JP2005205454A - 高Ni合金鋼連続鋳造スラブの熱間圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Niを20質量%以上85質量%以下含む高Ni合金鋼の連続鋳造スラブの熱間圧延に際し、被圧延材のエッジ部にエッジ割れが発生するのを抑制し、生産能率を向上するとともに、製品の歩留りも向上する。
【解決手段】少なくとも1基のエッジャーロールと水平ロールを備えた圧延機を用いて、最初の圧延パスを含めた少なくとも1パス以上、エッジャーロールによる圧延のみを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、高Ni合金鋼薄板の製造に用いられる連続鋳造スラブの熱間圧延方法に関し、特に、圧延の際に該高Ni合金鋼薄板製品のエッジ部に発生する割れを防止するための熱間圧延方法に関する。
Ni(ニッケル)を20質量%以上85質量%以下含む高Ni合金鋼は、室温から300℃までの温度域の熱膨張が小さい材料として、ブラウン管用シャドウマスクやlCリードフレームなどに広く用いられている。高Ni合金鋼は、電気炉で溶解された後、インゴットの分塊圧延あるいは連続鋳造によりスラブにされ、熱間圧延及び冷間圧延を経て薄板(長手方向に帯状に長く延ばされ、コイル状に巻き取られる。帯鋼とも称される)に加工される。近年、生産性向上の観点から、連続鋳造スラブを用い、粗圧延機及び仕上圧延機が直列に配置された帯鋼の熱間圧延ラインを用いて熱間圧延を行う方法が指向されつつある。
高Ni合金鋼の連続鋳造スラブは、熱間加工性が悪く、熱間圧延の際に被圧延材の幅方向の端部(以下、エッジ部と呼ぶ)に、しばしば割れ(以下、エッジ割れ)が発生する。このようなエッジ割れが発生すると、その後の冷間圧延の際に被圧延材の破断を引き起こし易いため、生産性を阻害するだけでなく、エッジ割れが発生した長手方向部分は、不良部分として切捨てざるを得ないため、製品の歩留まりも低下する原因となる。
高Ni合金鋼の熱間圧延の際のエッジ割れを軽減する方法として、従来より幾つかの方法が提案されている。
特許文献1には、高Ni合金鋼の熱間加工性を向上させる目的でB(硼素)を添加した合金が開示されている。具体的には、Bを0.001〜0.03%添加し、または、Bを0.001〜0.03%添加し且つTi(チタン)を0.005〜0.3%複合添加することによって、熱間加工性の向上を図っている。
特許文献2には、65〜85%Ni合金鋼スラブを熱間圧延するに際し、長手方向の両端部を除く4面を金属板で包囲して1100〜1300℃で1回目の熱間圧延を行い、次いで、この金属板を除去した後、仕上温度1000℃以上の2回目の熱間圧延を行うプロセスが開示されている。
また、特許文献3には、板厚の厚い難加工性金属材料を対象にして、鋳造後のスラブを熱間圧延する際、先ず、両長手側端面にエッジング加工を施し、次いで、幅出し圧延を行い、それから被圧延材を、上方から見て90度回転させた後、両幅側端面にエッジング加工を施し、次いで、長手方向圧延を行うプロセスが開示されている。
特開昭60−159157号公報 特開平05−065607号公報 特開昭62−224407号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、Bの添加によって溶製コストの上昇を招くという問題がある。また、製品の用途によっては、BあるいはTiの添加が、製品に要求されている特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
又、特許文献2に記載の方法は、生産能率が低下するとともに、製造コストの上昇をもたらすという問題がある。
又、特許文献3に記載の方法は、いわゆる厚板と呼ばれる製品、即ち、熱間圧延終了後に製品をコイル状に巻き取らない製品を対象とするものであり、幅出しのために被圧延材を、上方から見て90度回転させながら往復させて長手方向圧延及び幅出し圧延を交互に行う厚板用の圧延機において採用されるプロセスである。従って、この方法を、高Ni合金鋼の薄板を製造する際に使用される帯鋼の熱間圧延ラインに適用することはできない。帯鋼の熱間圧延ラインでは、あくまで一方向にしか被圧延材の搬送ができず、上方から見て90度回転させることはできないからである。
本発明は、以上のような従来の高Ni合金鋼の熱間圧延方法の問題点に鑑みて成されたもので、本発明の課題は、高Ni合金鋼の連続鋳造スラブの熱間圧延を行うに際し、被圧延材のエッジ部にエッジ割れが発生するのを抑制し、生産能率を向上するとともに、製品の歩留りも向上できる熱間圧延方法を提供することにある。
本発明は、Niを20質量%以上85質量%以下含む高Ni合金鋼の連続鋳造スラブの熱間圧延方法であって、少なくとも1基のエッジャーロールと水平ロールを備えた圧延機を用いて、最初の圧延パスを含めた少なくとも1パス以上、エッジャーロールによる圧延のみを行うことにより、前記課題を解決したものである。
本発明の方法によれば、例えば1000乃至1300℃の高温に加熱された高Ni合金鋼連続鋳造スラブに、少なくとも1パス以上、エッジャーロールによる圧延のみを行うことよって、被圧延材の幅方向端部の鍛錬を行う。これにより、被圧延材の幅方向端部で金属組織の再結晶が誘発され、延性等の機械的性質が向上する。その結果、それに続く水平ロールによる圧延の際にエッジ部に割れが発生するのを抑制することができる。
加熱温度は特に規制するものではないが、1000℃を下回ると被圧延材が硬質化して熱間加工性が低下し、エッジ割れが発生しやすくなり、1300℃を超えると被圧延材の結晶粒界強度が低下して、やはりエッジ割れが発生しやすくなるため、上記温度範囲に調整した方が好ましい。
本発明によれば、Niを20質量%以上85質量%以下含む高Ni合金の連続鋳造スラブの熱間圧延を行うに際し、被圧延材のエッジ部にエッジ割れが発生するのを抑制することができる。これによって、生産能率が向上するとともに、製品の歩留りも向上する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
背景技術の項において述べた如く、高Ni合金鋼は、熱間圧延時に被圧延材のエッジ部に割れが発生し易い。これは、高Ni合金鋼を鋳造した後のスラブの金属組織(以下、鋳造組織と呼ぶ)は結晶粒界強度が弱いため、応力が作用した際に結晶粒界を起点とする亀裂が発生し易いことに起因している。鋳造時のスラブ冷却速度の速い連続鋳造スラブは、特にこの傾向が強い。即ち、このような延性の低い鋼材を熱間圧延した場合、被圧延材の幅方向への塑性流動が生じるエッジ部においては、被圧延材長手方向に引張応力が作用して割れが発生しやすい。これに対して、外部からひずみを与えて高温下で再結晶させた組織(以下、加工組織と呼ぶ)は、比較的延性が良好で、エッジ割れが発生しにくい。
発明者らは、高Ni合金鋼の連続鋳造スラブの熱間圧延において、エッジ割れを抑制するためには、最初の長手方向圧延(帯鋼の熱間圧延ラインでは、原理的に長手方向圧延だけが行われるが)の前に、エッジャーロールによる圧延を施し、スラブのエッジ部の金属組織を鋳造組織から加工組織に変化させてから、長手方向圧延を行うことが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させた。
図1に、36質量%のNiを含む高Ni合金鋼(後述の表5の化学組成のものと同じ)を対象に、厚さ250mm、幅1000mmの連続鋳造スラブを用いて、1230℃に加熱したのち熱間圧延(多くの場合、粗圧延)での最初の水平ロールによる圧延の前にエッジャーロールによる圧延を施したときの幅圧下量と、熱間圧延終了後のコイル状に巻かれた高Ni合金鋼薄板製品を巻き戻して展開し、そのエッジ部に発生したエッジ割れの幅方向深さとの関係を示す。エッジ割れは、製品を上方から見た場合に、左右の幅エッジに発生しているが、それらのうちの最大の幅方向深さをエッジ割れ深さとした。
ここで、エッジャーロールによる圧延は、図2に示すような熱間圧延ライン100中にある、粗圧延機群12の中の第1粗圧延機R1に付設の、被圧延材(スラブ)8に幅方向の圧延を施すための竪ロール(エッジャーロールと呼ぶ)13を用いて行った。仕上圧延機群18では、3.5mmの厚さに仕上げた。このときのパススケジュールを表1に示す。なお、水平ロールによる圧延パス間での、エッジャーロールによる圧延は、板幅を一定に保つことも目的として、水平圧延での幅広がり量を相殺するようにした関係で、表1中の幅はどのパスも1000になっている。
また、この表1中の各値は、制御目標値であり、厚さは全長、幅は先尾端に対するショートストローク制御の対象部分を除いた目標値である。実績的には、先尾端ではこの制御目標値からのずれが他の部分に比べ多少大きくなる傾向があるが、本願発明の実施に影響を及ぼすものではない。
Figure 2005205454
図2に戻ると、ちなみに8は被圧延材であり、熱間圧延ライン100は、加熱炉10、粗圧延機(Rougher)12(多くの場合4基で、そのうち一部(多くの場合1基)を往復圧延するものとし、残る3基が一方向圧延を行う3/4連続と呼ばれるタイプのものが多いが、4基中3基が一方向のタイプに限らず、本図2のように2基中1基が一方向のタイプも含め、3/4連続という)、クロップシャー14、デスケーリング装置16、仕上圧延機(Finisher)18、冷却ゾーン22、巻取り機(コイラー)24を順次配置している。図において、50は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータである。
圧延機には、エッジャーロールと水平ロール、各1対にて1つの圧延機を構成しているものが多い(図2中では第2粗圧延機R2がこれに該当)が、水平ロール1対の入側と出側双方に各1対のエッジャーロールを配して1つの圧延機を構成しているもの(図2中ではR1がこれに該当)もある。どちらの場合も、1つの被圧延材に対して、エッジャーロールによる圧延を行いつつ水平ロールによる圧延も行う、いわゆるタンデム状態での圧延を行うことができるようになっているのが一般的である。
しかし、エッジャーロールによる圧延を行いつつ水平ロールによる圧延もタンデム状態で行う場合、時間的に、エッジャーロールによる圧延が先で、水平ロールによる圧延が後になるようなタンデム状態で圧延を行うのが一般的である。
図2について言えば、R1は往復圧延が可能であり、入側と出側双方に各1対のエッジャーロールを配して1つの圧延機を構成している。奇数パス(熱間圧延ライン上流から下流に向かう方向に搬送する、正パス)では、入側のエッジャーロールと水平ロールでタンデム状態となり、偶数パス(熱間圧延ライン上流から下流に向かう方向とは逆の方向に搬送する、逆パス)では、出側のエッジャーロールと水平ロールでタンデム状態となるようにする。水平ロールによる圧延が先、エッジャーロールによる圧延が後になると、水平ロールよりも駆動電動機の出力の小さいエッジャーロールでは、必ずしも被圧延材を引張り勝手に制御できず、エッジャーロールによる圧延の際に、被圧延材に大きなキャンバ(上方から見た場合の曲がり)が発生する場合があるからである。
これに対し、図2中のR2は一方向にしか圧延ができず、入側に1対のエッジャーロールを配して1つの圧延機を構成している。1パス(奇数パスに該当する)しかしないから、入側のエッジャーロールと水平ロールでタンデム状態となるようにする。
本発明においては、水平ロールの間隙を開放してエッジャーロールによる圧延のみを行う原理上、キャンバ発生の気遣いはないから、正パスは勿論のこと、逆パスでも、エッジャーロールによる圧延のみを行って差し支えない。その際、エッジャーロールが水平ロールを挟んで入側と出側両方にある場合には、1対のエッジャーロールで圧延し、もう1対のエッジャーロールでピンチロール的に被圧延材を挟んで搬送するためだけに用いるのがキャンバの抑制上好ましい。水平ロールもピンチロール的に被圧延材を挟んで搬送するためだけに用いるのも好ましい(本発明にいう開放して、とはこの場合も含む意味とする)。
なお、本発明の実施の形態は、上記の例に限られるものではなく、例えば、奇数パスでだけエッジャーロールによる圧延を行う、あるいは偶数パスでだけエッジャーロールによる圧延を行う、等しても勿論良い。
図3に、R1,R2等の粗圧延機12による圧延の様子を拡大して模式的に示す。図3において、8はスラブ状の被圧延材、13はエッジャーロールを表わし、Wはスラブの幅、Hは厚さ、Lは長さを表わしている。幅圧下量(ΔW)は、エッジャーロール13による圧延の前後での幅変化量(W−W’)の目標値で定義した。また、エッジ割れの評価に関しては、コイル状に巻かれた高Ni合金鋼薄板製品を巻き戻して展開し、その長手方向全長に渡ってエッジ割れを観察し、その最大深さ(コイル状に巻かれた高Ni合金鋼薄板製品を巻き戻して展開したものを上方から見て、該高Ni合金鋼薄板製品の幅方向端部からエッジ割れの先端までの幅方向の距離)を用いて定量化した。
図1に示したように、エッジ割れ深さ(E)が5mmを超えると、次工程の冷間圧延の際に破断が発生し易くなるので、エッジ不良と見なされるレベルである。図1の中で、エッジ割れ深さ(E)が5mm以上の場合を×印、5mm未満の場合を○印で示している。
図1によると、幅圧下量が小さくなるとエッジ割れ深さ(E)が増大し、一方、幅圧下量が15mm以上になるとエッジ割れが抑制されることが分かる。従って、厚さ250mmの連続鋳造スラブの場合には、熱間圧延での最初の長手方向圧延の前に、少なくとも15mmの幅圧下量を確保することにより、次工程の冷間圧延の際に破断が発生しない程度にエッジ割れの発生を抑制できることが分かる。
幅圧下量の上限は特に規制するものではないが、現実に熱間圧延ラインで操業している実績からして、50mm以下とするのが好ましい。この現実的な実績は、標準的には粗圧延は7パス以下、まれに9パス程度の場合もあるが、そのうちのエッジャーロールによる圧延が可能なパス数となると更に減ることと、粗圧延が進んで最後の方のパスになると、厚さが薄くなり、いくらエッジャーロールで圧延しても、幅端部が増厚する(いわゆるドッグボーン)だけになる傾向が強くなって、幅圧下の効率が落ちることと、により概略50mm程度のレベルが上限として妥当である、と経験的に決まっている。
ここで、図1は、連続鋳造スラブの加熱温度が1230℃という条件のもとでの結果であるが、高Ni合金鋼に限らず鋼材では加熱温度が低いと変形抵抗が大きくなる関係にあり、このため、加熱温度が異なるとエッジャーロールによって同じ圧延荷重を付加して圧延を行っても、得られる幅圧下量(ΔW)が異なってくる。
図4に、連続鋳造スラブ(厚さ250mm、幅1000mm)の加熱温度を1170℃、1200℃、および1230℃としたときのエッジャーロールによる圧延における幅圧下量(ΔW)とエッジャー荷重の関係を示す。
図4より、連続鋳造スラブの加熱温度が低い場合には、同じ幅圧下量を確保するために大きなエッジャー荷重を付加することが必要となるわけであるが、エッジャー荷重には設備仕様上の上限があるため、所望の幅圧下量(ΔW)を確保できない場合が生じうる。このような場合、本発明では、水平ロールの間隙を開放してエッジャーロールによる圧延のみを行う回数を増やすことにより、所望の幅圧下量を確保することが可能となる。逆に連続鋳造スラブの加熱温度が高い場合には、同じ幅圧下量を確保でき、最初の圧延パスを含めた少なくとも1パス以上、水平ロールの間隔を開放してエッジャーロールによる圧延のみを行う限度において、その回数を減らすようにしてもよい。1回の幅圧下量は、次に述べる実験結果との関連で15mm以上50mm以下に抑えるのが好ましい。このように、連続鋳造スラブの加熱温度に応じて、エッジャーロールによる圧延のパス回数を調整することも本発明では好ましい。
図5に、36質量%のNiを含む高Ni合金鋼において、厚さ250mm、幅10
00mmの連続鋳造スラブを用いて、1170℃に加熱したのち最初の水平圧延の前にエ
ッジャーロールによる圧延を行ったときの幅圧下量(ΔW)と、熱間圧延終了後のコイル
状に巻かれた高Ni合金鋼薄板製品を巻き戻して展開したものを上方から見て観察した、
該高Ni合金鋼薄板製品のエッジ割れ深さ(E)との関係を示す。エッジ割れは、製品を上方から見た場合に、左右の幅エッジに発生しているが、それらのうちの最大の幅方向深さをエッジ割れ深さとした。
図5の×プロットはエッジャーロールによる圧延が1パスの場合、●プロットはエッジ
ャーロールによる圧延が2パスの場合、■プロットはエッジャーロールによる圧延が3パ
スの場合である。図5の例では、エッジャーロールの荷重上限から制約される幅圧下量の上限は1パスあたり10mmであり(厳密には被圧延材の温度により異なるが、100℃内外の温度の違いでは実際上殆ど変わらない)、エッジャーロールによる圧延が1パスだけだと次工程の冷間圧延の際に破断が発生しない程度にエッジ割れを抑制できなかったが、エッジャーロールによる圧延を2パスないし3パス行った場合には、必要な幅圧下量は確保できて、次工程の冷間圧延の際に破断が発生しない程度にエッジ割れの発生を抑制できていることがわかる。
図5中に示した、1パス圧延とは、R1での1パス目に行ったエッジャーロールによる圧延を示し、2パス圧延とは、R1での3パス目、3パス圧延とは、R2での1パス目に行ったエッジャーロールによる圧延をそれぞれ示す。このとき偶数パスではエッジャーロールによる圧延は行わなかった。水平ロールによる圧延は表1に示したパススケジュールのうち、厚さに関するものを踏襲した。ここでの例の通り、計3パスのエッジャーロールによる圧延のうち、最初の圧延パスを含めた少なくとも1パス(R1での1パス目)を最初の水平ロールによる圧延よりも前に行えば、他のエッジャーロールによる圧延(R1での3パス目とR2での1パス目)の間に、水平ロールによる圧延が介在したとしても、エッジ割れの抑制に効果があることがわかる。
先述の図1およびこの図5の関係は、表5に示す36質量%のNiを含む高Ni合金鋼に限らず、Niを20〜85質量%含む、次に述べるような高Ni合金鋼について成り立つことが、ここに示さない別途の実験により確認されている。
それらの高合金鋼は、表2に示すような、主にICリードフレームに用いられる42質量%のNiを含む高Ni合金鋼、表3に示すような、主にバイメタルに用いられる20質量%のNiを含む高Ni合金鋼、及び、表4に示すような、主に磁気シールドなどの電子材料に用いられる85質量%のNiを含む高Ni合金鋼等である。表5に示すブラウン管シャドウマスクに用いられる36質量%のNiを含む高Ni合金鋼も、それらと共に本発明で対象とする高Ni合金鋼に含まれる。
Figure 2005205454
Figure 2005205454
Figure 2005205454
Figure 2005205454
本発明を、先述の図2に示した2基の粗圧延機(長手方向圧延用)R1,R2及び7基の仕上圧延機(長手方向圧延用)F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7を備えた帯鋼の熱間圧延ライン100にて実施した結果について説明する。
高Ni合金鋼として、表5に示す鋼No.4の化学組成(質量%)を有する連続鋳造スラブを使用した。表6に、スラブ寸法、圧延の条件及びエッジ割れの評価結果を示す。
Figure 2005205454
実施例及び、比較例及び従来例とも、スラブの長さを共通にし、スラブの幅については後述の幅圧下量に相当する分を予め上乗せした寸法とした。加熱温度は、1170℃、1200℃、1230℃の三水準とした。
実施例1では、厚さ250mmの連続鋳造スラブを用い、水平ロールを開放して水平圧延の前にエッジャーロールで2パス圧延し、それぞれ8mmと7mmの計15mmの幅圧下量を確保し、その後、粗圧延での総圧下率を86%、仕上圧延での総圧下率を90%として長手方向圧延を行い、3.5mmの厚さまで圧下して幅1000mmの熱延鋼帯としてコイル状に巻き取った。
実施例2では、同様にエッジャーロールで2パス圧延し、それぞれ10mmづつ計20mmの幅圧下量を確保し、その他は実施例1と同じ条件で熱間圧延を行った。
実施例3〜6では、エッジャーロールで3パス圧延し、それぞれ10mmづつ計30mmの幅圧下量を確保し、その他は実施例1と同じ条件で熱間圧延を行った。
このときのパススケジュールを表7に示す。
Figure 2005205454
また、実施例4〜6は、それぞれ表2〜4に示した鋼No.1〜3について、実施例3と同じ条件で熱間圧延を行った。
一方、比較例では、厚さ250mmの連続鋳造スラブを用い、熱間圧延の前にエッジャーロールで10mmの幅圧下量を確保する1パスの圧延だけを行い、その他の条件は実施例1〜3と同じにした。ここで、幅圧下量10mmは圧延荷重から制約される上限である。従来例では、エッジャーロールによる圧延を行わず、その他の条件は実施例1〜3と同じにした。
仕上圧延後、熱延鋼帯としてコイル状に巻き取った高Ni合金鋼帯のエッジ割れの評価は、コイル状に巻かれた高Ni合金鋼薄板製品を巻き戻して展開したものを上方から見て観察した、該高Ni合金鋼薄板製品の長手方向全長の中で、左右に発生しているエッジ割れのうちの最大の幅方向深さであったものについて、高Ni合金鋼薄板製品の幅方向端部からエッジ割れの先端までの幅方向の距離(E)を測定することによって行った。表6の中には、エッジ割れ深さ(E)の測定結果も示されている。ここで、エッジ割れの評価として、エッジ割れ深さ(E)が5mm未満の場合を良好(○印)、5mm以上の場合を不良(×印)とした。実施例1〜6では、いずれでもエッジ割れの評価は良好(○印)であったが、比較例、従来例では不良(×印)であった。
なお、前記説明においては、本発明が、図2に示した熱間圧延ラインに適用されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されない。
エッジャーロールによる圧延を行ったときの連続鋳造スラブの幅圧下量と、該高Ni合金鋼薄板製品のエッジ割れ深さとの関係の例を示す図 本発明を適用すべき熱間圧延ラインの一例を示す工程図 エッジャーロールによる圧延の様子を拡大して模式的に示す斜視図 連続鋳造スラブの加熱温度と幅圧下量とエッジャー荷重の関係の一例を示す図 複数パスのエッジャーロールによる圧延を行ったときの連続鋳造スラブの幅圧下量と、該高Ni合金鋼薄板製品のエッジ割れ深さとの関係の例を示す図
符号の説明
8…被圧延材(スラブ)
10…加熱炉
12…粗圧延機
13…エッジャーロール
14…クロップシャー
16…デスケーリング装置
18…仕上圧延機
22…冷却ゾーン
24…コイラー
50…制御装置、
70…プロセスコンピュータ、
90…ビジネスコンピュータ
100…熱間圧延ライン

Claims (2)

  1. Niを20質量%以上85質量%以下含む高Ni合金鋼の連続鋳造スラブの熱間圧延方法であって、少なくとも1基のエッジャーロールと水平ロールを備えた圧延機を用いて、最初の圧延パスを含めた少なくとも1パス以上、エッジャーロールによる圧延のみを行うことを特徴とする高Ni合金鋼連続鋳造スラブの熱間圧延方法。
  2. 前記連続鋳造スラブの加熱温度に応じて、前記エッジャーロールによる圧延のパス回数を調整することを特徴とする請求項1に記載の高Ni合金鋼連続鋳造スラブの熱間圧延方法。
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