JP7104460B2 - 熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせ - Google Patents

熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせ Download PDF

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本発明は、印字(印画)をするための熱転写記録媒体に関するものであり、詳しくは、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるプラスチックへ印字を行うための熱転写記録媒体、およびそれを用いた印字方法に関するものである。
従来から、特許文献1などで、包装用シートへの印字を行うための熱転写記録媒体が提案されている。包装用シートとしては、一般的に半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを使用する。特許文献1では、包装用シートの材質として、このような半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを使用した場合に、シート状の紙及び/又はプラスチックに生じる熱転写時のシワの発生を防止した熱転写記録媒体が提案されている。
包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックには、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムなどのプラスチックと、ポリエチレンラミネートセロファン紙やポリエチレンラミネートグラシン紙などの紙とがある。プラスチックは表面が平滑であるので、薄い着色層でもプラスチック表面に確実に転写されて、しっかりと定着する。これに対して、紙は表面に微細な凹凸があるため、薄い着色層では、表面の凹凸により確実に転写できないために、着色層がしっかりと定着することができず、転写不良が発生することがあった。
このような問題を解決して、プラスチックと紙の両方に転写不良なく確実に着色層を転写して定着させる方法としては、着色層自体を厚くすることが考えられる。しかしながら、着色層を厚くすると、印字前に着色層が基材から剥離することや、着色層の凝集破壊によって印字不良となる、所謂ブロッキングが発生しやすくなるという問題がある。
ところで、包装用シートとして使用されるシート状の紙及び/又はプラスチックなどの被印字物は透明又は半透明であるので、隠蔽性が低く光が透過しやすい。このため、熱転写記録媒体を用いて、隠蔽性の低い薄い色の着色層をこれらの透明又は半透明の被印字物に熱転写した場合には、印字された着色層とその背後にある被印字物の両方が光を透過するために、印字した箇所が、意図した色に見えないという問題(以下、この性質を色再現性が低いと言う。)もあった。このような問題を解決する方法としては、これらの透明又は半透明の被印字物上に転写する熱転写記録媒体の着色層をさらに厚くすることが考えられるが、転写する着色層をさらに厚くすれば、前記のようなブロッキングがさらに発生しやすくなることや、熱転写プリンターの印字エネルギーを大きくする必要があるために、これらの透明又は半透明の被印字物への印字によるシワの発生を、助長するおそれもある。
一方、包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを被印字物とする場合には、特許文献1で課題としているように、印字により被印字物にシワが発生し易いという問題がある。したがって、このような用途に使用する熱転写記録媒体では、熱転写時の基材からの着色層の剥離力が小さく設定される。基材からの着色層の剥離力が大きいと、印字時に着色層が基材から剥離する際に、基材に被印字物が引っ張られて、シワが発生し易くなるからである。このように、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを被印字物とする場合には、基材からの熱転写時の着色層の剥離力を小さく設定する必要があるので、着色層を厚くすると、ブロッキングが非常に発生し易くなる。
ブロッキングは、ロール状に巻き上げられた熱転写記録媒体がロールから繰出される際に、着色層が基材の反対面と接着することにより、着色層が剥ぎ取られて、印字することができなくなることである。ロール状に巻き上げられることによって、熱転写記録媒体の着色層などの転写層は、基材の反対面と接した状態となっている。着色層が厚くなると着色層自体が脆くなり、熱転写記録媒体がロール状に巻き上げられた際に、ブロッキングが発生し易くなる。
プラスチックと紙の両方に、転写不良なく確実に着色層を転写して定着させる方法としては、被印字物との接着力を増加させるための接着層を着色層上に設けることも考えられる。また、上記の色再現性を改善する方法として、特許文献2では、熱転写記録媒体の着色(インキ)層上に白色隠蔽層を設けることが提案されている。前記接着層を、このような白色隠蔽層とすることによって、隠蔽性の低い薄い色の着色層でも被印字物の色に係わらず、高い色再現性を有するものとすることができる。すなわち、白色隠蔽層は着色(インキ)層とともに被印字物に転写され、転写された着色(インキ)層と被印字物の間に、白色隠蔽層があるので、隠蔽性の低い薄い色の着色層でも受像紙の色に係わらず、高い色再現性を有するものとすることができる。
しかしながら、着色層上に単に白色隠蔽層を設けただけでは、前記のような被印字物の印字によるシワ、ブロッキングを、色再現性と同時に解決することは困難であった。すなわち、被印字物の印字によるシワを解決するために、基材からの着色層の剥離力を小さくすると、ブロッキングが発生し易くなる。また、白色隠蔽層を白色に着色するために酸化チタン等の粒子を含有させると、白色隠蔽層の比熱が大きくなり、着色層に比べて溶融し難く、このような場合には、被印字物として紙を使用した場合には、白色隠蔽層が紙表面の微細な凹凸に確実に定着できないために、転写不良が発生することがある。また、着色層に、特に隠蔽性の低い薄い色を使用した場合には、印字時に着色層と白色隠蔽層が溶融して混じり合うことにより、印字された着色層の色が当初の色から変化して、色再現性がより損なわれることもあった。
特開2015-74127公報 実開昭63-87048公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、包装用シートとして使用される半透
明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへの印字
を行うためのプリンターなどのように、特に印字時にシワが発生しやすい被印字物に印字
するプリンターに用いられても、簡単な構成で、下記ア~オの5点の課題を同時に解決す
ることできる熱転写記録媒体を提供することである。
(ア)印字時に被印字物にシワが発生しない。
(イ)被印字物として、プラスチックと紙の両方への印字性能が良好である。
(ウ)セロファン紙、グラシン紙、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムなど半透明
または透明な被印字物に、隠蔽性の低い薄い色の着色層を転写した場合であっても、
転写された着色層の色が意図した色にみえる。(色再現性が高い。)
(エ)着色層などの転写層のブロッキングが発生しない。
(オ)転写時の印字の切れがよく、転写時の印字のつぶれがない。
第1発明は、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターに使用する熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせであって、前記熱転写記録媒体はワックスを主成分とし、さらに接着性樹脂を含有する着色層を直接基材に積層し、前記着色層上に、最外層としてワックスと酸化チタン粒子を主成分とする白色隠蔽層が積層され、前記着色層の厚さが1.6μm以上2.4μm以下であり、前記基材からの前記着色層の下記剥離力測定条件にて測定した剥離力が0.049N/12mm幅以上、0.147N/12mm幅以下であり、前記白色隠蔽層中の前記酸化チタン粒子の含有量が、当該層の固形分中の30重量%以上70重量%以下であり、前記被印字物は、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックであり前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックは、セロファン紙、グラシン紙、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムであり、前記熱転写プリンターが薬剤分包装置に搭載されているプリンターであり、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックが二つ折りされた包装用シートである熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせである
(剥離力測定条件)
測定環境:常温、常湿
剥離装置:表面性測定機 HEIDON-14 新東科学社製
剥離速度:200mm/分
測定する試料幅:12mm
測定手順:前記熱転写記録媒体の前記白色隠蔽層に、12mm幅にカットした日東電工製No.31B粘着テープの粘着面を貼り合せて、測定試料を作製する。前記粘着テープ側を上にして、前記測定試料を水平面上に置いた状態で、前記粘着テープの上から質量2kgのロールを1往復させた後、10分間放置する。10分間放置した前記測定試料を前記剥離装置の固定具にセットし、前記熱転写記録媒体からの前記粘着テープの剥離角度が180°となるように前記粘着テープを引き出すことによって、前記着色層を前記基材から剥離して剥離力を測定する。
第2発明は、前記着色層が、前記接着性樹脂を固形分中の1重量%以上20重量%以下含有する第1発明に記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせである
第3発明は、前記接着性樹脂がエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂である第1発明又は第2発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせである
第4発明は、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターで印字する方法であって、第1発明~第3発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせを用いる印字方法である。

本発明者らは、ワックスと酸化チタン粒子を主成分とするとともに、酸化チタン粒子の含有率が特定の値である白色隠蔽層を、ワックスを主成分とし接着性樹脂をさらに含有する着色層上の最上層に積層すること(以下、これを、本発明の熱転写記録媒体の層構成の特徴と言う)によって、ワックスを主成分とする剥離力が小さな着色層でも、ブロッキングが発生せず、また同時に、白色隠蔽層の十分な隠蔽性と、熱転写時の白色隠蔽層の良好なキレ性を両立できることを見出した。さらには、本発明者らは、本発明の熱転写記録媒体の層構成の特徴によって、被印字物として表面が平滑なフィルムだけでなく、表面の微細な凹凸がある紙に対しても、白色隠蔽層と着色層が確実に転写して、しっかりと白色隠蔽層が定着し、かつ、着色層に接着性樹脂を含有させることにより白色隠蔽層よりも融解熱量を高くしているので、転写時に白色隠蔽層と着色層が混色せず、転写された着色層の色再現性が良好になることを見出した。また、本発明の熱転写記録媒体では、着色層の基材からの剥離力を小さくすることができるので、熱転写時の被印字物のシワの発生を抑制することもできる。
この結果、本発明の熱転写記録媒体では、包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへの印字を行うためのプリンターなどのように、特に印字時にシワが発生しやすい被印字物に印字するプリンターに用いられても、簡単な構成で、下記ア~オの5点の課題を同時に解決することできる熱転写記録媒体を提供することができる。
(ア)印字時に被印字物にシワが発生しない。
(イ)被印字物として、プラスチックと紙の両方への印字性能が良好である。
(ウ)セロファン紙、グラシン紙、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムなど半透明
または透明な被印字物に、隠蔽性の低い薄い色の着色層を転写した場合であっても、転
写された着色層の色が意図した色にみえる。(色再現性が高い。)
(エ)着色層などの転写層のブロッキングが発生しない。
(オ)転写時の印字の切れがよく、転写時の印字のつぶれがない。
以下に本発明の熱転写記録媒体を、さらに詳しく説明する。
本発明の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に直接着色層を設け、前記着色層上の最外層として白色隠蔽層を積層したものである。
(基材)
本発明の熱転写記録媒体の基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の熱転写記録媒体の基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。基材の厚さは通常は1~10μm程度であり、熱伝達を良好にするためには、1~6μmの範囲が好ましい。
(着色層)
本発明の熱転写記録媒体では、後述する白色隠蔽層を着色層上の最外層に積層すること、及び基材からの着色層の剥離力を0.049N/12mm幅以上、0.147N/12mm幅以下とすることにより、離型層等を介さず、直接基材に着色層を積層することができる。基材からの着色層の剥離力が0.049N/12mm幅未満になるとブロッキングが発生し易くなり、0.147N/12mm幅を超えると、被印字物である透明又は半透明であるシート状の紙及び/又はプラスチックに印字によるシワが発生し易くなるとともに、着色層の被印字物に対する転写不良が発生し易くなる。
本発明の熱転写記録媒体の着色層は、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルと着色剤とからなる熱転写される層である。本発明では、前記ビヒクルは、ワックス類を主成分とするものであり、1種類のワックス類を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、着色層に接着性樹脂を含有させることにより、熱転写時の基材からの着色層の剥離力を調整するとともに、白色隠蔽層よりも着色層の融解熱量を高くして、熱転写時の白色隠蔽層と着色層の混色を防止して、転写される着色層の色が変化しないようにしている。また、種々の目的のために、添加剤を適宜使用してもよい。
着色層の主成分である前記ワックス類としては、たとえばラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、合成エステルワックス、ポリエチレンワックス、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体ワックス、ウレタン化ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成石油ワックスなどの合成ワックスなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ワックス類の着色層中における含有量は、40~90重量%が好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン‐プロピレンゴム等のポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチルセルロース、トリ酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。熱転写時の着色層の基材からの剥離力の調整が容易であるという点では、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、好ましい。
着色層中の接着性樹脂の含有量を調整することによって、着色層の基材からの剥離力を0.049N/12mm幅以上、0.147N/12mm幅以下とすることができる。当該剥離力が、0.049N/12mm幅以上、0.147N/12mm幅以下となることによって、熱転写時にシワが発生し易いシート状の紙及び/又はプラスチックを被印字物としても、熱転写による被印字物のシワの発生を防止することができる。
前記のように、着色層に接着性樹脂を含有する目的は、基材からの着色層の剥離力を調整することと、熱転写時の着色層の融解熱量を白色隠蔽層よりも高くすることである。熱転写時の着色層の融解熱量を白色隠蔽層よりも高くすることによって、熱転写時に白色隠蔽層を確実に溶融させることができる。熱転写時に、白色隠蔽層は確実に溶融されるので、被印字物としてセロファン紙やグラシン紙などの紙を用いた場合に、溶融した白色隠蔽層インクが紙表面の微細な凹凸の内部に入り込み、確実に被印字物に定着する。また、熱転写時の着色層の融解熱量を白色隠蔽層よりも高くすることによって、熱転写時に白色隠蔽層インクと着色層インクが混じり合いにくくなる。したがって、着色層インクに薄い色のインクを使用しても、熱転写時に白色隠蔽層インクと着色層インクが混じり合って、印字された着色層インクが熱転写記録媒体上にある着色層インクと異なる色となるようなことは無い。着色層の接着性樹脂含有割合は、着色層の固形分中の1重量%以上20重量%以下が好ましい。着色層の接着性樹脂含有割合が1重量%未満になると、ブロッキングが発生するとともに、熱転写時の着色層の融解熱量を白色隠蔽層よりも高くすることができない。着色層の接着性樹脂含有割合が20重量%を超えると、熱転写時の基材からの着色層の剥離力が大きくなって、印字による被印字物のシワが発生する。
着色層に使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を使用する場合には、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」という。)が好ましくは10~1000g/10minである。前記MFRが10g/10min未満であると着色層が固くなり、熱転写時の着色層のキレが悪くなり、転写不良(印字不良)となる。前記MFRが1000g/10minを超えると、ブロッキングが発生し易くなるほか、着色層が溶融し易くなり、接着性樹脂としてエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含有させて、熱転写時に着色層を白色隠蔽層に比べて溶融し難くする効果が達し得ない。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の例としては、三井デュポンポリケミカル(株)製EVAFLEX-EV420(酢酸ビニル含量:19質量%、MFR150g/10min)、三井デュポンポリケミカル製EVAFLEX-V577(酢酸ビニル含量:19質量%、MFR800g/10min)、三井デュポンポリケミカル製EVAFLEX-EV220(酢酸ビニル含量:28質量%、MFR150g/10min)、三井デュポンポリケミカル製EVAFLEX-EV205WR(酢酸ビニル含量:28質量%、MFR800g/10min)などが挙げられる。前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は1種又は2種以上を用いることができる。
前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。
前記着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、ブラックをはじめとして、すべての色の着色剤が使用可能であり、この種の熱転写される着色層で一般に使用されている有機、無機の着色顔料、染料などが使用できる。着色剤の着色層中における含有量は、10~30重量%が好ましい。着色剤の着色層中における含有量が、10重量%未満になると、色が薄くなりすぎて、転写した着色層に十分な濃度が得られない。着色剤の着色層中における含有量が30重量%を超えると、着色層が脆くなり着色層が基材から剥がれ易くなって、ブロッキングが発生する。
着色層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、1.6μm以上2.4μm以下が好ましい。着色層の色にもよるが、着色層の厚みが1.6μm未満になると十分な印字濃度が得られず好ましくない他、転写時に着色層が溶融し易くなり、印字が潰れることがある。また、着色層の厚みが2.4μmを超えると、ブロッキングが発生しやすくなるとともに、熱転写時の着色層のキレが悪くなって転写性が低下するので、好ましくない。
本発明の熱転写記録媒体であれば、前記のとおり、半透明または透明な被印字物に、隠蔽性の低い薄い色の着色層を転写した場合であっても、転写された着色層の色が意図した色にみえる。ここで言う隠蔽性の低い薄い色の着色層とは、透過濃度が0.3未満となる着色層である。着色層の透過濃度は次のような測定方法で測定することができる。すなわち、透過濃度が0.1未満の透明基材上に着色層のみを積層した状態で、X-Rite社製361T(V)を使用して、着色層の透過濃度を測定する。本発明の熱転写記録媒体では、前記のように着色層に30重量%を超えて着色剤を含有することは好ましくなく、かつ、着色層の厚みが2.4μmを超えることも好ましくない。このため、本発明の着色層は、前記の方法で測定した透過濃度が0.3未満の薄い色となる。このような隠蔽性の低い薄い色の着色層であっても、本発明の熱転写記録媒体であれば、転写された着色層の色が意図した色に見える高い色再現性を発揮することができる。
(白色隠蔽層)
本発明の熱転写記録媒体では、前記着色層上の最外層として、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルとしてのワックス類と、酸化チタン粒子を主成分として含有する白色隠蔽層が積層される。白色隠蔽層は、ビヒクルとしてのワックス類は1種を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、種々の目的のために熱可塑性樹脂や、添加剤を適宜使用してもよい。
白色隠蔽層に使用するワックス類としては、たとえばラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、合成エステルワックス、ポリエチレンワックス、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体ワックス、ウレタン化ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成石油ワックスなどの合成ワックスなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ワックス類の白色隠蔽層中における含有量は、23~65重量%が好ましい。ワックス類の白色隠蔽層中における含有量が、23重量%未満になると、被印字物が紙である場合の、白色隠蔽層の被印字物に対する定着性が悪くなり、印字不良となる。ワックス類の白色隠蔽層中における含有量が、65重量%を超えると、白色隠蔽層中に含有できる酸化チタンの割合が低下し、隠蔽性が低下する。
前記白色隠蔽層中の酸化チタン粒子の含有量は、当該層の固形分中の30重量%以上70重量%以下が好ましく、前記酸化チタン粒子の平均粒子径は0.1~1.0μmが好ましい。白色隠蔽層中の酸化チタン粒子の含有量が当該層の固形分中の30重量%未満になると、白色隠蔽層が基材の反対面に積層された耐熱滑性層と密着し易くなり、ブロッキングが発生し易くなる。また、白色隠蔽層中の酸化チタン粒子の含有量が30重量%未満になると、白色隠蔽層の十分な隠蔽性が確保できないため、転写した着色層が透けて、意図した色に見えなくなるとともに、転写時の白色隠蔽層のキレが悪くなる。白色隠蔽層中の酸化チタン粒子の含有量が当該層の固形分中の70重量%を超えると、白色隠蔽層の被印字物への定着力が低下して、転写不良(印字不良)となる。酸化チタン粒子の平均粒子径が1.0μmを超えると、白色隠蔽層の被印字物への定着力が低下して、転写不良(印字不良)となる。また、酸化チタン粒子の平均粒子径が0.1μm未満になると、白色隠蔽層が耐熱滑性層と密着し易くなり、ブロッキングが発生し易くなる。白色隠蔽層の厚みは、0.3μm以上0.7μm以下が好ましい。白色隠蔽層の厚みが0.3μm未満になると、前記の好ましい平均粒径の酸化チタン粒子を、前記の好ましい含有割合で白色隠蔽層に含有したとしても、白色隠蔽層の十分な隠蔽性が確保できないため、転写した着色層が透けて、意図した色に見えなくなるほか、白色隠蔽層の被印字物への定着力が低下して、転写不良(印字不良)となる。また、白色隠蔽層の厚みが、0.7μmを超えると、熱転写時に白色隠蔽層中の熱伝達性が悪くなり、白色隠蔽層が十分に溶融せず、被印字物への転写不良が発生し易くなる。
白色隠蔽層に添加する熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)としては、着色層において接着性樹脂として例示した熱可塑性樹脂のほか、公知のものが使用可能であり、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、白色隠蔽層の融解熱量が高くなることによって、熱転写時に着色層よりも白色隠蔽層が溶融し難くなって、被印字物が紙である場合の定着性が低下したり、白色隠蔽層と着色層が混色し易くなる程度まで、熱可塑性樹脂を含有することは好ましくない。
また、白色隠蔽層に添加する添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤、粒子分散剤などがあげられる。
(中間層)
白色隠蔽層は着色層に直接積層してもよいし、本発明の解決しようとする課題に対する効果を阻害する中間層でなければ、着色層に他の中間層を介して白色隠蔽層を積層してもよい。このような中間層としては、着色層への白色隠蔽層の接着性を向上するための易接着層などが例示される。中間層の厚みが厚くなると、ブロッキングを助長するおそれがあるため、中間層を設ける場合には、中間層の厚みは0.5μm以下が好ましい。中間層が0.5μmを超えると、中間層が熱転写時の熱伝達の阻害要因となり、白色隠蔽層表面が十分に溶融せず、被印字物への転写層(白色隠蔽層、中間層、及び着色層)の転写不良が発生し易くなる。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写記録媒体では、基材の着色層を設けた面の反対面に耐熱滑性層を設ける。耐熱滑性層を設けることにより、印字時のプリンターの転写ヘッドによる基材のダメージを少なくすることができる。耐熱滑性層を設けることにより、基材のダメージが少なくなるので、印字時に転写ヘッドが基材に貼りついてスムースに移動できなくなる、所謂スティックを防止することができる。
本発明の耐熱滑性層の材料としては、熱転写記録媒体で従来から採用されているものが特に制限無く使用できる。サーマルヘッドに対する耐熱性、高温時での動摩擦係数を小さくする点やコストを考慮すると、これらの中でも、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、またはその混合物が、耐熱滑性層の材料として特に好ましい。
本発明の耐熱滑性層には、滑剤、帯電防止剤などその他の添加剤を配合してもよい。
本発明の耐熱滑性層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、良好なスティック防止効果を達成しかつ熱伝導性の悪化を防止する点から、0.05~ 0.8μmが好ましい。耐熱滑性層の厚みが0.05μm未満では、耐熱性が不十分で印字時にスティックが発生することや、基材が溶融して印字不能となることがある。0.8μmを超えると、熱伝導性が悪化して印字に支障をきたすことがある。
本発明の被印字物である半透明のシート状の紙及び/又は透明又は半透明のシート状のプラスチックとしては、セロファン紙、ポリエチレンラミネートセロファン紙、グラシン紙、ポリエチレンラミネートグラシン紙、などの紙や、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどフィルムである従来公知の包装用材料として使用される紙及び/又はプラスチックを使用することができる。
本発明の熱転写記録媒体は、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを、二つ折りした状態で印字する薬剤分包機等にも使用することができる。被印字物として、1枚のシートを折らずに走行させるプリンターに比べ、シートを二つ折りした状態で走行させる薬剤分包機等に使用されるプリンターは、印字により被印字物にシワが発生し易い。前記の二つ折りした状態とは、プリンター上でシートが走行するときに、シートの走行方向に対するシートの左右両端を重ねるように、シートを二つ折りした状態である。このように、シートを二つ折りにするために、シートの走行方向に対する左右で、シートの張力差が発生し易くなり、シートにシワが発生し易くなるのである。なお、このような薬剤分包機等では、シートを二つ折りした状態で重ね合わせたシートの両端をシールすることによりシートを筒状として、筒の内部に薬剤などの被包装物を収納する。
本発明の熱転写記録媒体を用いて印字される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックの引張り弾性率は、400MPa以上2000MPa以下が好ましい。引張り弾性率が400MPa未満になると、プリンターによる張力でシートが伸びることがあるため、使用できない。一方、引張弾性率が2000MPaを超えるシートは、シートが厚すぎるか硬過ぎるために、包装用途には適さない。また、引張り弾性率が2000MPaを超えると、特にシワの対策を講じなくても、プリンターによる印字でシートにシワが発生することがないので、本発明の熱転写記録媒体を使用する必要がない。
本発明を、以下の実施例1~14、比較例1~6を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。
(実施例1)
(着色層)
下記処方の材料を混練して赤色の着色層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 64.53部
分散剤(固形分100%) 4.52部
粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、固形分100%)4.98部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量28質量%) 21.21部
赤色顔料(固形分100%) 13.52部
溶剤(トルエン) 225.0部
(白色隠蔽層)
下記処方の材料を混練して白色隠蔽層インクを作製し、乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して前記着色層上に塗布、乾燥させて白色隠蔽層を着色層上に積層した。
カルナバワックス (融点99℃ 固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 6.05部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(耐熱滑性層)
下記処方の材料を混練して耐熱滑性層インクを作成し、乾燥後の厚みが0.2μmになる様に調整して前記着色層、前記白色隠蔽層を積層した面の反対の基材面に塗布乾燥させて耐熱滑性層を作製し、熱転写記録媒体を作製した。
シリコーン変性ウレタン樹脂 25部
(大日精化工業社製 ダイアロマー、固形分20%)
イソシアネート 3部
溶剤(MEK) 140部
溶剤(トルエン) 25部
(実施例2)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 64.53部
分散剤(固形分100%) 4.52部
粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、固形分100%)4.98部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量28質量%) 1.33部
赤色顔料(固形分100%) 13.52部
溶剤(トルエン) 225.0部
(実施例3)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 64.53部
分散剤(固形分100%) 4.52部
粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、固形分100%)4.98部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量28質量%) 10.27部
赤色顔料(固形分100%) 13.52部
溶剤(トルエン) 225.0部
(実施例4)
実施例1から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃ 固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 13.47部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例5)
実施例2から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例2と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 13.47部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例6)
実施例3から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 13.47部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例7)
実施例1から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 2.72部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例8)
実施例2から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例2と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 2.72部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例9)
実施例3から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 2.72部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(実施例10)
実施例3から、着色層に配合するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を下記に示すものに変更した以外は、実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量19質量%)
(実施例11)
実施例3から、着色層に配合するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を下記に示すものに変更した以外は、実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂
(MFR150g/10min)(固形分100%)
(酢酸ビニル含有量28質量%)
(実施例12)
実施例3から、着色層に配合するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を下記に示すものに変更した以外は、実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂
(MFR150g/10min)(固形分100%)
(酢酸ビニル含有量19質量%)
(実施例13)
実施例3から、着色層の厚みを2.3μmに変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(実施例14)
実施例3から、着色層の厚みを1.7μmに変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(比較例1)
実施例3から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 64.53部
分散剤(固形分100%) 4.52部
粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、固形分100%)4.98部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量28質量%) 24.69部
赤色顔料(固形分100%) 13.52部
溶剤(トルエン) 225.0部
(比較例2)
実施例3から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
ポリエチレンワックス(融点99℃、固形分100%) 64.53部
分散剤(固形分100%) 4.52部
粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、固形分100%)4.98部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分100%)
(MFR800g/10min)
(酢酸ビニル含有量28質量%) 0.26部
赤色顔料(固形分100%) 13.52部
溶剤(トルエン) 225.0部
(比較例3)
実施例3から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 15.56部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(比較例4)
実施例3から、白色隠蔽層を以下の処方に変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点99℃、固形分30%水溶液)17.50部
酸化チタン粒子
(平均粒子径0.23μm、固形分100%) 2.35部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ、固形分100%) 0.80部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(比較例5)
実施例3から、着色層の厚みを2.8μmに変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(比較例6)
実施例3から、着色層の厚みを1.2μmに変更した以外は実施例3と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(基材からの着色層の剥離力)
実施例1~14、比較例1~6で作製した熱転写記録媒体を12mm幅の短冊状にカットして、着色層を基材から剥がす際の剥離力を下記条件で測定した。評価結果を表1~表3に示す。
(剥離力測定条件)
測定環境:常温、常湿
剥離装置:表面性測定機 HEIDON-14 新東科学社製
剥離速度:200mm/分
測定する試料幅:12mm
測定手順:熱転写記録媒体の白色隠蔽層に、12mm幅にカットした日東電工製No.31B粘着テープの粘着面を貼り合せて、測定試料を作製する。粘着テープ側を上にして、測定試料を水平面上に置いた状態で、粘着テープの上から質量2kgのロールを1往復させた後、10分間放置する。10分間放置した測定試料を剥離装置の固定具にセットし、熱転写記録媒体からの粘着テープの剥離角度が180°となるように粘着テープを引き出すことによって、着色層を基材から剥離して剥離力を測定する。
(着色層の透過濃度評価)
実施例1~14、比較例1~6の着色層のみを、基材として用いた4.5μmの透明PETフィルム上に乾燥後の着色層の厚みが各実施例、各比較例と同じになるように塗布、乾燥させて、着色層の透過濃度測定用熱転写記録媒体を作成した。透過濃度測定用熱転写記録媒体作製に用いた透明PETフィルムと、各実施例と各比較例の透過濃度測定用熱転写記録媒体上の着色層の透過濃度を、X-Rite社製361T(V)を使用して測定した。測定結果は、透明PETフィルムが0.1未満であり、実施例1~14と比較例1~5の透過濃度測定用熱転写記録媒体の着色層が、すべて0.2以上0.3未満の範囲内であり、比較例6のみが、0.2未満となった。
(ブロッキング評価)
実施例1~14、比較例1~6で作製した熱転写記録媒体を100mm幅の短冊状にカットしつつ、熱転写記録媒体の長手方向に40mN/mm幅の張力が作用した状態で、外径17mmのコアに100mを巻き、60℃の雰囲気中に4日間置き、常温に取り出して1日以上放置した後に、熱転写記録媒体を50mm/秒で巻き出しながらブロッキングの有無を確認する。評価結果を表1~3に示す。
◎:耐熱滑性層と白色隠蔽層が全くブロッキングしていない。
○:耐熱滑性層と白色隠蔽層が僅かにブロッキングしているが、目視確認では、白色隠蔽層が耐熱滑性層側に移行していない。
×:耐熱滑性層と白色隠蔽層がブロッキングし、白色隠蔽層の耐熱滑性層側への移行が目視で確認された。
ブロッキング評価が×となった実施例、比較例については、下記印字シワ以降の評価は実
施しない。
次に、被印字物のシワ、印字された色の再現性、印字のキレ性、及び印字のつぶれの比較評価をするために、実施例1~14、比較例1~6で作製した熱転写記録媒体を、高園産業株式会社製の薬剤分包装置の熱転写プリンターを使用して印字した。被印字物としては、引張り弾性率600MPaの二軸延伸されたポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、引張り弾性率500MPaのポリエチレンラミネートセロファン紙(印字はセロファン紙側にする)、及び引張り弾性率500MPaポリエチレンラミネートグラシン紙(印字はグラシン紙側にする)の3種類包装用シートを使用した。印字パターンとしては、幅5mm、長さ40mmの棒線と、10ポイントのアルファベット大文字AからZまでとを印字した。使用する熱転写プリンターは、薬剤分包装置内に設置されるものであり、被印字物であるシートを二つ折りにした状態で印字するもののため、被印字物に印字シワが発生し易いプリンターである。印字は、実施例1~14、比較例1~6の熱転写記録媒体を交換する以外は、すべて同条件で実施した。
(印字シワ評価)
実施例1~14、比較例1~6の熱転写記録媒体で印字した被印字物を目視確認して、印字シワの発生の有無を確認した。評価結果を表1~3に示す。
○:印字シワの発生無し
×:印字シワの発生あり
(色再現性評価)
前記着色層の透過濃度評価用として作製した各実施例、各比較例の着色層の透過濃度測定用熱転写記録媒体を用いて、高園産業株式会社製の薬剤分包装置の熱転写プリンターを使用して、引張り弾性率600MPaの二軸延伸されたポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、引張り弾性率500MPaのポリエチレンラミネートセロファン紙(印字はセロファン紙側にする)、及び引張り弾性率500MPaポリエチレンラミネートグラシン紙(印字はグラシン紙側にする)の3種類の包装用シートに、幅5mm、長さ40mmの棒線を印字し、透過濃度基準測定サンプルを準備した。透過濃度基準測定サンプルに印字した幅5mm、長さ40mmの棒線(着色層)の透過濃度をX-Rite社製361T(V)を使用して測定し、各実施例、各比較例の各フィルム又は紙毎の透過濃度評価基準値を得た。前記で、実施例1~14、比較例1~6の熱転写記録媒体(白色隠蔽層が積層されたもの)を用いて、3種類の包装用シートに印字した幅5mm、長さ40mmの棒線(着色層)の色を目視で確認するとともに、幅5mm、長さ40mmの棒線(着色層)の透過濃度をX-Rite社製361T(V)を使用して測定した。この測定結果を、前記で測定した実施例1~14、比較例1~6の各フィルム又は紙毎の透過濃度評価基準値と比較した。色再現性の評価結果を表1~3に示す。
◎:測定した透過濃度が、透過濃度評価基準値よりも0.1以上大きな値となり、転写さ
れた着色層が意図した色に見える。
○:測定した透過濃度が、透過濃度評価基準値よりも0.05以上0.1未満大きな値となり、転写された着色層がほぼ意図した色に見える。
×:測定した透過濃度が、透過濃度評価基準値より大きくなったとしても、透過濃度評価基準値よりも0.05未満しか大きな値とならず、転写された着色層が意図した色に見えない。
(印字のキレ性)
前記で、実施例1~14、比較例1~6の熱転写記録媒体を用いて印字した10ポイントのアルファベットの大文字AからZまでのうち、AとHとZを拡大率10倍のルーペを用いて、目視確認した。印字のキレ性の評価結果を表1~3に示す。
◎:文字の端部に、凹凸が見られない。
○:文字の端部に、凹凸がほとんど見られない。
×:文字の端部が凹凸状となっており、目視による文字の判読が困難である。
(印字のつぶれ)
前記で、実施例1~14、比較例1~6の熱転写記録媒体を用いて印字した10ポイントのアルファベットの大文字AからZまでのうち、AとHとZを拡大率10倍のルーペを用いて、目視確認した。印字のつぶれの評価結果を表1~3に示す。
◎:細線部のつぶれもなく、文字の判読も容易である。
○:細線部のつぶれはやや認められるが、文字の判読は可能であり、実用に供し得る。
×:細線部のつぶれてしまい、文字の判読が困難で、実用に供し得ない。
(表1)
Figure 0007104460000001
(表2)
Figure 0007104460000002
(表3)
Figure 0007104460000003

Claims (4)

  1. 半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターに使用する熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせであって、前記熱転写記録媒体はワックスを主成分とし、さらに接着性樹脂を含有する着色層を直接基材に積層し、前記着色層上に、最外層としてワックスと酸化チタン粒子を主成分とする白色隠蔽層が積層され、前記着色層の厚さが1.6μm以上2.4μm以下であり、前記基材からの前記着色層の下記剥離力測定条件にて測定した剥離力が0.049N/12mm幅以上、0.147N/12mm幅以下であり、前記白色隠蔽層中の前記酸化チタン粒子の含有量が、当該層の固形分中の30重量%以上70重量%以下であり、前記被印字物は、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックであり前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックは、セロファン紙、グラシン紙、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムであり、前記熱転写プリンターが薬剤分包装置に搭載されているプリンターであり、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックが二つ折りされた包装用シートである熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせ
    (剥離力測定条件)
    測定環境:常温、常湿
    剥離装置:表面性測定機 HEIDON-14 新東科学社製
    剥離速度:200mm/分
    測定する試料幅:12mm
    測定手順:前記熱転写記録媒体の前記白色隠蔽層に、12mm幅にカットした日東電工製No.31B粘着テープの粘着面を貼り合せて、測定試料を作製する。前記粘着テープ側を上にして、前記測定試料を水平面上に置いた状態で、前記粘着テープの上から質量2kgのロールを1往復させた後、10分間放置する。10分間放置した前記測定試料を前記剥離装置の固定具にセットし、前記熱転写記録媒体からの前記粘着テープの剥離角度が180°となるように前記粘着テープを引き出すことによって、前記着色層を前記基材から剥離して剥離力を測定する。
  2. 前記着色層が、前記接着性樹脂を固形分中の1重量%以上20重量%以下含有する請求項1に記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせ
  3. 前記接着性樹脂がエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせ
  4. 前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターで印字する方法であって、請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱転写記録媒体と被印字物の組み合わせを用いる印字方法。
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