JP7160480B2 - 熱転写記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、印字(印画)をするための熱転写記録媒体に関するものであり、詳しくは、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるプラスチックへ印字を行うための熱転写記録媒体、およびそれを用いた印字方法に関するものである。
従来から、特許文献1などで、包装用シートへの印字を行うための熱転写記録媒体が提案されている。包装用シートとしては、一般的に半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチック(以下、包装用シートと言う)を使用する。特許文献1では、このような包装用シートを使用した場合に、包装用シートに生じる熱転写時のシワの発生を防止した熱転写記録媒体が提案されている。
特許文献1では、熱転写プリンターの転写ヘッドと接触する熱転写記録媒体の耐熱性背面層の動摩擦係数を特定の範囲内とすることにより、熱転写印字による包装用シートのシワの発生を防止した熱転写記録媒体が提案されている。このように、特許文献1では、熱転写記録媒体の物性によって、熱転写印字による包装用シートのシワの発生を防止している。包装用シートは、熱転写プリンターの印字ヘッドと熱転写記録媒体との摩擦抵抗が大きいと、印字によるシワが発生しやすくなる。このため、特許文献1の熱転写記録媒体では、耐熱性背面層の動摩擦係数を0.18以下とすることによって、熱転写プリンターの印字ヘッドと耐熱性背面層の摩擦を小さくして、熱転写プリンターの印字ヘッドと熱転写記録媒体との摩擦抵抗を小さくし、印字による包装用シートのシワの発生を防止している。しかしながら、熱転写印字による当該包装用シートのシワの発生は、熱転写記録媒体の物性のみで解決できるものではない。
耐熱性背面の動摩摩擦係数が小さくても、印字ヘッドのヘッド圧力が大きいと、印字ヘッドと熱転写記録媒体との摩擦抵抗が大きくなって、印字による当該包装用シートのシワが発生しやすくなる。よって、このような包装用シートへの印字を行うための熱転写プリンターは、印字ヘッドのヘッド圧力を大きくすることができない。
ところで、このような包装用シートには、二軸延伸されたポリプロピレンフィルム、ポリエチレンラミネートセロファンなどのプラスチックと、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの紙とがある。プラスチックは表面が平滑であるので、薄い着色層でもプラスチック表面に確実に転写されて、しっかりと定着する。これに対して、紙は表面に微細な凹凸があるため、薄い着色層では、表面の凹凸により確実に転写できないために、着色層がしっかりと定着することができず、転写不良が発生しやすい。
このような問題を解決して、プラスチックと紙の両方に転写不良なく確実に着色層を転写して定着させる方法としては、着色層自体を厚くすることが効果的である。しかしながら、着色層を厚くすると、印字前に着色層が基材から剥離することや、着色層の凝集破壊によって印字不良となる、所謂ブロッキングが発生しやすくなる。また、着色層を表面に微細な凹凸のある紙へしっかりと定着させて、転写不良が発生しないようにしようとすると、熱転写プリンターの印字ヘッドのヘッド圧力を大きくするか、発生させる熱量を大きくしなければならない。しかしながら、上記のように、印字ヘッドのヘッド圧力を大きくすると、包装用シートに生じる熱転写時のシワが発生しやすくなり、従来の熱転写記録媒体では、包装用シートのシワを防止することが困難であった。
一方、印字ヘッドの発熱量を大きくすると、ヘッド圧力を小さくすることができるので、包装用シートに生じる熱転写時のシワの発生を抑えることができる。しかしながら、印字ヘッドの発熱量を大きくすると、従来の熱転写記録媒体では逆転写が発生することがあった。従来の熱転写記録媒体を使用した場合に、印字ヘッドの発熱量を大きくして、比較的面積の大きな隙間のない印字、例えば、所謂ベタ印字をすると、転写された着色層のインクが十分に冷却されない状態で、着色層のインクが熱転写記録媒体から剥離されることがあった。このように、転写された着色層のインクが十分に冷却されない状態で、着色層のインクが熱転写記録媒体から剥離されると、転写された着色層インクが熱転写記録媒体側に戻る逆転写が発生し、被印字物である包装用シートに目的とした正しい印字がされないことがあった。
特開2015-74127公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへの印字を行うためのプリンターなどのように、特に印字時にシワが発生しやすい被印字物に印字するプリンターに用いられても、簡単な構成で、下記ア~ウの3点の課題を同時に解決することできるとともに、従来の熱転写記録媒体に比べて逆転写が発生し難い熱転写記録媒体を提供することである。
(ア)印字時に被印字物にシワが発生しない。
(イ)被印字物として、プラスチックと紙の両方への印字性能が良好である。
(ウ)着色層などの転写層のブロッキングが発生しない。
第1発明は、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターに使用する熱転写記録媒体であって、基材フィルム上に転写制御層、着色層、及び接着層を前記基材フィルム側からこの順に積層し、前記着色層は融点が88℃以上である高融点ワックスを前記着色層の固形分中の65~78重量%、融点が89℃以上の樹脂を前記着色層の固形分中の2~15重量%含有し、前記接着層は前記着色層が含有する高融点ワックスよりも融点が5℃以上10℃以下低いワックスを主成分とする層であり、前記転写制御層は、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%、シリコーン変性ウレタン樹脂を固形分中の4~20重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%含有することを特徴とする熱転写記録媒体である。
第2発明は、前記融点が88℃以上である高融点ワックスがポリオレフィンワックスであり、前記融点が89℃以上の樹脂がエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂である第1発明に記載の熱転写記録媒体である。
第3発明は、前記粒子がアルミニウムシリケート粒子である第1発明または第2発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
第4発明は、前記接着層の固形分中における前記ワックスの含有量が50重量%以上であることを特徴とする第1発明~第3発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
第5発明は、前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックが、グラシン紙、セロファン、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選ばれることを特徴とする第1発明~第4発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
第6発明は、前記熱転写記録媒体が、薬剤分包装置に搭載された熱転写プリンターで使用されることを特徴とする第1発明~第5発明のいずれかに記載の熱転写記録媒体である。
第7発明は、グラシン紙、セロファン、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選ばれる材質である包装用シートへ前記熱転写プリンターでする印字方法であって、第1発明~第6発明のいずれかの熱転写記録媒体を用いる印字方法である。
本発明の熱転写記録媒体では、融点が88℃以上である高融点ワックスを着色層の固形分中の65~78重量%、融点が89℃以上の樹脂を着色層の固形分中の2~15重量%含有することで、被印字物のうち、表面が平滑なプラスチックだけでなく表面に凹凸がある紙に対しても着色層インクの定着性が良好で、かつ、着色層が熱転写されたあとに固まるまでの時間が短くなるので、従来の熱転写記録媒体に比べて、逆転写が発生しにくい熱転写記録媒体を提供することができる。また、着色層上に積層する接着層の主成分であるワックスの融点を、着色層のワックスの融点よりも、5℃以上10℃以下低くすることにより、逆転写を防止する効果を維持しつつ、さらに着色層だけを転写する場合よりも、転写感度を向上することができるので、印字時の被印字物のシワを防止することができる。また、着色層を、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%、シリコーン変性ウレタン樹脂を固形分中の4~20重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%を含有する転写制御層上に積層することで、熱転写時以外には転写制御層が着色層に強固に保持されるとともに、熱転写時には転写制御層から着色層が容易に剥離し着色層の高感度な転写が可能となるので、ブロッキングの防止と印字時の被印字物のシワの防止を両立することができる。このように、本発明では、特に印字時にシワが発生しやすい被印字物に印字するプリンターに用いられても、簡単な構成で、下記ア~ウの3点の課題を同時に解決することできるとともに、従来の熱転写記録媒体に比べて逆転写が発生し難い熱転写記録媒体を提供することができる。
(ア)印字時に被印字物にシワが発生しない。
(イ)被印字物として、プラスチックと紙の両方への印字性能が良好である。
(ウ)着色層などの転写層のブロッキングが発生しない。
以下に本発明の熱転写記録媒体を、さらに詳しく説明する。
本発明の熱転写記録媒体は、基材の一方の面にそれ自体は転写されない転写制御層を設け、当該転写制御層上に着色層を設け、当該着色層上に接着層を設けた熱転写記録媒体である。
(基材)
本発明の熱転写記録媒体の基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の熱転写記録媒体の基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。基材の厚さは通常は1~10μm程度であり、熱伝達を良好にするためには、1~6μmの範囲が好ましい。
(転写制御層)
本発明の熱転写記録媒体は基材と着色層間に転写制御層を設ける。転写制御層自体は、熱転写によって転写されない層であり、熱転写時には上層の着色層を容易に剥離することができるとともに、熱転写されるまでは、上層の着色層が脱落しないよう保持しておくことが要求される層である。
本発明の転写制御層は、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%含有することが好ましい。また、本発明の転写制御層は、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%含有することが好ましい。転写制御層は平均粒子径が0.15μm~2.00μmの粒子を含有することで、表面に凹凸を設けることができる。また、転写制御層の平均厚み(乾燥後)は0.1μm以上0.3μm以下が好ましい。このように、本発明の転写制御層は、当該層の平均厚みよりも、平均粒子径が大きな粒子を含有して、転写制御層の表面から突出した状態で粒子が固定される。すなわち、薄いバインダーでできた層から粒子が突出した状態となる。本発明の転写制御層ではウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を含有して、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の接着性により、薄いバインダーでできた層に当該層から突出する粒子を固定している。また、本発明の転写制御層では、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の強靭な膜を作る成膜性により、薄いバインダーでできた層から突出した粒子の表面にも、薄いバインダーでできた層を形成することができる。
このように本発明の転写制御層では、薄いバインダーでできた層から突出した粒子の表面も薄いバインダーでできた層で覆われており、薄いバインダーでできた層はウレタン変性共重合ポリエステル樹脂により接着性を有している。転写制御層の上に着色層が積層されると、着色層は転写制御層表面の凹凸と噛み合うようにして積層されて、広い接触面積で接着性を有する転写制御層表面と接触した状態となる。このため、着色層は転写制御層に強固に保持される。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の転写制御層の固形分中の含有量が29重量%未満であると、転写制御層は十分な接着性が得られず、着色層が脱落するおそれがある。一方、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂の固形分中の含有量が39重量%を超えると、転写制御層の接着性が強くなり過ぎて、熱転写時に転写不良が発生するおそれがある。
転写制御層に含有する粒子の平均粒径が0.15μm未満であると、転写制御層表面の凹凸が小さすぎて、転写制御層から着色層の脱落を防止する効果が十分に得られない。一方、平均粒子径が2.00μmを超えると、転写制御層に固定できない粒子が発生するおそれがあるとともに、転写制御層表面の凹凸の単位面積当たりの個数が少なくなり、転写制御層から着色層が脱落して発生するブロッキングを防止する効果が十分に得られない。また、粒子の転写制御層固形分中の含有量が10重量%未満であると、転写制御層表面の凹凸の単位面積当たりの個数が少なくなり、転写制御層から着色層が脱落して発生するブロッキングを防止する効果が十分に得られない。一方、粒子の含有量が30重量%を超えると、転写制御層のバインダー成分の比率が少なくなり、転写制御層に固定できない粒子が発生するおそれがあるとともに、着色層を保持する力が低下し着色層がブロッキングするおそれがある。
転写制御層の厚みが0.1μm未満になると、着色層に対する保持力が十分に得られず、着色層がブロッキングするおそれがある。一方、0.3μmを超えると、着色層に対する保持力が強くなりすぎるとともに、熱転写記録媒体の熱応答性が低下するので、熱転写時に着色層が転写不良になるおそれがある。なお、本発明における転写制御層の厚みは、転写制御層が0.3μmを超える粒子径の粒子を含有しているため、層厚みの実測値ではなく、単位面積当たりに塗工された転写制御層の固形分の体積を、当該単位面積で割った解を意味するものとする。本発明における転写制御層の厚みを0.1μm~0.3μmとするために必要な基材1m当たりの転写制御層塗布液の固形分塗布量は、おおよそ0.1~0.3g/mである。また、本発明の転写制御層の好ましい算術平均荒さRaは、0.1~0.3である。
上記のように、本発明では、転写制御層にウレタン変性共重合ポリエステル樹脂と粒子を含有させることで、転写制御層の着色層に対する保持力が得られ、この保持力により、転写制御層から着色層が脱落して発生するブロッキングを防止できる。そして、本発明では、さらに転写制御層へシリコーン変性ウレタン樹脂を含有させることにより、転写制御層の着色層に対する保持力を低下させることなく、熱転写時の着色層の高感度な転写が可能となる。このように、本発明の熱転写記録媒体では、熱転写時の着色層の高感度な転写が可能となるので、被印字物に包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを用いた場合にも、被印字物のシワが発生しない。
シリコーン変性ウレタン樹脂の転写制御層固形分中の含有量は、4~20重量%が好ましい。転写制御層固形分中のシリコーン変性ウレタン樹脂の含有量が4重量%未満になると、熱転写時の着色層の高感度な転写が可能となる効果は得られず、被印字物のシワを防止する効果が十分に得られない。一方、20重量%を超えると、着色層のブロッキングを防止する効果が低下する。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂と上記平均粒子径の粒子に加えて、シリコーン変性ウレタン樹脂を上記の好ましい割合で転写制御層に含有することによって、熱転写時以外の着色層が溶融していない状態では、転写制御層が着色層をしっかりと保持した状態が維持される。一方、熱転写時の着色層が溶融した状態になると、転写制御層にシリコーン変性ウレタン樹脂を上記の好ましい割合で含有させることにより、転写制御層の着色層を保持する力が低下し、着色層の高感度な転写が可能となる。
転写制御層に用いる粒子は、平均粒子径が0.15μm以上2.00μm以下のものであれば、有機、無機を問わず任意のものが使用可能であるが、アルミニウムシリケート粒子などを好適に用いることができる。
転写制御層は、その他の成分として熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂であればとくに制限はないが、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂との相溶性がよいことから、熱可塑性樹脂の中でもポリエステル樹脂が好ましい。
(着色層)
本発明の熱転写記録媒体の着色層は、転写制御層上に設けられる層であって、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルと着色剤とからなる熱転写される層である。本発明では、前記ビヒクルは、融点が88℃以上である高融点ワックスを主成分とし、さらに、融点が89℃以上の樹脂を含有することが好ましい。本発明の熱転写記録媒体は、被印字物に包装用シートとして使用される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを用いても、被印字物に発生するシワを防止することができることが要求される。このような被印字物に対しても、印字によるシワを防止するためには、熱転写プリンターの転写ヘッドのヘッド圧力を大きくすることができないため、転写ヘッドで発生させる熱量を大きくしなければならない。したがって、本発明の熱転写記録媒体は、転写ヘッドで発生する熱量が大きな熱転写プリンターに用いられても、転写された着色層が潰れて文字が判読できなくならないことが要求される。また、転写ヘッドで発生する熱量が大きな熱転写プリンターで、着色層を隙間なく転写する所謂ベタ印字をすると、転写ヘッドに蓄熱が発生して、転写ヘッドがさらに高温になることがある。このため、転写ヘッドで発生する熱量が大きな熱転写プリンターでベタ印字をすると、転写ヘッドの蓄熱により、被印字物に転写された着色層が固まらない状態で熱転写記録媒体から剥離されることがある。固まり切らずに転写された着色層は、再び熱転写記録媒体側に貼りついて被印字物から引き剥がされて印字不良となる、所謂、逆転写を引き起こすことがある。したがって、本発明の熱転写記録媒体は、転写ヘッドで発生する熱量が大きな熱転写プリンターで、所謂ベタ印字をしても、逆転写が発生しないことが要求される。
本発明の熱転写記録媒体では、着色層のビヒクルの主成分を、融点が88℃以上である高融点ワックスとし、さらに、融点が89℃以上の樹脂を含有することによって、上記のような印字された文字の潰れや、逆転写の発生を防止することができる。着色層のビヒクルに高融点のワックスを使用することにより、着色層が熱転写されたあとに固まるまでの時間が短くなるので、印字された文字の潰れや逆転写の発生を防止することができる。しかしながら、着色層の主成分として高融点ワックスを使用することにより、着色層と熱転写された着色層、すなわち被印字物に転写された印字が脆く、割れ易くなる。本発明では、着色層や印字が脆く、割れ易くなることを防止するために、融点が89℃以上の樹脂を着色層に含有している。着色層のビヒクルに融点が89℃以上の樹脂を含有することによって、印字された文字の潰れや、逆転写の発生を防止する効果を低下させることなく、着色層及び印字が脆く、割れ易くなることを防止することができる。
融点が88℃以上である高融点ワックスの含有量は着色層の固形分中の65~78重量%が好ましく、融点が89℃以上の樹脂の含有量は着色層の固形分中の2~15重量%が好ましい。融点が88℃以上である高融点ワックスの含有量が着色層の固形分中の65重量%未満になると、印字された文字の潰れや、逆転写の発生を防止する効果が十分に得られない。融点が88℃以上である高融点ワックスの含有量が着色層の固形分中の78重量%を超えると、着色層中に十分な量の着色剤を含有させることができず、十分な印字濃度を確保することができないか、或いは着色層に十分な量の融点が89℃以上の樹脂を含有させることができず、着色層及び印字が脆く、割れ易くなる。融点が89℃以上の樹脂の含有量が着色層の固形分中の2重量%未満になると、着色層及び印字が脆く、割れ易くなる。融点が89℃以上の樹脂の含有量が着色層の固形分中の15重量%を超えると、被印字物としてグラシン紙などの紙を用いた場合に、溶融した着色層インクが紙表面の微細な凹凸の内部に入り込むことができなくなり、被印字物への定着性が低下するとともに、熱転写時の転写制御層からの着色層の剥離力が大きくなって、印字による被印字物のシワが発生しやすくなる。
着色層のビヒクル主成分である前記高融点ワックスとしては、融点が88℃以上のものであれば、天然ワックス、石油系ワックス、合成ワックスなどから任意のものが使用可能であるが、融点が安定している点から合成ワックスが好ましく。合成ワックスの中でも、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)及びその誘導体が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記のとおり、高融点ワックスの融点は88℃以上が好ましいが、より好ましくは88℃以上100℃以下である。高融点ワックスの融点が88℃未満になると、印字された文字の潰れや、逆転写の発生を防止する効果が十分に得られない。一方、高融点ワックスの融点の上限は、使用される転写ヘッドの発熱量により、決定される値であるが、融点が100℃を超えるような融点の高いワックスを使用すると、転写ヘッドの発熱量を非常に大きくする必要があり、好ましくない。
前記樹脂としては、融点が89℃以上のものであれば、例えば、ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等などから任意のものを使用可能であるが、着色層及び印字後の着色層が、脆く、割れ易くなることを防止する効果が大きく、熱転写時の着色層の転写制御層からの剥離力の調整が容易であるという点では、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、好ましい。前記のとおり、樹脂の融点は89℃以上が好ましいが、より好ましくは89℃以上100℃以下である。樹脂の融点が89℃未満になると、逆転写が発生し易くなる。一方、樹脂の融点の上限も、使用される転写ヘッドの発熱量により、決定される値であるが、融点が100℃を超えるような融点の高い樹脂を使用すると、転写ヘッドの発熱量を非常に大きくする必要があり、好ましくない。
前記のように、本発明の熱転写記録媒体では 着色層のビヒクルはワックス類を主成分とするものであるため、被印字物としてグラシン紙などの紙を用いた場合にも、溶融した着色層インクが紙表面の微細な凹凸の内部に入り込み、確実に被印字物に定着する。
着色層には、着色層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。
着色層が含有する着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、ブラックをはじめとして、すべての色の着色剤が使用可能であり、この種の熱転写される着色層で一般に使用されている有機、無機の着色顔料、染料などが使用できる。着色剤の着色層の固形分中における含有量は、10~30重量%が好ましい。着色剤の着色層の固形分中における含有量が、10重量%未満になると、色が薄くなりすぎて、転写した着色層に十分な濃度が得られない。着色剤の着色層の固形分中における含有量が30重量%を超えると、着色層が脆くなり着色層が基材から剥がれ易くなって、ブロッキングが発生し易くなる。
着色層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、1.6μm以上2.4μm以下が好ましい。着色層の色にもよるが、着色層の厚みが1.6μm未満になると十分な印字濃度が得られず好ましくない他、転写時に着色層が溶融し過ぎて、印字が潰れることがある。また、着色層の厚みが2.4μmを超えると、ブロッキングが発生しやすくなるとともに、熱転写時の着色層のキレが悪くなって転写性が低下するので、好ましくない。
(接着層)
本発明の熱転写記録媒体では、前記着色層上の最外層として、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルとしてのワックスを主成分として含有する接着層を積層する。接着層のビヒクルとしてのワックスは1種を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、種々の目的のために樹脂や、添加剤を適宜使用してもよい。着色層上に接着層を積層することにより、転写制御層からの剥離と被印字物への接着との機能分化が図られ、それぞれの性能を個別に最適化することができるので、熱転写記録媒体の性能向上が容易となる。
接着層のビヒクル主成分である前記ワックスとしては、天然ワックス、石油系ワックス、合成ワックスなどから任意のものが使用可能であり、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、接着層に使用するワックスは、着色層に使用する高融点ワックスの融点に比べ、融点が5℃以上10℃以下低いものを使用することが好ましい。
また、接着層の前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸とそのエステルとの共重合体、ポリビニルアセタール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等などから任意のものを使用可能であるが、接着層が割れ難くなるという点では、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、好ましい。なお、接着層は着色層よりも薄い層とすることが可能であり、薄い層とした場合には、着色層に比べて割れ難い層とすることができる。このため、着色層は樹脂を必須成分として含有する必要があるのに対して、接着層は必ずしも樹脂を必須成分として含有する必要はない。接着層に樹脂を添加する場合には、接着層の融解熱量が高くなることによって、熱転写時に着色層よりも接着層が溶融し難くなって、被印字物が紙である場合に、溶融した接着層が紙表面の微細な凹凸の内部に入り込むことができなくなる程度まで、熱可塑性樹脂を含有することは好ましくない。被印字物が紙である場合に、溶融した接着層が紙表面の微細な凹凸の内部に入り込むことができなくなると、転写された熱転写記録媒体の紙に対する定着性が低下して、転写不良が発生するおそれがあるからである。接着層に添加する樹脂は、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、接着層に使用する樹脂は、着色層に使用する樹脂の融点に比べ、融点が5℃以上10℃以下低いものを使用することが好ましい。
接着層のビヒクルとして使用するワックス又は、ワックスと樹脂の融点を、着色層のビヒクルとして使用するワックス又は、ワックスと樹脂の融点よりも、それぞれ5℃以上10℃以下低くすることにより、着色層だけを転写する場合に比べて、逆転写を防止する効果を維持しつつ、着色層の転写感度を向上することができる。
接着層のビヒクルの融点を低くすることによって、転写ヘッドで発生する熱量が同じでも、着色層だけの場合に比べて、被印字物と接触している接着層がより溶融した状態となり、着色層(接着層を含む)の転写感度が向上する。一方、熱転写時の着色層の状態は、接着層を設けていない熱転写記録媒体と同様なので、接着層を設けることによって、逆転写を防止する効果が低下することはない。
ワックスの接着層中の固形分中における含有量は、50重量%以上が好ましい。ワックスの接着層の固形分中における含有量が、50重量%未満になると、被印字物が紙である場合の、接着層の被印字物に対する定着性が悪くなり、印字不良が発生し易くなる。
接着層の厚みは、0.3μm以上0.7μm以下が好ましい。接着層の厚みが0.3μm未満になると、接着層の被印字物への定着力が低下して、転写不良(印字不良)が発生し易くなる。また、接着層の厚みが、0.7μmを超えると、熱転写時に接着層中の熱伝達性が悪くなり、接着層が十分に溶融せず、被印字物への転写不良が発生し易くなる。
また、接着層を設けることによって、逆転写を防止する効果を維持しつつ、着色層の転写感度を向上することができる効果を阻害しない範囲であれば、接着層に粒子や添加剤を含有してもよい。接着層に添加する添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などが挙げられる。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写記録媒体では、基材の着色層を設けた面の反対面に耐熱滑性層を設ける。耐熱滑性層を設けることにより、印字時のプリンターの転写ヘッドによる基材のダメージを少なくすることができる。耐熱滑性層を設けることにより、基材のダメージが少なくなるので、印字時に転写ヘッドが基材に貼りついてスムーズに移動できなくなる現象である、所謂スティックを防止することができる。
本発明の耐熱滑性層の材料としては、熱転写記録媒体で従来から採用されているものが特に制限無く使用できる。サーマルヘッドに対する耐熱性、高温時での動摩擦係数を小さくする点やコストを考慮すると、これらの中でも、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、またはその混合物が、耐熱滑性層の材料として特に好ましい。
本発明の耐熱滑性層には、粒子、滑剤、帯電防止剤など、その他の添加剤を配合してもよい。
本発明の耐熱滑性層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、良好なスティック防止効果を達成しかつ熱伝導性の悪化を防止する点から、0.05~ 0.80μmが好ましい。耐熱滑性層の厚みが0.05μm未満では、耐熱性が不十分で印字時にスティックが発生することや、基材が溶融して印字不能となることがある。0.80μmを超えると、熱伝導性が悪化して印字に支障をきたすことがある。
本発明の熱転写記録媒体は、被印字物として、半透明のシート状の紙及び/又は透明又は半透明のシート状のプラスチックなどに使用することができる。半透明のシート状の紙及び/又は透明又は半透明のシート状のプラスチックとしては、グラシン紙、ポリエチレンラミネートグラシン紙、などの紙や、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンラミネートセロファン、などフィルムである従来公知の包装用材料として使用される紙及び/又はプラスチックを挙げることができる。
本発明の熱転写記録媒体は、半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックを、二つ折りした状態で印字する薬剤分包機等にも使用することができる。なお、このような薬剤分包機等では、シートを二つ折りした状態で重ね合わせたシートの両端をシールすることによりシートを筒状として、筒の内部に薬剤などの被包装物を収納する。
本発明の熱転写記録媒体を用いて印字される半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックの引張り弾性率は、400MPa以上2000MPa以下が好ましい。引張り弾性率が400MPa未満になると、プリンターによる張力でシートが伸びることがあるため、使用できない。一方、引張弾性率が2000MPaを超えるシートは、シートが厚すぎるか硬過ぎるために、包装用途には適さない。
本発明を、以下の実施例1~13、比較例1~12を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。
(実施例1)
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(着色層)
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%) 8.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(接着層)
下記処方の材料を混練して接着層インクを作製し、乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して前記着色層上に塗布、乾燥させて接着層を作製した。
カルナバワックス (融点83℃ 固形分30%水溶液) 17.50部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(耐熱滑性層)
下記処方の材料を混練して耐熱滑性層インクを作成し、乾燥後の厚みが0.2μmになる様に調整して、前記接着層、前記着色層、前記転写制御層を積層した面の反対の基材面に塗布乾燥させて耐熱滑性層を作製し、熱転写記録媒体を作製した。
シリコーン変性ウレタン樹脂 25.00部
(大日精化工業社製 ダイアロマー、固形分20%)
イソシアネート 3.00部
溶剤(MEK) 140.00部
溶剤(トルエン) 25.00部
(実施例2)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例3)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例4)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 38.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 4.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例5)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 30.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 20.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例6)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 78.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
2.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(実施例7)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 65.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
15.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(実施例8)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点98℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
8.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(実施例9)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径0.15μm 固形分100% ) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例10)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径2.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(実施例11)
実施例1から、転写制御層の乾燥後の厚みが0.1μmに変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(実施例12)
実施例1から、転写制御層の乾燥後の厚みが0.3μmに変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(実施例13)
実施例1から、接着層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(接着層)
下記処方の材料を混練して接着層インクを作製し、乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して着色層上に塗布、乾燥させて接着層を着色層上に積層した以外は、実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
カルナバワックス (融点83℃ 固形分30%水溶液) 17.50部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径0.5μm、固形分100%) 4.23部
粒子用分散剤(分岐型ポリマ-、固形分100%) 0.56部
溶剤(IPA) 11.90部
溶剤(メタノール) 64.70部
(比較例1)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 25.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 43.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例2)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂 (固形分100%) 43.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 25.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂 (固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例3)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 2.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例4)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 22.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例5)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 39.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 41.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 8.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例6)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 29.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 27.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径1.00μm 固形分100%) 32.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例7)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径0.10μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例8)
実施例1から、転写制御層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(転写制御層)
下記処方の材料を混練して転写制御層インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗布、乾燥させて転写制御層を作製した。
ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
ポリエステル樹脂(固形分100%) 34.00部
シリコーン変性ウレタン樹脂(固形分100%) 12.00部
アルミニウムシリケート粒子
(平均粒子径2.20μm 固形分100%) 20.00部
溶剤(MEK) 112.50部
溶剤(トルエン) 112.50部
(比較例9)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(着色層)
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点71℃、固形分100%)
8.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(比較例10)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(着色層)
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点81℃、固形分100%) 72.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
8.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(比較例11)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(着色層)
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 80.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(比較例12)
実施例1から、着色層を以下の処方に変更した以外は実施例1と同じ方法で熱転写記録媒体を作製した。
(着色層)
下記処方の材料を混練して着色層インクを作製し、転写制御層上に乾燥後の厚みが2.0μmになるよう塗工、乾燥させて着色層を作製した。
ポリエチレンワックス(融点88℃、固形分100%) 63.00部
分散剤(固形分100%) 5.00部
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(融点89℃、固形分100%)
17.00部
カーボンブラック顔料(固形分100%) 15.00部
(評価)
(ブロッキング評価)
実施例1~13、比較例1~12で作製した熱転写記録媒体を100mm幅の短冊状にカットしつつ、熱転写記録媒体の長手方向に100mN/mm幅の張力が作用した状態で、外径34mmのコアに接着層側を外側にして300mを巻き、50℃、85%RHの雰囲気中に96時間保存し、常温に取り出して1日以上放置した後に、下記基準で評価した。評価結果を表1~4に示す。
○:耐熱滑性層と接着層が全くブロッキングしていない。
×:耐熱滑性層と接着層がブロッキングしている。
ブロッキング評価が×となった実施例・比較例がある場合には、すべての実施例と比較例について、ブロッキング評価に使用したものを使用せず。新たに各実施例と比較例の熱転写記録媒体を準備して、下記印字以降の評価を実施した。
(印字)
次に、被印字物のシワ、印字のキレ性、印字のつぶれ、及び逆転写の比較評価をするために、実施例1~13、比較例1~12で作製した熱転写記録媒体を、株式会社タカゾノ製の薬剤分包装置の熱転写プリンターを使用して印字した。被印字物としては、引張り弾性率600MPaの二軸延伸されたポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、引張り弾性率500MPaのポリエチレンラミネートセロファン(印字はセロファン側にする)、及び引張り弾性率500MPaポリエチレンラミネートグラシン紙(印字はグラシン紙側にする)の3種類包装用シートを使用した。印字パターンとしては、幅3mm、長さ50mmの棒線と、10ポイントの文字ロ、エ、メ(カタカナ)を印字した。使用する熱転写プリンターは、薬剤分包装置内に設置されるものであり、被印字物であるシートを二つ折りにした状態で印字するもののため、被印字物に印字シワが発生し易いプリンターである。印字は、実施例1~13、比較例1~12の熱転写記録媒体を交換する以外は、すべて同条件で実施した。評価結果を表1~4に示す。
(逆転写)
前記で、実施例1~13、比較例1~12の熱転写記録媒体を用いて印字した幅3mm、長さ50mmの棒線を目視確認した。逆転写の評価結果を表1~4に示す。
◎:幅3mm、長さ50mmの棒線が完全に印字されていた。
○:幅3mm、長さ50mmの棒線の後端部の印字濃度が薄くなっていたが、印字欠けは無かった。
×:逆転写が発生し、幅3mm、長さ50mmの棒線後端部が印字されていなかった。
(印字シワ評価)
実施例1~13、比較例1~12の熱転写記録媒体で印字した被印字物を目視確認して、印字シワの発生の有無を確認した。評価結果を表1~4に示す。
○:印字シワの発生無し
×:印字シワの発生あり
(印字のキレ性)
前記で、実施例1~13、比較例1~12の熱転写記録媒体を用いて印字した10ポイントのカタカナ、ロとエとメを目視確認した。印字のキレ性の評価結果を表1~4に示す。
◎:文字の欠けはなかった。
○:微小な文字欠けはあったが、文字の判読には問題のないレベルであった。
×:文字欠けがあり、判読不能な文字があった。
(印字のつぶれ)
前記で、実施例1~13、比較例1~12の熱転写記録媒体を用いて印字した10ポイントのカタカナ、ロとエとメを目視確認した。印字のつぶれの評価結果を表1~4に示す。
◎:細線部のつぶれもなく、文字の判読も容易である。
○:細線部のつぶれはやや認められるが、文字の判読は可能であり、実用に供し得る。
×:細線部のつぶれてしまい、文字の判読が困難で、実用に供し得ない。
(表1)
Figure 0007160480000001
(表2)
Figure 0007160480000002
(表3)
Figure 0007160480000003
(表4)
Figure 0007160480000004

Claims (7)

  1. 半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックへ印字を行う熱転写プリンターに使用する熱転写記録媒体であって、基材フィルム上に転写制御層、着色層、及び接着層を前記基材フィルム側からこの順に積層し、前記着色層は融点が88℃以上である高融点ワックスを前記着色層の固形分中の65~78重量%、融点が89℃以上の樹脂を前記着色層の固形分中の2~15重量%含有し、前記接着層は前記着色層が含有する高融点ワックスよりも融点が5℃以上10℃以下低いワックスを主成分とする層であり、前記転写制御層は、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を固形分中の29~39重量%、シリコーン変性ウレタン樹脂を固形分中の4~20重量%、平均粒子径が0.15μm~2.00μmである粒子を固形分中の10~30重量%含有することを特徴とする熱転写記録媒体。
  2. 前記融点が88℃以上である高融点ワックスがポリオレフィンワックスであり、前記融点が89℃以上の樹脂がエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂である請求項1に記載の熱転写記録媒体。
  3. 前記粒子がアルミニウムシリケート粒子である請求項1または請求項2のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  4. 前記接着層の固形分中における前記ワックスの含有量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  5. 前記半透明であるシート状の紙及び/又は透明又は半透明であるシート状のプラスチックが、グラシン紙、セロファン、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選ばれることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  6. 前記熱転写記録媒体が、薬剤分包装置に搭載された熱転写プリンターで使用されることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の熱転写記録媒体。
  7. グラシン紙、セロファン、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選ばれる材質である包装用シートへ前記熱転写プリンターでする印字方法であって、請求項1~請求項6のいずれかの熱転写記録媒体を用いる印字方法。
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