JP7111216B1 - 冷延鋼板の製造方法及び製造設備 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007111216000001
【課題】低環境負荷、且つ、安定的に珪素鋼板を圧延可能な冷延鋼板の製造方法及び製造設備を提供すること。
【解決手段】本発明に係る冷延鋼板の製造方法は、鋼板の幅方向全域に亘って鋼板を加熱するトランスバース式全幅加熱装置と、トランスバース式全幅加熱装置に対して圧延方向下流側に配置された、鋼板を圧延する冷間圧延機と、を用いた冷延鋼板の製造方法であって、冷間圧延機の入側において鋼板の幅方向中央部の温度よりも幅方向端部の温度が高くなるように、トランスバース式全幅加熱装置を用いて鋼板を加熱するステップを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷延鋼板の製造方法及び製造設備に関する。
従来、冷間圧延においては、ゼンジミアミル等の単スタンドのリバースミル、又は、複数スタンドを有するタンデムミルが用いられているが、いずれにしても1パス目の圧延機入側の鋼板温度は室温である場合が多い。ところで、Si含有量の高い珪素鋼板(電磁鋼板)の冷間圧延においては、鋼板温度が低い場合、鋼板の脆性破断が生じやすくなる。このときの破断形態としては、鋼板の幅方向端部から破断する場合や幅方向中央部から破断する場合等があるが、いずれも破断対策としては、冷間圧延時の鋼板温度を高くすることが有効である。このような背景から、冷間圧延前に珪素鋼板を加熱することにより珪素鋼板の破断を抑制する方法が提案されている。例えば特許文献1には、圧延機入側で指定した目標温度になるように鋼板の幅方向端部を加熱する方法が記載されている。また、特許文献2には、鋼板の全域を均一に加熱して圧延する方法が記載されている。
特開2012-148310号公報 特開2011-79025号公報
上記のように、Si含有量の高い珪素鋼板を冷間圧延する際に脆性破断が発生することを抑制する技術が提案されている。しかしながら、鋼板の幅方向端部だけを加熱する技術では、幅方向中央部付近の鋼板温度が低いために幅方向中央部の脆性破断が発生する可能性がある。また、鋼板の幅方向全域に亘って均一に加熱する技術では、必要以上のエネルギーを投じて鋼板全体を加熱している可能性があり、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から見直す余地があると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、低環境負荷、且つ、安定的に珪素鋼板を圧延可能な冷延鋼板の製造方法及び製造設備を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究した結果、破断抑制温度(破断の抑制効果が高い鋼板温度)が幅方向中央部と比べて幅方向端部の方が高いことを見出した。そこで、発明者らは、鋼板の幅方向全域に亘って加熱するトランスバース式全幅加熱装置の出力を適切に制御して使用することが、破断抑制及び環境面で非常に有効であると考え、以下の発明を想到するに至った。
本発明に係る冷延鋼板の製造方法は、鋼板の幅方向全域に亘って鋼板を加熱するトランスバース式全幅加熱装置と、前記トランスバース式全幅加熱装置に対して圧延方向下流側に配置された、前記鋼板を圧延する冷間圧延機と、を用いた冷延鋼板の製造方法であって、前記冷間圧延機の入側において鋼板の幅方向中央部の温度よりも幅方向端部の温度が高くなるように、前記トランスバース式全幅加熱装置を用いて鋼板を加熱するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る冷延鋼板の製造方法は、上記発明において、前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度が、鋼板のSi含有量に応じて変化することを特徴とする。
本発明に係る冷延鋼板の製造方法は、上記発明において、前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度が、Si含有量αにより変化する下記数式(1),(2)により算出される温度であることを特徴とする。
Figure 0007111216000002
本発明に係る冷延鋼板の製造設備は、鋼板の幅方向全域に亘って鋼板を加熱するトランスバース式全幅加熱装置と、前記トランスバース式全幅加熱装置に対して圧延方向下流側に配置された、前記鋼板を圧延する冷間圧延機と、を備え、前記トランスバース式全幅加熱装置は、前記冷間圧延機の入側において鋼板の幅方向中央部の温度よりも幅方向端部の温度が高くなるように、鋼板を加熱することを特徴とする。
本発明に係る冷延鋼板の製造設備は、上記発明において、前記トランスバース式全幅加熱装置が、鋼板のSi含有量に応じて前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度を変化させることを特徴とする。
本発明に係る冷延鋼板の製造設備は、上記発明において、前記トランスバース式全幅加熱装置が、前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度を、Si含有量αにより変化する下記数式(1),(2)により算出される温度に加熱することを特徴とする。
Figure 0007111216000003
本発明に係る冷延鋼板の製造設備は、上記発明において、前記トランスバース式全幅加熱装置は、前記冷間圧延機の入側から10m以内の位置に設置されていることを特徴とする。
本発明に係る冷延鋼板の製造方法及び製造設備によれば、低環境負荷、且つ、安定的に珪素鋼板を圧延することができる。
図1は、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造設備の構成を示す模式図である。 図2は、珪素鋼板の耐曲げ割れ性の温度依存性を評価した結果を示す図である。 図3は、鋼板のSi含有量に応じた脆性破断抑制に必要な鋼板温度の推定結果を示す図である。 図4は、珪素鋼板の耐エッジ部割れ性の温度依存性を評価した結果を示す図である。 図5は、鋼板のSi含有量に応じたエッジ割れ抑制に必要な鋼板温度の推定結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造方法及び製造設備について説明する。なお、以下に示す実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔構成〕
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造設備の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造設備の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造設備(以下、「製造設備」と略記)は、複数スタンドを有する連続式タンデム圧延ラインであり、ペイオフリール1、接合装置2、ルーパー3、全幅加熱装置4、温度計(板温計測装置)5、冷間タンデム圧延機6、切断機(切断装置)7、及びテンションリール8を備えている。
ペイオフリール1は、鋼板Sを払出す装置である。製造設備はペイオフリール1を複数備えていてもよい。この場合、複数のペイオフリールはそれぞれ異なる鋼板Sを払出す。
接合装置2は、ペイオフリール1から先に払出された鋼板(先行材)の尾端部とペイオフリール1から後に払出された鋼板(後行材)の先端部とを接合して接合鋼板を形成する装置である。接合装置2としては、レーザ溶接機が好適に使用される。
ルーパー3は、接合装置2によって鋼板同士が接合されるまでの間(接合が完了するまでの間)、冷間タンデム圧延機6による冷間圧延を継続できるように鋼板Sを貯留する装置である。
全幅加熱装置4は、鋼板Sの幅方向及び圧延方向(長手方向)全域に亘って鋼板Sを加熱する装置である。全幅加熱装置4は、鋼板Sの幅方向に温度勾配ができ、鋼板Sの幅方向中央部の温度よりも鋼板Sのエッジ部(幅方向端部)の温度を高くすることが可能なトランスバース式誘導加熱装置によって構成されている。なお、全幅加熱装置4は、冷間タンデム圧延機6の入側での鋼板Sの幅方向中央部及びエッジ部の温度がそれぞれ以下に示す数式(1)及び数式(2)により算出される鋼板SのSi含有量に応じた温度T及び温度Tとなるように鋼板Sを加熱することが望ましい。これにより、鋼板Sの脆性破断及びエッジ部割れを効果的に抑制することができる。
温度計5は、鋼板Sの表面温度を計測する装置である。温度計5は、冷間タンデム圧延機6の入側直近に設置することが望ましい。但し、実際には、温度計5により測定される鋼板温度をそのまま使用するのではなく、温度計5から冷間タンデム圧延機6の入側までの間に低下する鋼板温度を補償した値を使用することで実用に供する。
冷間タンデム圧延機6は、全幅加熱装置4により加熱された鋼板Sの板厚を目標板厚とするために鋼板Sを冷間圧延する装置である。本実施形態では、冷間タンデム圧延機6は5台のスタンドを備えているが、スタンドの台数は特に限定されない。また、本実施形態では、冷間タンデム圧延機6は、1スタンドに4本のロールを有する4Hiと呼ばれる形式をとっているが、これに限るものではなく、例えば6Hi等の他の形式も適用することができる。
切断機7は、冷間圧延後の鋼板Sを切断する装置である。
テンションリール8は、切断機7によって切断された鋼板Sを巻き取る装置である。テンションリール8の形式は限定されることはなく、例えばカローゼルテンションリールでもよい。また、製造設備はテンションリール8を複数備えてもよい。この場合、複数のテンションリール8は複数の鋼板Sを連続的に巻取る。
製造設備が備える装置は、上述した装置に限定されない。製造設備は、全幅加熱装置4と冷間タンデム圧延機6の入側とが10m以内にこの順に配置(より好ましくは隣接配置)されていればよい。そのため、圧延機は、タンデム式圧延機ではなく、リバース式圧延機でもよい。この場合、1パス目に全幅加熱装置4と圧延機とがこの順に配置されるようにする。また、冷間圧延工程とその前工程である酸洗工程とを連続化させることも可能であり、ルーパー3と冷間タンデム圧延機6との間に鋼板Sを酸洗する酸洗装置を配置してもよい。
〔加熱工程〕
次に、本発明の一実施形態である冷延鋼板の製造方法の特徴である、全幅加熱装置4による鋼板Sの加熱工程について説明する。なお、全幅加熱装置4は鋼板Sの上面及び下面の少なくとも一方を加熱するが、上面及び下面の両方を加熱することがより好ましい。
本実施形態の鋼板Sの加熱工程では、全幅加熱装置4が、温度計5によって測定された鋼板Sの温度、全幅加熱装置4の出側における鋼板Sの目標温度、鋼板Sが全幅加熱装置4を通過する時間(すなわち加熱時間)、及び鋼板Sの板厚に基づいて、全幅加熱装置4の目標温度を決定する。なお、全幅加熱装置4によって加熱される鋼板Sの目標温度は、温度計5と全幅加熱装置4との間の距離、及び温度計5と冷間タンデム圧延機6との間の距離を考慮した温度に設定する必要がある。例えば全幅加熱装置4から冷間タンデム圧延機6までの距離が非常に短い場合、全幅加熱装置4の出側における鋼板Sの目標温度を全幅加熱装置4によって加熱される鋼板Sの目標温度としてもさほど問題はない。一方、全幅加熱装置4、温度計5、及び冷間タンデム圧延機6のうちのいずれか一つでも距離が離れている場合には、冷間タンデム圧延機6の入側に鋼板Sが到達するまでの温度降下を考慮して全幅加熱装置4によって加熱される鋼板Sの目標温度を設定する必要がある。但し、環境負荷の観点からは、鋼板加熱に用いるエネルギー量は小さいことが望ましく、全幅加熱装置4及び温度計5は冷間タンデム圧延機6に可能な限り近接させることが望ましい。
ここで、本発明の発明者らは、5台のスタンドを有するタンデム圧延機によって珪素鋼板を冷間圧延した際の破断率を調査した。その結果、Si含有量の高い珪素鋼板では、Si含有量の低い珪素鋼板と比較して破断率が高いことがわかった。また、破断原因を調査した結果、#1std(以下、鋼板の搬送方向の上流側からN台目のスタンドを「#Nstd」と表記する)や#2std等の上流側での破断と#4stdや#5std等の下流側での破断とではその原因が異なることがわかった。すなわち、上流側での破断、特に#1stdの直下や出側における破断に関しては、腹伸びや耳伸び等の鋼板形状の局所的な絞りや、通板ロールや形状検出器での曲げ変形が原因となっていると推定された。#1stdの圧下率は、全スタンドの中で最も高いことが一般的であり、急激な鋼板の形状変化によって破断原因を生み出しやすいと考えられる。また、上流側での破断についてさらに調査を行った結果、季節によって破断率(破断発生率)が異なり、例えば冬季は夏季に比べて破断率が高く、外気温(圧延工場内の温度)が破断率に影響を与えていることが推定された。一方、下流側での破断については、上流側のスタンドで作られたエッジ部割れが進行して破断につながるというケースが確認できた。このため、破断が発生する場所と原因は異なるが、いずれの破断も#1std入側における鋼板温度を高くすることで抑制できると考えた。
上記の推察を検証すべく、まず、実験室規模で鋼板に曲げ歪を付与した場合の耐曲げ割れ性を評価した。本実験の耐曲げ割れ性は、上述した上流側のスタンドでの通板ロールや形状検出器での曲げ変形による脆性破断と相関があると考えられるためである。供試材として、板厚がそれぞれ2mmであり、Si含有量が1.8mass%、2.8mass%、3.3mass%、3.7mass%(以下、Si含有量がMmass%の珪素鋼板のことを「M%Si鋼」と表記する)である4種類の珪素鋼板を800℃で焼鈍した(熱延板焼鈍に相当)。そして、焼鈍後の珪素鋼板を酸洗し、せん断機を用いて24mm幅及び250mm長さの供試材を切り出した。その後、両端面を各2mm研削することによりせん断した際に生じた加工歪を除去した。これにより、エッジ部破断の発生を抑制した。なお、実際の連続冷間圧延ラインでは、1.8%Si鋼及び2.8%Si鋼は、脆性破断が発生しにくい鋼種である。一方、3.3%Si鋼及び3.7%Si鋼は、特に上流側のスタンドにおいて数%程度の頻度で脆性破断が発生する鋼種である。通常、冷間圧延においては、圧延機入側の鋼板温度は工場内温度と同程度になり、冬季は15℃前後になる。
そこで、珪素鋼板の耐曲げ割れ性について、鋼板温度が15℃~45℃の範囲であるときの温度依存性を調査した。本実験では、まず、2mm厚の鋼板を圧下率50%で圧延して1mm厚の鋼板を製作した。これは#1stdを模擬している。次に、通板ロールや形状検出器での鋼板の曲げ変形を模擬してローラレベラに通板した。そして、鋼板に曲げ変形を付与して耐曲げ割れ性を評価した。ローラレベラは直径50mmのワークロールを上下で11本有し、ロール間隔は60mmである。鋼板表面への曲げ応力は、上ワークロールの締込み量を変化させることにより任意の値を付与できる。本実験では、鋼板温度を10℃刻み、ロール締込み量を0.5mm刻みで種々変化させ、鋼板の破断限界を整理した。破断した際の締込み量が大きいほど、冷間圧延ラインでも破断し難くなると考える。図2は、本実験で得られた結果を示す。なお、実際の連続圧延機での破断性を鑑みて、本実験条件においては締込み量4.0mmまで破断することなく通板することができれば、実際の連続圧延機でも破断しないと考え、締込み量4.0mmでの破断未発生を本実験の目標値とした。
図2に示すように、Si含有量毎に比較すると、1.8%Si鋼では、鋼板の温度(15~45℃)によらず、締込み量4.0mmまで破断は生じなかった。また、2.8%Si鋼では、鋼板温度が15℃であるときに、締込み量3.5mmで破断が生じたが、25℃以上では締込み量4.0mmまで破断が生じなかった。また、3.3%Si鋼では、鋼板温度が15℃であるときに締込み量1.5mm、25℃であるときには締込み量3.0mmで破断が生じた。しかしながら、鋼板温度が35℃以上であるときは締込み量4.0mmまで破断が生じなかった。また、3.7%Si鋼では、鋼板温度が15℃であるときは締込み量1.0mm、25℃であるときには1.5mm、35℃であるときには2.5mmで破断が生じた。鋼板温度を45℃にすると締込み量4.0mmまで破断が生じなかった。上記の実験の結果、Si含有量は、鋼板の耐破断性への影響が大きく、Si含有量が高いほど、鋼板が破断しやすいことが確認できた。これは、実際の連続冷間圧延機での破断の実態とも合致する。特に3.3%Si鋼、3.7%Si鋼では、鋼板の温度を変更しながら実験を行った結果、温度が高いほど脆性破断を抑制することができた。
図3は、本実験結果を基に鋼板のSi含有量に応じた脆性破断抑制に必要な鋼板温度を推定した結果を示す。図中の近似曲線は以下に示す数式(3)で表せられる。本実験では、1.8%Si鋼については、鋼板温度が15℃でも締込み量4.0mmまで脆性破断が生じなかったので、全幅加熱装置4による鋼板加熱は不要と考える。しかしながら、2.8%Si鋼については、鋼板温度が15℃であるときは締込み量3.5mmで破断が生じたので、鋼板温度が低くなる時期には全幅加熱装置4による鋼板加熱が必要だと考える。ゆえに、数式(3)中のSi含有量α[%]の値は実用的にはα>2程度と考えるとよい。また、数式(3)より算出される鋼板温度TCminは必要最低温度であり、破断抑制の観点からはこの温度以上となればよい。但し、鋼板温度が高くなりすぎると、鋼板形状や潤滑性に影響を及ぼすようになるので、鋼板温度は200℃以下とする。また、Si含有量αの上限値4.5%は、後述する鋼板エッジ部の温度が200℃以下となる範囲より設定した。
Figure 0007111216000004
次に、鋼板エッジ部割れが原因の破断を抑制するために、実験室規模で鋼板を圧延してエッジ部割れの発生有無を評価した。本実験は、圧延方向上流側で生じたエッジ部割れが、圧延方向下流側のスタンドに進んでいくにつれて拡大していき破断するという破断形態に関して取り組むものであり、上流側スタンドでのエッジ部割れを完全に抑制することができれば、鋼板エッジ部割れによる破断を抑制できると考えた。供試材として、板厚がそれぞれ2mmであり、1.8%Si鋼、2.8%Si鋼、3.3%Si鋼、3.7%Si鋼である4種類の珪素鋼板を20mm幅及び250mm長さに切り出し、800℃で焼鈍した(熱延板焼鈍に相当)。そして、焼鈍後の珪素鋼板を酸洗した。この時の鋼板エッジ部の状態は、実際の連続冷間圧延機入側での状態に近いと考えることができる。
なお、実際の連続冷間圧延ラインでは、1.8%Si鋼は、鋼板エッジ部割れが発生しにくい鋼種である。一方、3.3%Si鋼、3.7%Si鋼は、数%程度の頻度で鋼板エッジ部割れが発生する鋼種である。通常、冷間圧延においては、圧延機入側の鋼板温度は工場内温度と同程度になり、冬季は15℃前後になる。そこで、珪素鋼板の耐エッジ部割れ性について、鋼板温度が15℃~65℃の範囲であるときの温度依存性を調査した。本実験では、#1stdを模擬して、w20×L250mmの供試材を圧下率50%で圧延した際の鋼板両端面(長手方向)に発生する割れ(1mm以上のクラック)の個数で耐エッジ部割れ性を評価した。なお、各Si量及び各温度での圧延回数は5回ずつであり、エッジ割れの個数は5回の平均値である。また、鋼板温度は10℃間隔とした。図4は、本実験で得られた結果を示す。
図4に示すように、鋼板温度15℃の場合、Si含有量毎に比較すると、1.8%Si鋼では、両端面共にエッジ部割れは一つも生じなかった。2.8%Si鋼では、両端面合計で7個のエッジ部割れが発生した。3.3%Si鋼では、両端面合計で15個、3.7%Si鋼では、30個のエッジ部割れが発生した。鋼板温度が25℃の場合は、1.8%Si鋼に加えて2.8%Si鋼でも、両端面合計のエッジ部割れ個数は0個となった。一方で、3.3%Si鋼では11個、3.7%Si鋼では27個となった。鋼板温度が35℃の場合には、1.8%Si鋼及び2.8%Si鋼において、両端面合計のエッジ部割れ個数は0個となった。一方で、3.3%Si鋼では、両端面合計で5個、3.7%Si鋼では、20個のエッジ部割れが生じた。鋼板温度が45℃の場合には、1.8%Si鋼及び2.8%Si鋼に加えて3.3%Si鋼でも、両端面合計のエッジ部割れ個数は0個となった。一方で、3.7%Si鋼では10個のエッジ部割れが生じた。鋼板温度が55℃の場合は、1.8%Si鋼及び2.8%Si鋼に加えて3.3%Si鋼でも、両端面合計のエッジ部割れ個数は0個となった。一方で、3.7%Si鋼では3個のエッジ部割れが生じた。鋼板温度が65℃の場合には、1.8%Si鋼、2.8%Si鋼、及び3.3%Si鋼に加えて3.7%Si鋼でも、両端面合計のエッジ部割れ個数は0個となった。上記の実験の結果から、Si含有量は、耐エッジ部割れ性への影響が大きく、Si含有量が高いほど、鋼板エッジ部割れが生じやすいいことが確認できた。これは、実際の連続冷間圧延機での鋼板エッジ部割れの実態とも一致する。
図5は、本実験結果を基に鋼板のSi含有量に応じた鋼板エッジ部割れ抑制に必要な温度を推定した結果を示す。図中の近似曲線は以下に示す数式(4)で表せられる。本実験では、1.8%Si鋼については、鋼板温度が15℃でも鋼板エッジ部割れが生じなかったので、全幅加熱装置4による鋼板加熱は不要と考える。しかしながら、2.8%Si鋼については、鋼板温度が15℃であるときは鋼板エッジ部割れが生じたので、鋼板温度が低くなる時期には全幅加熱装置4による鋼板加熱が必要だと考える。ゆえに、数式(4)中のSi含有量α[%]は実用的にはα>2程度と考えると良い。また、数式(4)より算出される鋼板温度TEminは必要最低温度であり、破断抑制の観点からはこの温度以上となればよい。但し、鋼板温度が高くなりすぎると、鋼板形状や潤滑性に影響を及ぼすようになるので、鋼板温度は200℃以下とする。また、Si含有量αの上限値4.5%は、数式(4)より算出される鋼板エッジ部の温度が200℃以下となる範囲より設定した。なお、鋼板の加熱範囲は鋼板のエッジ部より30mm以上の範囲とする。これは、鋼板エッジ部割れに影響を及ぼすのは、冷間圧延における幅広がりの影響範囲であり、その範囲はおおよそ鋼板のエッジ部より30mm程度と言われているためである。
Figure 0007111216000005
上述した2つの実験より、鋼板の幅方向中央部からの破断とエッジ部からの破断の抑制に必要な鋼板の加熱温度は異なることがわかる。例えば、3.7%Si鋼の場合、幅方向中央部からの破断抑制に必要な温度は45℃以上であり、エッジ部割れ抑制に必要な温度は65℃以上である。以上のように、珪素鋼板の破断を抑制するためには、Si含有量に応じた加熱量にすることに加え、同一鋼種においても幅方向中央部に比べてエッジ部の温度を高くするという鋼板の幅方向に温度勾配をつける必要があることが判明し、本発明を想到するに至った。なお、同一の設備でSi含有量の異なる複数の鋼板が搬送される場合、加熱装置6は、先行材及び後行材のSi含有量を示す情報を取得し、その情報に基づいて目標温度を変更、決定すればよい。また、本実施形態では、圧延対象材を珪素鋼板として説明したが、鋼板の種類は限定されない。珪素鋼板以外に本発明の技術が好適に適用できる鋼板としては、例えば高強度鋼板や高合金鋼板が挙げられる。
以上説明したように、本発明の一実施形態である冷延鋼帯の製造設備及び製造方法によれば、鋼板Sの幅方向に温度勾配をつけることができる全幅加熱装置4を用いて幅方向中央部からの破断とエッジ部割れの抑制に必要な温度を適切にコントロールし、鋼板の破断を抑制する。従って、本発明の一実施形態である冷延鋼帯の製造設備及び冷延鋼帯の製造方法によれば、珪素鋼板を冷間圧延する際に、必要最小限のエネルギーで鋼板の破断を抑制することができるので、環境負荷は最小限で珪素鋼板を安定的に冷間圧延することができる。
本発明の効果を示す実施例について説明する。本実施例では、冷間圧延機の入側に全幅加熱装置4が設置されており、圧延機入側の鋼板温度を任意の温度に設定できるようになっている。そして、5スタンドの冷間タンデム圧延機によって、所定の板厚に仕上げた。本実施例で使用した鋼種は全て珪素鋼板で、Si含有量により3グループに分けた。具体的には、Si含有量が1.0mass%から2.0mass%のグループ、2.0mass%から3.0mass%のグループ、3.0mass%から3.5mass%のグループの3グループである。いずれのグループも圧延前板厚は1.8mmから2.4mm、圧延後板厚は0.3mmから0.5mmである。Si含有量の違いによる破断率を調査するために、グループにより板厚に偏りが出ないように注意した。各グループで200コイルの破断率を調査した。なお、外気温(工場内の温度)は15℃程度であった。調査したコイルと条件を表1に示す。鋼板温度は、圧延機入側に設置されている温度計を用いて測定した。
Figure 0007111216000006
〔参考例〕
全幅加熱装置によって鋼板を加熱しない場合、つまり、圧延機入側の鋼板温度が15℃程度になる場合の例を示している。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイルの破断率は0%であった。一方で、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイルの破断率は1%、3.0mass%から3.5mass%の200コイルの破断率は3%であった。
〔発明例1〕
上記数式(1),(2)より珪素鋼板のSi含有量に応じた冷間タンデム圧延機入側の鋼板温度を算出し、これに基づいて全幅加熱装置により鋼板を加熱した場合の例を示している。冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離は10mである。本発明例では、幅方向中央部の温度よりエッジ部の温度の方が高い。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央17℃、エッジ部18℃)の破断率は0%であった。また、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央30℃、エッジ部35℃)の破断率も0%、3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央45℃、エッジ部60℃)の破断率も0%であった。本発明に基づき珪素鋼板を加熱することで鋼板の破断を大幅に低減できることが確認された。
〔発明例2〕
上記数式(1),(2)より珪素鋼板のSi含有量に応じた冷間タンデム圧延機入側の鋼板温度を算出し、これに基づいて全幅加熱装置により鋼板を加熱した場合の例を示している。冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離は1mである。つまり、発明例1と比較して、冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離が短くなっている。その他の条件は発明例1と同じである。本発明例では、Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央17℃、エッジ部18℃)の破断率は0%であった。また、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央30℃、エッジ部35℃)の破断率も0%、3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央45℃、エッジ部60℃)の破断率も0%であった。破断率だけに着目すると、Si含有量が3.5mass%になるまで破断を抑制できており、発明例1と同じであるが、エネルギー使用量は発明例1と比較して大幅に低減できており、発明例2の優位性が確認できた。ゆえに、エネルギー使用量低減(耐環境性)の観点からは、冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離は近いほど望ましいということが確認できた。
〔比較例1〕
上記数式(1),(2)より珪素鋼板のSi含有量に応じた圧延機入側の鋼板温度を算出し、これに基づいて全幅加熱装置により鋼板を加熱した場合の例を示している。冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離は20mである。つまり、発明例1の条件のうち、冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離を長くした例である。冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離が長いため、全幅加熱装置の能力の上限値まで使用しても数式(1),(2)より算出した圧延機入側の鋼板温度にすることができなかった。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央15℃、エッジ部15℃)の破断率は0%、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央25℃、エッジ部30℃)の破断率も0%であった。一方、Si含有量が3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央40℃、エッジ部50℃)の破断率は1%であった。冷間タンデム圧延機と全幅加熱装置との間の距離は短い方が望ましく、全幅加熱装置の能力の上限まで使用しても上記数式(1),(2)より算出される鋼板温度を確保できない距離に設置した場合、高Si鋼ほど破断が発生しやすくなることを確認できた。
〔比較例2〕
上記数式(1),(2)より算出した珪素鋼板のSi含有量に応じた圧延機入側の鋼板温度よりも各々30%程度低温になるように全幅加熱装置により鋼板を加熱した場合の例を示している。その他の条件は発明例1と同じである。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央15℃、エッジ部15℃)の破断率は0%、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央20℃、エッジ部25℃)の破断率も0%であった。一方、Si含有量が3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央30℃、エッジ部40℃)の破断率は1.5%であった。上記数式(1),(2)より算出される鋼板温度より低温の場合、高Si鋼ほど破断が発生しやすくなることを確認できた。
〔比較例3〕
ソレノイド式全幅加熱装置を用いた場合の例を示している。ソレノイド式全幅加熱装置では、鋼板の幅方向に温度勾配をつけることはできない。ソレノイド式全幅加熱装置により加熱する鋼板の温度は数式(1)より算出した。つまり、エッジ部割れの抑制に必要と考える温度は確保できず、さらに、エッジ部は幅方向中央部と比較して鋼板温度が低下しやすいため、エッジ部の温度は幅方向中央部の温度と比べて低温となっている。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央17℃、エッジ部16℃)の破断率は0%であった。一方で、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央30℃、エッジ部25℃)の破断率は0.5%、3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央45℃、エッジ部35℃)の破断率は2%であった。破断したコイルの破断形態を調査したところ、幅方向中央部からの破断は抑制できていたが、エッジ部割れによる破断を抑制できていなかった。
〔比較例4〕
ソレノイド式全幅加熱装置を用いた場合の例を示している。ソレノイド式全幅加熱装置により加熱する鋼板の温度は数式(2)より算出した。つまり、エッジ部割れの抑制に必要だと考える温度にエッジ部の温度がなるように幅方向全域に亘って鋼板を加熱した。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央20℃、エッジ部18℃)の破断率は0%、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央40℃、エッジ部35℃)の破断率も0%、Si含有量が3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央70℃、エッジ部60℃)の破断率も0%であった。しかしながら、鋼板の幅方向中央部は破断抑制の観点からは必要以上に加熱されており、環境負荷を考えた際には投入エネルギー量を低減することが望ましい。
〔比較例5〕
全幅加熱装置は使用せず、鋼板の幅方向両端部のみを加熱するエッジ部加熱装置を用いた場合の例を示している。エッジ部加熱装置により加熱する鋼板の幅方向両端部の温度は数式(2)より算出した。Si含有量が1.0mass%から2.0mass%の200コイル(幅中央15℃、エッジ部35℃)の破断率は0%であった。一方、Si含有量が2.0mass%から3.0mass%の200コイル(幅中央15℃、エッジ部35℃)の破断率は0.5%、Si含有量が3.0mass%から3.5mass%の200コイル(幅中央15℃、エッジ部60℃)の破断率は2%であった。破断したコイルの破断形態を調査したところ、エッジ部割れによる破断は抑制できていたが、幅方向中央部からの破断を抑制できていなかった。
以上示したように、本発明を適用し、鋼板を冷間タンデム圧延機の入側で加熱することにより鋼板の破断を抑制できることが確認された。特に、Si含有量が3mass%以上である珪素鋼板の場合には、鋼板を適切な温度に加熱することにより鋼板の破断を大幅に低減できるため、生産性の向上及び歩留まりの向上を達成することができる。
以上、本発明に係る冷延鋼帯の製造設備および冷延鋼帯の製造方法について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることは言うまでもない。
1 ペイオフリール
2 接合装置
3 ルーパー
4 全幅加熱装置
5 温度計
6 冷間タンデム圧延機
7 切断機
8 テンションリール
S 鋼板

Claims (5)

  1. 鋼板の幅方向全域に亘って鋼板を加熱するトランスバース式全幅加熱装置と、前記トランスバース式全幅加熱装置に対して圧延方向下流側に配置された、前記鋼板を圧延する冷間圧延機と、を用いた冷延鋼板の製造方法であって、
    前記冷間圧延機の入側において鋼板のエッジ部から30mmの範囲の幅方向端部の最低温度が前記幅方向端部を除く鋼板の幅方向中央部の最低温度よりも高くなるように、前記トランスバース式全幅加熱装置を用いて鋼板を加熱するステップを含み、
    前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度が、Si含有量αにより変化する下記数式(1),(2)により算出される温度であることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
    Figure 0007111216000007
  2. 前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度が、鋼板のSi含有量に応じて変化することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板の製造方法。
  3. 鋼板の幅方向全域に亘って鋼板を加熱するトランスバース式全幅加熱装置と、
    前記トランスバース式全幅加熱装置に対して圧延方向下流側に配置された、前記鋼板を圧延する冷間圧延機と、を備え、
    前記トランスバース式全幅加熱装置は、前記冷間圧延機の入側においてエッジ部から30mmの範囲の幅方向端部の最低温度が前記幅方向端部を除く鋼板の幅方向中央部の最低温度よりも高くなるように、鋼板を加熱し、
    前記トランスバース式全幅加熱装置が、前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度を、Si含有量αにより変化する下記数式(1),(2)により算出される温度に加熱することを特徴とする冷延鋼板の製造設備。
    Figure 0007111216000008
  4. 前記トランスバース式全幅加熱装置が、鋼板のSi含有量に応じて前記冷間圧延機の入側における鋼板の幅方向中央部及び幅方向端部の温度を変化させることを特徴とする請求項3に記載の冷延鋼板の製造設備。
  5. 前記トランスバース式全幅加熱装置は、前記冷間圧延機の入側から10m以内の位置に設置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の冷延鋼板の製造設備。
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