以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、伝動ベルトにマークを印刷するための、伝動ベルトのマーク印刷システムとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
[マーク印刷システムの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係る伝動ベルトのマーク印刷システム100の模式的な平面図である。図1を参照して、伝動ベルトのマーク印刷システム100(以下、単に、マーク印刷システム100と称する)は、伝動ベルトBに対してマークを印刷するために使用される。伝動ベルトBに対して印刷されるマークとしては、製品としての伝動ベルトBに関する情報を表示する文字及び図柄などが印刷される。また、製品としての伝動ベルトBに関する情報の項目としては、例えば、製造会社名、製品ブランド名、ロゴ、生産国、製造ロット番号、製造年月日、ベルトサイズなどが例示される。
本実施形態においてマーク印刷システム100による印刷対象となる伝動ベルトBは、動力を伝達するための伝動ベルトであって、可撓性を有して無端状に設けられた環状の伝動ベルトとして構成される。マーク印刷対象の伝動ベルトとしては、動力伝達用の環状の伝動ベルトであればよく、例えば、Vベルト、Vリブドベルト、及び、平ベルト等の摩擦伝動ベルトなどを例示することができる。また、マーク印刷対象の伝動ベルトは、例えば、ゴム成分が加硫された状態の伝動ベルトとして構成されており、加硫されたゴムと心線又は芯体とを含んで構成されている。
図1に示すマーク印刷システム100は、所定のマークを印刷対象である伝動ベルトBに対して転写媒体としてのパッド42を用いて印刷するシステムとして構成されている。そして、マーク印刷システム100は、伝動ベルト保持装置1と、伝動ベルト供給装置1と、インク供給装置3と、転写装置4と、インク除去装置5と、制御装置6と、を備えている。
[伝動ベルト保持装置]
図2は、マーク印刷システム100における伝動ベルト保持装置1の平面図である。図1及び図2に示す伝動ベルト保持装置1は、環状の伝動ベルトBが掛けられる台部10と、押圧機構11と、を備え、伝動ベルトBを保持する装置として構成されている。
台部10は、平坦な表面を有するテーブル状の部分を含んで構成されており、伝動ベルト保持装置1において、片持ち状に延びた状態で設置されている。台部10に対しては、後述する伝動ベルト供給装置1から供給される複数の環状の伝動ベルトBが供給されて掛けられる。
また、台部10は、伝動ベルトBが、周方向に延びる方向であるその長手方向が台部10の幅方向D1に沿って伸びた状態で掛けられるように構成されている。そして、伝動ベルトBは、環状に形成された伝動ベルトBの内側を台部10が挿通した状態で、且つ、伝動ベルトBの長手方向が台部10の幅方向D1に沿って伸びた状態で、台部10に掛けられる。尚、図2において両端矢印D1で示す台部10の幅方向D1は、台部10の表面と平行な方向であって台部10が片持ち状に延びる方向と垂直な方向として構成されている。
また、伝動ベルト保持装置1においては、複数の伝動ベルトBが台部10に掛けられた状態で保持される。そして、伝動ベルト保持装置1は、掛けられた複数の伝動ベルトBが、台部10の表面において台部10が片持ち状に延びる方向に連続して並んだ状態で配置されるように、構成されている。
押圧機構11は、掛けられた状態の伝動ベルトBを台部10の表面に対して押圧して保持する機構として構成されている。そして、押圧機構11は、伝動ベルトBを押圧する一対の押圧部(12、12)と、一対の押圧部(12、12)を駆動する押圧部駆動機構13と、を備えて構成されている。
一対の押圧部(12、12)のそれぞれは、軸状又は棒状或いは管状の部材として設けられている。そして、一対の押圧部(12、12)は、それぞれ片持ち状に延びるとともに互いに平行に延びるように設けられており、それぞれ片持ち状に延びた状態で押圧部駆動機構13に支持されている。また、一対の押圧部(12、12)のそれぞれは、台部10との関係においては、台部10の上方に配置されており、台部10が片持ち状に延びる方向に沿って、台部10の表面に対して略平行に延びている。尚、一対の押圧部(12、12)の一方は、台部10の上方において、台部10の幅方向D1と平行な方向における一方側に配置されている。そして、一対の押圧部(12、12)の他方は、台部10の上方において、台部10の幅方向D1と平行な方向における他方側に配置されている。
また、本実施形態では、押圧部12は、丸棒状或いは円管状の部材として設けられ、片持ち状に延びる方向に対して垂直な面における断面の形状が円形の形状に形成されている。そして、円形断面で片持ち状に延びた状態で押圧部駆動機構13に支持されている押圧部12は、その軸心を中心として回転自在な状態で押圧部駆動機構13に支持されている。尚、押圧部12は、軸心を中心として回転しない状態で押圧部駆動機構13に支持されていてもよい。
また、一対の押圧部(12、12)は、複数の伝動ベルトBが台部10に配置されている場合、これらの複数の伝動ベルトBを台部10の表面に対して同時に押圧することができるように構成されている。尚、押圧部12は、伝動ベルトBを台部10との間で挟んだ状態で伝動ベルトBを長手方向に張ることができるように構成されていればよく、押圧部12の断面形状は、円形以外の形状の断面形状であってもよい。例えば、押圧部12の断面形状が、多角形の形状の断面形状であってもよい。
押圧部駆動機構13は、一対の押圧部(12、12)を台部10の表面に近接させて台部10との間で伝動ベルトBを押圧する方向と、伝動ベルトBを挟んだ状態で台部10の表面に沿って一対の押圧部(12、12)を離間させて伝動ベルトBを張る方向とに、一対の押圧部(12、12)を駆動する機構として構成されている。
尚、押圧部駆動機構13が、一対の押圧部(12、12)を台部10の表面に近接させて台部10との間で伝動ベルトBを押圧する方向は、上下方向と平行な方向であり、また、台部10の表面に対して垂直な方向でもある。また、押圧部駆動機構13が、伝動ベルトBを挟んだ状態で台部10の表面に沿って一対の押圧部(12、12)を離間させて伝動ベルトBを張る方向は、台部10の幅方向D1と平行な方向であり、また、台部10に掛けられて台部10の表面に沿って延びる伝動ベルトBの長手方向と平行な方向でもある。
また、押圧部駆動機構13は、伝動ベルト保持装置1において、片持ち状に延びるように設置された台部10の基端側に設けられている。そして、押圧部駆動機構13は、台部10が片持ち状に延びる方向と平行に片持ち状に延びるように一対の押圧部(12、12)を回転自在な状態で保持している。
また、押圧部駆動機構13は、一対の押圧部(12、12)を上下方向に駆動する機構を有している。一対の押圧部(12、12)を上下方向に駆動する機構として、電動モータを含むラックアンドピニオン機構を含む機構、或いは、リニアモータを含む機構等が設けられている。押圧部駆動機構13は、一対の押圧部(12、12)を上方から下方の台部10の表面に向かって駆動することで、一対の押圧部(12、12)を台部10の表面に近接させて台部10との間で伝動ベルトBを押圧する方向に駆動する。尚、押圧部駆動機構13による一対の押圧部(12、12)の駆動は、後述する制御装置6からの制御指令に基づいて押圧部駆動機構13が作動することで、行われる。
また、押圧部駆動機構13は、一対の押圧部(12、12)を台部10の幅方向D1と平行な方向に駆動する機構を有している。一対の押圧部(12、12)を台部10の幅方向D1と平行な方向に駆動する機構として、例えば、電動モータを含むラックアンドピニオン機構を含む機構、或いは、リニアモータを含む機構等が設けられている。押圧部駆動機構13は、一対の押圧部(12、12)を下方に駆動して伝動ベルトBを押圧した状態で、一対の押圧部(12、12)を台部10の幅方向D1と平行な方向に沿って互いに離間する方向に向かって駆動する。これにより、押圧部駆動機構13は、伝動ベルトBを台部10との間で挟んだ状態で台部10の表面に沿って一対の押圧部(12、12)を離間させて伝動ベルトBを張る方向に駆動する。
[伝動ベルト供給装置]
図3は、マーク印刷システム100における伝動ベルト供給装置1の平面図である。図1及び図3に示す伝動ベルト供給装置1は、一対の支持部(20、20)と、支持部移動機構21とを備え、伝動ベルトBを伝動ベルト保持装置1に供給する機構として構成されている。
一対の支持部(20、20)は、伝動ベルト供給装置1において、それぞれ片持ち状に延びるとともに互いに平行に延びるように設けられている。一対の支持部(20、20)のそれぞれは、丸棒状或いは円管状の部材として設けられ、その片持ち状に延びる方向に対して垂直な断面が略円形の形状に形成されている。
また、一対の支持部(20、20)は、伝動ベルト保持装置1の台部10及び一対の押圧部(12、12)が片持ち状に延びる方向と平行な方向であって、台部10及び一対の押圧部(12、12)が片持ち状に延びる方向と逆方向に向かって、片持ち状に延びるように設けられている。また、一対の支持部(20、20)は、それらが片持ち状に延びる方向から視た状態で、台部10に対して台部10の幅方向D1の外側で台部10の側方に位置するように、配置されている。
また、一対の支持部(20、20)には、一対の支持部(20、20)が互いに平行に延びる方向に対して垂直な方向において伝動ベルトBの長手方向が沿うように、複数の伝動ベルトBが掛けられる。伝動ベルトBは、環状に形成された伝動ベルトBの内側を一対の支持部(20、20)が挿通した状態で、一対の支持部(20、20)に掛けられる。一対の支持部(20、20)のそれぞれには、複数の伝動ベルトBが連続して並んだ状態で一対の支持部(20、20)が延びる方向に複数の伝動ベルトBを配置できるように、各伝動ベルトBを位置決めするための複数の位置決めピン22が設けられている。
位置決めピン22は、図2、図3、及び後述の図8、図10に示すように、一対の支持部(20、20)のそれぞれにおいてそれらの軸心方向において並んだ状態で、伝動ベルトBの幅に応じた距離だけ離間して設けられている。位置決めピン22は、一対の支持部(20、20)のそれぞれの上側において上方に向けて伝動ベルトBの厚さと略同じ長さで片持ち状に延びている。尚、位置決めピン22は、一対の支持部(20、20)が延びる方向に複数の伝動ベルトBを連続して並んだ状態で配置できればよく、位置決めピン22の延びる方向、及び、延びる長さについては上記に限られるものではない。また、位置決めピン22の形態は、一対の支持部(20、20)上において複数の伝動ベルトを位置決めできるものであれば、ピン状以外の形状であってもよく、例えば、伝動ベルトBの内周部分が嵌まるような溝を設けたものであってもよい。
支持部移動機構21は、一対の支持部(20、20)を移動させて一対の支持部(20、20)に掛けられた状態の伝動ベルトBを台部10に搬送する機構として設けられている。支持部移動機構21は、一対の支持部(20、20)が延びる方向と平行な方向に沿って走行する台車を備えて構成されており、台車が走行することで、伝動ベルトBが掛けられた一対の支持部(20、20)を移動させるように構成されている。
支持部移動機構21は、一対の支持部(20、20)が、台部10に対して台部10の幅方向D1の外側で台部10の側方に位置した状態となるまで、一対の支持部(20、20)を移動させる。この状態まで、伝動ベルトBが掛けられた一対の支持部(20、20)が移動すると、伝動ベルトBが、その長手方向が台部10の幅方向D1に沿って延びた状態で台部10と一対の支持部(20、20)とに掛けられた状態となる。これにより、伝動ベルトBが、伝動ベルト保持装置1に搬送されて供給された状態となる。尚、支持部移動機構21による一対の支持部(20、20)の移動は、後述する制御装置6からの制御指令に基づいて支持部移動機構21が作動することで、行われる。
伝動ベルト供給装置1は、一対の支持部(20、20)に複数の伝動ベルトBが掛けられた状態で一対の支持部(20、20)を移動させ、複数の伝動ベルトBを伝動ベルト保持装置1に搬送して供給する。そして、伝動ベルト供給装置1によって伝動ベルト保持装置1に搬送されて供給された複数の伝動ベルトBは、伝動ベルト保持装置1の台部10の表面において台部10が片持ち状に延びる方向に沿って連続して並べられて配置された状態となる。
[インク供給装置]
図4は、マーク印刷システム100におけるインク供給装置3の斜視図である。図1及び図4に示すインク供給装置3は、伝動ベルトBに対して印刷されるマークMを形成する版31を有し、この版31にインクを充填して供給する装置として構成されている。インク供給装置3は、複数のインク供給部30を備えて構成されている。
複数のインク供給部30のそれぞれは、版31、インクボックス32、等を備えて構成されている。即ち、複数のインク供給部30のそれぞれは、版31を備えている。複数のインク供給部30にそれぞれ設けられた版31は、互いに、異なるマークMを形成するように構成されている。また、各インク供給部30の版31は、複数のマークを形成するように構成されている。尚、各インク供給部30の版31は、1種類のマークMが複数形成されるように構成されていてもよく、複数種類のマークMがそれぞれ複数形成されるように構成されていてもよい。
版31は、板状に形成されており、版31には、インクが充填されることでマークMが形成される凹部が刻印されることで設けられている。また、版31は、インクボックス32に対して退避自在及び突出自在に設けられている。版31は、インクボックス32に退避した際に、マークMを形成する凹部に対してインクが充填されるように構成されている。そして、版31は、マークMを形成する凹部に対してインクが充填された状態で、インクボックス32から突出するように構成されている。尚、版31は、マークMを形成する凹部に対してインクが充填されてインクボックス32から突出する際には、インクボックス32内に設けられたワイパーによって、凹部から溢れた余分なインクが掻き取られるように構成されている。
インク供給部30のインクボックス32には、版31をインクボックス32内に退避させるように駆動し、更に、版31をインクボックス32から図1及び図4に示すように突出させるように駆動する機構(図示省略)が設けられている。版31をインクボックス32に対して退避及び突出させるように駆動する機構は、例えば、電動モータを含むラックアンドピニオン機構を含む機構、或いは、リニアモータを含む機構等として構成されている。尚、各インク供給部30において版31をインクボックス32に対して退避及び突出させる動作は、後述する制御装置6からの制御指令に基づいて各インク供給部30が作動することで、行われる。
また、インク供給部30のインクボックス32には、版31がインクボックス32内に退避した際に、版31の表面にインクを吐出し、マークMを形成する凹部にインクを充填するインク吐出機構(図示省略)が設けられている。尚、版31の表面に吐出されて版31における凹部から溢れた余分なインクは、版31がインクボックス32から突出する際に、インクボックス32内に設けられたワイパーによって、掻き取られて除去される。
[転写装置]
図5は、マーク印刷システム100における転写装置4の平面図である。図1及び図5に示す転写装置4は、版31に形成されたマークMを伝動ベルトBに転写するための装置として構成され、転写部40と転写部駆動機構41とを備えて構成されている。そして、転写装置4は、伝動ベルト保持装置1とインク供給装置3とに隣接して配置されている。
転写部40は、複数のパッド42(42a、42b、42c)と、回転軸部43と、カメラ44とを備えて構成されている。
複数のパッド42(42a、42b、42c)のそれぞれは、伝動ベルト保持装置1に掛けられた伝動ベルトBに対して版31において形成されたマークMを転写する転写媒体として設けられている。各パッド42は、インク供給装置30の版31に対して接触して押し付けられることで、版31に形成されたマークMを構成するインクが含浸され、マークMが転写されるように構成されている。各パッド42は、版31に接触した際にマークMを構成しているインクを吸収することが可能な吸液性を有するとともに、伝動ベルトB及び版31に対して接触する際に確実に密着されるように弾性力を有する材料で構成されており、例えば、シリコンゴムで構成されている。
また、複数のパッド42(42a、42b、42c)は、伝動ベルトBにおけるマークMが印刷される領域に応じた、それぞれ大きさの異なる第1パッド42a、第2パッド42b、及び第3パッド42cで構成されている。尚、本実施形態では、第1乃至第3パッド(42a、42b、42c)のそれぞれの大きさは、第1パッド42aが最も大きく、次いで第2パッド42bが大きく、第3パッド42cが最も小さく設定されている。
回転軸部43は、複数のパッド42(42a、42b、42c)を支持する軸部材として構成されている。そして、複数のパッド42を支持する回転軸部43は、転写部駆動機構41に対して、軸心周りに回転可能な状態で支持されている。尚、回転軸部43に支持される複数のパッド42(42a、42b、42c)は、回転軸部43の先端部に対して片持ち状に延びる軸部材を介して固定されて支持されている。各パッド(42a、42b、42c)を回転軸部43に対して支持する軸部材は、回転軸部43の軸方向に対して垂直な方向に向かって、回転軸部43から片持ち状に延びた状態で、回転軸部43に固定されている。
また、各軸部材を介して回転軸部43に固定された第2パッド42b及び第3パッド42cは、回転軸部43を挟み互いに対向する位置に設けられている。即ち、第3パッド42cは、回転軸部43の軸心を中心に、第2パッド42bに対して180度周方向にずれた方向に配置されている。また、各軸部材を介して回転軸部43に固定された第1パッド42aは、回転軸部43の軸心を中心に、第2パッド42bに対して90度ずれた位置に配置されており、また、第3パッド42cに対しても90度ずれた位置に配置されている。
カメラ44は、回転軸部43の先端部に取り付けられており、パッド42(42a、42b、42c)から伝動ベルトBに転写されたマークMを撮影するために設けられている。カメラ44で撮影されて生成された画像データは、制御装置6に送信される。制御装置6は、カメラ44で撮影されて生成された画像データに基づいて、印刷されたマークMにおける文字の欠落、或いはマークMで表示された情報の間違い等の有無を、監視するように構成されている。
転写部駆動機構41は、転写部40を版31と伝動ベルトBとの間で駆動する機構として設けられ、駆動軸数が4軸又は5軸の垂直多関節ロボットとして構成されている。尚、転写部駆動機構41は、例えば、駆動軸数が6軸又は7軸の垂直多関節ロボットとして構成されてもよい。
垂直多関節ロボットとして構成される転写部駆動機構41は、ベース部45と、アーム部46とを有している。ベース部45は、アーム部46を鉛直軸周りに回転自在に支持するとともに、アーム部46を鉛直軸周りの任意の角度位置に回転駆動するように構成されている。アーム部46は、水平方向に延びる複数の駆動軸と、各駆動軸で回転自在に連結された複数のアーム要素とを有している。そして、アーム部46は、水平方向の複数の駆動軸のそれぞれの軸周りにおいて、複数のアーム要素のそれぞれを軸周りの任意の角度位置に回転駆動するように構成されている。また、アーム部46は、その先端部において、回転軸部43を回転自在に支持するとともに、回転軸部43を任意の角度位置に回転駆動するようにも構成されている。
上記のように、垂直多関節ロボットとして構成された転写部駆動機構41は、各駆動軸で構成された各関節で回転することで、転写部40を版31と伝動ベルトBとの間で駆動し、マークMを版31から伝動ベルトBに転写するように構成されている。即ち、転写部駆動機構41は、ベース部45及びアーム部46が作動することで、パッド42を版31に押し付けてパッド42にマークMを転写させ、更に、パッド42を移動させて伝動ベルトBに押し付けてマークMを伝動ベルトBに転写させるように、転写部40を駆動するように構成されている。尚、転写部駆動機構41による転写部40の駆動は、後述する制御装置6からの制御指令に基づいて転写部駆動機構41が作動することで、行われる。
また、転写部駆動機構41は、パッド42を版31に押し付けてパッド42にマークMを転写させるように転写部40を駆動する際、複数のパッド42(42a、42b、42c)のうちのいずれか1つのパッド42を版31に押し付けるように構成されている。尚、転写部駆動機構41は、複数のパッド42を支持する回転軸部43を回転駆動することで、版31に対して押し付けるパッド42を切り替えるように構成されている。
また、転写部駆動機構41は、パッド42を伝動ベルトBに押し付けてマークMを伝動ベルトBに転写させる際、複数のパッド42(42a、42b、42c)のうちの1つのパッド42であって版31に対して押し付けたパッド42を伝動ベルトBに対して押し付けるように構成されている。更に、転写部駆動機構41は、台部10に並んだ複数の伝動ベルトBに対してパッド42を同時タイミングで押し付けて複数の伝動ベルトBにマークMを転写するように、転写部40を駆動するように構成されている。
[インク除去装置]
図5は、マーク印刷システム100における転写装置の平面図である。図1及び図5に示すインク除去装置5は、伝動ベルトBに転写されるマークMを切り替える際に、パッド42に含浸されているインクを吸収して除去する装置として構成されている。インク除去装置5は、インク除去シート50と、インク除去台51と、インク除去シート供給器52と、インク除去シート巻取り器53と、を備えて構成されている。
インク除去シート50は、インクを吸収して保持するシート材料として構成され、例えば、含浸紙として構成されている。伝動ベルトBに転写されるマークMが切り替えられる際、含浸紙で構成されたパッド42が押し付けられることで、パッド42に含浸されているインクがインク除去シート50に吸収されてパッド42から除去される。
インク除去台51は、インク除去シート50を平らな状態で載置できるよう上側の面が平面状に形成され、インク除去シート50を平らな状態で支持するように構成されている。このため、インク除去台51に載置されたインク除去シート50に対してパッド42が押し付けられた際には、パッド42がインク除去シート50に確実に密着した状態で、押し付けられる。
インク除去シート供給器52は、例えば、ロール状に巻かれたインク除去シート50を保持し、インク除去シート50を払い出しながらインク除去台51上にインク除去シートを供給する機構として構成されている。インク除去シート巻取り器53は、インク除去シート供給器52から供給されてインク除去台51上でインクを吸収したインク除去シート50を巻き取る機構として構成されている。インク除去台51上でインク除去シート50にパッド42が押し付けられてインクがパッド42からインク除去シート50に吸収されると、インク除去シート供給器52及びインク除去シート巻取り器53が、制御装置6からの制御指令に基づいて、同時に作動する。この作動により、インク除去シート50におけるインクが吸収されていない部分がインク除去台51上に供給されるとともに、インク除去シート50におけるインクを吸収した部分がインク除去シート巻取り器53に巻き取られる。これにより、インク除去台51に載置されるインク除去シート50は、パッド42のインクを吸収できる状態に維持される。尚、本実施形態においては、インク除去シート供給器52及びインク除去シート巻取り器53を備えるインク除去装置5について例示したが、これらを有するものに限定されない。例えば、単に、インク除去シート50がインク除去台51に載置されたものであってもよい。
[制御装置]
図1に示す制御装置6は、マーク印刷システム100において、伝動ベルト保持装置1、伝動ベルト供給装置1、インク供給装置3、転写装置4、インク除去装置5の作動を制御する制御装置として設けられている。前述の通り、伝動ベルト保持装置1、伝動ベルト供給装置1、インク供給装置3、転写装置4、インク除去装置5は、制御装置6からの制御指令に基づいて作動する。
制御装置6は、CPU等のプロセッサ、メモリ、ユーザによって操作される操作パネル又は操作盤等の操作部、インターフェース回路、等を備えて構成されている。制御装置6のメモリには、伝動ベルト保持装置1、伝動ベルト供給装置1、インク供給装置3、転写装置4、インク除去装置5の作動を制御する制御指令を作成するためのプログラムが記憶されている。ユーザによって操作部が操作されることで、メモリから上記のプログラムがプロセッサによって読み出されて実行される。これにより、上記の制御指令が作成され、その制御指令に基づいて、伝動ベルト保持装置1、伝動ベルト供給装置1、インク供給装置3、転写装置4、インク除去装置5が作動する。
[マーク印刷システムの作動]
次に、マーク印刷システム100の作動について説明する。尚、以下の説明においては、マーク印刷システム100の作動について、図面を参照しつつ、マーク印刷システム100の動作の一例に基づいて説明する。
図7は、マーク印刷システム100の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図8は、図7に示すフローチャートにおけるステップS1乃至S3を説明するための図であって、図8(A)は、ステップS1を説明するための図であり、図8(B)は、ステップS2を説明するための図であり、図8(C)は、ステップS3を説明するための図である。図9は、図7に示すフローチャートにおけるステップS6を説明するための図である。図10は、図7に示すフローチャートにおけるステップS7を説明するための図である。図11は、図7に示すフローチャートにおけるステップS8を説明するための図である。図12は、転写装置における第1乃至第3パッド(42a、42b、42c)によってマークMが印刷された状態の伝動ベルトの一例を示す図である。尚、以下の説明においては、図7のフローチャートを参照しながら説明するときはフローチャート以外の図面も適宜参照しながら説明する。
また、以下の説明においては、インク供給装置3の版31に形成されるマークMを伝動ベルト保持装置1に保持される伝動ベルトBに転写装置4の転写部40を介して転写して印刷する動作の一例について説明する。
まず、伝動ベルト供給装置1に保持された伝動ベルトBが、伝動ベルト保持装置1に搬送される(ステップS1)。このとき、制御装置6からの制御指令に基づいて支持部移動機構21が作動し、支持部移動機構21の台車が走行することで、複数の伝動ベルトBが掛けられた一対の支持部(20、20)が移動し、複数の伝動ベルトBが伝動ベルト保持装置1に搬送されて供給される。
一対の支持部(20、20)は、台部10の幅方向D1の外側で台部10の側方に向かって移動し、一対の支持部(20、20)において連続して並んだ状態で保持される複数の伝動ベルトBを、連続して並んだ状態のままで台部10の表面に搬送する。一対の支持部(20、20)に掛けられた複数の伝動ベルトBは、伝動ベルト保持装置1の台部10、及び、押圧部12の間を通過して、伝動ベルト保持装置1の台部10の表面に配置される。このため、支持部20に保持される複数の伝動ベルトBは、図8(A)に示すように、台部10に掛けられた状態、即ち、台部10に伝動ベルトBが挿通された状態で、台部10の表面において配置される。また、このとき、伝動ベルト保持装置1の一対の押圧部(12、12)は、台部10の幅方向D1の略中央における上方において、互いに近接した状態で配置される。
次に、図7及び図8(B)を参照して、台部10の上方に位置する一対の押圧部(12、12)が、台部10の表面に掛けられた状態で配置された複数の伝動ベルトBに近接して複数の伝動ベルトBを押圧する(ステップS2)。このとき、複数の伝動ベルトBは、一対の押圧部(12、12)によって台部10の幅方向D1の略中央部が押圧された状態となる。尚、一対の押圧部(12、12)は、制御装置6からの制御指令に基づいて作動する押圧機構11の押圧部駆動機構13によって駆動される。
そして、次に、図7及び図8(C)を参照して、一対の押圧部(12、12)は、伝動ベルトBを台部10に押圧した状態で、台部10の幅方向D1と平行な方向に沿って互いに離間する方向に向かって移動する(ステップS3)。このとき、複数の伝動ベルトBは、台部10の表面において、一対の押圧部(12、12)によって押圧された状態で伝動ベルトBの長手方向に張られた状態となる。
次に、図7を参照して、インク供給装置3のインク供給部30において版31にインクが供給されるインクの供給工程(ステップS4)が行われる。インク供給装置3における版31へのインクの供給は、制御装置6からからの制御指令に基づいて、インク供給装置3が作動することで実行される。
インクの供給工程(ステップS4)においては、複数のインク供給部30のそれぞれにおいて、版31にインクが供給される。インク供給部30においては、版31がインクボックス32に退避した状態で版31にインクが供給される。版31にインクが供給されると、版31は、インクボックス32から突出した状態となる。
次に、図7、図9乃至図11を参照して、伝動ベルト保持装置1に保持された複数の伝動ベルトBに、インク供給装置3の版31において形成されたマークMが、転写装置4の転写部40によって転写される印刷工程S5(ステップS5)が行われる。印刷工程S5は、1次転写工程S6(ステップS6)、2次転写工程S7(ステップS7)、インク除去工程S8(ステップS8)を含んで構成されている。1次転写工程S6及び2次転写工程S7は、転写装置4が制御装置6からの制御指令に基づいて作動することで、実行される。そして、インク除去工程S8は、転写装置4及びインク除去装置5が、制御装置6からの制御指令に基づいて作動することで実行される。
印刷工程S5においては、まず、パッド42が、転写部駆動機構41によって、インク供給装置3の版31に押し付けられることで、1次転写工程S6が行われる。このとき、版31においては、マークMを形成する凹部に対してインクが充填されて、凹部に充填された余分なインクがワイパーによって掻き取られてマークMが形成されている。そして、1次転写工程S6の際には、マークMが形成される版31は、図9に示すように、インクボックス32から片持ち状に突出した状態となる。この状態において、転写部駆動機構41によってインク保持装置3の版31に転写部40のパッド42が押し付けられ、パッド42にインクが含浸されることでマークMがパッド42に転写される。
次に、図7、図10(A)及び図10(B)を参照して、転写部40のパッド42に1次転写されたマークMを、伝動ベルト保持装置1に保持された伝動ベルトBに対して転写する2次転写工程S7が行われる。このとき、伝動ベルト保持装置1に保持された複数の伝動ベルトBは、押圧部12が台部10に沿って移動する前述の動作(ステップS3)が完了していることにより、台部10の表面において、一対の押圧部(12、12)によって押圧された状態で伝動ベルトBの長手方向に張られた状態となっている。この状態において、転写部駆動機構41が転写部40を駆動し、伝動ベルト保持装置1に保持された複数の伝動ベルトBに対して、転写部40のパッド42に1次転写されたマークMが転写される。
次に、図7、図11(A)及び図11(B)を参照して、パッド42に含浸されているインクを吸収して除去するインク除去工程S8が行われる。インク除去工程S8は、伝動ベルトBに転写されるマークMが切り替えられる際に、行われる。そして、インク除去工程S8は、制御装置6からの制御指令に基づいて転写装置4及びインク除去装置5が作動することで、実行される。
インク除去工程S8では、まず、インク除去装置5において、インク除去シート50におけるインクが吸収されていない部分がインク除去台51上に供給された状態となる。その状態で、転写装置4の転写部駆動機構41が、インク除去台51に載置されたインク除去シート50に対してパッド42を押し付けるように、転写部40を駆動する。このとき、パッド42に含浸されているインクがインク除去シート50に吸収されてパッド42から除去される。パッド42がインク除去シート50に押し付けられてパッド42からインクが除去されると、転写部駆動機構41は、パッド42をインク除去シート50から移動させるように、転写部40を駆動する。そして、インク除去装置5において、インク除去シート供給器52及びインク除去シート巻取り器53が作動する。これにより、インク除去シート50におけるインクが吸収されていない部分がインク除去台51上に供給されるとともに、インク除去シート50におけるインクを吸収した部分がインク除去シート巻取り器53に巻き取られる。
印刷工程S5においては、1次転写工程S6が行われると、引き続き、2次転写工程S7が行われる。これにより、複数の伝動ベルトBに対してマークMがそれぞれ転写されて印刷される。台部10に並べられた伝動ベルトBの数が、パッド42による一回の転写動作で伝動ベルトBに転写されるマークMの数よりも多い場合は、1次転写工程S6及び2次転写工程S7が、複数回繰り返し行われる。例えば、台部10に並べられた伝動ベルトBの数が20個であり、パッド42による一回の転写動作で伝動ベルトBに転写されるマークMの数が5つである場合、1次転写工程S6及び2次転写工程S7は、4回繰り返されることになる。
また、印刷工程S5においては、1次転写工程S6及び2次転写工程S7が行われた後、伝動ベルトBに転写されるマークMが切り替えられる際には、インク除去工程S8が行われる。インク除去工程S8が終了すると、切り替えられたマークMを伝動ベルトBに転写するための1次転写工程S6及び2次転写工程S7が行われる。
印刷工程S5においては、台部10に配置された伝動ベルトBに対して転写されて印刷されるマークMの種類及び数に応じて、1次転写工程S6及び2次転写工程S7と、インク除去工程S8とが、適宜繰り返し行われる。そして、印刷工程S5においては、1次転写工程S6及び2次転写工程S7と、インク除去工程S8とが、適宜繰り返されることで、伝動ベルトBに複数の種類のマークMが順番に印刷される。
図12(図12(A)、図12(B)、図12(C))は、伝動ベルトBに複数の種類のマークMが順番に印刷される形態について説明するための図であり、転写装置4における第1乃至第3パッド(42a、42b、42c)によってマークMが印刷された状態の伝動ベルトBの一例を示す図である。尚、図12では、台部10に並べられた複数の伝動ベルトBの一部を模式的に示している。
図12を参照しつつ、印刷工程S5において伝動ベルトBに複数の種類のマークMが順番に印刷される形態の一例について説明する。尚、図12(A)は、第1パッド42aによって印刷された状態の複数の伝動ベルトBの一例を示す図である。図12(B)は、第1パッド42aで印刷された状態から、更に第2パッド42bによって印刷が行われた状態の複数の伝動ベルトBの一例を示す図である。図12(C)は、第1パッド42a及び第2パッド42bで印刷が行われた状態から、更に第3パッド42cによって印刷が行われた状態の複数の伝動ベルトBの一例を示す図である。図12に示す例においては、最初に伝動ベルトBに印刷されるマークMとして「ABC ABC」の文字列からなるマークM1が選択され、次に伝動ベルトBに印刷されるマークMとして「de de」の文字列からなるマークM2が選択され、最後に伝動ベルトBに印刷されるマークMとして「1」の数字からなるマークM3が選択される形態を例示している。
まず、伝動ベルトBにマークMが印刷されていない状態で、最初に伝動ベルトBに転写されるマークMとしてマークM1が選択され、1次転写工程S6及び2次転写工程S7が行われる。このとき、1次転写工程S6では、第1パッド42aが、複数のマークM1を形成している版31に押し付けられ、第1パッド42aに複数のマークM1が転写される。そして、1次転写工程S6に引き続いて行われる2次転写工程S7では、複数のマークM1が転写された第1パッド42aが複数の伝動ベルトBに押し付けられる。これにより、図12(A)に示すように、複数の伝動ベルトBのそれぞれに対してマークM1が印刷された状態となる。尚、台部10に配置された伝動ベルトBの数が、第1パッド42aによる一回の転写動作で伝動ベルトBに転写されるマークM1の数よりも多い場合は、上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が、複数回繰り返し行われる。
伝動ベルトBにマークM1を印刷する上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が終了すると、インク除去工程S8が行われ、第1パッド42aに含浸されているインクがインク除去シート50に吸収されて第1パッド42aから除去される。第1パッド42aからインクが除去されると、伝動ベルトBに転写されるマークMが切り替えられ、次に伝動ベルトBに転写されるマークMとしてマークM2が選択され、1次転写工程S6及び2次転写工程S7が行われる。
伝動ベルトBに転写されるマークMとしてマークM2が選択されて行われる1次転写工程S6では、第2パッド42bが、複数のマークM2を形成している版31に押し付けられ、第2パッド42bに複数のマークM2が転写される。そして、1次転写工程S6に引き続いて行われる2次転写工程S7では、複数のマークM2が転写された第2パッド42bが複数の伝動ベルトBに押し付けられる。これにより、図12(B)に示すように、複数の伝動ベルトBのそれぞれに対してマークM1とともにマークM2が印刷された状態となる。尚、台部10に配置された伝動ベルトBの数が、第2パッド42bによる一回の転写動作で伝動ベルトBに転写されるマークM2の数よりも多い場合は、上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が、複数回繰り返し行われる。
伝動ベルトBにマークM2を印刷する上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が終了すると、インク除去工程S8が行われ、第2パッド42bに含浸されているインクがインク除去シート50に吸収されて第2パッド42bから除去される。第2パッド42bからインクが除去されると、伝動ベルトBに転写されるマークMが更に切り替えられ、最後に伝動ベルトBに転写されるマークMとしてマークM3が選択され、1次転写工程S6及び2次転写工程S7が行われる。
伝動ベルトBに転写されるマークMとしてマークM3が選択されて行われる1次転写工程S6では、第3パッド42cが、複数のマークM3を形成している版31に押し付けられ、第3パッド42cに複数のマークM3が転写される。そして、1次転写工程S6に引き続いて行われる2次転写工程S7では、複数のマークM3が転写された第3パッド42cが複数の伝動ベルトBに押し付けられる。これにより、図12(C)に示すように、複数の伝動ベルトBのそれぞれに対してマークM1及びマークM2とともにマークM3が印刷された状態となる。尚、台部10に配置された伝動ベルトBの数が、第3パッド42cによる一回の転写動作で伝動ベルトBに転写されるマークM3の数よりも多い場合は、上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が、複数回繰り返し行われる。
伝動ベルトBにマークM3を印刷する上記の1次転写工程S6及び2次転写工程S7が終了すると、インク除去工程S8が行われ、第3パッド42cに含浸されているインクがインク除去シート50に吸収されて第3パッド42cから除去される。伝動ベルトBに最後に印刷されるマークM3の印刷まで終了すると、印刷工程S5が終了する。
上記のように、印刷工程S5においては、1次転写工程S6及び2次転写工程S7と、インク除去工程S8とが、適宜繰り返されることで、伝動ベルトBに複数の種類のマークMが順番に印刷される。印刷工程S5が終了すると、伝動ベルトBへのマークMの印刷が終了し、マーク印刷システム100の作動が終了することになる。新たな伝動ベルトBに対してマークMの印刷が行われる場合は、再び、マーク印刷システム100が作動し、その新たな伝動ベルトBに対してマークMが印刷されることになる。
[本実施形態の作用及び効果]
マーク印刷システム100によると、インク供給装置3において、マークMを形成する版31にインクが供給される。そして、転写装置4によって、版31にパッド42が押し付けられることで、マークMがパッド42に転写され、更に、マークMが転写されたパッド42が、伝動ベルトBに直接に押し付けられ、マークMが伝動ベルトBに転写される。これにより、伝動ベルトBの表面にマークMが印刷されて表示される。よって、マーク印刷システム100によると、伝動ベルトBへのマークMの印刷の際、転写装置4の作動により、パッド42を介して版31から伝動ベルトBへ直接にマークMが転写されるため、フィルムで構成されてマークが印刷された基材を用いた転写が行われることがない。このため、伝動ベルトBへのマークMの印刷後に、フィルムで構成された使用後の基材が大量の廃棄物として生じることがない。
また、マーク印刷システム100によると、転写装置4は、版31から伝動ベルトBへとマークMを転写するための転写部40を版と伝動ベルトBとの間で駆動する転写部駆動機構41を有している。これにより、インク供給装置3の版31において形成されるマークMが、人の手を介さずに伝動ベルト保持装置1によって保持される伝動ベルトBに対して、短時間で且つ正確に転写される。その結果、作業者による作業ミスをなくすことができるとともに印刷作業の作業時間を短縮することができる。尚、マーク印刷システム100によると、基材を用いてマークMを転写する従来のプロセスが全て不要となるため、幅の狭いゴムベルトにマークMが印刷された基材を人の手によって多数配置するという作業時間を多く要する従来の作業がそもそも不要となり、作業時間を短縮することができる。そして、ゴムベルトに基材を配置することがないため、ゴムベルトに基材を配置する際に配置方向或いは配置場所を間違えるという作業ミスが生じることもない。
また、マーク印刷システム100によると、そもそも基材が用いられることがないため、基材であるフィルムにしわ、折れ、歪み等があった場合の伝動ベルトBにおけるマーク表示の不具合が発生してしまうこともない。また、マーク印刷システム100によると、伝動ベルト保持装置1、インク供給装置3、及び転写装置4が作動することで、人の手を介さずマークMを版31から伝動ベルトBに転写できるため、印刷工程S5の自動化が可能となる。
従って、本実施形態によると、多量の廃棄物を生じさせることなく、作業ミスをなくすとともに作業時間を短縮でき、マーク表示の不具合が発生することを抑制し、更に、印刷工程の自動化も可能になる伝動ベルトのマーク印刷システム100を提供することができる。
マーク印刷システム100によると、伝動ベルト保持装置1において台部10が片持ち状に設置されているため、環状の伝動ベルトBが台部10に搬送される際において、台部10の端部側において、伝動ベルトBの搬送を遮るものがない状態となる。これにより、伝動ベルト保持装置1において台部10がそのままの状態で伝動ベルトBを台部10に対して容易に搬送して供給することができる。
マーク印刷システム100によると、押圧機構は11、伝動ベルトBを押圧する一対の押圧部(12、12)を有しており、台部10上において伝動ベルトBを2箇所で押圧できる。これにより、伝動ベルトBは、押圧された2箇所の間において印刷領域を確保できるとともに伝動ベルトBを動かない状態で確実に保持することができる。
マーク印刷システム100によると、台部10は、伝動ベルトBの長手方向が台部10の幅方向に沿って伸びた状態で掛けられるように構成されている。そして、押圧機構11は、一対の押圧部(12、12)を、台部10の表面に近接させて台部10との間で伝動ベルトBを押圧する方向と、伝動ベルトBを挟んだ状態で台部10の表面に沿って離間させて伝動ベルトBを張る方向と、に駆動する。この押圧部12の駆動により、台部10に配置された伝動ベルトBは、一対の押圧部(12、12)によって押圧され、挟まれた状態で台部10の表面において張られ、台部10の表面において伸びた状態で保持される。これにより、伝動ベルトBにおいて、台部10の表面に沿って動かない状態で保持された印刷領域を確実に確保することができる。
マーク印刷システム100によると、押圧部12は、断面の形状が円形であるため、台部10に掛けられた伝動ベルトBの上を摩擦が小さい状態で滑りながら或いは転がりながら移動できる。これにより、一対の押圧部(12、12)は、台部10に掛けられた伝動ベルトBに弛みがあった場合でも、伝動ベルトBを傷つけずに弛みを伸ばすようにして、伝動ベルトBを台部10の表面に沿って容易に張ることができる。
マーク印刷システム100によると、転写部40は、パッド42を複数有している。これにより、印刷するマークMの種類に応じてそれぞれのパッド42を割り当てることで、複数種類のマークMを容易に使い分けることができる。
マーク印刷システム100によると、転写部40は、パッド42を支持する回転軸部43を有している。そして、転写部40を版31と伝動ベルトBとの間で駆動する転写部駆動機構41は、この回転軸部43を回転駆動させるようにも構成されている。これにより、転写部駆動機構41は、印刷の際においてパッド42を回転させて、印刷するマークMを容易に切り替えることができる。このため、マーク印刷システム100によると、印刷作業の効率を更に向上させることができる。
マーク印刷システム100によると、インク供給装置3は、それぞれ版31を有する複数のインク供給部30を含むため、複数種類のマークMをいずれも所望されるタイミングですぐに印刷可能な状態にすることができる。このため、マークMの伝動ベルトBへの印刷の際、転写装置4においてパッド42を押し付ける対象のインク供給部30を変更することで、容易に版31を切り替えながら印刷することができる。これにより、マーク印刷システム100によると、複数種類のマークMを印刷する際の作業の効率を向上させることができる。
マーク印刷システム100によると、インクが含浸されたパッド42のインクを除去するためのインク除去装置5が更に備えられている。これにより、パッド42にマークMを印刷するためのインクが含浸された後であっても、パッド42からインクを除去し、再度、他のマークMを印刷するためにパッド42にインクを含浸させて伝動ベルトBにマークMを転写させることが可能となる。このため、マーク印刷システム100によると、転写装置4が有するパッド42の数を超える種類のマークMを印刷することが可能になり、印刷作業の効率を更に向上させることができる。
マーク印刷システム100によると、伝動ベルトBは、伝動ベルト保持装置1に複数保持される。そして、複数の伝動ベルトBは、台部10の表面において連続して並んだ状態で配置され、複数の並んだ伝動ベルトBにパッド42が押し付けられてマークMが転写される。これにより、転写装置4による1回の転写動作で、台部10の表面において複数連続して並んだ状態の伝動ベルトBに対して同時タイミングでマークMを印刷することができる。このため、マーク印刷システム100によると、印刷作業の効率を更に向上させることができる。
マーク印刷システム100によると、伝動ベルト供給装置1は、それぞれ片持ち状に延びるとともに互いに平行に延びる一対の支持部(20、20)を有している。これにより、伝動ベルト供給装置2は、伝動ベルトBを一対の支持部(20、20)に掛けられた状態で保持できる。そして、伝動ベルト供給装置2は、支持部移動機構21が一対の支持部(20、20)を移動させて一対の支持部(20、20)に掛けられた状態の伝動ベルトBを台部10に搬送する。この際、一対の支持部(20、20)に掛けられた状態の複数の伝動ベルトBの内側に、片持ち状に延びる台部10を容易に挿入でき、複数の伝動ベルトBを一対の支持部(20、20)に掛けた状態のままで伝動ベルト保持装置1の台部10に搬送して供給することができる。このため、容易に、複数の伝動ベルトBを伝動ベルト保持装置1の台部10の表面において連続して並んだ状態で配置することができる。従って、マーク印刷システム100によると、複数の伝動ベルトBであっても容易に伝動ベルト保持装置1の台部10の表面に並べて配置することができる。
[変形例]
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて変更が可能なものであり、例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)前述の実施形態では、台部に掛けられた状態の伝動ベルトを台部の表面に対して押圧して保持する押圧機構が、一対の押圧部を有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。押圧機構が、1つ又は3つ以上の押圧部を有している形態が実施されてもよい。
(2)前述の実施形態では、転写部が複数のパッドを有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。転写部がパッドを1つのみ有している形態が実施されてもよい。
(3)前述の実施形態では、インク供給装置が、それぞれ1つの版を有する複数のインク供給部を有している形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。インク供給装置が、それぞれ複数の版を有する複数のインク供給部を有する形態が、実施されてもよい。また、インク供給装置が、複数の版を有する1つのインク供給部を有する形態が、実施されてもよい。また、インク供給装置が、1つの版を有するインク供給部を1つのみ有する形態が、実施されてもよい。
[実施例]
以下、上述した本発明の実施形態に係るマーク印刷システム100によって伝動ベルトBにマークMを印刷した実施例について説明する。また、実施例においては、印刷が行われた伝動ベルトBについて、印刷の仕上がり状態についての評価を行った。
図13乃至図15は、実施例において伝動ベルトBにマークMを印刷する印刷工程S5について説明する表である。伝動ベルトBへのマークMの印刷の仕上がり状態に関する評価では、JIS規格で定められている種類のうちのB形のラップドVベルトを印刷対象として用いた。具体的には、印刷対象として長さ3048.0mm、厚み11.0mm、奥行き16.5mmの寸法の伝動ベルトBを用いた。尚、伝動ベルトBの長さは、環状の伝動ベルトBの周方向の長さである。伝動ベルトBの厚み寸法は、伝動ベルトBの内周側から外周側、及び、外周側から内周側に向かう方向の寸法である。伝動ベルトBの奥行き寸法は、伝動ベルト保持装置1の台部10に掛けられた状態における環状の伝動ベルトBの軸方向に平行な方向の寸法である。
実施例に係る伝動ベルトBの作製においては、マークMとして、例えば、製品ブランド名、生産国、仕様、製品規格等を含む6種類の製品に関する情報を表示するマークM(M11、M12、M13、M14、M15、M16)を使用した。尚、各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16の色として、白色又は赤色を使用したが、6種類の各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16全て同じ色を使用してもよいし、6種類全て異なる色を使用してもよい。
実施例に係る伝動ベルトBの作製においては、伝動ベルト保持装置1の台部10の表面に配置された25個の伝動ベルトBに対して印刷を行った後に、別の印刷されていない25個の伝動ベルトBに対して印刷を行う手順で合計8回繰り返して印刷を行った。つまり、全てのマークM11、M12、M13、M14、M15、M16の転写を行った伝動ベルトBの全体数は200個である。尚、伝動ベルトBへの各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16の印刷は、パッド42による一回の転写動作で5個の伝動ベルトBに対して行った。
また、実施例に係る伝動ベルトBの作製は、1次転写工程S6、2次転写工程S7、及びインク除去工程S8を組み合わせた印刷工程S5で行った。尚、印刷工程S5に先立っては、各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16の1次転写の印刷状態を確認するため、試し刷りを行った。試し刷りは、インク供給部30の版31に形成された各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16をパッド42に1次転写した後、パッド42に1次転写された各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16をインク除去シート50に押し付けることによって行った。インク除去シート50に押し付けられて転写された各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16については、目視によって印刷状態を確認した。尚、実施例に係る伝動ベルトBの作製では、3つのインク供給部30を用い、それぞれのインク供給部30に備えられる版31に、大きさの異なる第1パッド42a、第2パッド42b、及び第3パッド42cを押し付けて1次転写を行った。以下、具体的な印刷工程S5について説明する。
図13(a)は、例えば、伝動ベルトBの製品ブランド名を表示する白色のマークM11を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM11の印刷工程S5では、インク供給装置30の版31に形成されたマークM11を第1パッド42aに1次転写した後、1次転写されたマークM11を伝動ベルト保持装置1の台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM11の転写においては、一回の2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、印刷対象へのマークM11の2次転写を、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目と、6個目~10個目と、11個目~15個目と、16個目~20個目と、21個目~25個目と、に対して行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後は、第1パッド42aをインク除去シート50に押し付けてインク除去工程S8を行った。
図13(b)は、例えば、伝動ベルトBの仕様を表示する白色のマークM12を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM12の印刷工程S5では、マークM11と同様に、版31に形成されたマークM12を第1パッド42aに1次転写した後、1次転写されたマークM12を台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM12の転写においても、2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目、6個目~10個目、11個目~15個目、16個目~20個目、21個目~25個目に対して転写を行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後に、インク除去工程S8を行った。
図14(a)は、例えば、伝動ベルトBの製品規格を表示する白色のマークM13を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM13の印刷工程S5では、版31に形成されたマークM13を第2パッド42bに1次転写した後、1次転写されたマークM13を伝動ベルト保持装置1の台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM13の転写においても、2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目、6個目~10個目、11個目~15個目、16個目~20個目、21個目~25個目に対して転写を行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後は、第2パッド42bをインク除去シート50に押し付けてインク除去工程S8を行った。
図14(b)は、例えば、伝動ベルトBとしての製品に関する情報を表示する赤色の英文字のマークM14を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM14の印刷工程S5では、版31に形成されたマークM14を第3パッド42cに1次転写した後、1次転写されたマークM14を伝動ベルト保持装置1の台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM14の転写においても、2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目、6個目~10個目、11個目~15個目、16個目~20個目、21個目~25個目に対して転写を行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後は、第3パッド42cをインク除去シート50に押し付けてインク除去工程S8を行った。
図15(a)は、例えば、伝動ベルトBの生産国を表示する赤色のマークM15を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM15の印刷工程S5では、マークM13と同様に、版31に形成されたマークM15を第2パッド42bに1次転写した後、1次転写されたマークM15を台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM15の転写においても、2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目、6個目~10個目、11個目~15個目、16個目~20個目、21個目~25個目に対して転写を行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後に、インク除去工程S8を行った。
図15(b)は、例えば、伝動ベルトBとしての製品に関する情報を表示する赤色の数字のマークM16を伝動ベルトBに印刷する印刷工程S5について示している。マークM16の印刷工程S5では、マークM14と同様に、版31に形成されたマークM16を第3パッド42cに1次転写した後、1次転写されたマークM16を台部10に配置された複数の伝動ベルトBに2次転写した。伝動ベルトBへのマークM16の転写においても、2次転写の動作ごとに5個の伝動ベルトBに対して転写を行った。即ち、25個配置された伝動ベルトBの1個目~5個目、6個目~10個目、11個目~15個目、16個目~20個目、21個目~25個目に対して転写を行った。尚、21個目~25個目の2次転写が終了した後に、インク除去工程S8を行った。
上述のように各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16を、伝動ベルト保持装置1の台部10の表面に配置された25個の伝動ベルトBに印刷した後、更に同じ動作を7回繰り返し、全体数200個の伝動ベルトBに対して各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16の印刷を行った。
図16は、実施例で印刷を行った伝動ベルトBにおけるマークMの印刷状態について評価を行った項目と評価結果について一覧にして示す表である。伝動ベルトBに印刷された各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16については、印刷の仕上がり状態について目視により評価を行った。具体的には、評価項目として、転写されたマークMのズレ、傾き、マークM同士の間隔のバラツキといった印刷位置に関する不良の発生の有無についての評価を行うとともに、にじみ、かすれ、剥がれといった印刷品質に関する不良の発生の有無についても評価を行った。そして、図16に示すように、評価結果としてマークM11、M12、M13、M14、M15、M16を印刷した伝動ベルトBの全体数200に対する不良発生個数を示している。
上述の200個の伝動ベルトBに対して各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16の印刷を行った結果、各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16のズレ、及び傾きはなかった。また、マークM同士の間隔のバラツキもなかった。更に、各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16のにじみ、かすれ、剥がれもなかった。即ち、全ての評価項目において、全体数200個に対する不良発生個数は0個であり、200個全ての伝動ベルトBに対して6種類の各マークM11、M12、M13、M14、M15、M16を良好な状態で印刷することができた。従って、印刷工程を自動化した上述の伝動ベルトのマーク印刷システム100によって無人でマークMを不具合なく印刷できることが確認できた。