JP7103755B2 - 補強用吹付けモルタル - Google Patents

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Description

本発明は、補強用吹付けモルタルに関し、特に内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層を、既存のコンクリート構造物の周囲に形成するための補強用吹付けモルタルに関する。
阪神淡路大震災以降、耐震設計基準が見直されたことから、新たな基準に適応できるように、例えば高速道路や鉄道等の高架橋を形成するコンクリート柱や、その他の種々のコンクリート構造物に対して、耐震補強する必要に迫られている。既存のコンクリート柱等のコンクリート構造物を耐震補強する工法として、例えばコンクリート柱の外周部分に補強用の強筋を配筋すると共に、型枠を設置し、型枠内にコンクリートを打設して硬化させることにより補強するRC巻立て工法や、例えばコンクリート柱の外周部分に鋼板を巻き立て、巻き立てた鋼板と既存のコンクリート柱との間の隙間に無収縮モルタルを充填して補強する鋼板巻立て工法等が知られている。
これらの従来の既存のコンクリート柱等のコンクリート構造物を耐震補強する工法では、RC巻立て工法の場合、補強部分の厚さが厚くなるため、建築限界や、河川管理施設等構造令による河積阻害率(河積阻害率=(河川内の橋脚幅×基数)÷河川幅)による制約を受ける施工箇所では、適用することは困難である。鋼板巻立て工法の場合、補強材料となる鋼板が重量物で高価になると共に、施工時に揚重設備が必要になるため、経済性や施工性に課題がある。
また、既存のコンクリート構造物である例えば既存のコンクリート柱を耐震補強する他の工法として、巻立て鉄筋及び吹付けモルタルによって、コンクリート柱の外周部分にモルタル層による補強体を形成する工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の工法では、作業員の手作業により巻立て鉄筋を組み立てることが可能になると共に、型枠を設置することなく吹付けモルタルを吹き付けて、既存のコンクリート柱の外周部分にモルタル層による補強体を形成することができるので、既存のコンクリート柱を効率良く且つ安価に耐震補強することが可能になる。
特開2012-67585号公報
既存のコンクリート柱等のコンクリート構造物を、これの外周部分に吹付けモルタルを吹き付けることで、内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層を形成することによって耐震補強する場合、型枠を設置することなく、且つ揚重設備を要することなく簡易に施工することが可能になるが、その一方で、吹き付けられたモルタルは、コンクリートと比較して、硬化後の乾燥収縮量が大きいため、乾燥収縮によるひび割れ等が発し易くなって、形成された耐震補強用のモルタル層の品質や美観を損なうことになる。
特に、建築限界や、河川管理施設等構造令による河積阻害率による制約を受けないようにするために、耐震補強用のモルタル層を、コンクリート構造物の外周部分に、好ましくは40~70mm程度の薄い厚さで形成する場合には、乾燥収縮によるひび割れ等がさらに発生し易くなることから、このようなモルタル層をできるだけ薄い厚さで形成して補強するのに適した、新たな補強用の吹付けモルタルの開発が要望されている。また、硬化後の乾燥収縮量を抑制するには、水セメント比を小さくしたり、砂セメント比を大きくしたりすることが考えられるが、水セメント比を小さくしたり、砂セメント比を大きくしたりすると、モルタルポンプによる圧送性を損なうことになって、施工性に影響を及ぼすことになる。
本発明は、吹き付けによる施工のし易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート構造物の外周部分に形成することのできる補強用吹付けモルタル及び該補強用吹付けモルタルを形成するための補強用プレミックスモルタルを提供することを目的とする。
本発明は、内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層を、既存のコンクリート構造物である既存の橋脚を構成するコンクリート柱の周囲に、40~70mmの薄い厚さで形成するための補強用吹付けモルタルであって、水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されており、フレッシュ時のスランプ値が8~13cmであり、硬化後の材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上であり、且つ膨張材の配合量がセメントの6~11重量%、シリカフュームの配合量がセメントの5~10重量%であり、水結合材比(W/B)が37.5~42.5%、砂結合材比(S/B)が1.75~2.5である補強用吹付けモルタルを提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明の補強用吹付けモルタルは、収縮低減剤が配合されていることが好ましい。
さらに、本発明の補強用吹付けモルタルは、水溶液の前記収縮低減剤がセメントの1~2重量%配合されているか、又は粉体状の前記収縮低減剤がセメントの0.2~0.4重量%配合されていることが好ましい。
さらにまた、本発明の補強用吹付けモルタルは、短繊維が混入されていることが好ましい。
また、本発明の補強用吹付けモルタルは、短繊維が0.05~0.1%の容積比で混入されていることが好ましい。
さらに、本発明の補強用吹付けモルタルは、前記コンクリート柱の周囲に、ポンプによる吐出圧を0.4~0.6N/mm 2 とし、モルタル吐出量を0.8~1.2m 3 /hとして吹き付けられるようになっていることが好ましい。
また、本発明は、水と混練りされて上記の補強用吹付けモルタルを形成する補強用プレミックスモルタルであって、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されている補強用プレミックスモルタルを提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明の補強用プレミックスモルタルは、細骨材の粗粒率が2.5~3.0であることが好ましい。
また、本発明の補強用プレミックスモルタルは、粉体状の収縮低減剤が混合されていることが好ましい。
さらに、本発明の補強用プレミックスモルタルは、短繊維が混入されていることが好ましい。
本発明の補強用吹付けモルタル又は補強用プレミックスモルタルによれば、吹き付けによる施工のし易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート構造物の外周部分に形成することができる。
本発明の補強用吹付けモルタルを用いて耐震補強される既設のコンクリート構造部を例示する略示斜視図である。 (a)は図1に示すA部の略示断面図、(b)は(a)に示すB部の略示拡大断面図、(c)は軸方向鉄筋の先端部分の略示拡大図である。 実施例1、実施例2、及び比較例1のモルタルの、材齢と乾燥収縮量(乾燥収縮率)との関係を示すチャートである。 実施例3、実施例4、及び比較例2のモルタルの、材齢と乾燥収縮量(乾燥収縮率)との関係を示すチャートである。
本発明の好ましい一実施形態に係る補強用吹付けモルタルは、例えば図1に示すように、既存のコンクリート構造物として、河川を横断して構築された高速道路用の高架橋を下方から支持する、橋脚を構成するコンクリート柱20の外周部分に、内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10を簡易に形成して、既存のコンクリート柱20を効果的に耐震補強できるようにするための、吹き付け用のモルタルとして用いられる。本実施形態では、河川に形成されたコンクリート柱20は、耐震補強されて橋脚幅が大きくなることによって、例えば河川管理施設等構造令による河積阻害率(河積阻害率=(河川内の橋脚幅×基数)÷河川幅)による制約を受け易くなるので、このような制約を受けないようにするために、本発明の補強用吹付けモルタルを用いることで、内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10を、できるだけ薄い厚さで形成するようになっている。本実施形態では、補強用吹付けモルタル10は、吹き付けによる施工の容易さを保持したまま、薄い厚さで形成されたモルタル層10に、ひび割れ等が発生するのを効果的に抑制して、品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート柱20の外周部分に容易に形成できるようにする機能を備えている。
すなわち、本実施形態の補強用吹付けモルタルは、内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート構造物の周囲に形成するための吹付け用のモルタルであって、水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されており、フレッシュ時のスランプ値が8~13cmであり、硬化後の材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上となっている。
ここで、上述のフレッシュ時のスランプ値は、JIS A 1101「コンクリートスランプの測定方法」によって測定された値である。上述の乾燥収縮率は、JIS A 1129-3「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」によって算定された収縮率である。付着強度は、建研式の接着力試験器によって測定された強度である。すなわち、付着強度は、例えば450×450×100の型枠に、予め下地コンクリート(呼び強度24N/mm2の市販の普通コンクリート配合を参考)を半分の高さ(50mm)まで打設し、材齢28日で型枠側のコンクリート面(底面)をワイヤブラシで磨き、磨いた面を上にして再び型枠にセットし、さらに、吹付けにより残りの50mmを打設した後、材齢28日の前日までにφ50mmで深さ60mmまでコアを抜き、エポキシ樹脂により引張り用冶具をセットし、建研式の接着力試験器を用いて付着強度試験を実施することによって測定する。圧縮強度は、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して測定された強度であり、例えばミキサ内の試料によりφ50×100の試験体を3本作成し、3本の試験体から得られた強度の平均とする。
また、本実施形態では、補強用吹付けモルタルは、好ましくは膨張材の配合量がセメントの6~11重量%、シリカフュームの配合量がセメントの5~10重量%となっており、水結合材比(W/B)が37.5~42.5%、砂結合材比(S/B)が2.5以下となっている。
さらに、本実施形態では、補強用吹付けモルタルは、好ましくは収縮低減剤が配合されており、好ましくは短繊維が混入されている。
そして、本実施形態の補強用吹付けモルタルは、好ましくは水、セメント、及び細骨材を含んで形成される、いわゆる1:3モルタルに、上述のように、混和材料として、膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤を配合することによって容易に得ることができる。
ここで、補強用吹付けモルタルに配合される水は、水道水等の、モルタルに配合されるものとして公知の水を、適宜選択して用いることができる。補強用吹付けモルタルに配合されるセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の、モルタルに配合されるものとして公知のセメントを、適宜選択して用いることができる。補強用吹付けモルタルに配合される細骨材である砂は、山砂、川砂、天然珪砂、人口珪砂、砕石粉等の、モルタルに配合されるものとして公知の細骨材を、適宜選択して用いることができる。
また、補強用吹付けモルタルに混和材料として配合される膨張材は、膨張効果により乾燥収縮量を低減させることによって、ひび割れ抵抗性を向上させることを目的として混合される混和材であり、例えばカルシウムサルホアルミネート系化合物、酸化カルシウム系化合物等を好ましく用いることができる。膨張材は、粉体状のものを用いる。より具体的には、膨張材として、例えば、デンカ株式会社製の「デンカCSA#20」等を用いることができる。
補強用吹付けモルタルに混和材料として配合されるシリカフュームは、硬化後の耐震補強用のモルタル層10の耐久性の向上や、吹付け施工時のポンプ圧送性の改善及び吹付け後の補強用吹付けモルタルのだれ落ちの防止等を目的として混合される混和材である。シリカフュームは、粉体状のものを用いる。より具体的には、シリカフュームとして、例えば、BASFジャパン株式会社製の「マスターロックMS610」等を用いることができる。
補強用吹付けモルタルに混和材料として配合される高性能AE減水剤は、補強用吹付けモルタル中の単位水量を低減させることで、硬化後の耐震補強用のモルタル層10の乾燥収縮量を低減させることを目的として添加される混和剤であり、例えばポリカルボン酸系化合物、ナフタリン系化合物、アミノスルホン酸系化合物等を好ましく用いることができる。高性能AE減水剤は、より具体的には、例えば、「マスターグレニウムSP8SV」等を用いることができ、粉体状の場合、例えば、BASFジャパン株式会社製の「Melflux(登録商標) 5581F」等を用いることができる。
本実施形態では、補強用吹付けモルタルにおける膨張材の配合量は、セメントの6~11重量%とすることが好ましい。膨張材の配合量がセメントの6重量%よりも少ないと、膨張不足により収縮ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになり、セメントの11重量%よりも多いと、過剰(異常)な膨張により膨張ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、膨張材の配合量は、セメントの6~11重量%とすることが好ましい。
補強用吹付けモルタルにおけるシリカフュームの配合量は、セメントの5~10重量%とすることが好ましい。シリカフュームの配合量がセメントの5重量%よりも少ないと、圧送性の改善が得られず、圧送時の閉塞が発生し易くなるという不具合が生じることになり、セメントの10重量%よりも多いと、シリカフュームの水和反応による自己収縮ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、シリカフュームの配合量は、セメントの5~10重量%とすることが好ましい。
また、本実施形態では、水結合材比(W/B)は、37.5~42.5%となっていることが好ましい。水結合材比が37.5%よりも小さいと、圧送時に閉塞し易くなるという不具合が生じることになり、42.5%よりも大きいと、単位水量の増加による乾燥収縮ひび割れが発生し易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、水結合材比は、37.5~42.5%となっていることが好ましい。
さらに、本実施形態では、砂結合材比(S/B)は、2.5以下となっていることが好ましい。水結合材比が2.5よりも大きいと、圧送時に閉塞し易くなるという不具合が生じることになる。また砂結合材比が小さすぎると骨材(砂)による収縮抵抗性が小さくなるという不具合が生じることになる。このような観点から、砂結合材比は、1.75~2.50%となっていることが好ましい。
なお、水結合材比(W/B)や砂結合材比(S/B)を算出する際の単位結合材量(B)は、結合材であるセメントと、膨張材と、シリカフュームとを加えた、これらの合計の単位重量である。
また、本実施形態では、上述のような配合の補強用吹付けモルタルに、さらに収縮低減剤を配合して用いることができる。収縮低減剤は、毛細管張力を減少させて水分の蒸発量を低減させることで、硬化後の耐震補強用のモルタル層10の乾燥収縮量を低減させることを目的として添加される混和剤であり、例えば界面活性剤である、低級アルコールのアルキレンオキシド添加物等を好ましく用いることができる。収縮低減剤は、水溶液として用いることができる他、粉体状にして用いることもできる。より具体的には、収縮低減剤として、水溶液の場合、太平洋セメント株式会社製の「テトラガードAS21」等を用いることができ、粉体状の場合、例えば、SKWイーストアジア株式会社製の「SITREN PSR100」等を用いることができる。
収縮低減剤は、上述のような配合の補強用吹付けモルタルに、添加量を、水溶液の場合にセメントの1~2重量%、粉体状の場合にセメントの0.2~0.4重量%として配合することが好ましい。水溶液の収縮低減剤の添加量がセメントの1重量%よりも少ないと、又は粉体状の収縮低減剤の添加量がセメントの0.2重量%よりも少ないと、毛細管張力の低減効果が十分に得られなくなるという不具合が生じることになり、水溶液の収縮低減剤の添加量がセメントの2重量%よりも多いと、又は粉体状の収縮低減剤の添加量がセメントの0.4重量%よりも多いと、セメントの硬化不良を引き起こし易くなるという不具合が生じることになる。このような観点から、収縮低減剤の添加量は、水溶液の場合にセメントの1~2重量%、粉体状の場合にセメントの0.2~0.4重量%とすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上述のような配合の補強用吹付けモルタルに、短繊維を混入して用いることができる。短繊維は、引張り応力に対する抵抗性を向上させて、硬化後のモルタル層10の乾燥収縮量を低減させることを目的として混入される混入材料であり、例えばポリプロピレン樹脂、
ビニロン繊維、耐アルカリ性ガラス繊維等からなる6~13mm程度の長さのものを好ましく用いることができる。より具体的は、短繊維として、例えば、萩原工業株式会社製の「バルチップF13-6HNK」を用いることができる。
短繊維は、上述のような配合の補強用吹付けモルタル15に、0.05~0.1%の容積比で混入されていることが好ましい。混入される短繊維の容積比が0.05%よりも少ないと、乾燥収縮量の低減効果が十分に得られなくなるという不具合が生じることになり、0.1%よりも多いと、混合装置による均一な練り混ぜが十分にできなくなるという不具合が生じることになる。このような観点から、混入される短繊維の容積比は、0.05~0.1%とすることが好ましい。
本実施形態では、補強用吹付けモルタルは、上述のように、フレッシュ時の物性であるスランプ値が8~13cmとなっており、硬化後の物性である材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上となっている。
補強用吹付けモルタルのスランプ値が、8cmよりも小さいと、吹付けモルタルをポンプで圧送する際の圧送性を確保することが困難になり、補強用吹付けモルタルのスランプ値が、13cmよりも大きいと、吹付け後にだれ落ちが生じ易くなる。このような観点から、補強用吹付けモルタルのスランプ値は、8~13cmとなっていることが好ましい。
また、補強用吹付けモルタルの材齢28日での乾燥収縮率が、0.06%よりも大きいと、硬化したモルタルの表面にひび割れが生じ易くなって、品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート柱20の外周部分に形成することが困難になる。このような観点から、補強用吹付けモルタルの材齢28日での乾燥収縮率は、0.06%以下となっていることが好ましい。
さらに、補強用吹付けモルタルの材齢28日での付着強度が、1.0N/mm2よりも小さいと、耐震補強用のモルタル層10と既存のコンクリート柱20との強固な一体化が図れなくなって、配筋された鉄筋11,12による十分な耐震補強効果が得られなくなる。このような観点から、補強用吹付けモルタルの付着強度は、1.0N/mm2以上となっていることが好ましい。
さらにまた、補強用吹付けモルタルの材齢28日での圧縮強度が、50.0N/mm2よりも小さいと、十分な引張強度が得られずひび割れが発生し易くなる。このような観点から、補強用吹付けモルタルの圧縮強度は、50N/mm2以上となっていることが好ましい。
本実施形態では、上述の配合の補強用吹付けモルタルは、好ましくは、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されている補強用プレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって、容易に形成することができる。
すなわち、本実施形態では、例えばモルタルの製造工場等において、セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を、所定の配合となるように精度良く調整して混合することにより製造された補強用プレミックスモルタルを、好ましくは袋詰めした状態で施工現場に搬入してストックしておき、施工現場では、予め製造された補強用プレミックスモルタルに、設計された所定量の水を加えて、例えば現場内のモルタル吹付け用のプラントにおいてモルタルミキサを用いて混練りするだけの、簡易な方法によって、所定の配合の補強用吹付けモルタルを得るようにすることが好ましい。
補強用吹付けモルタルを、補強用プレミックスモルタルを用いて形成することにより、精度良く配合された補強用吹付けモルタルを得て、品質の良い耐震補強用のモルタル層10を容易に形成することが可能になる。またこれによって、施工現場にストックされた各々の配合材料を施工現場において計量してから、モルタル吹付け用のプラントで混練りして補強用吹付けモルタルを形成する場合と比較して、各々の配合材料の品質管理のための手間を、大幅に低減することが可能になると共に、バラツキがなく品質の良好な補強用吹付けモルタルを、容易に得ることが可能になる。
特に、細骨材は、その表面水率によって、配合すべき水の量が大幅に変動することになり、形成される補強用吹付けモルタルのフレッシュ時の物性や硬化後の物性に、大きな影響を及ぼすので、所定の表乾状態となるように、乾燥させたり、シートで覆って養生するなど、厳格な水分管理を必要とするが、絶乾状態の細骨材が予め混合された補強用プレミックスモルタルを用いることにより、このような管理の手間を低減することが可能になる。また、セメントや、粉体状の膨張材や、粉体状のシリカヒュームは、吸水すると使用できなくなるため、防湿処理を行うことが必要になるが、このような処理の手間も低減することが可能になる。さらに、配合材料のストックヤードを削減することも可能になる。
また、本実施形態では、上述の補強用プレミックスモルタルに、好ましくは粉体状の収縮低減剤を混合しておくこともでき、好ましくは短繊維を混入しておくこともできる。
さらに、本実施形態では、上述の補強用プレミックスモルタルに配合される細骨材の粗粒率は、2.5~3.0となっていることが好ましい。補強用プレミックスモルタルに配合される細骨材の粗粒率が2.5~3.0となっていることにより、単位水量を低減することが可能になると共に、安定したポンプ圧送性を確保することが可能になる。
なお、本実施形態の補強用吹付けモルタルは、モルタルの製造工場等において予め製造されたプレミックスモルタルに、所定量の水を加えて混練りすることによって形成されるものである必要は必ずしもなく、例えば施工現場にストックされている各々の配合材料を、施工現場で配合しながら混合して形成することもできる。
本実施形態では、例えば後述する配筋工程、吹付工程、仕上げ工程、及び養生工程を含むコンクリート柱の補強工法によって、上述の補強用吹付けモルタルを用いて、図1に示すように、既存のコンクリート構造物として、例えば河川を横断して構築された高速道路用の高架橋の橋脚を構成するコンクリート柱20の外周部分に、内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10を、例えば40~70mmの薄い厚さで容易に形成することができる。
すなわち、本実施形態の補強用吹付けモルタルを用いて耐震補強される既存のコンクリート柱20は、図1に示すように、河川を横断して構築される高架橋の基礎部分を形成するコンクリート基礎である基礎フーチング21と、橋桁(図示せず)が架設される橋台22との間の橋脚部分を構成するものであり、2000mm程度の長さの短辺部と、6000mm程度の長さの長辺部とを備える、横長矩形状の断面形状を有している。既設のコンクリート柱20は、河川を横断する方向である短辺部方向に所定の間隔をおいて、基礎フーチング21や橋台22と共に、複数並べられた状態で構築されている。河川の水は、各隣接するコンクリート柱20の間の間隔部分を介して、上流側から下流側に流下するようになっている。各々のコンクリート柱20が耐震補強されることで橋脚の幅が大きくなった場合には、洪水時に高架橋の部分で河川の水かさが過度に大きくなるのを回避するために設定された、河積阻害率による制約を害し易くなることから、このような制約を害さないように、後述する補強工法によって、各々の既存のコンクリート柱20を耐震補強するモルタル層10を、40~70mmの薄い厚さで形成するようになっている。
本実施形態のコンクリート柱20の補強工法では、配筋工程、吹付工程、仕上げ工程、及び養生工程に先立って、準備工が行われる。準備工では、例えば各々のコンクリート柱20による高架橋の橋脚部分から、雨樋等の障害物を撤去すると共に、各々のコンクリート柱20及び基礎フーチング21の周囲を、公知の締切り工法により締切り壁(図示せず)で締め切って、締切り壁の内側の作業ヤードに、コンクリート柱20及び基礎フーチング21をドライな状態で露出させる。また、締切り壁の内側の作業ヤードにおいて、基礎フーチング21等に支持させて、足場等を組み立てて設置すると共に、モルタル吹付け用のプラントを設置する。
準備工に続いて行われる配筋工程では、既存のコンクリート柱20の表面をケレンして汚れや異物を除去すると共に、表面処理工として、既存のコンクリート柱20の欠損部分の断面補強や、欠損部において露出する鉄筋の防錆・補強処理等を行った後に、これの周囲に鉄筋11,12を配筋する。本実施形態では、配筋工程において、好ましくは既存のコンクリート柱20の周囲に螺旋状に配置されるせん断補強用のスパイラル鉄筋11と、既存のコンクリート柱20の周囲に柱の軸方向に配置される曲げ補強用の軸方向鉄筋12とを含んで、鉄筋が配筋されるようになっている。
これらのスパイラル鉄筋11や軸方向鉄筋12は、降伏強度が例えば685~1275N/mm2程度の、高張力鉄筋を用いて形成されていることが好ましい。スパイラル鉄筋11や軸方向鉄筋12が、高張力鉄筋を用いて形成されていることにより、降伏強度が例えば295~345N/mm2程度の普通鉄筋を用いて形成する場合と比較して、鉄筋径を小さくすることが可能になり、これによって耐震補強用のモルタル層10をさらに薄く形成することが可能になる。
配筋工程では、好ましくはまず軸方向鉄筋12を、既存のコンクリート柱20の周囲に、予め設計された所定のピッチで周方向に間隔をおいて複数配筋する。軸方向鉄筋12の配筋作業は、常法に従って、段取り筋等を用いながら容易に行うことができる。また、本実施形態では、各々の軸方向鉄筋12は、図2(a)及び(b)に示すように、その下端部12aを、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに挿入した状態で、専用の定着材21bを用いて固定することによって、基礎フーチング21に定着されるようになっている。専用の定着材21bとしては、例えば、可塑性モルタルを用いることができる。軸方向鉄筋12の下端部12aの定着長は、鉄筋径をDとした場合、10D以上の長さとすることが好ましく、定着孔21aの深さは、10D以上の定着長に、所定のかぶり厚を加えた深さとすることが好ましい。
本実施形態では、各々の軸方向鉄筋12の下端部12aに、図2(c)にも示すように、好ましくは拡径された先端拡径突起12bが加工形成されている。各々の軸方向鉄筋12の下端部12aは、既存のコンクリート柱20が立設するコンクリート基礎である、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに、先端拡径突起12bを配置した状態で、定着材21bによって定着されるようになっている。先端拡径突起12bを配置した状態で、基礎フーチング21に削孔された定着孔21aに、定着材21bを用いて軸方向鉄筋12の下端部12aを定着することにより、軸方向鉄筋12の定着力を向上させて、基礎フーチング21に削孔される定着孔21aの深さ、及び軸方向鉄筋12の下端部12aの挿入深さを、小さくすることが可能になる。これによって、基礎フーチング21の損傷を抑えつつ、軸方向鉄筋12の定着力を向上させることが可能になる。
軸方向鉄筋12を配筋したら、図1及び図2(a)に示すように、軸方向鉄筋12の外側に巻き付けるようにして、せん断補強用のスパイラル鉄筋11を配筋する。スパイラル鉄筋11の配筋は、例えば特開2012-67585号公報に記載の巻立て鉄筋を配筋する方法と同様の方法によって、既存のコンクリート柱20の周囲に、四角形の螺旋形状(スパイラル状)となるように容易に組み立てて配筋することができる。
また、本実施形態では、配筋工程において、吹付けモルタル15のだれ防止とひび割れ防止のための公知の溶接金網13を、スパイラル鉄筋11の外側に取り付けたり、スパイラル鉄筋11の拘束力を有効に発揮させるための、公知の中間拘束材14を取り付けたりすることもできる。
配筋工程に続いて行われる吹付け工程では、配筋された鉄筋11,12を埋設するようにして、既存のコンクリート柱20の周囲に、上述の補強用吹付けモルタルを吹き付ける。吹付け工程では、配筋された鉄筋11,12よりも既存のコンクリート柱20側の内側層15aと、既存のコンクリート柱20とは反対側の外側層15bとに分けて、補強用吹付けモルタルを吹き付けるようになっている。本実施形態では、補強用吹付けモルタルを吹き付けるのに先立って、吹付け前処理を行うことが好ましい。
吹付け前処理では、気温及び天候の記録、配筋された鉄筋11,12の配設ピッチや被りの確認、既存のコンクリート柱20の表面に吸湿防止剤を塗布する作業等を実施することが好ましい。例えば、吹付け工程の施工時の環境条件(気温及び天候)が、補強用吹付けモルタルの硬化時の強度やひび割れの発生に影響を与えるため、吹付け工程の施工時の気温及び天候を記録することが好ましい。配筋工程の後、吹付け工程の施工時までに、例えばスパイラル鉄筋11等にずれが生じる場合があるため、吹付け工程の直前に、配筋された鉄筋11,12の配設ピッチや被りが確保されていることを確認することが好ましい。硬化前の補強用吹付けモルタル中の水分が、既存のコンクリート柱20に吸収されることによる付着強度の低下を回避するため、既存のコンクリート柱20の表面に、吸湿防止剤を均一に散布することが好ましい。吸湿防止剤を散布する時期は、補強用吹付けモルタルの施工時に合わせて効果が発揮されるように、使用する材料の仕様に従うことが好ましい。
内側層15aの補強用吹付けモルタルを吹き付ける下地吹き付けでは、好ましくはスパイラル鉄筋11の外周面に沿って取り付けられた溶接金網12が、隠れる程度の厚さとして、例えば20~50mm程度の厚さとなるように、既存のコンクリート柱20の外周面に補強用吹付けモルタルを吹き付ける。下地吹き付けは、高圧で吹き付けるとモルタル密度が高くなるが、鉄筋11,12の背面側に空隙ができ易くなるため、ポンプによる吐出圧を、例えば0.4~0.6N/mm2(=0.4~0.6MPaとし、モルタル吐出量を、例えば0.8~1.2m3/hとして補強用吹付けモルタルを吹き付けることが好ましい。また、吹付け後のだれ落ちを防ぐため、吹付けノズルを施工面に対して直角に保ち、吹付け距離を10~20cm程度として、下から上へ向かって施工することが好ましい。さらに、隅角部は、施工の継ぎ目でコールドジョイントが発生しやすいため、打継ぎ時間を考慮して、らせん状に施工することが好ましい。
また、下地吹き付けでは、鉄筋11,12の背面側に空隙を残さないよう、吹き付けた補強用吹付けモルタルが硬化する前(夏期は1時間以内、冬期は1時間半以内)に、速やかにコテで押さえ込んで、鉄筋11,12と既存のコンクリート柱20との間に、吹き付けた補強用吹付けモルタルを確実に充填する。補強用吹付けモルタルは、水分の異常発散等により表面にひび割れが発生し易くなるため、下地吹き付けの完了後は、直射日光を避け、風が直接当たらないようにシートで養生することが好ましい。また施工現場の環境や季節によっては、湿潤養生、給熱養生等を検討することが好ましい。
外側層15bの補強用吹付けモルタルを吹き付ける仕上げ吹き付けは、好ましくは下地吹き付けを行った翌日に、打継間隔を空けずに実施する。仕上げ吹き付けでは、補強用吹付けモルタルを吹き付ける前に、下地層である内側層15aの表面の異常や付着物の有無を確認すると共に、好ましくは内側層15aの表面に吸湿防止剤を塗布してから、下地吹き付けの施工時と同様の吐出圧、及びモルタル吐出量で、補強用吹付けモルタルを吹き付ける。また、仕上げ吹き付けでは、下地吹き付けと同様に、吹付け後のだれ落ちを防ぐため、吹付けノズルを施工面に対して直角に保ち、吹付け距離を10~20cm程度として、下から上へ向かって施工することが好ましい。さらに、下地吹き付けと同様に、隅角部は、施工の継ぎ目でコールドジョイントが発生しやすいため、打継ぎ時間を考慮して、らせん状に施工することが好ましい。仕上げ吹き付では、内側層15a及び外側層15bの全体の厚さが40~70mmとなるように、補強用吹付けモルタルを吹き付ける。
吹付け工程の仕上げ吹き付けに続いて行われる仕上げ工程では、補強用吹付けモルタルの吹き付けによって形成された、40~70mmの薄い厚さの耐震補強用のモルタル層10の、表面仕上げを行う。仕上げ工程は、吹付け工程で形成された耐震補強用のモルタル層10の、仕上層である外側層15bの表面を、好ましくは吹付け後に速やかに木ゴテで押さえ、定規により整形してから、硬化時間をおいて金ゴテで入念に仕上げることによって行うことができる。仕上層である外側層15bの出来形が、耐震補強後の既存のコンクリート柱20の外周形状を決定するため、木ゴテで押さえた後に、定規を利用して慎重に外側層15bの表面を整形する必要がある。金ゴテ仕上げの際は、仕上層である外側層15bが薄厚であるため、均す時間が遅いと、モルタルの硬化によって外側層15bが追従して均せない場合があるため、吹付け後の硬化状況を観察して、金ゴテ仕上げをする必要がある。
仕上げ工程に続いて行われる養生工程では、仕上げ工程で表面仕上げされた耐震補強用のモルタル層10の養生を行う。養生工程は、例えば表面仕上げされた耐震補強用のモルタル層10の表面が硬化した後に、速やかに樹脂フィルムを貼り付けて、水分の発散を防止することにより行うことができる。養生工程は、耐震補強用のモルタル層10の強度が発現するのを確認するまで実施することが好ましい。樹脂フィルムを貼り付けることで養生工程を実施する場合、確実に養生できる反面、表面に色むらが生じ易くなるため、留意する必要がある。樹脂フィルムによる養生を実施できない場合には、養生剤の使用を検討することができる。塗布型の養生剤を用いる場合は、材質や成分によって表面の付着性を損なうことがあるため、留意する必要がある。養生剤の選定には、仕上げ面の塗装や新たにコンクリートを打ち継ぐ場合等を考慮して、パラフィン系養生剤の使用を避け、アクリル系養生剤を選定することが好ましい。
本実施形態では、さらに、長期的耐久性の向上等を目的として、好ましくは養生工程で養生された耐震補強用のモルタル層10の表面や、養生中の耐震補強用のモルタル層10の表面に、表面塗装を実施することもできる。内部に鉄筋11,12が配筋された耐震補強用のモルタル層10による耐震補強性能は、補強用吹付けモルタルの吹付けが完了した時点で発揮されることになるが、ひび割れの抑制、塩害・中性化の抑制、美観の向上等を目的として、表面塗装を実施することが好ましい。表面塗装を実施する際には、塗装後に剥離が生じないよう、耐久性や接着性を考慮した材質の塗装材料を選定することが好ましく、また適切な施工時期を検討した上で実施することが好ましい。
所定の養生期間が経過したら、例えば貼り付けていた樹脂フィルムを撤去すると共に、出来形検査を行い、さらに足場の解体、埋戻し、作業ヤードの片付け、雨樋等の障害物の復旧、締切り壁の撤去等を行って、コンクリート柱の補強工法による既存のコンクリート柱20の補強工事が終了する。
そして、本実施形態の補強用吹付けモルタルによれば、吹き付けによる施工のし易さを保持したまま、ひび割れの発生が抑制された品質の良好な耐震補強用のモルタル層を、より薄い厚さで既存のコンクリート構造物の外周部分に容易に形成することが可能になる。
すなわち、本実施形態の補強用吹付けモルタルによれば、内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート構造物の周囲に形成するための吹付け用のモルタルであって、水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されており、フレッシュ時のスランプ値が8~13cmであり、硬化後の材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上となっているので、そのフレッシュ時の物性によって、型枠を用いることなく、且つ重量物や揚重設備を要することなく、モルタルポンプによる良好な圧送性を保持しながら、簡易に且つ容易に施工することができると共に、その硬化後の物性によって、ひび割れの発生が抑制された、品質の良好な耐震補強用のモルタル層10を、既存のコンクリート柱20の外周部分に、例えば河積阻害率による制約を害することのない、40~70mmの薄い厚さで、容易に形成してゆくことが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、耐震補強される既存のコンクリート構造物は、矩形状の断面形状を備えている必要は必ずしも無く、正方形や、円形、多角形等、その他の種々の断面形状を備えるコンクリート構造物であっても良い。また、補強用吹付けモルタルに、収縮低減剤が配合されている必要は必ずしも無く、短繊維が混入されている必要は必ずしも無い。

以下、実施例及び比較例により、本発明の補強用吹付けモルタルをさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例の記載によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1のモルタル、実施例2のモルタル、比較例1のモルタル〕
表1に示す配合の1:3モルタルを、比較例1のモルタルとした。表1に示す配合の、混和材料として膨張材、シリカヒューム、及び高性能AE減水剤が配合されたモルタルを、実施例1のモルタルとした。表1に示す配合の、混和材料として膨張材、シリカヒューム、及び高性能AE減水剤に加えて、さらに収縮低減剤が配合されたモルタルを、実施例2のモルタルとした。配合される使用材料を表2に示す。
Figure 0007103755000001
Figure 0007103755000002
実施例1のモルタル、実施例2のモルタル、及び比較例1のモルタルから各々作成された供試体について、JIS A 1129-3「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」による算定方法によって乾燥収縮量(乾燥収縮率)を算定し、材齢に伴う乾燥収縮量の変化を表わすチャートを作成した。作成したチャートを図3に示す。
〔実施例3のモルタル、実施例4のモルタル、比較例2のモルタル〕
表3に示す配合の1:3モルタルを、比較例2のモルタルとした。表3に示す配合の、混和材料として膨張材、シリカヒューム、高性能AE減水剤、及び収縮低減剤が配合されたモルタルを、実施例4のモルタルとした。表1に示す配合の、混和材料として膨張材、シリカヒューム、高性能AE減水剤、及び収縮低減剤を配合すると共に、さらに短繊維を混入したモルタルを、実施例3のモルタルとした。配合又は混入される使用材料を表4に示す。
Figure 0007103755000003
Figure 0007103755000004
実施例3のモルタル、実施例4のモルタル、及び比較例2のモルタルから各々作成された供試体について、JIS A 1129-3「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」による算定方法によって乾燥収縮量(乾燥収縮率)を算定し、材齢に伴う乾燥収縮量の変化を表わすチャートを作成した。作成したチャートを図4に示す。
図3に示すチャートによれば、本発明の補強用吹付けモルタルに係る実施例1及び実施例2のモルタルは、比較例1のモルタルと比較して、乾燥収縮量(乾燥収縮率)が大幅に低減しており、特に材齢28日においては、一般的なコンクリートの乾燥収縮量(乾燥収縮率)と同等の、0.06%以下の乾燥収縮量(乾燥収縮率)となっていることが判明する。またこれによって、本発明の補強用吹付けモルタルを用いて、既存のコンクリート構造物の外周部分に耐震補強用のモルタル層を薄い厚さで形成した場合に、ひび割れが発生するのを効果的に抑制できることが判明する。
図4に示すチャートによれば、本発明の補強用吹付けモルタルに係る実施例3及び実施例4のモルタルは、比較例2のモルタルと比較して、乾燥収縮量(乾燥収縮率)が大幅に低減していることに加えて、さらに短繊維を混入することによって、既存のコンクリート構造物の外周部分に耐震補強用のモルタル層を薄い厚さで形成した場合に、ひび割れが発生するのを一層効果的に抑制できることが判明する。
10 モルタル層
11 スパイラル鉄筋
12 軸方向鉄筋
12a 下端部
12b 先端拡径突起
13 溶接金網
14 中間拘束材
15a 内側層
15b 外側層
20 既存のコンクリート柱
21 基礎フーチング(コンクリート基礎)
21a 定着孔
21b 定着材
22 橋台

Claims (10)

  1. 内部に鉄筋が配筋された耐震補強用のモルタル層を、既存のコンクリート構造物である既存の橋脚を構成するコンクリート柱の周囲に、40~70mmの薄い厚さで形成するための補強用吹付けモルタルであって、
    水、セメント、及び細骨材を含み、且つ混和材料として膨張材、シリカフューム、及び高性能AE減水剤が配合されており、フレッシュ時のスランプ値が8~13cmであり、硬化後の材齢28日での乾燥収縮率が0.06%以下、付着強度が1.0N/mm2以上、圧縮強度が50.0N/mm2以上であり、
    且つ膨張材の配合量がセメントの6~11重量%、シリカフュームの配合量がセメントの5~10重量%であり、水結合材比(W/B)が37.5~42.5%、砂結合材比(S/B)が1.75~2.5である補強用吹付けモルタル。
  2. 収縮低減剤が配合されている請求項1記載の補強用吹付けモルタル。
  3. 水溶液の前記収縮低減剤がセメントの1~2重量%配合されているか、又は粉体状の前記収縮低減剤がセメントの0.2~0.4重量%配合されている請求項2記載の補強用吹付けモルタル。
  4. 短繊維が混入されている請求項1~3のいずれか1項記載の補強用吹付けモルタル。
  5. 短繊維が0.05~0.1%の容積比で混入されている請求項4項記載の補強用吹付けモルタル。
  6. 前記コンクリート柱の周囲に、ポンプによる吐出圧を0.4~0.6N/mmとし、モルタル吐出量を0.8~1.2m/hとして吹き付けられる請求項1~5のいずれか1項記載の補強用吹付けモルタル。
  7. 水と混練りされて請求項1記載の補強用吹付けモルタルを形成する補強用プレミックスモルタルであって、
    セメント、絶乾状態の細骨材、粉体状の膨張材、粉体状のシリカフューム、及び粉体状の高性能AE減水剤を含んで混合されている補強用プレミックスモルタル。
  8. 細骨材の粗粒率が2.5~3.0である請求項7記載の補強用プレミックスモルタル。
  9. 粉体状の収縮低減剤が混合されている請求項7又は8記載の補強用プレミックスモルタル。
  10. 短繊維が混入されている請求項7~9のいずれか1項記載の補強用プレミックスモルタル。
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