JP7127359B2 - 凍結乾燥かき玉子スープの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凍結乾燥かき玉子スープの製造方法に関する。
凍結乾燥かき玉子スープ(一般に、即席かき玉子スープ、インスタントかき玉子スープ等とも称される)の製造方法として、従来、増粘多糖類や澱粉等が添加された所定の粘度を有する熱水に、増粘多糖類や澱粉等が添加された所定の粘度を有する卵液を撹拌しながら投入し、次いで、食塩やしょうゆ等の調味料、香辛料、出汁等のエキス類、具材等を適宜投入し、所定の容器に充填した後、凍結乾燥する方法が提案されている(特許文献1)。
上述の従来の方法で製造される凍結乾燥かき玉子スープは、かき玉子が形状及び食感に優れ、高い品質を備えているものの、従来の方法は、凍結乾燥に多くの時間を要し、生産性や効率性に改善の余地がみられる。
特開2002-51747号公報
本発明は、生産性、効率性に優れる凍結乾燥かき玉子スープの製造方法、好ましくは、生産性、効率性に優れ、かつ従来の製造方法で得られる凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質(かき玉子の形状、大きさ、食感、浮遊性等)を備える凍結乾燥かき玉子スープを製造し得る方法を提供することを目的とする。
かき玉子の調製に用いられる熱水は卵液を凝固させるために用いられるが、かき玉子を調製した後はその殆どが不要となることから、本発明者らは、かき玉子スープの凍結乾燥の時間を短縮するために、当該凍結乾燥工程の前にかき玉子から水分を除去することを検討した。しかしながら従来の製造方法は、熱水に粘度が付与されているため、かき玉子から水分のみを除去することは容易でなく、生産性、効率性の改善には至らなかった。
一方、かき玉子から水分を除去しやすくするため、低粘度の熱水を用いて凍結乾燥かき玉子スープを製造すると、かき玉子がスクランブルエッグ状の塊となったり、細切れ状となったりして、従来と同程度の品質を備えるかき玉子は得られなかった。
本発明者らは種々検討した結果、卵液に消泡乳化剤を含有させ、かき玉子の調製に用いられる熱水に特定のHLB値を有する乳化剤を含有させることによって、低粘度の熱水を用いても従来と同程度の高い品質を備えるかき玉子が得られることを見出し、かかる知見に基づいて更に研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]消泡乳化剤を含有する卵液を、加熱したHLB値が9以下である乳化剤を含有する液体(以下、かき玉子調製液体と称する)に添加し、当該液体中でかき玉子を調製する工程を含む、凍結乾燥かき玉子スープの製造方法。
[2]かき玉子を含む液体(以下、かき玉子液と称する)を脱水する工程を更に含む、[1]記載の製造方法。
[3]かき玉子液を、凍結乾燥する工程を更に含む、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]かき玉子調製液体の粘度が、95℃において20mPa・S以下である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5]卵液における消泡乳化剤の含有量が、卵液に対して0.01~10重量%である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6]かき玉子調製液体における、HLB値が9以下である乳化剤の含有量が、かき玉子調製液体に対して0.01~10重量%である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7]かき玉子調製液体が、緩衝剤を更に含有する、[1]~[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8]緩衝剤が、加工澱粉及び多価アルコールからなる群より選択される少なくとも一つである、[7]記載の製造方法。
[9]かき玉子調製液体における緩衝剤の含有量が、かき玉子調製液体に対して0.1~10重量%である、[7]又は[8]記載の製造方法。
[10]卵液の粘度が、20℃において10~5000mPa・Sである、[1]~[9]のいずれか一つに記載の製造方法。
[11]かき玉子液に増粘剤を添加する工程を更に含む、[1]~[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
本発明によれば、かき玉子スープを凍結乾燥する前にかき玉子から水分を除去して、当該凍結乾燥の時間を短縮し得る、生産性、効率性に優れる凍結乾燥かき玉子スープの製造方法を提供でき、好ましくは、生産性、効率性に優れ、かつ従来の製造方法で得られる凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質(かき玉子の形状、大きさ、食感、浮遊性等)を備える凍結乾燥かき玉子スープを製造し得る方法を提供できる。
[かき玉子調製工程]
本発明の凍結乾燥かき玉子スープの製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、卵液を、加熱した液体(本明細書中、「かき玉子調製液体」と称する場合がある)に添加し、当該液体中でかき玉子を調製する工程(本明細書中、「かき玉子調製工程」と称する場合がある)を含む。
本発明において「凍結乾燥かき玉子スープ」とは、かき玉子スープの凍結乾燥物をいい、これに湯又は水を注いで復元させることによってかき玉子スープを調製することができる。ここで「かき玉子スープ」とは、かき玉子を具材の一つとするスープをいう。かき玉子スープは、具材として、かき玉子のみを含むものであってよいが、かき玉子に加えて、かき玉子以外の具材(例、野菜、海藻、肉、魚介類、米、粥、麺類等)を含むものであってもよい。また「かき玉子」とは、薄膜状、薄片状、羽衣状等に凝固した玉子をいう。
(卵液)
かき玉子調製工程において用いられる「卵液」とは、熱未変性の全卵、卵黄及び卵白の少なくとも一つを含む液状物をいう。本明細書において、卵液に含まれる未変性の全卵、卵黄及び卵白をまとめて「卵成分」と称する場合がある。熱未変性の全卵としては、例えば、殻付き卵を割卵して得られる生全卵、凍結全卵の解凍品、粉末全卵の水戻し品等を用いることができる。熱未変性の卵黄としては、例えば、殻付き卵を割卵及び分離して得られる生卵黄、凍結卵黄の解凍品、粉末卵黄の水戻し品等を用いることができる。熱未変性の卵白としては、例えば、殻付き卵を割卵及び分離して得られる生卵白、凍結卵白の解凍品、粉末卵白の水戻し品等を用いることができる。これらの卵成分は、いずれも加糖又は加塩されたものであってよく、また本発明の目的を損なわない限り、公知乃至慣用の処理(例、殺菌処理、酵素処理等)を施されていてもよい。これらの卵成分は、それぞれ単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる卵液における卵成分の含有量は、卵液に対して、通常10重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上である。卵液における卵成分の含有量の上限は特に制限されず、卵液に含まれる他の成分との兼ね合い等から適宜設定すればよいが、通常99.99重量%以下であり、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは98重量%以下である。
本発明において用いられる卵液は、消泡乳化剤を含有することが好ましい。卵液が消泡乳化剤を含有することにより、卵液中の空気が脱気され、卵液がかき玉子調製液体中に好適な形状(薄膜状、薄片状、羽衣状等)で拡がって分散し得る。
本発明において「消泡乳化剤」とは、消泡性を有する乳化剤をいい、詳細には、泡の生成を抑制する性質、生成した泡を破壊又は溶解する性質を有する乳化剤をいう。乳化剤の消泡性は、例えば、液卵等、起泡性のある液体あるいはペーストに対して乳化剤を所定の濃度で添加した後、撹拌あるいは振とう等の混合を施した際に、無添加で撹拌あるいは振とう等を施したものに比べて気泡量が抑えられていること等により確認し得る。本発明において消泡乳化剤は、食品製造に用い得るものであれば特に制限されず、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(例、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド等)、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を有効成分とし、乳化剤系の消泡剤、抑泡剤、破泡剤、溶泡剤等として市販されている製剤を使用できる。消泡乳化剤の市販品の具体例としては、「アワブレークG109」(太陽化学株式会社製)、「アワブレークL-01」(太陽化学株式会社製)及び「リョートーエステルCA-L2」(三菱化学フーズ株式会社製)等のグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする消泡乳化剤;「リョートーエステルCA-H1」(三菱化学フーズ株式会社製)等のショ糖脂肪酸エステルを有効成分とする消泡乳化剤等が挙げられる。これらの消泡乳化剤は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる卵液における消泡乳化剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、卵液に対して、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上であり、更に好ましくは0.08重量%以上であり、特に好ましくは0.3重量%以上である。卵液における消泡乳化剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、卵液に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。
本発明において用いられる卵液は、増粘多糖類、澱粉類を含有してよい。増粘多糖類、澱粉類は、食品添加物として認められているものであれば特に制限されないが、増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられ、澱粉類としては、例えば、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、これらに各種加工処理(例、物理的処理、酵素的処理、化学的処理等)を施した加工澱粉等が挙げられる。これらの増粘多糖類、澱粉類は、それぞれ単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる卵液は、油脂類を含有してよい。油脂類は、食用として認められているものであれば特に制限されないが、例えば、サラダ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、パーム油、紅花油、菜種油、ごま油、綿実油、ヒマワリ油等の植物油脂;ラード、牛脂、チキンファット、バター等の動物油脂等が挙げられる。これらの油脂類は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる卵液は、例えば、食塩;糖類(例、砂糖、ブドウ糖、果糖、二糖類等)、高甘味度甘味料等の甘味料;しょうゆ等の調味料;こしょう等の香辛料;出汁等のエキス類;野菜、海藻、肉、魚介類等の具材;カロテン色素、パプリカ色素等の色素;ビタミンC、ビタミンE等の酸化防止剤;乳糖、デキストリン等の賦形剤;水等を含有してよい。これらの成分は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる卵液の粘度は、かき玉子の品質の観点から、20℃において、好ましくは10~5000mPa・Sであり、より好ましくは30~4000mPa・Sであり、特に好ましくは500~3500mPa・Sである。本発明において卵液の粘度は、BH形粘度測定器によりNo.2ローターを用い、10rpm条件下で測定される。卵液の粘度の調整方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって行えばよいが、例えば、増粘多糖類、澱粉類の含有量を調整することや、ホイッパー等で撹拌する際、撹拌羽根の形状、撹拌速度、撹拌時間、液卵量を適宜調整すること、また、ホイッパー等で撹拌した後、所望の粘度となるまで放置すること等によって、卵液の粘度を調整できる。
本発明において用いられる卵液の調製方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって調製できる。例えば、卵成分と、消泡乳化剤等のその他の成分とを、常法により混合すること等によって調製できる。
(かき玉子調製液体)
かき玉子調製工程において用いられるかき玉子調製液体の液体媒体は、卵液が凝固し得、食品製造に使用できるものであれば特に制限されないが、好ましくは水である。
本発明において用いられるかき玉子調製液体は、特定のHLB値を有する乳化剤を含有することが好ましい。かき玉子調製液体が、特定のHLB値を有する乳化剤を含有することにより、消泡乳化剤を含有する卵液が、かき玉子調製液体中に好適な形状(薄膜状、薄片状、羽衣状等)で拡がって分散し得る。
具体的には、当該乳化剤のHLB値は、かき玉子の品質の観点から、好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下であり、特に好ましくは7.5以下である。当該乳化剤のHLB値の下限は特に制限されないが、かき玉子の品質の観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.5以上である。
本発明において「HLB値」は、親水親油バランス(hydrophile-lipophile balance)を表し、W.C.Griffinによって提唱された計算式(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chemists,1,311(1949)参照)に従って求められるものをいう。
特定のHLB値を有する乳化剤の種類は、食用であれば特に制限されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(例、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド等)、有機酸グリセリン脂肪酸エステル(例、クエン酸モノオレイン酸グリセリン等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例、デカオレイン酸デカグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン等)、ポリグリセリンポリリシノレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
かき玉子調製液体における、特定のHLB値を有する乳化剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、かき玉子調製液体に対して、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上であり、更に好ましくは0.08重量%以上であり、特に好ましくは0.3重量%以上である。かき玉子調製液体における、特定のHLB値を有する乳化剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、かき玉子調製液体に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。
本発明において用いられるかき玉子調製液体の粘度は、後の脱水工程において脱水しやすいことから、95℃において、好ましくは20mPa・S以下であり、より好ましくは15mPa・S以下であり、特に好ましくは10mPa・S以下である。かき玉子調製液体の粘度の下限は特に制限されない。本発明においてかき玉子調製液体の粘度は、BH形粘度測定器によりNo.2ローターを用い、10rpm条件下で測定される。かき玉子調製液体の粘度の調整方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって行えばよい。
本発明において用いられるかき玉子調製液体は、緩衝剤を含有してよい。かき玉子調製液体が、緩衝剤を含有することにより、後述の脱水工程等において、かき玉子同士が結着することが抑えられ、かき玉子が好適な形状、大きさ等を維持し得る。緩衝剤は、かき玉子同士の結着を抑えることができ、可食性であれば特に制限されないが、例えば、加工澱粉、多価アルコール等が挙げられる。
本発明において緩衝剤として用いられる「加工澱粉」とは、化学的処理、物理的処理及び酵素的処理の少なくとも一つの処理を施された澱粉をいい、食用であれば特に制限されないが、加熱した液体中で発粘しないものが好ましく、例えば、酸化澱粉、アセチル化酸化澱粉、酸処理が施された酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉等の化学的処理を施された澱粉;湿熱処理澱粉等の物理的処理を施された澱粉等が挙げられる。本発明において緩衝剤として用いられる加工澱粉は、原料澱粉の由来品種について特に制限されず、例えば、馬鈴薯、コーン、ハイアミロースコーン、ワキシーコーン、小麦、米、タピオカ由来のものを用いることができる。
本発明において緩衝剤として用いられる多価アルコールは、一分子内に複数(例、2個以上)のヒドロキシ基をもつアルコールをいい、食用であれば特に制限されず、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられるが、加熱した液体中で発粘しないことから、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
これらの緩衝剤(例、加工澱粉、多価アルコール等)は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
緩衝剤は、好ましくは加工澱粉であり、より好ましくは酸化澱粉である。
本発明において用いられるかき玉子調製液体における緩衝剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、かき玉子調製液体に対して、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.5重量%以上であり、特に好ましくは0.9重量%以上である。かき玉子調製液体における緩衝剤の含有量は、かき玉子の品質の観点から、かき玉子調製液体に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは3重量%以下である。
本発明において用いられるかき玉子調製液体は、本発明の目的を損なわない限り、食品、食品添加物として認められている成分を含有してよく、そのような成分としては、加熱した液体中で発粘しないものが好ましく、例えば、食塩;糖類(例、砂糖、ブドウ糖、果糖、二糖類等)等の甘味料;乳糖、デキストリン等の賦形剤等が挙げられる。これらの成分は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるかき玉子調製液体の調製方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって調製できる。例えば、水と、特定のHLB値を有する乳化剤とを、常法により混合すること等によって調製できる。
卵液を、加熱したかき玉子調製液体に添加して、当該液体中でかき玉子を調製する方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって行えばよいが、例えば、加熱したかき玉子調製液体を撹拌しながら、卵液を徐々に注ぎ入れること等によって、当該かき玉子調製液体中でかき玉子を調製できる。この場合、卵液を添加する際の、かき玉子調製液体の撹拌速度は特に制限されないが、通常2~30rpmであり、好ましくは4~20rpmである。
卵液を添加する際のかき玉子調製液体の温度は、卵液に含まれる卵成分が凝固し得る温度であれば特に制限されないが、通常75~99℃であり、好ましくは78~98℃である。
かき玉子調製液体に添加する卵液の量は、調製するかき玉子の量等に応じて適宜調整すればよいが、かき玉子調製液体100重量部に対して、通常10~80重量部であり、好ましくは30~70重量部である。
[脱水工程]
本発明の製造方法は、上述のかき玉子調製工程で得られたかき玉子を含む液体(本明細書中、「かき玉子液」と称する場合がある)を脱水する工程(本明細書中、「脱水工程」と称する場合がある)を含むことが好ましい。かき玉子液を脱水することにより、後述の凍結乾燥工程において、かき玉子液を凍結乾燥する時間を短縮できる。尚、本工程における脱水は、かき玉子液を凍結させることなく、水分を除去するものであり、後述の凍結乾燥は脱水に包含されない。
かき玉子液を脱水する方法は、かき玉子液中の固形分(かき玉子等)は可能な限り除去せずに、水分を除去できる方法であれば特に制限されないが、かき玉子の所望の形状、食感を損なわない方法が好ましく、例えば、容器等でかき玉子液から水分を掬い取る方法;かき玉子液を、ザル、穴開き容器(底面等に穴の開いた容器)等に移すことによって水分を分離除去する方法;かき玉子液が入った容器等の開口部に、水分は通過するが固形分(かき玉子等)は捕集できる器具、装置(例、メッシュ、フィルター等)を取り付け、当該開口部から水分を排水する方法等が挙げられる。
脱水工程において脱水する水分量は特に制限されないが、脱水前のかき玉子液の水分量に対して、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上である。また脱水する水分量は、脱水前のかき玉子液の水分量に対して、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。
かき玉子液を脱水する際のかき玉子液の温度は特に制限されず、かき玉子を調製した際の温度(例、75~99℃)のまま、かき玉子液を脱水してよいが、かき玉子液を冷却する等して、その温度を低下させてから脱水してもよい。かき玉子液の温度を低下させてから脱水する場合、かき玉子液の温度は、通常40~80℃に低下させ得る。
かき玉子液を脱水する際のかき玉子液の粘度は、脱水を行い得る粘度であれば特に制限されず、脱水する際のかき玉子液の温度等によっても異なるが、通常1~20mPa・Sであり、好ましくは1~10mPa・Sである。
本発明の製造方法は、かき玉子液(上述のかき玉子調製工程で得られたかき玉子液、又は上述の脱水工程で脱水したかき玉子液等)に、増粘剤を添加する工程を含んでよい。かき玉子液に増粘剤を添加することにより、後述の凍結乾燥工程において、かき玉子液を容器に充填する場合、均一に充填し得る。
かき玉子液に添加し得る増粘剤としては、例えば、α化澱粉、増粘多糖類等が挙げられる。α化していない澱粉の水溶液を加熱して発粘させた(α化させた)ものを、増粘剤として用いてもよい。
α化澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、これらに各種加工処理(例、物理的処理、酵素的処理、化学的処理等)を施した加工澱粉等をα化(糊化)したものを用いることができる。これらのα化澱粉は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を用いることができる。これらの増粘多糖類は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
かき玉子液に添加する増粘剤の量は、増粘剤の種類等に応じて適宜調整すればよいが、かき玉子液に対して、通常0.5~5重量%であり、好ましくは1.0~3.0重量%である。
本発明の製造方法は、かき玉子液(上述のかき玉子調製工程で得られたかき玉子液、又は上述の脱水工程で脱水したかき玉子液等)がかき玉子スープとなるために必要な材料を、かき玉子液に添加することを含んでよい。そのような材料は、本発明の目的を損なわず、食品又は食品添加物として認められているものであれば特に制限されないが、例えば、食塩;糖類(例、砂糖、ブドウ糖、果糖、二糖類等)、高甘味度甘味料等の甘味料;しょうゆ等の調味料;こしょう等の香辛料;出汁等のエキス類;野菜、海藻、肉、魚介類等の具材;カロテン色素、パプリカ色素等の色素;ビタミンC、ビタミンE等の酸化防止剤;乳糖、デキストリン等の賦形剤;水等が挙げられる。これらの材料は単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[凍結乾燥工程]
本発明の製造方法は、かき玉子液(上述のかき玉子調製工程で得られたかき玉子液、又は上述の脱水工程で脱水したかき玉子液等)を、凍結乾燥する工程(本明細書中、「凍結乾燥工程」と称する場合がある)を含むことが好ましい。
かき玉子液を凍結乾燥する方法は特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法で行えばよいが、例えば、脱水し、所望により増粘剤、かき玉子スープの材料等を添加したかき玉子液を、所定の容器に適当量充填した後、氷点下以下の温度帯で凍結させ、常法により真空乾燥すること等によって行うことができる。
本発明の製造方法の好適な実施態様は、上述のかき玉子調製工程、脱水工程及び凍結乾燥工程を全て含むものであってよい。また他の好適な実施態様は、上述のかき玉子調製工程及び凍結乾燥工程を含むものであってもよい。本発明の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、上述のかき玉子調製工程、脱水工程、凍結乾燥工程の他、凍結乾燥かき玉子スープの製造において慣用の処理工程を適宜含んでよい。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、本明細書において「%」と記載されている場合は、特に断りのない限り「重量%」を意味する。
[試験例1]
<実施例1>
実施例1の凍結乾燥かき玉子スープを下記の手順で作製した。
(卵液の調製)
生全卵(鶏卵)に、消泡乳化剤(太陽化学株式会社製「アワブレークG109」)、キサンタンガム及び食用菜種油を、それぞれ下表1に示す割合(卵液に対する割合)となるよう添加し、市販のホイッパーにて1~2分間撹拌して混合した後、20℃における粘度が2000mPa・Sとなるまで放置して卵液を調製した。
卵液の粘度は、BH形粘度測定器にてNo.2ローターを用い、10rpm条件下で測定した。
Figure 0007127359000001
(かき玉子調製液体の調製)
水に、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)及び緩衝剤として加工澱粉(酸化馬鈴薯澱粉、松谷化学工業株式会社製「スタビローズK」)を、それぞれ下表2に示す割合(かき玉子調製液体に対する割合)となるよう添加して混合し、かき玉子調製液体を調製した。調製したかき玉子調製液体の95℃における粘度は、10mPa・S以下であった。
かき玉子調製液体の粘度は、BH形粘度測定器にてNo.2ローターを用い、10rpm条件下で測定した。
Figure 0007127359000002
(凍結乾燥かき玉子スープの作製)
95℃に加熱したかき玉子調製液体800gに、卵液300gを撹拌(撹拌速度:20rpm)しながら1~10分間かけて徐々に添加し、卵液全量を添加した後も1分間撹拌し続け、かき玉子を調製した。
得られたかき玉子液を、穴開き容器に移して、水分を分離除去した。脱水した水分量は、脱水前のかき玉子液の水分量に対して、60重量%であった。
脱水したかき玉子液に、食塩、しょうゆ及びかつおエキス等を含む調味ベース、並びに、α化澱粉(三和澱粉工業株式会社製「タピオカアルファーTP-2」、タピオカ澱粉のα化酢酸澱粉)を10重量%含む澱粉水溶液を、それぞれ添加して混合し、かき玉子スープを作製した。調味ベースの添加量は、かき玉子スープに対して10重量%、澱粉水溶液の添加量は、かき玉子スープに対して10重量%とした。
得られたかき玉子スープを、所定の容器に適当量充填し、氷点下以下の温度帯で凍結させて真空乾燥し、凍結乾燥かき玉子スープを得た。真空乾燥は、凍結乾燥かき玉子スープの水分が3%以下と確認できた時点を乾燥終点とした。凍結乾燥かき玉子スープの水分は減圧乾燥法により測定した。
<コントロール>
コントロールの凍結乾燥かき玉子スープを下記の手順で作製した。
(卵液の調製)
生全卵(鶏卵)に、卵液に対して0.02重量%のキサンタンガム及び卵液に対して1重量%の食用菜種油を添加し、市販のホイッパーにて1~2分間撹拌して混合して混合した後、20℃における粘度が1000mPa・Sとなるまで放置して、卵液を調製した。
(かき玉子調製液体の調製)
水に、かき玉子調製液体に対して2.2重量%の小麦加工澱粉を添加して混合し、かき玉子調製液体を調製した。調製したかき玉子調製液体の95℃における粘度は、50mPa・Sであった。
(凍結乾燥かき玉子スープの作製)
95℃に加熱したかき玉子調製液体500gに、卵液300gを撹拌(撹拌速度:20rpm)しながら1~10分間かけて徐々に添加し、卵液全量を添加した後も1分間撹拌し続け、かき玉子を調製した。
得られたかき玉子液に、実施例1と同様の調味ベースを添加して混合し、かき玉子スープを作製した。調味ベースの添加量は、かき玉子スープに対して13.2重量%とした。
得られたかき玉子スープを、所定の容器に適当量充填し、氷点下以下の温度帯で凍結させて真空乾燥し、凍結乾燥かき玉子スープを得た。真空乾燥は、実施例1と同様、凍結乾燥かき玉子スープの水分が3%以下と確認できた時点を乾燥終点とした。
<比較例1>
比較例1の凍結乾燥かき玉子スープを下記の手順で作製した。
(卵液の調製)
生全卵(鶏卵)に、卵液に対して0.02重量%のキサンタンガム及び卵液に対して1重量%の食用菜種油を添加し、市販のホイッパーにて1~2分間撹拌して混合して混合した後、20℃における粘度が1000mPa・Sとなるまで放置して、卵液を調製した。
(凍結乾燥かき玉子スープの作製)
95℃に加熱した水800gに、卵液300gを撹拌(撹拌速度:20rpm)しながら1~10分間かけて徐々に添加し、卵液全量を添加した後も1分間撹拌し続け、かき玉子を調製した。
得られたかき玉子液を、穴開き容器に移して、水分を分離除去した。脱水した水分量は、脱水前のかき玉子液の水分量に対して、60重量%であった。
脱水したかき玉子液に、実施例1と同様の調味ベースを添加して混合し、かき玉子スープを作製した。調味ベースの添加量は、かき玉子スープに対して10重量%とした。
得られたかき玉子スープを、所定の容器に適当量充填し、氷点下以下の温度帯で凍結させて真空乾燥し、凍結乾燥かき玉子スープを得た。真空乾燥は、実施例1と同様、凍結乾燥かき玉子スープの水分が3%以下と確認できた時点を乾燥終点とした。
<官能評価>
実施例1、比較例1及びコントロールの凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。
官能評価は、各凍結乾燥かき玉子スープ7.0gをカップに入れ、お湯を160g注ぎ、数秒撹拌して、かき玉子スープを作製し、当該かき玉子スープのかき玉子の形状、大きさ、食感及び浮遊性について、それぞれ下記の基準を充足するか判定し、これらの基準を全て充足する場合を「◎」、これらの基準のいずれか三つを充足する場合を「○」、これらの基準のいずれか二つを充足する場合を「△」、これらの基準のいずれか一つを充足する場合及びこれらの基準をいずれも充足しない場合を「×」と評価することにより実施した。
(形状)
かき玉子の形状が、薄膜状である。
(大きさ)
かき玉子スープ40~50mLを抜き取り、これを1cm四方の方眼紙にのせ、そこに含まれるかき玉子のうち50%(個数)以上が長さ1cm以上である。
(食感)
かき玉子が、ふんわりとした滑らかな食感である。
(浮遊性)
お湯を注いで撹拌した後、かき玉子が液面に浮いている時間が、1分間以上である。
結果を、下表3に示す。
Figure 0007127359000003
表3に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例1の凍結乾燥かき玉子スープは、従来の製造方法により得られたコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例1の真空乾燥に要した時間(真空乾燥開始から乾燥終点までの時間)は、コントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
一方、比較例1の凍結乾燥かき玉子スープは、コントロールの凍結乾燥かき玉子スープに比べ、著しく品質に劣るものであった。
[試験例2:卵液の粘度の検討]
<実施例2>
卵液の調製において、卵液の20℃における粘度が3000mPa・Sとなるまで放置したこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例3>
卵液の調製において、卵液の20℃における粘度が1000mPa・Sとなるまで放置したこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例4>
卵液の調製において、卵液の20℃における粘度が50mPa・Sとなるまで放置したこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<官能評価>
実施例2~4の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表4に示す。
Figure 0007127359000004
表4に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例2~4の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例2、3及び4の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
[試験例3:乳化剤の添加量の検討]
<実施例5>
卵液の調製において、消泡乳化剤(太陽化学株式会社製「アワブレークG109」)の割合を、卵液に対して5重量%とし、かき玉子調製液体の調製において、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)の割合を、かき玉子調製液体に対して5重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例6>
卵液の調製において、消泡乳化剤(太陽化学株式会社製「アワブレークG109」)の割合を、卵液に対して0.5重量%とし、かき玉子調製液体の調製において、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)の割合を、かき玉子調製液体に対して0.5重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例7>
卵液の調製において、消泡乳化剤(太陽化学株式会社製「アワブレークG109」)の割合を、卵液に対して0.1重量%とし、かき玉子調製液体の調製において、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)の割合を、かき玉子調製液体に対して0.1重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例8>
卵液の調製において、消泡乳化剤(太陽化学株式会社製「アワブレークG109」)の割合を、卵液に対して0.05重量%とし、かき玉子調製液体の調製において、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)の割合を、かき玉子調製液体に対して0.05重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<官能評価>
実施例5~8の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表5に示す。
Figure 0007127359000005
表5に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例5~8の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例5、6、7及び8の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
[試験例4:かき玉子調製液体の温度の検討]
<実施例9>
卵液を添加する際のかき玉子調製液体の温度を、90℃としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例10>
卵液を添加する際のかき玉子調製液体の温度を、85℃としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例11>
卵液を添加する際のかき玉子調製液体の温度を、80℃としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<官能評価>
実施例9~11の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表6に示す。
Figure 0007127359000006
表6に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例9~11の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例9、10及び11の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
[試験例5:緩衝剤の添加量の検討]
<実施例12>
かき玉子調製液体の調製において、加工澱粉(酸化馬鈴薯澱粉、松谷化学工業株式会社製「スタビローズK」)の割合を、かき玉子調製液体に対して4.4重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例13>
かき玉子調製液体の調製において、加工澱粉(酸化馬鈴薯澱粉、松谷化学工業株式会社製「スタビローズK」)の割合を、かき玉子調製液体に対して1.1重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<実施例14>
かき玉子調製液体の調製において、加工澱粉(酸化馬鈴薯澱粉、松谷化学工業株式会社製「スタビローズK」)の割合を、かき玉子調製液体に対して0.6重量%としたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープを作製した。
<官能評価>
実施例12~14の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表7に示す。
Figure 0007127359000007
表7に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例12~14の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例12、13及び14の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
[試験例6:消泡乳化剤の種類の検討]
<実施例15~17>
卵液の調製において、太陽化学株式会社製「アワブレークG109」に代えて、下表8に示す消泡乳化剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープをそれぞれ作製した。
<比較例2~10>
卵液の調製において、太陽化学株式会社製「アワブレークG109」に代えて、下表9に示す、消泡乳化剤でない乳化剤(消泡性を有しない乳化剤)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープをそれぞれ作製した。
<官能評価>
実施例15~17及び比較例2~10の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表8及び表9に示す。
Figure 0007127359000008
Figure 0007127359000009
表8に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例15~17の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例15~17の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
一方、表9に示す結果から明らかなように、比較例2~10の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれもコントロールの凍結乾燥かき玉子スープに比べ、著しく品質に劣るものであった。
[試験例7:特定のHLB値を有する乳化剤の種類の検討]
<実施例18~26、比較例11及び12>
かき玉子調製液体の調製において、HLB値が4.5である乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、太陽化学株式会社製「サンソフトQ185SP」)に代えて、下表10に示す乳化剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープをそれぞれ作製した。
<官能評価>
実施例18~24、比較例11及び12の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表10に示す。
Figure 0007127359000010
表10に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例18~26の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例18~26の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
一方、比較例11及び12の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれもコントロールの凍結乾燥かき玉子スープに比べ、著しく品質に劣るものであった。
[試験例8:緩衝剤の種類の検討]
<実施例27~34>
かき玉子調製液体の調製において、酸化馬鈴薯澱粉(松谷化学工業株式会社製「スタビローズK」)に代えて、下表11に示す加工澱粉又は多価アルコールを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープをそれぞれ作製した。
<官能評価>
実施例27~34の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表11に示す。
Figure 0007127359000011
表11に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例27~34の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例27~34の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%に短縮されたことが確認された。
[試験例9:増粘剤の種類の検討]
<実施例35~39>
脱水したかき玉子液に添加した澱粉水溶液が、三和澱粉工業株式会社製「タピオカアルファーTP-2」(タピオカ澱粉のα化酢酸澱粉)に代えて、下表12に示すα化澱粉を含むこと以外は、実施例1と同様の手順で、凍結乾燥かき玉子スープをそれぞれ作製した。
<官能評価>
実施例35~39の凍結乾燥かき玉子スープについて、5名の専門パネルにより官能評価を行った。官能評価は試験例1と同様に実施した。結果を下表12に示す。
Figure 0007127359000012
表12に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例35~39の凍結乾燥かき玉子スープは、いずれも従来の製造方法により得られた試験例1のコントロールの凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質を備えていた。また実施例35~39の真空乾燥に要した時間は、いずれもコントロールの真空乾燥に要した時間の30%程度に短縮されたことが確認された。
本発明によれば、かき玉子スープを凍結乾燥する前にかき玉子から水分を除去し、当該凍結乾燥の時間を短縮し得る、生産性、効率性に優れる凍結乾燥かき玉子スープの製造方法を提供でき、好ましくは、生産性、効率性に優れ、かつ従来の製造方法で得られる凍結乾燥かき玉子スープと同程度の品質(かき玉子の形状、大きさ、食感、浮遊性等)を備える凍結乾燥かき玉子スープを製造し得る方法を提供できる。

Claims (7)

  1. 消泡乳化剤を含有する卵液を、加熱したHLB値が9以下である乳化剤を含有する液体(以下、かき玉子調製液体と称する)に添加し、当該液体中でかき玉子を調製する工程
    かき玉子を含む液体(以下、かき玉子液と称する)を脱水する工程、及び
    脱水したかき玉子液を、凍結乾燥する工程
    を含
    かき玉子調製液体の粘度が、95℃において20mPa・S以下である、
    凍結乾燥かき玉子スープの製造方法。
  2. 卵液における消泡乳化剤の含有量が、卵液に対して0.01~10重量%である、請求項1記載の製造方法。
  3. かき玉子調製液体における、HLB値が9以下である乳化剤の含有量が、かき玉子調製液体に対して0.01~10重量%である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. かき玉子調製液体が、加工澱粉及び多価アルコールからなる群より選択される少なくとも一つの緩衝剤を更に含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. かき玉子調製液体における緩衝剤の含有量が、かき玉子調製液体に対して0.1~10重量%である、請求項記載の製造方法。
  6. 卵液の粘度が、20℃において10~5000mPa・Sである、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. かき玉子液に増粘剤を添加する工程を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
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