JP7119034B2 - 表面検査方法、表面検査装置、および表面検査システム - Google Patents

表面検査方法、表面検査装置、および表面検査システム Download PDF

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Description

本発明は、表面検査方法、表面検査装置、および表面検査システムに関する。
本発明での検査対象の代表例は、建設機械に用いられる油圧ピストン(以下、「ピストン」と表記する)である。建設機械に用いられるピストンは、摺動面の耐摩耗性を高めるため、窒化処理による表面硬化処理を行う。
上記ピストンは、窒化処理後の摺動性能を保証するため、窒化不良部(以下、「窒化むら」と表記する)や傷などの表面検査が必須となる。
窒化不良部である窒化むらは、窒化正常部に対して色が暗く、かつ深さ1~3マイクロメートル程度の凹み形状という特徴を持つ。色が暗くなる理由は、母材の鋼の色が反映されるためである。また、窒化処理を行うと、表面が化合物層生成の相変態により数マイクロメートル程度膨張する。このため、窒化処理が正常に行われない窒化むら部分は相対的に凹形状になる。
一方、ピストン表面の傷は、主にピストン搬送の際、治具やピストン同士が擦れることで発生し、深さ10~20マイクロメートル程度の深さを持つ。
窒化むらと傷の検査を行う場合、例えば、窒化むらが窒化正常部に対して反射率が異なる特徴を持つこと、および傷の凹凸形状に着目し、それぞれを個別に検出する手法が考えられる。特許文献1に記載の表面検査方法は、円筒ワークに対して、平行光束からなる照明光を照射し、撮像光学系の開口角を調節することで反射光の正反射光成分と拡散反射光成分を分離し、正反射光に基づいて凹凸欠陥を検出し、拡散反射光に基づいて反射率差を検出している。
一方、窒化むらおよび傷を両方とも凹凸欠陥として検出する場合、微小な凹凸欠陥検査技術として従来知られている、魔鏡原理による表面検査方法の適用が考えられる。
特許文献2に記載の表面検査方法は、魔鏡原理を利用し、円筒ワークに所定の幅および所定の厚さを有する照射光の一部を照射して、検査面からの反射光をスクリーンに投影して形成された光学像を観察することで、円筒ワークの表面状態を検査している。
特開2014-240766号公報 国際公開第2018/235376号
ピストン表面には、窒化処理直後、水蒸気や油が付着することで窒化正常部と比較して反射率が低下し、色が暗くなる部位が発生する。本明細書では、前述の水蒸気・油由来で反射率が低下した部位を「色むら」と表記する。色むらは表面の反射率が変化するのみで、表面形状の変化は伴わない。また、摺動性に影響は与えないため、色むらは欠陥とはみなさない。図27に窒化むら、傷、色むらの形状の概要図を示し、図28に窒化むら、傷、色むらの形状と反射率をまとめた表を示す。
特許文献1に記載の表面検査方法では、窒化むらと色むらを共に暗部として検出するため(図28参照)、窒化むらと色むらを弁別することができない。
特許文献2に記載の表面検査方法では、窒化むらサイズの分布が広いため、窒化むらを感度良く検出する光学条件を一意に定められない問題がある。魔鏡原理によると凹欠陥からの反射光は、光線が収束するため、焦点近傍が明るくなる(後述する図4参照)。凹欠陥を凹面鏡とみなした場合、深さd、幅Lの凹面鏡の焦点距離Rは、R=L/8dで示される。例えば、d=1マイクロメートル、L=1mmの凹欠陥を考えると、前記式より焦点距離Rは125mmとなるが、前記式よりLが2倍の2mmになると、焦点距離Rは4倍の500mmとなる。このように窒化むらの形状により、焦点距離が大きく変化するため、窒化むらを輝部として検出する場合、感度良く窒化むらを検出するスクリーン位置を一意に決めることができない。また、窒化むらの凹形状に依存して検出感度が低下すると、窒化むらの寸法・形状を正確に評価することができない。
すなわち、欠陥幅をL、欠陥深さをdとおいたとき、窒化むらに代表される、d/Lが10-3程度の緩やかな凹形状、かつ反射率差を備える欠陥に対して、従来の表面検査技術では、検出感度・非欠陥との弁別性能に関して課題がある。
本発明は、従来の表面検査手法の課題を解決するためになされたものであり、非欠陥を誤検出せず、かつ窒化むらのサイズ・形状に依存することなく安定的に窒化むらを検出し、同時に欠陥形状・寸法の評価が可能な表面検査方法、表面検査装置、および表面検査システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の表面検査方法の一態様は、互いに異なるジオメトリを有する2つの光学系を用いて、検査対象の同一位置に対してそれぞれ異なる性質の照明光を照射し、異なる反射特性から得られる2つの光学像を取得して、窒化処理を施した凸状の表面を持つ金属試料の表面欠陥である窒化むらを検出する表面検査方法であって、前記凸状の表面に所定の幅および所定の厚さを有する第1の照明光を照射し、前記第1の照明光が前記凸状の表面で反射した第1の反射光をスクリーンに投射した第1の光学像から前記表面の凹凸形状の少なくとも一部を検出する第1の検査方法において、窒化むらの直径をL、窒化むらの深さをd、窒化むらを凹面鏡とみなしたときの焦点距離をR、前記凸状の表面への前記第1の照明光の照射位置から前記スクリーンまでの距離をrとしたとき、前記第1の光学像上において窒化むらによる輝度分布の変化を肉眼で確認できるように、R=L/8dかつ0.047R≦r<Rを満足するようにrを決定して光学像を取得した前記第1の光学像において所定の第1閾値より輝度の高い領域を窒化むら候補として特定し、前記凸状の表面に所定の波長帯域幅を持つ第2の照明光を照射し、前記第2の照明光が前記凸状の表面で反射した第2の反射光から第2の光学像を取得し、前記第2の光学像から前記表面の反射率分布を検査する第2の検査方法による判定結果を組み合わせて、前記窒化むら候補が窒化むらであるか否かを判定する。
本発明によれば、第1の検査方法の光学像において、窒化むらの凹凸形状の一部のみを検出すればよいため、窒化むらの検出感度が安定する。また、ピストンなどの金属試料の欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)の弁別が可能となる。また、魔鏡像と表面反射光像との判定結果を組み合わせて窒化むらを抽出することができ、さらに窒化むらを第2の検査方法の光学像にて評価することで、欠陥形状と寸法の評価が実現する。
上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態のX-Y平面から見た構成図である。 本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態のY-Z平面から見た構成図である。 検査対象ピストンの側面図である。 魔鏡原理における凹欠陥からの反射光の光路図である。 魔鏡原理におけるピストン摺動面からの反射光の光路図と魔鏡像(第1の光学像)の概要図であり、(a)は窒化むらの場合、(b)は傷の場合、(c)は色むらの場合である。 検査対象ピストン表面にレーザ光を照射したときの主光軸光路図である。 検査対象ピストン表面の観察位置からスクリーンまでの反射光の光路長が100mmとなる場合の条件を示した表であり、(a)はピストン半径が10mmの場合、(b)はピストン半径が17mmの場合である。 検査対象ピストン表面からの反射光がトランス‐スパロウモデルに従う場合の光路ベクトル図である。 ピストン摺動面の表面観察における、光路図と表面反射光像(第2の光学像)の概要図であり、(a)は窒化むらの場合、(b)は傷の場合、(c)は色むらの場合である。 ラインセンサカメラ観察の説明図であり、(a)はラインセンサカメラで検査対象を観察する概要図、(b)~(d)はラインセンサカメラを異なるスキャンレートで駆動する場合の取得光学像の違いを説明する図である。 第1の実施形態における、ラインセンサカメラで取得した光学像の平面模式図であり、(a)は第1の光学像、(b)は第2の光学像を示した図である。 第1の実施形態における、窒化むら、傷、色むらのそれぞれを第1の光学像と第2の光学像にて観察した場合の特徴をまとめた表である。 本発明の表面欠陥検査装置の第2の実施形態のX-Y平面から見た構成図である。 第2の実施形態における、ピストン表面への第1の照明光と第2の照明光のそれぞれの照射領域を示した図である。 第2の実施形態における、ラインセンサカメラで取得した光学像の平面模式図であり、(a)は第1の光学像、(b)は第2の光学像を示した図である。 第2の実施形態における、窒化むら、傷、色むらのそれぞれを第1の光学像と第2の光学像にて観察した場合の特徴をまとめた表である。 ピストン観察位置とスクリーン間距離が可変である、本発明の表面欠陥検査装置の第3の実施形態のX-Y平面から見た構成図である。 ピストン観察位置とスクリーン間距離を変化させた場合の窒化むら検出感度の変化を示した表である。 第4の実施形態における、表面欠陥検査システムの概略構成図である。 第4の実施形態における、表面欠陥検査装置のX-Y平面から見た構成図である。 第4の実施形態における、表面欠陥検査システムの機能ブロック図である。 第4の実施形態における、表面欠陥検査装置の設定・校正のフロー図である。 第4の実施形態における校正用ピストンの側面図である。 第4の実施形態における、ラインセンサカメラで取得した校正用ピストンの光学像であり、上図は第1の光学像(魔鏡像)、下図は第2の光学像(表面反射光像)を示した図である。 第4の実施形態における、ピストン検査のフロー図である。 魔鏡原理における検査対象表面に異物が存在する場合の反射光光路図である。 ピストン摺動面のプロファイルであり、(a)は窒化むらの場合、(b)は傷の場合、(c)は色むらの場合である。 窒化むら、傷、色むらの特徴をまとめた表である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部分には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明において、X方向(X軸)、Y方向(Y軸)、Z方向(Z軸)は、それぞれ、図示の通りとする。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ直交しており、X方向は、レーザ光の厚さ方向、Y方向は、レーザ光の照射方向、Z方向は、レーザ光の幅方向、ないし、検査対象物であるピストンの中心軸方向を指している。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を図1~図12を用いて説明する。本実施形態では、窒化処理後のピストンを検査対象物とする。なお、本実施形態では、特に建設機械の走行装置に用いられるピストンの表面検査について述べるが、本実施形態は、窒化処理を行った凸状の表面(凸面)を有する円筒金属試料全般に有効である。
図1は、本発明の表面欠陥検査装置の第1の実施形態のX-Y平面から見た構成図(平面図)であり、図2は、図1に示す表面欠陥検査装置のY-Z平面から見た構成図(側面図)である。
表面欠陥検査装置1は、検査対象ピストン100(被検査ピストン100ともいい、以下、「ピストン100」と表記する)を回転させる回転ステージ101、第1の光学系を構成する要素として、ピストン100にレーザ光(第1の照明光)を照射するレーザ発振器(第1の照射部)102、パウエルレンズ103、シリンドリカルレンズ104、スクリーン105、カメラレンズ(第1のカメラレンズ)106、およびラインセンサカメラ(第1のラインセンサカメラ:第1の検出部)107を備え、第2の光学系を構成する要素として、ピストン100に白色光(第2の照明光)を照射する照明(第2の照射部)108、カメラレンズ(第2のカメラレンズ)109、およびラインセンサカメラ(第2のラインセンサカメラ:第2の検出部)110を備える。第1の光学系と第2の光学系は、互いに異なるジオメトリで配置され、検査対象ピストン100の同一位置に対してそれぞれ異なる性質の照明光を照射し、異なる反射特性から得られる光学像を取得する。
ピストン100は、回転ステージ101上にピストン100の中心軸(回転軸)と回転ステージ101の中心軸(回転軸)が一致するように配置(保持)されている。回転ステージ101(およびピストン100)は、中心軸(回転軸)を中心に回転可能となっており、回転ステージ101の回転速度(=ピストン100の回転速度)は任意に変更できるようになっている。ピストン100の代表図面を図3に示す。ピストン100は、シュー21と円筒部22から構成される。円筒部22は、シリンダ(穴)の内周円筒面と摺動する円筒面からなる(換言すれば、外周表面形状が円形である)摺動面23を備える。本実施形態では、摺動面23を検査領域とする。なお、検査領域(対象)とする表面は、凸状(凸面)であればよく、円筒面に限定されない。
<第1の光学系の構成説明>
表面欠陥検査装置1の第1の光学系は、レーザ発振器102、パウエルレンズ103、シリンドリカルレンズ104、スクリーン105、カメラレンズ106、およびラインセンサカメラ107から構成される。
第1の光学系の照明光は、表面のマイクロメートルサイズの凹凸形状を把握するため、直進性の高いレーザ光(コヒーレント光)を用いる。レーザ発振器102は、例えば、波長660nm、直径2mmの平行ビーム10を出力する。平行ビーム10は、パウエルレンズ103でYZ平面にて扇形に広げる。本実施形態では、パウエルレンズ103は、レーザ発振器102からの平行ビーム10を全角30°に広げるものとして例示している。なお、レーザ発振器102はシングルモードレーザであり、出力モードの強度分布はガウシアン分布で1/e(13.6%)径をもってビーム径と称する。すなわち、ビーム径は、ピーク強度から13.6%に落ちた強度での幅としている。
シリンドリカルレンズ104は、図2に図示されるように、YZ平面のみ曲率を有しており、垂直方向(Z方向)に凸レンズの作用を有し、水平方向(X方向)には、レンズの作用を有していない。レーザ発振器102から出射された平行ビーム10を、シリンドリカルレンズ104により幅(Z方向の長さ)W、厚さ(X方向の長さ)t1の平行ビーム10に成形する。本実施形態では、焦点距離130mmのシリンドリカルレンズ104を用い、パウエルレンズ103とシリンドリカルレンズ104の距離を概ね130mmに調節することで、ビーム幅W=78mm、厚さt1=2mmの平行ビーム10を成形する。シリンドリカルレンズ104で成形された平行ビーム(平行光束とも称する)10は、ピストン100の外周表面に、帯状に照射される。詳しくは、成形後の平行ビーム10は、一部(ピストン100の中心に近い部分)がピストン100の外周表面に当たり、残部(ピストン100の中心から遠い部分)がピストン100の外周表面の外側を通過するように、ピストン100の外周表面に向けて照射される。図2の111は、ピストン100の外周表面上の平行ビーム10の照射領域を示している。レーザ光(成形後の平行ビーム10)は、ピストン100の外周表面で反射され、スクリーン105に投射される。
スクリーン105は、ピストン100を挟んでレーザ発振器102とは反対側に、ピストン100とは離間して配置されている。本実施形態では、スクリーン105は、XZ平面に沿って、つまり、レーザ光(成形後の平行ビーム10)に対して垂直に配置されている。スクリーン105に投射された反射光(第1の反射光)で形成された光学像(第1の光学像)は、カメラレンズ106を介してラインセンサカメラ107で撮像され、観察される。カメラレンズ106とラインセンサカメラ107とは、同軸で配置され、レーザ発振器102、パウエルレンズ103、シリンドリカルレンズ104が直線状に配列された光軸(図6に示す主光軸10a)に対して角度αで配置されている。本実施形態では、装置の素子間が干渉せず、かつ検査装置全体のサイズを小さくするため、角度αを30°と設定した。
図4は、凹欠陥を凹面鏡とみなした場合の反射光の収束作用を示す。ピストン100の凹欠陥からの反射光は、光線が収束するため、焦点近傍が明るくなる。深さd、幅Lの凹面鏡の焦点距離Rは式(1)で示される。
(数1)
R=L/8d (1)
なお、凹欠陥から距離rの位置にスクリーンを設置すると、欠陥のない平坦面からの反射部に対して、凹欠陥からの収束部の相対的な反射光強度は式(2)で示される。
(数2)
I(r)=R/(R-r) (2)
I(r)は魔鏡像上の輝度を示しており、I(r)が大きいほど窒化むら(凹欠陥)への感度が高いことを示す。魔鏡の収束作用は、式(1)、式(2)から欠陥サイズLの4乗の関数となるため、欠陥形状を考慮して欠陥とスクリーン間距離を設定する必要がある。図5(a)に示すように、窒化むら31は、縁に沿って幅1~2mm程度、深さ1~3マイクロメートル程度の斜面34があり、中央部が平坦となっている。図5(a)は窒化むら31に平行光束を照射した場合の反射光の収束作用を示している。図5(a)に示すように、窒化むら31を凹面鏡とみなした場合、窒化むら31の斜面34からの反射光が収束するため、スクリーン上の光学像は窒化むら31の斜面34に該当する箇所が明るくなる。
窒化むら31の斜面34の収束作用を式(1)、式(2)より定量的に評価する。窒化むら31の斜面34を、図4に示す凹面鏡を半分に分割したものとみなした場合、前述のように窒化むら31の斜面34は幅が1~2mm程度であるため、式(1)に代入するLは2倍の2~4mmとなる。一方、深さはそのままd=1~3マイクロメートルを代入するため、窒化むら31の斜面34の凹形状による反射光の焦点距離はR=160mm~1mとなる。
続いて、焦点距離Rに対応した欠陥~スクリーン間距離rの決定方法について述べる。r>Rの場合、図5(b)に示すように、凹欠陥からの反射光は1度収束したのち、再度発散する光路となるため、スクリーン上の収束作用が低下し、窒化むらの検出感度が低下する。このため、r<Rであることが望ましい。また、r<<Rの場合、式(2)よりI(r)~1となるため、収束作用が低く、窒化むらの検出感度が低い。このことから、本実施形態では、光学像上において欠陥による輝度分布の変化を肉眼(目視)で確認できる程度の収束作用を目安として、I(r)≧1.1を満たす位置にrを設定する。すなわち、凹欠陥の収束作用により、スクリーン上の収束部の輝度が周囲と比較して10%以上明るくなるようにrを設定する。式(2)よりI(r)≧1.1の場合、r≧0.047Rとなる。本実施形態では160mm≦R≦1mであるため、0.047R≦r<Rを満たすrの範囲は47mm≦r<160mmとなる。本実施形態では、前記の条件を満たすrとしてr=100mmと固定するが、rの値は一実施形態であって、これだけに限定されない。r=100mmの場合、式(2)より収束部の反射光強度は無欠陥の箇所と比較して1.23倍~7.1倍明るくなるため、窒化むらの縁を明部として捉えることができる。
欠陥~スクリーン間距離rの決定後、スクリーン105上での傷と色むらの見え方を説明する。図5(b)は傷に対して平行光束を照射した場合の反射光の収束作用を示している。傷32は、窒化むら31に対して、凹み形状の傾きパラメータd/Lが100倍程度の急峻な凹みである。すなわち式(1)より、焦点距離Rが窒化むらに対して10-3程度であるため、スクリーンの手前で光が収束し、スクリーン上では反射光が発散する。このため、スクリーン105上では傷32は暗部として検出することができる。図5(c)は色むらに対して平行光束を照射した場合の反射光の光路を示している。色むら(輝度むらとも称する)33は、凹凸欠陥でなく、窒化正常部と同じく平坦部であるため、平行光束の反射光は収束することはない。このため、スクリーン105上では輝度むら33は観察できず、第1の光学像では検知できない。
続いて、ピストン径とスクリーン間距離の相関について述べる。凹欠陥の検出感度は式(2)で示されるため、ピストン径が変化してもrが一定である、換言すれば、異径のピストンにおいても摺動面の凹凸形状に対する検出感度が一定の範囲内に保たれることが望ましい。図6は、平行ビーム10の主光軸10aがピストン100に照射する状態における光路を示す拡大図である。なお、図6は、図1に対して上下(X方向)が逆転している。図6を用いて、観察位置(主光軸10a照射位置)とスクリーン105間の距離の導出を行う。ピストン100の半径をR、ピストン100に対する主光軸10aの入射位置をP1、ピストン100の頂点からP1の角度をθ1、ピストン100の中心とスクリーン105間の距離をL1、ピストン100からの反射光とスクリーン105の交点位置をP2、P1とP2間の距離をL2、主光軸10aとピストン100からの反射光のなす角度をθ2とする。なお、図6では欠陥~スクリーン間距離rにあたる値がL2となる。
この時、θ1とθ2の関係とL2は式(3)で示される。
(数3)
θ2=2×θ1
L2=(L1+R×sinθ1)×(1/cosθ2) (3)
また、ピストン頂点からP1までの(X方向の)距離をδとおくと、δが式(4)で示される。
(数4)
δ=R(1-cosθ1) (4)
図7(a)、(b)にそれぞれRが10mmの場合と17mmの場合における、L2が約100mmとなる条件を示す。図7(a)、(b)に示すように、ピストン100の半径Rとピストン100の中心とスクリーン105間の距離L1が決定すれば、ピストン100への照射位置δとラインセンサカメラ107のスクリーン105上の光学像の観察位置h1(図6を併せて参照)が決定する。本実施形態ではピストン100の中心とスクリーン105間の距離L1を80mmとし、ピストン100への照射位置δとラインセンサカメラ107のスクリーン105上の光学像の観察位置h1を図7(a)、(b)に示す値に設定(調整)するが、L1の値は一実施形態であって、これだけに限定されない。
<第2の光学系の構成説明>
次に図1に戻り、第2の光学系であるピストン100からの反射光を観察する光学系について説明をする。表面欠陥検査装置1の第2の光学系は、照明108、カメラレンズ109、およびラインセンサカメラ110から構成される。本光学系は、ピストン表面の色の差、すなわち、反射率の差(反射率分布)を検出することを目的とする。照明108からの照射光(第2の照明光)は、ピストン100表面(摺動面23)に照射する。第1の光学系は表面のマイクロメートルサイズの凹凸形状を把握するため、位相が揃って直進性の高いコヒーレント光であるレーザ光を用いているが、第2の光学系は色の観察を行うことから、白色光源を用いる。また、表面の凹凸形状により反射光が干渉するのを防ぐため、第2の光学系の照明光は、所定の波長帯域幅を持つ非コヒーレント光が望ましい。ピストン100表面からの反射光(第2の反射光)は、カメラレンズ109を介してラインセンサカメラ110で撮像され、観察される。カメラレンズ109とラインセンサカメラ110とは、同軸で配置される。
さらに、ラインセンサカメラ107とラインセンサカメラ110がピストン100に対して互いに反対側に配置され、平行ビーム10と照明108からの照射光が異なる観察領域を照射するように配置されているので、ラインセンサカメラ110が、照明108の反射光のみを検出し、反対側表面で反射した平行ビーム10の散乱光を検出しない。これにより後述するスキャンレートの設定が必要になるが、ラインセンサカメラ110への平行ビーム10の散乱光の影響を防ぐことができる。
ピストン100表面からの反射光を観察する際、正反射方向の光を観察すると、反射光強度が強く、ラインセンサカメラ110の撮像素子が飽和し、適切にピストン100の表面反射率を評価できない。このため、ラインセンサカメラ110の視線方向への(すなわち、ラインセンサカメラ110に入射する)反射光強度が所定値以下になるように、ラインセンサカメラ110の視線方向は、ピストン100からの正反射方向に対して角度をずらす必要がある。窒化処理を施したピストン表面は、金属表面と同様の反射特性を持つ場合、物体表面からの反射光分布は簡略化されたトランス‐スパロウモデルにて表現できる。簡略化されたトランス‐スパロウモデルを式(5)に示す。また、トランス‐スパロウモデルの光路ベクトル図を図8に示す。
(数5)
TS=Ks exp(-θj/σ)/cosθ (5)
Ksは正反射率、θは検査面法線と撮像方向のなす角度、θjは光源方向と撮像方向を二等分するベクトル(ハーフベクトル)と検査面法線のなす角度、σは検査面表面粗さを表す係数である。第1の実施形態では、図1に示すように、検査面法線とラインセンサカメラ110の視線方向は同一直線状に配置し、ラインセンサカメラ110の反射光への視線方向と光源(ここでは白色光源)からの照明光の照射方向のなす角度はθiとしているため、θ=0、θj=θi/2となる。これにより式(5)を書き換えると、式(6)で示される。
(数6)
TS=Ks exp(-θi/4σ) (6)
式(6)より、ラインセンサカメラ110に入射する正反射光の強度分布は、θiを大きくすれば減少できることが分かる。本実施形態ではθi=30°とするが、本角度は一実施形態であって、これだけに限定されない。
なお、照明108は円筒ワークであるピストン100を観察することから、ライン照明が望ましい。以下、照明108をライン照明108と表記する場合がある。本実施形態では、レーザ発振器102からピストン100に照射された平行ビーム10の散乱光がラインセンサカメラ110に入ること(言い換えれば、ラインセンサカメラ110が平行ビーム10の散乱光を検出すること)を防ぐため、ピストン100を挟んで、ラインセンサカメラ107と照明108およびラインセンサカメラ110は反対の位置に配置している。
以下、第2の光学系でピストン100の摺動面23の反射光観察像を撮像する場合、窒化むら、傷、色むらの光学像を図9(a)~(c)を用いて説明する。41はカメラ、42は照明光光源、43は照明光光路、44は正反射光、45は拡散反射光、46は傷からの散乱光を示す。
窒化むら31は図9(a)に示すように窒化が不十分で母材の鋼の色が反映された拡散反射光45として観察されるため、窒化正常部に対して相対的に反射率の低い暗部となる。傷32は図9(b)に示すように傷32からの散乱光46が発生し、窒化正常部に対して相対的に明るく検出される場合と、散乱光46を検出せず、窒化正常部と弁別できない(感度がない)場合がある。色むら33は図9(c)に示すように窒化正常部と比較して反射率が低下した拡散反射光45を観察するため、暗部となる。
<ラインセンサカメラ107、110のスキャンレートの説明>
次に第1のラインセンサカメラ107のスキャンレートと第2のラインセンサカメラ110のスキャンレートを決定する方法について述べる。後述するように窒化むらを検出する際は、ラインセンサカメラ107で撮像される画像(第1の光学像)とラインセンサカメラ110で撮像される画像(第2の光学像)のそれぞれの画像の位置合わせを行い、互いに異なる光学系により得られた特徴量の判定結果を組み合わせる。そのため、第1の光学像の分解能と第2の光学像の分解能は一致することが望ましい。また、欠陥(窒化むら・傷)の評価においては、その寸法形状を評価することから、第1の光学像、第2の光学像ともにピストンの周方向と軸方向の倍率が実物と異なる、すなわちピストンの周方向に対して伸縮している光学像は不適である。図10(a)はラインセンサカメラのスキャン方向、送り方向、スキャン範囲を示した概要図であり、図10(b)~(d)はスキャンレートを変えた場合の光学像の縦横比の変化を示した概要図である。ラインセンサカメラのスキャン方向を「横」、送り方向を「縦」とする。取得した光学像の縦横比が1:1になるスキャンレートをf0とおくと(図10(b))、スキャンレートfがf0より遅い場合(f<f0)、縦方向に縮んだ光学像となり(図10(d))、スキャンレートfがf0より速い場合(f>f0)、縦方向に伸びた光学像となる(図10(c))。本実施形態では、ピストンの周方向が「縦」にあたり、ピストンの軸方向が「横」にあたる。つまり、第1の光学像、第2の光学像ともに適切なスキャンレートfを設定し、ピストンの周方向分解能と軸方向分解能は同一にする(一致させる)ことが望ましい。
以下、適切なスキャンレートの導出について述べる。検査対象ピストン径をR[mm]、ピストン回転速度をr[rps]、ラインセンサカメラ107の視野サイズをW1[mm]、カメラ画素数をN1[pix]、スキャンレートをf1[Hz]、ラインセンサカメラ110の視野サイズをW2[mm]、カメラ画素数をN2[pix]、スキャンレートをf2[Hz]とする。第1の光学像と第2の光学像の軸方向の分解能が一致するとき、式(7)の関係を満たす。
(数7)
W1/N1=W2/N2 [mm/pix] (7)
また、第1の光学像の周方向分解能は2πR/f1であるため、第1の光学像の軸方向分解能と周方向分解能が一致する場合、式(8)の関係を満たす。
(数8)
W1/N1=2πRr/f1 [mm/pix] (8)
第2の光学像も同様に考え、第2の光学像の軸方向分解能と周方向分解能が一致する場合、式(9)の関係を満たす。
(数9)
W2/N2=2πRr/f2 [mm/pix] (9)
すなわち、第1、第2のラインセンサカメラ107、110のスキャンレートf1、f2はそれぞれ、式(10)、(11)となる。
(数10)
f1=2πN1Rr/W1 [Hz] (10)
(数11)
f2=2πN2Rr/W2 [Hz] (11)
また、式(7)より、W1/N1=W2/N2であるため、式(12)と書き換えると、スキャンレートf1、f2は式(13)の関係を満たす。
(数12)
W1/N1=W2/N2=u [pix/mm] (12)
(数13)
f1=f2=2πRr/u (13)
本実施形態では、例えば、第1、第2のラインセンサカメラ107、110としてN1=N2=2048[pix]、W1=W2=80mmの仕様を備えたカメラを使用する。ピストン回転速度rを0.5rpsとすると、R=10mmのピストンを検査する場合のラインセンサカメラ107、110を駆動するためのスキャンレートはそれぞれ、f1=f2=804[Hz]となり、R=17mmのピストンを検査する場合のラインセンサカメラ107、110を駆動するためのスキャンレートはそれぞれ、f1=f2=1367[Hz]となる。
<欠陥検出手順説明>
次に図11(a)、(b)を用いて、窒化むらなどの欠陥検出の手順について示す。図11(a)はラインセンサカメラ107で取得した光学像、すなわち第1の光学像(魔鏡像)であり、図11(b)はラインセンサカメラ110で取得した光学像、すなわち第2の光学像(表面反射光像)である。なお、図11(a)、図11(b)において、ピストン100の軸方向をx、周方向をyとする。
像51は窒化むら、像52は傷、像53は色むら(非欠陥)を示す。図5(a)で説明するように、ラインセンサカメラ107で取得した第1の光学像では窒化むらは縁が明るくなる。図5(b)で説明するように、傷は窒化むらに対して焦点距離が10-3程度と急峻であるため、スクリーンの手前で反射光が収束後、スクリーンに向かって発散し、第1の光学像では暗部となる。図5(c)で説明するように、色むらは凹凸形状を持たず、魔鏡原理では感度を持たないため、第1の光学像では検知しない。
一方、ラインセンサカメラ110で取得した第2の光学像において、窒化むらは図9(a)に示すように母材の鋼の色が反映されるため、窒化正常部に対して相対的に暗部となる。傷は図9(b)に示すように傷からの散乱光が発生し、窒化正常部に対して明るく検出される場合と、窒化正常部と差がなく弁別できない(感度がない)場合がある。色むらは図9(c)に示すように窒化正常部と比較して反射率が低下するため、暗部となる。
図12に、第1の光学像(魔鏡像)上での窒化むら、色むら、傷の特徴と第2の光学像(表面反射光像)上での窒化むら、色むら、傷の特徴をまとめた表を示す。
上述の特徴より、像51は窒化むらの反射率を反映し、第2の光学像(図11(b))にて暗部、かつ、第1の光学像(図11(a))の同じ領域に凹形状由来の輝部または輝線が確認できるため、窒化むらと判断できる。像52は第1の光学像(図11(a))にて暗部となっているため、傷と判断する。像53は第2の光学像(図11(b))にて暗部、かつ、第1の光学像(図11(a))の同じ領域に輝部または輝線がない(非検出)ため、色むらと判断する。
なお、式(1)、式(2)より、窒化むらの検出感度は窒化むらの形状パラメータL、dに依存するため、窒化むらの形状によっては検出感度が低下し、第1の光学像(魔鏡像)上で窒化むらの一部しか捉えられない可能性がある。しかし、本実施形態では、魔鏡像上で窒化むらの一部分しか検出できなくても、第2の光学像(表面反射光像)の判定結果と組み合わせることで表面反射光像の像51を窒化むらと判断できる。表面反射光像上の窒化むらの像51の検出感度は窒化むら形状に依存しないため、表面反射光像上の窒化むらの像51から窒化むらの形状と寸法の正確な評価が可能となる。
また、第1の光学系において第1の光学像(魔鏡像)からピストン表面(凸面)の凹凸欠陥位置を特定し、第2の光学系において第2の光学像(表面反射光像)からピストン表面(凸面)の反射率欠陥位置を抽出し、その凹凸欠陥位置と反射率欠陥位置の照合を行うことで、欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)の弁別が可能となる。
<第1の実施形態の作用効果>
以上で説明したように、本実施形態は、窒化処理を施した凸状の表面を持つ金属試料(ピストン)の表面状態を検査(表面欠陥である窒化むらを検出)する表面検査方法であって、前記凸状の表面に所定の幅および所定の厚さを有する第1の照明光(コヒーレント光)を照射し、前記第1の照明光が前記凸状の表面で反射した第1の反射光をスクリーン105に投射した第1の光学像から前記表面の凹凸形状の少なくとも一部を検査する第1の検査方法と、前記凸状の表面に所定の波長帯域幅を持つ第2の照明光(非コヒーレント光)を照射し、前記第2の照明光が前記凸状の表面で反射した第2の反射光から第2の光学像を取得し、前記第2の光学像から前記表面の反射率分布を検査する第2の検査方法による判定結果を組み合わせて、前記金属試料の表面状態を検査する。
すなわち、本実施形態は、第1の光学系(検査方法)として第1の照明光(コヒーレント光)をピストン表面(凸面)に照射し、被検査面とスクリーン間距離を窒化むらの凹形状から決定したスクリーンにその反射光を投影し、投影された光学像を撮像することで凹凸形状の一部または全部を検出する光学系と、第2の光学系(検査方法)として第2の照明光(非コヒーレント光)をピストン表面(凸面)に照射し、その表面反射光を撮像することで得られる光学像から反射率分布を検出する光学系を設け、第1、第2の光学系の光学像の判定結果を組み合わせて、欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)を抽出・弁別し、また窒化むらの寸法・形状を第2の光学系の光学像から評価する検査方法である。
本実施形態によれば、窒化むら形状を考慮した光学条件の魔鏡像観察とピストン表面粗さを考慮した光学条件の表面反射光像観察を組み合わせることで、窒化むらの凹凸情報および反射率情報を抽出することができる。これにより、安定的な窒化むらの検出、および、色むらとの弁別が可能となる。また、表面反射光像上の窒化むらの像51の検出感度は窒化むら形状に依存しないため、表面反射光像上の窒化むらの像51から窒化むらの形状と寸法の正確な評価が可能となる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、魔鏡像観察と表面反射光像観察から欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)を検出する表面欠陥検査装置1について説明した。
第1の実施形態では図12に示す表に従い、ラインセンサカメラ107で取得した第1の光学像(魔鏡像)とラインセンサカメラ110で取得した第2の光学像(表面反射光像)を用いて窒化むら、傷、色むらの弁別を行った。図12の表によると、第1の光学像において傷は暗部となる。しかし、第1の実施形態では考慮しなかったが、傷から反射した第1の照明光(レーザ光)が干渉し、スクリーン105上に明暗パターンが発生する場合がある。第1の実施形態で示した窒化むら(欠陥)と色むら(非欠陥)の弁別法は、表面反射光像で暗部が検出された座標に、魔鏡像で輝部または輝線が存在する場合、窒化むら(欠陥)とし、表面反射光像で暗部が検出された座標に、魔鏡像で輝部または輝線が存在しない場合、色むら(非欠陥)と判断する。しかし、表面反射光像において、色むら由来の暗部が検出された座標に、魔鏡像上にて傷から反射したレーザ光同士の干渉による輝線が検出された場合、本来色むらと判定すべきところを窒化むらと誤判定する。このため、窒化むらと色むらの弁別性能を上げるためには、魔鏡像で検出される輝線または輝部が窒化むら由来か傷由来かを正確に弁別する必要がある。そのためには、同一位置を異なる光学的特徴量で評価できるように、魔鏡像と表面反射像の観察領域が同じであることが望ましい。
第2の実施形態においては、ピストン100に対してラインセンサカメラ107(第1の光学系)とラインセンサカメラ110(第2の光学系)を、互いの観察領域が同じ位置になるように配置し、欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)の弁別性能を高める。以下、図13~図16を用いて本発明の第2の実施形態の説明を行う。
図13は、本発明の表面欠陥検査装置の第2の実施形態のX-Y平面から見た構成図である。本実施形態の表面欠陥検査装置2でも、第1の実施形態と同じく照明108とラインセンサカメラ110の角度θiは30°とする。ただし、本実施形態の表面欠陥検査装置2では、ラインセンサカメラ110は、照明108を光源とし、ピストン100の外周表面(凸面)によって反射する照明108の反射光と、レーザ発振器102からの平行ビーム10が同じ観察領域を照射するように配置され、観察領域であるピストン100の外周表面(凸面)によって反射する平行ビーム10の散乱光とを同時に観察する。これにより、ラインセンサカメラ110がラインセンサカメラ107と同じ観察領域を観察していることを確認できる。
図14は、第2の実施形態におけるピストン100に対する、平行ビーム10の照射領域111と照明108の照射領域112、およびラインセンサカメラ110の観察領域113を示している。平行ビーム10による照射領域111と照明108による照射領域112が重なるようにピストン100表面に平行ビーム10と照明108を照射し、ラインセンサカメラ110は、照射領域111と照射領域112が重なる領域を観察する。
平行ビーム10とラインセンサカメラ110の配置から、ラインセンサカメラ110は、平行ビーム10を光源とする暗視野照明光学系となっている。暗視野照明は表面の微小な凹凸からの散乱光を検知し、明るく検出されるため、特に表面の傷に対して検出感度を持つ。
図15(a)、(b)は、図13に示す、2つのラインセンサカメラで検出した光学像の平面模式図である。図15(a)はラインセンサカメラ107で検出した光学像(魔鏡像)であり、図15(b)はラインセンサカメラ110で検出した光学像(表面反射光像)である。像51は窒化むら、像54は傷、像55は色むらを示す。図15(a)において、像51は窒化むらの凹形状を反映した輝点または輝線であり、像54は傷から反射したレーザ光が干渉し、輝線と暗線が繰り返す筋状(周期)パターンである。図15(b)において、像51は窒化むらの反射率を反映して暗部、像54は傷からの散乱光により輝線、像55は色むらの反射率を反映して暗部となる。
図16は、検出される欠陥の種別ごとに、ラインセンサカメラ107で撮像される第1の光学像(図15(a)に該当)およびラインセンサカメラ110で撮像される第2の光学像(図15(b)に該当)でどのように撮像されるかを示している。
以下、図15(a)、(b)および図16の表から、窒化むら、傷、色むらの弁別方法について述べる。像51は図15(a)で輝点または輝線であり、図15(b)において暗部であるため、窒化むらと判断できる。像54は図15(a)で輝線と暗線を含む筋状(周期)パターンであり、図15(b)では輝線となるため、傷と判定できる。像55は図15(b)では暗部であり、図15(a)の該当する座標内には輝線(像54)が確認できる。しかし、像54は図15(b)より傷と判断しているため、像55は色むらと判断できる。
図15(a)、(b)、図16に示すように、ラインセンサカメラ107で撮像される第1の光学像とラインセンサカメラ110で撮像される第2の光学像の判定結果を組み合わせることで、窒化むら、傷、色むらの弁別性能が向上する。
<第2の実施形態の作用効果>
以上で説明したように、本実施形態は、ラインセンサカメラ110が、ピストン100の外周表面(凸面)によって反射する平行ビーム10の散乱光と照明108の反射光を同時に検出でき、平行ビーム10を光源とする暗視野照明光学系となっており、特に表面の傷に対して検出感度を持つ。
以上より、本実施形態によれば、第1の光学像(魔鏡像)の輝点・輝線が窒化むら由来か傷由来かを判別できるため、例えば色むらの箇所に傷が存在する場合でも色むらと正しく判定できる。このため、虚報を抑えることができる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、窒化むら形状の分布に応じて、ピストン検査面からスクリーンまでの距離L2(図6)を変えることで、窒化むらの見逃しを防ぐ検査方法について説明する。なお、以下の説明では、L2とrは同義のものとする。以下、図17、図18を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。
第1の実施形態では、魔鏡原理において凹欠陥を凹面鏡とみなすとき、式(1)、(2)を用いて、欠陥の直径Lおよび欠陥深さdが変化すると、窒化むらの焦点距離R、および窒化むらの検出感度I(r)が変化することを説明した。以下に式(1)、(2)を再掲する。
(数1)
R=L/8d (1)
(数2)
I(r)=R/(R-r) (2)
観察位置(主光軸10a照射位置)からスクリーン105までの距離rが一定の場合、Rが変化すると式(2)より検出感度が変化する。すなわち、窒化むらの大きさLと深さdによって窒化むらの検出感度I(r)は変化する。第1の実施形態では、I(r)≧1.1を満足させるため、rが0.047R≦r<Rの条件を満足する位置にスクリーン105を設置する。
しかし、第1の光学系の照明光光源がレーザ発振器102であるため、スクリーン105上にはスペックルノイズが発生する。このため、I(r)≧1.1を満足しても、窒化むら由来の輝線または輝部がノイズに埋もれ、窒化むらを検出できない場合がある。rを固定した場合、式(2)より焦点距離Rが大きくなると、I(r)の値は低下する。すなわち、焦点距離Rが大きくなるほど、スクリーン105上に投影された窒化むらの像はスペックルノイズに埋もれる可能性が増加する。
このため、本実施形態では、rを任意に変更することで、Rが増加しても窒化むら検出感度I(r)の低下を防ぐ表面欠陥検査方法および表面欠陥検査装置を提案する。図17は、本発明の表面欠陥検査装置の第3の実施形態のX-Y平面から見た構成図であり、スクリーン105をY軸方向(レーザ光の照射方向)に駆動可能な駆動機構114を設けた表面欠陥検査装置3を示す。駆動機構114は、制御装置115により制御され、制御装置115にスクリーン位置の情報を入力することで所望の位置にスクリーン105を駆動することができる。
第1の実施形態で述べるように、代表的な窒化むらの焦点距離Rの分布は160mm≦R≦1mである。例えば、上記の焦点距離Rの分布から検査時にrが100mmと500mmの2つの値をとるように検査条件を設定する。図18は、rの値を100mmと500mmとした場合の、R=160mmmおよび1mの窒化むらのそれぞれの検出感度I(r)を示している。図18に示すように、r=100mmの場合は、R=160mmの窒化むらの検出感度I(r)が高く、R=1mの窒化むらの検出感度I(r)が低い。一方、r=500mmの場合は、R=160mmの窒化むらの検出感度I(r)が低く、R=1mの窒化むらの検出感度I(r)が高い。すなわち、観察位置(主光軸10a照射位置)からスクリーン105までの距離rが短い場合は焦点距離Rが短い窒化むらに検出感度を持ち、距離rが長い場合は焦点距離Rが長い窒化むらに検出感度を持つことが分かる。
<第3の実施形態の作用効果>
以上で説明したように、本実施形態は、スクリーン105を光の投射方向に対して駆動する駆動機構114を備え、窒化むら形状の分布に応じて、観察位置(主光軸10a照射位置)からスクリーン105までの距離rが任意に変更可能である。
以上のように、本実施形態によれば、観察位置(主光軸10a照射位置)からスクリーン105までの距離rを可変とすることで、窒化むらの焦点距離Rの長短に関わらず、窒化むらを安定的に検出できる。なお、選択するrの値および設定数は一実施形態であって、これだけに限定されない。
[第4の実施形態]
本実施形態は、上述した表面欠陥検査装置(以下、表面欠陥検査装置4と表記する)を用いた表面欠陥検査システム60について説明する。以下、本実施形態の表面欠陥検査システム60を図19~図26を用いて説明する。
<表面欠陥検査システム60の概略構成>
図19は、上述した表面欠陥検査装置4を用いた表面欠陥検査システム60の概略構成図である。なお、本実施形態の検査対象ピストン100B(以下、「検査ピストン100B」と表記する)には、検査領域である摺動面以外の箇所に検査ピストンごとの個体番号が付与された刻印が施されており、刻印から読みだした個体番号と検査結果を紐づけることができる。
表面欠陥検査システム60は、検査前の検査ピストンを設置する検査ピストン置き場181、校正用ピストン180を設置する校正用ピストン置き場182、検査後の不良品判定の検査ピストンを設置する不良品ピストン置き場183、検査後の良品判定の検査ピストンを設置する良品ピストン置き場184を備える。なお、以下、検査ピストン100Bと校正用ピストン180の両方を指し示す場合は「ピストン」と表記する。また、図19の表面欠陥検査システム60は、ピストンを搬送するローダ185、表面欠陥検査装置4、表面欠陥検査装置4の合否判定に従い検査ピストンを不良品ピストン置き場183または良品ピストン置き場184に払い出すアンローダ186、ローダ185およびアンローダ186(これらを纏めて搬送系と称する)を駆動させるための搬送系コントローラ195、ピストンの刻印を読み出す刻印読み取り装置187、ピストン表面の異物を除去する表面異物除去装置188、および表面欠陥検査システム60全体を制御する検査システム制御装置200から構成される。
<表面欠陥検査装置4の構成>
次に図20を参照して、表面欠陥検査装置4の構成を説明する。表面欠陥検査装置4は、ピストンを回転させる回転ステージ101、ピストンにレーザ光(第1の照明光)を照射するレーザ発振器(第1の照射部)102、パウエルレンズ103、シリンドリカルレンズ104、スクリーン105、カメラレンズ(第1のカメラレンズ)106、ラインセンサカメラ(第1のラインセンサカメラ:第1の検出部)107、ピストンに白色光(第2の照明光)を照射するライン照明(第2の照射部)108、カメラレンズ(第2のカメラレンズ)109、ラインセンサカメラ(第2のラインセンサカメラ:第2の検出部)110、ラインセンサカメラ用直動ステージ(第1のラインセンサカメラ用直動ステージ)191、ラインセンサカメラ用直動ステージ(第2のラインセンサカメラ用直動ステージ)192、回転ステージ用直動ステージ193、および各ステージ(101、191、192、193)を駆動させるためのステージコントローラ194から構成される。
表面欠陥検査装置4は、検査する検査ピストンの径に応じて、ステージコントローラ194を介して、第1のラインセンサカメラ用直動ステージ191、第2のラインセンサカメラ用直動ステージ192、および回転ステージ用直動ステージ193を調整するとともに、第1のラインセンサカメラ107および第2のラインセンサカメラ110のスキャンレートを調節し、最適な検査条件で検査ピストンの検査を行うことが可能となる。また、表面欠陥検査装置4の照明光源(102、108)、ステージ(101、191、192、193)、ステージコントローラ194、ラインセンサカメラ107、110は、図19および図21に示す検査システム制御装置200と接続されている。
<表面欠陥検査システム60の機能ブロック構成>
続いて図21の機能ブロック図を用いて、図19および図20に示す表面欠陥検査システム60の機能を説明する。なお、検査システム制御装置200は、表面欠陥検査システム60の動作全体を制御するための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)とを含むハードウェアから構成されている。
図21に示すように、本検査システム制御装置200は、検査ピストンの種類および検査本数を入力する検査条件入力部201、検査システム制御装置200と表面欠陥検査システム60の各部品を接続するI/F202、照明のON/OFFを制御する照明制御部203、検査ピストンの種類に応じた表面欠陥検査装置4のステージ位置情報、および検査ピストンの種類に応じた表面欠陥検査装置4のラインセンサカメラのスキャンレートfを記憶する検査装置駆動条件記憶部204、ステージ制御部205、ラインセンサカメラ制御部206、第1の光学像と第2の光学像の位置ズレ量を演算する光学像位置ズレ演算部207、第1の光学像と第2の光学像の位置ズレ量に基づき位置合わせを行い、第1の検査方法と第2の検査方法による同一位置に対する判定を組み合わせた欠陥種別判定を行う画像処理部208、欠陥種別判定の結果に基づき検査ピストンの合否判定を行う合否判定部209、検査ピストンの残存数を管理する検査ピストン残存数管理部210、検査ピストンの個体番号、画像処理部208の欠陥種別判定の結果および合否判定部209の合否判定結果を紐づけて、結果を記録する検査結果記録部211、欠陥種別判定結果および合否判定結果に基づいた検査結果画像を生成する検査結果画像生成部212、検査結果画像を表示する表示モニタ部213、ローダ185およびアンローダ186(搬送系)を制御する搬送系制御部214を含む。なお、上記検査システム制御装置200の機能の一部もしくは全部(例えば、画像処理部208や合否判定部209など)は、表面欠陥検査装置4側に設けられてもよい。
作業員は、所定の入力装置を介して検査システム制御装置200の検査条件入力部201に検査ピストンの作番などの検査ピストンの種類が分かる情報と検査ピストンの本数の情報を入力する。
照明制御部203は、レーザ光(第1の照明光)を照射するレーザ発振器102と白色光(第2の照明光)を照射するライン照明108のON/OFFをI/F202を介して制御する。
ステージ制御部205は、検査条件入力部201から入力された検査ピストンの種類に応じて、検査装置駆動条件記憶部204に格納された第1のラインセンサカメラ用直動ステージ191、第2のラインセンサカメラ用直動ステージ192、回転ステージ用直動ステージ193のステージ位置情報を参照する。ステージ制御部205は、参照したステージ位置情報に基づきI/F202およびステージコントローラ194を介して、レーザ発振器102から照射するレーザ光(平行ビーム10)の主光軸がピストンの外周表面に対して所望の入射位置に入射するように、回転ステージ用直動ステージ193の位置を調節する。同様に、ステージ制御部205は、第1のラインセンサカメラ107がスクリーン105上の所望の位置を観察するように、第1のラインセンサカメラ用直動ステージ191の位置を調節する。同様に、ステージ制御部205は、第2のラインセンサカメラ110の視野サイズが所望の値を保つように、第2のラインセンサカメラ用直動ステージ192の位置を調節する。
また、ステージ制御部205は、ローダ185がピストンを回転ステージ101に設置したことを確認後、I/F202およびステージコントローラ194を介して、回転ステージ101を等速かつ所定の時間回転させる。ローダ185がピストンを設置したことは、例えば、搬送系制御部214からの信号を用いて確認する。
ラインセンサカメラ制御部206は、検査条件入力部201から入力された検査ピストンの種類に応じて、検査装置駆動条件記憶部204に格納されたスキャンレート情報を参照し、I/F202を介して、第1のラインセンサカメラ107および第2のラインセンサカメラ110のスキャンレートを所定の値fに設定する。
加えて、ラインセンサカメラ制御部206は、ステージ制御部205が回転ステージ101を回転させる指令を出した後、第1のラインセンサカメラ107と第2のラインセンサカメラ110をI/F202を介して所定のスキャンレートfで駆動させ、第1の画像(光学像)と第2の画像(光学像)を取得する。ラインセンサカメラ制御部206は、第1の光学像と第2の光学像を取得後、取得した光学像を画像処理部208に送信する。
光学像位置ズレ演算部207は、校正用ピストン180を用いた表面欠陥検査装置4の校正時に、第1の光学像と第2の光学像の撮像時の位置ズレ量M1[pix]を演算し、画像処理部208に位置ズレ量M1を転送する。
画像処理部208は、転送された位置ズレ量M1に基づいて第1の光学像と第2の光学像の位置合わせを行う位置合わせ部を含み、位置ズレ量の校正のための画像処理を行う。具体的な位置ズレ量の校正方法は、図22のフロー図を用いて後述する。
第1の光学像と第2の光学像の位置合わせを行った後、画像処理部208は、第1の光学像と第2の光学像からピストン表面の凹凸欠陥位置情報と反射率欠陥位置情報を抽出し、あらかじめ設定した輝度あるいは反射率に関する閾値による画像処理後の両光学像を比較することで、窒化むらと傷を弁別し、また、窒化むらまたは傷の形状と寸法および位置情報を取得する(後で説明)。画像処理部208は、画像処理前後の画像データと窒化むらまたは傷の形状と寸法および位置情報を含んだ欠陥種別判定の結果を合否判定部209、検査結果記録部211、検査結果画像生成部212に送信する。
合否判定部209は、画像処理部208から入力された窒化むらまたは傷の形状と寸法および位置情報を基に、検査ピストンの合否(良品・不良品)を判定する。合否判定は、例えば、検出された窒化むらおよび傷の寸法、個数、密度などを反映した欠陥レベルの閾値を設定し、異常値が閾値を下回れば良品、異常値が閾値を上回れば不良品と判定する。また、合否判定部209は、合否判定結果を搬送系制御部214に伝える。搬送系制御部214は、I/F202および搬送系コントローラ195を介して合否判定に基づきアンローダ186を制御し、検査後の検査ピストンを不良品ピストン置き場183または良品ピストン置き場184に払い出す。また、合否判定部209は、合否判定結果を検査ピストン残存数管理部210、検査結果記録部211、検査結果画像生成部212に送信する。
検査ピストン残存数管理部210は、検査条件入力部201より入力された検査ピストン本数情報を格納する。検査ピストン残存数管理部210は、合否判定部209が合否判定を行うごとに検査ピストンの残存数を1つ減らす。検査ピストン残存数管理部210は、検査ピストンの残存数が0になった時点で搬送系制御部214に信号を送信し、搬送系制御部214は、I/F202および搬送系コントローラ195を介してローダ185を停止させる。
検査結果記録部211は、画像処理部208の欠陥種別判定の結果と合否判定部209の合否判定結果および刻印読み取り装置187を介して取得した検査ピストンの個体番号を紐づけて、検査結果を記録する。
検査結果画像生成部212は、画像処理部208の欠陥種別判定の結果および合否判定部209による合否判定結果に基づく検査結果画像を生成し、表示モニタ部213に表示する。表示モニタ部213に表示される画像は、例えば、窒化むらまたは傷と判定された箇所を強調した画像と合否判定結果を併記した画像がある。
<表面欠陥検査システム60の検査フロー>
次に図22~図25を用いてピストン検査フローについて説明する。
なお、本実施形態の検査フローは大きく分けて表面欠陥検査装置4の設定・校正工程(ステップ(以下、Sと記す)100)とピストン検査工程(S200)に分かれる。
<表面欠陥検査装置4の設定・校正工程(S100)>
まず、図22を用いて表面欠陥検査装置4の設定・校正工程(S100)の説明を行う。作業員は、所定の入力装置を介して検査システム制御装置200の検査条件入力部201に検査ピストンの作番と検査本数を入力する(S101)。検査本数は、検査ピストン残存数管理部210に送信、記録される(S102)。
続いて、照明制御部203は、検査金属試料情報が入力されたことを確認後、レーザ発振器102とライン照明108をONしてレーザ光と白色光(第1、第2の照明光)を照射する(S103)。
次に、ステージ制御部205は、入力された検査ピストンの作番に基づき、検査装置駆動条件記憶部204に格納された検査ピストンの径に対応するステージ位置情報を参照し、表面欠陥検査装置4の第1のラインセンサカメラ用直動ステージ191、第2のラインセンサカメラ用直動ステージ192、回転ステージ用直動ステージ193を所定の位置に駆動する(S104)。
ラインセンサカメラ制御部206は、入力された検査ピストンの作番に基づき、検査装置駆動条件記憶部204に格納された検査ピストンの径に対応するラインセンサカメラのスキャンレートを参照し、第1のラインセンサカメラ107および第2のラインセンサカメラ110のスキャンレートを所定の値に設定する(S105)。
以上のように、表面欠陥検査装置4の設定が終わったら、続いて第1のラインセンサカメラ107で撮像する第1の光学像と第2のラインセンサカメラ110で撮像する第2の光学像の位置合わせ用の校正を行う。本表面欠陥検査装置4は、第1の光学像の欠陥座標と第2の光学像の欠陥座標を照らし合わせて窒化むらの検出を行うため、第1の光学像と第2の光学像の相対的な位置合わせが必須となる。以下、第1の光学像と第2の光学像の位置合わせの一例を説明する。ローダ185は、校正用ピストン置き場182より、検査ピストンに対応した校正用ピストン180を表面欠陥検査装置4の回転ステージ101上に搭載する(S106)。
図23に示す校正用ピストン180には、軸方向に、例えば幅0.5mm、高さ20mm、深さ50マイクロメートルかつ黒色に着色された溝189が彫り込まれている。校正用ピストン180を回転ステージ101上に搭載後、ステージ制御部205は、回転ステージ101、つまり校正用ピストン180を(中心軸を中心に、あるいは、中心軸を回転軸として)等速で1回転させる。ラインセンサカメラ制御部206は、第1のラインセンサカメラ107および第2のラインセンサカメラ110をスキャンレートfで駆動し、スクリーン105上に投影された光学像を第1のラインセンサカメラ107で撮像して第1の光学像(魔鏡像)を取得するとともに、ライン照明108からの反射光を第2のラインセンサカメラ110で撮像して第2の光学像(表面反射光像)を取得する(S107)。校正用ピストン180の溝189は、第1の光学像においては図5(b)のパターンに該当し、溝189からの反射光が発散するため、第1の光学像では黒線となる。また、校正用ピストン180の溝189は、第2の光学像においては溝189の黒色の反射率を反映するため、第2の光学像でも黒線となる。
その後、画像処理部208は、第1のラインセンサカメラ107で取得した第1の光学像と第2のラインセンサカメラ110で取得した第2の光学像を二値化する画像処理後、光学像位置ズレ演算部207にて、それぞれの光学像上での校正用ピストン180の溝189の座標を特定して位置合わせの基準とし、両光学像(画像)の座標のズレ量M1[pix]を算出する(S108)。第1及び第2の光学像を画像処理により二値化する目的は、基準となる溝189を特定しやすくするためである。図24は、二値化した校正用ピストン180の第1の光学像(魔鏡像)と第2の光学像(表面反射光像)の概要図である。第1の光学像と第2の光学像の位置合わせの基準座標のズレ量M1[pix]に合わせて、例えば第2の光学像の画素を座標のズレ量M1[pix]だけ相対的に移動させることで、第1の光学像と第2の光学像の基準座標が一致する。光学像位置ズレ演算部207にて算出した座標のズレ量M1[pix]は画像処理部208に転送し、検査実行時の位置合わせ時のパラメータとして用いる(S109)。
なお、本実施形態では、校正用ピストン180の摺動面に黒色に着色した溝189をつけ、位置合わせ用に用いているが、例えば校正用ピストン180の摺動面に更に窒化むら、傷、色むらを人工的に設け、位置合わせの校正と同時に第1の光学系での窒化むら・傷の検出感度(判定閾値)のチェック、および、第2の光学系で窒化むらと色むらの検出感度(判定閾値)のチェックを行ってもよい。その場合は、表面欠陥検査装置4における判定結果を目視による判定結果と整合させる必要があるので、光学像の画像処理は二値化ではなくグレースケール化することが望ましい。第1の光学系においては、基準となる正常部位に対して、窒化むらによる高輝度部位と、傷による低輝度部位(暗部)とが識別できるように、輝度に関する閾値を正常部位を基準として高輝度側閾値と低輝度側閾値の2つ設ける。第2の光学系に対しても同様に、反射率に関する高反射率側閾値と低反射率側閾値の2つを設定する。
位置合わせ用の画素移動量M1決定後、アンローダ186は、校正用ピストン180を図19に示す校正用ピストン置き場182へアンロードする(S110)。以上で、表面欠陥検査装置4の設定・校正工程(S100)を終了する。
<ピストン検査工程(S200)>
表面欠陥検査装置4の設定・校正工程(S100)を終了後、ピストン検査工程(S200)を行う。図25を用いてピストン検査工程(S200)の説明を行う。
ローダ185は、検査ピストン置き場181から検査ピストンを刻印読み取り装置187に搬送する(S201)。刻印読み取り装置187は、搬送された検査ピストンの刻印を読み取り、刻印に付与された個体番号を検査結果記録部211に記録する(S202)。
続いて、ローダ185は、検査ピストンを表面異物除去装置188へ搬入し、表面異物除去装置188は、検査ピストンの外周表面上のホコリなどの表面異物を除去する(S203)。検査ピストンにはφ0.1mm程度のホコリなどが付着する場合がある。図26は、被検査面に異物が付着している場合に、被検査面に平行光束を照射した場合の反射光の光路を示している。図26に示すように、表面に凸形状が存在する場合、異物からの反射光は発散するため、スクリーン上では暗部となる。図5(b)に示すように表面の傷も魔鏡像上では暗部となるため、検査ピストンの表面に異物が存在する場合、ホコリを傷と判断し、虚報となる恐れがある。このため、検査ピストンの表面の異物は検査前に除去することが望ましい。
表面異物除去装置188にて検査ピストンの表面から異物除去後、ローダ185は、表面欠陥検査装置4の回転ステージ101に検査ピストン100Bを搭載する(S204)。検査ピストン100Bを回転ステージ101上に搭載後、ステージ制御部205は、回転ステージ101、つまり検査ピストン100Bを(中心軸を中心に、あるいは、中心軸を回転軸として)等速で1回転させる。ラインセンサカメラ制御部206は、第1のラインセンサカメラ107と第2のラインセンサカメラ110をスキャンレートfで駆動させて、第1の光学像(魔鏡像)と第2の光学像(表面反射光像)をそれぞれ撮像し(S205)、画像処理部208は、取得した光学像(画像)に対して画像処理を行う(S206)。
S206の詳細について以下説明する。画像処理部208は、第1の光学像(魔鏡像)よりスクリーン105上の検査箇所の反射光強度分布を検出し、スクリーン105上の検査箇所の反射光強度分布に基づき検査ピストン100B表面の凹凸欠陥とその位置を特定する第1の画像処理部をその内部に含む。第1の画像処理部は、前述の反射光強度分布に関して、欠陥のない正常部を基準として、あらかじめ設定された所定の高輝度側閾値より輝度が高い場合を高輝度部位、あらかじめ設定された所定の低輝度側閾値より輝度が低い場合を低輝度部位と判定して、判定結果をメモリに転送する。また、画像処理部208は、第2の光学像(表面反射光像)より表面反射光の反射光強度分布を検出し、表面反射光の反射光強度分布に基づき検査ピストン100B表面の反射率欠陥とその位置を抽出する第2の画像処理部をその内部に含む。第2の画像処理部は、前述の反射光強度分布に対して所定の閾値を用いて、高反射率側閾値より反射光強度が強い(大きい)場合を高反射率部位、低反射率側閾値より反射光強度が弱い(小さい)場合を低反射率部位と判定して、判定結果をメモリに転送する。また、画像処理部208は、光学像位置ズレ演算部207より入力した座標のズレ量M1[pix]に合わせて、第1の光学像と第2の光学像の座標を一致させる。そして、画像処理部208はまた、メモリに転送しておいた第1の画像処理部の判定結果と第2の画像処理部の判定結果を読み出して比較・照合する判別部を含む。これにより、画像処理部208は、位置合わせ部で第1の光学像と第2の光学像の位置ズレを校正し、判別部で同じ位置における検査ピストン100B表面の凹凸欠陥と反射率欠陥の照合を行うことで、欠陥(窒化むら・傷)と非欠陥(色むら)を弁別し、また、窒化むらまたは傷の形状と寸法および位置情報を取得する。例えば、前述のように、第1の光学像(魔鏡像)において所定の閾値より輝度の高い領域を窒化むら候補として特定し、第2の光学像(表面反射光像)から反射率分布を検査する第2の検査方法による判定結果を組み合わせて、前記窒化むら候補が窒化むらであるか否かを判定する。
画像処理部208の欠陥種別判定結果に対して、合否判定部209は、欠陥種別と欠陥数に関してあらかじめ設定している欠陥レベルに基づき、合否判定を行う(S207)。欠陥レベルが閾値以上の場合(S207/No)、アンローダ186は、回転ステージ101上の検査ピストンを不良品ピストン置き場183に搬送し(S208)、S210に進む。欠陥レベルが閾値未満の場合(S207/Yes)、アンローダ186は、回転ステージ101上の検査ピストンを良品ピストン置き場184に搬送し(S209)、S210に進む。
検査後の検査ピストンを搬送後、検査ピストン残存数管理部210は、格納されている検査ピストン残存数を1つ減らす(S210)。検査結果記録部211は、検査ピストンの個体番号と欠陥種別判定結果および合否判定結果を紐づけた検査結果を記録する(S211)。
続いて、検査ピストン残存数管理部210は、格納されている検査ピストン残存数を確認し(S212)、検査ピストン残存数が0でない場合(S212/No)、S201へ進む。検査ピストン残存数が0の場合(S212/Yes)、照明制御部203は、レーザ光と白色光(第1、第2の照明光)の照射を停止し(S213)、検査を終了する(S214)。
なお、本実施形態では、検査ピストンの検査数は事前に検査システム制御装置200に入力し、合否判定部209と連動して残存検査ピストン本数を管理しているが、代わりにローダ185にカメラを接続し、残存検査ピストン本数をカメラで確認し、検査システム制御装置200にて管理してもよい。
<第4の実施形態の作用効果>
本実施形態の表面欠陥検査システム60によって、窒化むらを有する検査ピストンのインライン全数検査が実現する。したがって、本実施形態の表面欠陥検査システム60を外観検査工程に適用すれば、製品の全数品質保証が実現する。また、製品への検査結果の紐づけ工程を加えることで、該当検査ピストンを含む製品が場外不良を起こした場合、表面欠陥検査工程時の取得光学像を見直すことで、不良要因の特定に用いることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記した実施形態のコントローラの各機能は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアで実現してもよい。また、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、コントローラ内の記憶装置の他に、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
1 表面欠陥検査装置(表面検査装置の第1の実施形態)
2 表面欠陥検査装置(表面検査装置の第2の実施形態)
3 表面欠陥検査装置(表面検査装置の第3の実施形態)
4 表面欠陥検査装置(表面検査装置の第4の実施形態)
10 平行ビーム(第1の照明光)
10a 平行ビームの主光軸
23 ピストンの摺動面(検査領域)
31 窒化むら
32 傷
33 色むら
51 窒化むらの像
52、54 傷の像
53、55 色むらの像
60 表面欠陥検査システム(表面検査システム)
100、100B ピストン
101 回転ステージ(保持部)
102 レーザ発振器(第1の照射部)
105 スクリーン
107 第1のラインセンサカメラ(第1の検出部)
108 照明(第2の照射部)
110 第2のラインセンサカメラ(第2の検出部)
187 刻印読み取り装置
194 ステージコントローラ
195 搬送系コントローラ
200 検査システム制御装置
201 検査条件入力部
204 検査装置駆動条件記憶部
205 ステージ制御部
206 ラインセンサカメラ制御部
207 光学像位置ズレ演算部
208 画像処理部
209 合否判定部
211 検査結果記録部
214 搬送系制御部

Claims (12)

  1. 互いに異なるジオメトリを有する2つの光学系を用いて、検査対象の同一位置に対してそれぞれ異なる性質の照明光を照射し、異なる反射特性から得られる2つの光学像を取得して、窒化処理を施した凸状の表面を持つ金属試料の表面欠陥である窒化むらを検出する表面検査方法であって、
    前記凸状の表面に所定の幅および所定の厚さを有する第1の照明光を照射し、前記第1の照明光が前記凸状の表面で反射した第1の反射光をスクリーンに投射した第1の光学像から前記表面の凹凸形状の少なくとも一部を検出する第1の検査方法において、
    窒化むらの直径をL、窒化むらの深さをd、窒化むらを凹面鏡とみなしたときの焦点距離をR、前記凸状の表面への前記第1の照明光の照射位置から前記スクリーンまでの距離をrとしたとき、前記第1の光学像上において窒化むらによる輝度分布の変化を肉眼で確認できるように、R=L2/8dかつ0.047R≦r<Rを満足するようにrを決定して光学像を取得した前記第1の光学像において所定の第1閾値より輝度の高い領域を窒化むら候補として特定し、
    前記凸状の表面に所定の波長帯域幅を持つ第2の照明光を照射し、前記第2の照明光が前記凸状の表面で反射した第2の反射光から第2の光学像を取得し、前記第2の光学像から前記表面の反射率分布を検査する第2の検査方法による判定結果を組み合わせて、前記窒化むら候補が窒化むらであるか否かを判定する表面検査方法。
  2. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    異径の金属試料においても前記表面の凹凸形状に対する検出感度が一定の範囲内に保たれるように、前記凸状の表面への前記第1の照明光の主光軸の照射位置と前記スクリーン上の前記第1の光学像の観察位置を調節する表面検査方法。
  3. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    前記第2の反射光を観察する際、前記第2の反射光への視線方向と前記第2の照明光の照射方向のなす角度をθiとしたとき、前記視線方向への反射光強度が所定値以下になるように、θiを決定する表面検査方法。
  4. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    前記金属試料は外周表面形状が円形であり、前記金属試料を中心軸を中心に回転させながら前記凸状の表面に前記第1の照明光および前記第2の照明光を照射するとともに、前記第1の反射光を前記スクリーンに投射した前記第1の光学像を第1のラインセンサカメラで撮像して第1の画像を取得し、前記第2の反射光を第2のラインセンサカメラで撮像して第2の画像を取得し、
    前記第1の画像と前記第2の画像の軸方向および周方向の分解能を一致させるため、
    前記金属試料の半径をR0、前記金属試料の回転速度をr、前記第1のラインセンサカメラの視野サイズをW1、前記第1のラインセンサカメラのカメラ画素数をN1、前記第1のラインセンサカメラのスキャンレートをf1、前記第2のラインセンサカメラの視野サイズをW2、前記第2のラインセンサカメラのカメラ画素数をN2、前記第2のラインセンサカメラのスキャンレートをf2としたとき、
    W1/N1=W2/N2かつf1=f2=2πR0rN1/W1を満足する条件で、前記第1のラインセンサカメラおよび前記第2のラインセンサカメラを駆動する表面検査方法。
  5. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    前記第1の検査方法において前記第1の光学像より前記表面の凹凸欠陥位置を特定し、前記第2の検査方法において前記第2の光学像より前記表面の反射率欠陥位置を抽出し、前記凹凸欠陥位置と前記反射率欠陥位置の照合を行うことで、窒化むらおよび傷を含む欠陥と色むらを含む非欠陥を弁別する表面検査方法。
  6. 請求項1に記載の表面検査方法において、
    前記第1の照明光はコヒーレント光であり、前記第2の照明光は非コヒーレント光である表面検査方法。
  7. 窒化処理を施した凸状の表面を持つ金属試料の表面状態を検査する表面検査装置であって、
    前記金属試料を保持する保持部と、
    前記凸状の表面に、所定の幅および所定の厚さを有する第1の照明光を照射する第1の照射部と、
    前記第1の照明光が前記凸状の表面で反射した第1の反射光を投射して光学像を形成するスクリーンと、
    前記光学像を検出して第1の光学像を取得する第1の検出部と、
    前記第1の光学像から検出される前記スクリーン上の検査箇所の反射光強度分布に基づき前記表面の凹凸欠陥を検出する第1の画像処理部と、
    前記凸状の表面に、所定の波長帯域幅を持つ第2の照明光を照射する第2の照射部と、
    前記第2の照明光が前記凸状の表面で反射した第2の反射光を検出して第2の光学像を取得する第2の検出部と、
    前記第2の光学像から検出される表面反射光の反射光強度分布に基づき前記表面の反射率欠陥を検出する第2の画像処理部と、
    前記第1の画像処理部の前記第1の光学像と前記第2の画像処理部の前記第2の光学像の位置合わせを行う位置合わせ部と、
    前記金属試料の同一位置における前記凹凸欠陥と前記反射率欠陥の判定結果の照合を行うことで、窒化むらおよび傷を含む欠陥と色むらを含む非欠陥を弁別する判別部と、を備え
    窒化むらの直径をL、窒化むらの深さをd、窒化むらを凹面鏡とみなしたときの焦点距離をR、前記凸状の表面への前記第1の照明光の照射位置から前記スクリーンまでの距離をrとしたとき、前記第1の光学像上において窒化むらによる輝度分布の変化を肉眼で確認できるように、R=L 2 /8dかつ0.047R≦r<Rを満足するようにrが決定されており、
    前記第1の画像処理部は、前記第1の光学像において所定の第1閾値より輝度の高い領域を窒化むら候補として特定し、
    前記判別部は、前記窒化むら候補が窒化むらであるか否かを判定して、窒化むらおよび傷を含む欠陥と色むらを含む非欠陥を弁別する表面検査装置。
  8. 請求項7に記載の表面検査装置において、
    前記第1の検出部と前記第2の検出部が前記金属試料に対して反対側に配置され、前記第1の照明光と前記第2の照明光が異なる観察領域を照射するように前記第1の照射部と前記第2の照射部が配置され、前記第2の検出部が、前記第2の反射光のみを検出し、前記凸状の表面で反射した前記第1の照明光の散乱光を検出しない表面検査装置。
  9. 請求項7に記載の表面検査装置において、
    前記第1の検出部と前記第2の検出部が前記金属試料に対して同じ側に配置され、前記第1の照明光と前記第2の照明光が同じ観察領域を照射するように前記第1の照射部と前記第2の照射部が配置され、前記第2の検出部が、前記凸状の表面で反射した前記第1の照明光の散乱光と前記第2の反射光を同時に検出できる表面検査装置。
  10. 請求項7に記載の表面検査装置において、
    前記スクリーンを光の投射方向に対して駆動する駆動機構をさらに備え、
    前記金属試料と前記スクリーンの距離が任意に変更可能である表面検査装置。
  11. 窒化処理を施した凸状の表面を持つ金属試料の表面状態を検査する表面検査システムであって、
    請求項7から10のいずれか一項に記載の表面検査装置と、
    前記金属試料は円筒面を有し、前記円筒面の中心軸を回転軸として前記金属試料を回転させる回転機構、前記第1の検出部を構成する第1のラインセンサカメラ、および前記第2の検出部を構成する第2のラインセンサカメラの位置を制御できるステージ制御部と、
    前記金属試料の径に応じて、前記第1のラインセンサカメラおよび前記第2のラインセンサカメラのスキャンレートを設定するラインセンサカメラ制御部と、
    検査条件を入力する検査条件入力部と、
    前記金属試料ごとの装置設定を記憶する検査装置駆動条件記憶部と、
    検査結果に基づいて前記金属試料を搬送する搬送系を制御する搬送系制御部と、
    検査結果を記録する検査結果記録部と、を備える表面検査システム。
  12. 請求項11に記載の表面検査システムにおいて、
    前記金属試料の個体番号が付与された刻印を読み取る刻印読み取り装置を備え、
    前記金属試料の検査結果を前記刻印読み取り装置で読み取った前記金属試料の個体番号と紐づけして前記検査結果記録部に記録する表面検査システム。
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