JP6291677B2 - 感熱転写媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、感熱転写媒体に関するものである。
オンデマンドで小ロットの印刷が可能な印刷法として、感熱転写可能な着色層を備えた感熱転写媒体による感熱転写印刷が、様々な分野で様々な被印刷体に対して広く普及している。
例えば被印刷体としての、片面に粘着層が形成されるとともに反対面(被印刷面)に上記粘着層に対する離型処理がされ、剥離紙を介さず直接にロール状に巻回されるテープ状のいわゆるセパレスラベルの、離型処理された被印刷面に文字や画像等の印刷をするために、上記感熱転写媒体を用いた感熱転写印刷を適用することが検討されている。
しかし被印刷面が離型処理されているため、通常の感熱転写媒体を使用したのでは着色層の接着性が十分でなく鮮明な印刷が難しい上、印刷した着色層の上に感圧粘着テープを貼り付けたのち引き剥がすいわゆるセロピック試験をすると着色層が剥がれやすい、耐擦過性が低く着色層が摩擦によってかすれやすいといった問題がある。
そこで特許文献1では、着色層のバインダ樹脂として接着性に優れたエポキシ樹脂を使用することが提案されている。
また特許文献2では、ポリオレフィン系樹脂を含む被印刷面と組み合わせる着色層のバインダ樹脂として、上記被印刷面との接着性が高い上、耐擦過性にも優れた着色層を形成しうるポリエチレン系ワックスを使用することが提案されている。
さらに特許文献3では、アルキルペンダント系離型剤を含む被印刷面と組み合わせる着色層のバインダ樹脂として、上記被印刷面との接着性が高い上、耐擦過性にも優れた着色層を形成しうるアルキルペンダント系離型剤を使用することが提案されている。
特開平9−175051号公報 特開2000−135871号公報 特開2001−334758号公報
ところが特許文献1〜3に記載の感熱転写媒体はいずれも、ロール状に巻回されたセパレスラベルをロールから繰り出した後に印刷をする際に、上述したように着色層の接着性や離型性を高めることを考慮したものに過ぎない。
いずれの特許文献に記載の感熱転写媒体も、例えばあらかじめセパレスラベルの被印刷面に印刷をし、ロール状に巻回した状態で保管したのち必要な長さを繰り出して使用する用途においては着色層の接着性、離型性が不十分である。
そして被印刷面に感熱転写した着色層が、セパレスラベルを繰り出す際に当該着色層の上に巻き重ねられて粘着していた粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移(裏写り)したりしやすいという問題がある。
これは通常のセロピック試験であれば、感圧粘着テープを貼り付けたほぼ直後に引き剥がして接着性を評価するのに対し、セパレスラベルの粘着層は、当該セパレスラベルをロール状に巻回した状態で長期間に亘って保管している間、着色層に粘着し続けていることや、セパレスラベルをロール状に巻回する際の巻き付けによる粘着層の被印刷面への接触圧が、セロピック試験の際の手動による感圧粘着テープの貼り付け時の接触圧より大幅に大きいことなどが原因と考えられる。
特に特許文献1に記載の感熱転写媒体の着色層は離型剤を含まないため、特に上記の用途では粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりしやすい。
また特許文献2に記載の感熱転写媒体の着色層はポリエチレン系ワックス主体であって凝集力が低く凝集破壊しやすいことから、やはり上記の用途では粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりしやすい。
さらに特許文献3に記載の感熱転写媒体の着色層は脆くかつ造膜性が低いアルキルペンダント系離型剤主体であるため、やはり上記の用途では粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりしやすい。
また特許文献2、3で着色層を形成しているポリエチレン系ワックスやアルキルペンダント系離型剤は、それぞれ先に説明した特定の(同系の)離型処理をした被印刷面に対してはある程度の接着性を示す。しかしそれ以外の被印刷面に対してはその名のとおり主に離型剤として機能するため、やはり上記の用途では粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりしやすい。
本発明の目的は、現状よりも接着性、離型性、耐擦過性に優れ、被印刷面に感熱転写した着色層が粘着力によって剥離したり、摩擦によってかすれたりしにくい感熱転写媒体を提供することにある。
本発明は、基材上に順に設けられた剥離層、および着色層を少なくとも備え、前記剥離層はアルキルペンダント系離型剤、および炭化水素系ワックスを含み、前記アルキルペンダント系離型剤の配合割合は、当該剥離層を形成する固形分の総量の5質量%以上、20質量%以下である感熱転写媒体である(請求項1)
また前記炭化水素系ワックスは、融点が85℃以上、100℃以下であるのが好ましい(請求項)。
前記着色層は、剥離層の炭化水素系ワックスより融点が5〜15℃高い炭化水素系ワックス、バインダ樹脂としてのエポキシ樹脂、および着色剤を含み、前記炭化水素系ワックスの配合割合は、当該着色層を形成する固形分の総量の3質量%以上、15質量%以下であるのが好ましい(請求項)。
また前記着色層上には、ポリオレフィン系樹脂、およびカルナバワックスを含むオーバー層を積層するのが好ましい(請求項)。
請求項1記載の発明の感熱転写媒体によれば、少なくとも剥離層と着色層との積層体である感熱転写層を基材から離型させて、被印刷面上に着色層および剥離層の順に積層された状態で感熱転写させることができる。
この状態では、被印刷面への接着性を着色層によって確保しながら、当該着色層をその上の剥離層によって保護することができる。そのため両層の機能分離により被印刷面への接着性、および粘着層などに対する離型性をともに現状よりも向上できる。
特に着色層を保護して感熱転写層の最表面を構成する剥離層に離型性に優れたアルキルペンダント系離型剤を集中的に存在させることでその離型性を向上して、例えばあらかじめセパレスラベルの被印刷面に印刷をし、ロール状に巻回した状態で保管したのち必要な長さを繰り出して使用する用途に使用しても、被印刷面に感熱転写した少なくとも着色層が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりするのを防止できる。
すなわち剥離層がそれ自体のもつ良好な離型性によって粘着層との間で離型して、着色層を含む感熱転写層の全体を被印刷面側に残留させたり、剥離層は粘着層側に移行しても着色層との間で層分離して当該着色層を被印刷面側に残留させたりするために機能する。
また剥離層で保護することで感熱転写層の全体での耐擦過性を向上して、摩擦によってかすれたりするのも防止できる。
さらに上記機能分離によって着色層の接着性を高め、感熱転写層の感度を向上して転写不良によるかすれを防止することもできる。
また、脆くかつ造膜性が低いアルキルペンダント系離型剤とともに造膜性を有する炭化水素系ワックスを併用することで、先に説明した着色層を保護する効果に優れた、適度の厚みを有する剥離層を形成できる。
しかも炭化水素系ワックスは無極性で離型性に優れるため、剥離層の離型性をさらに向上して、感熱転写層の全体や剥離層が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりするのをより一層確実に防止できる。
ただしアルキルペンダント系離型剤の配合割合が少なすぎる場合には、当該アルキルペンダント系離型剤による離型効果が不十分になって、剥離とそれに伴う粘着層側への転移とを防止する効果が不十分になるおそれがある。そのためアルキルペンダント系離型剤の配合割合は、剥離層を形成する固形分の総量の5質量%以上に限定される
またアルキルペンダント系離型剤の配合割合が多すぎる場合には相対的に炭化水素系ワックスの割合が少なくなるため、当該炭化水素系ワックスによる造膜性を向上する効果が不十分になり、剥離層の耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりしやすくなるおそれがある。そのためアルキルペンダント系離型剤の配合割合は、剥離層を形成する固形分の総量の20質量%以下に限定される
請求項記載の発明によれば、剥離層に使用する炭化水素系ワックスとして融点が85℃以上の高融点、高分子量で、ワックスの中では凝集力、造膜性に優れたものを選択して用いることにより耐擦過性を向上できる。
また融点が85℃以上の炭化水素系ワックスを用いることで、剥離層が感熱転写時に溶けすぎるのを抑制して、例えば感熱転写領域に隣接する非転写領域の感熱転写層まで基材から剥離するいわゆる余剥離の発生を防止でき、印刷の鮮明性も向上できる。
また余剥離の部分の感熱転写層は被印刷面に十分に接着していないため粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離しやすい上、剥離の際に被印刷面に接着している隣接する感熱転写領域の感熱転写層を伴って剥離する場合がある。
これに対し余剥離の部分をなくすることで、感熱転写領域の感熱転写層が余剥離の領域とともに粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移してしまうのを防止できる。
ただし炭化水素系ワックスの融点が高すぎる場合には感熱転写層の全体の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれがあるため、当該融点は100℃以下であるのが好ましい。
請求項記載の発明によれば着色層は、被印刷面に対する接着性に優れるとともに凝集力の高いエポキシ樹脂を主体としているため、造膜に寄与しない顔料等の着色剤を含んでいるにも拘らず、当該着色剤の割合を小さくして印刷の濃度を低下させることなしに、その厚みを小さくできる。
そして厚みを小さくすることで凝集力を向上して着色層、ひいては感熱転写層が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりするのを防止できる。
またエポキシ樹脂は溶融粘度が小さいため、当該エポキシ樹脂等よりは凝集力、造膜性が低い炭化水素系ワックスや、造膜に寄与しない着色剤とともに着色層を形成していることと相まって、当該着色層のキレをよくして余剥離の発生を防止でき、印刷の鮮明性を向上できる。
それとともに余剥離の部分をなくすることで、感熱転写領域の感熱転写層が余剥離の領域とともに粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移するのを防止できる。
なお感熱転写時に着色層が溶けすぎるのを抑制して余剥離の発生をより確実に防止したり、耐擦過性を向上したりすることを考慮すると、当該着色層の炭化水素系ワックスとしては、剥離層の炭化水素系ワックスより融点が5℃以上の範囲で高い高分子量のものを用いるのが好ましい。
ただし着色層の炭化水素系ワックスの融点が高すぎる場合には感熱転写層の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれがあるため、当該着色層の炭化水素系ワックスとしては、剥離層の炭化水素系ワックスより融点が15℃以下の範囲で高いものを用いるのが好ましい。
また炭化水素系ワックスの配合割合が少なすぎる場合には余剥離を生じやすくなるため、当該配合割合は、着色層を形成する固形分の総量の3質量%以上であるのが好ましい。
ただし炭化水素系ワックスの配合割合が多すぎる場合には着色層の凝集力が低くなりすぎて当該着色層、ひいては感熱転写層が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりするのを防止する効果が不十分になるおそれがある。そのため炭化水素系ワックスの配合割合は、着色層を形成する固形分の総量の15質量%以下であるのが好ましい。
請求項記載の発明によれば、先に説明した、ポリオレフィン系樹脂やアルキルペンダント系離型剤を含む離型処理された被印刷面等に対する接着性のよいポリオレフィン系樹脂を含み、感熱転写時に接着層として機能するオーバー層を着色層上に積層することにより、当該オーバー層、着色層、および剥離層からなる感熱転写層の被印刷面への接着性をさらに向上できる。
またオーバー層に、溶融曲線がシャープで感熱転写前の感熱転写媒体をロール状に巻回して保管している間にブロッキング等を生じにくいカルナバワックスを配合することで、上記保管時の保存性(ブロッキング防止性)を向上できる。
本発明の感熱転写媒体の、実施の形態の一例の層構成を示す拡大断面図である。
図1は本発明の感熱転写媒体の、実施の形態の一例の層構成を示す拡大断面図である。
図1を参照して、この例の感熱転写媒体1は基材2、当該基材2の表面(図では上側の面)に形成された感熱転写層3、および基材2の背面(図では下側の面)に形成された背面層4を備えている。また感熱転写層3は、基材側から順に剥離層5、着色層6、およびオーバー層7の3層を積層して構成されている。
《基材2》
基材2としては、従来同様に例えばポリスルホン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、トリアセテート等の樹脂のフィルム、コンデンサー紙、グラシン紙等の薄葉紙、あるいはセロファン等が挙げられる。
中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルムが機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格等の見地から好ましい。
基材2の強度(引張強度等)を確保しながら感熱転写プリンタのサーマルヘッドにより感熱転写層3にできるだけ効率よく熱伝達することを考慮すると、当該基材2の厚みは1μm以上、特に2μm以上であるのが好ましく、30μm以下、特に15μm以下であるのが好ましい。
《感熱転写層3》
〈剥離層5〉
感熱転写層3を構成する剥離層5は、先に説明したように少なくともアルキルペンダント系離型剤、および炭化水素系ワックスを含んでいる。特にこの2種のみからなるのがさらに好ましい。
(アルキルペンダント系離型剤)
アルキルペンダント系離型剤としては、例えばビニル系連鎖やエチレンイミン系連鎖等からなる主鎖に対して必要に応じ官能基を介して炭素数が10〜30、中でも12〜28、特に14〜24の長鎖アルキル基を側鎖としてペンダント状に導入したものなどの1種または2種以上が挙げられる。
アルキルペンダント系離型剤の具体例としては、例えばアシオ産業(株)製のアシオレジン(登録商標)シリーズのうちRA−45A〔PVA系、融点:85±5℃〕、RA−95H〔PVA系、融点:90±5℃〕、RA−80〔EVA系、融点:92±5℃〕、RA−585S〔PVA系、融点:95±5℃〕、RA−95HS〔PVA系、融点:100±5℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
アルキルペンダント系離型剤の配合割合は、剥離層5を形成する固形分の総量の5質量%以上、20質量%以下に限定される
アルキルペンダント系離型剤の配合割合がこの範囲未満では、当該アルキルペンダント系離型剤による離型効果が不十分になって、剥離とそれに伴う粘着層側への転移とを防止する効果が不十分になるおそれがある。
また範囲を超える場合には相対的に炭化水素系ワックスの割合が少なくなるため、当該炭化水素系ワックスによる造膜性を向上する効果が不十分になり、剥離層の耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりしやすくなるおそれがある。
(炭化水素系ワックス)
炭化水素系ワックスとしては、天然あるいは合成の種々の炭化水素系ワックスがいずれも使用可能である。かかる炭化水素系ワックスとしては、例えばパラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の1種または2種以上が挙げられる。
炭化水素系ワックスの融点は85℃以上であるのが好ましい。
融点がこの範囲以上の高融点、高分子量で、ワックスの中では凝集力、造膜性に優れた炭化水素系ワックスを選択して用いることにより耐擦過性を向上できる。
また剥離層5が感熱転写時に溶けすぎるのを抑制して、例えば感熱転写領域に隣接する非転写領域の感熱転写層まで基材から剥離するいわゆる余剥離の発生を防止でき、印刷の鮮明性も向上できる。また余剥離の部分をなくすることで、感熱転写領域の感熱転写層3が余剥離の領域とともに粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移してしまうのを防止できる。
ただし融点が高すぎる場合には感熱転写層の全体の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれがあるため、炭化水素系ワックスの融点は100℃以下、特に95℃以下であるのが好ましい。
(厚み)
剥離層5の厚みは0.5μm以上であるのが好ましく、1.2μm以下であるのが好ましい。
厚みがこの範囲未満では、剥離層5による着色層6を保護する効果が不十分になり、また範囲を超える場合には剥離層5の凝集力が低下して、やはり着色層6を保護する効果が不十分になるおそれがある。そしていずれの場合にも粘着層の粘着力によって少なくとも着色層6が被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、感熱転写層3の全体での耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりするおそれがある。
また厚みが範囲を超える場合には、感熱転写層3の全体の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれもある。
〈着色層6〉
着色層6は炭化水素系ワックス、バインダ樹脂、および着色剤を含んでいるのが好ましく、特にこの3種のみからなるのがさらに好ましい。
(炭化水素系ワックス)
炭化水素系ワックスとしては、天然あるいは合成の種々の炭化水素系ワックスがいずれも使用可能である。かかる炭化水素系ワックスとしては、例えばパラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の1種または2種以上が挙げられる。
炭化水素系ワックスの融点は90℃以上であるのが好ましく、115℃以下であるのが好ましい。
また感熱転写時に着色層6が溶けすぎるのを抑制して余剥離の発生をより確実に防止したり、耐擦過性を向上したりすることを考慮すると、当該着色層6の炭化水素系ワックスとしては、剥離層5の炭化水素系ワックスより融点が5℃以上の範囲で高い高分子量のものを用いるのが好ましい。
ただし着色層6の炭化水素系ワックスの融点が高すぎる場合には感熱転写層3の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれがあるため、当該着色層6の炭化水素系ワックスとしては、剥離層の炭化水素系ワックスより融点が15℃以下の範囲で高いものを用いるのが好ましい。
炭化水素系ワックスの配合割合は、着色層6を形成する固形分の総量の3質量%以上、特に5質量%以上であるのが好ましく、15質量%以下、特に12質量%以下であるのが好ましい。
炭化水素系ワックスは、エポキシ樹脂等のバインダ樹脂よりも造膜性が低いため着色層6のキレをよくして余剥離の防止に寄与する成分であるが、その配合割合が上記の範囲未満ではかかる効果が十分に得られないため余剥離を生じやすくなるおそれがある。
一方、配合割合が上記の範囲を超える場合には着色層6の凝集力が低くなりすぎて当該着色層6、ひいては感熱転写層3が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりしやすくなるおそれがある。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。特にエポキシ樹脂が好ましい。
被印刷面に対する接着性に優れるとともに凝集力の高いエポキシ樹脂を主体とする着色層6は、造膜に寄与しない顔料等の着色剤を含んでいるにも拘らず、当該着色剤の割合を小さくして印刷の濃度を低下させることなしに、その厚みを小さくできる。
そして厚みを小さくすることで凝集力を向上して着色層6、ひいては感熱転写層3が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりするのを防止できる。
またエポキシ樹脂は溶融粘度が小さいため、当該エポキシ樹脂等よりは凝集力、造膜性が低い炭化水素系ワックスや造膜に寄与しない着色剤とともに着色層を形成していることと相まって、当該着色層のキレをよくして余剥離の発生を防止でき、印刷の鮮明性を向上できる。また余剥離の部分をなくすることで、感熱転写領域の感熱転写層3が余剥離の領域とともに粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移してしまうのを防止できる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂;プロピレングリコールグリコキシエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂;脂肪族もしくは芳香族アミンとエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂;脂肪族もしくは芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂;複素環エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂;エポキシ変性樹脂;ブロム化エポキシ樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば常温で固形状を呈する、三菱化学(株)製の基本固形タイプのエポキシ樹脂のうちグレード1001〔軟化点(環球法):64℃、分子量:約900〕、1002〔軟化点(環球法):78℃、分子量:約1200〕、1003〔軟化点(環球法):89℃、分子量:約1300〕、1055〔軟化点(環球法):93℃、分子量:約1600〕、1004〔軟化点(環球法):97℃、分子量:約1650〕、1004AF〔軟化点(環球法):97℃、分子量:約1650〕、1003F〔軟化点(環球法):96℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、着色層6の色味に応じた1種または2種以上の、顔料等の種々の着色剤を用いることができる。特に印刷の耐候性等を考慮すると顔料が好ましい。
着色剤の配合割合は、着色層6を形成する固形分の総量の40質量%以上、特に45質量%以上であるのが好ましく、70質量%以下、特に65質量%以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では印刷の濃度が不十分になるおそれがある。また着色剤は、造膜性を有しないため着色層6のキレをよくして余剥離の防止に寄与する成分であるが、その配合割合が上記の範囲未満ではかかる効果が十分に得られないため余剥離を生じやすくなるおそれもある。
一方、配合割合が上記の範囲を超える場合には着色層6の凝集力が低くなりすぎて当該着色層6、ひいては感熱転写層3が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりしやすくなるおそれがある。
なお着色剤の配合割合は、その色味や種類、隠ぺい力等に応じて上記の範囲で適宜変更できる。例えばカーボンブラック(黒)を50質量%程度の配合割合で配合した場合と同程度の隠ぺい力を得るために必要な配合割合は、酸化チタン(白)が70質量%程度、フタロシアニン(青)は50質量%程度、マゼンタ(赤)は55質量%程度である。
(厚み)
着色層6の厚みは0.2μm以上であるのが好ましく、0.7μm以下であるのが好ましい。
厚みがこの範囲未満では印刷の濃度が不十分になるおそれがある。
一方、厚みが上記の範囲を超える場合には、着色層6の凝集力が低くなりすぎて当該着色層6、ひいては感熱転写層3が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したり、耐擦過性が低下して摩擦によってかすれたりしやすくなるおそれがある。また感熱転写層3の全体の感度が低下して転写不良によるかすれを生じるおそれもある。
〈オーバー層7〉
オーバー層7はポリオレフィン系樹脂、およびカルナバワックスを含んでいるのが好ましく、特にこの2種のみからなるのがさらに好ましい。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂やアルキルペンダント系離型剤を含む離型処理された被印刷面等に対する接着性に優れた種々のポリオレフィン系樹脂がいずれも使用可能である。
ただしオーバー層7用の塗材は、下地となる着色層6を侵さないために水性であるのが好ましいことから、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば変性により水分散性を付与した変性ポリオレフィン系樹脂の水性分散体の状態で提供されるものを用いるのが好ましい。
かかる水性分散体状として供給される変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えばユニチカ(株)製のアローベース(登録商標)シリーズのうちSA−1200〔融点:100℃、固形分濃度:25質量%〕、SB−100〔融点:83℃、固形分濃度:25質量%〕、SE−100〔融点:93℃、固形分濃度:20質量%〕、SB−1010〔融点:83℃、固形分濃度:25質量%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
(カルナバワックス)
カルナバワックスとしては、ヤシ科の植物の葉の分泌物から採取される種々のグレードのカルナバワックスがいずれも使用可能である。
かかるカルナバワックスは溶融曲線がシャープで感熱転写前の感熱転写媒体をロール状に巻回して保管している間にブロッキング等を生じにくいため、かかる保管時の保存性(ブロッキング防止性)を向上できる。
(配合割合)
オーバー層7をポリオレフィン系樹脂とカルナバワックスの2種のみで形成する場合、ポリオレフィン系樹脂の配合割合は上記2種の成分、すなわちオーバー層7を形成する固形分の総量の40質量%以上であるのが好ましく、60質量%以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、相対的にカルナバワックスの割合が少なくなるため、当該カルナバワックスを配合することによる、保管時の保存性(ブロッキング防止性)を向上する効果が十分に得られないおそれがある。
一方、上記の範囲を超える場合には、ポリオレフィン系樹脂を配合することによる、離型処理された被印刷面等に対する接着性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。
なおポリオレフィン系樹脂の配合割合は、水性分散体として供給されるものを使用する場合、当該水性分散体中の固形分、すなわちポリオレフィン系樹脂自体の配合割合とする。
《背面層4》
背面層4は、サーマルヘッドと接触する基材2の背面の耐熱性、滑り性、耐擦過性等を向上するための層である。かかる背面層4は従来同様に形成できる。
すなわち背面層4は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン・フッ素共重合樹脂、ニトロセルロース樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等によって形成できる。また背面層4には、必要に応じて滑剤を含有させても良い。
背面層4は、上記の各成分を溶剤に溶解または分散させた塗剤を基材2の背面に塗布したのち乾燥させて形成できる。
背面層4の厚みは0.05μm以上であるのが好ましく、0.5μm以下であるのが好ましい。
厚みがこの範囲未満では、背面層4を設けることによる効果が十分に得られないおそれがある。一方、範囲を超える場合にはサーマルヘッドからの熱伝達の効率が低下して、感熱転写媒体1の感度が低下するおそれがある。
《感熱転写媒体1》
上記各層を備えたこの例の感熱転写媒体1によれば、剥離層5、着色層6、およびオーバー層7の3層からなる感熱転写層3を基材2から離型させて、被印刷面上にオーバー層7、着色層6、および剥離層5の順に積層された状態で感熱転写させることができる。
この状態では被印刷面への接着性をオーバー層7によって確保しながら、感熱転写層3の最表面を構成する剥離層5に離型性に優れたアルキルペンダント系離型剤を集中的に存在させることでその離型性を向上できる。
そのため、例えばあらかじめセパレスラベルの被印刷面に印刷をし、ロール状に巻回した状態で保管したのち必要な長さを繰り出して使用する用途に使用しても、被印刷面に感熱転写した少なくとも着色層6が粘着層の粘着力によって被印刷面から剥離して粘着層側に転移したりするのを防止できる。
また剥離層5で保護することで感熱転写層3の全体での耐擦過性を向上して、摩擦によってかすれたりするのも防止できる。
さらにオーバー層7の良好な接着性に基づいて感熱転写層3の感度を向上して転写不良によるかすれ等を防止することもできる。
なお本発明では、かかるオーバー層7を省略してもよい。その場合、着色層6のバインダ樹脂としてエポキシ樹脂を使用することにより、当該着色層6自体に良好な接着性を付与してかすれ等を防止することが可能となる。
また本発明の感熱転写媒体1の用途は、先に説明した、あらかじめセパレスラベルの被印刷面に印刷をし、ロール状に巻回した状態で保管したのち必要な長さを繰り出して使用する用途には限定されない。例えばロール状に巻回されたセパレスラベルをロールから繰り出した後に印刷をする用途に使用しても、当然ながら離型性を有する被印刷面に対して鮮明で、セロピック試験をしても剥がれず、しかも耐擦過性に優れ摩擦によってかすれにくい印刷をすることが可能となる。
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変更を施すことができる。
〈実施例1〉
(基材2、および背面層4)
基材2としては、厚み6μmのPETフィルムを用いた。基材2の背面には、シリコーン変性アクリル樹脂(シリコーンアクリルグラフト共重合樹脂)からなる厚み0.15μmの背面層4を形成した。
(剥離層5)
アルキルペンダント系離型剤〔PVA系、側鎖アルキル基:炭素数18、融点:85±5℃〕10質量部、および炭化水素系ワックスとしてのパラフィンワックス(融点:90℃)90質量部に、トルエンTとイソプロパノールIの質量比T/I=2/1の混合溶剤を加えて剥離層5用の塗材(固形分濃度:20質量%)を調製し、当該塗材を先の基材2の表面に塗布したのち乾燥させて厚み0.8μmの剥離層5を形成した。
当該剥離層5におけるアルキルペンダント系離型剤の配合割合は、剥離層5を形成する固形分の総量の10質量%であった。
(着色層6)
炭化水素系ワックスとしてのフィッシャー・トロプシュワックス(融点:100℃)10質量部、バインダ樹脂としてのエポキシ樹脂〔軟化点(環球法):78℃、分子量:約1200〕40質量部、および着色剤としてのカーボンブラック50質量部に、トルエンTとメチルエチルケトンMの質量比T/M=7/3の混合溶剤を加えて着色層6用の塗材(固形分濃度:25質量%)を調製し、当該塗材を先に形成した剥離層5上に塗布したのち乾燥させて厚み0.3μmの着色層6を形成した。
当該着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合は、着色層6を形成する固形分の総量の10質量%であった。また着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+10℃であった。
(オーバー層7)
変性ポリオレフィン系樹脂の水性分散体〔融点:100℃、固形分濃度:25質量%〕200質量部(固形分量:50質量部)、およびカルナバワックス50質量部に、イソプロパノールIと水Wの質量比I/W=7/1の混合溶剤を加えてオーバー層7用の塗材(固形分濃度5質量%)を調製し、当該塗材を先に形成した着色層6上に塗布したのち乾燥させて厚み0.2μmのオーバー層7を形成し、剥離層5、着色層6、およびオーバー層7の3層からなる感熱転写層3を備えた図1に示す層構造の感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例2〉
剥離層5用の塗材に配合するアルキルペンダント系離型剤の量を5質量部、炭化水素系ワックスの量を95質量部として、剥離層5におけるアルキルペンダント系離型剤の配合割合を、当該剥離層5を形成する固形分の総量の5質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例3〉
剥離層5用の塗材に配合するアルキルペンダント系離型剤の量を20質量部、炭化水素系ワックスの量を80質量部として、剥離層5におけるアルキルペンダント系離型剤の配合割合を、当該剥離層5を形成する固形分の総量の20質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例
着色層6用の塗材に、バインダ樹脂として、エポキシ樹脂に代えて同量のスチレン系樹脂〔ガラス転移点(DSC法):64℃、平均分子量(GPC法):Mn=4000、Mw=220000〕を配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例
着色層6用の塗材に、炭化水素系ワックスとして、融点が95℃であるフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+5℃であった。
〈実施例
着色層6用の塗材に、炭化水素系ワックスとして、融点が105℃であるフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+15℃であった。
〈実施例
着色層6用の塗材に、炭化水素系ワックスとして、融点が90℃であるフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点±0℃であった。
〈実施例
着色層6用の塗材に、炭化水素系ワックスとして、融点が110℃であるフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+20℃であった。
〈実施例
着色層6用の塗材に配合する炭化水素系ワックスの量を3質量部、エポキシ樹脂の量を47質量部として、着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合を、当該着色層6を形成する固形分の総量の3質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例10
着色層6用の塗材に配合する炭化水素系ワックスの量を15質量部、エポキシ樹脂の量を35質量部として、着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合を、当該着色層6を形成する固形分の総量の15質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例11
着色層6用の塗材に配合する炭化水素系ワックスの量を2質量部、エポキシ樹脂の量を48質量部として、着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合を、当該着色層6を形成する固形分の総量の2質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例12
着色層6用の塗材に配合する炭化水素系ワックスの量を17質量部、エポキシ樹脂の量を33質量部として、着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合を、当該着色層6を形成する固形分の総量の17質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例13
着色層6上にオーバー層7を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈実施例14
剥離層5用の炭化水素系ワックスとして、融点が85℃のパラフィンワックスを同量配合するとともに、着色層6用の炭化水素系ワックスとして、融点が95℃のフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+10℃であった。
〈実施例15
剥離層5用の炭化水素系ワックスとして、融点が100℃のフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合するとともに、着色層6用の炭化水素系ワックスとして、融点が110℃のフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+10℃であった。
〈実施例16
剥離層5用の炭化水素系ワックスとして、融点が80℃のパラフィンワックスを同量配合するとともに、着色層6用の炭化水素系ワックスとして、融点が90℃のパラフィンワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+10℃であった。
〈実施例17
剥離層5用の炭化水素系ワックスとして、融点が105℃のフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合するとともに、着色層6用の炭化水素系ワックスとして、融点が110℃のフィッシャー・トロプシュワックスを同量配合したこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
着色層6に配合した炭化水素系ワックスの融点は、剥離層5に配合した炭化水素系ワックスの融点+5℃であった。
〈比較例1〉
剥離層5用の塗材にアルキルペンダント系離型剤を配合せず、炭化水素系ワックスの量を100質量部として、剥離層5におけるアルキルペンダント系離型剤の配合割合を、当該剥離層5を形成する固形分の総量の0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして感熱転写媒体1を製造した。
〈比較例2〉
バインダ樹脂としてのエポキシ樹脂〔軟化点:92℃〕14質量部、着色剤としてのカーボンブラック6質量部、48質量部のメチルエチルケトン、および32質量部のトルエンを配合して、単層の着色層用の塗材を調製し、当該塗材を、実施例1で用意したのと同じ基材2の表面に塗布したのち乾燥させて塗布量(単位面積当たりの固形分量)20g/m2の単層の着色層を形成し、特許文献1の実施例1の感熱転写媒体を再現した。
〈比較例3〉
着色剤としてのカーボンブラック30質量部、バインダ樹脂としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体10質量部、およびポリエチレンワックス〔密度:0.97g/cc(ASTM D792)、分子量:4000(粘度法)、硬度1dmm(JIS K2530 針入度)〕54質量部を含む単層の着色層用の塗材を調製し、当該塗材を、実施例1で用意したのと同じ基材2の表面に塗布したのち乾燥させて単層の着色層を形成し、特許文献2の実施例1の感熱転写媒体を再現した。
〈比較例4〉
バインダ樹脂としてのアルキルペンダント系離型剤〔エチレン・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体にオクタデシルイソシアネートを付加反応させたもの〕100質量部、およびカーボンブラック100質量部にトルエンを加えて単層の着色層用の塗材を調製し、当該塗材を、実施例1で用意したのと同じ基材2の表面に塗布したのち乾燥させて厚み5μmの単層の着色層を形成し、特許文献3の実施例1の感熱転写媒体を再現した。
〈セパレスラベルの作製〉
坪量50g/m2のグラシン紙の片面に低密度ポリエチレンを押出ラミネートして厚み18μmのポリエチレン層を形成して、2層構造の基材を形成した。
次いでこの基材のポリエチレン層側の面(被印刷面)に、アルキルペンダント系離型剤〔エチレン・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体にオクタデシルイソシアネートを付加反応させたもの〕の溶液を塗布したのち80℃で30分間乾燥させて塗布量(単位面積当たりの固形分量)0.5g/m2の剥離層を形成して離型処理した。
また基材のグラシン紙側の面に、アクリル酸ブチルとアクリル酸のモル比7:1の共重合体のエマルションを塗布し、乾燥させて厚み25μmのアクリル系粘着層を形成してセパレスラベルを作製した。
〈実機試験〉
実施例、比較例で製造した感熱転写媒体1をロール状に捲回してラベルプリンタ〔ゼブラテクノロジーズ社製の110Xi〕に装填し、印字速度:5インチ/秒、エネルギー設定:10の条件で、上記セパレスラベルの被印刷面に感熱転写印刷をした。そして下記の特性を評価した。
(接着性、離型性評価)
被印刷面に印刷をしたセパレスラベルをロール状に巻回した状態で23℃で24時間保管したのち繰り出して、印刷が被印刷面から剥離したりかすれたり、あるいは粘着層側に転移したりしたかを観察して、下記の基準で感熱転写層の接着性、離型性を評価した。
○:粘着層側に印刷の転移なし。接着性、離型性良好。
△:粘着層側に印刷の転移がわずかに見られたが印刷には影響なし。接着性、離型性通常レベル。
×:粘着層側に印刷の転移が見られ、印刷にもかすれ等の影響が見られた。接着性、離型性不良。
(余剥離の有無)
被印刷面に印刷をしたローマ字大文字「A」(フォント:ゴシック、サイズ:9ポイント)の三角形の穴が抜けているか否かを観察して、下記の基準で余剥離の有無を評価した。
○:余剥離全くなし。良好。
△:わずかに余剥離が見られたが穴は抜けていた。通常レベル。
×:余剥離した着色層で穴が埋まっていた。不良。
(感度評価)
被印刷面に幅1ドットの細線を印刷して、下記の基準で感度を評価した。
○:細線を問題なく印刷できた。感度良好。
△:細線の途切れが部分的に見られたが実用上差支えなし。感度通常レベル。
×:細線の途切れが多発した。感度不良。
(耐擦過性評価)
被印刷面に印刷をした上に1.5センチ角に切った段ボールを重ね、1kgの荷重をかけて100往復させたのち、印刷と、段ボールの印刷に重ねていた面とを観察して、下記の基準で耐擦過性を評価した。
○:段ボールは全く汚れていなかった。また印刷にも影響はなかった。耐擦過性良好。
△:段ボールは汚れていたが、印刷に影響はなかった。耐擦過性通常レベル。
×:段ボールは汚れ、印刷もかすれていた。耐擦過性不良。
以上の結果を表1〜表5に示す。なお表中、着色層の欄の、バインダ樹脂の種類はEP:エポキシ樹脂、St:スチレン系樹脂を示す。また炭化水素系ワックスのΔMP(℃)は、着色層に使用した炭化水素系ワックスの融点MP(℃)と、剥離層に使用した炭化水素系ワックスの融点MP(℃)との差ΔMP(℃)=MP−MPを示す。
Figure 0006291677
Figure 0006291677
Figure 0006291677
Figure 0006291677
Figure 0006291677
表1〜表5の実施例1〜17、比較例1〜4の結果より、感熱転写層1を、アルキルペンダント系離型剤、および炭化水素系ワックスを含み、前記アルキルペンダント系離型剤の配合割合が、固形分の総量の5質量%以上、20質量%以下である剥離層5と、着色層6の少なくとも2層を含む積層構造とすることにより、セパレスラベルの離型処理をした被印刷面に感熱転写印刷し、当該セパレスラベルをロール状に巻回した状態で保管したのち繰り出した際に、印刷が被印刷面から剥離したりかすれたり、粘着層側に転移したりするのを防止して感熱転写層2の接着性、離型性を向上できることが判った。また剥離層5に配合する炭化水素系ワックスは、融点が85℃以上、100℃以下であるのが好ましいこともわかった。
施例1、実施例の結果より、着色層6を形成するバインダ樹脂としてはエポキシ樹脂が好ましいことが判った。
実施例1、実施例の結果より、着色層6には、剥離層5に配合する炭化水素系ワックスよりも融点が5〜15℃高い炭化水素系ワックスを配合するのが好ましいことが判った。
さらに実施例12の結果より、着色層6における炭化水素系ワックスの配合割合は、当該着色層6を形成する固形分の総量の3質量%以上、15質量%以下であるのが好ましいことが判った。
そして実施例1、実施例13の結果より、感熱転写層1を、剥離層5と着色層6の2層に加えて、さらに着色層上に、ポリオレフィン系樹脂、およびカルナバワックスを含むオーバー層7を積層した3層構造とするのが好ましいことが判った。
また実施例1、実施例1417の結果より、剥離層5に配合する炭化水素系ワックスは、融点が85℃以上、100℃以下であるのが好ましいことが判った。
1 感熱転写媒体
2 基材
3 感熱転写層
4 背面層
5 剥離層
6 着色層
7 オーバー層

Claims (4)

  1. 基材上に順に設けられた剥離層、および着色層を少なくとも備え、前記剥離層はアルキルペンダント系離型剤、および炭化水素系ワックスを含み、前記アルキルペンダント系離型剤の配合割合は、当該剥離層を形成する固形分の総量の5質量%以上、20質量%以下である感熱転写媒体。
  2. 前記炭化水素系ワックスは、融点が85℃以上、100℃以下である請求項に記載の感熱転写媒体。
  3. 前記着色層は、剥離層の炭化水素系ワックスより融点が5〜15℃高い炭化水素系ワックス、バインダ樹脂としてのエポキシ樹脂、および着色剤を含み、前記炭化水素系ワックスの配合割合は、当該着色層を形成する固形分の総量の3質量%以上、15質量%以下である請求項またはに記載の感熱転写媒体。
  4. 前記着色層上に、ポリオレフィン系樹脂、およびカルナバワックスを含むオーバー層を積層してなる請求項1ないしのいずれか1項に記載の感熱転写媒体。
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