、たとえば、制御盤101からエレベーター100が備える各部に対する信号、いわゆる「下り信号」を出力する。また、制御盤101は、たとえば、エレベーター100が備える各部から制御盤101に対する信号、いわゆる「上り信号」を受け付ける。
さらに、制御盤101は、インターネットなどのネットワークを介して、管理サーバコンピュータ150に接続されている。管理サーバコンピュータ150は、監視対象となるエレベーター100が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター100が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。管理サーバコンピュータ150は、たとえば、エレベーター100の保守管理を担う保守管理会社などに設置することができる。
制御盤101は、たとえば、管理サーバコンピュータ150に対して、発報用の信号を送信する。制御盤101は、たとえば、エレベーター100において障害を検知した場合や、エレベーター100の運転モードが変化した場合などに、発報用の信号を出力する。また、制御盤101は、管理サーバコンピュータ150から送信される診断動作の実行指示などの各種指示を受信し、受信した指示に応じた下り信号を、エレベーター100が備える各部に対して出力する。
診断動作は、制御盤101からエレベーター100が備える各部に対して、当該各部を所定の順序で動作させる信号を出力し、出力した信号にしたがって当該各部が正常に動作したか否かを示す信号を制御盤101から管理サーバコンピュータ150に対して出力することによって実現される。管理サーバコンピュータ150は、たとえば、定期的(たとえば、月の末日が到来するごと)に診断動作の実行指示を出力する。
制御盤101と管理サーバコンピュータ150とを、電話回線などの公衆音声網ではなくインターネットを介して接続することにより、地震などの天災発生時などの緊急時に電話回線がパンクすることに起因して、エレベーター100の状況把握が遅延することを回避することができる。これにより、管理サーバコンピュータ150を用いてエレベーター100を遠隔監視する状況において、当該エレベーター100の動作に不具合が生じた場合に迅速な対応をとることができる。
制御盤101は、さらに、公衆音声網に接続されていてもよい。公衆音声網は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網については、公知の技術であるため説明を省略する。制御盤101を公衆音声網に接続することにより、インターフォンの端末装置(図2を参照)と管理センターとの音声通信を実現することができる。
エレベーター100は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)を備えている。昇降路は、1台のエレベーター100に1つずつ設けられている。昇降路内には、人や物品を搭載するカゴ(乗りカゴ)102が設けられている。カゴ102は、1台のエレベーター100、すなわち、1つの昇降路に1つずつ設けられており、昇降路の方向すなわち鉛直方向に沿って昇降移動する。カゴ102は、図示を省略するカゴ枠によって支持されており、当該枠とともに昇降移動する。
昇降路の側面には、カゴ102(カゴ枠)の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。昇降路の底部には、万一、カゴ102が落下して底面に衝突したときの衝撃を和らげる緩衝器103が設けられている。緩衝器103は、バネの弾性力を利用して衝撃を和らげるバネ式の緩衝器であってもよく、油圧抵抗を利用して衝撃を和らげる油入式の緩衝器であってもよい。緩衝器103は、昇降路の天井面にも設けられていてもよい。
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)104には、それぞれ扉104aが設けられている。乗り場104に設けられた扉104aは、図示を省略するインターロックなどと称される装置で施錠されている。インターロックは、カゴ102が停止階に到着した状態でカゴ102の扉102aを開閉させるモーターを駆動した場合にのみ、カゴ102の扉102aの開閉機構とかみ合って施錠を解放する。これにより、カゴ102が位置する階床における乗り場104に設けられた扉104aのみを連動して開閉することができる。
各乗り場104には、それぞれ、操作盤105が設置されている。操作盤105は、それぞれ、乗り場呼びボタン105a、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器105bなどを備えている。また、操作盤105は、それぞれ、操作盤105用の制御基板105cを備えている。各操作盤105は、それぞれが備える制御基板105cを介して制御盤101に接続されている。
カゴ102は、ロープ106の一端に連結されている。ロープ106は、つるべ式に滑車(図示を省略する)および巻上機(トラクションマシン)107に架けられ、他端がカウンタウエイト108に連結されている。ロープ106は、具体的には、たとえば、鋼鉄製のワイヤーによって実現することができる。
ロープ式のエレベーター100における巻上機107は、たとえば、エレベーター100の最上部に設けられた機械室に設置される。巻上機107は、機械室の有無にかかわらず、エレベーター100における最上部に設けることができる。あるいは、エレベーター100が、機械室がないタイプである場合、巻上機107は、エレベーター100における下部に設けられるものであってもよい。
巻上機107は、たとえば、インバーター(図3を参照)を介して制御盤101に接続されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御盤101によって駆動制御される。ロープ式のエレベーター100においては、巻上機107を駆動することによって発生する、ロープ106と滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用して、カゴ102を昇降させる。
巻上機107は、図示を省略するエンコーダを備えており、制御盤101はエンコーダからの出力信号に基づいて、巻上機107の回転速度や回転位置を判断することができる。エンコーダは、たとえば、アブソリュートエンコーダを用いてもよく、インクリメンタルエンコーダを用いてもよい。
カゴ102の底部には、カウンタウエイト108の底部に一端が連結された重量バランス調整用のワイヤーロープ(あるいは、鎖)の他端が連結されている(図示を省略する)。これにより、たとえば、高層建築物に設置されるエレベーター100において、ロープ 106の重量に起因して、最上階や最下階の近辺においてカゴ102側とカウンタウエイト108側との重量のバランスの不均衡が生じてロープ106が巻上機107のシーブから滑り落ちてしまうことを確実に防止することができる。
また、エレベーター100は、電磁ブレーキ109、調速機(ガバナマシン)110、リミットスイッチ111などを備えている。電磁ブレーキ109は、コイルを備え、制御盤101によって駆動制御されて当該コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して、巻上機107の回転を停止する。電磁ブレーキ109は、巻上機107の回転を停止した状態を保持することができる。
電磁ブレーキ109は、停電などによって電源の供給が停止した場合に、巻上機107の回転を制止する。電磁ブレーキ109は、具体的には、たとえば、停電時などコイルへの通電が切れたときにスプリングの力で動作して巻上機107の回転を制止する無励磁作動型の電磁ブレーキ109を用いることができる。
調速機110は、カゴ102の速度超過を検出する。調速機110は、たとえば、ガバナロープ110a、ガバナプーリー110b、回転錘(図示を省略する)などを備えた遠心調速機によって実現することができる。このような調速機110において、ガバナロープ110aは、カゴ102の動作と連動する。ガバナプーリー110bは、ガバナロープ110aの動作に連動して回転する。
回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度、すなわち、ガバナプーリー110bの回転に起因する遠心力の大きさに応じて動作する。具体的に、回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度が速い場合にガバナプーリー110bの外周側に開くように動作し、ガバナプーリー110bの回転速度が遅い場合にガバナプーリー110bの内周側に閉じるように動作する。
リミットスイッチ111は、巻上機107に対する電源の供給/遮断を切り替えるスイッチレバー(図示を省略する)を備えている。スイッチレバーは、平時は巻上機107に対して電源を供給する位置に位置付けられており、調速機110の回転錘に付勢された場合に、巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位する。
調速機110の回転錘は、カゴ102の昇降速度が、定格速度に対して一定速以上の速度になった場合に、スイッチレバーが巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位するように、スイッチレバーを付勢する。これにより、カゴ102に速度超過が発生したときに、巻上機107の動作を停止し、カゴ102を停止させることができる。
さらに、エレベーター100は、図示を省略する非常停止装置を備えていてもよい。非常停止装置は、カゴ102の動作とガバナロープ110aの動作とが異なる場合、すなわち、ガバナロープ110aが停止しているにもかかわらずカゴ102が動作している場合に、カゴ102の動作を強制的に停止させる。非常停止装置は、公知の各種の技術を用いて容易に実現することができるため、説明を省略する。
カゴ102には、操作盤102bが設けられている。操作盤102bは、各種の操作ボタン201や、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器を備えている(図2を参照)。また、カゴ102には、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサ(図3を参照)やブザー(図示を省略する)などが設けられている。
カゴ102の上部には、カゴ上ボックス112が設けられている。カゴ上ボックス11は、たとえば、カゴ102の天井板の上、すなわち、カゴ102の外側に設けられる。カゴ上ボックス112には、電源回路や制御回路などを備えた電気回路が収容されている。操作盤102b、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサやブザーなど、カゴ102に設けられた各種の負荷は、カゴ上ボックス112が収容する電気回路に接続されている。電気回路については、説明を後述する(図3を参照)。
扉102aを開閉させるモーターは、正逆方向に回転可能であって、たとえば、扉102aを開く際に正方向に回転し、扉102aを閉める際に逆方向に回転する。扉102aを開閉させるモーターは、たとえば、カゴ102の天井板の上に設けられている。扉開閉センサは、扉102aの開閉状態を検出する。扉開閉センサは、たとえば、扉102aや扉104aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化するマイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。
障害物検出装置は、対をなす扉102aの間における人などの物体の挟まりを検知する。具体的に、障害物検出装置は、たとえば、対をなす扉102aの間に設けられて、扉102aの開き方向に突出するように付勢されたセーフティーシューや、当該セーフティーシューが扉102aの内側に押し込まれた場合に、対をなす扉102aの間における物体の挟まりを検知したことを示す信号を出力するマイクロスイッチなどによって構成することができる。
荷重センサは、カゴ102における積載荷重を検出する。具体的に、荷重センサは、たとえば、ロードセルによって実現することができる。ロードセルは、たとえば、カゴ102の底部とカゴ枠との間に設けられる。ブザーは、荷重センサの検出結果に応じてブザー音を出力する。ブザーは、カゴ102における積載荷重(質量)が、当該カゴ102にかかる定格積載荷重(質量)などの所定の質量を超過した場合にブザー音を出力する。
(カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例)
つぎに、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例について説明する。図2は、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の一例を示す説明図である。
図2において、カゴ102に設けられた操作盤102bは、上記のように、カゴ102の行先階を指定する行先階ボタンや、扉102aの開閉を指示する扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン201を備えている。また、操作盤102bは、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器202を備えている。操作盤102bは、たとえば、カゴ102の内側の壁面であって、カゴ102の扉102aの近傍に設けられている。
操作盤102bは、操作盤102b用の制御基板(図3を参照)を備えている。操作盤102b用の制御基板は、たとえば、操作盤102bにおいて、エレベーター100の利用者などによる操作ボタン201に対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼び信号を生成し、生成した呼び信号を出力する。また、操作盤102b用の制御基板は、表示器202を制御して、カゴ102が位置する階床を表示したり、移動方向を表示したりする。
カゴ102には、インターフォンの端末装置203が設けられている。インターフォンの端末装置203は、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置203におけるマイクやスピーカーは、図2に示すように、操作盤102bに一体的に組み込まれていてもよい。インターフォンの端末装置203は、たとえば、カゴ上ボックス112が収容する電気回路を介して制御盤101に接続されている。
また、カゴ102には、カゴ102の内部の空間を照明する照明器具204や換気装置(図示を省略する)が設けられている。照明器具204は、たとえば、カゴ102の天井に設けることができ、具体的には、電球(白熱灯)や、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)など公知の各種の光源を用いることができる。
換気装置は、カゴ102に設けられて、カゴ102の内部と外部とを連通するスリット(図示を省略する)を介して、カゴ102内の空気を換気するファン(図示を省略する)を備えている。照明器具204や換気装置などの負荷も、カゴ102に設けられた各種の負荷と同様に、カゴ上ボックス112が収容する電気回路に接続されている。
さらに、カゴ102には、接栓座205が設けられている。接栓座205は、たとえば、互いに離間可能に接合するレセクタブルとプラグによって構成されるコネクタ対のうちの、レセクタブルによって実現することができる。接栓座205を実現するレセクタブルの開口部は、カゴ102の内側に配置されている。
図2に示すように、接栓座205を実現するレセクタブルの開口部がカゴ102内に露出している場合、当該接栓座205は、カゴ102内の高い位置に接栓座205を配置することが好ましい。このように、カゴ102内に露出した接栓座205をカゴ102内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着したり、子供による悪戯を防止することができる。
接栓座205は、さらに、カゴ上ボックス112が収容する電気回路から供給される電源を、当該接栓座205に接続された電気機器401(図4を参照)に対して供給する機能を備えることが好ましい。具体的には、たとえば、信号伝送用の配線に加えて、電源供給用の配線を備えたレセクタブルを用いることによって、接栓座205に接続された電気機器に対して電源を供給する機能を実現することができる。
接栓座205を実現するレセクタブルは、当該レセクタブルに接続されている電気機器401の動作中に抜き差しすることができるホットプラグによって実現することが好ましい。また、接栓座205を実現するレセクタブルは、さらに、制御回路320(図3を参照)を介して電気機器401への給電をおこなうことができることが好ましい。
より具体的に、この発明にかかる実施の形態の接栓座205を実現するレセクタブルは、所定のインターフェース規格、たとえば、USB規格にしたがってUSBコネクタによって実現することができる。これにより、電気機器をUSBコネクタに接続に接続するだけで、制御回路と電気機器との通信と、制御回路から電気機器への電源の供給とを実現することができる。
接栓座205を実現するレセクタブルとしてのUSBコネクタは、たとえば、USB Type-Aコネクタ、Micro USBコネクタ、Micro USB Type-Bコネクタ、USB Type-Cコネクタなど公知の各種のUSBコネクタのレセクタブルによって実現することができる。
また、接栓座205を実現するレセクタブルは、USBインターフェースのコネクタ(レセクタブル)に限るものではなく、たとえば、IEEE 1394コネクタ、PS/2コネクタ、D-Subコネクタ、DINコネクタ、同軸コネクタ、その他公知の各種の通信用のコネクタによって実現されるものであってもよい。
IEEE 1394コネクタは、高速シリアル・バス規格であって映像・マルチメディアデータの転送に適している。このため、カゴ102にIEEE 1394コネクタ(レセクタブル)を設けることにより、ディスプレイやデジタルカメラなど、画像データのような容量の大きなデータ転送をおこなう電気機器を接続し、当該電気機器との円滑な通信を実現することができる。
PS/2コネクタは、6ピンの入出力インターフェースであって、PC/AT互換機に搭載されている。PS/2コネクタは、制御回路と電気機器の間で同期式のシリアル方式で通信することができる。また、PS/2コネクタを介して制御回路に接続される電気機器に対して、5Vで電源を供給することができる。これにより、PS/2コネクタ(レセクタブル)を介して制御回路に接続される電気機器を駆動することができる。
D-Subコネクタは、棒状の信号送信用の端子(ピン)を複数備え、多芯ケーブルの接続に使用されるコネクタであって、たとえば、ネジなどを用いて電気機器に固定することができる。端子の数は、回線の種類により端子数は異なる。たとえば、9ピンD-subコネクタの場合、クロスケーブルでは信号が不足するために結線されない9番端子(CI)を用いて、5Vの電源供給をおこなうことができる。これにより、D-Subコネクタ(レセクタブル)を介して制御回路に接続される電気機器を駆動することができる。
DINコネクタは、略丸形の環形状をなす金属シールドの内側に配置された2~8ピンの信号ピンを備えている。DINコネクタにおける金属シールドは、一部が内周側に凹んだ形状をなしており、この凹みによって信号ピンが誤ったジャックに入ることを防ぐことができる。
同軸コネクタは、同軸ケーブルのコネクタであって、具体的には、たとえば、BNCコネクタ(Bayonet Neill-Concelman connector)によって実現することができる。バヨネット機構(bayonet mount)を採用することにより、簡単な操作で着脱でき、内蔵されたバネの力でしっかりと固定できる。
同軸コネクタは、映像機器や通信機器などで広く普及しており、接栓座205を実現するレセクタブルを同軸コネクタによって実現することにより、エレベーター100の設置後であっても、エレベーター100において、監視カメラなどのような画像データを扱う電気機器を容易かつ速やかに設置することができる。
接栓座205を実現するレセクタブルは、1つのカゴ102に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ102に複数設けられていてもよい。1つのカゴ102に複数の接栓座205を実現するレセクタブルを設ける場合、通信I/Fのコネクタは1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
接栓座205を実現するレセクタブルは、たとえば、当該接栓座205を実現するレセクタブルの端部がカゴ102の内壁面と同一面内に位置するように配置する。あるいは、接栓座205を実現するレセクタブルは、たとえば、制御回路と接栓座205を実現するレセクタブルとを接続する電線(ケーブル)の一部とともに、カゴ102の内側に突出するようにして配置してもよい。
接栓座205を実現するレセクタブルを、カゴ102の内側に突出するようにして配置する場合、当該レセクタブルと制御回路とを接続する電線(ケーブル)を、コイルバネや引っ張りバネなどを用いて、カゴ102の外側へ付勢する(引っ張る)ようにしてもよい。
これにより、接栓座205を実現するレセクタブルの不使用時には当該レセクタブルをカゴ102の内側に突出させないようにすることができる。この場合、カゴ102の外側へ引っ張られるレセクタブルが、カゴ102の外側へ抜けてしまわないようにストッパ(図示を省略する。)を設けることが好ましい。ストッパは、たとえば、突起などによって実現することができる。
(電気回路の構成)
つぎに、電気回路の構成について説明する。図3は、電気回路の構成を示すブロック図である。図3において、電気回路300は、電源回路310と、制御回路320と、を備えている。電源回路310は、AC電源に接続され、変圧器311、整流回路312、平滑回路313、定電圧回路314を備えている。
変圧器311は、AC電源から入力されるAC電圧を、所定のAC電圧に変換する。変圧器311は、AC電源から入力されるAC電圧を、あらかじめ設定された所定のAC電圧に変換する。整流回路312は、変圧器311によって変圧されたAC電圧をDC電圧に変換する。平滑回路(フィルタ)313は、整流回路312によって変換された、振幅のあるDC電源を直線的に平滑化する。平滑回路313は、このような、整流回路312によって変換されたDC電源が含むAC成分(リップル)による波形の歪みを平滑化する。
定電圧回路314は、平滑回路から出力されるDC電源を監視して、当該DC電源と基準となる電圧とを比較して差が生じる場合に、トランジスタの出力電圧を制御する。これにより、平滑回路313から出力されるDC電源が、電源回路310に接続される負荷や環境に応じて変化するという不安定な要素を緩和することができ、出力するDC電源の電圧を一定に保つことができる。
カゴ102に設けられた各負荷は、直接、あるいは、スイッチ331、インバーター332、整流回路333、変圧器334などを介して、それぞれAC電源に接続されている。インバーター332は、コンバーター回路332aと、コンデンサ332bと、インバーター回路332cと、を備えている。これにより、AC電源を直接、あるいは、スイッチ331、インバーター332などを介して各負荷に供給することができる。あるいは、整流回路によって変換したDC電源を、各負荷に供給することができる。
AC電源、あるいは、AC電源を変圧したDC電源からの電源供給を受ける負荷は、具体的には、たとえば、扉102aを開閉させるモーター340、扉開閉センサ・障害物検出装置・荷重センサなどの各種のセンサ341やブザーなどの負荷によって実現することができる。また、AC電源、あるいは、AC電源を変圧したDC電源からの電源供給を受ける負荷は、スイッチ331やインバーター332を含んでいてもよい。
図3においては、リップル含有率が小さく、ノイズが少ないことから非常に安定性が高いシリーズ電源にかかる電源回路310について説明したが、これに限るものではない。たとえば、シリーズ電源に代えて、スイッチング電源を用いてもよい。シリーズ電源に代えてスイッチング電源を用いることにより、AC入力を直接電圧変換するための大きなトランスを不要とし、電圧安定化回路の放熱を抑制して効率の低下や発熱を抑えることができ、入力電圧の許容範囲を広くすることができる。
制御回路320は、制御盤101やカゴ102に設けられた各負荷と接続されている。制御回路320は、制御盤101から出力される下り信号に応じてカゴ102に設けられた各負荷を駆動制御したり、カゴ102に設けられた各負荷からの出力信号に応じた上り信号を、制御盤101に出力したりする。具体的に、制御回路320は、それぞれバスによって接続される入力端子321と、出力端子322と、CPU(Central Processing Unit)323と、メモリ324と、通信I/F(InterFace)325と、によって構成することができる。
入力端子321は、制御回路320に接続される各負荷とCPU323とを接続するハードウエアインターフェースであって、制御回路320に接続された各負荷から出力される信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号をCPU323に出力する。また、入力端子321は、制御盤101と接続されている。
具体的に、入力端子321は、たとえば、操作盤102b用の制御基板から出力される呼び信号や、扉開閉センサなどの各種センサから出力される信号など、上り信号の入力を受け付ける。また、具体的に、入力端子321は、制御盤101から出力される下り信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号をCPU323に出力する。
出力端子322は、制御回路320に接続された各負荷とCPU323とを接続するハードウエアインターフェースであって、CPU323から出力される信号を制御回路320に接続された各負荷に出力する。また、出力端子322は、制御盤101と接続されており、各負荷から出力された信号に基づいてCPU323から出力される信号を、制御盤101に出力する。
具体的に、出力端子322は、たとえば、制御盤101から出力された制御用の下り信号に基づいてCPU323から出力された信号を、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340に対して出力する。カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340は、インバーター332を介して、制御回路320に接続されていてもよい。これにより、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aをなめらかに開閉させることができる。
また、具体的に、出力端子322は、たとえば、扉開閉センサなどの各種センサから出力される信号に基づいてCPU323から出力された信号を、制御盤101に対して出力する。また、具体的に、出力端子322は、たとえば、スイッチ331やインバーター332を介して、照明器具204と接続されている。
CPU323は、カゴ102に設けられて、制御回路320に接続された各負荷を制御する。メモリ324は、制御盤101との通信や、カゴ102に設けられた各負荷の制御に用いるプログラムやデータなどを記憶している。CPU323は、たとえば、入力端子321を介して入力された信号に基づいて、メモリ324に記憶されたプログラムやデータなどを用いた演算処理をおこなう。また、CPU323は、たとえば、演算処理の結果に基づく信号を、出力端子322を介して、制御盤101やカゴ102に設けられた各負荷に出力する。
具体的に、CPU323は、たとえば、制御盤101から出力され入力端子321を介して受け付けた下り信号に基づいて、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させるモーター340を制御する制御信号を出力端子322を介して出力することにより、当該モーター340を制御する。これにより、モーター340を駆動して、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aを開閉させることができる。
また、具体的に、CPU323は、たとえば、制御盤101から出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102が位置する階床やカゴ102の走行方向(上昇中か下降中か)を表示器202において表示させる信号を生成し、生成した信号を、出力端子322を介して、操作盤102b用の制御基板に対して出力する。これにより、表示器202において、カゴ102が位置する階床やカゴ102の走行方向を表示させることができる。
また、具体的に、CPU323は、たとえば、扉開閉センサから出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態を示す信号を生成し、生成した信号を、出力端子322を介して制御盤101に対して出力する。これにより、制御盤101において、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態を認識することができ、カゴ102の扉102aや乗り場104の扉104aの開閉状態が確実に閉まっている状態で巻上機107を駆動することができる。
また、具体的に、CPU323は、たとえば、扉開閉センサから出力され入力端子321を介して入力を受け付けた信号に基づいて、カゴ102が所定時間継続して動作していない、すなわち、待機状態が所定時間継続したと判断した場合、出力端子322を介してスイッチ331やインバーター332に対して制御信号を出力し、操作盤102b、照明器具204、換気装置への電力の供給を停止して、節電状態とする。
通信I/F325は、カゴ102に設けられる接栓座205と接続され、接栓座205に接続された電気機器と制御回路320との通信をつかさどる。接栓座205は、たとえば、通信I/F325と接続可能なコネクタを一端に備えた電線(ケーブル)の他端に設けられていてもよい。あるいは、接栓座205は、はんだ付け、圧着、融着などによって制御回路320に一体化された電線(ケーブル)の先端に設けられていてもよい。
CPU323は、通信I/F325を介した、接栓座205に接続された電気機器との通信を、所定の条件が整った場合にのみ、おこなうものであってもよい。具体的には、CPU323は、たとえば、操作盤102bに対して所定の操作がおこなわれた場合にのみ、通信I/F325を介した、接栓座205に接続された電気機器との通信をおこなう。より具体的には、CPU323は、たとえば、所定の操作ボタン201があらかじめ定められた順番で操作された場合にのみ、通信I/F325を介した、接栓座205に接続された電気機器との通信をおこなうようにしてもよい。
あるいは、制御盤101から、接栓座205に接続された電気機器との通信を指示する下り信号を受け付けた場合にのみ、通信I/F325を介した、接栓座205に接続された電気機器との通信をおこなうようにしてもよい。この場合、制御盤101は、たとえば、エレベーター100の状態に基づいて、接栓座205に接続された電気機器との通信を指示する下り信号を出力することができる。あるいは、この場合、制御盤101は、たとえば、管理サーバコンピュータ150から所定の指示を受信したことに応じて、接栓座205に接続された電気機器との通信を指示する下り信号を出力してもよい。
また、接栓座205に接続された電気機器との通信を、所定の条件が整った場合にのみおこなう場合、接栓座205に接続された電気機器との通信を可能とする時間を制限してもよい。具体的には、たとえば、所定の条件が整ってから所定時間の間のみ、接栓座205に接続された電気機器との通信を可能としてもよい。
(接栓座205の使用例)
つぎに、接栓座205の使用例について説明する。図4は、接栓座205の使用例を示す説明図である。図4に示すように、接栓座205を実現するレセクタブルの開口部が、カゴ102の内側に配置されているため、エレベーター100の設置後に、カゴ102の内側を監視する監視カメラを電気機器401として、容易に設置することができる。
また、図4に示すように、接栓座205を、カゴ102内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着したり、子供による悪戯を防止することができる。
接栓座205を実現するレセクタブルは、電気機器401が備えるプラグ、あるいは、一端が電気機器401に接続されたケーブルの他端に設けられたプラグが挿入されることにより、当該電気機器401と制御回路320とを接続する。そして、接栓座205を実現するレセクタブルは、USB規格などの所定のインターフェース規格にしたがって、レセクタブルを介して接続された電気機器401と制御回路320との間における信号の伝送、すなわち通信をおこなう。
これにより、エレベーター100の設置後に、カゴ102の内部に設置した電気機器401と制御回路320との間における信号の伝送、すなわち通信をおこなうことができる。そして、電気機器401と制御回路320との間において通信をおこなうことにより、汎用的な電気機器401をエレベーター100の動作に連動させることができる。
(カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例)
つぎに、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例について説明する。図5は、カゴ102およびカゴ102に設けられた各部の別の一例を示す説明図である。
上述した図2においては、接栓座205がカゴ102内において露出している態様について説明したが、接栓座205の配置は、別の態様であってもよい。具体的には、図5に示すように、カゴ102の壁面にカバー501を設け、当該カバー501によって接栓座205を覆うようにしてもよい。これにより、接栓座205を実現するレセクタブルに電気機器401を接続しない場合は、当該コネクタをカバー501で覆い、掃除などに際して接栓座205を実現するレセクタブルに水分や異物が入ることに起因するレセクタブルや電気回路300などの故障を効果的に防止することができる。
このようなカバー501を設ける場合、接栓座205を実現するレセクタブルは、たとえば、図5に示すように、エレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設けることが好ましい。接栓座205を実現するレセクタブルをエレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設けることにより、利用者に対して、接栓座205を利用しやすくすることができる。
また、カバー501は、ロック機構を備えていてもよい。ロック機構は、鍵を差し込むことによって解錠/施錠する構成であってもよく、CPU323の制御によって解錠/施錠する構成であってもよい。CPU323の制御によってカバー501を解錠/施錠するロック機構は、具体的には、たとえば、ソレノイドロックによって実現することができる。
CPU323によりロック機構を制御することによってカバー501を解錠/施錠する構成においては、所定の条件が整った場合にのみ、ロック機構によるカバー501の施錠を解除(解錠)するようにしてもよい。具体的に、たとえば、ソレノイドロックにおいては、所定の条件が整った場合にのみ、ソレノイドロックが備えるソレノイドへの通電のON/OFFを切り替えることにより、所定の条件が整った場合にのみロック機構によるカバー501の施錠を解除(解錠)することができる。
より具体的には、CPU323は、たとえば、操作盤102bに対して所定の操作がおこなわれた場合や、エレベーター100の状態や管理サーバコンピュータ150から所定の指示に応じて制御盤101からロック解除を指示する下り信号を受け付けた場合にのみ、ソレノイドへの通電のON/OFFを切り替えて、ロック機構によるカバー501の施錠を解除することができる。
また、カバー501にロック機構を設ける場合、カバー501を開く方向に付勢するバネなどの付勢部材をさらに設け、ロック機構によるロックの解除に応じてカバー501が開くようにしてもよい。これにより、接栓座205が有効に使用できることを、容易かつ確実に知らせることができる。
このように、CPU323の制御によって施錠/解錠するロック機構をカバー501に設けることにより、接栓座205を実現するレセクタブルをエレベーター100の利用者の手が容易に届く高さに設ける場合にも、接栓座205を実現するレセクタブルに対する悪戯などを防止することができる。
(接栓座205の使用例)
つぎに、図5に示す接栓座205の使用例について説明する。図6は、図5に示す接栓座205の使用例を示す説明図である。図5に示すように、接栓座205を保護するカバー501を設けることにより、たとえば、地震に起因して、利用者600がカゴ102内にいる状態でエレベーター100の動作が停止した際などの非常時に、利用者600の携行するスマートフォンやタブレットなどの電気機器401と制御回路320とを接続することができ、当該制御回路320を介して、利用者と外部との通信を確保することができる。これにより、利用者は安心して救助を待つことができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施の形態における各例においては、互いに離間可能に接合するレセクタブルとプラグによって構成されるコネクタ対のうちの、レセクタブルによって接栓座205を実現する場合について説明したが、この発明にかかる接栓座205はレセクタブルによって実現するものに限らない。この発明にかかる接栓座205は、互いに離間可能に接合するレセクタブルとプラグによって構成されるコネクタ対のうち、この発明にかかる接栓を実現するプラグによって実現してもよい。具体的には、たとえば、Micro USBコネクタのプラグやUSB Type-Cコネクタのプラグによって、この発明にかかる接栓座205を実現するプラグを実現することができる。
この発明にかかる接栓をプラグによって実現する場合、当該プラグの端部がカゴ102の内壁面と同一面内に位置するように配置してもよく、プラグをカゴ102の内側に突出するようにして配置してもよい。また、プラグをカゴ102の内側に突出するようにして配置する場合、当該プラグと制御回路320とを接続する電線(ケーブル)を、コイルバネや引っ張りバネなどを用いて、カゴ102の外側へ付勢する(引っ張る)ようにしてもよい。
(接栓座205の別の使用例)
つぎに、上述した図2や図5に示す接栓座205の別の使用例について説明する。接栓座205には、監視カメラに代えて、表示画面を備えた汎用的な端末装置を電気機器401として接続することができる。具体的には、たとえば、薄い板状の筐体の一面側に、液晶ディスプレイなどによって実現される表示画面を備えたタブレット型の端末装置を電気機器401として接続することができる。
エレベーター100は、上記のように、エレベーター100の保守管理を担う保守管理会社の管理サーバコンピュータ150に接続されている。このため、接栓座205を介して、電気機器401を実現するタブレット型の端末装置と制御回路320とを接続することによって、電気機器401の表示画面に、保守管理会社においてエレベーター100の状態を監視している作業員の画像を表示させることができる。
作業員の画像は、たとえば、インターフォンの端末装置203の呼出ボタンが操作された場合に、電気機器401を実現するタブレット型の端末装置の表示画面に表示させる。これにより、災害や故障などの発生によってカゴ102内に利用者600が閉じ込められた場合にも、当該利用者600に対して、音声とともに画像を用いてエレベーター100の状況や周囲の状況(災害の状況など)を知らせることができる。そして、これにより、エレベーター100の状況や周囲の状況(災害の状況など)を、音声のみによって利用者600に知らせる場合と比べて、利用者600に対して確実な安心感を与えることができる。
また、接栓座205には、表示画面と撮像装置とを備えた汎用的な端末装置を電気機器401として接続してもよい。撮像素子は、レンズや、当該レンズを介して入射した光を受光して光電変換する撮像素子を備えている。具体的には、たとえば、薄い板状の筐体の一面側に、液晶ディスプレイなどによって実現される表示画面と、当該表示画面の周囲のいずれかの位置に配置されたレンズや撮像素子によって構成される撮像装置と、を備えたタブレット型の端末装置を電気機器401として接続することができる。
このような表示画面と撮像装置とを備えたタブレット型の端末装置によって実現される電気機器401と、制御回路320と、を接栓座205を介して接続することによって、電気機器401の表示画面に保守管理会社の作業員の画像を表示させるとともに、撮像装置によって撮像されたカゴ102内の画像(利用者600の画像)を管理サーバコンピュータ150に送信することができる。
これにより、カゴ102内の利用者600と、保守管理会社の作業員との間で画像と音声とを用いた双方向通信をおこなうことができる。そして、これにより、利用者600に対して確実な安心感を与えることができるとともに、利用者600の説明では理解が難しいカゴ102内の状況を作業員が画像によって確認することができる。これにより、緊急な救助が必要な利用者600を迅速に救助することができ、利用者の利便性を確保することができる。
このような、接栓座205を介して接続されるタブレット型の端末装置などの、表示画面や撮像装置を備えた電気機器401は、操作盤102bに一体に設けてもよい。すなわち、電気機器401が備える表示画面が操作盤102bの端面と面一となるように揃えた状態で、当該電気機器401を取り付けてもよい。
表示器202を液晶ディスプレイによって実現しているエレベーター100においては、保守管理会社においてエレベーター100の状態を監視している作業員の画像を表示器202に表示させ、電気機器401を実現する監視カメラによって撮像された画像を制御回路320を介して管理サーバコンピュータ150に送信するようにしてもよい。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、昇降路内を移動するカゴ102と、カゴ102の外側に設けられ、当該カゴ102に設けられた負荷(331~334、340、341など)を制御する制御回路320と、制御回路320に接続され、開口部がカゴ102の内側に配置された接栓座205と、を備え、接栓座205が、当該接栓座205を介して接続された電気機器401と制御回路320との間における信号の伝送をおこなうことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、エレベーター100の設置後であっても制御回路320による制御が必要な電気機器401を、容易かつ速やかに設置することができるので、電気機器401を設置する作業者の負担軽減を図ることができる。
これにより、エレベーター100の設置後に電気機器401を設置する場合の作業時間の短縮を図り、エレベーター100の利用者、作業者の負担軽減を図ることができる。また、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーター100が使用できない時間を短くすることができ、エレベーター100の利用者の利便性が低下することを抑制できる。
このように、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、エレベーターの設置後に電気機器を設置する場合の作業時間の短縮を図り、エレベーターの利用者や作業者の負担軽減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、接栓座205が、あらかじめ通信規格が定められた所定のインターフェース規格にしたがって電気機器401と制御回路320との間における信号の伝送をおこなうことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、あらかじめ通信規格が定められた所定のインターフェース規格にしたがうことにより、当該通信規格にしたがって通信をおこなう汎用的な電気機器401を接続し、当該電気機器401と制御回路320との通信をおこなうことができる。これにより、エレベーター100の設置後に、特殊な通信規格にしたがって通信をおこなう専用機器を用意することなく、汎用的な電気機器401と制御回路320とを接続することができる。
そして、これにより、専用機器の開発などにコストをかけることなく、エレベーター100の設置後に汎用的な電気機器401を、容易かつ速やかに設置することができる。これにより、電気機器401を設置する場合の作業時間の短縮を図るとともにコストを抑えて電気機器401を設置することができ、作業者の負担軽減を図ることができる。また、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーター100が使用できない時間を短くすることができ、エレベーター100の利用者の利便性が低下することを抑制できる。
特に、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、電源用の配線が備わっている接栓座205であることが好ましい。具体的には、たとえば、USBコネクタのレセクタブルによって接栓座205を実現することにより、エレベーター100の設置後であっても制御回路320による制御が必要な電気機器401を、確実に、容易かつ速やかに設置することができ、電気機器401を設置する作業者の負担軽減を図ることができる。
たとえば、USB Type-Aコネクタのレセクタブルは、パーソナルコンピュータなどの汎用的な情報処理装置に設けられていることが多い。近年、このような情報処理装置との接続を確立するため、一端にUSB Type-Aコネクタのプラグを備えたケーブルを携行している利用者が多く存在する。
このようなケーブルの他端には、利用者が携行する電気機器401のコネクタ(レセクタブル)と接続可能なコネクタ(プラグ)が設けられていることが多い。具体的に、近年普及しているスマートフォンと、パーソナルコンピュータや給電用のアダプタと、の接続を確立するため、一端にMicro USBコネクタのプラグを備え、他端にUSB Type-Aコネクタのプラグを備えたケーブルを携行している利用者が多く存在する。
この発明にかかる実施の形態の接栓座205を、このようなUSB Type-Aコネクタのレセクタブルによって実現することにより、利用者が携行しているスマートフォンなどの電気機器401と電気回路300とを接続することができる。そして、制御盤101を介して管理サーバコンピュータ150などの外部装置と接続されている制御回路320と、利用者が携行する電気機器401と、を接栓座205を実現するレセクタブルを介して接続することができる。
これにより、エレベーター100のカゴ102内のように電波状況が不安定で通信に適していない環境であっても、利用者が携行するスマートフォンなどの電気機器401と、管理サーバコンピュータ150をはじめとする外部機器との接続を確立することができる。このような接続を確立することにより、たとえば、地震に起因してエレベーター100の動作が停止した状況における、利用者と外部との通信を確保することができる。これにより、利用者は安心して救助を待つことができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の接栓座205を、たとえば、IEEE 1394コネクタ、PS/2コネクタ、D-Subコネクタ、DINコネクタ、同軸コネクタなどのように、特殊なコネクタのレセクタブルによって実現することにより、当該レセクタブルに無分別に電気機器401が接続されることを抑制することができる。これにより、安全性が重視されるエレベーター100の制御回路320や制御盤101と、エレベーター100の利用者が携行する電気機器401との通信を制限することができ、制御回路320や制御盤101に外部から不用意な信号が入力されることを防止して、エレベーター100の安全性を確保することができる。
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100は、接栓座205を介して接続された電気機器401と制御回路320との間における通信を実現する接栓座205が、制御回路320から供給される電力を、当該接栓座205に接続された電気機器401に対して供給することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100によれば、接栓座205を介して、当該接栓座205に接続された電気機器401に対して給電することができるため、エレベーター100の設置後であっても、エレベーター100において、監視カメラなどのような画像データを扱う電気機器401を容易かつ速やかに設置することができる。具体的には、給電のためのケーブルを通すための、カゴ102を貫通する孔を設ける必要がないため、電気機器401を容易かつ速やかに設置することができる。
また、カゴ102を貫通する孔を設ける必要がないため、エレベーター100の設置後にカゴ102内に設置した電気機器401を撤去する場合は、孔の埋め戻し作業などをおこなうことなく、当該電気機器401を取り外すだけでよい。これによって、電気機器401を容易かつ速やかに撤去することができる。
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100においては、上記の接栓座205に代えて、接栓を備えていてもよい。接栓は、たとえば、互いに離間可能に接合するレセクタブルとプラグによって構成されるコネクタ対のうちの、プラグによって実現することができる。具体的に、このような接栓は、Micro USBコネクタのプラグやUSB Type-Cコネクタの公知の各種のプラグによって実現することができる。
このような接栓を備えたエレベーター100によれば、別途ケーブルを用いることなく、制御盤101を介して管理サーバコンピュータ150などの外部装置と接続されている制御回路320と、利用者が携行するスマートフォンなどの電気機器401と、を接続することができる。これにより、エレベーター100の動作が停止した際などの非常時に、接続用のケーブルを所持していなくても、利用者が携行するスマートフォンなどの電気機器401と、管理サーバコンピュータ150をはじめとする外部機器との接続を確立することができる。
また、エレベーター100のカゴ102内のように電波状況が不安定で通信に適していない環境であっても、利用者が携行するスマートフォンなどの電気機器401と、管理サーバコンピュータ150をはじめとする外部機器との接続を確立することができる。このような接続を確立することにより、たとえば、地震に起因してエレベーター100の動作が停止した状況における、利用者と外部との通信を確保することができる。これにより、利用者は安心して救助を待つことができ、利用者の利便性の向上を図ることができる。